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星光浴と流れ星の海

#グリードオーシャン #お祭り2022 #クリスマス #猫の島

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 きらきら、きらり。
 冬の澄んだ空気の中、夜空にはところ狭しと星が瞬いて。
 星の煌きを浴びる『星光浴』は、贅沢な時間の過ごし方と言えるだろう。
 そしてこの島の周囲では、水面に落ちた星が、流れ星となって海の中を泳ぐのだという――。

●ご案内
「いらせられませ」
 グリモアベースで猟兵たちを迎えたのは、夜空色のドレスに身を包んだ紫丿宮・馨子(仄かにくゆる姫君・f00347)。
「グリードオーシャンの島で、クリスマスを過ごしませぬか?」
 彼女が誘うのは、いつかの夏に猟兵たちを案内した島。いくらかの蒸気機械や魔法薬が使われているその島では、独自の進化を遂げた猫たちが|泳ぐ《・・》のだ。
「この季節のグリードオーシャンでは、美しい星空を見ることができるそうです。さらにこの島では、空から海へと落ちた星が、海の中で流れ星のように泳ぐのだとか」
 そう告げた彼女は、口元に手を当ててくすくすと笑む。
「いえ、その、泳ぐ流れ星の正体なのでございますが……実は、お猫様たちなのだそうですよ」
 冷たい海中を泳ぐ猫たちの軌跡が、発光して水面を彩るのだ。
 独自進化を遂げた猫たちの生態の不思議ゆえなのか、島で使われている魔法薬の影響なのかは明かされていないが、幻想的な光景であることは間違いないだろう。
「蒸気機械を使った小舟であれば、自ら漕ぐ必要はありませぬ。ここぞという場所で舟を止めれば、穏やかな時間を過ごせることでしょう」
 泳ぐ猫たちの中には、呼べば海中から顔を出してくれる人懐っこい子もいる。
 ひとりでも、ふたりでも、猫とともにでも。

 温かい飲み物や軽食を乗せて、星光浴と洒落込もうではないか――。


篁みゆ
 こんにちは、篁みゆ(たかむら・ー)と申します。
 はじめましての方も、すでにお世話になった方も、どうぞよろしくお願いいたします。

 猫の島へふたたび。今回は海底の花園には参りませんが、星空と海中の流れ星をお楽しみいただければと思います。
 以前泳ぐ猫の島が出たのはこのシナリオですが(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=26141)未読でも問題ありません。

●1章のみの日常フラグメントです
 なので、いろいろなことをするプレイングよりも、したいことを絞ったプレイングのほうが濃い描写ができると思います。
 夜の早いうち~深夜をイメージしています。時間指定がある場合はプレイングにてご指定ください。

 小舟に乗って、海の上へと参りましょう。
 舟を漕ぐことは考えなくて大丈夫ですが、あえて漕ぎたい場合は蒸気機械のついていない通常の小舟も借りられます。
 温かい飲み物や軽食、ブランケットなどを持ち込むことも出来ます。

●グリモア猟兵について
 お誘いがあれば、よほど無理な内容でない限り馨子が、喜んで顔を出させていただきます。

●プレイング受付
 タグとマスターページでご案内させて頂く予定です。
 オーバーロードの場合は、いつ送っていただいても大丈夫です。

●お願い
 ★このシナリオは、グループ参加は最大3名様まででお願いします。
 単独ではなく一緒に描写をして欲しい相手がいる場合は、お互いにIDやグループ名など識別できるようなものをプレイングの最初にご記入ください。
 また、ご希望されていない方も、他の方と一緒に描写される場合もございます。

 あまりたくさんは採用できないと思いますが(オーバーロードは除く)、ご縁がありましたら。
 皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております。
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第1章 日常 『星の海まで漕ぎ出して』

POW   :    小舟を自ら操り、進路を取る

SPD   :    海の様子を見極め、安全な穴場に陣取る

WIZ   :    満天の星空を眺めて楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 きらきらと、星は瞬いて。
 海上に出ずとも数多の星は、夜空で胸を張っている。
 これ以上の星空があるというのだから、期待をせざるをえない。
 星の海で、さあ、星光浴といこう。
 
夜鳥・藍
WIZ
あらあらまあまぁ!猫さんが泳ぐのですか?!
泳ぐことが全くないとは申しませんが「魚が好きなら水を怖がらない」という獣医さんのお言葉を聞いた事がありましたので。きっとお魚が好きだから泳げるようになったのでしょうね。ええそう思った方が夢があるのではないでしょうか?
こちらの島は初めてでかつ海の上です。寒く無いよう、温かく過ごせるようしっかり準備してまいりましょう。

止めた船べりからついつい乗り出してしまいたくなりますがそこは堪えて。
見事に泳ぎますのね……体が濡れて寒くならないのかしら?手を差し出したくなるのも我慢して。
水中を流れるように泳ぐ星。見上げれば満天の星々。
今はそれをただ堪能しましょう。



「あらあらまあまぁ!」

 降り立った島には、そこここを歩く猫の姿が。温かい飲み物とブランケットを買い求める夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)の足元にも、彼らはすり寄ってきて。思わず感嘆の声を上げてしまった。
 しかもその猫たちの行き先は、藍と同じようで。船着き場にたどり着くと、躊躇うこと無くぽちゃんと海中へとダイブ。

「本当に猫さんが泳いでいますね!」

 話には聞いていたけれど、猫といえば水を嫌がるもの。泳ぐことが全くないわけではないが、こうしてたくさんの猫が海へと潜る姿を目にしてみると、不思議な感じがする。

「『魚が好きなら水を怖がらない』という獣医さんのお言葉を聞いたことがあります。きっとお魚が好きだから、泳げるようになったのでしょうね」
「はは、たしかにそうかもしれないなぁ!」

 小舟の貸し出しを担当しているおじさんが、藍の見解に楽しそうに笑う。泳ぐ猫に驚く観光客の姿を見慣れているのだろう。このようにどんな意見も馬鹿にしたり否定したりしないというのは、自然と共ににこの島に住まう人達のおおらかさを表しているようにも感じた。

「そう思ったほうが夢があるのではないでしょうか?」
「違いねぇ」

 礼を述べて舟へと乗り込む。蒸気機械の簡単な使い方を教えてもらって漕ぎ出せば、すぐに景色は変化を見せる。
 するりするりと舟が行けば、海上の軌跡は上手に舟を避けて。中には舟と並走して泳ぐ|流れ星《・・・》もいる。
(ふふ……)
 ブランケットに包まって、並走する流れ星を見つめる。気がつけば随分と沖に出てしまったようだ。舟を止めて空を見上げれば、所狭しと星が瞬いていた。
 その瞬きが、今にも音として聞こえてきそうで。

