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アルカディア争奪戦㉓〜ファンブルブレイカー

作者：黒代朝希

「遂にアルカディアの玉座に辿り着いたぞ！　だが、思ったよりも戦況は厳しい。だが、勝てぬわけではない」
　焦りを滲ませながらも不敵にアドナ・セファルワイド（セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942）はグリモアベースにて、己のグリモアであるセファルワイド帝国の歴史書のページを捲っていく。
　映し出されたのはオブリビオン『レプリゼンタ・カンギ』――『爆殖核』と呼ばれる「無限増殖する植物群」に覆われている崩壊した機械仕掛けの黄金ピラミッドの内部を支配している『レプリゼンタ・カンギ』に決戦を挑むのが今回の依頼だ。
「どうやらカンギはここで「帝竜ミドガルズオルム」の召喚を試みていたようだが、どうやらそれは失敗に終わったようだ……しかし奴にはそれを以ても戦局を有利にするユーベルコードが存在する」
　それは「超常的な幸運力」を持ち、どんなに強力な攻撃でも「何故か」「偶然」回避されてしまう……
　という反則じみた力だ。
　無論の事、完璧ではない。
「急所狙いや位置取りを上手く行う事で、想定を覆す｜致命的な一撃《クリティカルヒット》を決めることができれば……攻撃の強弱は関係なく、たとえ『ユーベルコードでなくても』、カンギの幸運力を凌駕してダメージを与えられるとの事だ」
　ならば、取り得る対策は一つだ。
「奴の「超常的な幸運力」……それは『｜劇的な変化《エンディング》』の一種であり『｜終焉《エンディング》』を齎す事だろう。ならば……この力が必要であろうな」
　そうして、アドナが指を鳴らすと……猟兵達の瞳に『終焉を終焉させる力』が宿る――

第1章 ボス戦 『レプリゼンタ・カンギ』

POW   :    歓喜天聖雷衝 自身が装備する【金剛杖アンクーシャ】から【放電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【パラライズ】の状態異常を与える。 SPD   :    歓喜自在鼻 自身の【自在に伸びる象の鼻】に【超重力】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する（敗北や死の危機に比例する）。 WIZ   :    歓喜攻性蓮華 【蓮華の花】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【肉体の植物化と世界樹への忠誠心】を誘発する効果」を付与する。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「遂に、アルカディアの玉座に……」
　とはいえ、時間的な猶予はもうない。
　ここからは、猟兵とグリモア猟兵が如何に迅速に戦場を制圧できるかにかかっている。
　故にアリス・フェアリィハート（不思議の国の天司姫アリス・f01939）は真っ先に『レプリゼンタ・カンギ』が支配する『爆殖核』と呼ばれる「無限増殖する植物群」に覆われている崩壊した機械仕掛けの黄金ピラミッドへと向かっていた。
「レプリゼンタ・カンギさん……この世界の為にも……貴方を……！」
「何？　もうここまで……私の意図を見破られたのは、そうか……ヘリオライトとは別原理の……」
　そう言って得心がある程度行ったかのような態度を見せる『レプリゼンタ・カンギ』。
　絶対先制攻撃権程の強烈さはないものの、自在に伸びる象の鼻に超重力を宿した一撃は強烈だ。
「――白の王さまはこう仰いました。「まだ一匹の燻り狂える怪物を押しとどめる方が楽じゃろうよ！」……と……」
「バンダースナッチか」
　しかしアリスも負けてはいない。
　元々のユーベルコードによる攻撃自体を回避する瞬間移動から繰り出される『死角等から魔法等や全てを灼く光焔纏う攻撃』に、『終焉を終焉させる力』を乗せて『レプリゼンタ・カンギ』を攻撃する。
「何！？……いや、これは『｜絶空獣の使徒《ケルベロス》』の不死無効化ではない……まさか、因果律操作……いや、これは『破壊』！？　馬鹿な！！」
　その力を前に、かの『｜最終生存体《レプリゼンタ》』は驚愕を隠せない――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「何か木みたいな……ゾウ？」
　祓戸・多喜（白象の射手・f21878）はちょっと体が大きくて象獣人のような外見、だが中身は普通の女子大生という猟兵だ。
　｜部活《弓道》に愉快な友達にバイトにと充実した日々を過ごしている彼女であるが、猟兵をこなしているとなると中々突飛な光景を見る事にもなる。
　現在、彼女の目の前にいる『レプリゼンタ・カンギ』もまた然り。
「縁起よさそうに見えるけどえらくでっかいし強そうね！　でもアタシ達だってここまで来たんだから一気に突破してくわよ！」
「……能力の本質は断言できんが、精神性は『｜絶空獣の使徒《ケルベロス》』と同じだな。確かに致命的ではないが厳しいはずだ……」
　超常的な幸運――いわば『終焉を回避する力』を発揮する『レプリゼンタ・カンギ』であるが、その事は多喜もグリモア猟兵から聞き及んでいるし対策も立てている。
「向こうの幸運…終焉を回避する力はアタシにとっての障害！　なら、ユーベルコードを使って全力集中で急所を見出し射抜くわ！」
　体表を水属性のオーラで覆って表面を流すようにし、電撃を地面に流していく事で『レプリゼンタ・カンギ』のユーベルコードを対処しながら多喜は小さめの金属の矢を取り出す。
　その小さい金属の矢を連射し、避雷針代わりにして別の方に逸らし直撃を避けていく――『雷撃を受ける』という『終焉』を破壊しながら。
「終焉を回避するのは、そちらも同じであろう……そんな力、あの『｜絶空獣の使徒《ケルベロス》』でさえ……」
　絶対的な宿敵を思い返し、それでも馬鹿げていると言わんばかりに『レプリゼンタ・カンギ』は吐き捨て、胴の忠臣にぶち込まれた多喜の全力の矢によるダメージを相殺するのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「さて、妙な象の化け物が出た訳だが……なにしろ時間がない。こいつに長い時間はかけられないな」
「言っておくが、貴様らは贅沢だぞ。何せ『｜絶空獣の使徒《ケルベロス》』の所有する『戦争』の時間は半日近くがせいぜいなのだからな」
　そんな意味が今の所把握できない『レプリゼンタ・カンギ』の言葉を受け流しながら、真宮・律（黄昏の雷鳴・f38364）は『歓喜自在鼻』の対処に勤しんでいた。
「全く、自在に伸びる象の鼻か。厄介だな。まあ、当たらなければいい」
　空を飛び回りながら戦闘知識で攻撃の軌道を見切る律。
　幾ら如意棒の如く自由自在に伸びるとしても『象の鼻を伸ばす』という形式をとっている以上、その軌道の予測は容易い。
「所詮象の鼻だ。その軌道は一直線……ま、一応迷彩を施しておくか」
　そうして『レプリゼンタ・カンギ』の認識から逃れた後、律はユーベルコードと『終焉を終焉させる力』を練り上げていく――
「俺は一度終わりを迎えた。だからこそ今度こそ不幸な終焉は防いでみせる！！」
　ユーベルコード『傭兵の切り札』を発動し、黄昏を駆ける戦士が愛用する赤銅の両手剣『クレプスキュル』の射程距離を強化する律。
　その結果『クレプスキュル』は振るっただけで斬撃が飛ぶ、正確にはその斬撃そのものが『延長』されるという性質を保有するようになる。
「同じく『近接攻撃の射程を伸ばす』という性質のユーベルコードだな？」
　終焉を終焉させる力とありったけの力を籠め、律は伸ばされた斬撃を『レプリゼンタ・カンギ』へと浴びせかける！！

