別たれ難きカイヴァリヤ
●ヤマラージャ・アイビー
求めるは『閻魔王』。
己たちに内在する『偽物の世界』が膨れ上がっていく。
どうしようもないほどに、抑えきれないほどに、膨れ上がり爆発しようとしている。即ち、それは己たちの死を意味していたが、オウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』にとって、終わりを意味しない。
「これだけ時間をかけても、獲得できなかったか……!」
『幽銃のシズク』が歯噛みする。
彼女たちがカクリヨファンタズムに訪れたのは、かつてオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』が持っていた懐刀『|生と死を繋ぐもの《ヤマラージャ・アイビー》』を求めてのことであった。
しかし、それは叶わなかった。
今もなお彼女たちの体の中で膨れ上がる『偽物の世界』は爆発までのカウントダウンを刻むようであった。
「シズクお姉様、わたくしの中の『偽物カクリヨファンタズム』はそろそろ爆発し、本物の世界を飲み込もうとしています。さようなら、次の蘇生時にも、また仲良くしてくださいね……」
例え死ぬのだとしても、彼女たちは再び骸の海より舞い戻る。
生と死。
その連鎖は解脱できぬ病。
「くそっ、せっかくユリがたくさん本を読んで賢くなったのに、また最初からやり直しなのか……」
『幽銃のシズク』は、幾度となく繰り返してきたであろう永遠の如き始まりを思う。
思えば『滅詩のユリ』はゲームばかりしていた。
『閻魔王』を『ばくまおう』と読み上げたり、それはもう大変に賢くはなかった。
けれど、それでも彼女は己の妹なのだ。
そして自分は姉である。
姉であるのならば妹は守らねばならない。例え『世界を壊す爆弾』に改造されたとしても、それでも自分が『滅詩のユリ』の姉である事実は消えない。
爆死と蘇生を繰り返す病を断ち切って、この輪廻から開放されるのだとしても、それでも『幽銃のシズク』は彼女の姉であり続けるのだ。
「ぐあっ、オレの中の『偽物UDCアース』も、爆発しようとしている……」
「わたくし達を改造した悪魔たちは果たして、わたくし達がオブリビオンとなり、死と蘇生の輪廻で永遠に世界を破壊し続けることを承知していたのでしょうか」
『滅詩のユリ』は憂いを帯びた瞳を開く。
膨れ上がる『偽物の世界』。
もはやどうしようもない所まで病は進行している。
これまで賢くない自分を導いてくれた姉に報いたいと思った。それは本を読み続け、知性を蓄えた結果であった。
だからこそ、姉の心労を思うことができる。
あと何度。
あとどれほどこの輪廻を繰り返せばいいのか。
蓄えられた知性ですら答えは出ない。
「例え彼等がサイキックハーツに到達したとしても、彼等の世界すら破壊する可能性が有り得るというのに……」
その思索も終わりを告げる。
せめて姉の傍にいたいと手を伸ばし、そして彼女の中の『偽物カクリヨファンタズム』は臨界を迎えようとしていた――。
●最終決戦
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。カクリヨファンタズムを侵略しようとしていたオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』と決着をつける時が来ました」
ナイアルテは嘗てカクリヨファンタズムにて戦ったオブリビオン・フォーミュラ『大祓骸魂』の持っていた懐刀の名を告げる。
『生と死を繋ぐもの』――マハラージャ・アイビー。
時間をかければ如何なるものでも殺すことのできる懐刀。
それを彼女たちは求めていた。
「彼女たちは『自身の体内に「偽物の世界」が発生する』という奇病に冒されていました。それ故に完全な力を発揮できていません。それどころか、病の作用によって、いずれ体内で膨れ上がった『世界』に押しつぶされ死に、骸の海から再び同じ病を抱えた状態で蘇ってしまうのです」
それは無限に続く苦しみである。
故に彼女たちは己たちの病を断ち切る唯一の手段として『閻魔王』の『世界を殺す懐刀』を求めていたのだ。
「ですが、彼女たちが『生と死を繋ぐもの』を手に入れるより先に『病』の発作が彼女たちを襲ってしまうのです」
体内に生まれた『偽物の世界』。
それが彼女たちの肉体を破壊し、カクリヨに生まれ出ようとしているのだ。
そうなれば無論、カクリヨファンタズムは崩壊し、消滅してしまう。
「間一髪でしたが、彼女たちの所在が判明しました。カクリヨファンタズムを破壊される前に『偽物の世界』を壊し、それらを内包しながら侵略を進めていた彼女たちを討ち取っていただ来たいのです」
『幽銃のシズク』の中にあった『偽物UDCアース』に猟兵たちは飛び込み、そこを支配する強大なUDC怪物『月蝕』から湧出し続ける大量のUDCを蹴散らし、大元である『月蝕』をまず打倒しなければならない。
もしも、この『偽物UDCアース』を放置すれば、溢れ出し続けるUDC怪物によってカクリヨファンタズムは狂気に満ちて崩壊してしまうだろう。
「戦いはそれだけでは終わりません。『偽物の世界』を破壊した後、オウガフォーミュラである『滅詩のユリと幽銃のシズク』を二人同時に相手取らねばなりません」
彼女たちは二人組のオウガ・フォーミュラである。
単純に戦力として考えるのならば、通常のオウガ・フォーミュラの二倍のちからを有している。
彼女たちの連携を突き崩し、この最終決戦を制しなければならないのだ。
「事態は一刻を争うでしょう。彼女たちの境遇には、同情の余地があるのかもしれません。ですが、そのためにカクリヨファンタズムを犠牲にすることはあってはならないのです」
ナイアルテは猟兵たちを送り出す。
今も世界はなんでもない日を紡いでいる。
全てが掛け替えのない一日であるというのならば、全てが特別で全てがなんでもない日。ならばこそ、その一日を守るためにオウガ・フォーミュラ、『滅詩のユリと幽銃のシズク』を打倒しなければならないのだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
これは『猟書家最終決戦シナリオ』です。
オウガ・フォーミュラ『滅詩のシズクと幽銃のシズク』との最終決戦を行い、彼女たちが内包する『偽物の世界』の膨張による崩壊からカクリヨファンタズムを救いましょう。
●第一章
集団戦です。
『幽銃のシズク』の内側に存在する『偽物の小さなUDCアース』から大量のUDC怪物が溢れ出しています。
これをまずは全て蹴散らさなければなりません。
●第二章
ボス戦です。
今にも膨れ上がろうとする『偽物の小さなUDCアース』に飛び込み、そこを支配する強大なUDC怪物『月蝕』を打倒します。
ですが、この『月蝕』は『偽物の世界』から大量のUDC怪物を次々と湧出點せ続けている元凶です。
押し寄せるUDC怪物の大群に対処しなければなりません。
プレイングボーナスとして『押し寄せる大量の怪物に対処しながら戦う』が設定されています。
●第三章
ボス戦です。
第二章にて破壊した『偽物の世界』を飛び出し、オウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』二人を同時に相手取る戦いになります。
シンプルに『戦力が二倍』である上に姉妹ならではの連携を見せます。
これに同時に対処しなければなりません。
それでは、奇病に冒された姉妹呼び込む破滅と崩壊を防ぐ皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『暴れまわるティラノサウルス』
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POW : がぶがぶ
【噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : びたーん
【尻尾】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : がおー
【大きな鳴き声】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『偽物の小さなUDCアース』よりカクリヨファンタズムに溢れ出すのは、『暴れまわるティラノサウルス』たちであった。
あまりに荒唐無稽。
それは現実を疑うような光景であった。
仮に此処が本当の世界であったとして、ティラノサウルスとはすでに滅びた存在である。
けれど、どういうわけか湧出し続ける彼等は本能のままに振る舞い、あらゆるものを食い殺さんとしている。
生物として見てもあまりにも凶暴すぎる。
「ぐっ……オレの中の『偽物UDCアース』からこんなのが溢れ出すとはな……爆発寸前だってのに」
『幽銃のシズク』がうめきながらも、その体から溢れ出す『暴れまわるティラノサウルス』を見つめる。
彼女の中で膨れ上がった『偽物の世界』は一体どのようなものであったのだろうか。
UDCアースだということはわかる。
けれど、この光景はあんまりであった。
あまりにも秩序がない。
なんでもない日ではなく、特別な日が延々と続く世界が彼女の中に内包しているのだとしか思えない。
「どちらにしたって、オレたちは此処までだ……だけどな! 猟兵がいるのなら!」
彼女の瞳は未だ永劫の如き死と蘇生の輪廻による諦観にまみれてはいなかった。
なんとしてでも彼女は手に入れる。
自身の、妹の身を苛む病を殺しうるもの。
『生と死を繋ぐもの』――ヤマラージャ・アイビーを、何度輪廻を繰り返すのだとしても決して諦めぬという意志の光が、『暴れまわるティラノサウルス』の群れの奥に消えるのだった――。
アレクサンドル・バジル
『世界を壊す爆弾』ねえ。また物騒なモノに変えられたもんだ。
カワイソーだが爆発する前に処理しねえとな。
そんで『偽物の小さなUDCアース』か。
偽物の世界……いつかの予兆で耳にした覚えがある気もするが。
それにしても脈絡なくジュラシックパークなのが最高にUDCって感じだな。
『闇黒炎雷』を発動。
戦場全体に黒い炎と雷を迸らせて恐竜を撃破または行動不能(消えない炎で燃え尽きるまで燃えますが)に。
まあ、時間がねえ。先を急ぐとするかね。
それは確実にUDC怪物であるとアレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は判断することができた。
カクリヨファンタズムに溢れ出る『暴れまわるティラノサウルス』。
「ギャアアアア――!!!」
けたたましく響き渡る『暴れまわるティラノサウルス』の咆哮。
まるで映画のCGじみた造形だったし、あまりにも荒唐無稽たる光景である。
何故彼等がこのカクリヨに存在しているのかと疑問に思うことすら馬鹿馬鹿しいと思えるものであったことだろう。
「脈絡なくジュラシックパークなのが最高にUDCって感じだな」
「ギャアアアア――!!!」
刎ねるようにして飛びかかってくるUDC怪物。その尾の一撃は確かに強烈であろうし、また同時に尋常ならざる数だ。
さりとて、後退する理由にはなっていない。
アレクサンドルにとって、目の前に湧き出るUDC怪物が如何なる姿をしていようとも関係なく滅ぼすべき存在であるからだ。
例え、オウガ・フォーミュラたる『滅詩のユリと幽銃のシズク』が悪魔によって死と蘇生を繰り返す輪廻に囚われ続ける奇病に冒されているのだとしてもだ。
「『世界を壊す爆弾』ねえ。また物騒なモノに変えられたもんだ」
確かに同情には値するだろう。
けれど、止まる理由にはなっていない。
猟兵とは世界の悲鳴に応える者である。
ならば、体内で膨れ上がり崩壊しようとしている『偽物の世界』も、不安定なカクリヨファンタズムであっても須らく踏み込まなければならない。
それが幾度となく繰り返される永劫の如き痛みと苦しみに塗れる哀れなる姉妹が相手であっても変わらぬことであった。
「『偽物の世界』……いつかの予兆で耳にした覚えがある気もするが」
幾度か聞いた言葉。それが何を意味するのか。そして、それを生み出した悪魔とは如何なる存在であるのか。
多くの疑問を払拭するためには戦わなければならない。
アレクサンドルの瞳が輝く。
それに、今考えたところで詮無きことである。
目の前に迫る脅威。
膨れ上がる『偽物の世界』の崩壊にカクリヨファンタズムを巻き込ませぬためにこそ、彼はユーベルコードを解き放つ。
「悉くを滅ぼせ、闇黒炎雷(クロイホノオトイカズチ)」
掲げた掌から噴出するのは黒い炎と黒い雷。
それらはカクリヨファンタズムに溢れ出すUDC怪物である『暴れまわるティラノサウルス』たちを次々に穿ち、また燃やす。
黒い炎は消えない炎である。
そして、黒い雷はUDC怪物である彼等を縛る縄のようなものであった。
「カワイソーだが爆発する前に処理しねえとならないんでな。まあ、有り体に言えば時間がねえってやつだ」
だから、とアレクサンドルは黒い炎と雷荒ぶカクリヨファンタズムを飛ぶ。
目指すのは『幽銃のシズク』の体内に膨れ上がる『偽物のUDCアース』。
あの『偽物の世界』を破壊しないことにはオウガ・フォーミュラたる彼女たちを倒す前にカクリヨファンタズムが滅びてしまう。
「そういうわけだ。先を急がせて貰うぜ」
アレクサンドルは『暴れまわるティラノサウルス』たちの尾の一撃を薙ぎ払うようにしながら大群を切り裂き、『偽物の世界』を目指すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
はっ!まさかリア充が爆発する原因はこのお病気では!?
爆弾は爆発する前に爆破すればよろしいのですわ〜!
んんん?あれは…
おティラノですわ〜!
ヴリちゃんそっくりですわ!
なんですヴリちゃん?
ヴリちゃんはおティラノじゃなくてアロサウルス?
こまけぇこたぁよろしいのですわ〜!
飛び道具を使うのはお無粋な気がしますわ
なので久々のノーマルヴリちゃんで参りますのよ
ラースオブザパワーで顎をキャッチ!
お得意の噛み付きを封じるのですわ!
掴んだらヴリちゃんスイング!ヴリちゃん叩き付け!
ジュラシックおバトルですわ〜!
例のBGMが聞こえてきますわ!
なんですヴリちゃん?
閻魔王と書いて何と読む?
ばくまおうに決まっておりますわ〜!