「――素敵ですね」

 つい、声が漏れた。

 持参した魔法瓶に入れてもらった花茶を含むと、寒さが際立って感じられて。けれどもそれは不快というよりは、頭をスッキリさせてくれる澄んだ空気だ。

「見事に泳ぎますのね……体が濡れて寒くならないのかしら?」

 乗り出しそうになる気持ちを抑えて船べりから視線を投げれば、赤青黄色、桃色に紫――色とりどりの軌跡が海中を縦横無尽に泳ぎ回っている。一番近い軌跡をじっと見つめると、下半身を左右にふりふりしながら泳ぐ猫の姿を認めることが出来た。
(っ……)
 つい、手を差し出したくなるけれど、ここは我慢。するりするりと流れるように泳ぐ星の邪魔をするのは、本意ではないから。
 見上げれば、星は相も変わらず燦然と瞬いていて。
 空の星と海の星。今はただ、その貴重な光景を堪能しよう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皐月・灯
ユア(f00261)と

2人で使える大きめのブランケットを用意して、
海中の猫たちをのんびり眺める

……へえ。本当に猫が泳いでやがる。
猫ってのは大抵、水に濡れるの自体嫌がるもんなんだけどな。
お、見ろよユア。あいつこっち寄ってきそうだぜ。

(水面に手を翳して、猫を誘い)
……よしよし。何だよ、人懐っこいヤツだな。
それとも好奇心が強いのか? どっちにしろ可愛いもんだ。
ほら、もう行きな。お仲間からはぐれちまうぞ?

……まさかとは思うけどよ、ユア。
あの猫に妬いたりしてねーよな?
……ふ。まあ、別にいいぜ、どっちでも。
ただ、そうだな。今なら俺の手が空いてる。
撫でるのか抱きしめるのか、早めに選ぶのを勧めるぜ。


ユア・アラマート
灯(f00069)と
ブランケットと紅茶の入った魔法瓶に、手作りクッキーをお供に空と海の星を見に

空も見事なものだが、海の中も綺麗だな。それにしても正体が猫とは、変わった子達だ
ん…?ああ、本当だ。こっちに寄ってきてるな

可愛い猫じゃないか。そういえばお前、動物好きだったものな
まあ、誘ったのは私だ。楽しんでくれるのは嬉しいし、猫もとても愛らしい
愛らしいんだがな。…お前だけに懐っこいのも隣にいるぞ?イヌ科だが

まったく、言うようになったな私のつがいは
こんなに冷え込んでいるんだ。撫でるだけで足りるわけないだろう?
しっかり抱きしめてくれたら、お前の大好きな手作りクッキーを食べさせてあげるよ
だからほら、はやく?



 ゆるりと海上に漕ぎ出して。頃合いを見て舟を止めれば、ふたりを迎えてくれたのは満天の星空と、たくさんの|流れ星《・・・》。

「空も見事なものだが、海の中も綺麗だな」
「……へぇ。本当に猫が泳いでいやがる」

 空を見上げて、そして海へと視線を落として。どちらの星も、とてもとても綺麗だから。

「それにしても正体が猫とは、変わった子達だ」
「猫ってのは大抵、水に濡れるの自体嫌がるもんなんだけどな」

 流れ星の正体である猫たちは、冷たい海の中を楽しそうに泳ぎ回っている。その軌跡が赤だったり黄色だったり、白やピンクや青に輝いていて。ユア・アラマート(フロラシオン・f00261)も皐月・灯(追憶のヴァナルガンド・f00069)も、視線を奪われてしばし見入ってしまった。

「お、見ろよユア」
「ん……?」

 灯に呼ばれて彼と同じところへと自身の緑色を向ければ、小さな瞳と視線が絡んで。

「あいつこっちに寄ってきそうだぜ」
「ああ、本当だ。こっちに寄ってきてるな」

 海面にちょこんと顔を出した猫は、徐々に舟との距離を縮めて来た。
 するりするり……下半身を器用に左右に振って泳ぐ姿は、なんだか面白い。魚が泳ぐ姿を真似ているのだろうか。
 ひらりと灯が手を翳すと、猫の速度が心なしか上がったように見えた。おそらく招かれていると感じたのだろう、程なく灯の手の下に猫が顔を出した。

「にぁ~!」
「……よしよし。何だよ、人懐っこいヤツだな」

 来たよ! とでもアピールするように鳴いた猫は、もっとなでてとばかりに灯の手に頭を擦り付けるようにして。
 濡れた毛並みの下には、確かに熱を感じる。みゃうぉぅ~と声を上げるその姿が本当に可愛らしいと思えた。

「それとも好奇心が強いのか? どっちにしろ可愛いもんだ」
「可愛い猫じゃないか。……そういえばお前、動物好きだったものな」

 なつく猫と、まんざらでもなさそうに猫を撫でる灯。その光景を見つめるユアの心に浮かぶこの感情は――。
(まあ、誘ったのは私だ。楽しんでくれるのは嬉しいし、猫もとても愛らしい。愛らしいんだがな……)
 彼が楽しんでくれていることはとても嬉しいのだ。猫の愛らしさも認める。けれども、なんというか、その、この、名状しがたい気持ちは。うずうずむずむずと、割り込んでしまいたくなるこの気持ちは――。

「ほら、もう行きな。お仲間からはぐれちまうぞ?」
「にぁんっ!」

 灯に促され、猫は別れの挨拶のように鳴いて海へと戻る、小舟から銀色の軌跡が、だんだんと遠ざかっていった。

「……お前だけに懐っこいのも隣りにいるぞ? イヌ科だが」

 猫とのふれあいが終わるまで、我慢した。我慢したのだ。けれども彼が濡れた手を拭くまで待てず、ユアは口を開いてしまった。

「……まさかとは思うけどよ、ユア」

 隣の彼女へと視線を向ければ、引き結ばれた口とその緑色が、言葉にせずとも彼女の感情を雄弁に物語っている。

「あの猫に妬いたりしてねーよな?」
「……」

 確認の問いに、言葉によるいらえはない。

「……ふ。まあ、別にいいぜ、どっちでも」

 小さく笑った灯は、一瞬だけ考えるふりをして。そっと両腕を開いてみせる。

「ただ、そうだな。今なら俺の手が空いてる。撫でるのか抱きしめるのか、早めに選ぶのを勧めるぜ」
「……まったく……」

 小さく口の端を吊り上げる灯に、ユアはため息をひとつ。

「言うようになったな、私のつがいは」

 不快や呆れはないけれど。

「こんなに冷えているんだ。撫でるだけでは足りるわけないだろう?」

 思いもよらぬ返答は、嬉しくもあり複雑でもあり。
 それでも小さなやきもちやワガママを、受け止めてくれるとわかっているから。

「しっかり抱きしめてくれたら、お前の大好きな手作りクッキーを食べさせてあげるよ」

 持参した魔法瓶と手作りクッキーに、一瞬だけ視線を向けて。再び彼を見つめて、ユアも両手を広げた。

「だからほら、はやく?」

 彼が小さく笑む音が、星の振る音に混じって聞こえる。
 背中に回された冷えた指先が、彼の存在をより強く感じさせて。
 体の重なった部分が熱い――紅茶よりも早く優しく、その熱は互いの体に広がっていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

矢車・菊花
冠月・拓真(f00368)さんと一緒に参加。

満天の星空の下、拓真さんと二人で流れ星と泳ぐ猫さんを見に
船の上では用意された軽食に、温かい飲み物を飲みながら

拓真さんにブランケットを掛けて貰い
にこりと微笑んで

ふふ、ありがとうございます

かけて貰ったブランケットをしっかりと羽織って

綺麗ですね、星空も海も……

泳いでいる猫の軌跡を見ながら
本当不思議ですね、どうして光るんでしょう

猫さん、顔出してくれませんか?

