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はにわさまがみている。

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●さむらいでえんぱいあな世界
 冬もそろそろ終わりかなって感じの良いお天気。
 日なたはぽかぽかとあたたかく、風はそよそよとここちよい。
 ――ぴよ。
 どこかで鳥の声がした。
 ――ぴよぴよ、ぴーきゅるる。
 なんか、たくさんいた。まるくて白くてクリーム色で薄茶色の、ぴよぴよした何かがぴよぴよしている。ぴよぴよしているのは鳥だからだ。たぶん。
 それらを足元にもこもこぴよぴよと従えて、なんか茶色いでっかいのが青い空を見上げていた。でっかい。たぶん3mくらいある。
『世は太平である』
 くろぐろとした空洞(比喩表現ではなく、実際本当に空洞なのだ)の目で、高い空に流れる雲を追う。
『世は我等が鎮めたため太平である。空は高く雲は流れ、水と風は清くここちよい』
 ほう、と溜息をついてモノローグする。
 ちゅんちゅんと空を小鳥がゆく。これは偶然空を通りかかった普通の雀だった。群生するぴよぴよの仲間ではない。
『よいか、ぶんちょうさんたちよ。あれに見えるは人間どもの町。我の創造主にて、我を地底に封印した輩の末裔』
 風向きが少し変わった。絵面はたいへんにファンシーなところ、ちょっとだけ言うことがシリアスめいてきた。ぴよ? とぶんちょうさんたちは可愛らしく首を傾げる。たぶん伝わってない。
『あれを破壊するのだ。我を地の底に埋めた罪、その真上に繁栄を築き上げた罪、末裔を掃討することで購うがいい。人間どもよ、覚悟せよ!』
 ぴよーっ! と、ぶんちょうさんたちが羽を上げた。よかったちょっと通じてるっぽい。
『我が名は埴輪皇子と書いてハニワプリンス。積年の恨み、晴らしてくれるぞ!』
 くぽーーーーーーーと、空洞(not比喩表現)の口から雄叫びを上げた。

●グリモアベース
「たいへんなのです!」
 開口一番、東雲・観雪(あかつき・f13119)はなんだか焦っている様子だった。
「たいへんなのです。ぶんちょうさまとハニワの王子さまが」
 ちょっと待って意味が分からないよ。
 集まった猟兵たちが、まずは君が落ち着こうねと水のボトルを手渡した。んくんくと三口ほど水を飲んで、ふうと大きく息をつく観雪。
「サムライエンパイアの世界で、ぴよぴよしたぶんちょうさんを率いたハニワさんが、町をねらっているのです。あぶないのです!」
 やっぱり意味がよく分からなかったが、察することはできた。オブリビオンが人間の住む町を狙って動き出したのだろう。それを猟兵たちに阻止してほしいと言いたいのだ。

 オブリビオンそのいち、ぶんちょうさまについて。
「かわいらしいです。数がおおいですが、みなさまならば大丈夫です!」
 わかった、弱いんだな。
 オブリビオンそのに、埴輪の皇子さまことハニワプリンスについて。
「がんばってください!」
 そうか、それなりに強いのか。
 歴戦の猟兵たちに備わった言葉の間を読む力は、言葉足らずの部分も正しく補完する。
 つまり、この依頼は『ふかふかのぴよぴよと気が済むまで戯れたあと、ちょっと真面目に軽く運動すればいいというお仕事』なのだ。
 気分転換にちょうどいいかもしれない。

 それから、と観雪が目を輝かせる。
「おしごとの後にですね、町に行ってみたら、とても楽しいと思うのです」
 ぎゅっとさっきから握りしめている瓦版のしわをのばしながら、猟兵たちに提示する。その瞬間、主に女性猟兵の目つきが変わった。ある意味オブリビオンの話を聞くときよりも真剣だった。
「町のおおきな呉服屋さんで、売り出しがあるのです。季節のかわりめに、前の季節の品物を売りつくしてしまうのが、お店の売り上げを上げる秘訣なのだそうです。そして、もうすぐ来る春の衣装をととのえるお客さまも、とても多いとのことなのです」
 要するに魅惑の売り尽くしバーゲンと季節先取り商戦だ。どこの世界でも、商人の考えることは似通っているらしい。
「反物や帯がとてもお手頃価格なのです。お仕立てにはお時間がかかりますが、反物のままでご購入ののち、わたくしが他の世界にお送りし、そちらの仕立屋さんにおねがいすることも可能なのです。グリモアの力で、ご希望の世界にお送りいたします!」
 サムライエンパイア世界の反物は、花鳥や自然のものを描いたものが多い。どことなくレトロな雰囲気のそれらも、他の世界でその世界風の仕立てをしたなら、華やかかつモダンな装いができるだろう。
「この春の流行は、珊瑚色だそうです。やわらかくて自然の温かみのある、きれいな珊瑚の色なのです」
 どこから仕入れたその情報。
 観雪が手鞠を模ったグリモアを高く放り投げると、情緒あふれる町を眼下に眺める若草の丘に世界が変わる。
「では、みなさま。おきをつけて、いってらっしゃいませ!」


高遠しゅん
 高遠です。こんにちは。
 つい先日、今(厳寒期)着たい服を探しに出たところ、気づけば世間はすっかり春で薄手の春物しか店頭に並んでいないという、小さなタイムスリップをしました。冬まだ終わってないのに。ていうかいつ来たんですか春。
 肩の力を抜いて楽しんでいただけると幸いです。

 一章:ぶんちょうさまたちとぴよぴよたわむれる。
 二章:ハニワプリンス(危険な割れ物)を格好よくやっつける。
 三章:サムライエンパイア・スプリングセール開催中!
 以上の三章立てでお送りいたします。

 なお、一章はプレイングに『ユーベルコードで倒す』とでも一行さらっと書いていただければ、いい感じに忖度し、ふわふわもちもちを堪能した後に倒したことにします。
 二章のハニワプリンスには『すごい昔のハニワ。この町の地下深くに太古の遺跡があり、なんやかんや儀式のため作られてすぐ埋められたことを恨みに思って、オブリビオンとして蘇り復讐の機会を窺っている』なんて語彙力の低い設定がありますが、一切気にせず格好良くユーベルコードで倒してください。がんばります。
 三章、サムライエンパイアのとある町の呉服屋さんでお買い物(アイテム発行はありません)。ある意味こちらが本戦の方もいらっしゃると思います。三章のみにご参加でもウエルカム大歓迎です。PSWに縛られない自由な和装バーゲンをお楽しみ下さい。詳細は二章終了後に追記いたします。
 三章のみ、お誘いがありましたらグリモア猟兵東雲・観雪(あかつき・f13119)が参加いたします。お気軽にお声がけくださいませ。

 では、皆さまのプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ぶんちょうさま』

POW   :    文鳥三種目白押し
【白文鳥】【桜文鳥】【シナモン文鳥】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    文鳥の海
【沢山の文鳥】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    魅惑の視線
【つぶらな瞳】を向けた対象に、【嘴】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リティ・オールドヴァルト
まんまるですーっ
かわいいのですーっ
瞳きらきら
ぶんちょうさまの周りをぐるぐる回って観察
おめめもまんまるなのですーっ
じーっと見つめて
触ってみたいのです…っ
手を伸ばして
…ひゃっ
つつかれそうになってびくっ

そ、そうでしたっ
おやつ…おやつがあるのですっ
ポン菓子…食べますか?
手のひらに載せておずおずと
食べてくれたらその隙になでなでしようと
あったかいのです…っ
ふにゃーんと堪能

こんなにかわいいのにオブリビオンなのですねっ
…罪作りなのです…
リリィ…お願いしてもいいですか?
最後は苦しめないようにドラゴニック・エンド

今度出会う時はおともだちになれたらいいな


ポク・ョゥョゥ
ぴよぴよー?
ぴよー
はっ…ぽくはぱんだだよー
ご挨拶のあがめよー

ぶんちょうさまはー、ぶんちょうたまって呼ぶねー
ふわもちしよー
いろんなぶんちょうたまがいるんだねー
ぽくの頭にたくさん乗っかるといいよー
ふわもちトーテムポールだー
わー、ちょっとバランス大変かもー

そうだーぶんちょうたま、ぽくのふえ聴くー?
ぷっぷこ鳴らしたらノッてくれるかなー
いっぱい来てくれたら嬉しいなー
あがめよー

つんつんもちもちー
う?つぶらに見つめられるー
ぽくも見つめ返すよー
じー
…おぷるっ
突かれたよー

よーし倒すよーごめんねー
バウンドボディで跳ねるはねーる
ぽよぽよあたっくで体当たりだー
もちもちぽよぽよーぽよーん
勝利のばんじゃーい
次は何かなー



 ぽってりボディにつぶらな瞳、鎮座するしろぶんちょうさまにきらきらする視線は釘付け。リティ・オールドヴァルト(天上の蒼・f11245)は、しろぶんちょうさまの周りをくるくる回る。いつもはぴんとしているしっぽだって、くったりふにゃんとしてしまう。
「まんまるですーっ、かわいいのですーっ」
 純な瞳はサファイアよりも深く濃い青。にゃんこの耳をぴんと立てて、ぶんちょうさまとにらめっこ。
 ぴゃー! としろぶんちょうさまが高く鳴くと、どこからともなく現れたさくらぶんちょうさまとシナモンぶんちょうさまがとぉーう! とばかりに体当たりをかましてきた。ひょいっとケットシージャンプで避ければ、ぶんちょうさまは団子のようにぽよぽよ重なって沈んだ。
「ふー、びっくりしたです。あの、おやつ……おやつがあるのですっ。お米のお菓子、ぶんちょうさんたちにも食べられ……きゃー!?」
 ぴよーーー!!!×3羽のぴよぴよに大人気! 手のひらに乗せた米菓子は瞬く間に食べつくされてしまう。三羽に押しつぶされそうなリティも、全身でもっちもちふかふかを楽しむことに。三羽に埋もれて幸せいっぱい。
「かわいいは……罪なのです」
 こんなもちふわでも、オブリビオンはオブリビオン。
 召喚したドラゴンが一息で吹き消した、三羽のぶんちょうさまの感触を思い出し。
「今度出会う時は、おともだちになれたらいいな」
 ドラゴンの鼻先を撫で、つぶやいた。

