10
雪花咲く

#アルダワ魔法学園 #お祭り2022 #クリスマス #北方帝国

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アルダワ魔法学園
🔒
#お祭り2022
🔒
#クリスマス
#北方帝国


0




●雪花の夜
 澄んだ白の結晶が、冴えた宵色の空を舞う。
 ひらり、ふわりと。音も無く舞い降りて。
 ふと頬を濡らす柔らかな冷たさに、漸く人々は顔を上げた。

 ――雪、
 気付けば、無意識に手のひらを伸ばしていた。
 天から降る冬の贈り物を受け止めようと。
 けれど、手に落ちた雪は見る間に泡となって融けてしまう。

 触れれば消える、雪の結晶。
 消える事無く此の手の中に留めておければ良いのに――。
 そんな風に、この地の誰かが思ったのだろうか。

●雪の宝石市
 魔導光に照らされたアルダワの夜景は、今宵も賑わいを見せていた。
 取り分けこの時季は、各地で様々な露天商が並ぶ通りへと変化する。

 場所は魔法学園からやや北、北方帝国にほど近い小さな街。
 この地の特産品として、雪の結晶を閉じ込めた魔導鉱石がある。
 それは『雪の宝石』と呼ばれ、様々な色形の宝石の中に、キラキラと雪の結晶が舞い踊るのだ。
 ある石は細やかな粉雪が降る、まるで小さなスノードームのような。
 またある石は大きな雪の結晶が寄り添うように揺れる、雪のハーバリウムのような。
 繊細に作られたそれらは、結晶の形も1つとして同じものは無い。

 年々この宝石の作り手も減っており、今ではこの時季の宝石市でしか目にする機会もなくなってしまったらしい。
 それでも、クリスマスが近くなると遠方から雪の宝石を見に来る人々も少なからず居るのだとか。

「……ひとつとして同じ結晶は無い。そう聞くと、自分の気に入りのものを見つけたくなってしまうな」
 そう小さく零した ノヴァ・フォルモント(月蝕・f32296)は集った面々に改めて向き直った。
 時季はクリスマス。今回の誘いはアルダワで開かれている宝石市だ。
 露天商が開かれるのは夜。
 ちょうど空から本物の雪も静かに降り始めている頃だろう。
 アルダワでも冬の夜は寒い。防寒対策は忘れずに、とノヴァはそっと一言添えて。

 誰かへの贈り物に、自分用に、ただ眺めるだけでも。

 ――永久に融けない雪の結晶を、君の手のひらに。


朧月
 こんにちは、朧月です。
 アルダワより雪の宝石市へのお誘いです。
 どうぞよろしくお願い致します。

●雪の宝石
 宝石の中に雪の結晶が舞う、魔導鉱石です。
 宝石の種類は現実にあるもの、創作。色形、なんでもOKです。
 特に指定がなければ丸い水晶のようなものになります。
 雪の結晶の形もご指定あればプレイングにてどうぞ。
 特になければ代表的な樹枝六花になります。

 原石はもちろん、その場でアクセサリーや小物に加工してもらう事も出来ます。
 贈り物に、自分用に、眺めるだけでも。
 お好きに雪降る夜の宝石市をお楽しみください。

 案内人のノヴァも宝石市をのんびり巡っています。
 お声掛け頂いた場合のみ、ご一緒させて頂きます。

●進行・プレイング受付について
 マスターページ、シナリオタグでご案内します。
 お手数ですが都度ご確認いただきますようお願いします。

●共同プレイングについて
 同伴者はご自身含めて3名様まで、でお願いします。
 【相手のお名前(ID)】or【グループ名】をご明記ください。
 送信日は可能な限り揃えていただけると助かります。

●再送について
 ご参加人数によっては再送をお願いする可能性があります。
 再送対応OKだよ、という方はプレイング冒頭に◎を記述してください。
 プレイングが戻ってきた際には同日24時までに再送をお願いします。
 ※詳細はマスターページもご一読ください。

 以上です。
 皆様のご参加を心よりお待ちしております。
43




第1章 日常 『宝石探し!』

POW   :    黙々と探す

SPD   :    粛々と探す

WIZ   :    ふわふわと探す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

空澄・緋華


第二の人生を歩んでいく為には、新たな楽しい記憶を沢山作っていかないとね

さて、どれにしようか
どうせなら実用性のある物が良いかな
(色々な店を見て回り)