『自身の体内に「偽物の世界」が発生する』奇病。
それがオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』の『生と死を繋ぐもの』を求めた最大にして唯一の目的である。
死して蘇生を繰り返す輪廻。
内より膨れ上がる世界による圧死。
カクリヨファンタズムにおいて、それは世界を崩壊させる衝撃となるだろう。そもそも彼女たちは『世界を壊す爆弾』として改造されている。
それが正しい結末なのであろうが、しかし、その未来永劫続くであろう輪廻を断ち切らんとするのは、生命としてまた正しい行いであったのかもしれない。
「はっ! まさかリア充が爆発する原因はこのお病気なのでは!?」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)はよくUDCアースなどで『リア充爆発しろ』と叫ぶ者がいることを知っている。
お姫様は博識でもあるのだ。
彼女は溢れ出るUDC怪物を前に考える。
爆発するオウガ・フォーミュラ。爆弾そのもの。
「なら爆弾は爆発する前に爆破すればよろしいのですわ~!」
さすがの慧眼である。
爆発させないために爆破する。なるほどですね。だが、まあ、どっちみち爆発するっていう点に目をつぶれば、である。
しかし、そんな彼女の思索を断ち切るように『暴れまわるティラノサウルス』たちが『幽銃のシズク』の内に存在する『偽物UDCアース』より噴出する。
「ギャアアアア!!!!」
その咆哮はけたたましいものであった。
メサイアは漸くにして己に迫る大群を認識したのだ。
「んんん? あれは……おティラノですわ~! ヴリちゃんそっくり……なんですヴリちゃん? え、ヴリちゃんはおティラノじゃなくてアロサウルス?」
異竜 。それがアロサウルスである。
彼女のキャバリア『ヴリトラ』はティラノサウルス型ではないのである。
なので、一応否定はしておかなくてはならないのだ。何より色がね。緑色より黒色の方がおかっこいいのでありますわ。
「こまけぇことはよろしいのですわ~!」
メサイアは『ヴリトラ』の否定を一刀両断にしてキャバリアである『ヴリトラ』を駆り、迫る『暴れまわるティラノサウルス』を掴み上げる。
噛み付きは装甲を抉るほどの威力を持っているが、メサイアの瞳がユーベルコードに輝く。
どれだけ強靭な顎であろうとも噛みつかれる前に掴み取ってしまえばいいのである。
そして、『ヴリトラ』に宿るのは憤怒の剛力(ラースオブザパワー)。
現状の『ヴリトラ』はノーマルタイプ。
久しぶりですわね~とメサイアは感慨深い顔をしているが、そういう問題ではない気がする。
どノーマルということは、即ち武装があまりないということである。
「そんなことはないのでありますわ~! 武器? 武器ならあるじゃありませんの~! そう! あなたが武器!」
掴んだ『暴れまわるティラノサウルス』をぶん回すのである。
「ヴリちゃんスイング! ヴリちゃん叩きつけ! ジュラシックおバトルですわ~!」
例のBGMが聞こえてきますわ~! とメサイアが言っているが著作権的にあれなので、音声無しでお楽しみいただきたい。
ぶん回されるティラノサウルスは溜まったものではない。
激突し、叩きつけられ、全身の骨が砕けてもなおひしゃげるまで肉を叩きつける。
壊れて使い物にならなければまた別のティラノサウルスをひっつかめばいいのである。
まさに暴虐の王。
『ヴリトラ』の咆哮がカクリヨファンタズムに轟きメサイアは『幽銃のシズク』のうちにある『偽物UDCアース』を目指して一直線に突き進む。
「なんでヴリちゃん?」
何か『ヴリトラ』が言っている。
洪水の如きティラノサウルスの波をかき分けるように、ティラノサウルスをぶんまわしている最中である。お楽しみはこれからなのである。
けれど、ヴリトラの問いかけにメサイアは勝ち誇った優美な顔で言うのだ。
「『閻魔王』と書いてなんと読む? ふ、簡単ですわ~!『ばくまおう』に決まっておりますわ~!」
本を、読め姫様――!!
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だが、たぶん関係ない
陰海月「ぷっきゅ!」
…陰海月語を翻訳してお送りします…
何だかびゅーびゅーおじーちゃん(『疾き者』)が無茶しそうだから、ぼくが先手とった!
むむ。カクリヨ猟書家最終戦なんだね!ここはぼくが戦うもん!
さーてと、恐竜がいっぱいだ!
四天霊障(極彩色)使って…音遮断の結界はったらいいかな?鳴き声聞こえないもーん!
光珠をぽいぽい投げていこう。ここを切り抜けなきゃいけないからね!ぼくも全力!
だからね、びゅーびゅーおじーちゃん。無理するとしても、もうちょっと後だよ!
ユーベルコード、四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)によって巨大クラゲである『陰海月』と合体を果たした馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。
四柱の悪霊を束ねた猟兵である彼等は突然のことに驚いたかもしれない。
オウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』との戦いは熾烈を極めるものであるだろう。
『陰海月』曰く、『なんだかびゅーびゅーおじーちゃんが無茶しそうだから』とのことである。
恐らく『疾き者』のことを言っているのだろう。
「いくらなんでも無茶が過ぎませんか?」
彼は今の状態を憂うだろう。
先手を取られてしまったことは『疾き者』としての名を持つ彼にとっては恥ずべきことであったかもしれない。
けれど、彼等を思う『陰海月』の心を無為にはできない。
とことん孫には甘いおじいちゃんといった体が板に付いてきたようでもある。
『むむ。カクリヨ猟書家最終決戦なんだね! ここはぼくが戦うもん!』
そう言って聞かないのである。
1680万色に輝く四悪霊の呪詛纏いし体がふわりと浮かび上がる。
合体したことにより、その煌めく体は『幽銃のシズク』より放たれる『偽物UDCアース』のUDC怪物。
『暴れまわるティラノサウルス』たちが一斉に光に引かれるように飛びかかってくる。
「ギャアアアア――!!!」
けたたましい咆哮。
ティラノサウルスとはこのように鳴くのだろうか?
いや、多分鳴き声の真贋など恐らく意味はない。UDC怪物であるし、どこかCGで出来たような風体が『偽物の世界』から湧出したことを知らしめる。
『さーてと、恐竜がいっぱいだ!』
『陰海月』は極彩色の光珠を手に取り、投げ放つ。
やかましい鳴き声も音を遮断する結界を張り巡らせ、聞かないとばかりに彼は飛び上がる。
触腕で投げ放つ光珠がカクリヨファンタズムの空を染め上げていく。
『暴れまわるティラノサウルス』たちが次々と打ちのめされていく。
だが、それだけでは終わらない。
彼等は次々から次へと湧き上がってくるのだ。
これらをなぎ倒して『偽物UDCアース』の中に存在する強大なUDC怪物を打倒しなければ、恐らくカクリヨファンタズムは狂気に包まれ、崩壊してしまうだろう。
不安定な世界であるカクリヨファンタズムであればこその危機であることに間違いない。
だからこそ『陰海月』は急ぐ。
全力を尽くすのだ。
ここを切り抜けなければならない。そのために全力を出すことなんて厭う理由なんてないのだ。
それに、と『陰海月』は合体した『疾き者』たちに告げる。
『だからね、びゅーびゅーおじーちゃん。無理するとしても、もうちょっと後だよ!』
彼にとって四柱の悪霊たちはそういう存在なのだろう。
人ではない。
悪霊であるからこそできることもあるだろう。
けれど、それで傷つくのを厭う者がいることを覚えておくべきなのだ。
己が傷ついて構わぬというものを憂う者こそが、本当に守るべき心であると『陰海月』の無邪気な純粋さが四悪霊に如何なるものを齎すだろうか。
その答えを知るのは他ならぬ彼等だ。
『さあ、いくよー!』
『陰海月』の鳴き声がカクリヨファンタズムに響き渡り、けたたましいUDC怪物の鳴き声を塗りつぶすように圧倒的な物量を押しのけるように1680万色に輝く道を作り上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
【PH】
月夜さん(f01605)と共闘
無限湧きする恐竜で埋め尽くされた世界が最期は爆発四散して強制バッドエンドですか…!?
それではあまりにも締まらないのでは?
今日日そんな|Z級ホラー《駄作》が世に放たれるだなんてちょっと我慢がなりません
ネットで悪評が炎上する前に無かったことにしてしまいましょうか
クソシナリオを書いた脚本家は降板!原作も燃やして絶版にして証拠隠滅です
誰も不幸になんてさせやしないぞ!
◆『相転移イフリート』
炎魔の精霊体と化した金剛身で無差別攻撃をジャストガード
焼却+念動力宿す特大スレッジハンマーで重量攻撃+乱れ撃ち
こんがり焼けたミート・ボールの出来上がりですよー
お代わりもありますよー
月夜・玲
【PH】戒道さん(f09466)と
悪魔に改造された…ねえ
デビルキングワールドの悪魔…じゃあないだろうし
しかしまあ、体内に世界を内包してパニック映画を作るシステムなんて難儀な…
あ、このティラノサウルス…ティラノサウルス感ちょっと古い!
毛が生えて無いよ毛が!
つるっとしてる!
最近は羽毛が生えてるのが流行りらしいよ、諸説あるけど!
【神器複製】起動
複製神器を『念動力』で操作
100本は真っすぐ飛ばして『串刺し』攻撃で牽制
近接戦闘で処理できる程度に近寄らせて尻尾の攻撃を残りの複製で『武器受け』からの『カウンター』で尻尾を『部位破壊』!
でっかい尻尾肉とかなかなか見ないよこれ!
戒道さんついでに焼いといて!
『世界を壊す爆弾』――それがオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃シズク』である。
彼女たちの中に膨れ上がる『偽物の世界』。
それらが膨れ上がり圧死する。しかし、それは輪廻の如き永劫の始まりに過ぎない。
死と蘇生。
繰り返されるリスタート。
彼女たちはあらゆるものを時間をかけさえすれば殺すことのできる懐刀『生と死を繋ぐもの』を求めた。
彼女たちの奇病を止めうるものを。
しかし、彼女たちを改造した悪魔とは如何なる存在であったのだろうか。
数多の世界を知る猟兵であるのならば悪魔とはデビルキングワールドに住まう最強の種族たちのことを指す。
「良い子の種族だしなぁ……デビルキングワールドの悪魔……じゃあないだろうし」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は首をかしげる。
彼女に思い当たる節があったのだろうか。
悪魔に改造されたと『滅詩のユリと幽銃のシズク』は言っていた。名前通りの悪魔であるというのならば、良い子そのものたるデビルキングワールドの悪魔たちが悪行を為すとは思えない。
「しかしまあ、体内に世界を内包してパニック映画を作るシステムなんて難儀な……」
「いやこれはこれで」
玲の言葉に戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は厳しい顔で目の前に広がる『偽物の世界』から溢れ出すUDC怪物を見て唸る。
「無限湧きする恐竜で埋め尽くされた世界が最期は爆発四散して強制バッドエンドですか……? それではあまりにも締まらないのでは?」
「それに、あのティラノサウルス……ティラノサウルス感ちょっと古い!」
彼女たちが目の前にしているUDC怪物は『暴れまわるティラノサウルス』たちであった。
けたたましい鳴き声を上げ、『幽銃のシズク』の体が湧出し続けているのだ。
ぎらぎらと輝く鱗。
巨大な体躯。
一昔前の映画のCGのような怪物たちなのだ。
玲の言葉通り、たしかに古いと感じる。
「毛が生えてないよ毛が! つるっとしてる! 最近のは羽毛が生えてるのが流行りらしいよ、諸説あるけど!」
「それもまた一周回ってそうな説までありそうですな。というか、今日日そんな|Z級ホラー《駄作》が世に放たれるだなんてちょっと我慢がなりません」
蔵乃祐もまた玲に負けず劣らずのサブカルマニアなのだろうか。
言動がイキイキしているような気がしないでもない。
「ネットで悪評が炎上する前になかったことにしてしまいましょうか。クソシナリオを書いた脚本家は降板! 原作も燃やして絶版にして証拠隠滅です!」
そんな彼の瞳がユーベルコード、相転移イフリート(ソウテンイイフリート)を発現させ、炎の色に煌めく。
炎魔の精霊体と化した蔵乃祐は、己に迫らんと飛びかかる『暴れまわるティラノサウルス』たちを近づいた瞬間から発火能力によって燃やし尽くす。
あらゆる牙も、あらゆる爪も、あらゆる尻尾による殴打も彼には届かない。
全てが彼自身を炎へと変えたユーベルコードの前に滅却されるのだ。
それは証拠隠滅たる炎。
玲の言葉通り、少し古いティラノサウルス感を焼き尽くすかのようであった。
「ギャアアアア――!!」
だが、数が多すぎる。
『暴れまわるティラノサウルス』たちの咆哮と共に炎を押し返さんばかりに膨大な数が溢れ出し続けている。
これがカクリヨファンタズムに満ちれば、それだけで世界が破滅に導かれてしまう。
それほどまでに『偽物の世界』から溢れ出すUDC怪物の勢いは凄まじく、また同時にカクリヨファンタズムの不安定さを物語っていた。
「神器複製(コード・デュプリケート)……そういう古臭いティラノサウルスは全部、すっ飛ばしてあげよう」
玲の瞳がユーベルコードに輝くと同時に複製されるは、彼女の手にした模造神器。
百を超える複製された模造神器の刀身が蔵乃祐の放つ炎に揺らめいて、煌めきながら宙を舞う。
雨のように降り注ぐ刀身が迫りくる『暴れまわるティラノサウルス』を切り裂き、膾切りにしていく。
「世に出てはならぬ作品はないのですが、それでも誰かを不幸にするものは確実に存在するのです。ならばこそ、誰にも不幸になんてさせやしないぞ!」
蔵乃祐の炎が燃え上がる。
手にしたスレッジハンマーで『暴れまわるティラノサウルス』を叩き潰して肉団子のようにしてしまう。
「こんがり焼けたミート・ボールの出来上がりですよーおかわりもありますよー」
そんな蔵乃祐の横で玲は模造神器の刀身にぶっ刺したティラノサウルスの尻尾ををマシュマロを焼くように彼の炎で炙るのだ。
「でっかい尻尾肉とかなかなか見ないよこれ!」
テンションが高い。
人間はそもそもが狩猟民族。
狩りこそが人の本能を目覚めさせるのならば、二人は今まさにテンションの最高潮にあったのかもしれない。
漫画のような肉団子と尻尾肉。
二人は逼迫した事態にあっても、持ち前のメンタリティで狂気満ちる『偽物の世界』を切り裂いていくのであった――。
大成功
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牧杜・詞
【司さんと】
死ぬことを諦めない。
なんだか矛盾しているような言葉だけど、
何度も輪廻とかしてると、そんなふうにもなるものなのかしらね。
殺人鬼としては『死にたい』なんていう人を殺すのは、あまり楽しくはないのだけれど、
猟兵としては、殺してあげるのがいいのかしらね。
偽物の世界から生み出された偽物の命……。
でも生きてることには変わりないわ。
【鉄和泉】を抜いて【識の境界】を発動させ、トカゲを始末していきましょう。
司さん、半分任せるわ。
背中を心配する必要がないのは楽ね。
そのぶん楽しみは半分になってしまうけれど、ね。
それにしても……。
司さん、何度か見ているけど剣も姿も美しいわね。
いつか突き立てたくなっちゃうわ。
椎宮・司
【詞さんと】
いやはや、なんと言っていいのやら
悪意のない悪行ほど酷いモノはないねえ
実験体のような扱いはあたいも身に覚えがあることだし
殺されることが救いなら斬ってあげようじゃあないか
……若干、詞さんが気乗りしていないのがなんというかまぁその
ええい、とりあえず斬ろう、うん
って最初はトカゲかい!!
おうよ、半分は任された
動き回ってくれて構わないよ
こっちも【擬・神懸かり】でどんな距離でも対応できるさね
あれまぁ、楽しそうに斬るねえ
さっきまでの気乗りしてない表情は何だったのか
おっと、なんか背中に悪寒走ったぞ?
これはあたいも狙われてるかー?
なかなか激しい愛だねえ
斬り愛も嫌いじゃないんだがまぁ後にしようかね?
