2
銀河帝国攻略戦㉖~解読せよ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦争
🔒
#銀河帝国攻略戦


0





「集まってくれてありがとう。早速で悪いけど、仕事のお話よ」
 少し切羽詰まった表情でグリモア猟兵、緋薙・冬香(針入り水晶・f05538)は話を続ける。
「皆の活躍で、銀河帝国攻略船は次のフェーズに移ったわ」
 猟兵たちの素早い行動は、銀河帝国にも少なくないダメージを与えているといえる。
「で、アマルテア情報艦隊を制圧して得た情報の中に見逃せないものがあってね」
 それは銀河帝国が、宇宙各地から有能な科学者や技術者を拉致して帝国のために働かせているという事実。
「皆に頼みたいのは、この拉致された人々の救出よ」
 この拉致はスペースシップワールドの技術力が発展しない遠因となっている。ただ、災い転じて福となす。ドクター・オロチの研究に携わっていたためか、これまでのスペースシップワールドには存在しなかった、高度な技術や知識を得ている可能性がある。
 救出できればきっと、今後のスペースシップワールドの発展に大きく役立つだろう。


「皆に向かってもらうのは、帝国旗艦インペリウムの科学技術センターよ」
 そこに拉致された人々が集められているという。

 見るも冒涜的な姿で。

 そう、単に労働に従事しているのではない。科学者や技術者は、『生体コンピューターの部品として、中央コンピューターの一部に組み込まれている』のだ。
 その外見はグロテスクな機械の大樹に成る果実。機械の枝から『技術者や科学者が直結されたコンピューターユニット』が無数にぶら下がっているような、とても人とは言えない状態だ。
「そのユニットごと切り落として回収したいところなんだけど、それをやると『中の人が死んじゃう』の」
 生体ユニットとして接続されているためか、無理矢理に接続を剥がしてしまうと意識が焼き切れて死んでしまうというのだ。
 ゆえに正規の方法で解除するしかない。
「すなわち、中央コンピューターが出してくる謎を解くこと」
 相手のルールに乗っかるようで癪だが、今はそれしか手が無い。

 謎解き、といってもどちらかというと暗号に近いかもしれない。それは必ず唯一の答えが用意されているものだ。
「その答えが解除コードよ。それを皆で当ててきて」


 冬香によってテレポートした猟兵たちが科学技術センターに乗り込む。万難を排し、中央コンピューターの前に立った猟兵たちの目に入ってきたのは、コンソールとディスプレイ。

 そのディスプレイに数字の羅列が表示される。
『99-88-444-444-555』
『7-55-1-22-88-666-999-1』
『『777-666-7-1-99』』

 手元のコンソールを見ると、次の配列で9個のキーが並んでおり。
『7』『8』『9』
『4』『5』『6』
『1』『2』『3』

 すぐ横に置いてある1枚の表には次のように書いてあった。
『abc』『def』『ghi』
『jkl』『mno』『pqr』
『stu』『vwx』『yz 』

 数字の羅列に隠された解除コードを示せ。


るちる
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 やっと戦争シナリオつかまえたー!

 こんちには、あるいははじめまして、るちるです。
 そんなわけで、科学者や技術者の人を助けましょう。

 プレイングには、『謎の答え』、つまり『解除コード』をどこかに書いてください。
 それ以外には、推理するシーンや正解を思いつくシーンなど答えを導き出す過程や、救出後の人々に対するお世話や話しかける言葉、コンピューターに辿り着くまで等々、前後の行動を書いていだだけると助かります。
 答えは一つですので、その部分が被ることに関しては気にしないようにしましょう。それからハイフンは除いてもらって大丈夫です(隙間を表わすためのものですので)

 皆さんのプレイング、お待ちしていまーす。
145




第1章 冒険 『中央コンピューターの謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、救出します。

SPD   :    素早く謎の答えを導き出した後、救出した人のケアを行います。

WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、救出します。

👑3
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

パルミリーリル・アーティルノッド
≪アドリブ・アレンジ大歓迎≫
ああ! これはこれは分かりやすい!
サクッと閃きめきでございます!
わたくしUDCアースに住んでおりまして、スマホをぽちぽち触ってますゆえ! あのぽちぽちでございますね!
hello……よし、この方向性でございますね!
answer is……答えは! 『crash』! 破壊でございます!
開けゴマでございます!

