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アルカディア争奪戦㉖〜リュカーオーンの創世、真紅

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #帝竜『大空を覆うもの』

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#帝竜『大空を覆うもの』


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●『大空を覆うもの』
 凄まじく濃密な大気が凝縮していく。
 その気配を、この空中庭園に転移した猟兵たちは感じただろう。
「……わたしは ブルーアルカディアの雲海 大気の集合体……」
 顕現するは帝竜『大空を覆うもの』。
 語る言葉は荒唐無稽であった。信じがたいものであった。けれど、猟兵たちは即座に理解しただろう。
 その言葉の全てが偽りなき真実であると。

 形作った竜としての姿など問題いはならない。数十kmにも及ぶ巨大さ。
 これまで猟兵達が対峙してきた帝竜の中でもさらに巨大な部類。だが、特筆すべきは、そこではない。
「わたしこそが|『拒絶の雲海』《アルカディア・エフェクト》 この世界の空そのもの……」
『大空を覆うもの』に守る物があるのだとすれば、それは『アルカディア』であった。
 けれど、彼は願う。
 この『アルカディア争奪戦』が願いのために始まった戦いであるというのならば、『大空を覆うもの』にもまた願いがあったのだ。

「……わたしは『主』の側にいたいのだ…… 帝竜『ワーム』 あの中に 死んだはずの『主』がいたのだ……」
 理解を求める声が響き渡る。
 猟兵たちには理解できぬ言葉であったかもしれない。
 けれど、そんなことなど些細なことであった。『大空を覆うもの』が望むのは唯一。
『主』と呼ばれたものの側へ在ること。
 ただそれだけ。
 慕情にも似た感情の発露。

 それによって『大空を覆うもの』は支えられている。
 己の存在意義全てを賭してでも叶えたい願い。切実なる願い。人はそれに名前をつけるであろうが、『大空を覆うもの』にとって、それは名前の必要としない感情であった。
 故に、願いの障害を滅ぼす。
 疾くこの戦いを終わらせる。
「……そして わたしは『主』の元へ……――」

●アルカディア争奪戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。『アルカディアの玉座』に至る空中庭園の一つに現れた帝竜『大空を覆うもの』……かの存在を打倒しなければなりません」
 彼女の表情は重たいものであった。
 帝竜『大空を覆うもの』は巨大な体躯を持っている。だが、それは何の問題にもならない。
 問題が在るとすれば、それは唯一つの事実。

「『大空を覆うもの』は、『ブルーアルカディアの大気そのもの』なのです。つまり、これを倒すためには『ブルーアルカディアから全ての大気を消滅させない』といけないのです」
 つまり、事実上の不滅。
 大気を滅ぼし切ることなどできようはずもない。
 絶対に倒すことのできない障害が、今まさに猟兵たちに立ちふさがっているのだ。
「ですが、この今の『大空を覆うもの』は凝縮した大気の状態。ならば、この大気を散らすことができれば、一時的に『大空を覆うもの』の顕現を妨げることができるのです」
 彼女の言葉は、やはり途方も無いことのように思えた。

 けれど、やらねばならない。
 猟兵たちは彼女の言葉を信じるしか無い。同時にナイアルテは力強く頷く。
「そして、私が皆さんをただ徒に死地に向かわせることなどあり得ません。私の予知には、『赤い霧の翼』が見えました。それは力強く、皆さんの助けになるように思えるものでした」
 彼女が語る『赤い霧の翼』が如何なるものであるかを、猟兵たちは未だ知らない。
 けれど、彼女の言葉を信じるほかないだろう。
 戦いとは常に蓋を開けてみなければわからないものである。途方も無い存在と戦い、これに勝利してきた猟兵であるからこそ飛び込める戦場があるのだ――。

●創世の翼
 転移した猟兵たちは、困惑したかもしれない。
 戦場となる空中庭園に満ちて、凝縮されていく大気。その膨大な魔力。
 けれど、それ以上に猟兵たちを驚かせたのは、脳内に直接響く声であった。
 魔力に満ちた少女の声。
「私は、もう待ちません。必ず会いに行きますから、今はこれで持ちこたえて……!」
 それは一方的な語りかける言葉であっただろう。
 けれど、不思議と悪いものではないと思える。

 次の瞬間、猟兵たちの背には『赤い霧の翼』が現れ、『真の姿』が発現する。
 目の前の『大空を覆うもの』は確かに窮地に値するほどの強敵。されど、己の背に生えた『赤い霧の翼』は――。

 いや、理解できる。
 大気である『大空を覆うもの』を『物理化して破壊する』能力だ。
 だが、これは諸刃の力だ。
 長時間使用すれば、己達と言えど体が保たないと理解できる。
 これがナイアルテの予知にあった勝利を確信に導く力。ならばこそ、猟兵たちは己の最大最強の一撃を持って『大空を覆うもの』を討ち果たさなければならない――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『アルカディア争奪戦』の戦争シナリオとなります。

 ブルーアルカディアの大気そのものである『大空を覆うもの』との戦いのシナリオになります。
 その名の通り、帝竜となった『大空を覆うもの』は大気そのもの。
 倒すには大気そのものを一つ残らず消滅させなければなりません。それができようはずもないことは理解できると思います。

 この凝縮した大気そのもたる『大空を覆うもの』を散らせば、一時的に顕現を妨げることができるのです。
 それでも一時的にしかすぎず、凌ぐことしかできないでしょう。
 ですが、戦場に転移した皆さん脳内に響く謎の少女の声と共に『赤い霧の翼』が生えた『真の姿』へと変身します。
 これにより、大気である『大空を覆うもの』を『物理化して破壊する』能力を得ることができます。

 この力は強大そのもの。
 長くは持ちません。故に、皆さんの持てる最大最強の一撃を放ち、素早く離脱する必要があるのです。

 プレイングボーナス………「赤き翼の真の姿」に変身し、最大最強の一撃を放つ。

 それでは『アルカディア争奪戦』、屍人帝国の野望を打ち砕くべく雲海を進む皆さんの冒険と戦いの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『帝竜『大空を覆うもの』』

POW   :    雷災体現
自身の肉体を「稲妻の【渦巻く漆黒の雲】」に変える。変身中、雷鳴電撃・物理攻撃無効・通電物質内移動の能力を得る。
SPD   :    災害竜招来
自身の【肉体を構成する雲海】を代償に、1〜12体の【様々な災害を具現化したドラゴン】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    魔竜真空波
全身を【触れたものを破壊する真空の波】で覆い、自身の【大きさ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アシェラ・ヘリオース
アドリブ・連携歓迎

「誰とは知らぬ遠き御仁、感謝を」
紅い霧の翼を背負い、新の姿たる近衛装束に身を包む
最大最強の一撃となれば、これに尽きる
手にした物質化する程の超高密度の理力で作成した「破天槍」
そこに自身の根こそぎのフォースを叩き込み臨界させる

「お前の主はここにはいない……骸の海で静かに眠れ」

極限に闇理力を収束させ、臨界直前で『大空を覆う者』へと切っ先を向け

『黒気収束臨界突破……破天が一槍をここに示さん!!』
天を破れとばかりに投擲する

後は余力を使い果たし、風のままに自動航空モードで戦場を去るのみだ



 ブルーアルカディアの大気そのもの。
 全ての大気が帝竜『大空を覆うもの』であるのだという。
「……わたしこそが ブルーアルカディアの雲海 大気の集合体……わたしの肉体は大気そのもの 荒れ狂う雷の嵐……」
 帝竜『大空を覆うもの』にとって、この戦いは願いを叶えるためのものであった。
 彼の願いは唯一。
 己の『主』の元へ往くこと。
 ただそれだけなのだ。
 慕情にも似た感情と共に彼は往く。

 目の前に迫る猟兵たちを滅ぼし、疾く『主』の元にいく。
 それがどんなに遠く、世界をまたぐのだとしても、それでも。どうしても行きたいと願うのだ。
 大気がなくなれば、ブルーアルカディアに生きる者たちは死ぬだろう。
 それこそ世界の滅びに他ならぬ。
 故に猟兵は、勝てぬ道理なき戦いに身を投じるのだ。
 しかし、その勝ち筋の見えぬ道を照らすものがあった。

「誰とは知らぬ遠き御仁、感謝を」
 アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)は、しかしてその願いの障害として立ちはだかる。
 大気は濃縮し、今にも雷の嵐と成って彼女を襲うだろう。
 だが、彼女の脳内に響く魔力を持った声が彼女の『真の姿』を開放する。
 背に生えるは『赤い霧の翼』。
 みなぎる力は、不可能を可能にする。

 即ち、『大気そのものを物理化する力』。
 どんなに『大空を覆うもの』が強大で、その大気そのものであるという特性を持つのだとしても、アシェラは今、その大気そのものを砕く力を得たのだ。
 近衛装束に『赤き霧の翼』が映える。
 だが、同時にアシェラは理解する。
 この力は強大過ぎる。
 己の力をさらに上回る力でもって、肉体が保つのは僅かに一撃の間だけだ。それ以上は肉体が砕けてしまいそうだ。

