Dredge the Grudge
大きな湖を臨む小高い丘に据えられた祭壇、その中心に立つは小さな白亜の塔。其を背にして立つ少女が、己を見つめる数多の視線を真っ直ぐに見つめ返しながら言葉を紡ぐ。
「――我が祖父、先々帝イルガの命によって引き起こされた、この地の惨劇。失われた数多の命が二度と戻らぬのと同様に、我がビルシャス帝国の罪も、未来永劫消えることはありません」
語る少女はビルシャス帝国の若き少女皇帝リル・ビルシャス。聴衆たるはこの地の――カサイン王国領フィルコネ市の市民達。30数年前、他ならぬビルシャス帝国の手で引き起こされた惨劇を生き延びたものの、家族や友人、或いは恋人――縁ある者達を奪われた人々、及びその子供達。
「この罪を償う術は只一つ――犯した罪を決して忘れず、そして二度と繰り返さぬ事。故にこそ我が父、先帝アクィラは誓いました。我が国の持てる力は、只、護る為にだけ用いると。そして、この地に生きる皆様方――ひいてはカサイン王国の民の皆様の悲しみに、叶う限り向き合うと」
リルの表情は沈痛げながらも決然と。己の生まれるより遥か前に起きた、その事件が齎せし|哀憎《もの》の重さを知り、そしてその上で受け止めんとする意志を示すが如く。
「アクィラは志半ばに斃れましたが、私もまた――父の意志を引き継いでいきたいと思っています。許される限り、皆様の悲しみに寄り添い――そして許されるならば、共に手を取り未来へ歩んでいきたいと」
己を見つめる人々の感情は様々。憎悪の視線を向ける者も少なくない。だが、それですら温情ある反応とリルは考える。それだけのことを、祖父――先々代の皇帝イルガ・ビルシャスと当時の帝国は為したのだ。彼より国を引き継いだ当代の皇帝として、己にはこの地の民のあらゆる感情を受け止める義務がある、と。
「この度、此処に慰霊塔を建立させて頂いたのは、その為の第一歩。かつての罪を忘れぬ為、奪った命に詫びる為。そして――より良い未来を築く誓いを、此処に新たとする為」
リルの背後に立つ白亜の塔。飾り無き意匠なれど、其処に籠る誓いは強く。
「――勝手ではありますが。かつて我が国が命奪った人々の安らかな眠りと、この地の永劫なる平穏を。この場にて祈らせて頂くことを、お許しくださいませ」
以て演説の結びとすることを示すように、深々と頭を下げれば。観衆からは割れんばかりの拍手が起こる。彼女のその意志を、少なくとも認めはするという総意の如く。
其を前に、頭を上げた後再度一礼すると、リルは祭壇の隅へと退く。其処にはカサイン・ビルシャス両国の官僚達が数名と、近衛兵長セリス率いる帝国近衛兵達。リルと共に、此度の式典に参列せし者達だ。
「ご立派でしたで、リル陛下。私の考える限り、およそ完璧に近い演説やったと思いますわ」
カサイン側の参列者の先頭、白のローブに身を包んだ男が訛りの強い口調で話しかけ、彼女の演説を讃える。
「そうでしょうか、フォルテ様。私に出来る限りの言葉で、話させて頂いたつもりではありますけれど……」
謙遜するように応えるリル。その表情は恥じらいとも自信無さげとも見えるが、僅かな安堵も垣間見える。
「民衆の反応が答えですよ。個々人で思う処はありまっしゃろうけど、少なくとも陛下の意志はちゃんと受け止められたんやないか思います」
そう見解を示す男――カサイン王国宰相、フォルテ・コルツェリオ。その表情は、此処までの式典の流れにおける確かな手応えを感じているかのようで。
「何にせよ、後は平和条約の調印式をきっちりこなしませんとな。それでやっと、|カサイン《うち》と|ビルシャス《おたく》の戦争を終いにできる」
「……そう、ですね。父の悲願の一つ、祖父の犯した罪の償い。その為の一歩を、漸く踏み出せます」
実感を込めて、若き宰相と少女皇帝は語り合う。平和を取り戻す為の、長きに渡る努力が、漸く実を結ぼうとしていた。
「……ところで、国王陛下はおいでになっていないのです?」
「……いつも通りですわ。私に名代任せて|後宮《ハーレム》に引き籠っとります。全く、リル陛下の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいトコですわ……」
などという遣り取りを経つつも、調印式の準備は整い。いよいよ、長きに渡る両国の対立を収める為の儀式が始まらんとして――。
『そうはいかさんぞ、貴様ら!!』
其処へ轟く大音声。その主は、慰霊塔の建つ丘の向こう、崖の下から飛翔して姿を現した歪なキャバリアの中に在った。
「その声……シーザー将軍!? 何のつもりや!?」
驚愕の声と共に、声の主の名を呼ばわるフォルテ。対するシーザーの応える声は、深き憤怒に満ち満ちて。
『父の、戦友の、人々の、何よりも俺の怒りが! こんな茶番で鎮まるものか! 鎮める術は只一つ――ビルシャス帝国の滅亡だけだ!!』
シーザーの吼えると共に、背後の湖から現れ出てくる何機ものキャバリア。彼らの手によって、かつての惨劇はより深刻な被害を伴って繰り返されようとしていた――。
●
「――そんなこと、絶対に許すわけにはいかないよね……!」
予知を語り終えたグリモア猟兵、フレティア・ハイマール(アバター・オブ・マザーブレイン・f29910)は拳を握り力説する。集まった猟兵達からも、少なからぬ同意が返ってこようか。
「というわけで、皆にはこの式典を滅茶苦茶にしようとするオブリビオンマシンをやっつけて欲しいの!」
かつてビルシャス帝国の先々代皇帝イルガが引き起こした惨劇に起因する、同国とカサイン王国との対立、幾度かの戦争。其を終結させる為の平和祈念式典が、オブリビオンマシンの乱入によって新たな惨劇に塗り替えられようとしている。
「このオブリビオンマシン『敗残者の王』に乗ってるのはシーザー・ランバルディ将軍。カサイン王国の将軍さんの一人だね」
本来ならば思う処はありつつも此度の平和条約締結を受け入れていたのが、オブリビオンマシンの狂気によって暴走してしまった、という処らしい。
「シーザー将軍は『ウォッグ』っていう水陸両用型のキャバリアの部隊を率いて、式典会場の丘の裏手の湖――ヴィエイラ湖の方面から攻め込もうとしてるんだ」
それは自国の民の犠牲を可能な限り減らそうというなけなしの理性の賜物か、単純に警備の手薄な湖側から攻め込んだ方が目的を達しやすいという戦術判断か。いずれにせよ、迎え撃つならば湖の中か、湖から上がってすぐの湖岸地帯――丘のすぐ裏の崖下となるだろう。戦闘が始まれば式典は中断せざるを得ないだろうが、やむを得まい。
ただ、実際のところオブリビオンマシンの襲撃までは幾許か時間がある、ともフレティアは語る。
「式典会場を見学したり慰霊塔に祈っても良いし、フィルコネの街を見ていくのも良いと思うよ」
街は式典を見届けようとするカサイン王国の民が集まり賑わっている。街で人々の話を聞いたり、飲食して時間を潰すのも手だ。
尚、リルは時間まで市内のホテルで待機しているとのこと。彼女と面識のある猟兵なら面会も可能だ。
いずれにせよ、時が来れば後は戦うばかりだ。
「折角の平和への道をまた閉ざすようなことは、シーザー将軍も本当は望んでないはずだから。皆、どうか彼を止めてあげてね……!」
祈るようなフレティアの言葉と、グリモアの輝きに見送られ。猟兵達はかの国へと転移してゆくのであった。
五条新一郎
争いの根は深く。
五条です。
此度はクロムキャバリアよりビルシャス帝国関連のシナリオをお送りして参ります。
かの国と長く対立関係にあった隣国との平和へ踏み出す第一歩、其を叩き潰さんとするオブリビオンマシンを撃破してくださいませ。
●目的
オブリビオンマシンの平和祈念式典への乱入阻止。
●舞台
クロムキャバリア、カサイン王国領フィルコネ市。
カサイン王国はビルシャス帝国の西方にある国家であり、フィルコネ市はその中でも最もビルシャス帝国との国境に近い都市になります。
ヴィエイラ湖というカサイン含め四ヵ国に面する巨大な湖のほとりにある都市で、平和祈念式典はこの湖を臨む丘の上で執り行われます。
オブリビオンマシン部隊は、ヴィエイラ湖方面からこの丘へ強襲をかけようとしているようです。
●第一章
オブリビオンマシン襲撃までの時間をフィルコネ市で過ごす「日常」です。
フラグメントやOPで示されている行動の他にも、自由に過ごして頂ければと思います。
非常識な行動や「人々にはオブリビオンマシンの存在が認識できない」件に抵触する行動でなければだいたい採用させて頂くつもりでおります。
●第二章
『ウォッグ』との「集団戦」です。
例によってコクピットを破壊しなければキャバリアの搭乗者は正気に戻った状態で脱出できます。因みに水中で撃破した場合もなんやかんやで無事脱出してくれます。
●第三章
シーザー・ランバルディ将軍搭乗の『敗残者の王』との「ボス戦」です。
此方も撃破時点でコクピットが無事ならば、シーザー将軍を生かして捕えることができます。
但し、何らかの働きかけが無ければ処刑される可能性が高いです。
●プレイングについて
第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以後からプレイングを受け付けます。
募集状況はタグにて掲示予定。
●補足
第一章での行動によっては、第二章以降の状況が変化する場合があります。
それでは、皆様の祈りの如きプレイングお待ちしております。
第1章 日常
『慰霊祭』
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POW : 死者を悼み、祈りを捧げる
SPD : かつて失った人に想いを馳せる
WIZ : 死者への未練を断ち切る
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルア・テミルカーノヴァ
【錫さんと】
初めてこの地に降り立ちますが、このようなことがあったとは……。
まずは、この地で起こったことを受け止め、慰霊碑の前で祈るとしましょう。
国のために命を捧げた英雄たちの記憶を、私たちはしなければなりません。
「スラヴァ・ビルシャシ・イ・カサイネ……(ビルシャスとカサインに栄光あれ)」
「ヘローヤム・スラーヴァ……(英雄たちに栄光あれ)」
「ヴェーチナヤ・パーミャチ……(永遠の記憶)」
この3つの言葉を以て、この地に眠る英雄たちに祈りを捧げます。
これからは、平和の道を、歩んでほしいのです。
レプリカントの私が祈るのは変かもしれませんが、そう思いながら、十字を描いて、ひたすら祈りますね。
支倉・錫華
【ルアさんと】
久しぶりに来てみたら、こんなことになってたんだ。
せっかくの平和な時間への道だっていうのに……。
まぁ、オブリビオンマシンらしいと言えばらしいんだけど。
これまでの経緯は詳しく解らないけど、
あの皇帝さんや宰相さんを見るかぎり信用できそうだし、
ここは好きにさせるわけにはいかないね。
とりあえずキャバリアのチューンはアミシアに任せて、
ルアさんと慰霊塔に行ってみることにしようかな。
いままでビルシャスの為に命を捧げた勇士達、か。
猟兵は英雄扱いされたりするけど、
傭兵のわたしなんかより、よっぽど英雄だよね。
ルアさんとしっかり祈りを捧げて、
平和な時間を作れるように全力を尽くすことを誓おうかな。
フィルコネ市の北東、小高い丘の上に築かれた慰霊塔は、平和祈念式典に先立って一般市民にも公開されていた。真新しい白亜の碑の周囲には、入れ替わり立ち代わり多くの人々がやって来ては、手を合わせたり頭を垂れたりといった祈りの仕草を見せている。
「……この地において、このようなことがあったとは」
慰霊塔の隣には、その建立に至るまでの経緯を記した石碑も建てられている。その内容を読み、理解したルア・テミルカーノヴァ(魂の共鳴者・f29992)は沈痛げに瞳を伏せる。
曰く、ビルシャス帝国とカサイン王国の長きに渡る対立の歴史の始まり。約40年前、二代前のビルシャス帝国皇帝イルガの命を受けた帝国のキャバリア部隊がこの都市を襲撃、数百名もの無辜の民を虐殺する事件が起きた。以来、両国は報復に報復を重ねる戦争状態を実に20年以上もの間継続し、それにより両国ともが軍民問わず多くの犠牲を生んできた。約15年前、新たに即位した先帝アクィラが停戦を申し出たことから和平に向けた取り組みが始まり、今日、現皇帝リルの代になって漸く人々の努力が身を結んだのだ、という。
「わたしもこっちへ来るのは久しぶりだけど、こういうこともあったんだね……」
長きに渡る戦と、その果てに漸く掴みかけた平和。その途方もなさに、支倉・錫華(Gambenero・f29951)もまた、驚きを隠せない様子であった。
「けど、折角の平和な時間への道が、邪魔されようとしてるんだよね」
「ええ。オブリビオンマシンの脅威が、平和祈念式典を打ち壊そうとしている、と」
表情を引き締める錫華に、ルアも厳しい顔で応える。漸く両国が掴もうとしていた平和が、再び奪われようとしている。其を許せば、待つのは両国の長きに渡る混乱と動乱であろう。全く、オブリビオンマシンらしい所業だ、と錫華は呆れを隠さない。
「これだけの悲劇を乗り越えてきた二つの国。その尽力を、無に返すわけにはいきません」
