空に捧ぐ、飲んで騒いでハロウィンパーティー
●
今年もブルーアルカディアにいつも通りハロウィンの気配が漂い始める。否、今年のハロウィンは一味違う。
何故かと言えば、もちろん先の戦争だ。ブルーアルカディアは大きな戦いを乗り越えたその時期にある。なのでハロウィンではあるのだが、『アルカディア争奪戦』の勝利を祝う意味も含めて一層盛大なお祭りが開かれるのだ。
もちろん、勝利の立役者である猟兵たちもそのお祭りに招かれている。
そんなわけで。猟兵たちは誘われるままに現地へ飛んで、お祭りに飛び入り参加することになったのだ。
●
「それでは『第一回ガレオン船仮装コンテスト』の受付開始です」
響いて来たのはグリモア猟兵であるステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の声であった。『何それ?』って振り返る猟兵たちの視線を受けて、むしろ逆にステラが首を傾げる。
「読んで字のごとく、誰の仮装が最高かっていうコンテストですが?」
むしろそれがわかんねーよって感じである。
説明しよう!
先の戦争で活躍した|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》であるが、当然のことながら無傷とはいかなかった。少なくない犠牲があったのも事実だ。
そんな中にはどうにか帰還したものの、飛空艇の前線に戻れない艇ももちろんある。竜骨といった基幹パーツがやられてしまい飛ぶことが不可能な艇。あるいは修理は可能だがコストや装備の問題で新しい艇を準備した方がいい艇。様々な事情で前線から外れることが決まった艇がこのお祭りに提供されたのだ。
「せっかくなので、修理にかこつけてハロウィン的な仮装といいますか、魔改造といいますか。そういうものを施してそれを競い合おうかと思いまして」
このまま置いておいても眠っているだけの艇なのだ。
このお祭りで賑やかしになるなら。そういって提供された艇を仮装させる。あるいは魔改造でもいい。私の考えた最高可愛い飛空艇や僕の考えた最強飛空艇を実現させるのだ!
「コンテストの後は、それを肴に宴ですね」
具体的には、魔獣肉でパーティーである。
この日のために魔獣ハンターたちがめっちゃ狩ってきた。食い尽くせるか? 猟兵たちが参戦すればたぶんいける。もちろんアルコール入りの飲み物(お酒)や普通のジュース、ご飯やパン、野菜から季節の果物までたくさん用意してある。
おっとハロウィン要素を忘れてはいけない。現地の人々は魔獣の扮装に身を包んでいるようだが、猟兵たちも思い思いの仮装をするといいだろう。その辺りは現地に合わせる必要は特にない。
「まぁ何はともあれ。生きて帰ってこれたことを喜びつつ」
そう言ってステラが微笑む。
「存分に楽しんでいただければと思います。私たちは勝利したのですから」
そんなわけで。
ブルーアルカディアの今年のハロウィンは盛大にお祭りだ!
るちる
まいどです。いつもありがとうございます、るちるです。
今年はハロウィンはブルーアルカディアで。騒いで遊んで飲んで歌ってなお祭り騒ぎで参りましょう!
●全体
2章構成のハロウィンシナリオです。
1章はガレオン船の仮装もとい魔改造コンテスト。2章は魔獣肉パーティーです。
勝利の立役者である猟兵はふらっと訪れても歓迎されること間違いなしです! 現地の人々と平和で楽しい時間を過ごしましょう!
禁止事項:R18的な行為および公序良俗に反する行為。現地の人々を害する行為。
魔獣やオブリビオン、敵対勢力は現れません。戦闘行為は特に必要無いと思います。
●1章
冒険『ガレオン修理』
となっていますが、内容としてはお祭りの余興になります。
壊れたままになっているガレオン船を利用して、修理の名のもとにちょっと手を加えてハロウィンの仮装、または魔改造しちゃいましょう。
仮装はハロウィンらしさや芸術点が評価されます。魔改造はどこまでぶっ飛んでいるかがポイントです。ぶっちゃけ失敗しても誰も怒らないので余興として全力を尽くしてください。
なお、このコンテストで使用されたガレオン船はお祭りの後(2章の後)、2つの使い道があります。
ひとつは、戦争の犠牲者への弔いとして雲海へ送り出します。ハロウィン仕様のものはこちらの展開が多いかもしれません。
もうひとつは、勇士たちが記念に残しておくパターン。自分たちの拠点へ持ち帰ります(何とかどうにか)。魔改造仕様のものはこちらの展開の可能性が高いです。
●2章
『魔獣肉で、パーティー!』
読んでの字のごとく。もはや説明不要な展開です。未成年者は20歳未満とします。実年齢か見た目年齢のどちらかが該当するとアウトです、気をつけてね。
一応、仮装していくと現地の人々の受けが良くなります(肉が増えます)。必須やプレボには関わって来ませんが、軽く仮装してみると良いと思います。
章の最後に、仮装させた艇を送るシーンが入る……予定です。
●
各章、始まる前に冒頭説明or補足説明を追加します。参考にしてください。
冒頭説明が入ったらプレ受付開始。タグでお知らせする予定です。
毎度ですが、1日の執筆人数が多いと採用できない人が出るかも? プレ受付開始や状況なども含めて、タグでお知らせしたいと思っています。
それでは皆さんの参加をお待ちしていまーす!
第1章 冒険
『ガレオン修理』
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POW : 資材を運んだり、壊れた箇所を修繕する。
SPD : 急いで応急処置を行う。
WIZ : 破損の内容から、適切な修理方法を提案する。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●第一回ガレオン船仮装コンテスト、はじまります!
