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第二次聖杯戦争⑰〜|比翼連理《ツヴァイウィング》

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #ふたりでひとり

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#ふたりでひとり


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「なあ、ここあ。あのままばらばらに逃げ続ければ、アタシ達は生き残れたと思う」
 ポニーテールをなびかせ、紅い中華風の衣装をまとった『魔槌・しなもん』が隣の少女の手を握る。
 その手から震えが伝わり、怯えが魔法使い風の服を身に付ける『雪降・ここあ』が言葉少なに頷く。
「…………うん」
「でも、そんな事をしても何の意味もなくて……」
「わたしも、しなもんちゃんが側に居ないなら、生きる意味なんてないよ」
 ここあの言葉をしなもんが遮るように、胸の内を言葉にして吐露する。
 何かに気付かされたここあは、大好きなしなもんと向かい合う。
「……わかってる。アタシ達はそんな、当たり前の事を忘れてたんだ」
「わたし達は生前に沢山悪い事をして、今は存在自体が世界の敵。でも、もう離れたくない」
「ああ。アタシ達は『ふたりでひとり』。報いを受けて死ぬ日まで、それか……」
「ふたりで世界に勝つ日まで、ずっと一緒にいよう……!」
 二人は身体を抱き寄せ合い、互いの覚悟を確かめ合った。
 彼女らの覚悟を見届けるように、金沢南総合運動公園にあるバラ園の冬バラの花々が咲き誇っていた――。

「敵ながら尊いがすぎるんだけど……っ!」
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)が、己のグリモアから投影した予知の内容に深刻なダメージを被っていた。
「ぐは……っ! このあたいがまさか、百合シチュで膝を付く日が来るなんて……っ! あ、早速だけど今回の任務内容をみんなに伝達するねっ?」
 この切り替えの早さ、さすがプロのグリモア猟兵だ。
「てかね~っ? この2人、めちゃくちゃ面倒くさい特性を持っててっ! 一度既に戦った人もいると思うけど、この2人、恐るべきユーベルコード「ふたりでひとり」を所持してるよっ! これは『どちらかが死んでも、もう一方が相手を持ち物ごと完全回復状態で蘇生できる』という恐るべきもので、片方が死んだ後わずか1行動で使用できちゃうチート効果っ! ズルくないっ? ズルいよねっ? 猟兵にも似たようなユーベルコードがあるけど、あれを敵に使われると本当に厄介なんだよっ!」
 2人同時に殺す、簡単そうだが実際厳しい勝利条件だろう。
 なにせ2人とも条件を満たさないように行動するのは大前提だし、どちらかが庇って死んでも片方が蘇生させてしまえば事足りるわけだから。
「なので『ふたりを同時に殺す』等、何らかの対策をしない限り、絶対に倒す事はできないよっ! ふたりは自分の攻撃による死や負傷の代償も臆する事なく攻撃してくるので、ふたりのダメージ度合いも厳密に見極める必要があるんじゃないかな~っ? ただ……」
 レモンは予知で観た2人のユーベルコードをグリモアから投影させると、あるパターンが見えてくる。
「POWとSPDのユーベルコードの使用者はしなもん、WIZはここあが使うってことだねっ? そしてSPDは使い過ぎるとここあが死ぬ……。同時に殺すには此方も連携を意識するといいっぽいっ?」
 つまり……タッグバトル!
 突破手段のひとつとして考慮すべきだ。
「それじゃ、こういのも変だけど……巧く|二重殺《ダブルプレー》を決めてきちゃってほしいなっ!」
 レモンはグリモアを輝かせて転送を開始する。
 果たして、|比翼連理《ツヴァイウィング》のオブリビオンコンビに猟兵達は勝てるのか……!?

 ユーベルコードの高まりを感じる……っ!


七転 十五起
 戦争シナリオ第2弾。
 ここから本腰を入れて参戦しますので、戦争ランカーの方々はお気軽にご参加くださいませ。
 なぎてんはねおきです。

●概要
 一章構成の戦争シナリオです。
 ボスを倒せばシナリオ成功です。

●プレイングボーナス:「ふたりでひとり」に対処する。
 各ユーベルコードの使い手や死亡者をよく考察したうえで、ダメージ蓄積具合や攻撃手段を鑑みましょう。
 幸い、絶対先制攻撃は行ってきません。うまく立ち回ってください。

●その他
 コンビやチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能ですが、その際は全員オーバーロード投稿を強く推奨します)
 なお、本シナリオは全てのプレイングを採用できない可能性があります。
 予めご了承くださいませ。

 それでは、皆様の創意工夫を凝らしたプレイング、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『ふたりでひとり』』

POW   :    しなもんの自爆特攻
自身が戦闘不能となる事で、【しなもんが体当りした】敵1体に大ダメージを与える。【死に対する躊躇の無さ】を語ると更にダメージ増。
SPD   :    しなもんがここあから悪夢を取り出す
自身の【ここあの悪夢世界】から【夢魔ナイトメアの群れ】を放出し、戦場内全ての【ふたりに敵対する対象】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
WIZ   :    ここあの聖餐獣
自身の【鮮血と内臓(ここあの肉体を切り裂き摘出)】を代償に、1〜12体の【聖餐獣「ギガンティックナイトメア」】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。

イラスト:たますけ。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

久井崎・しいな
【アドリブOK】
ママ「あなた達と私たちは似ていますね」
しいな「しいなとママもなかよし!はなれたくない。だから?」

【戦闘】
しなもんをママが担当し
ここあをしいなが担当する。

しいなとママもまた比翼連理といえる。
果たして息の合ったコンビネーションではどっちが上かの勝負。
ママはパワーで押していき、しいなはクモ糸と足による素早い攻撃を仕掛けていく
第六感を通して二人のダメージの度合いを合わせていき
ユーベルコードで限界突破の攻撃を同時に仕掛けに行く

ママ「愛の強さなら、私としいなのほうが上よ!」
しいな「ママとしいなのほうがさいきょーなんだから!」



 ボロボロの修道服を纏った女性が、背中に曇ナシを生やした童女を抱えてやってくる。
 しなもんとここあは、早速やってきた猟兵の姿に身構えた。
「来たか、猟兵……! ここあ、やろう!」
「うん、しなもんちゃん。ふたりで生き残ろうね?」
 その会話のやり取りを眺める久井崎・しいな(ママの花嫁・f35434)……童女の方がふたりへ指を差した。
「ねえママ! なかよしさんだね!」
「そうね、しいな。こうして眺めていると、あなた達と私たちは似ていますね」
「しいなとママもなかよし! はなれたくない。だから?」
「ええ、そうよ、しいな」
 互いを慈しみ合う親子。
 だが、ここあには違和感をはっきり覚えていた。
「その女性……『死体』だよね? 顔も似てないし、まさか死体を操って親子ごっこを……?」
 ここあの推測は正しい。
 しいなの『ママ』は彼女の血縁者であるとは限らないし、動く死体であることも事実だ。
 だが、それを指摘することは彼女らの地雷である!
「ママはしいなのママだよ!」
「そうです! こんなにも愛情を注いでいる事こそ、しいなの母親である証拠です!」
 怒りをあらわにする親子は、しなもんとここあへ対峙するべく身構えた。
 しなもんを格闘術が得意なママが担当し、ここあを搦め手を得意とするしいなが担当する。
 先に動いたのは、しなもんだ。
「ここあ! すぐにアタシを蘇生して! そのために散らす命だから!」
「わかったよ、しなもんちゃん!」
 しなもんがママへ向かって駆け出してゆくと、全力でタックルをぶちかます!
「アタシと一緒に爆ぜなよ!」
「くっ!?」
 ママは自身の直感に従い、その場から背を向けながら飛び退いた。
 途端、しなもんの身体が轟音と共に爆裂!
 血液と臓腑をばら撒きながら、しなもんの骨肉は粉々に散っていった。
 躊躇のない自爆特攻!
 ママの判断が遅れていれば、その四肢が吹っ飛んでいただろう。
 死者とはいえ戦闘不能は免れない!
「さすがしなもんちゃんだね……! でも、はぁ!」
 ここあが一工程で奇跡を願うと、そのすぐ隣にしなもんが五体満足の姿で復活を遂げた。
「ありがとう、ここあ。これでまた戦える!」
「リカバリーは任せてね、しなもんちゃん」
 ふたりのコンビネーションは敵ながら完璧だ。
 だが、しいなとママも強い絆パワーを持つ。
 その連携は緩急自在のコンビネーション!
「ならば自爆する前に叩きのめすわ!」
 死体がゆえに自身への反動を厭わぬ全力パンチをママが放つ!
 常人ならば肩関節が外れる勢いでの膂力に、しなもんが思わず血さな悲鳴を上げた。
「ひっ……! 風切り音が! 風切り音が新幹線とかのそれだ!」
「まだまだ最高速度を出せるわよ?」
「だったらこっちも何度だって自爆するまでだ!」
 互いに近接戦を余儀なくされる以上、自爆と剛腕が交互に入り乱れる!
 一方、しいなはここあへ行動制限を駆けるべく、自身の蜘蛛糸を放って拘束を試みる。
「こわいこわいけものさんはよばせないよ!」
「きゃあっ! べたべたする……!」
 これでここあがしなもんを庇うことが出来なくなった。
 愛娘のアシストに、ママがしいなへ必殺技のGOサインを出す。
「しいな! 同時攻撃よ!」
「ママ! いっしょにいこう!」
 しいなとママは後ろへいったん下がると、しなもんとここあへ向かって全力ダッシュで駆け出した!
 そして親子同時に跳躍すると、しいなの蜘蛛糸で彼女らを捕まえて手繰り寄せる!
 両者は加速して空中で激突!
「「ママとしいなのおやこあいアターック!」」
 蹴り出された親子の右足が、しなもんとここあの鳩尾へ直撃した!
 しかし、次の瞬間!
「ここあ、任せた!」
「うん、しなもんちゃん……!」
 ここでしなもんが自爆!
 4人が至近距離で爆発に巻き込まれる!
 ここあも無事ではないが、防御姿勢で一命を取り止めた。
 だが、しいなとママは思わぬ反撃を受けてしまった。
「ママ! ママ!」
「……しいな、怪我はない?」
 その爆発をママが庇ったことでしいなは無傷だったが、ママは左半身の多くを吹っ飛ばされてしまった。
「ママ、いっしょにごはんたべよ? ごはんたべればげんきになるから!」
「ええ、そうね……。帰ってご飯を食べましょうね、しいな。ちょうど『食材』も落ちているわ……」
 ママは残った手で、しなもんの飛び散った肉片や臓腑をかき集め、しいなもそれを手伝う。
 こうしてママの戦闘不能と『戦利品』を得たしいなは、『ふたりでひとり』に対してまずまずの戦果を挙げたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
あはっ、ふたりとも素敵だね!
だからとっても“好き”になっちゃう❤

