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【戦後】畢方と火の郷

#封神武侠界 #戦後 #グリモアエフェクト #いにしえの郷 #五行の郷

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●滅びの日
 遥か昔ーー。
 数多ある桃源郷のひとつに、「火の郷」と呼ばれる桃源郷があった。
 火神と縁のあるその郷は、火神の恩恵により、効能豊かな温泉が至る所から湧きだし、あらゆる者達を癒した。
 やがて郷は、仙界でも有名な療養地として知られるようになり、療養と観光を兼ねて訪れる仙人、神獣、瑞獣で常に賑わうようになった。

 その日も、いつもと変わりなく平穏な空気が郷に満ち満ちていた。
「あいも変わらず、修行中に負傷した仙人やら、サボりに来たお弟子さんやらで混んでますねぇ」
 洗い立ての手拭いを山のように抱え、診療所の長い外廊下を歩く少年はため息を吐く。
 その隣を、巨大な薬箱を背負った少年が並んで歩く。
 今が見頃のツツジの庭園から、鳥の囀りに混じって、人々が賑わう声がここまで聞こえていた。
「そういえば、昨日は新たな『畢方』が誕生したそうですよ」
「へぇ〜。ということは、僕たちの兄弟姉妹ってことですね!」
「しかも、腹に紅い宝玉を抱えて生まれてきたとか」
「それは吉兆ですね!」
 少年達の目がキラキラと輝く。
 此処は温泉も有名だが、火を司る瑞獣が生誕する地である。そして、この郷で働く住民の半数以上がこの郷で誕生した瑞獣であり、世間話をするこの2人も瑞獣であった。
「火神の力はそれは恐ろしく強力なものですが、正しきことに使えば、その恩恵は計り知れません……と、先生がおしゃってました」
「ここに、火神さまの力を悪用する輩なんてやってきませんよ。万が一来たとしても、遊びに来ている仙人さまや先生がやっつけてくださいます」
「そうですよねぇ」
 やがて廊下が二手に別れる。
 少年たちは朗らかに笑い合いながら「それじゃ!」と短い挨拶を交わし、持ち場へと戻っていく。
 しかし、運命とは非情なもの。
 その日、たった1人の来訪者の所業によって郷は滅亡した。
 桃源郷から火神の火が消え、時の経過とともに郷の存在が伝説となった今、ひとりのグリモア猟兵のもとに、ある【予知】がもたらされたのだった。

●グリモアベースにて
「一部の仙人や瑞獣達によって、ようやく『いにしえの桃源郷』を復興させようという動きが出始めました」
 そう語るのは、グリモア猟兵ナノ・ナノン(ケットシーの聖者・f18907)である。
 グリモアベースを訪れた猟兵達にペコリとお辞儀したナノンは、挨拶もそこそこに、今回の依頼について説明を始めた。
「今回、郷の復興を試みる者達というのが、かつて郷を治めていたとされる畢方の一族です」
 ちなみに「畢方」とは、赤い文様と白い嘴、鶴のような1本足を持つ霊鳥で、中国の伝承では火を食べることから、大火災の兆し、火神の使いとも言わている瑞獣である。
「一方で、彼らの動きに呼応するかのように、かつて郷を滅ぼした来訪者が、今度はオブリビオンとなって姿を現すという【予知】もありまして……」
 この【予知】というのが、「将来訪れたであろう『大いなる危機』の前段階」にあたるというのだ。
「皆様ご存知のとおり、封神武侠界における『仙界』とは、人界と洞穴で繋がる桃源郷の世界を指しますが。その中には既に滅びを迎え、誰もいなくなった桃源郷が存在します」
 それらは総称して「いにしえの桃源郷」と呼ばれ、一部物語として語り継がれてるものの、詳細な記録が残っていなかった。
 そんな中、畢方の「燈実(トウミ)」という人物は、己のルーツを辿る旅の末、「火の郷」の場所を突き止めたのだという。
「燈実さんは郷の復興を願い、仲間を連れて郷に向かうようなのですが、オブリビオン達によって阻まれてしまうようですね」
「なるほど、なるほど」と、猟兵達が相槌を打つ。
「予知によれば、燈実さんは、郷を復興させることができる唯一の存在とのこと」
 彼女自身、郷と深いつながりがあるのだろう。
「というわけですので、皆様にはこの『大いなる危機』の回避と、『いにしえの桃源郷』を取り戻すお手伝いをお願いします」
 そう言い終わるや否や、ナノンは杖先を地面に打ちつけ、転送用魔法陣を発動した。

 転送先は「いにしえの桃源郷」に繋がる洞穴前ーー。
 洞穴は現在「呪詛」が蔓延っている為、常人では通り抜けることができない。
 内部は一本道で、トラップの類は仕掛けられておらず、巣食っている巨大な蜂型のオブリビオンの群れが猟兵達の行手を阻むだろう。
 これらを一掃して先に進むと、いよいよ「火の郷」である。
 猟兵達の到着とほぼ同時に、1体の強力なオブリビオンが姿を現すはずだ。
「そのオブリビオンを倒せば郷は解放されるはずです。洞穴前には、すでに燈実さんがいらしていると思います。彼女に声をかけ、共に桃源郷を目指す形が良いでしょう」
「了解」と返答した猟兵達は足元に広がる魔法陣を見つめた。
「お気をつけて」
 手を振るナノンに見送られ、猟兵達は魔法陣に飛び込んだ。


柚子胡椒
 はじめまして、あるいはこんにちは。MSの柚子胡椒です。
 こちらはグリモアエフェクトのため、2章構成でお送り致します。
 尚、誤入力のリスクを減らすため、『ルビ』機能には対応しておりませんので、よろしくお願い致します。

 以下補足です。
 NPC……燈実。瑞獣の畢方の一族。
 火の郷の復興に乗り出した人物です。火が消えた郷に再び火を宿すことができる唯一の人物でもあります。
 結界術などで援護もしてくれますが、基本的には猟兵達の邪魔にならないよう、離れたところにいます。

 第1章、集団戦『刻印玄蜂』
 洞穴内部は巨大な蜂の巣と化しており、侵入者を襲います。巣を破壊することができれば、敵の勢いを失わせることができそうです。

 第2章、ボス戦『焔骸子』
 火を操るオブリビオンです。
 オブリビオンになる前の記憶を失っているため、なぜ郷を滅ぼしたのかは覚えていません。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『刻印玄蜂』

