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【サポート優先】ライブラの指針

#アルダワ魔法学園 #【Q】 #戦後 #グリモアエフェクト

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#アルダワ魔法学園
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#【Q】
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#戦後
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#グリモアエフェクト


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

●おはよう『わたし』
 動き続ける駆動音。
 時々大量の蒸気を吐いて一つの群れがクールダウンをする合間に他の蒸気機関は回り続ける。そういう風にシステムが組まれているのが当たり前。
 停止していない限り、駆動音は生活と隣合わせ。
 アルダワ迷宮内部においても其れは同じ。
 唯――有害な物質を大量に排出する欠点を活かして、無害域に浄化するシステム等はあまり多くない。
 研究と魔法の前には、有害物質への研究は二の次になりがちなのだ――。

 生まれたものは溜まり続ける。
 溜め続けるだけの装置だけは、急拵えでも設置されるもの。
 これはとある迷宮内部の廃液槽からのアラートを受信した学園からのSOS。
「……おはよう、おはよう。完全の世界に生きる命たち」
 声は、廃液槽から届いたという。
 過去として置き去りに合った、目覚めなかった|少女《ドール》が――目を覚ました。

●足りない部分を毒で染めて
「特殊な事象はいつでもどこでも起こるものよね、ねえ?対処をお願いしたいのだけど、どうかしら」
 空裂・迦楼羅(|焔鳳《えんぽう》フライヤー・f00684)は難しいことを考えない。
「魔法の研究者たちや技術者たち、そして暮らしの隣にある"普段見ないモノ"の中にだって忘れられた過去は発生することがあるの。そこまで頻度は高いものではないのだけど……」
 何かしらが紐づいて、息をし始めたなら彼らはオブリビオンとして還ってくる。
 結束して、何かを達成するためだけに、手を伸ばし始めるのだ。
「今回は、有害物質廃水槽……の中から、彼らはやってきてしまったようなの」
 身に纏うのは、猛毒というアクセサリー。
 発生した場所が場所なので、オブリビオン達は適応して苦しむ様子さえ見せない。
「迷宮内部から顕れた事はまだ救いね。野放しにしていれば、いずれ猛毒の猛威が色んな場所で生まれてしまう……けれど、急行すればまだ間に合うわ!」
 オブリビオンたちが迷宮の外を目指す理由は様々だろう。
 しかし、外へ出して良い理由には、ならない。
「大量の、|宝石騎士《ジュエルナイト》たちは、戦うためだけに現れたみたい。特にこれといって目標を持ってるわけではなさそうよ。でも、うん。一緒に発生した|少女《ドール》の願いを共に叶えようとしているみたいね」
 色とりどりの宝石頭部を持つ、人形ボディのナイト達を引き連れる別のドール。
 巨大な廃液槽から次々と現れる群れである。
 騎士たちには自我はない様子だが、騎士として"少女"を護るように道を作らんとしている。彼らに祭り上げられるように、囲われているひとつのミレナリィドールの姿が、対処している間に見えてくる事だろう。
「羨望と憧憬、足りない部分を探して歩く未完の子。彼女は宝石騎士よりも強力な毒素を所有しているみたい」
 素手で張り合えば、痛い思いをしてしまうかも……と、迦楼羅は眉根をやや下げたが、すぐにパッと顔を明るくする。
「空間自体が毒素に当てられているフロア、と思えば対処だってきっと思いつくでしょう?私、そういうのは慣れっこだと思っているのだけど、どうかしら!」
 戦闘に、あまり長い時間はかけられない。
 そんな状態の中でも猟兵なら!と、迦楼羅のあれは信じ切った言葉だったと依頼を受けた誰もがそう語っていたという。


タテガミ
 こんにちは、タテガミです。
 この依頼は二章編成のアルダワ魔法学園。
 アルダワ迷宮の、巨大廃水槽から発生する事件に立ち向かうシナリオ。

●簡単な概要
 有害物質な廃水槽より発生したオブリビオンの為、
 集団敵も、ボスも猛毒属性を持ちます。コーティング、アクセサリー。
 廃水槽のあるこのフロア自体が、猛毒要素が充満しているため、短期決戦を行わないと、猟兵達もじわじわと毒で苦しい思いをしてしまうでしょう。

●一章
 自我のない、集団敵との戦闘。
 猟兵達とは出会ったところから始まるため、すぐに戦闘がはじまります。
 騎士たちの目的はOPに語った通り。全てはボスたる|少女《ドール》の理想のために。