拳を握り、ルアは己の決意を口にする。錫華もまた頷き。
「あの皇帝さんや宰相さんを見る限り、信用はできそうだもんね。オブリビオンマシンの好きにさせるわけにはいかないね」
グリモア猟兵の予知を介して見た、両国のトップ達。彼らならば、それぞれの国を正しく導くことだろうと思うが故に。其を無為と還さぬ為にと、錫華は改めて任務遂行の意志を固める。
「一先ず、ここまで来たのです。私達も、お祈りしていきましょう」
「そうだね、わたしの機体もまだチューンの途中だろうし」
この国に縁無くとも、祈るぐらいは許される筈。ルアの提案に錫華も頷き、二人並んで慰霊塔へと向き合う。
「――|ビルシャスとカサインに栄光あれ《スラヴァ・ビルシャシ・イ・カサイネ》――」
「――|英雄たちに栄光あれ《ヘローヤム・スラーヴァ》――」
「――|記憶よ永遠なれ《ヴェーチナヤ・パーミャチ》――」
三つの祈りの言葉を呟き、十字を切る。ルアはその動きを幾度も繰り返しながら祈りを捧げる。レプリカントたる彼女だが、その祈る姿を奇異なると見る者は誰も居ない。例え作られた命であろうと、何の縁もなき地の者であろうと。祈る心があるのならば。その意志は等しく尊きものだ。
(ビルシャスとカサイン。其々の国の為に命を捧げた勇士達、か)
一方の錫華は、手を組んで静かに祈りつつ、心中にて思いを馳せる。無辜の人々は兎も角、軍人達は其々に国を、人々を守る為に戦い、命を落としたものであろう。勝つことでこそ、未来が開けると信じて。其が結果的には間違っていたとはいえ、彼らの戦いを無意味とは思わない。結果はどうあれ、信じて戦うという行為にこそ意味があるのだろうから。
(――傭兵のわたしなんかより、よっぽど英雄だよ、皆)
各々の信じたもの、守るべきものの為に、命を擲った者達。彼らこそは正しく英霊である、錫華はそう考える。
(皆の犠牲の果てに得たこの平和。わたし達が、全力で守ってみせます)
改めて、己の心に任じた錫華。ルアもまた、祈りを続ける表情は真剣そのものであった。
そうして、二人ともが確と祈りを捧げ。慰霊塔を後にする。
「よし、後は戦闘準備かな」
「そうですね、機体の最終調整も必要でしょうし……」
後はオブリビオンマシンの襲来に備えるのみ。来るべきその時を、二人の少女猟兵は万全の態勢で迎え撃たんとする。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メルティ・ヴィーオゥ
アドリブ・絡み歓迎
「予知を元に湖周辺への配置…完了」
何事も段取りは重要です。先を知る者としての準備
それも早々に終えた事を確認しつつ、湖を望む丘の上
顔を上げ、佇む慰霊塔を、部外者であり恨みも悲しみも覚えない私は何の感慨も覚えられません
「平和条約。誰もが思う所はあるのでしょう。ですが――……」
周囲には思い思いに祈る人々。その祈りが同じかどうか等、確かめようも無く
狂気に呑まれた将軍と皆同じ。皆が円満にただ平和だけを願えれば、このような式典も必要ないのでしょう
「…だから祈りが必要なのでしょうか」
両の手を握りあい、祈りの形を真似してみます
この式典が終わる頃には、誰も彼もが許し合えますようにと
フィルコネ市北東端、ヴィエイラ湖のほとり。今は静寂を保つこの湖であるが、暫しの時を経れば、ここからオブリビオンマシンが現れるという未来を猟兵達は既に知る。
そんな湖を眺める少女が一人。メルティ・ヴィーオゥ(Vtype-Destroyer[00]・f38068)、此度が初めての任務となる猟兵だ。
「予知を元に湖周辺への配置……完了」
呟くのは確認の言葉。来たるオブリビオンマシンの襲来に備え、彼女は此処で迎撃の準備を整えていたのだ。何事も段取りは重要、メルティはそう考える。
準備は早々に完了し、予知に示された襲撃の時間まではまだ余裕がある。ふと、上を見上げる。
「………」
青い空に映える白。崖下からでも見える、湖を臨む丘の上の慰霊塔。厳かに建つ白亜のそれを見つめ、目を細める。
「……平和条約、ですか」
其処に思う処は無い。何らかの感慨がある訳でもない。メルティは元より部外者であり、また、恨みも悲しみも覚えることのない気質の持ち主。かつて此処で悲惨な事件があり、多くの罪無き人々が命を落とした。その事実に、事実以上の感慨を覚えることは無く。
丘まで上がってくれば、辺りには何人もの人々。其々が、思い思いの形で祈りを捧げる。花を供える者もいる。だが、其処に宿る思いは、果たして同じなのだろうか。確かめる術は無い。
「誰もが思う処はあるのでしょう。ですが――」
オブリビオンマシンの狂気に呑まれたという将軍も、素直に和平を受け入れることができなかった一人と聞く。彼もまた同じ。和平を、素直に受け入れられない者も、少なからず居る筈だ。
仮に、全ての者が円満に、ただ平和だけを願えれば。このような式典を――あくまでも国家として和平を無番とする式典を催すまでもなく、平和が訪れていた筈だ。想いの形が、一つでないが故に――
「――だからこそ、祈りが必要なのでしょうか」
そこでメルティは気付く。己の願いが、想いが叶うように、届くように。その為にこそ、人は祈るのかもしれない、と。
豊かな胸の上、両手の指と指を組み、互いの手を握り合うかのように纏めれば。祈りの形が作られる。それは、近くで祈っていた人々の祈りの形を真似しただけのものに過ぎない。なれど、願うことは確かにある。
(――この式典が終わる頃には。誰も彼もが、許し合えますように)
その祈りは、果たして届くのか。今は、誰にも分からない。
大成功
🔵🔵🔵
フレスベルク・メリアグレース
ここはパラメリアでの外患未遂についてとそれに由来するヴィスタリアの反応について直で情報を得ることも兼ねて参加し、リル様にお会いしましょう
リル様のいるホテルに到着し、挨拶をした後本題に入ります
ヴィスタリアの兵士たちは何故かわたくしに過剰なまでの敵意を向けていました
我が聖教を邪教とまで言い、その際『神の光より引き離そうとする』と言ったのですが……
心当たりは一つ、かの国の教えは『殲禍炎剣の賛美』かそれに等しいものですか?
だとしたら危険な国としか言いようがありません
そして積極的に侵攻を開始しようとしたのが件の外患誘致事件
我が国も無関係でない以上、対ヴィスタリアの協定を考えているのですが、いかがです?
フィルコネ市の中心部近くに建つ、白亜の外壁が美しい壮麗なる建物。同市でも随一の歴史を有する『フィレンツィア・ホテル』、皇帝リルを始めとする、ビルシャス帝国側の平和祈念式典参加者達が宿泊する宿である。
そのフィレンツィア・ホテルの最上階、ロイヤルスイート。その扉の前に、フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)の姿はあった。扉を手の甲で軽くノックすること二回。ややあって、扉が開かれる。
「……貴方は……フレスベルク殿……?」
扉の向こうへ姿を現した人物は、目的の人物ではないがフレスベルクも知る女性――近衛兵団長セリス・フルーレである。彼女の務めを考えれば、此処に居るのは当然とすら言えるだろう。納得を以てフレスベルクは頷く。
「お久しぶりです、フルーレ団長。リル陛下にお目通りを願いたいのですが、お時間の都合はよろしいでしょうか」
丁重な一礼の後、フレスベルクは己の用件を伝える。即ち、この部屋に宿泊している筈の皇帝リルとの会見である。アポイントメントの無いまま訪れたことへの謝罪を添えつつ。
「承知致しました。暫しお待ちくださいませ」
セリスも応え、一礼の後で部屋の奥へと踵を返す。再び戻り来て許可の答えを伝えるまで、然程の時間はかからなかった。
「このような処まで、よくおいで下さいました、フレスベルク様」
ロイヤルスイートの室内、互いにソファへ腰かけた二人の国家元首たる少女達が言葉を交わす。一人はフレスベルク、そして今一人はビルシャス帝国皇帝リル・ビルシャス。
「はい。別件にてこの街を訪れた折、リル陛下が滞在しておられるとの話を耳に致しましたもので」
猟兵の任務である、とは言葉にせず、会見までの経緯を語るフレスベルク。リルの方も、其処を深く追求するつもりは無い様子であった。
「故に、少々お尋ねしたき事が。――神聖ヴィスタリア皇国について」
ならばと早速、フレスベルクは本題に入る。彼女の口から出たその名を受け、リルも穏やかな微笑が真剣なものへと引き締まった。
フレスベルクが語ったのは、四か月程前にパラメリア共和国にて発生した外患誘致未遂事件。神聖ヴィスタリア皇国と通じ合ったパラメリア国内の一派がオブリビオンマシンと結びついたことで起こった事件だ。
「パラメリア首相選挙の直前に起こったという事件ですね。共和国より凡その事件の情報は受け取っています……ヴィスタリアが関与していたという件も含めて」
故に事件の概要は把握しているというリルに、フレスベルクは頷く。
「わたくしも故あって、事件解決の為に協力させて頂いたのですが――その際、気になった事項があるのです」
それは、陰謀を暴き首謀者の捕縛に赴いた際のこと。首謀者を守る為に対峙したヴィスタリアの兵士達の言動が気に掛かっているのだという。
「彼らは何故か、わたくしに過剰なまでの敵意を向けていました。我が聖教を邪教とまで呼び、その際『神の光より引き離そうとする』と言っていたのですが」
説得の為に自らの身分を明かした処、彼らがより敵意を先鋭化させてきた、と。フレスベルクの説明を受け、リルは何処か得心がいったような表情をしていた。その理由に心当たりがあるらしい。
「もしや――かの国の教えは『|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の賛美』かそれに等しいものですか?」
それらの情報を元にした推測をフレスベルクが告げれば、然程の間を置かずリルが頷く。
「その通りです。神聖ヴィスタリア皇国の国教『ヴィスタル教』、その教義はまさしく|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》を『悪しき人々に裁きを下し善き人々に救いを齎す神』として崇拝することにあります」
かの破壊衛星が齎す光を神の光と呼び、其を崇めることで光の加護を得られると称し。その加護を普く広める為に『聖戦』という名の侵略行為を繰り返す。それが神聖ヴィスタリア皇国とヴィスタル教の在り方であると語る。
「浅学で申し訳ありませんが、メリアグレース聖教は航空技術と広域通信網を崇拝する教義であると聞き及んでいます。それらは|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》と明確に相容れぬもの――彼らにとっては己らの神を否定するに等しい信仰ではないかと推察致します」
故に邪教とまで称しているのだろう、とはリルの推測である。
「――成程。だとしたら、危険な国としか言いようがありません」
メリアグレース聖教皇国の教皇兼神子代理としても、クロムキャバリアに生を受けた一人の人間としても。この世界の空を鎖す破壊衛星を崇拝するなどとは。表情や声音には出ずとも、憤りにも似た感情が沸き立つような、そんな感覚をフレスベルクは覚えたろうか。
「積極的に他国への侵略を行う国家であり、しかも我らが聖教を邪教と称するならば。我が国も無関係とは言えないでしょう」
どころか、今はまだ侵略を実行に移せていないだけで、既に敵国として認識されている可能性も考えられる。フレスベルクの思案すること暫し。
「――リル様」
名を呼ばれたリルが応答すれば、フレスベルクは一つ頷き。
「ここは、我ら聖教皇国とビルシャス帝国との間で、対ヴィスタリアの協定を結んでおくべきではないかと思うのです」
強大なる敵に対するならば、連帯して当たるが常道。その為の協定を結びたい、と持ち掛けたのである。
「協定……ですか。此方から打って出る、というものでなくば、少なくとも検討は可能ではあります」
専守防衛の国是と相反するが故に逆侵攻はできないが、連帯すること自体は吝かではない、というのがリルの答えであった。尤も、協定の詳しい内容次第ではあるが。
「今はそれで充分です。わたくしも、未だ構想が浮かんでいる段階ですので」
検討の意志を確認できただけで十分。そう応え、フレスベルクはテーブル上の紅茶を一口啜り飲んだ。
大成功
🔵🔵🔵
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※アドリブ歓迎
※【NJ・ホワイトアイ】起動済
さて、アタシは待機中のリル陛下へお目通り願おうか♪
セリス団長共々医者として面倒見たし、様子伺いの名目でね
※『Arrested Arch』の事
さてさて、その後の調子はどうかなー?と《コミュ力》大爆発の往診っ
お二人さんのメンタルや関係も一目瞭然…仲良きことは美しきかな♪
…で、聞きたいんでしょ陛下?「何故今日来たのですか」ってさ
ま、大体は予想通り…怪しげな噂を掴んでね、その『治療』が本命
※《言いくるめ》で真相等は適切に誤魔化す
迷惑は出来るだけ抑えるけど念の為に伝えておくよ
セリスさんはくれぐれも陛下を護ってあげてね?
