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銀河帝国攻略戦⑳~その未来を手にするのは

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #白騎士ディアブロ

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●二大巨頭 未来の騎士
「『白魔』が倒れ、『白城』も崩れた、か」
 エンペラーズマインドを守ることも敵わなかった。
 間違いなく、猟兵達はますます勢いづき、皇帝へと刃を近づけることだろう。

「だが、まだ私がいる」
 そう、まだこの身が残っている。
 一度は死に、骸の海へと還りながら、再び皇帝の為に武器を持つことが許された、この騎士が居る。

「さあ、来い。猟兵共」
 この電子の頭脳に宿り、自らを闘争に駆り立てるデストロイマシンも、今だけは心地よい。

「銀河帝国の白騎士。このディアブロが――」

●グリモアベース
「皆様、お集りいただきありがとうございます。世界コードネーム:スペースシップワールドにて、オブリビオンの出現が確認されました」
 シスター服に身を包んだグリモア猟兵が、自分の呼びかけに応じてグリモアベースに集った猟兵達へ語りだす。

「ええ、ええ。他の戦場に少しだけ遅れ、此方でも幹部格、白騎士ディアブロの登場です」
 『白魔』『白城』を破り、先に進まんとした解放軍の前に立ちふさがったディアブロ。
 未来を読む彼の前には、解放軍の攻撃は全く当たらず、既にその撃破は絶望しされている。

「解放軍の間では、既に白騎士を放置し、皇帝を叩くことに集中するべきだという意見も上がっています。ええ、白騎士はもう、艦隊を失い、ただ1人なのですから」
 けれど、猟兵の視点から見れば話は変わる。
 艦隊を失おうとも、白騎士はただ一人で強力なオブリビオンであることに変わりはない。
 この戦争で彼を討つことができなければ、彼自身が皇帝亡き後の新たなるオブリビオン・フォーミュラになる危険性すら論じられていた。

「ええ、彼の相手は、此処に居る我々の仕事でしょう」
 きっと、此処で倒しても、また骸の海から彼は帰ってくる。
 しかし、それも無限には続かない筈だ。
 何度でも現れる白騎士を、倒して、倒して、倒し続ける。

「……きっと、負けることもあるでしょう。未来を読む白騎士は、そういう相手なのです」
 それでも立ち向かわなければならない。
 それでも白騎士を越えねばならない。

「さて、転移の準備も整いました。お覚悟はよろしいですか? ええ、我々こそが――」

●開戦
「「勝利の未来を手にする者だ」」


北辰
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●シナリオ補足
 白騎士ディアブロは、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 北辰です。二大巨頭のロボな方、白騎士さんの登場です。

 既に黒騎士やオロチに挑まれた方も多いでしょう、白騎士も勝るとも劣らない強敵です。
 冒頭で示すように、白騎士は猟兵と同じ能力のユーベルコードで先制をしてきます。
 事前に何かするという行動は禁止はしませんが、失敗する確率が高いとお考え下さい。

 戦争も佳境。
 皆様の、戦いを終わらせるためのプレイングをお待ちいたします。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『白騎士ディアブロ』

POW   :    収束する運命の白光
【対象の未来位置に向け放たれるレーザー】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    ホワイトライト・トゥルーライト
【10秒先を見たかの様に的確な攻撃を行い、】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    デストロイマシン零式
戦闘力のない【66機の動画撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【正確無比な未来予想シミュレーション】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜神・静流
●方針
正確に未来を読む相手に対して、こちらは見切りと速さで対抗。
私に出来る最速の攻撃で、見てから後出しした上で打ち勝ってみせる。

●行動
見切り・視力・第六感・残像・早業・カウンター・衝撃波・2回攻撃の技能を使用。
相手が攻撃を放つ瞬間を見切り、一ノ太刀・隼による相殺を狙います。十六夜と白夜による左右の連続抜刀術で、一撃目を放った直後に二撃目で攻撃を。
必ず先制攻撃をして来るというなら結構。真っ向から受けて立ちます。

「我が剣は迅――一ノ太刀・隼二連ッ!」


アネモイ・エンドア
白騎士……とっくの昔に帝国は滅んだんだ。今の世に帝国は必要ない!
私みたいな戦艦も、お前らが黄泉還らなきゃお役御免な時代になったんだ!
だからよぉ……お互いこの時代に要らない存在同士、仲良く骸の海に沈もうぜぇ!

