アルカディア争奪戦㉖〜空寂夢想
●帝竜の嘆き
……わかっている わかっている……
……わたしは ブルーアルカディアの雲海 大気の集合体……
……わたしこそが|『拒絶の雲海』《アルカディア・エフェクト》。この世界の空そのもの……
……わかっている 故にわたしは アルカディアを護る……
……だけど この戦いが終わったら 行かせてくれ……
……帝竜『ワーム』 あの中に 死んだ筈の『主』がいたのだ……
……そうだアルカディア わたしは洗脳されて『主』に仕えていた……
……だがわかってくれ そんな事はどうでもいい……
……わたしは『主』の側にいたいのだ……
●大空を覆うもの
玉座に通じる空中庭園のひとつ。
其処には凄まじく濃密な大気が凝縮していた。アルカディアに至るその道筋を、猟兵達が近付くと大気がみるみるうちに変化していった。そして、それは帝竜――『大空を覆うもの』となる。
大空を覆うものと呼ばれるものの正体、それはブルーアルカディアの大気そのもの。
ブルーアルカディアから全ての大気を消滅させない限り倒せないということ。即ち、絶対に滅せないという事実にも繋がる。だが、僅かな望みはある。
凝縮した大気を散らすことができれば、一時的に帝竜の顕現を妨げられるだろう。
されど大空を覆うものも黙ってはいない。このまま戦えば甚大な被害が出ることは容易にわかった。
すると、そのとき。
戦場を訪れた猟兵達の脳内に、突如として謎の声が響きはじめた。
『私は、もう待ちません。必ず会いに行きますから、今はこれで持ちこたえて……!』
魔力に満ちた謎の少女の声を聞いた瞬間、猟兵達に力が漲った。あの声の主が授けてくれたのか、背には『赤い霧の翼』が現れている。それと同時に己の『真の姿』に変身する力も与えられている。
霧の翼は、大気である大空を覆うものを物理化して破壊する能力をもたらしてくれているようだ。
この力を用いて、全力を賭せば大空を覆うものは倒せる。だが、それと同時に猟兵達は悟った。この翼の力はあまりにも強大であり、継続して使い続けるには危うい。
それゆえに真の姿への変身と共に最大最強の一撃を放つことが勝利への鍵だ。
大空を覆うものは『主』という正体不明の誰かを呼びながら、目の前に立ち塞がるように広がっていた。
この戦いを無事に終わらせるためにも、今こそ――真の力を解放するときだ。
犬塚ひなこ
こちらは『アルカディア争奪戦』のシナリオです。
決戦、大空を覆うもの!
このシナリオは完結優先のため、採用数を限定させていただきます。
今回は『プレイングボーナスを使用してくださっている四名様』をひとつのリプレイにして纏めてお届けして完結と致します。ご了承の上でご参加くださると幸いです。(※先着順ではありません)
皆様の全力の一撃と思いを込めたプレイング、お待ちしております!
●プレイングボーナス
『「赤き翼の真の姿」に変身し、最大最強の一撃を放つ』
リプレイは謎の少女の声が聞こえた直後、真の姿への変身シーンから始まります。
真の姿のイラストがある方はそちらを参考にして描写いたします。
イラストが無い方、複数の真の姿がある方は、お手数ですがどんな真の姿なのかをプレイングにお書き添えくださると嬉しいです。
第1章 ボス戦
『帝竜『大空を覆うもの』』
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POW : 雷災体現
自身の肉体を「稲妻の【渦巻く漆黒の雲】」に変える。変身中、雷鳴電撃・物理攻撃無効・通電物質内移動の能力を得る。
SPD : 災害竜招来
自身の【肉体を構成する雲海】を代償に、1〜12体の【様々な災害を具現化したドラゴン】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ : 魔竜真空波
全身を【触れたものを破壊する真空の波】で覆い、自身の【大きさ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ソウジ・ブレィブス
かえりたい?もうおわりたい?
君は大きいのに、やさしいんだねぇ
僕もそういう終焉は叶えてあげたいけど……
君が君であるように、僕にもそれは出来ないからねぇ
大気なんて、食べられないし壊せないよ
……一応、人の枠に収まる僕らではね
僕は若干大人びる程度の変化しか身に変化を起こさないけど
多くの大気を切り裂く為に翼を借り受けたからには
全力を尽くさないといけないでしょ
(どこかで、聞いた声な気もしたね……ふふ)
僕の闘気(オーラ)を真の姿になったからには炎の魔力を乗せて
破壊の風を巻き起こすよ(UC)、
今更災害竜が増えたところでぇ、今は僕のほうが災害級でしょう?
