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秘拳・|石困《せきこま》拳

#封神武侠界 #【Q】 #戦後

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#封神武侠界
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#【Q】
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#戦後


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●コマンドー
 封神武侠界某所に極秘裏に伝えられる拳法があった。
 その拳法の特色は、相手の虚を突く事に特化した事にあった。あらゆる手段をもって相手の戦意を挫き、あるいは注意をこちらから逸らせ、無理やり隙を作って一撃のもとに打ち倒す事を主眼においていた。そのやり口を、人々は【石者困る】(石の様に隙を見せる事のない者であっても困るほどに恐ろしい)と称して恐れ、いつしかその拳法は【|石困《せきこま》拳】と呼ばれるようになったそうな。
 そのやり口の一部を説明すると、例えば戦闘中にいきなりよそ見をしてみせるとか。にわかに信じられないかもしれないが、これをやると、相手もつられてその方向を見てしまうらしい。後世においてこの方法でボクシングの世界チャンピオンになった者もいるらしいから意外に侮れない。他にはいきなり服を脱いでみせるとか、言葉で相手を惑わせるとか、本当に虚をつくためならなんでもやってのけたとか。

「なお現在において、人々の目を惹きつけるほどに性的な事を『セクシー』と呼ぶが、これが『石者困る』の『石者』に由来するのは賢明なる読者の皆様の推察通りである」
(大豪傑出版刊『拳法に学ぶパフォーマンス術』より)

「その石困拳がオブリビオンの襲撃を受けようとしているのだ!」
 大豪傑・麗刃(24歳児・f01156)には石困拳の危機は他人事とは思えないようであった。敵の虚を突く、というより無理やり虚を作るやり口には、麗刃にはかなり共感する所があったようだ。
「今回の敵はどうやら最強を求めているようで、それがゆえに未知の拳法を収集するのが目的らしいのだ」
 基本初見殺しを旨とするため、石困拳の道場は厳重に秘匿されているが、どういうルートかは不明だがオブリビオンにその場所が漏れたらしい。同時に麗刃もグリモア猟兵としての予知で道場の場所を把握できた。猟兵たちが現場に向かった時には既に戦いは始まっている。むろん石困拳の拳士たちも抵抗しているのだが、どうやら相当に相性の悪い相手だったらしく、今にも追い詰められようとしているのだ。
 やる事自体は単純だ。まず雑魚を倒し、次いで出てくるボス級を倒せば解決……なのだが。
「おそらく猟兵であるきみたちならば、本来虚を突けない相手にも隙を作る事はできるのだ。なので、そのやり方を実演してみせてやれば、石困拳の発展にもつながるかもしれないので、ちょっとそのあたり念頭に置いてくれると、わたしもうれしいのだ」
 なぜ麗刃が喜ぶんだろう?そんな疑問を抱きながらも、猟兵たちは戦場へと赴くのであった。


らあめそまそ
 らあめそまそです。封神武侠界のシナリオをお送りいたします。
 基本的には純戦ですので、オブリビオン相手に大暴れしていただければよろしいかと。
 仮に石困拳拳士たちにも戦ってもらうのであれば、一部の者は下記のユーベルコードを使用できます。

 降魔点穴:秘孔への指突が命中した部位に闘気を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。

 なおプレイングボーナスはありませんが、2章では強敵に相対するためのヒント的なものがありますので、1章終了後の断章をご参照いただければ幸いです。
 それでは皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『僵尸兵士』

POW   :    僵尸兵器
【生前に愛用していた武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    僵尸鏡体
【硬質化した肉体】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、硬質化した肉体から何度でも発動できる。
WIZ   :    僵尸連携陣
敵より【仲間の数が多い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:鹿人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●最悪の相性
「ぐうっ!?」
 勝手の違う相手に石困拳の拳士たちは苦戦していた。それもそのはず。敵は|僵尸《キョンシー》だったのだ。
 封神武侠界の僵尸は死者ではあるが、魂を護符に封じているため自我の喪失はなく生前と同様に『生き』続ける事ができる種族だ。しかし今回の僵尸はその護符を失っておりオブリビオン化している。自我のない相手は驚愕や困惑などせず、それがゆえに隙を作る事もできず、拳士たちは徐々に、確実に追い詰められていったのだ。
『どうした』
 僵尸たちの後方で嗤う武人がいた。
『もっと見せてみろ、貴様らの戦い方を』

 僵尸兵士の能力は以下の3つだ。
【僵尸兵器】は手にした武器で攻撃するというシンプルなものだが、それがゆえに威力は高く、また集団で運用されたならば当然脅威となるだろう。
【僵尸鏡体】は肉体を硬質化させてユーベルコードを受け止め、それをそのまま返すというものだ。必殺のユーベルコードがそのまま帰って来るのは当然脅威となるだろう(2回目)
【僵尸連携陣】は敵よりも多数の場合に戦闘力が上がるものだ。集団戦の性格上、普通は敵の方が数が多くなるだろうから、やはり当然脅威となるだろう(3回目)

 以上のようになかなか面倒な能力がそろっているが、それでもこいつらはいわばメインディッシュの前のオードブルなので、さくっと片づけしまおう。なお猟兵たちなら自我のない相手であっても無理やり虚を作る事だってできるかもしれないので、それを見せたらもしかしたら石困拳の発展にもつながるかもしれない。
尸解仙・僵尸
へェ……僵尸のオブリビオン、ナァ。
ちなみにオレは謎の東方妖怪ダゼ。さて、何の妖怪か当ててミナ!

全身に仕込んだ暗器を次々に投擲しまくるゼ。
そしてその中にUCの手枷・猿轡・拘束ロープを紛れ込ませル。
タダでさえ動きが遅いのが多い僵尸ダ。その上、理性を無くしてりゃ判断力も落ちテ、肉体を硬質化させりゃ動きも相当鈍いだろうシ、当たらなきゃコピー出来ないンダロ?でも全部当たっちまったらUC封印って訳ダ!

破魔の闘気を込めた護符八卦衣をばらばらにして敵に貼り付け、護符が命中した部位に闘気を流し込み内部から爆破スル!

「発ッ!!」

それと、オレのサブジョブは青龍拳士ダ。道士だからって格闘戦を挑んできても無駄ダゼ?



●違法コピーダメゼッタイ
 気を逸らそうとしても驚かそうとしてもまったく動じる事のない僵尸兵士たちに苦戦する拳士たち。絶体絶命のピンチに、真っ先に駆け付けたのは尸解仙・僵尸(謎の東方妖怪の符術士・f38485)だった。
「へェ……僵尸のオブリビオン、ナァ」
 見た目は幼い少女のようでありながら、敵手を恐れる様子もなく堂々と立つその姿は、少なくとも石困拳拳士たちには只者でないように見えた。
「あなたは一体?」
「オレか?謎の東方妖怪ダゼ」
「謎の……」
「さて、何の妖怪か当ててミナ!」
 大軍を前にしてのこの僵尸の言葉は素の性格か、あるいは余裕の現われか。拳士たちはこれに対応する事ができず、代わりに反応したのは、敵軍の後方に控える将だった。
『何のって……僵尸ではないというのか?』
 僵尸兵士……ややこしいので敵の僵尸兵士は以下『敵』『兵士』『キョンシー』等で。ともあれそいつらを率いている敵将には、僵尸は封神武侠界の種族『僵尸』にしか見えないのであった。実際、僵尸の頭についている護符は封神武侠界の『僵尸』にも特徴的なものだったし、自己紹介文の説明を見てもそれを思わせるものであるし。さらに言うなら名前からして僵尸だし。ちなみに姓の『尸解仙』は仙人の一種で、修行の後に一度死亡した後に生き返って仙人となったものだそうな。正体と関係あるかはわからないが。
「さて、それはどうかナ?」
 そらとぼける僵尸。実際のところ、少なくとも現時点においてはあくまで『謎の東洋妖怪』であり、そのルーツは封神武侠界ではなくカクリヨファンタズムにある……と思われる。むろん明記されていない限り、違う世界出身な可能性はあるわけだが。
『剽げるか、まあ良いわ、貴様が何者かなど興味はない』
「なんだ、つまんないヤツだナ」
『俺の興味は貴様の武、ただそれだけよ』
 手にした戟を高く掲げ、敵将は配下のキョンシーたちに名を下す。すぐさま敵兵は隊列を整えて僵尸に突撃してきた。その動きに僵尸は驚いたような声をあげた。
「ほう、キョンシーの割になかなか素早いナ」
 一般的にキョンシーは死後硬直が進んでいるために動きは鈍いとされている。両腕を常に前方に出し、歩行ではなく両足をそろえて跳躍しながら動くのもそのためだ。しかし僵尸が想定していたよりも、キョンシー兵の動きはかなり素早い。種族としての『僵尸』はその制限に縛られず動けるわけだが、オブリビオン化したキョンシーはまた話が違ってくるだろう。その理由は敵将がすぐに語ってくれた。
『当たり前だ!この俺が直々に手塩にかけて鍛え上げたのだからな!』
「なるほド、ならこんなのはどうかナ?」
 自慢げに胸を張る敵将に構う事なく、僵尸は集団相手に用意した手段を容赦なく使う事にした。どこからともなく取り出した暗器を大量投擲し始めたのである。チェーンソー剣、鎖、鉄球、鏢、薬玉、煙幕、斧、中華鍋、含針、その他もろもろ……一体どこにそんなに隠していたのだろうかと思うぐらいに大量の武器である。
「素早くともこれだけ投げれば回避は無理ダロ!」
『ふん、少しは考えたようだな、だが甘い!『僵尸鏡体』だ!』
 敵将の指示で兵士たちは動きを止めると、その全身を硬直させた。
「なるほド」
 理性のないキョンシーならば当然判断力もないだろうと僵尸は考えていたが、どうやら敵将が代わりに判断する事でそのあたりはカバーされているようだった。
「そちらも考えてないわけではないト、だが肉体を硬質化させたらせっかく鍛えた動きが鈍くなるゾ」
『その程度の事、わからんと思うてか!全て我が掌中よ!』
 どうやら防御力を上昇させて暗器の嵐をやり過ごし、攻撃が途切れた所で再度突撃しようという狙いのようだ。仮にユーベルコードで来られたとしても、それこそがむしろ本命だった。僵尸鏡体の効果でユーベルコードをコピーし、そっくりそのまま返してしまえば良い……その狙い自体は決して間違ってなかった。ただ敵将に盲点があったとするならば、暗器を、そして来るかもしれないユーベルコードを、ただのダメージ源と考えてしまった事にあった。
「もしオレのユーベルコードガ、ユーベルコード封じだとしたラ、どうなるカナ?」
『……何?』
 そして僵尸の投げた暗器の中に、手枷・猿轡・拘束ロープが紛れていたのである。僵尸のユーベルコード【咎力封じ】は、これらの1つでも当たった相手の攻撃力を減少させ、全て当たったらユーベルコードを封じるものだったのだ。キョンシー兵たちは咎力封じをコピーしたが、それを発動する前に封じられ、効果を消失させたのだ。
『くっ!俺としたことが!読み違えたというのか!?』
「じゃ、とどめといくカ!」
 符術士にして青龍拳士な僵尸が使う技は、まさに符と格闘の融合だった。身にまとう護符八卦衣をばらして護符を作り、動きを止めたキョンシー兵に張り付けると、そこに掌を当てた。
「発ッ!!」
 気合とともに闘気が流れ込み、敵兵は声を上げる事もなく内部から爆発したのである。
『お、おのれ!俺が手塩にかけて鍛えた兵たちが!』
「見たカ?今時の道士は格闘戦もできるんダゼ!」
 次々と敵兵を爆破しつつ、悔しがる敵将に見せつけるかのように、僵尸は大げさに勝ち誇ってみせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬飼家・ヤング
※アドリブトンチキ大歓迎!