大事な娘がちゃんとお勤めできるように…さ♪
フィルコネ市の中心部、ビルシャス帝国からの式典参加者達が宿泊する宿『フィレンツィア・ホテル』。その最上階、皇帝リルの宿泊するロイヤルスイートへ、一人の来客が訪れていた。
「……その節は、フルーレ団長共々大変お世話になりました」
「私からも、改めてお礼を。貴方がいなければ、私はこうして陛下のもとで職務を続けることなど叶わなかったでしょうから」
皇帝リルと近衛団長セリス、二人が揃って礼を述べるその相手は、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)。以前、セリスがオブリビオンマシンの狂気に当てられ暴走した折にその鎮圧へ協力し、彼女達のアフターケアも施した猟兵にして闇医者である。
「いやいや、これでも医者の端くれなんでね。患者の面倒はきっちり見ないとね」
二人の礼にリーゼロッテは愛想良く笑みを浮かべてみせつつも、二人の様子を観察するように視線を向ける。あの事件の後としては初めての二人に会う機会ということで、様子伺いの名目でこうして面会へ赴いたのだ。
ソファにゆったりと腰かけるリルと、その背後に彼女の背を守るように立つセリス。見たところ、両者の関係は事件前と変わり無い様子と見えるが。
「そういうわけで、二人とも、その後の調子はどうかなー?」
見た目から分かる範囲の状態は把握した。後は内面がどうかである。問診めいて問うリーゼロッテ。
「はい、フルーレ団長には心配をかけましたし、公務のスケジュールには多少余裕を持たせるようにはしました」
先に答えたのはリル。事件の原因は己が無理をし過ぎていたことに起因する、と考えていた彼女、以前ほどは予定を詰め込まなくなったとのことだが。
「それでも一日の平均睡眠時間は五時間ですけれど」
其処にセリスがじっとりした視線と共に突っ込みを入れた。一方のリル、図星を突かれたとばかり言葉に詰まる。
「せめて七時間は寝ようね、寝不足は健康だけじゃなく美容の観点からもお勧めできないからさ」
皇帝ではあるが年頃の娘でもあるのだから、とリーゼロッテも悪戯っぽく笑いながら言ってみせる。困ったように視線を彷徨わすリルの表情は、まさにその年頃の少女のようであったとか。
「さて、セリスさんの方はどうかな?」
今度はセリスの方に話を向けると、問われた近衛兵団長は頷いて。
「謹慎が明けてからは、従来通り務めを果たせております。官僚達に嫌味を言われたり、防衛軍の方から陰口が聞こえたりはしますが、まあそれは元からですので」
と、淀み無く答えてみせるが。「あと……」と言いかけて何故か顔を赤らめる。リーゼロッテに続きを促されると、暫し言い淀んだ後。
「……以前よりも、リルとの時間が増えたのが嬉しいです」
何故かはにかみ気味の表情で答えた。これにはリルも「え、ちょっとお姉様それは!?」と顔を赤くして慌てるが、表情は満更でもないようで。
「うんうん、仲良きことは美しきかな♪」
そんな二人の様子を、いい笑顔で眺めていたリーゼロッテであったとか。
「……で、だ」
然しそれが落ち着けば、声のトーンを一段落として。表情を引き締めてリルを見る。其を感じたリルも、また真剣な顔となる。
「聞きたいんでしょ陛下?『何故今日来たのですか』ってさ」
とリーゼロッテが問えば、リルも頷き。
「……ええ、正直な処を申しますれば。私達の往診でしたら、ビルサラオンをお訪ね下さる方が自然ですし」
であれば、別件でフィルコネを訪れたついでに己らを訪ねたのだろう、と推測を語る。其を受けたリーゼロッテの口角が上がる。
「概ね当たりだよ。怪しげな噂を掴んだものでね……その『治療』が本命さ」
即ちオブリビオンマシンの撃破と、其に取りつかれた将軍や兵達の解放。なれど、其を正確に彼らへ伝えるは叶わない。オブリビオンマシンの存在は猟兵ならぬ者には認識できぬし、予め襲撃を阻止せんとすれば予知に狂いが生じてしまう。
「まあ、この街の人達にもビルシャスの人達にも、迷惑はかけないようにするけど。念の為に伝えておくよ」
何しろ戦場は式典会場のすぐ傍だ。何らかの不測の事態が起こらないとも限らない。故に。
「セリスさん」
「……と、何か」
二人の話す間、周囲に気を張っていたらしいセリスに声をかける。気付いてすぐに応えた彼女へ、リーゼロッテは。
「くれぐれも、陛下をしっかり護ってあげてね? ――大事な娘が、ちゃんとお勤めできるように……さ♪」
後半は少しだけ悪戯っぽく。告げた言葉に、セリスもリルも、少し顔を赤らめたようだが。
「――勿論です。この身の限りを以て、リルは――陛下は護りきってみせますとも」
決然たる表情で以て、その決意を語ってみせるセリスであった。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
恒久とはいかず一時的なものでも、平和が得られるのは良いですねぇ。
時間が有るのでしたら、少し予習しておきましょう。
『先々帝が起こした惨劇』や『先帝の行った償い』等、具体的な内容が判らないのでは、後々大変な可能性も有りますぅ。
【豊饒宿霊】で[情報収集]を強化、こういう時機であれば『雑誌』や『新聞記事』等で特集も組まれているでしょうから、喫茶店でお茶を頂きつつ、出来るだけ偏りが無い様複数の資料に目を通してみますねぇ。
店内で聞こえる噂話や評判も、良い資料ですぅ。
この世界はキャバリア以外のオブリビオンが確認されておりませんが、その理由次第では『先々帝』が現れる可能性も有りますし。
フィルコネ市北部、同市を南北に分断するメインストリートに面したカフェ『ポーラスター』。落ち着きながらも小洒落た店構えを有する店内は、常に増して多くの客で賑わっていた。
その中心付近、二人掛けのテーブルの片方に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の姿はあった。テーブルの上には、注文したクリームソーダに加え、何冊もの新聞記事や雑誌が積まれていた。此処を訪れる途中の書店などで買い求めたものである。
そして、今現在るこるが読んでいる書籍もまた同じく購入したものだ。全て出版社は異なれど、共通して取り上げている事柄がひとつ存在する。即ち、此度の平和祈念式典。このカサイン王国と、東のビルシャス帝国との間で行われる、両国間の関係を決定的に変えるだろう式典だ。
「なるほどぉ……そのようなことが昔あったのですねぇ……」
書の記述を興味深げに眺めつつ、るこるは唸る。彼女が調べているのは、両国の関係に纏わる歴史――。
今から40年ほど前。
当時のビルシャス帝国は、未だ専守防衛の方針を打ち出しておらず、対外侵略行為に及ぶこともある国であった。
そして、当時の皇帝であった第三代皇帝イルガ・ビルシャスは、己の欲望の為に他国を蹂躙するを平気で為す、まさに暴君と呼ぶに相応しい男であった。
彼はある時、帝国親衛隊――現在の近衛兵団の前身だが当時は皇帝直属の特務部隊というべき趣だった――をここフィルコネへ派遣。警備のカサインのキャバリア部隊を蹂躙し、そしてそのまま都市の住民を虐殺して回ったのである。
後に『フィルコネの禍』と称されるこの虐殺事件こそ、全ての始まり――ビルシャスとカサインの対立の歴史の始まりであった。
すぐさまカサイン軍は報復としてビルシャス帝国領西部の都市マファードへ侵略。同市の一般市民も巻き込んだ激しい攻防が繰り広げられ、両軍ともに多数の死者が出た。
以来、マファードやその他の帝国領西部の都市群を狙ったカサインの攻撃、その報復としてのビルシャスのカサイン東方地域への攻撃が幾度も繰り広げられ、いずれも一般人まで含めた多くの犠牲者を生んだ。
最早永遠に終わらぬのではないか、そう思われすらした争いは、イルガを排し皇帝の座についた第四代皇帝アクィラの即位をきっかけに終息へと歩み始めることとなった。
彼は帝国軍の方針を専守防衛へと転換、それ故に今から25年ほど前の『第四次マファード攻防戦』においては徹底的な防衛戦を展開、それまでに比して圧倒的なまでに少ない死者でカサイン軍を凌いでみせた。
その戦いの折に、アクィラ帝はカサインに対し、謝罪と補償、そして交渉を提案。それに王国の穏健派が応じたことにより、両国の対話が始まったのである――
「――そういうことでしたかぁ」
ミルクティを啜りつつ、るこるは新聞を眺める。過去の皇帝が行った暴虐を詫びつつ、共に歩む国となりたいと願った先帝アクィラと、その遺志を継いだ現皇帝リル。そしてカサインの和平派勢力による対話の結実が、此度の平和祈念式典であり、平和条約締結であるのだ。
様々な新聞や雑誌から得られた情報を総合した結果の見解としてはこうなったが、恐らく、そう間違ってはいないだろう。
「恒久とはいかず一時的なものでも、平和が得られるのは良いですねぇ」
戦乱のクロムキャバリア、平和がいつまで続くのかなど分かったものではない。ただ、結ばれたる平和が、一日でも長く続くように――そう願うより、他にはなかった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ウォッグ』
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POW : クローアタック
【クローアーム】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 水陸両用射撃兵装
【背部水陸両用ミサイルと腕部ニードルガン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : 水陸両用機
敵より【水中深くにいる】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
イラスト:猫家式ぱな子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『――我が祖父、先々帝イルガの命によって引き起こされた、この地の惨劇――』
そして始まった、ビルシャス帝国とカサイン王国の間における平和祈念式典。今はちょうど、リルが演説を行っているところだ。
その声を背に受けながら、猟兵達が在る場所は丘のすぐ下、崖下の湿地帯じみた一帯。前方に広がるはカサインとビルシャスのみならず、パラメリア共和国及びジリエスタ連邦にもその湖岸を接する巨大な湖。ヴィエイラ湖。透き通った水を湛えた美しい湖にして、国土の大半が乾燥帯で水資源に乏しいカサインにとっては生命線とも言える場所。
そんな湖から、一体、また一体とキャバリアがその姿を現す。水陸両用のキャバリア『ウォッグ』。それらが次々に湖から姿を現し、式典が行われる丘の上を目指し進軍する様は、成程、予知で見た光景そのままだ。
この敵を通してしまえば、予知は現実のものとなってしまう。この場にて、全て撃滅するべし。
※水陸両用キャバリア『ウォッグ』の軍団と交戦します。
※戦場はヴィエイラ湖畔の湿地。キャバリアが戦闘機動を取れるぐらいには開けていますが、全体としてはそこまで広くはありません。また地面は全体的に緩いです。
※水中でも戦えます。ただしこの場合ウォッグが機動力を中心に強化されるのでご注意ください。