ふふん、君ほどに大きな敵も何度も立ち会えば怖くないんだよ
フリル・インレアン
ふわぁ、すごいです。
赤い霧の翼ですよ、アヒルさん見てください。
ふええ、何でアヒルさんが巨大化しているんですか?
しかも、勇者の恰好ですし。
ふえ?真の姿がそれしかないから仕方がないって、それはそうかもしれませんが、
翼の生えた私より目立つのはずるい気がします。
でも、アヒルさんがこれだけ大きくなっていれば大空を覆うものさんにも勝てる気がしま……。
ふええ、何で私を投げるんですかー?
強化されているのは私だけだからってそれはひどいですよ。
それに物理攻撃は無効でも物体化しているから当たると痛いって、属性攻撃赤い霧に風を加えて吹き飛ばさないといけないじゃないですか。
電撃耐性で電撃に耐えながらの恋?物語です。
ルキヴァ・レイヴンビーク
もう…と言う事は?
過去に相当待ったのデスね?レディ
返事は期待してマセンが、いずれお会いする日は期待致しマショウ
まずはこのファッキンドラゴンを退けてからデスね
そんな訳でレディに素敵なギフト頂きマシタ
解放される真の姿は人間大の巨大ワタリガラス
自前の漆黒翼に重なる赤き霧の翼
神威すら感じる力、この鴉にはheavyの様デス
故に攻撃はシンプル且つ手早く
放つは九死殺戮刃
いつもの片鎌槍は人の姿の時の蹴爪代わり
真の得物は鋭き我が蹴爪
味方には当てぬ様にだけ理性留め、帝竜目掛け乱舞切り裂き
この鴉の寿命なぞ今更減っても些細なものデスし、ね
風を裂いて飛ぶ鳥の身ではありマスが
物理的に大気を裂く日が来るとは…いやはや
◎
国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ連携OKです
あの声は……?
この力は一体?
……でも、やるべきことはわかってる。
ユーベルコヲド、超力陽子加速砲・アメノホアカリ!
|ガレオン《ヨナ》の発射まで、|キャバリア《阿穹羅》は牽制のレーザー射撃で動きを止めて!
|フロヲトバイ《紅路夢》はぼくと一緒に、制圧射撃で発射地点まで誘導!
全てが整ったら、最大火力のアメノホアカリを大空を覆うものへ!
「この力は誰かが、この世界を守るために託した力だ、だから……ここで絶対に勝利するんだ!」
ヨナに搭載した最大サイズの陽子加速砲を放ち、帝竜に超破壊力の一撃でトドメにしよう!
……ワーム……ここで名前が出てくる事は、まさかまだ生きてる……?
『私は、もう待ちません。必ず会いに行きますから、今はこれで持ちこたえて……!』
謎の少女の声が響き渡ると同時に力が満ちていく。
大空を覆うものと呼ばれる帝竜。それを前にした猟兵達は、己の背に赤い霧の翼が現れていることを悟った。
「あの声は……? この力は一体?」
国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ|乙女《ハイカラさん》・f23254)は不思議な気持ちを抱く。
身体に巡る凄まじいほどの力は、あの帝竜に対抗しうる手段を与えてくれていた。鈴鹿の傍に控える|守護稲荷《きこやん》も凛とした眼差しで竜を見つめている。
大空を覆うものは強大だが、今の猟兵達に何も怖いものはない。
「ふわぁ、すごいです。赤い霧の翼ですよ、アヒルさん見てください」
相棒のガジェットに呼びかけたフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は翼を何度かはためかせてみる。
そうして振り返ると、其処には真の姿と化したアヒルさんがいた。
「ふええ、何でアヒルさんが巨大化しているんですか? しかも、勇者の恰好ですし」
「グワ!」
「ふえ? 真の姿がそれしかないから仕方がないって、それはそうかもしれませんが……」
翼が生えた驚きと感動を上回るほどの、巨大なアヒルさんのインパクトは相当なもの。私より目立つのはずるい気がします、と呟いたフリルは少しだけ頬を膨らませていた。
