Plamotion teetotum Actor
●君が思い描き、君が作って、君が戦う
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』。
それはプラスチックホビーを作り上げ、自身の動きをトレースさせ、時に内部に再現されたコンソールを操作して競うホビースポーツである。
思い描いた理想の形を作り上げるというのならば、たしかに『プラクト』は心・技・体を兼ね備えたスポーツ。
プラスチックホビーを作り上げ、フィールドに投入し自分自身で動かす。
想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体。
そのいずれもが欠けてはならない。どれか一つでも欠けたのならば、きっと勝利は得られない。
『プラクト』のフィールドは主に模型店や大型量販店に設置され、巨大なスクリーンにおいてフィールド内の戦いを観戦することができる。
縦横無尽に駆け抜ける人型ロボット、美少女プラモデルにカーモデル、クリーチャー、艦船や飛行機。
ありとあらゆるプラスチックホビーが『プラクト』の間口として存在しているのだ。
『プラクト』アスリートたちは、己の造り上げたプラスチックホビーに内蔵された『ユーベルコード発生装置』によって、自在にプラスチックホビーを動かし、時に笑い、時に涙し、時に額に汗を流し、時に友情を育む。
模型店である『五月雨模型店』には多くの『プラクト』アスリートたちが集まってきていた。
ある者は自分のプラスチックホビーを改修しに、ある者はフィールドで自由に駆け抜けるために。
一つの未だ公式競技化されていなくたって構わない。
楽しさと共に競いあい、健全な心身が鍛えられるのがスポーツの在るべき姿であったからだ。
「……あ、あああ、ああの!!!」
そんな声が響き渡る。
どもったような、気弱そうな少女の声だった。いや、少女……か? と『五月雨模型店』の『プラクト』アスリートである少女『アイン』は声の主を見上げていた。
「な、なんだってんだよ! ええっ!?」
「ひぇっ! あああの、あのっ! た、対戦! チームバトルををををっ!!!」
「なんです。またですか」
「うむっ! チームバトルであるな! よく来た!」
工作スペースから『ツヴァイ』と呼ばれた少女と『ドライ』と呼ばれる少年が出てくる。いずれも『ダークリーガー』に『ダーク化』されていたアスリートであるが、猟兵たちの活躍に寄って『五月雨模型店』のアスリートとして日夜『プラクト』の練習に明け暮れているのである。
「そそそ、そうですっ! 私の『プラブレード』と!!」
彼女が手にしていたのは『プラブレード』と呼ばれるロボットの手足が円盤に付いたような形状をしていた。
そう、パーツを組み換え改造し戦うバトル専用コマのプラスチックホビーである。
回転しながらの機動は変幻自在にして予測不可能。
「ああ、あのアニメの。あれだろ。『幻影』殺法とかなんとか!」
「そ、そうです! それです! わ、私は『フィーア』!『幻影』のと呼ばれし……あひん」
「噛んだ」
「噛みましたね」
「噛んだな」
イマイチ締まらない様子であったが、『プラクト』とは基本チーム戦である。
互いのフィールドを賭けた戦いとなり、これまで『五月雨模型店』は『ダーク化』した『ツヴァイ』や『ドライ』といったアスリートたちが大挙として訪れていた。
ちなみにチーム戦の人数上限はない。
多ければ多いほどいいのである。
「い、一週間後に! 私の『幻影』殺法をお見せします。か、覚悟しておいてくださいね! レーザーエフェクトで分身して惑わしてしまいますから!」
「それってバトル中に言った方が良くないか?」
「対策していいんですかね?」
「劇中再現というやつだな! あっぱれだ!!」
やかましいことこの上ない上になんかほっこりした雰囲気であるが『フィーア』と名乗った少女は無論『ダークリーガー』に破れ『ダーク化』したアスリートの一人。
「と、とにかく一週間後です! ぶぶぶぶ、ぶっとばしますっ――!!」
●幸せな夢を見る
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であったが、彼女は何やらケースを抱えてニコニコしている。
ケースの中にあるのは青いロボットのプラスチックモデルであった。
連日スキマ時間を縫って作業していたものが完成したようである。
「皆さん、アスリートアースの事件です。ご存じの方もご存知でない方も『プラモーション・アクト』、略して『プラクト』で『レッツ・アクト』です」
雑。
嘗て無いほどに説明が雑である。
今の彼女はプラモデルの完成によるハイと疲労感の綯い交ぜに成った奇妙でふわっふわなテンションなのである。
「未だ公式競技化されていないスポーツですが、ご自身でプラスチックホビーを作って戦うスポーツなのです」
そう、中にユーベルコード発生装置を組み込み、自分自身で操作して戦うホビースポーツ。
基本はチーム戦であり、どちらかが全滅するまで勝負は続く。
ユーベルコード発生装置が壊れれば、機体は動かなくなり撃破とみなされる。故に装置を如何に隠し、虚をつくかもまた工夫になる。
「今回もですね、『五月雨模型店』さんが標的にされてしまっているのです。『ダークリーガー』は効率よくアスリートたちを『ダーク化』させるためにチームメイトの多いチームを率先してねらってきます」
だからこそ、過去二度に渡って『ダークリーガー』を退け、ますますチームメイトを増やした『五月雨模型店』を狙ってくるのだろう。
「皆さんは助っ人アスリートとして『五月雨模型店』に向かい、プラスチックホビーを作成、強化しつつ『プラクト』の練習に励んでください」
操作方法はアスリートの動きをトレースする『モーション』タイプと、操縦席を作り込んで操作する『マニューバ』タイプが存在している。
自身にあった操作方法を確認するのも大切なことだろう。
ナイアルテはニコニコし続けている。
もうちょっとシャンとしたほうがいいとは想うのだが、連日の作業で脳も目もメンタルも酷使しているため今は完成したという気持ちのほうが高いのである。
「完成した時の言いようのない達成感と心地よい疲労感……何度味わってもたまらぬものがあります……あ、いえ、その、あれです。今はそういうのではないですね! さあ、皆さん『レッツ・アクト』です!」
お決まりの掛け声と共に猟兵たちはナイアルテに転移させられる。
本当に大丈夫かなぁってなる不安な転移であったが、しかし猟兵たちを待ち受けるのは『プラクト』史上圧倒的な物量で迫る『ダークリーガーチーム』。
君は、熱き魂の回転を見る――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はアスリートアースにある未だ公式競技化されていないスポーツ『プラクト』のチーム『五月雨模型店』を救うシナリオになります。
※『プラクト』は正式には『プラモーション・アクト』と呼ばれるホビースポーツです。
フィールド内に自作したプラスチックホビーを投入し、アスリートの動きをトレースする『モーション』タイプと、操縦席を作り込んで操作する『マニューバ』タイプが存在しています。
主に『モーション』タイプはロボットや美少女プラモデル。『マニューバ』タイプは、カーモデルやミリタリーモデルとなっております。
●第一章
冒険です。
三度『ダークリーガー』のチームが『五月雨模型店』に勝負を挑んできました。
勝負は一週間後。
皆さんは『プラクト』に慣れ、また自身のプラスチックホビーを作成しなければなりません。
今回もチーム戦です。チームメイト上限はなしの全滅するまで行うざっくりルールです。
作成し、習熟するプラスチックホビーは基本何でも構いません。プラスチックホビーであり、『ユーベルコード発生装置』を組み込んでいれば、二つの操作系統『モーション』と『マニューバ』のどちらかでプラスチックホビーが実際に動きます。
この章でトレーニングに成功した皆さんは、第二章、第三章と自動的にプレイングボーナスを得られることとなっております。
●第二章
集団戦です。
試合当日に現れるダーク化したチームのアスリート『フィーア』に率いられた『燃焼系アスリート』たちは、『プラブレード』と呼ばれる回転するコマにロボットの頭と手足の付いたホビーを使用します。
回転と光映像を用いた『幻影装置』によってものすごい数の実態のない分身が皆さんを惑わします。
●第三章
ボス戦です。
チーム戦はクライマックスです。
最後に現れるのは『ダークリーガー』、氷上のプリンス『リュミエール』。
同じく『プラブレード』を使用しますが、幻影を生み出しません。ただ、単純に高速回転に凄まじく順応しているため、機動力、攻撃力がこれまでの『プラブレード』の比ではありません。
試合に勝利すれば、選手たちのダーク化は解除され、ダークリーガーも消滅します。
それでは、新たなるスポーツ競技『プラクト』を巡るダークリーガーと戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『その他スポーツを練習しよう』
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POW : 体当たりで果敢にチャレンジする
SPD : 器用にコツを掴みながら練習する
WIZ : ルールや戦術の理解を深める
イラスト:十姉妹
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「今度の相手は『プラブレード』かぁ……あの回転が厄介だよな!」
『アイン』と呼ばれた少女が『五月雨模型店』の作業スペースで首をひねって難しい顔をしている。
試合は一週間後。
相手チームは『プラブレード』と呼ばれるコマ型のプラスチックホビーを使用するようであった。その『プラブレード』は回転し続けているため、その場に留まり続け、機動力がないと思われがちである。
しかし、『プラブレード』は違う。
回転するコマに装着されたロボットの頭部と手足によって回転しながら自在に方向転換できるのだ。
「さらに相手は『幻影』殺法と言っていました。おそらく劇中の分身の術を再現してこちらを翻弄するのかもしれません」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女がやっぱり難しい顔をしている。
それほどに『プラブレード』は互いに激突することを前提としたプラスチックホビー故に、耐久力も高く、『プラクト』というホビースポーツに向いた機体であるとも言えるのだ。
しかも『プラクト』の人数制限は上限がない。
『ダークリーガー』のチームが数で攻めてくることは、これまでに一貫している。
ならば、前回、前々回と同じくらいの数が来ると思って見たほうがいいだろう。
「ふむ。だがまあ、此処でもだもだしていても仕方あるまい! 練習あるのみだ!!」
「うっせーな、『ドライ』! わかってんだよ、んなこたぁ!」
「二人共うるさいです」
『ドライ』の言葉に『アイン』が遠慮なく言う。
彼等は元は敵対したチーム同士であったが、『プラクト』を通じてこうして同じチームとして戦うことになったのだ。
それは言ってしまえば『プラクト』がスポーツであることの証明だろう。
勝敗は確かに決する。
けれど、そこには必ず友情を育む機会が生まれる。
ならば、猟兵たちはそんな彼等のためにこそ『ダークリーガー』を打倒しなければならない。
さあ、『五月雨模型店』にないものはない。
絶版の模型だろうが、すでにブームが過ぎ去り忘れ去られようとしているホビーだってなんだってあるのだ!
思い思いのホビーを手に取り、今こそ『レッツ・アクト』である――。
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『やべえ…この間のでナイアルテにばれてるのか……やべぇ……』
バレてることに恐怖を感じているぜ
『だが!俺の創作意欲は止まらねぇ!!(トマレ』
スペシャルメイドバージョンのすーぱー☆ないあるてを手に叫ぶ……あ、ジト目はやめて!
『今回は新作だああああ!!』
さすがにバトルには使いたくないので(傷つくし)、すーぱー☆ないあるては少年たちに預けるぜ!!
ロボットタイプのプラモをベースにブースターとサブアームを増設、背部にライフルを二丁マウント(サブアームでも使えるようにするぜ)。メイン武装は大型のメイスでいくぜ!!たまには物理だ!!
「やべえ……この間のでバレてるのか……やべえ」
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)はグリモアベースからアスリートアースの『五月雨模型店』の作業スペースで頭を抱えていた。
やべえ。
その一点である。
彼にとって、それは恐怖を感じることそのものであった。
何がやばいって、無許可でナマモノに手を出してしまったことである。
バレなければいいんだよ! というままに突っ走ってしまった結果であるし、まあ、打倒な結果であるといえるだろう。
特に何も言われていないところからして怖い。
恐怖がガイの体を駆け抜けていく。
「だが! 俺の創作意欲は止まらねぇ!!」
誰か冷静な人が近くにいたのならば、それを止めることもしただろう。
だが、作業スペースには今ガイ一人である。
止まらない。止められない。
創作とは即ちそういうことである。
やらなければならないことではなく、やらずにはいられないことをすることこそが創作の極み。
故にガイは止まらないのである。
「スペシャルメイドバージョン! これさえあれば……!!」
もう他の何物も要らぬとばかりにガイは叫ぶのだが、バトルに創作意欲の全てを注ぎ込んだ作品を使うというのはちょっと嫌だなと思った。
『プラクト』は自分自身で作成したプラスチックホビーを使うホビースポーツである。
当然フィールドに実際のホビーを投入して動かすのだから、ダメージを受ければ傷つくし、当然撃破されれば破壊されてしまう。
それがどうにもガイは嫌だったのかもしれない。
「ほう! とても素晴らしい出来栄え! メイドというのはやはり流行りなのだろうか!!」
同じく『五月雨模型店』のチームの一人である『ドライ』がガイの持っていたメイドバージョンのプラモデルに感心して頷いている。
ふむ、男子。
ならば、とガイはひとまずメイドを彼に手渡す。
「ショーケースに飾っておいてくれ!」
「うむ! して、今回は?」
「新作だああああ!!」
「うっさいな! 静かにしろよ!」
ぐわ! と叫ぶガイに向かって『アイン』が声を飛ばす。彼女も今回は機体を改修の真っ最中だったようである。
集中できんわ! と怒鳴る『アイン』をよそにガイは新たなる機体を作り始める。
「ロボットタイプをベースに……」
「ブースターとサブアームを増設するのか」
「ああ、背部にライフルをマウントしてサブアームで使えるようにするぜ」
『ドライ』と二人で機体の構想を練っていく。
サブアームの強度が不安になるが、ライフルをマウントして引き金を引かせる機構を組み込めば大丈夫だろう。
さらにメイン武装をガイは作り出していく。
大型のメイス。
接近戦と射撃戦。どちらもこなせるようにするためでもあったし、大型メイスは取り回しが難しくはなるが回転して迫る『プラブレード』に対抗するためには、物理的な重さをました方が有利に働くと思えたのだろう。
「なるほど、考えておられるようだな!」
「たまには物理だ!!」
ガイと『ドライ』は意気投合したように自らの機体を汲み上げていく。
仕上げが終われば、慣らしだ。
フィールドに投入し、『ドライ』と共に練習を重ねていく。
「今回の敵チームの主力は『プラブレード』。回転するコマに手足が付いているために変幻自在な地上での圧倒的な機動力を持っている! 油断は禁物だぞ!」
「大型メイスの打撃で物理的に回転を一端止めてしまえば……! 行けるな!」
仮想敵として『ドライ』と練習に挑むガイ。
ショーケースの中でキラリとガイ謹製のメイドバージョン美少女プラモデルが輝き練習を見守っているようであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
おプラモバトル!
わたくしのビルドヴリちゃんの出番ですわ〜!
しっかしこの方々、やはりどこかで見覚えがあるような…
プラブレードに幻影殺法ですって?
きっとガッチンゴッチンぶつかって来るのですわね
身を守る盾が必要になりそうですわ
早速ビルドヴリちゃんに新しいお装備をお作り致しますのよ〜!
ここをこーしてあーして…完成ですわ!
名付けてビルドヴリトラ・クロムジェノサイダー!
大きな盾と大きな鋏がひとつになったお装備を付けましたわ
しかもサブアームでぐいぐい動く!
完璧ですわ!
これで守って挟んで最強ですわ〜!
さっそく練習するのですわ
五月雨模型店の皆様〜!
ヘイ!カモン!