フレスベルク・メリアグレース
さて、先ずはウォッグとの戦いですか…
記念式典の為にも、先ずは止めないとですね
自身の肉体をノインツェーンごと雲に変換し、そこから神殺しの『触れたものを破壊する真空の波』を放っていきます
更に、変換した雲を拡散すれば…
この通り、マップ兵器の如く広域殲滅が可能です
無論の事、パイロットは無事なようコックピットは狙いません
そう言いながらノインツェーンに『教皇用帰天召喚器・タイプブラック』を接続
そこからランバルディ将軍の『過去』を見て何故今回オブリビオンマシンに選ばれたのかを戦闘と並行しながら情報収集
戦後処理の際、助命に必要ですからね
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
どうやら来襲の様ですぅ。
【皎翼紈】を発動し『殲禍炎剣』の対象外となる低空を飛行、強化された『FMS』のバリアと『FGS』の重力結界を重ねて展開しますねぇ。
機体の『クロー』は速度と重力結界で接近を防げば良く、通常攻撃も同様の重力結界が作用、尚抜けてきた攻撃のみバリアで防げば問題有りません。
そして、戦場全体に『覇』を放射しますぅ。
『覇』の性質的に、キャバリア相手であれば『搭乗者達』を直接対象に出来る以上『猟兵との個体戦力差』は一目瞭然、確実に意識を奪えるでしょう。
後は『FTS』で機体を回収しつつ飛び回り、少しでも多くの相手を傷つけず無力化することで『誓い』を援護しますねぇ。
「どうやら来襲のようですぅ」
湖より浮上して来る水陸両用キャバリアの部隊。背より広がるオーラの翼でキャバリアの体高程の高さに滞空する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、並び立つキャバリアへと呼びかける。
『此方でも確認しました。先ずは彼らとの戦いですね』
其は神々しき白と金に輝く伝説級の神騎。フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)専用サイキックキャバリア『ノインツェーン』である。
そのコクピットにて、フレスベルクもまたウォッグ部隊が上陸を果たす様をモニタ越しに認識する。彼らは此処から平和祈念式典が行われている丘を目指して進撃せんとしているのだ。
『然し、敵は思った以上に広い範囲に展開しているようです』
フレスベルクは気付く。敵は戦力を散開させ、其々が丘の上を目指して進攻せんとしていることに。数体でも丘の上の式典会場へ到達できれば、後は生身の人々を蹂躙するのみ。その目的を考えれば、少数でも迎撃をすり抜け得る散開戦術を取ることは理に適っていると言えた。
「そのようですねぇ。では、此方も手分けして当たるとしましょうかぁ」
ならば、とるこるも提案を発する。お互いに攻撃範囲の広いユーベルコードを有する身、ある程度ならば散らばっても問題なく敵を掃討できると判断してのものだ。
『承知しました。では、わたくしはあちらの方へ当たりましょう』
フレスベルクも是の応えを返すと共に、機体を操りるこるから距離を取る。其を見送ったるこるは、両手を合わせて祈りの姿勢を取る。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、その威を司る衣紋を此処に――」
祈りはユーベルコードとして結実し。るこるの身を、シンプルながら神々しさ纏う衣が包む。その様はまさしく、神の御使いと称するに相応しき姿。
『敵を発見……生身だと?』
『油断するな、空を飛んでるあたり只者じゃなさそうだぞ』
と同時、上陸を果たしたウォッグから聞こえてくる声。生身で戦闘行動に及ばんとするるこるに驚愕する声と、其を侮ることなく警戒する声。成程、生身だからと加減するつもりはどうやら無いと見える。
その他のウォッグも、るこるを前に油断する様子は見せず。数体がその両腕に備わったクローを振るい、るこるを引き裂かんとばかりに襲いかかってくる。その技はなかなかに巧みと見えたが、しかし。
「効きませんよぉ」
るこるに焦りは見られない。彼女の身は得物たる祭器群によって守られ、そしてその祭器群はユーベルコードによって普段以上の性能を発揮する。錫杖が展開する重力結界にて攻勢を削ぎ、円盤にて展開されるバリアを以て攻撃を防ぎ止めれば、キャバリアの振るう鉄爪と言えど、簡単には通さない。
「それではぁ、大人しくしてくださいませぇ」
反撃とばかり、るこるの身から何やらオーラじみた波動が放たれる。それがウォッグ達に浴びせかけられるや否や、状況は一変。るこるへ向かってゆくものも、彼女を無視して突破を図ったものも。るこるの周辺にあったウォッグ達は、その全てが直後に動きを止めたのだ。
それは、ユーベルコードの発動に伴い、るこるの身から放たれるようになった『覇』の恩恵。其は弱い敵ならば直ちに気絶せしめる程のプレッシャーを齎すが、同時に、其はキャバリアに搭乗する者にも問答無用でその効果を発揮する。
以て敵の無力化が成功すれば、後は機体を回収するのみ。宝玉型の祭器から放たれた光線がウォッグへ命中すれば、其は直ちにその場から消失し。後には気絶したパイロットが残された。目覚めれば恐らくオブリビオンマシンの狂気からは解放されていることだろう。
なれど、敵はまだまだ多い。これを確実に無力化し『誓い』の成就を援護するべく。るこるは尚も上陸せんとする敵へ睨みを効かせ続ける。
そしてもう一方、フレスベルクもまた、少なからぬ数のウォッグと対峙していた。その数は多く、また彼女を無視して丘を目指さんとするものも少なからず。
『我は大空を覆う真空と雷雲を調伏せし者――』
だがフレスベルクに焦りは無い。詠唱を開始すれば、ノインツェーンの騎体が徐々に黒雲と変じ形を失ってゆく。其に搭乗するフレスベルクの肉体も諸共に。
『掌握した真空と雷雲を以て、大空を閉ざす悪意を滅する調停者なり――』
そして完全に変身が完了すれば、その肉体も乗騎も渦巻く漆黒の雲という形で一つになる。そして、其は一気に膨張を開始して。
『な……!?』
『なんだ、これは……!?』
驚愕するウォッグの搭乗者達。乗騎諸共に漆黒の雲へと変じたフレスベルクの肉体は、本来の数十倍もの体積を以てウォッグの部隊を包み込む。そして、当然のことそれだけではない。
『貴方がたの進撃は、ここまでです』
宣言すると同時。巻き起こった真空の嵐が、内に取り込んだキャバリアの全てを一気に崩壊へと至らしめる。それでいて、フレスベルクの巧みな制御の恩恵か、放り出されたパイロットは無傷である。
そうして敵の制圧を行いながら、フレスベルクは過去を見る。乗騎に接続しておいた召喚器の力で以て。
(――成程、ビルシャスとの争いでご家族を)
見ているのは、此度の襲撃の首謀者たるシーザー・ランバルディの過去。かつて幾度も行われたビルシャス帝国との戦争に兵士として参戦していた彼。兄も弟もその戦争の中で戦死を遂げていたらしい。
そして何より。彼の父は、その発端たるフィルコネ市での虐殺事件に於いて、同市の警備部隊の一員としてビルシャス軍を止めんとして殺されたという。それ故に、感情で帝国を許せぬ部分があったようだ。
(それ故に、あのオブリビオンマシンが彼の前に現れた――というわけですか)
敗者の無念、或いは怨念が集積したオブリビオンマシン。其に憑かれたが故に、本来ならば抑えられた帝国への恨みが爆発した――という処のようだ。
(この情報、どう助命に活用致しましょうか――)
オブリビオンマシンの存在を認識できぬ人々に、如何にして彼に罪無きことを証立てたものか。思案しつつも、黒雲と化したその身は、尚も敵を無力化するべくその場に広がり続けていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メルティ・ヴィーオゥ
アレンジ協力歓迎
「状況を開始します。ディストリビューター各機、オープンギャンビット」
湖畔周囲の物陰に隠して配置していたセントリーボットに行動命令。
ウォッグは湖畔から現れる予言をしているのであれば、その頭を叩く。
水中機雷の投下を行わせながら配置へ付き……。重厚なキャバリエであればそれで沈める事はないでしょうが狙いは浮上箇所の制限。
機雷投下より逃れ顔を出したウォッグに貫通弾で狙撃を行います。
「……とはいえ直ぐに気づかれるでしょうね。各機シャンブルズA4地点へ」
あとは移動し繰り返し。私も機動外骨格スーツに乗り込めば機動力は問題なく…一人で止められる機体は多く無いでしょうが、仲間がいるこの状況ならば…
支倉・燐華
流石に今まで関わったことのない私が式典に出るのはどうかと思って待機していました
相手がウォッグということで同じウォッグRCと迷いましたが、この後も考えてギムレウス|RC《燐華カスタム》に搭乗して待ち構えてましたよ
予めウォッグが湖から出てくると分かっていれば対処法は単純です
出てきたところを叩く、モグラ叩きと同じですよ
ギムレウスの背部大型キャノン砲で湖から出たところを狙って長距離砲撃です
ウォッグはいい機体ですが欠点があります、一つは火力不足。この距離を狙える武装はミサイルのみ、それだって浮上直後では此方を狙うのは困難ですね
陸上での足も速いとは言い難く、つまりこの距離では一方的に私に撃たれるだけです
ヴィエイラ湖の湖底を行くウォッグ部隊、目指すは平和祈念式典の行われている、丘のたもとの岸辺。其処から上陸、丘へと登って式典を破壊する――
『湖底に動力反応多数。状況を開始します』
なれど、其を阻止せんとする者達は此処にも在る。メルティ・ヴィーオゥ(Vtype-Destroyer[00]・f38068)は機動外骨格スーツの機内で呟く。先に整えておいた準備の成果を発揮する時だ。
『ディストリビューター各機、オープンギャンビット』
命令を発すると同時、湿地帯の藪の中から幾つもの小型機械が姿を現す。これが先程のメルティの『準備』の中身。総計460体にもなるセントリーボット群である。
敵が湖から襲って来ることは、グリモア猟兵の予知から確定済みだ。ならば、湖に網を張り、現れたところで頭を叩く。その為に、メルティは先程ここで準備を行っていたのだ。
妙に愛嬌ある動きで以て歩行するボット群は、湖に入っても壊れることなく器用に水中を移動してみせる。それら460体が水中を泳ぎ、やがて其々がメルティの命じた通りの位置へと到達すれば、更にメルティは一つの命令を下す。
『水中機雷、投下開始』
命令に従い、ボット群が水中に次々と機雷を投下していく。恐らく、これで水中には幾つもの機雷が漂い、もし敵機が近づけば爆発しダメージを与える筈。水中用ゆえに堅牢な装甲を持つウォッグである、一発二発では撃沈には至らないだろうが、敵としても避けられる損傷は避けたい筈。ならば。
『――そこです』
徐に、外骨格スーツが銃を構え、発砲する。長距離狙撃用の電磁投射砲。放たれた徹甲弾は、狙い違わず水中から顔を出したばかりのウォッグの頭を撃ち抜き、機体の電子系を損傷させ行動不能に追い込んだ。
これがメルティの狙い。機雷を逃れた敵が、それでも作戦行動を続けるならば、機雷の無いルートからの上陸を狙う筈。ならば、上陸地点を絞り込む難易度は下がる。その為の浮上箇所の制限こそが、機雷を用いた目的である。
