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姉を待つ人

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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 洋館の1階メインホールにて、雪のような白い髪をふわりとおろした女。
「……お姉さん」
 すごく寂しそうな貌をして、ど真ん中に立って。
「私ね、今日もたくさんのお姉さんに出逢えたの」
 言って見渡すが冷たい有り様。床がひんやりしてて心地良かったんでしょうか、実に夥しい数の女性たちが横たわり。
「みんな素敵なお姉さん」
 誰も彼も生命の鼓動一つ響かせず。
「でも、本当のお姉さんはここにはいなかった」
 階段を上がっても、死体の羅列が海みたいに転がって居る。
「ねえ、お姉さん。私たち、いつになったら、巡り逢えるのかな」
 返る答えも無しに、ただ白の桜が、青の色合いが漂うばかり。
 被害者の一人のポケットから滑り落ちた黒いお手紙をば拾い上げて。
 白の文字列に願い込めて。

 拝啓、この世界にお住まいの皆様。
 私は白桜華。訳あって、姉を探しているものです。
 私はこれまでに、大好きな姉と一緒に様々な事件の解決に携わり、多くの影朧を転生させてきました。とても素敵な姉でした。
 しかし、ある時を境に、姉がいなくなってしまいました。ですから、私は今も姉を探しているのです。
 それで、皆様にお願いしたいことがあります。もし宜しければ、皆様の家族…姉に関することを、教えていただきたいのです。

 あなた自身が姉であるなら、もっと良い。

 その為のご歓談の場を、用意させていただきました。帝都のちょっと外れくらいのところにあります洋館『乾ノ館』に集まりましたら、玄関の荷物置き場に荷物を置きまして、1階のメインホールにてお待ちください。そこで御食事に茶や酒を用意させていただきますし、男湯や女湯もあります。階段を上がりましたら、宿泊可能な部屋もきちんとありますので、是非とも楽しんでいただけると幸いです。
 勿論この招待状は、あらゆるお仕事……帝都桜學府に属する方や、世界各地で探偵を営むような方、そしてスタアの方にも、風に乗せてお届けしたいと思います。

 親愛なるお姉さん。
 皆様のお話を聞かせてくれること、楽しみにお待ちしています。

「ここに招待状の最後の一通があります」
 グリモアベースの片隅。
「これを破るとあら不思議」
 力強く、容赦無く響く音。初めに真っ二つ、次いで八つ裂き、最後には粉々に。
「548名を死に至らしめるパーティーが破綻と相成りました!」
 声の主は東・よるは。
 塵と化した招待状を空に放っては、
「めでたしめでたし!」
 明るく楽しくガチギレして候。

「……少しは休ませて欲しいんですがね?」
 退かぬ猟兵たちを見て肩をぐるり。関節からパキリと音が鳴る辺り相当苦労したらしい。
「白桜華と呼ばれた人がサクラミラージュ中にこれをばら撒いてくれたおかげで桜學府はたいっへん大騒ぎでした。これら招待状を無くす為、そして受け取った方への説得の為に世界中を駆けずり回らねばならなかった!」
 一息に吐いては次に息を吸い込み。間髪入れず続く使命の説明。
「おかげさまでパーティーの主を潰s……ああ潰してはダメなのでした、転生させることが出来ます。わたくしたち猟兵の手で。ええ、猟兵じゃないとダメなんです」
 その為にどう振る舞うべきか。
「キーワードを覚えてくださいね。姉です――この殺人事件を終わらせる為には探偵として振る舞うのがセオリーなのでしょうが」
 つまりはこうあれと言うべきか。
「この場合は、|探偵《あね》として振る舞うのが良いでしょうね」
 姉。どんな姉を思い浮かべるか。猟兵にとっての姉とは何か。
「ああ、男性であるならば女装でも全然大丈夫です。我こそは姉だ、と言ってしまうだけでも通ります」
 それをただ、聞かせるのがいいか。そう思っていたら。
「そして第二に。パーティーが終わり次第一度そこで死になさい」
 次から次へととんでもねえ言葉。躊躇無く連ねる言葉、それは。
「ええ大丈夫、形だけ死ねばいいのです。どんな手を使っても構いません、どんな罠にかかっても構いません」
 それが犯人を誘き出す最も有効な手段ですとはよるはの言。
「本来はサスペンスドラマの真似事をしている場合ではないのでしょうけど」
 あの影朧の過去は、今の所業は。
「今はどうか、姉になってくださいね」
 桜の世まで幾千里。左手くるり、紫のミニグリモアキューブが煌めいたら。
「旅は道連れ……さあどうぞ!」


川内主将
 お世話になっております。
 この度はアルカディア争奪戦お疲れ様でした。そろそろ通常運転で動いていきます。
 全3章でプレイングボーナスが存在し、第1章で姉として振る舞い洋館にお邪魔し、第2章で死んだふりをし、第3章で妹影朧と戦い、転生させるのが目的となります。特に第1章では、あなたの思う『姉に関する行動・身なり』をすることでプレイングボーナスを得ることが出来ます。勿論探偵っぽいことをしてもOKですが、推理要素はかなり緩めなのでそこだけご了承ください。みんなで姉にならないか?
 洋館『乾ノ館』は1階は玄関から廊下を通ると、メインホールや調理場、広いお風呂(男湯・女湯)、書物のお部屋などに行けたりして、2Fからは和室で泊まれるお部屋もあります。それ以外にもプレイングで指定した物やお部屋が登場すると思います。
 本シナリオでは明確に提出期限を設けますので、詳しくはマスターページやシナリオタグを確認してください。
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第1章 日常 『人里離れた館にて、幽世の如き夜を』

POW   :    語り明かそう。キミと、朝まで。

SPD   :    舌へ、喉へ、その心へ。香茶と酒精を心行くまで。

WIZ   :    散るがゆえに。藍夜に舞う桜を瞳に映して。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 もし導かれましたならば。
 眼前に広がる、洋館の古き良き雰囲気を感じることが出来るでしょう。
 看板には、『|乾ノ館《いぬいのやかた》』の文字。
 入口に入り、招待状の通りに荷物など置いて、廊下を進んでいくと……。
 メインホールにはたくさんのテーブルに席。
 色々な種のお茶やお酒が並び、数々の美味なる料理が卓の数々に並んでいて、まあ華やかだこと。
 おや、先客までいらっしゃる。
「あら、あなたたちもここに来たんですか?」
 黒の着物に黒い髪の、大人しめで背の小さな女性。
「私も誘われて……一人なんです。だから、ちょっと心細くて」
 ここに居ることそのものが自然であるかのようだ。
 さて、何から始めようか。この女子とお話をするならば、それに彼女も答えてくれるだろうが。

 姉であればある程に、宜しいもんだ。
鏡宮・ノエル
大変だった…僕も同僚もあっちこっち回った…。事情を話して、説得して、回収して…。
だからさ…少しだけ味わってくつろいでもいいよね!

とはいえ、マナーはきっちりと。『今は』何も起きてないし、礼儀は尽くさないとね。
僕が考える『姉』は、そういうのはきっちりするから。

先客の彼女に声をかけよう。そう、ぼ…私も誘われた、と。
心細いのなら、私と一緒に過ごす?
料理も行儀よく。ハンバーグを黙って一口サイズに切ってから食べる。
そうして、口の中に物がなくなってから感想をのべる。これはデミグラスソースかな。その酸味がまた、おにくの美味しさを引き立てる…とかね。

ん?服装?いつもこうだよ?



 よく圖書館にいる|少年《あね》ですら疲れ果てていたんです。
「大変だった…僕も同僚もあっちこっち回った…」
 鏡宮・ノエル。帝都桜學府の務めを果たさんと、事情を話して、説得して、回収して…。
 その果てに行き着いたのがここ乾ノ館だ、終わらせるべき殺人事件を終わらせてこそ、全てが丸く収まるというもの。
 だけど、折角のパーティーだ。彼は考えた。何しろすごく疲れていらっしゃって。
「だからさ…少しだけ味わってくつろいでもいいよね!」
 そうと決まれば早速ご入館です。荷物を置き場に置きまして。

 彼にとっての『姉』。
 今日の御召し物は何ですか、着物と袴というスタイルにて、和の桜學府制服が自分に似合うと来た。認識錯誤の術式なんぞなくとも側から見ればお前は十分美少女よ。
「ぼ……私も、誘われたよ」
「まあ、そうなんですね。もし、」
 もしよかったら、の言葉の先に先回りして。
「心細いのなら、私と一緒に過ごす?」
「い、良いんですか!? ありがとうございます…!」
 そろそろお腹が空く頃だろう、2人して席に着いて。
 お食事の所作を、そしてパーティーでの振る舞いをこそ上手とせよと先達はよく宣うものだ。
 実際、席に着いた時もその前も彼は『姉』であった。それ程までに洗練された行儀。時と場所を弁えた佇まい。
 ノエルの目の前、本日のメインディッシュはハンバーグです。
 さあ、右手にナイフを、左手にフォークを。スッと入れていく聖なる刃がハンバーグを一口サイズにしていくまでの動作一つ一つ――