顔を出してくれるかなと少し期待しつつ声をかけて

私も、こうやって新しい想い出が増えて嬉しいです


冠月・拓真
矢車・菊花(f33169)さんと二人で参加。

小舟に乗って菊花さんと二人で泳ぐ猫ちゃんを見に行こう。
先に船の上で軽食や飲み物で暖を取る。
「寒くないですか?」と菊花さんにブランケットをかようとしてみたり。

猫ちゃん達が泳いでいるのを見かけたら二人で眺める。
「おおー、中々不可思議だけど、可愛らしい光景ですね」
本当に不思議だけど、こういう未知のものに出会えるのも旅の醍醐味ですねと笑い合う。

猫ちゃん達に呼びかけてみて、こっちに来てくれたら手を振ろう。

「大切なお嫁さんと新しい想い出が作れて嬉しいです」



 するりするりと海へと漕ぎ出す舟に乗り、持ち込んだバスケットを開ける。まだ湯気の上がるホットココアを木製のマグカップに注いで。ふたりで選んだお食事系のマフィンは、ベーコン&チーズとツナ&コーン。はんぶんこにして同じものを食べると、嬉しさや楽しさが倍増するのはなぜだろうか。

「寒くないですか?」

 沖へ出ると、寒さも強くなってきて。冠月・拓真(月下のストーリーテラー・f00368)はブランケットを手に、優しく問う。

「ふふ、ありがとうございます」

 その気遣いに微笑んで答えた矢車・菊花(徒花の如く・f33169)は、近づいてくる彼の腕を静かに待った。
 羽織ったブランケットよりも、寄り添うように隣に移動した彼の腕から伝わる体温の方が、不思議と暖かく感じる。

「綺麗ですね、星空も海も……」

 見上げれば、夜空には星が満ちて瞬いて。その瞬きはまるで内緒話でもしているかのよう。
 海へと視線を向ければ、あちらからこちらへ、こちらからあちらへ、不規則な軌跡がたくさん、水面に広がっている。

「おおー、中々不思議だけれど、可愛らしい光景ですね」
「本当不思議ですね、どうして光るんでしょう?」

 寄り添いながら、同じ方向へと視線を向けて。時間だけでなく景色も共有できるのは、実に幸せなこと。

「こういう未知のものに出会えるのも、旅の醍醐味ですね」
「ええ」

 視線を合わせて笑い合って。手の届く距離にいる奇跡。

「猫さん、顔出してくれませんか?」

 菊花のその声色に含まれる期待に気がついたのだろうか。舟の近くで軌跡が止まり、海面に出てきた顔はふたつ。

「みゃ」
「なぁ~?」

 呼んだ? とばかりにこてんと首を傾げる仕草がかわいくて。菊花の口から感嘆の声が漏れる。
 拓真が手を振ると、猫たちは顔を出したまま舟に寄ってきてくれた。

「俺達みたいにデート中ですかね?」
「ふふ、そうかもしれませんね」

 近くまで来た猫たちが、うにゃうにゃと話しかけてくれるものだから。ふたりは相槌を打ちながら、時折言葉をかける。通じているか否かはこの際問題ではなかった。

「大切なお嫁さんと新しい想い出が作れて嬉しいです」

 猫と会話(?)をしている彼女の横顔を、じっと見つめる拓真。その視線に気がついて、菊花も顔を上げる。

「私も、こうやって新しい想い出が増えて嬉しいです」

 共に過ごすすべての時間が、大切な時間で。大切な想い出で。
 これから先もこうして時間を過ごしていくのだろう。
 それはとても、幸せなことだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エリシャ・パルティエル
イロハ(f10327)と

猫ちゃんの流れ星が見れるって本当かしら?
それも海を泳ぐんだって!
わくわくしながらイロハとおしゃべり
寒いからブランケット持ってきたのよ
あとクッキーも!
イロハのココアと一緒にいただいて
寒くても全然苦じゃないわ
美しい星と星を反射する海面を見つめて
その時を待つの

きらりと光る海面に気づいてはじっと見つめ
イロハの声に頷き顔を見合わせる
ほんとに猫ちゃんが泳いでる!
アクアスコープを借りて見れば
ますます幻想的な光景が
ほんとよく見えるわね!

好奇心から海の中の猫ちゃんに呼びかけて
あら人懐っこい子
大丈夫そうならそっと撫でさせてもらって
海を泳ぐのは楽しい?
今日は素敵な夜ね
不思議な出会いを楽しむわ


冬原・イロハ
エリシャさん(f03249)と

お話を聞いてすごくすごーく楽しみにしていました!
どんな泳ぎなのかな
どんな猫さんがいるのかなぁってエリシャさんとお喋り
ウフフ、寒い海原ですが舟の上はホットに猫会話

保温水筒のココアをカップに注いで
はい、と手渡し
エリシャさんが持ってきてくださったブランケットに包まって
ココアとクッキー、星の豊かな空と海
ゆらゆら揺れるお舟が心地よく

あ、猫さん……!
びっくりさせないよう、声は抑えつつそわそわ
持ってきたアクアスコープで覗くと光の軌跡がよく見えて
エリシャさん、ほら、すごく綺麗です

わぁ、私も猫さんを撫でさせて貰おうっと
喜んでくれるかな?
嬉しい出会い、癒される一夜にニコニコです



「猫ちゃんの流れ星が見れるって本当かしら? それも海を泳ぐんだって!」
「私、お話しを聞いて、すごくすごーく楽しみにしていました!」

 小舟の上。エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)の言葉にうんうんと頷く冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)。ふたりの瞳は期待に満ちて。星の光を受けてきらきらと輝いている。

「遠くの海が光っているのが猫さんかしら? どんな泳ぎなのかな」

 沖の方にはすでに光が動いて見える。遠くを見つめるイロハにそっとブランケットを掛けて、エリシャ自身もそれを羽織った。
 楽しいことが待っているのだ、寒さなんて全然苦じゃないけれど。暖かくしておくに越したことはないから。
 イロハははい、とコップに注いだココアをエリシャへ。保温水筒のお陰でまだ湯気を立てているココアを共に一口。その温もりに安堵してはぁ~と息を吐くのも一緒。
 エリシャの持参したクッキーは、ほろりと口の中で崩れてココアと共にその優しい甘さを体中に巡らせていった。