解除されたらレプリカクラフトで巨大なクッションを作って科学者の落下の衝撃を和らげるのでございます!
……もうだいじょうぶです。歩けますか?
むり、しないでくださいね。ではでは車椅子でも作りますゆえに!
ささっ乗ってくださいましまし! こんなところに居ちゃいけませんからねぇ!


城田・紗希
wiz…というか、第六感で閃いた!もしくは世界知識!
答えは「crash」って入れれば良いんだよね!

数字とアルファベットは対応してて、個数がグループ内の番号を示してるから、
7なら最初の「a」、「777」は3番目の「c」、
「666」は同じく3番目の(けどグループは「pqr」に変わるから)「r」…ってなる!
だから出てきてる数字は順番に「hello、answeris、crash」ってなる!


ウルフシャ・オーゲツ
さて、頭を働かすのはあまり得意ではないが、こういう時こそ意外とろーとるな考え方の方が解けたりするものじゃろう。
 ということでユーベルコードをこの謎を解くにふさわしい姿と考えて発動したところ、一昔前の女子高生ギャル風で生み出されたウチは手元の折り畳み式携帯電話を眺めて考えた。
「……? もしや、そういうことかのう?」
hello
answeris
crash
これで通ればよいのじゃがな。

「格好は気にするでない、重要なのは、助けに来たもの、ということじゃろ?」
「しっかし、悪趣味な機械じゃのう……いや、効率を求めればこうなるのか、ある意味美しさも……感じるわけないわっ」
「他にもあるなら、探してみぬとな」


シュデラ・テノーフォン
ナニアレ
どんな脳味噌したらあんな胸糞悪いモンになるのかな
…うん、逆に冷静になれたよ

それで、解除コード?
最初に数字沢山、9つのキー配列に、いくつか纏められた英単語

これは…キー配列と英単語がリンクしてるんだね
スマホの文字入力みたいな奴かな
そして数字達がキー配列と同じ場所にあるアルファベットの何番めかを示してる
99なら9の場所にある英単語を左からふたつめ
つまりhだ

なので答えは
『hello answer is crash』
こんにちは、答えは…クラッシュ
コレを壊すコードって事かな

無事に救出かな、良かった
科学者君を保護して帰還しよう
衰弱が激しいなら…うーん誰も見てないなら
ちょっとだけ歌おうかな
内緒だよ?


楠瀬・亜夜
人質の解放と意気揚々と来てみたのはいいですが……
これはまたすさまじい光景ですね。
ともかくまずは人質の解放を……

これが解除の為のコンピューターですか
えーと、問題分は……数字の羅列と数字キーとアルファベット表
なるほどなるほど……数字の羅列をアルファベットに置き換えると
【hekko ーansweris ーcrash】となりますがさてどうでしょうか?
(ふふ……答えはこれに違いない、きっと多分そうであって!)

人質が解放できたなら人質たちの健康状態を調べてみた方がよさそうですね
とはいえそういったのは専門ではないのでちょっとした感じですし
すぐに専門の方を呼んだ方が良さそうですね


桜井・夕月
解除コードは「crash」

あら、昔懐かしい携帯電話の端末みたい。
これは実際にやってみると分かりやすいんですけれど。
9を二回押すとh、といった感じに数字とキーとアルファベットが対応しているんですよね。たぶん。