遠慮なくバンバンぶつかって来るがよろしいのですわ
アスリートアースにおけるホビースポーツ『プラクト』は、その性質故に間口の広い競技であったと言える。
一口にプラスチックホビーといってもキャラクターモデルのような人体をもした形であれ、クリーチャーのような人外のものであってもプラスチックでできているという点さえ守っていれば、どのようなホビーであっても動かす事ができる。
『モーション』はアスリートの動きをトレースする。
『マニューバ』は内部に再現された操縦方法をトレースする。
どちらが秀でているというわけではなく、アスリートの想像力と技術、そしてそれを可能にする肉体がいずれも高い水準で求められる。
故に『プラブレード』と呼ばれるロボットとコマを組み合わせたプラスチックホビーだって使用可能なのだ。
「おプラモバトル! わたくしのビルドヴリちゃんの出番ですわ~!」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は意気揚々とアスリートアースの『五月雨模型店』に入店する。
そこには『アイン』や『ツヴァイ』、そして新たにチームメイトになった『ドライ』がそれぞれの作業に勤しんでいた。
それもそのはずである。
『ダークリーガー』率いるチームとの戦いは一週間後なのだ。
「よーう! 待ってたぜ! きっと来てくれるんじゃないかって思ってたんだよ!」
「ご無沙汰しております。今回もどうかご助力お願いいたします」
そんなふうに正反対の対応をしてくれる『アイン』と『ツヴァイ』。
その二人の少女にメサイアは何処か面影を見るのだ。
何処かで会っているようなそうでないような。
「しっかし、思い出せませんわねぇ~……」
こう、喉の奥まで出かかってるんだけど。中々取れない魚の小骨みたな感覚。
とは言え、メサイアはこれからやらねばならないことがあるのだ。
「『プラブレード』に『幻影』殺法ですって?」
「そう。回転しながらロボットの手足で軌道を変えて飛び込んでくるんだよ。回転しているから攻撃力も高いし、機動も凄いんだぜ?」
「ただ攻撃、という点に置いては突撃してくる肉弾戦が主立ったものです」
「なるほどですわね~ならば身を守る盾が必要になりそうですわ。早速!新しいお装備をお作りいたしますのよ~!」
メサイアの言葉に二人の少女も頷く。
そう、これは『プラクト』。
自分が作って、自分で動かし、自分で戦うホビースポーツなのである。
「ここをこーしてあーして……完成ですわ!」
速い。
びっくりするくらい速い作業スピードであった。
一人だけ三倍速何じゃないかっていうくらいの速度。
「名付けてビルドヴリトラ・クロムジェノサイダー!」
「うひょー! 盾に鋏の装備を付けてんのか! しかもサブアームでぐいぐい動きやがる!」
「ええ、完璧ですわ! これで守って挟んで最強ですわ~!」
なら早速フィールドで練習しようぜ! と『アイン』が意気込んでいたが、すでにフィールドには『ツヴァイ』の機体がセットされている。
こうなることを見越して既にフィールドに待機していたのだろう。
「ずるいぞ!」
「いいえ、こういうときはまずは私から……『アイン』さんのは破天荒すぎます。まずは基本動作のしっかりしている私から。そして次に破天荒な『アイン』さんで」
「どちらでもよろしいのですわ~! ヘイ! カモン!」
メサイアはビルドヴリトラをセットし笑う。
そう、戦いこそが、闘争こそがメサイア姫の心を癒やしてくれるのである。
それも怪我しないで自由に戦うことができるのだ。
こういう時に目一杯真剣にやらないでいつやるというのだと言わんばかりに彼女はビルドヴリトラと共に鋏を打ち鳴らし、音を立てる。
「遠慮なくバンバンぶつかってくるがよろしいのですわ!」
「では遠慮なく! それでは参ります!『熾煌タイプアルヴィトル』!」
フィールドに降り立つ一騎のロボットタイプのプラスチックホビー。
その機体の色は青色。折り目正しい礼節を重んじる『ツヴァイ』らしい堅実な性能だ。メサイアは、何処まで自分が新たに作った装備が『プラクト』で通用するのか、それを試すために損傷覚悟でフィールドを駆け抜ける。
確かに壊れてしまう可能性はあるだろう。
けれど、それでいいのだ。
だって、このホビースポーツ『プラクト』は作って戦って、直して、また作って。
それを繰り返していくスポーツなのだ。
ならばこそ、遠慮なんて無用。
「さあ、バンバン参りますわよ~! ガッチンゴッチンぶつかり稽古ですわ~!」
二人の練習は厳しさだけではなく楽しさと共に。
フィールドの中で飛び交う練習は徐々にメサイアの心と技術を高めていくだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
さてー、陰海月にねだられましたのでー。来ましたよー、お久しぶりですー。
陰海月、本当に元気ですよねー。
はいはい、それですね…前々回とはタイプの違うヒポグリフ。
そして、私にはパーツ切り離しを任せる、と…?
なるほど、改造したいと。なので、ひたすら切り離し。
陰海月のセンス、いいんですよー。
※
張り切る陰海月!でも、入る前の一礼は忘れない。
今回はマニューバタイプのデカいヒポグリフ作ってる。
「ぷきゅ!ぷきぷき(今回は改造したいし!これで)」
改造で鎧もつける。
『ぼくのかんがえた、かっこいい霹靂(武装編)』である。
モデルな霹靂、照れた。
幼い孫にねだられることは祖父母にとって心地よいものであったことだろう。
ねだる様すら可愛らしく思えてしまうものだ。
それ故にアスリートアースを訪れた馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』の表情は穏やかであっただろうし、また頬が緩むものであったかもしれない。
『陰海月』という孫のようにかわいがっている巨大クラゲがねだったのだ。
アスリートアースでの事件であるが三度目の来訪となる『五月雨模型店』はあいも変わらずの品揃えであった。
本当にないものはないのではないだろうかと思えるほど。
「お久しぶりですー」
その言葉に店主や『五月雨模型店』のチームメイトである『アイン』や『ツヴァイ』、それに新たにチームに加わったアスリートの『ドライ』が迎える。
「おー! 来てくれたな! 今回はどんなの作るんだ?」
興味津々な『アイン』に入り口で一礼してから入ってきた『陰海月』がぷきゅぷきゅ鳴く。
多分、言葉は理解できない。
けれどアスリートとしての勘が『陰海月』の意気込みを理解した。
そう、今回の『陰海月』はやる気である。
「本当に元気ですよねー」
「ぷっきゅ!」
「なんだ、新しいのを作るんだな? どうするんだ?」
これ、と示すように触腕が示したのは、前回作ったヒポグリフ型とは違うタイプのモデルであった。
ただ、今回はそれだけではない。
「はいはい、それですね……ん? 私にはパーツの切り離しを任せる、と……?」
「なるほどですね。改造を施そうと」
『ツヴァイ』の言葉に『陰海月』が頷く。
パーツの切り離し事態は難なく進むだろう。ランナーから切り離して、二度切り。これでパーツの湯口とも言うべきゲート部分を傷つけずに組み立てる事ができる。
改造というと敷居が高く感じるかも知れない。
けれど、慣れてくればアスリートの想像力に答えてくれるのがプラモデルである。
切り離されたパーツを手にとった触腕が器用に付け加えたいパーツを手に取る。
「ぷきゅ! ぷきぷき」
改造パーツに選んだのは鎧であった。
ヒポグリフ型に西洋風の鎧パーツを組み合わせていく。
それだけで他世界であるブルーアルカディアに存在しそうな、そんなヒポグリフに変わっていくのだ。
「なるほどなー。敵の『プラブレード』は攻撃力が高いからな。『マニューバ』で操縦するにしたって、防御力を高めておくのはダメージを受けた後の機動を与えないでいいのかもしれないな!」
「ふむ。ならば、ここと、ここの鎧パーツは削っておいたほうがいいな! 可動域の妨げになってしまう!」
『ドライ』のアドバイスを受けて『陰海月』はパーツを削っていく。
「センス、よろしいのですね。別の鎧パーツを組み合わせて新しい形を作り出している」
これぞ『ぼくのかんがえた、かっこういい霹靂』である。
モデルになった『霹靂』が照れくさそうにしているのが、なんともほのぼのとしている。
「ええ、『陰海月』のセンス、いいんですよー」
『疾き者』の出る幕はほとんどなかった。
パーツを切り離しただけで、もうすぐにお役御免であった。
後は眺めているだけでいいとばかりに『陰海月』と『霹靂』が鎧をまとうヒポグリフを作り上げていく。
モデルとなった『霹靂』と比べてみても遜色ない。
「完成だな!」
「ぷっきゅ!」
ぱちんと触腕でもって『霹靂』や『アイン』たちとハイタッチをする『陰海月』の姿に孫の成長を見るようで『疾き者』とその中の三柱は目頭を熱くしたかもしれない――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
なん……だと……。
|ふわっふわナイアルテ《ふわアルテ》さんなんて、新種のスイーツに加えて、
噛み噛み星人なダークリーガー!?
なんというパラダイス。五月雨はヘヴンか!?
よし、これはもう食べてイジらざるを得ない。
世界がそうしろとわたしに告げている!
ふわアルテさんは動画に残してごはん3杯……。
だけどいまはまず『フィーア』さんをイジるためにプラクトしないとだね。
プラモデルはもちろん『ふわアルテ』さんの作ってた青いの!
操縦は『マニューバ』でいかせてもらうね。
今回ユーベルコード発生装置は背中につけよう。
うふ、うふふふふ。
一週間後に『フィーア』さんをイジれると思うと頬が緩んじゃうね♪
サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、ダイイングメッセージは『ざっこくふわあるて』です!(ごふっ
くっ、相変わらずアスリートアースのナイアルテさんは
殺傷力が強い!
なお、『雑に予知を告げるふわっふわなナイアルテさん』を略して
雑告ふわあるてさんです!
美味しそうな響き!
とまあ
私以上に理緒さんが滾っておられる
どうなされた理緒どの?
アッハイ、レッツ・プラクトですね(誤魔化した
さてさて
どんな機体にしましょうか
理緒さんの青い機体っていうと熾盛?それともセラフィムシリーズですかね?
となると支援機が良さげですかね?
プラブレードの特性なら真下から攻撃したいところ
ハンマーとか仕込みますかね
理緒さん顔顔
『ざっこくふわあるて』――それは地面に刻まれたダイイングメッセージであった。
すでにサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は地面に突っ伏していた。
開幕五体投地というやつであろうか。
ちょっと色々人類には早い。
前口上も告げることもできず、何故か彼女は血文字をを床に描いていた。
困惑しかない。
「なん……だと……」
ほらー菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)も困惑している。
「|ふわアルテ《ふわっふわ》さんなんて、新種のスイーツに加えて、噛み噛み星人な『ダークリーガー』!?」
あ、違った。
これは別な意味でのアレであった。
アレな二人の搭乗に『五月雨模型店』の面々はまたかっていう顔をしていた。
心強い。確かに心強い味方であるのだが、こういう所あるからなーって『アイン』は三度目の彼女たちの来訪に半眼であった。
「くっ、相変わらずアスリートアースは殺傷力が強い! 美味しそうな響き!」
サージェはがばりんちょと立ち上がる。
死んでいるわけではないのである。
しかしまあわからんでもない。ふわふわスイーツな言葉の響き。朝のモーニングプレートとかで出てきて流行りそうな雰囲気ではある。
「なんというパラダイス。『五月雨模型店』はヘヴンか!?」
「それはそう。新商品も絶版もののレア物まで取り揃えているからな! 我等『プラクト』アスリートにとっては天国! 極楽というものよ!」
『ドライ』の声に二人は正気戻った。
いや、戻っていない。
「ふふふ、この動画を見ればごはん三杯……だけどまずは『フィーア』さんをイジるために『プラクト』しないとだね」
「理緒さんが滾っておられる?」
理緒の尋常じゃない様子にサージェはちょっとおののいていた。いつも以上になんかこう、妙なオーラが見えている。
何が彼女の琴線に触れたのかわからないが、やる気があることは良いことである。
「どうなされた理緒どの?」
「これはもう食べてイジらざるを得ない。世界がそうしろとわたしに告げている!」
「いつも以上にすごいなこの人。大丈夫か? なんかキメてない?」
散々ないいようであるが、そう言われてもおかしくない気迫であった。理緒のやる気がゲージをぶち抜いている。
正直に言って怖い。それほどまでのやる気に満ちているのだ。
「さあ、作るよ!!」
「アッハイ、レッツ・プラクトですね」
サージェはそれ以上追求しなかった。いや、ごまかしたといってもいい。
とは言え、『プラクト』に参加する以上、プラスチックホビーを作り上げなければならない。
『プラクト』の楽しみは競技に参加する前から始まっているのだ。
サージェは模型店の中を見繕う。
理緒の機体に合わせた機体にしたいな、と思うサージェはともかく理緒の機体がどんな構想なのかを聞いてからでも遅くはないと判断する。
そんな理緒は既にパッケージを手にしている。
そこにあったのはグリモア猟兵がグリモアベースでケースに入れて抱えていたあの……ではない。あれは俗に言うスクラッチビルドというやつである。セミスクラッチでもなければ、既存の商品ですらない。
プラ板とパテで作り上げたハンドメイドにして一点物である。
なので、理緒は彼女が作っていたものと似たような……いや、ちゃんとメーカーから出されているものを手にしていた。
「作ったら出るの法則だよね」
悲しき運命である。
しかし、プラモデルとは世界に一つだけの君だけのプラモデルである。そこに既製品だからとか一点物であるとか、そういう価値観は不要なのである。
どちらが価値のある、ということではない。
どっちもいい!! のである!!
「うふ、うふふふふ」
そんな理緒の笑みは多分プラスチックホビーの出来栄えに溢れた笑みではなかった。
完全に一週間後の試合に対する笑みであった。
「『フィーア』さんをイジれると思うと頬が緩んじゃうね♪」
「理緒さん、顔。顔。顔が」
サージェはそんな理緒の様子を見て触らないようにしていた。
触ったら確実に自分に累が及ぶ。
それをこれまでの経験から察知していたのである。
理緒の青い機体は背中に『ユーベルコード発生装置』を組み込んでいる。『マニューバ』での操作スタイルだというのならば、こちらは支援機だから、と色々考える。
敵の使う『プラブレード』は回転する胴体に手足が付いている。
ならば、水平面からの攻撃はほぼ弾かれると思っていいだろう。ならば、とサージェはハンマーやらなんやらを仕込み始める。
ギミックをたくさん盛り込むと強度が心配になるところであるが、そこらへんをクリアできるのならば、支援機として楽しいものができるかもしれない。
「うふ、ふふふふふふ」
まだやばい顔をしている理緒を見やり、サージェは大丈夫かな、と諸々心配になりつつ機体を完成させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
お、やってるね!
にぃなちゃんも混ぜて混ぜて☆
そんで今度の相手は回転して分身するのかぁ……忍者みたいな感じかな?
じゃあこっちも忍者で対抗!
バイクにロボと来たから、今回は女の子プラモにしようっと。
折角だから顔や体も自分そっくりにしちゃえ☆
スリーサイズも合わせて、柔らかい所はやわらか素材みたいなの使って……服はゴムシートを切った貼ったすればそれっぽいかな?
キャストオフ機構もこっそり組み込んじゃえ!
でも大丈夫、服の下は18歳未満でも大丈夫なように何か貼っておくからね☆
武装ガジェットも作ればはい完成、プラニンジャにぃなちゃん!
やっぱモーションタイプかな?
後は練習あるのみ!
どんな忍術使うかは、まだ秘密!
アスリートアースの模型店、『五月雨模型店』は今日も盛況であった。
『プラクト』用のフィールドは多くの子供らが自分の作り上げたプラスチックホビーを操って競技に興じている。
戦いの様子はモニターに表示されているため、さながらアニメのワンシーンのようであった。
「お、やってるね! にぃなちゃんも混ぜて混ぜて☆」
そんな子供らの『プラクト』の試合を眺めニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は思わず頬を緩ませ笑顔で子供らの環の中に入り込む。
突然現れたお姉さんに子供らはちょっとドギマギしつつ快く応対する。
「お、来たな! 待っていたぜ!」
そんな中、『アイン』と呼ばれた少女がニィナを見つけて駆け寄ってくる。
これまで数度彼女と共に『ダークリーガー』と戦った経験があるからこその気安いやり取りだった。
「今回は『プラブレード』の連中が相手だぜ!」
「『プラブレード』?」
「回転するコマみたいなのにロボットの手足が付いたやつだな! 回転しているので機動力も高いし、攻撃力も高い。迂闊に近づけば回転する部分に弾かれてしまう!!」
『ドライ』と呼ばれる少年の言葉にニィナは考える。
「さらに分身もするんでしょ……? ニンジャみたいな感じかな?」
まさにそのとおりだと二人が頷く。
となれば、ニィナはどうしようかと考える。
バイクとロボは作った。毎回使うプラスチックホビーを考えるのも楽しい時間なのだ。だからこそニィナは新しいジャンルに手を出してみたいと思って、『五月雨模型店』の店内を見回す。
航空機やカーモデルもあるし、なんならクリーチャー系のプラモデルもある。マジでなんでもある。
「うーん、今回は女の子プラモデルにしようっと」
ニィナが手にとったのはいわゆる美少女プラモデル。
人間に近い稼働とスタイルを持っているため、『プラクト』とは相性の良いプラスチックホビーである。
そんな美少女プラモデルをニィナがただ単に作るだけにとどまることはない。
「せっかくだからね!」
自分そっくりにしちゃおう、とニィナは素体となった美少女プラモデルのスタイルを変更していく。
自分のスリーサイズを再現するため鏡やらスマホで写真を取って自分のスタイルを確認していく。そのたびに店内でやるものだから健全な青少年たちには、こうあれである、刺激が強いあれである!