おや、これは……

(方位磁石に加工された、炎のような色合いの宝石。中の針状の雪の結晶達が集合し、常に北を指すようになっている)

ほう、これは良いね
弟の配達の仕事を手伝う時、僕はよく道に迷ってしまうからね
それに炎のようで実に美しい(※炎好き)

(ノヴァ君を見かけたら)
「おや、ノヴァ君こんばんは。何か良い品は見つかったかい?」

もし良ければ出店で何か温かい飲み物でも買って、一緒に一休みしたいな
甘酒なんてどうだい?
どこかに売っているお店はないかな



 凛と冷える澄んだ冬の空気。
 雪の宝石の煌めきがより一層、冷たさを増して。
 けれど人々の賑わいで、宝石市は燦々と光り輝いていた。

(「……さて、どれにしようか。どうせなら実用性のある物が良いかな」)
 艶めく漆黒揺らし、空澄・緋華(失クシ者・f38356)は露天商に並ぶ宝石の数々を深紅の瞳に映す。
 所々欠けた自身の記憶を埋めるような、新たな歩みに沿う何かが在ればと――。
(「おや、これは……」)
 緋華の視界の傍らに、不思議と惹かれる赫が映る。
 それは方位磁石に宝石が組み込まれた魔導具だった。どうやら宝石を日用品に加工した物を取り揃える露天商のようだ。
 チラと俯き作業をしている店主を横目に、緋華はその方位磁石を手に取る。

 漆黒の盤面には白で示された方位の文字。
 そして煌めく、炎のような色の細い雪結晶。
 つい、と方位磁石を乗せた手のひらを動かせば、赫い針状の宝石たちが常に北を指すように集う。一風変わった魔導具に、緋華は思わず感嘆の声を零した。

(「ほう、これは良いね。弟の配達の仕事を手伝う時に、便利かも」)
 どうにも自分は道に迷ってしまう節があるものだから……、それに――。
 手のひらの文字盤に揺れる赫い雪結晶。
 その揺らめきが、燃える炎のようにも見えて。
 緋華は改めて店主に声を掛けると、方位磁石を手に嬉しそうに微笑んだ。

 ―――。
 小さな包みを大事そうに腕に抱え、緋華は人混みの中、自身が零す白い吐息の向こうに見知った姿を見付ける。
(「……おや、彼は、」)
「――やあ、ノヴァ君こんばんは。何か良い品は見つかったかい?」
 そう声を掛けられた月色の青年が振り向けば、衣服の装身具がしゃらりと澄んだ音色を鳴らす。
 緋華の問いには小さく頷くだけで、それらしい品を手にしてはいなかったけれど。
「まだ見つけている途中かな?……もし良ければ、出店で何か温かいものでも手に一緒に一休みなんてどうだい。今晩はよく冷えるからね」
 ノヴァが静かに首を縦に振れば、緋華も嬉しげに微笑みを返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
娘の奏(f03210)と参加

ふむ、雪の結晶。結晶といえば瞬だが、個人的に雪の結晶は構造が好きだ。奏も一つ魔法石持ってるが、そろそろ新しいの持っていいんじゃないかい。

ああ、しっかり茶色のステンカラーコートで防寒していこう。ワイン色のマフラーと手袋も。

ふむ、繊細な形と構造の様だ。アタシはいつも赤系統が多いが、そういう形なら藤色に挑戦してみようかね。奏もいつもは青系統だが、桜色にするのかい。折角の機会だし、違う色のも身近に置くのもいいね。ああ、ノーマルに丸い樹枝六花にするか。

いいものが手に入った。奏も満足そうだ。さあ、壊さないように大事に持って帰ろう。


真宮・奏
母の響(f00434)と参加

この季節だけに売り出される雪の結晶を閉じ込めた魔法石!!心ときめくなあ。そうですね、新しい魔法石も持つといいかもしれません。

紺のステンカラコートと白とマフラーと手袋でしっかり防寒。

そうですね、形はノーマルの丸い形の樹枝六花。いつもは青ですが、桜色に挑戦して見ます。お母さんは藤色は似合うと思います!!

