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アルカディア争奪戦㉔〜リュカーオーンの繁殖、恐怖

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #ピルグリム

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●ピルグリムネスト
 その名は『巡礼者』。
 謎の怪物。白き存在。意思疎通の不可能なる侵略者。ピルグリム。
 幾つもの呼び名が正しく、またその性質を示していた。
 恐らく最も『アルカディアの玉座』に近かったのは、これらを捉えた『天帝騎士団』であったのかもしれない。

 六大屍人帝国『天帝騎士団』。
 彼らは幻想武装を身にまとい、その騎士たる実力を持って聖域へと踏み出している。
 この庭園の情報を持ち帰れば、また一つ『天帝騎士団』を統べる『天帝』冬のアスタルシャは己が『望み』に近づくことができる。
 だが、そうはならなかったのだ。
 無情にも騎士たちは誰ひとりとして戻らなかった。
 ただの一人も、である。

 騎士たちの実力は、通常のオブリビオンたちを凌ぐ。
 どんな敵が存在するのだとしても幻想武装を身にまとった彼らを容易く屠ることなどできようはずもない。
 仮に彼らが全滅の憂き目にあうのだとしても、情報の一つも得られないことなどないのだ。
 何かが起こっているとしか思えない。

 己たちの常識の外にあることが起こっているのだ。だが、それが何なのかわからない。
 だが、知らなくてよかったのかもしれない。
『ピルグリムネスト』の凄惨たる現状を知る者がいたのならば、そのおぞましさ故に嘔吐したであろう。
 あまりに出来事に言葉を失うだろう。
 こんな不条理があっていいのかと思うだろう――。

●予知
 緩慢な動きであると思えた。
 対峙する白き怪物。
 名を『ピルグリム』。『巡礼者』と呼ばれる群れ。
 意思疎通は叶わない。彼らはただ群れで生物に襲いかかる。生物と認識したのならば、ただそれだけで十分な理由であるというよに襲いかかってくる。
「遅いな。この程度の攻撃……知能が低いのか? 我らとの実力差も理解できぬようだ」
 騎士としての実力を考えれば目の前の『ピルグリム』を打倒するのは簡単だった。
 幻想武装でなくても殺せる。

 ちくり。

 痛みが僅かに走る。
 それは幻想武装によって切り裂かれた『ピルグリム』のしっぽに備わった針による一撃であった。
 ただ、それだけだった。
 返す刃で騎士は『ピルグリム』を両断する。
「攻撃らしい攻撃は尾の針。それもこの程度の痛みとはな」
 騎士は肩慣らしにもならぬと。しかし、『天帝』冬のアスタルシャが、この地に辿り着く前に制圧できることを喜んだ。
 先遣隊が戻らぬのは、恐らく他の屍人帝国の横やりが入ったからだろうと結論づけた。十分ありえる話であった。

「こいつらを殲滅後に、『天帝』をお迎えする準備を――」
 そこまで言葉を告げて、騎士は首をかしげる。
 己の腹部がうごめいたからだ。鎧に覆われた腹部はどのようになっているか伺いしれなかった。
 だが、次の瞬間、騎士は理解する。
 いや、理解した瞬間に彼は理解したことを言葉にすることなく絶命する。

「――、なんだ、どうした……!? 何が……こ、こい――」
「何が、一体……! お前、どうしてそんな、あ――」
「腹が、腹が膨れて……俺の中で、なにか、なにかが、うご――」
「ああっ、やめて、やめて、くれ! なんだ、なんだよ、これっ! 俺の中から――ッ!!」
「星型の、痣……まさか、これが印なのか!? うっ、ぐっ――」
「わ、私にもある! その痣がっ!! い、いやだ、こんな! こんな死に方――」

●アルカディア争奪戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます……」
 彼女の顔色はあまり良くなかった。
 予知に内容がよほど応えたのだろう。口元に手をやり、覆っているのはこみ上げる吐き気を抑えているからかもしれない。

「申し訳ありません。『アルカディアの玉座』に至る空中庭園、その一つが不気味な怪物の群れによって占拠されているのです」
 これが厳密にオブリビオンであるかと言われれば、不明であるとしか言いようがない。
 名を『ピルグリム』。
 意思疎通は不可能であり、生物やオブリビオンを問わず寄生し繁殖する怪物であるようだ。
 恐らくではあるが、アックス&ウィザーズ世界に飛来していた白い怪物は、この『ピルグリム』であるようだ。
 これらの怪物は全てがグリモア猟兵たちの予知によって感知されている。
 それが幸いだった。

「この『ピルグリム』の繁殖能力は異常と言わざるを得ません。多種族の生物に寄生して繁殖する……その個体の力が強ければ強いほどにより高速で繁殖するのです。一匹でも殲滅しそこなえば、瞬く間に数を増やして手が付けられなくなります」
 だが、ナイアルテが予知したのはどうやら屍人帝国『天帝騎士団』が襲われたであろう箇所。そこには『ピルグリム』の白い卵型をした『母艦』らしきものがある。
 これを破壊することができれば、『ピルグリム』の被害を抑える事ができるはずなのだ。

「『ピルグリム』の群れを退けるのは、恐らく難しくはないでしょう。ですが、注意しなければならない点……恐らく最も警戒しなければならないのは『ピルグリム』の尻尾の針です」
 これはただの針ではない。
 産卵管なのだという。これに刺された者は、全てが例外なく卵を産み付けられ星型の痣を刻まれる。
 その後に己の腹を食い破り、新たな『ピルグリム』が生まれるのだ。
「……そうなっては、皆さんでも助かりません。その方法がわからないのです」
 故に、この戦いに赴く猟兵達は互いに注意しなければならない。
 ナイアルテは顔色悪い顔を、さらに青くして猟兵たちに告げる。

「針は確実に、絶対に躱してください。受けてはなりません」
 念押しするナイアルテの顔は鬼気迫るものであった。
 確実に生命がないから、というのもあるのだろう。それ以上に、予知した光景が頭の隅にちらつく。
 あんな惨状をこれから送り出す猟兵たちに引き起こさせてはならぬと彼女は、無理矢理にでも微笑んで彼らを転移させるのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『アルカディア争奪戦』の戦争シナリオとなります。

『アルカディアの玉座』に至る空中庭園の一つが『ピルグリム』と呼ばれる怪物に占拠されています。
 彼らの特性故に、一匹でも残していることは後々に恐るべき災厄となることが予測されます。
 故に、『ピルグリム』を一匹残らず殲滅するシナリオとなっております。

『ピルグリム』の群れを倒し、空中庭園に存在するいくつかの『ピルグリム』の『母艦』である『ピルグリムシップ』を破壊しましょう。

 また『ピルグリム』の尾の針は産卵管です。
 もしも、皆さんが刺される事になった場合、他の猟兵が察知して必ず避けさせてくれます。
 ですが、その場合、刺されそうになった方がやろうとしていたことは、失敗の判定にあります。

 プレイングボーナス………ピルグリムシップを破壊する。/ピルグリムの産卵管攻撃に対処する。

 それでは『アルカディア争奪戦』、屍人帝国の野望を打ち砕くべく雲海を進む皆さんの冒険と戦いの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『ピルグリムの群れ』

POW   :    ピルグリムシザー
【右腕のハサミ 】が命中した対象を切断する。
SPD   :    産卵管刺し
命中した【頭部から伸びる産卵管 】の【先端】が【無数の棘が生えた状態】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    ピルグリムテイル
【尻尾 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:はましん

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シキ・ジルモント
母艦を狙えるなら話は早い、宇宙バイクに乗って現地へ
敵を拳銃の射撃で倒しつつピルグリムシップを射程に収めたい
包囲を警戒、群れに突っ込むのではなく外から順に切り崩して道を拓く
追ってくるなら速度で振り切り、ハサミや産卵管の届く範囲から離脱
敵はそれほど早くはなさそうだ、こちらは空に逃れる事も出来る

十分な距離に接近出来たらユーベルコードによりバイクへ自身の生命力を上乗せ
バイクブラスターの攻撃力を底上げして発射する
照準の中心はピルグリムシップだ
周囲のピルグリムを巻き込みつつ母艦への大ダメージを狙う

撃てば消耗するが警戒は解かない
産卵管を一度でも受けたら終わりだ
…話を聞く限り、死に方としては最悪の部類だからな



『ピルグリム』と呼ばれる白い怪物が次々と卵型の白い物体から現れる。
 周囲にあるのは、恐らく『天帝騎士団』によって派遣された騎士たちの亡き骸であろう。
 どれもが腹を内部より引き裂かれたかのような惨状。
 どれだけ肉体を鍛えようとも、身の内側から溢れ出す『ピルグリム』たちを止める術はない。そして、一度産卵管を打ち込まれたのならば、助かることはない。
 例外なく死ぬ。
 故にあの尾の針に注意しなければならない。

 それがグリモア猟兵の言葉だった。
 不可避なる死。
 如何に猟兵と言えど、それは免れぬものであると知る。
 だが、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は宇宙バイクを駆り、空中庭園へと向かう。
 惨状は変わらない。
 どれだけ時間が立っていたのかはわからないが、『ピルグリム』の数は尋常ではなかった。
 庭園そのもの埋め尽くすほどに増殖した姿は、たしかに一匹たりとて残しておくことができない。その重要性を確かにシキに知らしめた。

 絶望しかないのか。
 いや、希望はまだある。
「母艦を狙えるなら話は早い」
 此処が窮地の末端であるのだとしても、シキは母艦を叩くことができるという事実に着目する。
 手にした銃が轟音を響かせ、一体の『ピルグリム』を撃ち抜く。
 それが号令であったかのように一斉に『ピルグリム』たちはシキを見つめ、感情など見せぬ瞳のままに襲いかかる。