と言う訳で、数字の羅列を文字に直すと「hello answer is 「crash」」

日本語訳の必要はあるのかしら、それだと「墜落」、いいえ、「停止」の意味もあったわね、確か。

「もう大丈夫ですよ。」
解除されたら、救出した人達に声をかけ早く安全な場所にお連れしましょう。歩けますか?必要なら影獣を使い、ティン(影獣)に運んでもらいます。ゆっくりかつ丁寧に、よろしく、ティン。

アドリブ、絡み歓迎です


マリア・テミルカーノヴァ
なるほど、これは暗号の一種ですね。
この暗号はなんというか、文字を数字に置き換えた暗号でこう書いてあるわけで。

hello
answer is
"crash"

ということは、解除コードは「crash」でしょう。

助けられたら【生まれながらの光】で人々を癒します。
疲れるの、どんとこいなのですよ。
そのために生まれたのが私です。から。
まずはご飯を作ってあげますね。
でも、いきなり普通のご飯だと体に負担がかかってしまうので、まずは重湯から。徐々にお米の量を増やして体に負担をかけないようにしますね。

私だからできることを着実にやっていきます。


ミニステリアリス・グレイグース
あー……見覚えがあるようなないような謎解きですね
コンソールの配列と文字列を参考に、数字の個数で何個目の文字なのか判別する暗号でしたっけ

えーと、この法則で行くと
「99-88-444-444-555」は「hello」
「7-55-1-22-88-666-999-1」は「answer is」
「こんにちは 答えは」
……うん、ちゃんと文章になってますね
なら「7-55-1-22-88-666-999-1」で
答えは『crash』になります

救出には「万能錬成カミヤドリ」で担架を模造
極力負担を掛けないよう慎重に、看護が出来る安全圏まで搬出しましょう
搬出後は、簡単ですが医術知識などを用いて救出対象のお世話をします


ヘスティア・イクテュス
酷い…こんなの酷すぎるわ…
絶対、絶対助けて見せる……………

といっても、こういうの苦手なのよね…
数字がいっぱい…何とか進法とか?
けど表とかあるし……………キーは答えの入力用?

ん~なにこれ、あっ、ハッキングで答えとか分からないかしら
(ティンク・アベルを取り出し)
アベル、この答えって…えっ?『CRASH』

まだハッキングしてないんだけど
えっ?簡単?子供でも解ける?………


そう、ゆうしゅうなAIでたすかるわ




あぁ、中の人が助けられたわね。大丈夫かしら?
アス、助けた人を癒してあげて
えっ?あの端末?さぁ?なんのことかしら?

●アベル
ヘス:お嬢様呼び
執事のような話し方



●拉致被害者を救出せよ
 帝国旗艦インペリウムの科学技術センター。そこにある中央コンピューターの、その醜悪な機械の樹木が成す光景を目の前にして。
「ナニアレ」
 と吐き捨てたのはシュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)。
「これはまた……すさまじい光景ですね」
 続いて楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)も呟きを零す。『人質の解放』と意気揚々と来てみたのはいいのだが、目の前の光景は沈着冷静な亜夜にとってもそういう表現をせざるを得ない。
「酷い……こんなの酷過ぎるわ……」
 そして、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)の口から零れた言葉は、この部屋に漂う『人々の絶望』を表わしていたのかもしれない。

 しかし。

「絶対、絶対助けて見せる……」
 そう、『奪われたものは奪い返さねば』。それがヘスティアの流儀なのだから。『奪われた平穏と人々』はここで奪い返さなければいけない。
「……うん、逆に冷静になれたよ」
 シュデラもまた強い意志を言葉に乗せる。
「ともかくまずは人々の解放を」
 亜夜の言葉に猟兵たちは頷きを返し、件の中央コンピューターへ向かった。

「しっかし、悪趣味な機械じゃのう。……いや、効率を求めればこうなるのか……?」
 中央コンピューターを前にして、ウルフシャ・オーゲツ(しょしんしゃ・f00046)が呟いた。その言葉は誰かに同意を求めるわけでもなく、ただ口から零れた感想。ゆえに。
「ある意味美しさも……感じるわけないわっ」
 オチも綺麗にノリツッコミでしたとさ。