「お前の『主』はここにはいない……骸の海で静かに眠れ」
 掲げるは闇のフォース。
 収束される形は槍。己の肉体に残る全てのフォースを籠めた破天の槍。
 限界などとうに超えている。
 だが、その限界を常に超えていくことこそが猟兵に求められるものだ。

「……だからこそわたしは 此処より『主』のもとにいく…… お前たち猟兵が道を阻むのならば それを排して私は『主』の元へ……」
「それは叶わぬよ」
 ただそれだけか目的。
 ならば、それを砕く。
 天に在るのは、絶・破天槍(フェイタリティ・ブラストスピア)。
 極大にまで膨れ上がったアシェラの中にあるフォースが形を成した槍。

 己の身を削ぎ落とすかのように吸い上げられて形を作り上げた槍は、彼女の手にある。
 振りかぶった瞬間、肉体が悲鳴を上げるのをアシェラは理解しただろう。
 骨が軋む。
 肉が引きちぎれる。
 体中の血管という血管がちぎれるような感触を覚え、それでもなお、彼女は槍を放つ。
「黒気収束臨界突破……破天が一槍をここに示さん!!」
 放つ一撃は天を破れと言わんばかりの極大なる力。
 余力などあろうはずもない。

 放たれ、刺し穿つ槍は『大空を覆うもの』すら貫いて、その大気そのものを打ち砕く。
 震える手。視界がにじむ。
 アシェラは砕かれた大気そのものが生み出す気流に乗って、その場を後にする。『赤い霧の翼』はすでに消失しているが、けれど、アシェラは感じるだろう。
 己を運ぶ風。
 大気は全てが『大空を覆うもの』。
 されど、己の死力を尽くした後を運ぶのは暖かな風であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ連携OKです

この力は?
でも、この世界を守るための力なら……!

超力陽子加速砲・天火明準備!

紅路夢、阿穹羅、炎属性フレアバースト弾装填、制圧射撃で、天火明の範囲まで寄せて!

ヨナはエネルギー充填開始、ぼくの今の力と同調させて。

きこやんはヨナに結界を!
有効範囲に入ったらセーフティ解除!

ユーベルコヲド、超力陽子加速砲アメノホアカリ!撃て!!

この一撃がぼくにとっての最強の一撃……!
使い切ったら離脱して!

なんだったんだろう、あの声は……。
どこかで聞き覚えのあるような……。



 声が聞こえた。
 幻聴などではない。魔力を感じる確かな声。
 同時に己の中にみなぎる圧倒的な力が国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女・f23254)の中に荒れ狂うようだった。
 その力の発露は、彼女の背に『赤い霧の翼』として現れる。
「この力は?」
 悪いものには思えなかった。
 けれど、体が保たない。
 圧倒的な創世の力。それが猟兵の肉体をして、長く使うことを躊躇わせるものであった。

 だが、鈴鹿はすでに決心している。
「でも、この世界を守るための力なら……!」
 やってみせなければならない。
 例え、この世界の大気そのものであり、決して倒す事の出来ない存在なのだとしても、それでも倒さねば『大空を覆うもの』は世界を跨ぎ、『主』と呼ぶ存在の元に向かうだろう。
 誰かの隣にありたいと願う慕情の如き感情。
 わからなくもない。理解もできる。けれど、それでもさせてはいけないことがあるのだ。

「ぼくの超決戦機械!」
 鈴鹿の瞳がユーベルコードに輝く。
 超力陽子加速砲・天火明(ポジトロンキヤノン・アメノホアカリ)が彼女の元に現れ、力を注ぎ込んでいく。
 超決戦機械に彼女の発明したフロートバイクやキャバリアがエネルギーを注ぎ込んでいく。
 さらに、鈴鹿は彼らを持ってして『大空を覆うもの』の濃縮した大気を己の決戦機械の射程へと引き寄せる。
「ヨナ、エネルギー充填開始。ぼくの今の力と同調させて」
 みなぎる力は暴れ狂うほどの力。
 体の節々が痛い。
 ただ、こうして在るだけで骨身が砕かれるような思いであった。

 けれど、そこに雷撃が走る。
『大空を覆うもの』とて、ただ座して攻撃されるのを待つ存在ではない。
「……邪魔をしないでくれ 猟兵……わたしは ただ行きたいだけなのだ……」
 その言葉は哀切にも似た響きがあったかもしれない。
 そう感じるのは鈴鹿の感受性故であったかもしれない。
 けれど、それでも彼女は雷撃を結界で防ぐ。『真の姿』と『赤い霧の翼』。それを合わせることに寄って途方も無い雷撃すらも防ぐことができる。

 だが、長く保たない。
 あの声の主は、自分たちに会いにいくと言った。
 待っていて、とも言った。
 ならば、邂逅する日は遠くはないのだろう。
「ユーベルコヲド、超力陽子加速砲アメノホアカリ! 撃て!!」
 鈴鹿の瞳が限界まで輝く。
 己の持てる最強にして最大の一撃。
 超決戦機械から放たれる超弩級たる一撃。その光条は空を染め上げる。

 大気すら砕く力。
 それを可能とした『赤い霧の翼』が鈴鹿の背から放出されるようにして空に広がる。
 極大の一撃は、『大空を覆うもの』を貫く。
 砲撃の衝撃のままに鈴鹿の体が吹き飛ばされていく。力という力を解き放った反動であろう。
 彼女の体は、キャバリアやフロートバイクが支えてくれる。
 痛みが体中に走る。
 力の代償は軽くはないものであった。
「なんだったんだろう、あの声は……どこかで聞き覚えのあるような……」
 鈴鹿にはわからない。

 大気すら砕く力をもたらした赤い霧は、もはやそこにはない。
 あるのは広がる青空だけだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!

オー! 何やら副作用がありそうデスガ、ありがたいデース!
どこのどなたか存じマセンガ、助勢感謝いたしマース!
この『赤い霧の翼』が如何なるものか……それを検証するのは戦後の話!
今は、この力を借りて強敵を討ち果たしマース!

真の姿、軍装を纏い赤き霧を背から生やして、攻撃開始。
物理戦闘が通じるようになるのなら、我輩の活躍時であります。
稲妻の渦巻く漆黒の雲であろうとも、この刃で捉えることができるのであれば、倒すことは可能。
雷鳴電撃すらも切り伏せて、大空を覆うものを一刀両断にするであります。
一撃では終わらないであります。その身を一片たりとも逃さぬよう、斬り刻んでいくであります。



 少女の声が響く。
 脳内に、そして即座に理解することができるだろう。
 己の『真の姿』が発露し、その背には『赤い霧の翼』が力の象徴として大空に映える。
「オー! 何やら副作用がありそうデスガ、ありがたいデース!」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は軍装を纏った姿へと変身し、その身のうちに暴れ狂うかのような力に呻く。
 痛みが走る。
 体が長時間この力を受け入れられないと悲鳴を上げているようであった。

 だが、この力があれば、とバルタンは理解する。
「どこのどなたか存じマセンガ、助勢感謝いたしマース!」
 痛い。苦しい。息が乱れる。だが、それでもこれならば、と思うのだ。この力があれば如何に『大空を覆うもの』がブルーアルカディアの大気そのものであったとしても、物理化して砕くことができる。
 検証の余地はある。
 けれど、それはまた別の機会にしなければなるまい。
「今は、この力を借りて『大空を覆うもの』、あなたを討ち果たしマース!」
「……邪魔をするな 猟兵…… 私はただ 世界を移動したいだけだ……『主』の元に そばにいたいだけなのだ……」

 慕情にも似た感情。
 ただそれだけの願い。
 このアルカディア争奪戦が願いを叶えるための戦いであることは今でもない。六大屍人帝国の首魁たちもそうであったように、『アルカディアの玉座』を守るものたちにも願いがあるのだ。
『大空を覆うもの』にとってのそれは、ただ『主』のそばにいたい、という些細なこと。
 だが、ブルーアルカディアの大気そのものである『大空を覆うもの』がいなければ、世界が滅ぶ。
「それは許されぬ願いデース! 例え、大気そのものたる貴方に切実たる願いがあるのだとしても!」
 稲妻渦巻く漆黒の雲をバルタンの刃が切り裂く。

『赤い霧の翼』が齎す力は圧倒的であった。
 大気を物理化する力。
 それは謂わば、世界の理を変える力だった。大気はつかめない。大気は切り裂けない。大気は滅ぼせない。そんな理そのものを捻じ曲げるかの力。
 この力が一つの体の中にとどまることなどあるはずもない。
 軋む体を押して、バルタンは空をかける。

 雷撃を斬り伏せ、雷鳴を切り裂く。
 その彼女の背には『赤い霧の翼』が迸る。
「一刀両断するでありマース!」
 剣刃一閃たるユーベルコードの斬撃が物理化された大気を切り裂く。帝竜『大空を覆うもの』として顕現した体躯すらも問題なく切り裂く。
 ただの一撃では終わらない。
 終われるわけがない。己の肉体が持ちこたえる限り、バルタンは斬撃を放ち続ける。

「……ただ 行きたい その願いすら叶わぬというのなら……」
 雷撃がバルタンに走る。
 それを切り裂きながらバルタンの手にした刃が空を駆け抜けるのだ。
「その一辺たりとて逃しマセーン!」
 斬撃が嵐のように『大空を覆うもの』の体躯を切り裂いていく。
 完全に滅ぼすことはできないだろう。
 けれど、物理化した大気を切り裂き霧散させることはできる。顕現を一時的に妨げるのならば、勝機はある。

 バルタンは軋む体を押して一直線に剣閃を走らせながら、『大空を覆うもの』という戦場そのものたる帝竜の真っ二つに割り駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クーナ・セラフィン
え、帝竜ワームって言動だけで酷い性格っぽかったあの?
…そっかー。
少女の声は気になるけど今はあの帝竜を撃退しなきゃね…!