これってもしかして昔読んだすごいマンガ…げふんげふん
ともあれ!相手の予想を覆すのは笑いの基本!

【バ美肉】パワァでオネェ馬飼家にへーんしん!
八頭身美ボデーをチャイナドレスに包み
スリットからは網タイツの美脚がチラリ☆
(でも顔はいつものたこやきヘッドにケバい厚化粧)
ウフーンアハーン(絶妙なキモさでクネクネ)

あら~?アナタもアタクシみたいな絶世の美女になりたいのぉ~ん?

見て見てー!ボヨヨンぷるんな二つの胸のふ・く・ら・み💓
肉まんかと思った?残念!こいつは当たると痛い(打ち所が悪いと突き指する)バレーボール!
いいわね?いくわよ!(敵に向かって連投してボーリングの如くなぎ倒す)



●まさに石者も困るぞ
 石困拳の話を聞いた馬飼家・ヤング(テレビウムのちっさいおっちゃん・f12992)の最初の印象はというと。
「これってもしかして昔読んだすごいマンガ…げふんげふん」
 詳細は述べるのはさすがにはばかられたようではあったが、あ~、なんかの外伝的な感じのマンガのことですかねい。わかりません。ちなみにヤングは40歳なので、問題のマンガが連載されていた時期から考えるとまさに直撃世代ということになるのだろうか……と思ったけどヤングはキマイラフューチャー出身のテレビウムだし、ならば仮にその世界にそのマンガが連載されていたならばまだ人類滅亡前の超大昔の話ってことになるんだろうか。まああまり深く考える必要のない話ではあるが。
 それはさておき、まさに今戦っている石困拳については、ヤングも考えるところはあったようだ。
「ともあれ!相手の予想を覆すのは笑いの基本!」
 おそらく今のヤングの言葉を、猟兵たちを封神武侠界に送り込んだグリモア猟兵が聞いていたならば、思い切りうなずきすぎて首が取れるんじゃないかと思われた。ともあれヤングの今回の方針はそのような感じとなったわけだ。そして実際、敵味方問わず、予想などできるはずのない方向に転がっていくのだった。

『これはまたずいぶんな小兵が来たものだな』
 戦場に現れたヤングの姿を見て、僵尸兵士の後方で指揮を執る敵将は明らかに嘲るような笑みを浮かべた。
「合力いただけるのは大変ありがたいのですが……大丈夫なのですか?」
 石困拳の拳士たちはというと、テレビウムは封神武侠界においては異形といえる姿ではあったが、猟兵としての特性がゆえ、その姿自体に違和感を抱かれる事はない。拳士たちが問題にしていたのはヤングの身長だった。なんと、わずか38.4cm。むろん拳法の達人は体格差など容易に覆しうるものである事は彼らも承知してはいたが、実際のところそんな事ができるのは一握りの達人中の達人であり、そう存在するものではない。
「なんや?そんなにわいがちっこいのが気にいらんのか?」
「いえ、そういうわけではないのですが……」
 敵味方の反応はヤングにとっては気に入らないものではあったが、同時に想定内の範囲でもあった。むしろ、この反応をしてくれる事こそ、後に来る驚愕が大きくなると言うものだ。
「まあ、見とれや、ガツンとかましたるで」
『ふん、ナリに反して口だけは大きいようだな。だが武の方はどうかな?行け僵尸たちよ!」
 敵将の命令に僵尸兵士たちは即座に反応し、隊列を整えヤングめがけて突っ込んでいく。それに対しヤングは全くひるむことなくこれに対峙する。果たしていかなる武を見せるのか、と敵味方の視線がヤングに向けられる。
「あんたさっき、わいの事をチビで貧弱なオッサンと言うたな?」
『いや、そこまでは言ってないが』
「もうそんな口は聞かさんようにしたる!わいのダイナマイトなウルトラスーパーセクスィーボデーで、ええやな~い?」
 言葉が終わると同時にヤングの全身が激しく光り輝いた。その眩しさに拳士たちは皆目を抑え、あるいは目を背け、直視できる者は誰もいない。一方の僵尸兵士はむろん光の眩しさに目がくらむ事はなかったが、警戒した敵将が突撃を制止した。
『なんとも面妖な、ここは手を出すべきではあるまい。光がおさまった後に攻撃せよ』
 僵尸兵士たちは敵将の指示で僵尸鏡体を使用、ヤングの光が攻撃ならば防ぎ切り、ユーベルコードなら場合によってはコピーして返す事を狙ったのだが……さて光がおさまって、そこにいたのは。

「うっふーん」
「おげえええええええええ」
 味方側から悲鳴があがった。
 そこにいたのは八頭身のスタイルグンバツな美女であった。出るトコ出てて引っ込むトコ引っ込んでるないすばでぃをチャイナドレスに包み、スリットからは網タイツの美脚がちらりと見えている……だが美女は美女でもスタイルだけの話であり、顔はしっかりとテレビウムのおっさんのままであった。しかもしっかりと化粧バッチリである。ナニワのおばちゃん風の厚化粧だ。
「ウフーンアハーン」
 大げさに体をくねらせるヤングにさすがの僵尸兵士たちも動きを止めていた。いや正確に言うならば、
『……な、なんだこいつは』
 動きを止めていたのは兵士たちに命令を下すべき敵将であった。将が止まっている以上、自我のない僵尸兵士たちは自ら動く事がないのだ。そんな敵将にヤングはさらに追い打ちをかける。
「あら~?アナタもアタクシみたいな絶世の美女になりたいのぉ~ん?」
『ええい気色悪い!男子たるものがそのような恰好恥ずかしくないのか!』
「古いわねえ~、今はジェンダーレスの時代よぉ。見て見てー!ボヨヨンぷるんな二つの胸のふ・く・ら・み」
 こういうものをジェンダーレスという文脈で語っていい物かどうかはここで議論すべき事でないから置いとくとして。たしかに今のヤングはそんな感じであった。この体型だと性別変更不可のイラスト作成ルールにひっかかるので★を出してもお見せできないのが残念である。
『★貰っても見たくないわ!』
「肉まんかと思った?残念!」
『聞いとらん!』
「実は、こ・れ!」
 と言ってヤングが胸部から出したのはまさかのバレーボールだった。ちなみにこの状態だと胸部が女性に見えないのでイラストを作る事も可能である……はずだ。
「当たると結構痛いわよぉ、突き指とかすると……いいわね?いくわよ!!」
 と、どっかの女戦士が爆弾投げる時のような掛け声で、バレーボールを連続投擲するヤング。2個どころじゃないぞ、どこに隠してたんだこんなに。まあ先刻も似たような事をやってた人がいたから割とできる事なのだろう……と。実際に結構痛いものだったらしく、あまりの事に唖然として敵将が命令忘れてた僵尸兵たちを次々となぎ倒していったのだった。

「なるほど……このような手段が!」
 そしてヤングのやり方に本気で感心する石困拳拳士たちだったが、果たしてこれを取り入れるのだろうか?

