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銀河帝国攻略戦㉓ ~かの皇帝の喉元に刃を当てよ~

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「俺、基地に恋人がいるんですよ。帰ったらプロポーズしようかと……」
「フ、俺の前に立った。それがお前達の運の尽きよ!」
「そこまでにしなさい、それ以上進むと、貴方達は死にます」
 暗く広がる漆黒に、無数に輝く星々のコンチェルトで彩られた銀河世界、スペースシップワールド。この美しい世界は今、滅亡の危機に瀕していた。それに立ち向かうべく結成された解放軍は、滅びの運命に立ち向かうべく、過去より蘇った銀河帝国と戦いを繰り広げていた。
「報告します閣下。我が軍の戦闘機8割が敵空母に対して第一次攻撃を開始しました」
 旗艦に鎮座する、老指揮官は首を一度縦に振ると、モニターに映った敵空母に視線を移し――。
 敵空母によるビーム砲によって、薙ぎ払われる自軍の戦闘機を見たのだった。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「バカな、なんだこのパワーは!」
「つ、強すぎる……」
「か、閣下!我が軍の半数の戦闘機が戦闘不能!このままでは!」
 入ってきた報告は味方の損害を知らせ、この戦いを敗北に導こうとする悪魔の囁き。その知らせを聞き老指揮官はただ一言だけ呟いた。
「伝説の解放軍殿達の、力を借りる他あるまい」

「聞いたぞカメラート!『白城』艦隊を攻略したようだな!」
 小さな体に纏った軍服をマントの様に靡かせてミーティア・シュヴァルベ(流星は燕が如く・f11420)は、猟兵達の前へと躍り出る。
「これによって、新たにインペリウム護衛軍との戦闘が可能になった!よって、今から貴様達が相手にする作戦目標を説明する!」
 椅子の上に立ち、手に持った丸めた紙をテーブルに広げれば、巨大な、しかしながらどこか奇妙な船体とそれに対する説明が細かく記されている。
「今回の目標は、敵の空母だ!戦闘機積載数多数、自身もビーム砲によってこちらの戦艦群や戦闘機に対抗できるだけの高い戦力を有している。さらにこちらの戦艦よりも高い防御力を持ち、銀河皇帝による力によって徐々に損傷を修復する機能もまで持っているようだ。このままでは高い防御力で押し切られるのは明白である。故に、我々の出番だ!」
 ミーティア曰く、解放軍による戦艦や戦闘機の攻撃は効かないわけではない。よって、味方戦艦や戦闘機の攻撃と同時に猟兵達を敵空母付近に転移、回復不能なまでのダメージを与え一気に撃破してしまおうという作戦である。
「そして、だ。この作戦に成功すれば、ついに銀河皇帝の喉元に手が届く」
 勿論、銀河皇帝には各戦場から多数の増援が送られている。この戦場を制圧しただけで倒すというのは至難であろう。だが、この戦場を制圧すれば銀河皇帝への増援を止められるのも事実だ。
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。と、言うからな。我々の力を見せつけようじゃないか!作戦名『星の塵』作戦、開始だ!期待しているぞお前達!」


風狼フー太
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 くっそー!インペリアル(帝国)・エアフォース(空軍)だ!
 ……あ、エアじゃないな。スペースか。当シナリオの閲覧ありがとうございます。風狼フー太です。
 「何をしているカメラート!我が故郷の危機にどうして私を出さない!さあ、出撃だ!!」って言われたので空母戦です。個人的にはビームもいいけど、ミサイルが好きかなって……あ、概要ですねハイ。
 友軍の戦艦、戦闘機による攻撃と同時に猟兵達を敵空母付近に転移。追撃を仕掛け敵空母を撃破してしまおうという作戦となっております。猟兵達で多大なダメージを与えれば後は友軍の砲撃とかで何とかなる……事はないので、きっちり止めまで刺しましょう。HPが削れるけどHPを0にできないギミックか何かかな。

