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銀河帝国攻略戦㉓～蒼い稲妻の咆哮

作者：柊透胡

　インペリウム護衛軍――帝国旗艦『インペリウム』を守護する、強力な宇宙艦隊だ。
「これがめっちゃ硬い上に、銀河皇帝の力で、ダメージも徐々に回復する能力があるんや」
　厄介そうに顔を顰め、各務・瞳子（トンボ眼鏡のグリモア猟兵・f02599）はハリセン型ガジェットでパシパシと自らの肩を叩く。
「『解放軍』の戦艦も頑張っとるんやけどな。こっちの火力より向こうの回復速度の方が高いさかい、砲撃戦だけで沈めるのは無理って訳や」
　そこで、猟兵の出番だ。『解放軍』に砲撃援護されながら、猟兵が転移による奇襲を掛け、インペリウム護衛軍の指揮官を撃破するという作戦だ。
「指揮官は、通称『アオ』」
　正式名称「GRR-06S ブラウエルフォーゲル」。『蒼い稲妻』の異名を持つ少佐の専用機械鎧だ。
「伝説の『解放軍』の宇宙船を、１度の戦闘で６隻も沈めたレジェンドクラスの戦士やな」
　解放軍の援護射撃によって、『アオ』自らが出撃してくる。外に出て来られる前に艦艇の甲板に取り付けば、そこが戦場となるだろう。
「インぺリウム護衛軍の艦艇の砲撃は、解放軍の宇宙船が引き受けてくれるさかい、『アオ』との戦いに専念してな」
　『アオ』は全武装一斉発射で範囲攻撃したり、強烈なプレッシャーを掛けて動きを封じてきたりする。
「特に、リミッター解除した高機動モードは、戦闘力が爆発的に上昇するさかいな。単体が相手でも油断したらあかんで」
　猟兵達の、健闘を祈る――。

第1章 ボス戦 『少佐専用の青の突撃騎士』

POW   :    見せてもらおうか、新しい相手の実力とやらを！ 【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 SPD   :    …ついてこれるかな、蒼い稲妻と呼ばれたこの私に！ 【新人類とも呼べる胸囲的な感応能力】に覚醒して【リミッターを解除した高機動モード】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。 WIZ   :    これ以上はやらせんと言っている！ 【自身の強い意志】から【感応波】を放ち、【戦慄するプレッシャー】により対象の動きを一時的に封じる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　帝国旗艦『インペリウム』を守るように布陣するインぺリウム護衛軍――カタストロフまでの時間を稼ぐべく立ち塞がる防護堤に、猟兵らと解放軍は果敢に挑む。
　――――！！
　宇宙空間を奔る解放軍の一斉攻撃を真っ向から受ける護衛軍は、弾幕晴れても然したる痛痒を感じていないように見えた。
　構わず全力攻撃が続行されれば、護衛軍の応酬の又苛烈。
　そして、そんな交戦の間隙を縫って転移を果たした猟兵らは、帝国艦隊の内の１隻の甲板上に現れる。
　無論、猟兵が艦艇に取り付いた事はすぐ察知され、果たして迎撃に現れたのは――流麗なるフォルムの青き機械鎧。
　――見せてもらおうか、新しい相手の実力とやらを！
　いっそ涼やかな声音は、耳の鼓膜ではなく心の琴線を直截震わせるよう。
　猟兵らが身構えたのとどちらが先か。青き機体より全武装一斉攻撃が迸った。






