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第二次聖杯戦争⑯〜ふわふわミントを守り隊

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #フェンリルを統べる者

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#フェンリルを統べる者


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 都市部から少し離れた石川県庁。その大きな建物の前に、小さな青い影が現れる。
「くぅ~ん、きゃんきゃん!」
 可愛く鳴き声を上げるその正体は、ゴーストウルフのミントだ。
 彼は頭上に無限大マークの渦をぷかぷかと浮かばせつつ、ぼんやりと佇んでいる。

 ふと、ミントの頭上の渦が輝く。そこから魔力のようなものが迸ったかと思えば、次の瞬間――。
「ウオオオオオ、ミント様! ふわふわですね可愛いですね!」
「我々はふわふわミントを守り隊! 貴方のために現れた騎士軍団です!」
「かつてはラダガスト様にお使えしていましたが、今はミント様の配下です! よろしくお願いします!!」
 暑苦しい声と共に現れたのは騎士鎧の集団だ。彼らはミントを守るよう、布陣を組んでウオオオと雄たけびをあげている。
 突然現れた集団にミントは――勿論驚いている。というか震えている。
「きゃ、きゃん! ぷるぷる……」
「おおミント様! 何かありましたか!」
「何かお困りのことがあれば気軽におっしゃって下さい! お水ですか、ご飯ですか! それとも敵ですか!」
「その頭上の変なのが原因でしょうか? けれど勝手に壊す訳にも……」
 ミントと騎士達の意思は微妙に噛み合っていない。

 それはこの事態を齎した|真犯人《ハビタント・フォーミュラ》の意向とも噛み合っていないのだが――そのことを知る者は、ここにいなかった。


「……何だったのかしら、今の予知」
 見たものをそのまま伝え終え、チェルシー・キャタモール(うつつ夢・f36420)は首を捻る。けれど困惑していても始まらない、チェルシーは気を取り直したように姿勢を整え、猟兵達へと向き直る。
「という訳でフェンリルを統べる者『ミント』の対処に行くわよ! 目的地は石川県庁なんだけど、この周囲はあんまり荒れてないわ。激戦地から遠い分ちょっとのどかな感じにすらなってるわね」
 石川県庁は主な戦場になっている繁華街とは反対側に位置している。ミント自体が過激な性質でないのも相まって、なんというかのんびりムードだ。だからといって放置はしておけないのだけれど。

「ミントは銀色の雨の時代において、幾つもの戦いを偶然生き延びてきたゴーストウルフなの。その性質に目をつけたハビタント・フォーミュラによって、カリスマを増幅され『魔狼フェンリル召喚術』のユーベルコードも付与されているの。その証拠に、ほら」
 チェルシーはグリモアを起動し、震えるミントの姿を映し出す。
 なんだか困惑しているその頭上には、ハビタント・フォーミュラを思わせる『無限大マークの渦』が浮かび上がっていた。
 更には予兆で見た光景のように、何人もの騎士がミントを守るべく立ちはだかっている。
「この騎士は召喚された|人狼騎士《クルースニク》達ね。かつては『背徳のラダガスト』の配下だったんだけど、今はミントに統率……というか勝手についてきてる。ミントに何かあればどこからでも押し寄せるわ。大群で」
 ミントと戦うためには、この大群で押し寄せる騎士達の対処が必要になるだろう。
 普通に戦えば、とても大変なことになりそうだが……?

「騎士達もね、ミントが何かに困ってることは理解しているの。彼らの目的はあくまで『ミントのために頑張ること』よ。ミント本人も積極的に暴れたいとか、そういう気持ちはないみたい。だから……上手くいけば戦わずに対処することも出来るんじゃないかしら?」
 ミントを守るべく立ち塞がる騎士達は、とにかくミントが大好きだ。
 戦いになればミントの為に命を落とすことすら厭わないだろう。
 そんな彼らと意気投合することが出来れば、戦いとはまた違った結末が訪れるかもしれない。
「例えば一緒に『ミントいいよね』って話をしてもいいし、『命懸けで戦ってもミントが喜ばないぞ!』って止めるのもいいし。とにかく騎士と会話とか、こう、戦わない手段で対峙してみるのはどうかしら!」
 具体的な手段は猟兵達に任されるだろう。
 とにかく取れる手段で騎士達に『何かしら』の対処をすれば道が切り拓かれるはずだ。
「なんだか妙な話だけど、ミントをどうにか出来ればフェンリルの統率も崩れるはずよ。戦いを有利に進めるためにも頑張りましょう! いってらっしゃい!!」
 チェルシーはそう話を締めくくり、転移の準備を進めるのだった。


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 ふわふわのいぬ。

●プレイングボーナス
 人狼騎士達に「何らかの」対処をする。

 ミントの周囲には大量の|人狼騎士《クルースニク》が待ち構えています。
 彼らはミントを慕っており、ミントを守るためなら命懸けで戦います。
 けれど彼らはあくまで「ミントのために行動する」という目的で動いており、虐殺などは企てていないようです。
 敵の数も多いので、普通に戦う以外のアプローチが有効かもしれません。

●『フェンリルを統べる者『震えるミント』』
 かつての戦いで何度も生き残ったゴーストウルフです。
 頭上にハビタント・フォーミュラから付与された『無限大マークの渦』が浮かんでいます。
 本人としては何か事件を起こす気もなく、ひたすら人狼達に慕われている状況に困惑しています。

 ミント本体は弱いですが、周囲は大量の騎士達が守っています。戦うのならミントと騎士達、双方を相手取る大変な戦いになるでしょう。
 ですが戦い以外の手段でも対応は出来るかもしれません。


 オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。

 シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
 また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。

 それでは今回もよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『フェンリルを統べる者『震えるミント』』

POW   :    なぜかフェンリルに慕われている
【魔狼フェンリル】を召喚する。騎乗すると【フェンリルの毛並みに隠れた】状態となり、【フェンリル頼みのパワー】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
SPD   :    けなげっぽい目で見つめて噛み付く
【かみつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【顔】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    くぅ〜ん、きゃんきゃん!
自身が【ぷるぷる不安な気持ち】を感じると、レベル×1体の【魔狼フェンリル】が召喚される。魔狼フェンリルはぷるぷる不安な気持ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:吉希

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リフネアス・ヴァッハ
アドリブ・連携〇
SPD対応

■心情
あら、可愛らしいワンちゃんがいるわね。人狼騎士さんたちもあの子を守ろうと殺気立ってるわ。別に無闇に人を殺そうとしてるわけでもないから説得を試みましょう。

■行動
私は彼らの前に現れて笑顔を見せて装備「旅愁の柿」をミントちゃんに見せる。そしてこれは過去の良かった思い出を旅するように思い出させる美味しい柿と説明して食べさせるように試みるわ、彼に「落ち着き」を与えて「動物と話す」でお喋りしてみるの。怖くない、大丈夫。
そして人狼騎士さんたち、そしてミントちゃんに指定UCを振舞ってあげる。
なにも戦うだけが全てじゃないのよ?




 溢れる騎士達とその中央で震えるミント。なんとも言い難い光景を前にして、リフネアス・ヴァッハ(心優しき自然神・f37693)は小さく首を傾げる。
「あら、可愛らしいワンちゃんがいるわね。周りには騎士さんも……でも随分気が立っているみたいね?」
 彼らはミントを猟兵や他の困難から守りたいと思っているのだろう。
 ミントも怯えているだけで、悪意のようなものは感じない。
 つまり騎士もミント達も、言葉を交わせば状況を理解してくれる可能性は高い。
 だからリフネアスは穏やかな笑みを浮かべ、そっと彼らの元へと進んでいった。

「なんだ貴様は!」
 リフネアスの接近に気付いた騎士は、武器を構えて彼女を睨む。
 けれどすぐに斬りかかってこない辺り、彼らに殺意は薄いのだろう。だからリフネアスも臆することなく、懐から小さな果実を取り出した。
「私はリフネアス。皆とお話しに来たの。これはお近づきの印よ」
 リフネアスが取り出したのはつやつや輝く柿だ。騎士達はその橙色の果実を凝視し、訝しむような様子を見せる。
「これは過去の良かった思い出を旅するように思い出させる、美味しい柿なの」
「ふむ……それならまずは貴様が食べろ。それから我らも毒見をさせてもらう」
「ええ、構わないわ」
 騎士達に促されるまま、リフネアスは柿を半分に切って。そのまま一口食べれば、ふわりと蘇るのは暖かな記憶だ。
 リフネアスが満足そうに柿を食べているのを確認し、手近な騎士にも一口分けて。すると彼の表情が、ふっと和らいだ。
「……嘘は吐いていないな。確かにラダガスト様との思い出が蘇った」
「それじゃあミントちゃんにもあげていいかしら?」
 その言葉に騎士はこくりと頷き、ミントへの道を開く。ミント本人はぷるぷるしているが、柿に毒がないことは確認していたようだ。
「はい、どうぞ」
 リフネアスが残りの柿を差し出せば、ミントもそれをもぐもぐと食べて。
 柿の力でミントは少し落ち着きを取り戻したのか、ぷるぷるは弱まった。これなら話も通じやすくなるだろう。

「皆でもっと美味しいものを食べましょうか。ほら」
 更にリフネアスは手を叩き、周囲に美味しい野菜を実らせていく。
 そのままさっと野菜を調理し、出来上がるのは楽しい食事の場だ。
「なにも戦うだけが全てじゃないのよ? こうやって美味しいものを片手におしゃべりすれば、怖いことは何もないわ」
「おお、これはありがたい。ささ、ミント様も!」
「わんっ」
 騎士達もミントもリフネアスのことは信頼したようで、食事を共にするつもりのようだ。
 リフネアスの優しさを籠めた果実と料理は皆の心に暖かなものを灯し、交渉の余地を広げていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

あやまあ、なんと可愛らしい子でしょうか。
ミント殿ですかー。いいですよねー。
あ、人狼騎士の皆様。大声出すと、ミント殿が驚いてしまいますよー?
声を抑えて抑えて。
で、うちの陰海月が(UC使用)是非、ミント殿へプレゼントしたいと。
さすがに数が多いので、色を選んでいただければなー…と。
ちなみに陰海月の手作りです。


陰海月「ぷきゅ!」
ミントへプレゼント!なUCである。もふもふ。
ミントちゃんぬいぐるみ、作ってもいーい?可愛いんだもん。




「あやまあ、なんと可愛らしい子でしょうか」
 のんびり笑顔を浮かべ、そう呟くのは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の悪霊が一人、『疾き者』。
 彼は武器も構えず穏やかな様子でミントの元へと近づくが、その道行きは|騎士《厄介ファン》達がしゅばっと阻む。
「貴様ッ何者だ!」
「ミント様に手出しはさせん!」
「きゃうん……」
 騎士達のやる気は十分なのだが、彼らの気迫はミントまで萎縮させている。その様子を見かねてか、義透は頬をかきつつ苦笑い。
「あ、人狼騎士の皆様。大声出すと、ミント殿が驚いてしまいますよー?」
 抑えて、抑えて、とジェスチャーする義透に騎士達は思わず黙る。納得するしかないのだろう。
 こうやってコミュニケーションをとっていけば、騎士達も殺意や悪意を出していないのは理解できた。大丈夫だと判断し、義透はクラゲの『陰海月』を呼び寄せる。
「で、うちの陰海月が是非、ミント殿へプレゼントしたいと」
「ふむ、その……クラゲが?」
「ぷきゅ!」
 敵からの貢物に騎士達の顔が強ばる。こうやって警戒させること自体は当然だ、だから義透も陰海月も落ち着いて言葉を紡ぎ続けた。

