銀河帝国攻略戦⑳~未来の禍根を断つために
奴は、未来を見ているようだ。
誰かが言った。
戦闘機の機動力も、艦隊の火力も、その全てがまるで事前に分かっていたかのように躱される。ただの一撃でさえ、その白銀の甲冑を掠めることすらなかった。
――解放軍艦隊は、その戦いを放棄した。
大局を見るべき戦争において、如何に強力な敵がいようとも、頂点の首さえ取ってしまえばいいのだから。
触れもしない敵にかかずらっている暇など、彼らにはない。
●
『しかし、我々にとってはそうではありません』
女性型のウォーマシン「星天」が重く音声を発する。
『敵がオブリビオンである以上、それをむざむざ自由にさせてしまうことは、後々の危機を招くことになるでしょう。……オブリビオンは力を持ちます。それも、わたくしたちの及びも付かない、不可思議で強大な力を』
銀河帝国皇帝が、最も顕著な例と言える。
広大な宇宙を支配できるほどの力を、ただ単体で持ちうる存在。それがオブリビオンならば。
『今こそ確実に、白騎士ディアブロを、破壊せしめるべき時と存じます。例え敵が、未来を見ることすら可能なAIを持っていたとしても。皆様の力を持ってすれば、必ずやそれを打ち破ることが出来るでしょう』
星天は言葉を切って、集まった猟兵達を見渡す。
『――ディアブロは、わたくし達の出現すらその目に見ています。転移の瞬間を狙い、攻撃を仕掛けてくるのは間違いないでしょう。……気を引き締めて下さい。その瞬間に、反撃すら許されず皆様が敗北する可能性さえ存在するのです』
未来を見通す力だけではない。銀河帝国の有する技術の粋を集めた武装もまた、白騎士を強大たらしめる要因だった。
星天は静かに頭を下げる。
『わたくしが皆様に課してしまうのは、大きな「危険」でございます。恒久の平和を未来へもたらすため、という大義名分に、今を生きる皆様を捧げているに過ぎません。……ですが、どうか。多くの人々の生きる宇宙を、取り戻して、下さいませ』
灰々
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白騎士ディアブロは、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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初めまして、灰々(はいばい)と申します。
このシナリオの敵は非常に強大であるため、失敗の可能性もあることに気を付けて下さいませ。
それではよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『白騎士ディアブロ』
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POW : 収束する運命の白光
【対象の未来位置に向け放たれるレーザー】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : ホワイトライト・トゥルーライト
【10秒先を見たかの様に的確な攻撃を行い、】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : デストロイマシン零式
戦闘力のない【66機の動画撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【正確無比な未来予想シミュレーション】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シュデラ・テノーフォン
SPD使用だから
アレの攻撃は10秒先の予測か
なら俺は最初Ellaを構える
君の攻撃をこの剣で受けて立つ、ってね
一歩も動かず受ける構えなら、相手も分かり易い分
逆に言うと、待つ俺も対処し易いんだ
先制攻撃するんだからアレは絶対攻撃するからね
俺がする事は神経を研ぎ澄ませる事
野生の勘も頼りに、動かない俺に対する攻撃を受け止める
剣で来るなら剣で受け
背後に回ってとか、ビームが飛んでくるのなら
左手を翳し指輪の盾を展開、シールド防御だ
突然盾が現れるなんて予測できたかい?
さァ反撃だ
防いだ瞬間予め雷の精霊弾をセットしたCenerentolaを複製
盾を展開したままGlasregenで一斉射撃
ショートしな白い騎士サマ!
転送されたシュデラ・テノーフォンの目に映ったのは、既に攻撃の態勢に入った白騎士ディアブロの姿だった。
「――騎士の名を冠する者として、その刃に応えよう」
途方もない出力を誇るビームサーベルをその手に構え、白騎士の巨体が音をも越えて宙を駆ける。
対してシュデラは、その場を一歩も動かなかった。絢爛豪華な水晶の剣。宇宙に散る星々の光を返し輝く、透き通った刃の向こうに白騎士を見る。
「君の攻撃をこの剣で受けて立つ、ってね」
接触は一瞬。膨大なエネルギーの塊に向けて、シュデラは剣を振るった。
「こ、れは……!」
剣に力が叩きつけられる。
受けることは難しくなかった。シュデラが動かずその場にいれば、未来予測も関係ない。
――しかし、敵の巨体と、元々持っているパワーに加え、こちらの出現タイミングを知り尽くしたが故の十分な加速。それは破壊的な威力を実現していた。
シュデラは抗う暇もなく、体ごと大きく弾き飛ばされる。
「覚悟の力とは、そんなものか!」
「は、まだまだ!」
シュデラは弾かれた勢いのまま、空中に拳銃を複製。迫る白騎士に向け全ての引き金を一斉に引いた。事前に雷の精霊を宿らせておいた透明な弾丸が、音を立てて空気を裂く。
「さァ、ショートしな白い騎士サマ!」
白騎士が回転しながらサーベルを振るう。長大な光が翻り、次々と弾丸を巻き込んで蒸発させ、しかしいくつかの弾丸はそれを擦り抜け白騎士へと突き刺さる。
――だが止まらない。
白騎士が別の腕に構えたライフルが瞬時に動き、その銃口がシュデラを見る。シュデラは咄嗟に左手を翳した。その瞬間展開された指輪の盾が、大口径の弾丸を受け止めて甲高く鳴る。
――そこに追って放たれたサーベルの一撃が、盾を粉々に砕いていた。
青白い光が目の前を染める。そして全身を砕くような衝撃と共に、シュデラの意識は、暗闇へと落ちていった。
苦戦
🔵🔴🔴
トリテレイア・ゼロナイン
白騎士ディアブロ…人々を護る紛い物の騎士として銀河皇帝に仕える騎士に勝負を挑みます!
