第二次聖杯戦争③〜商店街バトル!
●グリモアベースにて
「みなさん、あけましておめでとうございます」
集まった猟兵達へと上里・あかり(あかりを照らすもの・f06738)は新年のあいさつを口にした。
もちろん新年のあいさつをするためにここに猟兵達に集まってもらった訳ではない。その証拠に、シルバーレイン世界で起きている戦争の資料が今、あかりの手にある。
「みなさんもご存じかと思いますが、現在、シルバーレイン世界において第二次聖杯戦争が勃発しています」
「第二次?」
「以前にもその聖杯戦争があったっていうのか」
あかりの説明に疑問が生じる猟兵達であったが、過去に聖杯戦争が起きていたようだ。
その、かつての聖杯戦争を引き起こしたオブリビオン・フォーミュラ『揺籠の君』は、当初の予定を早めて強引に超メガリス『聖杯』を獲得して『聖杯剣揺籠の君』となり、金沢市の人々を生贄に、他世界へ歩みを進めようとしているのだ。
「金沢市の人々を生贄にするなんで許せません! 揺籠の君がやろうとしている事は絶対に阻止しなければ……」
俯きぐっと拳を握りしめるあかりだが、顔を上げると説明を始めた。
「これからみなさんには香林坊商店街に向ってもらいます」
説明によれば香林坊商店街は老舗の百貨店やブランドショップが立ち並ぶ、日本海側有数のショッピングゾーンである。
「この商店街には多数の『妖獣化オブリビオン』が出現し、人々を聖杯剣揺籠の君の為の『生贄』として殺すか連れ去ろうとしています。現地へ急行し、殺戮と誘拐を阻止をお願いします!」
そう話すあかりは既にグリモアキューブを展開させていた。
一刻も早く、人々を救いたいという思いからだろう。
「商店街に現れた『妖獣化オブリビオン』の群れの駆逐をお願いします。妖獣化オブリビオンは高い戦闘能力を持ちますが、『暴力衝動に支配されており、単純な思考しか行えない』という性質があります。ここを突けば有利に戦える筈です」
展開されたその先では妖獣化オブリビオンが香林坊商店街に入っていく様子が見えた。
時間はない。
「人々を救うためにはみなさんの力が必要です。よろしくお願いします!」
頷く猟兵達はグリモアキューブの向こうへと飛び込んでいくのだった。
カンナミユ
カンナミユです。
あけましておめでとうございます。
新年早々ですが『聖杯剣揺籠の君』による他世界侵略を阻み、金沢市の人々を救う為の戦いが幕を開けましたね。
がんばっちゃいましょう!
このシナリオには支援とプレイングボーナスがあります。
支援対象:⑯
プレイングボーナス……妖獣化オブリビオンの性質を突いて戦う/商店街の一般人を守って戦う。
それではよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『ソードヴォルフ』
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POW : 剣狼斬
【日本刀または体から生える刃】が命中した対象を切断する。
SPD : 無人刀
【刀に宿る残留思念の励起】によって、自身の装備する【日本刀】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
WIZ : 剣狼の呼び声
【体から生える刃】で武装した【狼型妖獣「剣オオカミ」】の幽霊をレベル×5体乗せた【巨大「剣オオカミ」】を召喚する。
イラスト:天野 英
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
木常野・都月
暴れる狼でも十分凶悪なのに、刀を持っているとか、危険すぎる。
猟兵は、人と世界を守るのが仕事。
商店街の人達を守らないと。
風の精霊様に頼んで、商店街の中を情報収集して貰おう。
敵の位置の位置を把握して欲しい。
地の精霊様は、風の精霊様の情報を基に、地面に電磁場を発生させて動けなくして欲しい。
狼は刀を持ってたり、刀が体から生えてるんだろう?
刀は金属、鉄だ。電磁場に磁石を作れば、その場に留める事ができるはず。
狼の幽霊も、どんどん地面に張り付いてくれればいいな。
無理そうなら庇う事も考えて、いつでも動けるようにしておこう。
取り押さえたら、狼を焼いていこう。
UC【狐火】で動けない敵めがけてしっかり焼いていこう。
嬉乃・抹茶子
よ~し、久々の依頼だし、頑張りますよ~!