まずは死なない程度にふたりを攻撃
気持ちここあちゃんを優先的に狙って、しなもんちゃんにはあえて隙を見せる事で体当たりを誘う

ちょっと前はあんなに必死で逃げ回ってたのに、死ぬのが怖くないんだ?
答えはわかりきっているけれど

攻撃が来るその瞬間、ここあちゃんをフックシューターで絡め取って捕縛、引き寄せて盾にするわ
その威力はきっとみんな無事じゃすまないね
だからここあちゃんがしなもんちゃんを元通りにする前に、|生と死を繋ぐもの《ヤマラーヤ・ヘデラ》を突き立てておしまいにしちゃおうね
あはっ、これであなたたちは永遠に一緒だよ!


シエナ・リーレイ
●アドリブ可
わたしの『お友達』になってよ!とシエナはお願いします。

近江町市場にてここあにトラウマを刺激され自身を猟兵に覚醒させた願いを増幅されたシエナ
最初の『お友達』の願いを叶える為に隠匿された繰り手を露わにすると親愛と好意を振りまきながらしなもんとここあを『お友達』に迎える為に迫ります

あなたは『お友達』になってくれるのね!とシエナは歓喜します。

しなもんの|『お友達』《死骸人形》へと至る前準備を受け入れる発言に歓喜したシエナ、[激痛耐性]とユーベルでシナモンを受け止めるとそのまま抱きして【友愛のハグ】の[呪詛]で『お友達』へと迎えます

ぎゅっとしている限りずっと『お友達』だよ!とシエナは笑みを浮かべます。

『お友達』となったしなもんに対しここあが自害を敢行して腕の中のしなもんが元に戻ってもシエナはしなもんを[怪力]による[グラップリング]で逃げない様に抱きしめながら[呪詛]で『お友達』に迎え直します

そして、シエナは背後に浮かべた繰り手でここあを抱きしめて『お友達』に迎える為に迫ります



「あはっ、ふたりとも素敵だね! だからとっても“好き”になっちゃう❤」
 しなもんとここあの目の前に現れるやいなや、恍惚の表情で言い放つフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)。
 たった一言だけで、フィランサの精神が狂っていることがはっきりと認識できてしまう。
 そして、類は友を呼ぶのか、シエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)も同タイミングで転送されてきた。
「また会ったね!とシエナは歓喜します。だからわたしの『お友達』になってよ!とシエナはお願いします」
 シエナは先の近江市場での戦闘で、ここあからトラウマを刺激されて猟兵に覚醒された願いを増幅させられた。
 故に、しなもんとここあを殺して、自分の『お友達』……死体傀儡のコレクション入りを果たそうと此処まで追ってきたのだ。
「よりにもよって病み系猟兵が揃い踏みなんて……」
 しなもんは先の戦場で顔を合わせたことのある面子に嫌気が差している。
 それはここあも同様で、フィランサとシエナの勝手な物言いに憤慨していた。
「しなもんちゃんはわたしと一緒にいるの……! 他の誰からも愛されたくないし、まして『お友達』にもなりたくない……!」
 引っ込み思案なここあの強い主張に、猟兵達は反論。
「あれー? ちょっと前はあんなに必死で逃げ回ってたのに、死ぬのが怖くないんだ? あ、答えは必要ない! 内容はわかりきっているけれど」
 すかさずここあへフックシューターを放って絡めとると、フィランサは彼女を人質にするべく自身の腕の中へ手繰り寄せた。
「あは❤ ざーんねーん! しなもんちゃん、これで自爆できる? できないよね? みんな無事じゃ済まないよね?」
「し、しなもんちゃん!」
 不意を突かれたここあが拘束から身を捩る。
 そこへシエナがここあへ迫る。
「あなたは『お友達』になってくれるって言ったじゃない!とシエナは不満を抱きます」
 フィランサは狂った愛情表現を完遂するべく武器を取り、シエナは最初の『お友達』の願いを叶える為に隠匿された繰り手を露わにすると、親愛と好意を振りまきながらしなもんとここあを『お友達』に迎える為に迫る。
 だがここあもしなもんも断固として折れない。
 それだけ彼女らの意志は固く、猟兵達を打ち負かすという決意が漲っている。
 この言動はシエナにとっては(彼女の勝手な思い込みの解釈的に)裏切り行為であった。
 本来ならば先の戦場の発言を踏まえて、てっきり『お友達』の仲間入りを果たすと確信していただけに、見開かれた赤い瞳を怒りで満たさざるを得なかった。
「約束は守らなくちゃ駄目だよ!とシエナはここあを叱ります。なのでわたしと一緒に遊びましょう!とシエナはお友達候補との交流を始めます」
 ユーベルコード『ジュリエッタ・リーレイの願い』を発動させ、しなもんとここあを『お友達』にするために不利な行動をするたびに身体能力が増大する。
 だが、果たしてこの状況は不利と言えるだろうか?
 一方的に襲っているのは猟兵達で、ここあが人質になってる状況では、シエナは十分にユーベルコードの効果を発動できていない。
 ……もし仮に単体で挑んだどしても、ユーベルコードの相性的に状況は良くなったとは思えないが。
 それはフィランサも同様だ。いやむしろ状況はこちらの方が悪い。
 しなもんもそれを理解しているようだ。
「それで脅しのつもり? ……ここあ、覚悟はいい?」
「とっくに出来てるよ、しなもんちゃん!」
「え、まさか? うそでしょ?」
 しなもんがここあ目掛けて無我夢中で突っ込んでくる。
 当然、フィランサとシエナも傍にいる。
「この命、奪えるものなら奪ってみろ! うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
 しなもんの自爆特攻!
 ここあとフィランサとシエナが爆発に巻き込まれて吹っ飛ぶ!
「きゃあっ!」
「ああっ!」
「痛い!とシエナは叫びます」
 幸い、3人とも即死は免れたが全員瀕死だ。
 だがそれはしなもんの即時復活を許す結果となる。
 更に、フィランサは復活の際にユーベルコード『|生と死を繋ぐもの・贋作《フィクトゥス・ヤマラーヤ・ヘデラ》』で仕留めようとするが、爆発の衝撃で得物を掌から取りこぼしてしまった。
 そもそも、爆発時の防御について何も対策を立てておらず、彼女らの決意を甘くみた時点でフィランサの目論見は失敗していたのだろう。
「ほらね、ユーベルコードの相性は重要なんだ。ここあが辛うじて生きていればいくらでもアタシは蘇る!」
「そして、しなもんちゃんがすぐにわたしを復活させてくれる……これで形勢逆転だね」
 拘束されていたここあは自死することで、新たな肉体を得て復活。拘束から脱却する。
「えー? これじゃ愛せないじゃない! つまんなーい!」
「もしかして選択するべきユーベルコードを間違えた?とシエナは首を傾げます」
 この戦闘、戦術も気持ちも猟兵達を上回ったしなもんとここあの完勝である。
 ユーベルコードの相性と戦術を見誤った2人は、やむなく敗走することとなった……。

失敗 🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

箒星・仄々
恐るべきUCですけれど
私たち猟兵も力合わせて戦っています
お二人の覚悟をしっかりと受け止めて
海へ還して差し上げましょう

ランさんに騎乗して竪琴を奏で
公園の施設を変換して生み出した魔力で
内蔵や血を消し炭にしたり洗い流したりして
召喚の代償にならないようにします
これで召喚数を減らします

更にここあさんが死なないよう
炎や水の魔力で傷口を焼いたり出血を抑えます
一時凌ぎですが時を稼ぎます

聖餐獣さんの攻撃を
ランさんに回避してもらいながら
魔力の奔流でしなもんさんへ大ダメージを与えたら
ここあ&しなもんさんのお二人へ
一気に魔力を放ち同時に倒します

終幕
鎮魂の調べ
海でならお二人はずっとご一緒ですよ
静かな眠りを


四王天・燦
共感しないわけがない
眞由璃のように特異点となれないか投降と対話は呼びかけるよ
騙し討ちは警戒しとくが、されても怒らないぜ

聖餐獣は稲荷符撒き散らし、悪夢を醒ますような光属性の範囲攻撃で牽制する

しなもんに突撃してここあと同じようダメージ受けるよう…覚悟を決めて神鳴で斬るぜ
聖餐獣が迫らば逆手のアークウィンドで迎撃
多少の被弾は根性で耐えてしなもんへの攻撃優先だ