【艦長権限・総員集合】で幽霊船員達を呼び出し、白騎士の移動範囲を制限させるように陣形を組む!
てめえが未来を予想するのなら「攻撃を避けきれない未来」を見せてやるだけだ!
先制攻撃も避けれないと分かってれば『覚悟』を決めて『激痛耐性』で受けきるのみ!

複製艤装を展開し、全武装の『一斉発射』で『範囲攻撃』だ!
弾が切れたら宇宙戦艦搭載武装用弾薬で補充し『二回攻撃』!
『誘導弾』もオマケに喰らえ!



●優先順位
「……来たな、猟兵よ」
 自らの宇宙船に転移してきた猟兵達。
 その先駆けである夜神・静流(退魔剣士の末裔・f05903)とアネモイ・エンドア(エンドア級戦艦13番艦・f00797)の姿を認めたディアブロが静かに呟く。
 3対の腕で器用に武器を構え、ゆっくりと構えを取る。
 2人の内、剣士が迎撃を狙っていることは既に『視た』。
 ゆえに、ディアブロがまず目を向けるのはもう1人。

「ああ、来たさ白騎士。今の世界に要らない物同士のよしみで、骸の海の案内をしてやろうと思ってな」
 今のスペースシップワールドに自分のような兵器は必要無い、それがヤドリガミとして目覚めた彼女の結論だった。
 けれど、かつて帝国へと立ち向かった身として、今この時、白騎士に立ち向かうのも自分の役目だろう、強敵への戦いに名乗りを上げるのに、躊躇いなどなかった。

「何も1人で還れなんて言わないぜ? 賑やかな旅路にしてやろう……【艦長権限・総員集合(オール・ハンズ・オン・デック)】!!」
 アネモイの号令と共に現れる、かつて彼女と共に戦った乗組員たちの亡霊。
 敵が未来を見るというのなら、その未来での選択肢を減らしてやるまでだ。

 今いるこの場は敵戦艦内のホール状のエリア。
 ここを自由に動き回れれば、苦戦は必至だろう、誰かがディアブロの動きを制限する必要がある。
 その思惑の下、乗組員たちによる包囲を行おうとしたその直後に。

「――悪いが、されると分かっている小細工を見逃すほど、私は貴様らを過小評価していない」
「……ッ!? 総員、牽制射撃ィ!!」
 突如真上へビームライフルを放とうとしたディアブロに対し、陣形を完成させる事よりもその牽制を優先せざるを得なくなる。
 同じく攻撃よりも回避を優先したディアブロに対して、アネモイの表情は険しい。
 戦いが始まった直後こそ、敵を包囲する最大のチャンスだったのに、それを手放さざるを得なかった。

 この宇宙船に穴が空くだけなら問題はない。
 ヘロドトスで得た極薄宇宙服は、既にすべての猟兵にいきわたっている。
 空気が抜けようが、重力が乱れようが、そんなものは戦いに影響はしない。

 問題なのは、当初の予定とは全く異なる動きを見せたアネモイを、少しだけ訝しむ静流も知らない、アネモイだけがこの場で知る筈の事実。
 今ディアブロが撃ち抜こうとした先にあったのは、一隻の旧式戦艦、アネモイの本体だ。
 戦艦とはいえ、はるか昔の技術で作られた代物。
 そのコアが射貫かれようものなら、それはアネモイの死に直結する。

 けれど、何故。
 何故、ディアブロは正確にアネモイの急所を見切ったのか。

 警戒を強めるアネモイを、ディアブロが静かに見つめる。
 彼は、声高に自身の力を誇示することはしない。
 正確には、できない。

 アネモイを直接撃って、覚悟の下に耐えきられ、包囲を完成させられた。
 亡霊たちを切り刻み、それでもなお乱れぬ統率の下、包囲を完成させられた。
 欲を出して戦艦を落とそうとした隙を、静流に両断された。

 刹那に観測した未来の内、半分以上は失敗だった。
 限られた時間の中の試行で、偶然引き当てた成功を誇るなど、彼の帝国軍幹部としての誇りが許さない。

 それでも今この現在において、機先を制したのはディアブロの側だった。

「普段と違い此方が予知される側に立っただけで、こうもやりづらいとは……」
 この場のもう1人、静流の表情も険しいものだ。
 先ほどからディアブロの攻撃の隙を窺えど、此方への警戒を解くこともなければ、攻撃をしてくる様子もない。
 3対の腕という身体が埋める隙の無さが、予想外に厄介だ。
 そして、おそらく此方の狙いがバレている。
 ディアブロの側から手を出さない限り、ユーベルコードを使用しないと、優先順位の低い敵だと認識されているのだ。