 生物に相対すれば、産卵管を打ち込む。
 ただ、それだけを目的にしているかのような白き怪物たちの群れを前にシキは冷静であった。
 包囲されることを嫌い、突っ込むのではなく迎撃に重きを置く。
 切り拓くのではなく、切り崩すことこそ肝要であるというように宇宙バイクの機動性を頼りに迫る『ピルグリム』の攻勢を凌ぐのだ。
「速い動き、というわけではないようだな。特別に、という個体差も今の所見受けられない……」
 シキは庭園の『ピルグリム』たちを蹴散らしながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 己の生命力を宇宙バイクに注ぎ込む。 

 彼が見据えるのは『母艦』だ。
 あれを叩かねば、恐らくあれでもって世界を移動するのかもしれない。
 此処が正念場であり、瀬戸際であることをシキは理解する。一匹たりとて、一欠片とて逃すわけにはいかない。
「……少々吐かれるが仕方ない。エネルギーなら、まだここにある」
 オーバーブースト・ライフフォースによって宇宙バイクが空へと飛び上がる。
 射線は確保されている。

 照準の中心にあるのは『ピルグリムシップ』。
 あれを破壊するために上乗せした生命力をトリガーにして放たれる高火力ブラスターの一閃が周囲にあった『ピルグリム』を巻き込みながら、その白き怪物の『母艦』を撃ち抜く。
「……チッ、撃てば消耗するが……」
 それでもシキは警戒を怠らない。
 母艦の一つは破壊したが、それが一つであるとは限らない。それに『ピルグリム』もまた残されている。
 周囲を見回す。
 容易く撃破できる相手だからこそ、油断も生まれる。そうして『天帝騎士団』の騎士たちは、滅ぼされたのだ。

 恐らくもっとも生物が忌避するやり方で。
「……話を聞く限り、死に方としては最悪の部類だからな」
 シキは頭を振り、銃を構え、即座に引き金を引く。
 己の背後に迫っていた『ピルグリム』を撃ち抜いたのだ。消耗は激しい。けれど、敵は迫る。そして、一匹たりとてのがしてはならない。
「……やれやれ。仕事として請け負ったのならば、退けぬよな。なら」
 再び空をかける宇宙バイク。
 針の尾を封殺しながらシキは、この白き怪物の津波の如き猛攻を切り崩し続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

あれが
ピルグリムさん達の
母船…!

【WIZ】

味方と連携

翼で飛翔
【空中機動】【滑空】
【空中浮遊】等使い
【空中戦】で
立回り

ヴォーパルソードを手に
【ハートの(アリス)】も
展開

UCで
【破魔】と【浄化】を込めた『炎熱の巨大な竜巻』を
自身を覆い護る様に発生
そのまま竜巻を纏い

中の自身も
敵の攻撃や
産卵管攻撃を
【第六感】【見切り】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避し

剣での光焔の【斬撃波】や
【ハートのA】の【誘導弾】の【一斉発射】と
UCで
ピルグリムさん達を
攻撃しつつ
ピルグリムシップに向かい
(味方を巻き込まぬ様)

急上昇し
竜巻から抜け離脱
竜巻のみをシップにぶつけ
攻撃

『繁殖なんか…させません!』



 抜き放たれた刀身に映るのは白き怪物たちであった。
 名を『ピルグリム』。
『巡礼者』と名付けられた白き怪物たちは、まさしく侵略者であったことだろう。
 緩慢な動きと言わざるを得ない。
 猟兵たちにとっても、彼らの動きそのように映った。
 これまで戦ってきたオブリビオンたちからすれば、遅い。攻撃も単調。
 ただ尾の針を刺そうとしているだけだ。

 彼の瞳に意志は感じられない。
 生命であるというのならば、そこに何某かの意志が介在するものである。だが、『ピルグリム』たちにはそれが感じられない。
 ただ繁殖する。
 それだけのために存在しているかのような怪物であった。
「あれが『ピルグリム』さん達の母船……!」
 アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は抜き払ったヴォーパルソードを煌めかせながら、飛翔する。
 あの『ピルグリム』の尾の針には絶対触れてはならないと言われている。

 あれは産卵管となっており、一度でも刺されれば肉体に産卵され、確実に絶命すると言われている。今の所、救う手段は何一つない。
 そこまで致命的な一撃であるにも関わらず、まだ希望が持てるのは、全ての『ピルグリム』に関連したことがグリモア猟兵の予知として把握されていることだ。
 目の前にある白い卵のような形をした物体もまたそのうちの一つ。
 アリスの言葉通り、それは母艦。
 何処かへ征くつもりなのか、彼らはこの空中庭園で繁殖し、さらなる滅びを齎さんとしている。

 彼らの行動全てが恐怖に繋がっていくことをアリスは理解しているからこそ、大空を飛び、ジュエルハートを放ちながら地上にうごめく『ピルグリム』たちを殲滅していく。
「不思議の国の精霊さん達…その力の片鱗を…世界に…!」
 煌めくユーベルコードが瞳に宿る。
 彼女の手には破魔の力と浄化の力。籠められたのは『炎熱の巨大な竜巻』。
 その制御は困難であったが、自身を守るため、またこれから起こるかもしれなかった悲劇を断ち切るために、根源たる『ピルグリム』を滅ぼす。
 ワンダーランド・シンフォニアが響き渡り、アリスの手から放たれた炎の竜巻が『ピルグリム』を焼滅していく。

「このまま……『ピルグリム』さんの船に向かいます!」
 竜巻まとうアリスに産卵管たる針は届かない。
 だが、時折炎にまかれながらも尾の針を突き立てんと迫る『ピルグリム』があった。強さはさしたる問題にはならない。
 けれど、その繁殖に対する執着は恐ろしい。
 己の皮膚が焼けただれてもなお、炎の竜巻に巻き上げられても、構わずに目の前の生物に産卵せんと迫るのだ。

 これに『天帝騎士団』のオブリビオンたちもやられたのだろう。
 そこら中に存在する遺骸がすべてを物語っているように思えた。だからこそ、立ち止まらない。
 アリスは飛翔し続け、炎の竜巻で己のみを守る。
「まわりに……他の猟兵さんがいないなら!」
 巨大な竜巻と共にアリスが急上昇する。空中庭園にありて、さらに高く。見下ろす眼下にあるのは白き卵のような母艦。
『ピルグリムシップ』。
 あれがここから飛び立てば、恐らくアックス&ウィザーズのように犠牲になる者が出てくるかもしれない。

 ならばこそ、アリスの瞳は煌めく。
 竜巻の中から飛び出し、その制御に専念する。
 周囲に飛ぶジュエルハートたちが迫る『ピルグリム』たちを寄せ付けない。集中しなければならない。
 一撃受ければ、繋がるは死。
 そのビジョンがアリスの心を蝕むかも知れない。
 けれど、強い思いが彼女の中にある。
 白い怪物。意思疎通不可能なるもの。全てに恐怖を齎す存在。生物的な恐怖は、どれだけ肉体を鎧おうとも防げるものではないのだ。

 だからこそ、彼女は目を見開き炎の竜巻を『ピルグリムシップ』にぶつける。
 その一撃が白き母艦を焼き滅ぼす。
「繁殖なんか……させません!」
 強い意志の宿る瞳と共にアリスは、炎の竜巻の中に消えて燃え落ちる母艦を見下ろすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニィナ・アンエノン
わー、気持ち悪ー!
それもいっぱいいるなぁ、卵生みつけられるのもヤだ。
とゆー事でかもーん!にぃなちゃん軍団!
準備出来たらピルグリムを【誘惑】しちゃおう。
さ、にぃなちゃんに卵産みに来てー!って、お腹とか見せてあげたらいいのかな?
上手く誘えたら軍団に命令!
迫るピルグリムを片っ端から撃って撃って撃ちまくっちゃえ!
あいつらキャバリアに卵生むかな?生まれたら協力して守り合ってね☆
皆が【弾幕】張って【時間稼ぎ】してる間に【迷彩】で隠れたら、バイクを【操縦】してピルグリムシップに向かおう。
その間なガジェッティアレーザーに【エネルギー充填】しておけば【貫通攻撃】で周りのピルグリムごとやっつけられるかも!



