9
煌めく雪華の日に

#エンドブレイカー! #お祭り2022 #クリスマス #永遠の森エルフヘイム #|星《スピカ》の煌めき

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#エンドブレイカー!
🔒
#お祭り2022
🔒
#クリスマス
🔒
#永遠の森エルフヘイム
#|星《スピカ》の煌めき


0




●都市国家に降り続く|雪華《せっか》
「あら、……貴方も"リヴァイアサン大祭"の話をどこかで聞いた人なのかしら」
 ジュウラ・ガイロストール(旋律の駆け手・f30194)はデモンの翼をたたむ。
「エンドブレイカーなら、知っているお祭りだもの。興味があるのよね」
 それは、永遠の森エルフヘイムで行われるちょっとしたお祭りだ。
 エルフヘイムは、世界創世の時より存在するという。
 およそ高さ数千mを誇る「巨大樹木群」を基に形成された都市国家だ。創世記の星霊建築によって"ドローリヴァイアサン"の内部に生えている為、巨大な姿へ至ったと伝えられているがその真偽は誰もわからない。
 なかでも1年に1度、12月24日だけ。
 その元となった『水の星霊リヴァイアサン』が 半実体化して上空を飛び回る日でもある。
「……すると何が起こるのか。いろいろよ、不思議なことが起こるの」
 ジュウラは語る。
 遠目には空を飛ぶ巨大な蛇(竜)にも見える姿が実体化している間は、雪が降り続き、泉は温泉に変わり、小川には甘い蜜が流れるのだと。
「……エルフヘイムのエルフ達は、そんな日をパートナーとのす絆を尊重し、静かに過ごして互いの絆を再確認する日としているのよ。一緒に、世界の平和を祈るの」
 仲間と、誰かと。
 リヴァイアサンが遠い空で見守っていてくれるから。
 今日を生き、明日を行きていこうと希望を抱く暖かな日とする。
「ところで貴方、キラキラ輝く雪の結晶は、好きかしら」
 ジュウラは問う。
 眠たそうな無表情な視線を、じっ、と向けながら。
「やや南方、闇夜の落ちるそんな時間帯のリヴァイアサンの丘と呼ばれる丘のその向こうの、森の中。ダイヤモンドダストによく似た、輝く雪が降り注ぐ場所があるの」
 一日中降り注ぎ続ける雪でも、その日その時刻にだけ、不思議な現象は引き起こるのだという。
「"|星《スピカ》の煌めき"と、人知れず呼ばれているそうなのだけど……雪の欠片は、願いや祈りを持つ者がキャッチすれば、溶けて消えたりしない、そうよ」
 本当かどうかは知らないけれど、とジュウラは小声で付け足して。
「雪の形なんて、同じ形はほぼありえないけれど……一緒に誰かとキャッチしたときだけ、"全く同一の形"が出来上がるらしいわ」
 ロマンチック、なのでしょう?と女はさらりと言ってのける。
「その欠片に、何を想うのも貴方の自由。お守りにするのも、思い出にするのも、自由よ」
 ただ一夜限りの、空から舞い降りるリヴァイアサンのおくりもの。そう語るエルフもいるらしい。
 エルフヘイムはエルフが住む都市ではあるが、伝承を信じるもの。噂を信じるもの、信じないもの様々で。
 小川の蜜を利用したパンケーキや、温泉へ姿を変えた泉で和気あいあいマイペースに過ごすなど、それぞれであり、様々だ。降り続く雪の中を、ただ自由に過ごしたり、一年日度だけ見えるリヴァイアサンに祈りを捧げたりと多種多様、色んな姿がある。
「貴方達の知る"クリスマス"によく似てるのではないかしら。自由気まま、好きに過ごすのが一番よ」
 冬の日であるのは変わりないのだから、温かい格好をして向かうといいのではないか。
 これまで一位年を、相手に振り返って語るのもいいだろう。
 ツリーハウスの宿だって、きっと手配が可能だ。
「……私はエンドブレイカーだから、リヴァイアサン大祭のほうが馴染み深くて"クリスマス"に馴染みが薄いのだけれど。似たような、もの、なのでしょう?」
 降り注ぐ雪に何を願う?
 捕まえた欠片に、何を想う?
 抱く願いも、思いも相手以外ならリヴァイアサンだけが――識るだろう。


タテガミ
 こんにちは、タテガミです。
 メリーリヴァイアサン。
 このシナリオは、一章のクリスマスシナリオです。

●概要
 時刻は闇夜の落ちるそんな時間帯の、森の中。
 降り続く雪を、願いや祈りの温かい気持ちを込めてキャッチすると、形に残ります。
 上位の水の上位星霊が空に存在する中で、氷を扱う星霊の悪戯と囁く声や、単純にリヴァイアサンが願いを祝福した贈り物かという噂話がある、そんな不思議な現象。
 "|星《スピカ》の煌めき"は不思議と熱を込めても溶けないし「永遠の森」の名に相応しい雪の欠片であることでしょう。もしも溶かそうと努力するなら、普通に溶けてなくなります。
 永遠って信じなくなるとなくなるものなのです。

●出来ること
 ・"|星《スピカ》の煌めき"という雪の欠片を捕まえる。
 ・ツリーハウスの宿で語らう(暖炉とかあるしあったかいよ!)。
 ・フラグメント通りの行動をする。
 宿でぬくぬくを選択される場合は、ぬくぬくする前に色々してきた(欠片を捕まえてきたとかパンケーキを持って部屋にやってきたとか、露天風呂な温泉入ってきたとか)さらっとでも書いてあれば反映に努めます。
 ・全力でぬくぬく女子会特化型!みたいな人はそれだけでも可能。公序良俗に反しない範囲で一位年の振り返りとか諸々を好きにどうぞ。プレイングに詰めて頂けますと幸いです。