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
「石困拳……知ってるっすよ。その存在が衝撃的すぎて、ある時代の新興拳法は石困拳の模倣が流行りすぎて、時の皇帝からも自重するよう苦言を呈されたとかないとか」
とにかく加勢はするっすよ。体は誰かから借りるなり適当なUCで身体を作るなり
「狼藉はそこまでっすよー!」
戦場に突入とともに開幕【虚空弾】で地形を破壊する勢いで攻撃を仕掛ける。そして破壊した地形に体半分埋まる
「大地との対話…それは突然にっすね」
敵が攻撃してこようとしたら
「いいんすか? 埋まっている部分が何やっているか考えなくて」
と敵将に警戒させる
させるだけさせといて【怪力】で抜け出し
「メロディ・ザ・リボーン!」
とりあえず手近な敵を殴っとく



●穴があったら入りたい
 グリモア猟兵から今回の情報を聞いた時、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)はあっさりとこう言ってのけたのだった。
「石困拳……知ってるっすよ」
「知っているのかリカルド……!?」
「うむ」
 ノリのいい猟兵の問いに重々しく答えるリカルド。
「当時の封神武侠界の拳法界において、その存在はあまりに衝撃的すぎたらしいっす……」
 強力な武術が出たら、それを模倣する格闘家や格闘流派が増えるのは世の倣いである。別世界の話であるが、とある格闘技界で誰もが使うようになった技がある。一部の愛好家はその技の元祖となった者が使う技こそ本物であり、他の使い手は全て偽物と主張したが、当の本人は「誰もがこの技を使うのは、この技が素晴らしい事の何よりの証明だ」と言っていたという。まあそういうものだろう。
「で、ある時代の新興拳法は石困拳の模倣が流行りすぎて、時の皇帝からも自重するよう苦言を呈されたとかないとか」
 それもまた道理であろう。これから戦おうとした両者がいきなり謎な行動をとりあって主導権を握ろうというのは、傍目から見ていてネタとしては面白いかもしれないが、拳法の試合、あるいは死合いとしてはちょっと見苦しいかもしれなかった。

「なお自らの失策が原因で大失敗する事を『墓穴を掘る』というが、これは石困流の模倣者同士の戦いで両者が同時にネタ行動を行った事を『ボケ|ふたり《two》』と呼んだ事に由来するという説が有力である」
(大豪傑出版刊『拳法に学ぶパフォーマンス術』より)

 それはともあれ。
「加勢するっすよー!」
「……それはありがたいのですが……」
 先刻同様、現れたリカルドを見て、石困拳の門弟たちは困惑した顔をした。ヒーローマスクであるリカルドは先刻のテレビウムよりもさらに小さい。繰り返すが、確かに極まった武闘家は体格差を覆せるものではあるが、それができるのは上澄みも上澄み、鍛えに鍛えぬいて本当の意味で行きつく所まで行きついてしまった者だけなのだ。たしかに先のテレビウムは奇策にてそれを成し遂げたが、そんな芸当ができる者が連続で現れるものだろうか?しかしリカルドにはヒーローマスクとしての解決方法があった。
「体格が問題なら、誰か体貸してくれればいいっす」
「あ、ああ、なるほど。確かにその通りだな」
 封神武侠界において異形であるヒーローマスクの存在自体が猟兵としての特質で普通に受け入れられたのと同様、誰かが装着する事で本領を発揮できるという特質もまた、即座に常識として認められたようだ。早速門弟の中で最も体格に優れた者がリカルドを被った。
「これで百人力っす。じゃ、行くっすよ」
 かくしてリカルドは悠々と戦場に赴くのだった。

「狼藉はそこまでっすよー!」
『ほう、やっと武人らしい者が現れたか』
 リカルドを……というより、リカルドを被っている門人の巨躯を見て、敵将はそう判断したようだ。むろん敵将にとって最も重要なのは体格ではなくその武なのだが。それを確かめるべく、早速敵将は僵尸兵士たちに命令を下す。
『行けい兵たちよ!』
「来るがいいっす!」
 生前愛用していたと思われる武器を手に突撃してくる僵尸兵士たちに対し、リカルドも正面から立ち向かう構えだ。その手に暗黒の球体を生み出し、敵兵めがけ真っ向から突っ込んでいった。
「自分の忍法【虚空弾】で押しつぶされるがいいっすよ!」
 今度こそ猟兵とオブリビオン、互いの武と武がぶつかりあう……
「って、おっとぉ!?」
 と思いきや。虚空弾を構えたリカルドの軌道は僵尸兵士たちを大きくはずれ、あさっての方向に飛んでいき、そのまま地面に激突したのである。闇弾が命中した部分の地面は大爆発とともに大きくえぐれ、まともに僵尸兵士に当たっていればその威力は相当のものであった事は容易に想像できたのだが、当たらねばそれも意味がない。そしてリカルド本人は勢いのままにそのまま地面に突撃を敢行し、すぐに見えなくなったのだった。
『……何が、起こったのだ??』
 わけのわからぬといった様子の敵将。やがて。
「……大地との対話……それは突然にっすね」
 先刻飛び込んだ所から、とぼけた顔のリカルドが顔を出した。その下半身はいまだ地に埋まったままだ。
『……な、なんだかわからんが、僵尸たちよ!こいつを』
「おっと待つっすよ」
 戸惑いながらも攻撃を指示しようとした敵将だったが、リカルドの言葉でその動きを止める事になった。
「いいんすか? 埋まっている部分が何やっているか考えなくて」
『な、なんだと……』
 これには敵将も悩んだ。なにせ、つい先刻も猟兵の動きに対して様子見をしてしまい、それで失敗しているのだ。だが裏の裏をかいて、今度こそ攻撃を誘ってカウンターを狙うトラップなのかもしれない。素直に武の一本鎗で行ければこんなに悩む事もないというのに……
「……今っす!」
 結論だけ先に書けば、敵将はとっとと攻撃の命令を下すべきであった。だが時すでに遅しである。リカルドは怪力を発揮して地面から抜け出した。そして。
「必殺!メロディ・ザ・リボーン!!」
 たぶん今即席で考えたであろう技名を叫びつつ、命令なきまま動くことのない僵尸兵士たちを次々になぎ倒していったのである。

「敵の虚を作るためにわざわざ地に埋まるとは……我々もそこまでは思いつかなかったッッッ」
 そしてリカルドの動きは石困拳の拳士たちにとって、確かに新たなヒントになったようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイ・リスパー
「ここは石困拳拳士の皆さんに戦ってもらいましょう!」

なぜならば、私が|僵尸《おばけ》が怖い……
じゃなかった、危機を自分の力で乗り越えてこその石困拳のはずですっ!

「石困拳は自我がない僵尸とは確かに相性が悪いでしょう……
ですが、僵尸に自我がないということは、僵尸を操っている者がいるということ!
そして、その操っている者には石困拳が通用するということです!」

僵尸を操っている武人に対して石困拳を使うようにアドバイスします。
エリーゼさん?誰のことでしょう?

「虚を突くだけだと攻撃力がないので決定打にならないですけど、僵尸の動きが止まれば十分です!」

動きを止めた僵尸たちを【粉塵爆発】で一気に爆発オチです!



●誰にでも苦手なものはある
「僵尸ですか……」
 グリモアベースにおけるブリーフィングにて、敵の情報を事前に伝えられたアイ・リスパー(|電脳の天使《ドジっ娘電脳魔術師》・f07909)は、なんとも渋い顔をしたものだった。
『アイ?どうしました?元気がなさそうですが』
「……って、知ってるでしょう」
 問いかけるサポートAI『妖精王オベイロン』に対して、アイは本当に嫌そうに答えた。
「私はああいうおばけみたいなのが怖いんですよ!」
『……そういえばそうでしたね』
 そう。アイは心霊現象などの非科学的な物が苦手なのだ。
『いつもながら思うのですが、これまでさんざんもっと恐ろしいオブリビオンと戦ってきたのに、なんで今更おばけなんか怖がる事ができるのですか?』
「怖いものは怖いんだから仕方ないじゃないですかぁ!!」
『……はぁ……』
 オベイロンは嘆息した。科学の申し子であるバーチャルキャラクターが非科学的事象の代表格といえるおばけを恐れるというのは一見奇妙ではあるが、恐怖というものが理解できない事に由来すると思えば、むしろ科学が非化学を恐れるのは当然の事なのかもしれない。大体便宜上バーチャルキャラクターに分類されてはいるがアイの場合多少事情が特別であり、他種族のような肉体を最初から持っているのである。恐怖の感情とてむしろ人間らしさの現われと思えば……と。そのような思考とは別に、たった今直面している問題について考えねばならないのであった。
『でも怖いなどと言っていられないでしょう。今回の戦いはどうするんですか』
「それなんですよねえ」
 そう。怖いからと言ってオブリビオンから逃げていては猟兵はつとまらない。どうにかして恐怖を乗り切らない事には、迫りくる悲劇を回避する事もできない。でも怖い物は怖い。さてどうしたものか。アイとオベイロン、しばし頭を悩ませる。やがて。
「そうだ!いい事思いつきました!」
『いい事ですか?それは?』
「それはですね……」
『……え?』