生命というものが死を終着点にするのならば、生きることは即ち死ぬことである。
魂が輪廻を解脱することを目的とするのならば、死と蘇生を繰り返すオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』は正しく生を全うしようとしていたのだろう。
問題なのは、そのやり方である。
如何なる存在をも時間をかければ必ず殺す懐刀『生と死を繋ぐ者』。それを求め、世界を破滅させる。
カクリヨファンタズムは不安定な世界だ。
如何に『偽物の世界』とは言え、UDC怪物が溢れ狂気に満たされれば滅びに向かうは必定。
ならばこそ、止めなければならない。
それが猟兵という在り方であるのならば。
「死ぬことを諦めない。なんだか矛盾しているような言葉だけど」
牧杜・詞(身魂乖離・f25693)は思う。
彼女たちが求めるのは死だ。
生きるために死を求める。死ぬために生きる。
矛盾をはらむように思えてしまうのは己が生きているかであろう。
「何度も輪廻とかしてると、そんなふうにもなるものなのかしらね」
「いやはや、なんと言っていいのやら」
悪意のない悪行ほど酷いものはないのだと椎宮・司(裏長屋の剣小町・f05659)は肩をすくめる。
彼女もまた実験体のような扱いは身に覚えがある。
オウガ・フォーミュラたる彼女たちは悪魔によって『世界を壊す爆弾』に改造されたのだという。
「『死にたい』なんて言う人を殺すのは、あまり楽しくはないのだけれど、猟兵としては、殺してあげるのがいいのかしらね」
詞は首をかしげる。
気乗りはしない。けれど、やらねば世界が滅びるというのならば、殺人鬼としての業を振るうことに躊躇いはないのである。
なめらかな所作で引き抜かれる深い緑色に輝いて見える刀身。
彼女の手にあるのは『鉄和泉』。濡れたような色合いを見せるのは、カクリヨにあっても変わらず。
「ええい、とりあえず斬ろう、うん」
司は詞があまり乗り気ではないなりに戦う意志を見せていることに踏ん切りをつける。
確かにオウガ・フォーミュラである彼女たちは死にたがっている。
我が身の内側で膨れ上がっていく『偽物の世界』によって圧死と爆散を繰り返す。死と蘇生は救いですら無い。
故に司は迫りくる『暴れまわるティラノサウルス』を見やる。
「って、最初はトカゲかい!!」
思わず突っ込んでしまっていた。
「偽物の世界から生み出された偽物の生命……」
「ギャアアアア――!!」
けたたましい咆哮。
それは作り物めいた姿をしていた。つるりとした姿。まるでCGかハリボテのような体躯。
『暴れまわるティラノサウルス』は『幽銃のシズク』の体内にある『偽物UDCアース』から湧出するUDC怪物である。
実在したであろうティラノサウルスの姿ではなく、想像し作り出された姿でしかないのだ。
だからこそ、二人は刀を手に背中を合わせる。
あまりにも膨大な数。
しかし、これらを放置しては世界が滅びrのなら。
「でも生きていることには変わりないわ」
詞の瞳がユーベルコードに輝き、衝動を開放する。
即ち殺人鬼としての衝動である。今、詞の周囲は識の境界(シキノキョウカイ)へと変わる。
踏み込んできたものすべてを切り捨てる境界。
彼女の前に立つものは須らく切り捨てられる。
「司さん、半分任せるわ」
その言葉に司は頷く。
「おうよ、半分は任された」
背を預け、詞が走り込む。
背中の心配はない。思う存分刀を振るうことができる。翻る着物の裾。走り込むたびに血閃が刻まれる。
首を両断する。唐竹のように切り裂く。尾を寸断する。
彼女の所作は全てが切断に至る流れのようなものであったことだろう。そこに美しさを見出すものもまたいたかもしれない。
けれど、そんな彼女が見惚れるものがあった。
何度か見たことのある司の剣技であった。
ユーベルコードの輝き。
それは司の手にした御守から発露する神気であった。纏う神気は煌めく清涼なる剣気そのもの。
放たれる斬撃は『暴れまわるティラノサウルス』たちを切り裂く。
「あれまぁ、楽しそうに斬るねぇ」
そんな司は詞の姿を見やる。
あまり気乗りをしていないようであったが、今は違う。楽しげに斬っている。楽しげなことは良いことだと思う。
けれど、司は気がついた。詞の視線を。見られていると、見たわけではない。
ただ背中に走る悪寒。
「いつか突き立てたくなっちゃうわ」
見惚れる視線。
詞の視線はそのまま司の背に走る寒気そのものであった。けれど、司は笑う。
自分も狙われているのかもしれない。
これまた激しい愛だねえ、などと笑っているのだ。
「斬り愛も嫌いじゃないんだが、まあ後にしようかね?」
司の余裕たっぷりな笑顔は、擬・神懸かり(シンジルモノハスクワレル)の放つ剣気の中に宿る清涼さと共に大群となって迫る『暴れまわるティラノサウルス』たちを蹴散らすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御影・しおん
あらあら、少し眠り込んでいる間に大変な事になってるわね
これでも居心地は悪くない場所だから、止めさせてもらうわね?
あら、アスリートアースに続いて今度はジュラシックアースでも見つかったのかしら?
……くすくす、冗談よ?
それじゃあUC【Unknown】を使い、虚実入り混じる光と闇の弾幕を張りながら突破を試みるわね
あら、それが何かは判らずとも何かが居る事は解るから噛もうとするのね
けど、考え無しに近寄れば虚構に混じる実在に撃ち抜かれるわよ?
まあ、それで尻込みする知恵が働くなら、こっちから近寄って『黄昏の龍爪』で引き裂くだけね
さあ、光と闇、偽物と本物、生と死、全部ぐるぐる入り混じって踊りましょう?
カクリヨファンタズムの中で目覚める者がある。
一つあくびでもすればそれらしかったのかもしれないけれど、御影・しおん(Unknown・f27977)は相対するものによってどこか胡散臭いという印象与える笑顔のままに溢れ出すUDC怪物『暴れまわるティラノサウルス』たちの姿を見やる。
つるりとした鱗。
強靭な体躯。
けたたましい鳴き声。
どれもが本物であるかなど些細な問題であるというようにカクリヨファンタズムに溢れ出している。
「あらあら、少し眠り込んでいる間に大変なことになってるわね」
彼女は首をかしげる。
カクリヨファンタズムは不安定な世界である。
少しのことでもカタストロフが起こってもおかしくない世界。故に、狂気満たさんとするUDC怪物が湧出したのであれば、これを止めねばならない。
毎日がカタストロフの危険に晒されている世界など、他世界を知る猟兵であってもカクリヨファンタズムしかないだろう。
「あら、アスリートアースに続いて今度はジュラシックアースでも見つかったのかしら?」
彼女は真剣な顔をしていない。
「……くすくす、冗談よ?」
笑顔のまま迫る『暴れまわるティラノサウルス』を見つめる。
「ギャアアアア――!!!!」
けたたましい咆哮。
全てが作り物。
擬物。
『偽物の世界』から生み出された偽物の怪物。
哀れもなにもない。あるのは虚実入り交じる光と闇の弾幕だけであった。
それこそが彼女のユーベルコード。
彼女自身が知覚と認識、そして把握が困難な飛行物体、即ち、Unknown(アンノウン)へと変じる。
弾幕は『暴れまわるティラノサウルス』たちを打ちのめすだろう。
しかし、それで終わるUDC怪物ではない。
彼等は動くもの全てに顎を開く。
虚実であろうと真実であろうと構わないのである。
知恵はなく。
ただ動くものを狙う。
それがティラノサウルスだとでもいうように顎を開くのだ。
「まあ、弾幕に尻込みするような知恵が働くことなんてないわよね。それが作り物のティラノサウルスというものなのだから」
しおんの手元に浮かぶ黒い結晶。
光を吸い込む力は、四肢を覆う黄昏の龍爪となって力を発露し、UDC怪物を切り裂いて溢れ出る大波の如き道を突き進む。
「さあ、光と闇、偽物と本物、生と死、全部ぐるぐる入り混じって踊りましょう?」
しおんは嫋やかに笑う。
光と闇の弾幕も、迸る竜爪も、湧出するUDC怪物程度では彼女を止められないという事実を証明する道具でしかない。
目の前に飛び込むべき世界がある。
『偽物の世界』――膨れ上がり、オウガ・フォーミュラたる『滅詩のユリと幽銃のシズク』を死と蘇生の輪廻に導くもの。
『世界を壊す爆弾』そのものたる彼女たちを打倒するために、しおんはためらうことなくUDC怪物を切り裂くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
……ティラノサウルスの姿は諸説あるけど……
…いかにもな姿のティラノサウルスだな……UDCの学会で発表すれば一騒ぎだろうけど…
…あそこ偽物の世界という事は…あの世界ではこの姿、現実とはまた違う…と思った方がいいか…
…操音作寂術式【メレテー】で音を操作…咆吼を抑えてしまって…
…【空より降りたる静謐の魔剣】を発動…
…ティラノサウルスたちに数多の氷の魔剣を叩き付けよう…
…直接的な攻撃は勿論…魔剣とその凍結効果によって空気が冷えるから動きも鈍るだろう…
…さて…何時までも相手をしてられないね…先を目指すとしようか…
『偽物の世界』である『偽物UDCアース』から溢れ出すUDC怪物たちは、その姿をこそ偽物であるとする証左であったのかも知れない。
狂気の如き姿。
つるりとした鱗。
けたたましい鳴き声。
爛々と輝き眼球。
どれもが偽りであると知る事ができるだろう。
『暴れまわるティラノサウルス』――ティラノサウルスの姿は諸説ある。
いずれも過去に在りし恐竜。
だが、其の姿を真に見たものは未だいないのだ。ならばこそ、人は想像力を働かせる。
鱗の形はこうであり、色はきっとこんなふうであったと。
強靭なる姿に人は何を見出すだろうか。
少なくとも、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は研究者としての好奇心と知識欲を持って相対する。
「……如何にもな姿のティラノサウルスだな……UDCアースの学会で発表すれば一騒ぎだろうけど……」
とは言え、溢れ出してきている源が『偽物の世界』であるというのならば、一気に信頼性がおちるものである。
「……あの『偽物の世界』ではこの姿、現実とは違う……と思った方がいいか……」
「ギャアアアア――!!!」
けたたましい鳴き声。
そのいななきの如き声をメンカルは操音作寂術式『メレテー』でもって音を操作する。
音とは即ち震動である。
ならばこそ、指向性を少し変えるだけでメンカルの耳元には届かぬものとなるのだ。
「……停滞の雫よ、集え、降れ。汝は氷刃、汝は驟雨。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣」
メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
此処はカクリヨファンタズムだ。狂気を放つUDC怪物が満ちれば、ただそれだけで世界が滅ぶほどに不安定である。
一体残らず打倒して、『偽物の世界』に飛び込まなければならない。
彼女の頭上に生まれるのは魔剣。
そう、空より降りたる静謐の魔剣(ステイシス・レイン)が『暴れまわるティラノサウルス』たちめがけて放たれ、その斬撃が彼等を大地に縫い止め、切り裂いた傷口から凍結していくのだ。
元より恐竜は寒さに弱いもの。
進化した先の爬虫類がそうであるように、彼等もまたそうして滅びる運命でしかない。
彼等が想像から生み出しされた創作物。
その狂気によって形作られた怪物であるというのならばこそ、その想像の領域を逸脱することはないのだ。
「……さて……何時までも相手をしてられないね……」
メンカルの放つ魔剣の群れがティラノサウルスたちを次々に凍結し、砕いていく。
敵の本丸はオウガ・フォーミュラ『滅歌のユリと幽銃のシズク』の体内にある『偽物UDCアース』に存在している。
この湧出し続ける怪物たちの源を叩かねば、『世界を壊す爆弾』に改造された彼女たちの死に巻き込まれる以前に世界が崩壊してしまう。
「……先を目指すとしようか……」
メンカルは砕けて散ったUDC怪物たちの残滓を横目に膨れ上がらんとしている『偽物の世界』へと飛び込んでいく。
『偽物UDCアース』。
果たして其処に待ち受けるのは、如何なる存在か。
己の知識欲がうずくのを感じたかもしれない。世界一つを作り上げる悪魔に寄る改造。膨れ上がり、世界すらも壊す存在。
死と蘇生を繰り返す輪廻。
それを断ち切ることのできるのは、ただ一つ、『生と死を繋ぐもの』。
奇病と称された『滅詩のユリと幽銃のシズク』、オウガ・フォーミュラたる彼女たちの爆発にカクリヨファンタズムを巻き込まぬためにこそ、メンカルは今まさに未知へと飛び込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『月蝕』
|
POW : 静かの海
【ナイフ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 熱の入江
【身体を腐食させる劇物】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 善良の湖
技能名「【見切り】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
イラスト:香
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ショコラッタ・ハロー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
それはいつかの何処かであった。
そして、其処に佇むのもまたいつかの誰かであった。
オーバーサイズのコートを羽織ったセーラー服の少女が交差点を見下ろしている。
湧出し続ける恐竜たち。
そのどれがも真実の姿ではなかった。
彼女の頭の中にある空想。
日常の象徴たる交差点。
人々が行き交う中にあるのは、彼女が生み出したUDC怪物であるティラノサウルスばかりであった。
「これあがなんでもない日。特別を塗りつぶすのは平凡なる日ではなく、特別を零落させる非日常の連続。ああ、そうだよ。誰も責めることはできやしない」
彼女は、UDC怪物『月蝕』は微笑むでもなければ、悲しむ様子もなかった。
別段感じるところはなかったのである。
彼女はなんでもない日をこそ憎む。
だからこそ、永遠を求める。
特別を永遠に味わい続けたい。
けれど、彼女が述べたようにこれは間違っている。
特別な日を連続させることによって、特別な日は終わりを告げる。
「何度繰り返してもボクは為すことができないでいる」
その瞳は喜びも哀しみもなかった。
空虚。
彼女が成し得ぬものを求めたがゆえの空虚に染まった瞳が、ティラノサウルスのけたたましい鳴き声にかき消されるように日常を象徴する交差点の中に埋没する――。
戒道・蔵乃祐
【PH】
月夜さんのグリモアで僕のクロムキャバリアを転送してもらいますね
着払いでいいかな!?
※騎乗戦闘
◆『RSGレール・キャノン』
RSティルヴィング+かばう+乱れ撃ちで月夜さんをカバー
殺到し続けるティラノに弾幕を張ることで『押し寄せる大量の怪物に対処』
幾ら全てが思い通りにいかなかったとしても捨てゲーはつまらなくないですか?
僕は平々凡々に繰り返される平穏無事な日常も嫌いじゃないです
しかし体は闘争を求める
25周年記念ありがとう
スリリングで刺激的な非日常と青天の霹靂
10年ぶりの新作おめでとう
速度と質量で熱の入江に対抗
怪物の肉壁、劇物の潮流を穿つ電撃+限界突破の高速鉄鋼弾が『月蝕』を重量攻撃で撃ち貫く
月夜・玲
【PH】
年末は宅急便も割増料金が…!
まあ多分何とかなるでしょきっと!
というか、女の子にキャバリア酷ない?
絵面が酷い事になるよ?
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
カバーしてくれるのは嬉しいけれど…守られるだけってのも柄じゃない
キャバリアを足場にジャンプ
上空より『念動力』で最大拡張した『斬撃波』を放ちティラノサウルスを『薙ぎ払い』
寄らば斬る、寄らないならば…寄って斬る!
空虚を感じるのは自由だけど、人に押し付け
【ex.code:A.P.D】起動
通電物質内移動の能力を使って戒道さんの徹甲弾に相乗りさせて貰って突貫!
雷鳴電撃を纏わせた斬撃も弾頭のおまけに付けちゃう!
新作発表だー!