相手は圧倒的格上、死力を尽くして臨みます
白光への対処
ディアブロから常に自分を「かばう」ように機械馬を遠隔「操縦」し、接近
機械馬が操作不能時は「盾受け」技能を使い自分の移動先で常に大盾が敵の攻撃を遮るようにしながら接近、もしくは投擲してレーザーを遮ります
先制攻撃を防いだらUCを使用
自分がどの様に移動するか意識して動き、向けられている銃口の角度から着弾点を「見切り」「武器受け」で対処できれば…!
攻撃はスラスターを使った「スライディング」による「だまし討ち」足払いを狙う「怪力」「カウンター」を活かした接近戦を挑みます
広大な甲板を白光が突き抜ける。
トリテレイア・ゼロナインは遠隔操作の機械馬で自らを庇い、白騎士ディアブロへと接近を図った。しかし馬の表面装甲は、見る間に溶解し音を立てて蒸発する。
「『跪き、頭を垂れよ』」
そして白騎士の声が響くと同時、機械馬の内部構造に亀裂が走った。瞬く間に破壊され、機械馬の動きが止まる。
トリテレイアは大盾を構え、咄嗟に飛び退いていた。直後を白光が貫けば、転がるように地面を蹴って、トリテレイアは前に出る。
「白騎士ディアブロ……人々を護る紛い物の騎士として、あなたに勝負を挑みます!」
襲い来るレーザーの威力は甚大で、大盾すらも瞬時に貫く。トリテレイアは光が盾を溶解する刹那の間に体を反らし、貫通したそれを躱すと更に大きく一歩を踏んだ。
銃口の向きは見えている。引き金を引くマニピュレーターも見える。
着弾点の予測は完璧だった。盾を前方に投げ放ち、トリテレイアの頭部を狙ったレーザーを受け止め、軌道を逸らす。
その瞬間に、トリテレイアは脚部スラスターを全開。低空を滑るように飛んだ。
「格納銃器強制排除、リミット解除、超過駆動開始……これが私の騎士道です……!」
肉薄すると同時、トリテレイアは全ての銃器をパージ。近接戦に特化する真の騎士へと覚醒し、儀礼剣を手に超速の一撃を振るった。
「私を前に騎士を名乗るか。いいだろう、見せてみよ!」
ビームサーベルと刃の交錯する――その瞬間、トリテレイアは力任せに剣を引いていた。そしてスラスターの出力を保ったままに低空から体を回して、足下へとカウンターを仕掛ける。
――だが、読まれていた。
その瞬間に白騎士は、引くではなく強く脚部を前に出す。トリテレイアは咄嗟に反応、剣を装甲に突き刺しそれを砕くも、直後に強烈な蹴打を受けて甲板の上を破壊しながら弾かれる。
「これが、未来を知るということだ」
ライフルの銃口が、トリテレイアを狙っていた。
「死力は、尽くしたのですが……!」
胴体に甚大なダメージを受け、トリテレイアの反応が遅れる。銃口から吐き出された弾丸が迫る様を最後に――トリテレイアの視覚情報は、黒に染まった。
苦戦
🔵🔴🔴
陰白・幽
敵は何だかすごく強いって聞いたよ〜、だからボクたちも全力で頑張らないとだね。
敵はボクのUCを使うのよりも先にUCを使ってくるんだよね……だったらもう相手に先に使ってもらって、そこからのカウンターの一撃を狙うよ。
まずはUCを使う準備をして先に相手にUCを使ってもらうよ。
敵は10秒先までの動きに対応してくると思うけどまずは敵の攻撃を受けてもいいから攻撃できる距離まで近づいて攻撃を狙うよ。
……きっと攻撃は当たらないけどそこで準備していた永眠龍の刻を発動、敵がUC発動直後に戻って戻る前の自分の動きと同じように接近を狙い、敵の攻撃は致命傷だけ避けて、接近後は敵の回避行動に合わせて踵落としの一撃を狙う。
割れた脚部の装甲を自ら剥がし、放り投げると、白騎士ディアブロは陰白・幽へとライフルを向ける。
「いいよ、先に撃ってきて」
「……ほう」
幽の言葉に、白騎士は何を見たのか。そのまま引き金を引くと、重い銃撃が真っ直ぐに幽を撃った。
幽は斜めに駆け出しながら初撃を躱し、続いて襲ういくつもの銃撃を、飛び、屈んで躱すと、一息に白騎士へ肉薄しようとし――
「我が帝国へ服すれば、命だけは助かったものを」
過たず回避方向へ放たれた弾丸が、幽の腹部を穿っていた。
赤い飛沫が宙を舞い、溢れた内臓が零れ出て。幽の意識が、虚空へと飛散し
幽は、腹部を狙った弾丸を紙一重に転がり躱す。
「我が帝国に――何だと?」
その目に何を見ていたのか、白騎士が僅かに銃口を下げて困惑したように呟いた。
「どうしたの、攻撃が止まってるよ」