とはいえ。
『……そろそろ気付かれたでしょうか』
そのまま数機のウォッグを仕留めた後、ぱたりと後続が途絶える。撤退したか――否、そのようなことは有り得ない。恐らく、浮上ポイントにこうして罠を張っていることに気付かれたのだろう。ならば今頃、敵は別ルートから浮上するべく移動中、とメルティは推測する。
『各機、シャンブルズA4地点へ。C7地点は――彼女に任せましょう』
ボット群へ命令を飛ばし、メルティもまた外骨格スーツと共に移動を開始する。機動力を高めたこのスーツならば、多少の長距離移動は苦にすることなく迅速に行える。後は、到着地点で順次撃墜していくだけだ。
それでも、彼女一人で阻止できるキャバリアの数などたかが知れているだろう。メルディもそれは承知済みだ。だが、己は一人ではない。共に戦う猟兵が、確実に存在するのだ――
メルティが言う処のC7地点、此処からの浮上を果たそうとしたウォッグの一機、その頭部から突如爆発が起こる。砲撃の直撃を受けたのだ。
如何な重装甲といえど、この規模の爆発を起こす砲撃を受ければひとたまりも無い。そのまま煙を噴き上げ、浅瀬に倒れ込んだ。
『メルティさんの仕掛け通り。待ち構えていた甲斐があるというものですね』
その砲撃の主は、ポイントからやや離れた湿地の上に。支倉・燐華(戦闘侍女・f31277)操る量産型キャバリア『ギムレウスRC』が背負うかの機体の象徴兵装、背部大型キャノン砲によるものだ。
ウォッグの浮上の瞬間を狙って叩く、という作戦は、奇しくもメルティの作戦方針と同様。故にこうして、其々別ポイントからの狙撃を担当することとしたものである。
後は只管に、頭を出したところを狙い撃ちにする。まさにモグラ叩きだ。
ウォッグの頭部が見えたら即座にトリガーを引く。そのたびに爆発が起こり、ウォッグが倒れてゆく。勿論、搭乗者は無事だ。
(流石に式典に出るのはどうかと思って待機していましたが。早めにポイントで待ち構えていた甲斐がありましたね)
これまでビルシャス帝国には関わって来なかった故、特段の行動は取ることなく、早い段階でこうして狙撃体勢を整えていた燐華。其処でメルティと遭遇し、彼女の考えていた策に乗った、という流れで現状に至った、というものだ。
(ウォッグに乗っても良かったですが、やはりこの状況ではギムレウスですね)
複数の量産型キャバリアを保有する燐華、ウォッグもまた所持している。故に敵もウォッグである此度の任務に其で出撃することも考えたのだが、彼女はその選択肢を断念していた。この後の戦いのことを考えた、というのがまず一点。
(ウォッグは良い機体ですが、欠点もあります)
砲撃を逃れたウォッグが、背中からギムレウス目掛けて背部ミサイルを発射する。だがミサイルはギムレウスの左右へとそれぞれ力なく逸れていき、そのまま爆発。破片もまた、堅牢な装甲を誇るギムレウスに大した傷を与えられない。
この距離でウォッグが用いられる武装はミサイルのみ、おまけに浮上直後かつ有効射程ギリギリという条件下では、ギムレウスに有効打を与えることは困難。接近しようにも、陸上での機動力には乏しいウォッグでは、その前に撃たれるのが落ちだ。
其処から導き出される結論は一つ。ウォッグ達に許されるのは、一方的に燐華に、メルティに撃たれる事だけであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルア・テミルカーノヴァ
【ファルマコン】
義のために、私も戦わなければ……。
私の乗機、「アポカタスタシス」は高機動型。
なら、狙いは……上陸直後のウォッグを叩くこと。
錫さんとリリー先生と編隊飛行をして上陸直後の敵機に接近。錫さんの斜め後について攻撃を始めるタイミングで【オーバーブースト・マキシマイザー】でマッハ7.5(レベル92)で飛びながらすべての武器を発射します。
誤射しないように、前方に攻撃を集中させ、高機動型の特徴を活かして片っ端から格闘船に持ち込んでうち伏せます。
私は、平和のための礎として、できる限りのことをしましょう。
決して、これ以上の命は、奪わせません。
戦いは罪かもしれませんが、私に、主の赦しとご加護を……。
支倉・錫華
【ファルマコン】
式典成功のためにも、ここで阻止させてもらうよ。
キャバリアはレンタルしたのをアミシアが整えてくれてるはず。
えっと、スラスターと歌仙、CMPR-X3を徹甲弾で、か。
湖から上がってくるところを狙撃では追いつかないから、
突撃仕様にしておいてくれるところがさすがだね。
「パーフェクトだ、アミシア」
『感謝の極み』
……こんなところもさすがだね。
今回はルアさんとリリー先生もいっしょだし、
3機で突撃かけて、格闘で敵機を擱座させていこう。
リリー先生を中央に、ルアさんとわたしが斜め後ろについて、
高速突撃しつつ、お互いの背中と横をフォロー。
背中を気にせず、歌仙とライフルでウオッグをたたき伏せていくね。
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ファルマコン】【SPD】
※アドリブ歓迎、不殺
※愛機搭乗済
おや、錫華さんにルアさん…2人で動いてたんだ?
折角だし一緒に迎撃してみようかね♪
ほら、リル陛下達が遠くない場所にいるし
せめて雑魚はお淑やかに潰しておきたくてさ?
…じゃ、イクよ♪
オペ30番【コズミック・ブレイド】開始
【E・バード】を構えてホバリング&フルブースト
右腕の盾剣を緑に輝く先割れ両刃の粒子刃が包めば
四肢のシリンダーに【オウガ・M】の力も乗せて叩き切るっ
生体電脳と《瞬間思考力》制御による精密《操縦》が冴えるよ
とはいえ全力が出せるのは5回だから
極力一太刀で数機を豪快に巻き込んで吹き飛ばし、
倒しきれないのは両サイドの2人に託す感じかな?
猟兵達の迎撃行動により、着実にその数を減らしていく敵オブリビオンマシン群。なれど、湖の底から近づく熱源反応はまだ少なくない数が残っている。
「やれやれ、これはもう一仕事必要そうかな?」
愛機たる魔改造量産キャバリア『ナインス・ライン』のコクピット内、レーダーを眺めながらリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)は思案する。多少は働かねば来た意味が無いとはいえ、これだけいると流石に少々骨が折れるか。
「……お?」
と、そこで湖岸に味方の熱源反応を確認。どうやら猟兵らしい。ならば共闘を持ち掛けてみるか、とリーゼロッテは移動を開始する。
『義のために、私も戦わなければ……』
愛機たるクロムキャバリア『アポカタスタシス』に搭乗したルア・テミルカーノヴァ(魂の共鳴者・f29992)、緊張の面持ちでモニタ越しに湖畔の風景を見据える。
一方、彼女と共に此度の任務へと参戦した支倉・錫華(Gambenero・f29951)は、借り受けてきた量産型キャバリアのチェックを行っていた。パートナーたるAI『アミシア』が機体のチューンや武装を整えてくれてはいたが、実際に確認するのはこれが初めて。戦闘開始前に確とチェックしておく必要がある。
「――えっと、フレキシブル・スラスターの増設に、武装は歌仙とCMPR-X3。装填弾種は徹甲弾、と」
それは此度の戦いにおいて想定される敵、そして取らんとする戦術に対する最適解というべきもの。迎撃戦とはいえ、次々敵が上陸してくる状況で悠長に狙撃などしていては手が追い付かない。積極的に斬り込んで撃破してゆく突撃戦法こそが最適解と言える。その点を汲み取った上でのセッティングだ。
「パーフェクトだ、アミシア」
そんなパートナーの仕事ぶりに思わず、何処ぞの吸血鬼のような言葉が唇から漏れるが。
『感謝の極み』
返答も確りと件の吸血鬼の執事じみていた。こんな処も流石だ、と思ってしまう錫華だったとか。
『……ん、この反応は……』
そこで、湖方面を警戒していたルアが気付く。己らに近づいてくる一機のキャバリアの姿に。それは、己らも知る機体。その搭乗者の素性も、勿論のこと。
『おや、錫華さんにルアさん。二人で動いてたんだ?』
『って、リリー先生!?』
そのキャバリアから聞こえてきた声音は、間違いない、リーゼロッテのもの。リーゼロッテもルア達も、お互い此度の任務に参加していたことを知らなかったようで、驚いた様子を見せる。
『でもまあ、そういうことなら。折角合流したんだし、一緒に迎撃しようかね♪』
とはいえ、互いの腕前もまた互いに把握している。ならばばかりに、リーゼロッテは二人に対して共闘を申し出る。
『喜んで。リリー先生が手伝ってくれるなら百人力だよ』
錫華にもルアにも断る理由などは無い。迷わず是の応えを返す二人であった。
三名による作戦会議を終え、其々戦闘準備を整えたところで、湖から幾つもの大きな影が浮かび上がってくる。ウォッグの一団だ。
『それでは……行きます!』
敵機の姿を認めるや否や。ルアのアポカタスタシスが一気に加速しつつ地より浮き離れる。そのまま低空飛行となったルア機は内蔵された火器を一斉射。上陸を果たしたばかりのウォッグ達へ無数の銃弾を浴びせてゆく。
『ちっ、待ち伏せか!』
『だが敵は単騎、このまま――』
突然の急襲にも、ウォッグの搭乗者たる兵達は必要以上に怯むことはなく。反撃せんと腕部のニードルガンを構え、湖上で旋回するルアを捉えんとし――
『余所見してちゃダメだねぇ?』
『その隙、貰うよ』
其処に動くのがリーゼロッテと錫華だ。其々の乗機が各々に得物を構え、アポカタスタシスに気を取られていたウォッグ群の後背を突く。
リーゼロッテ操るナインス・ラインが構えた盾剣を振るえば、その刃が緑に輝く特殊粒子に包まれ刀身が伸長。強化された出力で以て振り抜けば、その一振りで複数体のウォッグが斬り倒される。
一方の錫華はキャバリアに片刃の実体剣を構えさせ、リーゼロッテからやや離れた位置の敵を急襲。振るった刀がウォッグの脚を斬り断ち、擱座させてゆく。
『な!? ぐっ、伏兵だと――ぐわぁっ!?』
突然の襲撃に驚く兵達に立て直す隙も与えず、リーゼロッテはナインス・ラインに更なる斬撃を振るわせる。敵の密度が高い地点へ飛び込み、刃を振るえば、巨大な刃がウォッグ達を複数纏めて斬り飛ばす、無論、コクピットは外した上で。
『ちぃ、散開だ、散開し――ぐっ!?』
リーゼロッテの攻撃が複数機を巻き込むことを主眼とすると見た敵軍、散開して被害を抑えにかかるが、そうはいかなかった。
素早く距離を詰めた錫華のキャバリアが、素早く刀を振り抜けば、そのたびにウォッグが一機崩れ落ちる。第六感を超えた第八感を以て振るわれる刃は、的確にウォッグの四肢を斬り落としてゆく。
『私は、平和のための礎として、出来る限りのことをする……!』
更には飛び戻ってきたルアのアポカタスタシスが突撃しながらの集中射撃にて猛攻をかける。腕や脚を砕かれ、次々と戦闘不能に追い込まれてゆくウォッグ達。
そんな三人の連携の前に、ウォッグの軍団は為す術がなく。そのまま、全滅の憂き目を見たのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『敗残者の王』
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POW : 果てし者よ、惰眠にはまだ早く