 とかなんとかやっているうちに、ディスプレイに暗号が示される。
 猟兵たちに与えられた情報は、暗号、コンソール、そして1枚の表。

 では、解読、開始だ。

●昔懐かし?
「こういう時こそ意外とろーとるな考え方の方が解けたりするものじゃろう」
 頭を働かせるのはあまり得意ではない、と言いつつも、ウルフシャがユーベルコードを発動する。イメージするのは『この謎を解くにふさわしい姿』。ユーベルコード『新しいウルフシャはきっとうまくやるでしょう』によって新しい仮初めの体に交代したウルフシャはまず自分を確認する。

 一昔前(?)の女子高生ギャル風。そして手元には折り畳み式携帯電話。

「……? もしや、そういうことかのう?」
 携帯電話を摘まむようにして眺めるウルフシャを見て。
「あら、昔懐かしい端末」
 と零したのは桜井・夕月(もふもふ信者の暴走黒獣・f00358)である。夕月も『それ』を見て暗号を解くポイントに気付いたようだ。
「これは実際にやってみると分かりやすいんですけれど」
 ウルフシャから携帯電話を借り受け、ぱかっと開けた後にカタカタと操作を始める。
「9を二回押すと『h』……といった感じに数字とキーとアルファベットが対応しているんですよね」
「スマホの文字入力みたいな奴かな」
 その操作を覗き込んでいたシュデラも解読の方向性を理解したようで。

 つまりこの携帯電話のボタン操作と同じように、コンソールのキーとアルファベットの表が対応しているということだろう。

「ということは数字達がキー配列と同じ場所にあるアルファベットの何番目かを示している」
 シュデラの言葉に夕月が頷きを返す。
「と言う訳で、数字の羅列を文字に直すと……」
 夕月の指示の元、ウルフシャとシュデラが解読作業を急ぐ。

●法則
「えーと、問題文は……数字の羅列と数字キーとアルファベット表?」
「あー……見覚えがあるようなないような謎解きですね」
「なるほど、これは暗号の一種ですね」
 順に亜夜、ミニステリアリス・グレイグース(夢に囚われし灰塵の徒・f06111)、マリア・テミルカーノヴァ(電子の海を彷徨う光・f00043)の言葉である。言葉の雰囲気から、どうやら3人ともなんとなく、法則性が見えたようだ。

「コンソールの配列と文字列を参考に、数字の個数で何個目の文字なのか判別する暗号でしたっけ」
「なるほどなるほど……数字の羅列をアルファベットに置き換える、と」
 ミニステリアリスの言葉を受けて、亜夜が解読を試みる。
「えーと、この法則で行くと……うん、ちゃんと文章になっていますね。なら……」
 亜夜の解読を検算するように確認していくミニステリアリス。こちらもすぐに答えが出そうだ。

●閃きとAI
 そしてこちらは。
「第六感で閃いた!」
「ああ! これはこれは分かりやすい! サクッと閃きでございます!」
 と直感で辿り着いたらしき城田・紗希(人間の探索者・f01927)とパルミリーリル・アーティルノッド(くるくる少女・f14000)である。既に答えが出ているっぽい雰囲気だ。

 そんな中でひとりヘスティアは。
「……こういうの苦手なのよね……」
 苦虫を噛みつぶしたような顔をしていた。
「数字がいっぱい……何とか進法とか? けど表とかあるし……」
 しばし思い悩んでみたものの、結論出ず。
「あっ」
 と思い立ったのは自身のサポートAI端末、ティンク・アベルの存在である。
(ハッキングで答えとかわからないかしら)
 と思って、素早くアベルを起ち上げるヘスティア。
「アベル、これの答え、ハッキング……」
「お嬢様」
 ヘスティアが要望を音声入力する前に、何故か返事が返ってくる。
「まだハッキングしてないんだけど……えっ? 簡単? 子供でも解ける……?」
 というわけで解読終了したらしい。
「そう、ゆうしゅうなAIでたすかるわ」
 ヘスティアの言葉は何故か棒読み気味だったそうな。