その隙に肉薄した幽は、白騎士の体を蹴って大きく飛び上がると、思い切り足を振り上げた。
斧を振り下ろすような踵落としが白騎士に迫るも、幽の横合いからの殴打がその体ごと吹き飛ばす。そして流れるように、ビームサーベルが光を放ち
腹部を貫く弾丸を、幽は紙一重に屈んで躱す。
「攻撃、止まってるよ?」
僅かに攻撃の止んだその隙を突いて、幽は一気に地面を蹴って白騎士へと肉薄する。そして敵のライフルが持ち上がる前にその眼前まで到達すると、幽は白騎士の体を足場に小さく飛び上がった。
幽が攻撃の意思を見せた瞬間、白騎士は横合いから豪腕を振るう。しかし幽はそれを、衝撃を受け流すようにして回避。眼下の腕を蹴りつけるまま、思い切り足を振り上げた。
「今度こそ、当てるよ」
斧のような踵落としが振り下ろされる。それは白騎士の肩へと突き刺さり、重い音を響かせてその巨体を傾かせる。
「乱数がぶれ、上手く見れなかったが……そうか」
白騎士が弾かれるように飛び退ると、幽は逆らうことなくその場に降りた。
「未来を……いや、時間か? そのようなものは稀にいるものだが、油断してしまったな」
「さあ、何を言っているのか、ボクには分からないけど」
幽は距離を取ったまま、白騎士の動向に目を光らせる。未来を見る無機質な目もまた、幽を覗き込むように向けられていた。
成功
🔵🔵🔴
イデア・ファンタジア
白騎士が現れる前、待ち伏せてる間に空想現界『空色の空』の準備をしておくよ。
壁に描くのは青い空、そしてとっても大きな、白く輝く太陽!
そして空想は現実になる!ファンタジアを今ここに!
直視できない位の強烈な日差しが差し込むわ。
10秒先を見るっていうなら目をつぶせばいいよね、逆光を背にして戦うわよ。
壁の太陽はそのままに、天井に描くのは雷雲!
そこに走らせるのはセプテントリオンの一本、紫のドゥーベ。
幾筋もの紫電をディアブロに落としちゃうよ!
固定化された大気の層の外縁に、イデア・ファンタジアがユーベルコードを刻む――それよりも早く、白騎士のライフルが火を噴いた。
イデアは超人的な身体能力でそれを回避。していくが、回り込むように追い立てる弾幕を前に、徐々に体力を削られていく。どうやら未来を見ているというのは本当らしく、とても全てを回避することは出来ない。
「だったら、これはどう?」
致命傷だけは何とか避けながら、イデアは高々とユーベルコードを発動する。
その瞬間、暗闇の中にあった甲板が、目映いばかりの光に包まれた。
「描くのは青い空、そしてとっても大きな、白く輝く太陽! 想は現実になる! ファンタジアを今ここに!」
――何処までも続く澄み切った青へと、漆黒の空が塗り替えられる。空には直視できないほどの、白い太陽が輝いて。
イデアは光を背に、白騎士へと向き直った。
「これで、こっちは見えないでしょ!」
「視覚情報のエラーが発生……なるほど、確かにメインのカメラは使えんな。だが」
白騎士は迷うことなく、イデアへとライフルを向けた。
「索敵に使えるセンサーなど、無数に備えている」
再び弾幕がイデアを襲う。先ほどまでと遜色ない、的確で未来を見るような射撃だった。
「もう、それだったら……!」
ギリギリで弾丸を回避しながら、イデアは手にした筆を振る。セプテントリオンの一本、紫のドゥーベ。その色の通り、太陽の輝きはそのままに、厚く雷雲を垂れ込めさせていく。
描かれた雲はうねり渦巻き、凶悪に咆哮を上げ始める。
「いっけー!」
イデアが大きく筆を振ったその瞬間、幾筋もの紫電が白騎士へと降り注いだ。
如何な演算能力があろうとも、複雑に迸る雷撃の予測は困難らしい。回避しようと大きく跳んだ白騎士の体を。落雷が掠めていく。
「躱しきれんか……であれば!」
白騎士は回避を諦めたように足を止め、全ての武装をイデアへと向けた。
「大本を断つのみだ!」
無数の弾丸が、レーザーが、近接してのサーベルが、一斉にイデアを襲う。
「こ、これは、もう無理かな……!」
雷に打たれながらも、白騎士の動きは止まらない。イデアは必死に逃げるも、しかし敵との戦力差は甚大で、瞬く間に追い詰められていく。
大きなダメージを与えはしたが――イデアは満身創痍で、グリモア猟兵の転送に身を任せた。
成功
🔵🔵🔴
御堂・茜
カガクは存じませんが
光というものはべらぼうに速く!