 待ちの戦いで分があるのは、機械の身体を持ち、皇帝へ向かう猟兵を少しでも減らせればいいディアブロだ。
 戦場の緊張は、猟兵といえど人の身体を持つ静流の精神をじわじわと蝕んでいく。
 無謀でも、此方から仕掛ける他ないのか。

 その時、動いたのはアネモイだった。

「仕方ないな……総員、照準合わせッ! 撃てー!!!」
 複製艤装を展開し、乗組員たちと合わせた一斉射撃。
 各員のビーム銃、機銃、ミサイルが一気にディアブロへと向かう。
 けれど、不完全な包囲で行われたそれは容易に捌かれ、アネモイへとビームライフルが向けられる。
 戦艦の大型艤装を身に着けた状態のアネモイでは、それを躱すことはできない。
 だけど、本体でないこの身なら、凄く痛い思いをするだけですむ。
 もとより、骸の海へ共に沈もうという言葉に、偽りなどありはしない。
 そして、自身の攻撃を躱しながら反撃をする状態なら――。

「参ります。【一ノ太刀・隼】!」
 静流の刀がディアブロへ迫る。
 白き霊刀での抜刀術は、されどディアブロの最後の腕で防がれる。

 それでいい。
 防御、反撃、防御。
 この一瞬、ディアブロの3対の腕はすべて動かせない、一瞬さえあれば、静流の太刀はその喉元を切り裂くだろう。

「舐めるなァ!!」
「ぐっ!?」
 そこまで迫った静流の腹に、ディアブロの超硬度の膝がめり込む。
 そもそも彼はウォーマシン、その全身が人を殺めうる凶器だ。
 加えて、オブリビオンですらないころから皇帝の刃となって戦い続けた彼は、未来を見通す力に頼らずとも、敵の動きを見切る優秀な戦士だった。
 常人であれば背骨が砕けるであろう一撃が、カウンターのように静流を襲う。

 けれど。
 けれど、彼女『たち』とて猟兵だ。
 叫び声を上げたくなるような痛みも、彼女たちの意思を折るには至らない。

 ディアブロに向けて、再びミサイルが放たれる。
 ビームライフルの一射に身体を貫かれ、なお不敵な笑みで敵を睨みつけるアネモイのものだ。
 とはいえ、ディアブロの電子の頭脳が、この場に留まれば誘導ミサイルは自身の後方へ着弾するだろう軌道予測を瞬時にはじき出す。
 だから、これは必要なことだ。

「我が剣、は、迅――一ノ太刀・隼、二連……ッ!」
 血反吐を吐きながら、なおも闘志を燃やす静流の太刀を、損傷覚悟で受け止めなければならないことは。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ナノ・クロムウェル
…貴方には私の敗北が視えているのでしょうね
私は…その未来を変えます!

敵の「デストロイマシン零式」その対抗策は…「66機の動画撮影ドローン」を消し飛ばすこと
「鉄仙花の炎舞」で「翠炎剣」を変化させ、敵の視界を覆い、1機を残して全て撃墜させましょう…あたかも運よく逃れたかのように…

残ったドローンに対して「ハッキングコード」で「ハッキング」し…未来予想シミュレーションを書き換えます

1手、私が「属性攻撃」により翠の炎を掌から放つ
2手、私が敵の回避に合わせて急接近し翠の炎を纏った拳で殴る

そして未来予想に無い3手目…「アルトロン」で砲撃します

2手の3手の間に何が起ころうとも…「激痛耐性」で乗り越えましょう


死之宮・謡
WIZ

戦闘力がないならいくら増えても問題ないねぇ…効果を発揮し始める前に【永劫血統装具】の回復と【血命封縛陣】の封印で無効化、【代償戦線】で領域構築をしよう…封印するまで地獄めいた状況になると思われるので封印完了まで至近距離は保ったまま「見切り」等を続け、此方からからは一切の攻め気を出さない…耐えよう。簡単な話、封印完了まで一切の隙を与えない、それだけさ。攻めなきゃ其処まで隙はできないよぉ?
正面から特攻は愉しいけど黒騎士アンヘルでやってずたぼろにされたしもういいかな?