 礼儀を尽くしてこその『姉』なのだと知るが良い。
 本当にあなた神族の一柱ですかと聞いてしまいたくなるくらいの丁寧さ。

 美味しそうな箱、フォークで丁寧に刺してお口に運び。もぐ、もぐ。最後まで姉の体裁を保ち続けながら味わう『食の宝石箱』の感想をば此処へ、一口を最後まで味わってから。
「……これは、デミグラスソース、かな」
 咀嚼と同時に舌に口内に流れ出すジューシーな肉汁の濃厚さも記憶して。
 ソースと絡み合うことで成される、ワンダフルなハーモニー。
「その酸味がまた、おにくの美味しさを引き立てる…」
 とかね。紡ぐ言葉がまるで食レポ。その御姿も相まって、
「……すごく、丁寧ですね。私から見ても、とても綺麗で……」
 あ、ありがとう…とはノエルの言。性別を間違われ綺麗と言われ、ちょっと照れてしまうものだが不本意など心の片隅に吹き飛ばせ。
 ――その服装は、今日の日に用意したものなんですか?
 ――ん?服装?いつもこうだよ?
 最後まで礼儀を崩さずに、お食事も続いて、お話さえも続いて。
「……それが、あなたにとっての『姉』なんですね」
 その礼儀に充てられて、女子の口よりつい零れた言葉の端。

 『今は』まだ、何も起きちゃいない。

成功 🔵​🔵​🔴​

八坂・詩織
サクラミラージュは一度来てみたかったんですよね。
学生時代よく着ていた、白地に紅い椿柄の着物に緑の袴、ブーツの大正ロマンスタイルで。

(私は生憎と一人っ子ですが…いえ、拾われた身ですから本当のところは分かりませんね。妹か弟がいた可能性も…)
何にせよ今日は姉として。

先客…?招待状は全て破棄したはずでは?
手違いか、それとも…
内心の疑問は秘め愛想よく。
初めまして、女学院で教師をしている八坂詩織といいます。お名前を伺っても?
あなたもお姉さんなんですか?
私も妹がいるんです…つい最近結婚しましたが。ええ先を越されてしまいまして…
妹代わりに学生時代の後輩を思い浮かべつつ。嘘に真実を混ぜ込むのは常套手段でしょう?



 この世界に来ることは彼女にとっての憧れであり。
「サクラミラージュは一度来てみたかったんですよね」
 ここに訪れ事件を解決することもまた八坂・詩織の使命。銀の雨の世より来たりて、白地の着物、紅の椿を描いたその柄の隅々に至るまで美しく、緑の袴にブーツまで履き込んで、正に大正そのものを身に纏ったかのようだ。
(私は生憎と一人っ子ですが…いえ、拾われた身ですから本当のところは分かりませんね。妹か弟がいた可能性も…)
 揺れる思考はその生い立ち故か。考え事の迷路もそこそこに。
「何にせよ、今日は姉として」
 ロマンスが服を着て歩くが如く、|教師《あね》が参る。

 パーティー会場はやはり豪華絢爛、テーブルの隅々に素敵な品が並んでいるのは他の猟兵の目にも映った通り。
 否しかし、違和感がそこに居る。
(先客…? 招待状は全て破棄したはずでは?)
 黒の着物に黒髪の女子。ここに居ることが自然だからこそのミスマッチ。招待されたのだと彼女は話していた。だがグリモア猟兵の話を思い出せ。招待状は今や全て梨の礫、猟兵の範疇に無い桜學府の同志も、ましてや探偵も動いちゃいない。だって行くなと説得されていたらしいし。
 全てはとうに破綻した。取りこぼした例があるのだとしたらそれはまさにレアケース。
 気付けば、愛想を心に混ぜ込んでご挨拶。
「初めまして、女学院で教師をしている八坂詩織といいます。お名前を伺っても?」
 先客が挨拶に穏やかに返し、名を名乗る様を見る。
「私は、白波壱子です。私もここに誘われたんです」
 ああ、『姉』は真実を見つけるのがとてもお上手だ。
 この人、偽名を名乗ってやがる。
 手違いは真に。瞳はゆるり。
「あなたもお姉さんなんですか?」
 余裕を持って振る舞い発する質問が。
「あ、えっと…まあ、そんなところです」
 かの先客の調子を僅かに狂わせて。ああ、僅かで良い。
「ここに誘われているのは、お姉さんみたいですね。私と同じように、妹がいる、そんな人たち」
「……妹、ですか」
 妹の形に当て嵌めしは誰ぞ――学生時代の後輩であったあの人の影を重ねるようだった。後輩はそれはそれはとても――思い出してにこりと笑む月光の魔女。
「私も妹がいるんです…つい最近結婚しましたが」
「まあ、そうなんですね! 詩織さんは、まだご結婚は……」
「ええ。先を越されてしまいまして…。でも、その妹は、私から見ても、すごく幸せそうでした」
 勿論今も、幸せに暮らしていますよ――上手く繋がって、なんとまあ。
 実像がどうだったかなんて、今は置いておくのがいいのだ。だって後輩なのだし。
 それを幸せの形の一つと受け取って、壱子と『名乗りし』目の前の先客が微笑むばかり。
 さあ、2人一緒にお食事と洒落込もうか。話はより深まりそうだ……嘘と真実の|常套手段《ハーモニー》にて。

成功 🔵​🔵​🔴​

フール・アルアリア
・セーラー服、髪型はハーフアップお団子
・赤インクのペイントボールをお団子に仕込む

ご招待されてないけどね!お兄ちゃんだし。こっからの僕は三姉妹の姉にして妹、だよ!

こんにちわ、お嬢さん。貴女もご招待されたの?私も。本当は姉も一緒に来る予定だったんだけど、都合が悪くなっちゃって。

私、真ん中なの。上にひとり、下にひとり。姉は遠くまで働きに出ていて会えずに寂しいんだ。会えない姉妹が居るって寂しいよね。

…なんて親近感を抱かせつつ「妹の為に強くなろうとする姉」をアピール。

でも、私には妹がいる。私が妹の傍に居て守ってあげなきゃ。此処にはいろんな人からお話を聞いて強くなる為に来たの。良ければ貴女の話も聞かせて?



 運命の糸が次なる姉を引き寄せたかのようだ。
「こんにちわ、お嬢さん。貴女もご招待されたの? 私も」
 ハーフアップとお団子の親和性の高さを髪に梳かして、素敵なセーラー服を着込んだ出で立ちがまるで太陽、別世界ではこれをJKと呼ぶらしい。手を挙げた先が例の先客。
「本当は姉も一緒に来る予定だったんだけど、都合が悪くなっちゃって」
 おや、姉とはいっても一番上のそれではないようだ。
「あなたもお姉さんなんですか?」
 そう問う女子の姿は、何かを考え見つめるかのよう。着飾った姉に隠した『妹』が筒抜けだったならば。
「私、真ん中なの。上にひとり、下にひとり」
 答えてみせようバックグラウンド。離れ離れの寂しさに悩むような表情を見せてやれ。
「姉は遠くまで働きに出ていて会えずに寂しいんだ」
 その離れ離れなストーリーがキーなんだ、黒髪の先客が驚いたような顔をしていらっしゃって。
「でも、私には妹がいる。私が妹の傍に居て守ってあげなきゃ」
 姉と妹が一緒に在る。No.0が思い描く姉の在り方。
「……あなたがここに来たのは、妹の為に強くなりたいから、なんですね」
 そう言われて華の|学生《あね》曰く。
「うん、そうだよ。此処にはいろんな人からお話を聞いて強くなる為に来たの」
 ああ、思考が回る、今目の前に居るこの女の子さんは、どんな姉であるのか、
「ねえ。良ければ、あなたのお話も聞かせて?」
 どんな姉でいたいのか、
「はい、私はその、妹が居て、」
 否――
「妹が、居て?」
 どんな姉を、探し集めているのか。
「その……」
 そこから訪れる沈黙。ホールを照らす灯りが誠に綺麗ですね。
「もしかして、貴女も私と同じ真ん中? それとも、」
 聞きたいことを聞いてしまおう。アピールは綺麗に決まったのだ。
「末っ子か、2人姉妹の妹?」
 刻さえも止めてしまうかのようなサプライズムーヴ。
「……はい。事情があって、逸れてしまって、今は会えてないんです」
 これには先客も白状するしかなし。でも、妹の為に強くなれる姉は。
「……そうなんだ。会えない姉妹がいるって、寂しいよね」
 しんみり空気。JKと先客が会えない姉を想うの図。
「きっとね、…って、こういう言い方は、少し無責任な気もするけれど」
 ふふっ、なんて苦笑いしながら華のJKが紡ぐのだ。
「あなたも色んな人の、色んなお姉さんのお話が聞けたら……私がそうしたいように、きっと強くなれる、そう思うんだ」
「ありがとうございます」
 2人、座る。そんなパーティーのワンシーン。
(まあ、ご招待されてないけどね!)
 先客にも見えない角度、申し訳なさそうに唇の端を緩めて笑うお前は猟兵。
 |気紛れ気分屋No.0《フール・アルアリア》が参ります、|お兄ちゃん《お姉ちゃん》らしい悪戯心を宿して。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・アストロロジー
先入観は捨てて。
手紙を受け取った一人の姉として応えます。

白桜華さんは……出かけているのでしょうか?
先客さんと待ちながら、ここに来た理由など話題にお喋り。

わたしはあまりできの良いお姉さんではなくて、妹たちにそれは苦労をかけてしまいました。
でも、白桜華さんのお手紙を見て、寂しいのかなと思ったら何だか放っておけなかったんです。