●その他
 自由に過ごせる冬の日を想定しています。指定が無ければなるべく個別で、ゆっくりめの返却。
 想像を越えた事をすると採用できないことがありますので、ご注意頂けますと幸いです。世界観がよくわからなくても、大丈夫。問題有りません。
 このシナリオでは、タテガミの配下として活動するグリモア猟兵が暗躍・協賛しています。
 呼ばれた該当者のみ、ご一緒致します。
156




第1章 日常 『リヴァイアサン大祭』

POW   :    温泉に浸かりながらゆっくりする

SPD   :    お祭りの料理やお菓子を楽しむ

WIZ   :    大切な人との絆を確かめ合いながら過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エヴァンジェリ・マクダウェル
かるっち(f00684)同行希望

さむーい!誰だよ前開けた白衣と学生服なんてかっこで雪降る空間に来る奴は?知らんな
暗躍してるならきっといるはず…かるっちやーい!わぁいかるっちだぁぁあったかいぜ
ほらお仕事の時間だよ?私と遊ぶっていう最高優先度の仕事

久々に雪合戦しよーぜ、今度はかるっちも前見えなくなったりしてみようじゃないか。私はもちろん!全弾命中は任せろ
あ、私あれやりたい。ほら一緒にキャッチすると雪が同じ形になるってやつ
ほぉーん…?ほんとに同じ形だなぁ、きっと気の利く神様なんだな(適当
溶かそうとしたら溶ける…つまり食べてもだいじょぶだな(確信)
我が魂思い出と共にあり…食べてみていい?いいよな???



●永遠の森で今度は魂に刻む

「あーさむーいー!誰だよ前開けた白衣と学生服を私に着せたのー!ねえかるっちさむいー!」
 ゆらゆらと白衣の袖を遊ばせながら空裂・迦楼羅(|焔鳳《えんぽう》フライヤー・f00684)へと戯れにべちべち袖攻撃を加えるエヴァンジェリ・マクダウェル(鍵を持つ者・f02663)は寒いといいつつニコニコであった。
「こんなに深々と降り続いてる雪の中に、軽装で来たの誰?ハッ、知らんな」
「ちょっとエヴァちゃん自己解決しないで答えさせてよー」
「お!かるっち答えを知ってるのかさては天才だな?いやでもいい私は知ってる詳しいからな!」
 えっへんなんて腕を組んで仰け反るエヴァンジェリは当然知らない。知ったかぶりである。
 何を隠そう、自分の趣味の範囲の研究と称して引きこもることを近年の性分としているためだ。
「ほほう。じゃあ聞かせてもらいましょう!アタシを納得させてご覧なさいよ」
 雪降るエルフヘイムにおいて、二人の学生服を来た猟兵は自由人だった。
 温泉に目もくれず、甘味にも目もくれず。
 足が膝丈まですっかり埋まる誰も踏んでない雪を探して、テキトーに歩き続けて偶然にもリヴァイアサンの丘に迷い込んだのだ。
 二人からすれば、知らずの都市国家の散策も兼ねていた。
 ただ、それよりもお互いの会話に潜む"謎(中身がない)"を楽しむほうが面白くて何よりも注力していた。人混みを避けてただ丘へと迷い込んだのも、ナビゲート|力《りょく》もなく"なんとなく"だ。
「暗躍してるんだよ。隠れてる。だからな、だあれも居ない所までいけばきっといるはず……」
 エヴァンジェリ、渾身の推察。
 賢さだけは自身があるのだ。眼鏡なんて掛けてないのに眼鏡をかける動作で、口で囁く"きらーん"。
「しかしよく考えてほしいエヴァちゃん……此処、アタシしか居ないわ。つまり…………」
 ちゃんと清潔感プラスの白衣と、更にふわふわ羽毛付きコートを合わせたコーディネートを加えた雑ファッションセンスの誰か。
 ボロボロのマフラーと合わせて一年を通して殆ど変わらない姿をしてるわりに足を学生用ジャージでキめた女はバサリと炎の翼を誇らしげに広げた。
「さあ言い当ててみて!」
「当然かるっちだ、やーいやーいバレバレかるっちー!……えっ?やばわぁいかるっちだぁぁあったかいぜ!」
 さっきからずっといっしょに居た癖に今思い出したように飛びついてすりすり。
 いつもと同じ、メラメラ系手触りであった。
「思い出してみれば、なんか手元も温かい、と確認すれば手袋まで完備。おい誰だ用意したのは」
「さあ誰かしら。アタシもお揃い付けられてるから何もわからないわ!」
 じゃーん、なんて迦楼羅が見せてくる手袋は色違い。
 お揃いのお互いイメージカラーの逆を付く、一撃。お互いに効果は抜群でニコニコのやつである。
「ほぉら、じゃあお仕事の時間だよ?私と遊ぶっていう最高優先度の仕事」
「じゃあお仕事の時間よエヴァちゃん、アタシと遊ぶっていう陰キャ感をしばらく忘却する仕事」