陽だまりのオーラで全身覆い結界術で補強、真空の波に備え突撃時に反撃を狙う。
…帽子に飾ってる不滅の薔薇に反応するかなー。
接近タイミング見切りUC発動、帝竜周囲の大気を固定し動きを封じる。
物理化してる状態で急停止した反動で出来た隙に銀槍手に一気に切り込む。
ありったけの魔力を槍に籠め、防御封じられてる帝竜の眼に斬撃波を伴うランスチャージの一撃ぶち込み串刺しに。
急停止の反動込みで出せる最高の一撃、喰らわせたら即離脱するよ。

※アドリブ絡み等お任せ
真の姿は服装のみ変化、令嬢のような黒ドレス



『大空を覆うもの』の体は数十Kmにも及ぶという。
 正確な大きさはわからない。
 あまりにもスケールが違いすぎたからだ。
 けれど、それ以上に『ブルーアルカディアの大気全て』である『大空を覆うもの』を捉えることはできないのだ。
「……わたしはただ『主』のもとに ゆきたいだけなのだ……」
 ただそれだけのために『大空を覆うもの』は猟兵たちを排除する。
 この戦いが終われば、彼は『アルカディア』の元より『主』の元へと向かう。
 帝竜『ワーム』と呼ばれた存在。

 猟兵たちの中には、その名を知る者もいるだろう。
「え、帝竜『ワーム』って言動だけで酷い性格っぽかったあの?」
 羽つき防止を揺らしながらクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は、『大空を覆うもの』がそばに在りたいと願う『主』のことを知る。
 それが慕情の如き感情であることはわかる。
 誰もが一度は願うものであったのかもしれない。

 けれど、それは叶えてはならない願い。
『大空を覆うもの』がブルーアルカディアの大気全てであるというのならば、彼なくばブルーアルカディアの人々は生きてはいけない。
 顕現を阻むために猟兵たちは、この大気そのものに戦いを挑まねばならないのだ。
 クーナの体がひだまりのオーラに覆われていく。
「……猟兵 わたしの邪魔をするな わたしはただ『主』のもとにありたいだけなのだ ただそれだけのことなのだ……」
 真空の波そのもとなった『大空を覆うもの』が空を駆け抜ける。

 クーナの帽子に飾った狩れず美しく咲き誇る赤薔薇が、風に揺れる。
 不思議な声が頭の中に響く。
 同時にクーナは己の背に『赤い霧の翼』が噴出するのを感じただろう。凄まじいまでの力。
 身にまとう黒きドレスは令嬢のごとく。
 されど、クーナが携える細剣は天を突いている。
「この少女の声……気になるけど、今はあの帝竜を撃退しなきゃね……!」
 迫る真空の波を固定する。
 不滅の薔薇から大気を物質化させ、固定化させる香気が放たれる。

 それは『大空を覆うもの』に特化した力であった。
「……わたしのうごきが 止まる……なぜだ なぜわたしの道行きを阻む 誰もが願うことだ 誰もが当然のように有していることだ なのに なぜわたしだけが『主』の元に向かうことが許されない……」
 ただそうありたいという願いは純粋そのものであったことだろう。

 けれど、クーナの瞳に輝くユーベルコードは、悪しき薔薇は停滞を(ローズバインド)齎すものであると知らしめる。
 過去の化身は世界を固定する。
 停滞した時は世界を壊す。
 ブルーアルカディアの世界に生きる人々は今を生きている。
 そして世界の悲鳴に応える猟兵であるのならば、それを成さしめんとしている者を排除するのだ。
 みなぎる力は細剣から放たれ、『大空を覆うもの』を完全に固定化する。

 急停止した『大空を覆うもの』めがけてクーナはありったけの魔力を銀槍へと籠め、空を走る。
『赤い霧の翼』が空に迸り、彼女の黒いドレスが風に揺れる。
 長くは保たせられない。
 ユーベルコードだけではなく、己の自身の体も与えられた力に耐えられない。
 打ち込めて一撃。

 故に彼女は『大空を覆うもの』へと迫る。
 目の前には巨大な目。
 そこへクーナは飛び込んでいく。急停止の反動、魔力に寄る噴射によって加速を得た彼女のランスチャージの一撃。
 それが重なり合って、『大空を覆うもの』の頭部を撃ち抜く。
「神懸かりな力だね。おかげで貫ける」
 大気が砕けていく。
 その『赤い霧の翼』が羽ばたき、霧消していく。
 クーナの体に宿った力は、肉体を壊す前に消えていくのだ。痛む体を抑えながら、クーナはされど穿たれた大気、『大空を覆うもの』の眼窩を見やるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

あれが
帝竜『大空を覆うもの』さん…

少女の方のお声…
帝竜さんを倒せるお力が
私達に…?

『…なら…私達のすべき事は…!』

【SPD】

「『赤い霧の翼』が生えた『真の姿』」に変身し飛翔

敵の攻撃を
【第六感】【見切り】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避しつつ
【空中機動】【滑空】等
【空中戦】で
一気に帝竜さんの元まで
飛びつつ

【第六感】【早業】総動員し
即座に
UC発動

ありったけの『力』を
UCにのせ
ヴォーパルソードを
振るうと共に
帝竜さんに
強大な光焔の奔流を
放ち

『当たって…下さいっ…!』

直ぐ様
【空中機動】【滑空】で
離脱

離脱しつつ
ふと
頭に響いた声の事を想い…

(一体…どんな方…だったのでしょうか…)



「あれが帝竜『大空を覆うもの』さん……」
 アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は、その巨体を全て見ることはできなかった。
 数十Kmにも及ぶ巨体。
 それはブルーアルカディアの大気が濃縮して顕現した帝竜としての『大空を覆うもの』の姿であった。
 竜の如き顎を持っているのは、濃縮したが故であろう。
 形を持っているようでいて、大気そのものであるという特性を持っている。
 故に猟兵には、この大気を散らすことでしか顕現を妨げることができなかった。

 けれど、アリスの脳内に魔力在る言葉が響き渡る。
「少女の方のお声……」
 アリスは不思議な気持ちであったことだろう。不思議と声の主は悪いもののように思えたなかった。
 次の瞬間、己の『真の姿』と共に『赤い霧の翼』が背より噴出する。
 荒れ狂うかのような力の奔流。
 身が軋む。
 理解しただろう。これが大気すら砕く力。猟兵である自身ですら持て余す力。
 長くは保たせられない。

「……なら……私達のすべきことは……!」
 アリスは大空を飛翔する。
 空の青。雲の白。翼の赤が
 世界を三等分する。
 そして、アリスは知るだろう。迫るは様々な災害を模した竜たちの群れ。
 そのどれもが強大な力を持っている。
 巨大であるということは、それだけで攻撃の範囲が広いということだ。人の力ではどうしようもないほどの災害。
 自然の猛威そのものがアリスを排除せんとせまっているのだ。

「……おまえたちがわたしの願いを阻むというのなら すべて滅ぼしてゆこう それがわたしのできることだ……」
『大空を覆うもの』はただ『主』の元にありたいのだという。
 ただそれだけを願っている。
 純粋な願いであるといえるだろう。けれど、それは成してやるわけにはいかないのだ。
 災害そのものたる竜の咆哮に結界術が削れ、オーラの防御すら砕けていく。
 アリスはけれど飛ぶ。
 己の限界を超えていく。

 痛みが走る。
『赤い霧の翼』の力は凄まじい。だからこそ、一撃に全てを懸けるしか無い。
「その願いは……純粋なのでしょう。私にもわかります……叶うことなら、邪魔なんてしたくない。誰かのそばにいたい、一人でいたくないという想いは……!」
 確かに理解できることであったからだ。

 けれど、彼女は世界を守る。
 森羅万象全てを断ち切るヴォーパルソードの刀身がユーベルコードに輝く。
 神殺したる力。
 光焔の奔流が振るった刀身より放たれる。
「当たって……くださいっ……!」
 打ち込まれるは、アリスセイバー・ヴォーパルソード。
 あらゆるものを切り裂く力は、大気すら切り裂く。力の奔流は、それだけで大気を砕いていくだろう。
『赤い霧の翼』が消失していく。
 
 一撃を放つだけで精一杯だったのだ。
 これ以上は体を壊す。だからこそ、その力はユーベルコードの一撃を放ったアリスから抜けていく。
「……あの声の、方は……どんな方だったのでしょうか……」
 滑空していく。
 砕けていく帝竜の姿を横目にアリスは、離脱していく。
 戦場の戦いはまだ続くだろう。
 少女の声の主をアリスは知らない。けれど、人を想うのならば、いつか必ず繋がる。
 猟兵の戦いがそうであるように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日野・尚人
※真の姿:外見的な変化は無し、ただその身に圧縮された膨大な風を纏っています

赤き霧の翼・・・謎の声・・・分からない事ばっかりだけど助かる!
ちゃんとした礼は直接会った時に、で良いのか?
それじゃ今の俺に出来る最高の一撃をお見舞いするぜ!