レーザーは直進すると!
さる同志がよく仰っております!
ならば逃げも隠れも致しません
転移直前に【絶対正義】!
正気を失った御堂は
速く動く物を悪と判断し斬ります
レーザーは光
何より速く動く…はずです!
バーサーカー御堂がレーザーに向かって刀を振るい
同時に刀から【怪力】と【気合い】で生じる
【衝撃波】での遠距離攻撃を放てば
その延長線上に敵がいるはずですッ!!
レーザーを相殺できれば僥倖ですが
回避不能ならUCの超耐久力と【気合い/勇気】で耐え
【捨て身の一撃】の覚悟で参ります
ルールを宣告される前に
ディアブロ様へ一太刀浴びせ
御堂が正義(ルール)と教えてさしあげますッ!
転移の瞬間に御堂・茜は、絶対正義を胸に抱く。悪を滅ぼし世界が平和であるように、正義の意思が膨れ上がって理性を焦がす。
――茜は、悪っぽいものを全て斬り裂く、バーサーカー御堂へと変貌した。
「光というのはべらぼうに速く、直進すると! 伺っております!!」
ならば動かなければいい。
ただ真正面に刀を構え、襲い来るレーザーを叩き切る。本能に動く茜の体は、速いものをただ狙う。
はずだった。
次の瞬間――白光が茜を貫いていた。
三十万キロ毎秒の光速に対し、構えた刀は動かせなかった。ただ発射の直前体をずらし、致命傷だけは避けながら、
「……悪は、許しません!!」
脊髄を駆け上がる激痛に耐えると茜は渾身の力を込めて、刀を振り下ろしていた。
光の奔流を斬り裂いて、衝撃波が飛ぶ。巻き起こった大気の乱流がレーザーを僅かに拡散させながら、白騎士へと叩きつけられる。
「……ほう」
その一撃に小さく体を揺らしながら、白騎士は再びライフルを構えた。
「『避けてはならん』」
白騎士が口を開いた。飛び出した言葉の鎖が、茜を縛る。
「元よりそのつもりです!」
放たれた弾幕を目の前に、茜は刀を振り上げる。
たかだか弾丸程度の速度ならば、茜の正義は逃さない。全てをたたき落とすように白刃を閃かせ、茜は大きく一歩を踏み出す。
「行きますッ!」
そのまま前に駆け出した。
弾の嵐を真正面から叩き切り、気合いと勇気で掠める衝撃に耐えながら、瞬時に彼我の距離を詰めると茜は衝撃波を込めて刃を振るう。
「御堂が正義と、教えて差し上げますッ!」
「やってみるがいい!」
白騎士がサーベルを抜き放ち、茜の一撃に合わせてその豪腕から斬撃を繰り出した。
一度。打ち合わされた剣戟が、爆発的なエネルギーをまき散らして茜は大きく弾き飛ばされる。そのまま空中で、甚大なダメージを負った茜は転送の中に消えていく。
――だが茜の放った衝撃波もまた、至近距離から白騎士を打ち据えていた。
苦戦
🔵🔴🔴
七篠・コガネ
お会いしとうございました、ディアブロ様
かつて貴方の部下だった「ラプター」です
でも今は違う…猟兵としてこの世界の未来を守りに来ました!
『code-Nobody』の【一斉発射】で相殺を図ってみます
押し負けるなら耐えてみせましょう【激痛耐性】
…生憎貴方の命令に従うよう厳しく言われてましたから……
後手に専念したい…こちらへの攻撃は【武器受け】→射撃で反撃しつつ
狭い場所へと追い詰められながら誘導してみます
この場所でその巨体を以って躱せますでしょうか?
近距離に迫ったら【カウンター】で【ホークスビーク】を撃ち込んでみます!
昔から貴方へ抱いていたこの感情が今なら理解できます…「恐怖」だと…!