「わー、気持ち悪ー!」
 思わず声が出てしまっていた。
『アルカディアの玉座』に到達するための道、その一つにある空中庭園は白に染まっている。その白は蠢き、ひしめいていた。
 その白は絶望にして恐怖の色。
 星型の痣を刻み込み、そして体内で急速に成長する卵管を打ち込む異形。
 名を『ピルグリム』。
『巡礼者』と名付けられた意思疎通不可能たる怪物。

 その姿を見て、ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は身じろぎする。
 何処を見ても『ピルグリム』ばかりである。
 彼らは次々と『天帝騎士団』の騎士オブリビオンたちの体を食い破って現れ、さらに増えていく。
 悪いことに白い卵型の物体は彼らの母艦だ。
 その母艦でもって空より地上に下りるのだとすれば、アックス&ウィザーズ世界で起こった事件と何らかの類似性を見ることができた。
「それもいっぱいいるなぁ。卵産み付けられるのもヤだ」
 ニィナにとって、それは怖気の走ることであっただろう。

 自分の腹を食い破って増える『ピルグリム』。
 想像しただけで吐き気が襲ってくるかも知れない。その生理的な嫌悪感を飲みこんで、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「とゆー事でかもーん! 集合!にぃなちゃん軍団!(ニィナズキャバルリー・クローズ・イン)」
 彼女のユーベルコードに寄って無人の自律可動式キャバリアを召喚する。
 そのにぃなちゃん軍団と名付けられた無人の自律稼働式キャバリアたちが、白い津波のごとくニィナに迫る『ピルグリム』たちを引きつける。

「さ、にぃなちゃんに卵産みに来てー! って言うまでもなく来てるね!?」
『ピルグリム』の瞳に意志は感じられない。
 ただただ繁殖するためだけの意志しかない。
 妨げる障害も、鏖殺される同胞たちも関係ない。屍を踏み潰し、ただただ生物であるニィナを目指して迫りくるのだ。
「うーわぁ……これは思ってた以上にすごい数……でも、こっちに誘導できたよね! 片っ端からにぃなちゃん軍団、撃って撃って撃ちまくっちゃえ!」
 彼女の号令ととともに無人機キャバリアたちが、その火器を振るう。
 放たれる弾丸が、次々と『ピルグリム』たち撃ち抜いていく。
 肉片が飛び散り、その動きが止まるまで一切の躊躇なく弾丸を叩き込む。

 無人機キャバリアは鋼鉄の体。
 そして生物でないのだ。『ピルグリム』にとって、それらはただの障害でしかないのだろう。彼らの狙いはニィナそのもの。
 だからこそ、容易く倒すことができる。
 彼らの動きは並のオブリビオンからすれば緩慢そのものな動きであった。迫るキャバリアを取り囲み覆いかぶさり、振り払っても振り払っても組付き、同胞の死骸すら気にした様子もなく、その鋏の如き腕部で持って無人機キャバリアの装甲を切り裂き、さらに押しつぶしていく。

「戦いは数そのものっていうけど……やっぱり生物にしか興味ないみたい。キャバリアは壊すだけ……」
 ニィナはその様子を見やりながら、無人機キャバリアが防波堤のように彼女を守る脇をバイクでもって走り抜ける。
 彼女の目的はそもそも『ピルグリムシップ』だ。
 あの母艦を逃せば、恐らく他世界に移動するのだろう。そうなっては、この白い怪物の脅威の餌食になる生命が増えるだけだ。
 一匹でも逃せられない。

 ただ一匹残すだけで、そこから爆発的に増殖していく。
「少しも見逃せないってのが大変だけど、ニィナちゃんにおまかせしておけば大丈夫☆」
 ガジェッティアレーザーに充填されたエネルギーを開放する。
 解き放たれた熱線の一撃は迫る『ピルグリム』すらも貫いて、『ピルグリムシップ』を撃ち抜く。
 その熱線が白い母艦を燃やし、さらには迫る怪物すらも退ける。
 なんとか目標の一つを達成したニィナは、無人機キャビラたちと共に『ピルグリム』の押し迫る波を射撃と爆発でもって留め続ける。

 おぞましき存在。
 生命を冒涜するかの如き存在。
『ピルグリム』とは、ただ一度の邂逅でニィナにそれらを教えただろう。
 願わくば二度と邂逅しないことを祈るばかりであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アシェラ・ヘリオース
速やかな決着を挑むか
この生き物は一匹たりとて見逃す訳にはいかないからな

闇理力の翼で飛翔し、母艦を正面に捕える
飛来するピルグリムともに対し、【誘導弾、乱れ撃ち】で闇理力の砲撃をホーミングレーザーとして放って迎撃
撃ち漏らしは、爪先に纏わせた闇理力の爪で蹴散らし産卵管攻撃を許さない

ある程度迎撃し、一呼吸ついた所で対艦砲撃戦支援ユニットを召喚する

「久しいな、アクセリエル。我が赤槍を捧げる。対価として、彼の敵を砕く助力をせよ」

闇理力を極限圧縮して生成した赤槍を捧げ、展開したアクセリエルの粒子加速機能を使用
両手を揃えて構え、極大の「闇理力竜砲」を母艦へと撃ち放つ



『ピルグリム』と相対する時に気をつけなければならないことは、尾の針である。
 攻撃手段であるように考えるだけでは足りない。
 ただの一撃。
 ただの一指し。
 たったそれだけで、絶命が確定するのだ。
 針は産卵管。打ち込まれた卵は宿主が強大な存在であればあるほどに圧倒的な速度で成長し、生まれる。
 それも体の内側から食い破って、宿主を絶命させながらである。
 
 凶悪そのもの。恐怖そのもの。
『天帝騎士団』のオブリビオンたちが恐慌状態に陥り、何の情報ももたらせなかったのも無理なからぬことだ。
「だからこそ速やかな決着を挑むか。この生き物は一匹たりとて見逃す訳にはいかないからな」
 アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)はフォースの力をみなぎらせ、空へと飛翔する。

 白き怪物『ピルグリム』たちは、その全てが地上に存在している。
 彼女と同じ様に空を飛ぶ『ピルグリム』がいなかったことは幸いであった。アシェラは、ただそれより闇のフォースの力を持って地上に在る『ピルグリム』を掃討すればいい。
「だが、連中も馬鹿ではない」
 同胞たちの骸を盾にホーミングレーザーの一撃をいなす個体もいる。
 ならばと彼女は爪先に纏わせたフォースの爪でもって肉薄し、その個体を切り裂く。
 接近戦はリスクが高い。
『ピルグリム』の尾の針は、ただの一指しでも脅威。
 絶対に受けるわけにはいかず、必ずかわさねばならないのだ。

 防御という選択肢が一つ減るだけでも、対応できる状況は限られてくる。
 それに『ピルグリム』は群れ。
 どこにこれだけの数がいたのだと思うほどに溢れてくる。
「やはり『母艦』を叩かねばならないか」
 爪の一撃で産卵管たる針を弾きながらアシェラは『ピルグリム』を屠る。
 一呼吸置く余裕も許してはくれないようである。

 だが、ある程度は叩いた。
「久しいな、アクセリエル。我が赤槍を捧げる。対価として、彼の敵を砕く助力をせよ」
 対艦砲撃戦支援ユニット「光輪のアクセリエル」(バスターモード)が展開する。
 召喚されたそれは、代償を必要とするユーベルコード。
 赤晶デバイスよりフォースに寄る無限粒子加速の術を操る悪魔によって齎される力。加速したフォースの加速は、ただそれだけで対艦戦闘に転用できる。
 いや、元々はそういう戦い方をするためのユニットなのだ。

「盟約に従い力を示せアクセリエル。光輪展開……フォース粒子加速開始……対艦砲撃シークエンスに移行する」
 赤槍が溶けるようにして消えていく。
 彼女の盟約によって加速されたフォースが、内部で圧縮していく。
 展開した機能は即座にアシェラの要望に応えるだろう。
 即ち、一撃で『ピルグリム』の『母艦』を消滅させる力。

 迫る『ピルグリム』たち。
 彼らはアシェラが何をしようとしているのか理解していない。
 ただ、目の前に存在している生物に己の生存目的である繁殖を行うためだけに迫っている。
「ただ生きる者に群がり、繁殖するためだけに存在する恐怖か。だが……!」
 アシェラの瞳がユーベルコードに輝く。
 圧縮された闇のフォースの発露が彼女の揃えられた両手か放たれる。
 その一撃はまさに竜の咆哮そのもの。

 撃ち放たれた光条が全てを飲み込むように『ピルグリムシップ』を吹き飛ばし、その白き卵型の船体を尽く滅ぼすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルファ・ルイエ
何だか、ホラー映画か何かに出て来そうな生き物です。
どこから来たのか分からない以上、此処に居るもので全てだって断言も出来ませんけど……。
――これ以上の被害を出さないためにも、此処で食い止めないと。

見る限りでは飛行するような能力は無いように見えますから、周囲の警戒は怠らずに、ピルグリムが届かない高度を常時維持して戦います。
もしも彼らが何かに登って飛んだとしても、こちらに届かないくらい高く。
その上でシリウスに《騎乗》します。移動や回避は任せますね。

まずは【星を呼ぶ歌】で母艦を落としてしまいましょう。
万が一にでも、逃げられると困りますもの。
その後は、【統べる虹翼】で一掃を。
一匹だって逃がしません。



 シャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)にとって、その光景はまさに恐怖そのものであったことだろう。
 ただし、作り物の映画を見るような感覚であったことは幸いであったのかもしれない。
 空中庭園にひしめく白。
 それは恐怖の白と言ってもいい。
『ピルグリム』は、その繁殖目的のためだけに行動する。
 瞳に意志は見えない。あるのは繁殖のみ。
 故に意思疎通は不可能。
 本物の怪物であるといえるだろう。
「なんだか、ホラー映画かなにかに出てきそうな生き物です」

 彼らの存在。
 その意義をシャルファは考えなかった。
 そもそも意思疎通ができないのだから、仕方のない話であった。
 けれど、彼らの存在が齎す恐怖をシャルファは理解できる。
「どこから来たのかわからない以上、此処に居るもので全てだって断言もできませんけど……」
『天帝騎士団』の骸を見る。
 相手はオブリビオンだ。けれど、その無残な亡き骸を見てシャルファは思うのだ。もしも、これが他の浮遊大陸や、他の世界にあるのだとしたら。
 一匹でも逃せば、どうなるのか。
 彼女の想像は正しい。

「――これ以上の被害を出さないためにも、此処で食い止めないと」
 彼女は空より彼らを見下ろす。
『ピルグリム』は飛行能力を有していないようである。ならば、と彼女はオラトリオとしての翼でもって空より一定の高度を保ちながら、戦う。
 だが、此処は空中庭園だ。
 木々もある。朽ちた神殿の如き廃墟もある。それらを利用して不意の一撃がないとはいいきれない。
 だからこそ、彼女は空に在ることで慢心はしないのだ。
「だから、お願いね『シリウス』」
 彼女は意志を持って動く魔法の箒を取り出し、それに腰掛ける。