　無造作な弾幕のようで、猟兵らへ精確に降り注ぐミサイルの雨。彼こそが『アオ』。伝説の青い稲妻！
「なーにがアオだ。メッタメタに痛めつけて、おまえの気分をブルーにしてやんよ！」
　ジャスパー・ジャンブルジョルト（ＪＪ・f08532）は、愛用の赤いツィター「名琴〈猫の爪研ぎ〉」を手に大いに胸を張る。強気な物言いだが……猫の尻尾は、ぶわぁっと大きく膨らんでいた。威嚇、というより、ビビっている。
「ビビってねぇし！」
　甲板の縁、敵の全武装一斉発射の射程外から動かない辺り、説得力皆無です。
「Ｒｏｃｋ　Ｏｎ！　かーらーのー！　Ｌｏｃｋ　Ｏｎ！」
　誰ぞのツッコミは黙殺してのけ、「俺の歌を聴けぇ！」とばかりにツィターを激しく掻き鳴らすジャスパー。小柄に違う存在感を精一杯アピール！　敵の注意を引きつつ、音楽に導かれて異次元から飛来したミサイルで攻撃する寸法だ！
　……宇宙空間で音が聴こえるかって？　ユーベルコードなら何でもありだ！
　――――！！
　ジャスパーの異次元ミサイルが、アオの翳した盾に爆ぜる。同時、一気に肉迫するのは竜胆色の鎧武者めいた機体。
「驀然として打発し、天を驚かし地を動ぜん。武神の太刀を奪い得た如く」
　羅刹天降陣――いざ参る。
「私は鞍影心流・鞍馬景正」
　二つ名を冠される程の将帥であれば、敬意を持って当たるのが礼儀。朗々と名乗りを上げた鞍馬・景正（天雷无妄・f02972）は、鎧武者型兵器に合わせた拵えの野太刀二刀を抜刀。
「蒼い稲妻の伝説に、エンパイアの武士に敗れたりとの一節を刻みに参った者なり――！」
　機体の出力を最大限に発揮した剛力を以て、鎧砕きの斬連撃を浴びせ掛ける！
　ガリィッ！
　だが、敵も然るもの。盾の装甲を削られながらも１撃目を受け流し、続く２撃目はその勢いを殺さず、景正の脇をすり抜けるように回避する。
　――――！！
「フギャァッ！」
　アオの応酬は、再び全武装一斉掃射――景正との仕合で前に出た為、今度はジャスパーもしっかり射程範囲内。下がろうにも……ただでさえ甲板ギリギリに立っていたのだ。
「機動騎士が相手なら、竜騎士たるフィーアに退く選択肢はありません」
　落ちるか当たるか――庇って貰うか。ツィターを抱えて悲鳴を上げるジャスパーの前に立ったのは、フィーア・ストリッツ（サキエルの眼差し・f05578）。
「様子見出来る相手でも無し、初手から奥義で参ります」
　氷雪竜砲――サイボーグの竜騎士が放つのは、氷竜の息吹。吐息を吹雪と化し、刹那、宇宙の漆黒を白に染める。
（「骸の海の前に、氷の海に沈むが良いです」）
　幾らサイボーグであろうと、パワーで対抗するのは難しいだろう。故に、フィーアはホバーバイクの機動力を駆使し、撃ち合いに持ち込まんと動き回る。
「今度こそ、我が剣を馳走致す」
　機動戦を目指すのは景正も同じく。時に残像で攪乱を図り、第六感を以て弾道を見切り、弛まず野太刀を振るい続けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「ハッ、青い稲妻ですか」
　スポーツグラス越しにアオを見やるトルメンタ・アンゲルス（流星ライダー・f02253）。
「上等！　相手にとって不足なし！」
『MaximumEngine――Mode：HotHatch』
　変身！　の掛け声と共に、愛車の「NoChaser」と変身合体。軽やかに甲板を蹴るや、ブースターを吹かして一気に加速する。
「所詮は過去の遺物ってことを思い知らせてやりますよ！」
　更に宙を蹴り、無秩序の軌道を描くトルメンタ。音速を越える勢いで、甲板上を駆け巡る。
　――――！！
「当たった、と思いましたか？」
　それは残像だ！　アオの射撃をもかわしながら、仲間が攻撃する隙を作らんと。
（「既に皇帝との戦いも始まっているけれど。護衛も倒さないとね」）
　銀河皇帝への路を確固たるものとする為、もうひと頑張りとウレルト・ジュペル（砂漠の守護者・f11934）は弾幕を縫い、或いは宝剣で受け流して接近を試みる。
「やらせぬよ」
　鋭き声音は虚空に響くよう。形容し難きプレッシャーに唇を噛むウレルト。
（「今でこれ程ならば、素早く動かれては捉えるのももっと困難。高機動モードに入る前に、一撃を」）
「伝説の名将とな！？　名は存じぬがその気迫、相手にとって不足なし！」
　フェイントに武器を投擲しようと、ウレルトが宝剣を握り締めたその時。声を張ったのはクリーク・クリークフリークス（ブラックタールの戦場傭兵・f02568）。
「戦争である！　 戦争である！　 さぁ歓びを！　 戦争である！」
　小細工も手加減もなし！　真っ向から全力でタケノコ・バタリオンを収集、解き放つ！
「何っ！？」
　流石に、宇宙にタケノコ大隊が湧くなど予想の範囲を超えていたか。刹那、動きを止めた隙を逃さず、ブラックタール的タケノコがアオへ殺到する。
「君はいい戦士である。だが、君の皇帝がいけないのだよ。である！」
　クリークの援護を後押しに、最後は駆け寄ったウレルトは宝剣と投げ付けると同時、硬質な蹄と化した拳を振り抜く。
「貴方を倒せば道が開くの。だから退いてちょうだいな」
　ドコォッ！
　鋼をも凹まさん勢いに、さしものアオも体勢を崩す。
「貴方は決して逃がさん！　追撃のぉ――！」
「これ以上はやらせんと言っている！」
「っ！？」
　だが、速さでは負けぬと――意気高き追撃は、命中の寸前で途絶した。ゾクリと全身を走った慄きが、トルメンタの動きを止める。体勢崩した勢い余って甲板上をスライディング。
「まさか、これ程とは……新生解放軍も侮れぬな」
「こちらこそ見せてもらおうである、伝説のアオの力とやらを！」
　トルメンタの動きを封じる一方、猟兵の集中攻撃に盾を翳して必死に耐える様子のアオ。だが、敵の情報を探らんと、クリークが叫んだ挑発に――場の色が一変する。
「……ならば、ついてこれるかな、蒼い稲妻と呼ばれたこの私に！」
　覚醒する新人類とも呼ぶべき脅威の感応能力――リミッター解除、高機動モード起動！