そんなことをニィナはつゆ知らず制作を続けていく。
柔らかいのが女の子の良いところである。
ならば、と彼女は柔らかい素材を使って表現していく。さらに服はゴムシートを使って表現していく。
どちらかというとドール、というのがしっくり来る。
さらにニィナはこっそりとキャストオフ機構を組み込んでいく。素体があって服を着せるのであればある意味当然かもしれない。
色々ぽろりするのが怖い! だがニィナに抜かりはない。
「こうやって何か貼っておけば大丈夫☆」
大丈夫かなぁ。
大丈夫じゃないような気がするなぁって感じで『アイン』と『ツヴァイ』が赤面している。少女であってもニィナのナイスなバディはちょっと憧れるのである。
そんなこんなで武装ガジェットも作り上げれば完成である。
「完成、『プラニンジャにぃなちゃん!」
ばーばーん!
ニィナそっくりのプロポーションの美少女モデルの完成は『五月雨模型店』の青少年たちの目を釘付けにする。
なんという再現度!
柔らか素材を使っているので、なんかこう色々揺れる! 確実に強い。
そんな『プラニンジャにぃなちゃん』を使ってニィナは機体に慣れていく。『モーション』タイプの操作感は、実際に自分の体を動かすのと同じだ。
弾ける汗。
爽やかなアスリートアースであったが、ニィナの魅力はとどまるところを知らない。
「ニンジャなら忍術使うの?」
「それはまだ秘密!」
いたずらっぽく笑い、ニィナはさらに操作の習熟に務めるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
さて、俺達はいままでこの巫女プラモで戦ってきた訳だが、ここで心機一転新しいプラモに手を出すのもありなんじゃねえか。
「…本音は?」
俺もプラクトの操縦やってみたいぜッ!
新しいプラモはそれだけでワクワクするなッ!
店長、何かオススメは…そ、それは怪獣映画の金字塔である怪獣王と戦った『メカ怪獣王』のプラモッ!
その全身武器庫と言われたロマン満天な殲滅力、気に入ったぜッ!
通常のプラモより遥かに大きいが今の俺なら組み立てられる筈。店長も手伝ってくれよなッ!
「…男の人ってそういうの好きですね。」
完成したらマニューバ操作をひたすら練習よ。うひゃあ、このダイナミックな動きが俺達を惹き付けるぜッ!
【アドリブ歓迎】
神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)と相棒の巫女である桜と共に『五月雨模型店』に訪れていた。
三度『ダークリーガー』に狙われた未だ公式化されていなスポーツ『プラクト』のチームである『五月雨模型店』。
彼等を救うための助っ人として二人はやってきていたのだ。
これまで使用してきていたのは巫女型のプラスチックホビー。
機体と言ってもいいほどに彼等の手に馴染んだものであった。操作もまだ体に染み込んでいるから、改良を重ねればさらなる飛躍が見込めるものであった。
だが、凶津は鬼面をカタカタ揺らしながら桜に告げる。
その言葉はいつも以上に熱のこもったものであったかもしれないし、漲るやる気を感じさせるものであったかもしれない。
『さて、俺達は今までこの巫女プラモで戦ってきた訳だが、ここで心機一転新しいプラモに手を出すのもありなんじゃねえか』
凶津の言葉に静かなるやる気を桜は見た。
さらに凶津が続ける。
『確かに! 確かに巫女プラモはすげえよ。相棒のらしさと技術、そして操作技術。どれもが一級品だぜ! だが、違う操作方法を試してみるのもいいんじゃあねえか! ここから開ける新天地ってのもあるだろうよ!』
熱い。熱いっす、凶津さん!
そんな彼の言葉に桜は最後まで聞くだけだった。そして、ぽつりと言うのだ。
「……本音は?」
『俺も『プラクト』の操縦やってみたいぜッ!』
そう、これまで凶津は桜の操縦のサポートであった。ちょっとうらやましくもあったのである。
だから!
『店長! 何かオススメは!』
うっひょー! と凶津の鬼面がカタカタカタといつも以上にそわそわしているのを桜は感じていた。
ワクワクドキドキ。いつだって男の子はホビーを取り扱う半径に入ると早足で息が上ずるのである。みんなそう。
「ふ……これだ」
店長が店の奥から持ち出してきたのは。
『そ、それは怪獣映画の金字塔である怪獣王と戦った『メカ怪獣王』のプラモッ!』
「そう、全身武器庫と言われた浪漫満点の一品だ。君ならば、と思っていたところだ。どうだろか?」
『気に入ったぜッ!』
とは言え、通常のプラモデルよりもビッグスケールである。
巨大さも怪獣の良いところである。だが、凶津はその巨大さにおののくどころか、武者震いすら覚えていた。
『今の俺なら組み立てられる筈ッ!』
「俺も手伝おう。共に最強の『メカ怪獣王』を作り上げようじゃないか」
がしぃ! と心の握手を交わす二人。
そんな二人を見やり桜は入りがたき空気を感じたかもしれない。女性であるから、というのもあったかもしれないが、凶津と店長がどう考えても少年くらいの感じにしか見えなくなっていたからだ。
「……男の人ってそういうの好きですね」
呆れ、ではなかったかもしれない。ただ、ちょっと兄と思っていた凶津があんなにはしゃいでいるのが面白かったのかもしれない。
そんなやり取りを経て生み出された『メカ怪獣王』を凶津は『プラクト』フィールドで存分に駆け回る。
重たい足取り!
響く地鳴り!
唸る重火器!
ああ、これぞ浪漫! 可動域なんて知ったことではない。尻尾が唸り、大地を叩き割る。最高である。
『うひゃあ、このダイナミックな動きが俺達を惹き付けるぜッ!』
店長もおんなじ反応である。
たまらないとばかりにテンション高い店長を初めて見るな、と桜は思ったかも知れない。そんな二人の大きな少年のハイテンションな様子を見やり、桜は凶津の『マニューバ』タイプの習熟練習に付き合うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
何を作るかって結構悩む…
だって勝ちに行くより記憶に残るもの作りたいもんね
あ、最新キットあるじゃん
それに古い作品のキットも…
という訳で、ロボットプラモの最新の物と古いもののパチ組がこちら
いやー、最新キットの稼働は凄いですね!
でもこんなに動いて細かいディティール要る???
という訳で改修していこう
ボールジョイントは甘え!という事で全部切り飛ばして、軸接続に置き換えていこう
肘とか脛とかってさあ…曲がる必要ある??
古い奴の腕や足を素体に特徴的なパーツは最新キットから移植して…
あとは見立てで…雰囲気雰囲気
細かいディテールも埋めていって…
合わせ目風の筋をタガネで掘っていって…
色もらしく白一色で塗装して完成!
作り上げることの喜びを知るものは心が豊かなものであろう。
故に懊悩するのである。
手を伸ばせば、様々な素材がある。どれもこれもが自分の心の中にあるものを形にするために必要なものに思えてくるし、また同時に全てを使うことができないこともまた知るからである。
「何を作るかって結構悩む……」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)はアスリートアースの模型店『五月雨模型店』の店内の商品棚を見やりながら難しい顔をしていた。
そう、今回も『ダークリーガー』は『プラクト』アスリートのチームである『五月雨模型店』を狙って試合を申し込んできたのだ。
試合の日は一週間後。
それまでに玲は新たな機体を作り上げなければならなかった。
確かにカタねばならない。
けれど、今の彼女にとって大切なことは、勝ちに行くよりも記憶に残る物を作りたいという創作者魂の燃え上がりであった。
「今回はどんなの作んの?」
『アイン』と呼ばれた少女が興味深そうに彼女のまわりをチョロチョロしている。
玲の模型製作スキルは素晴らしいものであった。
まだショーケースの中で飾られているプラモデルは近所の少年たちのあこがれの的である。
だからこそ、とも言える。
そう、誰かの記憶に残るものを、という思いこそが今の玲を突き動かしている。
「あ、最新キットあるじゃん」
「こっちのは? 旧キットって言われてる方だけど」
「ふむ……なら」
そう言って玲はお会計を済ませる。
その手にあったのは二つの箱。一つは年代を感じせるものであり、もう一つは最新の綺麗なパッケージのものだった。
それはロボットプラモの老舗。最大手のメーカーである財団Bのキットなのだ。
新旧揃い踏みである。
彼女は組み上げた……いわゆるパチ組を済ませた二つのロボットをしげしげ眺める。
「いやー、最新キットの稼働は凄いでうね! でもこんなに動いて細かいディティール要る???」
なんか動画撮影している雰囲気だな、と『アイン』は思った。
「ていうか要るでしょ。だって『プラクト』に使うんだし。あ、もしかしてまた飾るだけ!?」
「チッチッチ……慌てるなよ慌てたガール。というわけで改修していこう!」
くわ、と玲さんの瞳が輝く。
手にしたのはニッパー。
え、と『アイン』は驚く。何をするつもりだと思ったのだ。
「ボールジョイントは甘え!」
バカスカ玲さんはニッパーで可動域のボールジョイントを斬り飛ばしていく。盛大に切り取られた可動域は軸関節に置き換えられていく。
確かにボールジョイントは可動性をましてくれる。
だが、受け口もボール部分も動けば動くほどに摩耗していく。そう! つまり試合の時間経過と共に関節がゆるっゆるになってしまうのだ。
だが、軸関節ならばボールジョイントのように即座に摩耗はしない。
「肘とか脛とかってさあ……曲がる必要ある???」
「いや、あるよ!? 人の動きに近づけられたらいいじゃん!」
「はいダーン」
旧キットから腕や足を素体にして特徴的なパーツ……いわゆるトゲトゲしいパーツやら頭部の角やらを移植していく。
それはいわゆる見立てモデリングと言われるジャンルの交錯であった。
さらに細かいディティールも埋めていく。
のっぺりとした丸みを帯びた装甲。手足は本当にこれ曲がるの? となるほどの可動域。
手にした剣の刀身は蛍光ピンクに輝き、シールドはざっくりとしたひし形!
「雰囲気雰囲気。そんでもって合わせ目風の筋をタガネで掘っていって……」
「逆に!? 逆にのパターンなの!?」
「色もらしく白一色!」
「トリコロールは!?」
「ない! 完成!」
作り上げられたのは、最新の技術と最高の技量でもって作り上げられた真っ白なロボット。
「なあ、これって……もしかして『大熊猫壱……』」
「おっとそれ以上は言ってはいけない! さあ、これが私の答えだよ!」
自信満々に玲は己の作り出した真っ白なロボット……なんか別世界のどこかで見たことの在るような雰囲気に仕上がった色んな意味でギリギリなロボットを手に取る。
「だいじょうぶだいじょうぶ。真っ白だからわかんないって――!」
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎
いっけー!バラバラXくん!
回転アターーーーック!!
うーん、回転数は十分だけど今一物足りないなー
こうゲーミングに約1680万色(正確には16777216色)に発光する機能とか…?
やっぱ派手さは大事だよね~
会場をわっと沸かせたいから仕込みはかかせないね
ハッ!やっぱり燃料やガスを…いや火薬を使ってバンバンバーン!
そして視聴者がちょっと引くくらいの大爆発!!これだね!
ってやる方がいいかな!
え、法令違反?こんぷらいあんす?そんなのこの世界にあったの?そっかー
つまり目指すべき方法は違法ではなく…熱い情熱と夢を詰め込んだ…脱法ってことだね!
こうしてボクたちは友情をさらに深めていった!
「いっけー!『バラバラX』くん! 回転アタ――ック!!」
その声は『五月雨模型店』の『プラクト』フィールドから響き渡る。
声の主であるロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)が駆るプラスチックホビーである『バラバラX』が盛大に回転しながら対戦相手となっていた少年たちの機体をふっとばしていく。
子供の遊びであると見られがちな『プラクト』であるが、だからこそ本気でやるのが楽しいのである。
とは言え、此処はアスリートアース。
どれだけ子供の遊びのように見えていても、そこは超人たちがひしめく世界であるからこそ、到底子供の遊びの範疇ではない戦いが繰り広げられている。
現に今もロニの駆る『バラバラX』の回転アタックを躱す者たちがいるのだ。
それはこの『五月雨模型店』の『プラクト』チームのエースアスリートである『アイン』と『ツヴァイ』、そして『ドライ』の三人であった。
「うーん、回転数は十分だけどいまいち物足りないなー」
「わかる。回転するってだけなら『プラブレード』の方がまだ早いし派手だぜ」
「回転で対抗しようとしても、付いている手足で軌道を変幻自在に変えてきますし、何より敵は『幻影』殺法……レーザーエフェクトで分身を生み出してきます」
「うむ、派手派手である! 原作再現にまでこだわるとは、彼等もまた『プラブレード』を愛しているのだろうな! 良きことである!!」
そんなふうに彼等の意見をロニは受けて悩む。
確かに試合に勝つためには実利を突き詰めていく必要がある。
けれど、どうにもロニは納得が行っていないようであった。
「こう、ゲーミングに灼く1680万色に発光する機能とか?」
「性格には16777216色ですね」
「んもーわかってるってば。やっぱ派手さは大事だよね~」
「うむ! そのとおり! 目立ってこそなんぼであるしな! モニターでみている観客の皆さんにも楽しんでもらいたい!」
『ドライ』の言葉にロニは頷く。
やっぱり会場をわっと湧かせたいのだ。
ならば、やはり仕込みは欠かせない。
「それじゃあさ、やっぱり燃料やガスを……いや火薬を吐かてバンバンバーン! そして視聴者が引くくらいの大爆発!! これだね!!」
「いや、駄目だろ」
「どうなっているんですか倫理観」
『アイン』と『ツヴァイ』の冷ややかな目が突き刺さる。
だが、ロニは気にしない。
そんなことを気にしていたら芸術は爆発できないのである。
「しかし、法令違反である。そういうのは楽しいとは思うのだが、やはり守らねばならぬ一線というのは確かに存在しているものであるから」
「こんぷらいあんすってやつだねーこの世界にそんなのあったの?」
「あるでしょう、それは」
如何に超人アスリートひしめくアスリートアースだからといっても、流石にあるものはあるのである。
なんでもありな他世界を知っているとどうしても此処らへんで認識の齟齬が出てくるものである。
「ふむ、つまり目指すべき方法は違法ではなく……熱い情熱と夢を詰め込んだ……脱泡ってことだね!」
「いやこいつ何もわかってないぞ!」
『アイン』が思わず突っ込んでしまう。
敵チームの『プラブレード』に対する対策は一向に進まない。
一歩進んだ用に見えて横道にそれてはさらに三歩くらい下がっていくような感覚。
実りある会話は何一つ無い。
けれど、それでいいのである。『プラクト』は共に楽しむもの。ならばこそ、こうしているときが最も楽しい。
「まあ、ぶっつけ本番なんとかなるか」
「なるかー」
「いや、あんたの機体のことだからね!?」
そんなふうにしてロニは友情という名の無為なる時間を過ごし、さらに踏まえていくのであった。
……本当に――?
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『燃焼系アスリート』
|
POW : できますできます、あなたならできますッ!
【熱い視線】が命中した敵に、「【ユーベルコードを封印して競技に熱中したい】」という激しい衝動を付与する。
SPD : もっと熱くなりましょうよッ!
【見せれば見せるほど熱く激るアスリート魂】を見せた対象全員に「【もっと熱くなりましょうよッ!】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【耐久力】が半減する。
WIZ : どうしてそこで諦めるんですかそこでッ?!
対象への質問と共に、【拳や口、または競技に使用している道具】から【レベル×1体の火の玉マスコット】を召喚する。満足な答えを得るまで、レベル×1体の火の玉マスコットは対象を【殴打、および熱疲労の状態異常の付与】で攻撃する。
イラスト:kae
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
そして一週間後。
『五月雨模型店』の前には『ダークリーガー』に率いられた多くの『ダーク化』アスリートたちが立ち並ぶ。
『燃焼系アスリート』と呼ばれる者たちの一歩前に踏み出すのは、『アイン』たちと同年齢の少女……『フィーア』。
だが、彼女の身長は発育が良いためか、とても少女とは思えない身長であった。
「きょ、きょきょきょうはよろしくお願いしまう!!!!」
緊張から、もろに噛んでいる。
場の空気が緊迫したものから、一気に緩まってしまうのを感じながらも『アイン』たちは彼女たちの手にしたプラスチックホビー、『プラブレード』の実力が計り知れないことを知っている。
なにせ小学生くらいの年齢層に大受けして大流行して、玩具店どころかコンビニにすら置かれるように成った『プラブレード』である。
アニメは大盛況でシリーズ化もしているし、続々と関連商品が未だにリリースされているのだ。
「あひん……と、ともかく! やりましゅよ!『幻影』殺法をお見せしてあげまままますからね!」
駄目だなぁ。
締まらないなぁって思いながらも『五月雨模型店』のチームメンバー、そして猟兵たちは己の作り上げたプラスチックホビーを『プラクト』フィールドにセットする。
「行くぜ!『レッツ』――」
「あきゅと! あ、『アクト』――!」
やっぱり締まらなかったが、しかして戦いは幕を上げる。
圧倒的な『ダークリーガー』率いるチームと、そして彼女たちの『プラブレード』に再現された『幻影』殺法たるレーザーエフェクトによって生み出された無数の幻影が、これまで以上の大群となってフィールドを埋め尽くし、猟兵たちを殲滅戦と熱き回転と共に迫るのだった――。
メサイア・エルネイジェ
んんん?また見覚えのある方が出てきましたわね
でもやっぱり思い出せませんわ
そんな事よりスリーツーワンごーおシュートですわ〜!