バラバ・バルディ
【WIZ】
ふーむ。未来予知力というのは確かにちっと厄介じゃが、万能でないのはこれまでの猟兵たちの活躍で分かっておるからの。力を削ぎ続ければいずれ勝てよう!ぬぁっはっは!(『鼓舞』)

さて。お主はただでさえ強いんじゃし、今より強くならずとも良かろう?のう?
(異彩の杖で暴走を制御しつつ『高速詠唱、属性攻撃』で「雷」属性の「旋風」のUCを発動。ドローンを落とします)
壊しきれんかったものは『ダッシュ、早業』でちまちま落としていくぞ。

じゃが、危機にある仲間がおれば優先して『かばう』あるいは『挑発、おびき寄せ』でわしの方に白騎士の気を引こうぞ。なあに、わしより戦闘に向いておる者が多く残った方が良かろう?


イデア・ファンタジア
未来予想シミュレーション、きっとドローンの映像を解析して行ってるのね。
展開された敵のドローンのカメラをグラフィティスプラッシュの連射で塗り潰すよ!
戦闘力の無いドローンは武器でも防具でもない。邪魔されなければ簡単だけど――
それを許す白騎士じゃないよね。ええ、分かってるわ。
だから七大絵筆『セプテントリオン』の内の1本はディアブロに攻撃して牽制!
残りの6本でドローンを補足、1本当たり11機やっつければいい話よ!

ドローンを無力化させたらそのまま七本全て白騎士に集中よ。
その白い鎧、塗りがいがあるわね!
「北斗七星って知ってる?その輝き、たっぷり目に焼き付けるといいよ!」



●赤、緑。七色ふたつ。
「ふーむ。未来予知力というのは確かにちっと厄介じゃが、万能の代物、というわけでもないようじゃのう」
 先の攻防を分析したバラバ・バルディ(奇妙で愉快な曲者爺さん・f12139)が陽気な口調を崩さずに、味方を鼓舞する。
 未来を見るというアドバンテージこそ厄介だが、望んだ未来を手繰り寄せる為のディアブロの手は限られている。
 仲間と連携し、的確に対処していけば超えられぬ敵ではない。

「その通り、私は決して万能の存在などではない。ゆえに、数の不利を埋めさせてもらおうか」
 バラバの呟きに真っ先に反応したのは、敵であるディアブロ。
 肩部のアーマーが開き、動画撮影用ドローンが次々に飛び出す。
 未来観測に連動し、ディアブロの兵器の、身体の性能を強化していく彼のしもべだ。

「むう、ただでさえ強いのに、より強くなる気か! なんと強欲な奴め!」
「とはいえ、黙ってそれを見過ごすわけないよね!」
 バラバの非難と共に、自身の武装である七色の絵筆を展開するのはイデア・ファンタジア(理想も空想も描き出す・f04404)。
 白騎士が呼び出す援護ドローンについては、グリモアベースで既に報告されていた。
 放っておけば、白騎士は攻防共に強化されていき、手が付けられなくなるだろう。
 ドローンがその役目を果たす前に叩き落さねばならない、そして、それに向いているのは七つの筆を操る自分だ。
 そこまで思考を重ねたところで。

「なら、私も邪魔をするのは、分かっているだろう?」
「そりゃあ、勿論……って、きゃあ!?」
「ぐっ、大丈夫か嬢ちゃん!?」
 ディアブロからの、的確なライフル射撃がイデアに向けられる。
 彼女とて、その可能性を考えなかったわけではない、七つの絵筆の内、最後の1本はディアブロ自身への対処の為に手元に残しておいた。
 けれど、銀河帝国の幹部たるディアブロの力は、猟兵といえども、七分の一の力で対抗できるような甘いものではない。
 ライフルの光線を受けた絵筆は瞬時に焼き切れ、ほとんど威力を損なわずに、その主を襲う。

 咄嗟に射線に割り込み、ライフルを受けたバラバの懐から、強い光が一瞬洩れる。
 保険代わりのお守りが、その効力を失った証だ。
 バラバがその霊力を丁寧に注いで作ったオーラの守りを、一撃で砕く光線砲の一射。
 まともに受ければ、さぞ綺麗な風穴が開くことだろう、笑みを絶やさぬバラバの頬を、一筋の冷や汗が伝う。