●ただひとつの解
 9人が持ち寄った答えはただのひとつ。
「『crash』だね!」
 紗希の答えに皆が頷きを返す。ヘスティアのアベルが導き出した答えもまた『crash』であった。

「この暗号は文字を数字に置き換えた暗号でこう書いてあるわけで」
 マリアが指し示したメモには既に解読された文章がある。
『hello』
『answer is』
『"crash"』

「ここが強調……答えは『crash』になります」
 わざわざ括弧で括ってある、とミニステリアリスが告げる。
「破壊でございます!」
「コレを壊すコードって事かな」
 パルミリーリルが叫んだ言葉を聞いてシュデラが首を傾げるが。
「『墜落』、いいえ、『停止』の意味もあったわね、確か」
 と夕月が補足する。万が一、解除コードがそのまま使えない可能性も考えていた夕月であったが、どうやら訳の必要は無いらしい。

 であれば後は入力するのみ。
「さて、どうでしょうか?」
 コンソールを前に亜夜が入力を行う。
「これで通ればよいのじゃがな」
 その様子を見守っていたウルフシャであるが……次第にその顔に笑みが浮かぶ。

 何故なら。中央コンピューターから生体パーツである人々の接続が徐々に解除され始めたのを確認したからだ。

 接続が完全に解除されたことによって、果実のようにぶら下がっていたパーツが落下してくる。
「巨大クッションを作って落下の衝撃を和らげるのでございます!」
 この展開を読んでいたパルミリーリルはレプリカクラフトでそれらの下に衝撃吸収クッションを展開している。ぽすんぽすんと落ちていく機械の果実が落下の衝撃で割れていき、中の人――囚われていた科学者や技術者の姿が確認できた。
「あぁ、中の人が助けられたわね。大丈夫かしら?」
 その様子を見ながら、ヘスティアはユーベルコード『ミシカルクリーチャー:アス』を発動させ、癒しの力を持つロバ型プログラム生命体を顕現させる。
「……もうだいじょうぶです。歩けますか?」
 クッションに落ちてきた科学者へ声をかけるパルミリーリル。しかし、反応は無く、その視点も宙をさまよっている。いまだ意識が朦朧としているようで……しかし。

「ひぃぃ!?」

 覚醒した意識と視界に、状況を飲みこめない科学者たちが悲鳴を上げる。
 見慣れぬ光景、少なくとも知人ではない顔ぶれ、そして何故か目の前にいる猟兵たち。突如訪れた視覚情報に軽くパニックになっているようだ。

「もう大丈夫ですよ」
 と声をかけた夕月に言葉も届いていないようで。

「~~♪ ~~♪」

 その場を救ったのは歌声であった。

●秘密の歌声
(衰弱が激しいなら。誰も見ていないなら。ちょっとだけ)
 それがシュデラの考え。滅多に人前では歌わないのだから、今日も機会が無ければ歌う必要もないだろう、と。

 ただ、目の前の、助けるべき人々があまりにもパニックになっていたから。

 シュデラは声に想いを乗せて、歌う。大きなコンピューターの影、その裏側。人の視線の及ばぬ位置から。
 シンフォニック・キュアは本来傷を治療するユーベルコード。しかし、今この場だけは。
『帰ろう。皆の、家族の、友のいる場所へ』
 その意思を奮い立たせる、あるいは共感をもたらす。静かに、しっかりと、響く声。