●二章
『未完』のミレナリィドールが、目的を阻まれた事により襲ってきます。
 彼女は完成することのなかった少女。
 故に、目覚めたからには完成したい想いを胸に、外の世界へ出ようとしまう。
 自身に連なる人形を探すためか、完成させてくれる誰かを探すためか。
 絶望と隣合わせの希望を夢見て、毒を纏って猟兵達を排除しようとするでしょう。

●その他
 廃水槽の有害物質から錬成された、と思ってもらって構いません。
 宝石騎士とドールたる彼女がフロアからいなくなった時、浄化が行き届くことでしょう。廃水槽の吹き溜まりが、不思議と全部使い切られたそんな空気が残るはずです。

 サポートさん優先の依頼ですが、通常参加さんはタイミング次第の気持ちです。サクサク運用するのでもし参加をご検討いただけましたら、タイミングにご注意下さい。
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第1章 集団戦 『宝石騎士』

POW   :    剣術
【近接斬撃武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    召喚術
自身の身長の2倍の【宝石の巨人】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
WIZ   :    射撃術
【指先】を向けた対象に、【宝石からの光】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
 人間のサイキッカー×ダークヒーローの女の子です。
 普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


カツミ・イセ(サポート)
「僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
「僕に出来ることだからね」

神様に作られたミレナリィドール、勝ち気で大人びた僕娘。イメージは水。
口癖が「僕の神様は言ったよ」
『偽装皮膚』の影響で、球体関節が普通の関節に見えるよ。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。加護で治るから、大怪我しようと厭わず積極的に行動するよ。
遠距離は『水流燕刃刀』を伸ばすよ。
近接戦では『偽装皮膚』を水のような刃にして、咄嗟の一撃を放つことがあるよ。このときは球体関節が見えるんだ。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないんだ。
あとはおまかせするから、よろしくね!


日下・彼方(サポート)
人間のUDCエージェント × 月のエアライダーの女です

戦闘での役割はレガリアスシューズを使っての空中戦、
影の狼を使役して斥候・偵察ができます
武器は通常大型ナイフを使用しますが
強敵には太刀・槍を持ち出す事もあります

普段は(私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
機嫌が悪いと (私、~様、です、ます、でしょう、ですか?)

