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第二次聖杯戦争⑯〜彼こそは最凶(?)の魔狼の統率者

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #フェンリルを統べる者

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「第二次聖杯戦争への参戦に感謝します。リムは戦況を報告します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は金沢市内の地図を広げ、語り始めた。
「皆様の活躍によって金沢市に布陣するオブリビオンは攻略されつつありますが、|銀の雨が降る時代《シルバーレイン》の強敵達も続々と戦場に姿を現しつつあります」
 かつて銀誓館学園の能力者を苦しめた敵が次々と立ちはだかる中、オブリビオン・フォーミュラ『揺籠の君』と、この戦争のキーパーソンである『ハビタント・フォーミュラ』はまだ姿を見せていない。開戦から早くも1週間が過ぎようとしているが、戦況はまだ予断を許さない状況だ。

「今回皆様に依頼するのはフェンリルを統べる者『震えるミント』の撃破です」
 震えるミントは|銀の雨が降る時代《シルバーレイン》において、数々の戦争を生き延びた人狼騎士団のゴーストウルフである。だがそれは偶然に助けられたところが大きく、本人の強さはハッキリ言って大したことはない、というか弱い。最終的には銀誓館学園の能力者にあっさり倒されてしまっている。
「しかし幸運とはいえ多くの激戦から生還した実績から、人狼騎士団内ではちょっとしたアイドルのように扱われていて、噂によると銀誓館学園側にもファンがいたとか」
 そんなミントはオブリビオンと化した後も妙に慕われており、そのカリスマ性(?)に目をつけたハビタント・フォーミュラによって「魔狼フェンリル召喚術」のユーベルコードを移植され、統率者に仕立て上げられた。本人の実力はまったく変わっていないが、大量のフェンリルを召喚・使役する能力は強い。

「現在、震えるミントは石川県庁前にいます。その頭上にはハビタント・フォーミュラから移植された膨大な魔力が『無限大マークの渦』となって顕現していて、近付くとフェンリルの群れが出てきます」
 ミントを慕っているフェンリル達は、ミントに危険が迫ると勝手に召喚されてきて猟兵に襲い掛かってくる。彼らは1体1体が巨体かつ強大なオブリビオンであり、とてもではないがまともに相手をしている余裕はない。
「攻略法は2つ。ミントを倒すか、『無限大の渦』を破壊するかです」
 統率者であるミントを倒すのはもちろん、フェンリルにパワーを供給している「無限大の渦」を破壊した場合でも敵を全滅させられる。どちらにせよ呼び出されるフェンリルの大群をかわしながら実行することになるので、簡単ではないだろうが。

「どちらの攻略法を選ぶかは皆様の判断にお任せします。難易度としては大差ないので、各自がやりやすい方、もしくは好みで選んでも大丈夫でしょう」
 正直ミント自身は見逃しても大して問題ないくらいだが、魔狼フェンリルの召喚能力をこのまま放置するのは危険過ぎる。ハビタント・フォーミュラのような悪いオブリビオンに、その力を利用されてしまう恐れもある。
 というわけでよろしくお願いしますと、リミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、石川県庁前に猟兵達を送り出すのだった。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回の依頼は魔狼フェンリルの統率者……にされてしまったゴーストウルフ『震えるミント』の攻略です。

 このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……フェンリルの群れに対処する。

 震えるミント自身は弱いですが、ハビタント・フォーミュラに移植された『魔狼フェンリル召喚術』の効果で、彼を守るためにフェンリルの大群が(勝手に)出てきます。
 フェンリルは1体1体が強敵なので、まともに相手をするよりは上手くかわしつつ、統率者であるミント本体を倒すか、空中に浮かぶ「無限大の渦」を破壊してフェンリルへのパワー供給を断つほうが良いでしょう。
 ミントか渦のどちらか片方でも破壊できればフェンリルは全滅し、猟兵の勝利となります。渦だけが破壊された場合、ミントはきゃんきゃん鳴きながらどっかに行きます。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『フェンリルを統べる者『震えるミント』』

POW   :    なぜかフェンリルに慕われている
【魔狼フェンリル】を召喚する。騎乗すると【フェンリルの毛並みに隠れた】状態となり、【フェンリル頼みのパワー】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
SPD   :    けなげっぽい目で見つめて噛み付く
【かみつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【顔】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    くぅ〜ん、きゃんきゃん!
自身が【ぷるぷる不安な気持ち】を感じると、レベル×1体の【魔狼フェンリル】が召喚される。魔狼フェンリルはぷるぷる不安な気持ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:吉希

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

紫・藍
あやー。
アイドルの語源は偶像とのことでっすがー。
まさにその通りなようでっしてー。
かつての戦いでも怖がってらっしゃるのに過度の期待を背負わされ戦場に駆り出された様子。
今回もまた望まぬ役割を押し付けられたようでっしてー。
でしたらその重し、藍ちゃんくんが粉砕しちゃうのでっす!

歌うのでっす。
優しい歌を、穏やかな歌を、静かな歌を。
危機を感じさせず、恐怖も不安も癒やす歌を。
それでもフェンリルさんが出てきてしまった場合も攻撃しないのでっす。
傷つくのを見るのも怖いでしょうから。
攻撃するのは唯一つ!
ミントさんにのしかかる重しであるその「無限大の渦」のみ!
数や毛並みに阻まれようともこの歌は元凶へと届くのでっす!



「あやー。アイドルの語源は偶像とのことでっすがー。まさにその通りなようでっしてー」
 石川県庁周辺に召喚される大量のフェンリルの群れ。その真ん中に守られるようにいる1匹のゴーストウルフ――『震えるミント』を見つけた紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は呟く。それはミントに加えて、この状況そのものに対しての感想だろう。
「かつての戦いでも怖がってらっしゃるのに過度の期待を背負わされ戦場に駆り出された様子。今回もまた望まぬ役割を押し付けられたようでっしてー」
「くぅ~ん、きゃんきゃん! ぷるぷる……」
 魔狼フェンリル召喚術という強大な力を与えられても、ミント自身は完全に怯えきっている様子だった。自分を守らせるという形で結果的に統率には成功しているので、素質はあったのかもしれないが。本狼がこんな状況を望んでいないのは傍目にも明らかだった。

「でしたらその重し、藍ちゃんくんが粉砕しちゃうのでっす!」
 そう言って藍は【藍音Cryね】を発動。攻撃の意志はないと示すように、両手には何も持たずに歌い始める。
 あるがままの祈りや願いを胸に、心を込めて歌う。それは理屈も条理も調節する音楽というユーベルコード。
(優しい歌を、穏やかな歌を、静かな歌を。危機を感じさせず、恐怖も不安も癒やす歌を)
 戦場では場違いなほど安らかな歌声が、伸びやかに響き渡る。それを聞いたミントの耳がピクリと動いた。
 彼が音楽を理解できるかは解らないが、それでも、この声に込められた温かい気持ちは伝わったのだろう。

「きゅぅ~ん……?」
 恐怖を癒やすユーベルコードの歌声によって、ミントの震えがちょっとだけ収まる。それでもフェンリル達は彼に近付くものを敵とみなすようで、彼の意思とは無関係に襲い掛かってきた。こちらは香林坊商店街で確認された個体と同様、1体1体が強大なオブリビオンである。
「ウオオォォォォンッ!」
 勇ましい咆哮を上げて噛みついてくる魔狼の群れを、しかし藍は迎え撃とうとはしなかった。華麗なダンスのステップで身を躱しつつ、歌を続けるだけで攻撃しない。彼にとってはミントを守るフェンリルも傷つけるべき敵ではないのだ。