 そして舞台は変わって封神武侠界。
「ここは石困拳拳士の皆さんに戦ってもらいましょう!」
「え?」
 これまでの3人同様、目の前の少女が助っ人として現れたものと思っていた拳士たちは驚愕した。これまでの流れからすれば当然アイが戦ってくれるものと思い込んでしまうのも当然といえば当然であった。
「なぜならば!私が|僵尸《おばけ》が怖……」
「……え?」
「じゃなかった!危機を自分の力で乗り越えてこその石困拳のはずですっ!あなたたちも格闘家なら!その強さを!誇りを見せてください!!」
「……そうだ!たしかに嬢ちゃんの言う通りだ!俺たちは格闘家だ!確かに本来なら俺たちが戦うべき相手じゃあないか!」
「その意気です!」
 アイの言葉に拳士たちは燃え上がった。一度は折れかけた格闘家としての矜持を確かに取り戻した……
「……と、言いたいのは山々なんだけどなあ」
 と思われたのだが、やはり彼らにも懸念事項はどうしてもあるのだった。彼らとて、好きで折れたわけでは決してないのだから。
「わかってます」
 アイにもそれは十分に分かっていた。そして同時に、その対策もバッチリと用意していたのだった。
「石困拳は自我がない僵尸とは確かに相性が悪いでしょう……」
「そう、俺たちが危惧してるのは、まさにそこなんだよなあ」
「ですが、僵尸に自我がないということは、僵尸を操っている者がいるということ!そして、その操っている者には石困拳が通用するということです!」
「!!」
 そうだ。確かにこれまでの戦いを見てもそうだ。僵尸兵士たちの背後で指令を与えていた敵将がいたではないか。そして猟兵たちはその行動で敵将を惑わせ判断を狂わせた事で僵尸兵士の動きを止め、そこを倒していたではないか。ならばやれる。そう、むしろこういう事こそ石困拳の本領発揮すべき場面ではないか……
「よっしゃ!やるぞ!やってやるぞ!!」
「その意気です!(2回目)」

『ほう』
 完全に折れたと思っていた石困拳の拳士たちが次々に前線に出てきたのを見て、敵将は不敵な笑みを浮かべた。
『そうでなくてはな。武闘家を名乗る以上、それくらいはやってもらわなければ張り合いがない』
 むしろそれは敵将にとっても望むところであった。強者と立ち合い、これを撃ち破る。そしてその技を吸収し、自らの強さをさらに高みへと押し上げる。この目的を達成するためにも、相手は強ければ強い程良い。そう簡単に倒れてもらっては困るのだ。
「今までの我らとは違うところを見せてやるぞ!」
『その意気やよし!見せてもらおうではないか!行け!我が兵たちよ!』
 敵将の命令に従い、僵尸兵士たちが拳士たちに迫る。拳士たちは拳を握りしめ、一斉に構えると……

 突如、その姿が掻き消えた。

『何?』
 困惑した敵将だったがすぐに気が付いた。よく見たら地面に大穴が開いており、拳士たちはそこに潜ったらしい。先ほどの戦いで別の猟兵が潜っていた所だっただろうか。
『ふん、臆病風に吹かれでもしたか、つまらん敵だ』
 そんな事を考え、敵将は兵士たちに地面に潜った拳士を追撃するように命令しようとした所で……

「うっふーん!!」
『!!??』

 ……地面からケバい女装をした格闘家連中が出てきた。これには敵将も絶句。対照的に喜んだのはアイだった。
「やりました!先ほどの戦いを見て、石困流の皆さんも学んでくださったようです!おかげで僵尸の動きは止まりました!」
『……アイ、本当にこれで良かったのでしょうか?』
「いいんです!それよりも拳士さんたちがやってくれたので、今度は私たちの仕事をする番です!おばけも動かなければ怖くありません!」
 困惑ひとしきりのオベイロンをよそに、アイは電脳魔術で必殺の【|粉塵爆発《ダストエクスプロージョン》】を発動、僵尸兵士たちをまとめて吹き飛ばしたのだった。
「やはりネタの最後は爆発オチに限ります!」
『……本当にこれで良かったのでしょうか』
 ためいき混じりにオベイロンはつぶやいた。決してエリーゼ云々とは関係なしに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ピオニー・アルムガルト
行動【wiz】
とりあえず初手一撃目。
「こんにちは、死ね!」
と、虚をついて出会い頭に素手で殴ってみるわ。当たるかしら?
二撃目は、強者の戦いとなれば互いに名乗らなければいけないでしょう!と、自分は石困拳の師範代と嘘をつき、相手にも「僵尸にまでなって武を極めようとするなんて、きっと聞くも涙、語るも涙な武の道を歩んで来たのでしょう。お名前を教えて下さい」と勧め。相手の口上中に素手で殴るわ。当たるかしら?
まあ散々素手で殴って来たけど、最後は魔法で吹き飛ばすわ!自分でも忘れがちだけど私、ウィザードなのよね!



●アイサツは大事
 猟兵たちの活躍により僵尸兵士の数は確実に減っていた。だが敵将はそのような状況にあっても戦意をすり減らす事などなく、むしろ不敵な笑みすら浮かべていた。
『……そろそろ俺の出番かな』
 味方の損害も大きく、戦線を保とうと思えばこれ以上の損害は避けたい。兵を率いる武将としてはそう考えていた。だが彼の別の一面、一個の武人としての思考は別の事を考えていた。自ら前に出て猟兵相手に大暴れしたい。自身の武を存分に見せつけたい。そして敵の技を吸収し、さらに自分の武を高みへと押し上げたい。そんな欲求がもはや抑えきれぬ所まで来ており、爆発寸前となっていた。
「こんにちは」
 そんな折に、ピオニー・アルムガルト(ランブリング・f07501)はこんな感じの挨拶を笑顔でかましながら戦場に現れたのである。僵尸兵士を恐れる様子もない。そのまままったくの無防備で戦場を前へ前へと進んでいく。
「……大丈夫なのか?」
 この豪胆なのだか何も考えていないのかわからないピオニーには、これまで何人もの猟兵が戦果を挙げてきたのを実際に目の当たりにしていた石困拳拳士たちもさすがに困惑した。同様に、
『……これはどういうことだ?』
 敵将もまた困惑していた。これまでも猟兵たちは奇策をもって僵尸兵士に対抗してきた。ならば今回も詐術の類なのか、それとも今度こそこちらの攻撃を待っているのか?だが答えはすぐに出た。
「死ね!」
 いきなりピオニーが僵尸兵士のひとりに殴りかかったのである。これは、これまでになかったパターンだ。無防備の状態で攻撃を受けた僵尸兵士はあっさりと砕け散った。
『……挨拶の後、普通に殴った、だと?』
 なんと卑怯な、思わずそう言おうとしてさすがに敵将も自らのあやまちに気付いた。普通は攻撃の前にわざわざネタなど挟まないものである。これまで見てきた光景こそが異常なのだ。ただ、この時点で既に敵将はピオニーの、というより、これまで戦ってきた猟兵たちの術中に完全にハマっていたので仕方のない点はあるかもしれないが。
 1人倒した余勢をかってピオニーはそのまま連続攻撃をかけると思いきや、その動きを停止させた。
「改めて名乗らせていただきます!」
『っておい、何度もその手に乗ると思ったら大間違いだ』
 再度の挨拶をしようとしたピオニーを、さすがに同じ轍は踏むまいと敵将も警戒した目で見た。だがピオニーはひるむ事なく続けた。
「強者の戦いとなれば互いに名乗らなければいけないでしょう!」
『むう……』
 その堂々たる態度に敵将は押し黙った。武将とニンジャは戦いの前に挨拶を忘れてはいけない。古事記にもそう書いてあるのだ。戦う前に挨拶をしない者はものすごく失礼として村八分にされて当然なのである。ただ封神武侠界でいうなら孫子や論語あたりにそう書いてあるかは寡聞にして知らない。
「私の名はピオニー・アルムガルト!石困拳の師範代です!」
『ほう、貴様が石困拳の使い手か』
 そも石困拳の使い手と戦い、その技を吸収する事が目的だった敵将としては、その名を聞いたとあっては話を聞かずにはいられないようであった。
「あなたは?」
『俺か?俺の名は……』
 だがピオニーの視線は敵将ではなく、命令がないため待機状態の僵尸兵士のひとりに向けられていた。
「僵尸にまでなって武を極めようとするなんて、きっと聞くも涙、語るも涙な武の道を歩んで来たのでしょう」
『……おい』
「是非ともお名前を教えて下さい」
 むろん自我のない僵尸兵士に名乗れるはずもない。それでも真剣な顔で僵尸兵士に話しかけるピオニーに、敵将はなんとも渋い顔をした。
『……無駄だ、そいつがしゃべる事はない。俺も兵士の名前までは知らされてないから本当にわからん』
 真顔で答える敵将。
『代わりというわけではないが、俺が名乗ろうではないか。俺の名は呂……』
「死ねぇ!!」
 強烈な殴打。すこーん!となんとも小気味よい音がして、またひとり僵尸兵士が吹き飛んだ。
『なっ……!名乗りの最中に攻撃するとは!!』
 驚愕した敵将だが、考えてみればニンジャが戦う前に必要だったり、最中に攻撃してはいけないのはアイサツであり、別に武闘家や武将が行う挨拶はそれとはあまり関係なかったようであった。なお先刻から敵将は猟兵の動きに対して問答無用で攻撃を仕掛ける事なく、いちいちそれに反応しては先制攻撃を受けてしまっているが、それは敵将がお人よしだからでもなければ頭が弱いからというわけでもなく、彼なりの理由がある……それについては後ほど語る事になるだろう。
『ええい!かかれかかれ!【僵尸連携陣】を組め!』
 さすがにぶち切れた敵将、敵よりも多数で攻めた場合に戦闘力が上昇する僵尸連携陣でピオニーを囲み殺そうとしたが、実は敵将が見過ごしていた事がひとつあったのだ。ピオニーがその名乗りの通りの拳士であり、それがゆえにこれまで素手で戦っていた。そう思い込んでしまっていたのだ。
「そういえば自分でも忘れてたけど……」
 言いつつピオニーが取り出したのは一本の杖であった。拳法で使うようなものではなく、先端に宝珠のついた、いかにも魔術師が使いそうな杖。
「私、ウィザードなのよね!」
『……何!?』
 杖から放たれた無数の炎の矢……|高貴なる紅《エンプレス・スカーレット》が炸裂する。相手が白兵戦の使い手だと思い込んでいた敵将の指揮する僵尸兵士にはこれを回避する術がなく、大魔法は敵兵をまとめて吹き飛ばしたのであった。