<気合い>を込めた<力溜め><魔力溜め>で瞬間的な能力上昇。
<集中力><第六感>で感覚を研ぎ澄まして大気の動きを<見切り>、UC発動!
強化された<限界突破>の4回攻撃だ!

しかし洗脳されて仕えてたって分かってるのに傍に居たいとかどんな主なんだよ?
そんなに大切な奴なのか?
・・・
・・・・・・
何だったら俺の風に乗って一緒に来いよ。
あんたの一部くらいだったら連れて行ってやるぜ♪



 己の身を包むこみは暴風そのもの。
 圧縮された風は、唯其処に在るだけで荒れ狂う。日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)は『真の姿』を晒す。
 敵はブルーアルカディアの大気そのもの。
『大空を覆うもの』。
 その巨体は、全長を見通すことなどできようはずもなかった。
 けれど、砕かねばならない。

 顕現した帝竜としての『大空を覆うもの』の願いは『主』と呼ぶ存在のもとに向かうこと。
 この戦いが終わった後、彼はこの世界から移動する。
 そうなれば世界が滅ぶ。
 言うまでもないことだ。大気なき世界。人々はもちろん死ぬだろう。世界の悲鳴が聞こえてくるようだった。
 故に尚人は己の中に流れ込む力の奔流に痛みを覚えながらも、耐える。
「『赤い霧の翼』……謎の声……わからないことばっかりだけど助かる! ちゃんとした礼は直接会った時に、で良いのか?」
 問いかけに応える言葉はない。
 けれど、確信する。

 待たない、と言ったのだ。これまでは待っていたことの裏返し。
 ならば、近いうちに会うことができるだろう。
「……わたしをまたしても阻むのか ただ『主』に会いたいという願いすら お前たちは阻むのか……」
『大空を覆うもの』の言葉に尚人は迫る災害そのものたる竜の攻勢を躱す。
 気合は十分だった。
 溜め込まれた力は、『赤い霧の翼』となって放出される。
 瞬間的な能力の上昇。
 感覚が研ぎ澄まされていく。

 その度に身をきしませる痛みが走る。
 己の体に宿った力が強大すぎるのだ。保たない、と理解できるだろう。よくて一撃を打ち込むことしかできない。
 ならばこそ尚人は災害そのものたる竜を打ち据える。
 一撃で災害たる竜が立ち消える。
「……そこまでして 阻む……」
 理解に苦しむと『大空を覆うもの』は言うだろう。
 ただ、『主』の元にありたいという単純にして純粋な願いすら否定されることへの不理解。
 大気そのものであるがゆえに、顕現はさせられない。

 尚人は、人のために戦う。
「洗脳されて仕えてたって分かってるのにそばにいたいとかどんな『主』なんだよ? そんなに大切なやつなのか?」
「……わたしがそうありたいと願っているだけのこと わたしにとって それだけが在るべきこと……」
 更に迫る竜を限界を超えた拳の一撃が霧消させる。
 大気すら砕く。
『赤い霧の翼』の力は、ここまで尚人の能力を向上させる。

 だったら、と尚人は思う。
 その気持ちはわかるのだ。誰かと共にありたいと願う気持ち。それが洗脳という手段でもって齎されたものであったとしても、『大空を覆うもの』が願うのならば本物なのであろう。
 ならばこそ、尚人は言う。
「なんだったら俺の風に乗って一緒に来いよ。あんたの一部くらいだったら連れて行ってやるぜ♪」
 それは叶うのだろうか。
 わからない。
 誰も答を持っていない。どんな未来も暗闇に閉ざされている。誰も見通すことができない。

 だからこそ、生きる者は懸命にもがくのだ。
 尚人は、圧縮された風纏う姿のまま軋む腕を見えぬ大気へと、砕かれた大気へと伸ばすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

東雲・深耶
目覚めろ――『侵略機動』
世界そのものを回転させ、万象を削り取れ
正しく紅い竜の翼を背中から生やし、同時に艶やかな黒髪が燃え上がるような紅の長髪へと変色していく

行くぞ――ヴァラケウスよ、世界そのものを回転させる|力場《ヤイバ》たる『侵略機動』を以て、稲妻の渦巻く漆黒の雲の肉体となった『大空を覆うもの』を削り取れ!
幾ら物理攻撃無効があったとしても、次元その物を削るこのUCを前には無力
雷鳴攻撃も『侵略機動』の力場で受け止めて削り、勢いを殺して防御していくぞ

そして一撃、だ!
時空間切断剣術により『侵略機動』の力場を飛ばし、帝竜に一撃を加えた後離脱するぞ



「目覚めろ――『侵略機動』」
 東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)は大空の世界に在りて、そう呟く。
 身の内側をうねるようにして駆け巡る力は、己の『真の姿』へと昇華していくことだろう。
 背より放たれるは『赤い霧の翼』。
 それが力の発露であると知る。赤い霧の奥より現れるのは紅い竜の翼。
 そして、つややかな黒髪が燃え上がるように紅へと変わっていく。

 身が削れるような痛みが走る。
 骨が軋む音が走る。
 強大な力は、それだけで猟兵の体を壊すほどであった。これが創世の力。保たないと理解できるだろう。
 一撃が限度だと。
 だが、深耶にとって、それで十分であった。
「世界そのものを回転させ、万象を削り取れ」
 ユーベルコードが瞳が煌めく。

「行くぞ――ヴァラケウスよ、世界そのものを回転させる|力場《ヤイバ》たる『侵略機動』を以って」
 削り取れと叫ぶ。
 迫るは『大空を覆うもの』そのもの。
 大気そのものである帝竜が纏うのは稲妻。迸る力の奔流は、圧倒的であった。
 大気は傷つかない。切り伏せることも、砕くことも叶わない。

 どんな事象を持ってしても大気は大気のままである。 
 だが、今猟兵たちの身に宿っているのは創世の力。『赤い霧の翼』の発露は、その証左。
「どれだけ物理攻撃無効があったとしても、次元そのものを削るこのユーベルコードを前には無力」
 削る。
 削り取る。
 ただそれだけのことだ。『赤い霧の翼』が齎す力は、大気すら砕く。大気は砕ける。そう世界の理を変えるかのような圧倒的な力。

「……阻むな わたしの道行きに立つな 猟兵 わたしはただ移動したいだけだ わたしがわたしのままに 『主』の元へ ただそれだけなのだ……」
 そうすれば世界は滅びる。
 大気失った世界は、人の生命では生きられない。
 魔獣であっても耐えられないだろう。故に世界が滅びる。だから、その願いは成就させるわけにはいかないのだ。

「諦めろ。その願いは叶えてはならぬもの」
 紅竜界閃・炎と界司りし竜王の権能宿りし一閃(ソノリュウノナハヴァラケウス)。
 その一撃は世界を回転させる力を用いいた居合の一閃。
 放つ斬撃は創世の一撃。
 大気を砕く一閃は、『大空を覆うもの』の巨体を一撃のもとに切り裂いて砕く。

 ただ、それだけで身をきしませる力が抜けていくのを感じただろう。
「やはり、これ以上は無理か。あの少女の声、『真の姿』の状態であっても、保たぬほどの力……」
 深耶は戦場を離脱する。
 巨大な体躯を切り裂き砕いた力。
 創世そのもの。
 その力の一端を垣間見た。謎の少女の声。その主と邂逅する未来もまた間近に迫っているのかも知れない。
 そう予感をいだきながら、大空より紅の翼を羽撃かせ飛び去るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
(真の姿ですがいつもの姿)
赤い霧の翼で空を舞いながら
最大の一撃を叩き込むべく
空をダッシュで大空を覆うものに近付きます

チャンスは一撃
けしてこちらからは仕掛けず力を溜めながらしつつ専守
敵からの攻撃はオーラ防御で耐え
激痛耐性・電撃耐性を持つ体と、勇気で凌ぐ
私以外にも近づく仲間がいればかばうことを臆さずに

雷鳴電撃にきっと悲鳴は上がります
でもけして止まらない
覚悟を決めて前に進むのです!
めいっぱい全身に力溜め、竜の顔の直上まで迫る

今迄溜めた力を全身に込め
限界突破した全身全霊の《トランスクラッシュ》こと
オーラを溢れんばかりに込めたヒップドロップで
完全粉砕を狙いますよ
これが私の全てを込めた力です。砕けぇえっ!



