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ギガンティア、猫が媚び、河童が愛を囁く

#エンドブレイカー! #ギガンティア #ピュアリィ #河童 #団体様のご参加大歓迎 #オーバーロード歓迎

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 ――エンドブレイカー世界。
 新たに確認されたこの世界で、万能の魔神「エリクシル」が願望を歪めようとしていた。

「そんなに独りぼっちが嫌なら、僕が友達になってあげるカパー」

 河童が幼い女の子に優しい声を掛ける。
 女の子は母親に先立たれ、実父と共に再婚した継母の家で生活していた。
 しかし、実父と継母の中は冷え込み、その苛立ちを少女へぶつけるようになった。
 恐ろしくなった女の子は家を飛び出したものの、空腹に耐えかねて行き倒れていた。
 そこへ、河童が現れた。
 河童は幼女へ食べ物を与えると、親身になって彼女の話を聞いて慰めた。
「そんな両親、君には必要ないカパー。僕が君に相応しい友達をここに呼び寄せてあげるカパー」
 幼女にとって、それは久しぶりに触れた他者からの優しさであった。
 その優しさに幼女は頷いた。頷いてしまった。

 だが、この河童の正体はエリクシルである。
 愛や尊厳を与えられずに育った者を狙い、甘い言葉で願いを叶えようとする。願いはすべて「より多くの破壊と破滅」につながるよう歪められていく。
 それを意味することは、ただひとつ。
 少女の願いは歪められ、かつて萌芽した『棘(ソーン)』の残滓と言われているギガンティアを再現してしまう。
 友達はマスカレイド化したピュアリィで、彼女らの誘惑が多くの人々を誘い込ませて死体の山を築かせる。
 少女は、死体の山の上でニコニコしながら、唄を歌っていた。

「エンドブレイカー世界が他の世界と事情が違うってことは、さっき渡した資料に書いてある通りだけど、今回は出来たばかりのダンジョン『ギガンティア』の破壊に向かってほしくてねっ?」
 蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)は招集に応じてくれた猟兵達に、今回の任務内容を伝達しはじめた。
「今回、出現したギガンティアは『バルカニアゲート』っていうやつと酷似してるらしいよっ? ざっくり言うとね、水辺と水門のダンジョンだと思ってくれればいいよっ!」
 その発生源であるエリクシルをダンジョン奥で討伐するのが目的だ。
「ダンジョン内は蘇ったマスカレイドがたくさん徘徊してるよっ! 女性獣人族『ピュアリィ』の猫人族が相手なんだけど、俊敏性と優れた筋力に加えて、魅了能力も使いこなす強敵だから気を付けてねっ!」
 徘徊する敵以外にも、水流で動く歯車の仕掛けを突破しなくてはならない。
 回る歯車を飛び移りながら、正しいルートを進む必要がある。
 もし違えれば、歯車に巻き込まれて大惨事になりかねない、とレモンは忠告した。
「そんな冒険を突破して、ようやく最奥の部屋に今回の標的である河童のエリクシルが幼女と共に待ち構えてるよっ! 河童を倒せば、ダンジョンは崩壊して幼女も正気に戻るみたいっ!」
 もっとも、エリクシルを討伐できても幼女の心労は解決されないのだが……。
 それはまた別の話である。討伐完了後に考えるべきことだ。
「まずはエリクシルを探し出して討伐することが最優先っ! 女の子の件はみんなに一任するから、うまく取り計らってほしいな……っ!」
 レモンはそう口にすると、猟兵達をエンドブレイカー世界へ送り出す。
 果たして、新しく生まれたギガンティアを生み出した河童とは一体……?
 ユーベルコードの高まりを感じるっ!


七転 十五起
 あれから15年後のエンドブレイカー世界です。
 敵はオブリビオンではなくエリクシルなのでご注意ください。
 なぎてんはねおきです。

●概要
 第一章集団戦です。
 ダンジョン内に蘇ったマスカレイドたちを倒しながら先へ急ぎます。
 すべて倒す必要はありませんが、全方向からの猛攻への対処は講じておきましょう。

 第二章冒険です。
 水流で複雑に動く歯車の道の先を行きます。
 大きな歯車に乗っかって移動したり、歯車を嚙み合わせて道を切り拓いたり。
 割と自由にプレイングを掛けていただいて構いません。

 第三章ボス戦、河童のエリクシルです。
 願いを申し出た幼女も死体の山の上で正気を失ったまま歌ってますが、戦闘に影響はありません。
 河童のエリクシルを撃破するとダンジョンが崩壊し、少女は正気を取り戻します。
 その後の事は、猟兵各々の判断に任せます。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしてます。
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第1章 集団戦 『フェルプール』

POW   :    アサルトクロー
【鋭い猫の爪】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    ブレインクラッカー
【敵の頭部に飛びついて爪】で近接攻撃し、命中した部位ひとつをレベル秒間使用不能にする。
WIZ   :    キャットダンス
一緒に【ダンス】を行った全員に、ひとつ頼み事ができる。成功率は、対象が[ダンス]を【魅惑される】程増加する。

イラスト:Hisasi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達は新たに誕生したギガンティアへ足を踏み入れる。
 中は凄まじい水量が水門から流れ、肌寒さを感じるくらいだ。

 そんなギガンティアの内部は、マスカレイド化した猫型ピュアリィ達が蘇って徘徊している。
 彼女たちは猟兵達という侵入者を感知するやいなや、一斉に襲い掛かってきた!
 奥へ進むためには、これらを蹴散らして突き進むしかない!
タイガ・クジョウ
御三家
アルジェン兄さん宜しくなんだよー

うん、アルジェン兄さんはあっちじゃおっぱい依頼来なかったもんねー♪

…もう少し気楽な依頼だったらフェルプールさんのおっぱい堪能したかったんだけどねー♪
即座にUC発動
アル兄(因みに親戚)の傍に立ち視認外の不意打ちを警戒

対WIZ
僕は踊るならベッドでえっちに踊りたいんだよー(きりっ

えっちな事をしながら殺されるって中々萌えるシチュエーションだけど無理そうだねー
普通に殺されるのは勘弁なんだよー

なんて軽口言いながらも迫る敵の攻撃を逐一アルジェン兄に伝達するよー

【天候操作】
雨を降らすんだよー
猫ちゃんは雨は苦手だよねー?

【破魔】
後は霊符で破魔の一撃を展開するよー


アルジェン・カーム
御三家
考えてみれば泰河君とこうして共に力を合わせる機会は殆どなかった気がしますね?
フェルプールは不意打ちも得意ですから探知お願いしますね?

…相変わらず泰河君はお胸好きですね…まぁ…判らないわけではありませんが(こほん

UC発動
これが城塞騎士の力…とはいえ不意打ちは防げません
泰河君…今回は頼りにさせて頂きますね?

味を覚えられたとしても視認できるなら防ぎきる!
基本泰河君も庇います

【切断・オーラ防御】
とはいえ泰河君だけに頼るわけにもいきませんね
オーラを展開しより敵の接近と攻撃の視認を行いやすくします
後は正面からぶつかり合い宝剣にて切り刻みます

…既に犠牲になった方を救えないのは…無念ですがね



 このエンドブレイカー世界には、天津神楽という都市国家が存在する。
 その都市国家の名家であるコウシ御三家のうち、皇家のアルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)と九条家のタイガ・クジョウ(祭祀の炎剣・f39010)は、最終決戦で大魔女スリーピング・ビューティとギルタブリル撃破してからも15年間戦い続けてきた。
 そして今日、猟兵として2人は新たな脅威へ立ち向かう。
「アルジェン兄さん宜しくなんだよー」
「こちらこそです。考えてみれば、泰河君とこうして共に力を合わせる機会は殆どなかった気がしますね? 聞けば、ギガンティアに蘇ったのはフェルプールだそうです。フェルプールは不意打ちも得意ですから、探知お願いしますね?」
「うん、任せてだよー。……もう少し気楽な依頼だったらフェルプールさんのおっぱい堪能したかったんだけどねー♪ そういえば、アルジェン兄さんは以前はおっぱい依頼来なかったもんねー♪」
 さっきからずっと胸の呼称を連呼するタイガ。
 筋金入りの女好きであり気合で若返った彼は、若返りすぎて15歳のただのエロガキに戻ってしまったのだ。
 アルジェンはギラギラしてるタイガに苦笑いを浮かべてしまう。
「……相変わらず泰河君はお胸好きですね……まぁ……判らないわけではありませんが」
 頬を赤らめたアルジェンが咳払いをしたのち、ギガンティアの内部へタイガと共に足を踏み入れた。
 ここでタイガがすかさずユーベルコードを発現させた。
「ヘミソフィア・オラクルだよー!」
 天啓の光を体内から放出するタイガ。これにより隠れているフェルプールを発見できる。
 のだが……。
「うわー! 隠れる必要もなくフェルプールがたくさんいるよー!」
 視覚外とかそんなこと関係なく、至るところにマスカレイド化したフェルプールの群れが蔓延っているのだ。
 アルジェンも見渡す限りの敵の数に息を吞む。
「これは……手を焼きそうですね? 僕も早速ユーベルコードを発動しましょう」
 雑魚敵とはいえ、かつては手を焼いた種族のマスカレイドだ。
 しかも多勢に無勢の上にタイガの策は無意味に終わった。
 こうなったらアルジェンしか頼みの綱がない。
「輝く戦神の防具よ、僕に力を貸してくださいね?」
 ユーベルコード『バトルアーマー』によって、彼の視覚の範囲内の攻撃に対して無敵状態になる。
 その証拠に、正面から飛び掛かってきた数体のフェルプールの鋭い猫の爪の一斉攻撃をすべて弾き返してしまった。
 これにアルジェンは、己の新たな力への驚きを隠せない。
「これが城塞騎士の力……とはいえ、このユーベルコードでは不意打ちは防げません。泰河君……挽回のチャンスです。僕の目の届かない死角の守り、頼りにさせて頂きますね?」
「わかったんだよー!」
 タイガはアルジェンの背に隠れ、逐次後ろを取られないように警戒する。
 その間も天啓の光を放ち続けるので、薄暗いギガンティアの内部では敵の視界の妨げになっていた。
 故に、タイガを篭絡させるべくフェルプールたちは突然踊り始めた。このダンスには魅了の効果がある!
「気を付けてください泰河君。あのダンスを見てはいけません」
 アルジェンはオーラの障壁で魅了に耐性を付けようとするが、それでもかなり理性が持ってかれそうになってしまう。
 恐らく、このダンスで多くの一般人達をギガンティアの内部へ誘い込んで殺害したのだろう。
 アルジェンはともかく、女好きのタイガにとっては上半身裸の猫獣人の妖艶なダンスを見たら、真っ先に飛び掛かってしまいかねない。
 心配するアルジェン。
 その当の本人、タイガはというと……?
「僕は踊るならベッドでえっちに踊りたいんだよー。ふぅ……」
 なんと彼は、即身仏からの賢者モードで魅了を乗り切るという剛の者だった。
 これが15歳思春期真っただ中に若返ったタイガだからこそできる荒業、夢想精想……!
「えっちな事をしながら殺されるって中々萌えるシチュエーションだけど、今日は無理そうだねー。ましてや普通に殺されるのは勘弁なんだよー」
 キリッと凛々しい顔のまま、天啓の光を無駄に輝かせるタイガ。
 その輝きが心なしか股間に集中しているのは気のせいだろうか……?
 しかし、おかげでフェルプールたちは目を開けられないほどの光量を浴びてダンスを中断させてしまう。
 今が反撃のチャンスだ!
「ということで、ギガンティアの内部に雨具をを発生させて雨を降らすんだよー。猫ちゃんは雨は苦手だよねー?」
 空がない密室で突然天井から大量の雨が降りしきり、フェルプールたちは大混乱!
 そこに放たれる霊符による破魔の一撃がフェルプールたちを撃破してゆく。
「アル兄ー、前はよろしくなんだよー!」
「ええ、任せてくださいね」
 物腰柔らかな口調とは裏腹に、振るわれた宝剣の鋭さは熟練検視のそれである。
 向かってくるフェルプールたちを容赦なく斬り捨てながら、アルジェンはタイガと共にギガンティアの奥へと進んでゆく。
 その顔は悔恨の念で沈んだ表情になっていた。
「……既に犠牲になった方を救えないのは……無念ですね」
 新たな犠牲者をこれ以上生まないためにも、最奥のエリクシルを討伐しなくてはならない。
 決意を新たにして、猟兵ふたりは最奥をめざしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カシム・ディーン
UC常時
此処がエンドブレイカーの世界ですか
A&Wに似てますね?
つか…ひでー話だな?
「ご主人サマ?女の子に同情してるの?」
そりゃそうだろ?親なんてガキにとって一番頼りになる存在じゃねーか
それから攻撃されたら傷つくに決まってるだろ?
「(ご主人サマ…自分がもっとひどい目にあってるのにそう言う事言うんだ…!)」

はぁ…残念だ
もう少し気楽にお前らとエロい事したかったんだがな
【情報収集・視力・戦闘知識】
フェルプールの陣形把握
戦闘能力と能力の分析
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達に付与
光学迷彩で隠れ水の障壁で匂いや音を隠蔽
【弾幕・念動力】
念動光弾で蹂躙
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
斬撃で身包み強奪
後セクハラ



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と相棒のメルシーは、初めて訪れたエンドブレイカー世界に親近感を抱いていた。
「此処がエンドブレイカーの世界ですか。アックス&ウィザーズに似てね?」
「ご主人サマの故郷もこんな感じだったの?」
 メルシーは中世ヨーロッパ風の建造物のギガンティアの入り口や、遠くに見える都市国家の街並みに首を傾げる。
 カシムはこれにそっけなく告げた。
「まぁ大体はな? つか……ひでー話だな? ここを生み出した元凶の内容、ふざけてんのか?」
「もしかしてご主人サマ? 予知で見た女の子に同情してるの?」
 カシムは眉間にしわを寄せながら頷く。
「そりゃそうだろ? 親なんてガキにとって一番頼りになる存在じゃねーか。それから攻撃されたら傷つくに決まってるだろ?」
「えー、そう、だね?」
 真顔のカシムにメルシーは困惑してしまう。
(ご主人サマ……自分がもっとひどい目にあってるのに、そう言う事言うんだ……!)
 メルシーが心の中で呟くと、カシムが睨みつけてくる。
「うるせー。親ガチャとかいうやつに爆死した僕だからこそ、含蓄ある言葉じゃねーか」
「メルシーの心の中がご主人サマに読まれた!?」
「だってメルシーが少女形態の際は、僕と常に魔力回線が接続されっぱなしだろ? 最近はメルシーの感情が大きく振れると、僕のほうに逆流してきやがるんですよ。いい迷惑だっつーの」
 不貞腐れたままカシムがギガンティアへ入ろうと歩を進める。
 それを追い掛けるメルシー、ある仮説に至ってしまう。
「そうだったの? それじゃ、そのうちご主人サマの心もメルシーに筒抜けに? うぇへへへへへ♪」
「よし、ルーン魔術で僕の心の声は漏洩しないように鍵かけておこう」
「それはただのコミュ障になっちゃうよ、ご主人サマ!?」
 こうして夫婦漫才のノルマをこなした後、2人はダンジョン奥地を目指して進んでゆく。

 しかし、しばらくマスカレイド化したフェルプールたちを討伐していたカシムに変化が起きる。
「はぁ……残念だ。僕はもう少し、気楽にお前らとエロい事したかったんだがな」
 明らかに気分が下がっていた。
「倒さないと前に進めないね?」
「だな、メルシー。しかし数が多すぎてうぜーな」
 群れに規模が大きいのか、道行く先に襲撃を受けるので全く奥へ進めない。
 故に、2人はユーベルコードで一気に突き進むことにした。
「メルシー、もっと魔力を回せ! 飛ぶぞ!」
「ラジャったよ☆ まずは光学迷彩魔術、発動☆」
 2人は周囲の景色に溶け込む魔術を全身に纏ってフェルプールたちの目を欺くと、一気に前を目指して時速660kmの最高速度で突っ込んでゆく!
「そこをどけぇ!」
「えっちな踊りなんて見てる余裕なんてないぞ☆」
 踊り狂って2人を魅了しようとするが、高速移動する彼らには目視で敵を見ることなどほぼ不可能だ。
 何故なら一瞬で通り過ぎてしまう上に、前方を塞ぐ群れを2人が魔砲の念動光弾の連射で吹っ飛ばしてしまうからだ。
 と、ここでカシムが突飛な発言をかます。
「メルシー! あいつらの毛皮って売れそうか?」
「えー? どうだろ? 他世界なら珍しがられるかも?」
「よし、剥ぎ取れ!」
「ご主人サマ、本気!?」
 だがカシムの命令はメルシーにとって至上課題だ。
 よって、武器をビーム鎌剣ハルペーに持ち替えたメルシーは、邪魔するフェルプールたちの上半身を刈り取っていく。
 そのまま、毛皮がある下半身を賢者の石である自身の身体へ取り込んで回収していった。あとで毛皮を剝ぐためだ。
「さすがにセクハラは……やめておくか」
「魅了されたら大変だもんね☆」
 下手に手を出すのは下策だと判断したカシムは、そのまま奥へ進むことを優先する。
「あ、でもご主人サマ? あの子たちの下半身はあるから、それで……」
「馬鹿やめろ! 僕にそんな趣味はないぞ!」
 割と尊厳を失う行為を推奨するメルシーに、カシムは空っぽのその頭へ水平チョップをぶちかますのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
■ワンダレイ
此度は女性人格たる私で向かいます

(…支部って何なのかしら?)
「…幼子に何を見せつけてるのかしらね?
暴れる元気を無くして差し上げましょう

エインセルは優しいわね
心配になるわ

あら?リーゼロッテは欲しいの?」

なら確保しやすいようにしましょう

致死スレスレで表出させれば良いでしょう

元々説得()出来るよう動き止めるつもりでしたし
…勢い余って身じろぎ息継ぎ一つ出来なくなるやも知れませんがそこはご愛嬌という事で一つ

折角いらっしゃってくれたのですしたぁんとおもてなしをせねば

爪先は私の血をまとった黒纏で反らし続けます
魅了は五ヶ谷が防いでくれてますししっかりせねば…ね?