~プレイングのススメ~
 友軍に猟兵以上のエースはいません。お前達が空の魔王になるんだよ!あ、宇宙か。
 解放軍達の戦闘機隊の隊長を務めているとか、そういう物があるとその地位等自体にプレイングボーナスはないですが、かっこよく描写できるかもしれません。必要であれば名無し、名有りの隊員等を登場させます。名前は適当にそちらでつけてもらっても構いません。
 猟兵以外の友軍の戦闘機や戦艦等をただ引き連れる事自体にプレイングボーナスはありません。(例:猟兵一人と、猟兵一人+解放軍1万の戦闘機を引き連れての攻撃はプレイングが同じであれば同じ評価になります)
 自分のユーベルコードや技能、プレイングの対象に猟兵以外の友軍を指定する事は出来ます。一人で来るけど絶対にチームプレイがしたいという時などにどうぞ。
(例:敵空母の弱点を猟兵のユーベルコードで発見、味方戦艦に砲撃してもらう等)
 プレイング内容が良ければ、友軍の存在を利用したプレイングにボーナスは出ます。

 簡単に言えば賑やかしだけを使って勝とうとするな、主役は貴方ですってことです。余った文字数にちょっと賑やかしを入れる位が適切だと思います。
 では、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『帝国戦闘機母艦』

POW   :    サイキックファイア
【ビーム砲撃】が命中した対象を爆破し、更に互いを【サイキックエナジーの鎖】で繋ぐ。
SPD   :    インペリアルレギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【帝国式兵器】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    リペアアーム
【修復用アーム】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルドルフ・エルランゲン
※アドリブ、絡み、大歓迎(むしろ大前提)

…この防空戦闘術…ふむ、帝国は彼の将を立てて来ましたか…
不沈空母に彼の将とは正に鉄壁。なればこそ、皇帝の首は目前と言えます!

●行動:九変の計(WIZ)
味方猟兵の攻撃で敵がリペアアームを使用したタイミングを狙い、友軍艦隊に発令(援護射撃)、敵甲板に一点集中砲火(一斉発射)させ修復すべき個所を増やし、敵の更なる疲労を強い、防空意識を減衰させる。
自身は戦闘機の一隊を率い、対空砲火の弱ったところを悠々と突入(空中戦)、敵艦載機群をレーザーの扇状射撃(範囲攻撃)で蹴散らし、艦橋に一撃を加えたい。
「皆さん往きましょう。彼の艦を『星の塵』と変える為に!」


唐草・魅華音
この戦艦の先に最大の目標が控えているんだね。……目標、敵空母。皇帝への道を、斬り開かせてもらうよ。

わたしは砲門の破壊活動を行い、敵の攻撃力を削ぐのを狙うよ。
戦艦の砲門へ近づくまでに加速を付け、砲門の並びの構造を確認。ドローンに接近して刀で切りつけて壊すための攻撃プログラムを組み立ててもらうよ。それが完成したら、砲門へ突撃、接近した所で【塵斥魅踏の流法】を起動、ドローンの攻撃プログラムに身を任せ、砲門を移動する速度で生じる勢いを乗せて、砲門の周りを飛び回りメッタ斬りにするよ。

アドリブ・共闘OK


アネモイ・エンドア
《アドリブ連携可》

私はただの宇宙戦艦、宙(そら)を駆けるのは他の者に任せて私にできることを為そう。

解放軍砲撃艦隊指揮艦!エンドア級戦艦13番艦アネモイ!
これより敵母艦への砲撃を開始する!全艦主砲用意……撃てー!!!

私の本体である宇宙戦艦を旗艦として解放軍の戦艦数隻で陣を形成、
敵艦へ【支援砲撃(連装ビーム砲斉射)】と共に全武装を『一斉発射』、『2回攻撃』の『範囲攻撃』を行う。
同時に友軍艦も砲撃を開始。一斉砲撃を浴びせる。
敵空母からの反撃は『激痛耐性』を持った旗艦である本体で受け止める!

砲撃の弾幕で敵戦闘機を迎撃、修理にタスクを割いたところを味方が突貫!
これぞ対帝国大型艦用戦闘ドクトリンである!