POW   :    呪詛侵蝕針
【巨大な毒針】が命中した部位に【対象を融かす呪詛】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    融解驟雨
自身からレベルm半径内の無機物を【強毒針の雨】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ   :    刻印転化
自身の【体が闇】になり、【敵の攻撃を透過する】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●呪詛の洞穴
「ふむ……、確かこの辺りのはずなのだが」
 燈実は目の前に聳える黄土色の山肌を見上げた。
「曽祖父の遺した日誌どおりであれば、この何処かに洞穴の入り口があるはず」
 草木1本生えていない剥き出しの山肌をなぞりながら登ること数分。
 どこからともなく、ヒューと風が噴き出す場所を見つけた。
 ポッカリと口を開けた大穴は、絶えず澱んだ空気を吐き出している。
「ここで間違いない。しかし、なんだこの気配は……。呪詛が蔓延っているのか?」
 禍々しい気配と不快な臭いに燈実は思わず腕で鼻の辺りを隠し、後退りする。
 腹の辺りからゾワゾワし、恐怖を感じる。
「どうする?」
 このまま引き返すか。否ーー。
「これは我ら一族の願いでもある」
 燈実は曽祖父から受け継いだ宝玉を握り締め、大きく頷く。勇気を奮い立たせ一歩、洞穴へと踏み出した時だった。
 見慣れない魔法陣が複数現れたかと思うと、猟兵達が次々と飛び出してきたのである。
「むっ? 貴方達はもしや……」
 本能的に猟兵達の目的を悟った燈実は、即座に胸の高さに上げた右の拳を左手で包み込み、軽く頭を下げた。
「このような場所にお呼び立てして申し訳ない。我が名は『燈実(トウミ)』。瑞獣『畢方(ひっぽう)』という瑞獣である。私は己のルーツを辿る旅をしていたのだが、曽祖父の故郷が『火の郷』だとわかったので、その地を訪れようとしたのだが……」
 思わぬ助っ人の登場に安堵した燈実は早口で挨拶と事情を話すと、流れるような動作で洞穴の入り口を指差した。
「長い年月放っておかれたせいか、桃源郷に至る洞穴に呪詛が蔓延ってしまっていて困っていたのだ。よければ、私とともにこの先にあるという『火の郷』までご同行願いたい」
 頭を垂れる燈実の耳に、猟兵達の力強い声が聞こえる。
「そうか、引き受けてくれるか! では、ともに参ろう!!」
 燈実は幾つもの火の玉を作り出すと、猟兵達と洞穴内へと足を踏み入れたのだった。
ウルスラ・ロザーノ(サポート)
いつもテンション高いとは言われるなー、確かに誰に対してもフレンドリーな対応しようと心掛けとる
といっても銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな
救えるもんはできるだけ救う、でも倒すべき敵は必ず討伐すべしっちゅー方針や

戦法はヒット&アウェイ型、戦場全体を広く利用して戦うで
基本は中距離
レーザービット射撃やナイフの蹴り込みで牽制しつつ、
エアシューズで、地上は高速で駆け回り、空中も地形とか足掛かりに利用して軽業のように跳ね回るよ
敵からの攻撃は、すべて見切って受け流したりの回避で凌ぐよ

攻め込む機会を見つけたら奇襲を仕掛けるで
一気に接近して、蹴撃やその斬撃波を叩き込む!
サッカーボールのシュートは必殺技や!


四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
 妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
 普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●先鋒
「こんにちは、焔だよー。燈実さんのお手伝いに来たよ」
「ボクはウルスラ・ロザーノや。お、こっから下り坂になってるようやな。足元気をつけてな」
 燈実のピンチに駆け付けた四王天・焔(妖の薔薇・f04438)とウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)は、そうするのが当たり前かのように燈実の数歩前を歩く。
 2人の猟兵の周囲を、燈実の作り出した火の玉が柔らかく照らす。
 数メートルほど下っていくと、地面が平らになった。
「ここは思っていたより暗くないんやなぁ」
 光を放つ壁に触れ、光るなにかを指先で拭いとると、指先に黄色い光が灯る。
「洞穴の壁や天井に光苔の群勢が自生しているようだね」
 指先に付いた苔を眺めていた焔が軽く手を擦り合わせ、手についた苔を落とした。
 彼女達の瞳に光苔の星の様な光が写り、キラキラしている。
 3人は更に先へーー。
 まっすぐ伸びる光のトンネル。その所々で光が抜け落ちていた。
「オブリビオンの巣があるのかな?」
 であるならば、ここは焔とウルスラの2人で先に行き、偵察するのが良いだろう。その方が後々のことを考えても動きやすいような気がする。
「ほな、ちょっと見てくるわ!」
 洞穴内にウルスラの元気な声が響く。
「えっ!」
 燈実が静止する暇もなく、ウルスラと焔はエアシューズで駆け出した。

「おぉ!」
 ウルスラは天井を見上げ、感嘆の声を漏らした。
 見上げた先には巨大な蜂の巣が垂れ下がっていた。
 まるで、趣味の悪いシャンデリアのようだと、焔が呟く。
 それだけではない。
 ブゥン、ブゥンと複数の羽音が空間を満たし、漆黒の体を持つ巨大な蜂型オブリビオン『刻印玄蜂』の群れが赤い目をギラつかせている。何千、何万もの虫の目が2人を睨み付けている。
「空中戦やな!」
 敵が反応する前にウルスラが『meteoro negro』を数本取り出し、空へと投げる。それらが目の前に落下してくるタイミングで鋭い蹴りを当て飛ばし、自分も地面を蹴り、大きく飛び上がった。
 黒塗りのナイフが前衛の敵を撃ち落とす。それらを足場にウルスラが更に上へ。
「援護するよ」
 焔が『ゴシックパペット』を空中へ放つ。
 ゴシック調の衣服を身に纏った道化人形がピョンピョンと飛び回り、敵を1箇所に集めたところを焔がドラゴンランス『フローレ』で一気に突く。
 その間に壁や天井を蹴りながら徐々に上へ上へと登っていたウルスラが、別の群れと遭遇する。
 お互いがすれ違う瞬間、敵の前脚が振り下ろされる。
「見え見えや!」
 柔軟な体でスルリと攻撃をすり抜けてからの、無理な体勢から華麗な蹴り技を繰り出す。
 敵の巨大な巣が目の前に迫る。もう少しで手が届きそうになった時だった。
 思わぬ反撃を喰らった敵は『ギチギチ……』と巨大な顎を鳴らすと同時に、UC【融解驟雨】を発動させた。
 そこら中に転がっていた変哲もない石ころが強毒針に姿を変え、猟兵達を襲う。
 強毒針の雨が降る中、ウルスラは怯むことなく「ダンッ」と力強く壁を蹴り、雨の軌道を読み、致命傷を避けながら突進する。
 焔も結界を展開して毒針の雨を凌ぐと、UC【フォックスファイア・弐ノ型(フォックスファイア・ツヴァイ)】を発動した。