性格は受けた仕事はキッチリこなす仕事人のような感じです
仕事から抜けると一転惚けた風になります

ユーベルコードは必要に応じて、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●閉ざされた世界の中で

 剣や弓を構える。
 一糸乱れぬその動き。
 誰かが指示を出さぬなら、意思を自我を持たぬ者たちがそのような迅速さを魅せるだろうか。トラップや罠のように、起動したわけではないのだと猟兵達は勿論知っている。
 手引するものは、おそらく集団の内側でほくそ笑んでいるに違いない――。
「……あら、あら。大歓迎ですね」
 静かに目を伏せて、レイン・ファリエル(クールビューティー・f17014)は心を落ち着けるように努めた。
 大量の弓がコチラを狙い定めている。
 打たれてはいないものの、数が多いのは誰の目にも明らかだった。
 さもないと、このような惨状に怒りが溢れ出してしまいそうだったから。
 この者たちは、アルダワの研究者たちが後回しにした|有害物質《ツケ》からやって来たというではないか。
 ――そちらの研究も同時に進めていくべきでしょうに。
「でも僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
 ふふ、と勝ち気に笑って。
 数よりもふりを覆す方が、相手の気持を理解できるはずだと語るのは神様に作られたミレナリィドール。
 湧いて顕れた|宝石騎士《ジュエルナイト》たちが武器を番えるのを、カツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)は自信に溢れた表情で迎えた。
 此処には戦いが起こる。わかっていたからこそ、毒の力を持った敵とやらを見極める気持ちを持って、訪れたのだ。
「……そう、だね。有害物質の濃度はとても高いと思うよ」
 幼い魔王でありミレナリィドールのカツミが言うのだ。
 人間が長い時間滞在するのは、やめておくべきだろう。
 レインは、大きくため息を吐いて。
 それから、ちらりと言葉を放る。
「そちら、なにか作戦等はありますか?」
「作戦……ん、ここからではよく見えない敵集団内側の偵察とか、なら」
「それは貴方の得意分野でしょう。ではそうですね……各々が適材適所に、色々やってしまいましょう」
 日下・彼方(舞う灰の追跡者・f14654)がコクリと頷く。
「先んじて、斥候として投じる。続くかどうかは、――任せる」
 大型ナイフを片手に、それから影の狼に靴音で合図を送る。
 さあ、行けと。けしかけるように、声変わりの音を立てたのだ。
 獣の影法師がぐぐぐ、と彼方の影から伸び上がり――風を斬る速さで敵集団の内側へ消えていく。
「見たもの聞いたものを私達が得る前に。――この一撃を以て冬の始まりを告げるとする。此処は極寒。誰も逃れることは出来ないだろう」
 試製封刃『Tyr』が一つでも在る短刀を犠牲に、内なる獣が過激の牙を敵陣に食らわせる。その牙と爪を持って、隠された内側を暴け!
 ごお、と衝撃が猟兵たちに届く前に動きだしたのはレインと彼方の二人であった。
 影が先に斥候として向かった後に、続いた彼方が陣形が崩れた敵を叩く。
 喋る意識も自我もないのなら、立て直そうとする考えもない。
「剣術一つで、私達を屠れると思うな」
 宝石騎士が振り下ろした剣をナイフで受ける動作から、素早く身を交わした彼方。
 後方より水の権能、――『浄癒』による水流燕刃刀による一撃が逆にカウンターを食らわせて、騎士たちの有り様を崩していく。
「浄化と癒やしの魔力が籠もっているんだ。僕の神様から賜りし水の権能、その一つだよ」
 毒あふれるこの空間から、毒素のものを浄化してしまおう。
 数が多いのなら、少しずつでも削ぎ落としてしまえば良い。
「あなたたちに有害物質から溢れた毒が無害でも、僕たちの仲間には有害だもの。命を蝕む原因を着て歩いている君たちから、剥奪しよう」
 浄化と癒しを、此処に。
「ああでも、僕でも此処に長居するのは……好めないかな」
「好まないなら、そう居続ける必要はないでしょう」
 静かな言葉を放った者が、サイレントナイトメアの僅かな駆動音を立てながら宝石騎士に悪夢を誘うような一撃を見舞う。
 この有り様に静かに怒っていたレインによる無慈悲な心の躍動。
 アサシン・ソウル――彼女の中で、骸の海へ還す最も早い攻撃的手段をとったのだ。
 隠密行動に長けた暗殺者の片鱗を見せながら、エネルギーを高めサイコキャノンで素早く穿ち立ちふさがる者たちの数を減らしていく。

 迷宮に迷い込んだと認識した宝石騎士は一様に剣を取ったが、その剣が猟兵に振り下ろされるより早く。
 騎士たちは陣形を崩されて、その数を減らしていく。
 彼らは騎士であり"人形"だ。膝を折り、屈したとしても――痛む心を持っていない。

 彼方の影の獣によって暴かれた宝石騎士集団の秘密。
 それは、守護対象を手厚く保護していたこと。
 影の狼が牙を剥いたが、守護対象を護るように幾人もの騎士たちが戦闘不能に陥っただけで被害は防がれた。
「堅牢ですね、それほどまでにこの迷宮から脱出したいのですか?」
「此処よりも綺麗な空気と空をみたいってことだよね。僕の神様は言ったよ、晴れ渡る空は何よりもキレイに見えるんだって」
 カツミの一言に、偽装皮膚に隠した関節を鳴らす音が歪に鳴ることだろう。
 誰かがその言葉に反応した。
『空。わたしのためのそらも、あるのかな。此処より外へ、出られたなら……』

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
 人間のパラディン×シーフの女の子です。
 普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならなくてもいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。

正直状況とかよくわかってにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。

基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ殺おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」