「やあ、猟兵。遅かったね。いや、早かったねともいうべきなのかな。ボクにはわからないことだけれど。停滞していない時を生きる君たちにとって、ボクという存在は停滞して見えるんだろうね」
『偽物UDCアース』の中心にありてUDC怪物『月蝕』は迫る猟兵たちの姿を捉えてそう告げる。
身より溢れるは全てを腐食させる劇薬。
彼女は交差点を見下ろす建物の屋上から猟兵たちを見下ろす。
溢れるのは劇薬だけではなかった。
UDC怪物である恐竜たちもまた同様に溢れ出して止まらない。
まるで大河のように溢れる敵を前に猟兵たちは如何にしてこれを切り抜けるのか。
答えは簡単だった。
敵が膨大な数であるというのならば、当たるを幸いにぶっ放すだけである。
「出力最大。弾頭装填」
重力制御と電磁誘導を併用したユーベルコードの輝きが『偽物の世界』に煌めく。
それは、RSGレール・キャノン(グラビトロンレール・キャノン)。
鋼鉄の巨人たるクロムキャバリアに掲げられた砲身。
その銃口が迫りくるUDC怪物たるティラノサウルスの群れに向けられる。
戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は月夜・玲(頂の探究者・f01605)に運んできてもらったクロムキャバリアのコクピットの中で静かにつぶやく。
着払いでいいかな、と冗談めかして言ったつもりであったが、玲の言葉はわりと本気のことばであった。
「年末は宅急便も割増料金が……! まあ多分なんとかなるでしょきっと! というか女の子にキャバリア酷ない? 絵面が酷いことになるよ?」
玲の言葉は尤もであったことだろう。
けれど、迫りくるUDC怪物たちをなぎ倒すには弾幕で持って道を切り開くしかないのだ。
「なんとかなりますよ。というわけで敵の群れはこちらに任せて!」
蔵乃祐のクロムキャバリアのレールキャノンが火を噴くように弾幕を撒き散らす。敵の数などものともしないかのような弾幕は、次々とあふれかえるUDC怪物たちを蹴散らしていく。
「カバーしてくれるのは嬉しいけれど……守られるだけってのも柄じゃない」
玲は戦場となった『偽物の世界』を疾駆する蔵乃祐のキャバリアの肩に掴まりながら、あふれかえるUDC怪物の中心たる交差点に存在する『月蝕』を見やる。
あの敵がこの湧出の源であるというのならば、あれを打倒しない限りカクリヨファンタズムの破滅の危機は免れないだろう。
抜き払った模造神器と共に玲はキャバリアの肩を蹴って飛ぶ。
念動力で拡大された斬撃の衝撃波を放ち、UDC怪物を薙ぎ払う。
「寄らば斬る、寄らないならば……寄って斬る!」
「それはボクも同じさ。猟兵」
UDC怪物に紛れるようにして接近してきていた『月蝕』のコートが風になびくのを玲は見ただろう。
手にしたカランビットナイフの一閃が模造神器とぶつかって火花を散らす。
そこに蔵乃祐の放つ砲撃が叩き込まれれば、互いに爆煙の中に紛れ距離を取る。
「虚しいね。これがどれだけ世界を壊す特別な日なのだとしても、破滅してしまえば終わりとなる。この瞬間を永遠にしたいのに、それでお仕舞いというのは、とても虚しいね」
『月蝕』の言葉は、狂気というより空虚に塗れていた。
偽物の世界を壊すこと。
それは彼女にとって本来の目的ではない。
世界を壊すという特別。その頂点であり続けるということは、新たなる世界を壊し続けねばならぬということ。
それが日常になれば、彼女の求めるものは永劫に手に入らない。
「いくら全てが思い通りにいかなかったとしても、捨てゲーはつまらなくないですか?」
蔵乃祐の駆るキャバリアのブラストナックルの一撃が『月蝕』に叩き込まれる。
それをカランビットナイフの短い刀身で受け止め、コートをはためかせながら『月蝕』は首をかしげる。
捨てゲー。
其の言葉に意味を見いだせていないようである。
「僕は平々凡々に繰り返される平穏無事な日常も嫌いじゃないです」
「ボクの好きと君の好きは相容れないようだね。猟兵だからかな」
「しかし体は闘争を求める」
それは真理であったのかもしれない。
人が人である以上、それは避け得ぬ命題であったのかもしれない。己と他を自覚するからこそ、相容れぬものが生まれ、争いが生まれる。
より善きを求めるのならば、争いこそが、昇華の坩堝であるからこそ、人は闘争を本能的に求めるのかもしれない。
スリリングで刺激的な非日常と晴天の霹靂。
「戒道さんさー、なんか別の感じになってない?」
玲は蔵乃祐が言っている言葉の意味する所を理解したのかもしれない。
多分、二人の共通の趣味であるサブカル界隈で激震が走ったせいかもしれない。出ないでないと言われていた新作がついに出たのかも知れない。
今からハードを確保しておかなきゃ、とか。現状ナンバリング最終作品を遊ぶためには二世代くらい前のハードを持っていないといけないとか。
なんとかそんな感じのことを。
それは一瞬のアイコンタクトで通じたったものであったかもしれない。
ブラストナックルとカランビットナイフの刀身が火花散る時にやるやり取りではないような気がしたが、しかしながら蔵乃祐のキャバリアの放ったブラストナックルの一撃が『月蝕』の動きを止めたのだ。
「空虚を感じるのは自由だけど、人に押し付けないでよね。雷龍解放、転身…プラズマ・ドラグーン」
そういうのが一番嫌いなのだと玲は言うように己の体を稲妻の龍と融合せしめる。
Ex.Code:A.P.D(エクストラコード・アヴァタールプラズマドラグーン)。それこそが彼女のユーベルコード。
蔵乃祐のキャバリアが『月蝕』を止め得たのはわずかに一瞬。
されど、その刹那の如き時間に駆けることができるのは、彼女のユーベルコードをおいて他にはない。
「ボクはボクの世界を求めているだけだよ。変わらぬ毎日ではなく。変わりゆく毎日を」
「それで世界を壊していたら本末転倒でしょうに」
「もっと視野を広く持とうよ!」
重力制御と電磁誘導によるレールキャノンの砲弾は、空気中に帯電を齎す。
そして、玲のユーベルコードは通電物質内移動の能力を得る。ならば、彼女の速度は、この瞬間において光速。
一瞬で距離を詰めた玲が模造神器の斬撃の一撃を『月蝕』に叩き込む。
刺激的な毎日と平々凡々な日々は重なるだろうか。
『月蝕』には理解できぬことであったかもしれない。彼女にとって目に見える世界こそが真実である。
しかし、エンターテイメントという虚構の中に刺激を求め、日常を謳歌することのできる者たちもいるのだ。
言ってしまえば。
「それはそれ。これはこれ、ということでありましょうが」
「それはともかくとして新作発表だー!」
二人は世界が破滅することに寄って得られなくなるエンターテイメントをこそ求める。
それは『月蝕』の求めるものとは相容れぬもの。
故に二人のユーベルコードは『偽物の世界』に煌めき、その強大なる存在を打ちのめすんおであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
むむ!あれがツキクイムシですわね!
あまりムシっぽくありませんわねぇ
なんですヴリちゃん?
ツキクイムシではなくゲッショク?
ヴリちゃんは物知りですわね!
定年退職して毎日お暇してらっしゃるお年寄りみたいな事仰いますわね!
そんなに退屈でしたらシルバー人材センターを伺いになられたらよろしいのですわ〜!
またしてもおティラノ!お邪魔ですのよ〜!
チカライズパワー!スマッシャーテイルで張り倒してご覧にいれますわ!
今夜のおディナーはおティラノステーキ食べ放題ですわー!
ご自分は高みのお見物ですの?
ムカつきますわ!むきー!
ですけれど今になって飛び道具を持って来なかった事を後悔…ありましたわ!
おティラノホームラン!
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)はエルネイジェ王国の姫である。
そんな彼女が猟兵に目覚め、出奔したことは彼女が使命感に駆られたからだ。王家に代々受け継がれてきたキャバリア『ヴリトラ』を無許可で持ち出したことは、彼女の無鉄砲さを示すエピソードとして相応しいだろう。
後、国家予算を丸々持ち出して、すでに使い倒しているところからして、確信犯なのかもしれないが、彼女はそんなことを感じさせない明るく楽観的な笑顔のまま『偽物の世界』へと飛び込む。
黒き暴竜たる『ヴリトラ』のコクピットから見えるのは溢れ出るUDC怪物であるティラノサウルスと、その湧出の源であろうUDC怪物『月蝕』の姿であった。
オーバーサイズのコートがはためき、彼女の体が宙に舞う。
猟兵の一撃を受けて吹き飛ばされたのだ。
しかし彼女の瞳は未だ空虚のままであった。
彼女が求めるのは特別な日の連続。非日常の連続である。
彼女が求める特別は、しかし連続すればなんでもない日に零落する。当然のことだ。人は刺激に慣れる生き物であるがゆえに。
そして、それ故に『月蝕』は何時までたってもたどり着けない。
狂気満ちた瞳でいられたのならば、彼女もまた報われたのかも知れない。
「むむ! あれがツキクイムシですわね! あまりムシっぽくありませんわねぇ。どっちかというと女子高生そのものといいますか!」
そんな空気をぶち壊すのがメサイアである。
どれだけ敵が憐憫に満ちていようとも、揺るぎなき暴力(チカライズパワー)こそが全てを解決する公言して憚らぬ彼女にとっては、空気とは読むものではないのだ。食い物にするものである。
「なんですヴリちゃん? ツキクイムシではなくゲッショク? ヴリちゃんはものしりですわね!」
「ボクも君ほどに愚かであったのならばよかったのかも知れないね。気が付かなければよかったこと、知らなければよかったこと。そうしたものをそのままに飲み込めたのならば」
己もまた違う道があったのかもしれないと彼女は地面を転がりながら手にしたカランビットナイフの一閃を『ヴリトラ』に放つ。
だが、その体を『ヴリトラ』のスマッシャーテイルが溢れるUDC怪物ごと吹き飛ばすのだ。
「定年退職して毎日お暇してらっしゃる年寄りみたいなことをおっしゃいますわね! そんなに退屈でしたらシルバー人材センターをお伺いになられたらよろしいのですわ~!」
少しズレている気がする。いや、少しどころではないが、メサイアは本気である。
彼女の本気である証拠に瞳はユーベルコードに輝く。
どんなに小難しい理屈も、暴力の前には屈するほかないのである。
ならばこそ、メサイアは吹き飛ばされながらビルの壁面を駆け上っていく『月蝕』の背を視る。
自分だけは高いところから見えているつもりなのだろう。
「お年寄りみたいなことを言っておきながら、えらそうに高いところに! そういうのがムカつきますわ! むきー!」
怒髪天を衝く勢い。
メサイアは今回に限って飛び道具を持ってこなかったことを後悔していた。距離を取られたら『ヴリトラ』はUDC怪物の群れによって『月蝕』との距離を詰められない。
こういう時に限っていつも装備の選択を誤ってしまうのですわ、とメサイアはがっくりしそうになったが、しかし彼女はひらめくのだ。
飛び道具を持っていないのならば、飛び道具を作ればいいのである。
即ち。
「おティラノホームラン! ですわ~!」
『ヴリトラ』の脚部がUDC怪物のティラノサウルスを蹴り飛ばす。
「それホームランじゃなくて、シュートっていうんじゃないかな」
『月蝕』の冷静な言葉をメサイアは聞いていなかった。
彼女がホームランと言ったらホームランなのである。蹴り飛ばすティラノサウルスたちが宙を一直線に飛び、まるで弾幕のように『月蝕』を追い込んでいく。
「そぉい! そぉい! もう一つ、そぉいですわ~!」
なんだか楽しくなってきたとばかりにメサイアは笑いながら、湧出するUDC怪物を己の砲弾へと変えるように『月蝕』へと次々と蹴り込んでいくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続きUC使っての陰海月オンリー
陰海月『ぷっきゅ!』
…陰海月語を翻訳してお送りします…
ここもぼくが頑張っちゃうぞー!見ててね、霹靂におじーちゃんたち!
何でもない日も楽しいのに!
ぼくはね、動画見てダンスの練習して。買ってきた布と糸を組み合わせてぬいぐるみ作ったりするもん!
そして、びゅーびゅーおじーちゃん(『疾き者』)がおいしいご飯作ってくれるんだー。
よし、光珠をぽいぽい…わ、見切ってくる!でもその光珠、追尾するからね!
それに、見切れないものもあるよ。広げた四天霊障(極彩色)は面いっぱいにしてるもんねー!押さえつけちゃえ!
…暴れてたらお腹空いたぁ…。
ゆらりと揺れる光がある。
『偽物の世界』、『偽物UDCアース』の交差点に溢れるUDC怪物たちの大波の如き群れは一掃されることはなかった。
何故なら、一体の強大なUDC怪物が湧出の原因であるからだ。
UDC怪物『月蝕』。
コートを羽織ったセーラー服姿の少女のUDC怪物を打倒しなければ、この『偽物の世界』に溢れるUDC怪物たちを止めることはできない。
溢れるティラノサウルスたちは、ゆらりと揺れる光に誘引されるように殺到する。
それは、四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)の放つ極彩色の輝きであった。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と合体した巨大クラゲ『陰海月』の放つ光。
それを目の当たりにして『月蝕』は肩をすくめるようだった。
猟兵たちから与えられた傷痕はあれど、彼女の瞳は苦しみにも痛みにも濡れてはいなかた。在るのは空虚のみ。
「ぷっきゅ!」
「わからないな。あいにくとボクはキミのような存在の言葉を理解することはできないんだ」
彼女の言葉に『陰海月』は構わず告げるように鳴く。
なんでもない日を厭う者。
それが『月蝕』である。特別であることを望む。
特別な日を毎日味わいたいと思う彼女であったが、特別な日が続けば、それはなんでもない日に零落するのだ。
故に彼女は何処まで言っても満たされない。
しかし、『陰海月』は違う。
彼女の言うところのなんでもない日をこそ思う。
動画を見てダンスの練習をする。
買ってきた布と糸を組み合わせてぬいぐるみを作ったりする。
そして、『陰海月』が慕う『疾き者』の作る美味しいご飯に喜ぶ。
これがなんでもない日だ。
とりとめもない日だ。
けれど、それを退屈だとは思わない。
「なにか言っているようだが、ボクには届きはしないさ」
『陰海月』より放たれる光珠を見切り『月蝕』は最小限の動きで躱す。
それはまるで海の中の海藻のような揺らめきにも似ているように『陰海月』は思ったことだろう。
けれど、彼は頭を振るように鳴く。
「ぷきゅ!」
そう、放つ光珠は追尾する力を持つ。
敵を見定め、追いすがる。どれだけ見切り躱すのだとしても、放たれる光珠は次々と『月蝕』のまわりを取り囲んでいく。
広がっていく霊障。
四悪霊の呪詛は、今極彩色に輝いている。
光珠が点で敵を捉えるのならば、『陰海月』は投げ放つ光珠を無数に放ち、点ではなく面でもって『月蝕』を捉える。
一つ一つが点をつなげていく。
極彩色の光珠は『月蝕』に追いすがり、その足を撃つ。
「……ッ!」
他の猟兵たちの攻勢が彼女の脚を取るようでもあったことだろう。
よろめく彼女に叩き込まれる光珠。
その一撃を持って『陰海月』は漸くにして満足したようだった。
ついでのように腹の音が鳴る。
それは今日もまたなんでもない日である証拠。特別な日であっても、生きている限り腹は減る。
それが生きているという証拠なのだというように『陰海月』は一際高く鳴くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
御影・しおん
くすくす、まあ怖い
これだけの数の古代生物、きっとわたしの手には余ってしまうわ
だから、一纏めにさせてもらうわね?
さあ、あなたも彼らも彼女もあれもそれも、全部かき回してしまいましょう?