「……ごめん、おじいちゃん。このまま守りをお願いしていいかな?」
「おう、任された! もちろん、あの白いのをわしよりカラフルにしてくれるんじゃろう?」
 残り6つの絵筆をすべてディアブロへ向けたイデアの頼みを、バラバは快諾する。
 もとより、このような混沌とした戦場で自身のユーベルコードを使えば、誤って暴走を引き起こす危険もある。
 ならば、自身より戦闘に向いた者を十全に活かすことが優先である。

 なにより、自分たちには、より多くの仲間がいる。

「予知通りのドローン群……待ってください、66機超えてませんか?」
「嗚呼、モシカシタラ私ノ、ユーベルコードニ、反応、シテルノカモネェ」
 グリモアベースが掴んでいた情報を上回る敵のスペックに対するナノ・クロムウェル(翠炎のメタルサバイバー・f02631)の疑問に、死之宮・謡(狂い果てし王・情緒不安定の狂戦士・f13193)があっけらかんと答える。
 ディアブロに限らず、オブリビオンの一部には、猟兵のユーベルコードに共鳴するように複数のユーベルコードを発動させてくる強力なオブリビオンが確認されている。
 自身の血を媒介としたユーベルコードの重ね掛けの準備に入っている謡に呼応したディアブロが、今までの例に漏れずユーベルコードの複数発動を行っていても不思議ではない。

「ドウセ、戦闘能力ガ無イノナラ、イクラ増エテモ、良インジャナイ?」
 何してくれてるのだという視線を向けられ、平然と答える謡にナノが静かにため息をつく。
 ものは考えようだ。
 ナノの狙いを達成するには、ドローンの数が多ければ多いほど、都合がいい。
 ……それまでの労力が増えるのも事実なのだが、気にしない方が気分よく戦えるだろう。

「仕方ない、数を減らすのは手伝ってもらいますよ」
「エエー……ショウガナイナァ」
 謡としてはディアブロにあまり近寄りたくは無いのだが、まったく攻めないというのも、自身のユーベルコードの都合上、ちょっと困るのだ。
 大槍を握りしめ、狂戦士が先陣を切る。

 とはいえ、ディアブロを直接叩くのは無しだ。
 イデアの絵筆に攻撃されながら、此方に向けられたライフル射撃が、謡の頬をかすめる。
 既に1人、いや、イデアの盾となっているバラバを合わせれば2人を相手にしながらコレだ。
 決着を急いで自分もディアブロへと向かえば、その攻撃の隙に致命傷を食らいかねない。
 バラバとて、2人を同時に守る余裕は無いだろう。
 だから。

「私ハ! 止マラナイ! ……私ハ治リ続ケ、御前ヲ壊シ続ケル……!」
 【永劫血統装具】、自分の命を蝕みながら自分を癒す、矛盾を抱えたユーベルコードで攻撃するのは、あくまでディアブロのドローンだ。
 流れ弾で傷を負いながらも、狂気じみた形相で槍を振るう謡の自身を顧みない攻勢で、ドローンがその数を減らしていく。
 流れる血も、床に落ちれば自身の力を高める領域へと変じる。
 ――そんな打算は半ば頭から消えている。
 楽しい。
 謡の壊れた心にとって、この破壊をまき散らす遊びは堪らない。
 もっと、もっと、もっと!

「……頃合いを見て、止めなきゃいけませんよね、あれは」
 そうポツリと呟くナノにとって、謡の狂乱は都合がいいものであることも事実であった。
 彼女の『仕込み』は、コードによる有線接続が必要なのもあって、どうしようもなく目立つ。
 ゆえに、派手に暴れまわる相棒自体は望んでいたものだ。
 けれど、共に戦う仲間が、命を削る力を振るうことをためらいなく喜べるほど、ナノの人間性は摩耗しきっていない。
 ここらで待ったが必要だ。
 彼女は仕込み――こっそり捕らえた1機のドローンを放しながら、静かに思考する。

「タッノシイナァ! ……ウワア!?」
 気分よくドローンを殲滅していた謡を上手く避けながら、緑炎の花吹雪が舞う。
 ナノのユーベルコード、【鉄仙花の炎舞】が、残り少なくなってきたドローンを一気に殲滅し、残るのは少し外れた場所を漂っていた1機のみ。
 ならば謡の次の行動は決まりだ。
 巻き込まれかけた怒りなどすぐに忘れ、とうに塞がった傷から流れる血で、ディアブロ本人への攻撃へと転じる。
 まだ足りない、まだ楽しみたいのだ。