(フェンリルさんが傷つくのを見るのも怖いでしょうから)
 藍はそう考えていてもフェンリルは意を汲んでくれず、次第に周りは巨大な魔狼の群れに取り囲まれていく。
 しかし彼が臆した気配はない。眼前にいる脅威よりも、その視線は上空の「あるもの」へと向けられていた。
(攻撃するのは唯一つ! ミントさんにのしかかる重しである、その「無限大の渦」のみ!)
 【藍音Cryね】は肉体的には一切のダメージを与えずに、対象が抱える悲しみや恐怖の原因のみを破壊する。
 あんな「力」さえ与えられなかったら、ミントが無理やり戦場に立たされることも無かった。こんな風に猟兵と戦わされることも無かった。だから、望まない力なんてこの歌で消し去ってしまおう。

「数や毛並みに阻まれようとも、この歌は元凶へと届くのでっす!」
 天まで響けと高らかに紡がれた歌声は、「無限大の渦」を構成する膨大な魔力を少しずつ削り取っていく。
 あの魔力源が失われればフェンリル達は存在を維持できず、やがて消滅する。群れには明らかな動揺が走る一方で、ミントは何が起きているのか分からず困惑していた。
「グ、グルルッ!」
「きゅ~ん……?」
 攻撃はより苛烈になるが、それでも藍はギリギリまで歌うことを止めない。少しでも渦の魔力を削り、ミントの負担を軽くするため。武器も暴力も用いないそのスタイルが、本人にとっては真剣な「戦い」であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
なんだろう屍山血河が逆巻く怒涛の戦場で
錚々たる強者達に混じって全く以て予想外なのが出てきましたね????
ハビタント・フォーミュラ…
|犬派だったか《だってこんな敵マニアック過ぎるでしょ》

◆滅尽の暁光
※キャバリア戦闘
副次的な威力が強すぎて…普段は取り回しが悪すぎるんですが今回は逆に好都合かもしれない

ミントを狙って対消滅兵器の破壊砲|を発射します《焼却+限界突破》
フェンリル達が彼の肉の盾となりかばいに入ったら
コックピットハッチから飛び出し火炎耐性+切り込みで爆心地を駆け抜ける

クライミング+ジャンプで十重二十重にミントにボディプレスしたフェンリルの群れを足場にして
無限大の渦に戦輪を乱れ撃ちで投擲します



「なんだろう屍山血河が逆巻く怒涛の戦場で、錚々たる強者達に混じって全く以て予想外なのが出てきましたね????」
 ここまでの戦争でも数々のオブリビオンや過去の強敵を撃破し、世界を守るために戦ってきた戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)そこにぽつねんと立ちはだかる――いや、その表現も正しくはない、放り出されたという印象の『震えるミント』は、彼にとっても困惑の対象だった。
「ハビタント・フォーミュラ……犬派だったか」
 だってこんな敵マニアック過ぎるでしょ、とツッコミを入れつつ、魔狼フェンリル召喚術という厄介なユーベルコードを移植されている以上は素通りする訳にもいかない。あまり時間をかけている暇もなし、ここは早急に対処させてもらおう。

「副次的な威力が強すぎて……普段は取り回しが悪すぎるんですが今回は逆に好都合かもしれない」
 キャバリアに搭乗して石川県庁前までやって来た蔵乃祐は、搭載された弾体射出用グラビトロンレール・キャノンの照準をミントに合わせる。どう見ても対人スケールの目標を想定したものではない大型砲は、たかがゴーストウルフ一匹を仕留めるには明らかな過剰火力であった。
「きゃう~ん?!」
「グルルルッ!!」
 そんな物騒なモノを向けられたミントの怯えに反応して、召喚されたフェンリルの群れが集まってきて、彼の上からボディプレスするようにのしかかる。自らの巨体を肉の盾としてミントをかばうつもりだ。自分の命を犠牲にすることも厭わないとは、力はさておき魔狼の統率者が随分慕われているのが分かる。

「最終安全装置解除。 終焉告げるノルドの角笛、ギャラホルンの轟きを聞け!」
 団子状態になったフェンリル達とミントに狙いをつけて、蔵乃祐は【滅尽の暁光】を発射。重力子のレールに沿って加速した弾頭は過たず目標に着弾し、とてつもない大爆発を引き起こした。都市の真ん中で反応弾の運用など、普通なら絶対にできない所業だっただろう。
「「グオォォォォォォーーーッ!!!?!」」
 絶大な熱量とエネルギーの直撃を受けては、いかにフェンリルでも耐えられない。爆炎の中から断末魔の絶叫が響き渡り、爆心地の中心には黒焦げになった魔狼の死骸が何十と積み重なる。ある意味、彼らの犠牲が被害規模を局所的に抑えたとも言えるだろう。

「きゅ、きゅぅ~ん……」
 フェンリル達の献身の甲斐あって、ミントはこの爆発の渦中にあっても奇跡的に無事だった。魔狼の毛並みに隠れた状態で、外に出られずじたばたともがいている。哀れっぽいというか貧弱というか、やはり魔狼さえいなければコイツは脅威ではない。
「上手くいきましたね」
 この機に乗じて蔵乃祐はキャバリアのコックピットハッチから飛び出し、自らが作った爆心地を駆け抜ける。
 爆発の熱はまだ冷めきっておらず、普通の人間では近付くことすらできない環境だが、火炎大勢を持つ彼にとっては「少し暑い」くらいのものだ。

「あの渦さえ壊せば!」
 蔵乃祐の狙いは最初からミントではなく、魔力の供給源である「無限大の渦」だ。山のように重なって斃れたフェンリルの群れを足場にして、上空に浮かぶそれを射程に収めると、持っていた戦輪を力の限り投擲する。
 白銀の軌跡を描いて飛んでいった戦輪は、鋭い切れ味で渦を構成する魔力を削り取っていく。手応えを感じた彼は輪の乱れ撃ちを続け、次のフェンリルが出てくるまでに少しでもダメージを与えるのに専念するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニーニアルーフ・メーベルナッハ
まさか震えるミントが蘇ってくるとは…いえ、なんやかんやで印象の残ってる敵ではあるんですけど。
…敵…ですよね、ええ。
しかし与えられた能力は危険極まりない代物。しっかり撃破するとしましょう。

とはいえ、フェンリルの群れとまともに戦うのは流石に無謀すぎます。
ここは白燐化身法を用い、白燐蟲の群れに変身して戦闘を回避しつつミントのところまで接近しましょう。
フェンリルの脚の間をすり抜けたり、何処か潜り込めそうな隙間があればそこを通って進攻。
念の為、囮として【蟲使い】で操る白燐蟲達を幾つかのグループに分けて別ルートで進攻させます。

ミントのところへ到達次第、元の姿に戻ってブレンネン・ナーゲルで無限大の渦を攻撃!



「まさか震えるミントが蘇ってくるとは…いえ、なんやかんやで印象の残ってる敵ではあるんですけど」
 銀誓館学園の第二期卒業生であるニーニアルーフ・メーベルナッハ(黒き楽園の月・f35280)は、生前の『震えるミント』について知っていた。偶然にも何度かの戦争を生き延びたのは事実だが、よもやオブリビオンとして再び敵として立ちはだかるとは。
「……敵……ですよね、ええ」
「くぅ~ん、きゃんきゃん!」
 今、彼女の目の前にいるミントは当時のまま、ぷるぷる震えながら哀れっぽい視線でこちらを見つめてくる。
 見るからに弱そうで、実際に弱い。この脅威感のなさが銀誓館学園に見逃され続けた理由のひとつでもある。

「しかし与えられた能力は危険極まりない代物。しっかり撃破するとしましょう」
「きゅぅ~ん」「グルルルルッ」
 ニーニアルーフが1歩前に進むと、ミントは怯えて1歩後ずさり、代わりにフェンリル達が前に出てくる。
 これがハビタント・フォーミュラに与えられた魔狼召喚術の力。使用者を撃破するかパワーの源を破壊しない限り、延々と召喚されるフェンリルはこの戦争でも大いに脅威となろう。
「とはいえ、フェンリルの群れとまともに戦うのは流石に無謀すぎます」
 そこで彼女は【白燐化身法】を使用。自分の肉体を白燐蟲の群れに変身させて、戦闘を回避しようと試みる。
 キラキラと光る小さな蟲の群れは、攻撃力は低くても危険をすり抜けるにはうってつけだ。特に、図体の大きな相手には。