「見えてきたわ!」
「本当、たくさん……!」

 沖に近づけば、空には溢れんばかりの星が。海には所狭しと泳ぎ回る光が。
 海の中、深くにゆらゆら。海の上、近くにゆらゆら。

「あ、猫さん……!」
「いるわ!」

 水面の軌跡をじぃっと見つめていたエリシャも、イロハの声に顔を上げて。頷き合って視線はまた水面へ。

「ほんとに猫ちゃんが泳いでる!」
「わぁ……」

 びっくりさせないようにできるだけ声は抑えるけれど。そわそわするのは抑えることが出来ない。イロハは持参したアクアスコープを取り出し、そっと覗いてみる。すると――。

「エリシャさん、ほら、すごく綺麗です」

 海の深いところを泳ぐ猫の軌跡、近くを泳ぐ軌跡。不規則に動くそれらが現れては消えて、消えては現れて。様々な色の光が、視界を動き回る。
 エリシャもアクアスコープを借りて。覗き込めばそこに広がるのは、海上から見るのとはひと味もふた味も違う光景。

「ほんとよく見えるわね!」

 あまりにも幻想的なその光景に、瞬きするのすらもったいなく感じてしまう。
 猫たちにはそれぞれ好きな深さがあるのだろうか。海の深い方を泳いでいる猫もいれば、海面に首を出しながら泳いでいる子もいて。

「猫ちゃん、猫ちゃん」

 つい、好奇心がむずむず。視線の先にいる軌跡に声をかけてみれば、ざぱっと海面へと出た顔がみっつ。
 下半身をふりふりと左右に揺らして近づいてくる猫たちは、ピンクと青と金色の軌跡を作って。

「あら、人懐っこい子たち」
「みゃ」
「なぁ~?」
「にゃん」

 小舟から覗き込むエリシャに合わせるように近づいてきた猫たち。よく見れば青い光の子だけ少し小さい。

「撫でてもいい?」

 問えば、諾とばかりに頭を差し出すものだから。エリシャは笑みを浮かべながら両の手を、ピンクと金色の光の子の頭へ。

「わぁ、私も……」
「にぃ~!!」

 近づいてくる猫たちをドキドキしながら見ていたイロハが、我慢ができずにぐいっと身を乗り出せば。小さな猫が、近づいてきて応えてくれた。
 そっと伸ばした手が触れるのは、濡れた毛皮ではあるけれど。嬉しそうに頭を擦り付けてくれるから、こちらも嬉しくなってしまう。

「海を泳ぐのは楽しい?」
「なぅ、なぁ~!」

 問いに精一杯に答えてくれる猫たち。
 しばしの交流を楽しんだのち、彼らを見送って。再びクッキーとココアをいただききながら、空の星と海の星を視界に納める。

「今日は素敵な夜ね」
「はい、嬉しくて癒される夜です」

 エリシャもイロハも、ニコニコ笑顔。
 同じ時は二度と巡ってこないからこそ、今日の不思議な出会いを心から楽しもう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

吉備・狐珀
【狐扇】

ここのお猫様はとても懐っこいのですよ!
また会えるのが嬉しくて
早く行きましょう、とソワソワ

船に乗る前に何か買っていきましょうか
サンドイッチに、あちらは温かい飲み物、
あ、スープやシチューもありますよ!

購入したものはバスケットに入れてもらい(お猫様のご飯も購入した)、いざ船へ

遠目で見ると確かに星が海の中を流れているような幻想的な光景だけれど
水面に顔を近づければ楽しそうに泳ぐお猫様

語さん、見てください!可愛いです!
お猫様泳いでます!光っています!
ほら、と語さんに向き直った時、距離が近いことに気づく
はしゃぎすぎて、何時の間にか距離が近くなったみたい?

あ、え、えっと
ご、ごはん食べましょうか?


落浜・語
【狐扇】

猫って水を嫌うものだと思ってたけれど、独自進化してるのか。
狐珀は前にも来たことあるんだね。
ソワソワ楽しそうで、ニコニコ。

そうだね。せっかくなら軽食とか温かい物買って行こう。
シチューやパンだと船の上でも食べやすそうかなぁ。
あ、クラムチャウダーあるからそれにしようかな。なんか、たまに食べたくなるんだよね。

船に乗って海の上へ。
星が流れているように見えて、空が海面に映ったように見えるけれど、猫なんだよな。
そう思って覗き込めば、確かに猫たちが泳いでいるのが見えて。

ふと顔を上げてみれば、さっきよりも距離がとても近くなっていて。

ん……そうだね。冷める前に食べよう。



 以前にもこの島へ訪れたことのある吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)は、ソワソワしながら落浜・語(ヤドリガミの天狗連・f03558)の腕を掴む。

「ここのお猫様はとても懐っこいのですよ!」
「狐珀は前にも来たことあるんだね」

 また会えるのが嬉しい、そんな気持ちが全身から溢れ出ている彼女を見て、語は小さく笑む。

「船に乗る前になにか買っていきましょうか」
「そうだね、せっかくなら軽食とか温かい物買っていこう」

 船着き場へ向かう前に商店街に寄れば、想定より多くの店がまだ営業していた。この時期は夜遅くまで店を開けているのだという。
 サンドイッチに紅茶やココア、ホットミルク、ホットワインなどの温かい飲み物。様々な種類のスープやシチューもテイクアウトできる。
 シチューやパンなどは船上でも食べやすいだろうと、まずはサンドイッチを数種類。

「あ、クラムチャウダーあるからそれにしようかな」
「お好きなのですか?」
「なんか、たまに食べたくなるんだよね」

 語の希望でクラムチャウダーを二人分。携帯用の容器に入れてもらって。

「じゃあ今度、作ってみますね!」
「ん、楽しみにしてるよ」

 猫用のご飯と一緒にバスケットへ入れて、いざ、海へ。



 小舟で海上へと繰り出せば、遠くで輝いていた光がだんだんと近づいてきて。
 確かに海面をすいすいとゆくそれは、星が海の中を流れてるかのよう。
 星が流れているように、空が海に映ったようにみえるけれど。これは猫なのだ。

「猫って水を嫌うものだと思ってたけれど、独自進化してるのか」
「とても泳ぐのが上手なんですよ!」

 この幻想的な光景の元が猫だと言われても、すぐには信じがたくて。狐珀に倣って語も水面へと顔を近づける。
 すると、薄明かりに照らされて、確かに猫が泳いでいる様子が見て取れた。

「お猫様~!」

 海面へと狐珀が手を振れば、目が合った猫たちが少し遠くで顔を出してくれた。数匹の猫が小舟へと近づいてくれて、小舟の周りをくるくるスイスイと泳ぎ始める。
 その光景があまりにも素敵で、感嘆がため息になって口の端から漏れて。
 再び覗き込めば、猫が通りすがりにドヤ顔して泳いで行った。その後ろから、二匹仲睦まじく並んで、二重の軌跡がゆるりゆるり。

「語さん、見てください! 可愛いです!」
「仲がいいな」
「お猫様が並んでます! 三重に光ってます!」

 あとから一匹合流して、軌跡が増える。その上質な|幻想《イリュージョン》に興奮が抑えられなくて、狐珀は勢い良く顔をあげた。
 語もまた、呼ばれて顔を上げる――と。

「!?」
「!!」

 いつの間にか、ずいぶんと距離が近くなっている。顔をあげると、息がかかりそうな距離に互いの顔があって。
 瞬けば睫毛が触れ合いそうな、暗くても|表情《こころ》の変化が見て取れるような――。