わたしがあの子たちにしてあげられることはもう、あまり無いのですけど。
いつかまた会えた時には、『私たちが生まれたこの世界は、とても美しかったよ』って、胸を張ってお話してあげたいと思っているんですよ。

そうだ。
後で調理場を借りて、何か手料理でも。
白桜華さんは何がお好きなのでしょうね。



|Oh c’mon, “M2-Astrology” is working in progress《さあ征こう、先入観を排した一人の姉として》.
「…あら?」
 ふる、ふる。視界をあっちこっち。
 星降るようなフラスコチャイルドの女の子、リア・アストロロジーの姿を先客が認めるに至った。
「おや、どうしました? 何か、探し物ですか?」
「いえ……ただ、その、聞きたいことがあって」
 感情が上手く出ないのは、過去に彼女が道具そのものであったからか。脳裏で軋む|記憶《メモリー》、大人びた一般的知識が遠回り。
「白桜華さんは……出かけているのでしょうか?」
 敢えてそう聞いたんだ、微かに答えに詰まる様子を先客が見せたけれど。
「そう、ですね……ここには、いらっしゃらないみたいです」
 何より理由が無きゃ、始まらないから。
「この招待に応じた理由を、聞いてみても?」
「……はい。私はあまりできの良いお姉さんではなくて、妹たちにそれは苦労をかけてしまいました」
 No.2。苦労どころの話でない、実際には同型の|Series《しまい》たちは原因不明の不具合にて死亡が確認されていた。
 随一の悲劇にして唯一の奇跡。
「でも」
 受け入れてくれる育ての親の存在が。
「白桜華さんのお手紙を見て、寂しいのかなと思ったら何だか放っておけなかったんです」
 ここまでの成長性を実現したのだよ。実に。
「わたしがあの子たちにしてあげられることはもう、あまり無いのですけど」
 ポンコツになったって構わないとさえ思えるかも知れない。
「いつかまた会えた時には、『私たちが生まれたこの世界は、とても美しかったよ』って、」
 胸を張ってお話してあげたいと思っているんですよ――ええ、どうぞ吐露してくれ。
 ほら、かの白波姓を名乗る黒髪の女子も、それを肯定してくれている。
「……はい。ここも、この世界もとても美しいですから」
 悲しき笑みで。
「いつか会えた時に、是非この旅館のことも、伝えてあげてください」
 ノスタルジックな色彩がそこに在る。
「そうだ。後で調理場を借りて、何か手料理でも、作ってあげたいですね」
 勿論、華さんにも、あなたにも。そう付け加え。
 先客が何と言葉をかけようか迷う内に、やがて調理場に。

 悩む。悩む。
 白桜華さんは何がお好きなのでしょうね。
 
 ――そうだ、あれにしてみましょうか。
 創ってしまえばいいんだ。どこぞのクロムキャバリアで見かけたデカブツよりも、もっと素敵で美味しい鯛焼きをば。
 餡子は、漉し餡がいいでしょうか、なんて悩んで。
 調理場なんぞ幾ら借りてもいいのだよ。
 ディナーは創ることさえディナーなのだから。

 響く、響く。
 歌が響く。
 Ci Vuole un Fiore:美しいものを世界に望む音。
 悉く、先客の悲しき笑みをほのぼのにまでこじ開けて。

 ことん。
 先客の席と空いた席に用意されたそれぞれの皿に、鯛焼きが載りまして。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレア・フォースフェンサー
この者の姉はもうこの世にはおらぬのじゃろうな
その未練を断ち切り、来世へと転生させる――

分からぬ話ではないが
その相手が五百を超える殺戮を犯す輩となると
ちと疑問が残るのう

桜學府や探偵にまで招待状を送っておるが
ただ情報が欲しいのか、挑発しておるのか
はたまた自身を止めてほしいのか
まぁ、会ってみねば分からぬか

桜學府の軍服を纏いて入館しよう

わしに姉や妹がいるか
職業柄、それらを明かすことはできぬが(未設定)
これまでに出会った者達のことなら話せよう

妹のために自身を犠牲にした暴君から
自身のために妹を生贄に捧げた聖者まで

桜學府の猟兵
この明確な敵にどう接してくるのか分からぬが
それまでは飯や湯を楽しませてもらおうかの



 誠に多彩で聡明な“あね”であった。
「この者の姉はもうこの世にはおらぬのじゃろうな」
 考えてもみろ、その未練を断ち切り、来世へと転生させる――通説ならばそれが為すべき使命だ、どれだけ難しくても変わらぬよ。
「分からぬ話ではないが」
 ではかのグリモア猟兵が見た未来で白桜華がどれだけやらかした。
「……ちと疑問が残るのう」
 快楽殺人者? 一般を騙る情報屋? 挑発の有無は?
 桜學府や探偵の下にまで届いた封筒の意義は。
 ぐる、ぐる、永年が廻る、光剣使いが辿り着いた行き先。
「まぁ、会ってみねば分からぬか」
 止めて欲しいという動機を|選択肢《かたすみ》に思い浮かべた――

 門戸を開けて、クレア・フォースフェンサー。
「あら、また新しく呼ばれた人かし、ら」
 ――桜學府の立派な軍服の出立ちにて居る《All access granted by the pass.》。
 それを許す証、かのエージェントから貰い受けたか。止まる華の心の刻。真正面よりお邪魔しますよ超弩級戦力が。
「わしは、桜學府の猟兵の身分を持つものだ」
 だが黒髪の先客、拒絶するわけでもなく、苦々しい顔を浮かべるでもなく。
「あなたは、どんな姉なのですか」
 どんな妹がいるのですか。または、何方でもないのでしょうか?
 答えなんぞただ一つだった。
「わしに姉や妹がいるか。職業柄、それらを明かすことはできぬが……」
 凛とした表情が、流れる金の髪が、黄金をそこに遺したかのような眼差しが。
「これまでに出会った者達のことなら話せよう」
 驚かせてみせたぞ先客の止まった心を。なんと空白めいたことか。
 |形式《かたち》無き秘密の|猟兵《あね》こそがお前の選択だとは!
 「妹のために自身を犠牲にした暴君から、自身のために妹を生贄に捧げた聖者まで」
 存分に語らうが良い、これは修練の果てを超えた思い出話だ、一度迎えた寿命より始まりし猟兵カラー。誰を思い浮かべ誰のことを話そう、記憶のままに、名前は明かさずとも、脳裏より出でて記憶へと還っていく、刻が繋ぐメモリー。
「ええ、話してください、もっと聞いてみたい!」
 話していく内に分かるんだ、どんな形の姉があったっていい。|友達《あね》? |過去《あね》? 否どれでもだ、つまりここで分かったのは、みんなの姉のお話が聞いてみたかったんだ、この先客は! どんな姉がいるか、どんな風の記憶を繋いできたか、それさえも知って識って――
「……私は、探して、伝えてみたかったんです」
 気の済むまでに語らったなら呟かれるでしょう、|独り言《どうき》が。
「この世で精一杯生きているお姉さんたちのお話を」
 私の、もう逢えないお姉さんに。
「……そうか」
 |事件解決にはまだ早い《What do you think about that?》。
「逢えないと自覚する度に自分の中で何かがすごく苦しくて」
 居たくて痛い、幻朧桜に呼び寄せられてしまった骸の宿命。
「苦しくて、もうダメなんです」
 目を閉じた凪の中。
(……その結果が、500通以上にも及んだ招待状というわけか)
 ただクレアが考えて居た。

 ところで。
 そろそろご飯は如何ですか。女湯までもが、待ちぼうけ。
「……まだ、パーティーは終わっていないですから」
「うむ」
「せめて今は、ご飯も、湯も。“楽しんでくださいね”」
「ああ。楽しませてもらおうかの」
 互いに背が向いて。閑話休題。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『待ち人、まだ来ず』

POW   :    辛抱強く待つ

SPD   :    時計に視線が行ったりと時間が気になる

WIZ   :    本を読んだり、時間を潰して待つ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 あらん限りの、あねのお話。

 完成した模範の礼儀を見た。
 味わうべきものは、思いっきり味わってもいい。ただ、きっちりと|現在《マナー》を尽くさねば何事も成らない。
 可能性を探した果ての幻惑を見た。
 嘘と真が混ざり合って、|幸せを掴みし家族《学生時代の後輩》の幻想を信じ込んでしまった。
 未来へと向かう思いを見た。
 会えない姉妹が『彼女』にも居た、いつも居てくれる妹さえも慮らん程の護る意志。
 お人好しにも似た生き様を見た。
 家族に苦労をかけてしまいながら、それでもその眼で見た景色を伝えたかった、その果てに手料理まで創った。
 伝えたい。
 本当のお姉さんに、伝えたい。
 だから書いたというんです、|548通《あれら》を。
「…でも、叶わない」
 ただ足りないと憂慮出来るのならもう少し殺人犯らしくあれたかも分からない。
 いかんせん早いものなのだよ。超弩級戦力が明確に関わった。
 これは世界を変える|探偵《あね》騒ぎ。過ぎる5人目の姿。
 あまりにも完成されたスタイルを見た。
 そこにあるものをただ明確にして、記憶より出会いの話を紡いで見せた。
 私の姉探しが終わってしまう。
 ああ、でも、それでもいい。
 それが、いい、のだと思う。
 思う、思うんです。
 ただ、もう少しだけ、もう少しだけ。
 続けさせては、貰えませんか。
 パーティーも終わり。湯を楽しんだ姉たちも、それぞれの行動をしていることだろう。日常の終焉。
 どうか、どうか。
 そう願う先客。すっく。席を立つ。
 手に、鯛焼きをば2つ。美味しく、ぱくり。
 うん、美味しい。