【境界操作の肆『運命共同インフェクション』】
『黄昏の龍爪』と『暁の翼影』をこの身に纏い、広げた「翼の闇」から戦場中の彼らへと光を放ち、個々の彼らを隔てる「境界線」を改竄、後は地面の影から「影刃縛」を放ち、影竜を潜ませ、近づけば龍爪で引き裂いていくわ
劇物散布にはライン・ブルームで「境界線」を引き、結界を構築して対応するわね
……そうそう、いいのかしら?周りを巻き込んでしまって
今や「あなた」の周囲に居るのも「あなた」なのに
溢れ出すUDC怪物の数は尋常ではなかった。
まるでオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』の体内で膨れ上がる『偽物の世界』と同じようであった。
臨界を超えるまでに膨れ上がる世界。
拡張された『偽物の世界』に比例するように膨れ上がっていくUDC怪物たちの数。
まるで大波のようであった。
恐竜たちが疾駆する交差点。
『偽物UDCアース』世界の中心にあるのは強大なUDC怪物『月蝕』。
「くすくす、まあ怖い」
その声は笑い声であった。
謗るわけでもなければ、嘲るわけでもない。
ただおかしいものをみたから笑うというように御影・しおん(Unknown・f27977)は笑う。
「これだけの数の古代生物、きっとわたしの手には余ってしまうわ」
その言葉は真実であったことだろう。
溢れ出すUDC怪物を退けなければ『月蝕』には届かない。
だからこそ、しおんはひとまとめにするのだというように、瞳をユーベルコードに輝かせる。
「さあ、あなたも彼等も彼女もあれもそれも、全部かき回してしまいましょう?」
煌めくは、境界操作の肆『運命共同インフェクション』(ボーダー・オブ・ペイン。
広がるは黒い決勝より広がる力。
食らったエネルギーを翼に変え、戦場に境界線を改ざんする光を解き放つ。
それはUDC怪物という個の境界を揺らがせるユーベルコード。
誰も彼もが己ではいられなくなる。
個とは他とを隔てる壁を持つからこそ成り立つ。
他があるから個であり、個である以上、他に囲まれることは道理。何一つ無関係ではいられないのだ。
だからこそ、しおんは、その境界線を改ざんする。
大波のように溢れるUDC怪物も、強大なUDC怪物である『月蝕』も隔てるのはない。
「ボクとこいつらを繋げるのか。壁を取り払って。それで」
「ええ、死すら共有するぐらいに深いところで繋いであげる。他の死は己の死。己の死は他の死。そういうことよ、くすくす」
しおんの言葉に『月蝕』はユーベルコードを発現できない。
あらゆるものを腐食させる霧。
それを解き放てば、確かに葬りされるだろう。
「気がついたようね。今や『あなた』の周囲に居るのも『あなた』なのよ」
その言葉に『月蝕』の空虚なる瞳が喜びに満ちる。
それは喜びという感情に似ていたことだろう。
喜んでいる。
なんでもない日である今日を、己の死を意識する特別な日に変わったのだ。死こそがただ他のなんでもない日とは異なるもの。
生まれ出る日と同じように、生の終着点。
掛け替えのない一日。
誰がどのように言葉を紡ぐのだとしても、それは変え難きもの。故に『月蝕』の瞳は空虚から喜びに満ちていた。
「これこそがボクの求めたものだよ。なんでもない日が、特別な日になれば、いい。特別な日が続けば、零落する。けれど、ボクという存在の死。その一日は!」
誰にも侵せぬものであると叫ぶ。
けれど、しおんは言う。
「あなたが過去の化身である以上、再び舞い戻るでしょう。過去から形を変え、本質を変え、必ずにじみ出る。オブリビオンですもの」
ならば、としおんはくすくすと笑う。
今日という滅びの一日もまた再び訪れるもの。
彼女の忌み嫌うなんでもない日に零落するのだと迫るUDC怪物を影の竜と爪でもって散々に切り裂き、『月蝕』の体に同じ裂創を刻むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
特別を永遠に味わい続けたいねえ。自分にとっての特別が何なのかも分かってなさそうだし、そりゃ為せねえわな。
まあ、特別だろうと平凡だろうと今回は今日で終わりだ。
『神魔審判』を発動しつつ戦闘。
近付くティラノは圏内に入った時点で消滅してもらいましょう。
『月蝕』ちゃんの『善良の湖』でいくら見切っても範囲内にいる限り、回避は不可能。範囲外に出るか耐えるしかない。
範囲外に出るのは当然、見逃さずに距離を詰めて『ゴッドハンド』の体術を以て殴りましょう。
見切られても反応しきれないぐらいにギアを上げて、回避を上回り、ガードの上から叩き潰すくらいのつもりで。
すまねえが、あんま時間をかけてられねえんだ。
猟兵の言葉に、己の滅びる日という特別が零落することを知る『月蝕』の瞳が喜色から再び落胆の色に変わる頃、アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は膨れ上がる『偽物の世界』、『偽物UDCアース』のアスファルトを蹴って走る。
己に近づく溢れ出るUDC怪物たち。
ティラノサウルス。
恐竜だ。
古代地球に存在していたであろう生物。
けれど、それが『偽物の世界』に相応しき偽物であることをアレクサンドルは知っている。
つるりとした鱗。
リアリティのあるようでないような姿。
どれもが人の想像に準ずるものであったからこそ、現実の姿とは異なるものである。真実がどうあれ、アレクサンドルの目の前に存在するティラノサウルスは偽物。
故に彼の瞳はユーベルコードに輝く。
「特別を永遠に味わいたいねえ」
「そのとおりだよ。ボクは特別を味わい続けたい。千変たる頂点を見続けたい。キミもそうではないのかい?」
『月蝕』の言葉にアレクサンドルは鼻で笑う。
それはあまりにも現実的ではないのだと。
なにより。
「自分にとっての特別が何なのかもわかってなさそうな顔をしていればな、そりゃ為せねぇわな」
アレクサンドルの魔力が開放される。
迫りくる大波の如き大群を前にしても彼は怯むことはなかった。
恐れから最も遠い場所に彼はいた。
「まあ、特別だろうと平凡だろうと今回は今日で終わりだ」
「いくつもある終わりの一つだと! 今日という日をこき下ろすつもりかい!」
空虚であった瞳に感情の色が戻る。
これまで彼女の瞳には空虚しかなかった。喜びも悲しもなかった。
けれど、猟兵たちの攻勢は、言葉は彼女に思い出させたのかも知れない。彼女が人出会った頃を。
なんでもない日を憎むあの日々こそが、なんでもない日ではなかったことを。
だが、それはあまりにも遅きに失する。
終わりは来る。
例外なく来るのだ。けれど、その終わりは過去から幾度となくにじみ出る彼等オブリビオンにとって、特別な、たった一度の日ではないのだ。
何度でも訪れる。
世界に破滅を齎さんとするたびに訪れる滅びの一日の一つに過ぎない。
「どれだけお前が見切るってんでもな」
開放された魔力が、神魔審判(テキカミカタデオオチガイ)によって、絶大な破壊消滅魔力を解き放つ。
「この一撃を前には範囲外に出るしかねぇんだよ。もしくは耐えきるかな」
その言葉と同時に『月蝕』は交差点を飛ぶようにして後退する。
魔力の破壊消滅の範囲外に出るつもりなのだ。
けれど、アレクサンドルは、己の足を犠牲にするかのような踏み込みで持って飛ぶ。しかし、己の脚力で破壊された足は即座に再生される。
それが彼のユーベルコード。
強力な再生復元魔力に寄って踏み込むたびに破壊されるほどの速度を生み出す己の足を再生いしているのだ。
その速度に『月蝕』が反応できるわけもない。
見切る時間すら与えぬゴッドハンドとしての拳の一撃が閃光のように『月蝕』の体に叩き込まれる。
「すまねえが、あんま時間をかけてられねえんだ――」
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
……うん?ちょっと何言ってるか判らない……
いや意味は判るんだけどなんかピンとこないな……
…なんでもない日にもやること沢山あるからな……空虚になってる暇が無い…
…まあ…邪魔するならどいて貰うとしよう…【新世界の呼び声】を発動…
…自分と月蝕「だけ」を私の作った仮想現実世界に取りんでティラノサウルスを隔離するよ
…ようこそ…私の世界へ…
…攻撃は見切られるみたいだけど…それなら『動くな』と命じることで回避の邪魔をして強引に術式装填銃【アヌエヌエ】からの炸裂弾を当てに行くとするよ…
……そして爆破術式による範囲攻撃を月蝕に叩き込んでダメージを蓄積させていくとしようか…
なんでもない日を憎む。
何も起こらぬ日を憂う。
変わらぬ毎日を疎ましく思う。
それが『月蝕』というUDC怪物だった。特別な毎日に焦がれる。
けれど、特別な毎日が続けば、それはなんでもない日に零落することを意味する。無味無臭たるものを口に含んでいたとしても、何も感じなくなるどころか、疎ましく思うようになるように。
彼女は日常を厭う。
「……うん?」
そんな彼女の言葉にメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は首をかしげる。
彼女の言葉を理解することはできる。
意味はわかるのだ。
けれど、メンカルは日常にこし己の為すべきことを見出す。
時は人を待ってはくれないし、逆巻くこともない。
だからこそ、人は懸命に生きるのだ。一日の意義を問う暇すらなく、毎日をもがくように生きていく。
メンカルだってそうだろう。
「……なんでもない日にもやることはたくさんあるからな……空鏡になってる暇がない……」
「キミのようにいえる人間がどれだけいるだろうね。そのようにいえる人間が、どれだけいると思う! 誰も彼もが懸命に生きられないんだよ。人は、人の生っていうのはさ!」
カランビットナイフを手にした『月蝕』が交差点から溢れるUDC怪物と共にメンカルに迫る。
猟兵たちの攻勢によって退けられてきたが、彼女の動きは天性のものであった。
あらゆる攻撃を見切る速度。
その体の裁き方。
そして、加えるならばこのUDC怪物の大群。
その中に紛れてメンカルを狙う凶刃は確かに剣呑たる輝きを持つ。
「……まあ……邪魔するならどいて貰うとしよう……新たなる世界よ、換われ、染めろ。汝は構築、汝は創世。魔女が望むは万物統べる星の声」
『偽物の世界』と交換されるは、メンカルの構築した仮想現実。
それは、新世界の呼び声(ハロー・マイワールド)によって呼び込まれる。
「……これは、世界事態が変わっている……!?」
ティラノサウルスたちは気がつくまでもなかったかもしれないが、『月蝕』だけが気づいていた。
『偽物の世界』に座す己は、この世界の中心である。
ならばこそ、世界事態を交換されたのならば。
今己が絶対者ではなく、目の前にいる猟兵、メンカルこそがこの世界の絶対上位者。
「……ようこそ……私の世界へ」
メンカルは微笑むでもなく、怒るでもなく、また戦意に満ちるでもない顔を向けていた。
この世界にあってメンカルの意志こそが絶対上位の法則を持つ。
どれだけ早く動くのだとしても、圧倒的な数を誇るのだとしても。
「――動くな」
その命令一つで彼等の動きは止まる。
引き抜いた術式装填銃の銃口が『月蝕』に向けられる。
「……お前が言うところのなんでもない日なんていうのは、誰かにとっての特別な日だってことを知るべきだったね。お前がなんでもないという日こそ、誰かにとっての掛け替えのないもの。お前の見た世界は、お前だけのものであるけれど……」
メンカルは引き金を引く。
炸裂する術式。
弾丸は爆破術式を展開し、ティラノサウルスたちと『月蝕』を巻き込んで『偽物の世界』に吹き荒れる。
「……お前という存在を見るのもまた他者であることを知るべきであったんだよ……」
砕けていく意志はないだろう。
空虚なる瞳をメンカルは見つめた――。
大成功
🔵🔵🔵
牧杜・詞
【司さんと】
『特別を味わい続けたい』
その気持ちはわかるけど、まぁ矛盾してるわね。
特別であることを繰り返して、それが普通になって、
ルーティーンにすら感じられるようになって、
それではじめて息をするように殺せるようになるのよ?
なに司さん……ちょっと違う?
そうなの?
無心で殺せる境地に達したいわけではないのね。
ま、そうね。無心で殺してもつまらないだけだもの。
それに『殺す』なんて楽しいことをするのに、
特別にならないわけはないしね。
それもちがう? ……ま、いいわ。
難しいことは司さんに任せるわ。
わたしは|殺す《これ》しかできないからね。
特別を感じられない日々に飽いているなら、
そこから解放してあげるわ。
椎宮・司
【詞さんと】
アレだ
『変』が集まると『変』じゃなくなるっていう
え?違う?
でもまぁ変化こそが時の本質だ
だから『特別』が『日常』になる日だって来る
パラダイムシフトってやつサ
それは避けられない
だから永遠を望むってのはまぁ筋が通っている
けれどもそれで世界を壊すのはいただけないねえ
……あと、詞さんはたまには人斬りから離れるといいと思う
そこから見えてくる人斬りの極意がある……かもしれない
ところで、あたいって頭脳担当だっけ?
一応、脳筋に近い部類だと思っているんだけども??
まぁいいや
気持ちはわからんではないけども
残念ながら見逃せる状況じゃないんでね
押し通らせてもらうよ
【剣小街の極み】
冥土の土産にもってきな!!