 体の中に流れ込んでくる魔力在る声。
 それは少女の声であった。
 不思議と嫌悪はない。ただ、身の中に溢れる力の奔流がユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)の中で荒れ狂う。
 痛みが走る。
 骨が削れるような痛み。身がひきつる。
 だが、それでも彼女の瞳は痛み以外の感情に溢れていた。

「チャンスは一撃……!」
『赤い霧の翼』が身に溢れる力の発露として大空の世界に映える。
 空を舞う。
『大空を覆うもの』の攻勢は圧倒的だった。
 攻撃の規模がそもそも違う。なぜなら『大空を覆うもの』はブルーアルカディアの大気そのものである。
 濃縮され帝竜としての形を顕現しているからこそ視認できるものであって、大気そのものに戦いを挑むことなどユーフィは考えが及ばなかったかも知れない。

 けれど、今目の前に戦うべき相手がいる。
 乗り越えるべき相手でもある。
「……わたしを障害と見なすか 猟兵 わたしにとってお前たちこそが障害 わたしの『主』の元へ至りたいという願いを妨げるもの……」
 放たれる雷撃がユーフの身を穿つ。
 だが、それを耐える。オーラは砕けたが、それでも鍛え上げられた肉体は痛みをこらえる。
 電撃にすら耐性を保つ彼女にとって、必要なのは勇気だけであった。
 力ではない。
 単純なことなのだ。
 勇気。乗り越えるための力。
 自身より大いなるものを乗り越えるために必要不可欠な力。

「――ッ!!!」
 悲鳴が噛み殺される。
 痛みに耐えるが故に、彼女は決して立ち止まることをしない。立ち止まれないのだ。
「……とうに限界を超えているはずだ なのに 何故まだ痛みを堪えている……」
「覚悟」
 ただ一言ユーフィは呟く。
 そう、全ては覚悟の上なのである。
 雷撃すら物ともせずに彼女は空を飛ぶ。『赤い霧の翼』の力だけではない。堪え、耐え、迫る。
 一歩を踏み出す。
 その恐ろしさに比べれば、痛みを受ける恐ろしさなど些細なことなのだ。

 ユーフィの体が『大空を覆うもの』の竜の眼前にまで迫る。
 今まで溜めに溜めた力を全身に巡らせる。
「鍛えられた肉体! これが私の全てを籠めた力です」
 放たれるはトランスクラッシュ。
 オーラが溢れんばかりに放たれ、ユーフィの臀部が『大空を覆うもの』の頭部を打ち砕く。
 大気すら砕く力。
 創世の力宿る一撃は、大気そのものさえも亀裂を走らせる。
「砕けぇえっ!」
 気合一閃。

 放たれた肉体は鉄槌そのもの。
 ユーフィはその一撃の元に砕けぬものを砕く――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

神城・瞬
どこのどなたかは知りませんが、お力お借りしますよ。ただ、大きすぎる力のようですが・・・

両目が赤くなり、銀髪の真の姿発動。

【オーラ防御】【第六感】で攻撃に耐えつつ、【エネルギー充填】【魔力溜め】【多重詠唱】で全力の一撃を放てるように供えます。

攻撃が通用するようになったら、【限界突破】で【全力魔法】で疾風閃!!この一撃に全身全霊を賭ける!!

大切な人の元へ帰りたいという気持ちが良くわかる。でもそれが多大な犠牲によって成し遂げられるなら止めなければならない。貴方はここで終わりだ!!



 神城・瞬(清光の月・f06558)は謎の声に感謝した。
 魔力在る言葉と共に身に宿るのは『赤い霧の翼』。
 身を引き裂かんばかりの力の奔流。
 長くは保たないと理解できてしまうほどの力だ。何故ならば、それは『大気を砕く』ことさえできる。
 即ち、世界の理を書き換えるかの如き創世の力。

 大気は切り裂くことができない。無論、砕くことなどできない。
 故に『大空を覆うもの』は絶対に倒す事の出来ない存在であったのだ。けれど、この創世の力があれば、大気すら砕くことができるのだ。
「どこのどなたかは知りませんが、お力お借りしますよ。ただ、大きすぎる力のようですが……」
 彼の瞳が赤く輝く。
 銀髪が風になびき、真の姿が発露したことを示すだろう。
『赤い霧の翼』は、力の象徴。発露そのものだ。

 迫る雷を前にオーラの力で耐える。
「……阻むな わたしを ただ『主』の元に在りたいと願う ただそれだけすら許容できないのならば 滅ぼすのみ……」
 叶えられることのない願いである。
 叶えてはならない願いでもある。
 ブルーアルカディアの大気そのものたる『大空を覆うもの』。
 彼が世界を移動すれば、ブルーアルカディアには大気が存在しなくなる。そうなれば、生命は絶滅するだろう。

 それはさせてはならないと瞬は理解している。
「大切な人の元へ帰りたいという気持ちがよくわかる」
 誰もが願うことだ。 
 誰もがそうあっていいと思える願いだ。
 純粋そのものであるとさえいえるだろう。
 けれど、それはダメなのだ。どんなに純粋であろうとも、どんなに尊い願いであろうとも。
 瞬は多くの生命と純粋な願いを天秤にかける。

 支天は己。
 誰もが心に天秤を持っている。
 傾くのは多くの生命。
「でもそれが多大な犠牲に寄って成し遂げられるなら止めなければならない」
 世界の悲鳴に応えるのが猟兵であるのならば、瞬は正しく猟兵であったことだろう。
 生命は奪わせない。

 体の中に荒れ狂う力が骨身をきしませる。
 痛みが走る。
 構えるだけで、激痛が何処までも深く走る。魂すら傷つけているのではないかという痛みが、瞬を苛む。
 けれど、止めない。
 世界を破壊しようとする者を許せない。
 多くの犠牲を強いることを許せない。ただその一点だけで瞬は己の意識をつなぎとめる。
 全力。全てを掛けた一撃でもって『大空を覆うもの』を切り裂く。
「全身全霊をかけて!」

 その願いを断ち切る。
「疾風よ、奔れ!!」
 ユーベルコードに輝く赤い瞳が見開かれた瞬間、放たれるは疾風閃(シップウセン)。
 その一撃は、衝撃波となって大空の世界を走る。
 全てを断ち切る一閃。
 しかして大気は切り裂けない。

 だが、今は違う。
『大気は砕ける』のだ。
 書き換えられたか理。その斬撃は『大空を覆うもの』を捉え、切り裂く。
「貴方はここで終わりだ!!」
 瞬は一刀の元に両断した『大空を覆うもの』の肉体を見下ろす――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
真の姿は前世の姿
口調は『覚醒時は』

誰ぞはわからぬが、ありがたく力を借りようぞ。
そして…『この世界の大気』であり『拒絶の雲海』そのもの、ということは。一種の陣地と見なせよう。

七色竜珠を全て合成、白日珠[絶縁剣形態]へ。UCを使用し、空へ。
生身の空中戦とは慣れぬが、まあ問題はなかろう。相手は大きいでな。

普段ならば、物理攻撃は無効なのであろうが…今は、こちらは通す術を持っておるでな。
白日珠にて一太刀…そして、自動的に行われる次撃が本命である。
おぬし自身を陣地と見なした以上、これは多大に効くであろうよ。

そうしてから、即座に離脱よ。妾も副作用は重々理解しておる。
憑依させた将にも負担がかかるであろうしな。



 生命の埒外たるが猟兵であるのならば、『真の姿』には一貫性はない。法則性もあるものではない。ただ、個。猟兵という括りはあれど、何一つとて同じ存在はいない。
 故に、荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)の姿は前世の姿。
 シャーマンズゴーストたる彼女の元となった人物の姿に『赤い霧の翼』が羽撃く。
「誰ぞはわからぬが、ありがたく力を借りようぞ」
 頭に響いた謎の少女の声。
 魔力在る声であった。だが、同時に与えられた力は一人の猟兵の肉体には収まりきらないものであった。

 荒れ狂う力。
 長時間使用すれば、肉体どころか魂さえも砕けてしまいそうな力だった。
 だからこそ、檬果は見据える。
 このブルーアルカディアの大気そのものたる『大空を覆うもの』。その帝竜たる姿を。
 濃縮された大気。
 姿は竜であるが、これを打倒することは絶対にできない。
 できることは、その大気を散らすことだけ。

 だが、確信していた。
 今ならばできる。『大気すら砕く』ことができる。
「『この世界の大気』であり『拒絶の雲海』そのもの、ということは。一種の陣地と見なせよう」
 手にした七色の竜珠を合成し、白色の輝き放つ絶縁剣へと形を変える。
 色は合わされば合わさるほどに濁るものである。
 けれど、光は重ねれば重ねる程に鮮やかになっていく。
 故に白色。
 光り輝く色は、空に在りて大気と赤い霧を分かつ。

 陥陣営の名、違わず(カンジンエイ)。
 身に宿すは清威将『高順』。瞳に輝くはユーベルコード。
 生身の空中戦は慣れない。けれど、問題はない。対峙する『大空を覆うもの』は、数十Kmもの巨体だ。
「振るえば当たるというもの」
 放つ斬撃の一撃が『大空を覆うもの』を切り裂く。