「あがめよー」
 意訳すると『こんにちは、ぽくはぱんだのポク・ョゥョゥ(よろしくなの〜・f12425)だよ。ぴよー』。
 パンダにしては毛色が黒っぽくぽよんぽよんしているけれど、それはそれで別のお話。ポクのアイデンティティに一切関与しないのだ。
「ぽくの頭にたくさん乗っかるといいよー」
 声をかけたなら、興味津々なぶんちょうさまたちがわらわらと集まってくる。もちふわがなんだかお気に召したような雰囲気。ぽよんぽよんとポクの頭の上に重なり、小さな塔が完成する。右に左にぽよんぽよん、それがいっそう楽しくて。
 ふわもちトーテムポールだーってぽよよんと崩れるけれど、ポクもぽよぽよ一緒に転がる。
 ぷっっぷこぷーぴっぴこぴーと笛を鳴らせば、くるりとぶんちょうさまたちの輪ができる。その中の一羽と目が合った。
『ぴょーーーーー!』
「おぷるっ」
 ところかまわずくちばしアタックが降ってくる。つんつんくすぐったくてころんころん、ひとしきり草原で遊んだ後。
「あがめよー」
 意訳すると『遊んでくれてありがとう。またいつか会えたらいいね』。
 ポクのボディはブラックタールの特別製。ぽよんぽよんと跳ね回り、ぶんちょうさまの群れがひとつ消滅した。
「あがめよー」
 意訳『勝利のばんじゃーい』。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セット・サンダークラップ
これはつまり……POW型のユーベルコードを使うとカラフルな文鳥が増えるっす……?
……ドラゴニアンチェイン起動! 爆発はまあほどほどにして、細いオーラの鎖で足……足? まあ足とおぼしき部分を自分とつなぐっす。風船みたいにして4羽とも逃がさないっすー!
そしてこれはれっきとした戦闘行動っす! 時間稼ぎ技能! 時間稼ぎ技能!(もちもち)


キャナリニア・カルコメラン
わはー!ふかふかでありますな!もふもふでありますな!

一羽くらいならこそっと……いえいえいけません。どんな見た目でもオブリビオン。オブリビオンでありますので、我慢、我慢であります。


ユーベルコードにて屑鉄傭兵部隊を展開しまして。2機合体の後武器構え、11機の傭兵様方、一斉突撃!数には数で対抗であります!
後方よりがんばれがんばれと士気を上げ、自分もいざ出撃!大混戦の中、わちゃわちゃと、もちもちと、ふかもふと、ぴよぴよと。
みんな いっしょうけんめい戦っている。

いやぁー…ぶんちょうさまは強敵でありましたなぁ。
それではこれで…え、人形の中で気絶しているぶんちょうさま置いてけ?なんのことやらあははー。



「これはつまり……POW型のユーベルコードを使うとカラフルな文鳥が増えるっす?」
「一羽くらいならこそっと……いえいえいけません。我慢、我慢であります」
 思考回路がもちふよでショート寸前。セット・サンダークラップ(青天に光を見る・f05234)とキャナリニア・カルコメラン(スクラップドール・f07077)の方向性が、なんとなく似ていた。歴戦の猟兵も、もっちりふかふかの前では手をひねられた赤子のごとし。
「その隙にドラゴニアンチェイン起動っす!」
「あっずるいっ! 屑鉄傭兵部隊、お仕事の時間でありますよ!!」
 たいへんにこうどなずのうせんが展開された。
 爆発力を限りなく小さく控えめに抑えに抑えたセットのユーベルコードが、ぶんちょうさまたちの羽毛に埋もれたあるか無しかの短い足と、セットの足をオーラの鎖でつなぎ止める。
 キャナリニアのユーベルコードが呼び出したのは、肩に【1】の数字が書かれたスクラップ製小型人形だ。たまに【0.5】とか混ざってるような気もするが、きっと目の錯覚に違いない。キャナリニアの号令に合わせ陣形を組むと、近場のぶんちょうさまの群れに狙いを定める。
「逃がさないっすー!」
 想像してみよう。空をふよふよと飛ぼうとするぶんちょうさまたちをオーラの鎖でつなぎ止めたセットの姿を。まるで、どこかの遊園地でふよふよした風船を持つ小さな子のようだ。鎖を引けば、ぴよーっとセットに向かって墜ちてくる。両腕を広げて受け止めたなら、極上のもちもちタイム開始である。
「……(もっちもち堪能中)……違うっす、これはれっきとした戦闘行動っす! 時間稼ぎ技能っす!!」
 カメラに向かって訴えるセット。説得力皆無である。
 一方その頃、キャナリニアと屑鉄傭兵部隊の戦闘はしれつをきわめていた。
 屑鉄傭兵部隊の横列機銃掃射をちょこまかかいくぐるぶんちょうさまを、両手で抱きしめるキャナリニア。もっちもち、ふっかふか、ぽよぽよ、しあわせ。何しろSPD攻撃なのだ、無数にぶんちょうさまが湧いてくる(メタ)。
「ああ……なんて……激しい戦いだ……」
 あっちのぶんちょうさまもこっちのぶんちょうさまも、一緒くたに抱きしめなければならないなんて。
 みんな、いっしょうけんめい戦っている。
 そうして静けさと正気が戻ったあと。
「いやぁー……ぶんちょうさまは強敵でありましたなぁ」
 ふわふわにさわると癒し効果があると学会の論文がある。
 激戦の汗も爽やかにキャナリニアが言えば、
「それ、置いてくっすよ」
 セットのツッコミが横から入る。目を回したぶんちょうさまが一羽、屑鉄傭兵部隊の衛生兵に救護されている様子を、猟兵のするどいかんさつがんは見逃さないのだ。
「いやーなんのことやら? あははー」
 空々しいことこの上ないキャナリニアの笑いが春先の空に溶けていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニコ・ベルクシュタイン
ぶんちょうさま、とな…!
其のつぶらで汚れなき瞳や、ふわふわもこもこした其の御姿こそを
今の世の中では「尊い」と称するのだろうか。

一応【トリニティ・エンハンス】で防御力を強化しよう
さあ、此れでいくら攻撃されても大丈夫…だと思うぞ!
白に桜にシナモンとよりどりみどりではないか

…だが少し待って欲しい、逃げていく個体が居ないか?
確かに俺は図体も大きいし顔も怖いと正直良く言われるが…
一生懸命声音を優しげにしたり、笑顔を心掛けるなどで
「優しさ」の技能を精一杯駆使して文鳥のお相手をしたい所存

一通り文鳥を愛でることに成功したら、ユーベルコードでの
防御力強化を維持したまま、申し訳無いがぺちぺちと
双剣でやっつけよう。


紫丿宮・馨子
ぶんちょうさま……!
お噂はかねがね……実はいつかお目にかかりたいと思っておりました
いつもは衣服に香を焚きしめておりますが、今回はぶんちょうさまを不快にさせぬよう、焚きしめていない衣服でまいりました

おいでくださいませ
しゃがんで手を伸ばします
大変、可愛らしゅうございますね
一羽でも、複数羽でも、丁重におもてなし(もふもふ)させていただきます
いかがでしょうか……?
ああ、わたくしも可愛らしい動物を飼いたくなってまいりました

こういうのを「可愛さは罪」と申すのでしょうね
心は痛みますが……もふもふさせていただいたあとは巫覡載霊の舞にて、永遠の眠りへといざなわせていただきます


ウェリナ・フルリール
ふかふかなぶんちょうさま!
ピエール(竜)とぶんちょうさまといっぱいあそぶのです!
あ、もちろん、リナはきしさんのおしごともちゃんとするですよ?

わぁい、ぶんちょうさまー!リナなのです!(自己紹介とともに突撃!
ふわふわで、もちもちしてるのです…(ぎゅう
もちふわなぴよさんが、いっぱいなのです(全身うもれる
おふとんみたいなのです…(うとうと
あ、リナはここですよぅ(うもれた主を見失いうろうろする竜に手招き

はわっ、ピエールがつんつんしたら、3しゅるいのぶんちょうさんが!?
どのこも、リナがまとめてだっこするのです!(両手広げ

いっぱいもふもふあそんだら
ぶんちょうさま、ありがとうなのです!(ユーベルコードで倒す)