大成功 🔵​🔵​🔵​

「さて、決着を付けようか」
　栗花落・澪（泡沫の花・f03165）はそう言って万一の為に自身にオーラ防御を纏い、可能な範囲での空中戦を『レプリゼンタ・カンギ』へと仕掛ける。
　澪は使用者に加護を与える聖なる杖を振るい、回避を重視しながら杖を伸ばす事で『レプリゼンタ・カンギ』のユーベルコード『 歓喜攻性蓮華』による『肉体の植物化と世界樹への忠誠心を誘発する蓮華の花を纏った一撃』を『終焉を終焉させる力』で弾き飛ばす。
「破魔が効くかどうかは一旦置いといて……こちらの攻撃は万一回避されてもいい。なんらかの形で回避されたとして、その瞬間は必ず隙が出来る」
　更に魔力を込めて聖痕をかざす事により、仇なすものを払う花園を生み出す『｜聖痕《スティグマ》』によって花びらの足場を形成した後、ユーベルコード『｜浄化と祝福《ピュリフィカシオン・エト・ベネディクション》』を澪は発動。
　あらゆる種の鳥の姿を模した飛翔する破魔の炎を、敢えてバラバラに突撃させる。
　目的は破魔の焔の着弾でなく、かの『｜最終生存体《レプリゼンタ》』の逃げ道を奪う事。
「更に炎は足場に展開した花々に引火するからね……燃え上がると良いよ」
　燃える花弁を舞い上げる事で花嵐を発生させ、澪は『レプリゼンタ・カンギ』を燃やし尽くしていく。
　その燃え上がる花嵐には――『運良く軽傷で済む』等と言った『｜劇的な変化《エンディング》』が介入する余地など、存在しない。
「馬鹿な……！？　なんだ、貴様らは！？　あの『｜絶空獣の使徒《ケルベロス》』でさえも、ここまでは……」
「オブリビオンなら知っているはずだよ――僕たちは『生命体の埒外』たる『六番目の猟兵』。オブリビオンを狩る者だよ」
　そう言って澪は左手を鳴らし、更に花嵐の焔を燃え上がらせる――

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2022年09月22日