 なるほど、と檬果は理解する。
 これは理を書き換えるたぐいの力であるのだと。創世の力そのものであるといえるだろう。
 今だけは『大気は砕ける』のだ。
 故に彼女は背を向ける。
「……何故わたしに背を向ける 戦いは終わっていない わたしの願いを妨げる猟兵……」
「いいや、終わっているさ。おぬし自身を陣地とみなした以上……『それ』は多大に効くであろうよ」

 帝竜『大空を覆うもの』は見ただろう。
 己の頭上に在る『それ』に。
『それ』は陣を一撃で陥落させる程の槍。
 彼女のは成った斬撃は初撃。そして、彼女の持てる最大最強の一撃とは、即ち陣地を一撃で陥落せしめる槍の一撃であった。

 落ちる槍の一撃が巨大な『大空を覆うもの』を穿つ。
 亀裂走るように砕けていく大気。
 もう振り返ることはなかった。自身に迫る『赤い霧の翼』がもたらした力の負荷は、想像以上であった。
 肉体が軋む。
 痛みが迫りくる。
「憑依させた将にも負担がかかるものであるな、これは……」
 戦いは続くだろう。

 けれど、すでに己の役割は果たした。
 繋ぐのが猟兵の戦い。紡ぐは世界の命運。故に、彼女の槍の一撃はブルーアルカディアの大気そのものである『大空を覆うもの』をこの世界に繋ぎ止める楔なのである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三上・くぬぎ
真の姿:浴衣イラスト

わーい! くぬぎ、赤い羽がはえてるです!
なんだかからだもおっきくなって、げんきげんきですー!
だれだかわからないけど親切なひとです。もし今度会えたらお礼言うです!

とってもおおきいです。すごく強そうです
それに、ご主人のそばに行きたいっていう気持ちもよくわかるです
でも、ちからを貸してくれた親切なひとのためにも、くぬぎ負けないです
戦場が広ければ広いほど、くぬぎはいっぱいいっぱい虫さん呼べるですよ
召喚されたドラゴンさんもみんなまとめて、必殺、スズメバチさんいっぱいアタックですー!

虫さんはちっちゃくてもとっても頼もしくて強いです!



 謎の少女の声は魔力を伴っていた。
 流れ込む力は創世の力。
 対峙するは帝竜『大空を覆うもの』。
 その名の通り、『大空を覆うもの』はブルーアルカディアの大気そのもの。濃縮され顕現する竜としての姿さえ不定形である。
 それを砕く猟兵たちの力は、己の体をきしませるものであった。

 よくて一撃を放つのが限度であった。
 けれど、三上・くぬぎ(アウトドア派・f35607)は自身の体に翼が生えたことを喜んでいる。
「わーい! くぬぎ、赤い羽が生えてるです! それになんだかからだもおっきくなって、げんきげんきですー!」
『真の姿』。そして『赤い霧の翼』。
 それが謎の少女の声によって与えられた一時的な力。

「だれだかわからないけど親切なひとです。もし今度逢えたらお礼言うです!」
 彼女は溢れんばかりの力を得ても変わらない。
 姿形が変わったとしても、彼女のあり方は変わらない。
 目の前の『大空を覆うもの』に驚き、恐怖する。純粋な反応。すごく強そうだとも思った。
「……わたしの道を邪魔立てするな 猟兵 わたしはただ『主』の元にいきたいだけだ……」
「その気持もよくわかるです」
 くぬぎは小さな体を精一杯に伸ばして抗議する。
 いつもの体よりは大きい。
 けれど、それでも目の前の『大空を覆うもの』からすれば、とても小さなものだった。米粒と言われても頷けるほどの体格差。

 でもそれでも、彼女は立ちふさがるのだ。
「でも、ちからを課してくれた親切な人のためにも、くぬぎ負けないです」
 何より世界の命運がかかっている。
 大気がなくなるということは、この世界に生きる人々は生存できない。
 だからこそ、集まってきている大気そのものたる『大空を覆うもの』の顕現を妨げるべく振り払うのだ。

 そして、自分の力は今『大気を砕く』ことができる。
 くぬぎは、自身の肩にかけていた虫かごを掲げる。その取り出し口を開放すれば、一斉に飛び立つスズメバチたち。
「広ければ広いほど、くぬぎ、いっぱいいっぱい虫さん呼べるですよ」
 スズメバチが飛ぶ。
 だが、災害そのものたる竜が『大空を覆うもの』から放たれる。
 けれど、それに立ち向かうユーベルコードに寄て呼び出された大群は、恐れずに飛ぶ。災害だろうと、なんだろうと、そこに存在としてあるのならば。

「必殺、スズメバチさんいっぱいアタックですー!」
 どくどくパニック(ドクドクパニック)だ。
 創世の力宿るユーベルコードであれば、『大気を砕く』ことも大気に毒がめぐることもまた可能である。
 故にスズメバチたちは、その針でもって鋭く災害すら毒すのだ。
「虫さんはちっちゃくてもとっても頼もしくて強いです!」
 がんばれー! とくぬぎは応援する。
 大群が雲のように『大空を覆うもの』の巨体を縦断していく。

 それは大気そのものである『大空を覆うもの』を分断し、霧散させていく。
「『大空を覆うもの』さんは、この世界になくてならない存在です。だから、ご主人のそばにいきたいっていう願い……待ってもらえませんか」
 叶わないことだ。
 願いとして叶えるわけにはいかないことだ。
 だからこそ、心を慰めることを選ぶ。
 相容れぬ存在同士だとしても。
 その優しさを示すことは、きっと正しいことであろう。正しさには困難が満ちる。幾度打ち据える現実を前に屈することもあるだろう。

 けれど、だからこそ掲げるのだ。
 どんなに辛い現実だろうと立ち向かうために。
 くぬぎは、掲げた虫かごから飛び出し続けるスズメバチと共に大空そのものたる存在を打倒するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツナ・フィアネーヴ
|強敵との戦い《学園の課題》を何とか終わらせて来てみたら、次から次へと大変だな……出遅れたが、助太刀するぞ

(真の姿:翼としっぽが禍々しくなり翼も4つに増える)
……ぐっ、生憎こういう力に翻弄されるのは慣れている……!!
それに災害竜か、だが、それならこのケラヴノスも|同じようなもの《雷鳴と嵐の化身》だ……!!

竜神機ケラヴノスを駆り、竜神嵐翼が巻き起こす嵐の障壁と竜雷金剛爪から放つ雷で災害竜をけん制、
なにより敵の懐に飛び込むことを優先する
近づくことさえできれば、あとは全力で私の中の災禍の竜の力、停滞と沈黙の災い、【凍える世界】を放ち、肉体、精神、時間、その全てを「凍らせる」だけだ……!!



『アルカディア争奪戦』は終盤に差し掛かっている。
 数多の戦場を乗り越え、猟兵たちは『アルカディアの玉座』に迫っている。
 六大屍人帝国との戦い。
 そして、今まさに玉座の前に立ちふさがるブルーアルカディアの大気そのものたる帝竜『大空を覆うもの』。

 その力は偶然絶後。
 大気故に切り裂くことも砕くことも叶わない。絶対倒せぬと言われた存在を前にセツナ・フィアネーヴ(災禍貫く竜槍・f26235)は頭を振る。
 確かに強大な存在だ。
 けれど、彼女はこれまで|強敵との戦い《学園の課題》を何とか終わらせてきたのだ。
 日常を生きる彼女にとって、毎日が戦いの連続だ。
 槍を交えることだけが戦いではない。
「次から次へと大変だな……出遅れたが、助太刀するぞ」
 彼女の頭に言葉が響く。
 謎の少女の言葉。

 不思議と嫌な感じはしない。けれど、体に満ちる力が凄まじいものであることを即座に彼女は感じ取るだろう。
 体が軋む。
 発露した力は背に『赤い霧の翼』となって迸る。
「……ぐっ」
 思わず呻く。
 ドラゴニアンである彼女の翼は、さらに一対増え、さらには禍々しいシルエットへと変わっていく。

 彼女の手にした槍を思わず強く握りしめる。
 携えたやりは彼女の中の制御できない竜の力を封印し物質化したものだ。制御できない力との相対の仕方を彼女は心得ている。
「生憎こういう力に翻弄されるのは慣れている……!!」
 迫る災害の如き竜たち。
『大空を覆うもの』が放った力。
 それは大気故に振り払うことができない。けれど、今は違う。

 身に宿るのは創世の力。
「このケラヴノスも|おなじようなもの《雷鳴と嵐の化身》だ……!!」
 セツナを中心に現れた竜神機『ケラヴノス』が咆哮するように出力を上げていく。
 振るう翼が嵐の障壁を生み出し、剛爪から放たれる雷が迫る災害の如き竜を牽制し、耳地をこじ開ける。
「……わたしの道行きを 阻むか 猟兵 わたしの唯一つの願いすらも ただ そうあるというだけで阻むのか」
「そうだ……! お前は強大過ぎる。大気そのもの。この世界の全ての大気そのものであるというのなら、お前無くば生きて行けぬ者たちが居る……ッ!!」