そんな中、ソウジ・ブレィブス(天鳴空啼狐・f00212)とルキヴァ・レイヴンビーク(宵鳴の瑪瑙・f29939)は大空を覆うものを見据えている。
「かえりたい? もうおわりたい?」
……わたしは『主』の側にいたいのだ……
ソウジが問いかけの言葉を向けると、大空を覆うものは先程と同じ言葉を繰り返した。主という存在が誰であるかはまだはっきりとはしないが、相手を強く思っていることは理解できる。
「君は大きいのに、やさしいんだねぇ。僕もそういう終焉は叶えてあげたいけど……」
首を横に振ったソウジは赤い翼を揺らめかせた。彼の姿は少し大人びており、
この力と己の意思が重なれば、無限の存在とも呼べる相手に終焉を与えられる。
「君が君であるように、僕にもそれは出来ないからねぇ」
「その通りデスね」
頷いたルキヴァは大空を覆うものに意識を向けながら、あの声の主に思いを馳せた。
「もう……と言う事は? 過去に相当待ったのデスね?」
レディ、と空に呼びかけてみても返答はない。無論、ルキヴァ自身も答えを求めていたわけではなかった。少女が託してくれた力があれば今は十分だとして、彼は身構えた。
「いずれお会いする日は期待致しマショウ。まずはこのファッキンドラゴンを退けてからデスね」
――必ず会いに行きますから。
そのように少女が語っていた言葉を思い返したルキヴァは本格的に真の姿を解放した。
「レディに素敵なギフト頂きマシタからね」
その姿は巨大なワタリガラスに変貌していき、赤い霧は自前の漆黒の翼に重なる。霧を纏う彼が身構え直した近くで、鈴鹿も力を解放していった。
「あの声の正体はまだわからないけど……でも、やるべきことはわかってる」
ユーベルコヲド、発動。
鈴鹿は超決戦機械を起動させていき、一気に大空を覆うものへと向かっていく。
「――超力陽子加速砲・アメノホアカリ!」
帝竜は渦巻く漆黒の雲に姿を変えていくが鈴鹿は怯まない。轟く稲妻の中を翔けゆく鈴鹿に続き、ソウジもひといきに攻勢に入った。
「大気なんて、食べられないし壊せないよ……一応、人の枠に収まる僕らではね」
大空を覆うもの、即ち大気そのものを瞳に映したソウジは自身が愛用する斧剣を振り上げる。踏み込むと同時に刃で大気を切り裂けば、確かな手応えが感じられた。
「大気を切り裂く為に翼を借り受けたからには全力を尽くさないといけないでしょ」
いけると感じたソウジもまた、先程の少女の声を思い出していた。
(どこかで、聞いた声な気もしたね……ふふ)
もし間違いでなければ、きっと。
ある予感を覚えたソウジは闘気を巡らせ、炎の魔力を解き放っていく。仲間の勇姿に心強さを覚えたフリルも意気込みを見せ、アヒルさんと一緒に立ち向かっていく気概でいた。
「アヒルさんがこれだけ大きくなっていれば大空を覆うものさんにも勝てる気がしま……ふええ!」
だが、次の瞬間にフリルは宙を舞うことになる。
なんとアヒルさんが敵の方に彼女を投げ放ったからだ。
「何で私を投げるんですかー?」
「グワワ!」
鳴いたアヒルさん曰く、物理攻撃は無効でも物体化しているから当たると痛いゆえらしい。
「強化されているのは私だけだからって……それはひどいですよ。ですが、こうなったら……!」
今回はフリルも本気の本気だ。
赤い霧に風を加えたフリルは大気を吹き飛ばしながら進んでいく。同時にルキヴァも攻勢に入った。狙うは此処に集った全員での連携攻撃。そうすれば大気を一気に散らし、大空を覆うものの顕現を防げるはずだ。
されど、雲海から災害竜が招来されていく今は慎重にタイミングをはかるとき。
「神威すら感じる力、この鴉にはheavyの様デス」
そのうえに赤い霧の力にも刻限がある。それゆえに彼は、攻撃はシンプル且つ手早く行うと決めた。
殺戮刃で以て、召喚された災害竜達を切り裂くルキヴァ。普段から扱っている片鎌槍は人の姿のときの蹴爪代わりであるので、此度は真の得物が扱える。それは鋭き己が蹴爪。この状況で味方に当てたくはない。理性を留め、帝竜に目掛けて爪を振るったルキヴァは雲海の中を乱舞していく。