戦いながら二人のことを沢山聞いてみるよ
好きなこと・夢・生まれ育ち…
一緒に覚えておくためにね

二人が出血で意識がふらつきゃ弐式の炎を焚いて眠りに落とす
手を重ねてあげて一思いに幕を引くよ
死に分かたれず、骸の海でも二人でいられますように
どうか安らかな眠りを



 並々ならぬしなもんとここあの覚悟を前に、猟兵達は気を引き締めなおす。
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は空飛ぶメスのメカジキことランさんに騎乗して竪琴を奏で、ユーベルコード『トリニティ・シンフォニー』で周囲の無機物を炎の魔力・水の魔力・風の魔力に変換し、操作する。
「片方が存命ならば相手を即時復活とは。恐るべきユーベルコードですけれど、私たち猟兵も力合わせて戦っています。お二人の覚悟をしっかりと受け止めて、必ずや骸の海へ還して差し上げましょう」
「ああ、そうだな……」
 言葉少なに答えたのは四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)であった。
(共感しないわけがない)
 女性型オブリビオンへ対する特異な感情を持つ燦は、戦闘直前に彼女らへ言葉を投げ掛けた。
「なぁ、投降しないか? 土蜘蛛の女王の眞由璃は、猟兵達と協力関係にある。ケースバイケースだけどさ。そういう特異点に2人もなれないか? そうすればずっとふたりで……」
「悪いけど。アタシ達は動物園のパンダになるつもりはないんだ」
 しなもんがこれを拒絶。
 ここあも首肯すると、言葉を継いだ。
「誰かに囲われて、のうのうと平穏に暮らすつもりはないんだよね……わたし達は何処に行っても『世界の敵』だから。あなたの言ってることは結局『監視』と『軟禁』をわたし達に強いること。そこに自由はないよ」
「なるほどね……あくまでも戦って自由を勝ち取るってことか。そういうのは嫌いじゃないけどさ……残念だ」
 騙し討ちを覚悟していた燦は、相手が誠実に受け答えしてくれただけでも善しとした。
「じゃあ、始めようか。御狐・燦の狐火をもって陣を為せ。炎の生命力で癒しと安らぎをもたらさん――」
 突如、燦の周囲に133個の狐火を召喚する。
 これが開戦の合図となり、ここあが己の腹に爪を立てて肉を裂いて臓腑を外へ取り出し始めた。
「……ぃぃぃいっ! 聖餐獣「ギガンティックナイトメア」! あたしの血肉を喰らって猟兵を、殺して!」
 すると、ここあの周囲に巨大な怪物達が出現して彼女の臓腑や血肉を貪ってゆく!
 出てきたのは6体の聖餐獣。
 ここあはこれで大腸と膵臓と肝臓、そして血液の3割を失った。
「あ、あれ……? 12体、呼んだつもりだったのに……?」
 瀕死のここあが首を傾げた。
 その疑問は箒星のユーベルコードが指し示していた。
「すみませんが、その臓器は焼却させていただきますね。あと飛び散った血液は洗浄しましょう」
 竪琴の音色で変換された火と水の魔力が乱舞する。
 ココアの臓器を焼き払い、飛び散った血液は洗い流されてしまう。
 そして風の魔力で追い風を発生させたことで、騎乗しているランさんの機動力をアップ!
 その鋭い口吻で、次々と聖餐獣の急所を貫いて斃してゆくではないか。
「うそ、でしょ?」
 唖然とするここあ。次第に意識が遠くなってゆく。
「ここあ! 待ってて、今復活させてあげ……え、出来ない?」
 しなもんが「ふたりでひとり」が不発になったことを訝しがる。
 そこへ飛び込んできた燦が、紅の雷を纏った妖刀『神鳴』で斬りかかる!
「よそ見は厳禁ってね!」
「うぐっ!?」
 単純な斬撃のほかに、凄まじい電流がしなもんの体中に駆け巡ってダメージを与えた。
「なぁ、アタシは2人のことをもっと知りたいんだ。理解したいんだ。戦いながらでいい。色々教えてくれよ。ずっと2人を覚えておくためにも」
「断る! まるでアタシ達が負けるといわんばかりの口ぶりが特に気に食わないな!」
「あちゃ~、嫌われちゃったか」
 苦笑いを浮かべる燦へ聖餐獣が飛び掛かってくる!
「はい、予測済みっと」
 振るわれた風のナイフことアークウィンドが風圧の刃となって、聖餐獣の身体を木っ端みじんに斬り刻んでみせた。
「んじゃ、続きをやろか、しなもん? まだまだ話足りないんだ」
「コイツ、最初からアタシが狙いか!」
「ご名答。でも死なせない。自死もさせないよ。ギリギリのところまで追い込む。それがアタシの役割さ」
 燦は周囲に揺らめかせる大量の狐火ヲ横目で見遣った。
 しなもんも何故この狐火で攻撃してこないかを不審に思っていたが、次第にその意図が見えてきた。
「ふぁ……まさか、これ……催眠効果が……?」
「ようやく効いてきた? なかなか気付かれずにやるのって加減が難しいね」
 燦の放った『フォックスファイア・|弐式《セカンド》』の真の効果は『敵を眠らせる』ことだ。
 ギリギリまでダメージを与え、眠らせることで『ふたりでひとり』を使わせない。
 ユーベルコードの影響で多少は負傷が回復してしまうが、無力化できるのは大きい。
「なるほど、方向性は違えど、同じ考えでしたか」
 箒星もここあの傷を敢えて癒して延命をさせ、自決を未遂に留まらせて復活を阻止していた。
 同時に殺さぬ程度に猛攻を継続し、まさに生かさず殺さずの状況を作り上げていた。
「骸の海でならお二人はずっとご一緒ですよ。では、静かな眠りを。おやすみなさい」
 子守唄を竪琴で奏で始めれば、しなもんとここははもはや睡魔に抗えない。
 眠りに落ちたふたりを、燦は手を重ねてあげて黙とうを捧げる。
「それじゃ、一思いに……」
「ランさん、GOです!」
 2つの刺突がふたりに突き刺さる。
 その激痛でしなもんとここあは互いに目を覚ます。
 だが同時に死ねなかったようで、先に死んだしなもんが少し離れた場所で別の肉体を得て復活すると、ここあを自分の傍で甦らせた。
「あ、危なかった……! 今のはアタシ達、完敗だった……!」
「でもまだ運が味方してくれてるよ、しなもんちゃん……!」
 あと一歩のとこまで追い詰めたが、仕留め損ねた猟兵達。
 だが討伐の糸口は見えたきた……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春日・釉乃
【POW】
パートナーの魅夜(f03522)と共に

いくらUCの力で相方を蘇生できるからって、相方を犠牲にして戦うことが『ふたりでひとり』なんて思わない!
本当に二人で一人なら、どんなときも支えあって愛し合って添い遂げるために生きようって!

魅夜と手を繋ぎながら優しさの祈りをしなもんに叫んびつつ、盾受けのシールドスレイヴを前面に一斉発射
あたしがガード役になって魅夜の犠牲になると思わせて魅夜の方でしなもんの自爆特攻を防ぐ騙し討ちの作戦

その隙にここあを狙う…のではなく、早業で入れ替わってしなもんの方に鎧無視攻撃で【獨孤究剣】を攻撃力重視でトドメを刺すんだから


黒城・魅夜
釉乃(f00006)と共に

蘇るから愛する人が爆死しても構わない?
悲しみを乗り越えた決意のつもりですか
それは覚悟ではなくただの諦めと自暴自棄でしかありません、愚か者たち

釉乃の装甲からして彼女がガード役に回ると読むでしょうが
それはフェイント
呪詛を込めたオーラを展開
結界と為してしなもんの自爆特攻を柔らかく包みこんで封じ
早業で釉乃と入れ替わり相手を交代
ここあの動じた隙に見切りで踏み込み牙を突き立てます

