愛玩ラブバイトアニマルパーリー
♪〜
義体疾走らせ 獣のごとく
拐引 監禁 早くて 安い
疾風 迅雷 届くよ 雑兵
運ぶ輝き 命の輝き
あゝ 迅雷運輸 迅雷運輸
●ふわふわがおがおにょろにょろ甘噛みパーリー
ピカピカと約1680万色(正確には1677万7216色)に輝くライトの下を行き交う、素敵な仮装に身を包んだパーリーピーポーたち。
合成生ハムメロンにポテトサラダペースト、ギラギラ光る栄養ブロックや、角度を変える度に様々な色が移り変わる極上ドリンク、蛍光色の蜂蜜酒。
可愛らしくギラギラモコモコに飾り付けられたパーリールームの真ん中には、サイバー合成ご馳走の並ぶ大きなテーブルが置かれている。
しかし。折角のご馳走だと言うのにパーリーピーポーたちはあまり手を付けては居ないようであった。
なんたって、パーリーピーポーたちは皆――。
「かわいい〜!」
「いとをかし〜」
七色に輝き瞬くふわふわの機械の獣が甘えた声を上げ、パーリーピーポーの指先を舐め、かしかしと歯を当てる。
「きゃぁ〜!! かわゆ〜〜!」
「いとをかし〜!」
そのいじらしい姿にパーリーピーポーは、黄色い歓声を上げて獣に手を伸ばし。くしゃくしゃに撫でられた獣は、今年の流行色に体色を変化させながら甘えた仕草で腹を見せた。
「はわわわわ!」
「はわわわわ!」
ふわふわもこもこの名前もわからぬ獣やハムスターにアフガンハウンド、おおきなぞうさんや、巨大大蛇にワニさん。
このパーリールームに集められた沢山の動物たちは全て、ピカピカと約1680万色(正確には1677万7216色)に輝くライトを備えた甘噛み愛玩ロボだ。
どの動物も人間に心優しく、優しい甘噛みで人間に甘え、優しいノンアレルギー物質で作られていてとても体にも優しい。
「かわいい〜〜!!」
そう。
このパーリーに参加しているパーリーピーポーたちは皆、甘噛みをしてくる可愛い動物ロボに夢中なのだ!
ハロウィン優しい甘噛みどうぶつパーリー。
オシャレパーリーピーポーの集うサイコーにオシャレでアガるハロウィンイベントの一つだ。
このパーリーは――今、|巨大企業群《メガコーポ》迅雷運輸に狙われていた。
●あつまれ、甘噛みどうぶつさんたち
「センセたちはかわいい動物に、日頃から甘噛みされたいと思っていると思うンスけど」
なんて小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)は、首を傾ぎ。
「サイバーザナドゥのそんな甘噛みされたいパーリーピーポーが集まる、サイコーにオシャレでアガるハロウィン優しい甘噛みどうぶつパーリーが、|巨大企業群《メガコーポ》に狙われているンスよ!」
コーンとぽっくり下駄を鳴らすと、格好いいポーズをとって、今回の要件を語りだした。
本物の生き物のように可愛らしく甘えてくる動物ロボたちを愛玩するハロウィンパーリー。
思い思いの仮装でお洒落したパーリーピーポーたちがこぞって参加し、可愛いうさちゃんロボに甘噛りされたり、巨大キングコブラロボに半身ごと甘噛みされたりと、大盛りあがりパーリーなのだが――。
このパーリーの主催者こそが、|巨大企業群《メガコーポ》の一つ、迅雷運輸なのである。
「このまま放っておくと、パーリーピーポーたちは合成酒に仕込まれたクスリで眠らされて誘拐された挙げ句に、|機械化義体《サイバーザナドゥ》改造とクスリ漬けにされて、地下闘技場送りになっちゃうっス!」
もし地下闘技場の闘士にされてしまえば、死ぬまで凄惨な殺し合いを強いられる事となる。
だが、猟兵たちが無辜の人々に対するそのような仕打ちを看過する訳も無い。
「センセたちにゃ主催側に怪しまれないようにあたかもパーリーピーポーのように振る舞って潜入して頂いて……、眠ってしまったパーリーピーポーを運ぶべく現れるオブリビオン――迅速ハコベールくんをまるっと退治して欲しいンスよ!」
言葉を切ったいすゞは、おもむろに後ろに置いていたスーツケースを開くと、その中にはいかにもハロウィンな衣装がたっぷり収められている。
「さあさ、ずずいっと衣装を選んで下さい、センセ! あっ! これなんてよくお似合いですよォ!」
そういう訳で、あなたはハロウィン優しい甘噛みどうぶつパーリーへと向かう事となるのであった。
絲上ゆいこ
絲上ゆいこ(しじょう・-)です。
こちらは10/31までに完結予定のハロウィンシナリオとなっております!
仮装をしてカワイく甘えてくる甘噛みサイバーロボアニマルと楽しく遊んだあとは、オブリビオンを倒してしまいましょう!
●一章、あぶないハロウィンナイト
愉快な仮装をしてサイバーザナドゥのハロウィンパーティに潜入して頂きます。
普段着ないような服もいすゞがグイグイ勧めてきたことでしょう。
ご馳走やお酒は睡眠薬が混ざっていますが、猟兵ならば気合いで耐えられるます。モリモリ食べてもらって結構ですが、眠くなることは眠くなります。
また、大小様々なロボ動物がいるので、好きに遊んでください。パーティ会場に入る限りは現実にはいない動物などもいます、ロボですからね。どのような巨大生物でも主に甘噛みをしながら甘えてきます。
ゆるゆるな感じでどうぞ〜!
●迷子防止のおまじない
・複数人でのご参加は冒頭に「お相手のキャラクターの呼び方とID」または「共通のグループ名」の明記をお願いします。
・3名以上でのご参加は、グループ名推奨です。2名でも文字数が苦しい時はグループ名を使用してみて下さい!
●その他
・プレイングが迷惑行為、指定が一方通行、指定の同行者が居ない、同行者のID(共通のグループ名)が書かれていない場合は描写できない場合があります。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
第1章 日常
『あぶないハロウィンナイト』
|
POW : 何も知らないパリピと積極的に会話し、さりげなく守る
SPD : パーティ会場をうろつき、怪しい場所に目星をつけておく
WIZ : 敵に気付かれないよう、密かに黒幕の情報を探る
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
徳川・家光
サイバーザナドゥのような未来世界でも、癒やしを求める衆中は居るのですね……というか、むしろ多い?
ならば僕は楽しむ側でなく、ロボット達に似たゲーミングどうぶつの仮装で、疲れたパリピ達に笑いと癒やしを提供しましょう!
老若男女誰にでも好かれる動物といえばサメですから(無意識)、ゲーミングに光るサメの着ぐるみを来てパリピ衆に混じり、盛り上げながら、迅雷運輸の息がかかったバーテン等に注意を払います。そしてパリピに手渡すカクテルを目にも止まらぬ「無刀取り」で受け取り、素早くきぐるみの中に仕込んだ普通のお酒(純米大吟醸)と差し替え、パリピにそちらを渡すようにします。
カルマ・ヴィローシャナ
◎アドリブ連携歓迎
迅雷運輸……また何か悪だくみしてるのね
それじゃあキャットなコスプレで参上だにゃん☆彡
ハロウィン優しい甘噛みどうぶつパーリーだったら
やっぱり『ネコチャンカワイイヤッター!!』でしょう
ストリーマーらしく一緒に撮影とか実況とかしちゃって
上げまくりアゲまくりで行きまっしょい♪
……と、表面上パーリーピーポー風に装いつつ
光学迷彩で姿を消した|戦闘用ドローン《MEA-OCD-01『遮導』》を飛ばしハッキング
敵の出方を伺うよ
こっちはジッサイ美味いジッサイ安全な合成食品を大食いだ!
なんたってカルマちゃんの胃袋は|虚無《ブラックホール》だかんね
いい所で寝たふりの演技
ドローンちゃんと起こしてね💤
●実際カワイイヤッター!
オーロラのようにうねる人体に優しい光に照らされる、パーリールーム。
「ハンパなくカワイ~」
「ウンウン、かわゆ~」
輝く尾をゆっくりと撓らせて甘えるメカ・フォッサの顎を撫でる、南瓜ドレスを纏ったパーリーピーポーは指先を舐められながらにんまりと笑い。
吸血鬼ハンターの衣装に身を包むパーリーピーポーが、青い花のようにも見える巨大メカ・アオミノウミウシに顔を埋めながらうっとりと同意を重ねる。
……その頭上を光学迷彩で姿を隠した|戦闘用ドローン《MEA-OCD-01『遮導』》が飛んでいるだなんて、パーリーを楽しむピーポーたちは想像もしていない事だろう。
「こんばんはー! キトゥンchはっじまっるよー☆彡」
その|戦闘用ドローン《MEA-OCD-01『遮導』》の主。
カルマ・ヴィローシャナ(|波羅破螺都計《ヴォイドエクスプロージョン》・f36625)はどこか間の抜けたジングルを挟んでから、皆思い思いにメカ動物たちと憩う実際可愛いパーリールームをぐるりとカメラに収めて、カメラの向きを自らへと戻し。
「ドーモ、カルマでーす。本日はハロウィン優しい甘噛みどうぶつパーリーに来ているにゃ」
普段から只でさえネコチャンカワイイカルマは本日は完全なネコチャンカワイイヤッターコスプレモード。ネオン刺青を瞬かせ、がおーポーズからのカワイイジャンプ!
「さてさて、それじゃあ、早速ハロウィン優しい甘噛みどうぶつを楽しんで行くのにゃん☆彡」
それから七色に輝き蠢くウニを拾い上げると、頭の上に乗せてウィンクをひとつ。
「あの……」
そんなカルマへと歩み寄る、一人のパンクスパーリーピーポー。
少し緊張した面持ちで、彼はカルマの顔を見据えて。
「カルマチャンカワイイヤッター! 動画見てます~、あの、サインを……」
「えっ!? アリガト! ヨロコンデー!」
「ヤッター!」
喜色の滲む歓声にカルマもニッコリ、突然のファンにもサービスも忘れずに。
さらさらとサインを七色の逆だった髪に書き上げたカルマは、配信を続けるべく。再びカメラを会場に向けると、眩い会場の中でもひときわ約1680万色(正確には1677万7216色)に輝くサメ……徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)が向こうからぺったらぺったらヒレを遊ばせ歩いてきた。
「あっ、サメだ」
「頭が多くないタイプのサメだ」
パーリーピーポーたちも口々に注目するどうぶつ。
あのすべやかな流線型ボディから、美味しく調理されるヒレまでくまなく愛されボディ。
そう、老若男女誰にでも好かれるどうぶつといえばサメだ。
……家光は少なくともそう信じている。
そのように好感度がバカ高いサメきぐるみにメカ・コバンザメを腹にくっつけたその姿は、体に優しく心に優しい健康なロボ・ゲーミングどうぶつそのもの。
サイバーザナドゥのような未来世界でも、……否。このような世界だからこそ、癒やしを求める衆中は多いもの。
「サメー」
「きゃ~~かわゆ~~~!」
「いとをかし~」
サメに反応したパーリーピーポー達に、家光は優しく可愛く健康的に手を振って応じる。
彼は世界こそ別といえ、人々の上に立つ将軍である。
その慈しみと癒やし、そして笑顔を生む愉快さに満ち満ちたゲーミングサメ姿は、領袖としての博施済衆を体現しているといえよう。そういう事なんです。
しかし。パーリーピーポーたちを癒やしに癒やす愉快な動きをしながらも、家光は猟兵としての領分を忘れる事は無い。
「……!」
「ご注文のスーパーノヴァ・ブルームーンでございます」
新たなカクテルを仕上げたバーテンが、パーリーピーポーへと酒を差し出した瞬間。|戦闘用ドローン《MEA-OCD-01『遮導』》も、カルマへと信号を送る。
「アリガト!」
ドローンの信号と家光の視線から、彼の狙いに気づいたカルマはずずいとバーテンの前へと歩み寄り。
「あっ、バーテンさん~、カルマちゃんにそっちのギャラクシィおでんをお願いできるかにゃ!」
「ああ、はい」
「ええっと、トマトに、マシマロに~」
カルマがバーテンとパーリーピーポーの気を反らした瞬間。
「さめ~」
その横を完全に脱力した様子で歩んでいた家光は、カワイイ動きでサメのヒレをあげて、さげて。
……この様子をぼんやりと見ているだけならば、家光が可愛い動きをしただけに見えたであろう。
しかし。
実は彼は今、目にも留まらぬ動きでスーパーノヴァ・ブルームーン・カクテルの中身を左掌から排出し、グラスにきぐるみの中に仕込んだ花冷え純米大吟醸を注いでいたのだ!
何も気づかず、パーリーピーポーはグラスを唇へと寄せて。
「あっ、このカクテルすっきりしているのにまろやかな華やかさでフルーティな甘い香り~! 果実みたいに甘酸っぱくてみずみずしい~!」
「ありがとうございます……?」
そのような味であっただろうか、と。
不思議そうな表情でパーリーピーポーの感想に首を傾ぎながらもバーテンは、ギャラクシィおでんをカルマに差し出した。
「ドーモ! それじゃ早速ギャラクシィおでんのレビューをしていくにゃん☆彡 バーテンさん、こちらのおでんのおすすめポイントは?」
「合成ブルーチョコレートにオイスターソースを……」
すぐにカルマがジッサイ美味いジッサイ安全な合成おでんをパクパク食べながら質問をしてきたものだから、すぐにバーテンの気持ちもそちらへと向く。
「さめ~」
家光はそんな様子を見ながら、別のバーテンが振るシェイカーに目を光らせながらヒレを上げて、下げて。
腹のコバンザメが左右に揺れる。
サメも猟兵も、陰になり日向になり、人々を癒やし支えるもの。
猟兵たちは人知れずハロウィン優しい甘噛みどうぶつパーリーに潜む悪意から、パーリーピーポーたちを守り続ける。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
終夜・嵐吾
【雅嵐】
パリピになって潜入!
ふっさふさのショッキングピンクの高そうなジャケット
パリピっぽいイケイケサングラス
仮装はグロかわなゾンビウサギのかぶりもの
尻尾はそのままじゃが気にしない
せーちゃんもきまっとるの!
甘噛みならぬ本気噛みならよくある、こんこんに
じゃからどんな甘噛みでもわしにはなんともないというもの
なんとも……んんっ、な、なんじゃこのなんともいえぬ…
テクニシャンかこのわんこロボ!
せーちゃん、このわんこすごいんじゃよ、かみかみが…
!?せーちゃんめっちゃ甘噛みされまくりじゃな
いち、にぃ、さん…たくさん
ぎゃっ!わしの尻尾にもたくさんくっついておる!
お、おお…これは…ん、今何か甘噛み以外の??
筧・清史郎
【雅嵐】
ぱーりーぴーぽーを装い、動物さんろぼに甘噛みされるのか
心得た(きり
仮装超ぱりぴ魔王仕様でお任せ
どうだろうか、ぱりぴだろうか?らんらん
らんらんはウサギさんか、とても良いし似合っている(もふもふ
おお、ぴかぴかしているぱりぴな甘味が
1677万7216色な甘味に瞳輝かせていれば
ん?いつの間にか沢山の動物さんろぼに囲まれているな
甘噛みしたいのか?ああ、いいぞ
では甘噛みされようか(雅やかに
ふふ、らんらんも、てくにしゃんな犬さんに甘噛みされて楽しそうだな(超甘噛みされつつ微笑み
しかし甘噛みも、いとをかしだが…(ちら
やはり友の尻尾は極上のぱりぴな手触りだ
しれっとロボに紛れ、時折友の尻尾ももふろう(笑顔
●どさくさに紛れて狐尾ハラスメント
ご機嫌な音楽に乗せて、色とりどりに輝く世界。
ネオンサインが踊るパーリールームの中では、スゴイカワイイ動物ロボたちが思い思いに着飾ったパーリーピーポーへと寄り添っている。
目にも鮮やかなショッキングピンクのファージャケットに、自前の灰青色をした狐の尾をふかふかと揺らし。
頭にはツギハギに血色が映える、ゾンビウサギちゃんのかぶりもの。虹色に偏光するサングラスに手を添えた終夜・嵐吾(灰青・f05366)は、瞬きをひとつ、ふたつ。
「おお~」
「おお、ぴかぴかしているな」
襟の高い長いマントを翻して。いかにも魔王といった中世ファンタジックな装いの筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)も、パーリーピーポー偏光サングラスを額へと上げると、いつもの表情で頷いた。
「しかし、これでぱりぴれているものだろうか、らんらん?」
「わしもばっちりぱりぴじゃし、せーちゃんも、ばっちりぱりぴ魔王さまじゃよ」
「ふふ、そうか。ウサギさんならんらんも、とてももふもふで似合っているぞ」
友の言葉に微笑みを宿した清史郎の視線は、そのままぴかぴかとした……宝石のようなクラッシュゼリーの上にケーキの乗ったネオンカラーのパルフェや、ヤバい色のカッサータ。銀色のザバイオーネなどなど――サイバーでザナドゥな菓子の居並ぶテーブルへと向かう。
「そして、これがぱりぴな甘味か」
「なかなかうまそじゃの~」
もちろん、視線だけでは飽き足らず。
清史郎は、手に取るとクリームが光りだすサイバーカンノーロをひとつ摘んで、さっそく一口。
「うむ、うまい」
ざっくりとした食感から広がるクリームの甘みに、清史郎は眦を下げて糖分が行き渡る喜びを全身で受容しながら。知らず識らず、手が次の菓子へと向かい。
「ぎゃっ!?」
横でのんびりしていた友――嵐吾の素晴らしい尾が、数倍にモフった気配を敏感に察知した清史郎は、菓子から顔をあげた。
「……、ん、んんっ!? な、なんじゃなんじゃ……!?」
「……ん?」
獣耳をぴんと立てて尻尾を大きく膨らせた嵐吾の指先に、ふかふかの白い犬がじゃれ付いている。
その横に佇むサイバーに輝くインパラの上に乗ったレッサーパンダが、背へと飛び乗ったかと思えば。スナネズミとヤマネが、ふかふかとした尾に頭を埋めていた。
「せ、せーちゃん……わ、わし、今どうなっとるんじゃ……?」
「おお、らんらん。どうぶつさんたちと、なかよしさんだな」
「お、おお……!?」
あまりに一気に大量の動物ロボが纏わりつかれた嵐吾は、驚きに獣耳の先をぴぴぴと遊ばせていたが、清史郎の言葉に納得した様子で。肩までよじ登ってきたレッサーパンダと視線が合うと、思わずこんにちはと小さく頭を下げ。
「これはなかなか……、……えっ、ちょっ、――ん、んん、な、なんじゃ……!?」
状況自体は腑に落ちたが、指先へと走る甘い感覚に、思わず声を漏らして瞳を細める嵐吾。
――甘噛みどころか、本気噛みであれば、一緒に住んでいる仔狐によって嵐吾は慣れている。
だからこそ。
どんな甘噛みが現れようとも、なんとも無いと思っていたというのに――。
指先に甘える犬の薄く柔らかな舌の動きは、なんとも絶妙で。
くすぐったさと心地よさから思わず手を引きそうなった瞬間に、甘く歯を立てる事で指先を引き止められる。暖かな口の中へと指を留めると、犬は更に舌を押し付けて。擦り寄せる頭の毛並みがまた、すべやかで心地よいアクセントとなっている。――見事な甘噛みテクニックに加え、ふかふかの体すらも甘噛みの一部としてしまうその絶技。
「せ、せーちゃん……こ、このわんこ、かみかみがすごいんじゃが……、……!?」
清史郎にこの達人芸のような甘噛みを伝えようと顔を上げた嵐吾は、その友の姿にまた驚きから言葉を失った。
「ふふ、てくにしゃんな犬さんなのだな」
いつも通り雅やかに笑う清史郎だが――首には大蛇が絡みつき、ちろちろと覗く赤い舌が顎下に這っている。
腰にはゾウさんの鼻。背にチンチラとプレーリードッグが競うように両手に飛びつき、足元には猫に犬、大量のひよこや兎に埋まっているというのに、更にペンギンまで、てちてちこちらへと向かってくる姿が見える。
自分以上の量の動物ロボに埋まって超甘噛みされる清史郎に、嵐吾は目をまんまるにして言葉を零し。
「なんじゃその量は……!? いち、にぃ、さん、し……、たくさんおる!」
そんな友の姿に清史郎は、楽しそうに喉を鳴らして笑った。
「らんらんの尻尾にも、なかなか沢山くっついているぞ」
「えっ、ぎゃっ!?」
嵐吾が自らの尾に視線を向ければ、指摘通りに確かにくつろぐリスと小さなサルが増えている。
「た、たしかにすごいことになっとる……これはどんどん増えて……?」
「うむ、いとをかしだな」
相槌を打った清史郎はそのまますっと手を伸ばし、ドサクサに紛れてしれっとチャンスを見つけたとばかりに嵐吾の尾をもふり。スナネズミ、ヤマネ、チンチラ、プレーリードッグに次いで、嵐吾の尻尾もふりアニマルたちの仲間入り。
「? 今何か……違った感触が……?」
「ああ」
訝しげに首を傾ぐ嵐吾に、清史郎は曖昧な相槌で微笑んだ。
――甘噛みもいとをかしではあるが。
清史郎にとってやはり友の尻尾が、一番極上のぱりぴな手触りなのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、アヒルさんのそれは絶対甘噛みじゃないですよね。
その空を裂くような高速の素振りは絶対違いますよね。
ふええ、他のお客さんには優しく甘噛みするのに、なんで私に対しては突きなんですか?
ふえ?一番愛情がこもっているって、そんな訳ないですよね。
というより、怪我をしたらどうするんですか?
そんなこと1度もなかったって、たしかにそうですけど……。
それに?怪我をしても包帯ならいっぱいあるって、これはマミーさんの仮装じゃないですか。
服の上から包帯を巻いてますけど、体のラインが見えて恥ずかしいって、そんなことよりアヒルさんやめてください。
ふえ?!バタリ。
●甘噛みではない
包帯をぐるぐると巻いた小さな人が、きらびやかなパーリールームの中を歩いている。
「ふええ……、アヒルさん……」
包帯をぐるぐると巻いた小さな人――……フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆》はまだ終わらない・f19557)は、横に付いてくるガジェットのアヒルさんの動きに、包帯の隙間から覗く朱色の瞳を細めて、眉を困った様に下げた。
鋭く空を裂き抉るような、素早い嘴の突き素振り。
甘噛みしてくる動物ロボが沢山いる、と聞いてからずっとアヒルさんはこの調子なのだ。
他の動物ロボと混じる為か、他のパーリーピーポーには優しく嘴で突いたりと、一応ちゃんとやる気はあるようなのだが――。
「……それは絶対、甘噛みじゃないですよね……?」
指摘の言葉に、更に激しくなる高速突き。
「ふええっ!?」
フリルの横に居るとずっとこの調子のものだから、フリルはぱたぱたと小走りで逃げるよう。
「えっ、えっ? 一番愛情がこもっているって、そんな訳ないですよね……」
傍若無人の限りを尽くすような事をアヒルさんがいうものだから、大きな帽子の鍔をぎゅっと握って、足を止めたフリルはアヒルさんに振り返り。
「それに……、怪我をしたらどうするんですか?」
フリルが足を止めた瞬間に、素早く釘打機よりも早い嘴突きを行うアヒルさん。
「えっ、えっ、一度も怪我をしたことはないのは確かですけれど、ふ、ふええ……!」
アヒルさんの突きから逃げ出すように、フリルはまた早足で歩き出す。
が、アヒルさんはその追撃を止めることはない。
「待って、まってくださいアヒルさん、怪我をしても包帯ならいっぱいあるってそういう問題じゃないですから……」
たしかに今日、フリルはマミーのコスプレをしているが――、これは別に怪我に備えて着てきた訳では無い。
それに包帯が必要になるまで突かれるなんて、堪るものではないだろう。
「アヒルさん、やめてください……」
うーっと困ったように帽子の鍔をぎゅっと握ったフリルが、また駆け出そうとすると眼の前にはシロサイロボが佇んでいた。
「ふえ!?」
足を止めきれずどしんと激突して、倒れそうになったその瞬間。
追い掛けてきて突き続けていたアヒルさんが、フリルの体へと体当たり。
「ふえ?!」
シロサイの方へと跳ね返されるみたいによろけたフリルは、その体に跳ね返されてちょうど立ち上がり。
……転けるよりも確かに被害は少なかったが、そもそもアヒルさんが追い掛けてきたからぶつかって転げそうになった訳なのだが。
「あ、ありがとうございます……」
それでもぱちぱちと瞬きを重ねたフリルが、アヒルさんへと視線をあわせてお礼を告げると、再び突きを再開するアヒルさん。
逆方向からぺろぺろと舐めて、甘噛みを始めるシロサイさん。
「え……」
きょろきょろと周りを見渡すと、ロボたちと遊び始めたと判断されたのかどんどん集まってくる動物ロボたち。
「あれ……、ふえ、ふええ?!」
そのまま。
ガジェットとロボに挟まれて逃げ場を失ったフリルは、されるがままに困ったような声を上げるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
枢囹院・帷
晴夜(f00145)と
周囲のパリピに溶け込むべく同様の仮装を
モッフモフの雪豹コートの下はクロスフロントのホルタードレス
暑いのか寒いのか分からんゴージャススタイルでいこう
妙にデカいサングラスをかけてパーリーピーポーを裝ったら
仕上げにゴテゴテした金のチャームを掛けて貰う
ありがとう
私からはマフィアらしい白くて長いマフラーを
うん似合ってる
彼の手を取り会場へ行こう
動物ロボとは酔狂な
獸は孤高が美しファッ 何だこの胸の昂揚は
愛されるべく計算された姿形、仕草、鳴聲
うさぎが特に愛狂しいんだが
私はこの長い耳と円らな瞳に弱いのかもしれない
ニッキーくんと似ているからかな(なでなでなでなで)
まずいぞ晴夜、手が止まらない
夏目・晴夜
帷さん(f00445)と
よし、ハレルヤはマフィアになります
お高そうなスーツに金の装飾を大量に
葉巻はデカくて咥えているのは無理めなので省略し
帽子を被り、ついでに帷さんも金でゴテゴテになって頂きます
確かにマフィアには白マフラーでしたね
完璧、これでいつでも裏世界で生きていけます
では行きましょう、マイスイートカプレーゼ(ふわふわマフィア観
マフィア的には可愛ければオールオッケーです
ほら可愛い
…いや本当に可愛いですね!ニッキーくん程ではないですが
私もどの子か撫で──カピバラ!
私は犬の次に…カピバラが、好きで…(超撫で回し
この緊張感のない顔
寝てるか風呂かの二択なイメージ
歯
素晴らしい…
え、止める必要あります?
●マフィアの矜持
生地のしっかりとした滑らかな手触りの上質な背広に、朱色のタイ。金色の指輪に腕輪、ネックレス。
白くて長いマフラーを巻いたその姿は、どこからどう見たって映画の中で見るようなマフィアの姿。
中折帽子の鍔に指を添えた夏目・晴夜(不夜狼・f00145)は、その鍔の下から普段の1.5倍鋭めの眼光でパーリールームを注意深く見渡して。
それから、扉の前で立っている枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)へと手のひらをエスコートするように差し出した。
「どうぞ、レディ」
「ああ、ありがとう」
その金の晴夜の指輪まみれの指先へと重なる帷の指も、また幾つもの金の指輪が嵌められている。
室内だというのに必要以上に大きなサングラスに、雪豹めいたファーコートの下には、クロスフロントのホルタードレス。
もはや夏なのか冬なのかもわからない豪奢な装いのマフィアのオンナスタイルに、入る直前に晴夜に渡された金のチャームがゆらゆら揺れた。
ネオンサインとレーザービームが色鮮やかに映える部屋の中には、無数のパーリーピーポーたちと動物たち。
それに、潜入している猟兵たちの姿がちらほら見えた。
晴夜が帷の手を取って薄暗い部屋を歩みだすと、設えられた大きな鏡に二人の姿が映し出される。
「成る程、たしかにマフィアには白いマフラーですね」
「うん、よく似合ってる」
「帷さんのおかげで、いつでも裏世界で生きていけそうです」
「できるだけ表を歩いて欲しいものだが」
サングラスの下でぱちぱち長いまつげを揺らして重ねて帷が告げると、晴夜は肩を竦め眦を和らげて。
「それでは今日だけは、帷さんと裏世界を歩む事を許して貰えますか?」
「仕方あるまい、今日だけは許そう」
「ありがとうございます、では行きましょうか、マイスイートカプレーゼ」
「……、ああ、行こうハニー」
ふわっふわの甘い言葉。ふわっふわのマフィア感。
あまり高くない笑いの沸点をお持ちの帷は少しだけ笑いをこらえた様子で、晴夜の手を握り直し。マフィアとそのオンナは、パーリールームの中心へと向かい歩んでゆく。
真ん中に設えられたパーリー・ゴチソウテーブルの周りには、様々な衣装に身を包んだパーリーピーポーたち。
そして――。
「おっと……」
今日のパーリーの主旨とも言えるピカピカと約1680万色(正確には1677万7216色)に輝くライトを備えた甘噛み愛玩動物ロボたちだ。
早速新たなマフィアの出現に、一ミリたりとも臆すること無く動物たちは擦り寄ってゆく。
――しかし、動物ロボとは酔狂な……。
擦り寄ってくるうさぎロボのぴょっぴょこ揺れる耳。ふかふかの手触りに、ふごふごしているお口。愛玩動物然としたうさぎの姿に、朱色の奥に冷たい色を宿した帷は小さくかぶりを振った。
嘆かわしいものだ。獸とは、その孤高の姿こそが美し「ファッ……!?」
「……わあ」
その愛らしさに、思わず声を漏らす晴夜。ぷるぷると手を震わせる帷。
「…………」
うさぎは何かを訴えかけるように少し潤んだまんまるの瞳で、帷を見上げている。
つきんと高鳴る、帷の胸中。
そう、帷は気づいてしまったのだ。
この獸たちは愛されるために生まれてきたものなのだと、頭ではなく心で理解をしてしまったのだ。――可愛いものだという事を!
ぶうぶう。
その計算しつくされたフォルム、仕草、脳みそがとけちゃいそうな愛らしい声。可愛い。
思わず手を伸ばして撫でると、ふっかりとした毛並みの中に指先が沈む。可愛い。
待っていましたと言わんばかりに、その指先にうさぎが口づけると、ぺろぺろと舌で舐めてくる。可愛い。
その愛おしい姿といったら! 可愛い。
「は、は・は・は、……晴夜」
帷が反対の手で優しくうさぎを撫でながらなんとかハニーの名前を呼ぶと、晴夜もマイスイートカプレーゼにうんうんと頷いて。
「……いや、本当に可愛いですね。……ニッキーくん程ではないですけれど」
「愛くるしいな……」
なでなでなでなでなで。
その毛並みの虜になってしまったようで、最早止まらなくなってしまった帷の指先。
顎の下をくすぐると嬉しそうに声をあげて、優しく光ってくれるし可愛い。
耳も気持ちがいいらしくて、目を細めてくすぐったそうにぶうぶう鳴いてくれるし可愛い。
こちらもグルーミングしようとしてくれているのかもしれない、一生懸命舐めようとしてくるうさぎちゃんは可愛くて可愛くてかわいい。
「……どうしよう晴夜。私はこの長い耳と円らな瞳に弱いのかもしれない……、手が止まらない……ニッキーくんと似ているからかな……」
帷は朱色をぐるぐるさせて視線すら外せない、制御不能になった体はオートでうさぎを撫で続ける。
「まずいぞ、どうしよう、手が止まらない」
「え、止める必要あります?」
晴夜的には可愛いものがただ増えただけなので、全然止める必要は無いものだからただ首を傾いだ。
「しかしだな、晴夜……ワッ!」
心と体が別になってしまっている帷が、尚も助けを呼ぼうとしていると――どうやらうさぎロボはうさぎロボを喚ぶようであった。
帷の上へとどさどさと乗り込んできて、うさぎたちは帷を中心にうさぎ団子を作ってしまう。
「ア、アアーーーーッ!」
か・かわいい~~~!!
「私もどの子か撫でましょうか――あ、カピバラ!」
幸せに押しつぶされてどうかしてしまった帷を無事見守った晴夜は、犬の次に愛する動物を見つけると両腕を広げて。
名を呼ばれたカピバラロボも、御用ですかと言わんばかりに華やかに光を瞬かせながら、晴夜へと飛び込んでゆく。
どしーん。
甘やかな体当たりに倒されようが、晴夜も幸せな表情だ。
体の上に乗って、香箱座りになりながらぺろぺろとその顔を舐め回してくるカピバラを抱きしめながら、晴夜もそのちょっとごわついた毛並みを撫で回す。
ゆるい緊張感のない表情、寝ているか風呂に入っているかのイメージ、げっ歯類な歯、日向ぼっこをしながら飯を食っている……。
優しいイメージしかない動物は、晴夜にとって癒やしの動物だと言える。
おひさまの匂いをする体に、すうっと顔を寄せて。
「ああ……素晴らしい……」
ちなみにカピバラも平均10~20頭の群れで行動する動物。
ロボとは言えその習性からか晴夜へとどんどん集まってくると、ぎゅっと固まって身を寄せ始めた。
「あー」「あー」
生まれたのは、うさぎ団子とカピバラ団子。
――こうしてマフィアとそのオンナは、動物たちに陥落させられたのであった。
まあ私は犬派ですし。可愛さで言えばニッキーくんがいちばんですからね、それに大きいですし、頼りになりますし。
本当ですからね!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
百鳥・円
【輝石】
仮装しての潜入だなんて!
愉快な洋画にありそうですん
良いですねえ〜ハロウィン!
テンション上がっちゃいますよう
わ!姫くん可愛い!
小悪魔姿がバッチリ似合ってますよう
まどかちゃんは〜、こちら!
何時ぞやの砂糖菓子の白魔女さんです!
可愛い×可愛いで最強じゃあないですか?
それじゃ、キュートな子達と戯れましょう!
んふふ、姫くん楽しそう
思いっきり転ばないようにして下さいよー?
はーい、今行きますよう
大きい子達も可愛いですねえ
あいた……ふふ!やりましたねえ〜?
掛け声に合わせてバッチリキメちゃいましょ
ぱちんとウィンクもしちゃいます
後でお写真下さいねっと!
同感っ。ぱっと終わらせましょ!
早急にご退場願いますよう!
御嬢・姫
【輝石】
まどか、ハロウィンの仮装で潜入…だって!
刑事ドラマみたいでドキドキする!
俺、どの仮装にするか悩んだけど、結局去年の小悪魔の仮装にしちゃった!
えへへ、ありがとう!
まどかの砂糖菓子の白魔女も
すごく似合ってて超可愛いっ!
同感!俺たちが最強だね!
わぁ~!大きいヘビ!
まどかみたいな羽と
巻き角も生えてる!
…ひゃ!?
あはは!甘噛みされちゃった!
まどかもおいでよー!
ほら、一緒にこの子と
写真撮ろー!(スマホを持って)
いくよー?はい、チーズ!
うん!可愛く撮れてる!
もちろん!後で送るね♪
…と、いう訳で
こんな可愛い子たちを
狙う悪者はご退場願おうか
まどか、俺が敵を引きつけるから
バシッとキツいのキメちゃってよね!
●ハロウィンパーリーに仮装で潜入
まるで洋画の刑事モノのようなシチュエーションだね、なんて。愉快な想像に、唇に宿った笑み。
御嬢・姫(いつか世界のお姫様・f30370)はぶどう色にストライプの小悪魔ドレスより伸びる尖った尾を翻して。
とりどりの色を重ねて降り注ぐ光の雨に、合わせて響くご機嫌な音楽。
会場内には見た目には動物たちが集まっているというのに、動物特有の匂いは全くしない。
清潔、安全、体に優しい。大きなテーブルの上に立ち並ぶ食料も、この世界以外ではあまりみかけない蛍光色や光り輝く不思議なごちそうが立ち並ぶ。
パーリールームを歩む二人の背より伸びる翼は、作り物と本物・形も違えど、よく似た色合い。
「少しだけドキドキしちゃうね……!」
姫は胸に手をあてて、ネオン輝くパーリールームをぐるりと見渡し。
「うんうん、テンション上がっちゃいますよう」
金色のヒールが音に音を重ねて、亜麻色の毛先と白いスカートがふんわり揺れる。
角砂糖飾りの帽子の鍔を抑えた百鳥・円(華回帰・f10932)は姫の顔を覗き込むと、とびきり悪戯っぽく微笑んだ。
「それにしても、姫くん。小悪魔姿もバッチリお似合いですねえ」
「えへへありがとう! まどかも砂糖菓子の白魔女さんの姿、すごく似合ってて超可愛いね♪」
「おやや、それじゃあわたしたち、可愛い×可愛いで最強じゃあないですか?」
「あはは、同感! 俺たちって最強かもっ!」
顔を見合わせたふたりは、それぞれ自らの両頬に手のひらを当てて。
姫はすみれ色を、円は相違う色の。視線を交わしあって、二人はくすくす笑い合う。
「わあわあ、ふふふ! 今日は最強に楽しんじゃいましょ!」
「ふふふ、もっちろ~ん♪」
「姫くん、あんまり急いで思いっきり転ばないようにしてくださいよー?」
「それも、もちろん!」
円の言葉に頷き。ぽーんと跳ねるみたいに足を踏み出した姫は、身軽に動物ロボの群れへと歩み寄る。
ねこに犬、アルパカにふくろう、ヒョウに――。大口を開けたワニが大きなあくび。
哺乳類から爬虫類まで、大小様々な動物ロボたちは、とりどりの光を体に宿して、本物の動物ではない事をアピールしているようにも見えた。
「いろんな子たちが居ますねえ」
なんて円がつぶやくと、アライグマがぽーんと駆けてきて。ひっしと足へと抱きついてくる。
「あら、あら」
その愛らしい動きに円は眦を下げて。
アライグマを抱き上げてやると、アライグマは頭を押し付け、手のひらを舐め。一生懸命に愛情表現をしてくるものだから、円はまた楽しげに笑ってその頭を優しく撫でてやる。
「わあ~……」
一方姫は――。
動物ロボ中でもひときわ目立っていた、巻き角と鳥のような羽根の生えた大きなヘビの前で足を止めていた。
「大きなヘビ~!」
どんぐりみたいにまんまるな瞳をぱちぱち瞬かせた姫がヘビの体を撫でると、すべやかでひんやりとした鱗の手触り。
その指の動きにヘビは擽ったそうに風切羽をぴんと伸ばし羽根をはためかせ。
体を捩ると姫の腕に甘えるようによじ登り、緩く巻き付いて――かぷっと甘噛みをした。
「ひゃっ!?」
すべやかなヘビが絡みついてくる感触に、姫は少しだけ驚いた声を零してしまうが、甘噛み愛玩ロボはどの動物も人間に心優しく、優しい甘噛みで人間に甘え、優しいノンアレルギー物質で作られていてとても体にも優しいもの。鋭く見える牙の先だって、噛みつかれるとくすぐったいだけだ。
「……わ、わ! 本当に甘噛みしてる! ね、ね、まどかもこっちにおいでよ~。一緒に写真撮ろー!」
「はーい、今行きますよう」
スマホを取り出した姫に誘われるがままに。円がアライグマを抱いたまま、姫の横へとぴったりくっつき。
すると姫に甘えていたヘビは、二人の首元へまるで大きなマフラーみたいに絡み付いて来る。
「わ、写真を撮ろうとしたのが解ったのかな? 賢いなあー!」
「ふふー、本当ですん。大きい子たちも可愛いものですねえ」
カメラを構えるとヘビもそちらへと顔を向けて、円の腕の中でずいっとアライグマも顔をだしたものだから。慌てて二人もウィンクを決めて、ばっちりカメラ目線。
「はい、チーズ!」
世界一可愛いトップモデル(志望)はシャッターチャンスを逃さない!
片腕を伸ばしてセルフィー撮影した姫は、手早くスマホをタップしてその場で写真の確認。
「うん、うん! 可愛く撮れてる!」
「あら~、後でお写真下さいねっ!」
円の言葉に、姫はこっくり頷いて。
「もちろん! 後で送るね♪」
「ふふー! ありがとうですよう!」
それから少しだけ周りを見渡した姫は、円にだけ聞こえる小さな声。
「……こんな可愛い子たちを狙う悪者には、ご退場願わなきゃね」
「同感ですの」
「うん、うん。俺が敵を引きつけるからさ、バシッとキツいのキメちゃってよね」
アライグマをぎゅっと抱きしめ直した円は、大きく頷き。
「はい、眠っていると思って油断したところをバシッとして、ぱっと終わらせましょ!」
「うんっ!」
その頼もしい言葉に、姫も大きく頷く。
とりどりの色を重ねた光の雨が降り注ぐパーリールームの真ん中で、亜麻色とぶどう色がふわふわ揺れる。
そうして二人は視線を交わしあうと、不敵に笑いあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
重松・八雲
【もふ会】
(もふもふるもっふな|たぬきつね《きめら》仮装に身を包み
懐には愛しの相棒たぬこさまを伴って――
輝く会場やあにまる達にも負けぬ勢いのきらっきらな笑顔でいざ!)
此処がふわふわでもふもふでぴかぴかであげあげであまあまなぱーりー会場か!
壮観じゃのう極楽じゃのう最高じゃのうー!
(などと叫びつつ、早速目が合ったらしい狸&狐ロボにもふっと挨拶して!)
おおお…!何という至福のもふもふはむはむさんど!(~たぬこさまの甘噛みさーびすも添えて~)
たまらんのうたぬこさま!
儂の心も七色夢色ぴっかぴかな気分じゃよ!
ふはは、伊織も(色んな意味で珍しく)もてもてで良かったのう!
いとをかし〜!(はむはむにでれでれ!)
呉羽・伊織
【もふ会】
(すっかりぱーりーモードな爺サン達のノリと勢いに押し負けた、ぴよこ風けだま仮装になって――
更に本物ぴよこ&亀&|鰻《蛟》もわらわらわいわい肩や頭に乗っけて――
今日も今日とてきめら含む愉快な珍獣団のお守り役状態に遠い目しつつ)
おう、分かったからはしゃぎすぎて迷子にならないでネ――っていきなり聞いてない~!!
(狸と狐とタヌキツネとたぬこの珍妙邂逅現場へ慌てて駆け寄り)
全く…!酒の一滴も飲んでないのに完全に出来上がってんなコレ!
っと、ぴよこ達も遊ぶのネ(はむはむハムスター達とちまちま甘々してる姿に思わず顔を緩めてたら――)
ん…?待って何か囲まれたー!(謎の珍獣軍団にかぷかぷ甘えられ)
●もうめちゃくちゃだよ~
ご機嫌な音楽、とりどりのネオンが行き交うパーリーピーポーたちへと光の雨となって降り注ぐパーティ会場。
中央に備え付けられたバーカウンターとパーリー・ゴチソウテーブルには、マーブルカラーの蛍光クラッカーに、ヤバい色のカッサータ。近づく度に色を変化させるグラブジャムン――様々なサイバーでザナドゥな菓子の居並んでいる。
ピーポーたちが夢中になっている動物ロボたちは沢山居れど、動物特有の匂いは全くしない。
ここに集う動物たちは、どの動物も人間に心優しく、優しい甘噛みで人間に甘え、優しいノンアレルギー物質で作られていてとても体にも優しいロボたちしか居ない。
――筈であった。
「いやあ~。此処がふわふわで、もふもふで、ぴかぴかで、あげあげで、あまあまなぱーりー会場か!」
フェイクファーで作られた、|たぬきつね《きめら》の仮装。
最近誕生日を迎えた結果、御年72を数える重松・八雲(児爺・f14006)は、ふっかふかの体の懐に、バディペットのたぬき――たぬこさまを収めたまま。ぴっかぴかの笑顔で豪快に笑う。
「壮観じゃのう! 極楽じゃのう! 最高じゃのうー!」
「おう、分かったからはしゃぎすぎて迷子にならないでネ……」
誰よりも大きな声で、誰よりもパーリーを楽しんでいるという意味では、最高にパーリーピーポーになりきって……、否。パーリーピーポーになった八雲の横で、やや死にかけの魚に似た瞳の呉羽・伊織(翳・f03578)も、今日はふっかふかにされている。
バディペットであるひよこのぴよこを模したふかふかの衣装の肩には、本物のぴよこ。頭の上には助けた亀に、首元には鮮やかな黒色のヘビ、……鰻? ともかく使い魔の|鰻《蛟》。
このようにもとよりわくわく動物パラダイスご一行様なのだが、本日はそこに備え付けの動物ロボによって動物を増量して行く形となる。
「おお、分かっておる、迷子にならなければ良いのじゃろ、あ!!」
伊織の声掛けに大きな声でお返事をした八雲は、直後踵を返すと駆け出して。
「エッ!? いま返事したよね!? 聞いたから返事したとおもったんだケド!? 突然、迷子行為するのやめてくんない~!?」
「おおお……、実に良き哉……」
好みの動物ロボと目が合ってしまえば、伊織とのお約束なんて右から左の耳に抜けていってしまう。
慌ててたぬきときつねロボが寄り添っている先へと駆けてきた八雲は、しゃがむと二匹のロボへと腕を伸ばし。
甘えるような仕草をみせながら、きつねとたぬきは伸ばされた腕の中へとぴょんと飛び込んできた。
抱き寄せると一生懸命手のひらを撫でて、額をこすりつけて――。
「こ、これは……!」
負けじとバディペットのたぬこさまも懐から這い出てくると、くるんと首筋に巻き付いて甘噛み合戦に参戦を果たす。
「なんという至福のもふもふはむはむさんどじゃ……、たまらんのう……儂の心も七色夢色ぴかぴかじゃよ~」
腕の中で指先にじゃれ甘えるきつねとたぬきのロボ。
首元で額を押し付けては首筋に甘く歯を立てるたぬこさま。
合間に挟まれた八雲はもうその場で溶けてしまいそうなほど、とろっとろのふわっふわになっていた。
「我々の業界でなくとも、これはご褒美じゃろ~!」
遅れて追いかけてきた伊織は、そんな八雲を見下ろして。
「そうデスカ……」
すでに手遅れであることを悟ると、額を指先――今はきぐるみのために手羽先で抑えた。
酒の一滴も飲んでいないのに、八雲はすっかり出来上がってしまっているようだ。
「っと、……ぴよこたちも?」
ぴょいっと伊織から飛び降りたぴよこが、ハムスターたちの群れへと歩いていくと、どうやら歓迎された様子。
一緒にグルーミングをしあう姿に目を奪われた伊織が、眦を下げていると――。
「……ん?」
ぐい、となにかに掴まれていた。
いや、引っ張られている。――甘噛み?
「あっえっ、何!? 何デスカ!?」
「ふはは、伊織もモテモテになっとるのう!」
よくわからないうじゃうじゃしたなにかが伊織の下半身を甘噛みしている。
ふかふかでもふもふしているが、得体の知れないモップ状の生物が伊織を撫でて――。
「何!? これ何!?!?」
ずるずるとふかふかもふもふ生物に引っ張られていく伊織。大丈夫ですよ、危険性はないです。
ここに集う動物たちは、どの動物も人間に心優しく、優しい甘噛みで人間に甘え、優しいノンアレルギー物質で作られていてとても体にも優しいロボたちしか居ないですからね。
「うむ、うむ! いとをかし~!」
伊織がいつものようにめちゃくちゃになって困惑している横で、八雲はしあわせサンドとぴよこたちの戯れを眺めて、幸せそうに笑っていた。
「待って!? ホントに何ー!?!?!?」
なんだろうね~。
ここに集う動物たちは、どの動物も人間に心優しく、優しい甘噛みで人間に甘え、優しいノンアレルギー物質で作られていてとても体にも優しいロボたちしか居ないですからね。
「ホント!?」
ほんとほんと~。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『迅速ハコベールくん』
|
POW : 強制お荷物お預かり機能
【モノアイから放つトラクタービーム】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【装甲内部の格納スペース】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
SPD : 超スーパーお急ぎ便機能
【最適な脚部に換装し、衝突上等走行ルーチン】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 安心安全お届け機能
全身を【脚部を引っ込めた対衝撃防御形態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●迅速! ハコベールくん!
「……あれ?」
「……ん」
音楽ととりどりの光が降り注ぐパーリールームに備え付けられた、大きな窓が突然開いた。
パーリーの熱気を冷ますように吹き込む風。
窓の外では灰色の摩天楼に猥雑なネオンサインの群れが、まばゆく輝いている。
♪〜
義体疾走らせ 獣のごとく
拐引 監禁 早くて 安い
疾風 迅雷 届くよ 雑兵
運ぶ輝き 命の輝き
あゝ 迅雷運輸 迅雷運輸
そして窓の外から響いてくる、愉快なメロディ。
開いた窓からテクテク壁を這って歩いてきたのはそのメロディの主――、どこか亀のような姿をした丸っこいロボであった。
といっても、大きさは人をゆうに数人は収められるサイズなのだが。
「何、なに!?」
「かわいい~」
「いとをかし~」
突然入ってきた迅速ハコベールくんのどこか愛らしい姿に、猟兵達の活躍によって意識を失う事が無かったパーリーピーポーたちが歓声をあげて。
――迅雷運輸の息がかかったスタッフたちとハコベールくんたちは、パーリーピーポーが眠っていない事にどうやら困惑していたようだが、すぐに行動を決めたらしい。
スタッフたちはパーリールームから逃げ出す事を。そして――ハコベールくんたちは、起きている人々を倒して運ぶ事を。
パーリーピーポーを装っていた猟兵たちは、かわいい動物ロボたちを置いて立ち上がる。
――本日の、本当の目的を果たすが為に!
フリル・インレアン
ふ、え、え~、目が回ります~。
あれ?あの後どうなったんでしたっけ?
たしか、アヒルさんと動物ロボさんにもみくちゃにされて目を回していたところに……。
ハコベールさん達がなだれ込んできて、トラクタービームを浴びた私は格納スペースに閉じ込められたのですか?
説明ありがとうございます、アヒルさん。
ところで、なんでアヒルさんは外にいるんですか?
トラクタービームを浴びるような鈍くさいのは私ぐらいって酷いですよ。
あれ?もしかして私このまま攫われちゃったりしませんか?
ふえ?早く正座をしろって、なるほど名探偵アヒルさんの推理でハコベールさんの蓋を開けるんですね。
ふえ?時間がないから推理じゃないほうって、まさか。
●箱の中
「なんか寝てへんけどやっとこかあ」
「おお~」
ハコベールくんたちの緩い相談の掛け合いが聞こえたかと思った、瞬間。
びよよよよよよよ。
どこか間抜けな音と共に、眩い光に照らされたフリルは思わず目を瞑ってしまった。
「ふえ、え?!」
ぐるぐる洗濯機の中にでも入れられたかのような居心地の悪さの後。
――フリルがふと気がつくと、そこはまあまあふかふかの暗闇の中であった。
「ふえ、……え、え~? あれ、……ここは……?」
周りを見渡すも、暗い室内はなんにも見えない。
しかし、つんと腕を突くアヒルさんはちゃんと付いてきてくれたようで、フリルは胸を撫でおろす。
「アヒルさん、私……どうなっちゃったんですか?」
フリルの言葉に、アヒルさんはつんつんと腕を突きながら。
アヒルさん曰く。どうやらこれは、ハコベールくんの格納スペースの中だそうだ。
人間を攫う事以外にも輸送の仕事はちゃんと有るらしく、荷物が壊れぬように格納スペースの中はどうやらクッション性が高くなっているらしい。
――あとトラクタービームをばっちり浴びたのはフリルたった一人。
アヒルさんはわざわざフリルを追って、中まで入ってきてくれたようで。
「それは……ありがとうございます、アヒルさん」
アヒルさんの言葉を聞きながら、知らず識らずフリルは正座をして。
ありがたいお話を聞くポーズを取りながら、ふと瞳を瞬かせて。
「……あれ。でも、それって、もしかして私このまま攫われちゃったりしません?」
素朴な疑問にアヒルさんが、こくこくと闇の中で頷く気配を感じる。
「ふえ、ええ……、それはちょっと……、え?」
正座をしたままアヒルさんの話を聞いていたフリルが首を傾ぐ。
「なるほど、アヒルさんがここの蓋の開け方を推理してくれるって事ですね」
ありがとうございます、とまた胸をなでおろしたフリルの正座する足を、アヒルさんはつんつんと突いて。
「……あっ、あっ……、足が痺れてきているので突かないでください……、……ふえ? 推理じゃない?」
それって、とフリルが首を傾いだ瞬間。
勢いよく天井へと飛び立ったかと思うと、思い切り体当たりしたアヒルさんは――、そのままハコベールくんの蓋を反対側から弾き飛ばす!
「ふえ、ええ?!」
フリルの驚いた声。
「エ!?!? 何~~!?」
「ウワー、えげついことしはんでえ」
ハコベールくんたちの驚いた声。
アヒルさんは今だ、と言わんばかりにフリルへと振り返って――。
「は、早く外にって、ま、待ってください、足が痺れて……、ふええ……!」
しかし長い間正座をしていたフリルは、生まれたての子鹿みたいな足取りで立ち上がる事すらままならなくなっていた。
――ともあれ。フリルの快進撃は、ここからはじまるのだ!
「ふええ……」
……はじまりますよね?
大成功
🔵🔵🔵
カルマ・ヴィローシャナ
◎アドリブ連携歓迎
ハァーハッハッハ! 出たわね|迅雷運輸《悪徳メガコーポ》!
これ以上無辜の民草を……えーっと……とにかくやっつける!
さあ皆逃げて! 捕まったら死ぬまで|地下闘技場《アングラ》で|強制重労働《オツトメ》よ!
パフォーマンスめいた挑発で存在感を出し
注意をひきつけつつ早業で|カモフラージュ《迷彩》!
あっ! まだ逃げてない人があんなにも!
カルマドミネーションと遮導の応用で動けないパリピの立体映像をばらまいて
ハコベールくんのトラクタービームの誘発を狙うわ
残念だけど誰もいないにゃん♪
敵の攻撃をかわしつつ懐に飛び込んで
実況と撮影しつつ各個撃破を遂行
カラテで一つずつブッ倒していくよ! イヤーッ!
●チャンネル登録おねがいしますにゃん♪
「アイエエエ! 何、なあにー!?」
「キャーッ! カメに人が吸い込まれてまた出てきたァッ!」
突然の闖入者の狼藉に、困惑し、逃げ纏うパーリーピーポーたち。
「ハァーハッハッハ!」
そこへ響き渡ったのは、朗らかな笑い声であった。
ハコベールくんとパーリーピーポーたちの間に立ったカルマは、人差し指を立ててビシッと敵を指差し。
「出たわね、|迅雷運輸《悪徳メガコーポ》!」
青と桃色の髪を掻き上げ、真っ直ぐに頭脳戦車を見据え。翠緑の瞳に正義の色を宿した彼女は細く息を吐いてから言葉を次ぐ。
「これ以上無辜の民草を――……」
言葉を……。
「……えーっと……」
視線をちょっと泳がせて、天井を見上げ。
言葉が思い出せそうで思い出せない時の顔をしたカルマは、立てた人差し指でくるくる円を描く。
え~っと……。
「とにかくやっつけるッッ!」
言い切った彼女を、パーリールームのスポットライトがなんとなくいい感じに照らし出す!
いい感じの音楽が激しいビートを刻み、ついでに格好いいライムなども添えてくれる。
「なになに?」
「なんか胡乱な物言いやな~」
「さあ皆逃げて! 捕まったら死ぬまで|地下闘技場《アングラ》で|強制重労働《オツトメ》よ!」
「コワイ!」
「ヤーーッ!」
派手な登場をしたカルマに対してハコベールくんたちがコソコソ言い合う最中にも、パーリーピーポーたちは亮平達に守られながらどんどん逃げてゆく。
「あ~、逃したらあかんかったわ」
「やろか~」
その姿にはたと使命を思い出した頭脳戦車達が、そのモノアイをチカチカと点滅させ。
逃げ纏うパーリーピーポーへとトラクタービームをうち放つ!
びよよよよよよよよ~。
「……あり?」
「ンー?」
しかし。
そのトラクタービームでは、パーリーピーポーたちが持ち上がらない。
「こわれたか~?」
「困るやん」
――否。
それこそがカルマの策。
ビームが放たれたのは、彼女のばらまいたパーリーピーポーの立体映像だ。
策に掛かり困惑するハコベールくんたちの前へと、カルマは地を蹴って一気に肉薄して。
「残念だけど、そこには誰もいないにゃん♪」
踏み込みの勢いをそのまま生かした掬い上げるような蹴りをぶちかます!
「カルマちゃん以外は、ねッ!」
衝撃で体の浮いたハコベールくんに、流れるように更に踏み込んだカルマ。
浮き上がり切る前に甲羅のような装甲上へと肘を叩き込むと――割れた装甲の中へと、あふれ、こぼれ、濁流の如く。流れ込しこむは、彼女自身の骸の海。チョーチョー・ハッシ!
「イヤーッ!」
「ピガガガガーッ!」
刹那。流し込まれた躯の海に耐えきれず内側からハコベールくんが爆ぜ、派手にひっくり返ると白煙を上げて、物言わぬスクラップと化した。
踵を返したカルマは、カメラに向かってウィンク一つ。
「かっこいいと思ったらチャンネル登録よろしくにゃん!」
その磨き上げられたカラテ技術にハコベールくんたちは震え上がり。しかしかぶり(カメラ)を振って、自らを鼓舞するように声を掛け合う。
「え、えげつ~~!! アア~~!」
「ウオオ!? ヤッチャラジャレッケラー!」
そう、これも彼らのお仕事だ。やけくそのように一斉にカルマへと殺到するハコベールくんたち。
彼女は敵を真っ直ぐに見据え直すと、腰を低く構え。緩く掲げた腕を撓らせる。
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
――カラダニキヲツケテネ! 正義は勝つのだ!
大成功
🔵🔵🔵
終夜・嵐吾
【雅嵐】
お仕事の時間じゃ!(むくっ)
なんぞまだ甘噛みされて…いやこれは違うの
……せーちゃん、もふもふは少しお休みじゃ
ああ、確かに箱じゃもんね
ハコベールくんはずんぐりむっくりで甘噛みするお口はないんじゃな
転がしたら起き上がれるじゃろか
虚に手伝ってもろて転がして、ひっくり返って動けんなるなら、あとはぺしぺししたらええか
さめさめたちは遠慮ない感じでやっとるの
右腕に虚の腕を借り受け、ハコベールくんを薙ぐように
上手くひっかけて転がすことができそならやろ
転がったらあとは畳みかけるのみ
せーちゃんしゅばっとやっておくれ
楽しいパ―リーナイに妖しい運送会社は必要ないんじゃよ
あの犬さんをか?それはできんじゃろ~
筧・清史郎
【雅嵐】
いとをかしな時間は終わりか
ハコベールくん…箱の俺としては親近感湧く名だが
しかし、もふもふはしていないな
らんらんの尻尾はもふもふだが(もふもふ
では俺は数多のさめさめ(氷雨)を召喚し
敵を対衝撃防御形態にして動けなくしよう
ふふ、試しに転がしてみるか
さめさめ達も、てしてし遊ぶといい(微笑み
俺もひよこブレイドでぴよぴよ叩き斬っていこう
迫る敵にもさめさめ達を差し向けつつ
友と連携しひよこさんの刃でしゅばっとしようか
俺の目がピカピカなうちは、ぱりぴを誘拐などさせない(偏光グラサンすちゃ
ところで、てくにしゃんな犬さんは連れ帰れないだろうか(意気投合?
そうかできないか…
では後で友の尻尾をもふることにしよう
●箱だけに
ふかふかの動物ロボが、ミッチリ群れを成している一角。
その隙間からゾンビうさぎちゃんの耳が、ゆらゆら揺れていた。
雅やかに笑う清史郎がその横へ腰掛けて半ば動物ロボたちに埋まりながら、のんびりふかふかを愛でていたのだが――。
予想されていた闖入者の出現に、動物ロボの山がもこもこと動き出す。
「む!」
動物ロボの山をかき分けて、中からむっくりと姿を現したのは嵐吾であった。
「みんな、もう甘噛みはええよ」
嵐吾は頭に未だハムスターをつけたまま、動物たちに言い聞かせるように声をかけて立ち上がると。ざっと海を割るように動物ロボ達が道を開けて、甘噛みを止めた。
しかし。
未だに嵐吾の尾をもふり続けている個体がいるようで、尾がなんとももふもふしている。
「いや、もう本当に甘噛みはええんじゃが……」
眉を寄せた嵐吾が更に制止を重ねるが、不思議なことに声をかけても止まらない。
ロボであればすぐに言うことを聞いてくれるはずなのに。
瞬きを重ねた嵐吾が、振り返って直接目視確認をしている横で。清史郎は、闖入者達を品定めするように瞳を細めていた。
「ハコベールくんとは、なんとも親近感の湧く名だが……」
ふむ、と真剣な面持ちで、清史郎は敵を真っ直ぐに見据えて。
亀のようにつるりとしたフォルムを見定めながら、表情を変えること無く小さく頷く。
「……もふもふはしていないようだな」
らんらんの尻尾はこんなにもふもふなのに、と。
真剣な言葉を吐いている間も、清史郎の手は『止まらない』。
そう。
彼はずっと、戦闘前のもふり納めをすべく、真顔のまま友のふかふか尾をもふにもふっていたのだ。
「……」
あっ、この箱か……。
硯箱のヤドリガミであるこの友人は、甘味ともふもふ動物に本当に目がないもので。
違和感の犯人を知った嵐吾は、やれやれとかぶりを振り。
「せーちゃん、お仕事の時間じゃ。もふもふは少しお休みにしような」
「そうだな、さっと終わらせてしまおうか」
その言い回しは終わらせば、またもふもふしても良いという事だろう。
雅やかな表情からはわかりにくいが嵐吾ならば分かる程度には弾んだ声を出した清史郎は、絆を結んだ白狐を喚び。
「……いやそういう事でもないんじゃがな」
右目の洞に眠る虚に自らを許しながら嵐吾は獣耳をぺたっと倒し。
まあ言うだけ無駄じゃろけど。
なんて。
嵐吾が肩を竦める間にも、黒が溶けるように――染み出すように虚の茨は萌え伸び、腕へと黒き茨が宿る。
「行くぞ、さめさめ」
清史郎の指示に、くわ、と大きくあくびをした白狐――氷雨は、蒼炎をちらちらと散らして。
その尾が揺れたかと思うと、二尾へと生え増えた。
否、尾だけでは無い。
氷雨自体の数が瞬く間に増え、――121匹までその数を増やして行く。
「ハコベールくんたちはずんぐりむっくりじゃし、見た感じ転がしたら起き上がる事も難しそうじゃな」
「ああ、それでは俺は足止めをしよう」
声をかけられた氷雨たちは、清史郎の思いに応じるように、一斉にハコベールたちへと飛びかかり。
「ワー、なんやなんや、めっちゃきよる!」
「こわあ~~」
それは亀狐合戦のはじまりを告げるような光景。
妙な訛りで話すハコベールくんたちは、氷雨の群れから退避するように頭と手足を引っ込めて――。
完全に隠れてしまったハコベールくんたちへ、じゃれるように氷雨達が飛んだり乗ったり跳ねたり噛んだり。コンコン。
「ふふ、さめさめ達も楽しそうだな」
「おお……、さめさめ達……。遠慮ない感じでやっとるの」
うんうんと保護者のように見守る清史郎、嵐吾もぱちぱちと瞬きを重ね。
それから嵐吾は腕を掲げると、語りかけるみたいに眦を下げて小さく笑った。
「虚も一緒に暴れよか」
言うが早いか。
力強く踏み込んだ嵐吾が腕を振りかぶると、黒茨の宿った腕は獣と化して。
「楽しいパ―リーナイに、妖しい運送会社は必要ないんじゃよ!」
氷雨達の活躍により動きを止めたハコベールくんたちを、獣の一撃は力強く薙ぎ払う。
ハコベールくんたちの体が浮いたかと思うと、タコヤキのようにくるくるとひっくり返され。
「あ~~やめて~~」
「うごかれへんわ~」
思わず姿勢を戻そうと足をぱたぱたさせたハコベールくんたちの隙を、歴戦の猟兵達が見逃すわけも無い。
「――せーちゃん! 今じゃ!」
「ああ」
かわいいひよこさんの意匠が施された刀を手に。
低く構えた清史郎が一歩前へに足を踏み出した、――と思った次の瞬間には、静かに刃を振り放ち終えている。
「!?」
ひよこさんの刃が駆けた後より、一瞬遅れ。ハコベールくんたちの甲羅は半分になって床へと滑り落ちると、ぐわぐわと床の上で揺れて。
「俺の目がピカピカなうちは、ぱりぴを誘拐などさせない」
「その野望、挫かせてもらうんじゃよ!」
それから格好良く背中合わせで立った二人は、すちゃっと虹色に偏光するサングラスへと手を当てて。
「あ~~~! こうなったらもうやけくそでいくか~」
「しごとつらいな~」
しかし、ハコベールくんたちだってコレが仕事だ。
清史郎と嵐吾へと一斉に向かって行くが、たくさんの氷雨達が主たちへの手出しを許しはしない。
ぺしぺしと狐パンチで床へとはたき落としながら、ひよこの刃と獣の腕は敵を打ち砕きつづけ――。
「……それはそうと、あのてくにしゃんな犬さんは連れて帰れないだろうか……?」
「え? 流石にそれはできんじゃろ?」
「そうか……、残念だ」
清史郎は心に誓う。――後で絶対に、嵐吾のふかふかの尾をもふろうと。
やはり清史郎にとっては、友の尾が一番極上のぱりぴな手触りなのだ。
――こうして。
猟兵たちは無事、ハロウィン優しい甘噛みどうぶつパーリーのパーリーピーポーたちを一人として欠けさせること無く、守り切る事ができたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