「はい。さすがに数が多いので、色を選んでいただければなー……と」
「色?」
「ぷきゅ!」
 注目が集まったところで陰海月が取り出すのは――可愛らしいミズクラゲ型ぬいぐるみの数々だ。
 これは全部陰海月の手作り品。ちなみにメガリスふしぎパワーで動くぞ。
 騎士達は幾つかのぬいぐるみを手に取ると、その様子をまじまじと観察していく。
「ふむ、毒針や盗聴器のようなものは仕掛けられていないな」
「籠められた魔力も危険なものではないようだ」
「というか可愛いな……」
 ぬいぐるみ、騎士達には好評である。陰海月も思わず鼻高々だ。鼻はないけど。
「ぷきゅ~……」
「陰海月はミントさんのぬいぐるみも作りたいそうでー……ミントさんが宜しければ、ですけど」
 思わぬ提案に騎士達の瞳がきらーんと煌めく。
 カラフルで動くミントちゃんぬいぐるみ――それは欲しい!
「ミント様、名案ですぞ!」
「ぜひ許可を!」
「きゃ、きゃうん!」
 ミントちゃん、なし崩し的に了承。騎士ガッツポーズ。陰海月も大喜び。
「それでは早速お願いしましょうかー」
「ぷっきゅー!」
「うおおおおありがとう猟兵! お前達いいヤツだな!」
「わうー……」
 ここに(ミントは若干巻き込まれ気味だが)不思議な友情が生まれる。
 陰海月の作るぬいぐるみは過去も現在も種族も色々乗り越え、暖かな縁を紡ぐのだ。
 ミントもきっと分かってくれている……はず。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フール・アルアリア
待って!僕は君たちの味方だ!!
見えないか、この指輪!僕は、なんと!!この指輪で動物と会話できるのだー!!(じゃじゃーん)
ミントちゃんと会話したくない?
会話したいよね!?貸してあげる!!
貸してあげるから、退いて欲しいなー。

だってさ、こんな可愛いミントちゃん、僕ら殴れないよ!怯えて見上げる眼差しとかさ、ふるふる震えてるとこみてよ、かわいそうだけどちょっと可愛いよね!!

僕の弟がね、普段はかっこいいんだけど、とある場所に行くとこうなるの。弟思い出して、余計、無理。

ねえ、ミントちゃんが怯えることなく、のびのび遊ぶとこ…見たくない?いっぱい遊んで、幸せスマイルみせる(以下犬可愛い語り

※UCは判定用




 まるで散歩の最中のように、軽い足取りで進むのはフール・アルアリア(No.0・f35766)。目指しているのはミントの元だ。
「何奴ッ!」
「待って! 僕は君たちの味方だ!!」
 想定通り騎士達が邪魔しに来たのを確認すれば、フールは堂々と腕を掲げる。その指先には煌めく指輪が嵌っていた。
「見えないか、この指輪! 僕は、なんと!! この指輪で動物と会話できるのだー!!」
 じゃじゃーん! この指輪はモーラットのぱたぽんがくれた不思議アイテム。動物と話せるのは本当だ。
 思いがけないアイテムの登場に騎士達もざわめき、じーっと指輪とフールに視線を送っている。
「ミントちゃんと会話したくない?」
「…………くっ!」
「会話したいよね!? ほら貸してあげる!!」
「…………よかろう!!」
「じゃあミントちゃんのところに連れて行って欲しいな!」
 その提案には騎士達もぐぬぬ。指輪のパワーは信じているようだが、フールのことはまだ半信半疑のようだ。
「大丈夫だって。こんな可愛いミントちゃん、僕ら殴れないよ!」
「わかる。その気持ちはとてもわかる」
「怯えて見上げる眼差しとかさ、ふるふる震えてるとこみてよ、かわいそうだけどちょっと可愛いよね!!」
「わかる!!! よし君は同士だ!!」
 交渉成立だ。いや、これ交渉ですらないような気もするけど。

 とにかくフールは指輪を騎士達に渡し、ミントの方まで歩み寄ることが出来た。
 ミントの方はまだ怯えているようで、少し涙目でフールのことを見上げている。
(……ああ、やっぱり)
 ミントの潤む瞳には覚えがあった。僕の義弟が、時々こんな風になってしまうから。
 普段格好良くて大切な義弟だけど、とある場所に行くと怯えてしまって。
 その時のことを思い出すから、ミントを傷つけるのは絶対に無理だ。むしろ気持ちとしてはその逆で。
 フールは確かな意思を籠め、周囲の騎士へと言葉を紡ぐ。
「……ねえ、ミントちゃんが怯えることなく、のびのび遊ぶとこ……見たくない?」
「ああ、そうだ。我々としてもミント様には楽しく過ごして欲しい」
「だったら皆で遊ぼうよ! いっぱいお話もしよう!」
 フールの提案に騎士達の表情も和らぐ。会話の内容を伝えられたミントも、いくらか落ち着いたようだ。
 それならあとはひたすら楽しく!
 同じ気持ちを抱く者同士、様々な垣根を超えて――いっぱい遊んで、いっぱい分かり合えるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
ミントさん可愛いよねぇーーーー!!
騎士達の話にはもう全力同意しちゃう
ミント様でもいい
なんとでも呼ぶ
このもふもふの毛並みもつぶらな瞳も
なんならぷるぷるしてるところすら守りたくあげたくなっちゃう
おやついる?膝枕する?