操作系統は勿論おモーションですわ
クロムジェノサイダーの力をお披露目致しますわよ〜!
噂の幻影殺法ですわね!
本物と見分けが付きませんわ
ここは身を守るのですわ
防御は最大の攻撃ですわ!
さてここで問題ですわ
タンスの角に足の小指をぶつけたら如何なさいます?
とても痛いですわよね?
つまりそういう事ですわ〜!
真・黒竜装甲でシールドはガッチガチ!
ぶつかる者皆傷付けますわよ〜!
あちらから来ないのならこちらから殴りにいって差し上げますわ
硬いものでぶん殴られたらとてつもなく痛いのですわ〜!
『ダークリーガー』に敗れ『ダーク化』されたアスリート『フィーア』。
彼女の体躯は同年代の少女たちに比べて発育がよかった。
特に身長。
その恵まれた体躯は、このアスリートアースにおいては大きな武器となっただろう。けれど、彼女のかみかみな言葉遣いや引っ込み思案な性格が災いしてあまり発揮されていないことは惜しむべきことであった。
けれど、今回は敵である。
『ダーク化』されたアスリートたちを救い出すには『ダークリーガー』を倒すしかない。
『プラクト』フィールドにひしめく無数の分身。
それは『プラブレード』と呼ばれるホビーをアニメ化した時に生み出された必殺技だ。
レーザーエフェクトによって『幻影』を生み出し、その『幻影』にまぎれて迫る『プラブレード』の一閃は、読みにくく、また回転による攻撃力と合わさって『プラクト』という競技においては強敵そのものだった。
加えて、『燃焼系アスリート』たちの放つユーベルコードとのシナジーがやばかった。
「どうして噛んでしまったからといって諦めるんです! さあ、ファイトです! さあさあさあ!!」
「ひぅ~! だってぇ!」
そんなふうに『フィーア』が責め立てられている。
大丈夫か、相手のチーム。
「んんん? なんだか聞いたことがあるようなお名前の方がまた出てきましたわね。でもやっぱり思い出せませんわ~! いえ、そんなことよりもスリーツーワンごーおシュートですわ~!」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は、そんなの関係ないですわ! とばかりにビルドヴリトラと共にフィールドに降り立つ。
『モーション』タイプの操縦方法故に彼女の体勢は腰が辛くなりそうである。
だがしかし、見くびることなかれ。
彼女はこれまで多くの世界で『ヴリトラ』と共に破壊と暴力でもってオブリビオンをぶっ飛ばしてきた流浪の姫なのである。
腰の耐久度など、これまでの放浪生活で培ったワイルドさでどうとでもなろうというものである。
「クロムジェノサイダーの力をお披露目致しますわよ~! ってぇ! なんだかんだでめちゃくちゃ多いですわね! これが噂の『幻影』殺法ですわね! 本物と見分けがつきませんわ!」
迫る『プラブレード』の猛攻。
『燃焼系アスリート』たちは、その機体から多くの炎のマスコットを生み出し、殴打殴打の大連打を持ってビルドヴリトラを追い込んでいく。
だが、ガッチリとサブアームによって展開したシールドによって殴打は防がれている。
回転の乗った『プラブレード』の突撃は、ビルドヴリトラの体を傾がせ、大地に踏みしめる脚部への負荷も尋常ではない。
「ここは身を守るのですわ! お防御は最大のお攻撃ですわ!」
「いや、逆じゃなく? 攻撃は最大の防御ではなく?」
『ツヴァイ』が冷静にツッコミを入れる。
だが、メサイア姫の瞳は、カッ! とユーベルコードに輝く。
「さて、ここで問題ですわ」
テテテンッ。
急に始まった。
彼女のビルドヴリトラはユーベルコードによって衝撃を弾き返す黒い金属製へと変えられている。
それは、真・黒竜装甲(ダークオリハルコニウム)。
如何にプラスチックホビーとは言え、金属は販促ではないだろうか? 答えは否である。元がプラスチックホビーなのでセーフ。
『ユーベルコード発生装置』によってユーベルコードが効果を及ぼしているだけなのである。
「タンスの角に足の小指をぶつけたら如何がなさいます?」
「え、ええええ、と、か、かがみます?」
『フィーア』の言葉に黒き金属装甲そのものとなったビルドヴリトラがメサイアと共にシールドをガッチガチに固め、突撃してくる『燃焼系アスリート』たちの『プラブレード』を弾き飛ばす。
「ええ、とても痛いですわよね? つまりそういうことですわ~!」
どういうこと!? と『アイン』を始め多くの少年少女たちが青筋を走らせる。
「ぶつかるもの皆傷つけますわよ~! そちらから来ないのならこちらから殴りに行って差し上げますわ!」
「やべぇぞ! 姫様ご乱心だ! 道を開けろー!」
『アイン』の言葉に『五月雨模型店』のアスリートたちが一斉に道を開ける。
そこを突っ走っていく黒い弾丸の如きビルドヴリトラ。
その中でメサイアはばうばうと吼えるように黒き金属装甲のシールドを纏いながら迫る『燃焼系アスリート』の駆る『プラブレード』を弾き飛ばす。
「固いものでぶん殴られたらとてつもなく痛いのですわ~!」
これが真理!
全ての真理なのである!
固いものが全てを制する。物理こそ最強! 即ちデストロイ!
「破壊と暴力だけが全部くるっとまるっと解決してくださるのですわ~!」
触れるもの全部ぶっ壊すメサイア姫のビルドヴリトラは、弾き飛ばしてバラバラに分解される『プラブレード』の残骸を踏みつけ、高らかに咆哮するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
マニューバタイプですから、今回は操作ですねー。
視線を遮るように、羽を広げての結界ですよー。
そういえば、陰海月が『もう少しだけ改造する!』と。霹靂と相談してましたけどー…?
で、その後に『UC使うときには、これを押して!』と示されたのがいかにもなボタン。
押しました。ええ、私の武器『漆黒風』のミニバージョンが爪から発射されましたね。
…どういうカラクリ仕込んだんですか、陰海月…。
※
二匹とも、ポンポン持って応援!
陰海月「ぷきゅ、ぷーきゅっきゅ!」
ふっふーん、おじーちゃんたちの武器ミニバージョン格納したんだ!
霹靂「クエ」
自分はアドバイスしただけ。
モニターに映し出される『プラクト』フィールド内の戦いの様子。
それは商店街の巨大モニターであったり、同時接続によるインターネット動画配信サービスなどにも中継されている。
多くの人々が目にする機会が与えられていることはアスリートアースのスポーツ競技に置いては必須だ。
なにせスポンサードが付けば、それだけ非公式競技であっても盛り上がって、いずれは公式化されることもあるはずだからだ。
「いきますよ! 敵の数を圧倒するほどの『幻影』さっぴょうで!」
「噛んだ」
『フィーア』という『ダーク化』されたアスリートが『ダークリーガー』のチームを率いて『プラブレード』を駆る。
流石に、というか、噛んだことぐらいは見逃してあげてもいいのではないかと思ったが、『プラクト』とは心技体の揃ったスポーツである。
噛んだくらいでメンタルが揺らぐようでは到底勝利には至れないのだ。
故に『燃焼系アスリート』たちが『フィーア』を励ます。
「できますできます! あなたならできます! もっともっとがんばりましょう!!!」
「は、はいぃぃ!」
そんな様子に本当にあの人達は『ダーク化』しているのかな、と巨大クラゲである『陰海月』とヒポグリフの『霹靂』はポンポンもって応援しながら思った。
そう、彼等が応援しているのは『霹靂』をモデルにした鎧をまおったヒポグリフのホビーを操る馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)であった。
「翼で視界を広げて結界としましょうー」
『疾き者』は『マニューバ』タイプの操作でもってパーティションで区切られたスペースにて迫りくるレーザーエフェクトによって『幻影』を作り出す『プラブレード』の群れを見やる。
ユーベルコードを封じられまいと翼を持って結界としたのが効いたのだろう。
「とは言え、数が多いのはそう変わりませんかー」
むしろ、特筆すべきは『幻影』の精度であろう。
普通、レーザーエフェクトの『幻影』であれば、ゆらぎであったり本体と挙動が全く一緒であったりと見分けがつく。
けれど、『燃焼系アスリート』たちが操る『プラブレード』に搭載されたレーザーエフェクトは凄まじい精度であった。
さらに数でもって迫るからこそ、狙いを定めることができない。
「とは言え、対策することはできるのですよ。そして、独楽が最も安定しているのは止まっている時、ならば我等のユーベルコードにとって、その致命的な箇所に当たる可能性はさらに上がるということー」
『疾き者』の瞳がユーベルコードに輝く。
それを受けてヒポグリフのモデルの中に搭載された『ユーベルコード発生装置』が輝く。
「そう言えばユーベルコードを使うときは、これを、と言われていましたね」
見やればコンソールの横に『ユーベルコードを使うときはこれを押して!』と表示がされている。
如何にもなボタンである。
「ふむ?」
ぽちっとな。押した瞬間、輝くユーベルコードと共に射出されるのはヒポグリフの爪より放たれる棒手裏剣の雨。
それは『陰海月』が『もう少しだけ改造する』と言って『霹靂』と共に相談していた場所であった。
棒手裏剣の雨が、四悪霊・風(シアクリョウガヒトリ・トノムラヨシツナ)の力を得て、次々と『幻影』ごと『燃焼系アスリート』たちの『プラブレード』たちを撃ち抜いていく。
「……どういうカラクリ仕込んだんですか、『陰海月』……」
「あー!? できるできないじゃない! やるかやらないかなんですよ! ですが、これはどうにもなりませんよー!?」
『燃焼系アスリート』たちの悲鳴が響き渡る。
彼女たちの『プラブレード』の中心、その頭部に突き刺さった棒手裏剣のパーツは、その頭部の下にある重心を支える軸を破壊し、その機体をバラバラにしてしまうのだ。
『ぷきゅ、ぷーきゅっきゅ!』
『クエ』
二匹がパーティションの外で誇らしげな顔をしている。
その戦果に『疾き者』は応えるように柔らかくほほえみ返しながら、さらなる戦場の奥に待ち構える『ダークリーガー』の姿を探すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『そういや名前……決めた、こいつの名前は覇王丸【ハオウマル】だ!』
新作に名前をつけてからレッツ・アクト!
【残像】と【フェイント】を織り交ぜ、ブースターで上昇、上からメイスでの【鎧砕き】を叩きつけてやるぜ!
『熱さならなぁ‥俺も負けてねえんだよ!』
【オーラ防御】を纏い、ユーベルコード【呪炎解放『煉獄』】を発動!炎とともに突っ込んでメイスで叩き潰す!
「ああ~やっぱり駄目です~! どうしても噛んでしまいます! いつもいつもそうだったんですよ~! 私ってば肝心なところでぽこぽこミスしちゃうんです!」
『ダーク化』されたアスリートの一人である『フィーア』の嘆く声が『プラブレード』を操る彼女のパーティションから響いてきている。
そんな彼女を『燃焼系アスリート』たちは勇気づけるように叱咤激励する。
暑苦しいほどの激励だった。
「もっと熱くなりましょう! 恥ずかしさも失敗も、全部全部熱くなればきにならなくなりますよ! 恥ずかしいのはまだまだ貴方が熱くなっていないから!」
「そうです! もっと! もっと!」
「熱くなって燃え上がりましょう! 回転を上げて! さあ、いけますよ! どんどんいきましょう!!」
なんかそんなスポ根アニメのような一幕が『ダーク化』したアスリートたちの間で巻き起こっている。
そんな彼女たちの様子を見ながら、なんとも美しい友情だなぁって思ったのはガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)であった。
「そのとおりですね! わ、私もがんばらないと!」
本当に『ダーク化』してんのか? と思わなくもない言葉を紡ぎながら『燃焼系アスリート』と共に一斉に『プラブレード』が回転を上げる。
レーザーエフェクトによる分身。
それは数で勝る『ダーク化』アスリートたちにとっての優位。
それだけではない。あの回転する胴体。あの独楽の形をした胴体は、回転し続けることによって無類の攻撃力とあらゆる攻撃を弾き飛ばす防御力を得たのだ。
「とは言え、俺の……そういや名前……決めた、こいつの名前は|『覇王丸』《ハオウマル》だ! こいつでやれないことはないんだぜ!」
新作である機体に名前を付けてガイは『プラクト』フィールドの中を駆け抜ける。
残像を残しながら戦場を走るが、『幻影』殺法の数の多さの前では目くらましにもならない。
振るう一撃が『幻影』を叩くも、空振りで体勢を崩してしまう。
「ふふぇ、フェイントなんて!」
『フィーア』の『プラブレード』の体当たりでガイの『覇王丸』が弾き飛ばされる。
機体のサイズで言えば、あちらのほうがデフォルメされている分小さいのに、なんというあたりの強さであろうか。
その凄まじさに押されながらガイは手にしたメイスを削られながら弾き返す。
「敵の実態が掴めねぇってんなら……カウンターで決めるぜ!」
「そんな熱さで私達と張り合おうなんて! 私達はまだまだ燃え上がるんですよ!」
「もっともっと熱くなりますよ! ふぁいあー!」
『燃焼系アスリート』たちが一斉に『プラブレード』の回転を上げ『覇王丸』に迫る。
だが、ガイの瞳はユーベルコードに輝く。
『幻影』は所詮まやかし。
ならば、実態を持った本体が攻撃を加える瞬間こそが、最大の好機。
「呪炎解放『煉獄』(ジュエンカイホウ・レンゴク)……! その『プラブレード』の攻撃力、防御力の要は回転しているということ! なら狙うは地面か真上かってことだろう! なら!」
『覇王丸』が掲げた手のひらから降り注ぐのは荒ぶる黒き炎の竜巻。
「熱さならなぁ……俺も負けてねえんだよ!」
吹き荒れる炎が、空より『プラブレード』の頭部を撃ち抜く。
一撃で終わらなくてもいい。
この炎の竜巻は敵味方を識別する。つまり『幻影』は燃えず、今炎に巻かれている機体こそが敵の本体。
「見えた! そこだ!」
飛び上がる『覇王丸』。その手にしたメイスの一閃が頭上より『プラブレード』の一体を叩き潰す。
どれだけ回転によって攻撃と防御を一帯としていても、その頭上は独楽である以上支点にしかならない。
故に、叩くのならば上からなのだ。
「おらぁ――!」
力任せのメイスの一撃が『プラブレード』をひしゃげさせ、回転を止める。
戦いはまだ始まったばかりだ。
敵の回転を止め、更に迫る『幻影』の軍勢を見極める為、ガイはさらなる炎の竜巻をたぐり、戦場を席巻するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
『フィーア』さん(ちもじ)
まさかわたしまで開幕五体投地とは、攻撃力を侮っていた……。
ま、まだ終わるわけにはいかない!
まだ(鼻)血の海に沈んでる場合ではないっ!
(噛んだ回数をカウントした数取器を握りしめ)
いきなりの大ダメージだったけど、まだ戦える!
こんなイジりがいのある素材を、
お持ち帰りしないわけにいくだろうか。いや、いかない!
フィーアさんお持ち帰りのために、いくよサージェさん!
【フィリングウェーブ】で回転エネルギーを。
【mist sprayer】で炎の勢いを奪っておう。
……ついでに抵抗の意志もね(ぼそ)
さ、サージェさん、
無防備になった敵を蹴散らして、フィーアさんげっとだぜー♪
サージェ・ライト
【理緒さんと】
改めて
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!
というわけでクノイチ参上です
理緒さんいきま……あるぇ?!
し、死んでる……!?
あ、生きてました
理緒さん大丈……えっと、うんと、アッハイ(かくかく
ガンバリマス
やる気があることはいいことだ
ここは理緒さんに任せましょう
というわけで
【VR忍術】ハンマーどっかんの術!
説明しましょう!
この術はハンマーでドッカンと地面を叩くと、その場にいるモノを一時的に宙に浮かせるのです!
私たちや敵機はともかくプラブレードがちゃんと着地できるかな?
なお、宙に浮いている間に理緒さんが敵全部蹴散らしたのは秘密です
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は張り切っていた。
いつもより長めに尺を取って名乗り口上を上げることができたからである。
そんなことあるもんっ! とは『プラクト』を観戦している商店街のモニターの前にいる人々やネットワークを介して動画配信サービスで視聴している人々の言葉であったかもしれない。
あんなクノイチが忍べているわけがない。いいかげんにしろ!