『御狐・焔の狐火をもって破魔の一矢と成せ』

 自らの妖力で生成した焔の弓矢を握り締めると、天井に向けてギリギリと音を鳴らしながら矢をひく。

『絶対外さない――いっくよー!』

 パッと矢を放つ。「ボゥッ」と矢が燃え上がり、聖なる力を宿した灼熱の一矢で毒針ごと呪詛を纏った刻印玄蜂の群れを燃やしていく。
 そしてウルスラも、UC【ダンシング・36(スベテノセカイヲオドリニサソウ)】を発動し、後に続く。

『宇宙も世界も何もかも、踊らせてまうでー♪』

 ダン、ダンとリズミカルな足音が洞穴内に響く。
 その圧倒的で情熱的なリズムとダンスパフォーマンスから観客の心身……、観客がいないこの場でにおいては、ともに戦う猟兵と燈実の心身を解放する超宇宙的レイヴ波動を放ち、ダメージと『踊り』の状態異常を敵に与えた。
 奇妙な踊りを踊り出した敵はUCを操るどころではなくなり当然動きも鈍る。
 毒針の消えた今がチャンスと、2人は畳み掛けた。
 ボロボロ、バラバラと黒い塊や羽が地面へと落下し、地面にたどり着く前に墨のように溶けてなくなるのを見届けて、続いてオブリビオンの湧く巨大な巣の破壊に取り掛かる。
 こちらは攻撃も仕掛けもないし、そもそも動かない。
 2人の猟兵の手で次々と破壊され、天井から崩れ落ちる巨大な巣もまた、地面に触れる前に炭クズのように消えた。
「これで、多少は敵さんの勢いも減るやろ!」
「そうだね」
 洞穴内を漂っていた呪詛の力が弱まっていくのを感じ、2人はニッコリと笑い合う。
「先へ進もう」
 それまで猟兵の戦いぶりに目を奪われたいた燈実が言う。その声には心なしか、力強さを感じたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳴上・冬季
「闇に紛れられば、素晴らしい戦術だったでしょうねえ」
嗤う

「燃やせ、雷火」
雷火132個を自分達の前後左右だけでなく床や天井にも展開
闇を雷火で取り囲みその一つを巨大化させて闇を飲み込ませ、闇が燃え尽きるまで燃やす

「この明るさの中でも存在する影は敵です。針ごと雷火で圧し包んでしまえば、回避が上がろうが関係ありません」
それでも敵の攻撃があれば黄巾力士にオーラ防御で庇わせる


「それで燈実さん、でしたか。私達に助力を頼んだ礼には、何をいただけるのでしょう」
歩きながら嗤う

「貴女は瑞獣、仙のようなものです。一方的な貸借は気持ち悪いでしょう?」
師の洞門の場所書き渡す
「奉仕でも入門でも。貴女のお好きなように」
嗤う



●貴女のお好きなように
 光苔の淡い光に彩られた洞穴。その所々が、まるで虫食いのように黒く欠けている。
「あれで隠れているつもりなのでしょうかねぇ」
 燈実の前を歩く鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)はクツクツと嗤う。
 漆黒の体の蜂型オブリビオン『刻印玄蜂』の群れが、光の中を忙しなく飛び回っている。
 ブゥンブゥンと不快な羽音が、獰猛な赤い何千、何万もの眼が、自分達を包囲している。
「どれぐらい進んだのだろうな」
 燈実の不安そうな声。
「心配しなくても大丈夫ですよ」
 一方で鳴上は上機嫌である。
 今から向かうのは『いにしえの桃源郷』。珍しい仙桃が手に入るかもしれない。
 暫く様子を伺っていた敵が、いよいよ敵意剥き出しで接近してくる。
 こちらを「餌」とでも認識したのだろう。
「虫の頭では、それぐらいの事しか考えられないでしょう」
 ブゥンという羽音が、ワンワンと喧しさを増す。
「良いでしょう。どっちが獲って喰われる側なのか教えてあげましょう」
 両足首にはめた宝貝『風火輪』が風を纏い、赤く光る。雷公鞭からバチバチと雷撃が迸る。
 バチンと一際大きい雷鳴を合図に鳴上が飛ぶ。
「ハッ!」
 雷公鞭から雷を鞭のように何本も伸ばし、刻印玄蜂の群れを撃ち落としていく。
 周囲に焦げた臭いが漂う。それらを振り払うように、鳴上が再び雷公鞭を振り下ろす。
「どうしました? 近付かなければ、私を殺すことなど出来ませんよ?」
 クツクツと嗤う鳴上。それとは対照的に、鳴上の放つ雷に阻まれた敵が、まるで悔しがるように『ギチギチ……』と巨大な顎を鳴らす。
 次の瞬間、敵の体からUC【刻印転化】が発動した。
 漆黒の体が溶け、闇へと変化する。それはあっという間に広がり、光苔の光が掻き消える。
 雷光をすり抜けた黒い物体が、かまいたちの如く鳴上の腕や足を切り裂く。がしかし、どれも浅い。
 どうやら透過した体は、こちらの攻撃を高確率で回避することができるらしい。しかも、鬱陶しい事に飛翔能力も向上するようだ。
 しかし、それはあくまで「闇」が存在する空間での話である。
「闇に紛れることが出来れば、素晴らしい戦術だったでしょうねえ」
 黒一色だった空間に青白い光球が生まれる。それも1つではない。数えきれないほどの数が鳴上から解き放たれる。
 鳴上の生み出した狐火が、鳴上の青い瞳を一層青く輝かせる。
「燃やせ、雷火」
 その言葉に応じるように狐火がパッと四方に散るや否や、鳴上はUC【雷火陣(ライカジン)】を発動した。