 ざっ、と二人で距離を取る。
 足元の雪を同時にかき集め始める二人は、|冬の日《遊び》の案を一択に絞った。
「久々に雪合戦しよーぜ、今度はかるっちも前見えなくなったりしてみようじゃないか」
 ブラックタールの握る渾身の雪玉は、迦楼羅の身体に命中したが――それはブラフ。
 此処は在りし日の学生時代を思わせる|創作の夢の世界《ドリームランド》と仮定して、エヴァンジェリは研究の到達点を見せつける。
 創作上のナイトメアとして、雪に紛れた何かがぶつけた雪玉は直に顔面で被弾したが。
「顔面で受けるのはエヴァちゃんの特権でしょ!」
「そうとも言うけどまずはお気持ちで譲ってみた。てへぺろ」
 べしっと数弾の雪玉が追加されるが全て全弾が、トラウマ補正で正されて顔面に命中であった。
「も~~~~お返しは5倍でやるからそのつもりで居てよね!」
「え?いいよ喜んで。あ、私そういえばあれもやりたいから待って」
 雪合戦を半一方的に楽しんで、やりたい放題のエヴァンジェリは空高く、泳ぐ存在を見つけて上を指さした。
「ドローリヴァイアサン捕獲は無理じゃない?」
「違うってほら、一緒にキャッチすると雪が同じ形になるってやつ」
「あ~そっち?エヴァちゃんの野心はリヴァイアサンに乗りたいの方かと……じゃあ同時に行くわよ」
 迦楼羅の切り返しもまあまあ、早い。
 お互いがお互いを振り回すのが日常なので、じゃ次はこっちね、の一言で次の行動に切り替える。
「せーのっ!」
 どっちと言わずにキャッチした|星《スピカ》の欠片は大きめだった。
「どんなの捕まえたー?お、ふーんほぉーん?ほんとに同じ形だなぁ、きっと気の利く神様なんだな」
「記念品贈呈!って感じね、六芒星によく似てて、でもちょっと違って。綺麗で冒涜的な感じ!」
「それ褒めてる?でもちょっと冷たい!食べていい?」
 エヴァンジェリの明後日に向いた提案。
「とけないこおり、ではないそうだけど……」
「うん、だから溶かそうとすれば溶けるなら、……つまり食べてもだいじょぶだな!」
 謎の確信を並べ立て、食べていい?いいよな。
 フェティッシュに狂う女ではないが、エヴァンジェリは迦楼羅の静止をどこ吹く風で聞き流しもぐりと口に運んだ。
「うん。うん?冷たい氷味。別に溶かそうとか思ってないけど?」
「じゃあその心は」
「我が魂思い出と共に在り、ってことで一つ」
 正論と暴論は紙一重。
「じゃあアタシのはお家に飾っときましょ。エヴァちゃんと遊んだ記念!見るよう!」
「私のはお腹に保存用!」
 ほら、完璧だ。
 二人の自由すぎる猟兵の、不思議で不思議のリヴァイアサン大祭の夜はまだまだ続く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎
Wiz判定

地形を利用
氷の魔力を増幅させUC発動
氷光属性を防御力に付与

おなじ おなじ ゆきとほし
共に在らん。精霊の祈り

ぅふ ぅふふ うふふふふ
雪と星と寒さと…これ以上の夜はない☆

"煌めき"を捕える…というより戯れる

足場習熟悪路走破
積もった雪に足を取られず駆け回り
優しさ祈りダンス
くるくるダンスしながら六つの腕を広げて雪を受け取る…というよりはしゃぐ

きょうは とくべつなひ
祈りが、白い形になる日

無心にはしゃぎまわって手を見ると
五芒星の「星」
六芒星の「雪」
そして何やら白い結晶
きた… フロスフェリ

そっとがらんどうにしまい
落ち着いて静かに静かに祈る


陽環・柳火
・どこかクリスマスシナリオに参加できれば。イベントなどで楽しく飲み食いする感じで。みんなと混ざって騒いでも,賑やかな様子をつまみにしんみりと酒を飲む感じでもOK(身長は低いですが成人です)
・ボケかツッコミかで言えば,どちらかというとツッコミ寄り
・猫妖怪ゆえ,寒いのは好きではないですが,寒すぎれば自分で炎を出して暖を取ることも可能
・最後は平和な様子などを眺めて「さて。この光景を守る為にも,来年も頑張っか」みたいな感じで締め括っていただければ
・あとは公序良俗に反さない範囲でアドリブ等大丈夫ですので,よろしくお願いいたします



●祈りと、安らぎを

 ――かぽん、と済んだ音がとても心地いい。
 寒空のもと降り続ける雪は、空でリヴァイアサンが実体化している間、止むことはないのだと会話の流れで色んな場所で聞いた。事実なのだろう。
 真新しい雪は綺麗で、軽く、綿のよう。
 人肌に触れればスッ、と溶けて消えてしまう。
 降る雪は確かに"雪"だが幻想的な要素が強く、凍えさせてしまう要素は薄い。
「でもさあ案の定寒いんだよな~!でーもこれがあれば!」
 いい気分でぬくぬくと温泉で過ごしていた陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)はとっくりに頬ずりが止まらない。
 程よい暖かさのとっくりからはふわりと漂う優しい匂い。
 すでに喉を潤し、ごろごろしたい気持ちが急上昇中である。
 とっくりの中身は蜂蜜をとろりと混ぜ込んだ甘酒――ほんとうはエルフヘイムのエルフ一押しの蜂蜜酒を求めた柳火だったのだが、エルフ達たちが用意してくれたのは蜂蜜甘酒であった。
『今日ばかりはきっと甘い方が酔えますよ』
 にこりと笑みを受けたものだから、そういうものか、と蜂蜜甘酒で妥協したのである。
「アドバイス聞いて良かった~すげぇ甘さに酔えるわ~身に染みる~……うん?」
 猫妖怪ゆえにのんびりだらりと過ごしていたとき、パタパタと雪を踏むエルフではない存在を見つけた。
 誰かと過ごす予定を持つ人間のそれではないと、己の頭上の――自慢の猫耳が告げている。
 六腕の彼女は、きっと猟兵だ。しばらく彼女の様子を見つつ、雪見酒と洒落込もう。
 丁度いいところに、後で食べようと思っていた蜂蜜たっぷりとろおりのパンケーキもあることだし――。