 ちっく たっく 時計の音。
 何事も無く夜が過ぎて 真夜中を過ぎて。
 丑三つ時さえも 素通りで。
 待てど暮らせど 何にも無し。
 |ああ姉よ、君を泣く、《Oh shit, too late,》
「……ねえ、お姉さんたち」
 |君死にたまふことなかれ。《Please find me, sister.》
「どうか、止まってくれませんか」
 着ていた着物の袖から、白い桜が溢れ出して。蒼の色合いに載って、風が運んで。
 ゆるりゆるり。終わりで洋館を満たしてく。
「そして、願わくば、」
 大きく息を吸ったのさ、姉を待つ|妹《バカ》が、
 ――|どうか私を止めてくれませんか、姉さん?《Please find me, everyone.》

・Tips
 先客は午前4時を目処に悲鳴を上げ、第一被害者よろしくぶっ倒れるものであります。
 先客の素肌にはひとひら、白い桜の花弁があります。白桜華のユーベルコードでして、触れただけで意識を掻っ攫う代物です。
 もしあなたが特に死に方を考えていないならば、🌸のマークをプレイングに付けていただけると、なんかいい感じに白い桜の花弁が死んだ振りを手伝ってくれるでしょう。
 それ以外で死に方をお任せで考えて欲しいならば💡のマークを。なんか面白い感じの、やってみます。
 それ以外にもいい感じの死に方を思いつきましたならば、プレイングに書いていただければ、不可能なもの以外はほぼ実現します。
 ただ、痛みや苦しみを和らげる技能やユーベルコードなどありましたら、より楽に死んだ振りが叶うかも知れません。
 ではどうぞ演出してみせて、殺人事件の有り様を。
鏡宮・ノエル
🌸
クローカ、ヴァーイ、ブレック。影でおとなしくしててね。
さて、死んだふり、だったね?…どうしよう、何も考えてなかった。
でも、必要ならばしなきゃね。それが…『姉』たるもののやることみたいだし?

とはいえ、なるべく痛みは軽減したいから…そういうことにかけて【神の手】は使おう。
この『卵形の宝石』の数は多いし、神力も充分に溜まってるから、いい感じに軽減して死んだふりができるはず…!
偽装が必要だったら、拝借したトマトケチャップで血糊みたくしてみよう。

失敗しても、まあ…痛いだけなら我慢はできるかな…。
最後に起き上がれば、いいんだしね!



 Clock, clock.
「クローカ、ヴァーイ、ブレック。影でおとなしくしててね」
 誰が何を宥め行く、ノエルが可愛らしい動物共を手懐けておられる。
 鴉、狼、蛸。全てがノエルの元へといつでも参る絆の強固さ加減。
 調子は十分だと認めてリラックスをすることには…さて、死んだふり、だったね? なんて分かっていたかのように探偵らしく呟いてはみるのだけど。
「…どうしよう、何も考えてなかった」
 |や、これはいかなこと《》。必要ならばお前は神の手をも借りることができる素晴らしき『あね』なのだ。
「でも。それが…『姉』たるもののやることみたいだし?」
 そうしなきゃね、と勤しむのが良い。一時の“死”こそ唯一の近道。だが気を付けろ、死には相応の対策が要る。後に振る舞うべき慰めの為に痛みをば吹き飛ばすべし。
(とりあえず、そういうことにかけて【神の手】は使おう)
 何がそれを可能にするか、答えこそが卵形の宝石。元は目眩しの為の物なのに、神の片鱗を含むからやべえんだ。111 or eleven、どちらにせよ施しは足りる。
 うんうん、そうだよねなんて、全てがお前の思い通り。
「…必要なら、これも使おうかな?」
 トマトケチャップをもフレーバーとせよ、自分のお部屋から廊下を出でるお前はまさに不死の被害者に相応しい!
 埒外に立てるお姉ちゃん、礼儀正しき姉の末路!
「……もし失敗しても、痛いだけなら我慢は出来るかな」
 そっと呟くが如く。
 Tick,
 Tock.
 がしゃん、きゃーっ。
「……来た」
 ふわり、さわさわ、びゅーっ。
 ひとひら舞う、桜の花弁。
「見えざる手、とか――うあああっ!?」
 いかんせん風が強すぎる。
 吹き抜ける死への|招待状《storm》。
 ああ、圖書館に御坐す猟兵様が、|現在《いしき》を奪われて。
 白の嵐過ぎ去りて、ぱたり、すうっ。
 最期の息の、通う音。

「……後で、あの人に、会わなきゃね」
|桜舞う世過ぎ去りて神の子かく語りき《How much the power did you use?》。
 ギリギリ足りたよ、お前の望み。
「……やっぱりこれも、使っておこう」
 申し訳程度の惨劇塗り塗り。
 側にひとひら、白の桜ひらひらり。

成功 🔵​🔵​🔴​

八坂・詩織
🌸
書斎にて。
指定UCで書き綴るはこの世界を支配する数式の数々。
運動方程式ma=Fからアインシュタイン方程式まで。

白波壱子は偽名、あの人がおそらく白桜華…姉たちを集めた動機も分かった、でも…やっぱり分からないんですよね。
何故集めた姉たちを殺さないといけないのか…本当のお姉さんはいないから?

…まあ、会いたくて会いたくてでも会えない苦しさは私もよく分かる…
かつての天文部の仲間達、今どうしているんだろう。今が楽しくないわけじゃないけど、時々あの頃の仲間に会いたくてたまらなくなる。

さて、どのように殺してくれるんでしょうね?死ぬなら美しく死にたいものですが。謎めいたダイイング・メッセージの一つも残して。



 Read, read.
「白波壱子は偽名、あの人がおそらく白桜華…」
 数多の本集いし書斎にて、蝋燭の灯揺れる今日。
 黒板を彩りしは数多の数式。
 From ma=F to Einstein――|世界《ほし》に手を伸ばす方程式。
「姉たちを集めた動機も分かった、でも…」
 Write, write.
 躓いてしまう謎のパズル。
「やっぱり分からないんですよね」
 何故姉でなくてはならなかったのか。
 何故あれ程までの数の紙が要るのか。
 そして何故、人探しでなく殺人事件だったのか。
 闇雲だと考えることなど出来やしない。
「……もしかして」
 Tie, and connect――繋げ、繋げ。
「本当のお姉さんは既に亡くなっていて」
 |点《ほし》と|点《ほし》に|線《はし》をかけたらそれは星座。
「この世界に住まう姉のお話を聞いて、聞かせてあげたくて」
 書く、結ぶ、垣間見る。
「だから出来るだけ多くを“繋ぎ止めて”、本当のお姉さんに見つけてもらいたかった?」
 大き過ぎる目印。大きければ大きい程見つけてもらいやすい。
 そして、そんなことをやってしまうくらいには、
「…逢えなくて、寂しすぎた」
 無限の宇宙。底無しで、朧げで切ない悪意の暴走。
 書き留めた、書き殴った。黒板の緑色が今や隙間も無え。
「…まあ、」
 よくわかる。理解出来るのだよ悲しみを、会いたくて会いたくてでも会えないもの。ふうっ、一息吐いて右手が降りる。
(かつての天文部の仲間達、今どうしているんだろう)
 銀の雨の世の片隅に在るのだろうか、巡り逢えない運命の直線上。
 楽しくない訳じゃないけれど、なんて。証明未完成。その世に流れ着いていた2人との縁を護らねばと、今更になって再認識するしかないんだ。
 ひゅう、ゆるり。
 風の予感がしていたんです。
「さて、どのように殺してくれるんでしょうね?」
 もう数式は飽きる程書き上げた。期待宿る表情の妖しさ加減。
「死ぬなら美しく死にたいものですが!」
 両手を広げた刹那――書斎のドアが勝手にバタン、

 疾り抜けたのだ、暴風が。白い桜の花弁をたくさん伴って。
 蒼滲む悲劇の視界。ゆらり、くらり、顔を覆う暇も無しで。
 ――宇宙に手を伸ばすかの如く 音も無く沈むばかり。

 ひらり、花弁一枚側にほら。チョークはまだ手放さないで。
「……ふふ」
 ヨハネス・ケプラーもびっくりするくらいの|法則《メッセージ》を。
 From Einstein to the dark blue.

成功 🔵​🔵​🔴​

フール・アルアリア
引き続きハーフアップお団子に赤のペイント弾を仕込み、うさみみフードの寝間着の中にUCのウミサソリ隠しつつ。

襲ってくるかと思ってた先客がまずの犠牲になっちゃった?ってことでいいのかな。現場検証は他の人に任せて僕はひとり部屋に。だってそうしたら狙いやすいでしょう?