そんなわけでコンテスト参加者が集うお祭り会場の中央広場。
そこには先の戦争で活躍した|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》のガレオン船が並んでいる。
事前の説明にもあったように、ここに並んでいるガレオン船はいずれも空を飛べない状態であるが、詳しく言えば2種類ある。
ひとつめ(A)。修理をすれば再び飛べる状態であるが、旧式であることから、修理を行うよりも艇を新調した方が良いと判断されてお役御免となった艇。
ふたつめ(B)。マスト、竜骨、あるいは天使核エンジンといった艇の心臓にあたる部分が破損および修理不可能と判断された艇。
これらが勇士たちの好意によって提供されている。いずれもこのお祭りを盛り上げるためと快く提供してくれたものだ。
なのでその心意気を組むためにも、修理の名のもとにハロウィンの仮装、または魔改造を施す。遠慮はいらない。全力でやってもらいたい。
ただし、現地にある材料は木材に鉄材、それから魔獣から採取した素材といったブルーアルカディアに依存するものになる。これらなら使い放題だ。天使核ももちろん用意してあるのだが、これは貴重品なので数が少ない。
そして助っ人だ。
①気のいい飛空艇技師たち(今日はお祭りなので無茶振りも聞いてくれるぞ!)とか、
②艇を仮装させたくてたまらない勇士たち(誰かに助けて欲しいって思ってるぞ!)とか!
人材も材料も『これはブルーアルカディアにありそう』というものは全部用意してあるので安心してほしい。
他世界由来の素材? 持ち込みオッケーですよ!! ただし制御とかセッティングは猟兵にお任せしたい。
あともうひとつ。魔改造後の『動くかのテスト運用(飛行含む)』は問題ないが、実際の飛行や運用(魔獣討伐に行ったり他の島に行ったり空を飛び回ったり)は控えて欲しい。まだ所有権や優先権は勇士たちにある。勝手はダメよってことですね。
どちらかというと、ハロウィンのモニュメントにするのが目的なので。
そんなわけで仮装と魔改造とハロウィンっぽい雰囲気作りをよろしくお願いしたい!!
※シナリオ補足※
仮装または魔改造と書いていますが、この2つは混ざっても問題ありません。ハロウィン風魔改造、全然オッケーです。
プレで手を加える対象を選んでください(A or B) 特にどちらが面倒という話は無く、ただの雰囲気です。
助っ人が必要な場合は①または②、もしくは『こういう技能を持った人!』と書いておいてくださいな。見つけてきます。ちなみに②の人はガレオン船を|幽霊船《ゴーストシップ》に仕立て上げたいようです。でも南瓜風味を入れるのでオレンジ基調でしょう。
ハロウィンの雰囲気はUDCアース準拠で問題ありません。幽霊よりは魔獣の方が怖がられているので、現地の人は魔獣の仮装が多いみたいです。困ったらブレイドホークとかガレオンドラゴン辺りをオススメします。スーパーカオスドラゴンさんでもいいです。
ガレオン船の修理が不可能な艇は『ダメな部分を総とっかえしたら動くだろう?』って考え方もあるのですが、それをやろうとすると艇を全部バラさないといけない部分ばかりです。そこまでして直そうとするほど思い入れのある艇はそもそも此処に並んでいませんのでご安心ください。
2章でガレオン船見ながら宴するので、この章では仮装と魔改造とハロウィンの雰囲気作りに注力していただくのが吉です。
それではよろしくお願いします!
ルクス・アルブス
(両手にいっぱいのカボチャを抱えて)
それじゃステラさん、つけていきますねー♪
え?ちがう?
ガレオン船をメイクアップっていうから、
ステラさんのことだと思ったのですが、違うんです?
それは残念です。これは帰ってきたらつけてもらうことにして……。
お題のガレオン船は、オレンジと黒に塗装して、
帆を紫、あとはカボチャランタンつけまくりにしていきましょう。
わたしの仮装はもちろん魔女です!
黒い衣装にとんがり帽子でいきますですよ。
あ。ガレオン船にはじつは仕掛けがあるんですよ。
このユニットが肝なのですが、ハンドルをまわして、留め金を外すとー……。
どうです!
わたしの演奏が流れるようになっている、オルゴール船なのです!
●
『第一回ガレオン船仮装コンテスト』の会場が盛り上がりを見せている。既にお酒が入って酔っぱらっている勇士たちもステラの勢いに乗せられて、ガレオン船の外側を思い思いに塗っていく。
そんな中、大量のカボチャが移動してきた。
『えっ?』て顔の勇士たちの中を悠々と歩いていくのはカボチャのお化け……じゃなくて、両手にいっぱいのカボチャを抱えたルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)であった。そしてステラの前で立ち止まる。
「それじゃステラさん、つけていきますねー♪」
「えっ?」
「え? ちがう?」
ステラがあまりにも真顔だったのでルクスも間違いに気付いたようだ。
「ガレオン船をメイクアップっていうから、ステラさんのことだと思ったのですが、違うんです?」
「誰が壊れたメイドですか」
違ったらしい。あくまで今回の飾り付け対象のことであり、壊れた壊れてないの話ではない。それは、そのぉ、ルクスちゃんの方が詳しいと思うのでぇ……。
「それは残念です。これは帰ってきたらつけてもらうことにして……」
よいしょっ、と横にカボチャを積み上げて、簡易オブジェにするルクス。これはこれで可愛い。アリ。
そんなわけで、このままでは眠っているだけの船を選び、ルクスが歩いていく。
「お題のガレオン船は……」
ぐいっと萌え袖部分を腕まくりするルクス。これでも勇者にして芸術家である。基本は音楽であるが、こういう時もなんかこうやる気になるのだろう、たぶんめいびー。
用意した塗料にハケをつけて、爽快に塗りつけていくルクス。
「オレンジと黒に塗装して、帆を紫、あとはカボチャランタンつけまくりにしていきましょう!」
ぺったんぺったん♪
リズムを刻むようにルクスの手が動けば、ガレオン船がハロウィンカラーに染まっていく。
「わたしの仮装はもちろん魔女です!」
くるって振り向きながら宣言したルクスの姿はいつのまにか黒い衣装にとんがり帽子の魔女スタイル。色を塗っていく音がメタ張ってるとかそういうことはない、ええ、ないんですよ?
そんなわけで。ルクスの楽し気な様子に釣られてきた勇士の皆や飛空艇技師も手伝って、ルクスの思い描いたガレオン船が出来上がる。
「完成です!!」
ルクスの宣言に、歓声が巻き起こる。
だが、その時誰かが気付いた。ガレオン船のマストのところに何かハンドルがくっついている。
こんなものはなかったはず。
一斉に皆に走る緊張感。いや、それは悪寒であったかもしれない。
「あ」
皆の視線を期待と勘違いしたのだろう。いや、真剣にそう思ってたかもしれない。この勇者、そういうところある。
「じつはガレオン船には仕掛けがあるんですよ」
るんるんな足取りでマストに近づいていくルクス。よく見るとハンドルに付随してなんか装置が追加されて……いる?
「このユニットが肝なのですが、ハンドルをまわして、留め金を外すとー……」
カタカタカタ、という軽快な音を立てながら回るハンドル。留め金が止めていたのは果たして装置だったのか、あるいは絶望の未来だったのか。
流れてきたのは不協和音……じゃなくて地獄の調べ……でもなくて、ルクスの【Canon】の音色であった。
「どうです! わたしの演奏が流れるようになっている、オルゴール船なのです!」
「死人出すつもりですかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「あいたぁっ!?」
すっぱーん、とルクスの頭を叩く軽やかな音が響いたのでした。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
【月灯】
ホントだこの組み合わせ初めて
確かに新鮮だよ
壊れた艇見て激戦に思いを
勝てたけど沢山の船が壊れたし勇士たちも…
なら
勝てた事、祝祭を迎えられる日々が戻って来た事を
散ったものたちに伝えたい
そして艇にもお疲れ様を
UCお菓子をどうぞで
南瓜の甘い美味しいクッキー作るよ
「お供え、お菓子無い気するしね」
ランタンと蝙蝠型
ある程度は勇士たちにも振る舞う用に分ける
次は紅白の花用の薄紙を枚数決めて蛇腹にして
真ん中ゴムで留めて広げて…沢山花を作る
出来たら陸井と天城のランタンにもぺたり
自旅団からの生花もね
皆で灯をともして
神臣の言う通り綺麗にせめて華やかに
ほら
南瓜とお菓子と花の艇出来上がり!
「喜んでくれるといいな…」
凶月・陸井
【月灯】
確かに新鮮だけど男四人も気がねしないでいいな
それに今日は飛空艇艦隊の弔い、だからな
感謝と、勝利を伝える為ならきっと俺達が良い
ハロウィンならやっぱり南瓜だよな
とりあえず大量に南瓜を持ち込んでランタンを作ろう
「お供えと飾りは頼むな。こっちは…灯は必要だからね」
飛空艇を雲海へ送り出すのも、記念に残すのも
送る為にも迎える為にも、此処だってわかる灯が必要だから
持って来た大量のカボチャは全部ランタンにするよ
「うん、良い感じだよ。ランタンはこれで足りるかな」
ランタンが出来たら時人と神臣くんの飾りも手伝いつつ
暗い場所が無いように南瓜ランタンを取り付ける
「これだけ明るければ…何処でも見つけられるよな」
神臣・薙人
【月灯】
戦いには勝利しましたが
犠牲になった人もいる…
艇も無傷とは行かなかった
出来る事なら
感謝を込めて送り出したいです
葛城さんのお菓子
きっと喜んで貰えるでしょうね
盛り付け、お手伝いさせて下さい
その後は薄紙のお花も一緒に
ちょっとずつちょっとずつ…
お手伝いにはお礼を
ありがとうございます
ふふ
確かに4人一緒は初めてですね
とても嬉しいです
出来上がったら
破損の酷いところを中心に
紙のお花を飾り付けて行きます
怪我と違って治せはしませんけど
生花も随所に配置して
少しでも綺麗にしてあげたいです
凶月さん達のランタンは
大きめのものを一つ舳先の方へ
行く先を照らせるように
遠くからもこの艇が見えるように
喜んで、貰えるでしょうか
天城・潤
【月灯】
確かに、此処から全員では初めてですね
不思議な気分です
僕はまだ受け継いだ記憶頼りの見様見真似
それでも…思いは解ります
叶うなら弔いを。そして祝祭の知らせを
雲海に旅立つ船にせめて最後の華やぎを
そのお手伝いができるのが嬉しいです
心が決まれば手は早い
「凶月さん、こんな感じで良いですか?」
ナイフや武器を使い出来るだけ手早く
沢山の南瓜をランタンに作ります
中には長持ちする蠟燭を入れて
一つだけ綺麗な三日月の形にし旅団を表します
何をするにも丁寧な神臣さん、思ったより
不器用そうな葛城さんのお手伝いもして
全てが仕上がれば皆さんにお疲れ様を
「ええ、きっと。皆さんの思いは届くでしょう」
僕も心からそれを願っています
●
会場に並ぶ元|飛空艇艦隊《ガレオンフリート》の飛空艇たち。その姿は静かに佇んでいるようにも、仕事を終えて引退する際の式典に挑むようにも見える。ひとつだけ言えるとするなら、彼らを取り囲む人々は盛り上がっている、ということだろうか。
勇士たちとて、飛空艇がまだ飛べるならいつまでも共に在るだろう。だがそれが叶わないこともある。物理的・論理的、あるいは経済的に。勇士たちもこの世界に生きているのだから、別れはいずれ訪れる。だからこそ、このような場を得られた相棒たちへ最大限の感謝を捧げる。
そんな賑わいを見せるガレオン船仮装コンテストの会場に、グリモア猟兵の転送によって訪れたのは4人の猟兵。…………全員、男……だと……?
グリモアベースで集合した時に既に言葉を交わしていたのだろう。
ブルーアルカディアの地へ降り立った天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)が口を開く。
「確かに、此処から全員で、は初めてですね。不思議な気分です」
自身が旅団長を務める【月灯】、そのメンバーでこのような催しに参加するのは潤の記憶にはないようだ。
「ふふ……確かに4人一緒は初めてですね」
『とても嬉しいです』と言外に滲ませつつ、微笑を浮かべて神臣・薙人(落花幻夢・f35429)の言葉が続けば。
「ホントだ……この組み合わせ初めて。確かに新鮮だよ」
葛城・時人(光望護花・f35294)も自身の記憶を探っていたのか、導き出した答えを紡ぎつつ微苦笑する。
「確かに新鮮だけど男四人も気がねしないでいいな」
最後に凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)がそう言葉をこぼせば、4人が顔を見合わせて笑いあう。
それにしても何回『確かに』言うんだキミらは。仲良しか。仲良しだな。
「それに今日は飛空艇艦隊の弔い、だからな」
そう言って仰ぎ見る陸井の視線の先には壊れたガレオン船。激戦を繰り広げ、どうにか帰還した1隻。マストは半分から折れ、舳先も砕けて竜骨の部分にヒビが走っている。天使核エンジンも出力がもうあがらないという。
「感謝と、勝利を伝える為ならきっと俺達が良い」
そんな陸井の言葉に釣られて。薙人も時人も潤も視線を遣る。
(戦いには勝利しましたが……犠牲になった人もいる……艇も無傷とは行かなかった)
薙人の心中に紡がれる言葉はただの事実だ。そこに在るモノをなぞっただけの。だがそれでも湧き起こる感情がある。
(勝てたけど沢山の船が壊れたし勇士たちも……)
同じことを考えていた時人もまた何とも言えない表情を浮かべている。
少し、下がった位置から3人を見ているのは潤。そんな潤の心中に紡がれる想いは揺らいでいる。
(僕はまだ受け継いだ記憶頼りの見様見真似……)
シルバーレイン世界での記憶。得た猟兵として戦う理由。されど今の自身の、自分のような自分で無いような記憶の揺らぎはいまだ落ち着いていない。
それがどうしても二の足を踏ませる。
(それでも……思いは解ります)
例え、切欠が受け継いだものであってもアルカディア争奪戦に参戦したのは潤なのだから。同じ思いでこの場に立っていることには違いが無い。
ゆえに4人は言葉を紡ぐ。
「叶うなら弔いを。そして祝祭の知らせを」
潤が呟けば。
「勝てた事、祝祭を迎えられる日々が戻って来た事を散ったものたちに伝えたい」
時人が継いで。
「出来る事なら感謝を込めて送り出したいです」
薙人が振り向けばそこには陸井。
「ハロウィンならやっぱり南瓜だよな」
いつの間にやら大量に用意されている南瓜の数々。
さて、ひと仕事やるとしようか。
●
「お供えと飾りは頼むな。こっちは……灯は必要だからね」
南瓜を抱えながらガレオン船に近づいていく陸井が声をかけた先は親友だ。
「わかった」
時人も慣れたもので既に用意に入っている。彼の前には大きなテーブル。その上に並べられているのはお菓子の材料と南瓜。
「沢山のお菓子で癒そう、全てを」
と時人が呟けば、10秒にして大量の南瓜クッキーが作られる。甘くて美味しいクッキー。
「お供え、お菓子無い気するしね」
「葛城さんのお菓子、きっと喜んで貰えるでしょうね」
頃合いを見計らっていたのだろう、ひょこっと薙人が横に立つ。テーブルの上を確認すれば、クッキーの数々。形は南瓜にランタンに蝙蝠と様々。
「……多すぎませんか?」
「勇士の皆にも振舞おうと思って」
そう言いながら素早く仕分けていく時人。その様子にきょとんとして、次に笑みを浮かべて薙人が告げる。
「盛り付け、お手伝いさせて下さい」
●
一方、こちらはガレオン船。
「……ふむ」
ガレオン船と目の前の大量の南瓜を交互に見て陸井が息をつく。
「やはり、灯が必要だな」
そう言って南瓜を手に取る陸井。
飛空艇を雲海へ送り出すにしても、記念に残すとしても。送る為にも、迎える為にも、何をするにしたって。
(此処だってわかる灯が必要だから、な)
そのためには……ここに在る大量の南瓜は全部ランタンにする。
早速ランタン作りに取り掛かる陸井の側から手を伸ばすのは潤である。
――心が決まれば手は早い。
だからこそ潤の動きもスムーズだ。
ナイフを取り出して、刃を突き立て、ぐりぐりと南瓜に穴をあけていく。ちょっとばかり蒼い火で焼いて削りやすくもしてみたり。
出来るだけ手早く、沢山の南瓜をランタンに。
「凶月さん、こんな感じで良いですか?」
「うん、良い感じだよ。ランタンはこれで足りるかな」
二人で半分ずつ、全ての南瓜をランタンに仕上げた陸井と潤は顔を見合わせてから、拳で小突きあう。
「後は……」
「蝋燭ですね」
いつの間に用意したのか、潤が指さす先には蝋燭の入った箱が。そこから蝋燭を取り出してランタンの中に置いていく潤。なお、長持ちするタイプをチョイスしたので途中で火が切れることも無いだろう。
そして潤が最後に手を伸ばしたのは……綺麗な三日月の形をした南瓜ランタン。。
「それは……」
「……ふふ」
陸井の言葉を受けて微笑む潤。満足そうに抱え、蝋燭を入れていく潤。
そう。三日月は……旅団の想いだ。
●
ガレオン船ハロウィン仕様作戦は順調に進んでいる。
時人と薙人はお菓子の準備を終えて、次の工程へ。
大量に並べた紅白の薄紙。これを数枚手に取って折り込んで蛇腹にしつつ、真ん中をゴムで留めて……広げてみれば花となる。そんな感じで紙の花を沢山作り込んでいく時人。
その手作りの様子を見ていた薙人も見よう見まねで参戦。さすがに速度は時人に負けるけども。
(ちょっとずつちょっとずつ……)
気持ちを込めて、感謝を込めて。丁寧に仕上げていく薙人。
そして紙の花がずらりと並ぶ。
4人が改めて集い、出揃う大量の南瓜ランタンと紙の花。
「じゃあ、花飾りをつけていこう」
「一回並べようか」
「こっちにもランタンください」
「手分けしましょう。こちらにも花をください」
てきぱきと役割分担。陸井が指示して、時人がランタンを運び込み、時人と潤が並べつつ、ランタンに花を貼り付けつつ。