とてもいい記念の品が手に入ったのでほくほく。満足した顔でお母さんと家路へ。



 夜の灯りに照らされ、キラキラと煌く宝石達。
 その一つ一つに宿る雪結晶は、この冬だけに見られる特別なもの。

「……わあ、きれい。雪の結晶を閉じ込めた魔法石、心ときめくなあ」
 真宮・奏(絢爛の星・f03210)は宝石に負けないくらいに紫の瞳を輝かせ、色や形も様々な魔法石を興味津々と眺めていた。
 落ち着いた紺のステンカラーコートを羽織り、雪のように白いマフラーと手袋でもふもふと、防寒対策も確り決めて。
 けれど、時折吹き抜ける冬の風には少しだけ頬を紅くした。

「ふむ、雪の結晶か……」
 傍らで見守るように奏の様子を見ていた 真宮・響(赫灼の炎・f00434)も、落ち着いた茶色のステンカラーコートにワイン色のマフラーと手袋の、冬の装いで。
 愉しげな娘の惹かれる魔法石を興味深そうに覗き込んでいた。

 それは丸く整った色とりどりの水晶に、白く煌めく雪結晶。
「結晶といえば瞬だが、個人的に雪の結晶は構造が好きだ。……そういえば、奏も一つ魔法石を持っているけれど、そろそろ新しいのを持ってみてもいいんじゃないかい」
 そわそわと魔法石を見つめる娘を見やり、そっと一言添えれば、奏での表情が一層明るくなった。
「そうですね……!今日の記念にと、一つ増やしてみてもいいかもしれません」

 そうと決まれば、どの宝石がいいだろうかと。母娘で悩む時間も楽しくて。
 選んだのはお揃いの丸い形、枝分かれした雪の結晶が煌めく魔法石。
「いつも使っている魔法石は青色なんだけど……、たまには別の色にも挑戦してみようかな?」
 奏が選んだのは淡い桜色、春を想わせる色彩に包まれた雪結晶は冬のモチーフの筈なのに、何だか暖かな柔からさを覚えて。
「おや、奏はいつもの青ではなく桜色にするのかい。……そうだね、アタシもいつも赤系の色を選ぶことが多いけれど。たまには別の色を選んでみるか」
 響が手にしたのは藤色の宝石。
 落ち着いた品のある色合いは、その輝き方にも表れていて。
「わあ、藤色?きっとお母さんによく似合うと思います!」

 母娘で揃いの形と結晶を。
 恒とは違う彩りを身に着けるのも、これから巡る新たな年に向けた気持ちと重なって。
 ふたりは冬の結晶を手に、暖かな家路へと着いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディフ・クライン
友人の澪(f03165)と

澪、買いたいもののイメージって決まってる?
散策がてら、いろいろ見まわるのもいいかもしれないね
なんて笑って、歩き回ってみようか

露店を見回って手にしたのは
スノードームに似たムーンストーンと
タンザナイトで出来た雪のハーバリウム
それから可愛らしいペリドット

二つは贈り物
一つは自分用
で、贈り物のうちペリドットの雪宝石は……はい、澪にあげる
クリスマスプレゼントさ
なんだか最近澪の雰囲気が穏やかだから
何かいいことがあったのかなって
いや。勘、かな?
なんとなくそう思ったのだけど……ふふ、その様子だと間違っていないみたいだ

おや、オレにも?
ありがとう、大事にするよ
そうだね。来年もよろしくね、澪


栗花落・澪
ディフさん(f05200)と

うーん……正直、まだ決まってない…
色々考えてたらまとまらなくなっちゃった、へへ
うん、色々見たい!

時折きょろきょろしつつ歩いて
そっと手にしたのはハーバリウムのようなレッドスピネル
なんとなく…本当になんとなく
真っ先に目に入った赤色

えっ、僕にもくれるの?
いいこと……

ディフさんの言葉に思わずぽふっと赤くなり
あぅ…そ、そんなに、態度に出てた…??
あっ、あの、ぼっ、僕もディフさんにお返しあげる…!
お祝いとかじゃないけど、その…来年もよろしくってことで…いい…?
と、アパタイトのスノードームを
あまり詳しくないけど…絆とか、信頼みたいな
そういう意味、あった気がするから
うん、よろしく!