 攻撃の全てを以って道を切り拓く。
 眼前にあるのは数十kmにも及ぶ雲海そのもの。
『拒絶の雲海』そのものであるという『大空を覆うもの』の巨体。膨れ上がる力。
 己の中にある災禍の竜の力と停滞と沈黙の災いをもって、これを討ち滅ぼすのみ。
 膨れ上がる感情と共にセツナの瞳がユーベルコードに輝く。
「これが『凍らせる』のが、体だけだと思うな……ッ!!」
 迸る力。
 大気は『凍りつく』。大気は砕ける。
 創世の力の発露に寄って、『大空を覆うもの』は捉えられる。

 災禍の氷嵐は、凍える世界(エアオーベルング・フェアツィヒト)を生み出すだろう。
「肉体、精神、時間、その全てを『凍らせる』……!!」
 竜神機が咆哮する。
『赤い霧の翼』が空を分断する。
 白と青。その間を流れる赤。
 雲海の白と天の青。乖離するは、セツナの力。凍りつき、砕かれていく巨体にセツナは渾身の槍の一撃を叩き込み、『大空を覆うもの』を貫く。

 純粋なる願いも、世界を滅ぼすのならば、猟兵として止める。
 再び彼女は戦いの場へと戻るだろう。
 此処ではない日常という名の戦場こそが、彼女の在る場所なのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
【勇者どこいったパーティ】
「なに、敵は空気……だと!?
おのれ、空気では腹は膨れんではないか!」
『その口調……さては空気を食べるの試したことがあるのでございますね、フィア様』

む、しかし背中にいきなり生えた赤き翼……
この力があれば、空気を物質化できる……だと!?

「ふははは!
ついに我、空気を食える身体になったということだな!
これで空腹生活ともおさらばだ!」

【煉獄の炎】で物質化した空気をこんがり焼いて、焼きたての空気を腹いっぱい食すとしよう!

「む、空気、味、しない……」
『まあ、空気でございますからね……』

仕方ない、ここはステラが用意してくれた|薬味《かやく》で味付けだ!

『フィア様、それは違うかと……』


ステラ・タタリクス
【勇者どこいったパーティー】
失って初めて分かるものもあるのです…
このパーティーはまさしく勇者であるルクス様を中心にしていたと
簡単に言うとツッコミがいません
やべーです
以上、後方メイド顔のステラでした
あ、別に勇者死んでませんのでそこはお間違えなく

フィア様の場合
空腹がそのまま攻撃力になったりしますから
このまま放置がベターでしょう

え?味付け?
持っているものは|爆発物《かやく》くらいしか
必要ですか?仕方ありませんね
【ガレオンチェンジ】で飛空艇に
そして【エールプティオー・プルウィア】発射!
かやくです使ってくださいませ
では本命の突撃を
【テンペスタース・クリス】!
赤い霧の翼の手助けも借りて
全速全力突撃します!



「失って初めてわかるものもあるのです……」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は神妙な顔つきをして語る。
 ははーん、これはあれだな。
 いつものやつだな、と聡い者は理解しただろう。
 けれど、なんかいつもの一人が足りないような気がする。
 そう、勇者どこいった、である。
「このパーティはまさしく勇者を中心にしていたと」
 その代わりに魔女がいるんですが、それでなんとかなりませんかね。

「なに、敵は空気……だと!? おのれ、空気では腹はふくれんではないか!」
 フィア・シュヴァルツ(宿無しの漆黒の魔女・f31665)は思わず叫んでいた。
 いや、確かに紫色の綿あめみたいだなーとか思わんでもない。帝竜『大空を覆うもの』の顕現した姿は、そんな感じであるように思えなくもない。
 けれど、どう考えたって敵を食べたろって思う方がおかしいのである。いやまあ魔獣を狩って生活するたくましきブルーアルカディアであるのならば、それもまたわかるものであるが。
 けれど、限度ってものがあるだろう。
『その口調……さては空気を食べるの試したことがあるのでございますね、フィア様』
『フギン』の言葉があてのない旅路に旅立っていく。

 ふぅーぅ。
 深い。深い。ふかぁーいため息が聞こえる。
 そう! 勇者という存在のありがたさをステラは今痛感していたのであrう。
「ツッコミがいません。やべーです」
 後方メイド顔しているステラ。
 やべーメイドがやべーと言っているのである。やべーのである。
「あ、別に勇者死んでませんので」
「む、しかし背中にいきなり生えた赤き翼……」
 そんなステラの心配を他所にフィアは己の中に流れ込んでくる力に困惑する。
 身を削るような痛み。
 長くは保たないと理解できるほどの力の奔流。

「この力があれば、空気を物質化できる……だと!?」
「……」
 ステラはツッコまなかった。
 面倒だったからである。一からか? 一から説明せんといかんのか? そんなふうに思ったのである。だから、放置していた。
 それ以上にフィアの場合は空腹=攻撃力である。このまま放置しておくのベターであろうと判断した。

「ふははは! ついに我、空気を食える体になったということだな! これで空腹生活ともおさらばだ!」
 祝砲を撃て! そんなテンションで、フィアは煉獄の炎(キャンプ・ファイヤー)を雑にぶっぱする。
 そんな感じでいいのかなーって思わないでもない。
 だがしかし、『大空を覆うもの』は、数十kmにも及ぶ巨体である。狙いをつけなくても撃てば当たるのである。
 敵の攻撃ですらフィアは焔を放ち、こんがり焼いていくのである。
 火加減とかこれで大丈夫なのか? とか思わないでもないが、まあ生焼けだろうがなんだろうが物質化できたのならば、食べられるということである。

 とんでもないフィア理論である。
「む、空気、味、しない……」
『まあ、空気でございますからね……』
 至極まっとうな結果である。
「ステラよ! 味付けはなんとする!」
「え? 味付け? 持っているものは|爆発物《かやく》くらいしか。必要ですか? 仕方ありませんね」
 後方メイド顔していたステラが飛空艇へと変身し、大空を飛ぶ。
 これまた雑な処理である。
 イエス! メイド飯! くらいの乗りである。放たれる天使核誘導弾。
 爆発が起こり、盛大に火薬の匂いが当たりに立ち込める。それでいいのかな、と思わないでもない。

 しかし、フィアは大喜びである。
 言うまでもなく嗅覚と味覚は密接な関係にある。匂いが満ちるのならば、それだけで食す口に満ちる味覚もまた変わるというものである。
 そんなかき氷のシロップ的な理屈でどうにかなるものなのだろうか。
 そもそも火薬の匂いをおかずにものを食べるってどういうあれなのであろうか。
「うむ! この|薬味《かやく》で味付けだ!」
『フィア様、それは違うかと……』
 む、虚しい。ボケ倒されている気がする。勇者、はやくきてくれー!!

「不在の勇者様を思って参ります! 全速全力突撃!」
 飛空艇へと変身したステラに風の盾が纏われる。
 それは『大空を覆うもの』の巨体すら押しのける。
『赤い霧の翼』が羽撃くように彼女の体を加速させる。身を流れる膨大な力は、凄まじい加速を伴って『大空を覆うもの』を貫く。
 大気すら砕く一撃は、ステラのテンペスタース・クリスと共に巨体を穿ち、その帝竜としての顕現を霧散させる。

 |勇者《ツッコミ》不在がこんなにも戦いに影響を及ぶすなんて知らなかったのである。
 食事にナイフとフォークが必要であるように。器が不可欠であるように。
 どんなときにもツッコミはボケに必要なのである。
 だからもう一度言おう。

 勇者速く来てくれ!! 君のパーティが!! ボケ倒しているぞ――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎

―――意志持つ飛空艇、自称”世界一の運び屋”ミレニアムドラゴン号の感想
『なにそれ怖…』

簡単だよ!
太陽を近くまで引き寄せるかガンマ線バーストを起こしてぜんぶ宇宙までビューッってしちゃえばいいんだよ!
クスッ 
冗談だよ!
今のボクじゃあこのなんちゃらの翼の力を借りてもそこまではできないね~

●ていうかさー
どっか行きたいならさっさと行っちゃえばいいじゃーん
それにしても大空を覆うものかー
ならこの雲で何か隠してるのもキミってことだよねー
前から気になってたんだよね!

みんなーっ!この雲もそろそろ見飽きない?
見飽きなくても、その下の風景は見たくない?
ボクは見たい!見てみたい!
だからこんな雲一度みーんな吹っ飛ばしちゃえって思う子たち!

―――手を挙げて?

翼の力も借りてUC『神心』発動
災害ドラゴンくんも覆うものくんも雲海もまとめてズッバーーーンッ!!

海を割るのは得意分野なんだよね~!
さあ見せてよ!みんなが想像した、世界の本当を!
いっときでいいんだ
そしてその姿をみんなの目に焼き付けてよ!