「あっ、え、えっと」

 はしゃいでいたそれまでとは、また違った胸の高鳴りが狐珀を襲う。顔が熱くなったのが、バレてしまうだろうか。

「ご、ごはん食べましょうか?」
「ん……そうだね」

 弾かれたように距離を取って。口から出たそれが慌てて編んだものだと、バレてしまうかもしれないけれど。
 語もまた、ゆっくりと体勢を戻す。首から耳の後ろのあたりが熱を持っているのが分かったから、狐珀の提案にありがたく乗ることにした。

 夜はまだ、長いから。
 温まってお腹が満ちればまた、心も落ち着くだろう。
 星は、逃げはしない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

波瀬・深尋
☆キトリ(f02354)と

本当に星に見えるな
きらきら光る水面が綺麗だ
舟の上から、そっと手を伸ばせば
水中でも、たしかに感じた猫の温もり
ああ、俺のほうにも来てくれたよ
こうやって生き物に触れるのは
緊張するけど、やっぱり楽しいな

ここまで上がってくるのなら
もっと猫と遊べるよな
そのときあげるホットミルクは
もちろん、全員で飲もうか
君と一緒なら、いつだって
心はぽかぽかあったかいけど
風邪なんて引かせたくないからな

身体も暖まったのなら
ゆらゆらと海上を進んで
飛んでるキトリに掌を向ける
星の海に吸い込まれて
君が消えてしまわないように
もっと、ずっと、


キトリ・フローエ
☆深尋(f27306)と

本当に星が泳いでるのね!
海面を彩るたくさんの光の軌跡に心が弾む
つい追いかけっこをするように舟の周りを飛びながら
顔を出してくれた猫にそっと手を伸ばす
冬の海を纏う子達は冷たいけれど
どこか暖かくも感じられて
深尋!この子達、とっても人懐っこいわ!
舟に上がってくる猫さんもいるかしら?
ホットミルクで温まってね
勿論、みんな一緒に!

あなたと揺蕩う星の海は
吸い込まれてしまいそうなくらいに綺麗で
星を追ってどこまでも飛んでいけそう
でも、今はちゃんと
つかまえてくれているあたたかい手があるから大丈夫なの
差し出された掌の上に舞い降りれば
あなたの優しい眼差しが降る
あなたの瞳にも、星が泳いでいるみたい



 きらきら、きらきらと、星は瞬いて。しんしん、しんしん、その光が降り注ぐ。
 穏やかな水面に小舟を停泊させれば、そこには星の泳ぐ軌跡。
 赤も青も黄色も、金色も銀色も。淡く光って|水中《夜空》を泳ぐ。映した星を、結ぶように。映した星を、かき混ぜるように。

「本当に星が泳いでいるのね!」
「ああ、本当に星に見えるな」

 水面を彩る軌跡は、流れ星が縦横無尽に泳ぎ回るかのよう。舟から飛び上がり、キトリ・フローエ(星導・f02354)は紫水晶色の翅をぱたぱた。ついつい追いかけっこするように、舟の周りを泳ぐ星たちを上空から追って回る。どの色も素敵で、ワクワクが止まらない!
 そんな彼女があまりにも楽しそうだから。波瀬・深尋(Lost・f27306)の口元には小さく笑みが浮かぶ。微笑ましくて、愛おしくて。
 きらきら光る水面も綺麗だけれど、星の光を受けながら追いかける彼女はもっと、綺麗だ。
(深尋も一緒に追いかけっこできたら、もっと楽しいのに)
 海上から見る軌跡は、舟から見るのとはまた違った景色だ。それをリアルタイムで共有できないのは少し寂しいけれど。
 ならば、あとでたくさん教えてあげよう――キトリがそんなふうに思っていると。
「にゃ~?」
 ひょっこりと顔を出した子猫が、不思議そうに見上げてくるものだから。
「あらっ!」
 ふわふわと高度を下げて。そっとその細い指先を伸ばした。
「ふふ、可愛いわ」
 冬の海を纏う彼らは、触れた瞬間は海の温度を感じさせるけれど。その体の熱もまた、きちんと感じられて。
「なぉん、うにゃぁん」
 キトリと同じくらいの大きさの子猫は、前足を伸ばしてキトリにじゃれようとし始めた。一緒に遊びたいのだろうか。よく見ると、いつの間にか同じくらいの大きさの猫たちが、集まってきていた。

「深尋! この子達、とっても人懐っこいわ!」
「ああ、俺の方にも来てくれたよ」

 舟を振り返れば、舟から手を伸ばす深尋の姿が。キトリが子猫に誘われている間に、『うちの子たちがごめんなさいね~』とでも言うかのように大きめの猫たちが近づいてきていたのだ。
 そっと手を伸ばせば、冷たい中にもぬくもりが感じられて。彼らが|生きている《・・・・・》ことを実感させられた。
 こうして生き物に触れるというのは、深尋にとって緊張を伴うことではあるけれど。
(やっぱり、楽しいな)
 そう、思えるから。

「えっ、上がって来たいの?」
 舟へと戻ったキトリへ、せがむように鳴く子猫たち。
「なら、もう少し遊ぼう」
 大きめの猫たちの様子をうかがって、深尋はせがむ子猫たちを順に舟へと乗せる。
「ホットミルクで温まってね!」
 持参したミルクを、用意しておいた皿へ。熱すぎないそれを我先にと舐める彼らを見ながら、ふたりもホットミルクで小休止。
 ふたりで一緒なら、いつだって心はぽかぽかあったかいけれど。風邪なんて引かせたくはないから。
 もし引いてしまったら、看病しない選択肢はないけれど。お前/あなたが苦しむのは嫌だから。
 心だけでなく、体もきちんと温まろう。



 たくさん遊んで、子猫たちと別れて。舟は星の海をゆらゆらと揺蕩う。
 見上げれば空には、相も変わらずたくさんの星が煌めいていて。
 星の光を浴びながらあなたと見つめる空は、吸い込まれてしまいそうなくらい綺麗だ――。
(星を追って、どこまでも飛んでいけそうだわ――)
 無意識に、羽ばたいて。ふわりと、空の星へ近づいてしまいそうになるけれど。

「……キトリ」

 甘い声に呼ばれて、我に返れば。優しい微笑みと|深尋の掌《特等席》が、キトリを待っている。
 今はちゃんと、つかまえてくれているあたたかい手があるから。

「……どこにもいかないわ」

 そっと掌に舞い降りて、囁きを落とす。

 星の海に吸い込まれて、消えてしまわぬように。この手の中に、留めておきたいけれど。
 自由な彼女が、一番素敵だから。
 こうしてここに、戻ってきてくれるとわかっているから。

「……、……」

 彼女の顔を、じぃっと覗き込んで。
 ああ、このまま、もっと、ずっと――……。
 そんな心中を、読んだのだろうか。
 深尋の藍色を見つめるキトリは、無邪気とは違う――言葉にするならば近いのは慈愛、だろうか――穏やかな微笑みを浮かべた。