ミスタリア・ミスタニア
ハッ!戦闘機母艦か、戦闘機なんかじゃなくオレら鎧装騎兵が宇宙間戦争の主役だと教えてやるぜ!
友軍戦闘機の先陣を切るぜ!

『空中戦、ダッシュ、見切り、第六感』を駆使したマニューバで翻弄するぜ。対艦用の砲撃がそうそう鎧装騎兵に当たるもんかよ!
敵艦載機はビットで『援護射撃』しながら味方戦闘機に露払いしてもらうぜ。
空母なんてなぁ、懐に飛び込めば脆いのが定石なんだよ!『捨て身の一撃』で突貫だ!
【対艦用パイルバンカー】をぶち込んで『鎧砕き』で装甲をぶち抜いてやる!
そのままパイルで装甲を『串刺し』にしながら『2回攻撃、零距離射撃』の【グリュンシュトゥルム】だ!
オレが装甲吹っ飛ばしたとこに艦砲ぶっ放してもらうぜ!


犬憑・転助
俺のユーベルコードは超嗅覚、キナ臭さだって嗅ぎ分ける

どうやって近づくか……か
他の猟兵と共に行く、良い相手がいなかったら友軍の戦闘機に便乗
大丈夫、俺の指示に従ってりゃ問題ねぇ
敵の着弾点を超嗅覚で感知し回避、また、仲間にも知らせて回避させ、弾幕を突破して近づく

敵空母の巨大さに呆れつつ……ま、俺の(二刀)を振るうには丁度良い

攻撃時には弱点を超嗅覚で嗅ぎ分け、そこを狙う。自分がやられても弱点だけは仲間に知らせてから落ちる 。

空母からの攻撃は超嗅覚で回避、または斬れる部分を見切ってビームだろうが弾丸だろうが斬り捨てる
サムライに斬れないもなは無いんだぜ?

苦労人ポジションOK、アドリブ歓迎、他PCと絡み希望


霧島・クロト
でっかな戦艦かー。……慣らし運転にゃ丁度良いなァ?

【氷戒装法『貪狼の裁鎧』】を【高速詠唱】。
3mの魔力で動く巨大な機械鎧に乗り込むぜェ。……【メカニック】の知識と【騎乗】技術。あと【空中戦】の技能でなんとかならァな。

おおよそ100機近い相手だなァ。
機械鎧自体の兵装や駆体に氷の魔力を込めて【マヒ攻撃】【属性攻撃】【2回攻撃】と行くぜェ。
数が問題じゃねェ事を証明してやらァ。

防御は【オーラ防御】で氷の盾を張りながらいなす方向で。

「まー、俺だって似たような土俵に上がりたい時もたまに有る訳だァ」
「……負けに来た、とは一言も言ってねーけどなァ!!」


ロースト・チキン
ヒャッハーーー!!
もう、この大波に乗るしかねぇ!!

サバイバルバイクに騎乗しながら、宇宙を駆ける世紀末。
敵の戦闘機母艦の武装をちまちまと破壊していきます。
しかし、解放軍の攻撃に決定打がなく、埒が明かないと感じたニワトリさんは、精神的に屠畜場で運命を待つような状態に追い込まれ、そしてトチ狂い【我、世紀末ノ英霊ト成ル!】の力で、人間魚雷に乗り込みます。鶏的な野生の感と第六感に導かれ、敵の母艦の弱点っぽいところへまっしぐら、自爆覚悟の捨て身の一撃で突っ込むのでした!そして、彼は星の塵となる

おめぇら、あとは頼んだぜ!!
ヒャッハーーー!!コイツぁ、効くぜぇーー!!