かつて私と釉乃も世界に背き無限ともいえる別離を味わった
けれど今はこうして共にいます
愛するものと在り続けることこそ真なる覚悟

同時に倒すタイミングは第六感で測りUCで存在を破壊
その愚かさ
少しだけ……哀れです



 春日・釉乃(蒼薔薇のPrince・f00006)と黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は互いに愛を誓い合った固い絆で結ばれている。
 それゆえに、しなもんとここあのユーベルコード『ふたりでひとり』の有様に憤りを感じていた。
 釉乃は叫ぶ。愛する人の手を繋ぎながら。
「いくらユーベルコードの力で相方を蘇生できるからって、相方を犠牲にして戦うことが『ふたりでひとり』なんて思わない! 本当に二人で一人なら、どんなときも支えあって愛し合って添い遂げるために生きようって!」
 魅夜が嘲る。愛する人の指を絡めながら。
「蘇るから愛する人が爆死しても構わない? 悲しみを乗り越えた決意のつもりですか。それは覚悟ではなく、ただの諦めと自暴自棄でしかありません、愚か者たち」
 この言葉にしなもんとここあが首を振る。
「それは違う。どんなに愛し合いたくても、添い遂げるために生きようと心掛けても、アタシ達が世界の敵で在り続ける限り命を狙われる。だからここあがいなくならないように、取り戻せるためのユーベルコードだ」
「どんなに逃げたって、結局はこうやって猟兵は追い掛けてくるよね……? それを乗り越えるためにも、しなもんちゃんを失わないようにするために必要なんだよ……」
 これは見解の相違だ。
 釉乃と魅夜は過程を重視し、しなもんとここあは結果を重視する。
 仮に行き着く結論は一緒だとしても、この2つが相容れることはないだろう。
 釉乃はこれ以上の論戦は無駄だと諦めると、計九基の無線誘導端末による遠隔操作兵装『シールドスレイヴ』を起動させる。
「なるほど、そっちが盾役なんだ。それでアタシの自爆特攻を防げる?」
「自らを捨て駒にしますか。やはり愚かですね」
 魅夜が更に煽り立てると同時に、呪詛のオーラを発散させる。
 凄まじい圧迫感をここあが覚えて、思わず身を竦めてしまう。
「あの人、すごい気配……しなもんちゃん、気を付けて?」
「うん、わかってる。むしろ、あっちがここあへ飛び掛かってくるだろうから気を付けて!」
 しなもんも異様な圧を放つ魅夜を警戒するも、視線は盾を構える釉乃へ注がれていた。
「それじゃ、ここあ。リカバリーよろしく!」
 しなもんが駆け出す。
 釉乃へまっしぐらに突っ込んでゆく!
「そんな盾ごと吹っ飛ばしてやる!」
「やれるものならやってみなよ!」
 釉乃も挑発して身構える。
 だが、次の瞬間、釉乃はここあへ向けてシールドスレイヴを射出したではないか!
「えっ!? ここあ、避け――!」
 しなもんが振り返ると、盾の物量と衝撃で潰されるここあを目の当たりにしてしまった。
「うわあぁぁっ! ここあーっ!」
 絶叫するしなもんがすかさず『ふたりでひとり』でここあを蘇生させる。
「……え、わたし、死んだの?」
 唖然とするここあ。
 しなもんはここあを殺した釉乃を睨む。
「よくもここあを殺したな! でも盾を失ったアンタにアタシの自爆を防げない! 死ね!」
 しなもんが意を決して自爆!
 肉片と血液が周囲に飛び散り、釉乃を砕く……かに思えた。
 だがしなもんの骨肉と血液は、空中で真球状に真っ赤な壁を作り出す。
 見えない障壁に阻まれ、釉乃は無傷であった!
「釉乃の装甲からして彼女がガード役に回ると読むでしょうがそれはフェイントです」
「あたしがガード役として魅夜の犠牲になると思わせて、魅夜の方でしなもんの自爆特攻を防ぐ騙し討ちの作戦だ!」
 まんまと自爆を無効化されたしなもんが復活すると、忌々し気に猟兵を睨み付けた。
「まずい、これじゃアタシの攻撃が通じない!」
「ナイトメアを召喚しようにも、なんかわたしにも結界で覆われているみたいだよ、ここあちゃん……!」
 それだけ魅夜の呪詛結界の効果が凄まじく、この場でしなもんとここあが無力化されてしまった。
 これに釉乃と魅夜が反転攻勢に出る。
「隙あり! 型なしで型ありに勝つ――これがあたしのBLADE ARTSッ!!」
 狼狽する相手に釉乃の愛刀『白雲去来』が煌めく。
 相手の破綻、隙を見つけるメタ読みの剣法が最上段からしなもんを斬り付ける。
 魅夜もタイミングを合わせて、ユーベルコード『|飾り立てよその魂、優美なる牙の傷をもって《ファング・オブ・デスライト》』による肉体と魂の双方を穿ち破壊する牙を放つべく、女豹めいた低い姿勢から飛び出してゆく。
 そして超至近距離でしなもんを文字通り歯牙に掛ける!
「かつて私と釉乃も世界に背き無限ともいえる別離を味わいました。けれど今はこうして共にいます。愛するものと在り続けることこそ真なる覚悟を知るだけに――」
 2人の同時攻撃がしなもんとここあを襲う。
「その愚かさ、少しだけ……哀れです」
 魅夜の言葉が合図となり、猟兵ふたりがオブリビオンふたりの身体を斬り裂いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

七那原・望
えくるん(f07720)と参加

あなた達が外道かどうかはわたしにはわからないけど一つだけ確かな事があります。
あなた達の愛はとても深いけれど、わたし達の愛だって負けてない。そうだよね?えくるん。

そちらが比翼連理ならこちらも比翼連理です。

第六感と気配感知、心眼でしなもんさんとここあさんの行動を見切ります。
敵の攻撃を回避しつつユニゾンに魔力を溜めましょう。
敵の行動はえくるんが封じてくれるはず。

ありがとう、えくるん。後はわたしに任せて。

敵が完全に身動きを取れなくなったら素早くわたし、しなもんさん、ここあさんの順で直線上に並ぶように位置取りし、全力魔法のLux desireで二人を同時に消し飛ばします。


七那原・エクル
七那原・望と参加

もちろんさ、望♪

戦場でわざわざ言うことじゃないけれど、ボクと望の息ぴったりのラブラブ連携アタックを受けてみろ!(言ってて結構恥ずかしい)

ボクが二人の足止めをするから、望はまとめて撃破をお願い。

しなもんとここあより高い位置からデフレクターシールドG2の煙幕弾を発射、それに乗じてEディレーションガンを二人の足元めがけて連続射撃、避けられた場合は、時間停滞の電磁フィールドを二人の行動範囲を狭めて囲うように発生させていくよ。

さらに二人の間を縫うように鋼糸を張り巡らせて行動を妨害、捕縛ユーベルコードでしなもんとここあの手足をドラゴンの大顎を突き立てて行動封じ、あとは望頼んだよ!



「あなた達が外道かどうかはわたしにはわからないけど一つだけ確かな事があります」
 七那原・望(封印されし果実・f04836)がしなもんとここあへ語りかける。
「あなた達の愛はとても深いけれど、わたし達の愛だって負けてない。そうだよね? えくるん」
 隣に寄り添う七那原・エクル(ツインズキャスト・f07720)へ望が問えば、エクルがはにかみながら声を張った。
「もちろんさ、望♪ 戦場でわざわざ言うことじゃないけれど、ボクと望の息ぴったりのラブラブ連携アタックを受けてみろ!」
 なお、エクルの顔はトマトのように真っ赤になっている。
 結構恥ずかしかったようだ。
 これに、しなもんとここあも見せつけるように抱き合って、絆の強さを望とエクルへ対抗してきた。
「アタシとここあの相性は抜群だ! 色々とね!」
「し、しなもんちゃん……! 色々は余計だよ……! でも、わたしも同じこと考えてるから、ね……♪」
「ここあ、大好きだよ……!」
「しなもんちゃん、大好き……!」
 目の前でちゅっちゅイチャイチャし始めるオブリビオン側に、望とエクルも自然と手を繋いで仲良しアピールを欠かさない。
「の、望……! こっちも負けずに、ボ、ボクらも応戦しないと!」
 エクルはゴクリの喉を鳴らす。
 そしてソワソワと望の肩を抱き寄せようと、そっと手を回そうと試みる。
(なにもあそこまで見せつけなくていいんだ。でも望とくっつくくらい、ボクだって……!)
 顔を真っ赤にしながら、でも震える手をそっとそーっと望に近付かせる。
 すると、望がエクルへ告げた。
「あちらは比翼連理といったところでしょうか。でも、こちらも比翼連理です。ね、えくるん?」
「そ、そうだね! うん、今が攻撃のチャンスだ!」
 意外と冷静だった望の一言で我に返ったエクル。
 早速、前へ出て望を守る位置取りで身構えた。
「ボクが二人の足止めをするから、望はまとめて撃破をお願い」
「わかった。じゃあ、その間にいっぱい魔力を溜めるね」
 願望に応じ、数多の奇跡を引き起こす勝利の果実こと『真核・ユニゾン』へ、望の魔力が注がれ始めた。
 一方、エクルは名乗りを上げて、敵2人の注意を自身へ惹きつける。
「ガジェッターズ技術参謀! 鋼音のエクル! 推参だよ!」
 すかさずデフレクターシールドG2を展開し、2人の攻撃に備えるエクル。
 これにしなもんが躊躇せずに突っ込んでいった。
「そんな盾なんか吹っ飛ばしてやる! ここあ、リカバリーよろしく!」
「うん、頑張って、しなもんちゃん……! 派手に自爆してきてね……!」
 今から自爆する相手を笑顔で見送る光景はやはり異様だ。
 だがこの所作がしなもんの自爆ユーベルコードの威力を高めるのだ。
「いっけーっ!」
 しなもんの全力タックルからの自爆特攻!
 盾に激突した瞬間に起爆しようとしたしなもん、だったが……。
「そうはさせないよ! 煙幕弾、発射!」
 エクルの盾には煙幕弾と機関砲を搭載されているのだ!
「ゲホゲホ! ま、前が見えない!」
 途端に視界を塞がれて、しなもんの足が止まってしまう。
「やば……! ここあが襲われたら大変だ!」
 しなもんは焦る。
 自分が躊躇せずに自爆できるのは、ここあが生存して復活させてくれるからだ。
 この煙幕に紛れてここあが襲われれば、しなもんは迂闊に自爆が出来ない!
 やむなく、しなもんはここあの元へ駆け寄ろうと煙の中を彷徨う。
「ここあ! 無事なら返事して!? ってうわぁ!」
「そんなことさせると思った?」
 だがエクルがこれを許すわけもなく、Eディレーションガンによる電磁フィールド弾を乱射して時間停滞効果を二人に付与する。
 そして盾に備わった機関砲で掃射開始!
「よし、自爆は防いだよ! これでダメージを蓄積させて……さらに、さぁさぁガブッと!」
 エクルは『対象を束縛する|竜言語《ドラゴンロア》』をしなもんとここあがいる方角へ放つ。
 煙に紛れてエクルも認識不能化と思いきや、彼にはマトリクスバイザーという多次元視覚センサー機器という優れものを装着しているため、2人の位置は丸わかりなのだ。