「グルルルルッ!」
 フェンリル達は近寄ってくる蟲の群れを踏み潰そうとするが、ニーニアルーフはその巨体の下にもぐり込み、脚の間をすり抜けていく。単純なパワーには秀でているフェンリルだが、小回りは利かないし細かい作業も苦手なはず。蟲相手には数の力もさして意味を成さないようだ。
「通らせていただきますね」
「グ、グルルルッ……?」
 さらにニーニアルーフは蟲使いの能力で操る白燐蟲達を、幾つかのグループに分けて別ルートで侵攻させる。
 こうすれば、どれが彼女が変身した群れなのかは区別が付かない。囮作戦で敵が困惑している内に、本体はひっそりと着実にミントの元に向かっていく――。

「着きましたね」
「きゅ~ん?!」
 魔狼の統率者のところへ到達次第、元の姿に戻るニーニアルーフ。目の前にやって来た白燐蟲の群れが、突然少女の姿になったのを見て、ミントはビックリした様子で毛並みを逆立て。さらに、その少女が腕に武器を装着しているのに気付いて悲鳴を上げる。
「フェンリルを召喚する能力、このままにはしておけませんので」
 彼女はそう言って紅炎手「ブレンネン・ナーゲル」を振り上げ――ミントの頭上に浮かぶ「無限大の渦」に向かって鉤爪を突き立てる。別にミント本体を倒さずとも、フェンリルにパワーを供給するあの渦さえ破壊すれば召喚が止まるのは、すでに周知の事実だった。

「これは壊させていただきます」
「ウ、ウォォォ……ッ」
 紅炎の鉤爪が渦を引き裂き、魔力を削ぎ落とす。途端にフェンリルの群れから勢いが失われるのが分かった。
 ミントを倒すのも渦を壊すのも同じこと。であれば渦の方を、とニーニアルーフのように考える猟兵が多いのは、かつての戦いから生還し続けたミントの魅力(?)の為せる技なのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ絡み歓迎

ミントさん、怖くて震えてるんだね…
オブリビオンとはいえ、なんとかしてあげたいね
少なくとも、あの渦はなんとかしてあげたいの

怯えてるミントさんには、姿を見せただけでフェンリルが出てくるんだろうなぁ
伝わらなくても、ミントさんと闘う気が無いことを伝えてみようかな
フェンリルの攻撃なら、ぼくの結界でも長くは保たないけど、渦に一撃入れるくらいの時間は稼げるはずなの

ミントさん!あなたの声は聞こえてるの
怖がってる力の元、ぼくが壊してあげるから、少し我慢しててね?

結界を全力展開
多重詠唱で何重にも張り巡らせて、魔力を溜めるの
UC発動
渦に向かってロランバースト、なの!

結界が保たない、撤退なの



「ミントさん、怖くて震えてるんだね……オブリビオンとはいえ、なんとかしてあげたいね」
 望まぬ戦場に放り込まれた『震えるミント』の姿に、憐れみを感じるのはロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)。フェンリルを統べるものと言っても、きゃんきゃんと鳴いてぷるぷる震えるその姿はか弱い犬、もとい狼のようにしか見えない。
「少なくとも、あの渦はなんとかしてあげたいの」
 そんなミントの頭上に浮かぶ「無限大の渦」が、ユーベルコードと共にハビタント・フォーミュラから与えられた膨大な魔力源だ。あれを破壊すればフェンリル召喚術へのパワー供給も止まり、必然的にミントが戦わねばならない理由も消滅するだろう。

(怯えてるミントさんには、姿を見せただけでフェンリルが出てくるんだろうなぁ)
 ロランがそう考えた通り、少し近付くだけで新たな魔狼の群れが戦場に現れる。ミントが召喚していると言うよりも、恐怖心に反応して勝手に出てきている感じだ。彼らの目的は統率者の敵を倒す、ただそれだけである。
「ぼくはミントさんと闘う気は無いの」
「ウォォォォォンッ!」
 一応、敵意が無いことを伝えてみたものの、やはり聞く耳を持たずにフェンリルは襲い掛かってきた。即座に結界を張って身を守るが、彼らの巨体と攻撃力はかつての銀誓館の能力者も手を焼いたほど。集団で掛かられては長くは保たないだろう。

(けど、渦に一撃入れるくらいの時間は稼げるはずなの)
 多重詠唱にて何重にも張り巡らせた結界で、魔狼の爪牙を弾きつつ、ロランは体内で魔力を溜める。チャンスは一度限り、ギリギリまで粘って可能な限り最大の一撃を「無限大の渦」に叩き込む算段だ。その作戦の傍らで彼はミントに呼びかける。
「ミントさん! あなたの声は聞こえてるの。怖がってる力の元、ぼくが壊してあげるから、少し我慢しててね?」
「きゅぅ~ん……? きゃんきゃんっ」
 戦いを恐れ、敵に怯え、それでも逃げることを許されなかった過去と現在。そんな境遇を少しでもどうにかしてあげたいという、ロランの気持ちは本心だった。ゴーストウルフと人狼で通じあうものがあったのだろうか、ミントもその言葉を聞くとかすかに震えが収まる。

「対消滅術式展開、ターゲットロック、ヒート・コールド、ミキシング。レディ」
 それでも止まぬフェンリルの猛攻で、結界に亀裂が入り始める中、ロランは落ち着いて呪文を呟く。彼の正面には照準器型の魔術陣が現れ、上空に浮かぶ「無限大の渦」をロックオンする。魔力のチャージは十分、これが今の自分にできる全力の一撃だ。
「ぼくの魔術、受けてみて!」
 その宣言の直後、魔法陣から放たれるのは熱波と冷気から成る破壊消滅の光。相反する二つの力の融合による【|狙い定め撃つ破滅の光《バニシングロランバースト》】が、目標に向かってまっすぐ飛んでいき――無限大の渦を構成する、魔力そのものを消し飛ばした。

「グ、グルルルルッ?!!」
「きゅ、きゅぅ~ん!!」
 パワーの源に急激なダメージが入ったことで、フェンリルの群れに動揺が走る。一方で破滅の光は渦のみを狙い撃ち、ミントは傷付けていない。突然の閃光にビックリして「伏せ」の姿勢で固まっているが、それだけだ。
「結界が保たない、撤退なの」
 相手が動揺から立ち直る前に、ロランは壊れかけの結界の中から飛び出し、戦場を離脱する。粘った分の戦果としては十分だろう。完全破壊には至らなかったものの、渦から発する魔力は明らかに小さくなっているのが、魔術師である彼には分かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

希那古・もち
そんなにこわがってどうしたの?
ねーねーいっしょにあそぼー!

わー!つよそうなフェンリルがいっぱい!こわいよー!
ぼ、ぼくはあのオオカミさんとあそびたいだけだよ!
よーしこうなったら|きょーそー《競争》しよ!ぼくまけないよ!よーいどん!
(元気さなら負けない!いっぱい走って、【もっとげんきにはしる】!)

びゅんびゅーん!いっぱい走り回るぞー!
おいつけないくらいどんどんはやく走るよー!
あっ、オオカミさんに近づいた!いっしょにあそぼ!えーい!
(そのままスピードに乗って元気よく体当たり! うっかり『無限大の渦』にぶつかっちゃうかも?)
あわわ、いたかった?ごめんなさいなの!