アドリブ、絡み歓迎
ダメージを蓄積させながらも、白騎士が倒れる様子は未だない。その威容は変わらず猟兵達を見下ろして、圧倒的な存在感を放っている。
七篠・コガネは転送の瞬間、背に内蔵したアームドフォートを翼のように展開すると同時に発射。刹那に襲い来るレーザーを相殺しようと試みる。
――だが、殺しきれなかった。咄嗟に体を逸らすも脇腹ごと片翼を貫かれてしまう。
「……お会いしとうございました、ディアブロ様」
変わらぬ姿と変わらぬ力を目の当たりに、コガネは口を開く。
「かつて貴方の部下だった、ラプターです」
「ラプター……」
白騎士は呟き、何かを思案するように動きを止め、
「――デストロイマシンを克服したか」
ライフルの銃口を、再びコガネに向けた。
「はい」
白騎士が引き金を引いた。
放たれた弾幕を武器で受けると、コガネは大きく後ろへと飛ぶ。甲板後方に位置する艦橋の影へと、追い詰められるように下がっていく。
艦橋を弾丸が貫き、まき散らされた破片がコガネを掠める。脇腹を抉られ性能は落ちているが、それでもコガネは地形を利用するように攻撃を回避、返しブラスターで白騎士を狙う。
しかし迸る熱線は、白騎士の構えたサーベルの表面で弾け飛んで白騎士へは届かない。
「もう少し……!」
更に後ろへ下がるコガネの視線の先で、白騎士がその巨体を浮き上がらせた。そして大きく飛び上がると、指揮所を破壊しながらコガネの眼前へと迫る。
「私に刃向かう、その行動原理は一体何だ。デストロイマシンを克服し、何を得た!」
「この世界を守る。それが僕の、今の望みです!」
コガネは白騎士の足下を狙い、一斉に武装を起動させた。無数の砲撃が船を破壊し、白騎士は僅かにバランスを失う。
「この場所で、その巨体を以て躱せますでしょうか?」
崩れる艦橋に飛び上がり、コガネは白騎士に肉薄。左腕のパイルバンカーを振りかぶると、
「僕は貴方へ『恐怖』を抱いていた……今なら、理解出来ます……!」
同時に振り下ろされたサーベルで肩口を斬り裂かれながら――それを起動した。
重い炸裂音が響き渡る。左腕のもげるような衝撃を受け、コガネは艦橋を転がり落ちながら、グリモア猟兵の転送に消えていった。
「……私には、理解出来ぬな」
破壊された腕の一つを引きちぎり、白騎士はそれを放り投げた。
成功
🔵🔵🔴
一郷・亞衿
『10秒先を見た“かの様に”』攻撃……って事は、あたしが何かを召喚しようとしている事までは解っても、“何を召喚するか”は予想出来ないと思うんだよね。敵が初めて見るものであれば尚の事。
なら、召喚した瞬間から効果を発揮する怪異で<だまし討ち>出来るんじゃないかな?
敵の攻撃の到来を少しでも遅らせるべく遠くに位置取った上で、“その姿を視認した者の精神を狂わせる怪異”くねくねを召喚!
敵は機械っぽい見た目だけど意思ある存在だし、精神に作用する<呪詛>なら効く、はず。
発狂させられずとも、こちらの方を見るのを邪魔出来れば相手の攻撃を避け易くなるかな、って狙い。
周りに仲間がいたらこっちを見ないよう注意しとこう。
弾丸の嵐が吹き抜ける中を、一郷・亞衿は必死に掻い潜る。
未来を見、回避も防御も全てが読まれてしまう白騎士から、距離を取るのは不可能に近かった。亞衿はもはやこの暴風の中で、襲い来る凶弾に耐えながらユーベルコードを発動するほかない。
「お願いだから、効いてよね!」
何とか致命傷だけは避けながら、大きなダメージを負った亞衿が”それ”を召喚する。
「何を呼ぼうと――」
白騎士が、亞衿の呼び出したものへとライフルを向けたときだ。
ゆっくりと現れた”それ”を、無機質な白騎士のカメラが映す。
「む、認識、エラー」
がくりと、ライフルの銃口が揺らいだ。
くねくね。
くねくね。
白く細長い人型の何かが、人とは思えない動きでゆらゆらと揺れる。
「何だ、それは……!」
「理解(ワカ)った時にはもう遅い――」
亞衿は大きく息を吐き、額から滴る血を拭って立ち上がる。
やはりだ。亞衿の予想通り、白騎士はこちらが何を召喚するかまでは理解出来ていなかった。未来を見ると言っても、それは魔法の力などではなく、物質や空間を非常に精密に分析した結果であれば。
「見たことないものは、分からないよね」
彼女の傍らでくねくねとゆれる、”それ”の事など、考えにも及ばなかったはず。
白騎士は余った腕で頭を抱え、一歩を後ずさる。
「思考回路にエラー発生。多数の断片化を確認、処理速度が低下……ぐ、それを、見なければ……っ!」
ぶつぶつと呟きながら、白騎士はライフルをこちらへ向ける。しかしその先端はぶれ、放たれた弾丸は亞衿の足下に着弾。破片で傷つけることすら能わない。
「よし、発狂とまでは行かないみたいだけど、これなら何とか……みんな、今だよ!」
亞衿は振り返り、他の猟兵に合図を送る。
今ならば、無防備な白騎士にダメージを与えることが可能なはずだ。
成功
🔵🔵🔴
チトセ・シロガネ
ボクは現在を生きているネ!