バルコニーに腰かけて待ち人が来るのを待とうかな。来ないようならはらり舞い落ちる桜の花に触れて意識を失くすまま、手すりから身を投げる。落下耐性があるしね。

お空綺麗だなーなんて思いながら、まずお団子に仕込んだペイント弾が破裂すると思うから。ほら、そうしたら落下死体の出来上がり。まあ無傷では済まなかったときはウミサソリに治癒してもらお。



 残響失せし頃の|うさぎさん《アルアリア》。
 考えてもみろ、襲ってくるかと思ってた先客がまずの犠牲になっちゃった? なんてどんなどんでん返しなのだか、
「ってことでいいのかな」
 |お姉ちゃん《お兄ちゃん》が先客の側を離れるだけだ。全ては他の|猟兵《あね》任せ。何が証拠なのかさえ考え無くても良い。
(だってそうしたら狙いやすいでしょう?)
 全てNo.0の思い通り。無関心に歩くのみか? 答えはNoだ。
 Walk, walk.
 すれ違う――駆け抜ける音一分人――遅れて向かう者一名様――
 ただ一人来たる、上階のバルコニー。外の雪景色を望める部屋。
「さあ、待ち人は来るのかな? それとも」
 手摺に座りましてtick tock, 待ち人来たらずさわりありとはよく言ったもんだ、少し後ろを見てみるその雪舞う桜の世界が、趣を伴っていつでもそこにある。
 来なくても、機運はこちらから呼び込めばいいんだと。
「……来ないなあ」
 御神籤を見るだけなら凶運かも知れないが。うーんと唸ってみる今日。
「……ちょっと圭ちゃん補充する……」
 隠していたな、秘密の掌サイズ。UCで召喚せし広翼類――かの宇宙帰りの義弟を脳裏に垣間見よ。ピンクのシュシュを施した尻尾、針に気をつけてお撫でください、蟲使いの埒外を象ったそれが、もししくじったのだとしても。
 否、側に居てくれるだけで。
「…あ、桜の花弁だ」
 あまりに白すぎた桜。
 ふわり、ぐらり、Gravity.
(お空、綺麗だなー)
 頭から――|墜落《Done》。
 潰れゆくのは頭じゃねえペイント弾だ、広い広い雪化粧、大きな紅い花が咲きまして。
 解けた黒髪。ピンクのメッシュがお似合いで。
 寝間着なんぞはフードも外れて、上の部分が血で汚れていらして。
 ぼうっとぼやかしたピンクの瞳。側から見ればやはりお姉ちゃん。
 不運にも桜の花に魅入られてしまった、三姉妹の真ん中さん。
 逢えぬまま、雪だけがしんと降っていらっしゃる――

「なーんてね」
 口だけを達者にしておけば万事OK。やはり全てお前の掌の上。
 圭ちゃんと呼んだそのウミサソリ、ただただ側にいてくれるだけだと知れ――、
 あ、ひっくり返りましたね。
「圭ちゃんには内緒だよ?」
 形だけ好奇心に身を滅ぼされた男。

成功 🔵​🔵​🔴​

草柳・華穂(サポート)
草柳・華穂(くさやなぎ・かほ)、ウサギ等動物の能力を移植された強化改造人間。
悪の秘密結社から脳改造寸前で脱出し復讐のため戦っていたわ。
悪い奴らに容赦は要らない、特に邪神とか邪教団とか手加減をする理由がないわね
まあ、容赦しなさ過ぎてダークヒーロー扱いになったんだけどね、後悔は無いわ

戦闘では蹴り技を主体とした戦い方をすることが多いわ
色々な動物が入っているけど、メインはウサギだからね脚力はちょっとした自慢よ



 Running, running.
「今確かに悲鳴が聴こえたわ……!」
 ダークヒーローもまたこの館を訪れていたものだ。
 生憎ディナーには遅れたが、この夜更けなら遅れることはあるまい。だがしかし聞いてしまったからには仕方ねえ、どうぞお手伝いをしてやれ草柳・華穂。容赦を捨てた兎の力、その脚に漲って。
 すれ違う影と影――他の猟兵たちも動いているんだ――あっという間に現場にご到着。
 そこに倒れし、黒の着物に黒髪の先客の姿。
「ちょっと、大丈夫!?」
 そう声をかけて起こそうとしては見るけれど。
「……あら」
 ふと見てみれば先客の肌にひとひら、白い桜の花びら。ここは素敵な桜の世界、桜色に白が混じり込んだとてそれもまた趣。
 その白に触れてはならぬこと以外は。
「この桜で、白桜華は、ここに招かれた人々の意識を、そして命を奪おうとしていたのね」
 確かめるように今一度見ておけ、その貌は存外、苦しみも知らぬが如く眠るよう。
 上がった悲鳴と絡めると解れ出す整合性が。
「……私は悪人には容赦が無いの」
 クラッシュ・バニーの後悔を引き剥がしたようだ。すっと立ち上がって、溢れる独り言の確実性。
「あなたは確かに奪おうとしていた。だから私も手加減無しで付き合ってあげる」
 初めのテーマを思い出せ、かのグリモア猟兵は何と仰せだったか。
「そうね、私なら『復讐を果たそうとしていた姉』かしら」
 当の秘密結社は既に影も形もありやしないが――そう、そんな今はきっと、死んだ振りに付き合う余裕があるだろうから。
 息を吸う。吐く。E.O.M.が致命的な運命のみを引き裂くだけだ、緊急避難プログラム。
 果たして、風がびゅう。桜ふわり、白の嵐が吹き抜けて――!
「どこにいるの」
 探せ、探せ。ひらりまともな享受だけは回避して! 攻撃のスイッチだけは入れぬまま――止まれなくなる寸前のまま――
「――見つけた」
 その目に捉え ぐらり  掌にひとひら白   ぴたり、
「そこにいたのね」
 ええ、そうなんです。
 倒れ伏していた先客が哀しげに目を開けて居り――

 膝から崩れ落ち    ぱたり。

成功 🔵​🔵​🔴​

クレア・フォースフェンサー
笑顔をもって姉を語る者を迎え
笑顔をもって姉を騙る者を殺す

さように既に一線を越えた者かと思っておったのじゃが
先程の姿に裏がないのであれば、まだ越えてはおらぬのかもしれぬ

それと闇討ちを仕掛けてくるのではなく
わざわざ悲鳴を上げて警戒させるとはのう

まずはその誘いに乗ってみせるとしよう

あの🌸が意識を刈り取るというのならば
触れることがなきようその際を見極めよう

如何なる|表情《かお》をもって
如何なる|真意《ことば》をもって
姉達をその手に掛けようというのか
しかと見せてもらおうぞ

――

わしが追い詰めたがゆえに
そうせざるを得なかったのならば
その手を掴むべきかもしれぬな



 Knowing, knowing.
「笑顔をもって姉を語る者を迎え、笑顔をもって姉を騙る者を殺す」
 予知に於いては殺人者、現在に於いては未だ遂げぬ影の朧。
「さように既に一線を越えた者かと思っておったのじゃが……」
 刹那の快楽? 暇潰し? 何れもNO。ひっくり返しても無いのであればそれが|まこと《proof》。
 暫し空白、tick, tock――きゃーっ。
「……それと闇討ちを仕掛けてくるのではなく。わざわざ悲鳴を上げて警戒させるとはのう」
 残響有りし乾ノ館。ならばと|猟兵《あね》が見定めよう。なに、ゆっくりと歩くのみで良い。
 誘いに乗りしは全てを承りし光剣使い、立てば芍薬何とやら、他の猟兵とすれ違うままに着いてみる今日。
 Seeing, seeing.
 先に倒れし|猟兵《あね》が一人、そして側に先客一人。桜舞う世を彩る|死んだ振り《game》。
「如何なる表情をもって」
 やはり、花びら一枚飛び込んで。
「如何なる真意をもって」
 手にまだ触れさせず梨の礫。
 よく見て居るのだよクレアという女、達観せし意志が極まりし心眼となりて白の花弁の邪魔立てを悉く退ける。2、3、数が増えようとその|真実《ほんとう》を暴きたいのだよ。
「姉達をその手に掛けようというのか、しかと見せてもらおうぞ――」
 先客の側でただ、見続けるままに麗しき老婆が佇んで。

「見つけてくれたんですね」
 見ていてくれたんですね。哀しい笑みの先客が伏したままお前を見ていたさ。
「楽しんでくれたのなら、幸いです」
 でも。きっと私は自分では止まれない。
「あなたの、あなたたち姉のお話を、その願いを……」
 眼を今一度開いたクレアだ。汲み取った、やはりこれしか、と。
「美しいまま、残して、伝えてあげたい。どうしてかな、これしか思いつかないんです」
 考えることさえも何かが許しちゃくれないんだ。もしやそれは影朧を総じて突き動かす無念というものではないか。
「……やはりか」
 悲劇的なことに。
 ひときわ強え白の桜の嵐がクレアをド直球に歓迎して――

 誰も死なぬ殺人事件。その完成の一欠片。
 あれだけ強い桜吹雪にも関わらず。
「わしが追い詰めたがゆえに」
 クレアを触れたのは花びら1枚だけだったんです。その左手にお住まいの白。
「そうせざるを得なかったのならば」
 際を正しく見極め形だけ死す達人よ。
「その手を掴むべきかもしれぬな」
 |もう直ぐに夜が明けると知るがいい《Show me what you got, lady》。