「ふふ……」
 雪を踏みしめ、一歩ずつ。笑みを零しながら、祈るように踊りながら氷の力を高めて。
 足に、手に、空に――発動、トリニティ・エンハンス十二刻。
「きって、むすぶ。わけて、まぜる。時の刃が切り分けし渾沌の魔力、転輪せり」
 氷と光の属性をその身に宿した御堂・伽藍(がらんどう・f33020)は、雪と同じくらいの輝くを獲得したことだろう。
「おなじ おなじ ゆきとほし共に在らん。精霊の祈り」
 長い髪にもダイヤモンドダストのような輝きを灯して、伽藍は呟く。
「ぅふ ぅふふ うふふふふ。雪と星と寒さと……これ以上の夜はない☆」
 伽藍には悪路と呼べる路はなく、足元への認知も狂わない。
 降り続く雪に悪意もなく、輝く色は空にも多く見て取れた。
 まるで伽藍自身も"星"のひとつにでもなったかのよう。
 くるくると、六つの腕を広げて空のリヴァイアサンとダンスタイム。
 遠くの空の存在と、息を合わせて――優しさと祈り、輝ける雪と今年の自分に感謝を込めて。
 伽藍はその手に、何かが触れたのを感じて握り込む。
 捕まえよう、と思っていたわけではないのだが――空から雪を受け取るというより内側がはしゃぐよう。
「きょうは とくべつなひ。祈りが、白い形になる日」
 握った手の中に、何かを感じるその数は3。
 無心にはしゃぎ回って、一つずつ手を開く。
「これは五芒星の"星"」
 きらりと輝くそれは、唯一。
「そしてこれは、六芒星の"雪"」
 二つ目の手を開き、別の形がそこにあることを認めて、最後の手をゆっくりと開く。
 なにやら白い結晶が、そこにあった。
「きた……フロスフェリ」
 待ち望んだ願いの形。
 願いと祈りに形を求めた、形でもある。
 伽藍は、そっと"がらんどう"にしまい、落ち着いて静かに静かに祈りの時間に戻っていく。
 氷の輝きは祈りに。寒さも祈りに。雪も祈りに。
 軽やかに跳ねる足は、踊り足りないと踊る足を止めそうにない。
 むぐ、と最後のパンケーキを食べ終わり、蜂蜜甘酒をごくり。
 良い眺めじゃん、と雰囲気を楽しみながら、口の端をひとなめ。
「おー……そういえばこの温泉は、リヴァイアサンの丘ノムコウがよく見えるってお墨付き貰ってたじゃん」
 柳火は、"|星《スピカ》の煌めき"が降る森がよく見えるところだった、と尾をゆらっと揺らす。
 じゃあ手を伸ばしたなら、掴めてしまうのだろうか。
 まさかな、と思いつつも伸ばした手に、何か握り込めた感触がある。
「温泉であったかでもお構いなしって?」
 握り込んだ雪の欠片は溶ける様子がなかった。それは小さな六角柱。
 広幅六花(ひろはばろっか)と呼ばれる、雪の結晶でもある。
 透かしてみればキラキラと、氷である証をまざまざと見せつけてくる。
「この光景を守る為にも、来年も頑張っか」
 ――空からの贈り物、俺らへの頑張れって気持ちかも知れねーし!
 まずは手始めに、いい加減封じていた気分に火を焚べよう。
「おい、いい加減見ててが寒い!温泉でもどーだあったけぇぞ、ぬくぬくしまくり俺のお墨付きだ!」
「……あら」
 小柄な僵尸はゆるりと、振り返りそれもそうね、と返事するかもしれない。
 祈りの時間はまた後で。今日この日の出会いを理由に、"がろんどう"にぬくもりを受け入れてもいいかもしれないと少女が思ったかどうかは、わからない。
 そんな二人の会話が始まったころ、リヴァイアサンがひゅーと空遠くを泳いで遠くへ飛んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディルアーク・クライン
グレナダさん(f39005)と

我らが故郷ランスブルグとはまた違った趣で、エルフヘイムも良い処ですね
まあまあ、どうせ呑むなら呑むで二人が良いでしょう
文句はそこまでにして折角ですから、楽しみませんか
グレナダさんだって人の心があれば多少は何かあるでしょう
…無い?そんな…僕は悲しくて涙が出てきました…
※嘘泣き

大の男二人が並んで雪を見上げるというのは、どうにも絵にならない
それは分かっていても、どうしても君と二人でここに来たかった
家族が多い君がうらやましい時がある、僕はいわゆる天涯孤独の身だから
契約の関係でも良い、願わくば末永く僕の隣に居てくれませんか

星の煌めきの形はお任せ
せっかくなので溶かさずにおく


グレナダ・ランバート
ディル(f38905)と

何が悲しくて野郎二人でリヴァイアサン大祭過ごさにゃならねぇんだ
…まあ、一人酒場で呑んだくれるのもお互い不本意だし、仕方ねぇか
で、何だ?温かい気持ちで雪を掴め?
…お前なあ、俺がそんなキャラに見え
あああああ分かった分かった、付き合う!泣くな!