 意志を持つ魔法の箒は頷くようにかすかに揺れる。
 彼はもう一つの彼女の瞳だ。
 彼女自身も警戒しきれない死角をカバーしてくれる。
「まずは『母艦』から落としてしまいましょう――」
 星を呼ぶ歌声。
 それは攻撃の意思をもって放たれる歌声。その歌声が響けば、空から流れる星が『ピルグリムシップ』を撃つ。
 卵型の白い『母艦』は、流れ星の一撃に寄って大きく損害を受ける。
 さらにシャルファの瞳がユーベルコードに輝く。

 恐らくあの『母艦』の役割は、此処よりの退去。
 もしくは『巡礼者』との名が正しいのであれば、次なる場所へと移動するための手段。万が一にも逃げられてはならない状況で、その足を潰すのは必須であった。
「さあ、いってらっしゃい、わたしの鳥。その翼で、何処へだって飛べるから」
 彼女の言葉とともに統べる虹翼(スベルコウヨク)が羽ばたき、魔法の鳥が放たれrル。

 それらは一瞬で地上に在る『ピルグリム』たちを取り囲み、その尾を切り裂き腕を切断し、胴と首とを引き離す。
 乱舞する魔法の鳥。
 それは鏖殺と呼ぶにふさわしいものであった。
 けれど、一匹たりとて逃せない。
 ここで温情をのぞかせ、ただ一匹を逃せば後に残る遺恨は禍根となって世界を蝕む。
 だからこそ、シャルファは決意の満ちた瞳をユーベルコードに輝かせる。
「一匹だって逃しません」
 そう、ただの一匹で満ちる悲劇があるのならば、彼女は躊躇わないと決めたのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風

あんなものが放たれたら、たまったものではない!
オブリビオンより厄介ぞ

霹靂に騎乗。…すまん、少し我慢しておれ
そして空へ。あやつら、基本地上であるからな…
まあ、防御用に残り三人が結界張っておったりするのだが

四天霊障&結縄の封印を解いてUCである。今回は『炎の津波』であるな
これは暴走しやすいが…まあ、ピルグリム相手ならばよいであろう。船も壊さねばいかんしな
そういったことで、わしなのだ
最後は船も巻き込むくらいにな


霹靂「クエー……(何あれ気持ち悪い……)」
でも、ここで退くと故郷が危ないので、我慢我慢…。あとで好物の肉ねだろう



『霹靂』が力なく鳴く。
 それは気持ち悪い、という嫌悪の感情の乗った鳴き声であったことだろう。
 だが、退くに退けない。
 眼下にある白き怪物。
『ピルグリム』と呼ばれる怪物たちを一匹でも放置すれば、それは即座に繁殖し、圧倒的な物量で持って生きとし生けるものを絶望に叩き落とすだろう。
 特にこの大空の世界、浮遊大陸しか人は生きられない。

 想像してみるだけで恐ろしい。
 空の世界で逃げ場無き大陸で、人の腹を食い破って現れる『ピルグリム』たち。
 彼らは意思疎通などできない。
 温情もなければ、感情すらない。
 あるのは意義だけだ。繁殖する。ただそれだけのために数多の生命を蝕む毒そのもの。
 故に、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はヒポグリフたる『霹靂』を駆り、『侵す者』を表層に立て、戦場たる空中庭園を駆け抜ける。

「あんなものが放たれたら、たまったものではない! オブリビオンより厄介ぞ」
 謎の生物。
 怪物。白き恐怖。あらゆる名称でもなんでもいい。ただあの生物を放置することは、ただそれだけで生命を脅かすものであると彼は直感的に理解していたのかもしれない。
「クエー……」
「すまん、少し我慢しておれ」
『霹靂』に謝り、『侵す者』は空を征く。

 手にした槍を携え、己たちの身を守る霊障と己たちを束ねる封印をほどき、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 四悪霊・『階』(シアクリョウ・キザハシ)。
 それは属性と自然現象を融合した現象を放つユーベルコードである。
 強大そのものたる力の奔流であるが、その制御は難しい。故に彼は己たちを束ねる力を開放し、その力を十全に振るう。
「これは暴走しやすいが……まあ、『ピルグリム』相手ならばよいであろう。船も壊さねばいかんしな」
 高火力に寄る殲滅戦。
 侵すこと火のごとし。
 その言葉に準ずるように『侵す者』のユーベルコードに寄って生み出された『炎の津波』が迫る白き津波を飲み込んでいく。

『ピルグリム』たちは、並のオブリビオンと比較しても弱いと感じる。
 最も恐るべきは、やはりあの産卵管。
 あれを受けてしまえば、如何に猟兵とて絶命は免れない。
 どうあっても、どんな手段を用いても躱さねばならないと言明されているのだ。ならばこそ、『侵す者』は加減をしない。
 滅ぼす、と決めたのならば、尽く滅ぼす。
 地の底から発するような笑い声は己のものか。
 いや、もう暴走しているのか。

 冷静に判断する事ができるのは、加減ということをしなくていいからかもしれない。炎の津波は、彼の心に呼応するように『ピルグリム』たちを飲み込んでいく。
 迫りくる第一波を薙ぎ払おうとしていた。
 けれど、それは杞憂だった。
 炎の津波は暴走し、さらに『ピルグリム』たちを飲み込んでいく。
 あまりにも巨大な炎の津波は、この空中庭園にありて、あらゆるものを炎で持って舐め尽くす勢いだった。
「はは、ははは、ははははははは」
 笑う。
 火の前には生命も滅びるしかない。どんなに怪物であったとしても、繁殖による恐怖の体現者であろうとも。

 その火からは逃れられない。
 暴走した炎の津波は、『ピルグリムシップ』を飲み込み、さらに延焼していく。
 存在を許さぬ意志に呼応するように、対峙する白を赤き火が尽く飲み込んでいくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
敵はオブリビオンかそうでないのか…
否、そんな事を気にしいる場合等ではない!!
こいつらは危険だ!戦え!皆殺し、壊せ!!

回点号操縦。
『熾火の塵芥』発動。
大量のBXフォースサーベル変形ダブルブレードを念動力回転!
周囲へと飛び交わせ、ピルグリム共をなぎ払い、切断。近づけさせない!

もっとだ、もっと、|殺し《壊し》尽くさねばならない!!

ウィングキャノン複数台による【呪殺弾】!着弾場所から周囲に呪詛を振りまき、敵を倒し、ピルグリムシップへの射線を開ける!

溶けて崩れて、消え失せろぉおオオオオオ!!!

黒い闘争心の炎を回点号に集中、ウィングキャノン【レーザー射撃】!
灼熱の呪詛熱線を放ち、ピルグリムシップを焼却!!



 白き怪物の正体は未だ知れず。
『ピルグリム』――『巡礼者』とだけ名付けられた怪物は、しかしてオブリビオンでなくても脅威そのものであった。
 一匹でも存在すれば、そこから膨大な数に増えていく。
 瞬く間にだ。
 あまりの繁殖速度に対処が遅れれば、それだけ喪われる生命は繁殖する以上に増えていく。加速度的に、とはこのことだと示すように『ピルグリム』は白き恐怖の象徴として世界に蔓延るであろう。
 だからこそ、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は戦う。

「敵はオブリビオンかそうでないのか……否、そんなことを気にしている場合などではない!! こいつらは危険だ! 戦え! 皆殺し、壊せ!!」
 叫ぶ。
 彼女の言葉は単純にして苛烈。だが正しい。
 そうでなければ『ピルグリム』は滅ぼせない。キャバリアを駆り、彼女の瞳は輝く。
 宿るのは黒い闘争心。
 熾火の塵芥(フューリアス・レギオン)たる、無数の炎は、一瞬で『ピルグリム』の群れを取り囲む。
 この黒き炎に囲われたが最後。
 これより内側にしか進めず、外側に進む者を滅ぼすのだ。

「戦え」
 ただ一言。それだけだ。彼女にとって、それだけが存在意義。キャバリアが手にしたフォースサーベルがダブルブレードへと変形し、投げ放つ。
 その投擲は念動力によって制御され、一気に『ピルグリム』を両断する。
 近づけさせることさえしない。
 彼らの瞳に意志は見えない。
 あるのは繁殖の意義を果たすためだけの生命力。故に小枝子は叫ぶのだ。

「もっとだ、もっと、|殺し《壊し》尽くさねばならない!!」
『回天号』のウィングが変形し、キャノンの砲身を作り出す。
 放たれる呪殺弾は一斉に着弾しては呪詛を撒き散らし、さらに『ピルグリム』の群れを殲滅していく。
 圧倒的な火力。
 それでもってしても過剰ではない。
 一切合財を灰燼に帰さねば、『ピルグリム』という存在は滅ぼせない。完全に、肉片の一欠片と手残してはならない。

 残された因子が何を生むのかなど簡単に理解できる。
 遺恨は禍根に。禍根は恐怖に、恐怖は絶望に染まる。故に小枝子は咆哮する。
「溶けて崩れて!!!」
 叫ぶ。
 あらゆる生物にとって咆哮とは威嚇そのもの。されど、小枝子にとっての咆哮とは己の中に溢れる破壊衝動の発露に他ならない。
 呪詛満ちる戦場を切り開き、小枝子は『回天号』と共に『ピルグリムシップ』へと迫る。
「消え失せろぉおオオオオオ!!!」
 咆哮に応えるようにウィングキャノンから灼熱の呪詛をまとった熱線が放たれ、白い卵型をした『母艦』を焼き滅ぼす。