成功 🔵​🔵​🔴​

リア・アストロロジー
●仇桜
夜は眠れずに独り考え事をしています。

壱子さんが白桜華さんなのか別人なのか。
会えなくなったお二人に何があったのか。
わたしは彼女に会って何がしたいのか……
彼女は、あの子たちとは違うのに。

「明日ありと思う心の仇桜、夜半に嵐の吹かぬものかは……でしたか」

正直なところ死はわたしにとってそれほど恐ろしいものではないけれど
大切な人たちを生きてはいけない世界に取り残してしまうことは、怖い。

だから、わたしはわたしの妹たちに語りたいのです。
いつかわたしが骸の海に沈む日に。
あの壊れた世界に生まれてきたことを誇りながら。

●夢見草
死を想えば手のひらで確かめるのはいつもの拳銃。
悲鳴を聞いたなら、助けに行きたい気持ちを抑えユーベルコード起動。
願わくば壱子さんの苦痛を和らげ、まどろみへと誘います。

そんなにも苦しいのなら、いっそ忘れてしまえれば良いのに、と。
歩みを止めて、幼いころの、見覚えのある|記憶《ゆめ》を振り返って――

突如、乾いた銃声が二回ほど響いて。
暗い部屋に残されたのは刃に刻まれた少女の死体と、開いた窓。



 Thinking, thinking.
「……壱子さんが白桜華さんなのか別人なのか」
 先入観 is back.
「華さんとそのお姉さん――お二人に何があったのか、」
 |意志《いし》に迷いし悲しみ、簡単に殺せるもんじゃないのに殺しがちで。
(わたしは、彼女に会って何がしたいのか……)
 もうロールアウトから幾許か経つはずなのに。
「彼女は、あの子たちとは違うのに」
 迷い迷うお姉ちゃん――何をどう語ればいいのかと。方向性。
「明日ありと思う心の仇桜、夜半に嵐の吹かぬものかは……でしたか」
 かの宗の開祖が仰せだ、時間が有限であるが故の歌。ともすれば生命とはいつ散るかも分からぬ桜のよう。……死に伏してしまった同型の姉妹たちのことを思う。
「……私は怖い」
 揺れる、揺れる。
「大切な人たちを生きてはいけない世界に取り残してしまうことが」
 死を恐れる必要なんぞありはしないが、
 巡り逢えた大切の数々を無碍にしてしまうことは最早無に近い。
 生かせられない、悲劇だそれは。
 また殺すのか心を、否、
 全てが全てそうでは無いのだと言い聞かせてみて。
「だから、わたしはわたしの妹たちに語りたいのです」
 |意志《ねがい》なんぞ既に手にした銃に載せてあるものだ。いつか骸の海にこの身が沈むその日に。
「あの壊れた世界に生まれてきたことを誇りながら」
 握い、願い、揺れて、
 がしゃん、きゃーっ。

 Weakening, weakening.
 うゑおきてたとへにや見る夢見草あすをも知らぬけふの命を。
「あなたが辿って来た道」
 これは彼女の足跡だ。
「あなただけの足跡には、きっと――」
 助けに行くのでは無い、心を妨げる痛みを奪ってみせるがいい。
 この部屋から出ないままじゃ当の誰かさんがどんな顔をするのか予想もつかないものだが。
 ちっくたっく時計の音、夜を待つ女子ひとり――

《……なんで》
 待ち人来たりて報せ在り。
《私の苦しみを、奪ったの》
 弱々しい脳裏の残響こそが微睡んだテレパス加減。
「わたしも分からないんです、わたしがあなたを、」
 ――あなたたちを助けたいのかどうかさえ。
 見よ、青い瞳が夜も更ける頃にゆらゆらり。違うのにその哀しみに寄り添いたくて、是を救ってみせろと直感が申すけれど。
「わたしは最後には、きっと笑いたい。自分の心を信じてと言って、手を差し伸べるべきだと、」
 そうであるはずなんです。
 なのに。
 ゆらり、ゆるり。
「でも、わたしはこうも思うんです」
《……やめて》
 ああ、妹の懇願なぞ今は響きやしない。感情を殺したがるフラスコチャイルド、
「そんなにも苦しいのなら、いっそ忘れてしまえれば良いのに」
《やめなさい…!!》
 その哀しみまでも殺しにかかってみて。巡り巡る回帰、永劫じゃないのならいっそのこと幼子の如く忘れることを提案してしまいたいもんだ。
《どうして…そんなことを言うの……》
 でもギリギリ捨ててくれないんだもの向こうが、その無念の行き先がどうなるかさえ不透明だもの。
《もう生きて巡り逢えないのに、だから私はただ、見つけてもらいたくて、あなたたちの話を伝えたくて……》
「……それでもです」
 ぐるぐる廻る2つの心。片方が悲愴でもう片方が夢想なもんで。
 |そろそろ結びつけよう対比の上に《It’s time to die, the child》。
「最後に不正解だったとしても、笑って後悔なく在ればいいんです」
 夢を見る。ゆめをみる。
 それはきっと、幼い頃の|過去《メモリー》だと思う。造られた存在かも知れないが、それはきっと確かに、幸せものだったと思おう。
 命を捧げる前のほんのちょっとの過去を思い返せるものなら、或いはかの七つの悲しみ抱ける聖母の、

 窓が開いて。
 ばんばんっ。
 And then nothing.
 その身に幾つもの紅を刻んで。
 風が通り過ぎるのに白の桜ひとひらさえ舞わぬ死に様。ベッドの上で眠る姉。ぱたん。
「……そうでした」
 これを忘れちゃお仕舞いだ。
「鯛焼き、喜んでいただけましたか」
 Walk, walk,
「美味しかった、ですよね」
 ――Stop.
 |神などとうの昔に死んでいた《Tell me your conclusion, M2.》。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『『妹桜』白桜華』

POW   :    白桜浄化
予め【対象の罪や後悔を自身に取り込む 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    白桜吹雪
【触れた者の意識を奪う白桜の桜吹雪 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ   :    相枝相遭
【対象の後悔を吸い開花する白桜の枝 】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【後悔の念】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

イラスト:葛飾ぱち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 夢や夢や夢なれば。
「……逢いたい」
 数々の死をこの目でしかと確認しながら歩きだすのさこの妹。
 もう黒なんぞ欠片もありはせず。
 びゅうびゅう。
 白の桜吹雪舞い蒼香る華がおはようさん。
「ああ、親愛なるお姉さん」
 今日はたくさんの姉に出逢えましたよ。

 目の前にて|意識《いのち》を奪われた、復讐のお姉さん。
 どこまでも私を見定めて見極める、猟兵のお姉さん。

 歩く、訪れる。

 意識を奪われ頭を強く打ち出血を伴ったらしき、不運で礼儀正しいお姉さん。
 書斎に入れば、黒板に数多の数式、メッセージを遺して静かに逝ったような、お姉さん……あら、これは。動かぬ手、チョークの先にダイイングメッセージ、これはそう、r=から始まって、太陽と惑星の距離rから始まって、イコールで結ばれたμ分のhの2乗、それすら分子であり母には1+εcosθ、
 楕円軌道を謎に書いてみせるなどと、ああ、ミステリアスな殺人事件。

 もう一つのお部屋に、切り傷だらけのお姉さん。
 銃声と結びつかぬ死に様、これは抵抗の証? それとも?
 ……苦しみを奪われた今は、もう。

 歩いて、お外。
 これは墜落してしまったのかしら、雪景色に紅いお花を咲かせてみせた真ん中のお姉さん。

 本当なら、もっと夥しい数をここに眠らせてしまう運命だったのだろうけど。
 不思議と、これでいい気もして。

「ねえ、お姉さん、」
 洋館。乾ノ館の遠くに。
 幻影で無い、本物の姉を見た。
 その名は、その名は、
「私のお話、聞いてください、たくさん聞かせたいの、これまでに逢えた姉の皆様の、」
 何故、笑って居る。
「皆さんの、みんなの、」
 何故、親愛なる真の姉は、ゆるりにこり微笑んで離れてしまうのだろう。
 脳裏で、理解した。納得を拒否した。
「だめ、お姉さん、待って、そんな! 私はただ!」
 お姉さん、もうとっくに正しく過去の骸に成り果てて。
 悪意のままに世界を滅ぼすには、華の姉の方が似合っていたんだ。
「私たちは、もう生きては巡り逢えない。これからもそう」
 ああ、運命。
 引き離され、また別れ、いとかなし。
「もう、いいのよ」
「何がいいのよお姉さん、そんなの、そんな、の……」
 残響。

 ただ独り哀しく、報われぬ妹よ。
 その手より、頭に生やした桜の枝より。生命も後悔も。
 もう、吸うしか、無いのだと。先程生えたもう一つの花さえ消えて。
「………私は、何の為に手紙を」
 きっとパーティーも終わり。
 全部、全部、夢のよう。
「私は、私は……」
 心の底で理解している。殺人事件はもう完成してしまって。あまりにも虚しいバッドエンド。
 せめて何か。慰めの一つあれば。それもまた。
「………助けて」
 動く、動いてしまう。
「私はもう、どうしようもない……」
 無念と悲劇に塗れてしまった妹の有り様。
 そこへ|被害者の皆様方《猟兵の数々》が、いないいないばあ。
「……私を、止めて、ください」
クレア・フォースフェンサー
首魁たる影朧の転生を――

東殿はそう話しておったが、その力を持つ者がこの場にはおらぬ
確かに東殿がおるが、万一に鑑みるとこの場に呼べぬであろう

あの者が転生に足る者であった場合、どうしたものかと思っておったのじゃが、なるほど当人が桜の精であったか
ならば、後はあの者が今を受けいれられるかどうかじゃな

オブリビオンは現界する際に多かれ少なかれ歪みを与えらえる
あの者はその歪みに飲まれることなく自我を保ち、苦しんでおる
一時に過ぎぬかもしれぬが、わしの剣でその歪みを断ち切ろう