●貴方の理想を叶えるためなら

「えーと?つまりどういう状況にゃ?」
 アイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)は首を傾げる。
 彼女は飛び入り参加でやって来た為、説明を全く聞いていなかった。すぐさま行動できる行動力の化身では在るが、それゆえに状況がわからなかった。
 宝石騎士たちは数を減らしながらも、前進を。
 それから敵対を辞める様子がない。
「世界が平和になれば、誰も悲しまずに済むというお話かと!」
 明るく言い切ったのは、赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)。
 これは争いではない。
 |愛《あい》のある、平和と平穏を勝ち取るための――願いの強い方が押し負けるだけのこと。
 彼女もまた、パラディン。ここから出ようとする誰かの気持ちの中に純粋な響きを見つけた気がしたのだ。
「ねえ?あなた、そうなのよね?」
 剣を構えた宝石騎士たちに、語りかける愛は朗らかだ。
 あまりに疑うことがない。
 正義感と自分の直感を信じ、語りかけて気持ちを伺うべく問う。
 違和感と、底しれぬ恐ろしさを宝石騎士たちが感じたかは、わからない。
 何言かを呟き、発動するのは召喚術。
 宝石騎士の二倍ほどの大きさを有する完全に宝石で出来た巨人が、ずずんとフロアに立ち塞がる。
 呼び出した騎士の動きをトレースし、剣を構えたかと思ったが――突然すっ転んだ。
「わっ、ラッキー♪」
 ラッキー・ハートは今日も彼女に輝く。
 それはとんでもない幸運の持ち主にふさわしい、奇跡的な時の悪戯。
「それはラッキーじゃないにゃ!あたしのジャスティスが大声で叫び散らしてるだけに"ゃあああ!!」
 素早く宝石騎士に近寄ってドワーフ特有の小柄さを活かして、宝石の巨人の足を掴んだアイクル。
 元の騎士から二倍の大きさを持つ巨人程度なら、重さなんてお構いなしだ。
 そんなの気合を入れずとも軽過ぎて笑いが出てしまう。
 可愛い子にも、限度がある。
 せーとーはれでぃーにも、魅せつけるべき正義(物理)の示し方があるのだ。
「正直状況ぜんっぜんわかってないんにゃけど!パワーイズジャスティスにゃああああああ!」
 びったんびったん、振り回して一掃してしまえ!
 猛毒部屋?猛毒コーティング?そんなの全部物理で掃除してしまえ!
 アイクルは手が痛いと思っているが、だが正義の上では譲れない事はある――。
「力持ちさんねえ、あなた。お掃除とか得意そう♪」
 のほほん、とほんわかとした空気感を出す愛はマイペース。
「……でもこれで、あなたの言葉を聞いても良いのよね?」
 朽ちたミレナリィドールが、ちょこんと一人で佇んでいる。
 傍には昏倒したように倒れた騎士の成れの果てが点在しているのみだ。
 ミレナリィドールは俯いている。
『……悲しまない世界があるのかしら。わたしは、悲しんでいたのかしら』
 じゃあわたしは世界に愛されなかったのかしら。
 呟く声には、羨望と憧憬が広がっていく。
『いまからでも、わたしものぞんでいいのかしら』
 だって、|猟兵《あなたたち》の後ろに|出口《世界》はあるのよね――?
「そんなの自分で確かめればいいにゃ!」
 でも、と言葉を紡ぐのはアイクル。
 はあはあと暴れまわって暴れた彼女は髪をサラッと払ってからビシッ、と指を向ける。
「弱肉強食の世界にゃ、行きたいのなら私達を超えていくにゃあ!」
 この壁は厚く、硬いにゃ!と挑戦的な笑みを向けると、残された未完のミレナリィドールは薄っすらと視線を上げる。
『……そう、ね。わたしも、挑戦してみても、いいのよね』
「ええ!平和的解決のための愛のある拳は。向ける価値は十分にあるかと!」
手を出さないを一貫した愛はニコニコとミレナリィドールの彼女がしたいことを応援する。これは、そんな平和を愛する騎士が――己の正義を存分に示してみせた証拠だ。
「私も私の考えを広め、語るの!意思疎通は、行動から始めてもいいと思うのよね♪」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。