 炎が空中庭園に満ちていく。
 まだ足りないと思う。
 まだ壊していないと思う。
『ピルグリム』という存在を許してはなならない。存在自体が恐怖を呼び起こすなどあってはならない。
 人と人との戦いですらない。
 これは謂わば種としての本能であったのかもしれない。何をおいても滅ぼさなければならない。

 ただその一つのためだけに小枝子は咆哮し、その呪詛を撒き散らし、白き『巡礼者』たちの旅路を終わらせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミレア・ソリティス
ミレア・ソリティス、任務を了解しました
UC【コード・ベルセルク:Ω】を使用し、「私」の機能を増強、
ショートブラスター連射とプラズマを帯びた蹴撃、副腕での打撃で攻撃しつつ、敵母船へと向かいます

敵性体の攻撃はアーマーの持つバリアシステム(オーラ防御)と
機能強化による瞬間思考で見切り、回避を試みますが、どのみち時間は限られます

……場合によっては私の損傷や寄生の回避より敵母船への到達を優先します

母船まで辿り着けば周辺の敵を掃討・囮となりつつ母船攻撃を開始し、時間が来れば「この私」を反物質変換し周囲を巻き込み自爆
現地へと追加転送された私の『ノヴァ・バスター』による遠距離からの大規模砲撃で追撃しましょう



 任務の内容は至極シンプルであった。
『掃討』である。
 須らく滅ぼす。
 何を、とは問うまでもない。この空中庭園に蠢きひしめく存在を、である。
 白き怪物たち。
『ピルグリム』と呼ばれる尾に産卵管たる針を持ち、集団で行動する意思疎通のできぬ怪物たち。
 その瞳、その黒き眼をミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)は見やる。

 周辺資源で自身を複製し戦い続ける自律兵器。
 それを目指して造られたのが、彼女であった。
 試験体であったことは事実であるが、彼女はそのあり方の一辺が、『ピルグリム』と似通っているように思えたかも知れない。
『ピルグリム』は繁殖のためだけに行動する。
 ただ一匹さえ残れば、また繁殖する事ができるがゆえに、意志は存在していないように思える。
 希薄とも取れる。
 けれど、彼らの行動原理はシンプルであるがゆえに頑強である。

 繁殖する、ということだけに目を向ければ、これ以上にない存在だ。
「ミレア・ソリティス、任務了解しました」 
 彼女はもう考えない。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝き、彼女の中に流れ込むコード・ベルセルク:Ω(コード・ベルセルク・オプションオメガ)の機能を、そのリミッターを解除する。
「同型機への情報通信及び転送準備完了、本機体のリミッター解除……“コード・ベルセルク:Ω”発令。カウント・スタート」
 それは非常なる突撃攻撃であった。
 三分間あらゆる攻撃行動を三倍にするコード。
 されど、三分が過ぎた後、彼女は自身を反物質へと変換し自爆する。

 データ事態はすでに転送されているのだ。
 何も問題はない。
 捨て身の攻撃行動。『私』の機能を増強するためのユーベルコードなのだから問題など無い。
 ショートブラスターを連射し『ピルグリム』を撃ち抜く。
「……場合によっては私の損害を無視してよいと判断するつもりでしたが……敵性存在の能力はオブリビオンよりも劣るものであると判断」
 注意すべきは尾の針のみ。
 それさえ躱していればいい。だからこそ、ミレアは瞬間的に理解していた。
 これは掃討であるが、優先すべきは『母艦』の破壊だ。

 あれが存在していることで跳ね上がる危険性がある。
 もしも、あれがこの地に降り立つために利用されていたのだとしたら、あの『母艦』は『巡礼者』の名の通り、次なる目的地へと旅立だろう。
 それはこの空中庭園で一匹を残す以上に脅威となる。
「『母艦』の破壊を優先……どのみち時間は限られます」
 バリアシステムを展開し、彼女は弾丸のように『ピルグリム』の群れを蹴撃と副腕での打撃でもって吹き飛ばし、『ピルグリムシップ』へと迫る。

 優先目標を破壊する。
 だが、時間が足りない。彼女にとって、それは計算内であった。
「自爆攻撃の範囲に『母艦』が在りさえすればいい……あとは、転送された『私』による砲撃で追撃すればいい」
 三分が経過した瞬間、彼女の体は反物質へと変換される。
『ピルグリム』たちが殺到し、彼女の肉体に産卵管を突き立てようとした瞬間、その躰は反物質変換によって自爆し、あらゆるものを道連れにして破壊される。

 爆風が吹きすさび、『母艦』が揺れる。
「『ノヴァ・バスター』。照準を固定。敵性『母艦』をターゲットに」
 新たに転送されてきた『ミレア』が遠距離からの大規模砲撃を敢行する。僅かに爆風を逃れた『ピルグリムシップ』を撃ち抜く一撃。

 ミレアは逃さない。
 ただ一匹残すだけで再び繁殖する『ピルグリム』の危険性を彼女は自分自身で実証している。
 ならばこそ、逃す理由はない。
 大規模砲撃のチャージを再び行い彼女は、この空中庭園からただの一匹すら『ピルグリム』を逃さぬよう、徹底的な破壊を叩き込み続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
こいつは…接近させない方が良さそうだな
光と闇の疑似精霊、力を貸してくれ!

闇の波動を周囲へ展開し、自身へ産卵管が到達する前に迎撃し排除する
闇の波動の射程外の相手は護符の【乱れ撃ち】で迎撃
ひとまず闇の波動のおかげで敵に接近される前に迎撃は可能だと思うが…決して油断は出来ない

闇の波動の射程内でも倒しきれない敵がいる場合は
手は護符の投擲で塞がっているから足に闘気を纏わせて
【衝撃波】を放って中距離攻撃を仕掛けよう
これでも多少は【功夫】の心得はあるんだ

とにかく相手に近付かせたら負けだ
【制圧射撃】していく形で相手から距離を取りつつ戦う事を心掛ける
母艦は光【属性攻撃】付与した護符から【レーザー射撃】で攻撃



『ピルグリム』の特性は言うまでもなく、その繁殖速度にある。
 寄生した宿主が強力であればあるほどに、卵の成長速度は跳ね上がっていく。
 この地に足を踏み入れた『天帝騎士団』の骸がそれを示している。彼らはオブリビオンとしても強大な存在であった。
 けれど、尽くが死して亡き骸を晒している。
 どれもが腹を内側から食い破られているのだ。それが示す事実はたった一つだ。

「こいつは……接近させない方が良さそうだな。光と闇の疑似精霊、力を貸してくれ!」
 鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は、絶対死守の誓い(ヒカリトヤミノシエン)を立てる。
 守ると決めたのは世界である。
『ピルグリム』が存在することによって、未来に喪われる生命を救うこと、守ること。その誓いによって光と闇の疑似精霊は呼応する。

 闇の波動は、周囲に集まる『ピルグリム』を寄せ付けない。
 自身に殺到するのは理解できる。
 自分は生物であり、同時に猟兵である。彼らからすれば極上の寄生先であると理解できる躰。
 さらに護符をばらまき、ひりょは迫る『ピルグリム』たちを寄せ付けない。
「接近はさせない……闇の疑似精霊のおかげで、こちらにはあの針……産卵管は届かないけど……」
 油断はできない。
 彼らは生物だ。意思疎通ができなくても生物としての本能が在る。どうすれば繁殖できるのか。
 ただその一点においてのみ、彼らは思考する。
 それ以外の感情などない。

 あの黒い瞳がそう言っているように思えた。
 彼らは群体。
 ただ、そうあるべきと唯一つの目的のためだけに整然と、そして異様なまでに連携が取れている。
「手が足りなくなる……! これが『ピルグリム』の繁殖速度だっていうのか……!」
 ひりょは驚嘆するしかなかった。
 闇の波動による永続的なダメージに加え、己も護符をばらまき、乱れ打ちしているのだ。
 だというのに、それでも白い津波のように『ピルグリム』が迫ってきている。恐るべき速度。
 これは大本を叩かねば終わりは来ないと理解できる。

「とにかく相手に近づかせたら負けだ……だから、大本の『母艦』を叩く!」
 ひりょは踏み込む。
 功夫によって鍛え上げられた脚部が闘気を纏い、踏み込む衝撃を解き放つ。
 波動と衝撃波。
 さらに護符。その三重による攻勢は『ピルグリム』たちに群れを押し戻していくだろう。
「これでも多少は心得があるんだ! 射線が開けた……! なら!」
 光輝く護符を一枚抜き払う。
 そこに籠められた力は、光条となって解き放たれ『ピルグリムシップ』へと走る。

「これで、撃ち抜け!」
 白い卵型の『母艦』を撃ち抜くレーザーの如き一撃。
 燃える『母艦』を叩いてもなお、『ピルグリム』は迫る。彼らは理解している。次なる場所へと『巡礼』するよりも繁殖することが先決であると。
 目の前の生物を利用する。植え付ける。
 物言わぬ黒く眼がひりょを捉え続けている。

 薄気味悪いとさえ感じる。
 けれど、ひりょにだって退けぬ理由だってあるのだ。
 絶対に守ると決めた未来がある。
 そのためならば、あの白き恐怖の存在を前にしたって足がすくむことはない。踏み込む足が大地を揺らし、『ピルグリム』たちを吹き飛ばしていく。

 迫る恐怖を理性でもって振り払うことができるのが人間であるというのならば、ひりょは己の心から溢れる力でもって、この災厄を振り払うのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステラさんと】

えっと。
子供?産む?メイドってなんだっけ?