時は止まらない。
待つことはない。
どのようなことが起ころうとも、時の流れは堰き止められるものではない。世界を停滞させるオブリビオンが世界を破壊するように、止められた時は全てを破壊していく。
だからこそ、世界は悲鳴を上げる。
その悲鳴に応えるのが猟兵という存在であったのならば、膨れ上がる『偽物の世界』もまた同様であったのかも知れない。
留まる所を知らぬ『偽物の世界』に溢れるUDC怪物たち。
その膨大な数を切り裂きながら、一組の猟兵たちが走る。
手にした刀が閃く度に切り倒されていく恐竜の骸を超えて、『月蝕』へと迫る。
「今日という一日も零落する。変えようのないことだ。ボクにはそれがわかっている。けれど、それでも特別を求めること、そんなにおかしいことなのかな?」
彼女の瞳は空虚に塗れていた。
「『特別を味わい続けたい』その気持はわかるけど、まぁ矛盾してるわね」
牧杜・詞(身魂乖離・f25693)は、識の境界(シキノキョウカイ)へと飛び込む。
彼女の意識はすでに『殺す』ことに向けられている。
楽しいことだ。
彼女は己が殺人鬼であることを自覚している。その意識に身を任せている。これは特別なことだろうか。それとも普通だろうか。
ルーティーンと呼ばれる一つのセットに過ぎないのか。
どちらにせよ、詞にはそれはあまり意味のないことであった。
息をするように刃を振るう。刃を振るうということは殺すこと。
己の所作全てが殺意に繋がっていく。
それが普通であるというように詞は瞳をユーベルコードに輝かせて、『月蝕』を見やる。
「『変』が集まると『変』じゃなくなるっていう……え? 違う?」
「多分、そいうことじゃないと思う」
椎宮・司(裏長屋の剣小町・f05659)の言葉に詞が首をかしげる。
互いによくわからないというように首を傾げながらも、自然と手は鏖殺をやめない。迫りくるティラノサウルスたちの骸を蹴って、更に『月蝕』に迫る。
「でもまぁ変化こそが時の本質だ。だから『特別』が『日常』になる日だって来る。パラダイムシフトってやつサ」
それは避けられないものであると司は言う。
永遠を求めるのもまた理解できるものであるし、筋は通っているのだと。
「なら、何故なんだい」
己を邪魔立てするのは、と『月蝕』の手にしたカランビットナイフの一閃を司は受け止める。
「それで世界を壊すのは頂けないねぇ」
世界とは日そのものである。
時を刻むもの。時の流れを受け止める器である。世界は、時を持って過去を排出して進み続ける。
それが理である。
その世界事態を壊すということは、即ち彼女の言うところの、なんでもない日と特別な日を隔てるものそのものを壊すということだ。
「ま、そうね。無心で殺してもつまらないだけだもの」
詞はそう解釈したようだった。
どんなものにも特別を見出そうとする『月蝕』とは異なる詞とは相容れぬものがあったのかもしれない。
殺すのは息するように。
けれど、それを楽しいと思うから詞は刃を振るうのだ。全てが特別。全てが殺すに値する特別であるというのならば、詞は血閃の中にこそ微笑むのかもしれない。
「……詞さんはたまには人斬りから離れるといいと思う」
「それも違う? 人ではないものを斬ればいいのかしら」
「斬るってところから一旦離れるって意味なんだけど」
「……ま、いいわ」
考えることをやめたな、と司は詞の態度に思ったかも知れない。
だからこそ、司はこの場においての頭脳担当が己であるということに一種のおかしみを感じていた。
己自身を脳筋と評する彼女だからこそ、それはもう今は諦めざるを得ない。
「そうだね、まぁいいや、だねぇ」
「答えが出ないし、平行線であるってことだけがわかることだろう。ボクとキミたちは」
カランビットナイフで司と詞の斬撃をいなしながら『月蝕』は空虚なる瞳で見つめる。
止まらない。
止められない。
ならば、その時の歩みを停滞させぬようにと彼女たちは、ユーベルコードに互いの瞳を輝かせる。
特別な日にしたいという願いと、なんでもない日にこそ特別を見出す。
息をするように。
当たり前のように。詞は踏み込む。
「わたしは|殺す《これ》しかできないからね」
踏み込む。
斬撃の一閃が『月蝕』の体を袈裟懸けに切り裂く。溢れるは血潮ではなく、光。淡い光だった。
それは彼女の名を示すような輝きであったのかもしれない。
その輝きを前に司が踏み込む。
「特別を感じられない日々に飽いているなら、そこから解放してあげるわ」
「押し通らせてもらうよ。冥土の土産にもってきな!!」
剣小町の極み(サイコウノイチゲキ)が剣閃となって迸る。
手にした野太刀による一刀両断の一撃は溢れる光すら切り裂くように月蝕の体を切り裂く。
それは『月蝕』の如く。
再び覗く月光を示すように、『偽物の世界』は切り開かれる――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『滅詩のユリと幽銃のシズク』
|
POW : 滅びの詩
【周囲を消滅させる効果を持つ、魔法の弾幕】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 幽銃(ユウガン)
レベル分の1秒で【指先から膨大な魔力で「幽銃(ユウガン)」】を発射できる。
WIZ : 記憶の詩
【あなたの過去を写し出す「トラウマ」、】【あなたの記憶を回想させる「歌」、】【膨大な魔力で「過去と同じ背景」】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:あさぎあきら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ノラ・ヘルブラウ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』は己たちの体内にあった『偽物の世界』が破壊されたことを知る。
しかし、同時に理解するのだ。
それはこの場しのぎでしかないことを。
彼女たちは悪魔に寄って改造された存在である。
今、膨張し破裂しそうになっている『偽物の世界』が破壊されたのだとしても、また再びこの奇病は彼女たちを死に至らしめる。
そうなれば、『世界を壊す爆弾』として、自分たちはまた死ななければならない。
そして、目の前に迫る猟兵たちを見る。
「どちらにせよ、猟兵を打倒することはわたくしたちにとっては避け得ぬ障害そのもの」
「ああ、オレたちはオブリビオンだからな。オレたちの望みと猟兵は相容れない」
「ならば滅ぼしましょう。他ならぬわたくしたちのために」
姉妹は互いに手を取る。
そこにあったのは愛であったのかもしれない。
千差万別たる愛の形がある。それを否定できるものなどいないだろう。
だからこそ、その愛は世界を壊す。
例え、幾千、幾万もの世界を破壊するほどに繰り返す死と蘇生の輪廻であろうとも。
「わたくしたちを」
「オレたちを」
「「分かつ解脱などありはしない」」
重なる言葉と共に迸る重圧。
その凄まじき重圧は、二人のオウガ・フォーミュラたる所以。
二人のオウガ・フォーミュラを相手取る猟兵たちは、今まさに最大の決戦を迎えようとしていた。
アレクサンドル・バジル
姉妹仲が良いようだねえ。『世界を壊す爆弾』に変えた悪魔の話とか聞きてえもんだがそーいう気分でもなさそうだな。じゃあ、さっさと始めるか。
『魔神闘法』を発動。
アレクから魔力が発せられ、周囲の大気を覆う。
「似たような攻撃属性だが――手遅れだ。俺がUCを使う前に仕掛けるべきだったな」
『魔法の弾幕』或いは姉妹の片割れの攻撃は全てアレクに届く寸前に硬質化した魔力に受け止められ、次の瞬間、アレクの光速の一撃が攻撃を放った姉妹を襲うでしょう。
光の速度の攻撃はそれだけは終わらず、引き寄せられるように周囲の魔力が破壊消滅属性となって追撃。
死角からの攻撃も周囲に満ちた魔力には無意味です。
繋いだ手を見た。
それは姉妹の絆を思わせるものであったし、彼女たちの悲壮なる運命を物語っているようでもあった。
オウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』。
彼女たちは悪魔に寄って『世界を壊す爆弾』へと改造されたのだという。
オブリビオンとなっても、変わらぬ奇病。
『偽物の世界』を内包し、その膨張に寄っての死。そして蘇生。
何度死んでも、何度蘇っても変わらぬ輪廻。
それが彼女たちを悩ませ、奇病を殺す為の手段として懐刀『生と死を繋ぐもの』を求めさせた。
しかし、彼女たちはこのカクリヨファンタズムに存在するであろう懐刀を見つけ出すことはできなかった。
時間は十分にあったといえるだろう。
それでも見つからなかった。
「それで。諦めるって選択肢はねえようだな」
アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は二人と退治する。『世界を壊す爆弾』とサれた者達。
その話を聞こうという気持ちはあるのだが、向こうはそのつもりはないらしい。
「ええ、わたくしたちは猟兵を滅ぼすのみ。あなた方がわたくしたちの内包する『偽物の世界』を壊したのだとしても、再び膨張は始まる。それまえでに『生と死を繋ぐもの』が見つかるという保証はありませんもの」
「そのとおりだぜ。あんたたちとオレたち。どっちかが滅びるまで戦うしかないのさ、そういうもんだろ、オブリビオンと猟兵ってのは!」
確かにそのとおりだとアレクサンドルは思ったことだろう。
物事はシンプルな方がいい。
絡みつくように張り巡らされた伏線も、足を捉えるような命題も、何もかも戦いに勝利しなければ惑う暇すら与えられないのだから。
「なら、蹂躙だ」
小さくつぶやく。
アレクサンドルの瞳が金色に輝く。
魔神闘法(ムテキノトウホウ)。それは魔力で持って周囲を満たす。
その魔力を持ってあらゆる攻撃を受け止める。光速のごとき拳の打ち込みは、『幽銃シズク』の放つ弾幕によって撃ち落とされる。
「似たような攻撃属性だが――手遅れだ」
「何を言ってんだお前は!」
「シズクお姉様、恐らくその拳は……!」
「なんだ!」
全てを破壊する拳。
滅詩の弾幕を張り巡らせる『滅詩のユリ』は理解していた。あの拳はあらゆるものを叩き落とし、あらゆるものを受け止める。
そして、光速に至る拳は、自分たちを確実に狙うのだ。
「そうだ。俺がユーベルコードを使う真似い仕掛けるべきだったな」
周囲に満ちた魔力。
それがあらゆる攻撃を受け止める。
『滅詩のユリ』が放つ消滅させる属性を持つ弾幕であっても例外ではない。
受け止められ、消滅する魔力。
だが、周囲に満ちる魔力は消滅してもアレクサンドルが存在している限り、補填されるように間を埋めていく。
弾幕にアレクサンドルを捉えられない以上、その属性は発揮されないのである。
「そういうわけだ。俺の拳は固くて重たい……わかってると思うが」
放つ拳が魔力を齎す。
一撃が光速に至りし速度で持って放たれる。
それはまるで流星雨。
弾幕の煌めきと、放つ拳の輝きが交錯し『滅詩のユリ』へと振り降ろされる。
しかし、その一撃を『幽銃のシズク』が受け止める。
「チッ……! 重てぇっ!」
「シズクお姉様ッ!!」
「麗しい姉妹愛だとは思うんだがな。死しても蘇生する。その幾度とな繰り返される輪廻の中でも忘れがたきものがあって、別たれ難き絆があるってわけか」
だが、倒さなければならない。
彼女たちが言うように自分は猟兵で、彼女たちはオブリビオン。
世界の破滅を齎すものを猟兵は許さない。
滅ぼし、滅ぼされるだけの間柄でしかない。だからこそ、アレクサンドルは己の拳に恥じるところがない。
振り下ろした一撃は姉妹もろともに打ち下ろされ、二人をカクリヨファンタズムの大地に叩きつけるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
【PH】
純粋に戦力が2倍のオウガ・フォーミュラか
手数が2倍なのも純粋に厄介だけど…まあこっちも2人だし丁度良いか
あ、どうせオブリビオンだしマウント取ってやろ
私、大祓骸魂とめっちゃバトったけど貴様は?
え?貴様は???
長々と何やってたの?
…いや、それは言い過ぎかな
めんご!
オーバーロード、出力全開
外装展開、模造神器全抜刀
カートリッジ、順次転送
戒道さんどっち相手したい?
まあ、ぶつかって流れで良いか!
【Load[Battle Log:5/31/21]】
疑似大祓骸魂と合体、生と死を繋ぐものヤマラージャ・アイビーを疑似再現
全ての剣に力を宿らる
接近は戒道さんのキャバリアに掴まって楽させて貰おう
体当たり直前に離脱
射線に入らないよう動きながら、ユリの方に近接戦闘
『串刺し』にしてあげよう
今のこの剣は鈍にして「時間をかければ 誰でも 何でも 殺すことができる」
さ、我慢比べといこうか
弾幕も幽銃も『オーラ防御』の盾で減衰させて後はオブリビオン化した体で耐えよう
大祓骸魂の記録データなら、いくらでもどうぞ
戒道・蔵乃祐
【PH】
月夜さんとの連携
間合いに届けば問題なし
ROCK'N'ROOOOOLL!!!!
◆『Quadruple≪G≫』
武器受け+切り込みで拡散シールドを構え、クロムキャバリアで双子に吶喊
シズクの『幽銃』で迎撃されるでしょうが、装甲強度と損傷を度外視すれば至近距離までは正面突破可能です
限界突破+重量攻撃の|ショルダーチャージ《体当たり》でぶちかましていきますよ
エネルギーインゴット全開!!
そしてパージ!
兵装解除と同時に脱出装置で自分自身を発射
SSR確定演出ですねこれはアツい
ジャンプ+空中戦でマニピュレーターのホールドが外れたRSライフルを掴み、虚を突く重力子弾を早業+クイックドロウで一気に叩き込みます
(フレームが全損寸前ですが、月夜さんならなんかいい感じに修理してくれるでしょう…)
貴女方は侵略者であり猟書家である以前に、被害者であり犠牲者でもあったのでしょうね
これは始まりなのか、終わりなのかは分かりませんが
いつか悪魔のサイキックハーツに出会ったら、あなたたち2人の分まで顔面を張り倒してやりますよ
姉妹は立ち上がる。
共に並び立つことができるのが己たちだけであると彼女たちは理解している。『滅詩のユリと幽銃のシズク』は共にあることを宿命付けられた姉妹である。
彼女たちは滅びる時もまた一緒だった。
別たれ難き絆。
別たれ難き輪廻。
奇病もまた離れず。そして、同時に姉妹としても別れることはない。
別離は訪れない。
だからこそのオブリビオン。
「この程度でオレたちが諦めるとでも?」
「もし、そう思っているのならば猟兵に油断をさせることができたと思うのですけれど、シズクお姉様」
「たしかにな! だけど、止まってなんかいられねぇんだよな! これが!」
二人の姿を見やる。
月夜・玲(頂の探究者・f01605)と戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)もまた共に並び立つものである。
「純粋に戦力が二倍のオウガ・フォーミュラから。手数が二倍なのも純粋に厄介だけど……まあこっちも二人だし丁度良いか」
「ええ、間合いに届けば問題なし」
息を吸い込む蔵乃祐。
その強大な大胸筋が膨れ上がり、肺に溜め込まれた息を吐き出すように彼の咆哮が戦場に轟く。
それは戦いを告げる宣言。
そして、雄叫び。
即ち。
「ROCK'N'ROOOOOLL!!!!」
耳をつんざくばかりの雄叫び。クロムキャバリアの中の蔵乃祐が叫ぶ。
機体を吶喊させる。
シールドを構え、どれだけ一瞬にして幽銃から弾丸を撃ち出すのだとしても、防いでしまえば問題など無い。
だが、装甲強度と損傷を度外視すればいい。
踏み込みの速度は鋼鉄の巨人を駆るが故に人のサイズでは考えられぬ距離を踏み込む。止まらない。弾丸をどれだけ打ち込もうとも鋼鉄の巨人たるクロムキャバリアは止まらないのだ。
砕けるシールド。
弾け飛ぶオーバーフレーム。
だが、止まらない。
「デカブツが止まらねぇんだけど!?」
「シズクお姉様。それはそうよ。弾幕なんて、あれは気にしていないのだから! 吶喊というやつよ!」
砕けたオーバーフレームのエネルギーインゴットを全て使い果たして、外部へと弾き飛ばす。機体はもう保たないことを蔵乃祐は理解していただろう。
「戒道さん、どっち相手したい?」
「今言いますかね、それ!? もうぶちかましてるんですが!」
幽銃の弾丸が蔵乃祐を襲う。
必然そうなる。互いに流れでいいとは思っていたが、しかし、それは互いに取って好都合であったのかもしれない。
放たれる蔵乃祐の体。コクピットから脱出し、クロムキャバリアを質量弾のように『滅詩のユリと幽銃のシズク』へとぶつける。
だが、滅びの歌は響き渡る。
砕けていくキャバリアの装甲。
そこに玲の体が滑り込むようにして手にした模造神器を解き放つ。
銃身でもって受け止める『幽銃のシズク』が忌々しげに歯噛みする。
「もう少し時間があればな!『生と死を繋ぐもの』を手にすることができたんなら!」
「私、『大祓骸魂』とめっちゃバトったけど貴様は? え? 貴様は???」
「妙なマウント取ってくんじゃあねえよ! オブリビオン同士が戦ったって不毛だろうが!」
「長々と何やってたの?」
「それはいいすぎだろ!」
「めんご!」
「シズクお姉様、掛け合いコントやっている場合じゃないです!」
響くユーベルコードの煌めき。
砕け散っていくキャバリアの装甲の破片が舞う中、四者四様の刹那が走り抜ける。
だが、ここに来て互いに為すべきことがある。
オブリビオンになく、猟兵にあるもの。
それは超克。
即ちオーバーロードである。玲の瞳が輝く。
「オーバーロド、出力全開。外装展開、模造神器全抜刀。カートリッジ、順次転送……いくよ、Load[Battle Log:5/31/21](バトルログ・エビルゴッド)。その不毛な戦いをしようじゃない!」
玲のユーベルコードは収集された『大祓骸魂』との戦闘データを持って己を擬似的なオブリビオンと為る力。
戦闘データの集約たる疑似『大祓骸魂』と合体を果たす。
宿る力は、戦いによって得られたデータによる再現。
『生と死を繋ぐもの』――ヤマラージャ・アイビー。
オウガ・フォーミュラたる『滅歌のユリと幽銃のシズク』が求めたもの。その力を剣に宿し、飛び込む。
「猟兵ってやつは、そんなものまで! さっきのはえーと、えーと、何ていうんだっけ、シズク!」
「大言壮語というやつじゃあなかったようね、シズクお姉様」
「なまくらにして『時間をかければ、誰でも、何でも殺すことができる』……さ、我慢比べと行こうか」
放たれる弾丸も歌声も、互いの力と拮抗する。
決定打に掛ける戦いであったことだろう――玲一人であったのならば。
けれど、彼女は一人ではない。
彼女のユーベルコードは、彼女自身をオブリビオンへと変じる。放たれる攻撃もオブリビオンであればこそ耐えることができる。
オーバーロードの代償は少なからず彼女の持つエネルギーカートリッジを戦いが長引けば長引くほどに消耗していく。
それは彼女の懐事情を考えれば、あまりにも甚大な出費であったことだろう。
しかし、それで成し得ることがあるというのならば、彼女はためらわない。
彼女が僅かに『滅詩のユリと幽銃のシズク』たちの意識を自身に惹きつけていたのにはわけがある。
そう、彼女の存在をブラインドにして飛ぶ影があった。
それはキャバリアを失った蔵乃祐であった。彼が手にしていたのはキャバリアの兵装であるライフル。
彼の剛力が鋼鉄の巨人であるキャバリアの武装を持ち上げる。
「なんだ、そりゃあ!?」
「貴女方は侵略者であり猟書家である以前に、被害者であり犠牲者であったのでしょうね」
蔵乃祐の瞳にあったのは憐憫だろうか。
彼もまたオーバーロードの先を征くものである。輝く瞳にあるのはユーベルコード。ライフルに装填されるのは重力子弾。
連鎖崩壊プログラムが起動し、彼の瞳がオウガ・フォーミュラたる二人を捉える。
「これは始まりなのか、終わりなのかはわかりませんが」
完全なる虚を突いた行動だった。
玲のオブリビオン化はブラインド。
彼女が『滅詩のユリと幽銃のシズク』を一直線に惹きつけた。そこに放たれるは、重力子弾の一射。
「いつか悪魔のサイキックハーツに出会ったら、あなたたち二人の分まで顔面を張り倒してやりますよ」
その言葉に彼女たちが何を思ったのかを蔵乃祐はわからなかったかもしれない。
彼女たちが奇病を制した後、何をしようとしていたのかは語られない。
己たちを改造した悪魔たちへの復讐か。それとも全てを忘れて骸の海へと沈むのか。
どちらにせよ、それはなし得なければならないことであると蔵乃祐は理解し、ライフルの轟音と共に二人のオウガ・フォーミュラを吹き飛ばすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
馬県・義透
お腹空いた陰海月は引っ込みました。ぷきゅ。
『疾き者』にて。武器『漆黒風』
さてー、帰ったら陰海月に美味しいご飯を作らないといけませんしー(嬉しかったようだ)
ですからー、素早く私の役目をねー?