 煌めく雪結晶を閉じ込めた魔導石は、夜色の中で静かに光り輝く。
 冷たい雪も氷も、自身にとっては常傍らに在るものだけれど。
 こうして見目形が違えば感じる想いも違うものだと、ディフ・クライン(雪月夜・f05200)は柔く目を細め。
 ふと隣の友人を見やれば、どうやら落ち着かない様子、
「澪、買いたいもののイメージって決まってる?」
 ディフがそう声を掛ければ、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はうーん、と小さく口を閉じて自身の指先をちょんと重ねた。
「……正直、まだ決まってない。へへ、色々考えてたらまとまらなくなっちゃって、」
「ふふ、そっか。じゃあ散策がてら、いろいろ見まわるのもいいかもしれないね」
「うん、色々見たい!」
 そうして二人は、輝く露店巡りへと繰り出した。

 色彩も様々な煌めきにはどれも目移りしてしまう。
 澪は時折きょろきょろと、時には立ち止まって。
 悩みながらも視界を回せば、ふと一つの宝石が目に留まる。
 それは鮮やかな赤色のレッドスピネル。
 手に取れば、宝石の中にキラキラと煌く雪結晶が揺れていた。
(「なんとなく、真っ先に目に入った赤色、」)
「……すごくきれい……」
 露店の灯りに翳せば、赤が透けて結晶の輝きがより一層美しく見えた。

「ディフさん!ディフさんも買いたい宝石見つかった?」
 別の露店を見ていたディフも満足げに小さく頷いて。
「うん、オレはこの宝石たちが気になるなって」
 ディフの手には三つの雪宝石が大事そうに仕舞われていた。

 一つは、澄んだムーンストーンに白い粉雪が煌めくように舞う。
 もう一つは、深い青色のタンザナイトに白い雪結晶が静かに揺らめいていた。
 そして最後の一つは、翠緑色が鮮やかなペリドットの雪宝石。
「二つは贈り物、一つは自分用にと思ってね」
「贈り物かあ……なるほど」
「うん、そう云うわけで。……はい、澪にあげる。クリスマスプレゼント」
 ディフはペリドットの雪宝石を澪に差し出し、ふわりと微笑みを添えた。
「えっ、僕にもくれるの?……えへへ、ありがとう。んでも、どうして?」
 赤と緑を両手に乗せてころりと転がしながら澪が首を傾げば、ディフは頷くように一先を置いて。

「なんだか最近、澪の雰囲気が変わった気がして。……穏やかで、幸せそう?何かいいことがあったのかなって」
「……へっ!? あぅ……そ、そんなに、態度に出てた……??」
 当にそのとおりだと、ディフの言葉に澪の頬がぽふりと赤く染まる。
「いや。勘、かな? なんとなくそう思ったのだけど……ふふ、その様子だと間違っていないみたいだね」
 ディフがくすりと笑みを零すと、澪は恥ずかしそうに声を漏らしながら益々悶えてしまう。

「……っ!そうだ。あっ、あの、ぼっ、僕もディフさんにお返しあげたい……!」
 少し待ってて!と、駆け出した澪を見送り、程無くして戻ってきた友人の手には小さな雪宝石が抱えられていた。
「これ、アパタイトのスノードーム。あまり詳しくないけど……絆とか、信頼みたいな。そういう意味があるんだって」
 特別なお祝いというわけでもないけれど、と。
 互いへのクリスマスプレゼント。今年への感謝と、来年へと繋がる縁を祝って。
「その……来年もよろしくってことで、いい……?」
 澪はそっと手のひらに乗せたアパタイトの雪宝石を差し出して、
 ディフは大切そうに友人からの贈り物を手に取った。
「ありがとう、大事にするよ。……そうだね。来年もよろしく、澪」
「えへへ。うん、よろしく!」
 
 煌めく大切な輝きを見つけ、二人は今宵の宝石市を静かに愉しんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

炬燵家・珠緒

うわぁ~~キラキラだ~~
宝石の中に雪が降っているみたい
きれい~~
ず~っと見てても飽きないなぁ
いつまでも見ていられちゃう~~

これ、全部一つずつ違うんだ~~
わたしのお気に入り?
う~~ん、そうだなぁ
あ、これ
蒼い空みたいな石に柔らかい雪が降っているみたいなの~~
やっぱり、蒼い空には想い出がたくさんあるし
寒いのは苦手だけど、雪は綺麗
でも、この石は温かい気がする
不思議~~

鉱石はブローチに加工してもらおうっと
ご主人様に会えたらおみやげだよってあげたら喜んでくれるかな~~?