って!
このぴゅあっぴゅあなわたしに何させようとしてますか!
勇者は犠牲的な面もありますけど、そういうのではないですよ!?
やべーおぶやべーじゃないですか!

それにその世界線、どれだけの確率あるんです?

……え?演奏していいんですか!
ちょいちょいひっかかる言葉が聞こえますけど、
聞かなかった感じでいきますね!

それではリクエストにお応えして【Canon】いきまーす!
やっぱり望まれて演奏するっていいですね♪

さ、ステラさんもたーっぷり堪能してくださいね。
耳栓?そんなの突き抜けるに決まってるじゃないですか!

これでも勇者です。
同じ防御に2度は屈しませんよ!


ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
ルクス様、最初に申し上げることがあります
私、|エイル様《主人様》の子供以外は生むつもりはありません
というわけでピルグリムに刺されそうになったらルクス様を盾にします
ええ、全力で
(私がエイル様と幸せに暮らす)世界のために犠牲になってください勇者
誰がやべーメイドですか

でもまぁ今回はルクス様の演奏があれば全く問題ないのでは?
何といってもルクス様の|音壊《おんかい》は他の追随を許しません
演奏しているだけでピルグリムも倒れるかと
【Canon】とかいかがですか?
耳栓をして私は音壊をガード
ルクス様の演奏で弱った個体を
【スクロペトゥム・フォルマ】で仕留めて
ごふっ…耳栓を突き破って…くるだと…



 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は困惑していた。
 なんだいつものことかと思う者もいるだろう。
 まあ、大体いつもの通りの感じのことである。省略してもいいかなと思ったけれど、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の熱量に負けた形になる。
「ルクス様」
 神妙な顔をしているルクス。
 今ちょっと忙しいし、目の前に迫る『ピルグリム』のヤバさにルクスは気がついているからこそ、今聞かないといけないことなのかとステラを見る。

「最初に申し上げることがあります」
「え、なんです?」
 今? 本当に今? 今じゃないとダメ!?
 ルクスは迫りくる『ピルグリム』を叩きのめしながら、尾の針の一撃を躱す。ステラも同様である。
 けれど、彼女の顔つきは真剣そのものであった。
 だから、本当に? と念押ししたのである。
「私、|『エイル』様《ご主人様》の子供遺骸生むつもりはありません」
 はい、今のタイミングじゃなかった話。
 はい解散! とはできないのが、この戦場の悲しいところである。白き怪物たちは特に何も思っていなかった。

 目の前に生物がいるのならば、ただ繁殖するためだけに産卵管を打ち込み、己たちの同法を増やすことだけに専念するのだ。
「えっと。子供? 産む? メイドってなんだっけ?」
「というわけで私が『ピルグリム』に刺されそうになったら盾になっていただきます」
「って! このぴゅあぴゅあなわたしに何させようとしてますか! 勇者は犠牲的な面もありますけど、そういうのではないですよ!?」
「ええ、全力で。世界のために義性になってください勇者」
 今、自分とご主人様と幸せに暮らす世界っていうのが透けて見えた気がした。

「やべーおぶやべーじゃないですか!」
「誰がやべーメイドですか」
 あなたですが。
「それにその世界線、どれだけの確率があるんです?」
 皆無絶無では? とルクスは思った。まじで在り得るのか、そんなこと、とも思った。
 けれど、まじで今はそんなコントやっている場合ではないのである。
 まじでやべーのはこの状況である。
 やべーおぶやべーメイド選手権やってる場合ではないのだ。
 
 迫る白い怪物。
 彼らを退けなければならず、また一匹たりと手残してはいけないのだ。
 ただの一匹であっても『ピルグリム』は増える。繁殖し、圧倒的な速度で生命を蹂躙していくのだ。
 だからこそ、殲滅せねばならない。
「でもまあ今回はルクスさまの演奏があれば全く問題ないのでは?」
「え、演奏していいんですか!」
「ええ、なんと言ってもルクス様の|音壊《おんかい》は他の追随を許しません」
「今なんか失礼な言葉のように聞こえたんですけど!? 音階ですよね!? 聞かなかった感じでいきますけど! では!」
 リクエストにお答えしましょう、とルクスは得意げである。

 ちょいちょい引っかかりを覚えていたはずであるが、今まで抑えられていた演奏欲求が今まさに報われると知れば、そんなこと些細なことなのである。
「Canon(カノン)いきまーす!」
 ヴァイオリンを弾く。
 凄まじい不協和音が響き渡る。
『ピルグリム』たちに意志はない。あるのは存在意義だけだ。
 意思疎通は不可能。
 故に芸術による交流など意味をなさない。けれど、ルクスの演奏は、『ピルグリム』たちにとっても不快そのものであったのかもしれない。
 音が、こんなにも、と『ピルグリム』たちに言葉があったのならば、思ったかも知れない。
 破壊魔法に匹敵する威力で放たれる不可視の音の打撃。
 身を切るような音の戦慄。
 あらゆるものが『ピルグリム』たちを苦しめているとさえ錯覚できてしまうほどの音であった。
「やっぱり望まれて演奏するっていいですね♪」
 ステラも堪能しているだろうとルクスは張り切る。

 だがまあ、当たり前みたいに耳栓装備である。
 ステラは、手にした二丁拳銃で弱った『ピルグリム』たちを次々と仕留めていく。
「スクロペトクム・フォルマ……これぞ超近接戦用の『|銃の型《ガン=カタ》』です……って、これ!? ごふっ!?」
 ステラは格好良く二丁拳銃を構えていたが、あまりの音に思わず吹き出してしまう。
 え、耳栓しているよね?
 え、ちゃんと耳栓はまっているよね? と二度ステラは確認した。確かに耳の穴には耳栓が詰まっている。

 指でも確認した。
 けど、それすらも突き抜けてくるのだ。パワーアップしたルクスの不協和音は、耳栓なぞで防げる道理などないのである。
 不条理! 理不尽! 耳を覆っても、耳を潰しても、骨伝導で響くである戦慄。
『ピルグリム』たちがうめき、倒れ、絶命していく。
 ステラが気絶しなかったのは、不幸中の幸いであった。

「耳栓を突き破って……くるだと……」
「これでも勇者です! 同じ防御に二度は屈しませんよ!」
 あ、それ違う意味!
 別の意味で成長を見せるルクスにステラは末恐ろしさを感じ、しかして『ピルグリム』は彼女たちの周囲で生物としての終わりを迎えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
うわー…ホラーじゃん…
もう悪趣味系のヤツじゃん、R18付いちゃうよ
いや寄生系はキッツいな…
星型の痣だけなら、何か因縁めいてカッコよくね?ってなるけど…
うん、卵産み付けられるのはうん…ちょっとね…
まあ、産卵管に気を付けたら良いか…


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀し斬り込もう
斬り込むと同時に『斬撃波』を放ちピルグリムを『吹き飛ばし』て道を切り開き、近付かれ過ぎないようにしよう
背後や死角の産卵管にも注意して、剣で『武器受け』して…斬り落とそう
【Code:T.S】起動
雷刃最大展開、周囲のピルグリムと母艦を纏めて『なぎ払い』
纏めて切り払う!
後はそれを繰り返して殲滅していこう



 どれだけ肉体を鍛えようとも、その鎧の如き体躯の内側、内臓は守られない。
 生物にとって内臓とは即ち弱点。
 だからこそ侵入されぬように外殻のごとき肉体を鍛えるのだ。
 けれど白き怪物『ピルグリム』は、それを容易く打ち破る。
 尾の針は産卵管。
 打ち込まれれば回避できぬ死が待つのみ。
『天帝騎士団』の騎士たちもそうであったのだろう。『ピルグリム』はたしかに彼らオブリビオンより劣る存在である。

 動きは彼らにとっては緩慢そのもの。
 針の一撃もまた痛みとして認識されぬ程度のもの。
 だが、その一指しが致命傷である。心を鍛えようとも、己の肉の内側から食い破り現れる『ピルグリム』の姿に生物としての本能的恐怖は抗えない。
「うわー……ホラーじゃん……」
 骸を晒す『天帝騎士団』。
 それを見て、月夜・玲(頂の探究者・f01605)はぉもわずうめいていた。

 如何にサブカルチャーに造詣の深い彼女であったとしても、この光景は遠慮願いたいものであったのだろう。
「もう悪趣味系のヤツじゃん、レーティングが一気に跳ね上がっちゃうよ」
 具体的にはR18Gのやつ。
 そんな生物的不快感を顕にした所で『ピルグリム』が退いてくれるわけでもない。だからこそ、玲は二刀の模造神器を抜き払う。

 注意すべきは尾の針。
 あの針が産卵管であり、あれを打ち込まれれば如何に猟兵と言えど絶命は免れない。絶対に受けてはならないと言明されている。
 ならばこそ、彼女は切り込むと同時に斬撃波を放ち、生物に襲いかかり繁殖しようとする『ピルグリム』たちを吹き飛ばす。
 道を切り拓く意味もあるが、もっとも効果があるのは尾の攻撃範囲から逃れることだ。
「いや寄生系はキッツいな……」
 振るう模造神器の刀身の腹で産卵管の針、その一撃を受け止め、返す刃で尾を切り裂く。