「そんなにこわがってどうしたの? ねーねーいっしょにあそぼー!」
 ぷるぷると震えが止まらない『震えるミント』に、希那古・もち(|あまり賢くない動物《わんわんわんわんわんわん》・f24531)は優しく声をかける。同じイヌ科の親近感だろうか、もこもこの毛並みをふわつかせ、跳ぶように傍に駆けていく。
「グルルルルッ!」
「わー! つよそうなフェンリルがいっぱい! こわいよー!」
 が、その前に立ち塞がるのはフェンリルの群れ。どんなに無害そうなわんこでも、主に近付くなら容赦はしないということか。自分よりも何十倍もでっかい生き物に吼えて威嚇されると、もちはビックリして丸くなった。

「ぼ、ぼくはあのオオカミさんとあそびたいだけだよ!」
 ちょっとビビりなところもあるもちだが、誰かのために頑張ることを惜しまない、素直で優しいポメラニアン(のようなもの)である。怖がっている仲間(?)がいるのに放っておくことはできず、フェンリルの群れにも勇気をもって言い返す。
「よーしこうなったら|きょーそー《競争》しよ! ぼくまけないよ! よーいどん!」
 言うや否や、もちは小さな足でぴょこぴょこと駆けだした。傍目には毛玉が転がっているようにしか見えないが、ドッグランで鍛えた健脚は伊達ではなく、意外なほどスピードは速い。それを見たフェンリルの群れも慌てて彼を追いかけ始めた。

「ウオンッ!!」
 待て! とでも言うように吠え立てて、ズシンズシンと地面を踏み鳴らしながら疾走するフェンリルの群れ。
 こちらも巨体に見合わぬ速度はあるのだが、それでももちの機敏さには敵わない。元気いっぱいに駆ける小犬の動きを、魔狼はどうしても捉えきれずにいた。
「びゅんびゅーん! いっぱい走り回るぞー!」
 元気さなら負けない! とばかりに【もっとげんきにはしる】もち。はしゃげばはしゃぐほど彼のテンションは上がり、それに比例してますます速度が上がる。あまりに楽しそうに走るものだから、ここが戦場だと忘れてはいないか心配になるほどだ。

「わーいもっとあそぼー!」
「ウ、ウォンッ……」
 いつまで経っても元気いっぱいなもちに対して、先にスタミナが切れたのはフェンリルの群れのほうだった。
 追いかけ回すのに疲れてヘトヘトになった彼らは、息を荒らげて地べたにへたりこむ。(一応)彼らの統率者であるミントは、それを見てオロオロしていた。
「あっ、オオカミさんに近づいた! いっしょにあそぼ! えーい!」
「きゅ、きゅぅ~ん?!」
 そのままスピードに乗ってミントに元気よく体当たりするもち。本人はじゃれてるだけなのだろうが、あまりの勢いにビビッたミントはペタンと伏せてしまい。勢い余ったもちの体はそれを踏み台にしてぽーんと飛び跳ね――空中にあった「何か」に激突する。

「あわわ、いたかった? ごめんなさいなの!」
 反射的に謝るもちだが、それは生き物ではなく、グルグルと回転する「無限大の渦」だった。これがフェンリル召喚術の核であり、魔狼の群れにパワーを供給していることを彼はまだ覚えているだろうか。本人は遊びたかっただけだが、結果的に敵の計画にヒビを入れることはできたようだ。
「きゃんきゃんっ」
「だいじょうぶ? よかった!」
 その後ももちはまだまだ元気が余っている様子で、ミントやフェンリルと一緒にいっぱい走って遊びまわり。
 そして満足すると毛玉ぼでぃをころころさせて、どこかへ帰っていく。ある意味、この戦場で一番自由だった猟兵は、彼かもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
ミントさんは傷付けたくはないんですもふもふは正義…!
でもフェンリルさん達ももふもふ…もふ…
渦だけ狙います

翼の【空中戦】で距離をとりつつ
【催眠術】乗せた【歌唱】の【範囲攻撃】でまとめて寝かしつけを狙いたい
無理でもせめて動きを鈍らせられれば

更に僕の魔力を込めた飴をばら撒いて
それを種として【高速詠唱】で植物魔法の【属性攻撃】
急成長させた蔦でフェンリル達の捕獲狙い

全部は無理でも動ける個体数を減らせればいい
その隙に念のため【オーラ防御】を纏い
攻撃をいなすために杖を構えながらフェンリルの隙間を縫ってミントさんに接近

あああ怖がらせてゴメンね!
すぐ終わらせるからね!

【指定UC】発動
渦だけに狙いをつけて破壊狙い



「ミントさんは傷付けたくはないんですもふもふは正義……! でもフェンリルさん達ももふもふ……もふ……」
 もふもふした生物をこよなく愛する栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は今、激しい葛藤に見舞われていた。
 きゃんきゃん怯える『震えるミント』も、凶暴で危険なフェンリルの群れも、彼にとっては魅惑のもふもふ。オブリビオンだと分かっていても、できれば戦いたくない。
「渦だけ狙います」
 というわけで固い決意のもと方針を定めた澪は、翼を広げて空に舞い上がる。ひとまず上空で距離を取れば、飛行能力のないフェンリルでは簡単には攻撃できないだろう。ここから彼らを無傷で無力化する方法を考える。

「みんな、聞いて」
 眼下にはびこる魔狼の群れを見下ろしながら、澪はゆったりとしたメロディで歌いだす。催眠術の効果を乗せた歌唱で、相手をまとめて寝かしつけるのが狙いだ。それが無理でもせめて動きを鈍らせられれば、次の作戦に繋がる。
「グルルルル……ル、ル……ッ?」「グルル……グル……Zzz」
 最初のうちは激しく威嚇していたフェンリル達だが、彼の歌声を聞いているとだんだん瞼が重くなり、唸り声がイビキに変わっていく。催眠歌唱の効果は覿面のようだが、新たなフェンリルが今も続々と召喚されているのもあって、全員を眠らせるには至らない。

「眠くないなら、これをあげるよ」
 そこで澪は持っていた小瓶「Candy pop」の蓋を開け、中に詰まった飴玉をばら撒きながら呪文を唱える。
 この飴には彼の魔力が込められており、魔法を使うための触媒になる。まるで種が芽吹くように、色とりどりの飴玉から蔦が伸びだし、フェンリル達の手足に絡みついた。
「ウ、ウォンッ?!」
 植物魔法により急成長した蔦は見た目よりも頑丈で、何重にも編み込まれたロープのように魔狼を拘束する。
 相手は慌てて蔦を噛み千切ろうとしたり、爪で引き裂こうとするが、すぐには自由を取り戻せないだろう。

(全部は無理でも動ける個体数を減らせればいい)
 この隙に澪は防御用のオーラを纏い、フェンリルの隙間を縫ってミントの元に接近を試みる。まだ活発に動ける連中のほとんどは、眠っているか拘束された仲間の巨体が邪魔になって思うように戦えない。数の力とサイズの優位が逆に仇となった形だ。
「グ、グルルッ!」
 それでも強引に前足を伸ばして叩き落とそうとしてくるが、澪は聖杖「Staff of Maria」を構えて攻撃をいなし、魔狼の股下をくぐり抜けて先に進む。たとえ危害を加えられても傷付けたくないという思いは変わらない、破壊するのはあくまで「無限大の渦」だけだ。

「きゅ、きゅぅ~ん……」
「あああ怖がらせてゴメンね! すぐ終わらせるからね!」
 すっかり怯えきっているミントの元までたどり着くと、澪はその頭上に浮かぶ渦だけに狙いをつけて【Orage de fleurs】を発動。指先より放たれる無数の花弁の嵐が、無限大の渦を構成する膨大な魔力を削り取っていく。
 同時にフェンリル達の動きも鈍くなったような気がする。パワーの供給が途絶えれば、あの子達も結局去ってしまうのだろうか――それは残念だが、痛めつけて殺すよりは良いはずだと信じる澪であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
行くよ!ライズサン!エミリアーノ!