「あなたの瞳にも、星が泳いでいるみたい」

 私が一番大好きなのは、あなたの星の海。
 どこにもいかないわ、消えもしない。帰ってくるわ――まるでそう、紡いでいるかのようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ペペル・トーン
【泡糖】
私の船とは違う船に心揺られながら
寒空の下 湯気立つ紅茶にほぅと零し

灯る星もこんな風に温かいのかしら
なんて思えば流れる一筋
あれが猫だなんて、本当に不思議

そうね…猫に縁紡ぐ願いなら
近くに猫が来てくれるように、とかかしら
過るのは前に出会った子達で
同じように考えていたみたいで嬉しくて

願うなら三度唱えないとよね
そして私達は丁度三人
パチリと悪戯に笑えば 傾ぐお顔に頷いて
三人分の一つの願いが届くように

またあの子達に会いたいわ

覚えのある色の毛並みを瞳に映したなら
あの子達は、もしかして前の子達?
指さして2人を見やれば パァと期待が膨らんで
再来の喜びのままそっと手を伸ばし
猫の軌跡を眺めながら 幸せに浸って


エンティ・シェア
【泡糖】

蒸気機関の船を借り、三人で海へ
寒いだろうからブランケットに軽食と紅茶で暖を取って
他愛ないお喋りもきっと、ぬくもりの元

あぁ、ほら。流れ星だ
正体が猫だと知って居ると、優雅な軌跡も微笑ましく感じるね
ね、二人は星にどんな願いを託す?
私は、そうだねぇ…
あの子達とまた会えますように、とか
以前も可愛い猫達と出会えたからね
彼らと再会できたりしないかな、なんて期待も湧くものだ

ふふ、三人で一度ずつで三度とは
素敵な発想だねぇ、ペペル嬢
ライラックの表情には埋もれたいと願望が滲むようだけど
優しい星の子達は、どちらも叶えてくれるのかもね
ご機嫌いかが、猫殿
水底の花園に導かれた夏の日のように
彼らの軌跡を追ってみようか


ライラック・エアルオウルズ
【泡糖】

この船も実に見事なものだ
好奇で蒸気機械を眺めつつ
味わう紅茶が美味なこと

軽食に指伸ばさんとして
みとめた流星に感嘆零し
綺麗、だけど。ふふ、そうだね
薄らと游ぐさまが見えているよ

ううん、猫の流星であるから
願うならば猫関連が良いかな
埋もれたい――等と欲が過れども
エンティさんの願い事、素敵だね
僕も是非に会いたいところだ
期待を胸に同じ願いにしよう

三度唱えるのは難しそうだが
三人で一度ずつ、で三度だね?
ペペルさんに首傾いで笑って
密かな願望も気付かれたかあ
であれば、優しさに期待して

あの子達とまた会えるように

早速叶った、みたい?
指さす先に喜色が滲む
また案内して頂けるとは、僥倖
でれでれ、光る尾の導に綻んだ



 蒸気機械の付いた小舟に乗り込んで。ゆらゆらゆらりと海へ繰り出す。
 しんしんと降る星の光に導かれて、沖へ、沖へ。
 持ち込んだブランケットにそれぞれくるまって、紅茶を注いだマグカップで暖を取る。
 ひとくちサイズのマドレーヌを紅茶で流し込めば、優しいぬくもりと甘さが体の中へと広がっていった。

 冷たい夜風にさらされた体には、湯気立つ紅茶は暗闇の中の灯火のようなもの。自分の船とはまた違った小舟の|歩み《・・》に揺られながら、ペペル・トーン(融解クリームソーダ・f26758)はほぅ、と息を零す。
 舟を動かしている蒸気機械もまた珍しくて。ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)の視線は好奇心に従順に、その働きを視界に収めている。

「あぁ、ほら。流れ星だ」

 遠くに見えていた光の集まりがほどけて、カラフルな軌跡として認めることが出来たものだから。声を上げたのはエンティ・シェア(欠片・f00526)。暗闇の中に灯る赤い髪が、風に揺れて。
「あれが猫だなんて、本当に不思議」
「綺麗、だけど。ふふ、そうだね。薄らと游ぐさまが見えているよ」
 灯る星の暖かさに思いを馳せていたペペルは、意識を海面へと戻し。するーり、するーりと、縦横無尽に游ぐ星が徐々に増えていくさまをじぃ、と。
 マドレーヌに伸ばした指をそのままに、ライラックは口元を綻ばせる。光の軌跡の中見れば、記憶の中のあの夏のように猫たちの游ぐ姿があったものだから。
「正体が猫だと知って居ると、優雅な軌跡も微笑ましく感じるね」
 黄色の軌跡が素早くびゅーん。赤紫の軌跡がのんびりスイスイ。こんな違いも猫の個性ゆえなのかもしれないと思うと、エンティも微笑みを浮かべてしまう。
「ね、二人は星にどんな願いを託す?」
 海中の流れ星が、あちらこちらに流れるこの風景。常とは違う星であれど、星に願いを託すという発想になるのは自然なこと。
「ううん、猫の流星であるから、願うならば猫関連が良いかな」
「そうね……猫に縁紡ぐ願いなら、近くに猫が来てくれるように、とかかしら」
 エンティの問いに小さく思考して、ライラックが答えを紡ぐ。それを引き取ったペペルの願いに、埋もれたい――なんて欲がよぎるけれど。
「エンティさんは?」
「私は、そうだねぇ……あの子達とまた会えますように、とか」
「……!!」
 いつかの夏に出会った彼らとの再会、その期待が宿るエンティの瞳。一瞬、驚いたように見開かれたペペルのふた色に喜色が宿るのは、彼女もまた同じことを考えていたから。
「エンティさんの願い事、素敵だね。僕も是非に会いたいところだ」
 その願い事に、ライラックが異を唱えるはずもなく。胸に抱く期待は三人とも同じ。

「願うなら三度唱えないとよね。そして私たちはちょうど三人」

 流れ星に願い事を三度唱える――それはわかる、だけど。続いたペペルの言葉に、ライラックとエンティは小さく首を傾げた……けれども。
「三度唱えるのは難しそうだが、三人で一度ずつ、で三度だね?」
 その意図はすぐに理解できて。笑いながら確認するライラック。
「ええ」
 悪戯に笑うペペルの得意げな表情に、エンティの口の端から笑いが漏れた。
「ふふ、三人で一度ずつで三度とは。素敵な発想だねぇ、ペペル嬢」
 その発想はなかったなぁと笑みながら、ちらり見るのはライラックの紫の瞳。
「ライラックの表情には、埋もれたいと願望が滲むようだけど」
 彼の密かな(?)願望を見ないふりしなかったのは――。
「優しい星の子達は、どちらも叶えてくれるのかもね」
 ――叶えばいいと思っているから。
「であれば、優しさに期待して」
 ゆっくりと、皆で瞳を閉じる。