辉夜に回復は任せひたすら壁になります


エインセル・ティアシュピス
【ワンダレイ】アドリブ歓迎
にゃーん、おんなのこをはやくたすけにいかにゃいとだけど、てきさんいっぱい!
でもみんなおようふくきてないねえ。
いまはさむいからかぜひいちゃうよ?
おんなのひとはおはだみえないようにしなきゃめーだよ!
けんこうだいいちなんだよ!(純真無垢な目で語りかける子猫)

でもたおさにゃいとだから、
おようふくをきようっておはなしはするけどちゃんとたたかうよ!
【指定UC】でみんなのけがもなおしながらてきさんをこうげきにゃーん!
【多重詠唱】もつかって【結界術】と【オーラ防御】ですこしでもいたくないようにして、【浄化】のまほうをつかって
ぐれんのみりょーたいさくのおてつだいもするね!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ワンダレイ】【POW】
※アドリブ他歓迎
※愛機&武装は【シフト・T】で装甲ドレス化

『エインセルきゅんを見守る会』
猟兵医師会支部長としては少し心配かな
けんこうだいいちだもんねー♪
※彼を健全に甘やかす

うん、猫娘は1人持ち帰りたいね♡(肝油ドロップころころ)
だからココはオペ55番【LI・ウィザード】で
《瞬間思考力》で【カイルス】の予知を活かし等身大【スカベンジャー】で狙撃
コレの特効は『悪事の発生源』
即ちマスカレイドの在り方…上手くイケば不殺&無害化も可能さ

後は【M・メモリ】でフェロモン発生源展開
只の猫娘へ復元した中でアタシに一番懐いた娘を
【F・ライナー】の薬&ナノマシンで飼猫に♡
※名前外見性格等一任


五ヶ谷・グレン
【ワンダレイ】アドリブ絡み歓迎
◼️心情
エインセル君を見守る会としてはエインセル君の意思を尊重したいが。
エインセル君にピュアリィはまだ早い

◼️準備
そんな想いが見守る会の皆から沢山もらえたからなぁ、
潤沢に対策しよう。
UCで抗魅了肝油ドロップ缶を用意して皆に配っておく
◼️道を拓く
リリー先生や尾守さんよりか、相手の本能が生きてるなら俺に向かってくるはずなので、
純粋に悶絶する不味さの|毒八つ橋の粉末《メシマズの概念》を風に乗せて時間を稼いでる間にUCで残りの想いに、エインセル君の寒そうと言う優しさ、カクリヨのカタストロフしたエロの概念を合わせたタンポポの種を風に乗せ、届けよう。
ひたすら暖かいドレスアップ



 ギガンティアに旅団『飛空戦艦ワンダレイ』所属の猟兵達4人が足を踏み入れた。
 彼らは薄暗い内部を進んでゆくと、すぐにマスカレイド化したフェルプールの群れに取り囲まれてしまった。
「想定はしていたが、やっぱり数が多い」
 他の面子より頭2つ分飛び出た巨人族の五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)だからこそ、周囲の敵の数を改めて実感できた。
「単独行動は危険だ。固まっていないと各個撃破されかねない」
 グレンの忠告に尾守・夜野(|墓守《うせものさがし》・f05352)とリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)がグレンと背中合わせになり、中心にいるエインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)を守る。
 だがそんな事をすれば、背が低いエインセルが周囲を遮られて見えなくなってしまう。
「わーん! まえがみえないにゃーん! おんなのこをはやくたすけにいかにゃいとだけど、てきさんいっぱい! でもこれじゃなにもみえないしうごけないよ!」
「ごめんなさいエインセル。でも、さすがにこれは見せれませんわね」
 多重人格者である夜野の女性人格が断固としてエインセルの視界を覆うべく立ちはだかる。
 それはグレンも同様だった。
「そうだな。エインセル君にピュアリィはまだ早い」
「はやいってなにがはやいの? びゅーんってするの?」
 まだまだ子供のエインセルは、グレンの言葉の意味を汲み取ることが出来ない。
 そして、一番警戒を払っているのがリーゼロッテであった。
「アタシ的にというか……『エインセルきゅんを見守る会』猟兵医師会支部長としては、ピュアリィたちの刺激が少し心配かな。幼少期の性癖のねじれが成人へ至る成長過程で多大な悪影響を及ぼすからね……」
 真剣な口調で語るリーゼロッテ。
 そんな彼女は光の腕輪『MNZ/ST:DrLiLY-14019u シフト・トリックスター』の効果で、愛機である量産型キャバリア『MPC-RW9r-LEX ナインス・ライン』を変形・機甲ドレス化して纏うことで、エインセルの視界を大いに邪魔して覆っていた。
 それほどまでにエインセルを過保護にする集まりが『エインセルきゅんを見守る会』であり、今まさに上半身裸の雌猫獣人であるフェルプール達がえっちな踊りをして発育のよい乳房が左右にぶるんぶるんっと震えている光景を、エインセルの青少年の健全的育成のため必死にガードしている最中である。
 つまり、夜野・グレン・リーゼロッテによる、エインセルの性癖をねじ曲げないための聖戦が既に始まっているのだ!
(確かに情操教育上、あれはよくないわね)
 夜野が防御態勢をとりながら、じりじりと間合いを詰めてくるフェルプールと睨み合う。
 しかし思考の片隅で、ある違和感を覚えていた。
(でもリーゼロッテ? その肩書は何……? 猟兵医師会支部長? 支部って何なのかしら? 支部ってことは本部もあるの? それじゃ……本部長は、だぁれ……? まさかエインセルの魅力は、既に各世界の暗部にまで浸透してるというの……? エインセル、恐ろしい子……!)
 よもや、真っ白な猫ショタの魅力が36の世界を尊死させる未来があるというのか。
 メーデー。この世を|尊死《ほろぼ》すショタで、芽生えた想いを萌えさせて。
 あれ? もしかしてそれが一番平和な世界なんじゃ……?
 ショタが世界を救う。はっきり分かんだね(迫真)。
「……もう考えるのは止めるわ」
 思考がこんがらがってしまった夜野は、当てつけのようにフェルプール達へ呪詛の眼差しを向けてゆく。
「……幼子に何を見せつけてるのかしらね? 暴れる元気を無くして差し上げましょう」
 爪を出して威嚇するフェルプール達が、夜野のどす黒い呪詛のオーラに身を竦めてしまう。
 夜野は竹笛型宝貝である自动乐器【辉夜】を起動させ、自動演奏による音色でフェルプール達の聴覚からダメージを与えつつ、自身と仲間の傷を癒し続けてゆく。
「わー! きれいなねいろだねー!」
 竹笛の音色に、思わず3人の包囲網からエインセルが顔を出してしまう。
 そしてフェルプール達のえっちな踊りを目の当たりにしてしまう!
(しまった!)
(いけない! エインセルきゅんの性癖が中途半端なエロケモで歪められちゃう!)
(まずい、迂闊だった!)
 三者三様に焦り出すが、当のエインセルはフェルプール達を眺めながら首を傾げた。
「あれー? みんなおようふくきてないねえ。いまはさむいからかぜひいちゃうよ? おんなのひとはおはだみえないようにしなきゃめーだよ! けんこうだいいちなんだよ!」
 純真無垢な目で語りかけるエインセルに、わいせつな気持ちなど一切なかった。
 ただただ、素っ裸の雌猫獣人たちが肌寒いダンジョンの中で体調を崩して熱を出したら心配……という優しさだけがエインセルの頭の中を満たしていた。
 これにリーゼロッテが屈みこみ、エインセルの頭を愛おしそうに撫でまわした。
「えらいねー♪ けんこうだいいちだもんねー♪」
「にゃー♪ ぼくえらいのー? なでなでありがとなんだよ!」
「エインセルきゅん……そのままのエインセルきゅんでいてね?」
 健全に甘やかすリーゼロッテは、光属性のショタの尊みに触れて己の心が浄化されていくのを実感した。
 グレンも密かに安堵の溜息を吐き、小脇に抱えている大釜(巨人の彼にしたら持ち運びに手頃サイズらしいが、十分に巨大だ)手を突っ込み、何やら中身をかき混ぜ始めた。
「エインセル君を見守る会としてはエインセル君の意思を尊重したいが。あれらは敵だ。突破しないと奥の河童のエリクシルを破壊できないし、少女も助けられない。それに、エインセル君への想いが見守る会の皆から沢山もらえたからなぁ、ここは潤沢に対策しよう」
 グレンは目の前でえっちな踊りを踊り狂うフェルプール達を無視して、ユーベルコード『|ちからもち式ウィッチクラフト《力ずく魔女術序》』を行使、大釜の中で魅了への耐性を得られる薬物を生成しはじめる。
「願う、芽吹き、息吹く、一助たらん事。誓う、この腕、その瞳にうつる夢幻にさしのべること。我が瞳がうつす諸人の星々よ心のまま息吹け……ほら出来た。抗魅了肝油ドロップ缶だ」
「なぜ肝油ドロップ……? まぁいいわ。ひとつ貰えるかしら? って、痛いわね……!」
 夜野は先程からフェルプール達の爪の猛攻をその身に受け続けて仲間を庇っていた。
 宝貝の回復効果があるとはいえ、着ている赤黒いドレスが更に赤い血液で染まってしまっている。
 勿論、敵の誘惑など呪いに満ちた夜野の身体にはこれっぽっちも効果は及ばないのだけど、それでも身体が男性のため不測の事態を考慮しないわけにはいかない。
(そのための女性人格である私が出たのだけど……対策を講じてくれているなら、その恩恵は受けておくべきね)
 グレンを慮ってか、放り投げられた肝油ドロップを夜野が口でキャッチ!
 奥歯で一思いに噛み砕く!
「それにしても、エインセルは優しいわね。逆に心配になるわ」
「でもそこがエインセルきゅんのいいところ♪ あ、肝油ドロップ、ありがとね♪」
 口の中でころころと肝油ドロップを転がすリーゼロッテが余裕の態度なのは、身に纏っている装甲ドレスのおかげである。
 頑強なそれはフェルプール達の爪などではまったく傷がつかず、いくら引っ掻かれてもリーゼロッテがダメージを負うことはあり得なかった。
 そんな猛攻撃を受けたリーゼロッテの顔が、ニマニマと笑みを浮かべてフェルプール達を『品定め』しだす。
「うん、猫娘は1人持ち帰りたいね♡ リリー先生が可愛がってア・ゲ・ル♡」
 エインセルを見守る聖母のような眼差しが一変、情欲に塗れた野獣の鋭い目でフェルプール達を舐め回すように見渡している!
 肝油ドロップが効いていないのではなく、リーゼロッテはこれまでも自分好みの美少女オブリビオンを連れ帰ろうと試みているので、つまり日常茶飯事なのだ。
 夜野は通常運行のリーゼロッテに肩を竦めながらも問い掛けた。
「あら? リーゼロッテは誰か欲しいの? なら確保しやすいように手助けしましょう。もう十分、敵も私に“触れた”でしょうから」
 傷だらけの夜野は不敵に口角を釣り上げると、満を持してユーベルコード『|専【呪亡】衛《センシュボウエイ》』を発動させた。
「ふふ……ただ殴られてただけだと思ったの? もう手遅れよ?」
 夜野の言葉がトリガーとなり、今まで攻撃を仕掛けていたフェルプール達が一斉に吐血して倒れ込んだ!
「私に触れた敵に、遅延性の猛毒と累積型の呪詛を与えました。これな敵が私に触れるほど効果が乗っかっていきます。まぁ……もともと説得?を出来るよう動き止めるつもりでしたし。それでも……勢い余って、身じろぎ息継ぎ一つ出来なくなるやも知れませんが、そこはご愛嬌という事で」
 ドレスのスカートの裾を左右の手で摘まんで、礼儀正しくカーテシーを行う夜野。
「さあ、遠慮はいりません。折角いらっしゃってくれたのですし、たぁんとおもてなしをせねば、ねぇ?」
 そう言って更にフェルプール達の猛攻を身に浴び、攻撃してきた相手の内臓を腐らせてしまう。
 リーゼロッテは血を吐き弱り切ったフェルプール達をみて、これは自分でも確保に動くべきだと悟った。
「うん、ここは|Op.LV:L.IGNITION [W]《ロゴスイグニッション・ウィザード》で。それじゃ、【マトリクス・メモリ】対発生源キル・プロセス始動!」
 首左側に端子を接続させると、空間に等身大スカベンジャーが出現!
「【カイルス】の予知を活用するよ。爪の攻撃を回避して……敢えて言おうか! アンタの咎を示しなっ!」
 スカベンジャーが大きな羽音を立てながらフェルプール達の頭上を飛び交い、光弾を乱射してゆく!
「マトリクス! ロゴスイグニッション!」
 空を飛ぶ相手に滅法弱いのか、フェルプール達は混乱して逃げてゆく個体すら現れた。
「コレの特効は『悪事の発生源』。即ち、マスカレイドの在り方そのものを打ち砕く……上手くイケば不殺と無害化の両立も可能さ♡」
 同時にマトリクス・メモリからフェロモンを発生させ、フェルプール達の戦意を削いでゆく。
「おやおや♡ アタシに擦り寄っちゃって♡ 一緒に来るかい?」
 マスカレイド化から解放されたフェルプールの一体が、リーゼロッテの足に絡んでくる。
 それの頭を彼女は撫でつけると、投薬とナノマシンで従順な飼い猫へと仕立て上げていった。
「随分と大人しくなっちゃて♡ おや、鍵尻尾の子だね? 珍しい」
「鍵尻尾は幸運の証らしい。SSRだな」
 豆知識を披露するグレンは、再び魔女の大釜をこねこねしだした。
 そこから溢れるのは|毒八つ橋の粉末《メシマズの概念》である。
「これ、みんなは嗅ぐなよ?」
 粉末を襲い掛かってきたフェルプールの集団へ投げつけるグレン。
 すると粉末を浴びた集団が一瞬で悶絶しながら失神してしまったではないか!
 相当五感を破壊するダメージを秘めた粉であることは間違いない!
「それじゃ、残りの願いのエネルギーはエインセル君のために使おう」
 グレンは大鎌の底を素手でさらうと、大量のタンポポの綿毛を握り締めていた。
 それらをふぅっと息を掛けて空中へ撒き散らせば、フェルプールの身体に纏ってそれは衣服の如くもこもこして裸を隠してみせた。
「てきさんたちよかったねー! これでかぜひなかいね!」
 ぱちぱちぱちと手を叩いて喜ぶエインセルであったが、周りが自分を守るため、徐々に傷付くさまを無視できずにいた。
「にゃーん! ぼくがみんなをまもるんだ! みんな、げんきになーれ!」
 ユーベルコード『|白風揺蕩う白羽の猫《ブランシュ・ヴァン・コム・シャバリュネージュ》』は、戦場全体に白い風を吹かせることで敵に浄化ダメージを与え、味方の負傷を癒す効果を持つ。
 更に仲間に白い風のオーラを纏わせ、ダメージ軽減をエインセルは期待する。
「おようふくをきてよかったけどちゃんとたたかうよ! てきさんたおさないとおんなのこたすけられにゃいから!」
 ごめんなさい、ごめんなさい。いたくしないから、ごめんなさい、
 何度も謝りながらマスカレイド化したフェルプールを昇天させてゆくエインセル。
 彼の純真な優しさに他の三人が胸を打たれながら、更にギガンティアの奥地へと進んでゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
エリクシルめ幼女を攫うとは犯罪者じゃねえか
そしてフェルプールたんハァハァ

ダンジョン崩壊すれば自然と躯の海に帰ると期待して痛いことはせず突破を狙うぜ
食らえ!とカツブシを投擲して引き付けられるかな?