ところで騎士さん達もなかなかに素敵なもふもふですね…?

隙あらばもふもふしたい気持ちはあるけど
警戒させないようあくまで冷静に
…言ってる事は本心です

この渦ずっと頭上にあるとやっぱり気になるんじゃないかなぁ
僕なら滅茶苦茶気になる
ミントさんには傷は付けないまま壊す事は出来るかもだけど…
ミントさん驚いちゃいそうで
騎士さん達的にはどう思う?
試してみる?

許可が出たら【指定UC】で渦だけを狙い撃ち




「ミントさん可愛いよねぇーーーー!!」
「わかるぅーーーー!!」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は一言目で人狼騎士達と和解した。
 だって皆ミントが可愛いと思っているのだから。それなら争い合う必要はないのだ。
「ね、ね、呼び方は何がいいかな? ミントさん、ミントちゃん……ミント様でもいい」
「どの呼び方も素敵だな……我々は配下だからミント様、とお呼びするが」
「じゃあ僕も! ミント様ばんざーい!」
「ばんざーい!」
 意気投合した澪と騎士達は早速ミントトークに没入していく。その様子をミント本人はちょっと怯えながら見ていた。
 正直、怯える様も可愛い。これはこの場にいる皆の見解であった。
「このもふもふの毛並みもつぶらな瞳も、なんならぷるぷるしてるところすら守りたくあげたくなっちゃうよね」
「わかる……」
 限界オタクと化した騎士達に見守られつつ、澪はミントの元へと歩み寄る。彼も怯えてはいるようだが、逃げたり噛みついたりはしてこなさそうだ。

「おやついる? 膝枕する?」
「きゃん……」
 どっちも大丈夫です、といった雰囲気を出しつつ、ぺたんと座り込むミント。
 ちょっと残念だな、と思いつつも身体は撫でさせてくれるようだ。ミントのふわふわ頭を撫でつつ、澪はへにゃりと笑顔を浮かべて。
「ミント様、もふもふだよな……」
「うん。素敵な毛並みだね。毛並みといえば……」
 じーっと。澪が見上げるのは騎士達の方。
 彼らも人狼だ、立派な毛並みや尻尾を持つ者も多い。
「ところで騎士さん達もなかなかに素敵なもふもふですね……?」
「ほ、ほう? 我々も?」
「うん、ミント様みたいにふわふわで……」
「そ、そこまで言うか……」
 騎士達びっくり。でも彼らもミントのようにはなりたいのだろう、自分の毛並みを触りつつ手触りを確認する者もいるようだ。
「確認してもらえるか?」
「いいの? やったー!」
 澪はちゃっかり騎士達ももふもふさせてもらい、大満足。
 もうみんなもふもふのふわふわで幸せだった。

 けれど楽しいだけで話は終わらない。ふと澪が視線を向けるのは、ミントの頭上に浮かぶ渦だ。
「実はこの渦、滅茶苦茶気になってるんだよね。ミント様の邪魔なんじゃないかって」
「実は我々も思っていて。ふむ……あとで対処してみるか……?」
 騎士達も謎の渦のことは警戒しているようだ。壊すことにもきっと前向きになってくれるだろう。
 それならその時は僕も一緒に。人狼達と別の意味でも気持ちを一つに出来ているのを実感し、澪は嬉しそうに微笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベロニカ・サインボード
なるほど。敵意を持たず、敵意がない事を伝えて接すればいいのね
人狼騎士と交渉して、極力戦わずに解決するわ

そのためにまず、私の頭に看板をつけるわ
デカデカと『対話』と書かれた看板を

まず、騎士に私の能力を説明するわ
私のフォースオーラ『ワーニン・フォレスト』は、触れたものに看板をつける事ができる
そして意識しなければ、看板には土台となるものの概要が自然と書かれるわ
『それは何か』『どういう能力があるのか』そして『目的は何か』

そして私は、あなた達がミント様と呼ぶ彼(または彼女)に看板をつけようとしているわ
あなた達はミント様の意志を知りたくない?
それとも、私と戦ってミント様が傷つく所が見たい?




 少し遠くから見た人狼騎士達はなんだかサークルのように見えた。和気あいあいとしているし。
 そんな彼らの様子を観察しつつ、ベロニカ・サインボード(時計ウサギの道しるべ・f35983)は口元に手を当て考え込む。
 今は和気あいあいとしている騎士達も、敵を見れば即座に警戒するだろう。
 そんな彼らと交渉するには――やはり敵意を持たず、敵意がない事を伝えるのが一番だ。
 そのために必要な能力もベロニカは持っているのだから。
「――ワーニン・フォレスト!」
 その名を呼ばれたオーラは美しい狼女の姿を取り、ベロニカの頭上に大きな看板を取り付ける。
 そこに記された言葉こそベロニカの意思。準備が整えば、あとは交渉の席に着くだけだ。