雪が舞う空を見上げ、物珍しそうに目を丸くして
マントにくるまるようにギュっと握り淋しい気持ちはガマン
ご主人様にも見せてあげたいなぁ~~



 冬に咲く結晶に誘われて、はたまた偶然迷い込んでしまったのか。
 アルダワ夜の宝石市の賑わいに紛れる、一人の少女の姿。

「うわぁ~~、キラキラだ~~」
 雪降る夜と、雪舞う宝石に囲まれて。
 炬燵家・珠緒(まいごのまいごのねこむすめ・f38241)はキラキラと赤い瞳を輝かせた。
 小さな宝石の中に揺れる、煌めく雪の結晶たち。
 角度や光の当たり具合で繊細に揺れ動き、それは覗き込む度に違う光景を見せてくれる。
「ず~っと見てても飽きないなぁ……。いつまでも見ていられちゃう~~」

 あれもこれもと楽しそうに目移りする珠緒の様子を見て、露天商の店主が声を掛けた。
『なにか気に入ったものはあったかい、お嬢ちゃん?』
「う~~ん、気に入ったもの?そうだなぁ……」
 宝石の色も形も、中で揺れる結晶のひとつひとつも、よく見ればすべて違う。
 全く同じものが無いだけに、一つに選ぶのも難しかったけれど。

「……あ、これ」
 珠緒が手に取ったのは、蒼穹の色に染まった丸い宝石。
 覗き込めば、石の中には小さな粉雪がキラキラと舞い降りて、まるで蒼い空に流れ吹く風花のようでもあった。
「蒼い空みたいな石に、柔らかい雪が降っているみたいなの……」
 この宝石のような、蒼い空の下での記憶。想い出は沢山ある。
 雪は綺麗だから好き、でも今宵のように寒い冬の夜は、本当はちょっぴり苦手だった。
(「でもこの石は、不思議と温かい気がするなぁ……」)
 珠緒はきゅっと蒼い宝石を小さな手に握りしめて、
 そうだ、と思い付いたように店主に宝石の加工をお願いした。

 珠緒の選んだ雪宝石は、その形を損なわないシンプルなフレームの丸いブローチへと姿を変えた。
 キラキラと煌く蒼穹の粉雪を、試しにとそっと襟元に付けてみる。
(「ご主人様に会えて、これをおみやげだよってあげたら、喜んでくれるかな~~?」)
 遠く空の向こうに居る筈の主に想いを馳せれば、少し寂しい気持ちにもなって。
 思わずきゅっとマントを引き寄せて包まると、ふぅと白い息をはいた。

 冬の夜空に舞う雪と、それを閉じ込めた小さな宝石たち。
 この光景をご主人様にも、いつか見せてあげたいな。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
◎章お兄さんf03255と

宝石市だって。行こう
この雑然とした感じは、俺も好きだ
俺は装飾品には興味はないけど、宝石を溶かして弾丸に使うから、こういうのは真剣に選ぶ
溶かす宝石によって、効果も変わるからね
お兄さんは…宝石自体には興味ないよね
わかる
カブトムシ型のアクセサリーがないか、探してみようか
…あ。あったのか。よかったね(まさかあると思ってなかった

自分は割とこだわって、何かしらピンと来たのを選ぶ
どうだろうね。凍って砕けて何も残らない、とかそれっぽい?
そういえば鴉くんって、光物集めてどうするの
食べるの?

…寒いと思ったら、雪だ
いい機会だから言うけど、お兄さん。今年も、お世話になりました
来年も、よろしく


鵜飼・章
◎リュカさんf02586と

そうだな…商品自体より
見た事のない珍品が所狭しと並んでいる
その光景に僕は興味があるかも

あと鴉達は光り物が好きだからね…こらこら
それが気に入ったの?ここでは泥棒は駄目だよ
店主さんに謝りお金を払う

僕じゃあるまいし
この状況でわざわざカブトムシを作る人なんて…
いた
クリスタルでできた透明なカブトムシのブローチ
季節外れで仲間外れな所がいかにも僕っぽいし
職人さんの拘りが凄い
少し高くても買っちゃおう

何だかんだで結構楽しんじゃったな
リュカさんはそれを弾薬にするのか
敵を凍らせたりして
結局儚く消えてしまうのが雪らしいのかも
食べないよ…僕も知らない所に隠しているみたい