ダンスはきつねダンス専門なので見ているだけ
可愛いねと拍手は送るよ
理不尽なお願いはノーサンキューだ
手持ち食料や、精一杯遊んでくれってなら応じてあげる
爪で襲われりゃ流石にグラップルで腕を取って柔術で投げて凌ぐぜ

名残惜しいが足止めされ続けるわけにいかない
ダッシュジャンプで突破を試み、粘り蜘蛛糸を見舞って突破するぜ
べたべた蜘蛛糸プレイもなかなか♪
一枚スマホで撮っていきましょ
ピュアリィ達が確かに存在した証明さ



 四王天・燦(月夜の翼ルナ・ウォーカー・f04448)は憤りを感じていた。
 このギガンティアを生み出した願望の持ち主……つまり幼い女の子を利用する河童のエリクシルを許せなかった。
「エリクシルめ、幼女を攫うとは犯罪者じゃねえか」
 義憤に駆られてギガンティア内部へ突入した燦だったが、半裸のフェルプールの群れに取り囲まれると態度を一変した。
「フェルプールたんハァハァ! 興奮してきたな!」
 性嗜好が同性へ向けられる燦にとって、おっぱい祭り会場に迷い込んだようなものだ。
 だがここのフェルプール達はマスカレイドだ。つまり、過去に討伐された存在が蘇って実体化したようなものだ。
「うーん、つまり、ダンジョン崩壊すれば自然と骸の海に還る存在ってコト? だったら自分の欲よりも任務優先だな? 正直、可愛い女の子を痛めつけたくないし、適当にあしらって奥に進むぜ」
 状況を理解し、すんっと真顔に戻った燦の前に立ちはだかるのは、フェルプール達のユーベルコード『キャットダンス』だ。
 艶めかしい魅了のダンスは、耐性がない者にとってはたちまち虜にされて言いなりになってしまうだろう。
 だが、燦はどうだろうか?
「うん、可愛いね。でも猫じゃだめだ、きつねじゃないと。でぃんでぃんでぃん、でぃんでぃでぃん♪」
 唐突に謎のメロディを口ずさむ燦。
 それ以外はまったく魅了を受け付けずに見守るだけだ。
「理不尽なお願いはノーサンキューだ。手持ち食料や、精一杯遊んでくれってなら応じてあげるけど、もしその爪で攻撃してくるっていうなら話は別さ。腕の一本でもへし折って壁に叩き付けるよ?」
 不殺の覚悟を見せる燦がギガンティアの奥へと疾走をはじめる。
 だがフェルプール達はこれを誰も止められない。
 それだけの凄みが、今の燦の全身が溢れ出ているのだ。
「退いてくれ! |粘り蜘蛛糸《バインド・オブ・シャドウアビリティ》!」
 ユーベルコードで生み出した特製の毛玉に燦が息を吹きかけると、絡まった毛玉が一気に解けて粘着性の高い雲糸の網となってフェルプール達に引っ付き絡み取ってゆく!
「盗賊ギルドが再現したアビリティの蜘蛛糸だ。簡単には抜けられねーぜ。うん、べたべた蜘蛛糸プレイもなかなか♪ 記念に一枚スマホで撮っていきましょ」
 強制蜘蛛糸緊縛プレイに処せられたフェルプール達をスマホカメラで撮影して回りながら、燦はさらに奥へ進んでゆく。
「忘れないぜ? お前たちがここに居たってことをな? じゃあな!」
 こうして燦は、本当にフェルプール達を誰も殺さずにこの場を突破してみせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
肌色猫耳美少女ちゃんが誘惑してくれるなんてさいこ〜だよ〜♪

UCの魅了の歌を眷属淫魔115人と同時に合唱〜♪
音は全方位に広がるから隠れて死角から近付いても無駄だよ〜♪
歌唱
誘惑
催眠術
集団戦術

歌唱中もサキュバスハートとアイドルオーラを振り撒いて、ダンジョン内のあらゆるモノを魅了してサキュバスガール化〜♪
フェルプールちゃん達の過去、未来、UC 、呼吸する空気さえも全て虜にして淫魔化できちゃうんだよ〜♪

魔法陣展開してぴゅあの宝物庫送りだよ〜♪
中は大量の眷属で一杯だから、淫魔全員で囲んで化術+肉体改造+神罰で邪神眷属の淫魔に変えちゃお〜♪

折角だから〜♪ぴゅあは1番お胸の大きいフェルプールちゃんと遊ぶね〜♡



「肌色猫耳美少女ちゃんが誘惑してくれるなんてさいこ〜だよ〜♪」
 純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ(永遠に無垢なる幼く淫らな魔貌の邪神姫【百合淫魔王】・f30297)はワクワクしながらギガンティアの内部へ進んでゆくと、案の定、マスカレイド化したフェルプール達が行く手を阻んだ。
 これにピュアニカは目をキラキラさせてキャットダンスに釘付けだ。
「わぁ~かわいいね~♪ ぴゅあも一緒に歌って踊る~♪」
 すかさず己の女性眷属115人を周囲に召喚させると、一斉に合唱しながら踊り始めた。
 フェルプール達のダンスもかなりの魅了効果を有するが、相手はレズビアンの邪神である。
 女性への特攻効果と強烈な魅了を持った歌声が、ダンジョン内に反響してフェルプール達を苦しめてゆく。
「音は全方位に広がるから、隠れて死角から近付いても無駄だよ〜♪」
 そう告げたピュアニカのサキュバスハートとアイドルオーラがフェルプール達を無力化させ、マスカレイドという存在から解き放って自身の眷属化を促進させていた。
「あとは魔法陣展開して~ぴゅあの宝物庫送りだよ〜♪」
 ユーベルコード『|邪神の宝物庫《イーヴィル・メモリーズ》』で次々と空間に引きずり込まれてゆく大量のフェルプール達。
 かろうじて理性を保てていた他のフェルプール達は、何が起きているのか理解できずにただ逃亡するしかなかった。
 取り残されたフェルプール達は既に半数が淫魔化しており、空間から宝箱送りにされて本格的に精神と肉体を改造されて正式な眷属へと生まれ変わるのだ。
「中は大量の眷属で一杯だから、淫魔全員で囲んでアレコレ体に覚えさせて♡ カワイイ邪神眷属の淫魔に変えちゃお〜♪ 折角だから〜♪ ぴゅあは1番お胸の大きいフェルプールちゃんと遊ぶね〜♡」
 そう言って、お気に入りの個体を連れていくピュアニカは、足取り軽くギガンティアの外へ出て帰っていった。
 恐らくこの後のダンジョン攻略には興味などなく、あとは自身の城で淫蕩な遊戯に明け暮れるのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
少女さんがお可哀想です
助けてあげたいです
こんな酷い運命に巻き込まれしまう前に
エンドブレイクしてあげたかったです

少女さんの元へ最優先で急ぎましょう

いつものツルツル作戦です
スケーターの如くダンジョンを滑走

フェルプールさん達の攻撃を
滑らせて無効化しながら進みます

立ち塞がる方をペロっとして
将棋倒になっていただきます
さよーならー

ピュアリィさんも
蘇生されて傀儡とされて哀れに思います

滑らかな指さばき(爪さばき)で弦を爪弾き
炎水風の魔力を放って
海へとお還ししながら進みます

これは鎮魂曲であり
カッパさんを倒して
少女さんをお助けする誓いの旋律でもあります
すぐにお助けしますからね



 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は出立前、グリモアベースでのブリーフィングで酷く心を痛めていた。
「少女さんがお可哀想です。なんとか助けてあげたいです。でも欲を言うなら、こんな酷い運命に巻き込まれしまう前にエンドブレイクしてあげたかったです……」
 グリモア猟兵の予知は万能ではない。
 オブリビオンやエリクシルによる被害に限り予知できるが、家庭内不和や社会での苦しみなどはどうしても手を差し伸べることは出来ない。出来たとしても、それは事件に付随してのことだ。どうしても事後処理になりがちである。
 それでも、心優しくオブリビオンとエリクシルには手厳しい箒星は悔やんでも悔やみきれず、絶対に少女を救出するという固い決意を抱いてギガンティア攻略に向かった。

「少女さんの元へ最優先で急ぐためにも、いつものツルツル作戦で参りましょう。全部倒さなくてもいいと言ってましたものね」
 箒星の言う通り、ブリーフィングでギガンティア内のフェルプール達は殲滅する必要はないのだ。
 最奥の河童のエリクシルさえ倒せば、ダンジョン崩壊と共に消滅する命運にある存在だからだ。
 それゆえ、戦闘を最低限に抑えて先を急ぐことを箒星は選択した。
「では靴の裏をペロリ。スピードスケート競技の要領でダンジョン内部を滑走してゆきましょう」
 その場でカシャカシャと高速で足を藻掻いていると、そのうちにスピードに乗って箒星の身体がぐんぐん前へ加速してゆく。
 しかし、フェルプール達は箒星に飛びついて引っ掻こうと試みる。
 このユーベルコードの餌食になれば、箒星は転倒して身動きが取れなくなってしまうだろう。
 だが、箒星はこの作戦を何度も経験している。
 既にフェルプール達の攻撃に対して、箒星は全身も既に舐め回しているのだ。
「爪の引っ掻き攻撃も飛び掛かりも、つるんと滑って振り落としますよ」
 宣言通り、洗剤を漬け置きした油汚れの如くフェルプール達が箒星からちゅるちゅると滑り落ちて地面に転がってゆくではないか。
 その間に箒星は更に奥へ目指して加速し、敵の追撃を振り切ってみせる。
 しかし今度は前方に固まって群れが待ち構えている!
 どうする、箒星?
「では、前方数名の足元を失礼します。ぺろぺろ!」
 まさかのヘッドスライディングでフェルプール達の股をすり抜ける箒星!
 するとどうだろう、後方から押されて踏ん張っていたフェルプール達が足の踏ん張りがきかなくなって大転倒!
 そのまま将棋倒しになった集団は揉みくちゃになってしまう。
「さよーならー。今のうちに風の魔法で更に加速しましょう」
 竪琴を取り出して弦を爪弾けば、音色が風魔法を発生させて箒星の背を押しはじめた。
 追い風を得た箒星は道を塞ぐフェルプール達を炎の旋律で焼き払い、氷の音色で行動阻害して道を切り拓いていった。
「ピュアリィさんも蘇生されて傀儡となって彷徨い続けるのは哀れに思います。オブリビオンとは違うと聞きましたが、骸の海で安らかに眠れるように鎮魂曲を奏でましょう」
 こうして、ギガンティア内部に物悲しい旋律が反響してゆく。
 この曲はフェルプール達への手向けであると同時に、最奥に待ち構える河童のエリクシルへの宣戦布告でもあった。
「必ず私がカッパさんを倒して、少女さんをお助けします。待っててくださいね、すぐにお助けしますから」
 腰をかがめてコーナーを曲がりきると、スピードに乗った箒星は身体を左右に振りながら時速50kmまで加速してダンジョン内を滑走していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『歯車遺跡大冒険』

POW   :    力任せに切り抜ける

SPD   :    素早さを駆使して解決する

WIZ   :    知力を活かして進む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 フェルプール達の猛攻を掻い潜った猟兵達は、次なるエリアに足を踏み入れた。
 そこは水車や歯車が隙間なく噛み合い、ギガンティア内部全域がカラクリ化している『歯車遺跡』であった。
 道らしき道はなく、しかし遥か下層に明かりが灯っていることから、この歯車の上を渡り歩いて下まで降りてゆかねばならないのだろう。
 とはいえ、飛行能力で隙間を縫って降下しようにも幾多の大小さまざまな水車や歯車が行く手を阻み、気を抜けば歯車に身体が巻き込まれて命を落としかねない。
 だからといって歯車や水車をひとつでも破壊すれば、全てが連動しているであろう遺跡全域に悪影響を及ぼしかねない。最悪、遺跡全体が崩落して己や仲間が生き埋めになってしまうだろう。
 他の猟兵を考慮しつつ、如何に歯車遺跡の最短ルートを模索して下層へ到達するかか課題だ。
 しかも、遺跡の中にはギロチンのようなトラップや怪しい色の霧を噴出するゾーンなど、侵入者を拒む仕掛け冴え点在している。
 知力・体力・機転を駆使し、猟兵達は無事にこの歯車遺跡を突破できるだろうか……?
カシム・ディーン
次は歯車かよ…
飛んでもダメ…
ぶち壊したら遺跡全体が崩壊とか…こっちの手を丁寧に潰してやがるな
「それじゃ圧倒的物量の幼女ま」
却下に決まってるだろうが馬鹿野郎!

此処は正攻法に行くぞ
それに…手がねー訳じゃねー

ツー訳で久しぶりにあれを使え
「あっ☆本当に久しぶりだねあれ使うの☆」
UC発動
攻撃力半減
防御強化

「という訳でスライムモードで先行するぞー☆」

【情報収集・視力・戦闘知識】
歯車の動きと仕掛けからどう進んでいくかを分析

いいか?しくじっても歯車は壊すんじゃねーぞ?
おめーは別に壊れても構わねーがな?
「やーん☆ご主人サマの鬼畜♥」(スライムモードで巻き込まれても速復帰☆

と、危険個所も把握し目印もつけておく



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は歯車遺跡で歯ぎしりを立てていた。
「次は歯車かよ……ぐぎぎ……飛んでもダメ……ぶち壊したら遺跡全体が崩壊とか……こっちの手を丁寧に潰してやがるな」
「それじゃ圧倒的物量の幼女ま――」
 相棒メルシーの恐怖に発言にカシムは思わずその首を掴んで締め上げる。
「却下に決まってるだろうが馬鹿野郎!」
「おごご……! おっ、おっ♪」
 これ以上やるとただのご褒美でしかないので、カシムはメルシーの首から手を離した。
「しゃーねー、此処は正攻法に行くぞ。それに……手がねー訳じゃねー」
 ニタリと微笑んだカシムがメルシーへ命じる。
「つー訳で、久しぶりにあれを使え」
 曖昧な命令だが、以心伝心の2人の間にはそれで十分伝わった。
「あっ☆ 本当に久しぶりだね、あれ使うの☆」
 途端、メルシーの全身が白銀の輝きを放ち始める。
 すぐさまカシムが詠唱を開始!
「メルシー……お前が本当に賢者の石ならばその力を見せやがれ。発動……|新しき光『賢者の石』《メルシーヘンシンモード》!」
「ラジャったよ、ご主人様サマ♪ いっくよー! メルシー万能モードだぞ☆」
 すると少女の姿のメルシーがどろどろと溶けてゆき、たちまち白銀色のスライムに変身してしまった。
「という訳でスライムモードで先行するぞー☆」
 ぷるぷるしながら、歯車の上へぴょんぴょん飛び乗るメルシー。
 直後にカシムの注意喚起の声が飛ぶ。
「いいか? しくじっても歯車は壊すんじゃねーぞ? おめーが別に壊れても僕は構わねーがな?」
「やーん☆ ご主人サマの鬼畜♥ グワーッ!」
 早速、歯車に押し潰されてゆくメルシー。
 しかし、スライムなので身体が裂かれてもくっつけば元通り!
 こうやって細切れになったスライムが歯車に乗って遺跡中に散りばめられてゆくことで、魔力回路でつながっているカシムは歯車遺跡内の情報が手に取るように把握できるのだ。
「……よし、大体分かった。あの歯車を向こうの歯車に飛び乗って迫りくるギロチン刃を飛び越えた後、回転する歯車の上を逆走しながら右右左右下上下した左上の順で歯車を飛び移って、そのまま3秒後に発生する隙間にスライディングだな! ……人間が出来るかぁ!?」
 割り出されたルートは人間離れしたものであったが、カシムはシーフの身のこなしをフル活用し、どうにか下層で待っていたメルシーと無事合流できた。
「お疲れ様、ご主人サマ! って、なんか老けた?」
「……これはさすがにキツかったですね」
 カシムは一瞬でも油断したら死を覚悟した遺跡の冒険を通して、すっかりやつれてしまっていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

タイガ・クジョウ
御三家
今回他と連携不可

UC継続
一応明かりにはなるからねー

うん、凄い力が高まってきたんだよー

猟兵さんって凄いねー!

うんうん、ギガンティアの仕掛けは大変だよねー

しかも壊すのもダメそうだしねー?

アルジェン兄さん気を付けてなんだよー

先行するアル兄を照らしながら周囲の歯車の動きを警戒するよ

危なそうな時は声をかけつつ回避に適した位置へと誘導するよ

その上で安全なルートを見出していくね

こういう迷宮の突破って…本当に冒険って感じだよね
うん、悪くはないね♪

【結界術】
感知の結界を周囲に展開するよ
危険な罠とかあったら知らせたり回避するんだよ

必要時はアル兄の黄龍の風を頼るんだよー
減速したり加速して回避だよっ


アルジェン・カーム
御三家
今回他連携不可
どうやら次は仕掛けぞろいの歯車迷宮のようです
泰河君、気を付けていきましょうね?

【オーラ防御】展開

英霊剣群展開
UC発動

では僕が先行しますね?

泰河君は明かりを宜しくお願いします

うん…戦い以上にこういうのも緊張しますね

落下しそうになったり巻き込まれそうになった時は風の力で回避

ギロチンや怪しい霧については風で減速させたりオーラで防ぎつつ風の障壁で吸わないように気を付けます

…罠も歯車等と連動しているのでしょうか?
連動しないのであれば無力化したい所ですが…
慎重に確認します

突破ルートを見いだせれば泰河君を誘導します
必要時は風と神剣群でフォローも入れますね

遺跡を壊さないように気を付けないと



 タイガ・クジョウ(祭祀の炎剣・f39010)は引き続きユーベルコード『ヘミソフィア・オラクル』による天啓の光を体内から放出し続け、薄暗い歯車遺跡を照らし続けていた。
 アルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)もひしめく歯車に圧倒されつつ、打開策を練っていた。
「どうやら次は仕掛けぞろいの歯車迷宮のようです。泰河君、気を付けていきましょうね?」
「うんうん、ギガンティアの仕掛けは大変だよねー。しかも壊すのもダメそうだしねー? アルジェン兄さん気を付けてなんだよー」
「心得てます。では、僕が先行しますね? 泰河君は明かりを宜しくお願いします」
「うんうん、いいよー。一応明かりにはなるからねー」
「それにしても、ユーベルコードとは便利ですね。これが猟兵の力ですか」
 アルジェンは体の中から湧き上がる未知の力に心なしか高揚しているようだ。
 タイガもこれにうんうん、と大げさに頷いて同意を示した。
「うん、凄い力が高まってきたんだよー。猟兵さんって凄いねー!」
 先行するアルジェンの足元を照らしながら、歯車の向きや回転方向を読み解いてタイガを導いてゆく。
「こっちです、泰河君。飛び移ってください」
「そういうアルジェン兄さんも気を付けてなんだよー」
 2人は力を合わせ、難なく下へ下へと危なげなく遺跡を下ってゆく。
 しかし、ある地点から罠が張り巡らされた箇所に運悪く足を踏み入れてしまう。
「ここは……物体が通過すると、紫色の霧が噴射されるのですね。歯車が通っただけで頻繁に噴霧されますし、人体に決してよいものではないでしょう」
「アルジェン兄さんー! 大変だよー! 後ろからノコギリが迫ってきてるよー!」
 侵入者を感知したのか、2人の背に向かって歯車仕掛けのノコギリが振動しながら迫ってきているではないか!
 アルジェンは即座に決だする。
「走りますよ泰河君! 口と鼻は塞いでおいてください!」
「んんー! んんんっんん-!」
 タイガは2人の周囲に結界を張ると、言われたとおりに呼吸器を手で覆った。
 そしてそのまま、紫色の霧の中へ彼らは飛び込んだ!
「黄龍の風よ、僕らを突風で加速させてください!」
 アルジェンがユーベルコードで追い風を発生させると、紫色の霧を吹き散らしながらノコギリから猛スピードで逃げてゆく!
 そのまま吹っ飛んで下の階へと続く穴の中へ突っ込むと、一気に最下層まで落下してゆく。
「おっと、逆風で浮かぶこともできますよ?」
「ありがとうだよーアルジェン兄さんー!」
 アルジェンの機転によって墜落を免れた2人は、最下層の更に奥へと突き進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
直通ルートや停止スイッチ隠されてねえかな
シーフ脳らしく視力で隠されたギミックを探すぜ
完全停止は期待してないけどね

噛み合いや進行方向を見切りながら落ち着いて下層を目指す
道中謎の宝箱が視野に入ったらつい調べに行きたくなるのもシーフ脳…
ギガンティアってそういう場所だもんっ
わあい、レアリティの高いアイテム出ないかな♪

余計なことをしてピンチになるのもよくあること…
ダッシュで歯車の上を逆走したり、危険な転落をしたら│空中平泳ぎ《空中浮遊》で出っ張りを掴みに行くなど古典を大切にしながら進むよ
あわや大惨事…って時は符術『百鬼夜行』で影になって凌ぎます
最初からこれ使うとギガンティアに申し訳ないと思ったんだよぅ



 四王天・燦(月夜の翼ルナ・ウォーカー・f04448)は歯車遺跡の入口で色々と考察していた。
「たしかギガンティア内部って色々仕掛けがあったはず。直通ルートや停止スイッチ隠されてねえかな。ま、遺跡そのものの完全停止は期待しけたいけどね」
 シーフの直感を活かして、歯車に巻き込まれないように慎重かつ大胆に下へ下へと降りてゆく。
「噛み合いや進行方向を見切れば、こういうのはサクサク進めるもんだ。おっと、あそこに宝箱が!」
 思わず正規ルートを逸れて宝箱のある脇道へ突き進んでしまうのはシーフの性分である。
「ギガンティアってそういう場所だもんっ! わあい、レアリティの高いアイテム出ないかな♪ ってぎゃああ!」
 しかし宝箱のほとんどが罠で、そのたびに悲鳴を上げながら逃げ帰る燦であった。
 歯車逆走! 振り下ろされるギロチン!
 それを回避して、│空中平泳ぎ《空中浮遊》してどうにか近場の足場に辿り着いた。
 だが目の前の歯車で行く手を阻まれて絶体絶命!
「仕方がない……最初からこれ使うとギガンティアに申し訳ないと思ったんだよぅ」
 呟きながら燦はユーベルコードの|符術『百鬼夜行』《ミッドナイトウォーカー》を発動させる。
 すると、燦の身体が影に代わって歯車の隙間を縫ってゆく!
「ほら……途端にヌルゲーになっちゃう……」
 テンション下がりながら下層へ降りてゆく燦。
 過程はどうあれ、どうにかこの難所を突破するのだった。
「あー! 死ぬかと思った! 錆びた曲剣以外は罠とかえぐいな!」
 結局手に入ったのは錆び付いた鞘から抜けない曲剣のみ。
 仕方がなく懐にしまい込んだ燦は、

大成功 🔵​🔵​🔵​


【続き】
 短剣を懐にしまい込む。
 だが目の前はどこも歯車に阻まれて袋小路!
 燦、完全に積んでしまったかに思えた。
 だが、燦は溜息混じりにユーベルコードを発動させた。
「御狐・燦が命ず。符よ我と共に闇と溶け、影の世界を歩む力となれ! はぁ……最初からこれ使うとギガンティアに申し訳ないと思ったんだよぅ」
 肉体を影に変えた燦は、歯車の隙間を縫って下層へ降りてゆく。
「ほらね? ヌルゲーになっちゃうんだよなー」
 テンションをさげているが、どうにか下層の奥へ進む燦であった。
エインセル・ティアシュピス
【ワンダレイ】アドリブ歓迎
ねこのすがたになってすすむよ!
このほうがからだがちっちゃいからとおりやすいし、じゃまにもならないよね。
りりーせんせーだっこする?いいよー!もふもふパワーちゅーにゅー!

はぐるまにはさまっちゃいそうなとこがいっぱいだねえ。
うーん、どうしよう……
あっ、【指定UC】でわたげをいーっぱいつくって、はぐるまのまえに
ふんわりクッションになるようにしたらけがしないようにならないかにゃーん?
わたげはふわふわだから、はぐるまにはさまってもこわれないとおもうよう!
こうしたらはさまれてもいたくないよね?
でもねんにはねんをってきいたから、【結界術】もつかっとくねえ。


尾守・夜野
■ワンダレイ
引き続き私が参ります

他の私ですと、何か諸々面倒臭くなって挟まりそうですし…

私も運動は苦手ではありますが…
ネガティブ極まって自決に走る可能性のある他の私共よりはましでしょう
…実際行けるかは問題ですが…

「私はこの場に残り、死鬼が辿り着き次第、陣を繋げます

これなる物は紙ですので如何様にもお使いください

それでは皆様頑張って下さいませ
何かあれば即座こちらに引き上げます故」

…生命力吸収とかで誤魔化してるだけで体力ありませんし

「…ルート聞いてもその通り進めるとは限らないのよ(主に風圧)
…潰された…本体でなくてよかったわ」

短縮出来そうなら皆→死鬼の陣を設置したりしてます

…まぁ五感死んでるのですがね


五ヶ谷・グレン
【ワンダレイ】
アドリブ絡み歓迎

◼️心情
うん?
おお!?
すごいな、星霊建築(軽く飛んだり跳ねたりしつつ)
|俺が載っても《体重3t半》平気なんだな

◼️道標
うん?うん…
すまない、待たせた(幸と不幸を織り混ぜる一匙で半分くらいの大きさになりつつ)
エインセル君はリリー先生と一緒で、尾守さんは後から合流だな、わかった。
それと、エインセル君のUCのデータも入れて、と
(UCでルートの割り出し、共有ついでに|トルマリンタブレット《グレンが持ってタブレットサイズ》にルートとその周辺のマップ描画して、さらに皆で確認)
この魔女術、解りやすく言うとビッグデータを利用してるから信頼性は高い、師匠曰くサンタさんも利用するとか


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ワンダレイ】【SPD】
※アドリブ他歓迎
※愛機は【シフト・T】で引き続きドレス化

なるほどねえ、ブーストで飛ぶのも面倒そうかな?
ん、エインセルきゅんよしよし♪(猫状態をだっこなでもふ)

グレンさんの構築ルートは《瞬間思考力》による検算で確認完了
たっぷりのふんわり綿毛クッション他で事故率も減ったし、
後は突き進むだけ…なんだけど、流石に身体能力は並だからねえ
不安そうな夜野さんの補助も兼ねて全員強化しちゃおうか

例外処理【LI・レイディアントグローリー】実行
全員の背に光翼がキラキラ顕現
コイツで随分身軽になる筈

更にアタシはドレス化した愛機を
着込んだカラダ諸共生体電脳で《操縦》
コレで身のこなしもバッチリさね♪



 エインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)、尾守・夜野(|墓守《うせものさがし》・f05352)、五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)、そしてリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)の飛空戦艦ワンダレイ所属の4人は、歯車遺跡の構造を慎重に調査していた。
「うん? おお!? すごいな、星霊建築! 俺が載っても平気なんだな」
 グレンが水平に回る歯車の上をランニングマシンの要領で走ったり跳んだりして耐久性をチェックしている。
「……さすがに人が乗っても遺跡は壊れないのでは?」
 夜野の女性人格がもっともな事を口にするが、グレンが戻ってくるなり衝撃の事実を伝えた。
「いや、俺は巨人族だからな。身長もデカいが体重もそれに見合ったものだぞ? なんせ体重は3トン半あるからな?」
「トンって、重機クラスじゃないですか……」
 呆気にとられる夜野の傍らで、エインセルがきゃっきゃと声を上げた。
「さんとんってことはー? ねこかんなんこぶんかにゃーん?」
「たしか、市販の猫缶が大体平均して80グラムらしいね? つまり3.5トンはグラム換算3,500,000グラムだから……43,750個? 1日3缶食べたとしても、40年分はあるよ。大好きなカツオ味の猫缶が40年も毎日食べられるね~、エインセルきゅん♪」
 素早く瞬間思考力でリーゼロッテが算出すると、エインセルがきらきらと目を輝かせ始めた。
「すごいのー! そおっかーぐれんのからだはねこかん40ねんぶん……じゅるり……まぐろあじかにゃー? それともちゃいろいからおにくあじかにゃー?」
「こらこら、俺自体は猫缶じゃないぞ、エインセル君? だから野獣の眼差しを俺に向けないでくれ……」
 一瞬、エインセルの顔つきが捕食者の顔になったのを、グレンだけではなく夜野とリーゼロッテも目撃したのだった。

 |閑話休題《それはさておき》……。

 アーマードレス装着中のリーゼロッテが各種電脳演算処理装置を駆使した結果、この歯車遺跡の全体像を掌握した。
「なるほどねえ、これはブーストで飛ぶのも面倒そうかな? 隙間なく画車は噛み合ってるし、出来た隙間にも罠が仕掛けられてるね? あと歯車をひとつでも止めると遺跡全体に不具合が伝播して崩落の恐れもある……思ってた以上に繊細だね……よくこんなところをエリクシルと女の子は難なく通り抜けられたものだよ」
「じゃあねーぼくはねこのすがたになってすすむよ! このほうがからだがちっちゃいからとおりやすいし、じゃまにもならないよね。りりーせんせーだっこする?」
 エインセルが人の姿から背中に翼が生えたモフモフの白猫に変身する。
 すかさず|リーゼロッテ《保護者》へ上目遣いすれば、たちまちエインセルが腕の中へ納まっていった。
「ん、するする♪ エインセルきゅんよしよし♪」
 エインセルを撫で回して文字通り猫可愛がりするリーゼロッテ。
 そんなエインセルもゴロゴロ喉を鳴らして、彼女の胸元に身体をこすりつけてゆく。
「いいよー! もふもふパワーちゅーにゅー!」
「んはぁぁぁ! 高まっちゃうー♡ 生存んんん戦略ぅぅぅー!」
 この瞬間、萌えと尊さが合わさったリーゼロッテの身体が七色に突然に輝き、ユニオンマルチプレイ進化で何かに目覚めそうになる!
 唐突に鳴り響くエレキギター音の幻聴!
「リリーモンしんかぁぁぁぁぁ!!!! でん! でんでんでーん! でんでんでーん!」
「おい止せリリー先生! 早まるな! Bボタン連打!」
 グレンが抱えている魔女の大釜の中からビーフケーキを鷲摑みにして、リーゼロッテの口へ押し込んだ!
「……あ、リーゼロッテの輝きが収まりましたね。グレンはビーフのBを連打したのですか。わけがわかりません……」
 夜野は冷静にツッコむことしかできなかった。
 一方、進化をキャンセルされたリーゼロッテが、口の中をもしゃもしゃしながら平常心を取り戻していた。
「すごいよ、このケーキ……肉々しい濃厚な旨味たっぷりの生地と、砂糖をふんだんに使用した生クリームの甘さが口の中で決闘してる……勝敗は味の性能のみで決まらず、調理者の技のみで決まらず、ただ、口の中の味わいのみが真実……こんなのフィックスリリースじゃん……ハッピーバースデー、アタシ!」
「まぁ、俺は魔女だからな……ビーフケーキの味は俺の魂を|天秤《リブラ》に掛けてでも保証するぞ」
 グレン、謎のしたり顔である。
「えっと、そろそろ先へ進みましょう? ああ、私はこの場に残り、身代わりの死鬼が下層へ辿り着き次第、陣を繋げます。これなる物は紙ですので、如何様にもお使いください」
 若干引き気味の夜野は式神『死鬼』を召喚すると、3人の前へ式を寄越した。
 ちなみに夜野本人が動かないのは、いくつか理由がある。
(他の私ですと、何か諸々面倒臭くなって挟まりそうですし……私も運動は苦手ではありますが……ネガティブ極まって自決に走る可能性のある『他の私共』よりはましでしょう……それでも実際に目的地まで行けるかは問題ですが……)
 口には出さずに思考を続けた結果、夜野は自分よりも動ける疑惑がある死鬼を赴かせることにしたのだ。
 一方、グレンも歯車遺跡へ挑むべく、その巨躯をどうにかせんと試みる。
「うん? うん……すまない、待たせた」
 彼の持つ幸と不幸を織り交ぜる一匙には、質量据え置きのまま体格を自在に変えることが出来る。
 6m弱あったグレンの身体が、みるみるうちに1/3の180cmほどまで縮んでいた。
「ええと、猫になったエインセル君はリリー先生と一緒で、尾守さんは後から合流だな、わかった」
「そうだね、ルート検索はこちらでも補助するけど、ここはグレンさんのユーベルコードが最適だからね。よろしく♪」
「にゃーん! ぼくもおてつだいするー!」
 リーゼロッテの腕の中で片手を挙げて肉球をアピールする。
「はぐるまにはさまっちゃいそうなとこがいっぱいだねえ。うーん、どうしよう……あっ、ぼくのユーベルコードでわたげをいーっぱいつくって、はぐるまのまえにふんわりクッションになるようにしたら、けがしないようにならないかにゃーん? わたげはふわふわだから、はぐるまにはさまってもこわれないとおもうよう! こうしたらはさまれてもいたくないよね?」
「エインセルきゅん、天才♡」
「えへへーりりーせんせーくすぐったーい!」
 リーゼロッテがエインセルをハグハグいちゃいちゃしているが、夜野とグレンは首を傾げる。
「……いくら綿毛がふわふわでも、歯車に挟まれたら身体が真っ二つにならないかしら?」
「まぁ、それを防ぐためにも俺のユーベルコードなんだがな? さて、エインセル君のユーベルコードもデータとしてインプットしてと……」
 グレンがトルマリンタブレット……巨人の彼の感覚での『タブレットサイズ』である巨大な水晶盤をフリックして操作してゆく。
 リーゼロッテが把握した遺跡の全体像と合わせ、グレンはここでとっておきのユーベルコード『|魔女の秘密のレシピ集《コボレオチルナミダノアトニ》』を発動させた。
「いつか、溢れた涙の河、歓び哀しみ、その一片よ。彼らの願いの障害を、取り払いたまえ」
 見た目に変化は起きないが、これで歯車に巻き込まれても身体が引き裂かれることはないとグレンは断言した。
「ぼくもやるよー! ごっとくりえーしょん! わたげさんわたげさん、みんなをまもってあげてー!」
 エインセルもユーベルコードで綿毛型生物を創造すると、グレンとリーゼロッテ、そして夜野の死鬼に纏わりついて防護服を形成した。
「ありがとうエインセルきゅん♪ グレンさんの構築ルートは既に検算して確証済み。たっぷりのふんわり綿毛クッション他で事故率も減ったし、あとは突き進むだけ……なんだけど、流石に身体能力は並だからねえ」
 リーゼロッテは【マトリクス・メモリ】を再度、自身の首筋へインサート!
「不安そうな夜野さんの補助も兼ねて全員強化しちゃおうか♪ 翼を与えよう、ってね。オクスリじゃないし心配無用だよ♪」
 途端、メモリが謎の電子音声を発生させる!
≪マトリクス! ロゴスイグニッション!!≫
 メモリが『勝利の発生源』を構築、自他に光の翼と凄まじい跳躍力を付与する!
「さあ、思う存分イッちゃおうか♡」
 光の翼を背に宿したリーゼロッテのゴーサインを受け、まずはグレンが降下する。
「まずは俺が先行しよう。この魔女術で生み出したマップなんだが、解りやすく言うとビッグデータを利用してるから信頼性は高い。師匠曰くサンタさんも利用するとか」
「さんたさんのちずすごいにゃーん! それがあればさんたさんにあえるー? りりーせんせー?」
「あえるといいねーエインセルきゅ~ん♪」
「……リリー先生、先に降りてるからな?」
「あ、グレンさん待って待って!」
「わーいおいかけっこだー」
 グレンの先導で、リーゼロッテとエインセルは安全に歯車を伝って下へと向かう。
 それを見送る夜野が声を掛けた。
「それでは皆様、頑張って下さいませ。何かあれば即座にこちらへ引き上げます故、あとは死鬼を頼ってくださいね」
 奥ゆかしくお辞儀をした夜野だが、3人の姿が見えなくなるとその場に座り込んでしまう。
「……疲れました……生命力吸収とかで誤魔化してるだけで、私自身に体力ありませんし。って……早く行きなさい、死鬼? 私の心配は不要よ。行かないなら蹴り落とすわよ?」
 主を甲斐甲斐しく世話焼こうとする死鬼は、命じられるまま歯車遺跡の仮装へ挑んでゆくのだが……。
「ああ、言い忘れてたわ……ルート聞いても、その通り進めるとは限らないのよ。主に風圧や罠とかでねって……早速あの子ったら潰された……本体でなくてよかったわ」
 しかし、死鬼の身体は綿毛アーマーとグレンの願いを叶えるユーベルコードのおかげで五体満足のまま先へ突き進んでゆく。
「あら、意外と大丈夫みたいね。グレンのユーベルコードで歯車がグミみたいに柔らかくなってるのかしら? それともエインセルの綿毛が高性能なのかも? まぁどっちだっていいもの。私の五感は死んでるし、疲れるから死んでも自分でおりたくないわ……」
 こうして夜野は無敵になった死鬼を使って仲間の窮地を身体張って守り抜き、無事に下層へ送り届けた。
「光翼がキラキラ顕現してるから、薄暗くてもはぐれることがないね! コイツで随分身軽になる筈だし、身のこなしもバッチリさね♪」
 リーゼロッテのユーベルコード『|Op.NULL:L.IGNITION [R/G]《ロゴスイグニッション・レイディアントグローリー》』も皆の動きを補助しており、あれだけ難関だと思われた遺跡はあっという間に踏破されてしまうのだった。
「やったー! あっというまにしたへおりられたよー!」
 エインセルの喜びの声が、リーゼロッテとグレンの疲れを吹き飛ばす。
「おや、早かったですね? では先へ進みましょうか」
「みんな、道があっちに続いてる。河童はきっとあの奥だ」
 そしてユーベルコードで生成した陣を潜り抜けて一気に下層へ降り立った夜野と合流し、グレンの導きで4人はダンジョン最奥へと進んでゆくのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『赤光のカッパーニア』

POW   :    貶められた者の国カッパールドキア
【幻想の楽園から現れた兵士たちの攻撃】が近接範囲の対象に絶対命中する。元々の命中率が低いと威力減。
SPD   :    カッパルコプター
【頭の皿】を高速回転し続ける事で、威力増加・回転武器受け・レベル×5km/hでの飛翔を可能とする。
WIZ   :    無双相撲
【高速張り手】が命中した敵を【背中の甲羅】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[背中の甲羅]で受け止め[高速張り手]で反撃する。

イラスト:橡こりす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠クリーク・クリークフリークスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――あなたの名前は『幸福』っていう意味なのよ。
 わたしを生んでくれて、わたしを置いて死んじゃったお母さんはいつも言い聞かせてくれた。
 ねぇ、だったらなんでお父さんはあんな|女《ひと》と暮らして、わたしにいじわるするの?
 |フェリス《わたし》の名前の意味は嘘だったの……?

「また落ち込んでるカパー。フェリスが嫌いな奴は僕がやっつけてあげたカパー」

 ああ、そうだったね。
 ここにはお父さんも、大嫌いなあの|女《ひと》もお人形みたいにバラバラに引き裂かれて転がってる。
 それだけじゃないよ、わたしのお菓子を取り上げた怖い男の子とその家族、わたしをかわいそうと言って何も助けてくれなかった街のみんなも、今ここでバラバラになってお山になっちゃった。

 あは。
 私はそのうえでダンスを踊るの。
 たった、たったった、たったらたった。
 河童さんのおかげでわたしの嫌いは全部いなくなったよ。
 ありがとう、河童さん。
 わたし、ずっとここに暮らしたい!

「それは嬉しいカパー。でもお邪魔虫がまたここへやってきたみたいカパー。すぐまたバラバラにしてくるカパー」

 そう言って、河童さんは部屋を出て行っちゃった。
 でも、すぐに戻ってくるよね?
 強くて優しくて、わたしの願いをなんでも叶えてくれる河童さん。
 そんな河童さんを殺そうとしてくる悪い奴は、みんなみんな死んじゃえばいいんだ。
 わたしがたくさん願ったら、きっとまた河童さんが叶えてくれるよね……?
 そういえば、ちょっと胸が苦しいけど、わたし、遊び疲れちゃったのかな……?

「……ということカパー。フェリスが願いを僕に籠め続けている限り、僕は無敵カパー。猟兵だかエンドブレイカーだか知らないカパけど、ここが僕らの幻想の楽園だカパー! 僕のお姫様を君たちなんかに奪わせないカパ―!」

 赤き宝石の魔神ことエリクシル、その顕現体こと『赤光のカッパーニア』が猟兵達の行く手を阻む。
 猟兵達は先程の少女と河童のやり取りが脳裏に不思議と過り、何があったか把握してしまう。
 恐らく、このままでは少女の命が搾り取られ、この河童エリクシルを強化し続けるのだろう。

 だが奥の部屋へは進むことはできない。進んだらすべてが失敗する……猟兵達は直感で理解する。
 ならば、河童の回復が追い付かないほどの大ダメージを与え続けるしかない!
 猟兵達は武器を構え、壊れかけた少女の願いを踏みにじるべく河童へ挑むのだった。

 ユーベルコードの高まりを感じる……っ!
四王天・燦
河童も友人や護るべきものを願ったのかい?
何だか二人分の願いが歪まされたと思ったのだ
すまんね|お前《エリクシル》の方を殺すしか思いつかない

飛べない狐は不利だなーと笑いながらカッパルコプターを迎え撃つ
受け流し重視で、密かに皿の構造を見切りに掛かるぜ
お目めキュピーン☆

自棄を装ってカウントダウンで爆撃
爆煙に隠れて神鳴の先にデストラップを垂らして即席武器改造を施す
次の交錯で鋼糸を皿と頭の回転軸に搦めて停止させるのだ

素直に神鳴は手放し二章で拾った剣(格好つけて錆月剣と仮名。設定アドリブ追加大歓迎)を気合と怪力で抜くぜ、ふんぬー!
チャンスは逃さず殺戮剣舞で斬り刻むよ

最期にフェリスへの言伝は聞かせろよ
おやすみ



 見た目とは裏腹に邪悪な行為を平然と行う赤光のカッパーニア……河童型のエリクシル魔神に、猟兵達はどう動くか慎重にならざるを得ない。
 そんな中、四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)は飄々と河童へ問いかけた。
「河童も友人や護るべきものを願ったのかい?」
「カパー?」
 ちょっと何言ってるのか分からない、と言いたげに訝しがる河童。
 これに燦は少し考えが穿ち過ぎたかと気まずくなった。
「いや、そんなわけないか。ただ、お前がやたらその女の子に執着するからさ、お前自身も何かを願ったんじゃないかって――つまり、何だか二人分の願いが歪まされた気になっただけだ」
「そんなわけないカパー。僕はエリクシルの魔神だカパ、僕自身は対象の願いを叶えるだけカパー」
 まったく悪気なく河童が物言う姿に、燦は思わず拳を固く握りしめてしまう。
「そうかい。じゃあアタシがお前の願いを叶えてやる。ただ、すまんが|お前《エリクシル》を殺すことしか方法が思いつかないや。でもいいよな? お前だってあの子の願いを殺率で歪めてくれたんだ、同じことをするだけだぜ」
 燦の左右の狐耳がピンと天を衝き、灰色の尻尾は逆立って数倍に膨れ上がる。
 彼女は間違いなく怒りに燃え上がているのだ。
 だが河童も敵意を向けられてはユーベルコードで応戦するほかない。
「うわー怖いカパー! カッパルコプターだカパー!」
 頭の皿を高速回転させて、河童がギガンティア内部を高速飛行しはじめたではないか。
 これに怒り狂っていた燦も苦笑いを浮かべてしまう。
「あちゃー、飛べない狐は不利だなーっと!」
 戦闘機並みの速度で頭上から急降下体当たりを仕掛けてくる河童を何とか横へ転がるように回避した燦は、起き上がりながら盗賊の観察眼で敵の動きを注視する。
(ははーん? わかっちまったぜ。お目めキュピーン☆ってな?)
 何かに気が付いた燦は、隠し持っていた箱型時限爆弾『カウントダウン』を頭上の河童へ放り投げる。
「ちくしょーどーにでもなーれ☆」
 少々わざとらしい演技だが、自棄を装った場当たり的な爆発攻撃が空中で炸裂!
 河童は最初こそそんな攻撃は無意味だとタカを括っていた。
 だが、爆弾が爆発してその真の狙いに気付かされた。
「なんだカパー! 爆煙が七色の極彩色で何も見えないカパ―!」
 スモークボム!
 爆発の際に着色料で彩られた煙を撒き散らすタイプの爆弾だ!
 カウントダウンには爆発の際の煙や炎の色を変える機能があり、5つ並べて戦隊ごっこ遊びが出来る代物である。
 それを煙幕代わりとして河童の目の前で炸裂させることで、魔神の視界を一時的に遮ったのだ。
 燦がこの瞬間を狙って動く。
「今だ! 唸れ! アタシの即興DIY武器! ごめんね神鳴! おりゃー!」
 愛刀『神鳴』の鞘と柄に鋼糸を巻き付けると、七色の煙の中へ燦が駆け寄る。
 そのまま鋼糸を巻き付けた愛刀を河童がいる方向へ向けて全力投擲!
 だが投げ槍の如く真っ直ぐ飛んでいった鞘付きの刀は、河童には命中せずにそのすぐ脇を通過!
「下手くそカパー! 攻撃する側も僕が今どこにいるか分からないカパー? って、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
 次の瞬間、いきなり河童は悲鳴を上げて墜落してしまったではないか!
 よく見ると、愛刀に巻き付けた鋼糸が河童の皿の回転で巻き込まれて絡まっている!
 皿の動きを封じられた河童は為す術なく地面へ叩きつけられてしまう。
 そこへ迫る怒りの形相の燦!
「この時を待っていたぜ……! ふんぬぅぅっ!」
 先程宝箱で見つけた錆びた曲剣の鞘を強引に引き抜く燦。
 すると、すぽっと抜けて姿を現した剣身はまるで、燦の憤怒に呼応するかのようにどす黒く染まっていた。
「錆月剣とでも名付けようとしたが……はは、真っ黒な憤怒か。今のアタシにはもってこいだ!」
 怒りの黒刃を至近距離で何度も振り抜き、河童を斬り刻む!
 |四王殺人剣『殺戮剣舞』《ブレイドダンス・マカブル》!
「最期にフェリスへの言伝は聞かせろよ。おやすみってな」
 燦の怒りが、また彼女を新たな強さへと押し上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
間が抜けたお姿ですが
無残で残忍で
確かに魔神さんです