「あの子達とまた会えるように」
「彼らと再会できるように」
「またあの子達に会いたいわ」

 三人分の一つの願いが届くように。大切に大切に紡ぐ願いは一つ。
 三度唱えられた願いは、空で瞬き海で游ぐ数多の星たちへと――。

 するりするり、ふよりふより……不思議なことに、輝きが小舟の周りに集まって。

「ご機嫌いかが、猫殿」

 星たちのおしゃべりに混ざる猫の声に、エンティが声をかけると。

『よんだー?』
『よんでないー?』

 ひょい、と顔を出したのは縞模様の猫とぶち模様の猫。

「あの子達は、もしかして前の子達?」

 少し遠くだから、まだ確証はないけれど。それでもペペルの目には、あの夏に共に花園へと向かった猫たちに、見えるのだ。

『あれー?』

 ひょっこりと、もう一匹。グレーの頭が見えて。

「早速叶った、みたい?」

 三人分の願いは、きっと一人分のそれよりも強いものだから――見覚えがある星たちを指す先に、喜色が滲むのを止められない。
 彼らの言葉がわかるエンティが、こっちにおいでと告げれば。赤の軌跡を描く縞模様。紫の軌跡を描くぶち模様。そして少し遅れて緑の軌跡を描くグレーの猫が、舟へと向かってきてくれた。

『ぼく、おぼえてる! しってる、前にお花、行ったよね!!』
『あっ、そっかー、みたことあるとおもった!』
『わぁ、またあえたー!!』

 三人の姿をしっかりと見た猫たちもまた、あの日のことを覚えてくれていたから。これが喜ばずにいられるだろうか。
 ペペルがそっと手を伸ばせば、グレーの子が撫でてと頭を出す。
 また会えたねとライラックが告げれば、ぶちの子が元気よく鳴いた。
 あの時より少し大きくなった縞の子に、エンティが案内を乞えば。
 水底の花園に導かれた夏の日のように、彼らは先導してオススメの位置まで連れて行ってくれるという。

「また案内して頂けるとは、僥倖だね」

 ゆらゆらと揺れる光る尾の導に、ライラックは頬が緩むのを隠せていないけれど。
 喜びを溢れさせているのは、皆同じだから。

 先導する軌跡を追って、あるいは小舟と並走する軌跡と共に。あの日を再現するかのような時間を――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
猫と聞いて…!
もしよければ紫丿宮さんもご一緒にいかがですか?

漕ぐのは苦手だから蒸気機械頼りで
小舟に乗って海の上へ
自分用には温かいココアを持ち込み
ひょこりと水面を覗き込めば
同じように見上げ返してくる猫達にほわりと和み
気持ちよく泳いでるところお邪魔してごめんねー
ゆっくり遊んでおいで
と、猫が嫌がらなければそっと頭を撫でてみて

濡れてるからもふもふ、というわけではないけど
それでもやっぱりお猫様は可愛い

海自体が光ってる…というより、やっぱり猫の力なのかな
なんだっけ、えっと…夜光虫?
あれともまた少し違う感じだよね
流れ星がいっぱいだぁ…綺麗……
あ、紫丿宮さん、そっち猫ちゃん顔出してるよ
少し遊んであげたら?



 猫がいると聞いて、わくわくせずにいられるだろうか――。
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、背中に宿した白い翼を期待で小さく震わせながら、視線を海面へと向けて。持ち込んだマグカップに満たされたココアが、冷える指先を温めてくれていた。
「あの光が猫たちの光なのかな?」
「そのようにございますね」
 遠くに見えていた光の集まり。様々な色が混ざったような、高所から街の明かりを見下ろしたときのような。宝石集うような光は、舟が進んでいくごとに判別することができるようになっていった。
 同乗している紫丿宮・馨子(仄かにくゆる姫君・f00347)が、指さした方へと視線を向けると、淡いピンク色の光がゆらりゆらりと小舟に近づいてきていた。
「わぁ……」
 近づいてきた軌跡を、澪はひょっこり覗き込む。確かに光の中に、猫が見える不思議。

「にゃー?」

 ひょいっと海中から頭を出した猫は、不思議そうに澪の琥珀色の瞳を見上げて。その仕草があまりにもかわいくて、体中の力が抜けそうなほど和んでしまう。
「気持ちよく泳いでいるところお邪魔してごめんねー」
「にゃぁん」
「みゃー」
「みゅにゃぁ」
 いつの間にか増えた光が、並んで顔をだすのがとにかく可愛い。しかも澪の言葉にきちんと返事をしてくれるのだ。
 それだけでなく、そっと手を伸ばせば、その意図を察したかのようについ、と頭を差し出して来て。
「なぁーう」
「み゛ゃ!」
「に゛ゃぁ!」
 しかも自分が自分がと、澪の手をとりあうものだから。両の手を差し出したが、それでも同時に全員は撫でられないという贅沢な悩みが発生してしまった。
 その光景を見ていた馨子が、ふふりと笑みを零すのが聞こえる。
 濡れているから、その撫で心地はもふもふとはいかないけれど。しっかりと感じられる温もりに仕草。やっぱりお猫様は可愛い。

「海自体が光ってる……というより、やっぱり猫の力なのかな?」
 ゆっくり遊んでおいでと彼らを見送ったのち、そこここに作り出される軌跡を見つめながらぽつり。
「なんだっけ、えっと……夜光虫? あれともまた少し、違う感じだよね」
「そうにございますねぇ……。お猫様の体が光り、そのお猫様が泳ぐことで光の軌跡が生まれておりますので……」
 馨子も首を傾げて考えるけれど。寒い時期にだけ起こるらしいこの現象の真実には、辿り着けそうにない。
 それでも、この光景が幻想的で素敵なことには、変わりないから。
「あ、紫丿宮さん、そっち猫ちゃん顔出してるよ」
「えっ!?」
「少し遊んであげたら?」
 近くに顔を出した猫に、ウキウキしている馨子を横目に見ながら。澪は視界いっぱいの流れ星を改めて見つめ直す。

「流れ星がいっぱいだぁ……綺麗……」

 漏れる感嘆の吐息。胸に宿る感動と興奮。
 この流れ星は、流れ去って終わりではないから。
 ゆらりゆらりとたゆたいながら、煌めきに包まれよう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼
以前この島を訪れたのは、もう二年前かしら
懐かしいわね
あの時訪れた海底の花園に行けないのは残念ですけど
(――花園で交わした口づけの思い出に頬を染めて)
こんな風に降るような星の夜の海もまた、昼とは違う風情があって好きですわ

小舟には夫のヴォルフと、精霊のルミナ、フランム、アジュアも一緒に
アジュア、あなたと出会ったのはこの世界の別の島だったわね
(「泡沫が輪郭を得る夜」参照)
あの時もこんな風に、星が美しく輝く夜だった