かつておぬしは、姉とともに多くの影朧を転生させてきたのであろう
その中には来世での邂逅を願った者達もおろう

その光で自らを照らしてはみぬか?



 |首魁たる影朧の転生を《潰してはダメなのでした》――
(東殿はそう話しておったが)
 それでは聞いてください、桜の精は何処へか。かの導き手は導きonly、最後まで未来は安定させなくては。
 それに考えてもみよ、|彼女《あの者》が転生に足る者であった場合どうしたものか――
「なるほど、おぬしがそうであったか」
 Oh, there you are. 白桜華はもとより桜の精。ならば賭けてみるしかあるまいよ。
(後はあの者が今を受けいれられるかどうかじゃな)
 左手より白の花びらはらり。満月が桜の花を見据えておられる。骸の海より出でし者全ては歪みを持つものよ。
(あの者はその歪みに飲まれることなく自我を保ち、苦しんでおる)
 一時の歪みの切断。それを可能にする業。
 右手にはそう、光の剣。その刃渡りに間合い、最大120m。
 構えを。その間に何か、罪や後悔なんぞが流れ込もうとするようだが。
「私はここにおいて、大きな後悔をしてしまったんですよ」
 もういいのよとさえ言われた女。取り込んでいるはずだというのに。
「あなたには無いというのですか、後悔は、罪は」
「…どうじゃろうな」
 永き刻を生きた達観せしその有り様。一歩、武人の如く重く踏み出して。
「かつておぬしは、姉とともに多くの影朧を転生させてきたのであろう」
 一瞬を以て駆け抜けて間合い詰め――振り抜ける、ひらり避けられる、二の太刀の軌跡の洗練された技術までもが、必殺の領域。鍛え抜かれて極め上げられて、元桜の精の転生の一助となるべく言の葉を載せ給う。
「その中には来世での邂逅を願った者達もおろう」
 いつの日も変わらぬもんです。誰が誰の来世を願うか。この桜の世の常なのだ。
 だから提案なんぞもしてみるんだ。
「その光で自らを照らしてはみぬか?」
 吹き抜けた。優しい一陣の風。まことに偶然で。軋ませようとした華の戦闘力、右手に籠ったまま緩むだけ。
「私自身、を?」
「さよう。ここには姉を演じた者たちが居る。今をも受け入れることが出来たならば」
 瞬間。全てを断て。大きく、横に薙いだ光の行き先。弾け飛ぶ桜と光。
 天地万物、歪みさえもが真っ二つ。|裂いて、咲いて《Slash, and wish》。
「……出来るの、でしょうか」
 斬られたというのに涙流れ哀しき笑顔を浮かべたその様に光剣使いが頷いて。

 |夢より覚めて、光あれ《Dream will be come true》。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フール・アルアリア
…寒い!!

飛び起きた雪の中。いくら赤いインクと言えど驚かないかな、この見た目。驚かせたらごめんねって謝って。

大丈夫、止めてあげるから泣かないで。君は手を汚してないよ、僕、お兄ちゃんだし。猟兵だし。みんな、グルだし。ね?えへへ、やっぱり驚いた?女装完璧でしょ?(服装だけだけど!)

とりあえずさ、何も知らないでいたくないんだ。だから君のこと、お姉ちゃんのこと、どうか教えてよ。僕ってば戦うことでしか止められないから、そうするしかないけれど…。

会いたいのに会えないって悲しいよね、寂しいよね。そうやってひっそり泣く人を僕は知っている。僕は寄り添うことしかできないから…せめて気持ちだけでも君に寄り添うよ。



 いないいなーい……
「…寒い!!」
 おはようございます|墜落死体《悪戯好き》さん、飛び起きた結果がどうですか。ひゃっ、と聞こえた次にね、
「……うぅ〜〜〜〜……!!」
 |くらいくらいよでこの様です《Cry, cry, please help her.》。おわーっちょいちょい!などと声を上げては、寝巻きのままでいつの間にやら妹さんをなでなで。
「大丈夫、止めてあげるから泣かないで」
 ごめんね、という素直な謝罪がまことに誠実。とっくの昔に舞台装置なのさ、うさみみフードを彩っていた紅は。
「……私、私は、あなたたちに、ぇぅ、」
「そうだね。君は手を汚してないよ、僕、お兄ちゃんだし。猟兵だし。みんな、グルだし」
 ね? なんて伺ってみれば、少し泣き止んで安心するんだよ影の朧、
「……あなたは、男の子?」
 やっぱりびっくりしていらした。悪戯っぽく笑った|お前《Fool》、冗談も服だけにしておいた。
「やっぱり驚いた?」
 たん、たん。|どうしましょ《Let’s do this.》。
「女装完璧でしょ?」
 |赤い靴が脱げないわ《Black and pink show her RED.》。
「…え、他にもいるんですか、男の子なお姉さん」
 脳がバグっちゃった白桜の嬢、つい恥ずかしさでまた巻き起こす白の嵐。雅と粋を全部載せ、でもお兄ちゃんが素敵に踊って左脚を回し上げるだけでエアシューズが全部切り拓く。たん、たたん、switch step, もう一度左脚を軸に踊り明かせば薙ぐでしょう右の脚が、余りにも確実に華の肉体に届いて。響く、響く。
「あ、言い忘れてた。余所見禁止」
 残響。
 赤い靴の伝承故に、そして根付く『止めて欲しい』の意志故に。
「私たちのこと、知ってもらいたいんです」
 もう、逢えなくなってしまったけれど。
「…うん、聞いちゃった。とりあえずさ、何も知らないでいたくないんだ」
 だから君のこと、お姉ちゃんのこと、どうか教えてよ――こうして鎮めるしかないからこそのお願いだ。
「私たちは、もともとは桜の精でした」
 嘗て事件を解決せし、桜の精の姉妹のお話。お姉さんは、とても素敵な人だったんです、なんて。それを引き離したある日の|悲劇《Accident》。
「会いたいのに会えないって悲しいよね、寂しいよね」
 だって僕も知ってるんだもん、そうやってひっそり泣く人を――聞いて居る、思って居る。
「僕は寄り添うことしかできないから…せめて気持ちだけでも君に寄り添うよ」
 そう言って笑う。死体の形式にこり。
 華の心に光が射したような心地有りて |黎明《Smile》。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡宮・ノエル
『止めてほしい』。それがあなたの望みなんだね。
じゃあ、それに応えるのが『姉』であり『猟兵』ってものだよ。學府の一員だしね。
クローカ、ヴァーイ、ブレック、戦闘態勢だ。

ブレックには『卵形の宝石』持たせておいて、地中潜航。
ヴァーイに乗って…回避は任せたよ。レグンレグナとソーリグクラートを連射。
クローカは空より急襲してね。
そして…ブレック。そのアイテムを投げて!開放しての目眩まし!…そこで『姉』の幻を見れたらいいな、とも思うけどね。
その瞬間に【神剣クラウソラス】。射ぬけ、光線。

…回収時には疲れたけど。
『姉』のふりはね、存外楽しかったよ。こういう体験も、いいじゃないか。



「『止めてほしい』。それがあなたの望みなんだね」
 礼儀を以て為せお姉ちゃん(大嘘)。
「じゃあ、それに応えるのが『姉』であり『猟兵』ってものだよ。學府の一員だしね」
 ――クローカ、ヴァーイ、ブレック、戦闘態勢だ。神威がそれぞれ狼と鴉の皮被って生きてるぜ、といった比喩表現。あ、蛸さんは陸海空制覇済みです。墨の準備は万端だが、今回は別の役目を持たせよう。
「礼儀正しいお姉さん! 私は、」
 話したいことがあって。続けようとしたら狼さんに乗った學徒兵、
「僕は男なの!」
 成長期の真っ只中。よく間違われやすいんだとも付け加えて。
「あぅ、」
 妹さん何を話そうとしたのかが飛びました。ついでクローカも飛びました。驚愕と飛翔が全然違う事実。因みにブレックは潜りました。
 鼻腔を擽る桜の香り、その手で擽るように持つ拳銃2つ、神の力お手製の銃弾、一気に降り注がせた。すぐさま白の桜を降らせる華。あっという間にどっかいく大半、どうしても1、2発振り払えねえ。その隙を縫うように。ダーナ神族の一柱たる実力の表れ。ヴァーイの背の上で桜の側を通り過ぎ続ける様いとうつくし。
「クローカ」
 名を呼ぶだけで翼はためかせ落ちに行くお利口さん、そのまま妹さんにどーん。伝わる、伝わる、華の表情は段々明るくなっておられる。
 おや、ブレックはどうした。
「ブレック。そのアイテムを投げて!」
 何を与えられていた、なるほどこれは先の卵形、宙で炸裂したならば神の光。妹さん思わず目を覆って、
 垣間見て、垣間見て。華がその先で知覚した幻。
『さあ、一緒に行きましょう』
 今では叶わぬ、手を伸ばす姉の御姿。
「お姉さん……!」
 私はきっと、幸せでしたよ。
「射ぬけ、光線」
 嘗て一心同体で有らせられた姉妹のように。神の剣の光の線。直線上じゃまるで嵐で、白の桜さえもが光の向こう側。
「ねえ」
 クローカが運んで舞い戻る、卵形の宝石。
「『姉』のふりはね、存外楽しかったよ」
 クラウソラスの光過ぎて、眩し過ぎて立っていられなくなっちゃった妹さんに教えてあげよう。
 お姉ちゃんごっこ、命が失われるのでなければ実に愉快な戯れではなかったか。
「こういう体験も、いいじゃないか」
 影の朧さん、少しずつ輪廻に運ばれつつあるじゃないか。
「…それは、良かったです」
 まだ少し、忙しくなりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八坂・詩織
やっと会えましたね。白桜華さん。
私からの|宿題《ダイイング・メッセージ》は解いていただけましたか?