ここは『私が囮になれれば、その分一般人の皆さんが安全になる作戦』で行きましょう!
ヒーローマスクの師匠をポケットに隠しておけば、敵も私のことを一般人と勘違いして追って来てくれる……かも?
人狼に石ころでも投げつけて気を惹けたら、あとは商店街を猛ダッシュで逃げまくります。正直ちょっと怖いけど、ここは勇気を振り絞って! 出来るだけ多くの狼を集められたらいいな~。
息が上がって追いつかれそうになったら、他の猟兵さんに助けてもらったり、マスク師匠と合体してプロレス技で反撃です!
あっ! そこの猟兵さん! へ、へるぷみ~!
し、師匠ってば、そろそろ助けて下さーい!!
香林坊商店街に到着した嬉乃・抹茶子(至高の食を求めて・f07810)は耳を澄ませてみると、悲鳴や叫び声は聞こえてこない。
よかった。まだ人々に危害は及んでいないようだ。
「暴れる狼でも十分凶悪なのに、刀を持っているとか、危険すぎる」
木常野・都月(妖狐ヒト見習いの精霊術士・f21384)に抹茶子も頷いた。
「猟兵は、人と世界を守るのが仕事。商店街の人達を守らないと」
そう、都月が言うように罪なき人達を猟兵の手で守らねば。
「精霊様、風の精霊様」
そっと口にすると、風の精霊様は都月の願いを聞いて敵の位置を探し始めた。商店街は広いが精霊様の力があれば、すぐに分かるだろう。
さほど時間をかける事なく、敵の大体の位置を把握する事ができた。
「よ~し、久々の依頼だし、頑張りますよ~!」
やる気満々の抹茶子がヒーローマスク師匠をそっとポケットの中へと隠すと、その姿は優等生っぽい見た目の女の子だ。
「私ができるだけ多くの敵を集めます」
抹茶子が敵をできるだけ集める事ができれば、都月や他の猟兵達も戦いやすくなるだろう。
「それでは、いってきます!」
風の精霊様からの情報を教えてもらった抹茶子は目標まで一気に近づくと、勇気を振り絞って拾った石ころを――えいっ!
「グルルォォ?!」
「ガアッ!!」
こつんと命中すると、ソードヴォルフ達は一斉に抹茶子を向いた。沢山のぎらつく目が抹茶子とかち合い、
「わー!」
抹茶子は猛ダッシュで逃げた。
「わー! わーっ! うわあーっ!!」
大声を上げながら抹茶子は逃げまくった。都月が精霊から得た情報を元にできるだけ多くの敵を集められるように右へ曲がり、左へ曲がり、直線を駆け抜ける。
正直ちょっと怖いけど、ここは勇気を振り絞って超ダッシュだ!
もちろんただ逃げ回るだけではない。
「みんな逃げて! 早く逃げて―!」
何事かと見に来た人々に逃げるよう声をかけ、
「あっ! そこの猟兵さん! へ、へるぷみ~!」
ちらりと見えた仲間へこっそりヘルプを求めたり。とにかく抹茶子は逃げまくった。
ずっと走っているとさすがに息も上がって来るが、殺気と共に放たれる一閃をひらりと躱したり。
「し、師匠ってば、そろそろ助けて下さーい!!」
ポケットに隠した師匠を取り出してプロレス技で反撃を決め、きゅっと大きく曲がって――今だ!