そんな具合である。
あえて言わせて頂くが、これは断じて野次ではない。
愛在る視聴者の言葉である。何がとは言わんが、とても揺れているので大変に人気なのである。
「というわけでクノイチ参上です。理緒さんいきま……あるぇ!?」
『プラクト』フィールドに降り立った自機の隣に立っているであろう理緒の機体が地面に突っ伏している。
一言で言えば、五体投地であった。
え、なんで、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)さんなんで? となる開幕であった。
『フィーア』さん。
ちもじ。
あー、これはあれかーってサージェは思った。
「し、死んでる……!?」
「まさか、わたしまで開幕五体投地とは攻撃力を侮っていた……」
むっくらしょ。理緒の機体が立ち上がる。
「ま、まだ終わるわけにはいかない! まだ(鼻)血の海に沈んでる場合ではないっ!」
そんな彼女の手にはカウンターが握りしめられていた。
なんだそれって言う疑問を抱いた諸兄もいらっしゃることだろう。多分あれは『フィーア』が噛んだ回数を数えている数取器である。なんでそんなことするの?
「なんでそんなことするんですかぁ!?」
『フィーア』の抗議の声に理緒はごちそうさまです、という感じで拝んでいる。
「あ、生きてましたね。理緒さん大丈……」
「いきなりの大ダメージだったけど、まだ戦える! こんなイジりがいのある素材を、お持ち帰りしないわけにいくだろうか。いや、いかない!」
くわ! と理緒の瞳がユーベルコードに輝く。
機体から唐突に放たれるマイクロウェーブ。
それはユーベルコード、フィリングウェーブ。エネルギーを奪うマイクロウェーブであり、エネルギー……即ち、『プラブレード』の回転エネルギーを奪うのだ。
「『フィーア』さんお持ち帰りのために、いくよサージェさん!」
「……えっと、うんと、アッハイ。ガンバリマス」
なんだこの茶番。
カクカクしているし。だがしかし、『燃焼系アスリート』たちの操る『プラブレード』が一斉に二人に迫る。
「もっと! もっともっともっと! 熱くなるのです! どれだけエネルギーを奪おうとも!!」
「ええ、我等が噛み噛みプリンセスを奪わせるわけにはいかないのです!!」
「彼女はもっと輝けるのです! 私達はそのために!!」
熱い思いの猛りを叫ぶ『燃焼系アスリート』たち。
本当に『ダーク化』してる? となるほどの暑苦しさ。というか、思考のレベルが理緒と同レベルである。
彼女たちもまた『フィーア』という長身長を気にして猫背になりつつも対人コミュがちょっと低い噛みまくる彼女に心酔しているのである。
だから、彼女にもっともっと輝いてほしいと叫ぶのだ。
その熱き魂の回転を止められるものなら止めてみろとばかりに襲いかかる。
「炎の勢いも! その熱き思いも! わたしは負けない、よー!」
噴射機より放たれる水が熱を奪いながら、マイクロウェーブでもって回転エネルギーを奪っていく。
「……やる気があることはいいことだ。うん。きっとそうです」
サージェは理緒の勢いに押されるままに走る。
機体から振り上げるハンマーの一撃がフィールドの地面を叩く。
VR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)によって再現された忍術が、地面を揺らす。
「説明しましょう! 此の術はハンマーどっかんの術! ハンマーでドッカンと地面を叩くと、その場にいるものを一時てきに宙に浮かせるのです!」
雑ぅ! 説明口調助かるけど!
「しゃらくさいですね! もっともっと熱い思いを! パトスを! パッションを!!」
『プラブレード』の手足が飛び出し、宙に浮かされた機体を地面に着地させる。
だが、それ以上に早く理緒の機体が空中に浮いた『プラブレード』たちを一閃でもって叩き切る。
「無防備だったからね! ついでに抵抗の意思も奪わせてもらうよ!」
理緒はノリノリである。
ちょっとよだれでてない? 大丈夫? 美少女がしていい顔してない気がするんだけど。
「大丈夫! さ、サージェさん。無防備になった敵を蹴散らして、『フィーア』さんげっとだぜー♪」
「ひ、ひえぇぇぇぇっ!?」
理緒の溢れ出るなんかあれやそれに慄く『フィーア』。
まあ、当然だよねって流れであるが理緒は構わず迫りくる『燃焼系アスリート』たちを蹴散らし、サージェは何だこの茶番……って顔で付き従うのだ。
だって、後が怖いから――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神代・凶津
メカ怪獣王ーーーッ!!起動ッ!!
このメカ怪獣王は初代仕様、観戦してる世代の連中から熱狂的な声援が聞こえてくるぜッ!
チビッ子連中からはこんな古そうな見た目のメカが強いのかよって疑問視されてるが子供には分からないか、この|領域《ステージ》の存在は。
「…いえ、私も昭和のやつはちょっと分かりません。」
敵は物量で攻めてきてるが豊富な武装で殲滅してやんぜ。
目や胸からビーム、指からミサイルを発射して更に尻尾でなぎ払って応戦よ。ちょっとやそっとの攻撃じゃあこの頑強なボディにはびくともしないぜ。
幻影?なら纏めて葬ってやるよ、口から【大火炎大息吹】ッ!
フハハ、大暴れだぜッ!
【技能・操縦、なぎ払い】
【アドリブ歓迎】
『プラクト』フィールドは『プラブレード』の生み出す『幻影』によって膨大な数の敵機に埋め尽くされていた。
如何にこれまで猟兵達の協力を得て『ダークリーガー』のチームを打倒してきた『五月雨模型店』であったとしても、戦場を埋め尽くすほどに大群を前にたじろぐしかなかった。
「本来の数以上に見えるっていうのは、此処まで厄介かよ」
「『幻影』に手間取っていると、それだけこちらの手数を奪われます……!」
『アイン』と『ツヴァイ』の機体が『幻影』に攻撃を打ち込む。
見分けが付かない。
『燃焼系アスリート』たちの操る『プラブレード』は脅威であった。数は力とは言ったものである。
「数を打てば『幻影』関係なしに殲滅できるであろうが! うむ、これは割りとジリ貧というやつだな!!」
『ドライ』の言葉も尤もである。
このままではこちらは消耗し続け、疲弊したところを本体である『プラブレード』が攻め込めば、それだけで『五月雨模型店』は瓦解してしまうだろう。
はっきり言って、これまでで最大の危機に追い込まれていた。
しかし、そんな危機であるからこそ輝くものがある。
『メカ怪獣王――ッ!! 起動ッ!!』
その言葉が響き渡る。
どよめきが『プラクト』フィールドの外で巻き起こる。
お馴染みのBGMが聞こえてきそうなほどのスモークと光の演出。唸る大地。響くわたり怪音。
「ま、まさかあれは……!!」
「嘘だろ!?」
「……え、なにあれ?」
反応は二極化していた。そう、フィールドに現れたのはスモークかき分け現れる神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)の操る『メカ怪獣王』であった。
シルバーのくすんだ機体が否が応でも心を高鳴らせる。
少年の心を持つ大人たちは、在りし日の光景に目をうるませていた。
「まさか限定版の、それももう絶版しているモデルが動いてやがる……!」
「……えぇ……」
感涙の涙すら見せる大人に子どもたちは若干引いている。
『だろうな。ちびっこ連中にはわからないか、この|領域《ステージ》の存在は』
凶津の鬼面が揺れる。
無駄にニヒルであった。
「……いえ、私も昭和のやつはちょっとわかりません」
相棒である桜も同様であった。それ以前に女性であるからかもしれない。ちょっとわかんないですね、という顔をしていた。
だが、浪漫はそんな顔すら引っ込めさせる。
此処よりは男の戦いである。凶津の鬼面が吼える。
『行くぜ、『メカ怪獣王』!!」
彼の声に呼応するように『メカ怪獣王』から怪音が鳴り響く。
「大きいからと言って! 私達の熱さには! そう! もっともっと熱くなれば……って、ええええ!?」
『燃焼系アスリート』たちの目が見開かれる。
こちらは物量で持って攻め立てる。『幻影』という本体と見分けの付かないレーザーエフェクトを生み出す回転は攻防一体。
だからこそ、ここまで『五月雨模型店』の面々は苦戦していたのだ。
だが、それを一笑に付すかのごとき『メカ怪獣王』に搭載された武装の数々。
『アイビームにブレストビーム! そんでもってフィンガーミサイルにているハンマー!』
「原作再現半端ないな! 全部再現してやがるぅ!!」
「くぅ~! しかも操縦しているのが巫女さんとか! わかってる! わかってるよ!」
大きな少年たちが滂沱の涙を流しながら拳を握りしめてモニターを見上げている。
その様子に桜は困惑するしかない。
性格には凶津が操縦しているのだが、共にパーティションに入っているから彼女が操縦していると思われているのだろう。
「いけー!『メカ怪獣王』ー!!」
凄まじい応援の声が届いてくる。
「中々の熱さ! ですが! 私達の『幻影』は……!」
『幻影? ならまとめて葬ってやるよッ!!』
『メカ怪獣王』の口蓋が開く。
そこに覗くのは砲口。そう、『メカ怪獣王』と言えば、『怪獣王』のライバル的存在であり、また模した存在。
ならばこそ、それこそが象徴的な武装。
「出るのか、まさか……!」
『オラァッ!くらいなッ!! 大火炎大息吹(ダイカエンオオイブキ)ッ!!』
放たれる炎の大嵐。
それは相対するものに重圧と畏怖を与えるだろう。
『怪獣王』とは巨大で恐ろしいものである。
凶津と店長の合作でもって尋常ではないクオリティになった『メカ怪獣王』は、まさしく畏怖の対象そのもの。
吹き荒れる炎は『燃焼系アスリート』たちの熱さすらも凌駕し、これを殲滅するのだ。
『フハハ、大暴れだぜッ!』
「……男の人って……」
桜は呆れながらも、パーティションの外で後方製作者面する店長の姿になんだか微笑ましく思うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
モーションで自分そっくりのプラモを動かすなら……やっぱり同じ服着ないとね、武器取ったりするのに便利だし。
とゆー事でくのいちコスプレで参戦だ!
観客の皆ー、プラモとどっちが可愛いか比べながら見ててね☆
折角アニメの技を真似するんだったら、フィーアちゃんもコスプレして来ればよかったのに。
よーし、そんじゃ正々堂々とレッツ・アクト!
さて、相手はいっぱい分身してるね。
うん、全部撃てば本物にあたるでしょ!
ガジェット忍法でブラスターをいっぱい作って【一斉発射】!
本物が見つかったら、幻影を撃っちゃったビームも【念動力】で曲げて本物に向かわせちゃおう!
必殺技の応酬、やっぱり熱くなるね!
体が思わずいっぱい動いちゃう!
『プラクト』の試合風景は、当然のように配信されている。
模型店のモニターに、商店街の巨大モニターに、そして動画配信サービスのサイトでも中継されているのだ。
そうやって『プラクト』という非公式競技のプロモーションとしても有効に使われている。
注目されるのは自社製品だけではないことをスポンサーはよく理解している。
そう、アスリートたちこそがアスリートアースの花形。
故に『プラクト』でもってホビーを操るアスリートにも注目するのはある意味当然であった。
「観客の皆ー!」
ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は、くのいちコスプレでもって『プラクト』を操縦するパーティションの中からカメラに向かって手を振っていた。
そう、彼女がコスプレをしているのには理由がある。
『モーション』タイプで自機を動かすのならば、やっぱり同じ服を着ないとと思ったのだ。武器を取り出す動きをする際に異なる衣服だと動きが阻害されたり、勝手が違ったりするからだ。
「プラモとにぃなちゃん、どっちが可愛いか比べながら見ててね☆」
ぱちん、とウィンクすればモニターの外では大盛りあがりである。
歓声がこっちにまで響くほどの大盛りあがり。
それはそう。
だって、ニィナは大変に可愛らしい上にプロポーションも素晴らしいのである。見ないわけがない。見ないほうが失礼である。故に見るのである。仕方ないことなのである。
誰に言い訳しているかわからんが、そういうことなのである。
「こ、こここすぷれとか! そういうのずる、ずずるいです!」
『燃焼系アスリート』たちを率いて『フィーア』が迫る。
あ、コスプレとか興味ある子なのかな? とニィナは首を傾げ、自身をもした美少女プラモデルを動かす。
柔らか素材を使っているので、何がとは言わんが揺れる。
「折角アニメの技を真似するんだったら、『フィーア』ちゃんもコスプレして来ればよかったのに」
「む、むむりですー!!」
「そう? そんじゃ正々堂々と『レッツ・アクト』!!」
『幻影』と共に迫りくる『プラブレード』の群れ。
それは本体と見分けがつかない。この無数の『幻影』に『五月雨模型店』のメンバーたちも翻弄されっぱなしなのだろう。
「もっともっと熱くなりましょう! やればできる! やらなければできない! もっともっと熱くなりましょう!!」
迫る『プラブレード』の回転。
その回転に触れれば美少女モデルの衣服がこう、ずんばらりんとなってしまう。がんばれ!『ダークリーガー』!! とどっちを応援していいかわからん事態になっていはいるが、そこはニィナのユーベルコードが輝く。
「どれが本体かわかんないんだったら、全部撃てば本物にあたるでしょ!」
ガジェット忍法・弾丸祭の術(ガジェットアーツバレットフェスティバル)。
それは美少女モデルのニィナの瞳が輝くと同時にブラスターの複製を生み出し、宙に浮かべる。
百を超えるブラスターの砲口が迫る幻影の群れに狙いを定める。
いや、狙いを正確に定めるまでもない。
だって、数は力である。撃てば当たる。それくらいの感じでニィナはブラスターより熱線を解き放つのだ。
「せーの、ばぁん☆」
放たれるビームの光条が一斉に『幻影』を貫く。
無駄玉を撃たせた、と彼女たちは思っただろう。だが、違う。
「念動力ー☆ いっぱい曲げるよ☆」
『幻影』ならば実体がない。すり抜けてしまうのならば、すり抜けたビームを念動力でコントロールして曲げ、さらに本体を目指すのだ。
「曲げる!? できるんですか、そんなこと!?」
「やればできる☆やらないからできないんでしょ☆」
そんな理屈通る!? と観客たちも思った。だが、そこはユーベルコードの見せる力である。
必殺技の応酬。
これこそが『プラクト』の醍醐味であるとばかりにニィナは戦場を駆け抜ける。
飛び散る汗。
そう、ここはアスリートアース。アスリートたちの額に汗が輝くのは当然のこと。そして、その汗の輝きこそ尊ばれること……あっ、やばい。ニィナさん、熱くなって思わず体がいっぱい動くのはわかるんですが、その!
色々モニターに映っては危険な素敵なものがまろびでそうです――!
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
今回はモーションタイプで操縦して…
くっ…どうした私の熊猫!
動きが鈍い…!
何故だ…なぜ動かん!!!
これがダークリーガーの仕業なのか!
卑怯な奴らめ!
まるで関節が動かないようだ…
何て奴だダークリーガー!!
酷いぞダークリーガー!!!
●
みろこのポーズ、そう旧キット特有の少ない稼働で精一杯動かしたポーズを再現!!
あ、やめて
動けないからって狙わないで
仕方ないから『オーラ防御』で機体を強化して攻撃に耐えて時を待つ!
そして近寄った敵に【エナジー解放】起動
複数纏めてドーン!
近寄って来ないならえっちらおっちら射程に入るよう近寄ってドーン!
くっ…ダークリーガーの攻撃さえなければ、最新キットの可動域を活かせたのに…!