「……ドローンを優先するにしても、いささか対応が遅れたな」
 とはいえ、ドローン群によるディアブロの強化は既に進んでいた。
 新たに作られたもう1つのライフルを構え、血みどろのダンピールの迎撃に入る。
 その射撃はすんでのところで躱されるが、謡の槍もまたディアブロには届かない。
 嫌がらせと言わんばかりに彼女の血がディアブロの白い装甲を汚すが、そんなものを気に留める情緒など、戦争兵器たるディアブロにはありはしない。

「ぬう、白騎士塗り絵一番乗りを取られちまったぞ、嬢ちゃん!」
「そういう戦いだったかしら、これ?」
 謡の攻めが加わった今が好機と、バラバとイデアも一斉に攻勢に移る。
 杖から放たれる電撃と、絵筆からの塗料が連続してディアブロを襲う。
 それに対するディアブロの選択肢は、回避せず、その場に留まっての防御。

 対象ユーベルコード名、【エレメンタル・ファンタジア】、および、【グラフィティスプラッシュ】。
 ドローンによる強化を経たディアブロの装甲ならば、軽微な損害で耐えられる攻撃だ。
 対処すべき脅威は3手目、翠炎を纏ったナノの突撃のみ。

 そう分析したはずのディアブロの未来観測がブレ始める。

「――何!? こ、これは、ドローンが……!」
 衝撃。
 ディアブロの脚部に命中したバラバの電撃が、予想をはるかに上回るダメージを与え、彼の機動力を奪い去る。
 なにより。
 なにより、拳をサーベルで受け止められたナノが背中から展開し、肩へ装着する、2門の大砲。
 それを、ディアブロは知らない。

 そんなもの、未来では見ていない!

 理屈は単純だ。
 1機だけ残ったドローンは既に、ナノのハッキングにより、彼女の望む未来を映し出す代物になっていたこと。
 ディアブロ自身の未来予知が、謡の最後のユーベルコード、【血命封縛陣】の力により機能停止していたこと。
 バラバとイデア、2人の猟兵の相手取る戦いで、その事実の認識に遅れが生じたこと。

「……貴方には私たちの敗北が視えていたのでしょうね」
 それらをまとめて、気取った表現をするのなら。

「けれど、白紙の未来は私たちが塗りつぶす。この輝き、たっぷり目に焼き付けるといいよ!」
 白の騎士に突き刺さる、大砲の連撃と、七色の絵筆。
 それは、未来を司る彼だから。
 誰でも持ちうる、未来への疑問を持たない彼だからこそ、出し抜かれる羽目になったのだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

聖護院・カプラ
白騎士ディアブロ…デストロイマシンの申し子よ。
貴方は人の愛を、祈りを、徳を感じた事はありますか?
ないのならば結構、その行いを改めさせるまで。

座禅の体勢を取り『瞑想』をする事で『収束する運命の白光』もまた涼し。
宣告されたルールを破りダメージを受けようとも構いません。

フルパワーの『存在感』を『後光』ユニットから放出する事で白騎士のFCSに情報錯誤を起こさせて私に攻撃を集中させ、他猟兵への未来予想を数瞬でも妨げるのです。

デストロイマシンに頼るのも良いでしょう。
ですが未来予想イコール未来ではありません。
未来に歩みを進めるのは…生きる意志を、”徳”を持った人々なのです。
貴方も仏門に入ればわかりましょう。


甲斐・ツカサ
10秒先の未来を見る…オレと同じタイプの能力だね
それならオレが嫌がる事をするだけだ!

とにかく、相手の予知が追い付かないだけの情報量を与えて、10秒後の状況全てに対処出来ないように!
電脳ゴーグルによって投影した、複数の自分の姿のホログラム
それぞれが空中に作った足場を使って高速移動しながら、ワイヤーを射出して包囲しつつ、短剣から伸ばした光刃を振り、最終的には短剣を突き立てる為に懐へ
そんな、電子的な多重分身による多重攻撃で相手の処理能力を落としていく

更には、電脳空間経由で起動させた宇宙バイク単身の全速突撃

10秒先を読めても、その瞬間に100の攻撃が来れば全部には対処出来ないさ!
その隙、もらった!