天を見上げて降ってくる雪を眺めると、そう悪くない気分になる
自分ではできないことがあるとすぐ頼ってくるしょうもないスカードは
俺に何を期待して、雪に何を願って受け止めるのか、興味がある
俺は――まあ、こいつを守る役目が一応あるっちゃあるからな
こいつを置いて死なないようにせいぜい頑張る、って所か

星の煌めきの形はお任せ
せっかくなので溶かさずにおく



●さあ誓いの更新を

 寒空を泳ぐドローリヴァイアサンは今年も、存在する。
 存在するゆえに今日の雪は終わらない。
 日々積み上がり続けるエルフヘイムの歴史を思えば、変わらぬ永遠の森の様相だ。
 男はフフ、と面白がって笑いそして次に思ったことを口にする。
「我らが故郷ランスブルグとはまた違った趣で、エルフヘイムも良い処ですね」
 ディルアーク・クライン(|破軍星《ベネトナシュ》・f38905)は、ランスブルグの第二層"鉄壁街"を思えばだいぶ違うというのだ。
 ランスブルグにも当然四季はあるが、山のような多層構造上の都市国家であるがゆえに冬は山風が強く厳しい。
 雪も多く振り、学者たちの足を想像以上に停める荒々しい予測不能の状態によくされたもの。
 しかしエルフヘイムは少し違う。
 穏やかな気候と、優しい雪は――暖かさがある。
「……何が悲しくて野郎二人でリヴァイアサン大祭過ごさにゃならねぇんだ」
 はーー、っとグレナダ・ランバート(|北極星《ポラリス》・f39005)は肩を竦める。
 絆を確かめるだとか、深めるだとか再確認するだとかの"毎年ある日"であるものの。
 そういうのはふつー、男女だろ、という気配がグレナダの返事には溢れていた。
「まあまあ、どうせ呑むなら呑むで二人が良いでしょう」
「……まあ、一人酒場で呑んだくれるのもお互い不本意だし、仕方ねぇか」
 リヴァイアサン大祭で一人酒場で飲み明かすなんて、似た者同士な奴らが集まってくる奴だ。
 傷の舐め合いというのはどこにでもあるが、俺はそういう気分じゃないとはグレナダ談。
「文句はそこまでにして折角ですから、楽しみませんか?大祭を楽しまないのは損ですよ」
 今日はそういう日なんですから。あれ?知ってますよね?
「あーなんだっつったか。温かい気持ちで雪を掴めとかなんとか?」
「グレナダさんだって人の心があれば、多少は何かあるでしょう」
 掴んだ時に見える景色とか、信じてるんですけど如何ですか。
 ディルアークの期待に、グレナダはどこ吹く風と視線を明後日の方向へ。
「……お前なあ、俺がそんなキャラに見え」
「……無い?そんな……僕は悲しくて涙が出てきました……」
 うぅう、と眼鏡の上から顔を隠して嘘泣きを。
 もう一度言おう。嘘泣きを。ずずず、と鼻水すする音もつける計画的犯行である。
「……あああああ分かった分かった、付き合う!泣くな!」
 隠れた顔はニヤリと笑う。作戦通り。
「ありがとうございます。では、目的地まで行きましょう」
「おい泣いて」
「なんのことだか」
 己の調子を崩された、とグレナダが理解した頃にはもう遅い。

 肩に乗った雪を軽く叩きつつ、揃って天を見上げて降り続ける雪を眺める。
 そう悪いものではないな、と思える純白無垢の色が踊っていた。

 しかし、傍からこの状況は不可思議だろう。
 大の男二人が並んで雪を見上げているだなんて。
 ――どうにも、絵にならない。
 ディルアークはもちろん、グレナダもわかっている。
 ちら、と視線を送り会話の口火を開けと促す。
 ――俺に何を期待して、雪に何を願って受け止めるのか、興味がある。
「……自分ではできないことがあると、すぐ頼ってくるしょうもないスカードは誰だったか」
「分かっていても、どうしても|ガーディアン《君》と二人でここに来たかった」
 二人は深くを語らずだ。スカードとガーディアン、そうなった最初を。
 でも今更の話だ。その事は二人だけが心に留めておくのがいい。
「ふーん?続けて」
「家族が多い君がうらやましい時がある、僕はいわゆる天涯孤独の身だから」
 絆を深める日、だとしても和気あいあいを語れる相手がもとから居ない場合は話が異なる。
 その傷だけは、見せる相手を選ぶもの。
「今は君が居ますよ。だから、此処に来れて良かったです」
「まあ、――守る役目が一応あるっちゃあるからな、天涯孤独は"過去"の話だろ」
 導かれるように手を伸ばし、そして|星《スピカ》の煌めきをディルアークは掴む。
 ――契約の関係でも良いんですよ、願わくば末永く僕の隣に居てくれませんか。
 グレナダもまた、人の心を持つ努力の天誓騎士なれば。
 ――こいつを置いて死なないようにせいぜい頑張る、って所だ。
 これからの願いを自分に重ねて、護る男であろうと"努力"することだろう。
 いつの間にかその手には|星《スピカ》の煌めきが収まっている。
 捕まえた覚えはないが、空のリヴァイアサンは見ているということか――手の内に直接贈られたのだろうか。
「……あ?」
 大きめの樹枝六花(じゅしろっか)に、もう一つ小さな樹枝六花がくっついた欠片だ。
 欠片は青っぽく透き通っていて、形状としてはアクセサリーに向く小柄さ。
 二人の手のひらにあるのは見比べても――"全く同一"のように見える。
「おや、願いの形まで一緒でした?」
「気が済んだだろ、よし飲みに行くぞ」
 せっかくだから溶かさずにいよう。
 欠片を見る度、今日という日を思い出すのだろうか。
 酒場の片隅で唯一無二の|星《スピカ》を灯す、鮮やかな者たちに今宵、祝福と――乾杯を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【狼兎】
服装参照:南瓜2021SD
ケセランパサラン仕様が温かいので冬服としても活用

溶けて消えない雪の結晶だって
絶対一緒に取ろうね!