「なあ」
「言うな、野暮になる」
そんなふうに『アイン』と『ドライ』は『プラクト』フィールドに降り立った白きプラスチックホビーを見てヒソヒソ言っていた。
ずしん、と降り立った白いプラスチックホビーは、砂埃を巻き上げ、堂々たる威容を見せつけていた。
手にした蛍光ピンクの剣が煌めいている。
いや、それはいい。
いいのである。だが、そのなんていうか。
「くっ……どうした私の熊猫! 動きが鈍い……!」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、最新キットをガワに旧キットらしく仕上げるという、デチューンっていうか、逆行っていうか、その、なんともいい難いプラスチックホビーを『モーション』タイプの操縦方法で動かしていた。
あえて最新の可動領域を削った機体。
頑強さが売りであり、ちょっとやそっとの動きでは摩耗しないプラスチックの強みを十全に生かしたはずだったのだ。
多分、そういう狙いだったんだろうなぁって好意的に解釈していた『アイン』であったが、それが恐らく間違いであったことを思い知った。
「何故だ……なぜ動かん!!!」
玲さんは、とっても困っていた。
そりゃそうである。『マニューバ』の操作タイプならまだしも、よりによって可動域を殺した機体で『モーション』なのである。
体を動かすアスリートアースにおいては、それは致命的。
「これが『ダークリーガー』の仕業なのか! 卑怯な奴らめ! まるで関節が動かないようだ……」
「そらそうだろうよ。だってボールジョイント切り飛ばしてたし。肘とかガチガチにしてたし」
思わず『アイン』はツッコんでいた。もう我慢できなかった。
絶対ツッコむ。そう決めた固い意志。
だが、玲さんは聞こえないふりをした。観客たちも薄々感じていたことであったが、あの人まさか。
「なんて奴だ『ダークリーガー』!! 酷いぞ『ダークリーガー』!!!」
「ひょえええええ!? なななな、なんで?! 私何もしてないですけど!?」
『フィーア』が矛先を向けられて驚愕しきりであった。
「みろこのポーズ、そう旧キット特有の少ない稼働で精一杯動かしたポーズを再現!!」
ガッチガチのポーズを取る玲さんの機体。
そんな機体に『燃焼系アスリート』たちは殺到する。容赦とかない。だって動かないのなら、ぶっとばせばいいのである。
誰だってそうする。『燃焼系アスリート』だってそうする。
「もっと熱くなればいいのです! そう! 私達の熱で! 関節部を炙って溶かして見るというのはどうでしょう!」
「あ、やめて。動けないからって狙わないで!」
溢れる熱に煽り立てられながら、玲は動きを止める。躱すのはもう無理だこれ、と開き直ってオーラ防御で機体を覆って耐えに耐える。
確かに『幻影』は彼女たちの武器だ。
こちらの攻撃は『幻影』によって空かされてしまう。けれど、攻撃するときは必ず本体がぶつかってくる。
ならば!
「エナジー解放(エナジーバースト)!!」
白い機体から放たれるエネルギーの波動。それはユーベルコードの力によって底上げされたまばゆいばかりの光となって『燃焼系アスリート』たちの『プラブレード』をふっとばす。
「動きが遅いなら……捨て置けばいいんです。そのうち、疲れて動けなくなりますから!」
『フィーア』の言葉に玲はそのとおりだと思う。
このせっまい可動域で『モーション』タイプで動かすのは、本当につかれる。びっくりするくらい疲れるのである。
えっちらおっちらと回転しながら逃げる『プラブレード』を追いかけるのはすごく大変であった。マジで汗だくになる。
「くっ……『ダークリーガー』の妨害さえなければ、最新キットの可動域を活かせたのに……!」
くそう! なんて奴ら! と玲さんはコンソールをだむんと叩く。
観客も『五月雨模型店』のみんなも、あまつさえ『ダークリーガー』のチームのみんなも思っていた。
いや、それ玲さんが作ったやつです、と――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
説明しよう!
バラバラXくんは10台以上の砲台に分離合体できる人型マシーンだ!
その表面をもったりとした思念に感応する形状自在の特殊金属粒子プラ粘土…名付けてVBAプラ粘土で覆ってかつ今回はゲーミングに発光しているよ!
うおー負けるなバラバラXくんもっと輝けーーーっ!!
そしてゲーミング発光しながらバラバラXくんから発動するUC『暴風の化身!』
VBAプラ粘土を虹色の粒子状にばらまいて会場に渦巻嵐を引き起こす!
そっちは幻影ならこっちは幻惑だよー!
そして砂嵐のように微粒子が空間を満たせば…レーザーは効果が半減する!
そんな中をボクの【第六感】指示で分離攻撃しまくってドーーーンッ!!
「説明しよう!」
なんか唐突に始まった解説のコーナー。
それはある意味『プラクト』という競技においては必要なコーナーであったのかもしれない。
プラスチックホビーを使って競う『プラクト』においてスポンサーの存在は大変に大切なものである。
いつだってそうだが、世の中必要なものは結構たくさんあるものである。
まあ、有り体に言えば資金。
だが、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はそんな大人の事情なんて知ったことではないので、当たり前のように『プラクト』の操縦パーティションからモニターに向かって説明を始める。
「『バラバラX』くんは10台以上の放題に分離合体できる人型マシーンだ!」
フィールドの中を飛ぶ『バラバラX』。
名前がちょっとその、直接的すぎる気がしないでもないが製品のアピールポイントとしては間違っていないだろう。
名前と姿形が直結するのは、対象年齢となる子供らにとってはわかりやすさとして映るからだ。
「その表面をもったりした思念に感応する形状自在の特殊金属粒子プラ粘土……名付けてVBAプラ粘土で覆ってかつ今回はゲーミングに発光しているよ!」
いやどうやってんのそれ!?
そうなるほどに戦場にあって光り輝く『バラバラX』。
その勇姿はとても目立っていた。悪目立ちって言われたらそれまでなのであるが、それでもゲーミングカラーに輝く姿は、注目の的であった。
「ぬぬぬっ! 負けてはいられませんよ! 私達ももっと、もっと! もっと熱くならなければ!!」
『燃焼系アスリート』たちが一斉に『プラブレード』の回転を上げ、さらなる速度と熱さでもって迫りくる。
更に『幻影』によって本体がまるで見分けがつかない。
どれを狙って良いのかさえわからなくなってしまう。そのため『五月雨模型店』のメンバーたちは攻撃を空かされ、翻弄されていたのだ。
「うおー負けるな『バラバラX』くんもっと輝け――ッ!!」
煌めくゲーミングカラーな光は、ユーベルコードの輝き。
暴風の化身(ゴッドウィンド)そのものとなった『バラバラX』は、その特殊金属粒子をフィールドにばらまく。
それは謂わば渦巻嵐そのものであった。
「そっちが『幻影』ならこっちは幻惑だよー!」
砂嵐のように満ちる粒子。
それは区間を満たし、砂塵のようにフィールドを覆う。そう、レーザーエフェクトによって『幻影』が生み出されているのならば、それを阻害する砂塵によって効果は半減する。
即ち!
「色がうすーくなっているのが『幻影』! 色が濃いままなのが本体! ならわかるよね!」
ロニの活躍によって敵のレーザーエフェクトによる『幻影』は、本体との色の差でもって丸わかりに成るのだ。
「『幻影』がががが、あわわあわわわっ!」
『フィーア』のたじろぐ声が聞こえる。
やはり、とロニは笑う。
ならば、もう迷う必要なんて無い。
「さあ、ここからだよ、『バラバラX』くん! その分離砲撃形態で、一気に攻撃しまくってド――ンッ!!」
ロニの言葉と共に砲台となった機体が飛ぶ。
次々と『燃焼系アスリート』たちの操る『プラブレード』を撃墜していき、戦場に満ちていた『幻影』を半減させていく。
敵は未だ多くても、倒すべき敵を見定めることができるのならば。
「このままいっちゃおうー!」
一気呵成に攻め立てるように勢いをとりもどした『五月雨模型店』は、『ダークリーガー』を打倒するため特殊金属粒子の嵐の中を進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『氷上のプリンス『リュミエール』』
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POW : 飛翔する僕を止められる者はどこにもいない…!
【華麗なる高速アクセルジャンプ】が命中した敵をレベル×10m吹き飛ばす。
SPD : みんな僕の演舞の虜になる…!
【華麗なる氷上の演舞】を見せた対象全員に「【僕の演技だけを見てほしい】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【美しさ、移動速度と技の成功度】が半減する。
WIZ : 僕は白鳥の王子じゃない…今の僕は…黒鳥の王子さ!
【黒鳥をモチーフにした麗しき漆黒の勝負服】を纏った真の姿に変身する。変身中は負傷・疲労・致命傷の影響を一切受けず、効果終了後に受ける。
イラスト:村田智英
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「仇死原・アンナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「こいつ……! こっちは三人がかりだぞ!?」
「『アイン』、先走っては!」
「そ、そこです!」
『五月雨模型店』の『エース』とも言うべきアスリート三人が『ダーク化』したアスリート『フィーア』の『プラブレード』との戦いを繰り広げている。
三対一。
周囲の『燃焼系アスリート』たちの駆る『プラブレード』は尽くが猟兵達によって撃破されてしまった。
残るは彼女と『ダークリーガー』だけだ。
だが、それでも『フィーア』は耐えきっていた。それどころか、『アイン』の機体を胴体の回転するブレードが切り裂き、さらに連携を突き崩された『ツヴァイ』の機体すら半壊に追い込む。
「なんてやつ……! だけどなぁ!」
「ええ、『ドライ』! これで!」
ニ機のプラスチックホビーが『プラブレード』の回転に機体を押し込み回転を弱め、持ち上げる。ぐるりと反転する『プラブレード』の軸が晒され、そこに『王冠シューター』の『ドライ』が放つ一撃が貫く。
「見事! これで終わりだ!」
「――っ、いえっ、まだ!」
放たれる軸が回転の力を得て『王冠シューター』の腹部を貫き破壊する。
これが三対一の結果であった。
そして、『ダークリーガー』は追い込まれ現れる。
「いいや、これは満を持していたのだよ! この僕という氷上のプリンス『リュミエール』のための舞台が整うのをね! ああ、注目している! 皆が、世界が! この僕に!!」
最後の最後に一番やべーのがでてきた、ともはや動けない機体の中で『アイン』はつぶやいた。『ツヴァイ』も同意見であった。
「さあ、見せてあげよう! 此の僕の美しさを!! そして君たちは僕という大輪の氷の華を咲かせるために必要な水、空気、そして残骸の山という器を彩る権利を上げよう! 僕は優しいからね! それくらいのことは許してあげるよ!!」
彼の操るプラスチックホビーは銀色に輝く『プラブレード』。
しかし、それはこれまでの『燃焼系アスリート』たちが駆ったそれとは別次元。
高速回転に順応しているがゆえに、人の限界を超えた回転速度にさえ到達する『プラブレード』は『幻影』による分身さえないものの、圧倒的な機動力と攻撃力を兼ね備えている。
恐るべき相手である。
自尊心の高さも、己の美しさに対する自負も、正直並大抵ではない。
だが、熱き魂の回転が言っている!
彼を打倒しなければ『ダーク化』されたアスリートたちは開放されない。
ならば、正面切って戦うしかないのだ――!
メサイア・エルネイジェ
熱くなったり冷たくなったり忙しいおチームですわね
なぁにが!残骸の山という器を彩る権利を上げよう!ですの!
おジャンクになるのはそちらでしてよ!
その綺麗なお顔を吹っ飛ばして五月雨模型店のショーケースに飾ってさしあげますわ〜!
敵ながら良い動きをされておりますわね!
これは目を離したら一瞬で終わりになられるヤツですわ
ですが相手はおひとり!壁を背にしていれば見失いませんわ!
ぶん殴りに行きたい所ですけれど我慢の子ですわ
どうせあちらから近寄ってくるのですわ
攻撃を正面からおガードして反撃致しますのよ
盾にぶつかりになられて回転数が落ちた瞬間が狙い目ですわ
必殺!リベンジギロチン!
生首をちょんぎって差し上げますわ〜!
『燃焼系アスリート』たちの見せた闘魂は、まさに炎そのものであった。
しかし、その熱さが別に嫌いなわけではない。
たただ氷上のプリンス『リュミエール』が放つユーベルコードの輝きは冷たさを感じさせながらも、どこか華美なるものであった。
見る者の目を惹きつけてやまない演舞の如き回転。
凄まじい氷上の華は『プラブレード』を駆って尚、その美しさを誇るようであった。
いや、ていうか眩しいしバチバチなんかエフェクトすごいしでメサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は己の目がチカチカするのを感じた。
一言で言うなら、見た目がうるさい。
「熱くなったり冷たくなったり忙しいおチームですわね! なぁにが! 残骸の山という器を彩る権利をあげよう! ですの!」
「おや、これは麗しの姫君。君も僕の演舞を見てくれるんだね」
だからなんのエフェクトだと思わんばかりにうるさい顔。
「おジャンクになるのはそちらでしてよ! その綺麗なお顔をふっとばして『五月雨模型店』のショーケースに飾ってさしあげますわ~!」
「わかるよ。僕の美しさを手に入れたいという思い! とてもよくわかる! 僕自身だってそう思うからね!!」
ものすごくうるさい。
モニターに映る『プラクト』フィールドの戦いの様子を見守っていた観客たちは『リュミエール』の顔面のうるささとメサイアの言葉のうるささにどっちもどっちだな、と思わずには居られなかった。
「はっはっは! こっちだよ、プリンセス! 確かに僕はプリンスだけれど、追いかけられる方だからね!」
回転する『プラブレード』の動きはメサイアをして良い動きだと思わせるものであった。
回転するということは速度が上がれば上がるほどに軸をその場に留めるものである。だというのにロボットの手足で器用に加速し、地面を疾走する『プラブレード』は、これまでの『ダーク化』アスリートたちの比ではなかった。
「これは目を離したら一瞬で終わりになられるヤツですわ!」
だが、敵は一人。
ならば己に向かってくる以上見失うわけがない。というか、あれだけ顔面がうるさければ見失いようがない。
ていうか、ぶん殴りたい。
メサイアは若干イライラしていた。顔面がうるさいだけならまあ、まだって感じなのだが、あの物言いというか、立ち振舞が癪に障るのである。
なんか微妙にキャラがかぶっていらっしゃるんじゃありませんこと、とさえ思ったかも知れない。
「おや、追いかけっ子はおしまいかい? なら、こちらからプリンスの手を取りに行こうか! 僕はみんなの王子様だからね!! シャイな子にも手を差し伸べられる! それが僕という氷上の華! プリンスとしての役目!!」
「もうマジでお顔もお言動もおうるさいですわね!?」
迫る『プラブレード』の回転をメサイアはラージシールドで受け止める。
だが、ブレード部分の回転により強引に斬り裂かれていくシールド。火花が散って、その威力の凄まじさを見せつけられるようであった。
「シャイなプリンス。お顔を見せておくれ。いや、僕の顔がみたいだろう! そうだろう!!」
「しゃらくせぇですわね!」
斬り裂かれるビルドヴリトラのシールド。
その斬り裂かれたシールドの奥にビルドヴリトラはすでになかった。
斬り裂かれたシールドをブラインドにし、シールドを支えるサブアームにマウントされたギロチンシザーの一撃が『リュミエール』の駆る『プラブレード』へと迫るのだ。
「プリンスだかプリンだかリンスだか知りませんが! お触りの罰は……お処刑でしてよ~!」
名付けて、報復断頭(リベンジギロチン)!
その一撃が『リュミエール』の駆る『プラブレード』の頭部をはみ見込み、その一閃でもって跳ね飛ばす。
「生首をちょんぎって差し上げましてよ~!」
「おやおや! とんだお転婆プリンセスだ!」
「だからいちいちおやかましいのですわ~!」
プリンスとプリンセス。
その対決は、一応メサイアに軍配が上がったのだが、なんていうか、字面がうるさくて仕方ないなぁってモニターの前の観客たちは、ちょっとばかしそう思うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
はてまあ…最後に派手な方が。
機動力も良さそうですからー…まあこうなりますよね。
UC使用。付属する属性は風でしてー。まあ、避けても追尾するので。
当たったとして…疲労とかと無縁のようですが。状態異常は有効なんですよねー?
ならば、一時だけでも呪いましょう。効果は速度低下なんですが。
ええ、それは効果終了時に現れる傷。所詮は後回しなんですからー。
あれですよ。応援してくれる孫的存在の前で、負けるわけにはいきませんからね?
見切って避ける操作にも、だいぶと慣れましたからねー。
※
陰海月と霹靂、続けて応援中!
頑張れ、びゅーびゅーおじーちゃん!