私も、雪女の姿をお見せしましょう…
|起動《イグニッション》!
髪を解き、瞳は青く変化し白い着物を纏う。

ごめんなさいね、私嘘つきました。
でも、貴女の寂しさは分かるつもりです。
私にも会いたくてたまらない人達がいますから。
…話したいことは沢山あるのに、もしかしてもう会えないんじゃないかと思うと苦しくて気も狂いそうになる。
それでも、守るべきものがあるから踏ん張っていられる。
…今も結構楽しいんですよ。

攻撃は結晶輪の【武器受け】で【受け流し】つつ、指定UCでひと撫で。
…せめて夢の中ではお姉さんに会えますように。



「やっと会えましたね。白桜華さん」
 或いは、白よりも白くあれ。
「私からの宿題は解いて頂けましたか?」
 ケプラーの法則の第一だけ置いて行ったようなミステリー、軌道に太陽が重なることがあるものかは、でも2と3が揃っていたとして、太陽の遠くで惑星の速度が落ちるなんぞ。
 逢いたくても逢えないもんだ。太陽の方から遠ざかったとしたら尚更。
 また少し泣きそうな顔で頷く元桜の精。
 そんな彼女に答え合わせ代わりの札一枚。さらり解けて流れる黒。
「私も、雪女の姿をお見せしましょう…|起動《イグニッション》!」
 |あの時のように《Like the Silver Rain》。紅い椿柄が白地が、全て白へと向かう有り様。ブラウンの眼差しすら青の双眸へと様変わり。あな、いとおかし。全て見通すかの如く口の端ゆるり上がり――
「ごめんなさいね、私嘘つきました」
 |謝罪《Apologize》。これはいかなこと、と綴ろうとしても嘘をついてしまっていたのであれば謝るのが良いのだ。
「私は今のところ一人っ子で、私が先に話していた妹も、実は学生時代の後輩なんです」
「ええ!?」
 そこまで頭が回らなかった華、もしやお前余程|探偵《あね》ごっこが楽しかったな?
「でも、貴女の寂しさは分かるつもりです。私にも会いたくてたまらない人達がいますから」
 何処よ天文部の同志たち。詩織の手に風と花が雪を運んだかのような。|風花《結晶輪》。
「…話したいことは沢山あるのに、もしかしてもう会えないんじゃないかと思うと苦しくて気も狂いそうになる」
「私もそう思って、でも、もう逢えないって、現実になってしまって!」
 自然と動き出した影の朧の指先に雪の結晶が集まった珠なんぞ有りて、2つが虚空を巡りましたならば――かち合うだけ。
 一瞬終わりが見えねえ。もっと話しておけばなんて後悔もいつの間にか吸い上げられていたというのに。
 花のように、雪玉を砕かせ舞わせましたなどと。受け流していた先に咲いた|希望《hope》。
「それでも、守るべきものがあるから踏ん張っていられる」
 貴女もきっと、そうだったでしょう? なんて。
 きっとその嘗て在った真雪女の術を基盤にしたユーベルコードで――|ぴた、さらり、ひゅーっ《Touch, slide, freeze》。|指先《Ability》。
 白い息を吐くことすらままならぬようだ、妹さん、もうすっかりお身体の中がぐしゃぐしゃに凍りついちゃって。
 なのに、不思議と苦しくないなんて顔をしてやがった。|慰め《Wish》。
「きっと、貴女はこれから最期に夢を見ると思うんです」
 祈ってあげよう。心から。
「…せめて夢の中ではお姉さんに会えますように」
 ほしとほしにはしがかかったみたいですよ、先生。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・アストロロジー
●後悔
神さまの残り火に照らされ仰いだ過去の景色。
冷たい極北の地で、わたしはあの子たちに銃を向けました。
人類の裏切者を追い詰め処理することが、出来損ないの失敗作にはじめて与えられた存在意義。

けれど、

●行動
星々を呼んで自己催眠による偽死から再起動。

「わたしが過去に殺されるそのときは、精一杯抵抗しようと思っているけれど……当たらないものですね、やっぱり」

医療特化型の|妹《M4》との脳内模擬戦で大敗北した割にはすっきりした顔で、白桜華さんの下へ。

「ねえ、わたしは良いお姉さんではなくて。わたしのせいで苦労を背負わせてしまった妹たちを何も知らずにののしり、殺そうとさえしたんです」

不正解は無意味ではない。
でも、だからこそ、あの時のわたしはきっと……間違っていた。

「こんなわたしにできることは、あまりないけれど」

精一杯に咲けばいい。この身を裂いても構わない。

「あなたのお姉さんにだって、なれないけれど」

手を握って、ほんの少しの間だけでも傍にいます。
もしも昏い波間に惑うのなら、海の星が導きになりますようにと。



 |懐かしい夢《酷い有り様を》神様の残り火に垣間見たんです。
 何処だったかな、ああ、|彼処《極北》だったかな。妹たちが揃いも揃ってM2という検体を見ていらして。
 わたしたちは家族。
 人類に勝手に失望された失敗作の行き先。

 |わたしは妹たちを“救い”ました《What was the “accident” you see?》。

 これは罰だ、これは罪だ。
 追い詰めて救うことがフラスコチャイルドそのものを憎む|者ども《兵士達》の助けになることか、或いは授けだろうか。
 過る。お前はシリーズNo.2。

 けれど――

 |旅館の真上にて数多の星集う夜《At AM5, simulation has been done.》。
「……ふふっ」
 遠く離れた光年の彼方より恒星共がおはようさん、|家族《M4》にボロ負けした気分は如何ですか。
「わたしが過去に殺されるそのときは、精一杯抵抗しようと思っているけれど……当たらないものですね、やっぱり」
 それでは生憎|医療特化型叛逆者《あなたの妹さん》の方がより一途だったよ。
 他人様の心に響き侵し得る最悪。それもそうだ、精神への干渉――テレパシー能力以外は全部お察しのカスタマイズなのだからその様な抑止力とか脳内でもどうしようもない。
 だが、意志は最高なんだ。迷いなどあるものかは。歩く、歩く、歩く――

 Arrived.
「…なんだか、お顔、とても爽やかになりましたね」
 先程よりも。華がそう言えば、目を閉じて、もう一度開けて。
「ねえ」
 間違いを正した結果をも呼び寄せてくれ。
「わたしは良いお姉さんではなくて。わたしのせいで苦労を背負わせてしまった妹たちを何も知らずにののしり、殺そうとさえしたんです」
 失敗に失敗を重ねし哀しき出来事。
「……最後に笑って、というのは、まさか」
「不正解は無意味ではない。でも、だからこそ、あの時のわたしはきっと……間違っていた」
 きら。きらきら。
 |ほら、悠久なる星々に誘われて夜が降りてきた《At AM5, ubel code”星かげさやかに“ is working in progress》。
 献げる願いはなんですか。彼女の側に居ることだ。
 偽の死なんぞとっくにおさらばで。前を見上げれば、そこには妹さんがお前の後悔を吸うべく白桜の枝を以て――
「こんなわたしにできることは、あまりないけれど」
 裂かれたとて咲いてみせろ。|ぽたり《Bleeding》、精一杯。終わり良ければ全て良し。
「あなたのお姉さんにだって、なれないけれど……!」
 星降る夜に、右手伸ばせば届くでしょうか。
「……あ」
 小さく華が声を零す音が聴こえるのだ、届いた証に。
 これは救いだ、これは願いだ。夜空に輝く星々のお出迎え、無念が満たされ始める音がして。
 暗く昏い結末の先の優しい温度。揺蕩うようだ、まるで海だ。ぷかり浮いて浸かりそれでも心を刺し貫かない消し飛ばさない――
 海にも星は存在しているのだと思わせてみて。
「……いいえ、確かにあなたは、あなたたちは、一瞬だけでも確かに私の姉でした」
 本当のお姉さんとは、また逢えないままだけれど。それでも|解《ほつ》れ|解《ほぐ》れる音がしたような気さえしたんだろう、哀しげな眼差しが、優しさに絆され夜と言う名の星の海に溶けゆく様。長く、少しでも長く。きゅっ。
「もしも」
 幻朧桜の向こう側。
「昏い波間に惑うのなら、海の星が導きになりますように」
 時間をかけて、輪廻が華を攫い始め。白とピンクの桜吹き続けて、それさえも星々の下何者も落としはしない。
「……私はきっと、」
 楽しかった。かの先客の口がそう動いて。
 びゅう。瞬きの後。
 立派な洋館と、静かで美しい桜景色だけが在って。
 1秒でも長く彼女の側に居続けた星読の子供。その右手に残留せし温度を確かめる様に。きゅっ。
「夜があなたを呑み込んでしまわないように……」
 |笑い合える夜明けよ《Wish the good night》。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月31日


挿絵イラスト