「この鴉の寿命なぞ今更減っても些細なものデスし、ね」
「|ガレオン《ヨナ》の発射まで、|キャバリア《阿穹羅》は牽制のレーザー射撃で動きを止めて! |フロヲトバイ《紅路夢》はぼくと一緒に、制圧射撃で発射地点まで誘導!」
その間に鈴鹿は的確に動き、上手く立ち回っていた。
全てが整ったならば、仲間と共に最大火力のアメノホアカリを大空を覆うものへ放つ狙いだ。
雷鳴と電撃が戦場に響き渡り、轟く最中でも猟兵達は立ち向かい続ける。霧の翼は赤く揺らめき、其処からはまるで猟兵達を応援するような雰囲気が感じられた。
ソウジは破壊の風を巻き起こしながら、雲海から迫りくる災害ドラゴン達を穿っている。
「今更災害竜が増えたところでぇ、今は僕のほうが災害級でしょう?」
嵐に大雨、波に地震の化身達。それらはアックスソードから放たれるオーラの刃で切り裂かれ、霧散するように崩れていった。そして、翼を広げたフリルがその中を突っ切っていく。
「ふええええ、止まれませーん」
轟く雷鳴には電撃耐性で対抗しながら、フリルは全力疾走していた。恋物語めいた流れを広げていくユーベルコードは暗雲を突き崩し、大空を覆うものを一気に後退させる。
その瞬間、全員で畳み掛ける好機が訪れた。
「アヒルさん、皆さん、いきましょう……!」
大気そのものへの攻撃を仕掛けるべく、フリルが相棒や仲間達に呼びかけた。
「ふふん、君ほどに大きな敵も何度も立ち会えば怖くないんだよ」
「風を裂いて飛ぶ鳥の身ではありマスが、物理的に大気を裂く日が来るとは……いやはや」
その声に反応したソウジとルキヴァが頷きあい、己の力を更に高める。赤い霧から齎される力はかなりのものだが、それと同じくらいの代償があることも皆が理解していた。
身体が軋むようだと感じながらも、鈴鹿は全力全開で狙いを定める。
「この力は誰かが、この世界を守るために託した力だ、だから……ここで絶対に勝利するんだ!」
そして、猛攻撃が繰り出されていく。
ルキヴァの蹴爪が大気を鋭く切り刻み、ソウジの斧剣からは炎の魔力が溢れる。激しい連撃と焔が織り成す一閃が空を赤く染めた刹那、加速したフリルとアヒルさんの突撃が衝撃を巻き起こした。
鈴鹿はヨナに搭載した最大サイズの陽子加速砲を撃ち放ち、そして――。
「帝竜……! この超破壊力の一撃を受け取って――ッ!」
「顕現は阻止させて貰いマショウ」
「ふええ!」
「オーラエッジシュートぉ!」
四人が放った全力のユーベルコードが見事に重なり、大空を覆うものを突き崩す。それはこの先に光を導くかのような一閃であり、赤い霧が大きく広がった。
そうして、辺りに声の残滓が響き渡る。
……行かせてくれ……
……『主』の……
……わたしの『主』の傍へ……
やがて大空を覆うものの声は消え入り、玉座に通じる空中庭園のひとつに静けさが満ちていった。
猟兵達の背からは赤い翼の力は消え、力も元に戻っている。
「ふぇ……私達の勝利ですか?」
「そのようデスね。完全に滅ぼすことはできずとも、確かな勝利と言えるデショウ」
「ひとまずの終焉ってところだねぇ」
フリルは本来の姿に戻ったアヒルさんを抱き、ルキヴァが辺りを見渡す。ソウジも自分達が勝ったのだと確信しながら、アルカディアの玉座がある方角に目を向けた。
その中で鈴鹿は疑問を抱いている。
「……ワーム……ここで名前が出てくるってことは、まさかまだ生きてる……?」
まだ解らないことは多かった。
だが、猟兵達は一歩ずつ前に進んでいる。歩みを止めなければいつかは真相や真実に辿り着くはずだ。
遥かに続く空。
澄んだ青と雲の色が広がる景色を瞳に映し、猟兵達は其々の思いを抱く。
このアルカディアの果てで、世界を守り抜くために――。
大成功
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