●苦戦
「損傷……中破。まだだ、まだ、我が剣は折れん……!」
 強化された装甲を砕かれ、なお闘志を燃やすディアブロに、聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)は静かに問いかける。

「白騎士ディアブロ……デストロイマシンの申し子よ。貴方は……」

「人の愛を、祈りを、徳を感じた事はありますか?」
 この場で聞くのがそれか。
 信じられないものを見る甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)の視線が突き刺さるが、カプラにとってはとても大切な事だ。

「……知ってはいる、感じた事は無い。それが、我々とお前たちの差なのだろうという事は、気づいてはいるがな」
 律義に返答を返すディアブロが、デストロイマシンを克服したのであろう、カプラに見出だした感情はいかなるものか。
 少し予想とは外れた返答を受けながらも、カプラの為すべきことは変わらない。
 未来を作る役目を負うのは、デストロイマシンの闘争本能ではなく、愛を持ち、祈りと共に生きるを望む人々であるべきなのだから。

「誠意ある回答に感謝を。ですが、我々は猟兵として、貴方を止めねばなりません。……仏門に入る気は?」
「論外だ。私が信じるのは、この世にただ一人、偉大なる皇帝陛下の他にはない」
「かしこまりました、では、やはり戦うしかないのでしょう。子よ、私の背後に」
 カプラの頭脳に、相手を傷つける戦いの記録は多くない。
 あるのは、かつて用心棒として潜り抜けた、守るための戦いだ。
 目の前のディアブロを打ち倒すには、自分の半分を少し超える程度の、小さな少年の手を借りるほかない。

 ディアブロの放つレーザーが、猟兵を襲う。
 それを受け止めるのは【瞑想】に集中するカプラの役目だ。

「カ、カプラさん!」
「問題はありません、これが私の為すべきこと。貴方は、貴方の為すべきことをするのです」
 ツカサとて、仲間を盾にするような戦いをしたくなどはない。
 けれども、彼の戦いを始めるには、どうしても準備の時間が必要だった。
 早く、早く投影プログラムを完成させねばならない。
 子供だましの代物では駄目だ、帝国軍を支える騎士を欺く、切り札となるプログラムを――!

「ふむ、大体は分かった」
 急に、ディアブロの攻撃が止まる。
 何が分かったというのだろうか、ツカサの疑問に答えるように、ディアブロは言葉を続ける。

「本能を克服した同胞よ。お前には、『攻撃の放棄を禁止』する」
 ユーベルコードにより課せられるカプラへの縛り。
 守るのは簡単な部類に入るだろう、戦場において、敵を攻撃しない者の方が珍しい。
 けれども。

「ぐ、うぅ……!」
 カプラの身体から金属が軋む、嫌な音が鳴り始める。
 攻撃の放棄を禁止するというのなら、守りに徹するカプラは今まさにその禁を破り続けている。
 複数の未来を見ることで、もっとも効果的な縛りを見出したディアブロ自身信じがたいことであるが、カプラにはこのルールを守れない。

 カプラとて、戦場の掟はよく分かっている。
 相容れぬ者が刃で傷つけ合い、どちらかの意見を押し通す行為、それが戦いだ。
 いかなる世界でも、綺麗ごとだけではかなわぬ祈りがあることを、彼はよく知っている。

 だが、カプラは大丈夫だと言った。
 仲間を守ることが、自分の役目だと言った。
 この座禅を解き、ディアブロへ攻撃を行えば、彼が狙うのはカプラの背後にいるツカサだろう。
 それはできない。そのようなことは、良い行いではない。
 他ならぬ自分が、迷える人々が縋るための、柱になると決めた自分が、それを放棄するなどできはしない。
 内側から自らを蝕む痛みが続こうと、カプラがその誓いを曲げる事は無い。
 曲げる必要が無いと、知っている。

「くそ、動けない相手をいたぶるのがそんなに楽しいかよ!」
 準備を終えたツカサが、蒼い光刃を携えディアブロへと向かう。

 怒りと、それ以上に目の前のオブリビオンを討つ決意を宿した眼差しは、カプラが何度も見てきた輝きだ。
 良い未来が欲しいと必死に足掻く、この上なく愛おしい人の輝きなのだ。

「何を為す、幼き猟兵よ……ッ、何だ!?」
「もう見たのか! じゃあ、隠す必要もないよね!」
 驚愕するディアブロに数瞬遅れて現れるのは、何十人ものツカサの姿。
 電脳ゴーグルによって投影した、ホログラムによる分身が、戦場を駆ける。
 電脳空間経由で起動させた宇宙バイクも突っ込ませてやれ。
 未来を見るのであれば、見切れないほどの情報を叩きつけるのだ。

 電脳魔術師ならすぐに用意したであろうプログラムも、この場においてはカプラが文字通り身体を張って作った時間が必要だった。
 これで決める。
 決めねばならない――!