『くっくっく……面白い、そうでなくてはな』
 部下の僵尸兵士たちはあらかた倒され、戦況は明らかに不利であるにも関わらず、敵将の戦意は失われる事はない。むしろ笑っていた。それは実に獰猛な笑みであった。
『いいだろう!この俺が、直々に貴様らの相手をしてやろう!』
 方天画戟を振るい、ついに敵将が戦場に降り立った。
『姓は呂!名は布!天下無双の飛将軍とはこの俺の事だ!!』

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『🌗呂布』

POW   :    無双天崩撃
単純で重い【方天画戟】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    殲獄無双
【己の魂】を宿した【方天画戟】で、「自分や仲間が取得した🔴の総数×1回」攻撃する。
WIZ   :    無双滅塵覇
【方天画戟を振るうことで衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は劉・涼鈴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 少し時間をさかのぼり、グリモアベースにて。
「三国志は武人のたしなみなのだ」
 そう言うグリモア猟兵はたしかサムライエンパイア出身だったんじゃなかったか?あの世界中国ないんじゃね?そう思った猟兵もいたかもしれないが、まあ他世界を知る猟兵なら三国志ぐらい知っていてもおかしくはないか。そう解釈することにしたとか。なによりグリモア猟兵の次の言葉に、そのような些事は吹き飛んでしまったのである。
「そして呂布といえば、その三国志の中でも最強の武将のひとりなのだ」

 呂布。他世界なら奉先という|字《あざな》も知られているが、封神武侠界では関係のない話である。その強さや逸話についてはここで字数を裂く必要もあるまい。その呂布が出てくるのだと言う。しかも、よりにもよって【韓信配下】として、である。方天画戟や弓矢を用いる呂布が格闘技を求めるというのは奇妙に聞こえるかもしれないが、封神武侠界の武林において武器は素手での延長であり、それがゆえに武を求める者は無手の技術もまた必要なのだ。

 呂布の能力は以下の3つだ。
【無双天崩撃】は愛用の武器・方天画戟による強烈な一撃である。単純だがそれだけに破壊力はきわめて高い。まさに天下無双の威力である。
【殲獄無双】は不利になればなるほど攻撃回数が上昇するものである。オブリビオンは赤丸を得る事がないので強化されないという説もあるが、今回はなんやかやで強化されるらしい。戦闘の後半でこのユーベルコードを相手にするならば、まさに天下無双の威力である(2回目)
【無双滅塵覇】は方天画戟を振るう事で衝撃波を起こし、周囲の敵全てを攻撃するものである。高速かつ広範囲で飛ぶ衝撃波は回避困難であり、かつその威力も当然天下無双の威力である(3回目)
 さらに厄介な事に、呂布は韓信より神器【ユグドラシルブレイド】のコピーたる木剣を与えられている。かの三皇『神農兀突骨』が使用していた、あらゆる者を一撃で打ち倒す必殺剣ほどの威力はさすがにないが、まともにくらうと猟兵とて危ないだろう。呂布が方天画戟を振るうたびに、自動的に木剣も振るわれるのだ。

 ただでさえ天下無双の武将がオブリビオン、それも韓信配下となったとあってはきわめて厄介ではあるが、グリモア猟兵によれば実は攻略のきっかけとなりうる事があるのだという。
「今回の敵は拳法の収集を目的としているのだ。そしてその最良の方法は、自らそれを受けて実体験する事なのだ」
 つまりは、相手が珍しい拳法を使う事がわかっている状況ならば、呂布はあえて先制攻撃を受けてくれるのだという。これまで猟兵が僵尸兵士相手に先制攻撃ができたのもその流れであろう。確実に先制攻撃をさせてくれる相手なれば、確かにそれをきっかけとして、強敵とて打倒することができるかもしれない。
「なので、石困拳の名を最大限に利用してほしいのだ。できれば彼らにも勉強になるような戦い方をしてくれるなら、わたしもうれしいのだ」
 石困拳拳士たちのようにネタ行動で敵の虚を無理やり作るやり方をするか。それとも別の方法で行くか。全ては猟兵たちに任されている。

 ……
 そして封神武侠界。
『天下も栄華も、韓信とやらの小賢しい企みも興味はない』
 猟兵たちを前に、呂布の全身から闘気が立ち上る。
『俺が求めるのはただひとつ、最強のみよ』
アイ・リスパー
「ふっ、拳法を使えば有利になるのですね……
ならばっ……!」

ど、どうしましょうっ!?
今回は石困拳拳士の方たちに戦ってもらう予定だったのですが、まさか私が拳法を使わないといけないとはっ!?(運動音痴)

「こ、こほん。いえ、なんでもありません。
ならば呂布さん、私の電脳拳法(いま命名した)を受けてくださいっ!」

拳法の構え(注:へっぴり腰)で呂布を威圧し――

「受けてください、スーパー・デジタル・グレート・ワンダフル・ギャラクティカ・パンチ!」

長い技名を叫んでいる途中で、後方に待機させている機動戦車オベイロンに搭載された主砲の荷電粒子砲の発射スイッチを押します。
技名の途中で繰り出される攻撃なら無防備のはず!



●技名を叫ぶのは重要
 全身から闘気と殺気をみなぎらせ、戦いの時を今か今かと待ち望んでいる呂布。その魂はまさに餓狼のごとく。強さのためなら義父と呼んだ男だろうと恩人だろうと裏切り、果てに自らが裏切られて死すれどもなお最強を求めるがゆえに飢え止む事なく、ついにはオブリビオンにまで至った男。
「呂布さんっ!」
 そんな危険極まりない男の前に最初に飛び出したのはアイ・リスパーだった。
「わたしの必殺の拳法!見せて差し上げますっ!」
『ほほう』
 拳法を見せる。その言葉に呂布は反応した。そもそもそれが目的で石困拳の修行場たるこの地に至ったのである。そして呂布はいまだに石困拳の実力を見せてもらっていない。もともと期待する程のものではなかったのが、それともいまだその全てを出していないのか。それは是非とも見極めねばならないが、それはそれとして目の前の猟兵が使う拳法にもおおいに興味があった。それをも吸収できるなら、自分はさらに最強へと近づけるだろう。期待に目を輝かせ、呂布は笑った。
『面白い。貴様の細腕でどんな拳法を使うのか、見せてもらおうか』
「いいでしょう!私の拳法を見て驚いてください!その名も……」