 もしかしたら。他の猟兵たちは誰の歌声か気付いていたかもしれない。しかし、ここはそのまま胸に秘めておいてほしい。それが粋な計らいというもので。

●救出
「もう大丈夫ですよ」
 もう一度夕月が科学者に話しかえる。返ってきたのは落涙と肯定の頷き。意識を取り戻した科学者たち、技術者たち全員が今、『帰還する』という意志でもって猟兵たちを受け入れている。

「健康状態を調べてみた方がよさそうですね」
 亜夜が素早く被害者たちを診て回る。
(とはいえ、専門ではないのでちょっとした感じですし)
 自身が所属する診療所の経験も活かしながら、健康状態をチェックしているが、きっと見落としもあるだろうし、本来は専門の者を呼ぶべきなのだろう。
 しかし逆を言えば、亜夜が今診て、致命的でなければ。ここからの帰還・離脱に影響はないはずだ。

 健康状態は皆問題ないようだが、懸念点は体の衰弱の具合。元気そうに見えてもしっかり歩くのがままならないという人もいるようだ。
「アス、助けた人を癒してあげて」
 ヘスティアが側に寄りそうロバ(アス)に話しかけ、アスが周囲にいる科学者たちへ癒しを与えていく。
 そしてマリアも。
「疲れるの、どんとこいなのですよ」
 『生まれながらの光』で広範囲に癒しを与えていく。人が好きで、人を癒やすことが生きがいと感じている彼女だからこその言葉。そのために生まれてきたと言えるのがマリアの本質。

 二人の手助けで衰弱や疲労の部分は大きく回復できた。後は、足腰が弱っている者の対処。
 そこへ手を差し伸べるのは夕月……の『影獣』。多尾の獣の形をした影、ティン。
「ゆっくりかつ丁寧に、よろしく。ティン」
 夕月の指示に従って、ティンが科学者たちを背に乗せる。
 そして、ミニステリアリスの『万能錬成カミヤドリ』で担架が模造・複製される。
「こちらで運べる分は任せてください」
 その担架を念力で浮遊させるミニステリアリス。極力負担をかけないように慎重に操作して、科学者たちを運び出していく。
「ではでは車椅子でも作りますゆえに!」
 パルミリーリルもレプリカクラフトを再度使用して、今度は車椅子を作成し、ティンと担架で運びきれない人を乗せていく。こちらは人力が必要なので、シュデラや紗希、ウルフシャといった手が空いているメンバーの力も借りて。
 ……一部、ウルフシャの格好に視線を注ぐ者もいたりしたのだが。
「格好は気にするでない、重要なのは、助けに来たもの、ということじゃろ?」
 というウルフシャの言葉は本当に正しい。

「オッケー、いこう!」
「こんなところに居ちゃいけませんからねぇ!」
 紗希の言葉にパルミリーリルも同意を返して。
 猟兵たちによる被害者の救出最終段階。離脱のターン。
「先頭、行くわ」
 夕月が先導する形で、コンピューター室を脱出。
 それに続いて、20弱の担架をコントロールしながらのミニステリアリスが。
「安全圏に着いたら専門家に診てもらいましょう」
「まずはご飯を作ってあげますね」
 亜夜とマリアが歩いて脱出する人々に声をかけて励ましながら側に寄り添う。
 続いて車椅子を押して歩くシュデラ、ウルフシャが続き。
 最後がヘスティア。
「アベル、ロックをお願い」
 入り口に対してハッキング。これまでと違ったロックを仕掛けておく。ついでにセキュリティに偽装データも流しておいて。これが時間稼ぎになればいい。

 殿のヘスティアが追いついてきたのを確認してウルフシャが再び歩を進める。
「他にもあるなら、探してみぬとな」
 小さく呟いたウルフシャの言葉。
 他にもまだ囚われている人がいるかもしれない。であるなら、足を止める理由はまだないはずだ。
 その想いを胸の片隅に置きつつ。猟兵たちはまずは目の前の人々を安全圏まで送り届ける。

 救出活動、完了。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月20日


挿絵イラスト