確定した未来はノーセンキューヨ!
ドローン66機もあるならデータをネットワークで送受信をしているハズ
まずは【地形の利用】で身を隠しつつ
【早業・ハッキング】で周辺のネットワークを重くするよう細工してシミュレーションの処理能力低下を狙うネ!
ディアブロのネットワークは【第六感】で探すヨ
あとは修復中を狙って
【浪漫銀貨】を発動させ【謎のコイン投入口】へ
1分1秒成長し、希望の未来を掴み取る【覚悟】を乗せて「シルバーコイン」を投入、手数を強化!
接敵して
【残像・早業・衝撃波・2回攻撃】で手数で勝負
ヤツの処理よりも光速く攻撃、未来は確定させないヨ
相手の攻撃は【オーラ防御・念動力】で防御ネ
パーム・アンテルシオ
服は…メイド服にしようかな…
それで…スカートを軽く持ち上げたりしながら、ディアブロを誘う…
…バカらしいって思う?私は思わない。思っちゃいけないんだ。悟らせない為に。
そのまま、辺りに私の気を溢れさせる。【誘惑】の力を乗せた気をね。
見た目の誘惑は囮。本命はこっち。
気で、相手の中。無意識を魅了して、お願いするんだ。
「未来への干渉をしないで、失敗させて」って。
攻撃は、ユーベルコード…山茶火。
不可視の炎の腕。意表を突くのに、これ以上の技はないよね?
誘惑や魅了は私たちの十八番。でも、見た目での誘惑なんて、一端にすぎない。
私たちは、己の存在で、全てを魅了する。
あなたの意思と私の力。どっちが勝つか、勝負だよ。
空間認識が吐き出すエラーに頭を抱え、白騎士はあえなく膝を付く。
――再起動。再起動。再起動。
不具合を解消するために、一時白騎士は動きを止める。だがそれも致命的な隙とはならない。自律稼働する六十六機のドローンが、それをカバーするように空間を埋め尽くした。
「確定した未来はノーセンキューヨ!」
全てのドローンが、不気味に猟兵達を眺めていた。
未来予知の補助装置だ。チトセ・シロガネは瞬時に判断。互いにネットワークを構築して、得た情報のやりとりをしているものと仮定する。
「邪魔しないと、まずそうネ!」
集めた情報が白騎士にフィードバックされれば、さらに予知の精度を高めることになりかねない。
――ただでさえ、こちらを見もしない白騎士のライフル射撃が、咄嗟に回避しようとしたチトセを正確に掠めているのだ。
これ以上強化されてしまえば、もう手が出せなくなってしまう。
崩れた艦橋の影に急いで飛び込み、チトセは頭上に浮かぶ無数のドローンを眺める。
「……見えないネットワーク、絶対見つけるネ!」
ドローンの対処を優先するチトセをカバーするように、パーム・アンテルシオはメイド服のフリルを翻した。
未来を予測する正確無比なレーザーも、今の一時、その精度は僅かに落ちている。パームは一機のドローンの陰に駆け込み、刹那の時間を稼いで大きく跳ねる。肌を焦がす熱に激痛を覚えながらも、着地すると共にパームは――白騎士に向け、可愛らしくスカートの裾を軽く持ち上げた。
「どう、かな? メイド服……似合ってる?」
小首を傾げ、囁くように。パームは白騎士に誘惑の視線を投げた。
「……どういうつもりだ」
その行動が理解出来ないのだろう。一部再起動中の白騎士も、思わず疑問を口にした。
白騎士は、パームの行動を馬鹿らしいと思っただろうか。
どちらでもいい。ただ真剣に、パームはゆっくりと白騎士に近づきながら、熱っぽく息を吐いた。
「一回、どう?」
「何を言っているのだ、貴様は!」
白騎士の困惑が伝わる。しかしその動揺、心の動きこそが、パームの狙い。
――パームは周囲に”気”を溢れさせていた。誘惑の力が乗った、妖狐の気。
それはひっそりと白騎士に這い寄り、無意識へと作用して。
「ねえ……未来への干渉を、失敗させて?」