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【戦場で破壊されたキャバリアの残骸や武装】の威力と攻撃回数が3倍になる。
SPD : 望む終わりは未だ来たらず
【戦場に散乱する残骸で補修した即席改造機体】に変身する。変身の度に自身の【武装】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
WIZ : 数多の敗北を識るが故に
【機体に刻まれた膨大な『敗北の記憶』から】対象の攻撃を予想し、回避する。
イラスト:御崎ゆずるは
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ユエイン・リュンコイス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
平和祈念式典は、一時中断を余儀なくされていた。会場至近にて戦闘が発生した為だ。
要人達が避難した会場付近の施設内、臨時に設置された司令部。宰相フォルテは其処で事態の把握と解決の為に情報収集に努めていた。
「――所属不明の集団が、襲撃してきたキャバリア部隊を迎撃しとる?」
其処へ届いた報告に、フォルテは首を傾げる。雑多なキャバリアと歩兵が入り混じる、部隊とも言えぬ集団が、数では数倍するウォッグの部隊を全滅せしめたと。
「……あの方々が、この地にも現れたのでしょう」
応えるのは、共に司令部に詰めていたリル。事件前、リルは以前の近衛兵団が起こした事件を解決した者達と面会する機会を得ていた。彼らが何故カサイン領たるこの街に居たのか疑問であったが、何らかの方法で襲撃あるを事前に知り、其に備える為だったとするなら得心はいく。
「ちゅう事は、そいつらは味方や思て間違いあらへんちゅう事ですな?」
「はい。其処は間違いない筈です」
面会の際の言動も合わせて考えれば、彼らの目的は式典そのもの、または式典に集った人々の守護。そう考えて間違いないとリルは答える。
と、其処へ更なる報告。襲撃部隊の指揮官と思しきキャバリアが出現、件の所属不明集団との交戦を開始したとのこと。偵察に飛ばしたドローンからの中継映像が、司令部のモニタに映し出される。
「……何やこれ……」
唖然とするフォルテ。そのキャバリアは、各部パーツから武装まで、様々なキャバリアのパーツを雑多に組み合わせた歪な形状をしていた。如何に統一規格があるとはいえ、此処まで雑多な組み合わせは異様としか言えない。しかも見る限り、其を構成するパーツは全て、かつてカサイン王国軍で制式採用されていたキャバリアの――
『邪魔をするな……! 奴らとの、帝国との間に、平和など不要!』
だが、其処に中継を介して届いた声に、フォルテは更に驚愕させられることとなる。
「この声……シーザー将軍!? どういうこっちゃ……!?」
●
40年前のフィルコネに、突如襲い来た惨劇。
建物を破壊し、逃げ惑う人々を踏み潰してゆくキャバリア達。その身に掲げた紋章は、東の隣国――ビルシャス帝国。
立ち向かうカサイン王国のキャバリア警備部隊も劣勢は否めず、一機、また一機と破壊され。そのパイロット達も、また命を落としてゆく。
そんな中、少年――幼き日のシーザー・ランバルディは見た。父の乗るキャバリアが、帝国のキャバリアの放った砲撃によってオーバーフレームを爆散させられる、その瞬間を。
最早原型を留めていなかった父の遺体を前にした時、少年の胸に炎が灯った――帝国に対する深い怒りと憎悪の炎が。
それから10年後、軍に入ったシーザーは、やがて対ビルシャスの報復戦争へとその身を投じることとなった。後の世に『第三次マファード攻防戦』と呼ばれる戦だ。
激しい攻防。敵も味方も、次々と乗機を破壊され、そして自らの命をも失ってゆく。シーザーの兄と弟、共にビルシャスへの復讐を果たすと語りあった兄弟達も命を落とした。
結局、戦は敗北に近い痛み分け。父の、そして兄弟の為にも、次こそは必ず攻め落とす。その決意を胸に、シーザーは更なる訓練を積み重ねていった。
だが、その凡そ5年後。再びマファードへの侵攻命令が出た時のこと。後の世に言う『第四次マファード攻防戦』。
戦場に現れたのは、真紅と白――輝く炎を人の形に整えたかのようなフォルムのキャバリア。ビルシャス帝国皇帝専用機『アグネリウス』。
こいつさえ壊せば――怒りと恨みのままに試みた突撃は、巻き起こる炎に阻まれて。その向こう、搭乗者たる皇帝は言い放った――
『親父のしでかした事、すまなかった。叶う限りの償いはする。だから――もう、終わりにしねぇか』
あの日の惨劇の元凶、先帝イルガは粛清された。新たに帝位へとついたイルガの三男、アクィラの手で。停戦を申し出たのは、そのアクィラだ。
その時のシーザーには、只々ふざけるなとしか思えなかった。だが、アクィラは本気だった。徹底的に防衛に専念し、配下共々致命的な攻撃を避けながらの戦いぶり。己らだけではない、カサイン側にも極力死者を出さない。彼らは、そんな意図を以て戦っていた。
結局、そのまま進攻は退けられ。それが、帝国との最後の交戦となった。
時は経ち、いつしかシーザーは一軍を預かる将となっていた。
その心中、未だ帝国への憎悪は燻れども、同時に理解もする。ここで己が我を通すことは、あの時の帝国と同じであると。
何より、シーザーとて復讐以上に平和をこそ望んでいるのだ。己のような思いをする民がもう出ないというなら、己はそれで良い――そんな心持ちにて、平和条約の締結を受け入れていた。
あのキャバリア――オブリビオンマシンが現れるまでは。
●
『その時に悟った。この怒り、この憎しみを抑えることは間違いであるとな!』
対峙する猟兵達に、シーザー将軍はそれら感情を露とした声音で語る。かつての戦友達が操ったキャバリアの集合体とでも言うべきオブリビオンマシン『敗残者の王』。まるで、湖の底に眠っていた帝国への怨念が蘇って、彼へ取り付いたかのような有様。
『ビルサラオンを炎に沈め、ビルシャスという国の名を地図より消す。其が果たされる日まで、我らの戦いは決して終わらないのだ!』
歪なフォルムのその機体、なれど機動に一切の支障を来しているように見えぬのは、偏に彼の操縦技術の賜物と言えるだろう。
『邪魔立てするならば、無関係の者と言えど容赦せん!』
敵は今にも攻撃を仕掛けんとばかりの様相を見せる。両国の平和への道、これ以上妨げさせぬ為にも。かのキャバリアを撃破するべし。
※戦場は引き続き湖畔の湿地となります。
フレスベルク・メリアグレース
司令部へ通達を
ランバルディ将軍が騎乗…いえ、意図して騎乗しているかはこの際問題ではありません
あのキャバリアの機体構成からして異常なのは明確
もしやしたらサイキックキャバリアやジャイアントキャバリアなりのパーツが混じった際、パイロットの精神に悪影響を齎す状態になっているのかもしれません
そうである場合、ランバルディ将軍の処遇は心神喪失状態である可能性を考慮しておくべきです
そう言って布石を整えた後、UCを起動させて『機体に刻まれた膨大な『敗北の記憶』そのもの』から斬撃を浮かび上がらせ、四肢を切り刻んでいきます
さて、ランバルディ将軍…その祈りは空へと届かせる訳にはいきません
お覚悟を
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
正に怨念、ですねぇ。
『FAS』で支障のない高度を飛行、近接攻撃を防ぐと共に『FMS』のバリアで『下方からの射撃』に備えますねぇ。
更に『FGS』の重力結界で遠近両防御を補佐し【酷郭】を発動、戦場内の『地形』や『大気』『残骸』等を制御下に置き、利用を『操作』で封じつつ『爆破』で攻撃に転用、相手の動きを抑えましょう。
後は相手の攻撃を『大気爆破』で[カウンター]しつつ『F●S』各種による攻撃の雨を降らせますねぇ。
後は、嘆願は内政干渉になりかねない為避け、彼の発言から『現れた機体』の影響で箍が外れた可能性が高いと示唆、『外的要因の可能性が高い事』を提示し適切な裁定を求めますねぇ。
『敗残者の王』、過去のカサイン王国軍制式キャバリア群を寄せ集めたかの如きキャバリアは、そのカメラアイを上空へ向ける。その先に在る、生身で空を飛ぶ人影を睨むが如く。
『只者ではないようだが、私の邪魔はさせん!』
シーザーの叫びに応えるが如く、残骸結合キャバリアが腕部に携えたマシンガンを掃射する。吐き出される無数の弾丸が、背に広げたオーラの翼にて飛翔する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)を狙い殺到してゆく。
「なんのぉ!」
対するるこるは正面に祭器たる銀盤を展開。其々が光線にて結ばれれば囲われた内側に防御結界が展開され、銃弾を弾き防ぎ止める。
『バリアか! ならばこれはどうだ!』
だがシーザーは既に次の手を打っていた。マシンガンの弾雨が止んだその直後、るこるの前へと飛んできたのは――
「こ、これはぁ……!?」
目を見開くるこる。飛び来たったそれは、先程撃破したウォッグの背に負われていたミサイル。掃射の合間に投擲してきたのだ。其は紅い光を纏いながら、結界へと衝突し――直後。
「あうぅっ!」
巻き起こるは、先程のキャバリアに搭載されていたものと同じとは思えぬ猛烈な爆発。ユーベルコードを注いだことで爆増した火力は、るこるの結界をも破って彼女自身にまで爆風を浴びせる程にまで至っていた。
爆風に逆らわず、煽られるままに吹き飛んでダメージを抑えるるこる。流石に無傷とはいかなかったが、戦闘に障りを生ずる程の傷ではない。
「……っ、行かせませんよぉ。お互いの国の平和の為にも」
オーラの翼を羽ばたかせ体勢を立て直しつつ、るこるは継戦の意志を示す。追撃を為さんと疾走してくる残骸機を見据えながら。
『何が平和だ! 父の、兄の、弟の、そして戦友達の! 犠牲の果てに得られるものが! そんなまやかしであって良い筈が無い!』
再度のマシンガン掃射と共に放たれた叫びは、怒りと憎悪に満ち満ちて。先の言葉通り、ビルシャス帝国を滅ぼすまで止まらない、止まれない、そんな様相を示している。
(正に怨念、ですねぇ……)
そんなシーザーの姿を、るこるはそう評する。これもオブリビオンマシンに憑かれたが故の狂気か。ならば尚の事、祓わねばならない。銀盤に加えて錫杖を展開、重力結界を展開し守りを固めると共に、両手を合わせて祈りを捧げる。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その刑場の理をここに」
祈りが届くと共に、戦場の空気が変化してゆく。厳格にして冷徹なる、裁きの場の如き空気へと。
そうしてるこるがシーザーと交戦するやや後方、白と金のサイキックキャバリアが交戦を見据えながら屹立する。メリアグレース聖教皇国の伝説級神騎『ノインツェーン』だ。
「結論から述べます。ランバルディ将軍の所業が、彼の本意である可能性は薄いです」
そのコクピット内、搭乗者たるフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)が告げた言葉は、宰相フォルテらが設置した司令部へ向けたもの。彼方への通信を確立していたのだ。