「「「ぶんちょうさま……!」」」
 三者三様に感嘆の溜息交じりの声を上げる。
 一人目はニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)、長身の男。
 二人目紫丿宮・馨子(仄かにくゆる姫君・f00347)、雅やかな美女。
 そして三人目。
「ピエールとぶんちょうさまと、いっぱいあそぶのです!」
 ウェリナ・フルリール(ちいさな花騎士さん・f13938)、7歳のいたいけな少女。おとものドラゴン、ピエールと一緒にぶんちょうさまの海に駆けていく。
 ぴよーっとお迎えしたぶんちょうさまたちは大喜び。きゃっきゃと幼い少女に可愛がられてご機嫌だ。もっふもふのもっちもちでぴよぴよ、たいへんにファンシーな光景。
 足元でぴよ? とつぶらな瞳で見上げるぶんちょうさんを、ニコがそっと抱き上げる。その手は少しだけ感動でうち震えていた。こんな図体のでかいお兄さんになついてくれるなんて。念のために防御力を強化すると、ユーベルコードの気配に惹かれてさくらぶんちょうさまとシナモンぶんちょうさままで集まってきた。だいじょうぶこわくない。ニコお兄さんの心は優しさでできているのだ。
 雅やかな装束は今日は少し控えめに、小袖に羽織と動きやすく。衣に焚きしめる香も、ぶんちょうさまのために控えてきた。馨子もまた優雅な裾捌きで背を屈め、たおやかな指先をぶんちょうさまに伸ばす。ぴょこんと乗ってきたしろぶんちょうさま、撫でられてぴよぴよと歌い出す。
「可愛らしゅうございますね」
 微かに香る髪の薫物に誘われて、ぶんちょうさまがぴよぴよと集まってきた。一羽二羽と膝に乗り肩に乗り、なでてーなでてーとすりすりしてくる。請われるまま撫でても撫でても、手が足りなくなってしまう。
「ああ、わたくしも可愛らしい動物を飼いたくなってまいりました」
 視線を上げたなら、もっちもちぴよぴよの中で全身のふわもこを相棒と楽しんでいるウェリナが写る。ふんわり羽毛にふかふか埋もれ、暖かくてふわふわでうとうとしている様子が大変に可愛らしい。
「おふとんみたいなのです……すぅ……」
 うとうと、微睡むウェリナをオロオロ探すおとものドラゴン・ピエール。しっぽをぱったんぱったん、心細げな細い声にウェリナがここですよぅと手を振り返す。『ウェリナとドラゴンと、もちふよの寝床』なんて額縁にいれて飾っておきたいほどファンシーな世界が誕生する。
「尊い……」
 呟きを誤解せぬよう。ニコが思わず口に出してしまったのも無理はない。
 ああ、この手の中にあるつぶらで汚れなき瞳、ふわふわもこもこした御姿こそを『尊い』と呼ばずして何と表現すればいいのだろう。言葉など見つからない、見つけられない。ただ心のままに浮かんだ思いこそが世界の真実なのだ。
「……尊い」
 語彙力などどこかに行ってしまう。
 だけど、お別れの時は来る。オブリビオンはこのままにしておけば、必ず世界を壊してしまう。
「巫覡載霊の舞、まいります」
 馨子が薙刀を構えれば、
「ぶんちょうさま、いっぱいふかふか、ありがとうなのです!」
 翡翠色の竜、ピエールが大きく息を吸う。
 一瞬の攻撃で消えてゆくぴよぴよぶんちょうさま。
 ニコは双剣を構えたまま、そっと目尻を拭っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

泉宮・瑠碧
ぶんちょうさま、か…
元々鳥は好きだが…丸っこいのも、ぴよぴよも可愛い…
…つい素が出ない様に、気を付けよう

町を破壊というのなら、敵意があるのだろうか…
そっと一羽のぶんちょうさまに触れ
宥める意味も込めて緩やかに撫でよう
ふわふわでもちもちだ…
手触りが良くて、いいこいいこと撫で続けるぞ

倒さないといけないのは、心が痛むので…せめて、穏やかに出来れば
撫でている子に小さく子守唄を
抱っこ可能なら抱えて、出来なければ身を寄せて
ぽんぽんとゆったり撫でて寝かし付け

眠ればそっと置き
次の子を抱えて同じ様に寝かし付けて、隣へ置く

そうして寝かし付けたぶんちょうさま達を集めたら
範囲攻撃の永遠揺篭で、穏やかに…ゆっくりおやすみ


月藤・紫衣
ぶんちょうさま…!
以前遭遇した時には満足に触ることも出来ませんでしたし、今回はぜひ、もふもふさせていただきたいですね。

その為にも下準備をしないといけません。
UCで水の魔力を使い防御力を上げておきましょう。
さあ、ぶんちょうさま、触れあいの時間ですよ。
そうだ、ついでに甘い金平糖などを餌に釣れるか試してみましょう。
餌に食いつくようなら、その間に存分に触らせてもらいます。

最後はとても名残惜しいですが…オブリビオンですから。
きっちりと、倒してしまいましょう。

…はぁ、何故こんな可愛らしい見目をしているのにオブリビオンなのでしょう。



 月藤・紫衣(悠々自適な花旅人・f03940)には心残りがあった。以前遭遇したぶんちょう形オブリビオンには、満足するほど触れぬままに戦闘の終わりを迎えてしまったことに。オブリビオンは基本としてもふもふさせてくれる方がレアケースの筈なのだが、折角のぷよっとしたフォルム、もっちふわをただ倒してしまうなんて、もったいないとは思いませんか。
 まずは下準備として、意識を集中したなら地を草を渡る水の力が防御力を上げてくれる。POWの気配を察知したさくらぶんちょうさまとシナモンぶんちょうさまが、しろぶんちょうさまと一緒にぴょーいと飛び込んできた。
 きけんがあぶない。ぜんぶ当たると、ユーベルコードをふうじられてしまう!
「そうだ、甘いあまい金平糖などいかかです?」
 ぴよーーー!!! 飛びついた。三羽ともめっちゃ巾着袋に飛びついた。今にも破かんばかりにくちばしの猛攻を受ける巾着袋を守りつつ、紫衣がぱらぱらと赤白黄色の金平糖を振りまけば、ぶんちょうさまたちはもう夢中。
 ぴょぴょぴょとご機嫌の歌を唄いつつのぶんちょうさま、羽毛に触れられても気がつかない。おやつにぴよまっしぐら状態。
「……はぁ、何故こんな可愛らしい見目をしているのに」
 オブリビオンなのでしょうね。紫衣はもふもふしつつ、眉尻を少し下げるのだった。
 
 町を破壊というのなら、敵意があるのだろうか。ぶんちょうさまたちの今までの行動から推測しても、とてもそんな知能があるとは見えない。
 泉宮・瑠碧(月白・f04280)もまた、ほぅと息をつくひとり。鳥は好きだし、こんなぶんちょうさまも愛らしいと思う。しかしオブリビオンというのなら、倒さなくてはならないのだ。
 よくよく見たなら個性がある。まるいの、ちょっとまるいの、基本まるいの。
「どれも好き……」
 いけない、しっかりしなきゃ。草原に座り膝の上にぶんちょうさまを乗せ、ふかふかの羽毛を撫でながら、瑠碧は小さく祈りを込めて静かに唄を口ずさむ。
 ――ねむれ、ねむれ、ちいさな子。
 ぴよぴよたちの羽毛が更にふかふかを増してくる。小鳥には眠るときに丸く膨らむものもある。瑠碧の周りに寄り添うぶんちょうさまたちも、もっちりふかふかとろとろと心地良さげに目を閉じる。
 ――ねむれ、ねむれ、やすらかに。
 瑠碧の歌声は風に乗って広がってゆく。元気に飛び回っていたぶんちょうさまたちが、一羽一羽、空に溶けてゆく。
 眠りを司る精霊は大きな袋に詰めた魔法の粉を振りまいて、心安らかな眠りを与えるという遠いどこかの伝承がある。ユーベルコードで召喚された眠りの妖精が、銀色にきらきら光る魔法の粉を風に乗せ、ぶんちょうさまたちに眠りを与えてゆく。
 痛みも恐怖もない、オブリビオンの存在を眠りに溶かす奇跡だ。

 いつしか辺りからぶんちょうさまの姿が消える。
 そよそよと風が、静けさを運んできた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ハニワプリンス』

POW   :    ハニワビーム
【口からハニワビーム 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    ハニ馬召喚
自身の身長の2倍の【馬形のハニワ 】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    であえい、であえい!
レベル×1体の、【腹部 】に1と刻印された戦闘用【ミニハニワ】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠蓮賀・蓮也です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ハニワプリンスがあらわれた!
『何という、何ということだ。我が支配下にあるぶんちょうさんよ。我が僕となって町を破壊するのではなかったのか。猟兵どもの手によって骸の海に返されたか、何ということだ!』
 凜々しくも気高い埴輪皇子――ハニワプリンスの声。意外とイケボである。
『かくなる上は、我が直々に猟兵どもを血祭りに上げてくれよう。町はその後だ。楽しみに待つがいい!』
 激しい戦いの火蓋が切られた。たぶん。
セット・サンダークラップ
過去に世界を平和にしたならそれを誇りに思ってずっと眠っておくのもいいと思うっすけど……やりきれない思いもあるっすかねえ。
ともあれ恨みは正面から受け止めて、クロスカウンターで粉砕するっすよ!

数には数、エレクトロレギオン召喚!
小さなまるいボディに短い四脚が生えたような形のをレベル×5……95体ほど召喚してわーっと走らせるっす。体当たりでミニハニワをやっつけて、ハニワプリンス本体に届いたらやっぱり体当たりさせるっす。割れちゃえーっすー!