『おう…』『ええ!』
ライズサンとエミリアーノは返事をしてくれた

敵の攻撃は結界術と念動力で攻撃を防ぐ

僕はUC発動
UCの効果でフェンリルの群の動きを封じながら同時発動UCは天命時空龍顕現を発動

『時よ…止まれ』
エミリアーノの真の力が開放して時間を止めて「無限大の渦」に対して神罰と斬撃波を放った
フェンリルには神罰と衝撃波を放つ

『行くぜ!』
ライズサンは「無限大の渦」に呪殺弾フェンリルには焼却と弾幕を放つ

僕は歌唱で二人を鼓舞して攻撃力を上げて音響弾でフェンリルを攻撃する
「無限大の渦」には電撃と槍から光線を放って攻撃する

行っけー!
轟雷縛天陣を敵の群れと「無限大の渦」に放った



「行くよ! ライズサン! エミリアーノ!」
『おう……』『ええ!』
 フェンリルを統べる者『震えるミント』の魔狼召喚術を止めるために、石川県町前までやって来たソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)。彼女の号令に返事をするのは、時空龍「ライズサン」「エミリアーノ」の二体だった。
「グルルルルルッ」
「くぅ~ん、きゃんきゃん!」
 迎え撃つのは魔狼フェンリルの群れ。ぷるぷると震えるミントを守るために(勝手に)出てきた彼らは、主を害するであろう外敵に一斉に襲い掛かる。ミント本体はともかくとして、質・量ともに備えたオブリビオンの集団は紛れもなく脅威だ。

「動きを封じる時空騎士の奥義の1つ……轟雷縛天陣!」
 ソラウは念動力の防御結界を張りながら、【時空騎士奥義・轟雷縛天陣】を発動。轟雷の雨を天より降り注がせて、敵の思考を強制停止・行動封印状態に陥らせる。落雷を浴びたフェンリルは「ギャオンッ?!」と悲鳴を上げ、その場でピタリと動きを止めた。
「行こう! エミリアーノ!」
『ええ! ソラウ!』
 この猶予を活かして彼女は【天命時空龍顕現】を同時発動し、エミリアーノを時空龍としての真の姿――銀色の体と青色の翼を持つ美しき龍の姿に変身させる。天命を司りし龍である彼女は、黄色の眼で魔狼の群れを睨みつけると、厳かな調子で宣告した。

『時よ……止まれ』
「グルル――……」
 解放されたエミリアーノの真の力は、戦場の時間を停止させる。何もかもが凍りついたように動かなくなる中で、動けるのは彼女とその仲間だけ。絶対的な【支配者】によって制圧された空間では、凡百のオブリビオンは歯向かうこともできない。
『喰らいなさい』
 その状態のまま彼女が翼を羽ばたかせると、神罰の力が籠もった斬撃波が「無限大の渦」を切り裂き、衝撃波がフェンリルの群れを吹き飛ばす。あの渦とフェンリルさえ何とかすればこの場の脅威はなくなる。統率者であるミントのことは眼中になしだ。

『行くぜ!』
 エミリアーノに続いてライズサンも、無限大の渦に呪殺弾を、フェンリルの群れに炎の弾幕を放つ。こちらは真の力を解放していないとはいえ、呪力も火力も並のものではない。動けない敵を焼却するには十分すぎた。
「二人とも、頑張って!」
 ソラウは得意の歌で二人を鼓舞しつつ「時空騎士銃槍」から音響弾をフェンリルに、電撃と光線を無限大の渦に放つ。目も眩むほどの閃光と、耳をつんざく轟音が戦場を満たし、彼女の前に立ちはだかるものを悉くなぎ倒していく。連続攻撃を受けた渦のほうからも、魔力を大幅に削り取れたようだ。

「行っけー!」
 ダメ押しとばかりにソラウは【轟雷縛天陣】を再発動。あらゆる敵を打ち破る轟雷の嵐が、再びフェンリルと渦に襲い掛かる。思考も時も停止したままの敵は、無言のまま跡形もなく消滅し――魔力の渦が描く無限大の軌跡も、徐々に"揺らぎ"が生まれ始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリン・エーテリオン
エリンではなくアルコイリス

同時発動UCは虹炎の神エストレジャ・アルコイリス“俺の彼女”

俺とミリアは情報収集と視力と戦闘知識で敵の癖を見抜き瞬時に状況把握する

派手!騒乱!自由!
虹炎の神…エストレジャ・アルコイリス!ドガーン

『虹炎の神エストレジャ・ミリアスリラ!』ドゴーン

行くぞミリア!
『ええ!アルコ!』
俺とミリアは虹炎奥義・虹炎覇天轟来拳でフェンリルを攻撃して動きを封じる

『虹炎の雷爆蛇!』
俺は爆撃と電撃を纏った自由の力で蛇の様な炎で敵と無限大の渦を攻撃する

『虹炎の氷蟲!』
ミリアは虹炎の蟲に凍結攻撃を纏った蟲で敵と無限大の渦に攻撃。

止めだ!轟雷神虹炎銃!
俺は虹炎の電撃と怪力を纏った拳で殴った



「派手! 騒乱! 自由! 虹炎の神……エストレジャ・アルコイリス!」
 ドガーン、と大きな爆発をバックに決めポーズを取るのは、エリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)に召喚された虹炎の神アルコイリス。名乗り通りの派手好きで、自由をこよなく愛する破天荒な神だ。
『虹炎の神エストレジャ・ミリアスリラ!』
 さらにもう1つドゴーンと爆発が起きて、アルコイリスの彼女である虹炎の神ミリアスリラも登場する。この二柱は持ち前の洞察力と神の目で瞬時に状況を把握すると、倒さなければならない相手――すなわち魔狼召喚術の要である「無限大の渦」とフェンリルの群れを睨みつけた。

「行くぞミリア!」
『ええ! アルコ!』
 魔狼の群れが動きだす前に、二柱の虹炎神は【虹炎奥義・虹炎覇天轟来拳】を発動。突き出した手から虹色の炎が噴き出して、巨大な炎の拳となってフェンリルの群れを殴りつける。神の理に基いたその一撃は、あらゆる抵抗を相手に許さない。
「ギャオオォォンッ?!」
「きゃ、きゃぅん……」
 殴り飛ばされたフェンリル達は、そのまま残り火に四肢を焼かれて動きを封じられる。それを見た『震えるミント』は尻尾を丸めてうずくまるが、今はそちらの相手をする理由はない。アルコイリスとミリアスリラの標的は、あくまで魔狼と渦に向けられていた。

「虹炎の雷爆蛇!」
 アルコイリスは自由の権能で炎と雷を生み出し、蛇のような形に束ねて放つ。それは本物の大蛇の如く戦場をうねりながら這い回り、電撃の牙と爆撃の尾をもって、進路上にいるフェンリルと無限大の渦に襲い掛かった。
「ギャウンッ!!」「グオォォッ!!」
 虹炎奥義の行動封印効果を受けたままのフェンリル達には、雷爆蛇の攻撃を避ける術がない。爆炎に吹き飛ばされるか稲妻に貫かれるか、どちらにせよ碌な末路は待っていない。ド派手な爆音が鳴り響くたびに、断末魔の悲鳴が木霊するのだった。

『虹炎の氷蟲!』
 一方のミリアスリラも負けてはおらず、虹炎の力で作りだした蟲に凍結能力を与え、敵の群れにけしかける。
 炎と氷、一見矛盾した力を持つ小さな蟲は、群れを成すことで大きな力となり、災害の如く全てを蹂躙する。
「ギャォ……!!!」
 群れに纏わりつかれたフェンリルの巨躯は物言わぬ氷像と化し、一瞬遅れて崩れ落ちる。新たな魔狼が召喚されるよりもずっと速いペースで、二柱の虹炎神は敵を殲滅していき――上空に浮かぶ「無限大の渦」を守る障害は全て消え去った。

「止めだ! 轟雷神虹炎銃!」
 ここぞとばかりにアルコイリスは地面を蹴って飛び上がり、虹炎と電撃を纏わせた拳で直接渦に殴り掛かる。
 神の怪力に炎と雷を上乗せした一撃の破壊力はどれほどのものか。これまでで一番大きな音が「ズドンッ!」と響き渡り、渦を構成する魔力の一部が吹き飛んだ。
「効いたか!?」
「ええ!」
 まだ渦は回転を続けているが、それでも相当のダメージだったのは間違いない。ハイタッチを交わした二人はそのまま連携攻撃を継続し、新たに出てくるフェンリルや、無限大の渦の魔力を削り取っていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリスティアーネ・アステローペ
フェンリルも気にはなるけど優先順位は…、ね
なるべく喚ばせないように、手早くすり抜けてしまいましょう