【二人並んで留まれ】

 竜言語で命令されたしなもんとここあは、ドラゴンの大顎に噛み付かれて一直線に並んでしまう。
 そこへ、満を持して望の魔力が臨界点に到達!
「えくるんの大活躍のおかげで、わたしはまったく無傷のままで魔力を溜められたよ。えくるん、すごい」
「あはは、当然のことをしたまでさ、望♪ だって……」
「比翼連理、だもんね。わたしは、えくるんの妻だから」
 愛の言葉を確信的に言ってのけた望が、黄金の果実を掲げる。
「ありがとう、えくるん。後はわたしに任せて。全ての望みを束ねて……!」
 ユーベルコード『|Lux desire《ルクス・デザイア》』……発射!
 黄金の果実から眩い光量が煙幕の中を突っ切る!
 一直線に並んでいたしなもんとここあは、膨大な光の奔流に身体を身体に浴びて同時に倒れていった。
「やったかな?」
「望、それ言っちゃ駄目なやつ……!」
 エクルのツッコミが刺さった瞬間、煙幕が晴れて2人の姿が見えた。
 しなもんとここあは、まだ立っていた。
「コンマ1秒の差だったね……ここあ!」
「光の攻撃はさすがにタイミングがシビアだったね、しなもんちゃん……!」
 完全に同時タイミングでなければ殺せない事を、猟兵達は思い知らされてしまう。
 惜しくもあと一歩で討伐出来なかった望とエクルだが、そのコンビネーションは敵側をはるかに凌駕していたのは間違いなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルード・シリウス
先ずは下準備として血晶飴を喰らって自己強化。更に『刻印解放』発動。
神喰と無愧の二刀を用いて召喚された聖餐獣どもを喰らい、同時に攻撃も受けながら刻印解放の特性で二人を一撃で屠れる域まで自身を強化していく。攻撃を受けたらオーラ防御で少しでもダメージを抑え、捕食による生命力吸収等で傷を癒していく。
後は片割れを、この場合はしなもんを武器で串刺しにして動きを止める。
お前等には感謝している。その死なない能力とやらで、俺は更に前へと進める。無尽蔵に捕食出来る獲物なんて、そうそうお目にかからねぇからな。
助けに近づいてきた所で、二刀による連撃で同時確殺からの捕食を狙う。



 ルード・シリウス(暴食の神魔喰らい・f12362)が戦場へ戻ってきた。
 実に、半年ぶりの猟兵活動だ。
 かつて最前線でオブリビオンを幾度も屠った実力も、たった半年で置いて行かれてしまった。
 だが血に飢えた狼めいたルードの刃が錆び付いたわけではない。
 その証拠に、血晶飴を嚙み砕いて自己強化するルーティンは健在だ。
「久々だな……この、血の匂いが充満する空気……これが戦場だ」
 自らの血を染み込ませた漆黒の刀身を持つ暴食剣「神喰」と磔にした邪精を動力核とした鋸刃持つ巨大な大鉈こと呪詛剣「無愧」の二刀スタイルも変わらない。
「帰ってきたぜ……全てを喰らい尽くすために」
 しなもんとここあを見つめる目は、どう猛な猛禽類めいて鋭い。
 今までと雰囲気の違う猟兵の登場に、ここあが前に出る。
「しなもんちゃん……ここは、わたしがやるよ……!」
「こ、ここあ! でもそのユーベルコードは!」
 躊躇するしなもんへ、ここあが優しく微笑んだ。
「しなもんちゃんだって、わたしのために何度も命を捨ててくれた。だから、今度は私の番だよ……」
 そう告げると、ここあはなんと自分の皮膚を爪で裂き、肉を毟り取り、血液を撒き散らし、遂に臓腑を地面に零してみせた。
 己の身体を自身で解体する胆力にルードも眉を思わずひそめた。
 だがこれで終わりではなかった。
 ここあの溢れた血液や零れた臓腑を貪るべく、聖餐獣「ギガンティックナイトメア」12体が召喚された。
 巨大な偉業達はここあに群がって召喚者を喰らい尽くすと、更なる満腹感を得るべくルードへ襲い掛かってきた。
「自分の身を代償に召喚するのか。そしてもうひとりに即時復活させてもらう……ガキのくせにえげつないな」
 ルードが独り言ちると、たんっと軽く前へ踏み込んだ。
 たったそれだけで、3体の聖餐獣が細切れになって屠られてしまった。
「だがな……喰らう相手を間違えてるぜ。いい機会だ、弱肉強食の掟って奴を教えてやる……!」
 途端、ユーベルコード『|刻印解放・斬獲せし者《コード・カーネイジ》』を発動させるルード!
「俺の持てる総てを以てお前を喰らうと決めた。だから……俺の内に渦巻く憎悪と狂気、そして衝動を開放する」
 全身を漆黒の炎と身体に刻まれた呪詛の刻印で覆い尽くしたルードは、完全捕食モードへ移行した。
 敵から負傷するたびに戦闘力が向上し、更に呪われた二刀で敵を『喰らう』ことで更に攻撃力アップ。
 しかも生命力吸収能力によって、剣を振るって敵を殺すたびに体力回復できてしまう。
 ここでルードは3つ目の呪刀「闇斬」を鞘から抜くと、彼自身の血を吸ったブラックダイヤモンドの刀身をしなもんへ投げ付けた。
 強化された膂力は容易くしなもんの身体を貫通し、その場に縫い合わせてしまう。
「がハッ……!? からだの、ちからが……ぬけ、て……!」
「しなもんちゃん! ってこの刀、凄い呪詛……! なんであの人、こんな特級呪物をなんで平然と扱えるの……?」
 ルードの籠めた凄まじい呪力に汚染されるしなもんの姿に、為す術なく狼狽するここあ。
 それだけルードの身体は呪詛で溢れている証左だ。
「お前等には感謝している。その死なない能力とやらで、俺は更に前へと進める。無尽蔵に捕食出来る獲物なんて、そうそうお目にかからねぇからな……」
「駄目……しなもんちゃんは……私が守るよ! うわぁぁぁっ!」
 再び聖餐獣を召喚するべく自害するここあ。
 これにルードの双眸が爛々と輝いた。
「そうだ、もっと俺にお前等を食わせろ……。お前等の血肉、ユーベルコードを喰らって、俺は強くなる」
 ルードとここあの千日手が始まった。
 同時確殺を狙うも、手数が上回る敵側に阻まれてうまくいかない。
 しかし、ルードはこの戦いでしなもんを5人、ここあを8人、聖餐獣に至っては100体を超える数を『喰らって』力を取り戻してゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テラ・ウィンディア
【BH】
…少し心が苦しいな

それでも…彼奴らはきっと止まれない

何となく分かるんだ

「テラ…」

ここあを受け持とう

…おれには愛って奴が分からないが
それでも…お前らが愛し合ってるのは判る

だけど…それでも互い以外を否定するのはきっと…ダメなんだ

【戦闘知識】
常に二人のダメージの状況も把握

【属性攻撃】
炎属性を己と武器に付与

UC発動
【見切り・第六感・残像・空中機動・オーラ防御・武器受け】
飛び回りながら残像を残しながら相手の攻撃を回避
避けきれないのは二刀で受け止め
直感も駆使して二人の状態を把握してレーヴァとリーファに共有

【二回攻撃・切断・早業・串刺し】
二人と息を合わせての二刀の連続斬撃と槍の串刺しで同時撃破を狙う


レーヴァ・アークルージュ
【BH】
私はどちらも受け終えるよう後方で待機
幻属性爆弾を作り上げ、ギガンティックナイトメアを数千℃の炎を纏って防御

己と伴侶以外はどうでもいい、か…
旧いね。今は考えに考えて行動に移し、外界を取り込んで己の一部にするやり方の方が冴えているよ
それに、ろくでもない宝石がいるみたいだし…
ここでその終焉を焼却させてもらうよ!

瞬間、二人が蘇生すると同時に幻属性爆弾を起爆
二人だけを飲み込む幻属性式可能性・時空間浸食で同時撃破を狙う

…終わったね
致命傷を負った二人に幻属性で幻覚を見せる
それは二人が普通に愛し合うことが許された世界
そこでもし、二人が他人を少しでも容認できたなら…


リーファ・レイウォール
【BH】
しなもんを受け持つわね

体当たりしてきた、しなもんを受け止めるわ
ただし、残像にオーラ防御を纏わせたデコイで、だけど。
向こうの自爆と、組成蘇生のタイミングは、しっかりと見切らせてもらうわね
(技能:残像、見切り、オーラ防御)

蘇生したタイミングで、指定UCによる攻撃を撃ち込むわね。ズドンって感じで
(技能:貫通攻撃、零距離射撃)