 サムライエンパイアにおける埴輪という何かが、サムライエンパイア古代民にとって何を意味するのか、よく分からないけれど。
「……やりきれない思いもあるっすかねえ」
 セットは前方にそびえる皇子を名乗るハニワプリンス(オブリビオン)を、可哀想なものを見る目で見た。
 複雑な事情があるらしい。人間に造られ、勝手に祈りとか願いとか背負わされ、一方的に土に埋められた(と勝手に延々身の上話を語るので、まずは聴かざるを得ない苦行)。
「過去に世界を平和にしたなら、それを誇りに思ってずっと眠っておくのもいいと思うっすけど」
『そういう正論は無用! であえい、であえい!!』
 だめだこれ話の通じないやつだ。ハニワプリンスの足元からもこもこと湧いて出るのはちっちゃいハニワプリンスもとい、ミニハニワ(1)。わらわらわらわら、すごいたくさんいる。
 これだけ部下を発生させる余裕があるなら、ぶんちょうさまを無理して配下にしなくてもよかったんじゃないかなと思ったけれど、たぶん正論なのでセットは言わずにおいた。
 正論は時に、意図せず誰かの心を深く傷つけてしまうものだ。
「数には数、エレクトロレギオン召喚!」
 蛍光色の魔方陣から呼び出されたのは、丸い機械に四本足の。同じく1の数字が輝くメカは総計95体(数えた!)。
「割れちゃえーっす!!」
 メカ(1)と素焼き(1)の海が陣取り合戦のように押し合いへし合い、がっしゃんがっしゃんと非常にやかましい。
『く、くぽーーーぅ!!??』
 ミニハニワたちがメカ(1)の体当たりに押し切られてしまい、ぞろぞろと体に登られたハニワプリンスが悲鳴らしい声を上げた。声というか音だった。
「いっぱいいる系、駄目だったんすね……」
 ざりざり音を立てて逃げ回る姿が、セットをなんだかやりきれない気分にさせる。
 戦いは始まったばかりだっていうのになんてこった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ポク・ョゥョゥ
わー、はにわだー
面白いお顔ー
ぽくもできるかなー
(●⚫︎●)<あがめよー
あれーできちゃったかなー
おともだちのぱくを呼ぼー、ぱくー似てるかなー?
でもぽくぱんだなのー

ビームきたー
ぱくがブレスで対抗だー
ぽくはねーぱくの背中に乗ってふえ吹きながら応援するよー
がんばぇー、ぷっぷっこぷー

はにわたんもお友達呼んだのー?
よーし勝負だーのこったのこったー
ぽくものびーるぽくぱんちで応戦するよー
えーぃ

ちっちゃいはにわたんもいるねーかわぃー
数字書いてあるーぽく数えられるよー
いーち、にー、さーn…zzz
はっ…あー、ぱくが代わりに戦ってくれてたよーありがとー

今度はぽくの番だー
じゃんぴーんぐ、ぽくきーっく
どうだーまいったかー


ニコ・ベルクシュタイン
埴輪皇子と書いてハニワプリンスと読むのか、格好良いな。
どのように声を発しているのか、どのように移動をするのか
お前に対しての俺の興味は尽きぬ。決して変な意味では無いが。
幾ら俺がヤドリガミだとて、器物同士云々という趣味は無いぞ。

埴輪皇子の攻撃で他の猟兵を巻き込んでしまわぬよう
敢えて彼らとは距離を取り単騎駆けで皇子への接近を狙う
「オーラ防御」で展開した防御障壁を広げたり
「スライディング」でハニワビームを躱しながら
至近距離まで接近し【時計の針は無慈悲に穿つ】を叩き込む

渾身の一撃ではあるが、此の程度で砕け散るならば
皇子など名乗るまい。さあ、其の身体の造りを
じっくりとねっとりと確認させて貰おうか。



「あがめよー(意訳:はにわだー、面白いお顔ー)」
 ぽくもできるかなーっとポクが黒っぽいパンダフェイスをぽよんとする。
「(●⚫︎●)<あがめよー」
『我の従者にしてやろう』
「やー」
『そこは即答なのか!?』
 戦慄するハニワプリンス。だってーぽく6歳のぱんだなのーって、ポクはぽよんぽよんしている。顔は似せられてもボディは正反対。なんかハニワプリンスはイラッとしたらしい。もしかしたら、ちょっとだけぽよんぽよんに憧れを抱く時期があったのかも知れない。
『許さぬ!』
 ぬーーーーん、と。地面から生えてきたのは壁のようななにか、としか身長 99.9cmのポクには見えなかった。惜しい、あと1ミリで1m。伸び盛りだ、きっとすぐ大きくなれる。メタ的には一か月くらいあれば。
 ざっくり3mほどの体長(『身長である』)――失礼、身長3mほどの埴輪皇子が6mほどの馬形埴輪に乗っかった。騎乗というイメージではなかった。だって素焼きだから跨がるって姿勢が、ねえ。
「あがめよー(意訳:ぱくーおいでー)」
 ポクのきけんがあぶない! のでポクが呼び出したのはまっしろドラゴンのぱく!! 体長2m!! ポクはぱくにライドした。素早さと体力があがった!!
 まっしろのドラゴン、ぱくの行動力はすごかった。背でぽよぽよしながらぷっぷこぷーと笛吹くポクの応援を受けて、足元に転がるミニハニワを避けて駆けた。目にも留まらぬ早さだった(ハニワ比)。
 どーん!! とドラゴンブレスをかましたぱく、どうだっと胸を張りどやっとしてみるが。へんじがない。一瞬でポクは足元にころころするミニハニワを数えて眠りについていた。子どもなので寝るのは早い。
『あっつい、竜の息熱い!!』
 ハニワプリンスのキャラがだいぶブレてきた。ブレブレだった。しかし負けずに気高くハニワプリンスは物理的上から目線で、
『起きよ。そこのくろいの。起きよ!』
 とろり。眠い目のままでポクは、
「じゃんぴーんぐ、ぽくきーっく」
 ぽよんと飛び出して強かにハニワ馬の足元にきっくをかます。ねぼけている。しかたない、こどもだし。
 ごろんと転がったハニワプリンス。いわゆる弁慶の泣き所を蹴られて、空洞の(not比喩表現)涙目で消えるハニワ馬。
 激しい戦いはなおも続く。

「……尊い」
 少し離れた所で、ニコはぶんちょうさまのお姿を反芻し呟いた。
 閑話休題。
 埴輪という物は、一般的に知られているものはだいたい素焼きの焼き物だ。かつては魔除けの色が塗られていたという研究資料もあるようだが、そこはそれサムライエンパイアの古代世界と何処とも知れぬメタい世界の歴史は一致しない。
 『これ』は見た感じ本当に素焼きの焼き物だ。素朴な風合い、空洞の目や口で、世界はどう見えて音はどう聞こえて、どう声を発しているのか興味は尽きない。
 反響するのは中も空洞だからだろう。なのにいい感じに動く。本気でどういう理屈だ。
「俺がヤドリガミだとて、器物同士云々という趣味は無いぞ」
 カメラ目線で一言いただきました。
 閑話休題。
 ともあれ、これは倒さなくてはいけない敵だ。オブリビオンは存在してはならない存在なのだ。たとえ見た目で一切緊急性危険性の感じられない、まるっとしたフォルムのゆるキャラであっても。
 ニコは地を蹴った。足元でちぎれた草が風に散る。散らばるミニハニワの破片や、蠢くミニハニワの集団の間隙を縫って駆けた。耳元で風が鳴る音が聞こえる。
「――歯を食い縛り覚悟せよ」
 ハニワプリンスが何かに気づいたのか、さっきよりややシリアスめの動きで全方位に向けてビームを放つ。
「此の程度で砕け散るならば」
 ハニワプリンスは空洞の口で息を呑んだ。ニコはもう間近にいた。渾身の力を込め、叩き込まれた拳が腹を穿つ。素焼きに亀裂が入る音が聞こえた気がする。
「皇子など名乗るまい。さあ、其の身体の造りを俺に見せろ」
 分厚い素焼きを殴る感触は、すぐに破片を穿つ感触に変わる。
「じっくりとねっとりと確認させて貰う」
 ハニワプリンスが腹に拳を埋められたまま、じっとニコを見下ろした。しばしの間見つめ合うふたり。
『……えっち』
「違う!!」
 埴輪皇子ことハニワプリンス、どこで覚えたそんな言葉。声高に否定しつつ距離をとるニコ。
 猟兵たちの戦いはどう転ぶかわからないものだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リティ・オールドヴァルト
ぷりんす…
おうじさまなのです?
まん丸おめめじーっと観察

ぷりんだかふうりんだかしりませんがっ
いたいけなぶんちょうさまを巻き込むなんて許せないのですっ!
気合い入れ

みんなと連携
ハニワプリンス倒す

まずは小手調べですっ
【全力魔法】で竜巻起こし
石等当たったら割れそうなものを巻き込んで攻撃
春一番ですっ

ビームは動きをよく観察して【見切り】
【第六感】も信じて発動前に避ける

【ミニハニワ】を召喚されたら【衝撃波】
合体される前にでまとめて倒しますっ

むむーっ
ぶんちょうさまをけしかけたり
召喚したりひきょうなのですっ
自分でたたかうのですっ
馬を【なぎ払い】
体勢を崩させ【串刺し】からの
ドラゴニック・エンド
リリィ、行くよっ…!


月藤・紫衣
………民芸品?
あ、いえ、違いますね、オブリビオンでした。

なんといいますか、こう、見た目と声の差が凄いですね。

【POW】攻撃も【WIZ】攻撃もあまり近寄らなければ、対処が遅れることはなさそうです。
少し距離を取りつつ、【散花風棘】で牽制しましょう。
特にミニハニワは合体する前に潰してしまえると楽そうですね。
射ちもらしたミニハニワは【2回攻撃】で【なぎ払い】をしましょう。

それにしても、なんと言いますか…どうにも緊張感のない見た目ですね。


紫丿宮・馨子
……えぇと、大きゅうございますね……立派でございます
声も素敵でございますが……なんと申せばよいのでしょう、ぎゃっぷ?