「地の精霊様」
地の精霊は都月に応えた。
風の精霊の情報を基に、地の精霊が地面に電磁場を発生させて動けなくしたのだ。もちろん、そんな事が起きているとはソードヴォルフ達は思ってもいない。
「ギャァッ!?」
「グオォ……!!」
何も知らない狼どもはびぐんとけいれんした瞬間、地面へと叩きつけられてしまった。
生み出された電磁波は強力で、ただ動けなくするだけではない。
「狼は刀を持ってたり、刀が体から生えてるんだろう? 刀は金属、鉄だ。電磁場に磁石を作れば、その場に留める事ができるはず」
予想は見事に的中。都月の目論見通りであった。
抹茶子が集めまくった敵は地の精霊が生み出した電磁波によってどんどん地面に張り付けられていく。
「ガアッ! グルァア!!」
「グルルォォッ!!」
「アアッ! グアッ!」
地面に縫い付けられ、身動きが取れなくなったソードヴォルフは吼えるも、まともに動く事もできない。狼の幽霊も、もはやここまでだ。
「燃えてしまえ」
はっきりとした言葉は狐火を生む。身動きがとれぬ敵など、もはや敵ではない。
「ギャアアアアッ!!」
「グアアアァァ!!」
悲鳴を聞きつけ、新たな敵が襲い掛かろうとするが、都月の敵ではなかった。
召喚された巨大剣オオカミの攻撃を躱すと、電磁波で地面に縫い付ける。
「それっ!」
抹茶子のプロレスに都月の狐火。あっという間に引き寄せたソードヴォルフ達は一網打尽となった。
とはいえ、全てを倒した訳ではない。まだ敵は残っている。
「ちょっと怖いけど、もう一回いきます!」
ぐっと拳を握る抹茶子を目に都月は残りの敵の位置を風の精霊に調べてもらうのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レモン・セノサキ
連携・アドリブ◎
新年早々生贄だの誘拐だの
物騒極まりないったらありゃしない
お前の好きにはさせないぞ、揺篭の君
駆け寄りながら一般人を襲う敵の刀に照準合わせて狙撃(▲スナイパー)
刀を▲吹き飛ばして一般人を救助したい
来いよワンコロ、元・能力者が躾け直してやる
鼻っ柱目掛けて発砲
幾ら知能が低くても此処までやれば▲挑発になるだろう
「トラップダイス」を投げつけ起爆
薄い麻痺ガスを吸わせて回避力を下げておく(▲マヒ攻撃)
敵UCに合わせて此方も【指定UC】発動
無人刀の制御を封じる事が出来れば即座に▲盗みたい
振れば切れるのは砲剣と大して変わらない
奪った日本刀で斬撃一閃、胴薙ぎに▲切断だ
ツキカ・アシュヴィン
虐殺も生贄も許すワケにはいかへんからな!
よっしゃ、ウチも行くでー!
Voyager02を【運転】して、敵が一般人に襲いかかろうとしとるトコへ急行。
敵へアサルトライフルを撃ち込んで、狙いをウチに向けるよう仕向けに行くで。
銃撃だけで引きつけられん時は手榴弾セットから煙幕弾を敵と一般人の間ぐらいへ投げ込んで分断、敵の意識を一般人から引き離せんか試みた上で再度敵を銃撃。
敵がこっちへ向かってきたら、振り切らん程度の速度で逃走開始。その途中でも同じようにして敵の狙いを引き付けてく。
ある程度の数の敵を引き付けきったところで「従星、群れを成す」を発動。
分裂弾で敵を一掃しにかかるで。
エスタシュ・ロックドア
いつもならサッと焼いて終わらせるとこだが主目的は一般人の保護
そしてそーいう性質で生贄探してんなら子分どもが適任か
連中にとっちゃ俺みてぇに手こずりそうな偉丈夫(ドヤァ)より子供の方がやりやすいだろ?
『三十七羽』発動
お前ら、自分の鬼棍棒は持ってるな?