懐かしい夜の海に帰ってきたのが嬉しいのか
くるくると空に躍るアジュアの姿が愛らしい

あら? あれが噂の「泳ぐ流れ星」
この島の猫さんなのね
アジュアが誘うように猫さんを呼んでいる

近づいて来た子をそっと小舟に乗せて
タオルで濡れた体を拭いてあげたら
猫舌が火傷しない程度にほどよく冷めたホットミルクを
皿に注ぎ猫さんへ

寒くはないかしら
風邪をひかないようにね
そっと懐に抱いたら、人肌の温もりが心地よかったのか
眠るようにこちらに身を委ねてくる

腕の中の小さな温もり
命の輝きは何よりも尊く、いとおしい


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

あれから二年……短いような長いような
俺たちの想いは今も変わらない
(頬染めて俯く妻の姿に、胸の内がこそばゆくなる感情を覚えて)
あの時の花園も大層美しかったが
今宵の星降るような海も、神秘的な美しさに満ちている

さあ、星の海に漕ぎ出そう
バスケットに詰めたサンドウィッチと飲み物を用意して
カフェオレやミルクティーも楽しめるように
ホットミルクは多めに準備しておこう

アジュアと共に、ルミナとフランムも空中を舞いはしゃぐ
あまり舟から離れないように、海に落ちないよう気をつけろよ

海面を走る光の軌跡
これが海泳ぐ流れ星……この島の猫たちか
アジュアの声に応えて近づいてきた一匹を、水の中からそっと抱き上げる

濡れた体を拭いてやれば、ふわふわの毛並みが甦る
ヘルガ、その猫も余程お前が気に入ったのだな
猫と呼応するかのように、精霊の子らも遊び疲れたのか、
ヘルガに身を寄せて共に寝息を立て始める
その小さな命を、我が子を慈しむように二人でそっと見守りながら
美しい輝きに満ちた星月夜を共に過ごそう



 かつてこの島で過ごしてから、もう二年――短いような長いような、不思議な感覚であるけれど。ふたりの胸に宿る想いは、今もなお変わることはないから。
「懐かしいわね……あの時訪れた海底の花園に行けないのは残念ですけど」
 そう呟いたヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は、甦る記憶に自然と頬を染めた。あの日あの花園で交わした口づけは、鮮明に思い出せる大切な記憶。
「……、あの時の花園も大層美しかったが」
 頬を染めて俯く彼女が何を思い出したのか、ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)にはわかる。だからだろうか、胸の内が妙にこそばゆくなるのは。
「今宵の星降るような海も、神秘的な美しさに満ちているな」
 彼が差し出す手に己の手を重ね、ヘルガは頷いて視線を向ける。
「こんなふうに降るような星の海の夜もまた、昼とは違う風情があって好きですわ」
 一瞬、見つめ合って。ヴォルフガングのエスコートで小舟の上へ。
 持参した少し大きめのバスケットには、サンドウィッチと紅茶やコーヒー。それに多めに用意したホットミルク。ゆるりと時間を過ごす準備は万端だ。
 ゆるりゆるりと小舟が沖へと向かえば、空に瞬く星も徐々に増え。遠くに見えていた水面の光が、ほどけて見えてきた。
 するする、するりと、色とりどりの光が、遠くで海を泳いでいく。

『わぁ……』

 感嘆の声を上げて小舟の上へと飛び出したのは、精霊のアジュア。同じく精霊のルミナとフランムも同乗しているけれど、彼女が特別な反応を見せるのは理由があった。

「アジュア、あなたと出会ったのはこの世界の別の島だったわね」
『なつかしい~!』

 ヘルガの声掛けに、くるくる、くるくると回って笑むアジュア。奇跡の夜に海の泡沫から生まれた彼女は、ヴォルフガングとヘルガの想いのかたち。愛の証。
「懐かしい海に帰ってきたのが嬉しいのかしら」
「かもしれないな」
 青い髪と翅を揺らして空に踊る彼女を見て、ルミナとフランムも空へ。きゃっきゃっと笑いながら舞う三人を見守るヴォルフガングとヘルガの瞳には、特別な愛と優しさが宿っていた。
「あまり舟から離れないように、海に落ちないよう気をつけろよ」
 ヴォルフガングに言われて、一応返事をしてみせる三人。楽しさで気分が高揚しているのだろう。仕方がないなと小さく息をつきながらも、ヴォルフガングは常に彼らを視界に捉えている。
 カップに満たしたカフェオレを彼に差し出して。自身のカップを手にし、ヘルガは空を仰ぐ。
「あの時もこんな風に、星が美しく輝く夜だったわね」
 奇跡の夜。あの時感じた、驚きと嬉しさがないまぜになった高揚感は、忘れられるものではない。時を経てもなお、昨日のことのように――。
 今こうして彼らと同じ時を過ごせることに、感謝の念をいだきながら進めば、遠くの光がこちらに近づいてくるではないか。

「あら? あれが噂の『泳ぐ流れ星』?」
「この島の猫たちか……」

 小舟の周りをするするするり、すいすい、すいすい――赤、黄色、青、白、紫など、様々な光が自由に泳ぎ回る水面。

『あ~! こっちこっち~!』

 アジュアが誘うように猫へと呼びかけると、ルミナもフランムも懸命に猫を招くように動いて。
 その可愛い思いが届いたのか、するーりと近づいてきた橙色の光。覗き込めば、光の中に可愛らしい猫の姿があった。
「にゃ~ん?」
 水面に顔を出して首を傾げた猫に、ヴォルフガングがゆっくりと手を伸ばす。大きな手で猫を支え、優しく抱き上げて。
「猫さん、いらっしゃい」
 ヘルカが広げたタオルにすっぽりと収まった猫は、おとなしく体を拭かれている。精霊たちは猫と遊びたいのか、今か今かとタオルドライが終わるのを待っていた。
「はい、おしまい」
 ふわふわの毛並みが蘇った猫を小舟に離せば、待っていましたとばかりに降りてきた精霊たちが戯れ始める。猫も嫌がる様子はなく、むしろ楽しげに声を上げていた。

「みんな、ホットミルクはいかが?」

 程よく冷ましたホットミルクを、精霊たちと猫へ。彼らの満足そうな顔を見れば、ふたりの心も暖かくなるというもの。
「寒くはないかしら、風邪を引かないようにね」
 そっと抱き上げれば、猫はヘルガに顔を擦り付けたあと、ゆるりとその身を預け始めた。人肌のぬくもりが心地よかったのだろう。眠るように瞼を閉じて。

「ヘルガ、その猫も余程お前が気に入ったのだな」
「なら、嬉しいわ」

 ふぁ……と聞こえるのは小さなあくび。猫につられたのか、遊び疲れた精霊たちもヘルガの膝や肩でうとうと。
 腕の中には小さな温もり。寄り添って眠る暖かさもまた、愛しい。
 ヴォルフガングはブランケットをヘルガの肩にかけ、包むようにして彼女と精霊たちと猫を冷たい風から守る。

 この小さな命は、何よりも尊い。自分たちを慕ってくれる彼らを、心からいとおしく思う。
 慈しみの気持ちは、我が子に向けるそれととてもよく似ていて。
 彼らを見守るふたりの瞳は、紛れもなく子を慈しむ親のそれである。

 星の輝き、命の輝き。
 尊いもので満ちた、星月夜――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月08日


挿絵イラスト