『ワイらとしてもそうであって欲しいトコやが。何や根拠でもあるんか?』
返ってくるのはフォルテからの質問。彼を助命するにも、所業が極刑を以て処する他にない以上、其を覆す材料を求めているようにも聞こえるだろうか。
「はい。ランバルディ将軍が騎乗するあのキャバリア。機体構成からして、明らかに異常な状態です」
何種類ものキャバリアのパーツを無秩序に組み込んで、その上であそこまでの性能を発揮するキャバリアなど、尋常の機体では有り得ない。フレスベルクが指摘するのはその一点。
(そも、意図して騎乗しているものとも思えませんが……この際そこは問題ではありません)
その一方で、心中ではそんな呟きを漏らす。オブリビオンマシンの存在が猟兵ならぬ身には認識できぬ以上、其処に言及することは得策とは言えない。代わりに。
「もしやしたら、サイキックキャバリアなりジャイアントキャバリアなりのパーツが混じったことで、パイロットの精神に悪影響が生じる状態になっているのかもしれません」
理解できうる表現で以て予測を答える。どちらも機種によっては搭乗者を巻き込んだ暴走状態に陥ることもある代物と知られるが故に、司令部からも唸る声が通信回線越しに届く。
『あっちの姉ちゃんからも、シーザー将軍があないなっとるんはキャバリアの影響やないかっちゅう話は聞いとったが……』
フォルテが呟くのは、ウォッグが全滅したタイミングでるこるから聞かされていた内容。即ち、シーザーの暴走は外的要因――あの残骸結合キャバリアの影響である可能性が高いと。内政干渉となる事態を避ける為、それ以上の嘆願などはしていなかったが。
「その通りです。それらの影響により、ランバルディ将軍が所謂心神喪失状態にある可能性は、考慮しておくべきでしょう」
その判断を肯定しつつ、フレスベルクは己の見解を告げる。裁定を下すに際して想定するべき可能性を。
『まあ、後は本人の話を聞かんコトにはな。……やるんか?』
納得したような声音に続いて届く言葉は、フレスベルク達の意志を確かめる言葉。本当にあの異常なキャバリアを止めるつもりでいるのか、と。
「勿論です。先ずは彼を止めないことには始まりませんので」
告げると共に通信を終え。フレスベルクは、乗機たる神騎を進ませる。暴走する将軍とその乗機とを止める為に。
『ぐおっ!? ぐ、な、何なのだこれは……!?』
利用せんとしたウォッグの腕部パーツが突如爆発し、生じた爆風にシーザーが苛立たしげな声を漏らす。先程から、利用しようとしたウォッグのパーツが悉く、己の拾おうとした段階で爆発してしまっているのだ。
「その残骸、利用させるわけには参りませんのでぇ」
緩やかに応えてみせるるこる。今や、戦場内は彼女が戦域に流し込んだ『律』による完全な制御下に置かれていた。
『成程、大した手際です』
そこへフレスベルクが合流する。シーザーの攻勢を見事に封じてみせた彼女の立ち回りに感心を示してみせながら。
『さて、ランバルディ将軍』
意識はシーザーと、彼の乗機たるオブリビオンマシンへ。るこるの手で断続的に発生する大気の爆発が、かの機体を怯ませ思うように動かさせない。
『その祈りは、空へと届かせるわけにはいきません――お覚悟を』
フレスベルクが宣言すると同時、残骸機の全身に幾つもの空間の断裂が発生。オブリビオンマシンであることに加え、その出自から機体には幾つもの敗北の記憶が刻まれている。其はシーザーにとっては回避の手がかりとなるが、フレスベルクが用いれば――
『があぁぁぁぁぁっ!? な、こ、これは――!?』
驚愕と苦悶の入り混じる声が、かのキャバリアのコクピットから響く。空間の断裂はそのまま機体の断裂を生み、以て機体へと重篤なるダメージを与えてみせて。
「このまま、一気に叩かせて頂きますぅ」
追撃とばかりに降り注ぐ、るこる操る浮遊兵器群の砲撃と爆撃。猛烈な爆炎の中に、残骸からなるキャバリアが消えてゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ファルマコン】【POW】
※アドリブ歓迎、不殺
※愛機搭乗済、真の姿
将軍、悪いけど過去は一通り調べたよ
だが生憎アンタは『再発と伝染』の病に罹患中
放置すれば別の|患者《アンタ》が…ソレは治すさっ
2人とも前衛は頼むよ、オペ82番【P・レラージェ】開始
外装排除で身軽な愛機が禍々しいライフルを握れば忽ち次元潜航
残骸や武装の利用を試みる度に不可視の狙撃でソレら諸共ブチ抜く
【セレス】の転移と《瞬間思考力》のタゲ補正に
《操縦》テクの場所取りも合わせれば最早対処不能
完全に身動きを封じて2人に託そうか♪
戦後は助命&偽装も兼ね将軍診察
『王』発掘により戦災由来PTSDを発症
極刑より後送&静養が政治的&医療的に適切さ♪
ルア・テミルカーノヴァ
【ファルマコン】
※ アドリブ歓迎、不殺
※ 愛機搭乗済、真の姿
恨みにとらわれている、あなたを止めたいのです。
赦すことが、救いへの近道ですよ。
だから、あなたを赦しつつ、全力で止めます!!
【オーバーブースト・マキシマイザー】を発動!
全速力で近付き、すべての武装をシーザー将軍めがけて一斉に発射!!
なるべく腕を狙って、攻撃をさせないように。
あなたを、決して復讐という名の地獄には落としはしません!!
だからこそ、私は、「愛」をもって、これ以上の「罪」を重ねないように戦います。
あなたに痛悔してほしいから、決してあなたを殺しはしません!!
そしてシーザー将軍の動きを止めたらリリー先生にすべてを委ねますよ。
支倉・錫華
【ファルマコン】
キャバリアは引き続きレンタル。
心の底にある怨みの炎……わからなくはない、けど、
このままだとあなたと同じ境遇の人を、
あなたが作り出すことになるけどいいのかな。
ま、そこを突くのがオブリビオンマシンってことか。
【スラスター】で低空飛行して、スピードの優位を確保したら、
相手の脚部を狙って【ディレイ・アタック】で、機動力を削っていこう。
相手の動きが鈍ったら【天磐】を構えて突撃。
接近戦で足止めして、味方の攻撃を引き出すよ。
リリー先生、ルアさん、遠慮なく!
アミシア、離脱のタイミングはよろしく。
これで当たっちゃったら笑われちゃうしね。
ふうん……病気?
ま、そこはリリー先生に任せておけば安心かな。
全身の装甲が傷つき抉れ、本来以上にボロボロの姿と化した『敗残者の王』。なれど立ち上がる挙動には、不自然なまでにぎこちなさが無い。それ程の状態でありながら何ゆえに、と思う程に。其は数多のキャバリアの寄せ集めという性質故か。
『まだだ……この怒りと恨みの全て、ビルシャスへと叩きつけるまで……私は戦う……!』
或いは、搭乗者たるシーザーの妄執じみた憤怒と怨念故か。周辺に散乱するウォッグの残骸を吸い寄せ、装甲の破損個所へと埋め込むように装着しながら、機体を大型化せしめてゆく。シーザーの胸中の闘志は、更に三機のキャバリアが己へと向かい来るのを目にしても衰えを見せない。
『――将軍。あなたは、本当にそれで良いの?』
心の底に燻っていた、それら感情の炎。それ自体は支倉・錫華(Gambenero・f29951)にも理解叶う処ではある。だが、だからとて。
『このままだと、あなたと同じ境遇の人をいっぱい作り出すことになるよ?』
その怨念の源、理不尽なる侵略で大切な人を喪った過去。その悲しみ、痛みを知る筈の彼が、己が手で同じ悲劇を幾つも引き起こすつもりなのか。問いかけを以てしての呼びかけは、しかし。
『これは虐殺ではない、復讐だ! 帝国の者共は全て同罪、赤子の一人に至るまでな!』
返ってくるのは狂える恩讐の叫び。オブリビオンマシンの齎す狂気が、彼の意志によるその行為の否定を許さない。
『将軍、悪いけどアンタの過去、一通り調べさせてもらったよ』
そこに蒼き魔改造キャバリア『ナインス・ライン』からリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)の声。家族を、友を理不尽に奪われた経歴。帝国へ抱いた尽きせぬ憎悪の経緯。
『だが、生憎と。アンタは『再発と伝染』の病に罹患中』
医者としての見地から、今の彼の状態を指摘する。放置すれば、其は更に広範囲へ伝染し、何人もの『患者』を増やしてゆくだろう病に罹患している、と。其は、治さねばならない。
『私達は、恨みに囚われているあなたを止めたいのです!』
更に続けて。ルア・テミルカーノヴァ(魂の共鳴者・f29992)は乗機たる『アポカタスタシス』の外部スピーカー越しに呼びかける。
『赦すことが、救いへの近道なのですよ!』
『ふざけるな! 奴らを赦すなど絶対に有り得ん!』
続けてルアが説くその言を真向より斬って捨てるシーザー。なれど、それは彼の説得を目的として放たれたものではない。
『だからこそ、私はあなたを赦す。赦しつつ、全力で止めてみせます!』
それはルア自身の意志の表明。彼を赦したいからこそ、その行いは阻止してみせると。
同時、アポカタスタシスがバーニアを吹かし一気に加速。音速を優に超える速度で以て、かの将軍の搭乗するキャバリアへと肉薄せんとする。
『赦しなど不要! 私の、我らの心は、帝国の滅亡によってのみ救われると知れ!』
対するシーザーも機体を即座に動かし対応。マシンガンと大型ブレードに加えて、レーザーライフルとチェーンガンを展開した残骸キャバリアが猛烈な弾幕を展開せんとして攻撃を――開始せず後方へと飛び退いて回避を試みる。駆け抜けた徹甲弾頭の弾丸が残骸機の脚部を撃ち貫くと共に、其処へ|照準《ターゲットサイト》めいた光が灯る。
『そんなこと、させるワケにはいかないからね』
スラスターによって低空を飛翔してきた量産キャバリアが、ライフルを構えて脚狙いの射撃を繰り返してくる。錫華の搭乗する機体だ。その機影が次第にぶれ始め、幾つものシルエットが重なっているかのような様相を示す。まるで分身してみせたかのように。
その状態から射撃を繰り出せば、あたかも分身達も共に射撃を繰り出すかの如き攻勢が現出。疑似的に四方八方から放たれる弾丸は、貼り付けられた|照準《ターゲットサイト》へと引き寄せられるかのように全弾命中、堅固な脚部装甲を少しずつ、しかし着実に抉り削ってゆく。
『あなたを、決して復讐という名の地獄に落としはしません!』
更にはルアも肉薄、乗機の持てる全火器を一斉発射。オブリビオンマシンの増殖した腕部の一つが撃ち抜かれ、携えていたレーザーライフル諸共に爆散する。
『ちぃぃぃぃっ!』
腕部破壊の衝撃でよろめく敵キャバリア。其に至る流れを見届けつつ、リーゼロッテはコンソールを叩き続ける。少女らしい小さな指ではない、大人の女性らしい細く長い指。実年齢に外見年齢が追い付いた、リーゼロッテの真の姿。
『アタシはムダな出血が嫌でね……アタシや仲間は勿論、アンタにも、ね』
そしてエンターキーを押下すると共に。重厚なるナインス・ラインの装甲が脱落し、地に転がる。普段とは打って変わって細身の姿を晒した愛機の腕部には、いつの間にか禍々しいライフルが握られていた。