氷上のプリンス『リュミエール』の機体の頭部がギロチンシザーの一撃によって跳ね飛ばされる。
その頭部が大地に落ちる頃には、すでに圧倒的な機動力を誇る『リュミエール』の『プラブレード』は離脱を兼ねた演舞を披露していた。
傷を負っても美しいものは美しい。
まるでそう言わんばかりの滑走。疾走。疾駆であった。
「ああ、傷を負う僕……なんてことだ。これは悲劇だ! だが! 僕は負けないよ! 傷を追った白鳥が赤く染まるのではない。黒鳥へと変わるのさ!!」
きらめくユーベルコードと共に『プラブレード』の機体の色が白から黒へと変わっていく。
まさにフォームチェンジ。
その姿にモニターの向こう側の少年たちに歓声があがる。
だが、その歓声の最中に馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は見ただろう。
そう、自分たちを応援する『陰海月』と『霹靂』の姿を。
がんばれー! と。
勝ってー! と。
そんなふうに応援する彼等の姿を認めて、『疾き者』は力強く頷く。
「ほう! 君たちにも応援する者がいるとは! まるで僕が目に入っていないかのような立ち振舞……いいさ! 僕の演舞で彼等も虜にしてみせよう!!」
「はてまあ……なんとも派手な方が」
『疾き者』は冷静であった。
どう考えても『リュミエール』の顔面がうるさい。とてもうるさい。なんかエフェクトじゃない何か別のキラキラが振りまかれていてある意味で目に毒であった。
だがしかし、『疾き者』は鎧を纏うヒポグリフを駆り、空へと駆け上がる。
「空へと逃げようたってそうはいかないよ!」
頭部を失っても胴体が残っていれば『プラブレード』としての機動力と攻撃力は衰えない。
ロボットの手足で跳ね上がって空に舞い上がるヒポグリフを追いかける力は本物であった。
「まあこうなりますよね。ですが……四更・雷(シコウ・ライ)」
放たれるは雷土と風を纏う呪詛の矢であった。
空中であっても舞うように圧倒的な機動力で持って矢を躱していく。だが、呪詛の矢は追尾する力を持っている。
矢でありながら、空中機動をする『プラブレード』を追いかけ回す。
「疲労とかとは無縁のようですが」
「ああ、そのとおりさ! 僕を見てくれている者たちがいるのならば! みんなみんな僕の虜にしてみせる! それが氷上のプリンスと呼ばれた大輪の華たる僕の役目! さあ、おいで! その呪いの矢を受けてなお、僕は踊ろう!!」
マジでやかましいな。
そう思うほどにキラキラを振りまく『リュミエール』。
彼の演舞は本物であった。その顔面のうるさいのがなければ、或る意味で良かったのかも知れない。
けれど、『疾き者』は負けない。
何故ならば。
「あれですよ。応援してくれる孫的存在の前で、負けるわけにはいきませんからね?」
ヒポグリフの翼が羽撃き、次々と矢を放つ。
空中戦を繰り広げる『プラブレード』とヒポグリフの姿は、モニターに映し出され多くの人々を魅了しただろう。
誰かの思いを受けて戦う者の姿はいつだって美しく、雄々しいものである。
だが、人の視線を独占しようとする己の我のためだけに戦う『リュミエール』は知らなかったのである。
自らに託す思いを受けて確かに彼は立つ。
「自らをその場に立たせるのが、そのプライドであるのならば、その背を押すのが応援というもの。励まし、奮い立たせる。その思いを理解せず、己の美だけを誇るのであれば」
それは誰かの思いをないがしろにするという行為。
故に『疾き者』は負けはしないと、頭部を失った『プラブレード』ととの空中戦を鎧纏うヒポグリフと共に制するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『クールぶってんじゃねぇよ!プリンス!!てめぇをぶっ飛ばして、みんな元に戻さねぇとな!!』
【オーラ防御】を纏うとサブアーム起動!ライフルでの【制圧射撃】でルートを制限するぜ…といってもこれほどの回転だ簡単にはいかないと思うので、大型メイスを上空からおもいっきり全力投球で投げつけるぜ!!
『俺の技とどっちが上か…勝負しようぜ!!』
ユーベルコード【竜闘技・地乃型『螺旋剛烈掌』を発動!!オーラを大型ドリルに変えて…全力で突き破るぜ!!
「フハハハ! 僕の飛翔は誰にも止められないよ! 美しいってことはすごいってことだからね! この氷上のプリンス『リュミエール』を止められるものは僕より美しいものだけさ!!」
やかましいことこの上ない。
それほどまでに『ダークリーガー』である氷上のプリンス『リュミエール』の顔面はうるさかった。
もう見ただけでわかる。
ものすごくうるさい。
キラキラしたエフェクトも、フォームチェンジして黒くなった『プラブレード』の機体も、何もかもが彼の美しさという至上なる命題を表現するためのものでしかなかったのである。
だが、その美しさはまやかしではない。
あんなうるさすぎる顔をしているのに実力は本物なのである。
連続トリプルアクセル。
それが彼の得意技であり、また『プラブレード』に置いては胴体だけではなく、その手足まで回転させていた。
生半可な三半規管では耐えきれない。
「さあ、来たまえ! 僕が相手をしよう!」
「クールぶってんじゃねぇよ! プリンス!! てめぇえをぶっ飛ばして、みんなを元に戻させねぇとな!!」
『覇王丸』と共に回転を続ける『プラブレード』に迫るのはガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)であった。
彼の駆る機体からサブアームが展開し、ライフルでの射撃が『プラブレード』に迫る。
だが、それでもおかまいなしに『リュミエール』は突っ込んでくる。
ルートを限定するための射撃であったが、そんなものなど気にした様子もなく突っ込んでくるのだ。
「いいかい、一つ教えておこう」
ゆらりと揺れるように『リュミエール』の機体が見えた。
それはあまりにも高速であるがゆえに見える残像。
そのゆらめきの中、『プラブレード』の機体が黒きフォームチェンジによって黒き竜巻の様相を得て『覇王丸』へと突っ込んでっくるのだ。
「止まらねぇか! ならよぉ!」
放つ大型メイスが空より投げ放たれる。
だが、それさえも弾き飛ばす『リュミエール』の機体。
凄まじい回転によって質量兵器そのものすら弾き飛ばすのだ。
「僕はね、クールぶっているんじゃあない。そう……ク――ルそのものなんだよ!! わかるかい! この意味が! クールとはカッコイイって意味じゃあない。そう! まさに僕! そのもの! なのだよ!!」
うるさっ。
めちゃくちゃうるさいとガイは思っただろう。
顔だけじゃなくて言動までうるさい。
だが、突っ込んでくるのならばやりようはある。
「なら俺の技とどっちが上か……勝負しようぜ!!」
「無論! 僕が勝つがね! 揺るぎない勝利のために!! プリンスは逃げないんだよ!!」
その凄まじき回転を前にガイは『覇王丸』と共に構える。
機体に宿る焔の如き竜の闘気。
込められた拳に宿るのはオーラの大型衝角。
「天も地も!全てを貫き、次元すら突破せよ!」
――竜闘技・地乃型『螺旋剛烈掌』(ドラグアーツチノカタ・ラセンゴウレツショウ)!
その一撃は大地を抉りながら放たれ、オーラの衝角と『プラブレード』の胴体部分の回転するブレードと激突して火花を散らす。
「全力で突き破るぜ!!」
押し込む。
その一撃は回転をえぐるようにしながら『プラブレード』の腕部をぶち抜き、その回転のバランスを突き崩す。
しかし、『覇王丸』もまた無事ではすまない。
砕けたオーラが消失しながらも振り抜いた拳の一撃があればこそ、『プラブレード』の回転を弱める事ができたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
よーし、ダークリーガーも引っ張り出せたしフィナーレにしちゃおう!
演技は見ててあげる、撃ちやすいもんね☆
とゆー事でガジェッティアレーザーを【乱れ撃ち】!
忍法レーザーの術って事で☆
当たらなくてもそれは良し。
【地形破壊】で上手く踊れないフィールドにして【時間稼ぎ】しよう。
破壊出来たら持ってるガジェットは全部ぽい。
ダンス勝負だ!と見せかけてユーべルコードの予備動作をして【ジャンプ】!
回転してる機体の上からキックで攻撃だ!
まぁちょっとプラモの服が破れるかもだけど、危ない所にはハートのシールとか貼ってるから大丈夫!
プレイヤーにダメージ反映されないやつで良かった。
にぃなちゃんはこの服の下、何も無いからね☆
頭部、片腕を失ってもなお氷上のプリンス『リュミエール』の『プラブレード』が描く回転の軌跡は美しかった。
並々外れた三半規管。
超人アスリートがひしめくアスリートアースにあっても、その回転は見事であると言わざるを得ない。
「この程度のバランスが崩れた程度で僕の演舞は陰ることを知らないのさ! さあ、踊ろう! いや、僕の演舞を見てくれ!!」
顔がうるさい。
あと言動も大分うるさい。
完全に話を聞かないタイプの『ダークリーガー』だなぁ、とニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は思った。
「うん☆ 見ててあげよう。せっかくだしね、フィナーレは派手な方がいいもんね☆」
それに撃ちやすいし、と彼女はガジェッティアレーザを乱れ撃つ。
自身をモデルにした美少女プラモデルは『モーション』タイプの操縦方法と相性がいい。
彼女の体が動くたびに完璧に再現された柔らかな素材を使った美少女プラモデルが揺れるのである。それがモニターに映し出されるものだから、カメラアングルも特殊な画角になろうというものである。
「余所見をするな! いや! よそ見を誘発する君の存在が! 僕は! 許せない!!」
ニィナ自身はじーっと『リュミエール』の演舞を見ているわけであるから、別段ユーベルコードによる成約を破ったわけではない。
彼が怒っているのは、自分への視線を奪ってしまうニィナの美少女プラモデルの刺激的なあれやそれである。
放たれるレーザーやらなんやらは気にも止めていない。
「地面をボコボコにしてるのに全く気にしてないとか。どうやってるのそれ!?」
ニィナも思わずびっくりしてしまうくらいの適応力であった。
回転する独楽である『プラブレード』は、地面が平坦でなければ十分な回転を得られない。
けれど、『リュミエール』は片腕を失いながらも絶妙なコントロールでもってボコボコの地面を踊るように回転し続けるのだ。
「僕ほどになれば、この程度の足場! まるでフラット! イージーなのさ!」
顔がうるさい。
ならば、とニィナもまた踊る。
あーカメラの画角が、また特殊なやつに!
下からの角度も! 上からの角度も! なんだかんだでカメラさん仕事し過ぎである。危なそうなところには謎の光さんが仕事をしてくれる。
やたら勿体ぶった踊り。
否! それは準備動作であった。ニィナの瞳がユーベルコードに輝くと同時に美少女プラモデルの瞳が輝く。
正確にニィナの体を再現されたプラモデルが飛び上がる。
「せいやー☆」
煌めくユーベルコードは流星のように成って、ファイナルにぃなちゃんアタック(ファイナルニィナチャンアタック)を解き放つ。
とんでもなく派手なエフェクトを伴うキック。
それは光の矢そのものであった。
「僕に真っ向勝負を挑む粋や良し! でもね! 僕も負けてはいられないんだよ!!」
回転が上がる『プラブレード』。
激突する力の奔流が『プラブレード』の胴体を覆う外装と、ニィナの操る美少女モデルの衣服を切り裂く。
大丈夫、ちゃんとハートシールが貼ってある!
しかし、何故かカメラがブラックアウトする。いいところだったのに! と『ダークリーガー』を応援していた人たちはひどくがっかりしただろう。
あまりに刺激的な光景であったからであろう。
「画面がフリーズしている!? そんな! 僕の美しい踊りのせいで!」
「いやぁ、多分にぃなちゃんのせい☆」
とは言え、ニィナ自身に影響されなくてよかった、と彼女は胸をなでおろす。
美少女モデルのように下に何か貼り付けているわけではないのだ。
むしろ、その発言のほうがかなり際どいあれなんですが!
「見えてないから大丈夫☆」
一時試合がブラックアウトで見えなかったが、しかしてまだまだ戦いは続くのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
ここは『氷上』ではない。
よってあなたは『プリンス』たりえない。
はい論破。
ま、あんなプリンス、
サージェさんが忍んでいる並にありえないよね。
それと『アイン』さん、『ツヴァイ』さん。
あれはまだまだだよ。
『フィーア』さんをイジりたいわたしのやべーを見せてあげよう!
ここまでの噛み数なんと14回!(当社調べ)
噛んで。どんどん噛んで。すぐ噛んで。わたしも噛んで。
それがわたしのエネルギー!(でへへへへ)
で、アレなんだっけ?
なんか『権利』をくれるとか?
だが断る。
【フレーム・アドバンス】で回転止めて、蹴る。
いま必殺の!
フィーアさん噛み噛みきっく!
サージェさんと合わせて、シンプルに雑な前蹴りだー!
サージェ・ライト
【理緒さんと】
氷上なのにリュミエール(光)とか
どこかの光の勇者が闇広域破壊魔法を使うくらい矛盾してますね
え?誰のことかってそりゃあ(もごもご
さておき
理緒さんの荒ぶりが収まらないので
私も封印を解くとしましょう
ええ、これだけは使いたくなかった
何故ならば勝負が決まってしまうからです!
必殺!【かげぶんしんの術】!
そして物量作戦GO!
あ、10体くらいはフィーアさんの動きを止めておきますね(がしっとへばりつき)
さ、理緒さん今ですフィーアさんを好きにできますよ!!
黒鳥モードも特に気にせず物量でボッコボコにします
ええ、UC解除したらどうなるか楽しみですねー?
最後は理緒さんとのダブルラ〇ダーキックですね!
『ダークリーガー』氷上のプリンス『リュミエール』の名は伊達ではなかった。
彼の顔面はとてもうるさいが、しかしてその実力は本物であった。
回転をもって攻防一体とする『プラブレード』は速度が上がれば機体は安定する。だが、それは手足がバランス良く残っていたらの話だ。
今や彼の『プラブレード』は片腕を破壊され頭部すら失っている。
だというのに彼の氷上の演舞は止まらない。
些かも陰りを見せないのだ。
ならばこそ、その名に恥じない実力であることを認めざるを得ない。
だが、これはアスリートアースの試合である。
殺し合いじゃあないのである。ならばこそ、舌戦というものもまた存在する。いわゆるささやき戦術。
「氷上なのに|リュミエール《光》とか。どこかの光の勇者が闇広域破壊魔法を使うくらい矛盾してますね」
「誰のことを言っているのかわからないが! 僕には関係のない話だね! なにせ僕自身が光! 光り輝いているからこそ、僕の名は僕に名乗られるにふさわしいのだから!」
声もうるさい、とサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は思ったし、誰のことを言っているのかと問われれば、ごにょごにょしてしまう。
舌戦でも負けてるじゃねーか! と『アイン』がツッコんでいた。
「ここは『氷上』ではない。よってあなたは『プリンス』たりえない。はい論破」
急に始まった論破劇。
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はハッキリと言い切った。だが、『リュミエール』は意に介していない。
「いいや。僕が氷上と言ったら氷上なのだよ! お嬢さん! お嬢さんと書いてフロイラインと読ませる類のお嬢さん! 僕はね、僕自身がキラキラしているから、どんなステージだっ氷上にしてみせるのさ! それが僕のプリンスたる所以! それは誰にも覆せないのさあ!!」
論破に論破を重ねる舌戦。
ただの水掛け論ですね、と『ツヴァイ』は半眼で見ていた。もう彼女たちは『フィーア』との三対一の戦いを相打ちという形で終えて機体の残骸から見ていることしかできなかった。
「ま、あんなプリンス、サージェさんが忍んでいる並にありえないよね」
唐突なディスがサージェを襲う。
「それと二人共、あれはまだまだだよ。『フィーア』さんをイジりたいわたしのやべーを見せてあげよう! これまでの噛み数なんと14回!」
当社比調べである。
なんでそんなの調べてるんですかという彼女の叫びが聞こえた気がする。
だが、理緒の荒ぶりようはとどまるところを知らなかった。
何がそんなに彼女の琴線に触れたのかわからないが、彼女の荒ぶりに我々は既視感を覚えている。
「ふっ、それはさておき。私も封印を解くとしましょう。ええ、これだけは使いたくなかった。何故ならば勝負が決してしまうからです!」
いや、今君ディスられてたけど、流していいのだろうか?
いいのである。
彼女がクノイチたるアイデンティティはユーベルコードが満たしてくれる。
そう、かげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)である。いっぱい増えるわかめみたいに増えたサージェの機体が、一斉に戦場を駆け抜け未だ回転続ける『リュミエール』の『プラブレード』へと迫るのだ。
「数で押すつもりかい! それは美しくないな! だが! 僕がこれを華麗に吹き飛ばす姿は美しい! もっと! もっと僕を見給え!!」
キラキラ顔面が眩しい。
飛び散る汗すら宝石のようであった。
そういう意味では確かにプリンスであった。逆境を跳ね飛ばす力。それが宿ってこその優雅で華美たる氷上の華なのである。
しかし、そんな『リュミエール』を物量作戦で推した理緒とサージェは、別なことをやっていた。
「『フィーア』さんの動きは止めておきますね。さ、理緒さん今です『フィーア』さんを好きにできますよ!!」
「噛んで。どんどん噛んで。すぐ噛んで。わたしも噛んで。それがわたしのエネルギー!」
でへへへへ! と美少女がしちゃいけない顔をしている。
マジでしちゃ駄目であるし、その顔が今まさにアスリートアースのネットワークにバンバン飛び出していっているのであるが、それはいいのだろうか。
まあ、そういうのをどうにか出来るのが電脳魔術だからいいのかと言われたら、まあいいのかもしれん。
「で、アレなんだっけ? なんか『権利』をくれるとか?」
「あのあの! 私もうう、うごけないんですけど! 死体蹴りですか!? 死体蹴り駄目ですよ!?」
『フィーア』の抗議が聞こえた気がしたが理緒は黙殺した。
「フォームチェンジは男の子が大好きなものですが、そのユーベルコードには弱点がありますよね。今は大丈夫でも解除した後どうなるか!」
「白鳥は常に墜ちるものさ! この黒鳥の如くね! だが今がその時ではないよ!」
そんなサージェと『リュミエール』のやり取りの背後では理緒のやべー映像が隠れに隠れていたが、みんな見てみぬふりをしていた。
被害を被っていたのは『フィーア』だけだった。
「やめ、やめてくださいいいいい!」
「だが断る」
散々である。
もう収集がつかぬ。
そんな時に理緒の瞳が今更ながらにユーベルコードに輝く。
フレーム・アドバンスで『リュミエール』の『プラブレード』の回転を止めるのだ。なんか雑だなって思われたかもしれない。
理緒は、『リュミエール』に対して興味がない。
今の彼女の興味は。
「『フィーア』さんなんですよね。さあ、理緒さんいきますよ。ダブルラ」
それ以上は駄目である。
「今必殺の!」
理緒の叫び声が上がる。
回転を止められた『リュミエール』には躱すことなどできない。
「キックだろう! わかっているよ僕には――」
ものすごい音がした。
ここは跳び蹴りのタイミングではないだろうかとみんな思った。でも違った。二人の機体がしたのは前蹴りであった。
膝を胸元に惹きつけてから放つ蹴り。
ヤンキーキックとも言うよね。
それを唐突に放つ。
あまりにもシンプル。いや、シンプル故に効くのである。
「これが『フィーア』さん噛み噛みきっく!」
「違いますからね――!?」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月夜・玲
キャラ濃いなあ…
凄い自分の世界作ってる感じだなあ…
プラブレード…回転の力…軸稼働…
ふ…見つけちまったなあ…最適解…
そう、動く部分の稼働を使えば良いじゃない
●
まずは前のめりに倒れて…それに合わせて両手をぐるぐる回す!