『稲妻が地を焼き草木を燃え上がらせる様を雷火と言う。我が雷火をその身で味わえ』

 火が白く輝いた瞬間、轟音が洞穴内に響く。ビリビリと細かい振動に続き、灼熱の炎が龍の様に舞い、闇を喰らっていく。
 それだけではない。狐火の光が闇に変化していた他の刻印玄蜂達をも炙り出す。
「この明るさの中でも存在する影は敵です。針ごと雷火で圧し包んでしまえば、回避が上がろうが関係ありません」
 こうなっては敵もなす術はない。
「これでも敵が攻撃を仕掛けてくるようであれば、黄巾力士に守らせる算段だったのですが……」
 ヒュッと雷公鞭で空を切り、狐火を鎮める。
「今回は黄巾力士の出番はありませんでしたね」
 再び、光苔の光が灯る。あれだけいた刻印玄蜂の群れも、天井を覆っていた巣も綺麗さっぱり消えていた。
「それで燈実さん、でしたか」
「あ、はい」
 呆然としていた燈実が突然呼ばれて驚いた表情をする。
「私達に助力を頼んだ礼には、何をいただけるのでしょう」
「お礼……」
 突然の話に困惑した様子で燈実は首を傾げた。
「貴女は瑞獣、仙のようなものです。一方的な貸借は気持ち悪いでしょう?」
「そ、そうだな」
 腕を組み、しばし悩む。そんな燈実に鳴上がササッとメモを差し出した。そこに記されているのは、鳴上の師の洞門の場所だった。
「奉仕でも入門でも。貴女のお好きなように」
 そう言って嗤いながら先を歩く鳴上の背中を、燈実はどんな表情で見つめているのだろう。なんて事を考えて、鳴上は益々可笑しそうに嗤うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳳凰院・ひりょ(サポート)
アドリブ・連携〇

同伴者がいる場合は同伴者をサポートするよう行動
戦い方は遠近両用
接近戦→【破魔】を付与した破魔刀
遠距離→精霊の護符の【乱れ撃ち】
同伴者が苦手な方を受け持つ動きを取ります
単独で戦う場合は相手の苦手とする方での戦い方を主軸に
護衛対象がいる場合は自分の身を挺して【かばう】
何より周りの誰かが傷付く事を嫌う為、仲間達に危害を加えるような行動は取らず
誰かを傷付けるくらいならば自分が傷付く方を選ぶ性格です。
携帯した飴を媒体にUCを発動
【多重詠唱】で複数疑似精霊を召喚し攻防で使用
地や風は守りの壁として火や水は弾として攻撃に使うことが多いです
他に状況に合うUCがあれば変更していただいてOKです


轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
 強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、19歳の女です。
 普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 道のりも半ばに差し掛かったところで、猟兵達の足が止まる。
「おかしい。洞穴内は一本道で抜け穴もなかった」
 燈実が大きな光球を作り出し、目の前に迫る壁のようなものを照らした。
 黄土色のゴツゴツと凹凸のあるそれは、完全に道を塞いでいた。
 光球がゆっくりと上昇すると全貌がはっきりしていく。
 壁のように見えたのは、天井から垂れ下がった『刻印玄蜂』の巨大な巣だった。
 巨大な巣が洞穴を塞いでいるせいなのか、空気はピタリと止まり、澱みきっていた。そして呪詛の力もまた、濃く、上から重くのしかかってくるようだった。
「これを破壊したら随分風通しが良くなるんじゃないのかな?」と鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)が『携帯型妖魔刀』を構えた。
「そうだね。どちらにしろ、これを破壊しないと先に進めないしね」
 肩にかかった黒髪を手で払いのけた轟木・黒夢(モノクローム・f18038)が拳を構える。
 次の瞬間、ドンと爆発にも似た破裂音がし、洞穴内全体が細かく振動する。
 2人同時の攻撃は、巣の真ん中に見事な大穴を開けた。
 ヒュッと風が吹き込む先で、赤い無数の眼がこちらを伺っている。
「戦闘開始だね!」
「それじゃ全力で行くわよ!」
 ひりょと黒夢が走り出すのと同時に、巣を破壊されて気が立った刻印玄蜂の群れも一斉に突撃してくる。
 燈実の側には、ひりょそっくりの姿形をした分身が立ち、ヒラヒラとひりょと黒夢に向けて手を振っていた。
「ひりょさんの分身が燈実さんを守ってくれているなら、私は安心して動き回れるわね」
 強化人間のヴィジランテにしてバトルゲーマーの黒夢は、群れを成して飛び回る刻印玄蜂のひとつに狙いを定め、拳を突き出した。
『ナックルウェポン』で強化した高速パンチで、敵の頭部を破壊しながら群れの中心へと入り込み、道を切り拓いていく。
 突如、背後に殺気を感じ、黒夢は咄嗟に振り向いた。
 頭部を失った体が巨大な前足を振り回し、尚も攻撃しようと執拗に追いかけてくる姿に「うわっ! こいつら頭潰しても平気なの!?」と驚きの声をあげる。
 生命力だけは半端ない、ということなのか。それとも現世への未練がそれほど強いのだろうか。
 反転した黒夢は頭部を失った胴体を殴り、硬い甲殻を割ってから、もう片方の手で背に生えた羽を毟り取った。そこまでしてようやく敵の動きが止まる。
 すると今度は、それまで傍観していた個体が「ブブ……、ギチギチーー」と、奇妙な音を発した。直後、2人を囲い込むように飛んでいた敵が一定の距離を取り始める。
「どうやら攻撃方法を変えてこようとしてるわね」
 黒夢の予想通り、敵は離れた場所からUC【融解驟雨】を発動し、遠距離からの攻撃に切り替えてくる。
 洞穴内に『強毒針の雨』が降り出し、毒に触れた箇所がドロリと溶け、ジュワジュワと洞穴の壁や床を蒸発させる。
 悍ましい光景を見た黒夢は敵のUCを打ち消すため、UC【バトルキャラクターズ】を発動した。
 黒夢の周りにマントを靡かせ、剣と盾を持つ戦闘用バトルキャラクター達が姿を現す。
 戦闘用ゲームキャラクターは即座に状況を把握すると、手にした盾で毒針の雨を防ぎ、その下を猛スピードで駆け抜けた黒夢は、UCを発動し続ける刻印玄蜂をストレートパンチで次々と黙らせていく。そうして最後の1匹の硬い顎に鋭いアッパーをめり込ませた。
 気が付けば毒針の雨は止み、バトルキャラクター達も姿を消していた。
「あとは任せたわよ!」
 黒夢がグッと親指を立てた先には、ひりょがいた。ひりょもまた、「任せて」と同じポーズを返す。
 ひりょは孤児だったが、周囲の人々にも恵まれてここまでやってこれたという経緯がある。
「だから、自分のご先祖様がどこで生まれたとか、そういうのは全然わからないけど」
 きっと、いにしえの桃源郷でも沢山の人の笑顔が溢れていたはずだ。
「皆の笑顔を守りたい」
 一度失われてしまったものだけど、それを取り戻すという今回の旅に、ひりょは大いに満足していた。
「だから、邪魔はさせないよ」
 精霊の護符を取り出し、四方に投げる。火の精霊の力を宿した護符が、触れたもの全てを容赦なく燃やす。
 突然現れた炎に怯んだ敵の隙を突くように、ひりょは妖魔刀で攻撃を加えていく。
 このまま押し切れるかもしれないーー。そう思った時だった。
 敵の赤い眼が怪しい光を宿した次の瞬間、刻印玄蜂の集団はUC【刻印転化】を発動した。
 ひしめくように飛び回っていた何十という漆黒の蜂が、そのまま黒い霧となって洞穴内の闇に溶け込んでいく。と同時に、今までの攻撃が一才効かなくなる。
 ひりょが一度後退した時、黒い霧がワッと広がり、物凄い早さで襲いかかってきた。
 まるで土石流や雪崩の如く勢いで迫ってくる攻撃を見て、ひりょもUC【精霊の祝福(セイレイカラノゴホウビ)】を発動させる。