こちらこそ
来年も宜しくね



 冬の夜の露天商は、冷えた空気と賑わう人々の熱が混ざり合う。
 燦然と並ぶ宝石達も皆揃って、誰かの手に掬われるのをじっとを待っているようだった。

「宝石市、か。俺は装飾品に興味はないけど。この雑然とした感じ、好きだな」
 口元まで手繰り寄せたマフラー越しに白い吐息を溢し、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)がぽつりと呟く。
「おや、リュカさんも?」
 隣で同じように宝石市の様子を眺めていた 鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)も、同意するように小さく頷いて。
「僕も商品自体より、見た事のない珍品が所狭しと並んでいる、この光景に興味があるかも」
 宛ら、章にとっては人間観察のようなものだろうか。
 それと、先程から章の鴉たちも何だか落ち着きがない様子で。
「あと鴉達は光り物が好きだからね……。あ、こらこら。それが気に入ったの?」
 いつの間にやら離れていた一羽の鴉が露天商の宝石の一つを得意げに咥えていた。
 やれやれと、鴉を腕に戻すよう促し。
 此処では泥棒しちゃ駄目だよ、と諭しながら、店主に代金を払って軽く謝罪をした。

「……お兄さんが宝石自体に興味ないのは、わかる気がするよ」
 そのやり取りを見ていたリュカは納得したように、うんと首を縦に振り。
「俺は装飾としては興味ないけど、宝石を溶かして弾丸に使ったりもするから。今日は、ちょっと真剣に選んでみようかなって」
「へぇ、リュカさんは宝石を弾丸にするんだ」
 着飾ったり愛でたりするのではなく、実用的に使うところが何だか彼らしい、と思いつつ。露店を物色し始めたリュカの後を章ものんびりと着いていった。

 弾丸に使うのだから基本は原石のまま、後は直感頼りで。
 ふんわり眺めつつも拘るところはこだわって、リュカはふと目に留まった宝石の一つを手に取る。
 それはつるりとした丸い形の中に深い青色が広がり、細やかな雪が深々と降る宝石だった。
「――それにするの?」
 隣で見ていた章もリュカの手にする宝石を覗き込む。
「これが弾丸になるのかあ、敵を凍らせたりするのかな」
「んー、どうだろうね。凍って砕けて何も残らない、とかもそれっぽい?」
「ああ、なるほど。結局儚く消えてしまうのが、雪らしいのかも」
 この宝石がどんな風に生まれ変わるかは、また別の話になるだろうか。

「そういえば、お兄さんも何か買わないの?……あー。宝石自体には興味ないんだったっけ」
 そうか、と。暫し考えたリュカは、ピンと何かを思い付いたように、
「……なら、ムシ。カブトムシ型のアクセサリーとか、探してみるのは?」
 章の好きなもの、その中でも取分けお気に入りであろうモチーフを咄嗟にあげてみるものの。当の本人もそれはと、首を横に振りながら笑みを返して。
「はは、さすがに僕じゃあるまいし。この時季、それも雪に関する露天商でわざわざカブトムシを作る人なんて……」
 心做しか寂しそうに周囲の露店へ目を向けた章の動きが、ピタリと止まる。
「――いた」
 瞬間、バッと駆け寄った店の商品の中には、クリスタルでできた透明なカブトムシのブローチが燦然と鎮座している。もちろん、水晶の内部には粉雪のような結晶が燦々と降り注いでいた。
「……え。あ。本当にあったのか。よかったね」
 思い付きの言葉だったが、まさかとリュカは少し目を丸くして。
「うん、すごいやコレ。職人さんの拘りが凄いよ……!」
 まるで少年のように目をキラキラと輝かせ、章は思わずカブトムシに対しての力説を始め掛けたが。はたと我に返って手にしたブローチを見つめ直す。
 こんな真冬にカブトムシ。季節外れで仲間外れな所が、不思議と自分に重なって。
 少しだけ悩みつつも、章はブローチの代金を店主に支払ったのだった。

「――お兄さんも、いいものが見つかってよかったね」
「うん、何だかんだで。結構楽しんじゃったなあ」
 二人の弾む声に続き、章の肩に止まった鴉も自慢げに口に咥えた宝石を煌めかせた。
「……そういえば、その鴉くんって、光り物集めてどうするの?食べるの?」
「え。いや、流石に食べないよ。……うん。僕も知らない所に隠しているみたい?」
 そっと傍らに目配せすれば、首を傾げた鴉が小さく鳴いた。

 ――気が付けば、ふわりと視界に白い雪が舞う。
 いつから降り始めていたのか、石畳の端も薄っすらと白に染まり始めている。
「……どうりで寒いと思った。あ、そうだ。いい機会だから言うけど、」
「お兄さん。今年も、お世話になりました。来年も、よろしく」
 帰路の歩みを始めながら、さらりと言葉を交わすリュカに章は笑みを返して。
「こちらこそ、また来年も宜しくね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月03日


挿絵イラスト