 だが、それだけではない。
 頭部の弁髪の如き器官が走る。
「そこにも産卵管か……!」
 それを切り払い、さらに死角より迫る尾の一撃を躱し、玲は宙を舞う。
 彼らの瞳に意志はない。
 あるのは存在意義のみ。繁殖する、というただそれだけの意義を満たすためだけに彼らは生存している。
 だからこそ、彼らは進む。
 同胞の骸など路傍の石のごとく蹴り飛ばしながら、ただただ己たちの繁殖目的のためだけに生物に迫るのだ。

「まったくもって……星型の痣だけなら、なにか血の因縁めいてカッコよくね? ってなるけど……」
 星型の痣にはちょっとサブカルな魂が呼応してしまうものである。
 けれど、産み付けはちょっと、ていうか、ノーサンキューである。
「一気にまとめて切り払わせて貰う!」
 玲の瞳がユーベルコードに輝く。
 見据えるは切り開いた道の先にある白い卵型の『母艦』。
 あれを逃してはならない。恐らくあれが足なのだろう。アックス&ウィザーズに現れたという『ピルグリム』。

 他世界に渡る術であるというのならば、これを逃せばあらゆる世界に『ピルグリム』が蔓延る。
「それはさせないって! 出力上昇、雷刃形成――Code:T.S(コード・サンダーソード)」
 模造神器の刀身が雷刃を形成する。
 振るう斬撃の一撃が『ピルグリム』の群れごと『ピルグリムシップ』を切り裂く。 
 さらに彼女のもう片方の手にある模造神器を振るう。
 一刀のもとに付すだけでは足りない。
 あの『母艦』は徹底的に叩かねばならない。振り下ろされた斬撃の一撃が、周囲に凄まじい衝撃波とともに雷撃を走らせ、『ピルグリム』を一掃する。

 単体の強さがこの程度だったからまだいい。
 けれど、彼らがもし進化したのならば。
 それは末恐ろしさをにじませるものであったことだろう。故にここで徹底的に叩く。玲は予断を許さぬ状況にありながら、冷静に次々と『母艦』を切り裂き続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

地鉛・要
アドリブ連携可

虫や寄生虫を使っている俺が言えたことじゃないが中々にえげつない生体してるな。
虫なら使役してみたくはあるが・・・これを使役するのは周りに止められて無理だろうな。

まずは、早業で影業を針状に飛ばしてけん制&UCの前提条件を達成させる
弱点に対応した怪物に変身、敵にとっての天敵に近しい怪物に成ると思うが・・・特性を使った攻撃以外にもサイコビットや、影業を使って着実に処理しつつ。シップを渾身の力で攻撃し続ける



 繁殖する。
 ただそれだけのために白い怪物『ピルグリム』は存在している。
 それだけだ。
 意志は感じられぬ黒き眼。
 意思疎通が可能であるとは思えない。己が蟲や寄生虫を手繰るからこそ、目の前の白き怪物はどうしようもなく生物の敵であると地鉛・要(夢幻の果て・f02609)は理解しただろう。
 その生体は単純明快である。

 尾は産卵管。
 異形の腕は鋏。
 頭部にある弁髪の如き器官もまた産卵管。こちらは補助的に使うのだろう。
 ただ産み付け、宿主の力に比例して成長速度を変える。寄生先の宿主が強力な存在であれば在る程に成長速度は早い。
 生まれた新たなる『ピルグリム』がさらに別の個体に襲いかかり、繁殖する。
 体の内部から食い破って湧き出す光景は、それだけで生物的嫌悪感をにじませる。
『天帝騎士団』のオブリビオンたちも同様であったのだろう。どれだけ肉体を鍛えたとしても、体の内側から食い破る存在を防ぐ手立てはない。
「中々にえげつない生態してるな」

 蟲であるのならば使役してみたくもあると、要は思っていたが、恐らく無理だろう。
 使役できることはないだろうし、仮に出来たとしても周囲からは止められるだろう。どのみち無理だ。
 ならばこそ、彼の判断は早い。
 滅ぼす。
 一匹残らず滅ぼさなければならない。
「生物の中身をよく熟知している。寄生し、その内臓に到達する。内臓は肉体を動かす器官が集中している。なら、そこに栄養源があると理解している」
 腹の中側にて蠢き、己を食い破るもの。
 それをどれだけ言葉で理解できていたとしても、本能が抑えられない。
 自分の中に自分ではない何者かが蠢いているという事実。
 そして、それが悪意を持って己の肉体を糧に成長しているという現実。

「……恐慌状態になるのも無理ない」
 総言葉を紡ぎながらも要は影業を針へと変え、迫る『ピルグリム』を牽制する。
 近づけさせてはならない。
 あの針の一指しは、たかが針の一指しではない。
 受ければ確実に絶命に至る一指しなのだ。
 故に彼は針の牽制でもって近づけさせない。だが、それは前提条件でしか無い。自身の操る影を命中させる。
 
 針は影業に繋がり、己の影へと『ピルグリム』の体皮を吸収する。
 それは敵の弱点に対応するためである。
 此処に在るのは猟兵であり、また同時に怪物である。

 顕現:精神の怪物(エゴノカイブツ)。
 精神は肉体をねじれ、歪ませるというのならば、今の要は白き怪物そのものであった。
 天敵など『ピルグリム』にはいないのかもしれない。
 仮に居るのだとしたら、『ピルグリム』自身であったのかもしれない。
 食い破り、繁殖する。
 放たれる産卵管を持つサイコビットや影が走る。

『ピルグリム』たちの体に埋め込まれ、肉体を食い破る黒き影の『ピルグリム』もどき。宿主たる『ピルグリム』を食い破れば、さらに獲物を求めて走る。
 混沌そのものであったのかもしれない。
 影の黒。怪物の白。 
 入り交じる戦場であっても、灰色になることはない。ふえて、ふえて、ふえていく。その光景を眺めながら要は『ピルグリムシップ』を見やる。
 あれは『母艦』なのだろう。
 他世界に『巡礼』するための。ならば、アレをたたく。

『ピルグリム』を食い破って増大した影が集合していく。
 それは巨大な剣そのものとなって、刀身を形成し要の頭上にある。軽く手を振った瞬間、その影の大剣が『ピルグリムシップ』に放たれ、完膚なきまでに両断する。
 その一撃を持って増殖した影は霧消していくだろう。
「己自身が天敵、か。繁殖に対応するのは増殖。まあ、共食いにしか見えなかったが――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

夕凪・悠那
うわキモ……
これパニックホラーで見るやつじゃん

『エルドリッジ』に乗ることで産卵管に対処
コックピットの装甲を抜かれなきゃとりあえずは大丈夫でしょ

[空中機動]しながら『Thunderer』で蹴散らしていくけど、いくら倒してもキリがないな……
やっぱりアレかー
大元――ピルグリムシップを沈めないとダメか

エルドリッジ、全[リミッター解除]
全回路接続
出力最大

母艦もろとも周囲のピルグリムも灼き尽くす
墜ちろ、【Judgment"KERAUNOS"】(属性攻撃[雷]+電撃+範囲攻撃)



 予知された内容は、見るに耐えぬものであったことだろう。
 白き怪物『ピルグリム』の蹂躙した痕が空中庭園のそこかしこに残されている。
 どれもが『天帝騎士団』のオブリビオンたちの亡き骸であった。共通しているのは腹部が内側から食い破られている様相。
『ピルグリム』の存在意義、目的は繁殖することである。
 針の一指しが絶命に至ると言う。
 これを治療する術はまだ確認されておらず、刺された証拠である星型の痣が浮かんだが最後である。

 止める術はない。
 ただ己の内側から食い破るようにして生まれる白き怪物を見ることしか許されない。
 あまりにも残虐な繁殖方法。
「うわキモ……これパニックホラーで見るやつじゃん」
 恐慌状態に陥るのも無理なからぬことであると夕凪・悠那(電脳魔・f08384)は思ったことだろう。
 キャバリアである『エルドリッジ』を駆り、彼女は『ピルグリム』の産卵管たる針に対抗する。
 キャバリアの装甲であれば産卵管は届かない。
 接近戦は恐らく不利。
 かといって遠距離で戦っても不意の一撃を受ければ、それでおしまいである。ならばこそ、『エルドリッジ』を駆るのだ。

「コクピットの装甲を抜かれなきゃとりあえずは大丈夫でしょ」
 だが、慢心はできない。
『エルドリッジ』は迷彩機能を有した高出力の魔導機である。十全に機能を活かせば、『ピルグリム』に遅れを取ることはない。
 空中庭園の空を駆け抜け、大地に蠢きひしめく白き怪物を見下ろす。レールガンの砲撃を打ち込み、蹴散らしてもキリがない。
 どこから繁殖したのだと言うほどに『ピルグリム』は数を誇る。

 一匹でも残せば、禍根となることは明白。
 故に彼女は大本を探る。根絶しなければならないのならば、溢れる原因があることを突き止めねばならないのだ。
「やっぱりアレかー」
 悠那は、『エルドリッジ』のモニターに捉えられた白い卵型の『母艦』を見やる。
 あれは足である。
 他世界にも『ピルグリム』の存在が感知されている以上、あれを残せば、他世界に『ピルグリム』が蔓延る可能性がある。

「なら、あれを――『ピルグリムシップ』を沈めないとダメか」
 悠那の瞳がユーベルコードに輝く。
 ちまちまと群れを叩くのはもうやめた。『エルドリッジ』の炉が燃えるように出力を上げていく。
 魔導機たる機体は、高出力を誇る。
 回路を走るエネルギーの奔流は、機体の回路を繋げていく。
 だが、まだ足りない。