『今は、目の前の事に集中……』

 ひと塊となった黒い霧を見つめ、全神経を集中させる。
 大きさ、動き、音、攻撃のタイミング。それらひとつひとつに五感を働かせ、感覚が神の領域に到達したその瞬間、即ち、ひりょの能力が敵の能力を上回った瞬間を狙う。
「捉えたよ!」
 ひりょの妖魔刀が敵を完全に捉える。
「斬!」と、妖魔刀の刃が攻撃を受けないはずの霧を一刀両断した。
 切られた霧が破魔の力で焼かれ、あちこちでスパークが起きたかと思うと、刻印玄蜂がボトボトと地面に落下し、「ブブ……」と悔しそうに羽を震わせた。
 やがて体を丸め、動くかなくなった刻印玄蜂たちは、炭と化して飛散していく。あとには、黒く焼け焦げたような跡だけが残った。
 ひりょと黒夢はそれらを踏みつけながら、燈実と共に出口を目指すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。


星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
 人間のスーパーヒーロー×剣豪、女の子です。
 普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●女王蜂
「あれが出口だ!」と燈実が言った。
 彼女が指差す先に遠くに小さな白い光が見えた。それはまるで、夜空に瞬く星のような小さな小さな光だった。
 その光を無数の黒い影が遮った。
「最後の群れ、と言ったところか」
 アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)が腰に下げた『ブルーブラスター』を抜き、構える。
「なにやら1体だけ周りの奴らと違うのが混じってるわね。この群れを束ねる存在かしら?」
 星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)は『流星の聖剣』の剣先を一際大きな個体に向けた。
 赤い眼をギラつかせた『ソレ』は優雅に前脚で顔拭い、続いてその前脚を綺麗に舐めている。
 その余裕たっぷりの仕草から、『ソレ』が自ら攻撃を仕掛けくるタイプではないとわかる。
「女王蜂のようなポジションの奴は大抵自ら戦わず、配下にやらせることが多いものだからな」とアスが呟く。
「それならそれで良いわ。雑魚を倒して、最後にアイツの首を獲ればそれで終わるのだから!」
 星川は言い終わらぬうちに駆け出す。オーラ防御を展開し、刻印玄蜂に次々と斬りかかる。
 斬撃が光の残像となり、それが流星のように輝く。
 1体、2体、3体……と、星川の連続攻撃が続く。その頭上では星川の斬撃から逃れた個体が新たに集合しつつあった。
 アスは腕を交差するように2丁の銃を構えると、それらを熱線ビームで撃ち落としていく。
 洞穴内が星川の放つ斬撃の光と、アスのブルーブラスターから放たれる光で彩られる。
「このまま押し切れるか?」とアスが銃口を女王蜂に向けた瞬間、今まで沈黙していた女王蜂が不快な羽音を響かせた。
『ビィーーン、ビィーーン』という警報音のような音に続き、『キチキチ……、ギチギチ……』と周囲を飛び回っていた刻印玄蜂が反応する。
「くるわよ!」
 星川が叫ぶ。
 刻印玄蜂は2人を取り囲むように陣形を組むと、一斉にUC【融解驟雨】を発動した。
 強毒針の雨が、ザッと降り注ぐ。
「フッ、甘く見られては困る」
 アスは銃をくるりと器用に回転させると、UC【クイックドロウ】で応戦した。ブルーブラスターから高速で撃ち出される熱線ビームが、強毒針という小さな標的を撃ち落としていく。その様はもはや神業レベルであった。
 瞬く間に強毒針の雨が打ち消されていく光景に敵が動揺し、隙が生じる。そこに、UC【バースト・マインド】で強毒針の雨を掻い潜った星川が姿を現す。
「これで終わりよ」
 星川のツインテールがゆらりと怪しく揺れる。次の瞬間、刻印玄蜂達の体が真っ二つに斬られていた。
『チチチチチッ!?』
「逃がすわけないだろう」
 出口に向かって飛翔しようとした女王蜂の背後に立ったアスが、銃口を女王蜂の巨大な頭に当て引き金を引く。
『ギッ!!??』と短い悲鳴を上げた女王蜂の頭が胴体を離れ、力なく地面に落ちる。やがて、巨大な頭部と体がゴボゴボと泡を吐き出しながら「骸の海」に沈んでいった。
「見ろ、出口はすぐそこだ!」
 燈美の言葉に、アスははじめて背後がやけに明るいことに気がついた。
「やっと出られるんだね」
 星川が安堵したように言う。
「あぁ! この先に『火の郷』がある。さぁ、行こう」
 アスと星川は、燈美に手を引かれる形で出口へと向かった。
 こうして猟兵達は無事、燈美を「火の郷」の入り口へと送り届けることに成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『焔骸子』

POW   :    比翼煉理
対象の攻撃を軽減する【宝貝『五火雉』との融合体(巨大な火の鳥)】に変身しつつ、【炎の翼】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    千矢万紅
【貫通力の高い無数の炎の矢】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    朱縄朱縛
【右手】から【渦巻く炎】を放ち、【対象を縛り上げること】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:クラコ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リンシャオ・ファです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●燈実の宿命
 あの日。里が滅びた日。前日に生まれた燈実の曽祖父は、その腹に大事なものを抱えていた。
 内に炎を宿した赤く輝く宝玉ーー。
 郷の心臓部とも言える「火神の炎」と呼ばれる宝玉である事に気が付いたのは、ごく一部の者のみだった。
「これは吉兆……ではなく、不吉な印だ」
「火神の力を外に逃せ……と?」
「おそらく」
 生まれたばかりの曽祖父の耳に、周囲の大人達の言葉が聞こえる。
「火神様は、郷が何者かに襲われることを予知していたのだろう。だから、わしの腹の中に郷の火をお隠しになった」
 翌日、一族の者の何人かが曽祖父を連れて密かに郷を脱した。その数刻後、予言は当たり、郷は滅ぶ。
 それ以来宝玉は燈実の一族が隠し持つことになったのだった。