 結論として。
 純粋に、技量が足りていなかった。

 メカニックとして、ハッカーとして、まだまだ幼く、未熟なツカサの作ったホログラムには、人の目には見切れぬアラが残っており。
 カプラが放った全力の存在感は、皇帝の存在感を間近で見続け、――彼自身は決して認めないだろうが――存在感に対する慣れだけならば、銀河皇帝以上となったディアブロの頭脳を乱すまでには至らず。

 戦場に残ったのは、ルールを破り続けたダメージで壊れかけのウォーマシンと、カウンターとして叩き込まれた拳に吹き飛ばされた、子供だけであった。

「……終わってみれば、このようなものか」
 もはやただ一人、両の足で立つディアブロがぽつりと呟く。
 猟兵達に、戦う余力などは残っていない。
 転移で逃げ回る猟兵に対して、2人だけでも仕留めたのは上出来ではないだろうか。
 とはいえ、急いで残りも倒さねばならぬ。皇帝陛下に楯突く者は、無数にいるのだから――

●『いいね』
「……冒険記って読んだことある?」
「どうでしょうか、貴方の知るものと、私が知るものが同一とは限りません」

「カッコいいんだよ、どんな困難に遭っても、立ち上がって乗り越えていくんだ」
「それは良い行いですね」

「本の話なのに、ハラハラして、思わず応援したくなるんだ」
「素晴らしい。他者の努力に声援を贈れる心は、徳を積むのにも役立ちます」

「……そういう風に、俺もなりたいんだ」
「幼い身で良い心がけです。ええ、お若いからこそ、悩むこともあるでしょう。ゆえに、老いた私が答えます。なれますとも」

「わかった、もうちょっと、頑張る」
「ええ、いってらっしゃい」

●蒼穹無き世界に吹く
「……もう、死にゆくばかりと思っていたのだが」
 宇宙船を動かすためのコントロールルームへ向かっていたディアブロが、驚愕と共に振り返る。

 そこに立つのは、いや、満身創痍の身で、身に纏う風に寄りかかるのはツカサだ。
 もはや、気力だけで意思を繋いでいる。
 自分だけでは立てぬ、カプラの言葉に背中を押され、ようやく闘志を燃やしている。

「影響は無かったと思っていたが、あのウォーマシンの存在感に、僅かに認識装置を乱されていたか」
 とはいえ、ノコノコと自らの前に出てきた以上、同じこと。
 今度こそ、その命を切り捨てるのみ。

「勝つまでやるさ、今度は、本気だ」
 剣を構えたツカサが再び呼び出したホログラムと共にディアブロへと向かう。

 なにも変わりはしない。
 先ほどと同じように、本体にカウンターを決めてやればいい。
 そう、本体に……。

「いや。これ、は!」
 ディアブロのカメラアイに映るツカサ達の姿がブレる。
 蒼い風を纏い、揺らぎ、駆ける。
 揺らめく風が、先ほどディアブロが見破った僅かな差異を覆い隠す。

 【悠久の蒼穹呼ぶ風の外套(ファーマメント・マント)】。
 先ほどとて、手を抜いたつもりは一切ない。
 禁じ手なのだ。自らの命を削る、正真正銘最後の手段。

 風を纏い、極限までに加速するツカサの剣が、ディアブロを捉える。
 突き立てるのは、これまでの戦いで猟兵達が傷つけてきた、装甲の僅かなひび割れ。

 一瞬の交差の後、受け身を取る体力すらも残っていないツカサが通路を転がっていく。
 ディアブロは立ったままだ、もう、この身体はピクリとも動かないというのに。

「ふふ、ふふふふふ……」
 不気味に笑い出したディアブロの声が終わる時、自らの命も摘み取られるのだろうか。
 結局自分では、憧れの英雄にはなれなかった。

「ふふ。デストロイマシンが見せる慢心の危険性。本能に縛られぬ、お前たちの意思の脅威。すべて、分かっていたつもり、だったの……だが、な……」
 そう自嘲した後に、機能を停止するディアブロ。

「……え?」
 ツカサが、自分たちの勝利を認識するのには、もう少しの間が必要だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト