『燃ゆる|紅《あか》 弟恋し 石狩の』
『姉のこころは 骸に沈む』
妖狐の骸魂を飲み込んだ炎の妖狐は、UDCアースに残した実弟に焦がれる。
「ああ、かわいいかわいいアタシの弟……! 妖狐の炎でほんの少し炙っただけで、あんなに怯えちゃって、本当にかわいい……! |カクリヨファンタズム《こんなところ》にいられないわ。早く帰らなきゃ、かわいい弟の待つ家へ……!」
この姉は弟へ虐待を繰り返してきた。
それを食い止めるべく彼女は殺害されたのだが、骸魂を喰らってオブリビオン化した姉は「何故、自分が殺されたのか」を忘れてしまったようだ。
今はただ、UDCアースに残した実弟の身を歪んだ愛情で案ずることしかできない。骸魂によって、そう仕向けられているのだ。
つまり、暴走状態である。
「白亜の蛇神オロチヒメの神託である」
蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)の裏人格であり、レモンに憑依している白亜の蛇神オロチヒメが、招集に応じてくれた猟兵達へ予知の内容を伝達しはじめた。
「舞台はカクリヨファンタズム。ハロウィンが近付いたせいか、|UDCアース《地球》に強い未練を持つ妖怪が骸魂に呑み込まれてオブリビオン化し、石抱きの井戸を目指して進撃を始めてしまったのだ」
石抱きの井戸とは、カクリヨの果てに存在する『石を抱えて飛び込むとUDCアースに行ける』と伝わる井戸のことである。
だが、たとえ本当にUDCアースへ行けたとしても妖怪達はもはや誰にも姿や声を認識されないので生きていくことはできない為、誰も実際に井戸に飛び込んだことはない。
しかし、骸魂に呑み込まれた未練が強い妖怪は、|UDCアース《地球》に戻るという強い衝動を暴走させながら井戸へ進撃を開始してしまうのだ。
「……今回、骸魂に呑み込まれたのは炎を操る妖狐の女だ。骸魂の種類も悪しき九尾の妖狐で、彼奴の生来の炎の術を格段に強化してしまっている。正直、かなりの強敵であるな」
オブリビオン化したのは【妖に魅入られし九狐『石狩・琴葉』】という。
生前はUDCアースに暮らしており、実弟に酷い虐待を強いていた。それが原因で殺害されたのだが、今の彼女は行き過ぎた実弟への歪んだ愛情に突き動かされているので、殺されたことなど聞く耳を持たない。
「しかも、井戸へ至る道には低級の骸魂に呑まれた妖怪達が行く手を阻んでくるぞ。……熱々の栗饅頭妖怪オブリビオンとなってな?」
……いや、なんて??????
「地球で廃棄処分された栗饅頭の怨念が骸魂となって妖怪を襲っておるのだ。貴様らが美味しいお菓子を逆に与えたり脅かせば、骸魂と妖怪は勝手に分離するゆえ、戦闘をしなくても先に進むのは容易である。とにかく井戸へ向かいながらトリック オア トリートだ。よいな?」
オロチヒメが念を押すと、頭上のグリモアが輝き始める。
「言っておくが、面倒ならば斬り捨てても構わんがぞ? 道中のオブリビオンは、なりたての新米猟兵でも簡単に撃破できるのでな? カカカカカッ!」
そう笑いながら蛇神は猟兵達を送り出す。
「ゆけ、人の子らよ。この蛇神オロチヒメの加護があらんことを」
果たして、猟兵達は狂愛に悶える炎の妖狐のオブリビオンを食い止められるのだろうか?
――ユーベルコードの高まりを感じるっ!
七転 十五起
ハロウィン前夜祭シナリオです!
カクリヨファンタズムでオブリビオンの暴走を阻止しましょう!
なぎてんはねおきです。
●概要
第一章は集団戦、井戸へ向かう道中を低級のオブリビオンの群れが行く手を塞ぎます。
これらに「トリック オア トリート」と唱えて美味しいお菓子を差し出すか驚かすと、その衝撃で骸魂が妖怪と分離します!
戦闘プレイングが苦手な方はコチラを挑戦してみてください。
もちろん、戦闘で撃破しても構いません。
(Lv.10の猟兵でも倒せる敵の弱さです)
第二章はボス戦、暴走オブリビオンです。
オープニングをよくご確認の上、この妖怪の未練に関わるヒントを利用した行動をとるとプレイングボーナスが発生します。
●その他
コンビやチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能ですが、失効による不参加を防止するためにも、その際はオーバーロード投稿を推奨します)
それでは、皆様の創意工夫を凝らしたプレイング、お待ちしております。
第1章 集団戦
『こわいまんじゅう』
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POW : お前、饅頭を怖いと思ったな?
【畏怖】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【饅頭】から、高命中力の【餡】を飛ばす。
SPD : 怖れよ、そして食らうがいい
【薄皮】【餡】【仲間の饅頭】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 本当の恐怖はここからだ!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【饅頭】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
イラスト:ヒミコ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
デュオゼルガ・フェンリル
親友のカズ(f06901)と一緒だぜ!
出発前に買った10円饅頭をもぐもぐ食べつつやる気を補充するんだぜ
饅頭怖いってなんか元ネタあったと思ったけど……なんだっけ?まぁいっか!
各種技能を使いながら氷の波導を込めた拳で戦闘するんだぜ!
かちこちに凍らせた饅頭ってガリボリ噛み砕いたら美味しかったりするのかなぁ
とりっくおあとりーと!ってことで
飴ちゃんをくらえー!(オブリビオンへ投げつけつつ)
カズに氷結耐性を大爺様のチカラを分ける形で付与して、指定UCで一網打尽にしてやるぜ!
カズ、討ち漏らしたのはよろしくなっ
カズの姉ちゃん、どーにかしないと…! 俺たち急いでるんだ、邪魔するな!!
○アレンジ大歓迎なんだぜ!
石狩・和人
親友のゼル(f00372)と一緒だ
饅頭は美味しいけど、こうやって襲いに来るのは厄介だな…。
よし、俺たちで一掃してしまおう!
各技能を活かしながら戦闘を行いつつ、被弾は最小限に抑えるよう立ち回ろうかな。
トリックオアトリート…ふむ
UDCアースでならチョコレートや飴玉の配布しながら進むのも手かな?
親友のゼルがUCを発動させたタイミングに合わせ、彼が討ち漏らした奴を俺も指定UCで攻撃しよう。
姉さんが犯した過ちの落とし前をつけに来たんだ…道を開けてもらうぞ!!
○アレンジ大歓迎!
地球(UDCアース)の裏側の世界、カクリヨファンタズム。
死者が蘇って帰ってくるとされるハロウィンの機運が高まったせいか、地球に未練ある妖怪が骸魂に呑み込まれた事で暴走。
地球と繋がる「石抱きの井戸」の周辺一帯は、低級のオブリビオンが増殖して井戸へ向かう猟兵達の行く手を阻んだ。
これに挑むは、暴走オブリビオンと血縁関係にあるホンドギツネ獣人の姿をした妖狐族の青年こと石狩・和人(秘める想いは護るべき友の為に・f06901)。そして和人の幼馴染である藍色の毛並みを持つ人狼の青年、デュオゼルガ・フェンリル(父の背を追う蒼拳狼・f00372)である。
2人は行く手を阻む熱々の栗饅頭オブリビオンの群れの前で、互いの得物を構えて気合を入れた。
「饅頭は美味しいけど、こうやって襲いに来るのは厄介だな……。よし、俺たちで一掃してしまおう! 準備はいいか、ゼル?」
和人がデュオゼルガを横目で見遣った。
そんなデュオゼルガは、何やらモグモグと口の中を動かしている。
こんな時に何を呑気に食ってるのか、とムッとした和人がデュオゼルガへ問うた。
「ゼル? もう戦闘が始まるぞ? 腹ごしらえは先に済ませておけよ……」
「ん? ほら、カズも食べる? すぐそこの駄菓子屋で買ってきた10円饅頭! 美味いぜ♪」
対してデュオゼルガは無邪気に和人へ10円饅頭をパーカーのポケットから一掴みして手渡した。
「まだまだたくさん買ったから、それ全部食べていいぜ♪」
「さっき、ちょっと野暮用を済ませてくるって言ってたの、これを買ってたのか?」
和人は呆れながらも10円饅頭を一気に3つもも頬張った。昔懐かしいチープな甘さが口いっぱいに広がった。
デュオゼルガは舌舐めずりをしながら幼馴染へ弁明する。
「饅頭怖いってなんか元ネタあったと思ったけど……なんだっけ? まぁいっか! とにかく甘い物を食べると元気とやる気が湧いてくるんだぜ! これからマジで覚悟決めなきゃならなくなるからなー。せめて今は気分をアゲてこうぜ♪」
バンバンッとデュオゼルガが和人の背中を叩く。彼なりの励ましであった。
和人は大きく息を吐いた。
今回の予知で、暴走するオブリビオンは和人の死んだ実姉なのだ。和人を虐待していた姉の魂が骸魂に呑まれてもなお、自我を保ってる事が恐ろしい。それほどまでに自分へ執着しているとは。
和人自身、予知を見て恐ろしく感じただろう。
だからこそ、いや、今度こそ終わらせなくてはいけない。
「ありがとな、ゼル。姉さんを止めよう」
使命感を帯びた和人の言葉に、拳を掲げるデュオゼルガが犬歯を見せてはにかむ。
「親友の為なら、俺はいくらでも手も肉球も貸すぜ! そんじゃ、栗饅頭退治だ、カズ!」
「さっさと片付けるぞ、ゼル!」
2人は同時に栗饅頭の大群の中へ分け入ってゆき、霊刀と拳で井戸までの道を切り拓く。
「怖れよ、そして食らうがいい」
栗饅頭オブリビオン達が、四方八方から薄皮と餡、そして仲間の饅頭をぶつけてくる。できたて熱々で思わず口に頬張りたい衝動に駆られる。
しかし、これを口にしたら最後、攻撃力を削られ続け、結果……ユーベルコードを封じられてしまう!
「10円饅頭をたらふく食べたあとだからな! 今更、栗饅頭に手を出す気にならないんだぜ!」
「ゼル、まさかこれを見越して食ってたのか?」
霊刀オオトリに氷属性を宿して、飛び交う熱々栗饅頭を瞬間冷凍して辻斬りする和人が目を見開く。
デュオゼルガは弾丸めいて飛んできた栗饅頭をダイヤモンドダスト煌めく拳のラッシュで叩き砕きながら告げた。
「結果的に、なんだぜ! でもかちこちに凍らせた饅頭ってガリボリ噛み砕いたら美味しかったりするのかなぁ?」
「やめておけ、カズ。それより、ここはグリモアベースで言ってた作戦のほうが効率いいかもしれないぞ? いくら斬ってもきりが無い!」
よだれをすするデュオゼルガにツッコミを入れた和人が叫ぶ。
確かに、いちいち斬り捨てていては前に進めないのだ。
そこでデュオゼルガがパーカーのもう片方のポケットに突っ込んだレジ袋を取り出した。
「了解だぜ! とりっくおあとりーと!ってことで! 駄菓子屋で買ってきた飴ちゃんをくらえー!」
レジ袋の中身を掴んでばら撒き始めるデュオゼルガ。放り投げられた飴が栗饅頭にぶつかると、それらはみるみるうちに妖怪と骸魂に分離してゆくではないか。
「トリックオアトリート……ふむ。チョコやキャンディを栗饅頭にぶつければ、勝手に分離してくれるのか」
「ほら、カズの分だぜ♪」
デュオゼルガがレジ袋を和人へ放り投げた。
受け取った和人が中身を改めると、飴やチョコ、ガムにラムネ菓子やスナック菓子まで揃っていた。
「ありがとう、ゼル! いくぞ、トリック・オア・トリート!」
豆撒きと見紛うほどに景気よく駄菓子を栗饅頭へぶつける和人。
次々と妖怪から骸魂が分離してゆくのを見て、和人が叫んだ。
「ゼル! 今のうちに骸魂を破壊しよう!」
「任せろ、カズ! 大爺様、俺に力を貸してくれ……!」
途端、デュオゼルガを中心に吹き荒れる猛吹雪と雹の牙が巻き起こる!
和人へ氷耐性を宿しつつ、デュオゼルガは一気に勝負を決めに掛かった。
「汝を覆う氷風は総てを屠りし凶牙と成らん!! 冰牙暴穿……フロゥズ・ヴィトニルッ!!!!」
骸魂は瞬時に白く凍り付いて粉々に砕かれてゆく!
「カズ、討ち漏らしたのはよろしくなっ!」
「分かった!」
和人は猛然の前傾姿勢で戦場を駆け抜けてゆく。一瞬てわ討ち漏らした骸魂まで肉薄すると、凍えるオーラを纏わせた対魔刀を舞うように振るい続けた!
「猛狐式……氷牙凍撃閃ッ!!」
斬ったそばから次の標的を斬り伏せる和人の姿は、まるで瞬間移動をしているかのように素早く鋭い太刀筋そのものだ。
「カズの姉ちゃん、どーにかしないと……! 俺たち急いでるんだ、邪魔するなッ!!」
「そうだ! 姉さんが犯した過ちの落とし前をつけに来たんだ……だから道を開けてもらうぞ!!」
固い友情で結ばれた絆が、お菓子をバラまきながら骸魂を氷砕してゆく。
その先に待つ、宿縁を目指して――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
UC常時
「ご主人サマー☆ハロウィンだよ☆」
そうみてーだが暴走してるやつとんでもねーな…(びきびき
【料理・属性攻撃】
つってもお菓子か…何かおすすめってあるかな?
「(ぴこーん)ご主人サマ☆いいのがあるぞ☆」
お、おう…それならやってみるか
…って普通のお饅頭か…確かにお菓子ならそれもありか
「まだだよ☆これにお味噌だれをつけて焼くんだぞ☆」
って属性攻撃これかよ!?
まぁ火加減しっかり調整して…っと
…中々悪くねーな
「素饅頭と餡入りを用意だぞ☆」
という訳でトリックオアトリート!
本当は僕が独り占めしたかったがくれてやる!
存分に味わい堪能しやがれ!
「後でまたたくさん作ろうね☆」
しかし廃棄処分とは勿体ねーな
「ご主人サマー☆ ハロウィンだよ☆」
カクリヨファンタズムらしく、『番町皿屋敷』のお菊めいた幽玄な着物姿になってはしゃぐメルシー。
だがカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はこめかみを痙攣させて怒りを抑え込でいた。
「そうみてーだが、オブリビオンを斃さねーとだな。しかし……暴走してるやつ、とんでもねーな……」
実の弟を火炙りにして楽しむ虐待姉と聞いて、カシムは我慢ならずにグリモア猟兵へ転送を願い出たのだ。
これにメルシーも同意を示す。
「うん、すごく怖いよね……。ところでご主人サマ、なんで真っ黒なローブを羽織ってるの?」
「ん? ああ、僕は今日、オブリビオンの死神のつもりでここに来たので」
「やだ、ご主人サマ、かっこいい……! メルシー、濡れちゃう……♪」
「まずは栗饅頭からか。食ったほうが供養になる気がするが……食うとユーベルコードを封じられるのかよ」
メルシーのときめきポイントをカシムは華麗にスルーして話を進めていった。
いつもの事であった。
「ご主人サマ、トリック・オア・トリートだよ! お菓子をあげれば骸魂が分離してゆくよ!」
「……確かにそうだったな」
グリモアベースでの情報を思い出すカシム。
しかし、肝心のお菓子がカシムの手元にない。
「つってもお菓子か……メルシー、何かおすすめってあるかな?
「うーん、待って? 考えるね?」
メルシー、なぜか踊りながらシンキングタイムへ突入!
♪ズンズンズンドコ スンドコズンドコ ピコーン☆
「ご主人サマ☆ いいのがあるぞ☆ ちょうどあとでご主人サマと食べようと思って、保存してたんだんだよ☆」
「お、おう……どうした急に? まあ、思い付いたならやってみるか」
メルシーは体の中から真っ白な饅頭と味噌だれを取り出した。
賢者の石で出来ているメルシーの身体は、割と何でも突っ込んで保管が出来てしまったりするのだ。
「これがメルシーの秘策だよ☆」
「……って普通のお饅頭か……」
カシムは饅頭をランダムに数個掴むと、腹ごしらえついでにむしゃむしゃとかぶりつく。
「中身が対ってないのもあるようだが……確かにお菓子ならそれもありか」
納得しかけるカシムに、メルシーは待ったを掛けた。
「まだだよ☆ これにこのお味噌だれをつけて焼くんだぞ☆ 属性攻撃:お味噌だれだぞ☆」
「って属性攻撃これかよ⁉ というか、どっかで見たような……ソウルフードのような?」
カシムは訝しんだ。
しかし調理は意外と素直に行っていく。
「まぁ、竹串に刺して、火加減しっかり調整して……っと」
「うん☆ 焼きまんじゅうの完成だね! ご主人サマ、食べてみて!」
ホカホカの味噌だれが香ばしい、群馬県のソウルフードにカシムがかぶりつく。
「……中々悪くねーな。甘じょっぱくて、饅頭のプレーンな味でちょうどバランスが取れてやがる」
「プレーンな素饅頭と、甘さMAXな餡入りを用意だぞ☆」
ということで、改めて焼きまんじゅうを引っ提げて、トリック・オア・トリート!
「本当は僕が独り占めしたかったがくれてやる! 存分に味わい堪能しやがれ!」
カシムが栗饅頭オブリビオンの口の中に熱々の焼きまんじゅうをレイピアめいて突っ込んでゆけば、味噌だれの甘じょっぱさと焦げた部分の香ばしさと饅頭のふわふわ感に魅了され、骸魂が身体から飛び出ていってしまった!
「あれ? なんでオラは焼きまんじゅうを食ってんだ? まぁいいか。焼きまんじゅう、うんめぇ~」
元に戻った妖怪たちを尻目に、カシムは飛び出た骸魂をダガーで斬り捨てていった。
「ご主人サマ、気に入ってくれてるみたいで嬉しいぞ☆ 後でまたたくさん作ろうね☆」
メルシーもワクワクしながら、餡子入り焼きまんじゅうを栗饅頭オブリビオンへ突っ込んで、甘さで思考回路をバグらせていった。
「しかし……UDCアースでこいつらが廃棄処分とは勿体ねーな」
そんな中、栗饅頭たちが骸魂になった経緯に、カシムは何とも言えぬ虚無感を胸に過らせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
テラ・ウィンディア
UC勝手に発動
「うむ、テラにヘカテよ。何故私は縛られて火炙りの刑にあっているのだ?私はメルシーのような被虐趣味はないのだが?」
「「自分の悪行を顧みろ馬鹿野郎!!」」(激おこ主従。主はもう涙目
今度うんこネタかましたらブラックホールに放り込んでやるからな!!
「兎に角あなたは反省していなさい!!」
「ははは、あまり怒るとストレスで胃に穴が開いてしまうぞ?」
「「誰のせいだと思ってるんだー!?」」
とりあえず…今回は戦いよりお菓子で行きたい所だな
(因みに今年のハロウィンは魔女の仮装だぞ
【料理】
カクリョだし和菓子でいくか
という訳で…おはぎ、黒糖まんじゅう、草餅、白玉あんみつ
後少し変わり種でかんざらし…む…
これだけは絶対に用意しないといけない気がする
【属性攻撃】
炎で十分調節しつつ…焼きまんじゅう!!
という訳でトリックオアトリート!
お菓子をあげるぞ!!
焼きまんじゅうは温かいうちに食べるんだぞ!!
ぜっちゃん
「(さくっと脱出)ふむ…お菓子を与えればいいのか。確かに此奴らはパワーが足りない…ならば」
別所で惨事発生
アメリ・ハーベスティア
はわぁ…食べ物の恨みは怖いとゆー
のは古今東西、何処でもあるのですね
それが現実化してるのは
デカルチャーなのでしょうか?
アメリびっくりなのです
食べ物の亡霊さんには
アメリが『料理』した
手作りキノコの山で
一人残らず成仏して貰いませんと
チョコやホワイトチョコ、抹茶チョコやほうじ茶チョコ、ストロベリーチョコとかを溶かして、キノコの頭の形に流し込んで(クランチやナッツも入れてみて)、フィンガービスケットで刺して
冷やし固めて作ったですが
喜んで貰えるならアメリも作った甲斐があるのです
トリック・オア・トリート!
そう言えばタケノコのお菓子と派閥争いがあると聞きますが、無常な気がするのです
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
カクリヨファンタズムに転送されるや否や、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)はユーベルコードで幽霊の女装男子こと皇・絶華を呼び出すと、対霊物質化魔術を施した縄で銀髪女装男子をひっ捕らえた。
「ヘカテ! 磔刑の用意をしてくれ!」
「承知しました! 冥界の炎は霊体にさぞ効くでしょうね?」
漆黒の女神であるヘカテが木製の十字架を立てて絶華を縛り上げると、その足元に黒い冥界の炎を放った。
あまりの出来事に、絶華は身を焼かれながら疑問を口にした。
「うむ、テラにヘカテよ。時に、何故……私は縛られて火炙りの刑に遭っているのだ? 私はメルシーのような被虐趣味はないのだが?」
「「自分の悪行を顧みろ馬鹿野郎!!」」
目の前の罪人の犯した数々の悪行に、テラは涙目で訴え、ヘカテは烈火の如く怒り狂っていた。
「今度うんこネタかましたら、ブラックホールに放り込んでやるからな!?」
「兎に角あなたは反省していなさい!!」
絶華はユーベルコードと称して己の排泄物を混入させた超ハイカカオチョコレートをオブリビオンへ無理矢理食させ、猟兵界隈で局地的な炎上騒動が起きていた。
「ああ、なるほど。あの行為か。わかった、本当にすまなかったと思っている。二度とやらないと誓おう」
絶華は燃えながらさ爽やかな笑顔を浮かべる。
「本当にもうチョコを無駄にするなよな!」
テラの悲痛な訴えに、火達磨になった絶華が頷く。
「もちろんだ。しかしテラ? 老婆心から助言させてもらうと、あまり怒るとストレスで胃に穴が開いてしまうぞ?」
「「誰のせいだと思ってるんだー!?」」
激怒する主従に絶華がカラカラと笑う。
「ははは。今まで本当にすまなかった。ではさらばだ。もう私は二度と現れないので、これからはピンチの時は私を頼らずに2人で頑張ってくれ」
「「え?」」
「オタッシャデー!」
こうして、絶華は冥界の業火に焼かれて成仏していた。
流石に冥界の炎で焼かれれば、もう二度と姿を現せない。
なので絶華絡みのネタは以降、未来永劫出てこなくなったし、テラとヘカテに無視され続けるだろう。
これで心の平穏を取り戻したテラは、ようやくハロウィン気分で魔女の仮装に身を包む。
「ヘカテとお揃いだぞ! よし! 井戸への道を邪魔する栗饅頭のオブリビオンへトリックオアトリートだ!」
そうして、意気揚々とアウトドアクッキングを開始する主従であった。
この一連の流れを影から見守っていた猟兵がいた。
先日の『アルカディア争奪戦』で、スーパーよいこの国から融資として旅立ったアメリ・ハーベスティア(キノコ好きの「よいこ」な地竜の末裔・f38550)である。
話の経緯は聞いていてもほぼ理解できなかったが、どうやら女の子のチョコレートを銀髪女装男子の変態に台無しにされて怒っていたようだ。彼女の姉らしき黒髪の女性も大層怒っていたので、アメリは今後の冒険の知識として『女装男子は変態で危険な存在』という偏見が刷り込まれてしまった。誰か誤解を解いてあげてほしい。
「はわぁ……栗饅頭さんの怨念といい、チョコレートを台無しにされただけで磔火炙りの刑に処せられてしまうなんて、食べ物の恨みは怖いとゆーのは古今東西、何処でもあるのですね。しかもそれが現実化してるのは……やはりデカルチャーなのでしょうか? アメリびっくりなのです」
スーパーよいこなアメリは疑うことを知らない。
ツッコミ役もいないので、どんどんアメリの知識にずれた認識が植え込まれていてしまう……!
「と、とにかく! まずは栗饅頭の亡霊さんには、メアリお手製のきのこチョコを振るまうのです!」
アメリは妖怪の民家に話を付けて台所を借りると、持ち込んだ湯煎用チョコレートを包丁で細かく刻んでボウルの中に溶かしてゆく。
「チョコやホワイトチョコ、抹茶チョコやほうじ茶チョコ、果実ジュースを入れたストロベリーチョコ……これら溶かしたチョコを、茸の傘の型に流し込むのです」
意外と手際よく作業を進めるアメリは、半ば固まりかけたチョコレートの真ん中に、きのこの柄に見立てた細長いビスケットを差し込む。
「あとは冷蔵庫で冷やすのです。いきなり押しかけてごめんなさいです」
礼儀正しく家主に謝るアメリは、家主の不意の問いかけに顔を曇らせた。
「え? せっかくならキノコ型じゃなくてタケノコ型にしてほしかったです? やめましょう、戦争が起きますよ? こんなところで血を流しても誰も得しませんし、無常なのですよ? アメリはスーパーよいこなので、争いは好まないのです」
そう言いつつ漆黒の波動を纏わせるアメリに、家主は息が詰まりそうになるほどの威圧感を覚えていた。
――後日、この家主はキノコを見る度に「殺さないでくれぇえ!」と発狂するようになったらしいが、それはまた別の話である。
そんなツッコミ不在の悲劇が起きている傍らで、テラとヘカテは群馬県名物焼きまんじゅうをひたすら焼いていた。
「という訳でトリックオアトリート! お菓子をあげるぞ! 焼きまんじゅうは温かいうちに食べるんだぞ」
「他にもおはぎ、黒糖まんじゅう、草餅、白玉あんみつ、それに、少し変わり種でかんざらしなど如何でしょうか?」
カクリヨファンタズムということで、お菓子の種類も和菓子に寄せてきた主従である。
特に焼きまんじゅうの甘じょっぱい芳香は多くの栗饅頭のオブリビオンを弾きつけ、その匂いだけで骸魂を分離させるほどの破壊力だった。
「よし! このまま井戸へ向かってダッシュだ、ヘカテ!」
「ええ、焼きまんじゅうの加護を得た冥界の女神となった私は、今や無敵です!」
まるでニンジャめいて様々な饅頭を栗饅頭のオブリビオンへ投げつける主従を、メアリが猛追してきた!
「なるほどですねー、ハロウィンではお菓子を投げつけるのですね! アメリ分かっちゃいました!」
駄目っ! この子にこれ以上分からせちゃ駄目……っ!
「トリックオアトリートですよー!」
アメリ、抹茶味のきのこチョコをオーバースローで時速151mの剛速球で投げた!
「グワーッ!!」
内角高め危険きのこデッドボールッ!
命中した栗饅頭のオブリビオンが粉々に炸裂!
元に戻った妖怪から、骸魂が破裂するように飛び出していくのだった。
「なんか、別の人がチョコを投げてるぞ、ヘカテ……?」
「第二のぜっちゃんが……! 滅ぼしても他人へ悪影響を及ぼすとは、なんて忌々しいんでしょうか!」
主従は消え去った絶華の悪影響だと勘違いしてしまい、アメリのピッチングに慄くしかできなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木常野・都月
ハロウィンだ!
とりっくぁとりーとだ!
妖狐の悪さの任務だけど、まずは饅頭を食べ……
いや、とりっくぁとりーと、だな?
饅頭たち、今日はUDCアースにある、俺が好きな菓子を持ってきたんだ。
これこれ!じゃがるこ!
これ、俺大好きなんだ。
歯ごたえが、凄く良い。
もう1つ!
クルクルロールクッキー!
薄いクッキーが筒状にクルクルしてるやつ。
これも美味いんだ。
そして、お菓子のお供は、これ!
シュワシュワラムネ!
ラムネなら、カクリヨにもあるから、分かるだろう?
シュワシュワ最高なんだ!
チィも食べるか?
さぁ、一緒に!とりっくぁとりーと!
饅頭が骸魂と分離したら、饅頭も食べようかな。
適当に拾って、さっと土払って、いただきます!
魔女・ウィッチ
魔女装束姿で黒猫と共に箒へ乗って現れ、果実を一齧り。
「くくっ…良いじゃろう。偉大なる魔女であるこの我が少しばかり遊んで…話を聞きなさいよ!」
『にゃー!』
西洋妖怪「ウィッチ」の魔女×レトロウィザードよ。
「この偉大なる魔女の使い魔にしてやるわ。光栄に思いなさい!」
「おばあちゃんが言っていたわ!◯◯だって!」
左手に魔女導書を開き、右手に魔女揮杖を構えるわ!
オブリビオンとかを自分の使い魔にするのを目的に行動よ!成功なら指輪へ捕獲!ドジを踏んで意図せず他の猟兵に迷惑をかける事も有るかもしれないけどわざとじゃないのよ!?
装備は好きに使いなさい!ただし、無駄にしたら許さないんだからねっ!(ツンデレ感
木常野・都月(妖狐ヒト見習いの精霊術士・f21384)が大量のお菓子を持参してカクリヨファンタズムへ転送されてきた。相棒の精霊「チィ」と共に、石抱きの井戸へ続く道でお菓子をばら撒くことで、栗饅頭のオブリビオンを妖怪と骸魂に分離させているのだ。
「ハロウィンだ! とりっくぁとりーと! とりっくぁとりーと! どんどん道を開けてくれ!」
栗饅頭のオブリビオンにお菓子を差し出すたびに骸魂が空へ飛び出していく。
「チィ。骸魂は引っ搔いて壊してほしい」
「チィ!」
分離した骸魂が再び妖怪達を飲み込まないようにするため、チィがぴょんぴょん跳ね回って骸魂を前脚の爪で壊して回る。
それを確認した都月は、安心してお菓子の配布に専念できた。
「饅頭たち、今日はUDCアースにある、俺が好きな菓子を持ってきたんだ。妖狐の悪さの任務だけど、まずは落ちてる饅頭を食べ……いや、とりっくぁとりーと、だな?」
発音で覚えているのか、都月はトリック・オア・トリートと言えないでいる。
それを訂正する者は、ここにはいない……かに思われた。
「トリック・オア・トリートよ!」
突如、上空から箒に乗った金髪碧眼美少女が高らかに叫ぶ!
彼女は魔女・ウィッチ(|偉大なる魔女の伝説《グランソルシエール・サーガ》・f33446)!
フリフリな|魔女装束《ウィッチローブ》を纏い、若干11歳で魔女を名乗りし少女!
彼女は空飛ぶ箒こと|魔女灯箒《ウィッチブルーム》に腰掛け、黒猫の姿をした闇の精霊の|魔女使猫《ウィッチグリマルキン》「ルナ・ノワール」を従え、眼下に蠢く栗饅頭のオブリビオン達を見下しながら真っ赤なリンゴ……を使った、祖母直伝レシピで作ったアップルパイを頬張る。
「この世界で魔女を差し置いて混沌を齎すとはな? くくっ……良いじゃろう。偉大なる魔女であるこの我が少しばかり遊んで……って話を聞きなさいよ、栗饅頭! 仲間を復活させないでよ!」
栗饅頭達が、骸魂が抜けたごく普通の栗饅頭を再びオブリビオンとして復活させてしまうので、魔女は空中でムキーッと苛立っている。
それを都月が見上げて声を掛けた。
「おー、本物の魔女さんだ。俺、栗饅頭にお菓子をあげて骸魂を分離しているんだ。手伝ってくれないか?」
これに魔女がツンデレ気味に問う。
「ふん! 別に構わないけど、私のおばあちゃんのアップルパイ以外で栗饅頭をどうにかできるなんて思えないわ? どんなお菓子を持ってきたのか、このあたしに教えなさいよ!」
「いいぞ」
「ふぇ?」
都月は素直な性格なので、ツンデレなど無効化して即答してみせる。
これには魔女も肩透かしを食らうように呆気に取られてしまう。
そんな魔女を尻目に、都月は持参したお菓子の哨戒を始めていった。。
「まずは……これこれ! じゃがるこ! これ、俺大好きなんだ。いもを潰して棒状のまま焼いたもので、歯ごたえが、凄く良い」
早速、容器のふたを剥がして、棒状のお菓子を口に運ぶ都月。
――サクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサク!
「これ止まらなくなるんだよな。美味いし」
ちなみに、周囲に響くサクサク音だけで栗饅頭達は驚いて、骸魂を分離させてゆくのだった。
「ふ、ふん! ただ良い音がするだけのスナックじゃない!」
「あ、もう1つ!」
「まだあるの⁉ 今度もきっとショボいお菓子に決まってるだろうけど、一応聞いてあげるわ!」
「これはすごいぞ、クルクルロールクッキー!」
「クルクルロールクッキーですって⁉ 名前からして情報量がおかしいわよ⁉」
カクリヨファンタズム出身の魔女にとって、UDCアースで販売しているお菓子は衝撃の連続だ。
「これは薄いクッキーが筒状にクルクルしてるやつ。これも美味いんだ。クッキー生地にチョコやバニラが練り込まれてて、色の違いで味も変わるんだ」
「何よそれ! つまり属性魔法ってことじゃない! そっちの真っ赤な奴とか緑の奴とかもあるけど、何よそれ! 教えなさい!」
「ああ、赤いのはいちご味で、緑のは抹茶味だ。茶色はキャラメル味だし、黄色はバナナ味だ」
「この子……どれだけの属性をマスターしてるの⁉」
噛み合っているようで全くかみ合ってない会話。
しかし、2人ともピュアなので会話の齟齬に全く気が付いていない奇跡が現在進行形で発生中である。
「そして、お菓子のお供は、これ!」
「使い魔ってことね? お菓子の使い魔、あたしも興味あるわ! 見せてみなさいよ!」
「これだ、シュワシュワラムネ!」
「瓶に封印されているの⁉ 封印指定レベルの使い魔って、絶対ヤバい奴じゃない!」
「え、ラムネなら、カクリヨにもあるから、分かるだろう? シュワシュワ最高なんだ! チィも食べるか?」
「チィ! チィ!」
お菓子を頬張りながらラムネで喉奥へ流し込む都月とチィ。
その光景に、魔女は身の毛がよだつほど戦慄していた。
「何よそれ……! 噛み砕いた|マジックアイテム《お菓子》を|封印指定の使い魔《ラムネ》で体内に飲み込んだですって⁉ どんだけヤバいのよ、この妖狐……!」
「さぁ、魔女さんも一緒に! とりっくぁとりーと!」
「は、はい、大魔王様!」
「……俺、大魔王じゃなくて妖狐だけど?」
結局、会話が噛み合わなかった。
その後、2人は持参したお菓子を栗饅頭へ進呈して回り、骸魂を分離させていった。
「ねえ? さっきから地面に拾った栗饅頭たべてるけど……平気なの、それ?」
「ん? いやだって、また骸魂が入ったら大変だろ? ほら土を払って、いただきます! 魔女さんも食べるか?」
差し出された栗饅頭に、魔女は躊躇しながらも受け取って、周りの土を取り払って口の中へ放り込んだ。
「……優しい甘さ、嫌いじゃないわ!」
こうして、魔女は最期までツンデレムーブを貫き通したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『妖に魅入られし九狐『石狩・琴葉』』
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POW : 瞬陣・猛狐炎迅閃
【炎を纏った居合い斬り】が命中した対象を燃やす。放たれた【憎悪を含む燃え上がる】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 瞬迅・猛狐連撃閃
【精神統一を行って自身を律する事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【自分が装備している剣による素早い抜刀術】で攻撃する。
WIZ : 急尾式・緋焔爆炎弾
レベル×1個の【爆発する狐火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠石狩・和人」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
燃ゆる紅あか 弟恋し 石狩の 姉のこころは 骸に沈む
アタシのかわいいかわいい弟。
アタシは本当に血の繋がった弟を愛してた。
独占したかった。束縛したかった。閉じ込めたかった。
でもどんなに弟へ愛を囁いても。どんなに肌を寄せても。
あの子はアタシからどんどん遠ざかっていった。
どうして?
あの子を誰かに取られたくないから、アタシの手元に置きたいから。
幾度となく、毎日迫っていたのに。
あの子は、アタシを拒絶し始めた。
だから、初めはお仕置きのつもりで、あの子の尻尾をすこし焼いてやったの。
そしたら……大発見!
あの子ってば、泣きながらアタシに縋りついてきたの!
熱い、痛い、怖い、止めて、なんで、なんでって!
アタシはあの時、理解したの。
嗚呼、最初からこうすればよかったんだって。
アタシの炎は愛の炎だったのよ。
あの子はアタシに焼かれるときだけ、全力でアタシを求める。
アタシの事で頭がいっぱいになって、アタシの事で心が満たされて。
それってもう、愛じゃない!
その証拠に、あの子は次第にアタシの顔色を窺うように接してくれるの。
またいつ狐火で全身火炙りになってしまうか、怯えてるの!
これで弟はアタシのもの。
そう、思っていたのに。
どうしてアタシ、殺されなきゃならないの?
まぁ、いいわ。
ここはカクリヨファンタズム。
UDCアースの裏側の世界。
石抱きの井戸さえ辿り着ければ、またあの子に会える。
ほら、あと少し――。
漆黒と紅蓮の狐火を逆巻かせながら、狂った女妖狐が石抱きの井戸を目指す。
栗饅頭のオブリビオンを殲滅した猟兵達は、女妖狐の未練の言葉をそこで聞いた。
上手くそれを利用すれば、女妖狐に付け入る隙が生まれるかもしれない。
敵は暴走状態にして狂えるオブリビオン。
万全の態勢を期して臨むべし。
場合によっては、宿縁を持つ者と手を組む事も視野に入れるべきだ。
果たして、狂愛のハロウィン事件の結末や、如何に?
――ユーベルコードの高まりを感じるっ!
カシム・ディーン
言葉の情報を聞いて利用する…?
ああ、それは合理的だ
僕に相応しい
…だが
僕はやりたい事をやる
メルシー…下がって念動で援護しろ
「…!うん、わかったよ…!(ご、ご主人サマ…怒ってる…!)」
【情報収集・視力・戦闘知識】
琴葉の動き…剣術…居合の癖…性能…それを細かく冷徹に分析
残念ですよ…ヤりたかったがもっとやりてぇ事ができた
【念動力・弾幕・空中戦】
高速で飛び回り動きを鈍らせる念動光弾を乱射
対POW
【二回攻撃・切断・武器受け・盗み攻撃・盗み】
連続斬撃を繰り出し
反撃の居合切りに対し武器で受け止め可能なら刀切断
結果はどうあれ強奪しメルシーにパス
これは戦いじゃねぇ
想像力のねぇ糞馬鹿のてめぇへのお勉強タイムだ
止めは宿縁主に譲
【属性攻撃】
UC発動
火炎熱量強化
問1
尻尾を焼かれるのはどんな気持ちですか?(じゅっ
問2
全身を焼かれるのはどんな気持ちですか?(じゅじゅじゅっ
問3
今てめぇは全身を焼く僕に頭一杯だがそれは愛か?
問4
今てめぇを焼いているこれは愛の炎か?
己が力尽きるか理解させるまで
何度も何度も何度も焼き続ける
テラ・ウィンディア
……やりすぎちゃったかな…(しょんぼり
「テ、テラ…気にしてはいけません!」(彼奴…本当に成仏した…?なぜかわかりませんが凄く嫌な予感がするんですよね…
そ、そうだな!兎に角あいつを倒すぞ!
…お前!お姉ちゃんならちゃんと家族は大事にしないといけないぞ!
第一…焼いたら痛くて辛いんだぞ!(シルにそんな事されたら…あ、おれ泣いちゃう
【戦闘知識】
琴葉の剣術の傾向と動きを把握
【属性攻撃】
炎属性を己に付与
【見切り・第六感・残像・空中機動・武器受け・オーラ防御】
高速で飛び回りながら残像も残して居合斬りを回避
避けきれないのは剣と太刀で受け止め炎は己のオーラと炎で振り払い
【弾幕・重量攻撃・貫通攻撃】
ドリルビットとガンドライド展開!
重力弾の弾幕とドリル攻撃を叩き込むぞ
【二回攻撃・切断・早業・串刺し】
UC発動
攻撃力強化
おれがやられる未来を切り裂き
お前に攻撃を受けた過去を滅ぼし
今お前に焼かれる現在を打ち破る!
時空を掌握した黒騎士の力…その身に味わえ…!
高速の連続斬撃を叩き込む!
痛いか!誰だって痛いのは嫌だぞ!
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は石抱きの井戸に辿り着き、妖に魅入られし九狐『石狩・琴葉』の狂った愛の言葉を聞く。
その言葉に静かな怒りの炎を胸中に灯す。
「彼奴の言葉から得た情報を利用する……? ああ、それは合理的だ、クレバーな僕に相応しい。……だが」
帝竜眼を持ち出し、ギラギラと両目を見開いてくつくつと嗤う。
「僕はやりたい事をやる。メルシー、命令だ……下がって念動で援護しろ」
差し向けられた極寒の眼差しに、相棒のメルシーの身が竦む。
「……! うん、わかったよ……!」
まがりなりにも神格を持つメルシーが、主である少年の怒気に気圧されてしまう。それほどの迫力が今のカシムに宿っているのだ。
(ご、ご主人サマ……本気で怒ってる……!)
愛や絆という言葉を愚弄する言動は、孤独だったカシムにとって地雷である。
目の前の琴葉が他の猟兵の宿敵だということは理解してるし、決着はそちらへ譲るとしても、カシムはこの怒りを可及的速やかに沈めなくては気が済まない。
そこへ遅れてテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)と彼女の保護者を自称する女神ヘカテイアがやってきた。
「ぜっちゃん……やりすぎちゃったかな……」
『もう私は二度と現れないので、これからはピンチの時は私を頼らずに2人で頑張ってくれ』
そう言い残し、皇・絶華の霊は消滅していった。
テラはただ彼に反省を促すつもりのだけだった。
「どうせぜっちゃんの事だから、ハロウィンらしく南瓜頭を被ってキレッキレに反省を促すダンスを燃え盛る炎の中で踊ってくれると思ってたんだ……! ナラナイコトバヲモウイチドナラーシテー!って……」
「テ、テラ……気にしてはいけません! もともと私達2人でやってこれたじゃないですか! あれがいなくなったって今更戦力不足になりませんし、余計なトラブルに遭遇することはありませんよ!」
「うう……そ、そうだな! 兎に角あいつを倒すぞ!」
ヘカテイアの進言に納得したテラは、紅龍槍『廣利王』を握って炎の加護を全身に纏った。
その一方、ヘカテイアはテラに悟られぬように逡巡する。
(彼奴……本当に成仏した……? なぜかわかりませんが、凄く嫌な予感がするんですよね……)
多分、杞憂である。出てきてもスルーするだろうから。
そう2人が望んだのだから、そういうことになるのだ。
テラは井戸に近付く琴葉を見るなり、迷いを振り払うために大声で呼び止めた。
「……お前! お姉ちゃんならちゃんと家族は大事にしないといけないぞ! 第一……身体を焼かれたら痛くて辛いんだぞ!」
テラは勇敢に琴葉を詰めるが、内心では自身の双子に酷いことを事されたことを想像していた。
(……あ、おれ泣いちゃう……)
家族は仲良くしないといけない。
テラはそう信じていた。
それを見透かすように、琴葉はニタリと笑ってテラへ語りかける。
「本当に、そう思ってる?」
「ど、どう云う意味だ?」
思わずテラが問い返す。
「世界中の全ての家族が仲良くしなくちゃいけないって、本当に信じてる? 各家庭の事情や信仰や信条や風習や文化を全く考慮してないあんたが、なんでそう断言できるの?」
琴葉は壮絶で凄惨な笑顔を見せる。
それだけで彼女は特殊な環境や感情下に支配されてきたことを示唆する。
テラは負の感情に背筋が凍えて一歩退いてしまった。
正の世界を信じてきたテラは、深淵の闇のように真っ暗な琴葉の眼を見て息を呑んでしまう。
「テラ……オブリビオンの言葉に耳を貸してはいけません!」
「……! あ、ああ! おれは大丈夫だ、大丈夫だぞ……!」
ヘカテイアの叱咤に我に返ったテラは、噴き出た額の汗を拭う。
(奴のユーベルコードは炎を纏った居合い斬りだ……気迫で負けたら、長物のおれでも分が悪い!)
呼吸を整えようとするテラに、カシムが鼻で笑う。
「善い子は休憩してろ。此処からは悪い子の時間だ。メルシー、分かってるな?」
「う、うん……!」
カシムが帝竜眼を片手に乗せたままゆっくり琴葉の前へ歩み寄ってゆく。
まさかのほぼ徒手空拳のままの無防備な状態!
そのまま切ってくれと言わんばかりの行動に、琴葉が失笑してしまう。
「あっはははは! あんた馬鹿なの? 素っ首刎ねてくれって言ってるようなものよ?」
「やってみろ、ヤンデレ糞狐!」
カシムの憤怒の一喝が琴葉の全身をびりびりと震わせる!
「おめぇがすっトロい居合い斬りをする間に、僕とメルシーはおめぇを泣かすぞこら……!」
物腰が完全にヤクザなカシムが琴葉をガン付ける。
メルシーも万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』を構えたまま空中に浮かび上がっていた。
「ほら、僕の首はこのとおりガラ空きだ。もう少し近付いたほうがいいか? 僕はフェミニストなんで実際親切なんだよ。ほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほら!」
頸動脈を指差しながらゆっくりと琴葉の近くへにじり寄るカシムに、琴葉が絶叫した。
「ああ、お望み通り殺してやるよ! 瞬陣・猛狐炎迅閃!」
鞘から引き抜いた刀身が一瞬で爆炎に包まれ、爆発によって生まれた圧力が剣閃を更に加速させてカシムの頸動脈へ飛んでゆく!
(――言わんこっちゃない、真っ二つよ!)
燃え盛る炎刃がカシムの頸動脈を断ち切る感触が伝わる……直前!
「ぎゃあああぁぁっ!?」
すっ飛んだのはカシムの首ではなく、琴葉の身体であった!
「ご主人サマ! 首大丈夫? 繋がってる??」
メルシーが上空から念動光弾を琴葉へむけて乱射したのだ。
カシムは派手に吹っ飛んだ琴葉を睨み付けたまま、彼専用のソードブレイカーをメルシーへ掲げていた。
恐らく、持ち前の俊敏さで放たれた斬撃をそれで受け止めて刀身をへし折ろうとしたのだろう。
あの居合い斬りを『すっトロい』と言い放ったのは嘘ではなかったのだ。
「おめーの支援がなくとも、僕一人で何とかなったけどな? まぁ……サンキュな?」
「ご主人サマに褒められた!」
普段はこんな時、カシムはメルシーを足蹴にするくせに。
怒りで品行方正になってしまうカシムに、メルシーは上空でゾッとしてしまう。
「残念ですよ……見てくれは好みなんで一発くれーヤりたかったが……もっとやりてぇ事ができた」
カシムが琴葉へ歩み寄ろうとしたその時だった。
「今がチャンスだ……!」
テラが弾丸のように突っ込んできた!
素早く起き上がって突き出された槍の穂先を炎の居合切りで逸らす琴葉!
刀身に触れた紅龍槍『廣利王』の穂先に琴葉の炎が燃え移るが……。
「おれの炎のほうが熱いぞ!」
己の炎魔術で琴葉の炎の浸食を払拭!
琴葉は舌打ちをして妖刀を正眼に構える。
「ちぃ! こうなったら純粋に斬り合いしかないわね!」
「リーチならこっちのほうが有利だぞ! いくぞ!」
途端、刀と槍が残像が出来るほどに撃ち合い、幾重にも金属音が鳴り響き、空間に斬撃の後を刻み付けてゆく。
特に槍は刀と違い取り回しが難しい分、斬撃の軌跡が長いため琴葉がなかなか踏み込んでこれない。
そしてテラにはヘカテイアの援護もある!
「テラ! 援護します! ドリルビットとガンドライド、展開します!」
浮遊砲台から重力魔弾を発射し、ドリルビットは琴葉の足元を掘り進めて片脚を地面に引きずり込ませてしまう。
「しまった!」
身動きが取れなくなったところへ重力魔弾の弾幕が命中し、琴葉の身体は指一本動かなくなってしまう。
そこへ叩き込まれるはテラの必殺技だ!
「三呪剣よ……我が過去……現在……未来たる三界を切り裂く刃としての力を、今ここに示せ……!」
宝貝『時空魔刃・三呪剣』――自律機動戦闘能力と時空を切断する力を持つ白・黒・灰の三対の剣型宝貝が旋回しながら浮遊する。
「おれがやられる未来を切り裂き! お前に攻撃を受けた過去を滅ぼし! 今お前に焼かれる現在を打ち破る! 時空を掌握した黒騎士の力……その身に味わえ……!」
スピントルネード高速縦回転をする三呪剣が、身動きが取れない琴葉の肩口をバズソーめいて骨肉を切り裂いてゆく!
「いやあぁぁぁっ! 何してくれんのよぉ! 痛いじゃないの!」
「そうだ! 痛いだろ! 誰だって痛いのは嫌だぞ!」
「あなたの弟さんへ仕向けたのも、こういうことだったのですよ?」
テラの怒号にヘカテイアが穏やかな口調で諭す。
しかし、琴葉は三呪剣を炎の爆発で肩口から吹っ飛ばすと、周囲に転がる栗饅頭のオブリビオンを口だけで犬食いする!
すると、裂けた肩口が繋がってゆくではないか!
「骸魂を補給したわ! くそ! 井戸はもう少しなのに、何で邪魔してくれるのよ!」
「そりゃ、てめぇへの教育のためだ」
カシムがテラに気が済んだかと言いたげに見下す。
その威圧感にテラもまたカシムに道を譲ってしまう。
「こっから先は戦いじゃねぇ。想像力のねぇ糞馬鹿のてめぇへのお勉強タイムだ」
カシムが帝竜眼に紅蓮の魔力を宿らせて詠唱を開始する。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……炎の竜種を束ねし竜の力を今こそ我が身に示せ……!」
次の瞬間、カシムの身体が大地を消滅させる程の超高熱溶岩流に変身する。
おお! この力はガイオウガの爆熱溶岩流!
凄まじい熱量が周囲の空気を焼き尽くし、上空にいるメルシーもその熱波で肌が焼け焦げそうだ!
テラとヘカテイアも緊急退避するほどの危険度の爆熱を放つカシムは、身動きが取れない琴葉に問うた。
「問1・尻尾を焼かれるのはどんな気持ちですか?」
琴葉の尻尾の1つが溶岩流で燃え盛る。
当然、苦痛の絶叫を上げる。
続けてカシムは詰問する。
「問2・全身を焼かれるのはどんな気持ちですか?」
続いて尻尾のみならず全身が溶岩流に飲まれる琴葉が悶絶する。
「熱い熱い熱い熱い! やめてよやめて!」
「問3・今てめぇは全身を焼く僕に頭一杯だがそれは愛か?」
「は!?」
カシムの問いを琴葉が理解できずに聞き直す。
だがカシムはこれを無視して更に問い掛ける。
「問4・今てめぇを焼いているこれは愛の炎か?」
琴葉がすべての問いを聞き終えると、満面の笑みで答えた。
「ええ、愛よ……! まさしく愛だわ!」
「うげぇ……イカれてやがるな?」
カシムはまさかの回答に顔を引き攣らせた。
琴葉が全身を燃やしながら答えた。
「だって、最初にあんたが言ったでしょう? これは教育だって! つまり、私を想っての行為ってことなら、それは愛よ!」
予想の斜め上の論理に、カシムはおろかメルシーも絶句してしまう。
「これは……救いようがねぇ馬鹿だったみたいだな?」
カシムは変身を解き、琴葉への責め苦を中断した。
「てめぇに必要なのは『放置プレイ』だ……ほら、お望みの弟がやってきましたよ?」
完全に興味を失ったカシムは踵を返して、向かってくる宿敵主へ視線を向ける。
「あれは駄目だ……お前がきっちり終わらせてやれ」
そう告げると、カシムはメルシーに合図して戦線から退いていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木常野・都月
家族、弟なのに、狐火で焼くのか。
それに、俺の知ってるアイシテルとも違う気がする。
骸魂のせいか、この人の性格か、俺にはよく分からないけど……
これもアイシテルなのか?
人は、ヒトは本当に難しい。
でも、わかった事も1つある。
今の貴女は獣に近い、そんな風に思う。
家族に、仲間に、牙を向けるような獣を、このままUDCアースに行かせる訳にはいかない。
UC【精霊おろし】でカクリヨの誰か。
助けてくれる誰か、力を貸して欲しい。
[野生の勘、第六勘]で立ち回りつつ、敵の隙を窺って[属性攻撃、]で戦おう。
敵の攻撃は、[カウンター、高速詠唱]で迎撃を、間に合わないようならダガーとエレメンタルダガーで対処できればいいな。
魔女・ウィッチ
ふん!あたしが1番凄くて偉いんだから!カクリヨでの弾幕勝負なら受けて立ってやるわよ!
「にゃー!」
禁果を齧り、呪いや状態異常の魔力を得る
書を開き、杖先に破光を魔力溜めし続け
箒に騎乗して魔術増強
UC発動
Lv×100㎞/h移動
瞬間思考力で回避
高速詠唱+多重詠唱+無酸素詠唱+誘導弾+自動射撃+一斉発射で全方位に慈剣の無限弾幕を張り、敵UCを相殺
相殺しきれなければ使猫の魔弾術、灯箒の火炎放射で更に迎撃
照鏡の盾と法力オーラ防御で防ぐ
【真の姿】で回復
呪いや状態異常の法力で具現した慈剣と魔法剣の包囲攻撃で動きを封じた所を、貫通攻撃+鎧砕き+スナイパー+白炎属性攻撃+全力魔法の破光で尻尾を焼いて恐怖を与えるわ!
宿縁を持つ猟兵達が井戸に到着するまでの少し前。
木常野・都月(妖狐ヒト見習いの精霊術士・f21384)は件の妖狐こと妖に魅入られし九狐『石狩・琴葉』と対面していた。
既に先行して戦闘を行っていた琴葉の身体は火傷だらけだ。
しかし、地面を転がる栗饅頭のオブリビオンを鷲掴みにすると、それを何度も口の中へ放り込んで咀嚼する。
すると、骸魂が補給されて火傷が癒えてゆくではないか。
「うわあぁぁ! オラまで食わないでくれぇ!」
食われたショックで栗饅頭のオブリビオンから分離された妖怪達が、琴葉の姿を見て大慌てで逃げ出してゆく。
「……危なかった。俺も一歩間違ったら、妖怪さんたちや骸魂をかじってたかもしれないぞ」
先程まで地面に落ちてた栗饅頭をパクパクしてた都月が、ちょっと青ざめていた。
その傍らで、箒に腰掛けて宙に浮く魔女・ウィッチ(|偉大なる魔女の伝説《グランソルシエール・サーガ》・f33446)が都月に声を掛ける。
「さすが魔王様ね! 栗饅頭を拾い食いしてたのは、消費した魔力を補給してたわけね!」
なお、勘違いは継続中である。
そんな魔女は空中でビシッと人差し指を突き出すと、琴葉へ向けて高圧的な物言いをぶつける。
「ふん! あたしが1番凄くて偉いんだから! カクリヨでの弾幕勝負なら受けて立ってやるわよ!」
「にゃー!」
箒の先端に乗っかる|魔女使猫《ウィッチグリマルキン》ルナ・ノワールが小馬鹿にするように鳴いた。
これに琴葉は完全無視!
「は? お子ちゃまの遊びに突き当てる暇はないのよ。ほら帰りなさい」
琴葉は脇目を振らずに井戸へ向かう。
これに魔女は苛立ちを抑えられずにいられない。
「きーっ! 少しは話を聞きなさいよ! もういいわ! そっちがその気がないなら、あたしから仕掛けるまでよ!」
|魔女禁果《ウィッチフルーツ》をかじり、その身に呪いや状態異常付与の魔力を得る。
そして|魔女導書《ウィッチグリモワール》を開いて魔力を増幅させつつ、上空へ飛翔して琴葉の攻撃をやり過ごそうとする。
「さあ、弾幕あそびの始まりよ! これを全部避け切れるかしら?」
|魔女揮杖《ウィッチタクト》の先端に一際眩い白炎を宿しながら超音速で飛翔する魔女。
そのままユーベルコード『|欲望具現術「魔女の大いなる慈悲の剣」《ウィッチクラフト・グランミゼリコルディアスパーダ》』を一斉発射!
「幾何学模様を描き、戦場の敵全てを包囲攻撃することで、1130本の魔法剣があんたの動きを封じるわ! そっちの井戸には行かせないわよ!」
高速で飛び交う魔法剣を視認した琴葉は、ようやく魔女を障害と認識した。
「はぁ? クソみたいなユーベルコードでイキッてんじゃないわよ。低レベルの雑魚が!」
次の瞬間、393個もの爆炎球が出現し、飛び交う魔法剣をことごとく粉砕してみせる!
「アタシのレベルは393なの! 確かにハエみたいに飛び交う剣のせいであえに進めないのが癪だけど、アタシに向かって飛んでくるのが分かってるなら、どうとでも対処できるわ!」
爆発で広範囲の魔法剣を粉砕し続けてゆけば、あっという間に周囲の空間は爆炎球のみになっていた。
「聞いたことがあるぞ。狂えるオブリビオンは他のオブリビオンとは格段に違う実力を持っているって」
白い腕輪『Scutum animi』から発せられる球体シールドの中で精霊チィを抱きしめながら、魔法剣と爆発をやり過ごす都月が言葉を漏らす。
魔女はそれに思わず顔を引き攣らせた。
「何よそれ! 反則だわ! きゃあっ!」
爆炎球のひとつが魔女をかすめる!
爆風でバランスを崩した魔女が地面に墜落し、その身を数回弾ませて倒れ込んだ。
「わ、私が最強なのよ! あんたみないなチートは反則、よ、反則……ぅう……!」
「はぁ……自分の弱さを棚に上げて吠えないでほしいんだけど? それじゃ、粉々になってよ!」
琴葉が残りの炎をすべて魔女へ解き放つ!
「危ない!」
バリアを一旦解除して、都月が魔女の前に飛び出す!
「馬鹿! 何やってるのよ! 死ぬ気なの!?」
魔女の怒声を無視して都月が全力の妖気をシールドに籠める。
「死ぬ気なんかない。ただ助けたいだけだ」
次の瞬間、都月の目の前が灼熱と衝撃が爆ぜる!
「うっ……なんてすごい炎なんだ。これが、弟を焼いた炎なのか。全身が焦げてしまいそうだ」
都月は魔女を守るべく自身を盾にして炎に挑む。
野生動物として数年間はただの狐として生活していた彼にとって、炎を身に浴びることは恐怖心を伴うはずなのに。
だが逃げない。怯まない。諦めない。
都月は琴葉へ大声で訴える。
「家族、弟なのに、狐火で焼くのか? それに、俺の知ってるアイシテルとも違う気がする。なぜだ?」
「愛情表現は千差万別なのよ、坊や? 時には苦痛を与えることだって愛情よ!」
「坊やじゃない。俺はもう大人だ。そんなに子供っぽく見えるのか?」
都月はチィの力も借りつつ、ひたすら爆炎を耐え続けて延焼を防いでゆく。
「骸魂のせいか、あなたの性格か、俺にはよく分からないけど……。俺や魔女さんを焼くことも、これもアイシテルなのか? ああ……人は、ヒトは本当に難しいな。なんて悲しいことをするんだ」
「もういいわ、退きなさい! 実はあたしも反撃の準備くらいしてたのよ! あの言動はブラフで、油断したところに特大の一撃を喰らわせるはずだったのに、これじゃ不意打ちが台無しじゃない! どうしてくれるのよ!」
キレる魔女に都月が確信を籠めて告げた。
「俺の知ってるアイシテルは、誰かに優しくすることだから」
「……へ?」
「優しくするということは、困ってる誰かを助けることだ。だから、俺は魔女さんを見捨てるような真似は出来ない」
都月の胸の中で決意がみなぎる。
誰かを守りたい。誰かに笑顔でいてもらいたい。彼に愛を告げた金毛の妖狐の女性の顔が思い浮かぶ。
「それに、俺自身も死ぬつもりはない。俺の帰りを待ってる大切な存在がいるから。だから、琴葉さんは俺が止める」
その時、都月が口から大量の血を吐き出す!
「ちょっと! どうしたのよ!? 血が、血が……!」
何度も喀血する都月に魔女がおろおろと後ろで狼狽し続ける。
都月は血を吐きながら、琴葉へ訴え続ける。
「でも、わかった事も1つある。今の貴女は獣に近い、そんな風に思う」
炎を受け止める都月の身体が、大量の水分で覆われてゆく。
いったい何が起こっているのだろうか?
「家族に、仲間に、牙を向けるような獣を、このままUDCアースに行かせる訳にはいかない。これは俺だけの意思じゃない。カクリヨファンタズムの何処かに住んでる、名も知らない水竜の神様や河童たち、それに舟幽霊たちが俺に力を貸してくれたから」
これは都月のユーベルコード『精霊おろし』だ。
カクリヨファンタズム中の水属性の妖怪や幽霊、それに竜神に願い、それが彼らに届いて力を分け与えるように都月へ憑依したのだ。代償として血を吐くほどの負荷が身体に掛かるが、これで今の都月は超強化されて現在のレベルの3倍分のパワーを発揮できるようになった!
「その炎は危ないから消すぞ」
水を操って爆炎球をすべて消化した都月は、猛ダッシュで琴葉の眼前へ肉薄!
コンマ1秒も満たない超スピードに反応できない琴葉は、咄嗟に防御姿勢を取る。
そして都月はエレメンタルロッドに水を纏わせて……全力でぶん殴った!
琴葉の側頭部にクリーンヒット!
「がはッ!?」
殴打された琴葉が空中で身を捩って着地すると、今度は居合いの構えを取る琴葉!
そして一拍の深呼吸、精神統一を行って自身を律する!
「瞬迅――!」
琴葉が都月と魔女を視界に収める。この瞬間、無限射程の斬撃の準備が整う。
「――猛狐連撃閃!」
疾風の如き二連抜刀術!
鍔鳴り音が二つなると、斬撃波が飛燕めいて猟兵2人に襲い掛かる!
都月は杖を投げ捨てて即座にエレメンタルダガーと短剣を鞘から抜き払い、水の壁を目の前へ出現させて盾とする!
斬撃波は水の抵抗を貫通するが威力が激減。
そのふたつの斬撃を都月が左右の短剣で受け止め、腕輪のバリアも利用して別の角度へ攻撃を吹き飛ばした!
すかさず水の壁を飛び越えて、琴葉の懐へ飛び込む都月。
「ごめん。でも、止めるって決めたから。すごく痛いぞ」
交差させた腕を、琴葉の腹の前で同時に左右へ振り抜く都月。
クロススラッシュ!
通過してゆく都月、腹を裂かれて血を零す琴葉!
そんな彼女の視界が、一瞬で真っ白に埋め尽くされて吹っ飛ばされていった。
光の出どころは……魔女の突き出した杖の先からだった。
「言ったでしょ! 反撃の手段を用意してるって! あたしが杖に溜め込んでいた白き炎たる破光の全力魔法よ! さあ、この偉大なる魔女に恐れをなしなさい! 雑魚って言ったこと、絶対許さないんだから! いーっ!」
「ああ、よかった……ぶ、じで……よかっ……」
歯を食いしばって勝ち誇る魔女を見て、安堵した都月が意識を手放して卒倒してしまう。
「え、ちょっとぉ! せっかく勝ったのに死んだら許さないわよ!」
11歳の女の子が成人男性を箒に乗せて戦場を離脱してゆく。
そして、遅れてやってきた宿縁の主である琴葉の弟らしき妖狐へ、上空から魔女が檄を飛ばした。
「あんたの姉に灸を据えてやったわ! 後は任せたわよ! しくじったら、この偉大なる魔女の怒りを買うことになるわ! いいわね!?」
そう告げると、都月を治療するため、大急ぎでカクリヨファンタズムにある自宅へ飛んでいったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
石狩・和人
引き続きゼル(f00372)と一緒だ。
(震える身体が行動を拒む)
(こわい。怖い。コワイ)
過去のトラウマが身体を蝕んでいく気がする。
…立ち止まっていられない。
隣には、想ってくれる大切な人がいるんだ。
昔とは違って、炎に対する耐性は十分にある。…俺がやらなきゃならないんだ
此処で退きたくない。
俺が…諦める訳には行かないんだ!
俺は…前に進むって決めたんだ!
ゼルから貰った、胸に提げたお守りがチカラをくれるのがわかるから。
姉さんの罪、此処で祓うッ!!
指定UCの【瞬迅・猛狐更心剣】で、姉さんの悪心を祓おう。…せめて、清い心で逝けるように。
|おやすみ《さよなら》、姉さん
○アドリブ歓迎!殿での描写希望
デュオゼルガ・フェンリル
引き続きカズ(f06901)と一緒だぜ!
心情
カズの姉ちゃんの行動、なにか引っかかるな…よく注視しねぇと
何があっても、ずっと一緒だ!
俺がカズを護る!どんな攻撃でも防いでみせる! そんなちゃっちぃ炎で、俺の氷は溶かせないぜ!
戦闘
カズに向けた攻撃は全部【かばう】【武器受け】氷属性の【属性攻撃】氷の【オーラ防御】で対応するんだぜ!
一瞬一瞬の隙を見逃さないように、カズが決着をつけるタイミングを作る!
ダメージを与えて足元を凍結させたりとかっ
カズにとってつらい選択になる… だからこそ、支えたいんだ!
俺が絶対…カズを護るから!!
大好きなキミを護るために…俺はここにいるんだッ!!
○アドリブ共闘歓迎!
※殿描写希望
アメリ・ハーベスティア
オロチヒメおねーさんの予知から聞いていましたけど、相手は飛んでもない毒親ならぬ毒姉なのです。
でも、井戸にも行かせませんです
●WlZ
可能なら宿敵主の弟さんの『援護射撃』を心掛ける様に連携を心掛けるです
【地竜の翼】に『オーラ防御&結界術&属性攻撃(冷気)』を込め、アメリを『庇う』様に構え『激痛耐性&火炎耐性』で備え(攻撃は『第六感』で『見切り』で回避、被弾は【地竜の翼】で『盾受け&ジャストガード&受け流し』)
【アンチファル】に低空『空中戦&空中浮遊』で『推理移動』の補助補助して貰った『ダッシュ』で駆けながら
『高速詠唱&多重詠唱&全力魔法&2回攻撃&毒使い』で【キノコミコン】のUC発動で幻覚効果のキノコミサイル『弾幕&範囲攻撃』を『属性攻撃(井戸)』を込めた【トロンマッシュ】と併用で重ね撃ち、幻覚と見た目は井戸のトロンマッシュの弾幕で、毒姉狐さんの撹乱なのです
さて本物の井戸は何処でしょーか?
幻覚にかければ、全部偽物なのにも気付かない程、上手く撹乱出来れば良いのですが
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
遂に石狩・和人(秘める想いは護るべき友の為に・f06901)はオブリビオンとして蘇った石狩・琴葉と対面を果たす。
「姉さん……」
ふり絞るように声を出す和人。
その声に、琴葉が耳を疑い、すぐに和人の顔を視認した。
「……ああ!」
琴葉の顔がまるで恋する乙女のように目を輝かせて息を呑んで破顔一笑する。
「和人? 和人よね? 本物の和人だわ! ああ! 愛しい和人! 可愛い和人! 大きくなったわね! ほら、こっちへおいで?」
両手を広げて和人を受け入れようと歩み寄る琴葉。
それを、デュオゼルガ・フェンリル(父の背を追う蒼拳狼・f00372)が遮った。
「やめろよ! カズが怖がってるじゃねぇか!」
「邪魔しないで。久々の姉弟の再会に水を差すなんて。あなた誰?」
「おいおい、カズの幼馴染の俺を忘れちまったのかよ?」
デュオゼルガが琴葉を睨む。
どうやらオブリビオン化した際に記憶の混濁が見られるようだ。
(カズの姉ちゃんの行動、なにか引っかかるな……よく注視しねぇと)
互いに息巻くデュオゼルガと琴葉をよそに、和人は全身を粟立たせながらガクガクと震わせていた。
(震える身体が行動を拒む……こわい。怖い。コワイ)
過去のトラウマが身体を蝕んでいく気がする。
琴葉に焼かれた痛み、熱さ、苦しみが思い出されると、全身が強張って何も出来なくなる。
だが、和人は唇を噛んで拳を握る。
(……立ち止まっていられない。隣には、想ってくれる大切な人がいるんだ。昔とは違って、炎に対する耐性は十分にある。……俺がやらなきゃならないんだ)
ここに来るまでに琴葉と先に戦った猟兵達から声を掛けられた。
それを聞くと、もう琴葉が戻ってこれないところまで行ってしまったことを思い知った。
そして実際の琴葉と対面して確信した。
「もう、俺は……姉さんのオモチャじゃない!」
「え?」
和人の言葉に琴葉が呆気にとられている。
そのまま勇気を出して、和人が姉へ言葉をぶつける。
「俺はずっと嫌だった! 姉さんが俺を燃やすの、すごく熱くて痛くて、本当に嫌だった! そのおかげで、俺はトラウマになって女性が苦手になったし……正直、姉さんの事、俺……大嫌いだ!」
積年の恨みや想いが溢れる。
今まで反抗できなかった和人にとって、生涯で初めて姉への反逆であった。
「此処で退きたくない。俺が……諦める訳には行かないんだ! 姉さんからの精神的支配から抜け出すんだ! もう俺は……前に進むって決めたんだ! ゼルから貰った、胸に提げたお守りがチカラをくれるのがわかるから」
そういうと、肉球マークがあしらわれた御守りを愛おしそうに握り締める和人。
デュオゼルガも和人の反論を後押しする。
「何があっても、ずっと一緒だ! 俺がカズを護る! どんな攻撃でも防いでみせる! もう姉ちゃんにカズを傷付けさせやしない! 俺が絶対……カズを護るから !!」
お揃いの肉球マークの御守りを琴葉に見せつけるデュオゼルガ。
これに琴葉は顔を引き攣らせ、ヨタヨタと数歩後ろへ下がった。
「……嘘よ、和人が私を嫌いだなんて言うはずがないわ」
「嘘じゃない! 姉さんなんか、大嫌いだ!」
「いぁぁぁあーっ!」
和人の拒絶に琴葉が逆上!
「認めないわ! あんた達がそういう関係だとか、和人がアタシの事を嫌いだとか、嘘よ嘘よ嘘よッ!」
2人と距離を置くと、刀の柄に手を置く。
「和人ぉ? 久々だから忘れちゃったのよね? 少し痛めつければ……アタシの愛を思い出すわよねぇ!?」
393個の爆炎を生成して、空中に浮かばせる琴葉。
「ほぅら! 和人の大好きな尻尾焼きよ!」
空中の爆炎球を和人とデュオゼルガへ投げつける!
そこへ突然、2人の前に飛び込んでくるドラゴニアンの姿が!
「ここはアメリが守るのです!」
アメリ・ハーベスティア(キノコ好きの「よいこ」な地竜の末裔・f38550)が地竜の翼を広げて氷壁の障壁を展開!
翼で炎を遮断し、爆風を受け流し、和人とデュオゼルガを守り抜く。
「オロチヒメおねーさんの予知から聞いていましたけど、相手は飛んでもない毒親ならぬ毒姉なのです。でも、井戸にも行かせませんです」
「邪魔よ! あんた誰よ!」
「アメリは通りすがりのスーパーよいこな地竜なのです! 義によって助太刀するのです!」
爆炎球をすべて弾き返したアメリ、意志を持ち先祖代々伝わる闇の竜の牙で出来た大剣『アンチファル』に両足を乗っけて低空飛行して琴葉へ突撃!
「アメリはスーパーよいこなので、人を傷付けて愛してるというのは間違っているのです! だから宿敵主の弟さんの援護をするのです!」
爆炎を弾き飛ばしながら琴葉の周囲を何度も行き交う。
攻撃が効かない琴葉に焦りの色が見える。
「くそが! 鬱陶しいわ! それに地竜ですって? ミミズの分際でアタシの愛を阻むつもり!?」
「えっ? アメリ、ドラゴンですよ?」
「はあ? 地竜ってミミズの漢字表記じゃない! まさか知らなかったの?」
琴葉とアメリの会話が噛み合わない。
確かに、地竜と検索ワードを入力して真っ先に出てくるのは大量のミミズの画像だ。
耐性がない人が見たら卒倒するのでお勧めできない。
なお、地竜というのはミミズを乾燥させた生薬の事でもある。
そうとは知らないアメリは、己のアイデンティティーを破壊されて涙目だ。
「アメリはミミズじゃないですー! だったらこれからは土竜と名乗るですー!」
「あのさ、それだとモグラになっちゃうぜ?」
「ゼル、味方に追い打ち掛けちゃ駄目だろ……」
デュオゼルガの助言を和人がツッコミを入れた。
もうアメリはぐずぐずに泣きじゃくりながら、やけっぱちにユーベルコードを発動させる!
「ひっぐ……キノコミコンに記された、毒キノコの魔力の本領を、今こそ此処に示すのでずっ! マ、マッシュライト・ポイズプロージョンッ! うええぇぇんっ!」
泣き喚きながらアメリは茸図鑑型魔導書・キノコミコンからキノコ型の爆発をする光輝くキノコミサイルを乱射!
篠突く雨の如く四方八方から押し寄せるキノコミサイルが、琴葉の周囲で次々と炸裂してゆく!
「きゃあぁぁっ!」
爆発に耐える琴葉が土煙を手で必死に払いのける。
「ゲホゲホッ! な、なんとか生きてるわね。って……何が起きてるの、これ?」
土煙が収まり、琴葉の視界が晴れてゆく。
すると、辺り一面、いや地平線の彼方まで井戸があちらこちらに出現しているではないか!
「い、井戸が増えてるじゃない!? 本物はどれよ!?」
「さっきのミサイルの隙にアメリが細工しておいたのです。さて本物の井戸は何処でしょーか?」
「あああああ! よくもやってくれたわね! ここ? 違う、こっちね!」
琴葉があちらこちらの地面に顔をくっつけては何かを探す動作を繰り返す。
あれはいったいどういうことだろうか?
アメリは和人とデュオゼルガへコッソリ耳打ちした。
「しめしめです。さっきのキノコミサイルが命中すると、強幻覚が見えてしまうのです。ですので、今お姉さんにみえてる井戸は全部幻覚で偽物なのです」
「うへぇ、よい子の割にはえげつないユーベルコードだな?」
「他人のユーベルコードって時々びっくりするよね……」
デュオゼルガが慄き、和人は唖然とする。
「でも、これってチャンスじゃないか?」
デュオゼルガが和人へ言い聞かせる。
それは、和人がオブリビオンといえど実の姉を殺すことを意味する。
「カズにとってつらい選択になる……だからこそ、支えたいんだ!」
「ゼル……!」
2人は自然と手を取り合い、お互いを見つめ合っていた。
「これから一緒に、姉さんを斃そう! ゼル!」
「ああ! 勿論だ! だって、大好きなキミを護るために……俺はここにいるんだぜッ!!」
デュオゼルガが青いガントレットをはめた両拳を掲げて臨戦態勢に移った。
和人も霊刀オオトリと大型退魔刀カゲロウの二刀流で、過去のトラウマの源へ挑む。
2人は裂ぱくの気合の叫び声を上げながら、琴葉へ向かって突進してゆく!
「「うおおおおおおおっ!」」
響く叫び声に琴葉が顔を上げる。
「奇襲するなら無言で忍び寄ってきなさいってば。子供ね?」
琴葉も腰に差した妖刀の柄に手を置き、抜刀術の構えを見せて待ち構える。
「来なさい、和人! 愛してあげるわ!」
「だったら俺は! 姉さんに別れを言うためにこの剣を振るう! もう俺に姉さんは必要ない!」
「どうして!? そんなに燃やしたのを恨んでいるなら、今更だけど謝るわ! だから戻ってきて!」
琴葉の言葉にデュオゼルガが反論しようとしたその時、和人がそれを遮った。
「違う! 俺にはもう、ゼルや仲間が大勢いるんだ! だから、姉さん! 俺を安心して手放していいんだ!」
UDCアース出身の妖狐ということで、人型の姉と違って獣人型の和人は猟兵になるまで人間社会との苦労も絶えなかったはずだ。
その姿から、孤立することも多かっただろう。
故に和人は親族が心の拠り所だった。
故にその拠り所が暴力をふるっても、和人は反抗など出来やしない。
何故なら|暴力《それ》を否定すれば、和人の居場所がなくなってしまうと彼自身が恐怖したからだ。
そんな中、幼い和人を心配したのがデュオゼルガであった。
互いに武道家の家柄だった2人は意気投合し、虐待が発覚した琴葉が一族に誅殺されるまで支え合ってきたのだ。
そして猟兵になり、その特性によって容姿を他人から気にされなくなったことから、今では様々な種族の仲間が出来た。
だとしても、琴葉は琴葉なりに(間違った愛情表現ではあったが)和人を気にかけていた。
彼を焼いたのも、身を守る術を教えるためというのはあながち間違いではなかった。
現に和人は猟兵として姉から教わった危険察知能力をフルに活用しているからだ。
しかし、もうその重すぎる愛情は和人には不必要だ。
今こそ姉から脱却し、未来を歩む時なのだ。
「だとしても、認めないわ」
現実を拒む琴葉が精神統一を行い、自分を律する。
これが最期の剣だと、なぜか琴葉は悟った。
「瞬陣・猛狐炎迅閃!」
紅蓮の炎を纏った居合い斬りが和人へ迫る!
それを和人は片方の刀で受け止めると、延焼を恐れてすぐに手放した!
「姉さんの手の内は分かってる!」
何度も死ぬ思いをして自身の身に受け続けた和人は、姉の剣筋を完全に見切っていた。
ただ今まで反撃してこれなかっただけで、本気で立ち向かえば和人のほうが剣術の腕は格上であった。
まさか接触時の延焼を封殺されるとは思ってなかった琴葉が目を見開く。
「なんですって! でも! 二段構えよ!」
だが琴葉、諦めない!
「瞬迅・猛狐連撃閃! これはどう!?」
今度は無限射程の高速連撃!
短い鍔鳴りがしゃりしゃりんっと2回鳴れば、至近距離の2人へ斬撃波が飛んでゆく!
これらを今度はデュオゼルガが前に出て対処する。
「大爺様のお力……お借りするんだぜ! 氷狼の加護!」
突き出した拳に吹雪の冷気を宿して解き放つ!
空気中の水分が冷やされて生成された氷塊が斬撃波をガード!
砕けた氷の破片が斬撃波の威力を弱め、最後はデュオゼルガの小手で弾き返せるほどまで弱まった。
だが更に琴葉は三重の策を練っていた。
「もう一撃! 瞬陣・猛狐炎迅閃!」
なんと2度目の居合切りの構え!
燃え盛る憎悪の炎がデュオゼルガへ飛び掛かる!
しかし、その刀身を身を反らしてスウェイ回避すると、空振りした琴葉の腕を掻い潜って渾身の右ストレートパンチ!
琴葉の顔面真っ向にクリーンヒット!
鼻っ柱を叩かれ、一瞬だけ呼吸が出来なくなる琴葉が怯んだ。
「そんなちゃっちぃ炎で、俺の氷は溶かせないぜ!」
「あ、あがッ……」
鼻と口からぼたぼたと血を滴らせる琴葉。
その身体の節々が白く凍てついてゆく。
「さっきのパンチでお前の身体を凍らせてやったぜ! これで動きが制限された! カズ、今だ!」
幼馴染に促され、大型退魔刀カゲロウを上段に構えた。
「姉さんの罪、此処で祓うッ!」
だんっと前へ大きく踏み込む和人。
凍てついて棒立ちになる琴葉へ、そのまま全力で刃を振り下ろした。
「瞬迅・猛狐更心剣!」
燃え盛る刃が琴葉の身体を通過する。
しかし肉体に傷はなく、彼女を支配する骸魂だけを斬り捨てていった。
「あ、ああ! ああああああああああ!」
絶叫する琴葉の身体が光に満ちて崩壊し始めてゆく。
オブリビオン化が解け、霊体である琴葉の悪心と執念も骸魂と一緒に切り捨てられたため、この世界に留まることが出来なくなってしまっていたからだ。
「……姉さん」
崩れてゆく姉の身体を優しく抱きしめる和人。
これに琴葉が安らかな笑みを浮かべて彼の頭を撫でた。
「ごめんね、和人。アタシ、間違ってた……」
「姉さんの悪心は祓い清めた。せめて、清い心で逝けるようにって」
「ありがとう。やっぱり、和人はお姉ちゃん子ね」
そう言い残した琴葉の身体が完全に光の粒子となってカクリヨファンタズムの空へと溶けていった。
和人は涙を堪えきれずに溢れさせながら、空へ向かって呟く。
「|おやすみ《さよなら》、姉さん」
デュオゼルガとアメリも、光の粒子が空気へ溶ける光景を見守り続けた。
――宿敵、撃破。
そしてカクリヨファンタズムのハロウィンの実現が確定した瞬間だ。
しかし、そこには大きな悲しみと未来への期待感が、確かにそこにあった。
肌寒さを感じる晩秋の風が、和人の涙で濡れた頬を冷たく撫でていった……。
《了》
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2022年10月31日
宿敵
『妖に魅入られし九狐『石狩・琴葉』』
を撃破!
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