「いつの日か、火の消えた郷に再び火を灯す。それが私の役目となった。だから私はルーツを辿り、郷を見つけようとしたんだ」
 今、一族の思いが実現しようとしている。曽祖父の願いが叶おうとしている。
 その為にはもうひとつ、片付けなければならないことがある。
 郷を滅ぼした元凶。そのオブリビオンを倒さねばならない。
 洞穴を抜けた一行は、薄い霧が立ち込める中を道なりに進んだ。やがて前方に朱色に塗られた、それは見事な太鼓橋があった。
「この橋を渡ればそこは神域。火神の領域……すなわち『火の郷』だ」
 燈実の声は心なしか震えているようだった。
 橋を渡り、郷の土を踏む。枯れた草がカサカサと乾いた音を立てた。
 次の瞬間。目の前の白い霧が音もなく風で押し流されて行く。
 まるで、長く微睡んでいた郷が目覚めたかのようだった。
 郷の中は長らく放置されていたとは思えないほど保存状態が良かった。
 ただし、至る所に水が抜け、底が丸見えとなった池や湯船がある。
「火神の恩恵が失われ、湯も干上がってしまったのだろう」と、燈実が言った。
「この宝玉をあの産山の火口に投げ入れれば、以前のように火神の御力が戻ってくるのだそうだ」
 それは曽祖父が宝玉を抱えた状態で生まれ出た場所でもあった。
「もう少しです……」
 遠くを見つめ、小さく呟く燈実。その傍らで、猟兵達はオブリビオンの襲来を静かに待つのであった。
納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから8年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!

あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ

商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません

あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします


四十物・寧々(サポート)
※サポートプレイング

多少の怪我や失敗は厭わず積極的に行動し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

その上で現在の状況に対応できる人格で行動します。
シナリオ進行に必要な言動など青丸稼ぎに役立てて下さい。

使用ユーベルコードの指定はありません。
「成功」の結果で書けそうなものを一つステータス画面からお選び下さい。フラグメント次第で不使用も可です。

アイテムもご自由にお使い下さい。
服装系は提案の一例として装備せず公開設定としております。

あとはお任せ致します。
宜しくお願い致します。




「燈実さんも大変な使命を背負っているんですね」と、最初に燈実に労いの言葉をかけたのは「ご当地寧々ちゃん」こと四十物・寧々(あいもの・ねね・f28377)だった。
「そして、あちらに居る方が、何をしようとしていたのか存じ上げませんけども、この郷を滅ぼした張本人ですわね」
 頭から布をすっぽりと被った納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)が郷の奥へと視線を向ける。
 そこに佇んでいたのは肩に火の鳥を連れた、漆黒の衣を着こなす美男子だった。男は薄らと口元に笑みを浮かべ、燈実を、正確には燈実の持つ宝玉を見つめているようだった。
「確か、オブリビオンになる以前の記憶がない、という話でしたよね?」
「えぇ。ですから、こちらから質問をしたところで意味がないと言うことですわ」
 ならば、さっさと骸の海に還っていただこう。
 2人の猟兵は愛用の武器を構えると、さっそく『焔骸子』討伐へと乗り出した。
 向こうも、こちらと語り合う気などなかったのだろう。猟兵が動くよりも先に燈実へと斬りかかってきたのである。
「させないですよっ!」
 寧々が『ボンボンヴァッフェ』から紐状の器官を伸ばし、敵の腕を絡みとると、勢いよく振り回し、納花の方へと投げ飛ばした。
「なにごとも、ほどほどが肝心ですわ」と、タイミングを見計らっていた納花が手にした『勇者の剣』で斬りかかるが、火の鳥に阻止されてしまう。
 火の鳥が小さな爆発を起こしながら飛び回ると、周囲に火の粉が散る。それらを避けようとすると、一度縮まった敵との距離が再び大きく離れてしまう。
「チッ! 邪魔をするな。千矢万紅!!」
 焔骸子があからさまに嫌な顔をし、バッと手を頭上から大きく振り下ろした。空中に舞っていた火の粉が、いつの間にか無数の炎の矢を形成。納花と寧々が反応するよりも早く一斉に放たれる。
 矢は木々は勿論、頑丈な筈の建物や石の壁すら易々と貫き、勢いを失うことなく飛んでくる。
「このまま距離が更に開けば、こちらの攻撃が届かなくなりますね」
「多少の怪我は、仕方ありませんわ」
 2人は頷き合うと、同時にUCを発動した。
 寧々は無言でマウスのボタンをクリックするように人差し指を動かし、【アンディファインド・クリーチャー・クラック】を発動させ、UDC怪物を暴走させた。
 暴走したUDC怪物は体から生やした何本もの器官を超高速で振り回し、周囲を埋め尽くしていた炎の矢を叩き落とす。
 矢という代物は、横からの攻撃にはめっぽう弱いもの。こうして落としてしまえば、どうってことない攻撃なのである。
「だがしかし、この暑さには対処できまい?」
「暑さは耐えればよろしくてよ。というか、あなた、喋れたんですの?」
 火炎耐性を持った納花が炎の矢を潜り抜け、寧々とUDC怪物に気を取られていた焔骸子の脇腹を突くように剣を払う。次の瞬間、布に隠れていた納花の瞳が輝いた。

『九死殺戮刃』

 自身の寿命を犠牲にしたこの一撃は、見事、敵の急所を突く。しかし、血が噴き出すようなことはなかった。ギリギリで刃を返し、峰打ちにきり替えたからだ。
「あくまでお仕置きをしに来ているから、あまり殺伐とした戦い方はしませんわ」
 それでも高速で何度も打たれれば、峰打ちと言えども骨は砕け、内臓を破損させるには充分な威力だった。
「グハッ」と短く呻く焔骸子が、攻撃を受けた側腹部を抱えるように体を折り、地面に膝をつく。
「宝貝『五火雉』!」と叫んだ焔骸子の頭上に、「ピィィィィーー!!」と甲高い鳴き声と羽ばたく音がする。
 思わず『あっ!?』と、寧々と納花の声がハモる。
 五火雉と呼ばれた火の鳥が大きく翼を羽ばたかせ、周りに煙幕をはるや否や、鮮やかにその場を去って行く焔骸子。
「途中から鳥の存在を忘れていましたね……」
「やられましたわ……」
 撤退していく焔骸子の後ろ姿を見ながら追跡しようか思い悩む寧々と納花。しかし、周囲には焔骸子が放った火が未だ燃えている。
「ここを復興するのなら、被害は最小限にしたほうが良いはずですわ」
「そうだですね」
 追跡は他の猟兵に任せ、自分達はここの消火活動に専念しようと決めた2人は、手際よく炎を消して回るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