「来たぞ!伝説の解放軍だ!」
 誰かが放ったその一言は、火が燃え広がるように解放軍全体へと伝わっていく。一つの艦の通信は、秘匿されることなく周りにいる艦隊へと伝わり、すぐにそれは大きな熱気となって戦場全体を包み込んでいく。
「閣下!兵の士気が!!」
「……全艦隊に告ぐ。主砲斉射!」
 若い士官の報告に老指揮官はただ一言命令を下すと、解放軍の戦艦は帝国軍の空母に向けて、漆黒の宇宙に破壊の光を灯す。
「来たか!解放軍砲撃艦隊指揮艦、エンドア級戦艦13番艦アネモイ!これより砲撃戦に入る!目標、敵母艦!全艦主砲用意!!」
 その命令を待っていたアネモイ・エンドア(エンドア級戦艦13番艦・f00797)。旗下にいる解放軍戦艦と砲撃用の陣形を組み、自身の砲撃と共に一斉砲撃を開始。中でもユーベルコードでもあるアネモイの砲撃は、敵空母の高い防御力も物ともせず、その装甲を焼き切っていく。
「流石、伝説の解放軍様が乗る戦艦だ!すげぇ出力だ!」
「でもよ。エンドア級戦艦ってどっかで聞いたことあるような」
「確か以前の銀河帝国で就役していた戦艦にエンドア級戦艦っていなかったか?」
「じゃあれか!あの銀河帝国を倒した戦艦の名前を継いでるんだな!こいつは縁起がいいぜ!」
 解放軍達の間では、どうやらアネモイの名は過去の戦艦の名を継いだ最新鋭の戦艦だという認識が広まっているようだ。その誤解をアネモイは止めない。今が戦場であるなら、戦艦の役目は敵を打ち滅ぼす事。それに最新鋭といわれる事は戦艦としてそう悪い事ではなかった。

 戦艦の砲撃のエネルギーを装填している間は戦闘機がその隙間を埋める。そして、自らの体を武器とする者、或いは戦闘機を使い戦う物達にとっての正念場が訪れようとしていた。
 だが、今や猟兵達の活躍は解放軍の全員が知るところであり、かつての銀河帝国との戦いを繰り広げた伝説の解放軍と勝るに劣らない存在として見られている。そんな彼らがこの戦場にやってきたという事実はここにいる戦う者達全員の希望となる。
「ヒャッハーーー!!」
 えーっと、まあ、うん。こんな感じでも、一応。
 誰かって?ロースト・チキン(チキン野郎・f03598)。なんというか世紀末でヒャッハーで引かぬ媚びぬ顧みぬな精神を持つ彼はでもまあ、今確実に来ているという猟兵達のビックウェーブ的な何かに乗りまくり、愛用しているサバイバルバイクに乗って敵味方のビーム砲が交錯する中、敵空母の武装を次々に破壊していっていたのだった。だが――
「チクショウ、まるで歯が立たねぇ!」
 いやそんなことないって。順調に進んでるってきっと大丈夫だってだからそんな人間魚雷に乗って突撃だぁー!とかそんなことしなくても大丈夫だってああ駄目だこれ聞いてないや!精神的に参ってやがる!
「おめぇら、あとは頼んだぜ!!ヒャhッハァー!!!!」
 彼の召喚した魚雷に乗り込み見事に敵空母に突撃、爆散して星の塵へと還った……ああいや、脱出ポットで脱出してますわあれ。
「ああ、伝説の解放軍の一人が犠牲に!」
「しかも空母が浮かんでやがる!もう駄目だぁ!!」
 しかし、猟兵の一人が犠牲になったと思い込んだ解放軍は混乱に陥る。ああでもこんなこと書いてあるけど成功ロールなんだこれ。
「落ち着きなさい!」
 一喝するルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)の声が通信に乗り、解放軍全軍に響き渡る。
「この防空陣形、犠牲なくして突破できるものではありません。チキンさんはそう、自らその為の一石となったのです!我々は、この犠牲を無駄にしてはいけません!」
「そ、そうか!よくわからないけどすごく強い敵がいるのか!!」
「ああ、鳥の兄ちゃんが開いてくれた道を俺らが!!」
 ルドルフの機転を利かせた言葉によりひとまず落ち着きを取り戻し、戦意を戻していく解放軍。戦いはまさに正念場を迎えようとしていた。