救いを求める女の子の心を弄び
命を贄とする河童さんを許しません

出来るだけフェリスさんの命を吸わせない為に
一刻も早く撃破したいです

炎と水の矢を連射
全て甲羅で受け止めて下さるはず

反撃の張り手に対しては
足元に打ち込んだ風の矢の反動で背面跳躍したり
風圧で張り手に対抗します

炎と水
加熱と冷却を繰り返せば
どんな頑丈な物も必ず脆くなります
甲羅も然り

ピシリ

亀裂目掛け矢を放ち
炎水風の魔力で爆発を誘導
甲羅を破裂させ
そのまま
身を守術を失った河童さんを粉々に粉砕します

崩壊するタンジョンから
フェリスさんを連れ脱出

正気を取り戻して
さぞ混乱され絶望されることでしょう

貴女に罪はありません
誰でも幸せを願うもの
全て河童さんのせいです

それでももしご自分を責めるのならば
覚えておいて下さい
生きて未来へ進むことが
亡くなった方への何よりの弔いとなることを

貴女の未来や希望はご自身のもの
どうか魔神に屈しないで下さい

犠牲者の鎮魂と
フェリスさんの未来を願い
曲を爪弾きます



 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)が河童を見詰め、そのにじみ出る悪意に息を呑んだ。
「……間が抜けたお姿ですが無残で残忍で、確かに魔神さんです。救いを求める女の子の心を弄び、命を贄とする河童さんを許しません」
「フェリスは命を差し出すほどの願いを僕に託してるだけカパー」
 河童の言葉を箒星がバッサリと切り捨てるように反論する。
「それは詭弁です。フェリスさんを騙しておいてその言い草、ますます許せません。出来るだけフェリスさんの命を吸わせない為に一刻も早く撃破してみせます」
「やれるものならやってみるカパー!」
 丸々とした身体で四股を踏む河童。
 その戦意は満ち満ちている。
 箒星は予知で相手の出方を把握しているため、慎重に攻撃の順序を頭の中で組み立てながら仕掛けていった。
「さあ、ちょっと派手にいきますよ~♪」
 魔法剣カッツェンナーゲルを指揮棒のように振り回せば、魔力が火・水・風の三属性に分かれて魔法矢を生成してみせる。
 その数、それぞれ660本!
「先制攻撃です!」
 火と水の魔法矢を交互に発射し続ける箒星。
 これを河童は己の甲羅でガードして受け止めた。
「無駄だカパー! 僕の甲羅はとても頑丈なんだカパー!」
 矢を受け止めた河童は素早く箒星の懐へ飛び込み、素早い張り手を連打してみせる。
「カパカパカパー!」
「おっと!」
 箒星は控えていた風の魔法矢を至近距離で発射して、暴風で自分と河童の間合いを無理やり引き剥がして直撃を回避した。
「カパパーッ!?」
 すっ転んだ河童へ三属性の矢が殺到する!
「今です! フェリスさんをお助けしましょう!」
 箒星が扉の向こうへ行こうとした、その時だった。
「どすこいカパー!」
 箒星の背後から河童がぶつかって張り手を喰らわせたのだ。
「わわっ!」
 咄嗟に残りの風の魔法矢を放ってガードしたが、すこし背中がじりじりと痛む。
「……近付かせてはくれませんか」
「フェリスのとこへは行かせないカパー!」
 両者は睨み合い、膠着状態に陥る。
 やむなく箒星は扉の向こうのフェリスへ、竪琴の音色と共に歌で想いを告げた。

♪貴女に罪はありません
 誰でも幸せを願うもの
 全て河童さんのせいです

♪それでももしご自分を責めるのならば
 覚えておいて下さい
 生きて未来へ進むことが
 亡くなった方への何よりの弔いとなることを

♪貴女の未来や希望はご自身のもの
 どうか魔神に屈しないで下さい

「そんな歌でフェリスを惑わそうとしたって無駄カパー! 僕の甲羅の前では攻撃は通用しないカパ……?」
 河童は背中でピシッと亀裂が入る音を聞いてしまう。
 この音に箒星が残りの魔法矢を全弾叩きつけて撤退してゆく。
「火と水の温度差で甲羅がもろくなってしまったようですね? フェリスさんを奪還できなかったのは残念ですが、これであなたの強みは潰せましたのでよしとしましょう」
 箒星は犠牲者の鎮魂とフェリスさんの未来を願い、そして河童の魔神の冥福を祈る楽曲を竪琴で爪弾きながら退いていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
…あー…胸糞わりー
「ご主人サマ…?やっぱりあの子に同情してる?」
別に
こんなんよくある事だ

だが…気分わりーのは事実だな

親もクソだがてめーもクソだな

あのチビにぶち殺しを誘導したな?
それに…てめえ…彼奴の命もどうでもいいだろ?

…僕も願い事が浮かびましたよ
世にも珍しい河童なてめーの甲羅・肉・目玉・手足…要するに全部解体してぇ

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の能力
周辺状況
回転武器受けの癖
皿の構造を把握

【空中戦・弾幕・念動力・属性攻撃・スナイパー】
UC発動
超絶高速機動で河童周囲を旋回しながら
超高熱熱線を叩き込み焼き
念動光弾は皿を狙い叩き込んでその回転を妨害する

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
なぁ…之から生物の勉強だ
河童から皿をもぎ取ったらどうなるでしょう?
「今からやってみるね☆」
鎌剣と短剣の連携斬撃で切り刻み皿強奪と共に力の限り切り刻み急所を狙い叩き込み続ける!
悠長に回復なんぞさせるかぼけぇ!

戦闘後

…もしも少女が望みかつ治療に有効と判断できるなら辛かった記憶と河童の記憶をたまぬきで抜き取る



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は河童の言動に心の底から嫌悪感を抱いていた。
「…あー、……胸糞わりー」
「ご主人サマ……? やっぱり、あの子に同情してる?」
 相棒のメルシーの言葉をカシムは鼻で笑って一蹴する。
「別に。こんなんよくある事だ」
 サラッと言ってのけてしまうのは、カシムの幼少期に親の愛を知らずに育ったからだ。
「だが……気分わりーのは事実だな。親もクソだがてめーもクソだな、河童?」
「カパー?」
 何を言ってんだこいつと口出しそうな河童が真ん丸な目でカシムを見詰めている。
 カシムは込み上げる怒りを言葉と共に吐き出した。
「あのチビにぶち殺しを誘導したな? それに……てめえ……彼奴の命もどうでもいいだろ?」
 河童はこれに身体を横にブルブルと震わせた。
「そんなことないカパー! 君たちがさっさと死ねば事が済む話だカパー! つまりフェリスの命を削ってるのは君たちだカパー!」
 カシムはこれ以上の問答は無駄だと確信する。
 相手は言葉を話せて意思疎通ができるとはいえ魔神だ。
 思考原理は人間のそれとは大きく乖離しており、両者が分かり合えることなどないとこの瞬間に証明された。
「……僕も願い事が浮かびましたよ。世にも珍しい河童なてめーの甲羅・肉・目玉・手足……要するにてめぇを全部解体してぇ」
「うわ変態だカパー」
「てめぇに言われたかねー! いくぞメルシー! 魔力と思考をリンクさせろ!」
 遂に堪忍袋の緒が切れたカシムは、相棒のメルシーと魔力を同調させて高速連携攻撃を仕掛けた。
「メルシー! 奴は頭の皿で空を飛ぶ! こっちも空中戦だ!」
「ラジャったよご主人サマ☆ さぁて、撃ち落としちゃうぞ☆」
 カシムが万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』で念動光弾を連射して河童の動きを制限し、メルシーがビーム大鎌剣ハルペーを振り回して斬り刻みに向かう。
「させないカパー!」
 なんと河童は回転する皿の淵でハルペーを弾き返してしまった。
 だがカシムはそれすらも想定済みだ。
「なぁ……之から生物の勉強だ。河童から皿をもぎ取ったらどうなるでしょう?」
「今からやってみるね☆」
 今一度、メルシーはハルペーを掲げて河童の皿を破壊せんと攻撃を再開する。
 マッハ39の超音速の斬撃は河童の身体を斬り刻んでゆく!
「カパッ!? 痛たたたカパッ! でも大丈夫カパ!」
 河童の刻まれた身体がくっつくと元通りに!
「フェリスの願いがある限り、僕は死なないカパ!」
「うそー! それチートじゃーん!」
「はぁ? 悠長に回復なんぞさせるかぼけぇ! メルシー、攻撃を続けるぞ!」
 カシムがカドゥケウスで皿を直接狙い、徐々にその回転数を落としてみせる。
 だが、メルシーがあと一息というところでカシムを制止する。
「ご主人サマ! これ以上はフェリスちゃんの消耗が激しくなっちゃう!」
「クソが! 人質がいなきゃ、とどめをさせたんだがな!」
 河童はまだまだ余力があるようだし、フェリスの願いもまだ有効だ。
 一撃必殺に近い攻撃で河童を粉砕しない限り、フェリスの命をいたずらに削る一方だ。
 カシムとメルシーはある程度のダメージを河童に与えたことを確認した後、やむなく撤退することにした。
 戦いは、まだまだこれからだ……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルジェン・カーム
御三家
……こういう時…つくづく自分の無力を感じます
唯寂しかっただけ…苦しく…寂しくて…優しくすれば縋るしかないでしょう
…マスカレイドもまたそうでした


河童…いえ…エリクシル
あの子の死という|終焉《エンディング》…此処で破壊します!

【オーラ防御】
蒼き覇気を纏い

泰河君…神火で支援お願いします

UCへ至りし御三家が秘儀…その身に叩き込みます!

英霊剣群展開発動
そしてUC発動!

己の肉体の崩壊を厭わぬ程の出力強化!

長引かせればあの子の生命は尽きる
ならば…回復等間に合わせはしません!!

超高速で飛び回りながらその速さもまた威力強化に利用
【串刺し】
ハルバードで皿を串刺しにするように叩き込みその回転を妨害
ブーメランを叩き込み
【武器に乗って飛ぶ・切断】
泰河君の神火とも連携するように宝剣に乗り飛びながらの超高速連続斬撃により多角的に切り刻む!

きつい…ですね
だが…それでも…!(この心に感じる痛みよりは遥かにマシ…です!

…必要ならばアマツカグラの僕の領土で保護して治療も考えるが他の参加者で有効な手段があればお任せする


タイガ・クジョウ
御三家
……きっついなぁ…こういうの
僕は幸せな|行事《エンディング》の方が好きなのになぁ…
この子は本当は全然幸せじゃないね

そっか…アルジェン兄さんは昔あの子ぐらいのマスカレイドとも戦ってたね…

分かったよアル兄
回復を超えるレベルなら…神楽巫女としてのあれだね

それじゃ…これ以上の|悲劇の終焉《エンディング》は…破壊するとしようか!

【結界術】
己の周囲に結界を展開してダメージ軽減かつ河童から常に距離を取

【天候操作】
お日様ぽかぽか本日は日照りだよー
神火もよく燃えてお皿のお水も乾くんだよー

【属性攻撃】
UC発動
奉納の舞開始

河童さん…僕もさ…ちょこーっとだけ怒ってるんだよ?
幼い子にこんな取り返しの付かないことをさせたんだ
…その甲羅も残念だけど占い用にも使えなさそうだから
消し炭にしてあげるよ!!

アル兄の猛攻に合わせて炎の渦を叩き込むよ
そうだね…蟹の甲羅焼きもあるけど貴方はマズそうだね!

反撃も炎の渦で巻きこんで焼く!

全てが終わったら…僕が領主を務める天津神楽のホウチョウボリでの保護…いや…治療が必要かな



 アルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)とタイガ・クジョウ(祭祀の炎剣・f39010)は、かつてない絶望を目の当たりにして顔を曇らせていた。
「……こういう時……つくづく自分の無力を感じます。唯寂しかっただけ……苦しく……寂しくて……優しくすれば、たとえ相手が魔神でも縋るしかないでしょう」
「だよねー。……きっついなぁ……こういうの。僕は幸せな|行事《エンディング》の方が好きなのになぁ……この子は本当に全然幸せじゃないね。こんな河童に偽りの幸せや愛を押し付けられてるんだからねー?」
 タイガが目の前の河童へ非難の視線を向ける。
 一方、アルジェンは過去の任務での出来事を思い出していた。
「そういえば……マスカレイドもまたそうでした。今回と似たようなケースが……」
「そっか……アルジェン兄さんは昔、あの子ぐらいのマスカレイドとも戦ってたね……」
「はい……懐かしくも、悲しい記憶です……。ですので泰河君、河童……いえ……エリクシルの魔神がもたらす、あの子の死という『|惨劇《エンディング》』を……此処で破壊しましょう!」
「もちろんだよー、これ以上の|悲劇の終焉《エンディング》は……|破壊すると《ブレイク》しようか!」
 2人が身構えると、河童も自己再生を完了させて臨戦態勢へ移った。
「馬鹿な2人カパー! おしゃべりのおかげで僕は完全回復したカパー! 一気に殺してやるカパー!」
 河童は頭の皿を高速回転させて飛翔すると、頭上から急降下しながらタイガへ向かって連続張り手を繰り出した。
「カパカパカパパパー!」
 これにタイガは咄嗟に身に纏った聖衣を媒介に結界を形成して河童の張り手を遮った。
「あっぶないんだよー!」
「泰河君……神火で支援お願いします。私が前に出ます……!」
 アルジェンは結界を容易く破壊した河童の前へ立ちはだかると、蒼き覇気を纏って宝剣「Durandal」を天井へ掲げた。
「英霊剣群展開、発動……! ユーベルコードへ至りし御三家が秘儀……その身に叩き込みます!」
 縁の聖刃『ディアボロスブレイド・AG』で河童の皿の回転斬りで受け止めると、手にした聖剣が徐々に複製されてゆくではないか。
「玄武門……開門……朱雀門……開門……」
「無駄無駄無駄無駄カパー!」
 高速で何度も突撃してくる河童を、アルジェンは複製された英霊剣で受け止めながら己の枷を解いてゆく。
「白虎門……開門……青龍門……開門……四門、開門!!」
 このユーベルコードは発動まで時間がかかるため、その間は無防備になるのが欠点だ。
 しかし、一度発動してしまえば、その効果は絶大だ。
「エリクシルの魔神……あなたを……『仕留め』ます!」
「カパ……!?」
 次の瞬間、アルジェンの姿が河童の目の前から忽然と消え失せてしまった。
 そして左真横から唐突に何度も斬り付けられて吹っ飛ぶ河童は、勢いよくギガンティア内部の壁に激突!
「ギャアァァーッ! な、なにが起きたカパー!?」
「それを知る必要は……ありません!」
 虚空から飛んでくるブーメランとハルバート!
 河童を固定するように両脇を挟む形で壁に突き刺さり、皿の回転を阻害してみせた。
 そこへ飛んでくるアルジェン!
 彼は今、時速620kmの速度で空間内を飛翔している!
「長引かせればあの子の生命は尽きる。先程は要らぬ時間を与えてしまいました……ならば……回復など間に合わせはしません!」
 とてつもない速度と手数で河童を何度も斬り付けてゆくアルジェン。
 だが彼の身体もまた崩壊の一途を辿っている。
 ユーベルコードの負荷が許容範囲をとっくに超えてしまっていたのだ。
(きつい……ですね。だが……それでも……! この心に感じる痛みよりは遥かにマシ……です!)
 まさに捨て身の猛攻!
 これにタイガがユーベルコードで援護しだす。
「分かったよアル兄。エリクシルの回復能力を超えるダメージ量なら……神楽巫女としてのあれだね」
 すかさず奉納の舞を開始するタイガの周囲に変化が起き始めた。
「神火大嵐舞だよー。この部屋の温度も上がってお皿も甲羅も乾いちゃうねー?」
「カ、カパ……!」
 高速で旋回しながら燃え盛る創世記の炎の渦が河童の身体を焼き焦がしてみせる。
 それはまるで日照りのような灼熱地獄を彷彿させ、あっという間に河童は干からびてしまう。
「河童さん……僕もさ……ちょこーっとだけ怒ってるんだよ? 幼い子にこんな取り返しの付かないことをさせたんだ、その報いは受けてもらうよー。ただ……その甲羅は残念だけど、占い用にも使えなさそうだから、まとめて消し炭にしてあげるよ! 蟹の甲羅焼きっていう料理もあるけど、河童の貴方はマズそうだしナシだね!」
「カパパパパー!!!」
 こうしてアルジェンとタイガのコンビネーションは、河童の願いの力を格段に削ぎ落して大打撃を与えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
ダルマⅡの続き
今回はソラウではなく『エスパス』視点です(重要)
フルボッコ希望

うう…どうしてこんな事に?
私は次元能力でここまでワープして逃げてきた

サイバーザナドゥの件で私の行動や発言が問題となり大炎上している
(第三者が原因で後にソラウ達は犯人を捕まえた)


な…何ですか?!あ…貴方は…?
(グリモア猟兵の話は聞いていない)

フェリス?何のことが分かりませんが私に戦いを挑んだ事を後悔しなさい!



私は敵に次元能力で背後から攻撃しようとしたが飛んで回避された

しかし私は次元能力で敵の頭上に現れ
電撃を纏った神罰を敵に浴びせた
敵は墜落したので追い打ちをかけようと敵の元へ向かった時…
ぎゃあぁぁぁ!
頭の皿に切られてしまった
敵は簡単な罠に掛かるなんてと私を嘲笑う

う…うるさいですね!今のは…ぎゃああぁぁ!
敵は待ってやる訳ないと更に嘲笑う


ひぃぃぃぃ!時空の裂け目に逃げた


出血が酷い、意識が朦朧とする
…そうだ私が悪かったんだ
素直に話し合って謝るべきだった…ソラウ…ライ…ズサン…エミ…リアーノ
ごめ…

私は不思議な穴に吸い込まれた



 ソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)……の元・守護神であった時空神エスパス。
 彼女は影で加護対象であるソラウや仲間の時空竜の悪口を神々のSNS的コミュニティで悪辣に暴露していたことが周囲に発覚したことで、ソラウの父親や仲間から総スカンを喰らって追放されてしまった。
「うう……どうしてこんな事に? そりゃあ今の異世界転生戦記は勇者パーティーから追放されて無双する話が大流行しててもはや供給過多なんですけど、それを私に求めるのは筋違いでしょう……? ああ、もう私のアカウントが大炎上してる……クソリプ送んな雑魚共が! 私の何を知ってるっつーの! はい全部スクショして然るべき法的帝書しますので、ざまぁ!」
 この陰キャ女神、まったく懲りてない上に反省していなかった。
 あてもなく時空をさまよっているところにグリモア猟兵と遭遇し、コミュ障陰キャの|性《さが》で言われるまま戦場の前線へ送り出されてしまった。
「え、ちょ……マジで戦うの? ま、まぁ、神の私にかかれば河童なんて瞬殺よ瞬殺。ほら消えなさいよ」
 エスパスが河童へ指を差すと、異次元空間から雷撃が河童に降り注ぐ!
「カパパパパー!?」
 皿の回転で飛翔していた河童は墜落!
 感電して白目を剥く河童に、エスパスはニタリと笑みを浮かべた。
「うわ、ざっこ~っ! 雑魚過ぎてえぐいてぇ~! ちょっと神罰放っただけで、よわよわ河童を分からせちゃったみたいね? いやーやっぱ追放された神は無双するのはと確定的結論なのよね~!」
 自画自賛するエスパスがとどめを刺そうとした、その時だった。
「僕だって守りたいものがあるんだカパー!!」
 死力を振り絞った河童が低空飛行で捨て身と突撃を敢行してきたのだ!
 エスパスはこの行動を全く予見できておらず、そのまま懐をザックリと皿で切断されてしまった。
「ぎゃあぁぁぁ!」
「死んだふり作戦、成功カパー! 単純な作戦に引っかかるなんて、よわよわなのはそっちだカパー!」
 嘲る河童にエスパスは腹の傷を抑えながら呻く。
「う……うるさいですね! 今のは……ぎゃああぁぁ! 人の話は最後まで聞きなさいよー!」
「別にこっちは待つ理由がないカパ。バラバラになって死ぬカパー」
 エスパスはチェンソーで斬られたように身体がバラバラになって床に散らばってしまった。
「ひ、ひぃ~ィィィ!」
 エスパスはバラバラになった身体を既存のあらゆる世界へ次元転送をしたのち、自我のある頭部を次元断層へ送って逃げ帰ってきた。
「あぁ……私……頭だけになっちゃった……だれか、身体を集めてくれないかな……? もう、意識が……」
 まだ発見されていない世界も含め、骸の海に浮かぶ世界は全部で36個あるという。
 その何処かにエスパスの身体が散り散りになってしまった。
 神という種族は不老不死の存在ゆえ、バラバラになっても生きている。
 故に身体をまた掻き集めれば復活できるのだが、果たして誰が気付くのだろうか?
 頭ひとつではSNSでメッセージも残せない。
「……そうだ、私が悪かったんだ。素直に話し合って、謝るべきだった……ソラウ……ライ…ズサン……エミ…リアーノ……ごめ…」
 意識を失うエスパス。
 そして、頭部も次元の穴に吸い込まれてしまう。
 こうしてエスパスの身体は、全ての世界でバラバラに散らばって行方知れずとなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

五ヶ谷・グレン
【ワンダレイ】アドリブ絡み歓迎

◼️心情
まやかしや偽者であればとも思うが、
保護者も知り合い、果てはそうですらない人もとは、
実に念入りに歪めてくれるな。
仮にも願いを叶える者の端くれとしても、
この世界の者ではないが魔女としても、このささやかでかがやけるものは繋ぎ止めさせてもらおう

◼️叶える(腕力)
そう、まずは何が良いかな?
願いを叶えると言うのを、自分だけだと思い上がってるのに一泡ふかせるか?
大釜にためたフェリスちゃんの寂しいって願いをUCで
きれいな花に変えてみようか。
まぁ、当たり前だが、狙いに来るよな、俺と大釜を。

大釜で攻撃は受けて、
お返しと見せかけて受けに来た甲羅をグラップ、
エインセル君が回復くれるし、後は結界術やら根性で泥試合と洒落込もうか。

後は河童から願いを引き剥がして花畑に変え、
お腹空いたと言う、願いをエインセル君のと合わせて後で皆で食べるハーブティーとお弁当セットにしたり、仲間のも攻撃に、今一番強いフェリスちゃんの願い、知ってるか?
酷い事考える奴をやっつけてだと、誰の事だろうなぁ?


エインセル・ティアシュピス
【ワンダレイ】アドリブ歓迎
にゃーん、ゆるせない!
おひめさまっていいながらぜんぜんまもってにゃいもん!
このままじゃおんなのこしんじゃうもん!
つらいつらいきもちをりようするなんてひどい!ぼくおこったよ!!

ずっとかいふくするならこっちだってず―――――っとかいふくするもんね!
【指定UC】をつかうにゃーん!【多重詠唱】でいっしょに【結界術】と【オーラ防御】もかけて
みんなをいっぱいいーっぱいパワーアップさせるよ!
こうすればいっぱいこうげきしてもつかれにゃいもんね!
ぼくはおそらをとびながら【式神使い】でにゃんげいざーをよんで、【レーザー射撃】と【破魔】のまほうでこうげき!
ぜったいぼくたちはまけにゃいんだからー!!

ねえねえぐれん、さっきだしたおべんとう、みんなでたべられないかにゃ?
おんなのこといっしょにたべるの!みんなでたべるおべんとうおいしいから、それでちょっとはげんきになってくれるかなあって……
ぼくね、おんなのことおともだちになりたいんだ。それでいっしょにあそぶの!
そしたらきっとさみしくないよね?


尾守・夜野
■ワンダレイ
人格は変わらず私
「あらあらぁ?
目を開けたまま見る夢がぴぃちくと
…本来彼女の願いでは無い筈よ?だって寂しかった、怖かっただけですもの
何故側におらず、恐ろしかった筈の暴力を伴ってるのかしらね?こわぁい」
クスクスと嘲り挑発を重ね、UCを

背の甲羅で受け止められようと関係ありませぬ

…何も思われなくとも発動条件整いますし、思う所があっても同じ事
私共の負傷は二の次となります

負の感情を抑え表に出さぬなら「俺」に変わりお喋りを(挑発・ネガティブオーラ)(エインセルの耳に入らぬよう)
■戦後
優しさは他の方に任せ、私は事後処理に徹します

死体を何とか見れる状態に
…後涼しいですし平気とは思いますが疫病流行の兆しがないか確認を
そこはリーゼロッテに判断仰ぎたいわね…

少女が望むなら一目挨拶できるようにし、最後に処理を

「貴女の願いは…何だった?えぇそう
…捻じ曲げたのは河童
貴女のせいではないわ」

街の生存者から見ると浮気者達が自業自得で死んだになるのかしらね?
なら戻っても風当たりは強くないでしょう

貴女はどうしたい?


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ワンダレイ】【SPD】
※アドリブ他歓迎
※【シフト・T】で愛機ドレス化継続

いずれ彼女は些細な苦悩が何に結びついたか気付く
その時『自らを嫌った』らアンタは喜々として…でしょ?
ロリコンガッパには悪いけど、そうはさせないよ
彼女はアンタのオモチャじゃないのさ

背の【D・アームズ】から巨大プラズマキャノンを
取り出したらオペ96番【F・アテンダー】開始
【カイルス】で座標特定後【アダマンタイト】の出力全乗せで砲撃

『必中必倒』ならヨシ、しぶといなら『ワープ発生源』を
【M・メモリ】から引き出しエロガッパ全周に展開

《瞬間思考力》と生体電脳演算に基づき緻密に張り付けた
無数のゲートから転送した高威力プラズマ砲撃が降り注ぐよ
『必中必倒』を為して成るまでねっ

ん?確かに疫病対策は要るね…当然メンタルケアも
特殊清掃や遺体修復等は【M・ワスプ】にヤラせるか

作業後はエインセルきゅんの提案に乗って
おべんと食べつつカウンセリング
身元引受人の選定等も電脳内でヤるよ

何、パパママの願いは嘘じゃないさ
コレからフェリスちゃんが叶えるんだし



 猟兵達は河童のエリクシル魔神こと『赤光のカッパーニア』を追い詰めるも、なかなか倒しきれずにいた。
 河童は絶望に歪まされた少女フェリスの願いの力を糧として何度も立ち上がるからだ。
 それはつまり、フェリスの願いの力……彼女の命を奪いながら再生を繰り返していることを意味する。
 フェリスが死ねば河童も楽々と撃破できるだろう。
 しかし、それでは今回の任務は失敗だ。
 今回の任務には、少女フェリスの救出も含まれているのだから。