七星・彩華(サポート)
 呪詛すらも従える羅刹の妖剣士。
『呪詛で溢れた戦場は私の舞台さ!』
 口調は我が道を行く姐さん、仲間にはフレンドリー。

支配する呪詛も武器として扱う戦闘狂だが、かなりの頭脳派。
武器は魔剣・妖刀とは似ても似つかぬ呪詛刀
戦闘狂だが考えた戦術や戦闘の流れが上手くハマる方が感情が溢れ出る。
闘う事を至高と考える一方で守る者や仲間との共闘も戦闘の重要な要因と考えている。
行動は天上天下唯我独尊を貫く。
猟兵の夫と二人の娘がいる家族4人共が猟兵。


 ユーベルコードは指定した物を怪我は厭わず行動します。
迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはお任せ。よろしくお願いします!


バルザック・グランベルク(サポート)
 巨人の魔王×バーバリアン、99歳の男です。
 普段の口調は寡黙で理知的(我、貴様、だ、だな、だろう、なのか?)
戦闘中は容赦のない暴力装置(我、貴様、言い捨て)

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。




「いったい、どこまで逃げたのかねぇ」
 サイキッカーである数宮は得意のテレパスを用いて焔骸子の気配を追跡しながら、七星・彩華(狂い咲く紅の華・f32940)とバルザック・グランベルク(嵐帝・f38770)とともに、燈実を連れてしばし、いにしえの桃源郷の散策を楽しんでいた。
「燈実殿の宝玉を狙っているのだとしたら、そう遠くには行っていないであろう」と言ったのは、巨大な体を持つバルザックだった。
 至る所に硫黄の花が咲き、微かではあるが硫黄独特の香りが漂っている。
 大昔、ここには温泉が豊富に湧き、温泉目当てに多くに人が訪れ、賑わっていたのだろう。しかし今は、火の温もりも消え、冷たい静寂が郷全体を包んでいる。
「待った。何か聞こえない?」と、七星が皆を静止する。
「パチッ、パチッ……」と木が爆ぜるような音がした次の瞬間、無数の火の矢が4人を取り囲んでいた。
 七星、バルザック、数宮は結界術や吹き飛ばし、念動力を使って火の矢を防ぐと、周囲を見渡した。
「どうやら『焔骸子』が近くにいるようだね。それにしても、いきなり攻撃を仕掛けてくるとは」
 七星が燈実を庇う形で前に立つと勢いよく『呪詛刀・常闇』を抜き、続いてUC【猛呪殺戮劇(ジュノユウギ)】を発動した。

『しっかりと楽しみな!』

 七星の言葉を合図に猛毒の呪詛が華が次々と咲き乱れ、焔骸子の放ったUC【千矢万紅】を飲み込んでいく。
「そんな遠くから攻撃仕掛けてないで、こっちに来たらどうだい? それともなにかい。臆病風にでも吹かれちまったのかい?」
 建物の屋根に登った数宮が姿を見せない敵に向けてそう言い放つと、UC【暁を拓く脚(サイキック・オーバー・マター)】を発動する。
 そして、超高速移動で身を潜めていた焔骸子の背後を突き、サイキックエナジーを纏った後ろ回し蹴りを放つ。
 数宮の奇襲攻撃に流石の焔骸子の宝貝も反応できなかったのだろう。蹴りは見事、敵の急所に入る。
「なぜ居場所がバレた!!??」
「こう見えて、あたしは探し物が得意なんだよねぇ」
 蹴りを放った姿勢のまま、数宮がにこりを微笑む。
 焔骸子を蹴り飛ばした先には、呪詛を展開している七星がいた。
「呪詛で溢れた戦場は私の舞台さ! 咲かせて魅せよう呪詛の華!」
 七星が呪詛の力が溢れ出る常闇で何度も斬撃を放ち、確実に敵の命を削っていく。
「調子に乗るな! こうなったら呪詛ごと焼き尽くしてくれる!! 五火雉来い!!!」
「ピィィィィーーーー!!!」
「あれが、宝貝『五火雉』との融合体であるか……。ならばっ!」
 それまで燈実を守っていたバルザックが内に秘めた凶暴性を発現する。

「我は嵐、万物を蹂躙する破壊の王なり―――」

 腹の底から響く重低音の声がビリビリと空気を振動させる。
「ふんぬっ!!」と、バルザックが武器を一度振り下ろせば、その場に嵐が巻き起こり、晴天だった空に雷雲が呼び起こされる。
 宝貝と一体化し、巨大な火の鳥と化した焔骸子は『炎の翼』で一帯を火の海に変えながらバルザック目掛け、その巨大な翼を振り下ろした。
「我を、その燃え盛る炎ごと巨大な翼で押し潰そうというのか! だがしかしっ!!」
 バルザックは手にした『惑星殺しの凶槌』を振り翳し、吹き飛ばしをはかる。だが、互いの力が拮抗し、うまく決まらない。
「これでは貴様も動けまい。このまま潰れるか、燃え尽きるか。好きな方を選ぶが良い!」
「フハハ……。動けないのは貴様も同じ。だが、我は違う! 同胞たちよ、蹂躙の時だ!!」
 バルザックがそう叫ぶと、UC【暴威ノ行軍(ストーム・レイズ)】が発動した。

『同胞たちよ、蹂躙の時だ』

 バルザックの号令に94体の【死を恐れない巨人兵】が召喚される。
 巨人兵は両の手を振り回し、周囲に嵐を発生させた。そして、巨大な積乱雲から大量の雨を降らせて炎の力を抑え込むと、何本も発生した竜巻で取り囲み、勢いを無くした火の鳥をズタズタに斬り裂く。
 最後に強風で上空へと打ち上げられた焔骸子を、バルザックが惑星殺しの凶槌で見事撃ち落としてみせた。
「これ以上は……」と風に乗って焔骸子の声が猟兵達の耳に届く。
 そして、どうやら再び姿を眩ましてしまったらしい焔骸子を別の猟兵達が追跡するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鳴上・冬季
「私にとっては神とは死した仙でしかありませんが…ふむ。ここに来た以上、郷の掟に従いましょうか」
嗤う