霹靂に乗りつつ。先制攻撃にてUCを使い、漆黒風を投擲していきましょう。
そう、指先は向けられないように、かき乱すように。
私はこういうの、慣れてますからねー?だから、こうして投擲できるんですよー。
そう、あなた方のは確かに愛でしょう。
でも、私たちはそれを拒んでいきましょう。何せ、相容れませんからねー。
※
霹靂「クエクエ」
自分もご飯楽しみ。そのために、フルスロットルで飛ぶ。
お腹が空いたと言ったから、巨大クラゲの『陰海月』はいつものように影の中に戻っていった。
代わりに飛び出したのはヒポグリフであった。
合体を解除した馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は跨り、共に戦場を駆け抜ける。
猟兵たちの攻勢はオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』という単純に通常の二倍の戦力を持ってしても衰えることはなかった。
『疾き者』もまたその一人であったのだ。
「此処まで来て諦めてなるものかよ、オレたちはな!」
「ええ、シズクお姉様。わたくしたちは!」
手を繋ぐ姉妹。
そこにあったのは確かな愛であったことだろう。
「そう、あなた方おは確かに愛でしょう」
「こっ恥ずかしいことをよくもまあ素面でいえるもんだな! 愛だのなんだの!」
『幽銃のシズク』の手にした銃から弾幕が迸る。
しかし、それより早く放たれたのは棒手裏剣の一射であった。
瞬く間に放たれる棒手裏剣の一撃が『幽銃のシズク』の手にした銃の銃身を跳ね上げ、放たれる弾幕を空に撒き散らす。
そこに駆け込むのは空をゆくヒポグリフである『霹靂』である。
その名の通り、一瞬で空を駆け抜ける姿は壮麗ですらあったことだろう。
「わたくしたちは、この『偽物の世界』が膨れ上がる死と蘇生を繰り返す輪廻からの解脱。けれど、わたくしたちは二人でいたのです。そのためにわたくしたちは」
『生と死を繋ぐもの』を求める。
彼女たちが何故それを求めるかなど言うまでもない。
彼女たちの中にある奇病。
それを殺すためだ。
なまくらであっても、時間さえかければ必ず殺す懐刀。
それを求めてカクリヨファンタズムに訪れた彼女たちであったが、今回は間に合わなかったのだ。
しかし、彼女たちは次がある。
オブリビオンである以上、彼女たちは過去より滲み出す。
世界を壊す爆弾へと改造されたが故の永劫。
「だから、邪魔しないでいただきたいのです!」
滅びの詩が迸る。
けれど、そこへ走る棒手裏剣の一閃が『滅詩のシズク』に歌声を響かせないのだ。
「でも、私達はそれを拒んでいきましょう。なにせ、相容れませんからねー」
そう、オブリビオンと猟兵の間柄は滅ぼし、滅ぼされるものでしかない。
それ以外はない。
例外など無いのだ。オブリビオンが存在し続ける限り、世界は破滅に晒され続ける。
不安定なカクリヨファンタズムという世界であれば尚更その危機は、ふとした瞬間に引き起こされてしまう。
それをさせぬためにこそ猟兵は世界に選ばれた戦士として駆けつけるのだ。
「互いの決着は、互いの滅びでしかないってわけだよなぁ!」
「ええ、ですから」
放つ棒手裏剣の一閃が『幽銃のシズク』の利き腕に突き刺さる。
「シズクお姉様!」
「大丈夫だ! こんなのは!」
彼女たちの意志は未だ瞳に宿っている。
四更・風(シコウ・フウ)は、『疾き者』のユーベルコード。
彼女たちの愛は確かに否定されるべきものではなかった。
けれど、同時に『疾き者』もまた悪霊でありながら、己の中に愛というものが在ることを知っている。
自分の料理が美味しいと言った者がいる。
嬉しかった。
ただ戦い、オブリビオンを滅ぼすことしか為すべきことがなかった彼等にとって、それは得難きものであった。
だからこそ。
「早く帰って美味しいご飯を作らないといけませんしー。ですからー」
素早く己の役目を果たすのだと、放つ棒手裏剣が相対するオウガ・フォーミュラたちの攻撃の起点を悉く潰すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
御影・しおん
境遇はどうあれ同情はしないわ
向こうも世界全てを敵に回してでも得たいものがあるのでしょう?
さあ、はじめましょうか
「わたし」と「それ以外」とを隔てる境界線を増強して結界としつつUCを発動、
二人を取り囲むように光と闇の弾幕を展開すると同時に範囲攻撃の射程外への離脱を試みるわね
弾幕に弾幕をぶつけて消そうにも、本物と偽物の入り混じる弾幕をゆっくり識別する余裕は与えないわ
勿論、追撃として「地面という境界面」から飛び出す『影刃縛』と、
わたしの影たる『影竜』を地表に走らせ足元から奇襲させ、「暁の翼影」からも光を放つわ
飛翔速度が十分なら相手の攻撃範囲外から一気に接近、龍爪で一撃後一気に離脱……も含めていくわね
二人のオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』。彼女たちが求めるのは如何なるものも時間さえかければ殺す懐刀。
名を『生と死を繋ぐもの』。
彼女たちが殺さんとするのは己たちの身に存在する奇病。
内なる世界。
『偽物の世界』が膨れ上がることによる圧死。
死と蘇生を繰り返す輪廻。
そこからの解脱。けれど、彼女たちの望みの根底にあるのは、別たれ難き姉妹の絆であった。
だからこそ、猟兵たちの猛攻を前にしても彼女たちは繋いだ手を離さない。
「わたくしたちが求めるのは、どちらにせよ猟兵にとって妨げとなるもの」
「オレたちが勝つかか負けるかってことだろう。シンプルだ。だから、負けねぇんだよ!」
幽銃から放たれる弾幕。
そして、それに混ざるようにして飛ぶ滅詩の旋律。
凄まじい弾幕がカクリヨファンタズムの空に飛ぶ。
それを御影・しおん(Unknown・f27977)は見つめる。
「境遇はどうあれ同情はしないわ」
彼女たちは悪魔によって『世界を壊す爆弾』へと改造されたのだという。言葉通りであるというのならば、情状酌量あって然るべきものである。
だが、立場が違う。
彼女たちはオブリビオン。
不安定な世界であるカクリヨファンタズムにおいて、彼女たちが存在するだけで世界は滅びに瀕するだろう。
その世界の悲鳴に応えるのが猟兵であるというのならば、しおんは己の立ち居位置をシンプルにしている。
「あなた達も世界全てを敵にまわしてでも得たいものがあるのでしょう?」
しおんの瞳がユーベルコードに輝く。
「さあ、はじめましょうか」
彼女は、Unknown(アンノウン)。
己の名すら空白に落とし込めた何者か。
如何なる物が本当なのか。如何なるものが本当であると示されるものなのか。その本当を示す言葉も、名前も、あるのは空白のみ。
空白がある、ということしか知覚させぬ彼女は飛翔する。
その姿を『滅詩のユリと幽銃のシズク』は認知することはできなかっただろう。
虚構と実在の境目。
そこに立つのがしおんであるというのならば、彼女の放つ光と闇の弾幕もまた同様であった。
触れたもの全てを消滅させる弾幕。
弾幕に対するのは弾幕。
打ち合い、消えていくものがある。けれど、虚構は虚構故に消滅しない。はじめから存在しないからだ。
「抜けてくる弾幕があるぞ、ユリ!」
「全てを消滅させる弾幕、滅びの詩だというのに、何故……」
「賢くなったユリでもわかんないことがあるのか!」
彼女たちの混乱も無理なからぬことであった。
けれど、しおんは微笑む。くすくすと笑う声が聞こえる。嘲るわけではない。ただ笑むだけだ。
彼女にとって、これは境界線を認識するための儀式でしかない。
本物と偽物が入り交じる弾幕の中を抜けることができるのは、偽物だけ。
虚構の弾幕だけが虚構のままに『滅詩のユリと幽銃のシズク』を狙う。しかし、それは虚構故に彼女たちに打撃を与えない。
「偽物、幻、惑わし……! 虚構の弾幕でわたくしたちの目を欺こうとするなら」
「どういうことだよ!」
「こういうことよ?」
地面より飛び出す影の刃。
それはしおんの放ったものであり、また影の竜が地面より顎を広げ二人を飲み込まんと迫る。
放つ光の弾丸が二人のオウガ・フォーミュラを捉え、その弾幕をかいくぐり打ちのめす。
「彼岸と此岸。あなた達が今立っているのはどちらなのかしらね」
しおんはぐるりと取り囲む光と闇の弾幕の外側から二人のオウガ・フォーミュラを見下ろすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
……世界を壊す爆弾……ね……
それが「病気」である事はなんとも興味深い…ちょっと調べさせて欲しいけ…え?駄目?目つきが怖い?
……ソンナコトナイヨー……
…じゃあ…やりあうしかないね…2人の連携が厄介だけど…
…滅びの詩を操音作寂術式【メレテー】で抑えつつ……【汝、意のままに動く事能わず】を発動…
…2人の動きを改竄する事で連携の強引に穴を空けるとしようか…
…そこの隙間に飛び込んで回避…重奏強化術式【エコー】を多重起動して強化した雷嵐の術式で2人をまとめて攻撃するとしよう…
…そう…改造した悪魔の目的も気になるんだよね…後々自滅の可能性もあるのに…まあ…そいつに出会ったら聞いておくよ…
「……『世界を壊す爆弾』……ね……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、その言葉に興味を持ったようであった。
悪魔に改造されたという二人のオウガ・フォーミュラ。
『滅詩のユリと幽銃のシズク』。
彼女たちの体の内側にあるのは『偽物の世界』。その世界が膨れ上がり、耐えきれずに破裂して死ぬ。オブリビオンであるがゆえに骸の海よりまた蘇生する。
そして、また死ぬ。
いずれ訪れる死。
共に並び立つことはあれど、しかして、その絆は分かたれることはない。
この永劫の如き輪廻からの解脱を望みながらも、姉妹の絆だけは捨てられない。
『生と死を繋げるもの』を手に入れ奇病を殺したのだとしても、それでもオブリビオンとして彼女たちは存在することを諦めないだろう。
「それがわたくしたちの絆」
「ああ、オレたち姉妹の在り方だ!」
変えられないものがある。
ならばこそ、メンカルはダメ元で言うのだ。己の知識欲が、好奇心が抑えられない。
「それが『病気』であることはなんとも興味深い……ちょっと調べさせて欲しいけ……」
「駄目だ。お前の目つきが怖い。確実によくない気がする!」
『幽銃のシズク』の手にした銃から弾幕が放たれ、メンカルとの距離を保とうとする。
すでに多くの猟兵たちの攻勢によって彼女たちは消耗している。
傷を負い、二人組であるがゆえに単純にオウガ・フォーミュラとして二倍の戦力を持つ彼女たち。
その力は未だ衰える所を知らなかった。
「……ソンナコトナイヨー……」
「明らかにそんなことある顔をしていますわ」
「……じゃあ……やりあうしかないね……」
交渉は決裂か、とメンカルは迫りくる弾幕を躱す。
滅びの詩は弾幕そのものだ。
術式で操作しようにも、その弾幕そのものを消し去ることはできない。抑え込むことも不可能だったことだろう。
けれど、己の身に触れて消滅を免れることはできる。
何故ならば、汝、意のままに動く事能わず(モーション・ハッキング)と告げる瞳の輝きがあったからだ。
メンカルのユーベルコードは敵の攻撃がは当たれる前から、彼女たちの動作を改ざんしている。
本来ならば彼女たちの弾幕は自分たちのユーベルコードである。
だが、メンカルの言葉の後に『幽銃のシズク』は銃口を向けていた。違う動作。違うユーベルコードを発動させようとしていたのだ。
それこそがすでに改竄された動作。
『滅詩のユリ』は戸惑っただろう。
己ではなく、姉がユーベルコードを発現させようとしていたのに、自分のユーベルコードが発現する。
その戸惑いが、一瞬の隙であったし、その弾幕にゆらぎがあればメンカルは、その強引ともいえる改ざんによって生み出された間隙をぬようにして飛び込む。
「どういうことだよ!」
「こちらの動作を改ざんされたということですわ、シズクお姉様!」
「そういうことだよ。だから……ここからは」
メンカルの術式が起動する。
いや、すでに起動していた。
既に準備は終えていたのである。重奏強化術式『エコー』が広がっていく。満ちる術式が輝く。
広がるのは雷嵐の術式。
それは弾幕を塗りつぶす嵐。
「……そう……改造した悪魔の目的も気になるんだよね……」
メンカルの瞳は好奇心に満ちていたことだろう。
彼女は気になる。
オウガ・フォーミュラたる彼女たち二人を改造したという悪魔。彼等は理解していたのだろうか。
己たちの目的のために彼女たちを改造したのだとしても、彼女たち自身の存在が己たちを滅ぼす可能性だってあったことを。
「……まあ……そいつに出会ったら聞いておくよ……」
聞こえているかどうかわからない。
慰めになるかもわからない。
けれど、メンカルは雷嵐の術式の向こう側で打ちのめされる二人に、そう手向けの言葉を向けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
牧杜・詞
【司さんと】
これが『純粋な愛』っていうものなのかしらね。
なににせよ、やる気になったみたいなのはいいことだわ。
死にたがりではつまらないもの。
司さんの言葉に、
「わかったわ」
と、素っ気なく答えますが、
もともと他人を信用しない仕様の詞としては、
最大限の信頼です。
獲物を【新月小鴨】に持ち替え、シズクさんと対峙。
最初に求めていた『ヤマラージャ・アイビー』だっけ?
それがどんな殺し方をするものなのか、正確にはわからないけれど、
わたしの【命根裁截】も『殺せる』わ。
オブリビオンだろうが別の何かだろうが関係ない。
あなたが生きていて、殺していいモノなら、殺すわ。
あなたたちの『愛』への、それがわたしなりの祝福よ。
椎宮・司
【詞さんと】
|死が二人を分かつとも《二人の愛は永遠》
って感じかね?
それ自体は盛大に謳ってあげたいところだけれども
どこまでいってもあたいたちは猟兵とオブリビオンの関係サ
避けられないなら真正面から斬り伏せてみせよう
こっちも二人でちょうどいい
詞さん、あたいがユリを受け持つよ
シズクはよろしく
さて
最初の戦闘で寿命削ったしここらで補充させてもらおうか
あんまり使わない業だけど特別だ
【秘事・邪淫の業】
ちょいと付き合ってくれよ
大丈夫、勢い余っても口吸いくらいしかしないサ
お望みなら襲うけども?
野太刀で攻撃しながら生命力吸収
悪いね、実験体のトラウマは……倒すべき宿敵は既に超えてきた
返礼だ、この一閃、もってきな!!
雷嵐に撃たれながらも、二人のオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』は互いの手を離すことはなかった。
この手を離してしまったのならば、互いは何処か遠くに離れていってしまうような気がしたからだ。
共に骸の海から滲み出るオブリビオン。
猟書家。
そんな言葉で自分たちを称することはほとんどが無意味だった。
彼女たちにとって確かなことは、この繋いだ手だけだ。己たちが姉妹であるということだけだ。
体を『世界を壊す爆弾』に改造されようとも、どれだけの死と蘇生が輪廻の如き続くのだとしても、確かなことは己たちが姉妹であるという絆だけであったからだ。
「この程度で……オレがユリのことを離すと思ったかよ!!」
「シズクお姉様……わたしくしは……あ、手汗すごいですね」
「台無しにしてくれるな!?」
そんな二人の様子を牧杜・詞(身魂乖離・f25693)は見る。
あれが『純粋な愛』であるというのだろうかと思った。
姉妹『愛』。
世界にはいくつもの『愛』があることを詞は知っていただろうか。自らを愛する『愛』だって存在しているのだ。
千差万別にして貴賤なく。
「|死が二人を分かつとも《二人の愛は永遠》って感じかね?」
それ自体は盛大に謳ってあげたいところだけれども、と椎宮・司(裏長屋の剣小町・f05659)とからりと笑う。
湿っぽいのはなしにしたいと思ったのかも知れない。
どちらにせよ、彼女たちはオブリビオンで、自分たちは猟兵である。
滅ぼし、滅ぼされる間柄でしかないのだ。
ならばこそ。
「やる気になったみたいなのはいいことだわ。死にたがりではつまらないもの」
詞は迫りくる弾幕を縫うようにして飛ぶようにして走る。
共にこちらにも走る者がいる。
司の言葉が彼女の背に向けられる。
「詞さん、あたいがユリを受け持つよ。シズクはよろしく」
その言葉は単純なものであったし、それ以上の意味はなかったかも知れない。
返答もまたそっけないものであった。
「わかったわ」
ただ一言。
けれど、それが最大限の信頼。
詞は他者を信用しない。信用しなくなったのではなくて、信用しないようになっている。だからこそ、その言葉は、背より向けられた言葉に対する彼女の言葉は他者に対する最大限。
手にした白鞘の短刀を手にする。
生命のみを殺す刃。
「あなた達が求めたものが如何なる殺し方をするのものなのか、正確にはわからないけれど」
詞の瞳がユーベルコードに輝く。
彼女の手にした短刀の輝きを見て『幽銃のシズク』は笑う。
「『ヤマラージャ・アイビー』な。如何なるものを殺すことができるって話だ。オレたちも見たことはないけれど。だからこんなことになってんだけど」
放たれる弾幕を詞は『殺す』。
命根裁截(ミョウコンサイセツ)。
生命と判断したものを思念を込めて切り裂く。
「オブリビオンだろうが別の何かだろうが関係ない。あなたが生きていて、殺していいモノなら、殺すわ」
振るう短刀の煌めきが戦場を切り裂く。
その刀身に映るのは、司の姿であった。
「ちょいと付き合ってくれよ」
「そういうお誘いって嫌だわ。わたくしに触れていいのはシズクお姉様だけだもの」
「そう言わずに」
司の全身から溢れ出るのは、人ならざる妖艶な気であった。
自身を覆う気は、己に向けられる視線によって戦闘能力を増強させていく。
「勢い余っても口吸いくらいしかしないサ」
「それを勢い余って、というところが嫌。もっとムードを大切にしていただきたいわ。甘い言葉の一つや二つ紡いでいただかないと」
放たれる弾幕を司は強引に踏み込む。
生命力を吸収するユーベルコードは、彼女の踏み込みにも応える。
失った寿命は目の前の敵から奪う。
「悪いね、実験体のトラウマってもんがあるんだろうけどさ……」
自身もそうであったのだ。
悪魔に『世界を壊す爆弾』に改造されたという二人に思うところが無いわけでもない。けれど、それは彼女たちのものであって自分のものではない。
司は理解している。
そして、自身もまた乗り越えている。
どんなトラウマも。どんな心の傷も。
超えていけるのが人であるというのならば、司は踏み越える。手にした野太刀の柄が、ギシリと軋む。
それほどの握力。
放たれる剣閃の輝きの中に詞の姿見える。
共に交錯する剣閃。
その輝きの中に互いを写す。
殺すということは、『愛』ゆえにであったのかも知れない。
乗り越えるということは、生きるということであったのかも知れない。
いずれの答えも、彼女たちの中にしかない。誰かが示すこともできない。だからこそ、戦うしかないのだ。
立場も。
境遇も。
何もかも捨て置いた先にこそ在るものが見えるのならば。
「返礼だ、この一閃、もってきな!!」
「あなたたちの『愛』への、それがわたしなりの祝福よ」
放たれる二つの閃光が二人の生を分かつことなく切り裂くのだった――。
大成功
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メサイア・エルネイジェ
やっぱりこうなるのですわねぇ
ばくまおうの懐刀が見付かればよろしかったのですけれど…現実とはお残酷ですわ〜!
こういう時の解決策はやはり暴力!
殴り愛も愛のひとつでしてよ〜!
そちらがお二人ならこちらもわたくしとヴリちゃんでお二人ですわ
本気を出しますのよ!
ヴリちゃん!リグ・ヴェーダモードですわ〜!
わたくしは頭に乗っておりますわ〜
あら…?
わたくしまで変身しましたわ
悪者みたいですわねぇ…
なんですヴリちゃん?
こちらがわたくし自身のリグ・ヴェーダモード?
あらそうですの?
取り敢えず笑い方がおほほ!からうふふ…になりましたわ
おメンタル攻撃とは姑息ですわね
トラウマ?うっ体重計が…よくも思い出させてくださいましたわね?とてもおこですのよ?
歌?耳を塞いでこう防ぐのですわ
あーあー聞こえませんわー
背景が変わったところでやる事は変わりなくてよ?
どうせこの後滅ぼし尽くすのですわ…うふふ…
下がった攻撃力を補う為に滅亡の光を溜めに溜めてから反撃致しますのよ
お二人仲良くお覚悟あそばせ
ご安心なさい
痛みは一瞬ほども御座いませんわよ
猟兵とオブリビオン。
その二つの存在が相まみえる時、そこにあるのは滅びるか、滅ぼすかの二択でしかない。
それは双方が直感的に理解していることである。
滅ぼす。
滅ぼされる。
その二つの間柄で揺れ動くの人の心であるというのならば、それはこのカクリヨファンタズムの如き不安定さを示すものであったかもしれない。
けれど、それでも確かなものがある。
オブリビオンであり、オウガ・フォーミュラである二人『滅詩のユリと幽銃のシズク』は、己の手に伝わる暖かさを知っている。
どれだけ死と蘇生の輪廻が彼女たちを苛み、その心をすり減らすのだとしても別たれ難き絆がある。
「どこまでいってもオレはユリの」
「ええ、わたくしはシズクお姉様の」
姉妹であることは変わらない。
体の内側から膨れ上がる奇病。
何度死を経験しても、何度蘇生を経験しても。
それでも変わらぬものがあった。
だからこそ、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)の開いた瞳にあったのは超克の輝き。
オーバーロードにいたりて、メサイアは己が座す暴竜『ヴリトラ・リグ・ヴェーダ』の頭上に座して、二人のオウガ・フォーミュラを見下ろす。
「やっぱりこうなるのですわねぇ。ばくまおうの懐刀が見つかればよろしかったのですけれど……現実とはお残酷ですわ~!」
やはり暴力しかないのだとメサイアは、愛を示す。
そう、殴り愛。
拳と拳とでしか伝えられぬものもまた存在する。愛とは千差万別にして、煌めくものである。
己のための愛も、他者のための愛も、等しいものであるがゆえに。
彼女はオーバーロードにいたりて、己の乗騎たる『ヴリトラ』だけではなく、自分自身も姿が変わっていることに今更気がつく。
今気がつくんだ、と『幽銃のシズク』は思った。
「シズクお姉様、なんか黒くなってるんですけど。あれがオーバーロードというやつなのでしょう?」
「あら……? わたくしまで変身いたしましたわね。悪者みたいですわねぇ……」
メサイアは己の身を包む純白ではない漆黒のドレスの裾をつまみ上げる。
そこに在るのは、暴虐の竜帝の巫女。
「いや、どう見ても悪の女幹部だろ」
『幽銃のシズク』は思わず口に出していた。あら、やっぱり? とメサイアは首を傾げ、真なる姿を晒した『ヴリトラ』の言葉にそういうものなのかしらと納得しているようであった。
これが己自身の『リグ・ヴェーダモード』。
黒いドレス。
『幽銃のシズク』の言葉どおり、たしかに悪そうである。ならば、それに乗らねば損……否、無作法というものである。
「うふふ……」
こんな感じでして~? といつもなら言うところであろうが、なんだか妖艶さが二割増しである。
とは言え、そんなメサイアに臆する二人ではない。
放たれるはトラウマ。
そのトラウマが戦場を満たす。
暴竜の巫女に如何なるトラウマがあろうと言うのだろうか。
そこにあったのはモザイクがかけられたデジタル体重計の数値であった。プライバシーには一応配慮しているようであるが、メサイアの心に深くぶっ刺さるものがあった。
「おメンタル攻撃とは姑息ですわね!」
「精神攻撃も攻撃の一つでしょうに。というか、これがトラウマなんです? わたくしいくら食べても太らない体質ですので、体重計とか乗ったことも見たこともないですけど」
凄い一撃である。
あまりのことにメサイアはぐらりと揺れる。
普通の攻撃以上にメサイアの心は深く傷ついた。『滅詩のユリ』の言葉は、無神経極まりないものであった。
だからこそ、メサイアの逆鱗にふれるのだ。
いつだって人の心を紙やすりでゴリゴリ削るのは、無神経な一言なのである。
「うっ、体重計……よくも思い出させてくださいましたわね? おこですのよ?」
もう滅びの歌はメサイアには聞こえていなかった。
何故なら、あーあーと叫びながらメサイアが『ヴリトラ』と共に吶喊したからである。
「おいおい! どうすんだよ、ユリ! 相手、めっちゃ怒ってるぞ!?」
「体重計一つで此処まで怒れるって逆にすごくありません? シズクお姉様。わたくしちょっと感動しております。体重なんてただの数字じゃありませんの」
「あーあー! もう言うなよ!」
どっちがどっちであるかわからない様子。
しかし、メサイアの瞳は本気であった。
例え、背景にモザイクのうすーくなった体重計のデジタル表示がどれだけ示されようとも、メサイアの瞳には映っていなかった。いや、映っていたけど、見ないことにした。
どうせこの後全部ぶっ飛ばして焼き滅ぼすのだから関係ないとばかりに彼女の瞳は爛々と滅亡の光(ジェノサイドバスター・エクシード)に輝いていた。
「お二人仲良くお覚悟あそばせ」
煌めくユーベルコードの輝きは極大。
『ヴリトラ』の口腔に湛えられた光は、カクリヨファンタズムにありて空を埋め尽くすほどの雷と熱の力を迸らせる。
無限に威力が上昇するユーベルコードの力は、これまで溜め込まれたメサイアの鬱憤を晴らすように迸る。
「やばいって絶対これ!」
「うーん、でもわたくし、ほんとうにわからなくって」
「あおるなってば!」
「……ご安心なさい」
にこり、と微笑むメサイア。優美なる笑顔の裏腹にあるのは、多分トラウマを見せつけられたことに寄る怒り。
人間怒りすぎると逆に静かになるというあれであったのかもしれない。
けれど、メサイアはきっぱりと言い放つのだ。
「痛みは一瞬ほども御座いませんわよ」
解き放たれる光は戦場を吹き飛ばすかのごとく、二人のオウガ・フォーミュラを消し飛ばす。
その最後の刹那まで二人の手は繋がれたままだった。
猟兵たちは彼女たちを打倒することはできる。
だが、彼女たちの姉妹としての絆まで別つことはできなかったのだ。
断ち切れぬものがある。
世界には愛が満ちている。その多くが時に裏切られ、時に汚される。
それでも二人のオウガ・フォーミュラの見せた姉妹『愛』は、解脱至りてなお、別たれ難きものであることを極光の中に知らしめるのだった――。
大成功
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