「……さっきのあれ、なんだったんだァ?」
「知るかよ。オレに聞くな」
 先ほどの人間魚雷のいろんな意味での破壊力から出た疑問を霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)は隣にいたミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)につい聞いてしまうが、返ってきたのは仕方ないとはいえそっけない答え。まあ、あの現象に正確な答えを返せる人間の方が珍しいだろう。
「ともかく、解放軍の戦艦がおっぱじめたんだ。オレはいくぜ!」
 高出力のマニューバが火を噴きミスタニアは宇宙という名の戦場を駆ける。それを迎撃するため、空母から主砲が発射されるが。
「対艦用の砲撃がそうそう当たるか!」
 鎧装騎兵の名が示す通り、個人単位の戦力としての機動力はほかに並ぶものがいない。空母の手法は的外れな方向へと飛んでいく。
「ミスタリアさん!援護します!」
「フーハー!伝説の解放軍様と共に戦えるなんて気分がいいぜェ!!」
 無論、小型の宙間戦闘機の前には苦戦を強いられるかもしれないが、こちらにも戦闘機がいる以上そう簡単に制空権を渡すことはない。ミスタニア自身も、戦闘用ピットを展開。戦闘機を叩き落しながら、敵空母に高速で肉薄していく。
「でっかな空母かー。まあ、慣らし運転にゃ丁度良いなァ」
 そうクロトが呟くとともに展開。身にまとうのは氷の魔力で動く3mはあるであろう巨大な機械鎧。新しい兵装を身にまとい、入念に、しかし素早くチェックを行う。
「よし、いける。んじゃァ、いっちょやりますかァ!」
 鎧に魔力を込めれば推進力を生み出し、100近くいるであろう敵戦闘機群に向けて突貫。氷の魔力で出来た弾丸は、たとえ掠めただけでも敵戦闘機の動力を奪い、動きを止めていく。
「いい感じだぜ!ほら、今のうちに二人とも行っちまいな!」
 クロトのその声に従い、氷の弾丸を雨あられと敵陣に降り注がせることで出来た道に続く者たちがいた。唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)、犬憑・転助(孤狼の侍・f06830)だ
「転助さん、案内お願いします」
「いいぜ。俺の鼻は特別性だ。頼りにしてくれ」
 何より美人に頼られるのは悪くない。と、敵の攻撃を見事なまでに躱しながら進む転助。曰く、彼の鼻は特別製との事。その嗅覚は敵の敵意、殺意といった匂いまでも感じ取り、的確に自身、そして後に続く魅華音に迫る弾丸を回避していく。
 その間に、敵の砲塔の種類、配置等、必要な情報を確認した魅華音。
「流石ですね。それでは、暫くここはお任せします。今からドローンに攻撃プログラムを組ませますので」
「え、ちょっと待って俺一人でか!?」
 転助の言葉は既に魅華音に聞こえることはない。瞑想にも似たプログラム構築。組み上げるまでにどれだけかかるかはわからないが、その無防備の間、守り切ることができるのは転助ただ一人。
「……まあ、しゃあねぇなぁ!!」
 そして魅華音に迫りくる戦闘機のビームを二刀をもって切り開き、返す刀で通り過ぎようとした戦闘機を切りつけ、爆発。その異様な光景は解放軍の士気を大いに盛り上げる。
「すげぇ、あの兄ちゃん、手に持ってる刃物で戦闘機を!」
「いいぞー可愛い女の子のナイト様ー!」
「うっせぇ!口動かしてないでとっとと戦えパイロット共!……だがまあ、来いよ。戦闘機だがなんだか知らねぇが、サムライに不可能はねぇんだ!」