レーヴァ、テラの2人とは、密に連携するわね
しなもんと、ここあ、どっちも同時に倒してあげないといけないみたいだし

この二人は、私達の旦那様の好みだと思うし
思う所がないわけではないけれど……
そこは、|表情《かお》にも、声にも出さないでおくわ



 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)、レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)、リーファ・レイウォール(Scarlet Crimson・f06465)の旅団仲間達が転送されてくる。
 テラはしなもんとここあを見るやいなや、その顔を曇らせた。
「……少し心が苦しいな。それでも……彼奴らはきっと止まれない。何となく分かるんだ」
 ただお互いを好いているだけなのに、なぜつらい選択をしてしまったのだろうか……。
 テラは物悲しそうに星刃剣『グランディア』を鞘から抜いた。
 彼女の傍らには、黒髪の女性の姿を象る三界神機『ヘカテイア』が心配そうに見守る。
「テラ……」
 差し伸べられたヘカテイアの手を、テラは押し留める。
「大丈夫だ、ヘカテ……」
 テラはここあを見据えて告げた。
「……おれには愛って奴が分からないが。それでも……お前らが愛し合ってるのは判る。だけど……それでも互い以外を否定するのはきっと……ダメなんだ」
「わ、わたし達は世界の敵だから……平穏に暮らしたくても、こうやって実際襲われてるし。世界がわたし達を殺すなら、わたしとしなもんちゃんで世界を殺して、ふたりでずうぅーっと一緒に居たい!」
「よく言ったよ、ここあ!」
 右拳を左掌でパシンッと受け止めて気合を入れるしなもんが頷いた。
「アタシ達は償い切れないほどの罪を背負ってるんだ。誰からも許されることはない事くらい、分かり切ってる。だから、そんな世界をぶっ壊して、ここあと2人っきりの世界を目指すんだ!」
 この決意表明をリーファが冷ややかに無言で見詰める。
(この二人は、私達の旦那様の好みだと思うし、思う所がないわけではないけれど……そこは、|表情《かお》にも、声にも出さないでおくわ)
 猟兵界隈で【緑髪のロリコン大魔王】の異名を持つ『旦那様』の顔を思い浮かべるリーファは、終始しなもんの挙動に注視していた。
 そして、テラとリーファの後方で腕を組み、仁王立ちで威圧感を放つレーヴァが2人へ言い放った。
「己と伴侶以外はどうでもいい、か……おかしな話だね?」
「なに? 文句あるの?」
「そ、そっちが襲ってきてるのに、それは勝手だよ……!」
 しなもんとここあの不服そうな態度を、レーヴァが一喝した。
「……『旧い』ね。今の主流は、考えに考えて行動に移し、外界を取り込んで己の一部にするやり方がマスト。そっと方がずっと冴えているよ」
 レーヴァの言葉は正しいだろう。
 猟兵は様々な世界を渡り歩き、その都度アップデートを果たしているのだから。
 しかし、猟書家や一部のオブリビオンでなければ、世界の隔たりを超えることなど出来ない。
 ゆえに、しなもんとここあにとっての『世界』はシルバーレイン世界がすべてであり、規範も判断基準もそこから逸脱することなど到底無理な話だ。『他世界』を知らないし、比較も出来ない。
 だから話が全く嚙み合わない。
「なんかあの赤い妖狐の人、さっきからなんであんなに偉そうなの?」
「……あれ、有名なアニメのキャラクターの立ち方だって、ネットで観たことあるよ?」
 つまり、小学生相手にレーヴァの話は難しすぎたのだ。
 レーヴァは肩を竦めてため息をつく。
「……そっか。そういえば2人は没時は小学生だったから、オブリビオンになったら姿や思考レベルはそこから進歩しないってことかぁ。まぁ、周囲にろくでもない宝石がいるみたいだし……ここでその終焉を焼却させてもらうよ!」
 レーヴァの周囲が紫色の炎に包まれる。
 臨戦態勢に入ったレーヴァを皮切りに、他の猟兵達とオブリビオン側も身構えた。
 飛び出したのはしなもんだ。
「まとめて吹っ飛ばしてやる! ここあ、頼んだよ!」
「うん……! 頑張ってね!」
 これから自爆する最愛の人を見送るここあ。
 猛ダッシュでまずはリーファへ向かって体当たりをしなもんが敢行!
「くらえ! アタシは何度だって自爆してやる!」
 この猪突猛進をリーファは黒赤の大鎌『Frisches Blut』の柄と刃で受け止める。
「馬鹿じゃないの? 体当たりを受け止めても、自爆で粉々になるよ! うわぁあぁっ!」
 途端、しなもんが血風と骨肉の破片を散り散りに撒き散らして爆発した!
 そしてすぐさま、ここあの傍らで復活を遂げるしなもん。
 だがその表情は疑念で曇っていた。
「おかしいよ、まったく手応えがなかった……?」
「それは当然よ。あなたが狙った私は、私が作り上げた幻影だもの」
 残像をオーラで実体化させた虚像を、その場で幾つも作り上げてゆくリーファ。
「さあ、どれが本物の私か分かる? どうせ復活するなら数撃ってみたら?」
「く、くそ……! やってやる! ここあ、頼んだよ!」
 しなもんは無数に増え続けるリーファの幻影に何度も突っ込んで自爆をするも、すべて空振りに終わってしまった。
 その様子を、リーファはただ攻撃をせずにじっと見守り続ける。
(ふうん……大体の行動パターンは読めたわ)
 リーファは自爆までの時間やタイミング、蘇生までのタイムラグなどをつぶさに観察していたのだ。
 そして総ての材料が揃ったとき、アイコンタクトでテラとレーヴァへ合図を送った。
「あら、もうへばったの? わたしに1回も命中していないじゃない?」
「ふ、ふざけないで! どんだけ数を増やせば気が済むのかな!?」
 ぜーはーと肩で息を切るしなもんが、また凝りもせずにリーファへ突っ込んでいった。
 しかも、今回は本物を狙って一直線だ!
「こっちも馬鹿じゃないよ! 本物と幻影の区別……見えてきた!」
「あら、これは想定外ね」
 まさか直接狙われるとは思ってなかったリーファは顔を引き攣らせた。
 このままではリーファは爆発四散!
 ナムアミダブツ!
 だがここでテラが動いた。
「グラビティフィールド……展開! くらえーっ!」
 テラは一気にマッハ13の超音速で低空飛行!
 向かう先はここあだ!
「えっ? し、しなもんちゃーん!」
「まずい、ここあ、伏せて!」
 生命線であるここあを襲われるのは、自爆特攻をするしなもんにとって泣き所だ。
 慌ててリーファからテラへ方向転換したしなもんが、超音速で突っ込んでくるテラの前へ飛び出した!
 すかさず自爆!
 テラは真正面から直撃する!
「うぐっ! でも効かないぞ!」
 テラの片手には、もう一振りの刃……錆鞘之太刀が握られていた。
 刃をクロスすることで衝撃を少しでも軽減してみせたのだ。
 しかも超重力フィールドによる堅い守りは、しなもんの自爆の威力を跳ねのけてしまう。
 ここあは急いでしなもんを復活させるも、目にも留まらぬテラの斬撃でバラバラに斬り刻まれて即死してしまった。
 だが、それを今度はしなもんが復活させてしまう。
 いたちごっこだ。
「くそ! 一瞬だけ遅かったか!」
 ほんのコンマ1秒でも遅れれば撃破は出来ない事実に、テラが思わず舌打ちをする。
 やむなく敵の頭上へ位置取り、細かく敵2人へダメージを蓄積させてゆく。
「リーファ! いけるぞ!」
「ええ、やりましょう、テラ?」
 テラがここあを狙い、リーファがしなもんを狙う。
 何度目かの相手の蘇生の瞬間、まずは後方で控えていたレーヴァが刮目!
「遥か高き者の幻焰よ。その夢も現も閃する劫火によって遍く世界の不条理を蝕み、弾劾の業火として焼き尽くしてほしい。これで終わりだよ」
 ユーベルコード『|夢も現も尽く征する臨界の幻焰《グラジュアルミラージュ・クイーンズフレイム》』で生成された、幻属性爆弾がしなもんとここあの中心で炸裂!
 紫色の炎が渦巻く中で、2人の周囲の空間が空間で見え始めた。
「致命傷を負った二人に今、幻属性で幻覚を見せてるよ。それは二人が普通に愛し合うことが許された世界。そこでもし、二人が他人を少しでも容認できたなら……ってね」
「いいぞ、レーヴァ! よしリーファ! タイミングを合わせろ!」
「分かってるわ。第八聖典が七巻目、解放――!」
 テラとリーファが敵の懐へ飛び込んでゆく。
 テラは超音速の二刀流で、リーファは聖典の一冊を武装に変換して突貫する!
「モード・グランディア! 斬斬斬ッ!」
「SEVEN.CODE:Skewer……『|聖典解放 -第七-《スクリプチュア・レリーズ》』……JUDGEMENT!」
 真紅の二刃がここあを斬り刻み、巨大なパイルバンカーがしなもんの身体を貫いた!
 手応えアリ!
 だが……。
「あ、危なかった! ナイスここあ!」
「えへへ……攻撃を喰らう前に、舌を噛み切ってショック死しておいて正解だったよ……」
 別の場所からしなもんとここあが出現してきたのだ。
 なんたることか。
 テラが攻撃したここあは『既に死んでいた』!
 故に、先にしなもんがここあを安全な場所に復活させ、リーファに刺殺されてからここあに復活させてもらったのだ。
「あの幻をよく打ち破れたね?」
 レーヴァの疑問に、しなもんとここあが断言した。
「アタシ達が望む世界は……」
「あんな世界じゃないからだよ」
 思い詰めた今の2人は、救いの手を差し伸べられても振り払うのだろう。
 かつて銀誓館学園の学生たちの差し伸べた手を振り払ったときのように……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
…ちょいとおめーらの資料はチラ見させて貰った…主に最後の方をな

…同情はしねーよ

おめーらは能力者達が伸ばした手を振り払った
互いさえいれば他はいらない…じゃねぇ
互いさえ居れば他がどうなっても…他の奴ら幸せも何もかもどうでもいい
がきんちょらしい視野の狭さだ

おめーらは愛し合ってるんじゃねぇ…唯の共依存だ
【戦闘知識・情報収集・視力】
だから叩き潰して…(UC分析…性質把握…極めて有益なUCは…

うっがぁぁぁ!!(絶望して膝から崩れ落ちる
「…発育のいい幼女…今からこの子達を…♥」(涎だらだら

…最後の慈悲だ
銀誓学園に二人共々投降しろ(死んだ目

そうか…なら…地獄に落ちろ(竜眼号に逃亡と共に絶望のUC発動

【集団戦術・念動力・弾幕・二回攻撃・捕食(?)・属性攻撃・医術】
「「ひゃっはー☆」」
「百合に挟まるぞ♥」
「寧ろ百合を挟むぞ♥」
「何度も復活できるって事は♥」
「何度も楽しめる♥」
「無限ループが完成しちまったなぁ♥」
「進めば無限だぞ♥」