埴輪は当時の葬送儀礼に則って作成され、そして古墳へ収められたと聞いております
死出の旅路を見守る崇高なお役目を持つ埴輪様が、どうして斯様な思想をお持ちに…
もしや、何か他にお望みが?
ヤドリガミであるわたくしとしては気になるところです

申し訳ございませんが、オブリビオンを許すわけには参りません
巫覡載霊の舞によって攻撃させていただきます
ミニハニワ様方は、薙刀でなぎ払い対処いたしましょう

埴輪様、安らかにお眠りくださいませ



「おうじさまなのです?」
「……民芸品?」
「……えぇと、大きゅうございますね……立派でございます」
 三者三様の感想、リティと紫衣と馨子が肩を並べて戦いの様子を眺めていた。無論、ボス戦に備えてきちんと武装している。衣装の所々にふわふわのぶんちょうさまの羽毛が付いていたりいなかったりするけれど。そこはそれ気のせいだったり名残だったり。
『最初の、何故首を傾げる。二番目は明確に否と言っておく。三番目、我の威容にひれ伏すがよい』
 腹に穴を開けたままのハニワプリンスは寛容だった。まだ幼いケットシーであるリティを赦し、紫衣の民芸品発言を却下し、馨子の控えめな呟きは大いに歓迎した。つまりは都合のいいことだけを聞き入れた。身分高い系にありがちの下卑た根性だった。皇子を名乗っておきながらなんてこと。ノブレス・オブリージュの崇高な精神など持ち合わせてなかった。オブリビオンなので仕方ない。

「ぷりんだかふうりんだかしりませんがっ、いたいけなぶんちょうさまを巻き込むなんて許せないのですっ!」
 まずは一発、ちっちゃなリティが動いた。ちっちゃな手にはまだもちふわのぶんちょうさまの感覚が残っている。ぴよぴよ愛らしかったぶんちょうさまを、手下に使うなんて。こんなふうに使われなければ、平和に生きられたかもしれない――オブリビオンだから倒さなければならないけれど。こう、オブリビオン的な平和な人生いや鳥生もあったかもしれないのに。
 むずかしいことは横によけておこう。リティが呼んだ春一番は、当たったら痛そうなごつごつ尖った石も巻き込んでハニワプリンスにごちごち当たる。
『ぷりんではないと……待て、痛い。痛い痛い痛い!』
 四方八方にビームを飛ばすハニワプリンスのあちこちに、明らかに硬いものがぶつかったヒビが入ってきたような。基本は割れ物なのだ。基本。
「――花を散らすは風の棘」
 静かな詠唱の声。しゃらりと喚んだ無数の棘。紫衣が手繰るは虚空に生まれた風纏う棘。
「散花風棘、いざ、受けませい」
 装束の袖が風に躍る。わずかに絡げた唇の端は隠さない。柔らかな見目と羅刹の生まれ、闘争は嫌いではないのだ。ぞっとする数の棘はリティの竜巻に乗り、次々とハニワプリンスに突き刺さる。その様は剣山さながらに。
『ちょ、待って。まって。空気読んで。ヒビ、ここヒビ入ってるから!』
「待つ必要があるとは、思えませんし」
『であえ、であえーーー><』
 みたいな感じ。刺さっては消え刺さっては消える棘に、堪らず喚んだミニハニワの集団。またもや足元から湧いて出るキノコのようだ。わらわらわらわら。ころころころころ。似たようなハニワといっても、人の手に乗る程度のサイズ感なのだ。それこそどこかのアース世界の民芸品店に転がっていそうな。
「そもそも」
 増えに増えていくミニハニワの海に、ぽっかりと穴が穿たれた。たおやかな手で薙刀を一閃させた馨子が、風をも切り裂く衝撃波を与えたのだ。
「死出の旅路を見守る崇高なお役目を持つ埴輪様が、どうして斯様な思想をお持ちに……」
 世界を渡る馨子が知っているのは、とある世界の埴輪というものは、高貴の者の墓を守る副葬品として用いられたという歴史だ。誇り高くあるべき埴輪が、なぜ人間の町を滅ぼす野望を持つなどという暴挙に出たのだろう。
 馨子もまたヤドリガミ。物に宿った者として、尋ねずにはいられなかった。
『我は……我は』
 ――地の底に暮らした千年あまり(ざっくりとした体感なので細かいことは置いておこう)。オブリビオンとして再び陽の光を見るまでの間、骸の海を漂いつつ思ったことは。
『暗くて狭い所が、心底嫌いなのだ』
「お眠りくださいませ」
 安らかに――馨子の命も削る一撃が、速やかにハニワプリンスを袈裟懸けに斬りつけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

泉宮・瑠碧
埴輪…そういう物があると読んだ事はあるな
すぐに埋められてしまったのは、可哀想とは思うが…
本当は、共に地表で見守りたかったのだろうか

僕は主に精霊祈眼で属性攻撃と弓の援護射撃

恐らく、釉薬は塗らずに素焼きだと思うが
その場合
水が浸透すると聞いた事がある

水の精霊に埴輪を水で覆い、包む事を願い
埴輪を水浸しにした後
全力魔法で氷の精霊に願って凍らせて貰おう

自身への攻撃は見切りか
精霊の守護や森の気によるオーラ防御

そっと埴輪へ
自分達が鎮めたから世は太平だと知る様に
だから人々はその上で繁栄出来たのだろう
嬉しくは無いだろうが、ありがとう
ただ寂しい思いをさせて、すまなかった

感じた地上そのままに、ゆっくり眠れるように祈る


ウェリナ・フルリール
はにわぷりんすさん…ながいので、はにぷりさん!

はにぷりさん、なんかいいおこえでおこってるのです??
リナでよかったら、おなやみのおはなしききますのですよ!
はにゃ…はにぷりさん、かこにせかいをへいわにしたのです? すごいのです!
リナも、みなさんのへいわをまもるきしさんなのです!
だから…オブリビオンは、メッするのです!(ユーベルコード発動)
ピエール、はにぷりさんにめらめら、ほのおをおみまいするのです!

はわ、めからビーム!
でも、きあいではじきとばすのです!(脳筋)
はにぷりさんやミニはにわさん…おもしろかわいいおかおですけれど
ドラゴンさんのほうがかわいいので、ばいばいなのです!(攻撃容赦なく叩き込む)



「はにわぷりんすさん……ながいので、はにぷりさん!」
 ついに幼女に略されてしまった。だってウェリナにとってハニワプリンス呼びは長いから。略してハニプリさんのほうがわかりやすい。略す文化は良い文化。
「すぐに埋められてしまったのは、可哀想とは思う」
 造られてすぐ埋められてしまったのは、用途として正しいのかも知れないが、確かにどこか寂しいものだ。瑠碧はハニワプリンス(略してハニプリさん)にほんの少し同情する。
 古い古い時代、祀る者も絶えて過去として消費されてしまった時間の海にたゆたう心地とは、どんなものだろう。
『我は……』
 今にも割れそうなハニプリさん、かけらをぽろぽろ落としながら震えている。
『我の上に繁栄を築いた者たちに、知ってほしかったのだ』
「はにゃ……はにぷりさん、かこにせかいをへいわにしたのです?」
 すごいのです! きらきら、ウェリナの空色の瞳がまぶしいほどに光を充たす。素直で素敵で無邪気な賞賛だ。まっすぐのきらきらはハニプリさんの心に届く。ああ――この身は骸の海を漂う前に、このような賛辞を与えられたかった。
「自分達が鎮めたから世は太平だと知る様に、人々はその上で繁栄出来たのだろう」
 存在を知らずとも、かつてこの地に鎮魂のために祈る心ある者がいたことを知ったなら、町の者たちもきっと喜ぶ。ハニプリさんの心の上に町は繁栄したのだ。町の平和は、正しくハニワプリンスと仲間たちがもたらした福音だ。
 瑠碧の説く説にハニワプリンスはうち震える。
『そうか……そうか。我は』
 瑠碧の祈りが大地の底から水を喚ぶ。ハニワプリンスの乾いた素焼きの肌と心に染みわたる。ユーベルコードに反応したオブリビオンとしての本能からか、地面からちっちゃなハニプリさんもころころ出てくるが、瑠碧の喚んだ水の精霊に浸されてちゃぷちゃぷしている。
 水の精霊は次第に温度を下げ、きらめく氷の精霊変化する。おっきなハニプリさんもちっちゃなハニプリさんも、霜に覆われ凍り付く。
「ありがとう。寂しい思いをさせて、すまなかった」
 おおきなハニワプリンスの空洞の目から、ぴしりと走った亀裂が涙に見える。きっと、気のせいだけれど。
 そして――ひらひらと舞い降りるのはウェリナの咲かせたちいさな白い花。なんて、美しい光景が――。
「ピエール、めらめら炎をおみまいするのです!」
 翡翠色のドラゴンが胸いっぱいのドラゴンブレスをおみまいした!
「はにぷりさんもおもしろかわいいおかおですけれど、ドラゴンさんのほうがかわいいのです!」
 ふわふわ幼女、いい感じに容赦がなかった。
 埴輪皇子――サムライエンパイアのとある町の礎となったハニワプリンスは、永遠に消滅した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『ばぁげん、なのです!』

POW   :    周囲を牽制しつつお買い得商品を気合いで確保する。

SPD   :    客の流れを読み素早く目当ての品を確保する。

WIZ   :    誰も目をつけていない棚の奥から幻の限定商品を発見する。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●呉服商『エチゴヤ』。
 春と呼ぶには未だ少し早い時期。
 一足先に並ぶのは、春の装いの反物たち。桜に木蓮といった花の柄や、季節は問わないが春らしい色合いの絹が、色とりどりに並んでいる。また、売り残した冬の色は大変にお手頃価格。
 オリエンタルな風合いのそれら反物は、仕立てを頼めばサムライエンパイア風の装束にしてくれるだろう。しかし、猟兵たちには世界を渡るグリモアの力がある。購入したのちグリモアを持つ猟兵に頼んだなら、違う世界に快く運んでくれる。
 サムライエンパイアでは地味な色であっても、デザイン次第で絢爛豪華なドレスにだって仕立て上げることが可能なのだ。アレンジの可能性は世界の数だけ広がっている。
 小物だってよりどりみどり。帯締や半襟に草履といった必需品に加え、簪や櫛に帯留といった細工物も職人の丹精込めたものが並んでいる。
 店の外には買い物帰りを狙ったように、小さな甘味処があった。お茶とお菓子で戦利品を披露なんて楽しいだろう。

 密かに平和を守った町の繁栄を、大いに楽しまなくては。

※補足※
 イメージとしては大きな呉服店です。選ぶものは反物であり、寸法を測り仕立て上がりは後日となるものです。
 グリモア猟兵にテレポートの約束を取り付けることが可能ですが、この場でテレポートした先の描写はできません。
祝・刻矩
スプリングセール!うむうむ気合いの入るよき言葉じゃのう!