 故に、これが最後の戦いにしなくてはならない。
 旅団『飛空戦艦ワンダレイ』に所属する4人の猟兵達は、全身全霊を懸けて河童を粉砕しなければと息を巻く。
「まやかしや偽者であればとも思うが、保護者も知り合い、果てはそうですらない人もとは、実に念入りに歪めてくれるな、エリクシルの魔神?」
 五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)は河童の背後に佇む鉄の扉の向こう側の『景色』に言及する。
「一応聞くが、どれだけの数を殺した? 骸の山が出来上がるくらいの数だ、衛生観念上を鑑みれば部屋の換気を勧めるが?」
 これに河童は頑なに扉の前に立ちはだかってみせた。
「絶対に開けないカパー! でも人数カパー? んー? 100人目からは面倒くさくて数えてないカパー!」
「そうか。なら俺も手加減はなしだ」
 グレンの身体がいきなりムクムクと膨張しだした。
 先程の歯車遺跡を通過する際に魔法の匙で一般的な成人男性のサイズに縮んでいたが、ここで元の姿である巨人族としてのグレンに戻ったのだ。
 身長570.6cmという、世界が違えばキャバリアと生身で殴り合える巨躯となったグレンが河童を見下ろす。
「仮にも願いを叶える者の端くれとしても、この世界の者ではないが魔女としても、このささやかでかがやけるものは繋ぎ止めさせてもらおう。だから覚悟しろよ……今からあんたを、|粉々に破砕《オーバーキル》してやる」
 グレンは青き炎めいた怒りを眼差しに宿して河童を睨みつけてみせた。
 そして、怒れる猟兵が此処にもうひとり。
「にゃーん、ゆるせない! ぼくも『おーばーきる』するもん!」
 頬をフグのように膨らませたエインセル・ティアシュピス(生命育む白羽の猫・f29333)が河童に人差し指を向けて叫ぶ。
「おひめさまっていいながらぜんぜんまもってにゃいもん! このままじゃおんなのこしんじゃうもん! つらいつらいきもちをりようするなんてひどい! ぼくおこったよ!!」
「戦闘を長引かせてるのはそっちカパよー? 君たちが大人しく帰ってくれれば、フェリスも僕もここで静かに暮らすだけカパー。というか、見ず知らずの君たちが首を突っ込むこと自体が迷惑カパー」
 エインセルの怒声を河童がやれやれと呆れて反論すると、エインセルが更に激高した。
「ふしゃああああ! そんなのまちがってるにゃーん! だれかがしんではっぴーだなんてうそだもん! せかいにはね、たのしいこと、おいしいこと、きもちいいことがたくさんあるもん! ぼくはいままでぐれんや、りりーせんせーや、やのや、もっともっとたくさんのひとからおそわったよ!!!! せかいはやさしいんだよ!!!! それをおんなのこはしらないだけだもん! だからぼくがおしえてあげるんだー!! それをじゃまするならかっぱは『おーばーきる』だよー!! ぜったいぼくたちはまけにゃいんだからー!!」
 全身の毛を逆立てて唸るエインセルに、公認保護者のリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)が駆け寄る。
「よしよしエインセルきゅん~その通りだよね~?」
「ふにゃーん……」
 顎の下を撫でられたエインセルの顔が一気にへべれけになってゆく。
「でも今は怒りで視界を曇らせる時じゃないよ。あのデカくて|萌えない《不燃》ゴミは私も許せないけど、怒りは冷静さを欠くんだ。エインセルきゅんはまだ幼いから、それが分からないだろうけど……覚えておいて。グレンみたいに怒りを決意に変えるんだ。それが強さってことだよ。でなきゃ、あの手のクズに出し抜かれかねないからね」
 リーゼロッテは銀の眼を金色に染め上げて河童へ見開く。
 フルアーマードレス化させた量産型重装甲キャバリア『ナインス・ライン』に格納されていた武装を展開しながら、リーゼロッテもまた凍える憤怒を声に漏らす。
「いずれ彼女は……自身の些細な苦悩が、何に結びついたか……どういう状況を招いたのかに気付く。その時、目の前の絶望を理解した彼女が『自らを嫌った』ら、アンタは喜々として……でしょ?」
「うーん、願わなくなった人間は用済みカパね、殺すしかないカパー」
 河童は躊躇せず言ってのけた。
 リーゼロッテの表情が冷え冷えと怒りで染まっていった。
「ロリコンガッパには悪いけど、そうはさせないよ。彼女はアンタのオモチャじゃないのさ」
 背中に付属する超大型兵器搭載用ハンガー『ディヴィエイト・アームズ』からキャバリア用プラズマ式対物ライフル『ホークス・ビーク』を肩で担ぐリーゼロッテ。
「事象推論型トゥルース・サイト『カイルス』解析開始。ジオ・アライアンス [XA]及び多元解析用ソニック・スカウタ『ミネルヴァ』との連動開始。|同調成功《オールグリーン》」
「何してるカパー? そんなおっきな武器を狭いギガンティア内部で振り回すとか非効率カパー!」
「分かってないなら教えてあげる。もう逃げられないよ、エロ河童。アンタの未来はこのリリー先生の掌中さ」
 リーゼロッテは持てる全ての兵装を駆動させ、量子演算や未来予知めいた軌道予測をその電脳で瞬時にはじき出した。
 河童が動くたびに必殺必中の一撃となる弾道が計算され、もはやそこに不測の事態が紛れることはあり得ない。
 だが河童はそれを知る由がなく、高速移動で振り切れるとタカを括って頭の上の皿を回転させ始めた。
「未来なんていくらでも変えられるカパー! それを僕が証明してみせるカパー!」
 ダンジョンの天井すれすれまで高々と舞い上がったカッパ。
 巨躯のグレンすらゆうに飛び超える高度で猟兵達を嘲笑う。
 だが、これに嘲り笑い返す物がいた。
 女性人格を表に出しままの尾守・夜野(|墓守《うせものさがし》・f05352)である。
「あらあらぁ? 目を開けたまま見る夢がぴぃちくと。未来を変えるですって? 前途ある未来を歪めて食い物にしている畜生の鳴き声は一味違うわねぇ? 耳が腐りそう」
「カパ?」
 あからさまな罵声に河童が夜野を真ん丸な眼で見下す。
 夜野は口角を吊り上げながら、芝居ががった言動で河童の注意を惹いてゆく。
「そもそも……本来、『誰かを排除せよ』なんて彼女の願いでは無い筈よ? だって彼女の願いの本質は『寂しかった』『怖かった』だけですもの。暴力なんて望んでなかったのに、それを生臭い畜生が歪めさせられたっていうのが正解じゃない?」
「違うカパー! そもそも部外者たちが僕たちの居場所に勝手に上がり込んだから排除しただけカパー! フェリスの願いは守られているカパー!」
 そう弁解する河童へ夜野は追い打ちをかける。
「そう言い張るのなら、何故その子の側におらず、恐ろしかった筈の暴力を扉一枚向こうで振るってるのかしらね? やだぁ、こわぁい」
 クスクスと嘲り挑発を重ねることで、河童の怒りは遂に限界を突破した。
「カパー! まずは君から八つ裂きにするカパー!」
 時速600kmで急降下しながら、河童は夜野へ向けて高速張り手を放つ!
「カパカパカパー!!」
 あまりの張り手の速度で河童の腕が千手観音菩薩めいた数の残像となって押し寄せてくる。
 しかし、夜野は至極冷静にこれを対処するべくユーベルコードを発動させた。
「さて貴方はどちらを選ぶのかしら? さぁ、私を楽しませて頂戴」
 どこからともなく取り出したカクテルグラスへ注ぎ入れるのは、黒ずんだスパークリングカクテルだ。
 それを突っ込んできた河童の顔へ向かって思いっきりぶちまけて浴びせにかかった。
「カパ!? 甲羅でガードカパー!」
 すかさず背中の甲羅でカクテルを受け止める河童。
 肌に触れるのは危険だと判断したのだろう、それは正しい。
 しかし、このカクテルを生んだユーベルコード『|逃遮択壱《ニシャタクイツ》』は、残念なことに“敵へ浴びせること”自体が発動トリガーなのだ。
 そうとは知らない河童は怒り任せに夜野の身体へ張り手を叩きこんだ
「カパパパパー!」
「きゃっ!!」
 怒涛の連打に、華奢な夜野の身体が後ろの壁まで吹っ飛んでゆく。
「やの!? まってて! ずっとかいふくするならこっちだってず~~~~~~~~~っとかいふくするもんね!」
 エインセルはすかさず『|戦士に捧ぐ祝福のベオク《エインフェリア・アンセム》』を行使し、全身複雑骨折した夜野の治療に当たる。
「みんなはぜったいにまけないもん! ぼくがついてるからね! がんばれにゃーん!!」
 背中の竜めいた翼を広げて空中へ飛翔したエインセルが、額の聖痕から暖かな光を放つ。
「みんなをいっぱいいーっぱいパワーアップさせるよ! こうすればいっぱいこうげきしてもつかれにゃいもんね!」
 彼の頭上と身体の周囲に光輪が出現し、額の聖痕はより一層共鳴する。
 その聖痕の形は、魔術を嗜むものならば一瞬でどんな意味かを理解できるだろう。
 あれはルーン文字『ベルカナ』……『成長』『再生』『解放』を意味する魔術文字だ。
 これが刻まれているということは、エインセルがそのが念を宿しているのと同意義……!
 その暖かな光が重傷の夜野を包み込むと、なんとすっくと何事もなかったかのように彼(女)は立ち上がったではないか。
「まったく……私は痛覚が死んでるから、全身が複雑骨折してもアフタヌーンティーを嗜めるくらいに平然としてれられるのに……でも動けるようにしてくれて助かるわ、エインセル」
 夜野は砕けた骨が一瞬で全て繋がったことに驚きつつ、皮肉交じりにツンデレな感謝の言葉を述べた。
「なるほど? こうして属性が生えるんだな……おっとエインセル君、河童がそっちへ向かったぞ」
 グレンは夜野の新たな萌えポイントを発見すると、大釜の中にユーベルコードの元を収集しながら頭上のエインセルへ警告を発した。
 だがエインセルもそれは百も承知。
 加えてリーゼロッテの言葉を頭の中で反芻していた。
「いかりはれーせーさをうしなうんだよね? だいじょうぶ! たいさくはばっちりだよー!!」
 ユーベルコードと同時に詠唱していた術式が今まさに発動する!
「みんなー! ちからをかしてにゃーん!」
 幻造魔書『飛び出す絵本』を開くと、ページから大量のルーン文字や絵本の登場人物が文字通り飛び出して壁を作る!
「これもおまけだよ! きて! にゃんげいざー!!」
 契約者の呼び声に応え、異空間から鋼鉄猫帝ニャンゲイザーが降臨!
 絵本結界と共にエインセルを守るべく立ち塞がった。
「カパパパパー! そんな壁なんて壊してやるカパー!」
 河童が猛然と張り手を繰り出す。
 しかし、幻想で出来た実体のない壁と鋼鉄の猫は、如何なる物質で出来た壁よりも強固で頑丈であった。
 そこへ狙い澄まされる、リーゼロッテのプラズマキャノン!
「一撃でイケれば楽だよ?」
 通常の人間サイズでは長大すぎる超大型砲から、真っ白に輝く高熱レーザーが発射!
「カパー!?」
 河童は直撃を避けるべく、皿の回転数を上げて緊急離脱!
「熱つつつつ! 僕のお腹に掠ったカパー! でもギリギリ回避したカパー!」
「……って思うじゃん? ザンネンでした♪」
 リーゼロッテがあっかんべーと河童へ舌を出して勝ち誇る。
「アタシ、こう見えても執念深いオンナでねえ♡ さっきのプラズマレーザーはどこへ消えたかな?」
「カパ……?」
 河童はハッと息を呑んだ。
 回避した際に壁に命中した痕跡がない。
 更に、あれだけの熱量を有した光線が簡単に消えるわけがない。
 では、何処へ?
 ……河童の背後の空間がぐにゃりと歪み始めた。
「正解は……ほら、イッちゃえ♡」
 リーゼロッテの言葉と同時に、空間の歪みから先程のプラズマレーザーが河童の背後を貫いた!
「カパッ!?」
 撃ち抜かれたことで地面へ墜落する河童。
 そこでようやく身体の不調に気が付いた。
「なんだこれカパー? 力が、抜けてゆく、カパー?」
「ああ、それ、さっきのカクテルの呪詛よ」
 夜野が追加で河童の皿へ呪詛がたんまり籠ったカクテルをドバドバとこぼしてみせる。
「これはねぇ? 対象の悪感情を喰らって呪毒へ変換する類の呪詛なの。あの挑発はただ私に攻撃させるためだけだと思った? これだから地区長は扱いやすくて助かるわぁ」
 河童は自身に蝕む呪詛が、フェリスの願いの力で浄化できない事に気が付いた。
 何故ならば、この呪毒は自らが望んで生み出した悪感情が由来しているからだ。
 魔人が他者へ願いを乞うなど、本末転倒もいいところであった。
 夜野は倒れ込む河童へ小声で囁いた。
「……おいてめぇ。楽に死ねると思うな? “俺”の毒はしぶといんだぜ?」
 一瞬だけ人格を『俺』に切り替えてからの罵倒。
 得体のしれない恐怖が河童の全身を震え上がらせる。
「そろそろ仕上げか? 待たせた、準備に手間取った」
 そしていよいよグレンが河童を仕留めるべく、とっておきを披露する時間が来た。
「そう、まずは何が良いかな? 願いを叶えると言うのを、自分だけだと思い上がってるのに一泡ふかせるか?」
 値踏みするように見下ろすグレンは、大釜に手を突っ込んで中身をかき回す。
「願う、芽吹き、息吹く、一助たらん事。誓う、この腕、その瞳にうつる夢幻にさしのべること。我が瞳がうつす諸人の星々よ心のまま息吹け……」
 ユーベルコード『|ちからもち式ウィッチクラフト《力ずく魔女術序》』。
 大釜に集めたのは、扉の向こうにいるフェリスの『寂しい』という願い。
 これをグレンは華麗な花束へと変換して大鎌から取り出してみせた。
「女の子には死体よりも花束を贈るほうが喜ばれる。知らなかったのか?」
「う、うるさいカパー! フェリスは僕が幸せにするカパー!」
「うわ、まだこのロリコン河童、立ち上がれるの? 撃ち殺す?」
 リーゼロッテの無慈悲な言葉に、グレンが制止した。
「ここは任せてくれないか、リリー先生? 願いを叶える魔女として、最期はこの手で葬らせてくれ」
 魔女を名乗る者として、グレンの矜持がとどめを譲ろうとしないだろう。
 リーゼロッテは射撃体勢を崩さぬまま、無言でグレンへ頷いた。
「さあ、こい河童野郎。相撲でもなんでも相手になってやる」
「カ、カパパパー!」
 死力を振り絞り、河童が高速張り手を繰り出してくる。
 グレンはそれを大釜で受け止め、突進してくる勢いを足腰の力で踏み止まる。
「ぐれんー! がんばれー!」
 エインセルの放つ輝きがグレンの身体能力を底上げさせれば、河童の突進をじりじりと押し返してゆく!
「なあ河童? あんたの敗因を3つおしえてやろう。まずひとつめだ」
 グレンは河童の背中の甲羅を鷲摑みにすると、怪力をもって壁や床に河童を何度も叩きつけはじめた。
「俺に泥仕合を持ちかけるつもりのようだが、そいつは無理な話だ。俺が片手で掴めてしまうアンタが、どいうあがいても勝てっこない」
「カパッ!?」
 壁にめり込み、意識が吹っ飛びかける河童。
 しかし床に叩きつけられ、グレンの足で何度も踏みつけられた痛みで強制覚醒させられる。
「ふたつの目の敗因だが、これは地力の差だな。同じ願いを扱う者同士、同じ土俵で戦ったら俺が勝った。それだけの話だ」
 グレンは大釜から先程よりも大量の花をごっそりと取り出す。
 それは一束だけではなく、十数束に及ぶ大量の花束の量だ。
「この花はな、全部あんたの願いだ。フェリスの願いを利用する願い、フェリスと一緒に居たいという願い、そして……俺達にやられて殺されたくないという願い。それらを今、全て花束に変えた。つまり、もうあんたはフェリスの願いを自分の力に変えられない。俺は悪党の願いも叶えてしまう魔女なんだ。相手が悪かったな」
 完全に地面の埋まってしまった河童がピクピクと痙攣している。
 グレンは大釜の中から取り出した豪華な幕の内弁当に困惑しつつ、仲間へ合図を送る。
「最後に、3つ目の敗因だ。今一番強いフェリスちゃんの願い、知ってるか? あんたが教えてくれたじゃないか……『酷い事考える奴をやっつけて』だと。さぁて、誰の事だろうなぁ?」
 地面に埋まった河童を片手で掴み上げたグレンは、大きく振りかぶって全力で壁へ向けてそれを投げつける!
 そこへリーゼロッテのプラズマレーザーとエインセルが召喚したニャンゲイザーの必殺ビームが河童を直撃!
「カパァァァーアッ!?」
 夜野の呪毒も合わさり、壁に激突した河童は見事にオーバーキルされて粉々に砕け散っていった……!

 重い鉄の扉は、まるでフェリスの拒絶の感情にも似ていた。
 辛酸極まる腐臭が4人の鼻を衝く。
 その最奥でおぞましい肉の山の上で、呆然としている幼い少女がいた。
「あなたが、フェリスちゃんかな? ウチはお医者さんのリリー先生さ♪」
 努めて明るく振舞うリーゼロッテに、フェリスはぽろぽろと涙を零した。
「河童さんを、殺したのね?」
 これに夜野とリーゼロッテが事情を明かす。
「貴女の願いは……何だった? 自分を理解してくれる優しい人が欲しかった、違うかしら?」
 フェリスは黙したまま首を達に振る。
 夜野はこれに目を瞑って言葉を継いだ。
「えぇそう。……なら、その願いを捻じ曲げたのはあの河童。貴女のせいではないわ」
「聞いてフェリスちゃん? キミは騙されていたんだよ。あの河童は悪い魔神で、フェリスちゃんの願いをで街の人を……」
 ぐるるるるるる~~~ぅ……。
 リーゼロッテの話を残しをぽっきりと折ったのは、エインセルの腹の虫の声だった。
「にゃーん……あんしんしたらおなかへっちゃったよぅ……」
「さっきのやたら豪華な幕の内弁当はエインセル君の『おなかがすいた』っていう願いからか」
 やっと合点がいったグレンは、出てきた弁当をむしゃむしゃと食べていた。
 食べていないと嗅覚と味覚がおかしくなりそうだった。
「グレン、よくこの状況でたべていられるわね?」
 夜野の疑問にグレンは顔をしかめる。
「……初めてSAN値直葬っていう言葉を理解できた。正気を保ってられるのはうまい飯が食えてる証拠だ」
「なるほど。それじゃ、あの子のケアは任せるわ。私はこの死体の処理をするわね……出てきなさい、影?」
 夜野は宝貝の笛を吹いて【辉夜】を呼び出し、バラバラになった死体の復元と損傷の酷い腐乱死体の後始末を始めた。
 その中で、もっとも損傷の激しい遺体を見つける夜野。
「……これが恐らくあの子の両親……蛆蝿だらけでも顔の皮膚がまだ無事なのが奇跡ね。此処は地下だし気温が低いのが幸いしたのかしら?」
 出来る限りのことをして遺体を復元し、然るべき場所へ埋葬するように幽鬼へ夜野は命じた。
 それよりも、夜野には心配なことがあった。
「ねえ、疫病流行の兆しがないか確認を。リーゼロッテの判断を仰ぎたいわね……」
「ん? 確かに疫病対策は要るね……当然メンタルケアもだけど。じゃあ早速、マーチング・ワスプにやらせようか」
 リーゼロッテは地上に控えている非合法機動医療艇ファルマコンへ通信すると、すぐさまリーゼロッテ似の美女ドローン部隊が現場に駆けつけてくれた。
「さっきの次元ワープを応用すれば、歯車遺跡をショートカットできるからね♪」
 腐臭が蔓延していたダンジョン最奥の部屋が、どんどんきれいに清掃されてゆく。
 フェリスもドローン部隊が“なぜか用意していた”清潔な女児服と下着に着替えさせられるべく、“手際よく作られた”簡易脱衣所で身体に染み付いた汚れを洗い流されている。
「こんなこともあろうかとね♡ リリー先生は可愛い女の子の味方なのさ♡ さあてキレイキレイしようね~っ♡」
 幼女の世話に色めき立つリーゼロッテに、決して下心はない……ないはずだ。
「ねーねーぐれんー?」
「どうした、エインセル君?」
 すっかり片付いた部屋で、手持無沙汰の男2人が大小並んで壁際で膝を抱えたまま座り込んでいた。
「さっきだしたおべんと、みんなでたべられないかにゃ?」
「ああ、できるぞ」
「それでね? おんなのこともいっしょにたべるの! みんなでたべるおべんと、おいしいから、それでちょっとはげんきになってくれるかなあって……」
 エインセルの願いは純粋で、それでいて強い。
 先程まで死体の山を前にして、エインセルはかわいそうだと泣きじゃくっていた。
 そんな優しさをフェリスに向ければ、きっと良い方向へ結果が動くだろう。
「よし。それじゃたくさんだしてみようか」
「やったー! あとね、ぼくね、おんなのことおともだちになりたいんだ。それでいっしょにあそぶの! そしたらきっとさみしくないよね?」
「ああ、友達になってやるといい」
「わかったー! おーい! おべんと、たべよー!」
 グレンから手渡された豪華な幕の内弁当を抱えて、エインセルはフェリスの元へ駆け寄ってゆく。
 フェリスは最初こそ警戒したが、猟兵達の声掛けに徐々に打ち解けていった。
「まぁ……今回の事件の顛末だけど。街の生存者から見ると、浮気者達が自業自得で死んだになるのかしらね? 貴女はずっと街では行方不明者って扱いになってるだろうし、更に言えば“この事件と何ら関わっていない”わ」
 夜野はフェリスに余計なことをしゃべるな、と暗に言い聞かせる。
「なら戻っても風当たりは強くないでしょう。あとは貴女次第。精々、罪の意識に耐え切れなくなって潰れないようにね?」
「もう、素直じゃないねぇ? 安心して。リリー先生が里親を現在進行形で探してあげてるから。電脳魔術はすごいんだよ?」
 世界の|理《ことわり》をも貫き、彼女の電脳の並外れた電算処理システムがフェリスの里親候補をピックアップすると、子供に恵まれなかった夫婦の脳内へ直接フェリスの引き取りを願った。
 きっと何も知らない男女は、世界の天啓か何かだと思い込んでフェリスをこの街まで必死に迎えに来るだろう。
「はい、完了♪ グラハムさんっていう、ちょっと年老いた夫婦が3日後に街へやってくるよ。きっとフェリスちゃんを大事にしてくれるから、安心してね?」
「ということで……貴女はどうしたい?」
 夜野の問い掛けに、フェリスが口を開く。
「私……幸せになりたい……」
「そう思えるなら、まだ『こっち側』へ来る必要はないわ。日の当たる場所へお戻り?」
 夜野は自嘲しながら、フェリスを地上へ戻るように促した。
 リーゼロッテの次元ワープで瞬時に地上へ戻り、フェリスへ3日分の食費を渡して見送った猟兵達は、晴れて任務成功を喜び合うべく、グレンが大量に生成した幕の内弁当を冬空の下でたくさん堪能したのであった。

<了>

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月07日


挿絵イラスト