「この布陣……やはり。この空母の将は彼の……」
 解放軍から借りた戦闘機の中、一人納得したようにルドルフは独り言ちる。堅陣を敷く帝国軍の将に、どうやら思い当たる人物がいるようで。
「ならばこの戦闘、難しいものになるでしょう。」
 ですが、我に策ありと。通信機を手に取る。
「ルドルフ・エルランゲン。貴方達のいう、伝説の解放軍の一人です。敵の将は名将。なれど、私が、貴方達を勝利に導いて見せます。」
 たった、これだけ。この一説。それだけで沸き起こるのは歓声。皆信じているのだ。猟兵の、そして今はルドルフ・エルランゲンという人物の力を。老指揮官より借り受けた戦闘機とそのパイロット50機。それらがルドルフの命令を待っていた。
「……行きますか。総員、作戦開始!」
 その言葉と共にまず飛び立ったのは解放軍10機の2チーム。二つのチームは指揮権の分かれた部隊の合同という形でクロトの援護を行うべく駆け付ける。
「解放軍様!ご無事ですか!」
「ルドルフ殿の命令により貴方を援護します!」
「お、済まねぇ。あいつ何かするんだろ?何するんだ?」
「申し分けございません。ルドルフ殿が何をするかまでは」
 そっか。と、弾丸をまき散らしながらクロトは特に考えることなく己の仕事を全うしていく。ここに来たということはおそらく、自分の仕事を手伝わせる為。なら、今のところは自分の仕事をしていれば問題ない。
 そう判断したクロトは戦闘機からの援護を得てさらに空母に接近しながら、敵の戦闘機を撃ち落としていく。
 そして、それは訪れた。
 敵空母がリペアアームで戦闘機を修復し始めたのだ。多大なる損害がついに敵空母に機体の修理にリソースに使う用になったのである。なんのことはない、ただの修理であり、再びその修理が終われば200、300といった戦闘機が飛び立つという、それだけの事。
 ……などと、ルドルフは思わなかった。
「好機です!」
 その言葉と共に、残しておいた自身も含む全戦闘機を発艦。修理中のタイミングには攻撃が薄くなるだろうという予想は見事に的中。ルドルフ自身も艦橋への命中弾を確認。落とし切れるほどの存在を与えたわけではないが、暫く修理の方にもリソースを割かないといけないというのはかなり攻撃の手を抑えることができる。
 そして、似たような発想はアネモイの方にもあった。砲撃によって修理に手を回させ、その間に味方が突貫するという対帝国大型艦用戦闘ドクトリン。
 状況は少々異なるが、この状況での追撃はかなり長い間、敵を拘束できる。
「アネモイ艦旗下全軍に告ぐ!第二射、撃てッ!」
 陣を組み、空母の攻撃を耐えていた数隻の軍艦が敵空母に向けて斉射。だが、それが敵の怒りに火をつけたのだろう。主砲がアネモイの方へと向けられ、神々しい光を纏ったビームが一直線に向けられる。
「させるか!」
 割って入ったのはアネモイだ。ヤドリガミが戦艦である以上相当の苦痛には耐えられるし、それが猟兵になった以上そこらにいる戦艦よりも、一応は、丈夫だ。
「ああ、解放軍様!!」
「ご無事で!?」
「戦艦が簡単に沈むか!……大丈夫だ!陣形を維持して、もう一度敵空母を狙うぞ!」