陸井も花飾りを手伝い、時人もぺたぺたと花を貼り付けて。
「おっと、これも」
不意に。時人が取り出したのは旅団から持ち込んだ生花だ。これも紙の花に混ぜてランタンに飾り付けていく。
次はガレオン船への取り付けだ。
「まず、あそこですね」
薙人が指さす場所はガレオン船の特に破損の酷いところ。その部分を包み隠すようにランタンと紙の花で飾り付けをしていく。
(怪我と違って治せはしませんけど)
それでも『痛み』がなくなるように、と。生花も随所に飾り付けて華やかさを盛っていく。
「少しでも綺麗にしてあげたいです」
「そうだな」
微笑する薙人の側で、同じようにランタンを抱えていた時人も頷きを返す。
(綺麗にせめて華やかに)
薙人に負けないほどの想いを込めて時人も艇を飾り付けていく。
「……」
手を動かしながらそんな様子を見つめる潤。
(何をするにも丁寧な神臣さん、思ったより不器用そうな葛城さん……)
旅団員のそんな様子を見るのも楽しい。穏やかに視線を遣りながら、自身も手を動かして飾り付けの手伝いをしていく潤。
そして飾り付けが終わる。
一度集まった4人は改めて艇全体に散って、ランタンの様子をもう一度チェック。
確認を終えたランタンから中の蝋燭へ火をつけていく。
そして夕闇に浮かび上がるガレオン船。
「これだけ明るければ……何処でも見つけられるよな」
不意に陸井が呟く。
艇から降りて、少し離れた位置から見上げるガレオン船はとても華やかで綺麗で、それでいてどことなく儚げかもしれない。
だが暗いところなどどこにもない。艇自身の明るさも自身の位置を示す明るさも、十分だ。
「南瓜とお菓子と花の艇出来上がり!」
甲板にお菓子を撒いてセッティング完了。時人が嬉しそうな声をあげる。
そんな中で薙人が一番大きなランタンをひとつ抱えて舳先へ向かう。
「『……?』」
『飾り付けは終わったはず?』と首を傾げながら見守る3人。そんな中、薙人は舳先でひと呼吸。手にしていた大きなランタンを舳先へとつるす。
「行く先を照らせるように、遠くからもこの艇が見えるように」
不意にこぼれた言葉は意図せず、後ろから見守っていた3人にも聞こえて。紡ぎ出された想いはやはり4人で共有していたモノ。
「喜んで、貰えるでしょうか」
「喜んでくれるといいな……」
薙人と時人がそう呟けば。
「ええ、きっと。皆さんの思いは届くでしょう」
潤が皆を労うように告げて。自身も『心から願っている』と言外に告げて。
「そうだな」
陸井もまたそれに同意を示す。
「キミもお疲れ様」
時人が艇の縁に手を置きながら呟く。
4人の想いが形となった、ハロウィンガレオン船。
それはともすれば――雲海に旅立つ前の、せめて最後の華やぎ。
(そのお手伝いができたのは嬉しいです)
そんな想いを込めながら潤の視線はガレオン船をみつめる。
「お。宴の時間のようだ」
「それじゃあ、俺たちも行こうか」
「はい」
陸井と時人と薙人の言葉を聞いて、潤も踵を返す。
別れの時はしばし先。
まずは今を祝おう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 日常
『魔獣肉で、パーティー!』
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POW : 兎にも角にも、沢山肉を焼いて食べる!
SPD : アルコール入りの飲み物が止まらない!(未成年は普通の飲み物)
WIZ : 遠慮するな。ご飯やパンに野菜も食え!
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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『第一回ガレオン船仮装コンテスト』は盛況のうちに終わったようだ。といっても1位を決めたりして無いのだが。
猟兵たちを含めた有志たちによるガレオン船の仮装。デコレーションであったり、ペインティングであったり、あるいは飾り付けであったり。
手法は様々であるが、ずらりと並んだガレオン船たちは、勝利とハロウィンを祝うにふさわしい姿へと変わった。
そして夕日が差し込む誰そ彼時。
古来より人と人ならざるが交じり合う頃。
幽玄の灯りが艇を照らす。
UDCアースやサイバーザナドゥのような煌々とした灯りはこの世界には無い。あるのは炎。
会場のど真ん中に用意された大きな篝火。そしてそこから小分けされた会場を囲むように立てられた複数の小さな篝火。
炎が会場を照らし出していく。
「よっしゃー!! 上手に焼けたー!」
「酒もってきたぞー! 飲めないやつは果物絞ったジュースで我慢しろー!」
「食えるもの何でも持ってこーい!」
そんな会場に響き渡るのはどこまでも『生きる』希望に満ちた言葉であった。
そしてあちこちから漂う美味しそうな匂い。主に肉。そこら中に設置されたBBQセットから肉が全力で振舞われている。
「『飲むぞー! 食うぞー!! 騒ぐぞー!!!』」
今か今かと待ち続けていた勇士たちの、解放された瞬間である。
というわけで、『魔獣肉パーティー』はじまります!!
※シナリオ補足※
食い供養に飲み供養。
飲んで騒ぐが捧げる詩です。
そんなわけでパーティーをお楽しみください。
イメージ的には食べ物しか売っていない縁日を渡り歩く感じで。
素材をそのまま焼いて食べるものと飲み物は何でもあると思っていただいて大丈夫です(肉以外にも最中とか)
神臣・薙人
【月灯】
艇を見送るためにも、宴会は欠かせませんね
楽しく過ごしましょう
仮装すると良いのですね
頭には枝がありますので
つけしっぽだけ付けましょう
黒猫です
…似合いませんね
でも付けたままで
賑やかで圧倒されてしまいます
すみません
ガードありがとうございます
未成年なので
果物ジュースをメインに頂きます
アルコールが無くても
場の雰囲気を楽しむ事は出来ますよね
お肉…は分かりますが
最中…?
私が知っているものと、同じものでしょうか
私も気になりますので
一つ頂きましょう
…最中、ですね…
艇を見送る時は、少ししんみりした気持ちに
ランタンがありますから
迷子にはならないですよね
どうか、ゆっくり休んで下さい
この世界は私達が守りますから
葛城・時人
【月灯】
祝祭にはこれ!
弱いし見た目ヤバいから呑まないけど
こういう時の肉三昧すっごい良いな
皆、行こう!あ、けど若干神臣はガード
勿論猟兵だから大丈夫なんだろうけど
勇士たちガハハ系多いしね
「これ何のお肉?」
気になるのは素材と味付け!
美味しそうなのあったら
香辛料手に入れたいな
絶対俺達の世界と違うもん
勿論何出てもぺろっと食べるよ
「美味しい!最高」
シルバーレインが繋がったからこその今
楽しまないとね
甘党として気になる
「ね、神臣、皆見て?最中あるよ最中」
買ってためつすがめつ
「うん最中マジ最中」
美味しいね、けど何で?
由来は絶対聞くよー
送り出しは少し厳粛に見送って
「いってらっしゃい、だよ」
勝利を日常を…空の彼方へ
天城・潤
【月灯】
良いお祭りですね
ダークセイヴァー出身の僕には空が広くて
何処までもゆける所にも心地よさを感じます
飾りつけも柔らかく光を放ち良い感じですね
「葛城さん、仮装をお忘れですよ」
浴衣姿なだけでも確かにOKかもですが…お肉を
沢山食べたいなら必須ですと呼び止め
強制的に猫耳尻尾を付けて貰います
勿論、僕も
「皆さんお似合いですよ」
きっと一番似合っていないのは…一番慣れていない
僕だと思いますが
凶月さんにお付き合いして、肉もですがお酒を
僕の生まれ故郷には以下略…ですので
此処なら満喫出来て良いですね
お肉も美味しいです
送り出しには姿勢を正して
凶月さんに従いグラスを満たし
勇士たちと、皆さんと掲げて
「どうか、良い旅を」
凶月・陸井
【月灯】
飾りつけも無事に終わったし
供養の為にも送る為にも
しっかり飲み食いしないとな
心から、大いに飲んで食って騒いで
仮装は…神臣くんと合わせて尻尾と耳付けるか
「神臣くん似合ってるから気にしないで良いと思うぞ?」
そのまま天城くん誘ってお酒を受け取りに
もう既に出来上がってる勇士達に混ざって飲んでいこうかな
時人と神臣くんに酒を進める不埒者からは酒を代わりに受け取って
「ほら、お前ら未成年に飲ませようとするなよ。俺達がいただくよ」
船を送り出す時には少し一息ついて
天城くんや周囲の勇士たちに酒を注いで
グラスを剣を捧げるように持ち上げ
「勇士と、友である飛空艇達に」
空まで、勝利と感謝が届くように
●
ブルーアルカディアのハロウィンがどういう経緯で発生して、なんで騒ぐのかはよくわかっていない。昔からあったモノが変化してこうなっているのかもしれないし、神隠しでこの世界で渡ってきた者が伝えたのかもしれない。
いずれにせよ、今この浮島はとってもお祭り騒ぎである。『生きている』、それはとても重要なことだ。それを助けてくれた飛空艇に感謝を捧げつつ、勇士たちはようやく訪れた宴会の時間を超楽しんでいる。
そんな一画、【月灯】の4人。
「祝祭にはこれ!」
と楽しそうに声をあげる葛城・時人(光望護花・f35294)。
「良いお祭りですね」
会場を練り歩きながら天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)が呟く。
ダークセイヴァー出身の潤にとってはこの世界は『空が広い』。世界を渡った者しかわからないであろう感覚。
(何処までもゆける所にも心地よさを感じます)
それもまた今日の気分を盛り上げてくれていることを感じつつ、前方を歩く3人に目を遣る。
その視線に気づいた凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)が振り返る。
「しっかり飲み食いしないとな」
心から、大いに飲んで食って騒いで。
それが供養の為にも送る為にもなるならば。
「楽しく過ごしましょう」
艇を見送るためにも、と。
陸井の言葉に頷き、言葉を重ねる神臣・薙人(落花幻夢・f35429)は少しばかり足を止めてきょろきょろと。
あ、ちなみに全員仮装済です。潤がばっちり仕切りました。
しばし前。
「飾りつけも無事に終わったし」
という陸井の言葉に素早く動いたのは時人であった。
「皆、行こう!」
「葛城さん、仮装をお忘れですよ」
がしぃっ、とか効果音が出そうな勢いで時人の腕を掴む潤。
「浴衣姿なだけでも確かにOKかもですが……お肉を沢山食べたいなら必須です」
力強い。
そんな潤の呼び止めに時人が振り返る。
「くっ……」
その『くっ』は誤魔化しきれなかった悔しさか、仮装への照れか。
ともあれ、素早く猫化させられる時人。全力にして強制的である。ニゲラレルトオモウナー。
まぁかくいう潤もばっちり猫化しているのでお揃いである。
その様子をじっ、と見守っていた薙人。
「仮装すると良いのですね」
なんか納得したように自分の頭をぺたぺたと触る。残念ながら猫耳の所定位置には桜の精特有の枝がある。
「つけしっぽだけ付けましょう」
いつの間にか目の前に並べられている猫仮装グッズから『それ』を手に取って。
「黒猫です」
ふりふり。薙人の腰に黒猫の尻尾が生えた。
「……似合いませんね」
「神臣くん似合ってるから気にしないで良いと思うぞ?」
ぽつり呟いた薙人の言葉を陸井が否定する。そして薙人の視線の先にいるのは猫耳猫尻尾の陸井さんである。
「神臣くんと合わせてみた」
「……では付けたままで」
陸井の言葉にゆらり尻尾を揺らす薙人。
「皆さんお似合いですよ」
全員が猫化したところで潤が微笑む。
「きっと一番似合っていないのは……一番慣れていない僕だと思いますが」
確かにダークセイヴァーの世界観に猫耳猫尻尾にゃんにゃんは厳しいかもしれない。
しかし、似合う似合わないはあまり気にしなくていいのである。
何故かと言えば、そこに仲間たちの楽しそうな笑い声があるから。
●
そんなわけで猫化した4人が会場を練り歩いているわけである。
「……飾りつけも柔らかく光を放ち良い感じですね」
遠くからでも見える、先ほど仮装させたガレオン船。南瓜ランタンの効果はすごくて本当に『そこに在る』のがよくわかる。
だが目の前にあるのは狂騒である。宴とはこういうものだと誰かが言っていた……かもしれない。
「これ何のお肉?」
ちゃっかり勇士たちの宴に入り込んでいる【月灯】の4人。早速溶け込んでいるのはコミュ力お化けの時人である。気になっていた素材と味付けを
「何の肉って魔獣に決まってんだろ!」
「何の魔獣かは知らん! 俺らが狩ったわけじゃない!」
「たぶん牛っぽいやつ!」
「『雑っ!!』」
というわけでまぁ何の魔獣かはわからん。たぶん搬入の段階で混ざっている。ベルトコンベアで綺麗に仕分けされてるわけじゃないし。
味付けはシンプルに塩とか唐辛子とか。複雑なソースを持ち込んでいる者もいるかもしれないが、上品な食べ方はこの場では出遅れる。
とにかく焼いて、食う。そして呑む。これが基本ルールである。
「香辛料手に入れたいな。絶対俺達の世界と違うもん」
そう言いながら時人は差し出された肉にかじりつきながら、味付けチェック香辛料チェックを怠らない。
「美味しい! 最高」
『こういう時の肉三昧すっごい良いな』と思う時人でした。
そんな様子を見守る潤に陸井がカップを差し出す。
「すっかり出来上がってるな」
勇士たちの様子とそれに混じり込んでいる相棒を見て微苦笑する陸井。
「呑んでないはずなんだけどな」
「ハハ」
その言葉には潤も微苦笑を返すしかない。
カップを受け取りながら同時に肉の串を受け取って。口元に運べば大自然の味がする魔獣の肉。血抜きとかはしてあるらしい。カップも口元に遣れば酒特有の強いながらも薫るような匂いがする。
「僕の生まれ故郷には以下略……ですので」
「わかってるって」
潤の言葉に今度は苦笑。ここまでの付き合いもあるのだからそこまで気にしなくていいのにとも思うが、それが潤の良さなのだろう。
「此処なら満喫出来て良いですね。お肉も美味しいです」
「……」
そう言う潤の肩をぽんぽんと叩いて、彼らもまた勇士たちの輪に入っていく……前に、もうひと仕事。
「……えっと」
勇士たちに囲まれて酒を突き出されている薙人……を守ろうとする時人の救出である。
「いや、俺も……」
がんがん突っ込んでいってたためか、酒のカウンターを回避しきれそうにない時人もピンチ!
「ほら、お前ら未成年に飲ませようとするなよ。俺達がいただくよ」
陸井さんナイスセーブ。
「すみません。ガードありがとうございます」
勇士たちも悪意なく、むしろ善意とわかっていたからか、無碍に断れなかった薙人がほっと胸を撫で下ろす。その様子を見て時人も一安心。まぁ荒事になれば猟兵に生身で勝てることもないのだろうが。
「勇士たちガハハ系多いしね」
「はは……」
時人が耳元で囁いて来た言葉に薙人は微苦笑を返す。
というわけで。
未成年の薙人の手元には果物ジュース。
「アルコールが無くても、場の雰囲気を楽しむ事は出来ますよね」
「楽しまないとね」
『シルバーレインが繋がったからこその今』とこの雰囲気を楽しむ時人と薙人。
そんな二人の前に供されたのは最中であった。
「ね、神臣、皆見て? 最中あるよ最中」
「お肉……は分かりますが、最中……?」
なんで? と思いながらもためつすがめつ。
「私が知っているものと、同じものでしょうか」
気になってきた薙人と、甘党としてスルーしきれない時人。
手に取って口に運べば。
「うん最中マジ最中」
「……最中、ですね……」
最中だった。
「美味しいね、けど何で?」
その質問は勇士に対して。聞きたいのは由来である。
「さぁ?」
「さぁ、って」
「どういうことなんでしょうか?」
その場に居る全員で首を傾げる始末。
いや、マジで何で最中あるのかわかんない。
説明読み直して本気でビックリした天の声がここにいます。でもあるんでしょう、だってブルーアルカディアだもの!!!! 餡子どこから調達しているんだとかは気にしてはいけない。それは紛れもない最中なのである!!
というわけで最中でした。マジでビックリ(本日2回目)
そんな感じで宴は軽やかに騒がしく、人の生きる力を奏でていく。
「はい。これおかわりです」
「ありがとう神臣くん」
「相棒、こっちにも」
「こちらのジュースも美味しそうですよ、葛城さん」
それぞれが手にした料理と飲み物を絆のようにくるくると。
【月灯】の4人の宴はまだまだ終わらない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
ごはんたっぷりですね。
師匠もいっしょにこられたらよか……いえ、これは逆に危険ですね。
逃げる準備を整えてからでないといけない気がします。
ということで、今回は食べ歩きを満喫していきましょう。
とはいえ……ひとりはちょっとさみしいですね。
ステラさん、いっしょしましょうよぅ(子犬の瞳)
いっしょしてくれたら、さっきのカボチャアクセ、たくさんつけちゃいますから!
2人でカボチャアクセ満載のハロウィン仕様になりながら、
屋台を満喫していきますね。
これは……確保しておきたいごはんがいっぱいです!
ステラさん、ステラさん、
これステラさんの|体内《倉庫》に入れておけませんか?
え? えっちぃことなんて言ってないですよ!?
●
今、ブルーアルカディアの浮島を覆っているのは賑やかな宴の気配。生と死が隣り合わせにあるような空の世界の『一番いいところを抜き出して濃縮した』盛大にして滅茶苦茶な歓喜の賑わいである。
そんな中をルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は楽し気に練り歩いていた。
「ごはんたっぷりですね」
じゅるり、ではなく、ふむふむって感じのルクスちゃん。
光の勇者であるルクスはもちろん戦闘でも大活躍なのだが、もう一つの顔がある。それは親愛なる師匠フィアの専属料理人である。
そのこともあってか、こういう場のルクスは食べるよりまず料理人としての血が騒ぐ。エヅケ・マスター、とか言ってはいけない。
「師匠もいっしょにこられたらよか……いえ、これは逆に危険ですね。逃げる準備を整えてからでないといけない気がします」
言った傍から|師匠にご飯食べさせる《餌付け》モードなルクス。なお、演奏はここでは触れない。いいね?