「出でよ、黄巾力士水行軍。あの鳥を撃ち落とせ」
黄巾力士132体召喚
43体で1隊とし下記命じる
・砲頭から制圧射撃で行動阻害
・砲頭から高速で水球弾撃ち出し鎧無視・無差別攻撃で蹂躙
・上記2隊をオーラ防御で庇う
自分は普段から連れ歩いている黄巾力士に庇わせつつ竜脈使い全黄巾力士強化し継戦能力高めつつ敵の攻撃に合わせ効果的な隊列組み替えを命じる
敵が倒れる又は召喚した黄巾力士全滅まで戦法継続

「火に雷は効きにくいですからねえ。これだけ人がいれば、あとは何とかなるでしょう」
燈実庇いつつ敵を眺める




 それまで燈実の話を静かに聞いていた鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は、「なるほど」と小さく頷いた。
 この『いにしえの桃源郷』においての常識は、自分が知っているものとは少し異なるようだと……。
「私にとっては神とは死した仙でしかありませんが……ふむ。ここに来た以上、郷の掟に従いましょうか」
 そう言って鳴上は嗤いながら黄巾力士を召喚する。
 先ほどから、隠しきれていない憎悪と殺意を感じ取っていた鳴上は、その出所を既に把握していた。
 やがて鳴上の耳に小さく、「あれを滅ぼせ」と唱える男の声が聞こえた。次の瞬間、焔骸子の宝貝『五火雉』にそっくりの巨大な火の鳥が頭上に飛び上がると、その身から巨大な炎を生み出した。
 赤々と燃える炎が滴り落ち、郷を彩っていた植物や建物を焼き、鳴上と燈実の退路を塞ぐ。
「私から離れないように」と鳴上が燈実を庇うように立つ。
 巨大な火の鳥と化した焔骸子は、己に残された時間を燃やすと同時に、郷全体を炎に包んでいく。
 まるで、この郷の新たな主になりかわろうとしているかのようで、鳴上は気に入らない。
「アイツも元は仙人だったのかもしれない」と呟いたのは、燈実だった。
「なるほど。それなら納得です」
 神に成り代わろうとした焔骸子は、死んでも神にはなれず、それどころかオブリビオンとなって蘇ってしまった。しかし、生前の思いは骸の海を漂ううちに歪み、男はひとり、この郷に舞い戻って来てしまったのかもしれない……。
 ただし、当の本人も過去のことは覚えていない為、この戦いを終えてもその真意はわからないままになりそうだった。
「ですが、この郷をくれてやるつもりはありませんよ。出でよ、黄巾力士水行軍。あの鳥を撃ち落とせ」
 鳴上が印を結び、132体の黄巾力士を召喚すると、43体で1隊になるよう命令を下した。
 陣形を組んだ黄巾力士は上空を素早く移動する焔骸子に砲頭を向けると、一斉射撃を開始した。
 高速で打ち出される水球弾が火球とぶつかって四方で爆発が起る。
 それらを縫うように避けて飛び回る焔骸子を、別部隊の黄巾力士が挟み撃ちにした。
「鳴上殿、あれは金剛の力を宿したもののはず。なぜ、水の力を発せられるのか?」
「あぁ、それはですね。予備の素材があるのに全て金行にするなんて面白くないでしょう? だから五行それぞれに対応する黄巾力士の軍団を作ってみたのです」と、鳴上は丁寧に説明する。
 本来は金行の属性を持つ黄巾力士だが、召喚時に五行属性のどれかを設定しすることができるのだ。故に、戦い方の幅も広く、いかなる属性にも対応ができるという、鳴上ならではの戦闘センスが光る術だった。
「火に雷は効きにくいですからねえ。これだけ数がいれば、あとは何とかなるでしょう」
 そう。結局力というのは数に比例するものである。
 燈実を庇いつつ、徐々に追いつけられていく敵の姿を眺め、鳴上はいつものように嗤う。
 その姿に焦りはなく、どこか余裕すら感じられ、燈実も「はぁ、猟兵とは本当に強い存在なのだな……」と感心する。
「ところで燈実さん。ここは昔療養所としても有名だったとか。という事は、桃の園もあるのではありませんか?」
「うん? あぁ、確か曽祖父から聞いた話では、あそこの山の麓に薬用に育てられた仙桃の樹木が植えてあるらしい……」
「なぜ今、そんなことを?」と首を傾げる燈実に鳴上が嗤う。
 2人の頭上では命が尽き、肉体が無数の羽根に分解されて散っていく焔骸子の姿があった。
「この郷はまだ誰の所有物でもありませんから、ここで何かを見つけ手に入れたとしても、お咎めは受けないはず。そうでしょう? とい訳で、私はちょっと散策にでも出掛けてこようと思います」
 視線を燈実から空に移すと、そこにはもう、焔骸子の姿はなかった。
 鳴上は燈実に別れの挨拶をすると、嗤いながらその場を後にしたのだった。

●エピローグ
「何故ここに来たのだろう……。ここで何をしていたのだろう……」
 体を失っても残留する意識。
「思い出せない。誰かに何かを言われたような気がするのだけど……」
 グシュッという乾いた音がして、辛うじて存在していた意識がバラバラと崩れ、最後は小さな火の粉となっ風に撒かれて消えていく。
「結局、奴の目的は分からなかったか」
 静寂を取り戻した郷を見渡しながら燈実は悔しそうに顔を歪める。しかし、それもほんの一瞬のこと。すぐに笑みを作ると猟兵達に向き直った。
「いや、今は無事に郷を取り戻せたことを喜ぶべきだな。本当にありがとう。貴方達のことは決して忘れない」
 そう言って深々と頭を下げる。
 これから燈実は火の消えた産山の火口に向かい、宝玉を投げ入れ、火神の力を目覚めさせなければならない。
 しかし、猟兵達の役目はここで終わりだ。ここから先は、燈実ひとりで己の使命を果たさなければならない。
「大丈夫。心配はいらない。あの山は瑞獣が誕生する聖なる場所なのだから」
 やがて帰還用の魔法陣が現れる。
「さようなら、世界に選ばれた者達。郷の復興が叶ったら招待状を送ろう。それまで暫しのお別れだ!」
 燈実の明るい声に背中を押されるように、猟兵達は自分たちの居場所へと帰っていく。
 ひとり残された燈実もまた、産山を目指して力強く歩み始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月29日


挿絵イラスト