〈正体を隠す〉で敵であることをほんのり隠して射程内に
射程に捉えたところで【月の鍵】を起動して強く安心できる相手が傍にいる、そんな幻覚を見てもらいましょう
強く、深く。それこそ周囲の猟兵が気にならないほどに…とまではいかないでしょうけど、でてくるフェンリルの数は抑えられるハズですし
後は〈闇に紛れ〉て近づいて、首を落としに行きましょう
大丈夫、痛みを感じる暇もなく、綺麗に〈切断〉してあげますとも
その魂に、永き救いと安寧を



「フェンリルも気にはなるけど優先順位は……、ね」
 主を守るために勝手に出てくる魔狼の群れよりも、先に叩くべきは大元の統率者。当然と言えば当然の判断のもとで、クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)はフェンリルを統べる者『震えるミント』に狙いを定めた。
「なるべく喚ばせないように、手早くすり抜けてしまいましょう」
 どうやらアレが不安を感じると、それに反応してフェンリルが襲ってくるようだ。なら、なるべく警戒されないように武器を手放し、敵であることをほんのり隠して――優しそうな微笑みを浮かべながら、彼女はミントに近付いていく。

「くぅ~ん……?」
 臆病なミントも、殺意を見せずにゆっくりと歩いてくる女性には判断を決めかねているようだ。僅かに戸惑わせることができれば、クリスティアーネにとっては十分。視線という射程に相手を捉えた瞬間、【権能覚醒「月の鍵」】が発動する。
「力は此処に 私の瞳は悪夢を綴る」
 虹色に変化した彼女の瞳から放たれる支配の魔力は、見つめる相手に現実と区別がつかない幻覚を見せる。それは必ずしも悪い夢とは限らず、強く安心できる相手が傍にいる――そんな優しいウソを見せることも可能だ。

(強く、深く。それこそ周囲の猟兵が気にならないほどに……とまではいかないでしょうけど、でてくるフェンリルの数は抑えられるハズですし)
 もともと戦場と敵に怯えきっている、格下のオブリビオンが標的だ。クリスティアーネの魔力に抵抗できる余地は何もなく、あっさりと幻覚に囚われたミントは、誰もいない場所に向かってクンクンと鼻を鳴らし始めた。
「きゃんきゃん、きゅう~ん!」
 人狼騎士団時代に優しくしてくれた相手の幻覚でも見ているのだろうか。クリスティアーネはミントの過去を知らないし、知らなくても問題はない。支配の魔眼は術者に知りえぬ事柄も、知っている相手の記憶から綴らせることができるのだから。

(上手くいったようね)
 ミントが幻覚に支配されてから、新たなフェンリルの出現数は大きく減った。既に召喚されていたフェンリル達も、不安の対象――つまりは攻撃の目標が分からなくなって右往左往している。この機に乗じてクリスティアーネは闇に紛れ、魔狼を統べる者の首を落としに行く。
「大丈夫、痛みを感じる暇もなく、綺麗に切断してあげますとも」
 彼女の生業は処刑人。咎人の首を落とすために洗練された技量は伊達ではない。いつの間にか手には馴染んだ断頭斧槍"救済者フランツィスカ"を携え、長い黒髪を微風になびかせて、優雅に密やかに影を歩む。事ここに至っても相手を怯えさせぬよう、殺意をほとんど感じさせぬ、その笑みこそが最も恐ろしい。

「きゃぅ~ん」
 処刑人が迫っているとも知らぬまま、ミントはまだ安らかな幻の中。まだ少し、あと少し、歩みを進めれば、幻を見続けたまま彼の首は落ちるだろう。本人が語ったように、処刑する相手に無闇な苦しみを与えることは、クリスティアーネの本意ではない。惨たらしい復讐などを依頼された場合はその限りではないかもしれないが。
(その魂に、永き救いと安寧を)
 囁く言葉は鎮魂の祈り。敵味方の誰も気が付かないまま、断頭の刃は哀れな狼のすぐ頭上に迫っていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

剣未・エト
オブリビオンである以上震えるミント君も放置はできない…けれど、まぁ確かに今はそれどころではないし
あそこまで怯え震えられると、牙無き存在のために戦おうっていう立場としてはちょっと切っ先が鈍る…牙あるにはあるけどさ、彼

なので、今回はなるべく穏便に行こう、くーちゃん力をかして
視肉は尽きぬ無限の肉塊にして、ゴーストの心身を満たす食材
フェンリルもゴーストである以上反応はしてくれるだろう、武器は出さずにくーちゃんのお肉を提供して回るよ
もちろんミント君にも、これで不安な気持ちが収まって召喚が収まってくれればいいのだけれど

隙ができたらくーちゃんがアタックかけて渦を壊してくれる



「オブリビオンである以上震えるミント君も放置はできない……けれど、まぁ確かに今はそれどころではないし」
 復活したかつての強大なゴーストや来訪者などに比べれば、破格の弱さと言える『震えるミント』。脅威度の低さに加えて、いかにも弱々しくぷるぷると震える様を見せられると、これを積極的に討伐しようという気持ちは剣未・エト(黄金に至らんと輝く星・f37134)には湧かなかった。
「あそこまで怯え震えられると、牙無き存在のために戦おうっていう立場としてはちょっと切っ先が鈍る……牙あるにはあるけどさ、彼」
 その気になれば噛み付くくらいは出来るだろうが、正直あんまり痛くなさそうだ。フェンリル召喚術さえ無ければ放置しても問題なさそうな相手だ――かつての戦いでも、そう判断されて難を逃れてきたのかもしれない。

「なので、今回はなるべく穏便に行こう、くーちゃん力をかして」
 エトは声をかけたのは、肩に乗せている相棒のミニ視肉。物心ついた頃から一緒にいる姉のような存在だ。
 彼女は言葉を発さずにこくりと頷くような仕草を見せ、自分の体から肉をもぎ取る。もいだ分の肉は即座に再生し、本体のサイズが変わることはない。
「グルルルル……ル?」
 すると威嚇していたフェンリル達の反応が変わる。それまでは全力で警戒していたのが、くーちゃんの視肉を見るとくんくんと鼻を鳴らし、じっと距離を窺っている。まるで極上の餌を突然差し出されたような反応だ。

(視肉は尽きぬ無限の肉塊にして、ゴーストの心身を満たす食材。フェンリルもゴーストである以上反応はしてくれるだろう)
 マヨイガのゴースト達の主食である視肉には、美味と満腹感に加えて生命への殺戮衝動を抑える効果がある。
 エトは武器を出さずに戦う意思が無いことを示しつつ、そのお肉をフェンリル達に提供して回る。自分も一口齧ってみせれば、毒入りなどでは無いことは伝わるだろう。
「煮て良し焼いて良し生で頂いても良し、さぁ召し上がれ! ……だそうだよ」
「グルル……ウォンッ!」
 最初のうちはまだ警戒していたフェンリルも、食欲には抗えなかったのか。一口その美味を味わってみれば、後は夢中でむしゃむしゃと貪り始めた。数々の戦いで脅威となった危険な魔狼も、こうしていればデカいだけの犬のように見える。

「もちろんミント君にも」
「くぅ~ん……?」
 視肉を食べているフェンリル達の隙間を縫って、ミントの元に近付いたエトはにこやかに視肉を差し出す。
 けなげっぽい目でそれを見たミントは、鼻先でつんつんしながらおそるおそる食べてみる――と、どうやら口にあったようで、ぱたぱたと尻尾を振り始めた。
(これで不安な気持ちが収まって召喚が収まってくれればいいのだけれど)
 多少なりと効果はあったようで、すぐにまた新たなフェンリルが出てくる気配はない。みんな視肉を食べるのに夢中になって、少しの間は襲ってくる様子はなさそうだ。召喚術の魔力源を破壊するなら今のうちだろう。