よし行け
一般人との間に入って【存在感】出して、敵の関心を引きながら逃げ回って集めろ
そっから連中が動きづらそうな狭いトコに誘い込んでボコれ
俺はその後ろから悠々と行って【怪力】でフリントを振り下ろすわ
まぁ俺も動きづらいんだが、子分どもはあのナリで結構やるからな
後ろからフリント盾にしながら小突くだけでも結構効くだろ
少々斬られても【激痛耐性】で気にしない
「わー!」
その声はエスタシュ・ロックドア(大鴉・f01818)だけではなく、香林坊商店街に到着した猟兵達の耳にしっかり届いた。
「わー! わーっ! うわあーっ!!」
近づいてくる悲鳴に慌てて戦闘態勢を整えるツキカ・アシュヴィン(星追いの渡り鳥・f24375)だが、レモン・セノサキ(|Gun's Magus《魔砲使い》・f29870)は気付いたようだ。
「私達と同じ猟兵だ」
ツキカとエスタシュもじっと見ると、確かにあれは先行した猟兵だった。何故なら、一般人はあんな速度で走らない。
「みんな逃げて! 早く逃げて―!」
避難するよう声掛けをする猟兵はこちらに気付き、
「あっ! そこの猟兵さん! へ、へるぷみ~!」
言いながら敵を引きつけ走っていった。こちらへ来なかったという事は、あちらにも策があるのだろう。
だが、仲間が猛ダッシュで引きつけていた敵も、大通りから路地に逃げようとする一般人を見つけてしまった。
「ガルルァァ!!」
「うわあっ」
「だ、誰か助けて!」
ぎらつく刃を振り回す狼を目に人々は逃げ惑うが、捕まるのも時間の問題。だが、エスタシュの表情は変わらなかった。
「いつもならサッと焼いて終わらせるとこだが主目的は一般人の保護だからな。性質で生贄探してんなら子分どもが適任か。連中にとっちゃ俺みてぇに手こずりそうな偉丈夫より子供の方がやりやすいだろ?」
――此処に示すは我が悪童、石積む子供は我が配下、以て招くは小さき手。
――お楽しみの時間だ野郎共、遊んでやれ。
ドヤ顔の偉丈夫が言葉を紡ぐと、目の前には召喚された黒い覆面と着物を纏う37の子供達の姿があった。
「お前ら、自分の鬼棍棒は持ってるな? よし行け」
子供達はエスタシュの声を合図にわあっと駆けだした。
「うわあーん!」
「こわいよー!」
泣きじゃくる子供達の間や腰を抜かした大人たちの間を悪童達はちょろちょろ動き、ついでにソードヴォルフ達を煽るように鬼棍棒をぶんぶんと振り回したり小突いたり。
その行動は単純な思考しか行えない状態の敵を煽るには十分であった。
「グルルル……!」
「ガアッ! グルアァッ!!」
吼え立てられた子供達は一目散に逃げだすが、これもエスタシュの作戦のうち。目障りな子供を捕まえようと躍起になるソードヴォルフ達は必死に追いかけ――、
「今だ」
その一言で子分どもは一斉に鬼棍棒で敵をボコりはじめた。
「ギャオンッ!」
狭い路地まで誘い込まれたソードヴォルフ達は反撃するも、子供の数が多すぎる。ボコボコのフルボッコにされた後に悠々とやって来るのは子分どもの親分。
「オラァ!」
が、んっ!
既に受けていたダメージに加えての一撃は尋常ではない。狭い場所での戦いになるも、鉄塊剣を盾にして戦う子分に鉄塊剣を振り下ろす親分。
「ッ! ……こんなもん痛くねえ、よ!」
「ギャアッ!!」
受けたダメージを倍で返していると、ツキカとレモンの攻撃の音が聞えてくる。戦いの音を聞きつけたのか、新たなソードヴォルフ達が押し寄せてきたのだ。
しかも運が悪いことに、避難しようと逃げてきた一般人がいる中に押し寄せてくる。
「新年早々生贄だの誘拐だの物騒極まりないったらありゃしない。お前の好きにはさせないぞ、揺篭の君」
「虐殺も生贄も許すワケにはいかへんからな!」
レモンにツキカは頷くと、オフロードバイクのアクセルを思いっきり開けた。
ォォオン!!
「よっしゃ、ウチも行くでー!」
一気に加速し、バイクは敵めがけて一直線。
「わあっ!」
聞こえる悲鳴を頼りに障害物を乗り越え、大きくジャンプ!