倒れるタイミングで地面を叩いて機体を『吹き飛ばし』て…飛ぶ!
うお…肩が…!
これは筋肉痛不可避…!
おのれダークリーガー…!!
そして飛んだタイミングで【剣技・蒼嵐剣】起動
上から斬撃を飛ばす!
そして設置した竜巻をまた腕で叩いて利用して再度跳躍!
し…視界が揺れる…!
おのれダークリーガー!!!
竜巻を叩くタイミングを調整して跳躍位置を調節
飛びながらリュミエールに斬撃を飛ばしまくって攻撃していこう
衝撃の前蹴りコンボに吹っ飛ぶ『プラブレード』の機体。
だが、回転を止められても氷上のプリンス『リュミエール』は止まらなかった。回転が止められたのならば、再び回転を始めればいいのである。
止められたからと言って立ち止まることは即ち敗北を是としたことにほかならない。
ならば、未だ彼の心に熱き魂の回転があるのならば、再び回転を始めればいい。
「立ち止まることが恥じるべきこと! 諦めぬことも、泥に塗れながらも飛び立とうとする心があることを! それを僕は知っている! ああ、破壊されていく僕さえも美しい! 見給え! これがプリンスたる僕の演舞さ! 芸術へのアンチテーゼ! 破壊と踊る僕の姿こそ美しい!!」
そう叫ぶ彼の姿は確かに芸術的だった。
キラキラしている。
飛び散る汗すら宝石のようであったし、ここがステージであったのならばファンの皆様が殺到してたし、飛び散る汗すら欲しがるようにハンカチを投げ込んだりしただろう。
だが、月夜・玲(頂の探究者・f01605)はギチギチ関節の『大熊猫……』を操りながら、『プラブレード』の回転を見ていた。
片腕と頭部を失って尚、その回転は美しい。
なんたる体幹。なんたるバランス感覚。
どれもがアスリートアースにおいても一流と呼ぶにふさわしかった。
「キャラ濃いなぁ……凄い自分の世界作ってる感じだなあ……」
ただ顔面がうるさい。
キラキラしている光がゴン、と顔に当たるくらいのうるささであった。
しかし、玲さんはサブカルマニアである前にメカニックである。
故に!
「『プラブレード』……回転の力……軸稼働……」
チキチキチキチーン。
彼女の頭の中でなんか意味深な方程式やら数式やらなんか熊猫の落書きやらが走り出す。そう、勝利の法則はすでに彼女の頭の中にある。
「ふ……見つけちまったなあ……最適解。そう、動く部分の稼働を使えば良いじゃない」
きらめく彼女の瞳。
呼応するように白き巨人の如きプラスチックホビーが動き出す。いや全然動かないんだけど。
ばたんと前のめりに倒れる熊猫。
いきなりどうした、とみんな思った。
だが、それはつかの間であった。彼女の白いホビーは一気に腕を回転させ始める。大地に固定された腕がまるでオールのように……自身の体を跳ね飛ばす。いや、吹き飛ばされたように見えただろう。
空に舞う白いホビー。
ぐるぐる回された腕。軸関節だから、すっぽ抜ける心配もない。ギッチギチであるので。そのギッチギチ関節を無理くり回しているのは、言わずと知れた『モーション』タイプ故のアスリート、玲さんの腕である。
ものすごい速さでグルングルンしている。
「うお……肩が……! これは筋肉痛不可避……! おのれダークリーガー……!!」
おのれ、じゃないが。
「僕より高く飛ぶとは許せないな! 何より僕の美的感覚が、そのホビーを許しておいてはいけないと叫んでいる! メーカーの皆さんの苦労を無に帰すかのような傍若無人な工作! 許してはおけないのだよ!」
顔がうるさい。
「剣技・蒼嵐剣(プログラム・ストームソード)! 横からの衝撃に強いんなら下か上でしょ! なら上からぶっ叩く!」
放たれる蛍光ピンクの剣の斬撃が風の刃を生み出して『プラブレード』に襲いかかる。
だが、それを躱すのが『リュミエール』である。
彼の演舞は最早絶技と呼んでもいい。それほどまでに昇華されているのだ。
しかし、その上を更に行くのが玲さんである。
風の斬撃が残した蒼い竜巻の軌跡。
それは足場となって残っている。落ちてきたところを回転で切り裂こうとしていた『リュミエール』は未だ空に在る白いホビーを見上げるしかなかった。
ぐるぐるの腕はまだ回っている。
足場にした竜巻を使ってまた跳ね上がる。
「し……視界が揺れる……! おのれダークリーガー!!!」
おのれじゃないが。
もしかして、そう言えば大抵のことは流せると思ってらっしゃる?
「あっ、肩つる! つっちゃう!」
「微妙に位置調節しているのが憎らしいね! だが、僕は負けないよ! 僕の活躍を見たいという子猫ちゃんたちのためにも!!」
彼は見ただろう。
更に高く跳躍した白いホビー、『大熊猫一号』の放つ蛍光ピンクの剣が放つ嵐の如き斬撃を。
その無数に迫る刃。
それは玲さんの逆恨みによってできている。
視界は揺れるし、明日は絶対筋肉痛だし。わりと散々である。やってられないレベルのお仕事である。
だから、玲さんは嵐の如き斬撃を解き放ち、言うのだ。
「おのれダークリーガー!! ゆるさん――!!」
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み関係!
くっなんてこったい!
やっぱり派手さで勝つためには爆発なの!?
ごねんねバラバラXくん…!今こそ…
いや違う…それは違うよ!
犠牲無くして勝利はありえないなんてそんなことはないはずだよ!
そうだよねバラバラXくん!
(なおいま爆発させようとしてたのは)
●光の力
そう最後に勝つのは闇じゃない!光だよ!
宿れ光の力!バラバラXくんに世界の光を!
これがっ!!光のちからだぁああーーーーっ!!
【第六感】指示でアクセルジャンプを分離回避して…のちに合体!!この最速合体こそ彼との練習の成果!
そしてゲーミング光り輝くバラバラXくんの光り輝く…こう、シャイニングなんちゃら!な感じの拳をドーーーンッ!!
嵐の如き斬撃が氷上のプリンス『リュミエール』を囲い込む。
その中で尚、彼は回転をやめなかった。
それは演舞を持って人の視線を惹き付けるプリンスたる彼の矜持であったのかもしれない。
いかなる状況にあってもなお回転を止めぬことこそが彼をプリンス足らしめているのならば、彼の機体を見やれば、それが如何に尋常ならざることかわかるだろう。
「手足もがれ、翼をもがれた白鳥であったのだとしても、僕は負けはしないよ! そう! 僕の演舞を求めている人が一人でもいるのならば! いや、誰もいなくても! 僕は踊り続ける! それがそう! プリンスたる僕の宿命なのだからっ!!」
『リュミエール』の言葉は大変にうるさかった。
顔面もうるさかったが、それ以上に彼もまた『ダークリーガー』でありながらアスリートアースのアスリートであったのだ。
故に彼を前にして煌めくユーベルコードの輝きは絢爛そのもの。
「くっ、なんてこったい! やっぱり派手さで勝つためには爆発なの!?」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は『プラクト』を操縦するパーティションの中で歯噛みした。
正直に言って『リュミエール』の存在はまばゆかった。
今日という試合の中で一番うるさかった。
それほどまでの相手を前にしてロニは如何にして彼に勝つかを模索する。
「ごめんね『バラバラX』くん……! 今こそ……いや違う……それは違うよ!」
何やら寸劇が始まる。
ちょっとしたドラマが今生まれようとしていた。
「犠牲なくして勝利はありえないなんて、そんなことはないはずだよ! そうだよね『バラバラX』くん!」
今まさに爆発させたろうと思っていたのを棚に上げてロニは拳を握りしめる。
「いいや! 犠牲というものは何事においてもつきものであるのだよ! 僕にはわかる!!」
なんか急に入ってくる『リュミエール』。
噛み合っているのか噛み合っていないのか。
さっぱりわからないカオスたる状況。
だが、ロニはそのエチュードに乗るかのようにさらに声を張り上げる。
「そう、最後に勝つのは闇じゃない! 光だよ!」
カッ! と見開かれる瞳。
そこにあったのはユーベルコードの輝き。
やっぱり最後は爆発オチなんじゃないかと思わせる輝き。
「宿れ光の力!『バラバラX』くんに世界の光を!」
「させるものか! 僕より光り輝く者が此処にいていいわけがない! 見給え! この見事なトリプルアクセルを!!」
凄まじい回転と共に迫る『プラブレード』。
その回転はまさに高速。
これまで猟兵たちの攻勢を受けて手足を砕かれて尚、その重心を全く喪わぬ恐るべき体幹によってなさしめられる力の奔流、その渦とも言うべき力を前にロニは叫ぶのだ。
「これがっ!! 光のちからだぁああ――ッ!!」
『プラブレード』の突撃を分離することによって躱し、さらに再合体したのちにはなつ一撃。
そう、これが最速合体。
ロニと『バラバラX』の練習の成果である。
そう、無意味に思えたゲーミングカラーに発光する機能が今まさにここに披露される。
機体がゲーミングカラーに輝き、マジで眩しい。
モニターに映る試合の風景など簡単に塗りつぶす光の煌きは、正直中で何をやっているのかさっぱりわからない状態であったが、ロニの言葉でなんとなく察することができた。
「必殺、こう、なんかシャイニングなんちゃらな感じの! 神撃(ゴッドブロー)!!」
やっぱり最後は力押しである。
放たれたゲーミングカラーに輝く光を集約したかの一撃は『プラブレード』の防御を砕き、その内部に配されたジャイロ機構をむき出しさせながら、『リュミエール』の輝きを失墜させるように大地に叩き伏せられるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
メカ怪獣王の周りをちょこまか動きやがって。
速すぎて攻撃が当たらないってんなら話は簡単よ。戦場全体に届く攻撃をすりゃいいのさッ!
くらえ【大火炎大息吹】ッ!こっちは大怪獣、スケールが違うんだよッ!ご自慢の氷上の演舞ごと焼き払ってやるよッ!
まだ終わりじゃねえぜ。重圧と畏怖で動きが鈍った所に取って置きを食らわしてやる。
これが俺と、店長と、観戦してるかつて子供だった直撃世代の奴らの想いと浪漫をこめた…|全弾発射《フルバースト》だあああッ!!!
(目、口、胸からビーム。指先と喉からミサイル。鼻から火炎弾。膝と足指からホーミングショットをぶっ放つ)
メカ怪獣王を倒せるのは怪獣王だけなんだぜッ!
【アドリブ歓迎】
氷上のプリンス『リュミエール』の『プラブレード』は満身創痍であった。
猟兵たちの重なる攻撃についにはロボットの手足を失って胴体だけとなっていたのだ。だが、それでも回転を続けている。
そもそも『プラブレード』は胴体部分が主役である。
手足ってマジで蛇足じゃね? と思われていた時期もあった。
けれど、やっぱり手足があったほうがいい、というファンの声を受けてずっとこうして手足を付けたままリリースされてきたのだ。
故に、手足がなくなっても『プラブレード』としての本質が陰ることはない。
むしろ、攻勢によって手足を失ったからこそ、さらなる回転を得て、圧倒的な速度へと上り詰めたのだ。
「手足という翼がもがれても僕は戦うよ! それが僕! プリンスとしての努めだからね! 諦めなんていうフレーズは僕には必要ない! 華麗に舞うこともできなくなっても、泥臭く回転を続けるのだとしても! 僕はやめないよ! さあ、見給え! この僕の演舞を!!」
熱いのは熱いのであるが、顔面がうるさい。
キラキラ飛び散る汗もなんか過剰演出なんじゃないかと神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)の相棒たる巫女の桜は思ったかも知れない。
だが、それ以上に赤い鬼面である凶津は盛り上がっていた。
『メカ怪獣王のまわりをちょこまか動きやがって!』
「敵が強大で、巨大であればあるほどに僕の戦いは際立つというものさ! 翼もがれても、血を撒き散らしながらも、あがくように飛ぶ僕の姿は美しいだろう!!}
『ならよ!』
凶津の眼窩がユーベルコードに輝く。
『メカ怪獣王』が咆哮する。
それは戦場全体を揺るがし、さらには口腔より放たれる大火炎大息吹(ダイカエンオオイブキ)によって染め上げられる。
『戦場全体に届く攻撃をすりゃいいのさッ! こっちは大怪獣、スケールが違うんだよッ!!』
言っていることは悪役のそれっぽいのであるが、其処らへんはいいのかな、と桜は思ったかも知れない。
いや、多分それでいい。
「僕の氷上のプリンスに相対するための炎の演出! ありがとう! 炎に揺らめく僕も美しい!!」
どこまでもポジティブである。
逆にやりづらい。
『まだ終わりじゃねぇぜ! とっておきを食らわせてやる』
「……まだやるんですか?」
桜が、え、と顔を向ける。
凶津の鬼面がカタカタ歯を鳴らす。そう、ここからが本番である。この『メカ怪獣王』が何故メカなのか、それを示すように体中の武装が展開する。
『これが俺と、店長と、観戦してるかつて子供だった直撃世代の奴らの想いと浪漫をこめた……』
「そう! これこそが浪漫!」
「やっぱり『メカ怪獣王』と言ったらこれだよな! 外せない!!」
観客たちの声が上がる。
桜は急に上がった歓声に肩を震わせる。え、何、何が起こったのです、と驚いただろう。
そう、これが少年の心。
熱き回転もまた少年の心を鷲掴みにしたものであるかもしれない。けれど、少年とはとにもかくにもでっかい者が好きなのである。
さらに超合金という謎のフレーズにもまた心が踊るのである。
それは魂に刻まれた遺伝子の如き螺旋。
世代が違えども、その良さは必ず伝わる。形を変え、言葉を変え、連綿と紡がれていくのだ。
「……え、と、どういう……?」
『|全弾発射《フルバースト》だあああッ!!!』
その声は観客と凶津と店長の声が重なった叫びであった。大絶叫と言っても良い。
その絶叫を真っ向から受けるように『リュミエール』は微笑む。
そう、彼また少年であった頃があるのだ。
そして、男とは常に大きな少年なのである。ならばこそ、その浪漫を彼は解したのかもしれない。
「え、え……?」
「『メカ怪獣王』は、目、口、胸からビーム。さらには指と喉からミサイル。鼻から火炎弾、膝と足指からホーミングショットを放つことができるんだ。全身武器だからね」
店長の説明が入る。
桜はよくわからない、という顔をしたかもしれない。
全武装を一斉に解き放つ攻撃が『プラブレード』の回転すら吹き飛ばし、その機体を空へと打ち上げる。
「……見事だよ。僕が最後に華火になるとはね……いや、これこそが!」
氷上の華の最後としてふさわしいというように『リュミエール』はキラ! ととびっきりの笑顔をカメラに向けた。
瞬間弾ける爆発。
その光を受けてくるりと『メカ怪獣王』は背を向ける。
『メカ怪獣王を倒せるのは怪獣王だけなんだぜッ!』
「……男の人って」
桜は呆れ半分、されど、残りの半分は思う存分『プラクト』を堪能した凶津を微笑ましく思う気持ちであったことだろう。
斯くて再び『ダークリーガー』の魔の手を猟兵たちは退けるのであった――。
大成功
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