 ……時は少しさかのぼり、グリモアベースにて。
「ど、どうしましょうっ!?」
 アイは悩んでいた。そりゃもう、むちゃくちゃに。
「今回は石困拳拳士の方たちに戦ってもらう予定だったのですが……」
 僵尸兵士との戦いで、アイは石困拳拳士を前に出して敵に隙を作らせ、自分は後方から粉塵爆発を使い敵にダメージという流れで戦ったが、さすがに猟兵でない人たちを呂布のような危険極まりない敵にけしかけるのは無理があるように思えた。で、アイが自ら出ないといけないという結論になったわけだが。
「まさか私が拳法を使わないといけないとはっ!?」
『……そういえばアイはそういうの苦手でしたね』
 あきれたような、冷静なような感じでオベイロンは応じた。
 未知の拳法で戦うと有利になるかもしれない、とはグリモア猟兵の言葉だったが、その策を用いるにあたり、アイには最大の問題があった。先刻の、おばけが怖いというのと同じくらいの弱点。熟練した猟兵であるにも関わらず、アイは運動音痴だったのだ。
「電脳魔術に運動神経とか必要ないんですよう!」
『それはそうかもしれないんですけど』
 人口生命体のアイはそういう風にプログラミングされたので、そうそう書き換えもできないという事なのかもしれない。むろん猟兵なので、その気になれば全部なかったことにして格闘技やってもいいのであるが、そこはそれである。多少の弱みは人間らしさということで。
『人間らしいのは良いのですが、それでは当面の問題は解決しませんよ、アイ』
「それはわかってるんですけど……」
 さて運動音痴のアイがどうやって格闘技で武の化身たる呂布に有効打を与えたものか。アイとオベイロン、ふたりした頭を悩ませる。そうしているうちに……
「あ」
『どうしました?』
「あれだよね、拳法を使えば有利になるんですよね」
『そうですけど』
「でも有利になった後は、別に拳法を使わなくてもいいんじゃないですか?」
『……??』
「つまり……」

 そして現在、封神武侠界。
「その名も『電脳拳法』!」
『でんのうけんぽう……だと?』
「ええ!これを受ける度胸があなたにありますか?」
 見た目は自信たっぷりに言い放つアイに、呂布の武人としての魂はおおいに震え上がった。むろん電脳拳法など呂布は聞いた事もない。石困拳ではないが、未知の格闘技を体験できるとあっては、これを受けて立たない選択肢はないのであった。
『いいだろう!貴様の必殺拳、俺に見せてみろ!見事受けきってやろう!』
「……ふうっ、よかった……」
『何?』
「……こ、こほんッッッ い、いえ、なんでもありません!!」
 つい本音がこぼれてしまった。電脳拳法はたった今アイがでっち上げたものなので、呂布が聞いた事がないのも当然であった。ともあれ、これで呂布が先制攻撃を受けてくれるという、第一段階はクリアした。あとは必殺の『拳法』を叩き込むだけだ。
「行きます!」
 アイはそれっぽい構えをした。両腕両足をなんとなーくそれっぽい感じで動かしてはみたが、それは超絶的な武人である呂布からは実に腰の引けた、まったく合理的でない動きに見えた。
『なんだこれは?素人同然ではないか』
 まあ実際アイは素人そのものなのだが。だがそれでも呂布からの先制攻撃はない。いかに素人めいたものであっても、見た目から判断するのではなく、まず一度受けてみようという心が働いたのであった。そしてアイは右腕をぶんぶん振り回しながら叫ぶ。
「受けてください!スーパー・デジタル・グレート・ワンダフル・ギャラクティカ……」
 仰々しい名前の単語の羅列に、たぶん来るであろう必殺技に備え身構える呂布。だが。

 突然の大爆発。
『!!!!????』

 攻撃はアイからではなく、その後方から来た。長い技名を叫んでいる間に後ろ手でこっそり押していた機動戦車オベイロン主砲発射スイッチにより、大型荷電粒子砲の|全力射撃《リミットオーバー》によるビームが炸裂したのである。完全に虚を突かれた呂布はまともに受けたのだった。
「やりました!拳法を使うと言ってさえおけば、別に本当に拳法を使う必要はなかったんです!私の読み通りでした!」
『……まあ結果的には良かったのでしょうけど……』

 そしてさらに後方では。
「……これだ!この構えなら間違いなく敵を油断させられるぞ!」
 今の一連の攻防、特にアイの構えには、石困流の拳士たちのインスピレーションをおおいに搔き立てるものがあったようだった。

「なお他世界において、腰の引けた姿勢を『へっぴり腰』と呼ぶが、これは実際に腰を引いたような姿勢で敵を油断させる策を初めて実行した石困流師範【|辺比理《へん・ひり》】の名に由来するとされている。」
(大豪傑出版刊『拳法に学ぶパフォーマンス術』より)

大成功 🔵​🔵​🔵​

ピオニー・アルムガルト
案は尽きた、ウィザードだとバレている。万策尽きたとはこの事ね。まあ、前向きに考えて行きましょう!

呂布さん、ちょっとタイム!
石困拳の人達、集合!
拳法の使い手なら先制攻撃できるのよね?なら今から石困拳に体験入学するわ。
石困拳に攻め込んで来てるんだから、石困拳で応じてあげないとね。
という訳で門下生(体験入学)なった私に秘伝とかちゃちゃっと教えなさい。私が代わりに呂布に拳をお届けしてあげる。
他力本願?いえ石困拳の歴史、可能性を信じてるだけだから。本当よ?

私をただのウィザードだと思うのは間違いよ。殴りウィザードだから!



●そういえば『元ネタ』でも男ばっかりだったような気が
 また時間は少し前にさかのぼる……といっても今度はグリモアベースではない。
『いいだろう!この俺が、直々に貴様らの相手をしてやろう!俺は姓は呂!名は布!天下無双の飛将軍とはこの俺の事だ!!』
 と、僵尸兵士の大部分を失った呂布が大将直々に最前線に出てきた時、この名乗りの直接のきっかけとなったのが、ピオニー・アルムガルトだったわけなのだが。
『天下も栄華も、韓信とやらの小賢しい企みも興味はない。俺が求めるのはただひとつ、最強のみよ』
(まずいわ……策はもう尽きてるし)
 方天画戟を手に猟兵を威圧する呂布に対し、ピオニーは正直、困っていた。
(ウィザードだということはもうバレているし、万策尽きたとはこの事ね)
 未知の格闘技を使うと言えば有利にすすめられる、そうグリモア猟兵からアドバイスは受けていたが、正直本業ではない事についてそう簡単に頭が回るものではない。拳法で戦うと見せかけて魔法をぶっ放す策はもう使ってしまった。
(……まあ、前向きに考えて行きましょう!)
 ピオニーが最後に頼ったのは、前進するための意思であった。あきらめたらそれで試合終了なのである。
『どうした、怖気づいたか』
「呂布さんっ!」
 挑発するように笑う呂布に対し、ピオニーが両手を動かす。右腕を横にし、その下から左腕を伸ばす。拳法の構えにも見えなくないその動きに呂布は獰猛な笑みを浮かべた。
『ほう、やる気になったようだな、見せてもらおうか』
「ちょっとタイム!」
『……何?』
 だがそれは違った。封神武侠界在住の呂布には知らない事であったが、両腕でTの字を作るジェスチャーといえば、一般的には一時中断の意思を示すものであった。相手がそれをわかってようがおるまいが、石を示してしまえばこっちの勝ちとばかりにそのままピオニーは呂布に背を向けてスタコラサッサと一時転進したのであった。
『おい戦場に立った者が勝負を捨てて逃げるとは何事か』
 追撃しようとした呂布だったが、すぐさま次の猟兵がその前に立ちはだかったことでピオニーはどうにか危地を脱する事ができた。むろんピオニーとて何の手立ても当てもなく逃げたわけではない。彼女が向かった方向は……そして現在に至る。

「今から石困拳に体験入学するわ!」
「……はい?」
 自分たちを助けに来た、そして実際に僵尸兵士をなぎ倒してくれた猟兵が、こんな事を言い出したものだから、当然石困拳の拳士たちは困惑ひとしきりであった。だがピオニーははっきり言い切った。
「石困拳に攻め込んで来てるんだから、石困拳で応じてあげないとね!」
 確かにグリモア猟兵も言っていた。「石困拳の名を最大限に利用してほしい」と。で、その名を用いつつオリジナルの動きをする猟兵もいるようだが、思いつかないならその石困拳の技をそのまま使えば良いじゃないか。決して他力本願ではない。石困拳の歴史、可能性を信じているのだ。自我のない僵尸兵士には通じなかったかもしれないが、自我のある上に攻撃を待ってくれる呂布なら十分通用するんじゃあないだろうか。ちゃんと決まりさえすれば!いや本当だよ?
「という訳で!」
 いささか強引ながら、そういう方向で話を進める事にしたピオニー。
「私があなたたちの代わりに呂布に拳をお届けしてあげる!だから門下生になった私に秘伝とかちゃちゃっと教えなさい!」
「いきなり秘伝かッッッ」
 いくらなんでもさすがにそれはちょっと早すぎるということで、まずは基礎の基礎から入る事になった。『|英《えい》・|璃妹《りせい》の溜息』なるその技は……
「はあああああああああああ」
 なんかそれっぽい呼吸をしつつ、両の腕を回す。空手でいう所の回し受けにも似た動きだ。極まったものは『廻し受け』と名を変えて矢でも鉄砲でも業火でも防げるようになるらしいが、それはさておき。この動きから突然……ズボンのジッパーを下ろした。
「!?」
 これにはピオニーも驚愕した。なるほど戦闘中にこれをやられたら、そちらに目が行ってしまい、次に来る攻撃を回避するのが困難になるのは道理かもしれない。封神武侠界にジッパーがあるかだが、まあ戦争で妙に近代的な町が出てきたからあるのだろう。