「くーちゃん、よろしく」
 エトの肩から飛び上がった視肉の体当たりが、空中に浮かぶ「無限大の渦」にぶつかる。食用兼マスコット的な雰囲気に反して意外と威力があるらしく、渦を構成する魔力が大きく乱れるのが分かった。あれが壊れれば魔狼の召喚は止まる――そして、その時はもう遠くないところまで来ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…まあ、何はともあれ弱点が明白なのは良い事ね。それを狙わない手は無いもの

事前に熱や吐息で感知されないよう肉体改造術式で体温や呼吸機能の調節を行いUCを発動
残像のように闇に紛れる"陽炎の呪詛"のオーラで防御して全身を覆い、
魔狼の索敵から逃れつつミントの近くまで気配を遮断して接近を試みる

…さて。可能な限り対策はしたと思うけど、久方ぶりの戦場だからね

…無理に首級を狙わず一撃離脱に努め、勘を取り戻す所から始めましょうか

"陽炎の呪詛"を纏わせ無音無臭不可視化した「黄金の楔」を弾丸の如く投擲する早業により、
敵を捕縛する形状に武器改造した拷問具が五感を奪い生命力を吸収する呪属性攻撃を行いつつ離脱するわ



「……まあ、何はともあれ弱点が明白なのは良い事ね。それを狙わない手は無いもの」
 危険で凶暴なフェンリルの群れと、彼らを率いる臆病なゴーストウルフ。どれから先に倒すかと聞かれたら、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)に限らず大方の意見は一致するだろう。猛者揃いの戦場における場違い感に困惑もするが、さりとて見逃してやるほどの縁もない。
「……我が身を覆え、陽炎のごとく」
 フェンリルの目を盗んでミントに近付くため、彼女は"陽炎の呪詛"のオーラで全身を覆い、残像のように闇に紛れる。これは【吸血鬼狩りの業・隠形の型】。夜闇の世界で吸血鬼共の目を欺くために編み出された業だ。

「グルルルルッ……」
 幾度かの戦闘で猟兵に出し抜かれたフェンリルは、ミントを守るために厳戒態勢を取っている。その見た目が伊達でなければ、獲物を見つけるための視力や聴覚、そして嗅覚も優れているだろう。だが、そんな彼らの索敵力をもってしても、リーヴァルディを見つけることは出来なかった。
(……今のところは、気付かれていないようね)
 視聴嗅覚での感知を不可能にするユーベルコードに加えて、彼女は事前に肉体改造術式で体温や呼吸機能の調節を行い、熱や吐息でも感知されないようにしている。最新科学のセンサーや魔法の助けを借りても、今の彼女を見つけ出すのは容易ではないだろう。

(……さて。可能な限り対策はしたと思うけど、久方ぶりの戦場だからね)
 ほぼ完全に気配を遮断したまま標的に接近していくリーヴァルディだが、決して自らの能力に傲るようなことは無かった。実戦から離れていたぶん本調子とは言い難いし、敵の数と戦闘力も侮れない。ここまでは誤魔化せたが、流石にミントに攻撃を仕掛ければフェンリルも反応するだろう。
(……無理に首級を狙わず一撃離脱に努め、勘を取り戻す所から始めましょうか)
 そう考えれば手頃な相手でもある、と思考を切り替えて、彼女は一本の「黄金の楔」を取り出す。宝飾品のような見た目の短剣だが、その正体は魔法金属製の拷問具だ。これにも"陽炎の呪詛"を纏わせておけば、無音無臭にして不可視という完璧な暗器ができあがる。

(……この距離からなら、狙えるかしら)
 目標は1頭のフェンリルの背中の上で、毛並みに隠れるようにうずくまっている。【なぜかフェンリルに慕われている】のを利用した防御態勢だが、リーヴァルディにはお見通しだ――その目が鋭く細められた瞬間、熟練の早業で黄金の楔が弾丸の如く投擲される。
「きゃうんっ?!!」
 完全に意識と知覚の外から飛んできた一撃を、避けられるはずもなく。ミントの体に突き刺さった楔は、その血液を啜って対象を捕縛する形状に変化する。さらに楔に付与されていた"陽炎の呪詛"は幻惑の呪いへと反転し、敵から五感を奪い去った。

「きゃんきゃん、きゃ~ん?!」
「グ、グルルルルッ!!」
 何も見えない、何も聞こえない。分かるのはただ痛みだけ。無音の闇に突然放り込まれたミントはパニックになって吠え散らし、主を傷付けられたフェンリル達は怒り狂う。だが彼らが下手人を見つけ出そうとする前に、リーヴァルディはもう離脱を始めていた。
(……今回はこれでいいでしょう)
 黄金の楔は一度刺されば抜けるまで敵の生命力を吸い続ける。一撃で敵のボスに深手を与えたと思えば十分。
 少しは勘も戻っただろうかと手応えを確かめながら、少女は陽炎と共に音もなく戦場を立ち去っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

後月・悠歌
可愛い……というか
可哀想……というか

まあ、どちらにしても今はオブリビオン
倒すしかないんだけどね

【白燐奏甲】で己に強化を施すね
群れで訪れるのなら、そうね、きっと大群になるでしょう
お互い連携を取り切ったつもりでも、相手が私みたいな小さなニンゲン一人
巨体がそこに殺到するなら
当然ぶつかり合ったり互いの攻撃の余波を食らったり
「不幸な事故」なんて幾らでも起こるんじゃないかしら
隙はいくらでも見つけられそうね

巨体の隙間を抜けていくように、ミントを探して戦場を動くわね
うん、可愛く鳴いてもダメかな
君は可哀想に、祀り上げられてしまっただけだけれど
世界を滅ぼすオブリビオンになったことは変わらない
さよならにしましょう



「可愛い……というか、可哀想……というか」
 明らかに怯えきっている様子の『震えるミント』を見ていると、腹黒女帝とあだ名される後月・悠歌(月響の奏律・f35338)も、不憫だと感じずにはいられない。望んだ訳でもない力をハビタント・フォーミュラに植え付けられ、戦場に駆り出されたのはまったく不幸としか言いようがないだろう。
「まあ、どちらにしても今はオブリビオン。倒すしかないんだけどね」
 それはそれとして使命を果たすうえで躊躇いはないようで、さっと【白燐奏甲】で己に強化を施してから前線に出る。もちろん相手も簡単に倒させてくれるはずはなく、大勢のフェンリルが(勝手に)立ち塞がってきた。

「グルルルルッ!」「ウォォーーーンッ!」
 ミントの不安や恐怖に呼応して出てくるフェンリルの群れは、ミントに危害を加えんとする者に容赦しない。
 悠歌が纏った蟲の群れにも反応しているのか、1人相手には多すぎるほどの大群がたちまち召喚されてきた。
「これだけ集まると、ちょっと壮観ね」
 かつての戦いでも覚えのある魔狼達が、揃って自分に殺意を向けているのを感じながらも、悠歌は落ち着いていた。白燐奏甲には攻撃力・守備力強化の効果もあるが、それだけでフェンリルの牙を防げるとは思ってない。彼女が期待しているのは「敵対者に【不幸な事故】を誘発する」もう1つの効果のほうだ。

(お互い連携を取り切ったつもりでも、相手が私みたいな小さなニンゲン一人。巨体がそこに殺到するなら、「不幸な事故」なんて幾らでも起こるんじゃないかしら)
 そう考えてあえて敵が襲いやすいように姿を晒せば、フェンリルの群れは一斉に襲い掛かってくる。ミントの危機に冷静ではいられなかったのもあるだろうが、結果としてそれは悪手だった。ここまで極端な多対一になれば、当然のように同士討ちが起こる。
「グルルル……グオッ?!」「ギャンッ!?」
 突進を仕掛けてぶつかり合ったり、お互いの攻撃の余波を食らったり。それを誘発させたのは悠歌のユーベルコードだが、牙を剥くのは彼ら自身の力だ。高い戦闘力を持つからこそ「事故」の被害も大きくなる。こうなれば高度な連携は望むべくもないだろう。