そうじゃな〜
羽織と帯とあと、羽織紐が欲しいんじゃが
羽織は地味目の色、帯は、ちょい派手な色合いがよいのう
なんせまぁ、元が地味じゃ(ふらりと一回転。ピンクの耳と尻尾が派手)
(紺の着物に、同色の羽織。帯は も地味。羽織紐だけは奇抜な形のものを使っている)
見立ててもらえるかい?

羽織紐は変な形が好きじゃ
アニメキャラでもよいぞ。そういうところは遊ばぬとなぁ

うむうむ、良い
気に入った。見立てを信じて買うてみようかのう!

支払いは出来上がりの際に
んむでは頼んだのじゃ
楽しみにしておるのじゃ

アドリブ、絡み歓迎


ポク・ョゥョゥ
(なんか気の抜けた顔になった音がした)
みんなー、おつかれさまー

えちごやーおぬしもー
うーん?なんだっけー
とりあえずーあがめよー

反物ーきれいー
ねーねー、ぽくに似合うおよーふくつくってほしーのー
それとねー、ぱくとお揃いしたいのー
何でもいいよーお任せするよー
えっとねー柄はねー
春も好きーだけどー
お手頃価格のー冬のデザインたんがいいなー
白いお服着たらー、もっとぱんだになれるよー
後ねー、お友達のおばばにお土産かおー
櫛?いいなーこれくだしゃーぃ

お買い物楽しかったのー
お外でおやつ食べるのーぱくも食べよー
お茶は苦いのーでもお菓子と食べるとおいしー不思議ー
おなかいっぱーぃ、ご馳走たまー

およーふくできるの楽しみだねー



「スプリングセール! うむうむ気合いの入るよき言葉じゃのう!」
 長い冬が終わり、風は緑の匂いを含み始めている。三寒四温というけれど、まさに季節は春のさきがけ。祝・刻矩(風の如く、舞う如く・f14803)の気分はすこぶる良い。狐の耳をぴこぴこさせて、見たなら隣にぽよんとしたのがいた。
「あがめよー(意訳:おしごとおつかれさまーなのー)」
 ぶんちょうさまとハニワプリンスを片付けたポク・ョゥョゥ(よろしくなの〜・f12425)が、さっきより更にぽよんとしていた。ちょっと違うというところは、刻矩の目にはわからない。だって店の前で出会ったばかりだから。
 店内に一歩足を踏み入れたなら、上品な初老の女将が奥にと案内する。色とりどり、春の反物と小物の数々が彩り鮮やかだ。
「おぬしもーわるよのー」
 ポクのぽよんぽよんは女将につうじなかった。まあいい。それはともかく、バーゲンだ。
 バーゲン、魅惑の響き。普段財布の紐をきっつくぐるぐる巻きにしていても、この色彩の中では全開に解き放ってしまうもの。しかも寒い冬の終わりを告げる春のバーゲンなんて最高ではないか。
 刻矩の今の装いは、地味目の着流しに地味目の羽織。
「なんせまぁ、元が地味じゃからな」
 ぴこりと動かす耳と、ふわさぁっと揺れる尾は紅梅に似た強めの桃色。地味か、そうか。
「ぱくとねーおそろいがいいのー」
「うむうむ、それは良いことじゃ。どれ、見立ててやろうかの」
「あがめよー(意訳:あがめよー)」
 通じているようで通じていない二人の、会話のような会話。
 ぱんだ(っぽいブラックタール族。身長一ミリ伸びてちょうど1m!)と竜のおそろいならば、と刻矩は見回し考える。スカーフのような布ならば簡単だが、折角のことだ、店には少し手間を掛けるが、羽織など良いだろう。
「あとねーお友達のおばばにーお土産ー」
 ころころと転がっていくパクの先、羽織紐の並ぶ一角に、色鮮やかな中にもしっとりした色合いの玉飾りの数々があった。これは良いものを見つけた。手に取るのは珊瑚の玉飾り、そういえば流行りのものらしい。
 土産物にすると柘植の櫛を選ぶパクを見遣り、さてと棚に向き直る。
「見立ててもらおうかの。なに、女将の見立てならば間違いなかろう」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セット・サンダークラップ
【WIZ】っすが、限定商品に限らず自分の感性に合うものを探すっす。見て回ったり、手に取って比較検討したり。

普段着とちょっと気分を変えて、薄いピンク……この世界の木の色? サクラ色? やその模様の布を買うっす。あとは空に浮かぶ雲みたいな白っぽい色とか。
冬の夜みたいな、黒に近い灰色に木の模様をつけたのも気になるっすし……欲望の赴くまま買うっす!

反物をいっぱい小脇に抱えて持っていくっすー! これで服を作ってくださいっす! あとこれに合う帯や小物も!


……平和っすねー。これがハニワプリンスがいたことによって得られた結果だと思うとちょっと感慨深いっす。しんみり。
あ、帰りに甘味処で餡蜜でもいただくっす。


紫丿宮・馨子
主に反物を

唐衣用の柄物も欲しいですし
春用に紅梅や桜、桜萌黄や白藤のかさねの袿用の反物も…

冬の色がお買い得のようですね
次の冬用に氷重や枯色、枯野や雪の下のかさね用の…迷ってしまいますね

全て十二単用の袿にせず
小袖や振り袖を増やすのもよいやもしれませぬ
となると帯も欲しくなります
どの色柄が良いでしょうか

ああ、ドレスに仕立てるのも良いですね
UDCアースで着物をリメイクしたドレスを見たことがございます
とても美しゅうございました
わたくしに似合うかは自分ではわかりませんが
一着用意してみるのも良いかも…

迷ったあげく反物を沢山買い込む
十二単には沢山布が必要ですからね
ドレスは後に仕立て屋を探しましょう

アドリブ絡み可



 店の奥の畳の間にて、番頭に命じられた丁稚が右に左にと反物を抱えていく。
「ちょっと気分を変えて、薄いピンク……この世界の木の色?」
 桜色とこの世界では呼ぶのだろう、この世界でもっとも親しまれている春の花色。セットは色とりどりに広げた絹の波から、一反の花を織り込んだ布を選び出す。そういえばこの季節の空がとても良い色をしていたから、淡い空色も良いだろうか。あれこれと選んでは積み上げていく。ああ、この墨色の松模様はどうだろう、仕立てによっては粋な着流しになる。これもいい、あの色も気になる。ぜんぶ
「春用であれば紅梅や桜、桜萌黄や白藤の襲の色……」
 一方、馨子が指示して広げるのはこの店でも上等の品々、大奥にも献上するワンランク上の絹織物だ。織りも色目も奥深い、伝統ある格式高い逸品が並ぶ。
 春の香り漂うこの時期であれば、濃蘇芳に紅梅を重ねた華やいだ色、または紅に白を透かして淡く魅せる桜のかさね。あるいは若木の緑に紅を覗かせる桜萌黄、紫の濃淡を演出した白藤。次の冬のかさねもいいけれど、遊び心も浮かんでくる。
「楽しゅうございますね」
「平和っすねー」
 馨子とセット、ともにぶんちょうさまとハニワプリンスと戦ったどうし。いろいろあったけれど、平和が一番であると実感できる。ハニワプリンスは自分の犠牲の上に築かれた平和が許せない、なんて事を言っていたけれど。もしかすると埴輪皇子として鎮魂の任に着いたことで、この町は栄えることができた可能性もあったのかも知れない。
 この世界では時間は質量のある物質であり、消費された時間は骸の海に漂い消えると猟兵たちは知っている。でも、そんな可能性を秘めた過去があっても、ほんのすこしだけ良いとも思う。
「ちょっと感慨深いっす」
 ちょっとだけしんみりしながら、セットは忙しく立ち働く店の人々を眺めやる。忙しそう、だけど訪れる客も店の人々も生きることを楽しんでいる。こんな世界の礎になれたなら、ハニワプリンスもどこかで誇りに思うだろう。
 馨子も目を細め、買い物を楽しむ若い女性たちを見た。そうして思いつく。UDCアースで、和装に使う絹織物で作られた華やかなドレスを見たことがある。一着くらい作ってみても、きっと楽しい。思いついたなら布を選ばなければ。ドレスに合わせるならば鮮やかな青や緑もいい、アクセサリーには真珠を合わせ、髪は――。
 迷いに迷い、選びに選び。小山の如く積み上げた反物に、番頭もほくほく算盤を弾いている。
 どんな仕立てにするか、まだまだ楽しい悩み事は尽きない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

榎・うさみっち
お買い物~♪ 陽気に鼻歌混じりでショッピングだぜ!
俺の目的は「うさみっちゆたんぽ サムライエンパイアVer」に
着せる服の布や小物を買うこと!

まず説明しよう!
うさみっちゆたんぽとは俺そっくりの
可愛いぬいぐるみ型ゆたんぽである!
全世界Verのご当地ゆたんぽを作って
世界中に癒やしとぬくもりをお届けするのが俺の夢!

サムライエンパイアといえばいけてる和服
色とりどりの商品にほえーと感動
俺といえばやっぱりピンクが似合うな!
てことで空色地に桜模様の反物を選択
これに草履履かせて簪さして和傘も持たせて…
よーし、名付けて「まいこっち」だ!!
と新作の妄想を膨らませながらお買い物満喫
終わったら抹茶スイーツ食べて帰るー!