「『エルドリッジ』、全リミッター解除。全回路接続。出力最大」
 空間に満ちるエネルギーに『ピルグリム』たちは気がついただろうか。いや、気がついていたとしても、彼らは同様しない。
 己たちの生物的な死など何も感じない。
 意思疎通が不可能なのではない。そもそも意志などないのかもしれない。
 ただ、繁殖のためだけに存在するものたち。
 彼らは死を意識などしない。故に『エルドリッジ』を中心に高まるエネルギーを感知すれど、それに対する畏怖など保たないのだ。

 故に滅びる。
「――灼き尽くせ」
 迸るは大雷霆。
 その極大なる一撃は、白き『母艦』すら巻き込んで、周囲の『ピルグリム』の群れを一掃する。
 Judgment "KERAUNOS"(ジャッジメント・ケラウノス)。
 全てを滅ぼす雷撃の一撃は、如何なる存在も生存を許さない。
 神経を焼き尽くし、あらゆるものの動きを止める。
 天より放たれたかのような一撃は『エルドリッジ』の周囲に合った『ピルグリム』を一切合切焼き尽くす。

 ただの一匹たりとて逃さぬと悠那は、その無慈悲なる雷霆の一撃でもって白き怪物を滅ぼすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
グロいというか何というか
ホラーの類だよね

これが増えられたら困るから
確実に倒しておきたいね

産卵管の攻撃を受けない様に
鉑帝竜に搭乗して戦うよ

機体自体は金属の塊だから
流石にこれを元に増殖はできないと思いたいね

念のため邪神の涙を使って
近付いてくるのをまとめて攻撃しよう
飛びながら極低温の物質をばら撒いてれば
機体に近付く前に凍り付くと思うよ

すごくさむいのです

あのホラー展開に比べたら
寒い方が絶対いいと思うよ

万が一に備えて邪神の施しで
自分と使い魔を金属の彫像に変えておこうか
例え分霊が喜ぶとしても
あれに比べれば彫像になる方がマシだし

ピルグリムシップに近付いたら
邪神の涙で凍結させつつ
レールガンの砲撃で砕いていこう



 見るに堪えない光景であった。
 腹を引き裂かれ、骸を晒す『天帝騎士団』のオブリビオンたち。
 すでに絶命している。
 どれもが同じ死に様であり、張り付いた恐慌の痕は痛ましさすら感じるものであったのかもしれない。
「グロいというかなんというか、ホラーの類だよね」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は恐らく多くの猟兵が同様の感想を抱くであろうと思った。
 共感したくない共感。
 こんな光景を他の誰かに見せたいとは思わないだろう。

 白き怪物を一匹でも野放しにすれば、このような光景が他世界でも引き起こされてしまうかもしれない。その可能性は、ここで潰えさせなければならない。
「これが増えられたら困るから、確実に倒しておきたいね」
 超硬装甲の鉑帝竜に座し、晶は戦場に降り立つ。
 敵の注意しなければならない攻撃は唯一。尾の針。産卵管の一撃だ。
 確かに『ピルグリム』はオブリビオンと比べて緩慢な動きである。脅威であるとは思えないし、たかだか針の一撃と思うだろう。

 けれど、確実に避けるように言明されている。
 あの一撃を受ければ産卵管によって卵を埋め込まれ、確実に絶命に至る。今の段階では、治療方法はなく、死ぬしかないのだ。
 寄生した個体が強力であればあるほどに、『ピルグリム』は成長速度を早める。猟兵ほどの者であれば、どうなるかなど言うまでもないのだ。
「鉑帝竜の装甲であれば、これを貫くことはできないだろうし、これを元に繁殖はできない……と思いたいね」
 仮に無機物でも繁殖できるのならば、最早『ピルグリム』を止める手立てはない。

 今のところは、有機物でなければ繁殖が不可能であるようだ。
 だからこそ、『ピルグリム』たちは鉑帝竜の内部に座す晶を執拗に狙うのだろう。
「……執拗過ぎる……繁殖だけが存在意義だと言わんばかりだね……」
 迫りくる『ピルグリム』を振り払いながら、晶の瞳がユーベルコードに輝く。
 振りまくは、極低温の物質。
 自身も凍りつかせるデミリットはあるが、『ピルグリム』が生物である以上、寒さには弱いと見たのだ。

 事実、『ピルグリム』たちの動きが止まる。
 いや、すでに凍りついている。
 凍結した『ピルグリム』を鉑帝竜の脚部が踏み潰し、砕いていく。
「すごくさむいのです」
 その目にも邪神の涙(ゼロ・ケルビン)とはこのことである。分霊の言うことはわからんでもない。けれど、敵である『ピルグリム』を確実に滅ぼすにはこの手しかない。

「あのホラー展開に比べたら、寒いほうが絶対にいいと思うよ」
 それはそうである。
 だがしかし、念には念を入れることも大事だ。己の肉体を金属彫像に変え、さらに使い魔たちの肉体も彫像に変える。
 例え、邪神の分霊が喜ぶのだとしても、あのような死に様を迎えるよりはマシだ。
「あれが、『母艦』か。確実に壊すには……」
「こおらせてくだくのですー」
 分霊たちの言葉に晶は頷く。

 振りまく極低温の物質を前に生物は抗えない。
 凍りつく『ピルグリムシップ』にレールガンの砲口を向ける。
 オブリビオンではない白い怪物。
 彼らは『巡礼者』と名付けられた。ただの恐怖の象徴。生物であれば抗えぬ恐怖を振りまくもの。
 ならば、同じ生物として、あれは許してはおけないのだ。
 確実に滅ぼす。

 打ち込まれるレールガンの砲撃が凍結した『ピルグリムシップ』を砕き、その破片を撒き散らす。
 繰り返してはならぬものがあるのならばこそ、一切の容赦は、情けは掛けてはならぬのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもー
心配してくれるのはいいけけどーもっと明るく送り出してほしーなー
やっぱりもっと耐性を着けるべきだよね!
今度、寄生モンスター系の映画や動画の詰め合わせをプレゼントしてあげよう!グログロのやつ!!
と硬く心に誓って生きて帰らねばという思いを新たにするボクであった!

●勘で【第六感】避ける!
●おや?[餓鬼球]くんの様子が?珍しいね自己主張するなんて
じゃあキミに決めた!
と[影]を広く広く伸ばし…UC『神罰』の力で強化したビッグ[餓鬼球]くんを海面から飛び出すクジラのようにしてピルグリムシップに食らいつかせよう!
え、あの子たちって歯応えがもちもちして美味しい?そうかなー…??



「んもー心配してくれるのはいいけどーもっと明るく送り出してほしーなー」
 そう思うのも無理なからぬ惨状であった。
『ピルグリム』に蹂躙されたであろう『天帝騎士団』のオブリビオンたちの亡き骸。
 腹を内側から引き裂かれるようにして絶命している。
 それを予知として見たグリモア猟兵の心労はいかばかりのものか。だが、しかしながら、深刻な事態には他ならない。
 解決に赴く猟兵、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)としては、もっともっと明るくして欲しいものであると願うのだ。
「やっぱりもっと耐性をつけるべきだよね!」
 うんうん、と彼は頷く。

 今度、寄生モンスター系の映画や動画の詰め合わせをプレゼントしてあげようと意気込むのだ。
 グログロのやつ! と笑うのは、きっと生きて帰ってこなければならないという思いの現れであろう。
 きっとそうであろうと思う。
 そうであってほしいと願う。

「というわけで! サクッと解決させてもらっちゃおうかなー!」
 ロニは迫る『ピルグリム』の群れに相対する。
 放たれる尾の針は産卵管。
 確実に躱すように言明されている。ただの一指しであっても絶命せしめる攻撃なのだ。
 刺されてしまえば、もう対抗する術はない。
 星型の痣が浮かび、猟兵ほどの強者であれば、瞬時に『ピルグリム』は寄生した猟兵の腹をくい破って繁殖するだろう。

「んー、おや? 『餓鬼球』くんの様子が?」
 珍しいことも在るものだとロニは首をかしげる。
 自ら主張することなどない球体が手を上げるように立候補するのだ。そのやる気を無下にする気はない。
「じゃあ、キミに決めた!」
 影を伸ばし、神罰(ゴッドパニッシュメント)によって、球体の最大径を百万倍に広げる。
 途方も無い大きさである。
 空中庭園そのものを飲み込むほどの大きさ。
 余裕である。

「目はいつも二つある。一つはボク自身を見るために。もう一つはキミを見るために――そして、その『母艦』もパクっとね!」
 ロニの言葉とともに『餓鬼球』は地面から大顎を上げて『ピルグリム』の群れと『ピルグリムシップ』をまるごと飲み込む。
 それは言ってしまえば海面から飛び出す海洋生物、クジラの狩りと似ていた。
 あらゆるものを一飲みにする球体。
 逃れるすべはなく、その球体の内部に備えられた歯はあらゆるものを噛み砕くであろう。

「それにしても何であんなに自己主張したんだろ」
 ロニは首をかしげる。
『ピルグリム』を一掃した空中庭園は元の静けさを取り戻している。
 けれど、どうしてあんなに主張されたのかがわからなかったのだ。どうしてだい、と蠢く球体をなでてロニは尋ねる。
「……え、あの子たちって歯ごたえがもちもちして美味しい?」
 思いがけない答えにロニはさらに首を左右にかしげて見せる。
 神的シンキングタイムであったのかもしれない。

 けれど、どんなに想像しても、ロニには理解できなかった。
 確かに『ピルグリム』は白い。
 食欲をそそるかと言われたそうでもない。
「餓鬼球くんの考えることはよくわかんないなー」
 そうつぶやきながら、ロニは空中庭園で、やっぱり首を傾げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月25日


挿絵イラスト