「隙はいくらでも見つけられそうね」
 フェンリルの群れが混乱に陥っている間に、悠歌は巨体の隙間を抜けるように、ミントを探して戦場を動く。
 魔狼と比べればずっと小さな相手だが、見つけるのにさほど苦労はしなかった。上空に浮かぶ「無限大の渦」が目印になるし、何よりきゃんきゃんと鳴く声がずっと聞こえていたから。
「くぅ~ん、くぅ~ん」
「うん、可愛く鳴いてもダメかな」
 命乞いをするようにぱたりと耳と尻尾を伏せ、けなげな上目遣いで見つめてくるミントに、彼女はすっぱりと言い切った。見逃すつもりがあるなら最初からここへは来ない。その手には淡紫の刻印で呪を施された漆黒の長剣――「天響-紫葬華-」が握られていた。

「君は可哀想に、祀り上げられてしまっただけだけれど、世界を滅ぼすオブリビオンになったことは変わらない」
 骸の海から流れ込んだ『過去』は、時の流れを狂わせる。これは変わらぬ世界の理だ。稀な例外を除いては、どれだけ弱いオブリビオンでも世界にとって脅威であることは変わらない。だからこそ自分達猟兵がいるのだ。
「さよならにしましょう」
「きゅぅ~ん!!?!」
 使命を果たすべく振り下ろされた刃が、ミントの矮躯をばっさりと切り裂き、鮮血と悲鳴が撒き散らされる。
 その頭上に浮かぶ「無限大の渦」も、魔力を失って消えかかっており――この戦いの決着は迫りつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

去年に引き続き、今年も年明けから戦争か
騒々しい事だな、まったく

オーヴァル・レイを浮かせてシガールQ1210を装備
フルオートによる乱れ撃ちで震えるミントを囲むフェンリルの群れを攻撃する
同時に空中を浮遊するオーヴァル・レイから粒子ビーム線を発射し、群がるフェンリルをなぎ倒していこう

最弱の王を守る、文字通りの番犬か
言葉にすれば健気ではあるが、可愛げは全くないな

UCを発動
オーヴァル・レイを百機以上に分裂させて操作
熱線のシャワーを浴びせる
これだけの熱線を放てば一時的とはいえ、フェンリルの群れを退ける事が出来るだろう

ふむ…両方を狙いたい所だが…
これはボスか渦のどちらかを狙った方が良さそうだな

戦場を駆けながら高めた瞬間思考力でボス周辺の陣形を分析
敵の僅かな隙を付きシガールQ1210を震えるミントに向けて発射
奴を守るためにフェンリル達がボスの周辺に集まったらチャンスだ
ボスへの攻撃はフェイントだ
ガラ空きになった上空の渦に向けて召喚した全てのオーヴァル・レイによるビームを発射して破壊しよう



「去年に引き続き、今年も年明けから戦争か。騒々しい事だな、まったく」
 猟兵に定休日などありはしないが、オブリビオンもつくづく空気を読まない。金沢市からシルバーレイン世界全体、さらには他世界にまで波及しかねない危機を阻止するため、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は立ち上がった。どんな敵が過去から蘇ろうと、全て撃破してみせよう。
「きゅぅ~ん……」
「グルルルルッ!」
 ここ、石川県庁前で彼女の前に立ちはだかるのは『震えるミント』とフェンリルの群れ。ハビタント・フォーミュラが与えた「無限大の渦」の魔力は尽きかけていたが、魔狼召喚術のユーベルコードはまだ機能しているようだ。猟兵に怯えるミントを守るように、巨大な魔狼達が威嚇の唸り声を上げる。

「最弱の王を守る、文字通りの番犬か。言葉にすれば健気ではあるが、可愛げは全くないな」
 獰猛で凶暴な魔狼の群れを見やりながら、キリカは強化型魔導機関拳銃"シガールQ1210"を構える。その傍らに浮かぶのは卵のような形をした「オーヴァル・レイ」。本体の攻撃に合わせて粒子ビームの援護射撃を行う、強力な浮遊砲台だ。
「どいて貰うぞ」
「ギャウンッ?!」
 フルオートによる乱れ撃ちと砲台からの粒子ビームが、ミントを囲むフェンリルの群れを襲う。撃ち出されたのはただの鉛玉ではない、秘術により強化され、ドラゴンの皮膚すら貫けるよう強化された魔弾だ。分厚い魔狼の毛皮を撃ち抜くにも十分な威力があった。

「ウオォォォンッ!」
 だがフェンリル達はダメージを受けても怯まずに、殺意と牙を剥き出しにして襲い掛かってくる。この程度の攻撃では敵の勢いを削ることはできないようだ。そう判断したキリカは【オーヴァル・ミストラル】を発動し、さらなる攻勢に出る。
「行け、逃がすな」
「「………ウォンッ?!」」
 ユーベルコードにより百機以上に分裂したオーヴァル・レイが、キリカの念力による指揮の下でバラバラに空を飛び回りビームを放つ。逃げ込む隙間もないほどの密度で、熱線のシャワーがフェンリル達に浴びせられた。

(これだけの熱線を放てば一時的とはいえ、フェンリルの群れを退ける事が出来るだろう)
 キリカの狙い通り、群がってきたフェンリルの大半は【オーヴァル・ミストラル】の猛射に駆逐され、焦げた骸の臭いが辺りに漂う。しかし魔狼召喚術が機能している限り、敵はまたすぐに現れるだろう。この猶予を使って次の行動を考えなければ。
「ふむ……両方を狙いたい所だが……これはボスか渦のどちらかを狙った方が良さそうだな」
 果たしてどちらを優先すべきか、彼女が逡巡にかけた時間はほんの数秒だった。戦場を駆けながら瞬間思考力を高め、ボス周辺の敵陣形を分析。まだ召喚による増援が整わない僅かな隙を突いて、シガールの銃口をミントに向ける――奴の耐久力はフェンリルより遥かに貧弱だ、当たれば確実に致命傷になる。

「ぷるぷる……」
「ウォォンッ!!」
 恐怖で震えることしかできないミントを守るため、フェンリル達が身を挺して銃撃の盾になる。キリカが発射した弾丸は彼らに阻まれ、ボスを討つことはできなかったが――彼女は予想通りだとばかりに笑みを浮かべた。
「ボスへの攻撃はフェイントだ」
 奴を守るためにフェンリル達が集まれば、上空の「無限大の渦」はガラ空きになる。このチャンスを逃さず、召喚した全てのオーヴァル・レイに射撃指示を出せば、青く煌めく粒子ビームの閃光が一斉に空へと放たれた。

「「――……ウォォォォォォンッ!!!?!」」
 閃光の嵐に撃ち抜かれた無限大の渦は、ついに原型を失って崩壊する。それはフェンリル達へのパワー供給源が喪われたことを意味していた。魔狼の群れは驚愕と断末魔の叫びを上げながら、幻のように消え去っていく。
「きゃ、きゃんきゃんっ―――」
 仲間を失い、ただ一匹取り残されたミントは慌てて逃げ出そうとするが――その時誰かが放った攻撃が、音もなく彼の首を刈り取った。たとえ魔力が喪われても、統べる者が健在であれば同じ災厄が起きる可能性は残る。その遺恨を断ち切るため、放たれた一撃に苦痛を与える暇すら無かったのは、せめてもの慈悲だろうか。



 ――かくして猟兵達はフェンリルを統べる者『震えるミント』と、魔狼フェンリルの群れの撃破に成功する。
 戦況はこれまでにないペースで進み、他の戦場にも現れた過去の強敵達、そしてオブリビオン・フォーミュラとの決着も、そう遠くない所まで来ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月14日


挿絵イラスト