「すっげえな。巻き込まれたら巻き込まれたらひとたまりもないぜ……あん?」
 戦艦と戦闘機、二つの群れ為す牙が空母を襲い、思わず呟く転助の目の前を。
「ヒャハァァァァァー!」
 ヒューマントゥピィートゥトライアゲイン
 誰かって?ロースト・チキンだよ!
 脱出ポットに乗っていたチキンさんは何とか逃げ帰ると解放軍の武装ではここままじゃ押されるだけだ!っていう精神状態になって人間魚雷をワンモアというわけなのだ!なんか三歩必忘とかそういうことになってねぇかこれ!
「ヒャッハーーー!!コイツぁ、効くぜぇーー!!」
 ついにトチ狂ったとか、なんか脱出した割には巻いている包帯とか多くない?とか疑問はいろいろあるけどもう逝っていいよ
「あれ待って、天の声がなんかすっごいぞんざいアギャラバァァぁーー!!」
 再び爆発する人間魚雷。チキン、君は本当に英雄だった……脱出ポット出てるけど。
「さっきのあれ、最初の解放軍様じゃ?」
「すげぇ、あの爆発を!!」
「そっか、あのチキンさんは不死身なんだ!!」
 そんな噂をだれも止めることはない。っというよりも止める必要性を感じなかった。
「……なんだったんだあれ。」
『攻撃プログラム、構築完了しました』
「お、これってつまり」
 今まで瞑想に入っていた魅華音が目を開ける。
「よう、嬢ちゃん気分は」
「転助、どけ」
 え、待って、さっきと雰囲気違うんじゃ……という声を無視して、魅華音はプログラム、塵斥魅踏の流法の通りに体が動く。いや、動かされている。最早魅華音自身でも終わるまで止められないそれは、いくばか戦艦や戦闘機による攻撃によって入力値と違うデータになっていたとしても。
『我はこの戦場で塵と斥け(ちりとしりぞけ)舞い踊る……流法、塵斥魅踏』
 プログラムが、思考を、体を、技術を動かす。空母の砲塔はつぶれてしまった物であろうが、新品であろうが、そこにあり続ける限り切り落とす。それはまさに、機械の鬼、などといっても過言ではなかったかもしれない。そしてそれらが終わればある一帯の砲がなくなっていて。
「ヨッシャァ!もうオレを邪魔する物はないぜ!」
 敵の戦闘機に阻まれ、どうしても動けず立ち往生する羽目になり、仕方なく応戦していたミスタニア。
 動けないとはいえ空母への大規模攻撃からやや離れた場所にいた事が幸いだった。もはや敵がいないとばかりに空母に取り付く。
「こいつは効くぜ!!」
 持ち出したのは超大型の対艦用パイルバンカー。戦艦や、こういった空母といった大型艦の為に作られたソレはミスタニアがどうしても空母に張り付きたかった理由。
「おらぁぁっぁぁ!!」
 金属が悲鳴を上げる音が聞こえる。だがそれは、パイルバンカーがあげている物でもあるが、それよりも空母の方があげている音は大きい。
「食いついたな、じゃあもう一発だ!!」
 スイッチを入れればバンカーの芯を覆いつくすほどの大型熱線砲。バンカーで装甲を打ち破った後に来るそれは、容赦なく、空母内の物を破壊していく。無論、これだけではまだダメージが足りない。……が。
「転助!方向はこっちでいいんだよな!!」
「呼び捨てにするな!だがそうだ!俺の鼻に狂いはねぇ!」
「よっし、クロト!撃ちまくれ!!」
 最大エネルギーまで熱線砲を打ち切ったミスタニアはすぐさま離れると、代わりにその場所に入ったのはクロトと機械鎧。
「いいぜェ、こいつでゲームエンドだ!」
 装甲を抜いた今、クロトの弾丸を止められるだけの壁は空母内に無いに等しい。そして転助が示した方向には。
「動力がある!そこまでぶち抜け!」
「その鼻、レーダーより効くんじゃねぇかァ!!」
 3mの体から放たれる魔力のこもった氷の弾丸が空母内を埋め尽くす、当たる場所をもろくし、砕くその弾は、下士官の部屋を、通路を、食堂を、そして、おそらく、動力室にも。
 そして、ある瞬間から絶え間なく爆発が続くようになった。それに合わせて、最後の抵抗とばかりに光を灯していた空母の主砲、対空砲が静まり返る。それは、空母がついに限界を着た事を表す事で。
「ん?……やべぇ、爆発するぞ、離れろ!!」
 転助の鼻が戦艦の爆発を予知。それを信じない猟兵はここに一人もいなかった。徐々に空母を襲う爆発は大きくなり、瞬間、静まったように、……いやそんなことはない。膨大な爆発が宇宙を襲ったのだ。転助のおかげで巻き込まれずに済んだ猟兵達。一息ついていると
「おおおお!!!かったぁぁぁ!!!」
「俺らが勝ったんだ!勝ったぞ!!」
 次々に沸き起こる歓声。それは、猟兵達が勝ち取ったものをより鮮明にしてくれて
「伝説の解放軍様方!そんなところに座ってないで!宴会にしましょう!!さあ、どうぞ!!」
 この宴会は、おそらく明日まで続くだろう。君等はそれに参加してもしなくてもいい。だが、何時までもこれだけは覚えてもらいたい。今日ここに、また一つ帝国の野望を撃ち落としたのだと!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト