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銀河帝国攻略戦㉔~男の娘砲を破壊せよ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「クライングシェル艦隊の制圧、お疲れ様でした」
 声をかけた猟兵達の前で頭を下げてフェリクス・フォルクエイン(人間のパラディン・f00171)はねぎらいの言葉を口にした。
「これでさらに進軍できるようになったわけですけど――」
 猟兵達の活躍によって帝国旗艦『インペリウム』を遂に射程に捕らえた『解放軍』のスペースシップであったものの、自軍の最大射程距離の2倍の距離から放たれた『インペリウム対艦兵装群』の一斉砲撃により、大きな被害を受けてしまったと言う。
「このリーチの差はいかんともしがたく、反撃もなされたそうですがまったく届かなかったと聞いています」
 これではまともな戦いにならない。
「ですので、みなさんには対艦兵装群を沈黙させることでスペースシップの有効射程まで『解放軍』の戦艦を近づけるお手伝いをお願いしたいんです」
 なんでも対艦兵装群は、至近距離に近づいた対象に攻撃することは出来ないのだとか。
「転送してとりついてしまえばこっちのモノ、と言いたいところなんですけど……兵装群には猟兵の転移攻撃に備え、防衛の為の敵戦力が配置されているようです」
 故に兵装を破壊するにはこの防衛部隊の攻撃をかいくぐる必要がある。
「みなさんに赴いてもらう兵装の名は『男の娘砲』と言う名のつけられた大経口ビーム砲になり……や、そういう名前なんですって、本当に! 製作者の趣味なのか無理やり働かされていた製作者がせめてもの反抗でそういう名称にしたのかはわかりませんけれど」
 こんな名前の兵装に撃沈されたら被害艦も浮かばれないであろうネーミングであった。
「ええと、話を戻しますね。この男の娘……もう兵装でいいですよね? この兵装を守ってるのはスペースバイクにまたがったモヒカン頭の無法者っぽい一団です」
 彼らは兵装の手入れや掃除をしたり暇を持て余してスペースバイクで駆けまわったり、おやつに宇宙種もみが支給されるよう掛け合ったりモヒカンのお手入れをしたりしているが、猟兵達が転送されて来れば侵入者は消毒だとばかりに迎撃してくるだろう。
「このとき護衛部隊に反撃しないでくださいとは言いませんけれど、あくまで目的は兵装の破壊ですから」
 出来れば兵装の破壊を優先してくださいとグリモア猟兵の少年は言う。
「では、大変かもしれませんが」
 よろしくお願いしますねと頭を下げるとフェリクスは猟兵達を送り出すのだった。


聖山 葵
 ひゃっはー、兵装をぶっつぶせー!

 あ、聖山です。

 という訳で、今回は厄介な敵の兵装を破壊するお話の様です。

 件の兵装は名前こそアレですが、見た目も機能もごくまともなビーム砲となっております。
 本当になんでこんな名前なんですかねぇ、うん。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 では、ご参加お待ちしております。
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第1章 集団戦 『スペースモヒカン』

POW   :    ゴミクズは焼却だーっ!!!
【手にした火炎放射器から放つ炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【暴力的な】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    俺様のスピードについて来られるか!!
自身が装備する【イタイ改造を施した宇宙バイク】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    行くぜダチ公どもっ!!
【宇宙暴走族の仲間達】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

城田・紗希
えっと……「男の子」砲?でも字にすると「オトコのムスメ」砲?
……撃ち抜くのは男の子なの、女の子なの?
うん、もう、ややこしいからウィザードミサイルで粉微塵にすり下ろす…
(おろし金と言うより穴あけドリルな気もするけど気にしない)

ついでだから、なんか飛び回るモヒカンも撃ち落としとく……
とりあえずモヒカンが何台に増えても、全力魔法で手数を増やせばいいよね…
あと確か、使える技能に範囲攻撃と誘導弾もあったような……
あーっと狙いが狂ったー(棒読みでナントカ砲を狙い撃ち)
ちょっとー、狙いが狂うから避けないでよねー(無茶な注文しつつも追加の矢を生成して発射)


山梨・玄信
この名前を付けた奴とじっくり話し合いたいが、とりあえずはモヒカンの排除が先じゃな。

【POWを使用】
炎は暗視と見切りと第六感で集中して回避するのじゃ。宇宙服が燃えたらシャレにならんからの。避けきれない時は火をつけた奴を素早く倒すのじゃ。
攻撃は範囲攻撃と衝撃波を中心に行くぞい。特に火をつけられた時は、つけた奴を衝撃波で集中攻撃じゃ。
範囲攻撃で敵に穴を開けたら、男の娘砲に近付いて行くぞい。
砲は灰燼拳で粉砕してくれるわ!

「モヒカンの集団は拳法で倒されるのがお約束じゃ!」
「距離を取っても無駄じゃ!」
「取ったぞ!フェリクス殿の顔が頭に浮かぶが、粉砕じゃ!」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。



「えっと」
 散りばめたように星々が広がる漆黒へとそそり立つそれを見て、城田・紗希(人間の探索者・f01927)は悩んでいた。
「……『男の子』砲?でも字にすると『オトコのムスメ』砲?」
 つまるところ、これから破壊すべき兵装が男の子か女の子かについて。
「この名前を付けた奴とじっくり話し合いたいが――」
 何とも言い難い表情で同じ大経口ビーム砲を見やっていた山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)の希望はおそらく、叶うまい。命名者が不明ということもあるが、何よりこの時既に二人目掛けて迫りくるモノが視界に入っていたからだ。
「「ヒャッハー! 新鮮な侵入者だーっ!」」
 そは、無駄に痛い個性を爆発させた改造宇宙バイクに跨ったモヒカン頭の防衛部隊。
「うん――」
 ただビーム砲の砲身を仰ぐのをやめて紗希が作りだしたのは、膨大な数の炎の矢。
「「げぇっ」」
「もう、ややこしいからウィザードミサイルで粉微塵にすり下ろす……」
 自分たちへの迎撃だと思ったらしいモヒカンたちが顔を引きつらせる中、紗希は一切構わず矢を放った。何も構わない。すり下ろすとしながらも、命中したなら穴だらけになるとか、炎の熱で砲身が溶けるとか全く別の結果を齎すかもしれないことも。
「しまっ、狙いは男の――」
「男の娘砲だーっ!」
 盾にでもなろうというのか、宇宙バイクを変形させた一部のモヒカンが機首を返して炎の矢を追いかけ。
「やはりノーマークで攻撃させてはくれんようじゃの」
 数を減らしつつもこちらへ突っ込んでくるオブリビオンたちを視界に入れ、玄信は拳を握り固め飛び出した。防衛隊への反撃よりも兵装の破壊を優先して欲しいとは言われていたが、このまま放置すれば一方的に攻撃してくるのは明らかであり。
「「ヒャッハー!」」
「モヒカンの集団は拳法で倒されるのがお約束じゃ!」
 火炎放射器を向けた無法者たちと玄信がすれ違い。
「「がっ、ふ」」
 うめき声を残したモヒカンたちが改造宇宙バイクから転げ落ちるも。
「ふむ、強さは大したことないようじゃが――」
「「よくもやりやがったなーっ! 行くぜダチ公どもっ!! 仇討ちだーっ!」」
 無法者たちが仲間を呼んだことで玄信は失敗を悟る。些少数を減らしたところで、補うように仲間を呼ぶ。だからこそ防衛隊への攻撃よりも兵装への攻撃を優先するようにとグリモア猟兵は言っていたのかもしれない、もっとも。
「あ、ついでだから」
「「へ?」」
 モヒカンたちと敵対していた猟兵は玄信一人ではない。耳にしたもう一人の猟兵の呟きに間抜けな声を上げたオブビリオン達がそちら見れば、先ほどより数を増した量の炎の矢がモヒカンたちとその向こうにある男の娘砲へと向けられており。
「とりあえず、全力魔法で手数を増やせばいいよね……」
「「ちょっ、待」」
 しっかり増えたモヒカン対策もなされた攻撃がスタンバイしていて防衛隊の面々が顔を引きつらせるが、紗希は一切構わない。
「あと確か……」
 むしろ嬉々として放たれる攻撃を凶悪なモノへと変えて行く。
「「ヒャッハー回避しろーっ!!」」
 だからこそ、騙された。
「あーっと狙いが狂ったー」
 モヒカンたちが散開して回避行動に出たことで生じた穴。棒読みで紗希の放った矢は一直線に男の娘砲へと飛び、砲身に直撃する。
「「げぇッ?!」」
 守るべき兵装への攻撃を許したモヒカンたちからすればたまったモノではない。だが、更に悪いことに、この時玄信の行く手を遮っていたオブビリオン達も回避行動をとって結果的にビーム砲までの道を開けてしまっていたのだ。
「取ったぞ! フェリクス殿の顔が頭に浮かぶが、粉砕じゃ!」
 きょとんとしつつ自分を指さすグリモア猟兵の少年を脳裏に浮かべたまま砲の付け根へ玄信が拳を叩きつけ。
「ヒャッハー、こいつは拙いぜーっ!」
「応急修理だーっ!」
 慌てふためきながらモヒカンたちがビーム砲へと殺到する。
「むぅ、これ以上は無理かの」
 いくら弱いと言ってもオブビリオン達には数の優位があった。それなりにダメージを与えたことを良しとして玄信は退き。
「驚かせやがって、これなら修理すればまだ何とかなるぜーっ!」
 ビーム砲が完全破壊には至らなかったことに一人のモヒカンが吠える。だが、そのオブビリオンは勘違いしていた。気づかなかったのだ、二人の攻撃がただの第一波でしかなかったことに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

如月・アストレア
【SPD】
「対艦兵装なら似たようなの持ってるよ♪ かもん!くりむちゃん! からの、デストロイド☆ジェノサイダー!」


CMF(クリムゾンフレーム)を呼び出して騎乗からの6.5Mの人型に変形。
そして亜空間から対『艦隊』用超荷電粒子砲を取り出して構える、というか横の銃座に乗り込む。

「よーし、ぶっ飛ばしていくよー☆ 射線からは離れてねっ♥」

対艦隊用超荷電粒子砲が護衛ごとインペリウム対艦兵装群をなぎ払う!

㉔の戦場全参加で全部ぶっ飛ばすぞー☆

【吹き飛ばし】


高柳・零
POW
…この名前を付けた人は、とんでもない下ネタになってる事に気付いてるんですかねえ?
何故か頭に「美魔少年」という言葉が浮かんだので、あの大砲は美魔少年と呼ぶ事にしましょう。

「モヒカンのバイク乗り…どう見ても正規軍ぽく無いんですが」
美魔少年の破壊が最優先なら、体の小ささを活かしましょう。
敵の間を見切りですり抜け、どうしても邪魔な相手や威嚇に衝撃波を使います。また、衝撃波は自分の加速や方向転換にも利用します。

囲まれてすり抜けるのも困難な時のみ範囲攻撃を使います。

敵のUCは見切りで威力を削ぎつつ、盾受け、武器受け、オーラ防御で止めます。炎は新装備天霧の盾の蒸気で消します(盾受け)。

アドリブ歓迎です


彩波・いちご
【恋華荘】のミスタリアさんと

「男の娘砲…何を考えてそんな名前を付けたんでしょうね…」
なんとなく私が近づくのが何かのトリガーになったりしないのか不安ですが
ともあれ、ミスタリアさんの援護から行きます
ヒャッハー言いながら彼女に攻撃しようとするライダーを【異界の抱擁】の触手で拘束
拘束した敵をぽいぽい投げつけることで進路を確保
そして彼女の攻撃に続く形で、【幻想よりきたる魔法の演者】で生み出す光の奔流を、男の娘砲の、ミスタリアさんがグリュンシュトゥルムの攻撃で開けた穴を狙って解き放ちます
…男の娘砲について考えていたせいか、光の奔流を撃つビジョンが、大砲抱えた男の娘っぽくなってるのは、気にしないでください…


ミスタリア・ミスタニア
【恋華荘】のいちごと参加だぜ。

変な名前のビーム砲だが、普通に対艦用ビーム砲だろう?
ハッ!それにな、スターライダーが鎧装騎兵を止められるわけねぇだろ!制宙権の取り合いで鎧装騎兵に勝てないと教えてやるぜ!
『空中戦』のマニューバで敵を翻弄してビットを展開して連携を崩してビーム砲への防備を甘くしてやる。進路上の邪魔な奴は排除して進むぜ!
いちごの援護も受けて、ビーム砲に『捨て身の一撃、ダッシュ』で突っ込むぜ!
【対艦用パイルバイカー】で『鎧砕き』で装甲貫いて、そのまま『2回攻撃』で【グリュンシュトゥルム】の『零距離射撃』で大穴開けてやるぜ!
おっと、いちごのだめ押し追撃があるようだから撃ったら急いで離脱だ!


霧城・ちさ
変わったお名前の兵装ですわね
先に突入した方々の動きは無駄にしないようにここで皆様と兵装まで突入したいですわね
他の猟兵のみなさまと一斉にかかって突破できそうならそのようにしますわね。誰か足止めが必要になりそうでしたらバイクの邪魔になりそうな感じにバリケード作ってみるのもよさそうですの
動きが止まってしまえばこちらも狙いやすいですしバイクも一緒に攻撃してしまいますわね
早く移動できなければ兵装の破壊を止められませんわっ
私も兵装の場所までたどり着けそうでしたら構わずユーベルコードも撃っていきますわね


備傘・剱
なぁ、もしかして、何かの作戦か?
ほら、間の抜けた名前で、敵の油断を誘うって類のよ

ってな訳で、この…モヒカンズが必死こいて直してる後ろから、重要そうなパーツをサイコキネシスでもぎり取ってやろう
ねぇ、どんな気持ち?直そうとしてた後ろから壊されるって、どんな気持ち?

とま、おふざけはそこまでにして、モヒカン共を確実に各個撃破していくか
遠くにいる奴は衝撃波を飛ばして、吹飛ばしてやろう
雑魚とはいえ、数が多いと、万が一があるから、油断はしないぜ

所でよ、マジで「男の娘」砲なのか?
…誰だ、こういう、特殊な感じの薄い本で出てきそうな命名をかました奴は
脳みそにアレな想像が浮かびまくるんだが

アドリブ絡み、歓迎だぜ



「……この名前を付けた人は、とんでもない下ネタになってる事に気付いてるんですかねえ?」
 ポツリと漏らした高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)はヒャッハーヒャッハー言いながらモヒカンたちが周囲を飛び回る破損したビーム砲を眺め。
「男の娘砲……何を考えてそんな名前を付けたんでしょうね……」
 修理の為に砲に取り付こうとする防衛部隊の無法者たちが男の娘砲と連呼するからか、何とも言いがたい顔で彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)も同じ兵装を見ていた。
「変わったお名前の兵装ですわね」
 二人がそれぞれ違った疑問を抱く中、霧城・ちさ(夢見るお嬢様・f05540)はコメント一つであっさり流し。
「変な名前のビーム砲だが、普通に対艦用ビーム砲だろう?」
 私が近づくのが何かのトリガーになったりしないのかとどことなく不安そうだったいちごの肩へ手を置いたのは、同じ恋華荘に身を寄せているミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)。名前は変でもモノはただのビーム砲、気にしすぎるなと言うミスタリアなりのエールなのかも知れない。
「何故か頭に『美魔少年』という言葉が浮かんだので、あの大砲は美魔少年と呼ぶ事にしましょう」
 こう、居合わせた仲間によって改名案が持ち上がっていたりしたとしても、それはそれ。
「ハッ! それにな、スターライダーが鎧装騎兵を止められるわけねぇだろ!」
 制宙権の取り合いで鎧装騎兵に勝てないと教えてやるぜと言い放つとビットを展開しながらミスタリアは宙をゆく。
「げぇっ?! いつの間にか新手だぜーっ!」
「「なにィ?!」」
 接近すれば、当然ながら男の娘砲の修理に気をとられていたモヒカンたちも新たな襲撃者に気づく。
「ふんぐるいふんぐるい……、星海の館にて微睡む我が眷属よ!」
 だが、この時いちごの影からソレは身をよじりつつ這い出し始めていた。
「ばっ」
 無法者たちが我に返ってミスタリアを迎撃するより早く、ミスタリアの方を見ていたモヒカンの一人が放たれたおびただしい数の触手に埋もれて姿を消す。
「援護しますから、そのまま――」
「おう、ありがとよ」
 ビジュアル的に酷い映像になっていることにかまわず、触手の餌食にしたオブビリオンを他のモヒカンたちに投げつけるいちごの声に礼を返してミスタリアは突き進む。
「がっ」
「ひでばっ」
 道をふさぐ護衛部隊のモヒカンたちはミスタリアの展開した小型飛行兵装群に蹴散らされ。
「この機を逃す理由はありませんわね」
「そうですね。しかし、モヒカンのバイク乗り……どう見ても正規軍ぽく無いんですが」
 あと追うちさの言葉にに同意しつつも見上げた頭上を飛び交うオブビリオンの姿に零はぼそっとこぼす。確かに見た目は正規軍から逸脱しているかも知れないが、猟兵たちの襲撃に備え配置されているというのも事実なのだ。
「こう、自分たちでは理解の及ばないというか理解したくないようなところがありますね、敵は」
 ひょっとしたらあのトンデモナイネーミングの兵装にだって他にも兄弟兵装と言うべき酷い名前の兵装が存在したりするのではないだろうか。対になる防衛兵装で漢の門(ジェントルマンズ・ゲート)とか。
「対艦兵装なら似たようなの持ってるよ♪ かもん! くりむちゃん! からの、デストロイド☆ジェノサイダー!」
 ふいに声が聞こえたのは、密かに零が脳裏に新たな兵装を登場させてしまった直後であった。思わず零が振り返れば、そこには対『艦隊』用超荷電粒子砲の横に備え付けられた銃座に乗り込む如月・アストレア(クイック ビー クィーン・f13847)の姿があり。
「よーし、ぶっ飛ばしていくよー☆ 射線からは離れてねっ」
「「ヒャッハー! もうその手はくわねーぜ!」」
 警告にが慌てて進行方向をそらす一方、一度ブラフに乗って男の娘砲への攻撃を許してしまったモヒカンたちは誰一人として回避行動をとらず、アストレア目掛けて突撃した。
「これが全力のお仕置きビーム!!!」
「「あぎゃーっ」」
 その結果、薙ぎ払う様に放たれた光に纏めて呑まれたわけであるが。その上、アストレアの言うところのお仕置きビームは減衰しきらずモヒカンたちの後方にあった兵装の砲身をも薙ぎ。
「うげっ、男の娘砲にまたダメージが」
「このままじゃやべぇぜーっ!」
 生き残ったモヒカンたちが後方を振り返って顔を青くする。
「兵装が心配なのはわかりますけれど、そちらばかりに気をとられているのはよろしくありませんわよ」
「な、ばべっ」
 動きが止まってしまえば、それは的である。青ざめた無法者の一人へちさが魔法のピコピコハンマーを振り下ろせば、拉げた改造スペースバイクごとモヒカンは床を滑るように転がってそのまま動かなくなる。
「足となる乗り物が壊れてしまえば、わたくしたちの邪魔は出来ませんわね。さて」
 先程のお仕置きビームで突撃を止めていた味方が再び男の娘砲へ向かって行く姿へ目をやると、その後を追いかけ。
「なぁ、もしかして、何かの作戦か? ほら、間の抜けた名前で、敵の油断を誘うって類のよ」
 遅れてこの場に辿り着いた備傘・剱(絶路・f01759)は、周囲を見回して尋ねた。転送されたと思ったらモヒカンたちが男の娘砲がどうのと騒いでいるのだ。質問してしまうのは、きっと無理も無いことではあると思う。
「……ま、それはそれとして、だ」
 視界に入るのが工具箱チックなモノやら金属塊やらをスペースバイクに乗せて兵装の元へ向かおうとしている何人かのモヒカンだというなら、剱としてはもうやることは決まっていた。
「げぇっ?!」
「なっ」
 突然資材や道具が宙に浮かび荷台から飛び立つ光景にオブビリオンたちが悲鳴をあげる。慌てて逃げ出した荷物を捕まえようと手を伸ばすが間に合わず、資材や道具を目で追ったモヒカンたちは見ることとなる。
「ねぇ、どんな気持ち? 直そうとしてた後ろから壊されるって、どんな気持ち?」
 コミカルに跳ねながらおちょくる様に踊る剱の姿を。
「「ぐっぎっ、てめぇが犯人かーっ!」」
 激昂したモヒカンたちはいきりたったまま剱へ殺到するが、それは修理もせず、兵装に向かう他の猟兵達を妨害しないという事でもある。
「マスターが作ってくれたチャンス、無駄にはしませんよ」
 放たれる火炎放射を天霧の盾の蒸気で相殺した零は薄くなったモヒカンたちの防衛網をくぐり抜け。
「馬鹿、こっちくんなーっ! ばっ」
「ぶべっ」
 肉迫して目にしたのは触手に絡み付かれたモヒカンと別のモヒカンが激突する光景と、それによって生じた隙間にねじ込むように突っ込んで行くミスタリアの姿だった。
「バンカー、捉えた!」
 吹き付けられる火炎にも構わずついに兵装へと到達したミスタリアのパイルバンカーが男の娘砲の砲身に突き刺さり。
「ゼロ距離、これで! いっちまえよやぁぁぁぁ!」
 太い熱線が融解させながら砲身を貫き、灼き抜いた反対側から噴出する。
「へっ、大穴を空け……っと、いけねぇ!」
 自分のもたらした一撃のあとに口の端をつり上げたミスタリアだったが、何かに気づいたように慌ててその場から離脱し。
「ここからは私の魔法のステージです! Object Stand-up!!」
 ミスタリアが射線上から居なくなったのを確認したいちごは赤熱し溶けた金属を滴らせる兵装に穿たれた穴を見つめたままソレを召喚する。大砲抱えた男の娘の様な何かを。
「美魔少年vs美魔少年ですか」
 零がそんなことを呟いたような気がする。だが、声は光の奔流が放たれる音にかき消され。
「うぎゃああ、もうおしまいだーっ!」
 穴に飛び込んだ光の奔流が内部を逆流したのか、砲の基部が暴発するように大爆発を起こし。
「もうほぼ片づいたと見て良さそうですが……天に変わって悪を斬る!」
 零は構わずバスタードソードを振り上げ、へし折れて降ってくる砲身の上半分を両断する。
「ああ、男の娘砲が……ちくしょう、こんなに来るとか、聞いてねぇ、ぜ」
 自重で倒壊し始めた残骸が降り注ぐ光に灼かれる様子に絶望的な顔をしたモヒカンが息絶えて床に伏し。
「所でよ、マジで『男の娘』砲なのか?」
 衝撃波でそのモヒカンを仕留めた剱は、今更ながらに砲の名前を認識したのか、どことなく呆然とした態で問うたが、答えならさっきからしきりにモヒカンたちが口にしている。
「……誰だ、こういう、特殊な感じの薄い本で出てきそうな命名をかました奴は。脳みそにアレな想像が浮かびまくるんだが」
「そう言えば、命名者については結局謎のままでしたね」
 何処か遠くを見る剱の言に零はポンと掌を打ち。
「あー、なんだ。いい追撃だったぜ?」
 ミスタリアはいちごの喚び出したビジョンには触れず、労いの言葉をかけ。
「ありがとうございます」
 触れないでいてくれたことも入れていちごは礼の言葉を返す。こうして、男の娘砲と呼ばれた大経口ビーム砲は完膚無きまでに破壊され、この場で散ったモヒカンたちの墓標と化したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月19日


挿絵イラスト