「なおドイツの音楽家ベートーベンはこの『英璃妹の溜息』にインスピレーションを得て曲を作ったが、彼の字体が乱れていたために後世では『溜息』ならぬ『エリーゼのために』と伝わってしまったのはなんとも残念な事であった。」
(大豪傑出版刊『拳法に学ぶパフォーマンス術』より)
 
 だがピオニーにはひとつ問題があった。
「あの……」
「ん?なんだ、恥ずかしいとでも言うのか?確かに女人でこの技を用いる者はいないし、そう言いたくなるのもわかるが、しかしそんな事を言っていては石困拳を習得する事など」
「いや、そうじゃなくて……その、ないんですけど、私の服に、ジッパー」
「あ」
 そう。イラストはひととおり参照させていただきましたが、圧倒的にその技が不可能な服装ばかりだったのである。少数ながらジーンズとかも一応あったけど。
「ちゃんと私にもできる技を教えてください!なんかすごい奥義とか!」
「ううむ……」

 そして。
『ほう、逃げたわけではなかったのか』
「お生憎様、ただのウィザードならまだしも、石困拳師範代が逃げるわけないわ!」
 今度こそピオニーは必殺の策を授けられ、呂布の前に戻って来たのであった。
『ぬかしおるわ!ならば今度こそ見せてもらおうか!石困拳とやらの技を!』
 方天画戟を構え、攻撃に備える呂布。ピオニーはそれぽい構えを取ると、ただまっすぐに呂布に向かっていった。一見、なんの工夫もない、文字通り真正面からの突撃。そこにいかなる奇策が待っているのか。呂布はピオニーから視線を逸らす事なく、一挙手一投足を見つめ続ける。ピオニーもまた呂布をじっと凝視し……

 いきなり横を向いた。
『!?』
 相手の動きを見逃すまいと注意していたのが仇となったのか、思わず呂布もその方向を向いてしまった。
「そおい!!」
『!!!!????』
 そこを見逃すピオニーではない。すかさず必殺の拳が呂布に炸裂した。確かにピオニーはウィザードではあったが、実は殴りウィザードだったのだ。ウィザードなら拳は使えない。それこそまさに思い込みの産物だったのかもしれない。
『……おおおおおお……お、おのれ!』
「どうかしら?私の拳はちょっと響いたでしょ?」
 なお別世界においてこのやり方を取り入れて世界チャンピオンとなったボクサーがいたが、彼が石困拳を学んでいたかについては専門家の間でも意見が割れていると言われているとかいないとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
「ここは奥義っぽいものでも披露するっすかね」
おもむろに道着の下を脱ぐ。そして脱いだ道着からポコポコ湧いて出てくるUC製の無数のペンギン。サイズも小さいのから人間大まで
「夢か現かナイトメア!」
脱いだ道着が足にまとわりつく状態のよちよちした歩幅でペンギンと一緒に高速で呂布に突撃。相手の攻撃はペンギンの半数を盾にして防ぐ。残ったペンギンを炎に戻して特攻
更には自分そっくりの擬態の炎を予め作り、ペンギン態の炎を纏った自分とすり替え虚をついて攻撃
「執・コウテイー!」
掛け声に意味はない。ちなみに纏ってたペンギンはコウテイペンギン
「非効率を楽しめ。それが自分の石困道っすよ」
最後に拳士達にそう語りかけとくっす



●筆者からも押忍
『ぐぬぬ……おのれ猟兵!』
 立て続けに強烈な攻撃を、しかも無防備なところに食らった事で、さしもの天下無双の呂布といえどそのダメージは決して少ないものではない。それでもなお飛将軍の名にかけて、愛用の方天画戟を手に高々と吠え猛った。
『次は誰だ!出てくるがよい!』
「呼ばれて飛び出たっすよー」
 と、対称的に軽い調子で呂布の叫びに呼応するように現れたリカルド・マスケラスは先刻の様に石困拳門人の体を借りていた。
『貴様はさっき地面に潜っていた奴だな』
 さすがに猟兵の動きをつぶさに観察しているだけあって、このあたりの事は呂布もよく覚えている。まあ忘れるにはインパクトが強すぎるということもあるかもしれない。
『今度はどう来るのだ?空を飛ぶか、水にでも潜るか』
「それも悪くないっすねえ」
 殺気だった呂布と相対しているとは思えないようなとぼけたような物言いは相変わらずだが、それでもリカルドの全身からも呂布と同種の闘気が立ち上るのを、呂布は確かに感じ取っていた。
『おもしろい、剽げているようでも一端の戦士ということか。ならば見せてみるがよい』
 呂布は方天画戟を握りしめた。いかなる攻撃が来ようとも全て払いのける構えだ。
「なら、ここは奥義っぽいものでも披露するっすかね」
 対抗するようにリカルドも構えを取る。そして両腕を回転させるように動かし始めた。空手でいうところの『回し受け』に似た動きだ。
「はあああああああああああ」
 腕を動かしながら両目を光らせつつ大きく息を吐く。呂布は知らない事だが、その動きはつい先刻、別の猟兵が教わっていた『|英《えい》・|璃妹《りせい》の溜息(憂鬱となっている資料もある)』によく似ていた。教わった所に立ち会っていたのだろうか。なので次に来るのは……
『……??』
 呂布にはまったく意味が分からなかった。道着なのでジッパーはない。代わりに腰の帯に手をかけてこれをほどく。すると当然、重力に従って道着の下は地面に落ちる。わけがわからないが、それだけに何が起きるかを見逃すわけにはいかない呂布は注意を切らさずそれを凝視する。そして次の瞬間。
「ちょっと火遊びはどうっすかね?」
 リカルドの言葉と同時に、脱ぎ捨てられた道着の下から何かが大量に現れたのである。その姿は二足歩行する足が短い鳥……ペンギンだった。大小さまざまなペンギンたちのその数、リカルドのレベルと同数の134体。
『ぬう!面妖な!』
 これにはさすがの呂布も驚愕。あまりのことに方天画戟を構えたままの姿勢で動けなくなっていた。しかしリカルドの動きはそれだけにとどまらない。
「夢か現かナイトメア!」
 リカルド(がかぶってる人)は脱いだ道着で両足が拘束されて動きが制限された状態にあった。その状態のまま、両足を前後に動かして無理やり前進したのである。結果として周囲のペンギンと似たような足運びとなった。そしてペンギンたちと一緒に呂布に向けて突進してきたのである。
『な……何だあの動きはー!!?きっ…気色わるぅー!!』
「ぬああああああああっ!!!」
 しかもその動き方で、すさまじく速度が速いのだ。ともあれ、さすがにこうなっては呂布とて静観しているわけにもいかない。なにげにこの第2章で呂布からの初めての攻撃が飛んだ。
『ええい妙な動きをやめろ!俺の【無双滅塵覇】でまとめて吹き飛ばしてくれよう!』
 呂布が方天画戟を振るうと、その周囲に強烈極まる衝撃波が飛んだ。自身の周囲にいる者を敵味方の区別なくまとめて攻撃する技は、当然ながらリカルドとペンギンたち全てに襲い掛かる。
「させないっす!フォーメーション!」
 リカルドはペンギンの半数にあたる66体を盾としたのである。呂布の衝撃波を受けて盾となったペンギンたちは吹き飛んだが、リカルド本人と残りのペンギンたちは無事だ。そして防御の次は攻撃のターンだ。
「一斉に行くっすよー!」
 リカルドの指示でペンギンたちはその姿を炎へと変じた。ペンギンの正体はリカルドのユーベルコード【忍法・神火分霊撃】で生み出された炎だったのである。そして66個のペンギン型の炎が呂布に向けて次々と突撃していく。
『ええい!小賢しい!』
 呂布は方天画戟とユグドラシルブレイドの写しである木剣をそれぞれ片手で握った。本来両手で持つ方天画戟を片手で振り回すのだからその膂力は計り知れない。そして飛んでくる炎を次々と叩き落したのである。あらかた炎を落とした所で、ひときわ大きな炎が突っ込んできた。よく見たらそれは人の姿をしていた。まさにリカルド(をかぶっている門弟)の姿をしていたのである。
『炎を纏って強化でもしたというのか?ならばその力を見せてもらおうか!』
 呂布の振るう方天画戟と木剣が炎と化したリカルドに突き刺さり、それはあまりにあっけなく消滅した。
『ふん、こんなものか。所詮は詐術の類か、俺が吸収するまでもなかったな』
「さて、それはどうっすかね?」
『?』
 声に振り向いた呂布の前には炎のペンギン。炎の総数が134個。うち盾としたものが66個。炎の弾丸にしたものが66個。人型にしたものが1個。残り1個は……今リカルドが纏っていた。
『よ、よもや飛んできた炎に紛れ』
「執・コウテイー!」
 技の意味はわからないが、強烈なパンチが呂布に炸裂し、呂布は口から血を吐きながらえび反りの姿勢で吹き飛んだのだった。ちなみにこの時のリカルドはペンギンの中でもコウテイペンギンだったそうな。そういえばどっかの抵抗するペンギンはアデリーだったっけ。

「非効率を楽しめ」
 リカルドは居並ぶ石困流の拳士たちに語り掛けた。
「それが自分の石困道っすよ」
 あるいは無理やり虚を作るやり方は非効率かもしれない。それでも楽しければいいじゃないか。なんというか、実に含蓄に富んだ言葉ではないですか。少なくとも石困流の拳士たちにとっては。
「押忍!!」
 拳士たちは最敬礼をもってリカルドに応えたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬飼家・ヤング
……あかん!これではわいと石困拳の皆さんが立派な変態やと誤解されてまう!(手遅れ)
ここは真面目に正攻法で敵の意表を突いたろかいのー
(真面目とは)(正攻法とは)

カムヒアー、【笑いの殿堂】馬飼家ゾーン!
このフザケた世界へようこそ!
そこのごっついおっちゃん(呂布)に小粋なナニワトークを仕掛けるでー
あんさんヅカ宝歌劇の役者さん?
その立派なゴボウ天振り回して踊るんやろ?
……あかんでー。そこは「そうそうこいつは自慢のゴボウ天歌劇……ってちゃうわー!」とノリツッコミせなー。

かかったな!
このアホアホゾーンでは衝撃波もそよ風みたいなもんや
パイ投げにゴムパッチンにとギャグ攻撃!
額に『肉』と書いてバカにしてやるー!