直後、ナインス・ラインの姿がその場より消失する。手に在るその銃は、正しくは銃の姿をした召喚獣。『魔銃レラージェ』、七十二柱の魔神の一、必殺の射手と同じ名を持つ魔銃。手にした者の姿を消失せしめる業の正体は、狙撃を確実に成功させる術の一つ、次元潜行式のステルス。半ば異なる位相の空間に、リーゼロッテは乗機諸共転移を果たす。
魔銃を構えれば、その銃口の先。周辺に散らばっていたウォッグの背部ミサイルを錫華目掛けて投げつけようとするオブリビオンマシンの姿を捉える。其を見据え、トリガーを引く。放たれた弾丸は、狙い違わず――かの王の手にあるミサイルを、捉えた。
『ぐわぁぁぁっ!? く、狙撃か……ぐぅっ!』
爆発をまともに浴びてよろける廃機。何とか踏み止まらんとするが、その動きで生じた負荷が止めとなり、執拗に弾丸を浴びせられた脚部装甲がついに破断。そのまま機体が擱座する。
『今です!』
そこへ飛び込むはルアのアポカタスタシス。一気に肉薄し、持てる総火力を一気にかの廃戦機へと浴びせにかかる。
『あなたを殺しはしません! ただ、その行いを痛悔してもらうために!』
これ以上の罪は重ねさせない。なれど無かったことにもさせない。以て、その後に続いて罪に走る者を出さない為にも。
決然たる『愛』で以て放たれる砲火は、その全てが敗残者の王の四肢へと着弾。その搭乗者を殺すことなく、無力化せしめんとする。
『ぐぅぅ……っ! させん、させんぞ……! この怒りも憎しみも、無かったことになど……!』
なれどシーザーも未だ諦めぬ。背部バーニアを吹かすと、ルアの弾幕を強引に逃れ。盾を構えて抑え込みにかかる錫華機も振り切り、距離を取ってゆく。
『しまった、逃がした……』
試みを躱され、錫華は悔しげに呟く。ここで決めようとする為の連携を抜けられたことに。
『何、あっちにもお仲間が来てる。あの損傷具合なら、次で決着がつくだろうさ』
そんな彼女へのフォローじみて、リーゼロッテは見解を語る。そして、この後己らが為すべきことも。
『それより、宰相殿に根回しをしておくとしようか。後で彼の診察をする許可を貰わないとだからね♪』
オブリビオンマシンの狂気に駆られた彼が、そのまま処刑される結果を回避する為に。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
メルティ・ヴィーオゥ
アレンジ歓迎
あのマシーンから感じる、煮えたぎるような憎しみは、怒りは
おそらくは将軍のものなのは否定できない物なのでしょう
しかし予言を知るに、本来は復讐より平和を選び取る人だった
私も機動外骨格スーツを駆り、前へ
多少なりとも戦力になれればという気持ちですが、多少の危険は承知の上
湿地帯で動きが鈍いのであれば、小型機の利点を活かしギリギリまで隠れ一気に取り付き零距離の全弾発射
バレルが爆ぜようが、ツギハギの一点に集中して撃ち込めば火力装甲の差はひっくり返せるはず
成否に関わらず、撤退を
その最中に、同胞たちの武器を振り上げる敵機の攻撃結果を観測
剣か銃か……攻撃直前、それが爆ぜ壊れる時間線を選択します
存在し得ない結果は作れません。であればこれは生まれるべく生まれた結果の一つ
あの機体に取り込まれた、かつての敗残者達
ただ損傷に持たなかっただけなのか、あるいは以前の将軍と同じく憎しみよりも平和を選んだのか
何をどう思うか。それは私ではない誰かが決める事でしょうが
支倉・燐華
アドリブ&絡み歓迎
引き続きギムレウスRCに搭乗です
所詮はフリーの傭兵に過ぎないこの身では、なにを言っても説得力もなく聞く耳を持たないでしょう
ならば、傭兵らしく力でもって止めさせてもらいます
ドラムマシンガンにミサイルで牽制しつつ、パトローネファウストや背部大型キャノン砲にサブアーム保持のバズーカといった大火力兵装で回避を誘発して行動の制限や誘導を行います
分かっていても、この火力をマトモに浴びることは出来ないでしょう。ならば、誘導は可能です
とはいえ、此方の弾薬が尽きるまでですが……
弾切れになれば機体ごと乗り捨てて、近くに隠してあったドランギムRCに乗り換えて、今度はホバーの機動力と火力で翻弄します
『逃がしはしません』
『なっ!? ちぃ、此方にも居たか……!』
先に交戦した猟兵達から距離を取ったシーザーだったが、仕切り直しを期したその直後、別のキャバリアからの砲撃に晒される。支倉・燐華(戦闘侍女・f31277)駆る『ギムレウスRC』だ。
『言葉は不要です。只々、力で以て貴方を止めます』
淡々と言いきってみせる燐華。所詮はフリーの傭兵に過ぎない己では、オブリビオンマシンの狂気を差し引いても彼が聞く耳を持ち得る言葉など発し得まい。そんな考えのもと、彼女は力で以て彼を止めると意志を固めていた。
その意志を形にするが如く、榴弾砲やバズーカ砲の大型弾頭がギムレウスの構えた砲口から立て続けに撃ち放たれ。傷ついた廃戦機へと降り注いでゆく。
『くっ、流石に火力は侮れん……だが……!』
なれど敵も然る者。機体に宿る、敵の遠距離砲撃を浴びて爆散した記憶の助けも借り、回避行動を試みる。己のみを狙った砲撃故に完全な回避は叶わぬが、決定的なダメージは巧みに避け。
『私は止まらん……! 我が怒りの炎を以て、ビルシャスの旗を焼き尽くすその時まで……!』
決して足を止めぬ回避機動。その動きの流れを以て、燐華機への距離を詰めてゆく。砲撃支援を主体とする機体に対しては近接戦闘に持ち込むのがセオリー。其はギムレウスに対しても例外ではない。
『っ、速い……!』
無論、燐華とて接近された時の対応は考慮の内。腕部に備えたドラムマシンガンを掃射すると共に、ミサイルを一斉発射。周囲から押し包むかの如き誘導弾が迫り、ばら撒かれる弾幕は前進を抑えるかのように損傷した脚部を狙う。
『ちぃ……っ!』
迎撃行動は予想していたとは言え、常に十全に対応できるものではない。浴びせられる弾丸、そして着弾し爆発を起こすミサイル。堅固なる残骸機の装甲故に、ダメージは軽微に収まったものの。機動は止めざるを得ず。
『次は、私が相手です』
『何っ!?』
そこを好機と見たかの如く。ギムレウスより二回り小さな影が、シーザー機へと肉薄する。白き機動外骨格スーツを纏うメルティ・ヴィーオゥ(Vtype-Destroyer[00]・f38068)。敵が足を止めるその一瞬を好機と見定め、これまで湿地帯の高く茂った草叢の中に身を隠していたのだ。
『これで、決めさせて貰います……!』
驚愕の間隙を突き、メルティは一気に敗残者の王へと肉薄。両腕に構えた大型ハンドガンとスマートライフルとを全力にて連射開始。二つの銃口から徹甲弾頭が次々に吐き出され、傷ついた残骸戦機の脚部装甲、その接続点や傷跡を執拗に貫き、抉り、穿ってゆく。
(――煮えたぎるような憎しみ、怒りを感じます)
攻撃の手を緩めることなく引鉄を引き続けながら、メルティは眼前の機体より発されるオーラを感じる。猛烈なる憎悪の炎。オブリビオンマシンによって増幅されたものではあれど、それが元よりシーザー自身の感情であることは否定できないだろう。
(ですが、それが全てではない)
然し予知は語る。眼前のオブリビオンマシンさえ無ければ、彼はこのような行動に出る人間ではなかった。己や死んでいった戦友達の復讐ではなく、今を生きる人々の平和をこそ選び取る人物であったのだと。
(――ならば、私の力の限りで――)
尚も連射を続ける。装甲に穿たれた傷が広がる。ライフルに内蔵されたAIが、バレルが過熱状態にあると警告を発する。このままいけば、銃身が焼け付くか、もっと悪ければ――
『――っ!!』
片手で爆発。ハンドガンの銃身が焼けつき変形、暴発を起こした。これ以上の攻勢は無理だ。飛び退き、後退を図ろうとするメルティ。
『逃がすものか……!』
だがそれよりシーザーが態勢を立て直すのが速かった。マシンガンとチェーンガンとを構え、メルティへと照準を定める。
(間に合わない……!)
有効射程外への退避より攻撃開始が確実に先。ならば取るべき行動は回避ではない。ユーベルコードが、今まさに攻撃を開始せんとする敵の、その結果を観測する。
引鉄が引かれる。二門の銃砲が、距離を取らんとする外骨格アーマーを撃ち抜かんと弾丸を吐き出――
『ぐわぁっ!?』
その寸前に爆発。廃戦機の腕と肩。シーザーの悲鳴が上がる。二門の銃砲が突如爆発、同時にメルティが銃撃を浴びせていた脚部が耐久限界に達したかその内部構造ごと破断、片足を失った残骸機は湿地に擱座する。
(――このような時間線が、あったのですね)
その様を見届けながら距離を離してゆくメルティ。彼女が発動したユーベルコードは、敵の行動結果を多次元的に観測し、己にとって最も都合の良い時間線へと結果を定めるもの。飽くまでも『観測されたもの』の中からしか選べない為、起こり得ない結果は起こせない。
それは逆説、確率の多寡こそあれど、生まれるべくして生まれた結果の一つであったことを示す。用いたメルティ自身も、起こり得るとは思っていなかった結果。
かのオブリビオンマシンを形作る、幾つものキャバリアの残骸。それらと共に取り込まれた、かつての敗残者達。この結果は、単純に損傷に耐えられなかったが故のことなのか、或いは――彼らもまた、憎しみよりも平和を望む心をこそ抱いていたのか。
(――それは、私ではない誰かが決める事、でしょう)
己の為すは観測であり憶測ではない。得られた結果を胸に離脱するメルティ。其と入れ替わるように、青い重装甲のキャバリアが擱座したオブリビオンマシンへと迫る。響くは甲高いホバー機構の駆動音。重装甲と地上機動力を両立させた量産型キャバリア『ドランギム』だ。
『感謝します。後は私にお任せを』
聞こえてきたのは燐華の声。メルティが交戦していた間に、弾の切れたギムレウスから此方に乗り換えたのだ。
『美味しい処だけ頂くようですが――』
バズーカ砲を構え、最早動けぬ様子の廃戦機へと狙いを定める。コクピットへの直撃弾は避けるように。
『これで、終わりです』
そして発射。放たれた砲弾は、幾つもの残骸からなるキャバリアの四肢と武装とを完全に破壊。以て、戦闘不能に追い込んだ。
●
その後、オブリビオンマシンのコクピットから引きずり出されたシーザーは、神妙な表情で抵抗することなく捕縛された。ウォッグに搭乗していた彼の部下達もまた同様に。
斯くして、平和祈念式典を巡る戦いは、誰一人犠牲を生むことなく終結したのである。
中断されていた式典は、翌日改めて開催。
今度は乱入も無く、式典と其に続く平和条約締結手続きも恙なく完了した。
両国がその蟠りを完全に解くまでには、今暫くの時間が必要となるだろうが――此処に、ビルシャス帝国とカサイン王国の間で長く続いた戦争は終結を迎えたのである。
尚、シーザーに関しては、医者でもある猟兵の一人が診察を行った結果、かのキャバリアの性質に端を発する戦災由来PTSDと、其を原因とする心神喪失状態に陥っていたと認められた。
事件解決の功労者からの嘆願というのもあり、彼は更迭こそ避けられなかったものの、極刑には至らなかった。尤も、己の為した行いへの後悔は、拭い難い様子ではあったが。
そうして、事件の後処理も全て終わってから数日後。
建立された慰霊塔の前にて、祈りを捧げるシーザーの姿が、複数のフィルコネ市民達に目撃されたという――。
成功
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