「させへん!」
「グオッ?」
上から降って来る声に顔を上げたが、遅すぎた。カスタマイズされたアサルトライフルは吼え、その弾丸をまき散らした。
生贄として攫われる運命にあった少女は間一髪、ツキカによって助けられた。
「ありがとうございます!」
絞り出される感謝に頷き応えてアクセルをふかす。敵の数はまだ多い。
敵の意識を向けるように大きな音を響かせ、アサルトライフルの引き金を引きまくった。
「こっちや、こっち!」
生贄を連れ去ろうとしているのを妨害されたソードヴォルフ達は怒り心頭でバイクに乗ったツキカを追いかけてくる。
だが、こちらが気を引いても連れ去りに躍起になっているソードヴォルフもいる。これはなんとかしなければ。
「なら……これでどうや!」
手榴弾各種セットから煙幕弾を取り出し、投入!
煙幕で一般人と敵を分断したところで改めて銃撃をする。
ミラーで確認すると、かなりの数が追いかけてきているのが見えた。引き離す訳にはいかない。振り切らない程度の速度を維持しながらツキカは同じ手順で敵を引きつけていった。
そろそろ頃合いだろう。袋小路まで到着したところでツキカはぎゅっとバイクを旋回、急停止。
「纏めていただきやでー☆」
にっと言い放つと、分裂弾が敵めがけて放たれた。
「ウグアァ!」
「グオッ」
集められた敵を一掃するに、そう時間はかからなかった。
静まり返った袋小路にエンジン音だけが勇ましく響く。
「そっちは頼むで」
ツキカが呟いたその時、レモンはソードヴォルフの刃を狙撃によって吹き飛ばしていた。
「ひっ!」
「次……!」
襲おうとする刃に標準を定めて再び狙撃。
ぎいん! がんっ!
吹き飛んだ刀身は宙で弧を描きながら、どすんどずりと地面に突き刺さる。
「あ、あ、あの……あの……」
「立てる?」
動けない女の子にレモンは手を貸すが、その手は恐怖に震えていた。
「大丈夫。みんなと一緒に逃げられる?」
こくんと頷く女の子はみんなと一緒に逃げていった。その姿は徐々に遠ざかっていくが、まだ逃げ切れていない人達がいる。
駆け寄りながら得物を狙い定めて引き金を引き、その一撃ごとに一人、また一人と助けていくと、周りは自分と敵だけになった。
――さて。
「来いよワンコロ、元・能力者が躾け直してやる」
鼻っ柱目掛けた発砲は幾ら知能が低くても此処までやれば、挑発としては十分であった。
「グルル……ガアッ!!」
「グガアッ!」
「グオォ……!!」
向けられる殺気にレモンはさっと小さなサイコロ――時限式の発煙弾を放り込んで、3……2……1……!
「ギャッ?!」
「ギャオォ!!」
驚きの叫びを上げたソードヴォルフどもは、果たして薄い麻痺ガスに気付けただろうか。
「オオォォオ……!!」
襲かかる刃をレモンはすっと躱すと、ぎらりと二撃目が飛んでくる。
「……っ!」
得物と得物が打ち合い火花を散らし、瞬時に距離を取ったレモンは数多の武器を手に息を吸い、言葉を紡いでみせた。
「――Re:rise. 踊れ、|銃声《カンタービレ》をくれてやる」
それは斬撃による輪舞であった。
魔砲使いは舞う。
四丁のガンナイフの回転投擲に加えて二丁ガンブレードの剣舞めいた斬撃。そして――、
パチン!
ソードヴォルフ達に突き刺さったガンナイフはレモンの指鳴らしを合図に爆発した。
「ギャアアッ!!」
攻撃を受けて苦しむソードヴォルフ達だが、その手にはあるべき刃はない。それらは奪ったレモンの手にあった。
「振れば切れるのは砲剣と大して変わらない」
ぽつりとつぶやき、奪った刀はざんと閃いた。
こうして商店街に現れたすべての敵は猟兵によって倒された。
だが、まだ戦いは終わらない。
猟兵達は次なる依頼を受けるべく、グリモアベースへと戻るのだった。
大成功
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