雰囲気的には静かに過ごす方が合うんだろうけど
綺麗なものは見るのも触れるのもワクワクしちゃう

こういう時は飛ばずにちゃんと歩きたいから
歩幅の違いで追いかける形になっちゃうけど
宗田は合わせてくれるから
ちょっと素直じゃないだけで

寒いわけじゃないけれど
くしゅんと小さくくしゃみをすれば
途端に巻かれる黒いマフラー

う、今のは違うのに…
でもありがとう

降り注ぐ雪の美しさに暫し見惚れ
宗田とせーので手に取れば
生まれた形に感嘆のため息
お揃いだねと微笑んで
だけどもう少しだけ、この時間を一緒に


紫崎・宗田
【狼兎】
服装:暗色の長袖長ズボンに黒いロングコート

へいへい
付き合ってはやるが、風邪だけは引くなよ

瞳を輝かせる澪の頭を
黒手袋をした手でぽんぽんと軽く叩く
温かい飲み物くらいは用意出来るだろうか
澪には甘いココアか紅茶を
自分用にはブラックのコーヒーを

一通り準備を済ませたら
澪の手を引いて森へと向かう
さり気なく歩幅を合わせ
聞こえたくしゃみにマフラーを(強制的に)巻いて

お前は自己管理下手くそだからな

降り注ぐ雪を片手でそっと掬い取る
俺は澪ほど純粋ではないし
景色に感動するほどの感受性も持ち合わせちゃいない
が、綺麗だというのはわかるから
澪の微笑みにそうだな、と返し
宿に向かうまでもう少し
空を見上げながらのんびりと



●ハニーなココアは君のために
 ふわふわと、柔らかくて形の大きな雪が視界いっぱいに降りてくる。
 永遠の森エルフヘイムは真新しい雪がどこもかしこも敷き詰められたように、溢れていた。
 森の木々に大量の雪が乗っかってまるで別世界が生まれている。
 凍りついた樹氷の森とは異なって、決して凍っていない様相はどうにも不思議であった。
 大本は大気に働きかけた星霊の力であるからこそ、しばらく雨と同じように降り続け、この場所に留まって。
 時間経過でただ、消えていくのかもしれない。語らう、想う。ただそんな日であれと、人々を雪で足止めし、心と向き合う時間を作れるようリヴァイアサンが望むかのように。
「はー」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は手元に息を、当てて涼やかな外の空気にほんの少しの優しさを。
 ケセランパサラン仕様のふわふわ衣装は、冬服としてもバッチリな暖かさを誇った。
 でも、ふわふわな仕様でも寒いものは寒いのだ。
「溶けて消えない雪の結晶だって!絶対一緒に取ろうね、思い出になるよ絶対!」
「へいへい。付き合ってはやるが、風邪だけは引くなよ」
「大丈夫だよ~」
 暗色の長袖に、長ズボン。
 相応の冬の装いで訪れた紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)は、ロングコートを着込んでいた。
 景色は綺麗。しかし、雪は雪だ。
 寒空にきちんと暖かな格好をするのが普通、というものだ。
「手。冷たいんだろ」
 黒手袋をした手で、きゅと澪の手と握り、そっと握ったぶんのぬくもりをわける。
「あ!」
「甘いココア。寒い時にはリヴァイアサン大祭特有の、蜂蜜入り甘いのがいいって、エルフの人たちに推されてな」
 宗田から渡されたのは、ぬくもりの正体――暖かなカップであった。
「飲んでから行くのだって遅くない。……だろ?」
 こくこくと頷いた澪の瞳がキラキラと雪を写して輝いていた。
 あまいあまい、暖かさに微笑みが溶けてかえしてしまう。
 いつのまに。ほんと準備いいんだから、なんて言ってはあげないけれど。
「そうだね、まずは温まってから」
「よしよし、じゃあ俺も」
 自分用には砂糖のサの字も無いような、ブラックコーヒーを一口。
 これまた熱々で、長いかもしれない夜を"自分"は起きて手を引いてくか。
 無意識に、澪の頭をぽんぽんと軽く叩いて。"なんでもない時間"を、過ごす――。


 澪の手を引いて聞いた丘の方へ足を向ければ、雪のせいか辺り一面どこまでも静かで。
 誰も歩いていない雪の路を、作りながら歩くそんな世界が広がっていた。
 夜闇が近づくこともあって、辺りは静か。音という音は遠くのものだ。
 エルフたちの賑やかな祭りへの出店も興味を唆られたものだが、こうして"ふたりだけ"の時間を選ぶものたちだって少なくない。
「綺麗かな~、綺麗だよね!」
 手に出来たらどんな気持ちになれるかな、と澪は考えるだけで胸が踊った。
 だって今日は一人じゃない。
 見たさに気持ちがやや逸るものだが、こういうときは翼任せに飛んではいかないのが嗜みだ。
 背丈の違いがあるぶん、澪は必然と追いかける形になるのだが――どうしてか、遠く離れすぎることも。
 背中を追いかけるだけになることも、ない。手が繋げる、顔がお互い見える距離感が変わらない。
「――宗田は、歩幅を合わせてくれるからね」
「さあ、どうだかな」
 さり気なく合わせた気遣いは、決してちょっと素直とはいい難い。
 でもわかっているから、追求も追撃もしない。
「……くしゅん」
 芯が凍るほど寒い、とは思っていなかったのだが澪は不意に小さなクシャミをひとつ。
「……!」
 聞こえたくしゃみに、首元へくるりと回す宗田の黒いマフラー。
 半ば強制的に、暖かさを追加だ。
「お前は自己管理下手くそだからなあ、そんなこったろうと思ったんだ」
「う、今のは違うのに……でも、うん。ありがとう」
 真っ白衣装に真っ黒なマフラーは、なんだか二倍温かい気持ちを呼び起こすかのよう。
「んで、このあたりが聞いた地点だな。つーか」
 降り注ぐ雪は壮大なほどに広がる空からこれでもかと、降りてきていた。
 ツリーハウス郡からは此処は遠い。
 拓けた空から、大量の雪が終わること無く降る様子に澪は暫く見惚れて。
「……一緒に、だったか?」
「そうだよ?じゃあ、せーのっ」
 ぱし、と思い思いの雪を捕まえた。
 澪はジャンプしてキャッチの姿勢を。
 宗田は、片手でそっと掬い取るように。
 二人の手のひらの中で、"|星《スピカ》の煌めき"は輝ける小さな星のような形で生まれた。
 標準的な雪の結晶として知られるものとはやや異なる――"星型"にとても近い。
 光や見る角度からで、青にもそれ以外にも見える欠片であった。
 ――へえ、本当に同じ形だ。
 宗田は澪ほど純粋ではないと自覚がある――景色への意識も感動も、人並みだ、と思う。
 だが、強大な力で作られた幻想的な景色に"綺麗"という言葉が似合うのもわかる。
「ほわあ……お揃いだね」
「そうだな」
 宿に向かうまで暫し|空《雪》と静寂の中、君と何気ない話をしていよう。
 暖かな気持ちを胸に、もう暫くはふたりのままで、明日やそれより向こうの話をしよう。
 今年の思い出を語らいながら、来年に向けて――また新しい絆を育てながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