念動光弾で蹂躙し動きを封じ
鎌剣で切り刻みイロイロする

必要時は治療さえ行う



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は神妙な面持ちで、しなもんとここあを睨み付ける。
「……ちょいとおめーらの資料はチラ見させて貰った……主に最後の方をな」
 ドスの利いた語気で言い放つカシムは、見下すように2人へ視線を送る。
「……同情はしねーよ。むしろ因果応報じゃねーか。おめーらは能力者達が伸ばした手を振り払った。互いさえいれば他はいらない……じゃねぇよアホか? 互いさえ居れば他がどうなっても……他の奴ら幸せも何もかもどうでもいい、なんつークソ甘ぇー結論なんざ、所詮ガキんちょらしい視野の狭さだ」
「そ、そんなことはないってば!」
 しなもんの反論に、ここあも必死にこくこくと首肯して同意する。
 だがカシムはこれを鼻で笑い飛ばすと、更に追撃の言葉を浴びせた。
「そーゆーとこだっつーの。小学生が愛だとか世界だとかイキッてんじゃねーぞこら? おめーらは愛し合ってるんじゃねぇ……そいつは唯の共依存だ。それが分からねーから銀誓館の奴らに負けたんだ。だからこの場で叩き潰してやるよ……」
 カシムの凄みに、しなもんとここあが気圧されて黙りこくる。
 このまま一気にユーベルコードで押し切ろうとするカシムが最適なユーベルコードを模索する。
 で、その結論にカシムはいきなり吐き気を催した。
「うががあああっ! ふ、ふざけんな! よりにもよってこんなシリアスに決めたい時に限って……」
 膝から崩れ落ちて絶望するカシム。
「…発育のいい女子小学生……今からこの子達を……♥」
 一報、相棒のメルシーが既にスタンバイしている。
 今から条例でお見せ出来ない光景が繰り広げられると悟ったカシムは、しなもんとここあへ告げた。
「……最後の慈悲だ。銀誓学園におめーら共々投降しろ」
「は? いまさらそんなことできるわけないよ!」
「そ、そうだよ! 最後まで戦うよ!」
 徹底抗戦の構えの意思を聞いたカシムは、上空に飛空戦艦『竜眼号』を召喚すると、そのまま光の柱の中へ吸い込まれて天へ昇ってゆく。
「そうか……なら……地獄に落ちろ」
「「こっから先はR18禁だぞ☆」」
 次の瞬間、134師団単位に分身した幼女メルシー達が雪崩のようにしなもんとここあへ殺到する!

【ここから先は音声のみの記録で閲覧可能です】

「「ひゃっはー☆」」
「百合に挟まるぞ♥」
「寧ろ百合を挟むぞ♥」
「何度も復活できるって事は♥」
「何度も楽しめる♥」
「無限ループが完成しちまったなぁ♥」
「進めば無限だぞ♥」
「このまま2人の取締エリアへ突入だぞ❤」
「これはキツイぞ❤」
「あっあっあっあっ❤」
「メルシー、いっきまーす❤」
「波動砲、発射❤」
「あ、自爆も自傷も駄目だぞ❤」
「治療して死なせないぞ❤」
「がんばれ❤ がんばれ❤」

「いや、これアウトだろ」
 カシムは竜眼号の艦内で、自ら下した結論に後悔する。
「苦戦してもいいから、別のユーベルコードを選択するべきだったな……」
 カシムは賢者モードで惨劇が終わるのをただひたすら安全圏から見守る他なかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フラーウム・ティラメイト
情報収集と視力と第六感で敵の二重殺のタイミングを狙う

常に【恐怖を与える・覇気・呪詛】を
発動する

行きましょう…オベイ

『ケー!』
オベイも返事をしてくれた
同時発動UCは因果獣神皇オベイ・ディストピア

変身ですよ…
グォォォォォォォォォ!
UCと同時UC発動します

敵の攻撃は結界術と念動力で強化する

敵のUCは因果断絶属性攻撃を纏った鍵剣で迎え撃つ

増殖した私は生命力吸収と魔力吸収を纏った斬撃波を放つ

私は生命力吸収と魔力吸収を纏った矢弾の雨を放った

タタリさんの呪詛を食べたオベイの力です。マイペースなソラウさんが自尊心失うレベルですよ?

敵が隙を見せたら片方の敵に不可視の鳥を放つ
動きが止まった敵にも不可視の鳥を放つ

では幕を引きましょう…
『ケー!(悪くなかったね)』
私は呪殺弾と斬撃波をそれぞれ敵に放った



 フラーウム・ティラメイト(因果獣と因果を喰らう者『オベイ』を宿す探究者・f38982)は銀誓館時代を知らない。
 故に、オブリビオンとはいえ、いきなり女子小学生に殴りかかる。
「行きましょう……オベイ」
『ケー!』
 カラスのような何かが返事をすると、突如フラーウムの姿が禍々しい姿へ変貌を遂げる。
「変身ですよ……グォォォォォォォォォ!」
 渦眼で両腕に牙の様な剣を持ち、周囲に浮かぶ銃を召喚。
 その背中にはチェンソーの翼を生やして死霊のマフラーを首に巻く。
「うわ、こいつ躊躇せずに殺しに来てるよ、ここあ!」
「しなもんちゃん、あれをやろう……!」
 慌てたしなもんがここあから悪夢を取り出す。
 ここあの悪夢世界から夢魔ナイトメアの群れを放出し、戦場内全てのふたりに敵対する対象を無力化する。
 無数の夢魔ナイトメアの群れがフラーウムへ一斉に圧し掛かって抑え込んでしまった。
「これであの怖い猟兵も無力化されて……」
「えーい」
「いったぁぁぁい! なんで!?」
 しなもんは鍵剣で斬り付けられて動揺する。
 フラーウムの攻撃が何故か無力化されていないのだ。
 しかも自傷しまくってどんどん数が増え続けているではないか!
「ちょ、ちょっとストップ! さっきのナイトメアの群れは!?」
 しなもんの問いにフラーウムが指差した先にあったのは、ナイトメアの死骸の山だった。
「殺しましたけど?」
「だから何で無力化されないの!?」
 混乱するしなもん!
 フラーウムは異形の姿のまましなもんへ歩み寄ってゆく。
「これがタタリさんの呪詛を食べたオベイの力です。マイペースなソラウさんが自尊心失うレベルですよ?」
「いや誰のこと?」
「因果を操る能力ですので、そっちのユーベルコードが発動する前に無力化の因果を書き換えさせていただきました」
「他人の話を聞かない人だ、この人! 友達居なそう! っていたたた! 何か見えないものに頭を突っつかれた!」
「あ、それ、私の放った不可視の鳥さんです。矢を降らせますよ?」
「うわあぁぁ! なんで鳥が矢を降らせるの!? やばい、ここあを守らなきゃ!」
 空から降る矢の雨を、身を挺してここあを庇うしなもんがあちこち走り回る。
 ああもう滅茶苦茶だよ……。
 ギミックブレイカー過ぎるフラーウムのユーベルコードに、後方で遅れてやってきた猟兵達も「なんだこいつ」みたいな顔で見詰めている……。
「あとが控えているみたいなので、幕を引きましょう……」
『ケー!(殺せなかったが悪くないな)』
 とりあえず雑に鍵剣を振るって衝撃波を2人へぶつけたフラーウムは、マイペースに戦場から立ち去っていった……。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

面倒な。こういう時は裏ワザに限る。
ま、要はするに殺さずともオブリビオンで無くせばいいのだ。このサイキックヴァンパイア式戦闘料理で|食材《人間》化すればいいのよ。私は他者に寄生しそのエナジーを糧にするサイキックヴァンパイア、|料理《エナジー》の材料たる人間は私にとってはれっきとした食材よ。そして、|食材《人間》化は死ではないのでふたりでひとりの対象外です♪
で、自爆特攻かぁ、健気で結構。でも、私はエナジーを糧にする。運動エネルギーだろうが位置エネルギーだろうは魔法だろうがエネルギーはエネルギー、魔力に変換して|大食い、魔力吸収、魔力供給、エネルギー充填《うまー、おいしい☆》である。残念、私がエネルギーを喰らったことでしなもんが戦闘不能になるには威力が足りません、そして、ようこそ私の腕の中へ♪自害なんて認めるわけないでしょ、禁呪をもちて死を|封印術《禁じて》詩を許す。
ほらここあ早く助けにこないとこのまましなもんにキスしちゃうぞ☆
はぁ、百合尊いわ❤


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※絡みアドリブ大歓迎

発育良好JS百合?許せる♡…とはいえ尊くても
オブリビオンの罰として一度滅んでもらおうか
だから救済案はあるけどソレはナイショ♪

例外処理【CI・エスポワール】実行…【|8《ユイ》】、予言は?
なになに?『心を開くはまつろわぬ神、魂を軛から解き放て』?
…OK♡

◆戦法
【シフト・T】で愛機をドレスに変え纏い膂力と機動力を確保
《瞬間思考力》で2人(と聖餐獣)の隊列と動きを読んだら
【サルース・B】を質量増大で急速伸長させ全員の心臓を刺突
その際【セレス】のワープゲート複数を展開する事で
『全方向からの一筆書き』で一度に全員を攻撃してUC対策

◆予言成就
2人の『心』…心臓へ神剣を直接同時に叩き込む事で
『束縛特攻』によりオブリビオンの肉体&宿命と重篤共依存から開放
その隙に『魂』…精神等を完全複写、後日ユベコ要員として再構築