ニコ・ベルクシュタイン
【SPD】
折角素敵な呉服商にお招き頂いたものの、
生憎ときらびやかな衣装を贈るような相手は居らず…。
強いて言うなら、俺の本体である懐中時計を
華やかに収納してくれる巾着のようなものを
仕立てて頂く事は可能だろうか?
店主に失礼で無ければひとつ相談してみよう。

花は桜が、特に晴天に咲く様が
青と薄紅のコントラストが美しくて良いなと
…おや、今すれ違った女性が手にしていた反物など
まさに理想的な柄ではなかろうか、何処にあるのだろう
今すれ違った女性が来た方向を確認してみる
売り切れてしまうといけない、速やかに探さなくては

無事見つけられたら、出来上がり次第自分で取りに来るので
予定の日程を打ち合わせよう。とても楽しみだ。



 てっててれっててっててれっててっててれっててっててれって♪
「うーーーーー、てきーら!」
 通りを行く人は『なんか小さいのがマンボのノリで飛んでるけど、なんやかんやあって違和感ないから気にしないどこ』って顔で通り過ぎていく。
 そのフェアリーボディ(リプレイ時点で約17センチ。具体的にはメタアース世界の女児が幼児期に一度は手にするだろう、リ●ちゃんドールより頭ひとつぶんくらい小さい)は使命感に燃えていた。脳内マンボのリズムにぴゅんぴゅん乗る。
「説明しておく。これは榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)。今日は『うさみっちゆたんぽ・サムライエンパイアVer』を作成し、世界、否、全世界に癒やしとぬくもりをお届けするため、この店に訪れたのだ」
 懐から出した『うさみっちゆたんぽ・ノーマルVer』を手に、ニコが真顔のままフレームイン。そして何事も無かったかのように懐にしまい、そのぬくもりに癒されたりされなかったりしながら、自分の本来の理由を思い出す。眼鏡のブリッジをくいってした。
「俺の本体である懐中時計を華やかに包み込んでくれる、巾着袋のようなものがあれば」
 店の女将は上機嫌。なにせ彼らは幕府のお墨付き、天下自在符を持つお客様。数え十八で嫁いできてから三十七年、来る日も来る日もお客様をお迎えしてきた大店の女将の目に狂いはない。目の前を手のひらサイズの幼児がぴゅんぴゅん飛んでいても、なんかいるな、って感じで気にしない。
「やっぱり俺といえばピンク! ピンクがやっぱり似合うな!」
 うさみっち聞いてないし視線なんて気にしてない。うんしょうんしょと反物の端っこをひっぱるけれど、ぎっしり詰まった棚の布なんて、うさみっちの細腕ではびくともしなかった。
「これか」
「それだ。褒めてやる」
「いらん」
 眼鏡をくいっとしながらうさみっちの反物を取ってやり、ニコが通り過ぎる。目的は若い女性向けの小物の棚。道行くお嬢さんたちは思い思いに巾着袋やら布包みなどを手にしている。この店にも華やかで流行のものが揃っているのだ。
「仕立てて頂く事は可能だろうか?」
 勿論喜んで、とのこと。反物の棚には春の色。もうすぐこの世界に春が来る。サムライエンパイアの春の花、ニコは晴れた春の日、晴天の下で見る桜がいっとう好きなのだ。
 すれ違ったお嬢さんが、空色と桜色の上等な反物を合わせてもらっている。それと同じ色を――視界の端でうさみっちが、よっこらえっこらと空色の反物を引っ張っている。
「これか」
「よきにはからえ」
「いや」
 取ってやったニコが視線を戻したときには、お嬢さんは既に番頭と話をしていた。あの色はどこに。
 やはりここはプロのアドバイスか。と女将に訊いて無事採寸と発注を済ませた頃。
「草履履かせてー簪さして、和傘も持たせて……よーし、名付けて『まいこっち』だ!!」
 ほわんほわんほわんとイメージ図を膨らませるうさみっちの隣で、うさみっちの考えていそうな事をだいたいこんなところだろうと見当付けて発注完了。満喫中のうさみっちをそっと捕まえて、
「行くぞ」
 ∑ヾ( ̄0 ̄;ノ みたいになるうさみっち。
「まだいるー! 抹茶スイーツ食べてからー!!」
 じたばたぎゃんぎゃん喚くうさみっちを手の中に入れて。ニコは甘味処ののれんをくぐったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月藤・紫衣
もう少し着物を増やしたかったので、これはいい機会ですね。

そういえば荒事は片付きましたし、どなたも声をかけていらっしゃらなければ、東雲さんにも声をかけて行きましょうか。

さて春…藤花柄の反物や梅花柄の巾着、季節外れですが、金木犀の簪などもあるといいのですが。
ああ、そうそう、白地に藤色の鱗紋の反物などはあるでしょうか?
あの小紋柄が好きなのですが、あまり好みの色では見かけなくて。
男物となると、あまり好みの物に当たらないので、探すのも一苦労なんですよ。
反物の仕立てはそのままここでお願いいたします。

ふふ、この機会に買い物を楽しみましょう。


ウェリナ・フルリール
ばぁげんは、きりょく、たいりょく、ときのうん、ってききました!
リナはたいりょくにはじしんあるのです(脳筋

…おみせ、どこなのです?(迷子
おみせのおなまえ、いちごににていたような…あ!
(観雪の姿見つけて)リナも、ごいっしょさせてくださいなのです!

はわ、きれいなはるがさいているぬの、いっぱいなのです!
観雪はどれがすきですか?
さんごがはやり…このピンクいろがさんご!
あ!さんごに、ピエールのせなかのとおなじ、しろいおはながついたくし!(瞳きらきら
リナ、これにするのです!
かんざしもかわいいのです(わくわく

ばぁげんのあとは、おだんごたべたいです
おみせにつれていってくれたおれいに、観雪にもごちそうするのです!



「ばぁげんは、きりょく、たいりょく、ときのうん」
 バーゲンへの心意気を見事な五七五で表現し、ウェリナは教えてもらった店へと急ぐ。
 いいにおいがします。あっちはおそばのおみせです。おしごとをがんばったので、ちょっとおなかもすいたのですが、バーゲンはいちびょうのゆだんがおそろしいけっかをまねいてしまうのです。
「リナはたいりょくにはじしんが……おみせ、どこなのです?」
「ウェリナさま、こちらですー」
 通りの向こう側、通行人の頭越しに背伸びして手を振るのは東雲・観雪(あかつき・f13119)、その隣でゆるゆると手を振る長身の紫衣がいる。よかったです、と合流できた三人。
 バーゲンは一人でも楽しいのだから、三人ならもっと楽しい。
 なんだか保護者の雰囲気もしてきた紫衣、衣替えも近く春の装束を新しくしたい。さて、と店内に目を向けたなら、目に付く棚に藤花の反物が広げてある。品のある薄紫に藤の織り模様が美しい。
「これなら男性物に仕立てても、不自然ないでしょうか」
「とてもすてきと思います。女性の柄を対丈で仕立てても、すてきな伊達男になるのです」
「伊達男……そういうものですかね」
 華やかな女柄に比べて、男物は何かと地味になりやすい。好みの柄を探すのは、楽しいけれど難しいのだ。
「観雪はどれがすきですか? さんごの色がさいしんりゅうこうときいたのです」
 きらきら、瞳を輝かせ。ウェリナはまだ幼くとも未来のレディ、おしゃれが気になるお年頃。
「ええと……珊瑚色は、こんな色です。でも、ウェリナさまのお好きな色が、ウェリナさまに一番似合う色と思うのですよ」
 観雪が示すオレンジ色にも似た珊瑚色は、ピンクとオレンジの中間のような柔らかな色だ。色にしては愛らしくとも、仕立ててしまうと少しだけウェリナには大人っぽいかもしれないけれど。
「りゅうこうはとりいれて、ながされないのがいいおんな、とご本にかいてあったのです」
「取り入れて、流されない。装いは難しいのです」
「あ、ピエールとおそろいするです!」
 ふと目に付いた細工物の棚に、摘まみ細工の簪と櫛を見つけてウェリナが走って行く。お店は走ったらいけませんーっと追いかけていく深雪、おやおや転ばないようにと微笑ましく見守る紫衣。
 探していたのは白絹の鱗紋。伝統的な色柄も、探そうとすると見つからないものだけれど。運良く棚の奥に仕舞われていた布を発見できた。華やかな色ものに紛れ、奥に入ってしまったようだ。
 採寸を終えた紫衣は、季節外れの花細工の簪を選びながら。
「お目当ては買えましたか?」
「リナはくしをかったのです。ピエールとおそろいするのです」
「羽織を仕立てていただきます。お花の模様がきれいなのです!」
 元気な二人の少年少女のお返事に、保護者兼引率役の気分もしてきた。
「おだんご、おだんごたべたいです。おしょうゆのあまいのがリナはすきです」
「そうですね。一休みしてから帰りましょうか」
「おみせのおれい、観雪にもごちそうするのです!」
「お仕事でおつかれなのに、その、ありがとうございます。わたくしは粒あんが好きです」
 迷子にならないように、二人を連れて紫衣は甘味処を目指すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

泉宮・瑠碧
ばぁげん…
うん、えぇと…あの中に入る勇気は無いな…
眺めているだけでも楽しいから
僕は人の少なそうな所で反物を見るか

お買い得や注目の品の区画で無ければ
人々の熱気も多少は和らぐだろう

見るのは好きだが
自分が、となるとよく分からないし、華美は恥ずかしく…
そもそも僕が着るのは布が可哀想な気も…

とはいえ、この世界の反物は好きだ
花鳥や自然は僕も好きだからな

目についた反物をそっと
…この、肩と裾に模様のある絵羽つけ下げ?は良いな
模様が控えめなのが好きだ
人の目が無いのを確認してから肩に当ててみて
心の中でこっそり反物に謝ろう
…私には分不相応だったら、ごめんね