吉備・狐珀
樹神殿(f01328)と
メリークリスマスです!
フィッダ殿、森へ星の煌めきを掴みにいきませんか?
「お二人と沢山遊べますように」
「お二人が危険な目にあったり怪我をしたりしませんように」
そして
「このご縁が末永く続きますように」
掌にころんと転がるシマエナガ型の星の煌めき
おそろいですね、なんて笑みがこぼれてしまう
お互いの星の煌めきを見せ合いはしゃいでいたけれど
体がすっかり冷えてしまっていることに気が付いて
それに小腹もすいてきたかも

パンケーキ良いですね!
行きましょう、行きましょうと大賛成
パンケーキを食べながら、星の煌めきの加工の話や仮装の話をする時間がとても心地よくて

また三人で遊びにこれるといいな


樹神・桜雪
吉備(f17210)と。 星の煌めきを捕まえに。 メリークリスマス。 ええと、フィッダ、いる?三人一緒に過ごしたいねって吉備と話していたんだ。 一緒にいかない?きっと楽しい。 星の煌めきは願いを込めてキャッチすれば良いんだよね。 「この優しい関係がこれからも続きますように」と願いと祈りを込めて。 捕まえた煌めきはシマエナガ型。 まるでシマエナガに惹かれて出会ったボクたちみたい。 2人はどうだったのかな。一緒だといいな。
森を駆け巡ったからか、お腹空いちゃった。 ツリーハウスでパンケーキ食べられるんだっけ?
ゆっくり食べながら沢山思い出を話したいね。
仮装とか、もしもを想像した話しとか、いろいろ