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「蒼い稲妻をこちらの陣営に加えられれば良かったのだが……」
　そもそも、蒼い稲妻とてオブリビオンだ。けして相容れぬ敵ながら、アネット・レインフォール（剣の教育者・f01254）は残念にそうに呟く。
（「流石に、多彩な攻撃全てを落とすのは限界があるか……」）
　同胞の援護に徹してきたアネット。一斉発射に対して、流れるような剣戟で相殺を狙ったが、猟兵の包囲網を瞬時に逃れた高機動モードはけして侮れぬ。
「だが、俺にも意地がある。見せよう――剣戟の極地の一端を！」
　【零式】武人覚醒――ウェポンマスターの極地に立ち、アネットも又、その力を増大させる！
「ほう……だが、今の私には総てが見える」
　それでも尚、支援に徹しようとしたアネットだが……よもや、視界の外から蒼き機影が現れようとは。
（「まさか、俺の剣筋を辿った？」）
　間合いを取るより早く、砲撃が奔る。
「戦いとは、常に二手三手先を読んで行うものだ」
「なら、俺の仕事は１つかな」
　アネットと入れ替わるように、砲撃の射線に飛び込んできたのは、エルス・クロウディス（昔日の残響・f11252）。人機一体の全身武装「骸装：劉迅」を纏い、極限までの集中の果て、砲撃を稼働刃で切り裂きながら全速力で接近する。
「突っ切って、捕まえる――――！」
　重い衝撃は歯を食いしばって耐え、一瞬にして人型に変形。タックルするように掴み掛る。
「お届け物だ、全弾持ってけ！」
　両掌より爆発的な気を叩き込むエルス。雷気帯びた衝撃が２度、蒼い機影を震わせる。
　――――！！
　振り払われぬよう必死に粘り、奔った亀裂を更に広げんと稼働刃を突き立て抉った。
（「これでたとえ倒せなくても、後に残せる攻撃を……！」）
「離れて下さい！」
　マイクロミサイル一斉射――誘導弾を振り切らんと身を翻すアオが弾幕を張った瞬間、メガ・ガトリングカノンを浴びせ掛けたのはダビング・レコーズ（RS01・f12341）。空間戦闘に対応する機器に騎乗し、速力を増強している。
「振り切らせはしません」
　それでも、高機動モードのアオに対応するにはまだ足りぬ。遅滞なく、オーバードライブギアを発動するダビング。
「コードODG承認。全システム、リミッター解除。オーバードライブギア、スタンバイ」
　全機能の出力制限を解除。性能限界を超えた驚異的な反応速度を以て、白きウォーマシンはアオに迫る！
「弐式・流水戟……俺が、俺達が、イェーガーだ！」
　迎え撃ったアオが全砲塔をダビングに向けた瞬間、アネットの剣戟が閃く。咄嗟に高機動故に盾を翳して対応した、それこそが致命的。
「カウンター試行」
　メタルステークの照準を合わせ、杭を撃つ。エルスが抉った亀裂を、ダビングの精確な一撃が貫く。
「私も、よくよく運のない……」
　聞こえたのは自嘲か。盾を落とし、刺さった杭を抜こうと機腕を伸ばし掛けた所で、蒼き機械鎧は動きを止めた。

　――指揮官機が沈黙して程なく、護衛軍艦艇が１艇も又、猟兵らによって制圧される。
　蒼い稲妻の咆哮は解放軍の凱歌に替わり、宇宙空間に響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月21日