パームの言葉が、白騎士の回路へと浸透する。科学の理屈を超越する魅了の力に、白騎士のAIがまた大量のエラーを吐き出す。
「なんだこれは……貴様、何をした!」
「ただの誘惑、だよ。見た目だけじゃなく、私の存在そのものを使った誘惑。しっかり意思を持っててね。貴方の意思と私の力、どっちが勝つか、勝負だよ」
パームはより強力に、辺りに気を充満させていく。
「見つけたネ!」
パームの援護により、チトセはネットワークへの干渉に集中することが出来た。
飛び交う情報群に無理矢理アクセス、開いた間隙に重いゴミデータを力の限り流し込んだ。
「ぐ、貴様……!」
ぼうっとパームを見ていた白騎士の体が、不自然にびくりと震える。空中のドローン達が、急速に内部の冷却を行う音が辺りに響いた。
「さあ、希望の未来を掴み取るヨ!」
チトセは取り出したシルバーコインを眼前に掲げる。込めるは覚悟。未来への思いをコインに乗せて――チトセは投入口へコインを入れた。
チトセは陰から飛び出して、一息に白騎士へと駆ける。
「これほどの、ものか……!」
おぼつかない様子で振り上げられた銃口が、過たずチトセを撃つ。例え弱っていても、その未来予知に狂いは僅か。全力で躱すチトセを、いくつもの弾丸が掠めていく。
「こんなもので、止まる訳にはいかないネ!」
チトセは更に加速して、もはやダメージも厭わず白騎士に接敵。あらゆる技能を尽くした高速の機動で、嵐のような連撃を繰り出した。
「ぐ、おおお!」
チトセの振るう刀に合わせ、巨大なサーベルが唸りを上げる。
「未来は、確定させないヨ!」
攻撃がぶつかりエネルギーが弾ける度に、チトセの速度が上がっていく。一分一秒経るごとに、覚悟はより強く、より光速く。未来への希望と共に、膨れ上がっていく。
それでも白騎士の力は、チトセを大きく上回っていた。初めは押していたチトセだが、徐々に、白騎士の回路が復旧するにつれて動きを読まれ始める。
「まずい、ネ!」
そしてチトセが刀を弾かれ姿勢を崩したとき――サーベルを振り上げた白騎士の腕が、空中でびしりと動きを止めた。
「陽の下、火の下、炎の運命を動かそう」
チトセへと意識を向けていた白騎士の隙を突き、パームのユーベルコードが発動される。
「……熱源感知、小癪な!」
見えない炎の腕が、パームの元から真っ直ぐに伸び、白騎士の腕を掴んでいた。
「チトセ、今だよ!」
「センキューヨ、パーム!」
止めていた時間はほんの一瞬で、間もなくサーベルごと手首が回転、炎の腕は寸断される。だがその一瞬こそが、この場の趨勢を決めた。
「未来は、皆のものヨ!」
チトセの刃が翻り――白騎士を、大きく斬り裂いた。
成功
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ノノ・スメラギ
世界知識と情報収集を駆使してディアブロの戦闘記録を集めるよ。未来位置を読んで光速で届くレーザーでも、それを狙って撃つのはキミ自身だ!
どの状況で何を好み何処を狙うのか、戦闘知識で徹底的に洗い出す!
その上で防具改造で耐レーザーコートを施したシールドデバイスを予測とトリガーの狭間に野生の勘も駆使して差し込んで盾受けしながらリフターのパワー全開で突撃する!(空中戦)
レーザーが当たってルールか宣言されても、それはあくまでも浮遊盾だ!
ボク自身にはルールは課されない!
そして、2枚の盾を使い切る前にUCを使ったVMAXランチャーの最大限の一撃を叩き込んでやる!(捨て身の一撃)
レッグ・ワート
お疲れさんですって言わせてくれる気がしねえ心底そっと還って欲しい。……一度壊れたら、そこで仕事は終わりでしょうに。
事前準備で、任意の動きが「出来る状態なのにしない」とエラー吐くように自分で変えとく。止まれと言われて止まったら拙い、簡単に守れるもんじゃないってしたら軽減にならない?