●おいでよ|島柄長《シマエナガ》の会

「メリークリスマスです!」
「フィッダ、いま暇?星の煌めきを捕まえに行こうよ」
 ぼんやりと、冬を被りながらリヴァイアサン大祭を眺めていたバス停の姿は永遠の森エルフヘイムの中でも目立っていた。
 フィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)は"食用の甘い蜜がひとりでに流れる小川"を眺めていたのだが。大祭そっちのけに熱心に小川の蜜を見ている様は、そのうちダイビングを決め混みそうな顔とも言えた。
「まりーくりすます、ふたりとも。ええと、うん。ひまだ」
 吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)と樹神・桜雪(追憶の不断桜・f01328)に気がついて、フィッダは軽く雪を払う。
 一体何時間ぼんやり凝視していたのかと疑問が尽きないが、此処は一つ後の話に流してしまおう。
「"|星《スピカ》の煌めき"を掴みに、さあいざ、いざ!」
 三人で一緒に過ごしたいね、と話していたと語る桜雪に、ニコニコ笑い相槌を打つ狐珀。
「此処の森は深くて暗いぞ。事前に下調べした俺様が案内するわ。なあに"俺が路を迷う"ものか」
 ま、誰かとなら俺様も楽しそうだと思ッてただけだが、とは本人談。
 リヴァイアサンの丘を超えて、森へ至る頃には雪は全員の足首をすっぽり埋めてしまう程の深度を誇った。
 ふわふわと、それこそ何かを思い出す感じで、冷たい反面悪い気はしなかったが。
「俺様豆知識、|星《スピカ》とは……この世界における星霊スピカになぞらえて伝わッてるそうだぜ?スピカはな、光の紋章、象徴ともいう。星の煌めきも、光の差し込みで夜や昼で見せる色が違うんだッてよ」
 得意げに語るフィッダは饒舌にお喋りだった。
 キレイなものの正体を調べあげた分、誰かに話したかったのだろう。
「へえ……じゃあ煌めきっていうのは、そういう意味なんだ」
「願いと祈りへ光の返礼で応える、という奴なのでしょうか」
 不思議な話だと首を傾げながら、しかしやってきたからには実物を拝もうじゃないか、と話はだんだん色を帯びで膨らんでいく。
 願いながら、掴むと不思議なことが起こるとのことだから。
 さっそく"空へ"願って見よう。
「お二人とたくさん遊べますように」
 それから、狐珀は目を細めて二人を見遣って。
「お二人が危険な目にあったり怪我をしたりしませんように」
 祈りを力に、神秘な力を優しさに換えて日々を過ごす狐珀は、願いを束ねて言霊に乗せる。
 ときおり選ぶ手段に自己犠牲を厭わないタイプの二人だ。たくさん祈って、願っておきましょう。
 かしこみかしこみ、申しましょう。
「このご縁が末永く続きますように」
「この優しい関係がこれからも続きますように、だよ」
 桜雪と狐珀の手元でころりと煌めく形は、シマエナガ型。
 今も尚ふわりと長く靡く白い翼のようなマフラーを揺らす桜雪は言葉の通り飛ぶように願いの欠片を捕まえた。
 マフラーを白き翼に換えて空を飛ぶ桜雪の本気度合いは、見る人によってはわかったはずだ。
 とても真剣に、そしてとても楽しく願いの欠片を拾いに空へ飛び出したのだと。
 雪の結晶らしく半分透明なのに、見慣れた姿が手元で輝く。
「フィッダ殿は?」「フィッダは?」
 声を揃えて尋ねられた時、フィッダが手元に見せてきたのも"シマエナガ"。
 三人揃ってお揃いの、煌めきを手にしていた。
「二人が路を迷いませんように」
 ま、俺様が手を貸したら、誰も知らねえ路でも迷いようがねえけど!と鼻高々に自慢気にする様子をみるに、彼もまたこれからが続くように願っているようである。
 祈りを込めて、願ったから――リヴァイアサンが聞き届けてくれた印。
 馴染みがあって、可愛いお揃いの印。
「これは相棒も、欲しがる可愛さかも――なんてね」
「今幻の桜雪の相棒が頭を突くイメージが過ッたわ。うわー桜雪浮気したー」
「してないしてない。え?してないけど。でも、可愛いのはイイことだからね」
「ええ。いいことです。見事におそろいすね、……ふふふ」
 なんて笑みが溢れた狐珀は、だいぶ冷たい空気に当たっていた事にはたと気がつくだろう。
「そろそろ寒さが身にしみるよね、フィッダも温かいとこ居たいでしょ?」
 寒いの嫌い、なんていつも言ってたはずだよね、と語れば凄い勢いでバス停は頷いた。
「小腹も空いてきましたね」
「あ、ツリーハウスでパンケーキ食べられるんだっけ?」
「仕方がないなあ、トクベツだぞ。パンケーキはな、蜂蜜とろりの甘々のやつだ。味も甘さも保証するし俺様が部屋借りてるとこあるから来ればいいよ」
 ――これは、間違いないですよ桜雪殿。
 ――うん、そうだね狐珀。これは……。
 二人が視線で会話する内容の行き着く先は下調べし、彼はで山ほどのパンケーキを平らげようとしていたに違いない、と。
「……なんだよ、甘々は友達と食べるほうが良いに決まッてるだろ」
「パンケーキ良いですね!行きましょう、行きましょう!」
 バス停の案内で暖かい場所へと場所を映す一行は、各々でもできたてパンケーキを購入した。
 案の定、フィッダのパンケーキだけ蜂蜜マシマシだったが、それはとてもご愛嬌。
 シマエナガの焼印をしゅー、と入れてもらった可愛らしいパンケーキがふんわり甘い匂いを部屋の中に満たすことだろう。

 リヴァイアサン大祭の夜はまだまだ終わらない。
 ツリーハウスの宿に集まって、此処から先はその後の話。
「そういえば、今年は色々ありましたね」
 もぐもぐ、とふんわりパンケーキを口に運びながら、あれこれと今年の頭から色々振り返る会。
「尋常じゃない数のシマエナガに埋もれたフィッダとかね」
「そんな事実はない。だがもふもふに埋もれるのは、稀な機会だぞ。桜雪も今度やれ」
「えー、フィッダを埋めるほうでいいよ」
「……狐珀ゥ?」
つい、と助けを求めるように送られる視線に、狐珀が返答した言葉は。
「私は桜雪殿とモフ埋め共犯者ですので、フィッダ殿を埋める方は譲らないというか……でもモフモフは素晴らしいことなので、場合によっては歓迎しますね」
「つまりだ、半端ねえ数のシマエナガ埋めに遭えるのは俺様の特権??」
「そうなるね」「はい」
「いやそんな特権いらねえけど?」
 もぐもぐと舌鼓を打つパンケーキの控えめな甘さ、蜂蜜の優しい甘さも暖かい。
「他にもシマエナガ案件の……」
「だいたい桜雪と狐珀が、倍増させてるやつだぞ。それ」
 シマエナガ談義はシマエナガを二人が呼べる総数ほどに盛り上がることだろう。
「星の煌めきを加工するのも自由らしいけど、どんな奴にしようね」
 色んな方向に伸びる話は、ふわふわと。
 白き毛玉の羽毛のように、広がり続ける。
「どんなやつも何も、揃いの首飾りでも何でも似合いそうなのがずるい奴だ。まあ、一番ずるいのは――」
 ふわ、とフィッダが広げたシマエナガパーカーの袖元。
「みんながエナガパーカー持ち寄ッてるトコ」
「だってねえ?」「ええ」
 仮装時の話し合いの楽しさも合わせればシマエナガの会には必要不可欠だと思ったのだ。
 パーカー、可愛いし。どれもこれもエナガ色で綺麗じゃないか。
「――また三人で遊びにこれるといいな」
 暖炉の暖かさに頬を温められながら、狐珀は呟いた。
 桜雪も、フィッダも同意をきっと示してくれるはず。
 賑やかに騒ぐ、三人もとい三羽のシマエナガのお喋りは満足するまで終わらない。すこし寝過ごしてしまったら――きっと、本物の"シマエナガ"が舞い降りて突き起こしてくれることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月31日


挿絵イラスト