 ブルーアルカディアの大気そのものである帝竜『大空を覆うもの』――それは絶対に倒す事の出来ない存在である。
 大気とは生命あるものたちにとって必要不可欠。
 この大空の世界であるブルーアルカディアの大気そのものであるというのならば、なおのことである。
 大気が喪われば生命は生きてはいけない。
 世界を渡らんとすることを願う『大空を覆うもの』は切実たる思いであったのかもしれない。
 ただ『主』の元にありたい。
 その純粋ともいえる願いであり、慕情そのものたる思いが世界を滅ぼすのならば、世界の敵たる『大空を覆うもの』を打倒するのが猟兵の役目である。

 だが、大気そのものを如何にして倒すのか。
「簡単だよ! 太陽を知覚まで引き寄せるかガンマ線バーストを起こしてぜんぶ宇宙までびゅーってしちゃえばいんだよ!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)のその言葉に――意志持つ飛空艇、自称”世界一の運び屋”ミレニアムドラゴン号の感想は唯一言であった。
『なにそれ怖…』
「クスッ、冗談だよ!」
 なーんだ冗談かーと『ミレニアムドラゴン号』は言えなかった。
 やるといったらやりそうであるとは口が裂けても言えなかった。その場合世界がどうなるとか、生きている者どうなってしまうのかとか、そういうことを考えないのではないかと思ったからだ。

「今のボクじゃあこのなんちゃらの翼の力を借りてもそこまではできないね~!」
 ていうかさー、とロニは『大空を覆うもの』と対峙する。
 この世界ではない『主』のいる場所に行きたいと願うのならば、ロニにとって、それは大した障害ではないと思ったのだ。
「どっか行きたいなら、さっさと行っちゃえばいいじゃーん」
「……わたしは アルカディアを護る 雲海に寄って拒絶する それが今のわたしの役目……」
 故に、その役目を全うするのだと『拒絶の雲海』そのものたる『大空を覆うもの』は言う。
 戦いにすらならない。
 大気そのものに挑むなど、愚か者のすることだ。 
 だからこそ、敵ではない。

 けれど、今の猟兵たちの背には『赤い霧の翼』がある。
 身をきしませるような、それでいて針を突き立てるかのような鋭い痛みが体中に走る。長くはこの力を保ってはいられないとロニは感じられた。
 それでも告げる。
「それにしても『大空を覆うもの』かー。ならこの雲でなにか隠してるのもキミってことだよねー」
 前から気になっていたのだ。
 この雲海の下にあるものはなんなのか。
 雲海に沈めば滅びる定めである。

 だからこそ、ロニは叫ぶ。
「みんなーっ! この雲もそろそろ見飽きない? 見飽き無くても、その下の光景は見たくない? ボクは見たい! 見てみたい!」
 ユーベルコードに瞳が輝く。
 呼びかけるは全世界の生命の意識と無意識。
 神心(ゴッドウィル)は世界に遍く全てに対して語りかける。

 雲海の下はなんなのか。どうして滅びるのか。何故、おのれたちは空の世界にあるのか。
 その問いかけは、この世界に生きる人々にとって疑問ですらなかったのかもしれない。
「だから、こんな雲一度みーんなふっとばしちゃえって思う子たち!」

 ――手をあげて?

 それを見ることは出来ないかも知れない。
 けれど、賛同する者たちと願いの荒唐無稽さの度合いに応じて実現される。濃縮された大気そのものたる帝竜『大空を覆うもの』を。そして、それより放たれる災害の如き龍たちも、あらゆるものを切り裂くユーベルコードの輝きが両断する。

 まるで海を割るように。
「得意分野なんだよね~! こういうのが! さあ見せてよ! みんなが想像した、世界のほんとうを! いっときでいいんだ」
 切り裂かれていく雲海。
 されど見えるは『玉座』のみ。
 分厚く人の願いを妨げ、生命を阻む雲海は『拒絶そのもの』。
 どんなに願いを掲げようとも、『大空を覆うもの』が世界を渡ることが許されぬように、その人の願いも叶えられることはない。

 このブルーアルカディアの世界は曰く『アルカディアの願いを叶えるためにある世界』であるのならば。
 最大たる障壁は未だ玉座にありて。
「んも~! みんなの目に焼き付けてあげたかったのに!」
 叶わぬ願いもまたあるのだ。
『大空を覆うもの』の願いを阻む者であるのならば、それもまた一つの結果である。
 切り裂かれた大気。
 巨竜のごとき『大空を覆うもの』を退け、ロニは憤慨しながらも未だ大空に君臨し続ける玉座、その道を阻んでいた雲海が切り開かれた道を『ミレニアムドラゴン号』と共に邁進するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…助力はありがたく受け取るけど、次からは名前ぐらい名乗って欲しいわ

…まあ、あの帝竜を散らすだけなら、そう難しい話でもないけど

赤き翼の|真の姿《吸血鬼》に変身してUC発動し【代行者の羈束・魔人降臨】を九重発動
左眼の聖痕を限界突破して解放し全能力を|10077696《6の9乗》倍する|肉体改造《大神化》を施し、
敵の攻撃を強化したオーラで防御しながら「血の翼」による空中機動で雲海に切り込み、
測定不能な魔力を溜めた大鎌を怪力任せになぎ払う闇属性攻撃を放ちUCを解除する

…ふふふ、無駄よ。今の私に生半可な攻撃は通用しないわ。無論、太陽の光もね

…さあ、受けてみなさい。これが私の|最大最強の一撃《通常攻撃》よ



 頭の中に響き渡る声。
 少女の声であった。その声は言う。もう『待たない』と。必ず会いに行くからと。
 その言葉の意味を猟兵たちは未だ知らず。
 されど、それが悪しきものではないことを知るだろう。
 身の内側から溢れる力は背より放たれた『赤い霧の翼』として発露する。身が砕けそうなほどの力。
 長くは保たない。
「……助力はありがたく受け取るけど、次からは名前ぐらい名乗って欲しいわ」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の瞳が赤く輝く。
『真の姿』を晒した彼女は、腕を広げる。

 満ちる力は身を滅ぼす。
 ならばこそ、彼女は赤き翼を羽撃かせる。敵はブルーアルカディアの大気そのもの。大気は砕けない。切り裂けない。つまりは、絶対に倒すことは出来ない。
 そして、猟兵たちに出来たのは『大空を覆うもの』の顕現を妨げるために、それらを散らすことだけ。
 だが、今ならば『大気を砕く』ことすらできると確信できる。
「……わたしの願いを妨げるな 猟兵 わたしはただ『主』の元に行きたいだけなのだ あの『主』のそばに ただそれだけなのだ……」

 それが世界を滅ぼす願いであるとリーヴァルディは知っている。
 大気なき世界に人の生命は生きられない。
 願いに始まり、願いに寄って奪われる生命。それが生命の終わり方であるなどと誰が認められるであろうか。
「……まあ、あの帝竜を散らすだけなら、そう難しい話でもないけど」
 左目の聖痕が輝き、その力を開放していく。
「……聖痕解放」
 呪わしき眼。名もなき神の力が今、彼女の能力を六倍に引き上げていく。
 否、彼女のユーベルコードは、今まさに血色の光輪を背に輝かせる。
 限定解放・血の光輪(リミテッド・ブラッドヘイロゥ)。

 時間が圧縮されていたく。
 一瞬だ。
 己の一撃は僅かに一瞬の間に放たれるもの。刹那の如き輝き。今や彼女の力は|10077696《6の9乗》倍。
 途方も無い力が満ちていく。
 名も無き神。
 神は名乗らない。神は語らない。神は諭さない。
 測定不能な魔力の塊が大鎌の刃となって発露する。

「……ふふふ、無駄よ」
 迫る災害そのものたる竜たち。
 けれど、リーヴァルディは刹那にあらゆるものを凌駕する。この大空の世界、その戦場にありて彼女は必ず陽光を遮っていた。
「……今の私に生半可な攻撃は通用しないわ。無論、太陽の光もね」
 けれど、今は無意味だ。
 遮る必要もない。
 大神化した彼女に陽光は届かない。背にある光輪がめぐる。めぐり、めぐり、巡って、その力を加速させていく。

 圧縮された時間は、それだけで彼女の能力増大させていく。
「……さあ、受けてみなさい。これが私の――」
 リーヴァルディが振るい上げる大鎌の刃は禍々しくも研ぎ澄まされていた。膨大な魔力を籠めて溢れんばかりの形状ではなく、研ぎ澄まされていた。
 練磨された美しさすら感じさせていたことだろう。
 陽光すら亡き者にする刃。
 その斬撃の一撃は極大の一撃。

 創世の力によって『大気を砕く』までに至った彼女の斬撃は『大空を覆うもの』へと走る。
「――|最大最強の一撃《通常攻撃》よ」
 大空を分断する。
 空の青、雲海の白、霧の翼の赤。
 そして、何よりも闇色の刃が、あらゆるものを乖離させる。例え絶対に倒せぬと言われた『大空を覆うもの』ですら彼女の一撃は断ち切り、その存在を霧散させる。

 純粋な願いも、慕情も。
 何もかも過去に停滞したものが願うのならば、それは世界を痛めつける願いとなる。
 猟兵は、その世界の悲鳴に応えるもの。
 故に、リーヴァルディは空中庭園に降り立ち、僅かな午睡に瞳を閉じる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月26日


挿絵イラスト