◆後日の企み
再構築の際に認識や記憶を少々好意的な方向へ弄り
リリー先生達他の女子が絡みやすい様に微調整する予定
(救済拒絶を防ぐ為の策略&お仕置きとしてソレは告げない)



 リーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)とアリス・セカンドカラー(|不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)が転送されてくる。
 だが2人は今までの猟兵とは毛色の違う反応を、しなもんとここあに見せていた。
「発育良好|JS《女子小学生》百合? 許せる♡」
 熱っぽい視線をしなもんとここあへ送るリーゼロッテ。
 オブリビオンとはいえ小学生女児へ向ける視線ではない気がする。
 対してアリスは億劫そうに彼女らを見詰めている。
「勝利条件が同時討伐? 面倒な。こういう時は裏ワザに限る」
 しなもんはただならぬ気配のアリスに喉を鳴らした。
「う……なんだか凄い圧! ここあ、気を付けて!」
「うん、しなもんちゃんこそ!」
 身構えた2人に対して、リーゼロッテがにやけながら言ってのけた。
「……とはいえ尊くても、オブリビオンの罰として一度滅んでもらおうか。だから救済案はあるけどソレはナイショ♪」
「救済案はあるけど言わないのね。だったらわたしは救済策を教えてあげるわ。ま、要はするに殺さずともオブリビオンで無くせばいいのよ」
「どういうこと……?」
 オブリビオンであるしなもんは、アリスの言葉の意味を理解しかねる。
 これにアリスが丁寧に解説し始めた。
「オブリビオンじゃなくなればユーベルコードだって使えなくなるから、私のユーベルコード『サイキックヴァンパイア式戦闘料理』で|食材《人間》化すればいいのよ。私は他者に寄生し、そのエナジーを糧にするサイキックヴァンパイア。|料理《エナジー》の材料たる人間は私にとってはれっきとした食材よ。そして、|食材《人間》化は死ではないので「ふたりでひとり」の対象外です♪」
「つまり生きながらにして喰らうって事? そういうのもあるんだね?」
 闇医者であるリーゼロッテにとっては、それもオブリビオンにとってはある種の仕置になる事を理解できた。
 だがあくまでもリーゼロッテは、自分の秘する野望のために2人を打倒するのだ。
「さあ、オペの時間だよ。|Op.NULL《例外処置》:|C.INFINI [EP]《コデアンフィニ・エスポワール》実行……それじゃ【|8《ユイ》】、予言は?」
 独自意思を持つ預言書型メガリス『|8《ユイ》』へ、ユーベルコードのトリガートなる問い掛けをするリーゼロッテ。
 すると、メガリスから帰ってきた言葉に耳を澄ます。
「なになに? 『心を開くはまつろわぬ神、魂を軛から解き放て』? ふうん……OK♡」
「そっちも何か腹に抱えてるの? 喰えないわね?」
 アリスの視線にリーゼロッテが苦笑した。
「えー? いつもアリスさんの依頼でイロイロさせてもらってるのに、今更それ言っちゃう?」
 リーゼロッテはグリモア猟兵であるアリスの担当した依頼に何度か参加していたため、2人の面識自体はあるのだ。
 そこを指摘されると、アリスも全くの赤の他人ではないリーゼロッテの行動原理を思い出したようで目を細めた。
「そうだったわね……で、どっち担当? 私はしなもんで」
「じゃあリリー先生は気弱系健気JSのここあちゃんで♡」
「きれいに好みが分かれたわね。でもどうせ『2人纏めて』お持ち帰りするんでしょ?」
「いやだなーお持ち帰りだなんて、誘拐犯じゃあるまいし? ただちょーっと概念や因果や運命なんかを一時的に改竄したいってだけ♡」
「ふうん、ま、私は|えっちなのうみそ《サイキックエナジー》を食べられればそれでいいんだけど?」
 2人の会話に、当のしなもんとここあは戦々恐々だ。
「やっぱり、今までの猟兵とは何かが違う……ここあ! アタシいってくる!」
「うん……すぐに復活させてあげるね?」
 ここあに見送られ、しなもんがアリスへ目掛けて猛ダッシュして突進していく。
「木っ端微塵になれー!」
 あと数秒もすれば、突っ込んできたしなもんが爆発四散してアリスも巻き込まれてしまうだろう。
 だがアリスは至極冷静に……むしろ興覚めに近いほど落ち着いた態度で事を進める。
「自爆特攻かぁ、健気で結構。でも、私はエナジーを糧にする。運動エネルギーだろうが位置エネルギーだろうが魔法だろうが、エネルギーはエネルギー。全部まとめて魔力に変換して……」
 その魔力を吸収して喰らい尽くし、自らの糧にするユーベルコードを発動しているアリスの前では、自爆特攻すら封じられてしまう。
「うまーい、美味しい☆ そして、捕まえた♪」
「うわ! なんで!? アタシ、死んでない!?」
「残念、私がエネルギーを喰らったことでしなもんが戦闘不能になるには威力が足りません。言ったはずよ? しなもんは今、私のユーベルコードで一時的とはいえ|食材《人間》化してるのよ。ユーベルコードを持たない、ただの一般人のしなもんが……ユーベルコードを発動させてる|サイキックヴァンパイア《猟兵のこの私》に勝てるとでも? そして、ようこそ私の腕の中へ♪」
 殺さずに勝つとは、そういうことであった。
 何も知らずにタックルしてきたしなもんは、意外と力の強いアリスの腕の中でがっちりとホールドされて逃げられない!
「しまった! だったら無理矢理にでも自決して……!」
「自害なんて認めるわけないでしょ、禁呪をもちて死を禁じて詩を許す。これでもう何も抵抗できません♪ 観念しなさい♪」
「あぁ、うぅ……力が、抜けてく……からだが、あついよ……」
 アリスの|リリス《淫魔》めいた呪力が、しなもんの身体に熱を籠らせて自由を奪ってみせる。
 この一部始終を眺めていたここあが怒髪天を剥く勢いで激昂!
「し、しなもんちゃーん!! その手を……放して!」
 ここあが自分の腹を裂いて聖餐獣の群れを呼び出そうとした、次の瞬間だった。
「それは既に予測済みだよ♪ そして予言の内容は覆らないんだ。ごめんね?」
 ここあが腹を裂く前に、愛機のキャバリアをドレスアーマーとして纏ったリーゼロッテがルース・ブレイドを射出!
 途端に質量を膨張させて伸長した刃が、ここあの心臓を貫いていた。
 そしてその刃は、しなもんの心臓にも同時に突き刺さる。
 リーゼロッテの武装の中にはワープゲート複数を展開可能な特殊スラスターを有しており、これによってここあの心臓内にワープゲートを生成してしなもんの心臓と直結するような形で刃を『一筆書き』したのだ。
「2人の『心』……心臓へ地母神神剣を直接同時に叩き込む事で『束縛特攻:まつろわぬモノ』により、オブリビオンの肉体と宿命、そして重篤な共依存状態から解放させるよ」
「あら、救済策とやらの手法は違えど、方向性は似たり寄ったりだった?」
 何が起きたのかを瞬時に把握した勘のいいアリスが、自分の腕の中で血を吐くしなもんを慈悲深く看取る。
「ほらここあ? 早く助けにこないと、このまましなもんにキスしちゃうぞ☆ はぁ、百合尊いわ❤」
「わかりみしかない……! 百合は素晴らしい!」
 アリスとリーゼロッテはここで初めて見解の合致を得られた。
 オブリビオンとしての特性を一時的に失ったしなもんとここあは、そのまま為す術なく死に絶えてゆく。
 仮とはいえ、異能を失った人間が埒外の存在の奇跡に抗えるわけもなく、緩やかに2人はそっと……あっけなく息を引き取っていった。
 あれだけ激しく戦った2人にとって、ここまで穏やかな死に際を誰が予想できただろうか。
「ふう、上手くいきすぎて逆に心配しちゃったよ。アリスさんもお疲れ様! じゃ、リリー先生はこれにて……」
「さっきの剣と預言……つまりそういうこと?」
 アリスの含みある言い方に、リーゼロッテは振り返って首を傾げた。
「何のことかなー?」
「私の依頼に入っていていて、その言い草が通用するとでも? 大方、何か2人から『持ち帰った』のでしょう?」
 アリスの指摘は的確であった。
 彼女も自身の依頼で色々とリーゼロッテが行ってきた行為はみてきているので、考えは薄々読めてしまうのだろう。
 リーゼロッテも観念したようで、その計画内容を吐露し始めた。
「まず……2人に救済の拒絶をしてもらいたくなかったんで、話の内容を伏せていたんだよ。でね、持ち帰ったのは『魂』の鋳型さ。あとでユーベルコードで彼女らの『復元』を試みるつもりでね? うまくいけば一緒に戦ってくれるはずさ♪」
 再構築の際に認識や記憶を少々好意的な方向へ弄って、リーゼロッテ本人や他の女子が絡みやすい様に微調整する予定……だが、これはアリスにいうことではないので最後まで伏せた。
 そうとは知らないアリスは、やっぱりかという顔で告げた。
「またリリー先生のハーレムの人員が増えるのかしら? ま、こっちも色々ごちそうさまでしたってことで♪ やっぱり、えっちなのうみそとゆりはおいしいです♪」
「イエス、小学生女児! 百合最高♡」
 リーゼロッテが差し出した右手を、アリスががっちりと掴んで握手。
 2人の間に『女児百合を愛でる絆』が発生し、今後は確率で絆技・極が発生可能となった。

 こうして、しなもんとここあの最期は穏やかな幕引きとなった。
 シルバーレイン世界の薔薇園で、可憐な百合の花2輪が今……美しく散った。

<了>

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月21日


挿絵イラスト