 騎士達は少し先から歩いてくる猟兵に気がつくと、武器を握りしめて。
 けれど目を凝らして猟兵の姿を確認すれば、武器を握る力は緩んだようだ。
「……あれは?」
 彼らが見たのは当然ベロニカだ。けれどその頭上には――『対話』と大きく記されている。
「書いてある通りよ。私はあなた達と戦いに来たんじゃない、話に来たの」
「猟兵が? なんの目的で?」
「あなた達、ミント様の意志を知りたくない?」
「それは勿論。だがそれとお前の来訪が関係あるのか」
「ええ、これが見えているわよね?」
 ベロニカが指差すのは自身に取り付けられた看板と、その上を浮遊する狼女だ。
「彼女の名前は『ワーニン・フォレスト』。触れたものに看板をつける事ができるの。そしてその内容は、意識しなければ土台となるものの概要が自然と書かれるわ」
「つまり……?」
「ミント様に取り付ければ、『それは何か』『どういう能力があるのか』そして『目的は何か』……その辺りを知ることが出来るはず」
 ベロニカの言葉に騎士達は黙り込む。確かにそれを知ることが出来るなら、とても喜ばしいことなのだから。
「私と戦ってミント様が傷つく所が見たい? そうでないのなら、一度この能力を試してみない?」
「そうだな。我々が見張っている状態なら下手なことも出来ないだろう。一度だけだぞ」
 騎士達は道を開け、ベロニカをミントの元まで導いてくれるようだ。

 ベロニカは震えるミントの前に跪くと、すぐにワーニン・フォレストの力を借りる。
 するとミントの頭上には――『きゅうによびだされてびっくりした。はやくすみかにかえりたい』と書かれた看板が飛び出した。
「……彼、やっぱり巻き込まれただけみたいね」
「ふむ、だとすると……その渦のせい、なのだろうか」
 騎士達はミントの本心を知ると、すぐに彼を心配する姿勢を見せる。それならあとはもうひと押しだ。
「そうね。気になるなら、その渦を壊してみたらいいんじゃない?」
 その提案に、騎士達もいずれ頷くことになるだろう。
 ベロニカは自身の能力を活かし、そのきっかけを作り出したのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サリア・カーティス
戦わなくてもいいんですのね。
それは助かりますわ。だって……

こんな可愛い子と戦うなんて無理ですもの!(イヌ科大好きお嬢の側面を前面に出しながら

まずは敵意がないと伝えながら近づかなくては
ミントさんを見つめすぎず、しっぽを上にあげすぎないようにして近づきますわ。

確か目を見ないとかは敵意がないことを犬等に伝えられるはず……でしたわよね。
しっぽはあまり上げすぎると威嚇してるように見えるかもしれないから気をつけますの。
さ、触りたいのも我慢……しますわ……怯えてしまいそうですものね……

ミントさんを守る騎士の方にはもちろん、ミントさんをリスペクトする言葉に同意するようにして、交戦しないようにいたしますわ。




 依頼の概要を確認し、サリア・カーティス(犬の子・f02638)はにっこり微笑む。
 此度のターゲットは震えるミントと彼を守る人狼騎士達。彼らに対しては「何かしら」の処置を講じればいいらしい。
「戦わなくてもいいんですのね。ふふ、嬉しいですわ、助かりますわ」
 だって――ミントさん、あんなに可愛いのだから!
 という訳で早速ミントの元へ向かうサリアだが、彼女の前にはずらりと|騎士《ボディーガード》達が並ぶ。
「貴様、何者だ!」
「ごきげんよう、私はサリア・カーティスと申します。お察しの通り猟兵ですが、皆様と戦うつもりはありませんのよ」
 そう言ってサリアはふわふわの尻尾を下げる。その様子に騎士達は何かを感じ取ったようだ。
 そしてサリアの視線は騎士達には向けられるが、ミントは凝視していない。本音を言えばじーっと見たいけど、我慢している。
 サリアの取る動作の意味は人狼である騎士達には通じたようだ。彼らの表情はいくらか和らいだように見える。
「貴様、敵意はないのだな?」
「ええ。出来れば同じ狼、人狼同士でお話をしたいと思っておりますの」
 瞳を見つめすぎないことは、敵意のなさを伝えること。
 尻尾を下げることは、威嚇をしていないということ。
 本当はミントの姿をまじまじと見たいし、その可愛さに尻尾だってぶんぶん振りたい。
 もっと本音を言えばミントを撫でてもふもふしたいけど、怖がらせてしまうから我慢だってするつもりだ。
 サリアの我欲を抑え交渉の場につこうとする意思は――騎士達にはしっかりと伝わっている。
「そうだな。少し話をするくらいならいいだろう」
「まあ! ありがとうございます!」
「くぅ~ん……」
 ミントも恐る恐る近づいてきて、なんだか場も和んできた。
 あとは皆で仲良くお喋りする、だけだったのだが。

 ――数分後。
「ミントさん、本当に可愛いですわ! どこを見ても毛並みが美しくてふわふわで……」
「ああ、ミント様は素晴らしい! 私のオススメポイントは首元だな。ぷるぷるした時の震え具合が、こう……」
「たまりませんわね……!」
 繰り広げられていたのは限界オタクトークだった。
 犬ビッグラブのサリアにミント様ビッグラブが合わさったのだ。もう皆ミント様大好きトークを繰り広げるよ。
 ミント本人も若干引いてはいるが、皆の好意は理解しているのか大人しい。
 皆ミント様が、可愛いわんこが大好きなのだ。
 こうやって会話を重ねていけば、不思議な友情が芽生えていくものだ。
 きっとそれは、黒幕以外が喜ぶ素敵なことだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ絡み歓迎

フェンリルを統べる者!…って聞くとすごいのに、聞こえる声はなんだか怖がってるような?
んー、なんだか放っておけないの

生後10ヶ月くらいの子狼に変身して、これでちょっとでも警戒を解いてくれたらいいんだけど…
ぼくは動物と話せるから、何かわかれば良いな

ほんとにすごく護衛がいるの…
待って!ぼくはあなたたちと戦いに来たんじゃないよ?
さっきから、ミントさんの怖がってるような声が聞こえたから…
念のため結界を張って攻撃はしないで問いかけるね
どうしたの?教えて?