●これはひどい
「……あかん!」
 馬飼家・ヤングはかなり焦っていた。先刻の僵尸兵士戦におけるヤング自身と石困拳拳士たちの行動が思い起こされたのだ。あの時、ヤングはユーベルコード【|バ美肉《バカウケ・ビューティホー・マッスル》】を用い、驚かせ力を強化する【うっふん☆オネェ馬飼家】に変身して戦った。実際驚かせ力は相当に強化され、呂布の動きを止めて僵尸兵士を倒した……のはいいのだが、ちょっとインパクトが強すぎたかもしれない。さらにまずいことに、とある猟兵によって呂布にけしかけられた石困拳拳士たちが、ヤングを見習ってうっふん☆なオネェに扮してしまったのである。筆者的にははっきり言ってその光景は想像したくない。
「これではわいと石困拳の皆さんが立派な変態やと誤解されてまう!」
 一応彼らの名誉のために書いておくが、あくまで拳士たちは敵に無理やり虚を作るためにあんなおげええええええな恰好をしたのであり、決してあの恰好が趣味だからとか、彼らの嗜好だからやったわけではない。いや本当よ。さらに言うなら、男性が女装としてあえてケバケバしい恰好を選ぶ事は、もとは『|ドラァグ《drag》|クイーン《queen》』と呼ばれるもので、男性の同性愛者が自らの性の在り方に対する悩みの解決法のひとつとして、女性性の|過度な戯画化《パロディ》という手段を取ったものである。おそらくそれがものすごくインパクトの強い物であったがゆえに、過去の一時期に置いてお笑い芸人がインパクト重視目的でコントにドラァグクイーンの外見を採用し、現在ではそういう感じの用法がむしろ一般的になった印象はあるが……ちなみにヤングについてはどうだろう。もしかして好きでやっている可能性もあるのかもしれないが、まあ強敵と戦うために必要な事であったのは少なくとも確かではあろう。
 ともあれ。過ぎてしまった時は戻らず、書いてしまったリプレイはなかった事にはできない。なのでヤングにできる事は……
「ここは真面目に正攻法で敵の意表を突いたろかいのー」
 ……と。別の行動で先の失態(敵は倒せてるからこの言い方は決して正しくはないのかもしれないが)をすすぐことであった。さてヤングの言う真面目な正攻法とは……

『ええい!おのれ猟兵!』
 呂布は怒り狂っていた。といっても猟兵の奇策に対する怒りではない。それをあえて受けると決めておきながら防ぎきる事ができず、結果としてかなりのダメージを受けて窮地に陥りつつある事への、自分への怒りであった。そしてその怒りを次に現れる猟兵に全て叩きつけると誓っていた。実際逆切れではあるが、まあ仕方ないね。
『まだいるのであろう!出てくるがよい!』
 その叫びに応じて現れたのは、だが猟兵ではなかった。

「ホンワカパッパッパー♪」
『なんだ!この戦場の雰囲気にそぐわぬたわけた音楽は!』
 それは関西圏在住の人間には聞きなれたものだったが、封神武侠界出身の呂布が知らないのは当然であった。まあ知っていたとしても、確かに戦いの場には相応しくないのかもしれない。さらに言うなら本来は失恋ソングなのでお笑いの場にもあんまり相応しくない気がしないでもないが、まあ実際使われてるんだから仕方があるまい。
「カムヒアー!【笑いの殿堂】馬飼家ゾーン!」
 そしてようやっと出てきたヤングはさらに戦場の雰囲気にそぐわぬ事山の如しであった。
「ナニワよいとこ一度はおいで。メシは美味いし笑いの絶えない楽しい空間!そこのごっついおっちゃん!このフザケた世界へようこそ!」
『ふざけているのは貴様であろうが!』
 呂布大激怒。それでも問答無用で斬りかかろうとしないのは、珍しい拳法を吸収した上で勝利しようという今回の目的を最後まで完遂するという意思の現われであろうか。いっそあっぱれであった。
「君はタフボーイ?」
『貴様は何を言ってるんだ』
「なにっ な、なんだあっ なめるなっメスブタァッ」
『本当に何を言ってるんだッッッ』
 わけのわからないヤングの言動に呂布さらに大激怒。それでもヤングの小粋なナニワトーク(自称)は止まらない。ますます加速していく。
「あんさんヅカ宝歌劇の役者さん?」
『なんだそれは!』
「その立派なゴボウ天振り回して踊るんやろ?」
『って俺の愛用の武器!方天画戟をゴボウ天とは何事か!』
「……あかんでー。そこは『そうそうこいつは自慢のゴボウ天歌劇……ってちゃうわー!』とノリツッコミせなー」
『ええい!やかましい!もう許せん!!』
 ついに呂布がブチ切れた。方天画戟とユグドラシルブレイドコピーの木刀を構えてヤングを叩き潰そうとした……が。呂布はまったく気が付いていなかった。この時、呂布は既にヤングの術中にハマっていた事を。
『くらえ!俺の【無双滅塵覇】を!』
 呂布の繰り出した衝撃波が、それに次いで繰り出された木剣がヤングを襲う。だがあろうことか、強烈極まりない攻撃を食らいながらヤングは倒れるどころか、むしろ余裕の笑顔すら浮かべてみせたのだ。
『な、何ぃ!?』
「かかったな!このアホアホゾーンでは衝撃波もそよ風みたいなもんや!」
 ヤングの策の正体はユーベルコード【|笑いの殿堂《テナモンヤ・ナニワ・シティ》】であった。ヤングを中心とした半径116mは今や戦場の空気とはほど遠いナニワのほんわか下町空間と化していた。その中では陰鬱な展開を招く行動はかなりの制限を受ける……そう、呂布の攻撃が無効化されたように。仮に木剣がオリジナルのユグドラシルブレイドだったらこんな状況下でも致命的なダメージとなった可能性があったかもしれないが、コピーではそこまでの威力は出なかったようだ。うん、真面目だ。正攻法だ。間違いない。
『ば、馬鹿な、こんな事が……』
「何言うてまんがな!!」
 スパーン。状況が把握できていない呂布に、ヤングのハリセンが炸裂した。それはむちゃくちゃいい音がしただけではなく、見た目と材質からは想像もできないダメージを呂布に与えていく。
『ぐはっ!?こ、こんな事が……』
「まだまだ行くでぇ!」
 さらに顔面にクリームパイ。バラエティ番組に使われる甘くないやつだ。そう、この空間は通常攻撃が弱体化するだけにとどまらず、ギャグ行動はむしろ強烈な効果を発揮するのだ!なにそれうらやましい。
「さあ、歯ぁ食いしばるんや!」
 言いつつヤングが呂布の口に何かを咥えさせると、その反対側をもっておもいっきり引っ張り……手を離す。
『ごぶわぁっ!!!!』
 並の槍刀では傷すらつけられないような超級武人の呂布が、よりにもよってゴムパッチンで倒れるという。正統派な戦いを好む者からすればなんとも無残な光景と言わざるを得ない。だがこれでいい。こういうのが見たかったのだ正直。
「せめてもの|餞《はなむけ》や……」
 さらにダウンした呂布に近寄ると、ヤングはサインペンを取り出した。そして呂布の額に……『肉』の一文字。
「そ……そっくりや!!へのつっぱりはいらない人にそっくりやーっ!!」
『……こ、この呂布がこのような辱めを……』
 これまでのダメージの蓄積か、あるいは最後の屈辱極まりない扱いがとどめとなったのか。あまりといえばあまりにも不本意な形で呂布は骸の海に還っていったのだった。

(……だが次はこうはいかんぞ……俺は必ず戻って来るぞ……)

 この時、石困流の拳士たちは『猟兵は呂布の17倍怖い』と思った。
「17倍怖い……」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月29日
宿敵 『🌗呂布』 を撃破!


挿絵イラスト