仕立ては此処でお願いするが…和装には他にも用意が必要そうだな



 率直な思いは『あの人混みにまざるのこわい』。瑠碧はそっと距離をとる。
 興味はあるものの、お買い得品の棚も新作の棚も、どれも意気込みと熱気にあふれる男女の押し合いへし合い、慣れぬ己が混ざってはなんだか怖いことになりそうで。
 人の少ない棚にはひっそりと、他の棚よりも上等な品が並んでいるようだ。金糸銀糸の刺繍で埋まった深い緋色の打掛は花嫁衣装だろうか。あの鳥は確か、何かの文献で読んだことがある。千年も生きるという伝説の不死の鳥、めでたい席で花嫁が着るもの。
「……僕には」
 憧れるけれど、美しすぎて、まぶしくて、まだ早すぎる。
 だけど視界を埋める華やかな衣装の数々は、目に楽しく心は静かに踊る。
 浅黄色の菱文に蘇芳の七宝文様は、仕立てたなら少し地味だろうか。それならば春の花柄、桜や牡丹、御所車や扇の柄――襟を合わせて鏡に映してみては、瑠碧は僅かに頬を染めた。
 華やかな衣装は、あまり着たことがないけれど、知る人があまりいないこんな所ならば、いくらでも合わせてみられる。こんな衣装が一枚でもあって、いいのではないか。
「わ……」
 店の最も奥に辿り着けば、女将が表の対応を終えて戻ってきた所。気恥ずかしそうな瑠碧に、一枚の反物を勧めてみせた。それは見事な染め織りで、シンプルながらに若い女性らしい蝶の柄が刺繍されている。
 これに……決めた。サムライエンパイアの衣装は独特で、普段着ている物とは随分違う。
 綺麗に装うには、練習も必要かも知れないけれど。それもまた楽しい気がした。

成功 🔵​🔵​🔴​

リティ・オールドヴァルト
【宴。】
はいっ、ぷりんのおうじさまですっ
お礼をいいきょろきょろ
布に絵がかいてあるのです
ぼくもがんばって探すのですっ
気合い入れ素早く売場へ飛込み反物抱え

きょうにいさまの
夜空を写したような布なのです
これでワンピースとか涼しそうなのですっ
トラゴスにいさまっ
ぼくおはな好きですっ!
セレネねえさまのは春の草原
二人ので着物と帯にしたら素敵かもっ
みんなすごいのです
かわいいのですっ
目きらきら

ぼくが選んだのは
きょうにいさまっ
裏と表が違うのですっ
情熱の赤の内に静かな決意の雪なのです
トラゴスにいさまには黒地に金の昇り龍
金の吹雪でシックゴージャスなのですっ
セレネねえさまは空色
しゃわしゃわした布にお花がさいてるのですっ


トラゴス・ファンレイン
【宴。】で参加
合流して反物選びに参加。気合いで確保や!

リティちゃんお疲れさん。怪我無いか?

しかし数が多いなあ。せや、せっかく皆で来たし反物の選び合いでも……って皆俺の好みわかりすぎやない?
かがみんのは見るからにギラギラに派手でええ感じやし、リティちゃんのはシックやのにゴージャスでグッとくるし、セレネちゃんのは紅に虎模様とかクールでカッコええし。俺も負けてられんわ。

ほい、かがみんには黒地に赤と金が織り込んであるやつ。髪の色に合うと思うんやけど。リティちゃんには白地に綺麗な花刺繍や、お目目の藍色がよう映えるで。セレネちゃんはピンクな、金糸銀糸も入って夢みたいな色。女神様はやっぱ輝いてナンボやろ?


セレネ・リノークス
【宴。】で参加、合流して反物選び!穴場探しは得意だよ!
お疲れ様!無事でよかったよー。

わぁ!選んでくれた生地、全部ステキだね!
香神乃さんの、月が入ってて模様もすごい綺麗!リティさんのはしゃわしゃわしてて可愛い…!トラゴスさんのもキラキラしてる!すごいねこの色…!
全部絶対ボクに似合う!選んでくれてありがとー!

ボクも皆に似合う物選び頑張ってみるね!色々あって迷うなぁ。
香神乃さんは黒地に赤い炎模様のとかカッコイイと思うんだけど、どうかな?
リティさんは空色に薄緑のグラデーションが入った生地とか綺麗で可愛いと思うなー!
トラゴスさんは深紅の生地に金色と黒の虎模様入ってるやつ!やっぱりゴージャスなのがいいよ!


香神乃・饗
【宴。】4人参加
ヴァルトさんプリン退治お疲れさまっす!
合流し反物選ぶっす
自慢の早さで奪取るっす

ヴァルトさんこれどうっすか
瞳にあわせた晴れた空の藍染反物
天の河の波、星やクローバーが白く抜かれてるっす
色白っすからどれも似合うっす

セレネ神は月の神様っすから
神聖っぽい光に翳すと柄が浮かぶ白布や
夜空の藍染めに雲の海の上に月と花が抜かれた物はどうっすか
いよっ美神っす!

兄貴にはゴージャスなのどうっすか
動物柄もいいっす
この黄金色に格子柄の地柄の反物で鷲がばっさーっしてる奴いいんじゃないっすか

兄貴は顔に書いてないっすか
って、俺の好みもなんで解ったっすか
表裏に仕込むの好きっす
この熱さも好きっす
派手目なのも好きっす



「「「ぷりん退治お疲れ様(さん)(さまっす!)!!!」」」
「ありがとうなのです」
 ちっちゃなリティを囲むのは、おっきなお兄さんお姉さんたち。ぷりんじゃなくてハニワプリンスということは、もうこの際、骸の海の波打ち際にそっと流して送ってしまおう。
「バーゲンにゃ気合い。気合いで確保や!」
 トラゴス・ファンレイン(エスケープゴート・f09417)。気合いが決まればだいたい世間はなんとかなる。キマフュー生まれのイケてるお兄さん。
「穴場探しは得意だよ、任せて!」
 セレネ・リノークス(電子の海の小さな聖者・f12480)がふっと笑う。その鋭い目は鷹のように、獲物という名のお買い得品を狙っていたりいなかったり。
「自慢の早さで奪取るっす。容赦はしないっすよ」
 香神乃・饗(東風・f00169)は胸を張り、笑えば八重歯がきらりと光る。
 なんて、各々各人に似合う反物を選びに来たのだ。
 自分で自分を彩ることは常にあっても、友人が見立てる自分の色柄はどんなものだろう? 友は勧めた色柄を気に入ってくれるだろうか? 皆で選びあうなんて、自分で選ぶより楽しいかも知れない。

「皆、俺の好みわかりすぎやない?」
 トラゴスのもとに集められたのは、目にも鮮やかな極彩色と大ぶりの柄もの。190センチの長身に分厚い胸板、堂々たる体躯はサムライエンパイアには珍しく、存在感のある柄が集まるのも自然なこと。
 リティが両手に抱えるのは黒地に金の豪奢な物。昇り龍に金の花吹雪でシックかつゴージャス。深い緋色に金銀の虎が猛るセレネの差し出す金襴。金地に黒格子、鷲が羽ばたく豪華な刺繍は饗が自信たっぷりに選んだもの。
 全体的に見て金色でゴージャスでアニマル。こんな派手目な柄を好み、かつ大胆に着こなせるのがトラゴスだと全員が知っている。
「ゴージャスでシックでカッコええし、どれもグッとくるわ。俺も負けてられんわ」
 真夏の太陽のように笑うトラゴスは、次は自分の番だとばかりに腕をまくった。

「もう……全部、ステキだね!」
 セレネは鏡の前で一回り。楽しくて仕方がないというふうに。
 梅花のピンクの濃淡に金糸銀糸の蝶が舞うトラゴスのとっておきは、女の子の憧れを詰めたような色。月の女神の名の如く藍染めの空に天の川、月花の透かし織りも淑やかな饗の選択。リティが選んだのは柔らかな草色、しゃわしゃわした花模様は絞り染めという技法だが、難しいことは横に置く。
 年頃の女性であるセレネにとって、ふわふわなフリルやレースもいいけれど、レトロな衣装だって何枚でも欲しい。
「ワンピースに仕立てても可愛いし、選びきれないよ!」
 嬉しい悲鳴とはこういうことだろう。セレネもまた、仲間の見立てを再開する。

「って、俺の好みもなんで解ったっすか」
 トラゴスに次いで分かりやすい饗の好みは熱さと迫力。
 セレネの見立ては黒地に燃える炎の紅、着流しもいいがジャケットに仕立てても迫力の柄。光の当たり具合で黒地に赤と金が揺らぐ織りはトラゴスの見立てだ。シックな中にも華やかな織り模様が心を掴みにくる。リティが選び出したのは真紅の織り、裏を返せば雪の白、粋な織り柄はめったにない。
「なんで解ったっすか……!」
 どうしてここまで好みがわかったのか、饗は頭を抱えてしまう。この中から選ぶなんてどうしたらいいのか。

「みんなすごいのです。かわいいのですっ」
 藍色の瞳をきらきらさせて、仕事を終えたリティは頬に手をやる。なんだか心がくすぐったくて。
 饗が持ってきたのはリティの瞳に似た藍染めの夜空、流れる星の河に三日月と細い雲が浮かぶ。同じ女性であるセレネが数ある中から選び出したのは、淡い空色地に緑の濃淡が美しい。大きな体のお兄さん、トラゴスが広げた白地の御所車、牡丹舞い散る図案は繊細で、着物にしても洋服にしてもリティの瞳が映える色合い。
「ぼくおはな好きですっ! にいさまもねえさまも、かわいくて、すごいのです……」
 こちらの反物を着物にして、こちらの布を帯にしたらなんて、夢が広がる。

 悩みに悩んで日は暮れる。
 帰る前にもう少し話したい、なんて。四人は各々包みを抱えて甘味処へ。
 あんみつお団子かすていら、あたたかなお茶でゆっくりと。
 明日はどこに遊びに行くかの話をしよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月08日


挿絵イラスト