あの空のが怖いのかな?
なら、壊してあげる
UC発動
魔術陣の鎖と魔術回路の鎖で縛られた狼になって、月光の槍で渦を攻撃なの
みんなも手伝って!




 目的地である県庁に向かう最中、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)の耳がぴくりと動く。
 聞こえるのは騎士達の話す声や鎧の音が殆どで。けれどその合間に響く微かな声は、きっとミントのものだろう。
(フェンリルを統べる者! ……って聞くとすごいのに)
 ミントの小さな声はなんだか怯えているような。人狼であるロランにとって、その声は放っておけるものでもない。
 だからこそ自分に出来ることを。ロランは小さな子狼の姿に変身すると、ぺたぺたとミントの元へと向かう。
 騎士達もやってきたのが小さな狼となれば、警戒心より驚きのほうが強く出たようだ。
 そんな彼らへ向け、ロランは堂々と言葉を紡ぐ。
「待って! ぼくはあなたたちと戦いに来たんじゃないよ?」
「だが貴様は猟兵だろう? ミント様の話を聞きつけやってきたのか」
 騎士達は迷いつつも武器を握り、ミントを守るように立ち塞がる。そんな彼らの隙間から見える青緑の狼は、やっぱり怯えているようだ。
「さっきから、ミントさんの怖がってるような声が聞こえたから……力になれればって思ったの」
「ふむ……」
 言葉を受け、騎士達はロランの様子をじっと観察する。
「結界の魔術は展開しているが……他は何もなしか。この小ささでは武器も持てないだろうな」
「それに狼同士なら、ミント様とも話せるかもしれない。顔を合わさせても大丈夫だろうか……?」
 騎士達は暫く話し合った後、道を開くように立ち位置を変えていく。
 彼らの顔には不安が滲んでいるが、それはロランに対してというより、もっと別のものに対してのようだ。
「……我々もミント様が苦しんでいるのなら救いたい。話をしてくれるのなら助かる」
「だが不審な動きがあればすぐに動くぞ」
「それで大丈夫。それじゃあ、おはなししてくるね」
 ロランは騎士達の間を通り抜け、ミントの側へ歩み寄る。ミントも近づいてきたのが子狼となれば、少し安心したようだ。

「ミントさん、どうしたの? 困ってることがあるなら教えて?」
「くぅ~ん……」
 ミントはぽつりぽつりと話を進める。
 突然呼び出されたこと、変な女の子に変なものをくっつけられたこと、帰りたいこと。
 それだけ話を聞ければ十分だ。ありがとう、と告げてからロランは騎士へと向き直る。
「原因は頭の輪っかだと思うの。あれはミントさんのものじゃないから」
「……そうか」
 騎士達も訝しげにミントの輪を見遣り、少し考え込む。
 彼らが完全に猟兵達と和解出来れば、きっとあの輪をなんとかしてくれるだろう。
 その時は自分の魔術も役立てねば。騎士達の様子を眺め、ロランもまた意思を固める。
「ぼくの力がみんなのためになればいいな。必要になったらいつでも言ってね」
 そう紡がれたロランの言葉に、ミントが小さく鳴いて応じるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

ちょっとあなた達!そんなに詰め寄ったらミント様が脅えるでしょうが!
ああ、怒鳴ってごめんなさいミント様。
(ここからは小声で)ほらぁ、ガタイいいのに囲まれてミント様あんなにぷるぷるしてるじゃないの。もしかしてあなた達ペット飼ったことないのかしら?
とりま、ミント様を落ち着けないと。子守唄?全員で合唱したら怖がらせるでしょう。一応は|青春《合唱部》だったし|多重詠唱《私が唄いましょう》。
でもこのままだとミント様は猟兵に狙われ続けるのよね……そこで、これ、|創世神の繭《ソーンコクーン》よ。これなら|廃棄された時間質量《オブリビオンの構成物質》を改竄して生前の種族に再羽化できるわ。え?あなた達もミント様をより護れるようにもっと強くてその上でミント様に怖がられない見た目の種族に再羽化したいの?まぁ、そこまでいうなら。
まぁ、時間がかかるしその間に魔力の渦を|大食い、魔力吸収、魔力供給、エネルギー充填《おいしくいただいてしまいましょうか》。
寝てる間にもふもふを堪能




「ミント様が困っているのはあの輪っかのせいなのだろうか……」
「ウオオオ、可愛いミント様のためにも頑張らなければ……!」
 騎士達は少しずつ猟兵を信用してきているが、それはそれとして暑苦しい。
 そんな彼らを見兼ねてか、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)はパンパン、と手を叩きつつそちらへ近付く。
「ちょっとあなた達! そんなに詰め寄ったらミント様が脅えるでしょうが!」
 その音と声に騎士達はビックリしたし、ミントもビックリした。騎士はともかくミントもここまでビビリだとは。
「ああ、怒鳴ってごめんなさいミント様。わたしはただ話に来たのよ、怖がらせるつもりはないわ」
 ミントに軽く頭を下げてから、アリスが顔を寄せるのは騎士の方。
「ほらぁ、ガタイいいのに囲まれてミント様あんなにぷるぷるしてるじゃないの。もしかしてあなた達ペット飼ったことないのかしら?」
「ウッ」
 声は小さくとも的確なツッコミに、騎士達の身体が一回り小さくなった気がした。
 騎士達は本当にミントのことを大切に思っている。が、それが空回り気味なのも事実なのだ。
「とりま、ミント様を落ち着けないと。子守唄なんていかがかしら?」
「名案だな! それでは我々で……」
「おばか。全員で合唱したら怖がらせるでしょう」
「うう」
 しょんぼりする騎士達に対し、アリスはにっこり笑みを向ける。大丈夫だ、と言わんばかりに。
「心配いらないわ。だって……わたし一人でも合唱、出来るもの」
 アリスは一歩ミントの元へと歩み寄り、静かに息を吸い込む。
 そして紡がれる歌声は――なんと複数だ。しかも完璧にパート分けされている。
 アリスはかつて合唱部だった過去を持つ。その上現在は多重詠唱なんでもござれの魔法使いになっているのだ。このくらいの芸当はお安いものである。
 アリスの奏でる優しい子守唄は、ミントは勿論騎士達の心も洗っていくようで。
 曲が終わる頃には皆もう落ち着いている。ここからは相談タイムだ。

「それで。提案なんだけど。ミント様とあなた達に施せる魔法があるのよ」
「ふむ?」
「|創世神の繭《ソーンコクーン》……これを使えばあなた達を再羽化させることが出来るの」
 なんだか凄い話だが、アリスが出来ると信じればそれが出来るのだ。
 それに対する騎士の返答は――。
「……私達にその魔法を施すのは構わない。だがミント様にはまだやるな。安全が確保されていないからな」
「あら、忠臣らしい意見ね。それじゃあ先にお試しキャンペーン、しましょうか」
 アリスはにっこり微笑むと、騎士達を|棘《ソーン》の繭に包み込んでいく。
 彼らが繭から出る頃には望む姿――多分ミントによく似た毛並みの人狼だろう――に変貌しているはずだ。
 その代償として魔力を頂きつつ、アリスはのんびり時間を潰す。
 ミントのほうも一人きりになってしまったからか、アリスの方へと近づいてきた。
「そっちから来てくれるなんて嬉しいわ。隣、座る?」
「わんっ」
 アリスとミントは隣に腰掛け、ぼんやり空を眺めることとなった。
 その際撫でさせてもらったふわふわの感触は、きっと良い思い出になるだろう。
 実はこっそりミントの渦からも魔力を拝借したことは、アリスだけの秘密だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソフィア・アンバーロン
●WIZ
わぁー…
物語とかにいる何故か人望が集まるタイプかぁ
ミント自身も大変そうだし
さっさと助けてあげよう

え?シルヴィア
囮になってくれるの?
あー…シルヴィアがフェンリルの群れに行っちゃったり、人狼騎士にモフられてる

シルヴィアが囮になってくれている間に私は闇に紛れたり、影縛りをしてミントに近づこう

ミントの近くに来たら視線を合わせて、安心させるようにそっと触って
ちょっとモフれるならモフりたいなぁ

人狼騎士さんには頭の上の渦でミントが苦しんでるよ?
分からなかったの…?とか言おう

驚かせないようにニコッとして
頭の上の渦を魔鍵でなぎはらうようにぶっ壊す




 騎士達は本気でミントのことを慕っているようだが、ミント本人はその圧に気圧されているようだ。
 その様子をこっそり眺めるソフィア・アンバーロン(虚ろな入れ物・f38968)は内心苦笑いを浮かべていた。
「わぁー……物語とかにいる何故か人望が集まるタイプかぁ」
 元々の人望に加えうーちゃんパワーの加わったミント人気はきっと簡単に止められない。
 かといって本人がそれを望んでいないのなら、助けてあげたいと思うのも当然だろう。
 そんなソフィアの気持ちを汲んでか、星霊スピカのシルヴィアが小さく鳴いた。
「え? シルヴィア、囮になってくれるの?」
 ソフィアの言葉に頷くと、シルヴィアは騎士の元へと駆けていく。
 幾ら可愛らしい生き物とはいえ星霊は猟兵の仲間、警戒されるかと想いきや――。
「おお、新たなもふもふが!」
「ミント様のお友達にふさわしいのでは!? よーしよし、おいでおいで」
 騎士達には大好評だった。彼ら、もふもふ自体に弱いのかもしれない。
 シルヴィアが危ない目に遭わないと分かれば一安心だ。ソフィアはこっそりと闇に紛れつつ、ミントの元を目指すことにした。

 騎士達がシルヴィアと仲良く(?)している間に、ソフィアはミントの側に立って。
「きゃん!?」
「大丈夫、怖がらないで。私はあなたと戦いに来たんじゃないんだよ」
 驚くミントに対し、ソフィアは両手を上げて出来る限りの笑顔を作る。
 暫くじーっと見つめ合っていれば、ミントも少しずつ警戒を解いてくれたようだ。
「よしよし。急に呼び出されたり囲まれたりして怖かったね」
 そのままそっと手を伸ばしミントの頭を撫でれば、ふわふわの感触がグローブ越しに伝わってきた。
 これでミントとは仲良く出来た。だとすれば残る問題は――。
「ハッ、一生の不覚! 貴様何者だ!」
 騎士達(シルヴィアをもふもふしている)に睨まれることだろう。
 けれどソフィアは臆することなく彼らに視線を向け、堂々と言葉を紡ぐ。
「私はこの子と話をしに来ただけだよ。だってほら、困ってるもん」
「う、確かにミント様は何かに困惑してらっしゃるが……」
「原因は頭の渦だと思うんだけど……分からなかったの……?」
「うう」
 ジト目で鋭い指摘をしてくるソフィアに騎士達もたじたじ。彼らも渦のことは気にしていたようだ。
「いっそ壊しちゃうのも手かなって思うよ。その時は私も手伝うし」
「……そうだな、そろそろ決心しなければならないかもしれない」
 騎士達の意向はかなり猟兵側に傾いている。事件が解決するのももうすぐだろう。
 そんな彼らの様子にソフィアは静かに安心し、その後ろではミントとシルヴィアが仲良くなっている。
 本当に穏やかな時間までは、きっと後少しだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

剣未・エト
オブリビオンとはいずれ戦わなければいけないのだろうけれど…数多の強敵あふれるこの戦争の後回しにできるならそれに越したことはない
個人的に同情もしてしまうしね…なんとか穏便に退散いただこう

初めまして僕は剣未エト、銀誓館学園の猟兵にしてゴーストさ、地縛霊だけどね(鎖を見せながら)
いうなればミント君とは同族さ、何か彼の困りごとに手助けできるかもしれない
まずはお近づきの印にくーちゃんの視肉をどうぞ(ちぎってもすぐに質量が戻る)
ゴースト以外が食べても問題ないし美味しいから騎士の皆さんにも配ろう
まずはおなかを満たすこと、不安を和らげる一助になるんじゃないかな?




 猟兵にとってオブリビオンは倒すべき敵だ。ハビタント・フォーミュラの息がかかったミントも、本来ならばそうなのかもしれない。
 けれど今回の戦いは過酷で倒すべき敵も多い。相手に悪意がないのなら、それを踏まえて行動するのだって大切な選択だ。
 だからミント達には撤退してもらおう。そう決心しつつ、剣未・エト(黄金に至らんと輝く星・f37134)は県庁へと足を運ぶ。
 この選択は合理的な判断の上でだけれど、気持ちの上でも――ミントには同情できるから。

 エトは視肉のくーちゃんを肩に乗せ、リラックスした様子で騎士達の前に姿を現す。
「貴様、何者だ」
 当然騎士達は険しい表情を浮かべ、武器を構えつつエトを出迎えた。
 けれど彼らもすぐに斬りかかってはこないようだ。交渉の余地は、ちゃんとある。
「初めまして。僕は剣未エト、銀誓館学園の猟兵にしてゴーストさ、地縛霊だけどね」
 エトが地縛霊の鎖を掲げつつ微笑んだのを見遣り、騎士達の気配が少し和らいだような気がした。
「いうなればミント君とは同族さ、何か彼の困りごとに手助けできるかもしれない」
「ふむ……確かに親しい存在なら、理解出来ることもあるかもしれんな」
「うん、僕に出来ることなら手伝うよ。それに、お近づきの印を持ってきたんだ」
 そう言ってエトが差し出すのは、ぷにぷにした肉の塊だ。
 騎士達は少々驚いたようだが、その正体――エトに付きそうくーちゃんを確認すると安堵の息を吐く。
「なるほど、視肉か。君の肩に乗っているその子か?」
「そうそう。ゴースト以外が食べても問題ないし、ちぎってもすぐに再生する。くーちゃんも『召し上がれ』って言っているから、どうかな?」
「念のため、まずは君に食べてもらおう。それから我々が試すぞ」
 騎士達の反応は予想済みだ。エトは笑顔を浮かべ、くーちゃんの肉を一口食べる。口の中に広がるのは、いつも通りの美味しくて落ち着く味だ。
 エトの様子を確認すれば、今度は騎士達が肉を受け取って。そのまま口に放り込めば、騎士達の表情は更に穏やかなものへと変わった。
「……ああ、美味い。これならミント様に捧げても大丈夫だ」
「ありがとう。それじゃあ早速」
 エトは騎士達に一礼し、ミントの元へ肉を差し出した。。
「ミント君、これは僕とくーちゃんから。おなかが満たされれば、きっと気持ちも落ち着くはずさ」
「くぅん」
 ミントは小さく鳴き声をあげ、そのまま肉に食らいつく。ゆっくりと咀嚼して飲み込んだら、ミントも嬉しそうに尻尾を振り始めた。

 ごきげんなミントの姿に騎士達は大喜びだ。これできっと、皆の心も繋がったはず。
「……こうやって仲良く出来る人とは、仲良くなっていくといいよね」
 ぽつり呟かれたエトの言葉に、くーちゃんは身体を震わし応えるのだった。


「そうだな。猟兵達がミント様を傷付けないつもりなのは理解できた」
「彼らは同士だ! というわけで……そろそろ彼らの提案にも答えよう!」
 すっかり落ち着いたミントの様子を確認し、騎士達は武器を手に取る。
 それに応じるように猟兵達も武器やユーベルコードの構えを取って、みんなで狙うのは――ミントの頭上の不気味な渦!
 力を合わせて渦を攻撃してやれば、それはあっさりと消え去った。

 こうして脅威ではなくなったミントは、県庁を離れどこかへ去っていく。
 騎士達もミントに従うようで、一緒に歩いて去っていった。

 フェンリルを統べる者だった狼との戦いは、誰も傷つくことなく終わったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月11日


挿絵イラスト