見切りや鉄骨での武器受けはするが遅滞策だよなあ。レーザーが可視光タイプならその色に合わせて対外フィルムの色彩変更。コード使う間があったら即ブレードエピダミスを外殻にはしらせといて、二重装甲じゃない箇所で避けれない攻撃を受ける。その腕か武器、機動力の一部でも触れ斬りおとせりゃ上等だ。
やばくなったらしっかり回収してくれよ。
「破損による誤差を加味して、視認から射撃までコンマ二秒。狙う確率が最も高いのは命中率の高い腹部だけど、読んだことも読まれてる――」
ノノ・スメラギは、持ちうる銀河帝国の知識を総動員し、白騎士の戦闘記録を遡って情報を集め、精査し、その動きを予測する。
如何な光速のレーザーでも、それを撃つのは白騎士自身だ。その性質からは逃れられず、ならば対処のしようもあるはずと。
どの状況で何を好み、何を狙うのか。
今現在の、大きく損傷した白騎士の行動をトレースし、徹底的に洗い出す。
そして転移の瞬間、ノノは展開したシールドデバイスを浮遊させ、組み立てた予測とトリガーの僅かな隙間に勘も用いて――挿し込んだ盾を光条が貫くのを確認すると、盾ごと放り投げレーザーを自分から僅かに逸らす。そしてリフターのパワーを全開に、大きく弧を描くように飛び出した。
大気を焼いて空間を貫く白光に鉄骨を溶かされながら、レッグ・ワートは対外フィルムの色彩を瞬時に変更。レーザーの可視光色に合わせて反射率を調整すると、光線の威力に備えて腰を低く構えた。
「……一度壊れたら、そこで仕事は終わりでしょうに」
骸の海から這い出した亡霊ならば、そっと還ってくれないものか。レッグは心底それを願うがしかし、襲い来る圧倒的な熱量は間違いなく本物だ。
無骨な鉄の塊を秒で溶かして貫く光に、レッグは咄嗟に身を反らし、装甲表面で受け流しを試みる。――だが莫大なエネルギーの余波が、装甲を巻き込み炸裂した。
「っ、嫌んなるなこの威力」
頭部が揺さぶられ、視野映像が大きくぶれる。
掠っただけでもこれだ。直撃すればどうなるか、想像に容易い。
レッグは体勢を立て直し、次に来る”言葉”に備えながら大きく前に踏み出した。
「『跪け』」
白騎士の言葉は鎖となって、ノノの浮遊盾とレッグを縛る。
レーザーに貫かれた盾は、そのダメージで完全に破壊されて地面に落ちる。しかしノノは立ち止まることなく、白騎士の懐へと飛び込んでいく。
そしてレッグもまた、止めることなく地面を蹴った。
「悪ぃ、ちょっと膝の調子が悪くてな!」
事前に駆動系に細工をしておいた。大きく伸縮させると、大量のエラーが脳裏を埋める。その状態で膝を折るのは「困難」だった。
「ぐおっ、結構来るな……!」
軽減して尚、レッグの体内で小さくない衝撃が発生し、思わずレッグはバランスを崩して倒れかける。
だが、眼前に迫る弾幕を躱すためには、そこで止まる訳にいかなかった。よろける脚部を利用して、ランダムな動きで弾丸を躱していく。
白騎士は膝を付いたまま、二人にライフルの銃口を向けた。嵐のように吐き出される弾丸が、一直線に薙ぎ払っていく。
「再起動完了。……あのような攻撃があるとはな。私も、まだまだ勉強不足なようだ」
頭を振って、白騎士が立ち上がる。
その姿は再び威容を取り戻し、大きなダメージを受けているにも拘わらず、圧倒的な存在感に満ち溢れている……ように見えた。
「学習なんてさせないよ。キミは今日、ここで! 倒れるんだから!」
ノノは大きく飛び上がり、弾丸を飛び越えて白騎士へと肉薄する。返しランチャーから魔力弾を発射するも、その全てが容易く斬り払われる。
「やってみるがよい」
極大のサーベルが、空中のノノに向けて振るわれた。
豪腕の放つ神速の一撃を、しかし急制動で躱しながら……ノノは牽制を行い必殺を叩き込む隙を待つ。
敵は未来を予測する。下手な攻撃は躱されて、逆にピンチを招きかねない。
「んじゃ、俺が腕か武器か機動力、どれか奪ってやらねえとな」
空中に意識を向けた白騎士の、僅かに途切れた弾幕の隙を掻い潜ってレッグが迫る。破損した腕の方から、死角を突いて近づくと、
「そろそろ、お疲れさんですって言わせてくれよ」
自らの外殻を叩きつけるように、強く地面を蹴り出した。
「対処、仕切れんか……!」
慌てたようにライフルが火を噴いて、レッグの片腕を噴き飛ばす。しかしレッグは止まることなく、思い切り白騎士の脚部に体をぶつけていた。
「じゃ、さいならだ」
その瞬間。
外殻表面に走らせておいたユーベルコードが発動し――白騎士の脚部を大きく切断、膝から下を完全に破壊する。
巨体が大きく傾いた。
……万全な白騎士ならば、そんな隙は見せなかっただろう。未来を見て、全てを圧倒的な力でねじ伏せていたはずだ。
だが、多くの猟兵が紡いだ糸が、この盤面を作り出した。
「VMAXランチャーの、本当の力を見せる時だ!」
ノノは宙を滑って白騎士の正面に陣取ると、担いだランチャーの砲口を真っ直ぐに向けた。巨大なエネルギーがランチャーに集束する。それは黒い炎を纏って、甲板から望む宇宙を目映く照らす。
――白騎士は、疲れ果てたように倒れ込む。だがその視線は、鋭く猟兵達に向けられていた。
「時の果てまで、消し飛ぶがいいさ!」
ノノが、力強く引き金を引いた。
時をも喰らう黒炎の巨弾が、尾を引きながら白騎士へと放たれて。
「我が時を見る目も……最後まで、幻影を打ち破れなんだか」
――爆炎が、全てを飲み込んでいった。
成功
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