と、いうわけで! 今回は食べ歩きを満喫するつもり……なのだが。
「とはいえ……ひとりはちょっとさみしいですね」
やっぱり賑やかなのがいいよね。わかる。だって周りがとっても楽しそうだもの。こんな中、14歳の女の子が一人って危ないし危険だし寂しいし。
「ステラさん、いっしょしましょうよぅ」
「ええい、そろそろ離れなさい勇者。あと、捨て犬のような目ですがってくるのはやめなさい勇者」
うるるっとした子犬のような瞳でがっしと掴まっているルクスの額をステラはぺしっと叩く。
さっきまでの練り歩きシーン、ずっとステラにくっついていたルクスである。さっきまでのシリアスは何だったのか。でもこれが勇者ルクスちゃんクオリティ。
なお、寂しいからっていきなり演奏しなかったのは褒めてあげたいところだが、内緒にしておいた。演奏しだすかもしれないので。
「いっしょしてくれたら、さっきのカボチャアクセ、たくさんつけちゃいますから!」
「では私、用事がありますので」
「ステラさぁぁぁぁぁぁんっ?!」
全力で踵を返すステラにがしっと全力で引き留めようとするルクス。しかし、ステラはそのままずるずると引きずる勢いでルクスを振り切ろうとしたのであった。
●
「というわけで、ステラさんのおススメはどこですかっ」
「……はぁ」
意気揚々としている勇者の数歩後ろにメイドである。なお、2人でカボチャアクセ満載のハロウィン仕様になっている。押し切られた。さすが勇者(?)
でも楽しそうなので良しとする。ステラとしてもこの宴を『ひとりで寂しい』って顔でいられてもそれはそれでって感じなので。
それにアルカディア争奪戦では、ルクスにはとてもお世話になった。主にブレーキとツッコミの役で。それを思えば、こんな慰労会もいいかもしれない。
「まず、あっちの串焼きですね。お肉の鮮度が段違いでした」
「おおっ」
ちゃんとチェックしてるじゃないですか、という期待の目でステラを見るルクス。
「いきますよ。良いモノは売れるのが早い。速攻で回ってまずは確保します」
「はいっ!!」
そんな感じで10分後くらいには、両手で抱えたトレイいっぱいに肉とか特産野菜とかがこんもり乗ったルクスがいたのでした。
屋台料理を満喫するルクス。というかその小さな体のどこに入っていくのかっていうくらい、屋台料理を食べ尽くすルクス。なお、ウサギはそっとどけておいたメイドである。
「これは……確保しておきたいごはんがいっぱいです!」
ひと通り食べ終わってチェックしていた項目(メモだよ)を見直すルクス。そして、たたたたっとまた走っていった。しばらくすると戻ってくる。
またたくさん抱えていた。今度は主に……料理の材料?
「ステラさん、ステラさん」
「はい?」
楽し気なルクスの声に、何だろうと思いながら振り返るステラ。
「これステラさんの|体内《倉庫》に入れておけませんか?」
「…………」
ルクスの言葉にジト目になるステラ。言い方言い方。これでも乙女ですよこのメイド! 主人様絡むとそんな様子がミクロ単位にも残らないのは秘密である。
だがその視線をルクスは別の方向へ勘違いする。
「え? えっちぃことなんて言ってないですよ!?」
何を想像したんだ14歳。というか勇者、えっちなこと知ってるのか……! いえまぁ、ステラは主人様に色仕掛けしたルクス様を忘れていませんけどね。ね!!
さておき。
「いえ、この勇者、私を何だと思っているのかなーと」
そういう展開では無かったらしい。百合展開でもないから安心して。
「仕方ありません。……特別ですよ?」
そう言ってステラの右の手がルクスに触れる。そしてステラの声は自身の左手首に。
そこには普段は隠している宝石のような『セークレートゥム』があって、ここに『魔法の言葉』を投げかければ、開くのは【ステラ'sコンテナ】――彼女専用の商品・武装・預かり物等が置いてある格納庫である。
「冷蔵設備ありませんからね。早く取りに来ないと腐りますよ?」
「ええーーーーーっ!? あ、わたしが魔法で凍らせておけばいいですね!」
「だから魔法の使い方」
どこまでいってもブレないルクスの在り方に、はふとため息をつきながら、そんなルクスの様子に微笑ましく、微苦笑を浮かべるステラであった。
大成功
🔵🔵🔵
●
夜の帳が降り切って、盛大に行われていた宴もたけなわとなりつつある。
誰かが言った……『そろそろ、か』と。
ゆっくりと、何かを惜しむように、あるいは懐かしむように……人々が動き出す。
しばらく後に、ふわりと浮かび上がるのはガレオン船。猟兵たちと勇士たちが一生懸命、『化粧』をしたガレオン船だ。『送られる』にしては派手というか、ハロウィン仕様すぎるが。
最後の力、天使核の煌めきを以て、浮かび上がったガレオン船は……ゆっくりと空へ動き出す。空へ誘われるように、あるいは導かれるように。
――空の底へ。
その様子を見守る猟兵と勇士たち。それは葬列のようであり、あるいはパレードであった。
陸井が少し、息をはいて。潤や周囲の勇士たちに酒を注ぐ。
潤は姿勢を正してその杯を受けて。
隣にいた時人はその厳粛な雰囲気に改めて襟を正して空を見上げる。
少ししんみりした気持ちになりながらも、薙人は言葉を紡ぐ。
「ランタンがありますから、迷子にはならないですよね」
「そうだな」
誰かが答えて。
そして艇が空を征く。
グラスを剣を捧げるように持ち上げる陸井。
「勇士と、友である飛空艇達に」
――空まで、勝利と感謝が届くように。
潤もまたそれに合わせてグラスを掲げる。
「どうか、良い旅を」
「いってらっしゃい、だよ」
勝利を日常を……空の彼方へ。
「どうか、ゆっくり休んで下さい。この世界は私達が守りますから」