●その宝石は砕けない

 これまで黙っていた男が口を開く。
「……話は済んだようだな」
 ならば此処からは掃討戦だ。武器を持ち続けるものたちがいるのなら、此処を出ることがもしできるとしても、一人以上の出入りは猟兵が見逃さない。
 アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)もまた、立ちはだかる者だ。
 過去に悲劇の中に途絶えたオブリビオンだとしても驚異となって猛毒を纏った身体のまま出ていくのを見送る猟兵など居ないだろう。
 迷宮のオブリビオンは、迷宮から出すわけにはいかないのだ。
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
 ブルーブラスターを構え、後から続々と沸いてミレナリィドールを守らんとする騎士たちは正義の上に動いているのだろう。
 意識も自我もない騎士たちにさえ、"弱者"として見られている可能性さえある存在。
 容易く手折る事が出来かねない、花のように儚いオブリビオン。
「……そちらは任せる。俺は俺がすべき事をしよう」
『――』
 熱線ビーム搭載のブルーブラスターに対し、騎士たちが行ったのは召喚術。
 単純な剣も射撃も、猟兵には通じないと判断したのだろう。例え自我がなかろうと。
 野生の獣のように、"行っては敗北に繋がること"の予感くらいは、疼くように感じるはず。騎士たちは巨人が行う攻撃ならば、攻撃としては有効打になる場合があると彼らは機械的に導きだし判断したのだ。
 ずずず、と立ち上がるのはキラキラとダイヤの如き輝きを纏う巨人であった。
 動きをトレースし、指先を向ける手にキラキラと光の光弾の力が集約しつつみえる。
「……成程。単純に打たれるだけでは、気がすまないと」
 アスは短い時間に思考する。
 此処にサイキックキャバリアを持ち込み、望むままに力比べするのも悪くないと考える。
 だが――あまり時間は掛けられない。
「リミッター解除……目覚めよ。|蒼き咆哮《アズライトハウリング》!」
 構え、撃つのは巨人――の方ではない。
 同じ構えで武器を構える頭部が宝石の騎士本人だ。
 召喚した巨人と戦うのが正攻法でも。
 この場における正解は、数多くの騎士たちの膝を折らせること。
「銃撃でも、俺は負けない」
 ――それに、お前たちは此処の絡繰りとして機能しているようにも見える。
 ミレナリィドールに慈悲があるわけではないんだろう?
 ――お前たちは、弱きものを敵だと認識しなかっただけだ。
 的確に頭を撃ち抜く熱線が、高温の軌道を描いて飛んでいく。
 穴の空いた頭が、徐々に増えていく中で、騎士たちからの反撃が少なからず行われた事をアスは確認した。
 防衛本能だったのか。
 彼女のために戦おうとした騎士道なのか。
 最後まで分析し続けても分からなかったが騎士たちは存分に戦い、存分な猛威となって暴れた。
 彼らの頭部は砕けても、宝石は決して砕けない。
 脆い宝石の名を冠していても、砕けない。
 彼らの|宝石《騎士道》は、誰かのために振るわれるものであるからだ。
「……これで、残すは」
 猛毒を所持し、存在するだけで大気を汚染しているミレナリィドール――ただ一人。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『未完』のイーディス』

POW   :    錆びついた憧憬(ラスト・リゼントメント)
攻撃が命中した対象に【過去への未練】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【未練の強さに比例した威力の数多の人形の腕】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    軋む再動(ラスト・リコメンス)
全身を【半ば朽ちた人形のパーツ群】で覆い、自身が敵から受けた【あらゆる行動に対して抱いた羨望と憧憬】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    失われし夢想(ロスト・レヴェリー)
自身の【視界を塞ぐように周辺の空間に広がった亀裂】から【触れている間何も感じとれなくなる闇】を放出し、戦場内全ての【能動的行動】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アリス・レヴェリーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●それでも
『わたしは行くと決めたの。だから、邪魔なんてしないで?』
 未完の少女は、目を伏せてから微笑む。
 まだ見ぬ外に理想を語り、失われし夢想を言葉にしながら少女は猟兵たちへ手を伸ばす。
 身を彩る|アクセサリー《猛毒》に、明日を語る事自体を遮られていても。
 軋む夢に再動の道を、猟兵たちの背後に"希望を"見つめながら。
虚偽・うつろぎ(サポート)
世界問わず大歓迎
世界を超えて自爆活動さ
アドリブ連携等ご自由に

登場即自爆
自爆できれば台詞も活躍もいらぬ!
速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
そう、自爆だ
僕に自爆をさせるんだ!
僕もろとも鏖殺だ
これぞ鏖殺領域なり

ただ自爆するためだけに現れる存在
何かいきなり自爆する怪奇現象
もはや災害である

技能:捨て身の一撃を用いての
メッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆

射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
大事なのは自爆までのスピード
有無言わせぬスピードで自爆する
これ最重要だね

捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能



●爆発四散の即攻性

 スッ――と黒いなにかが横切った!
 息をつかせぬ速度で突っ込んだそいつはまあまあ巨大な体積を有していたが――。

 ずどん。

 視力に自信がある人は、大爆発の少し前に黒い影がフロアに入り込んできたのが見えただろう。
 あれこそは、自爆活動家の虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)――すでに戦闘不能に陥ったひらがな的名状しやすきブラックタール、その人だ。
 今や彼が人かどうかも怪しいが、|メッサツモード《ウツロギ》は彼の存在を何も隠しても居ない。
『未完』のイーディスだって、びっくりして反撃の機会を脱した。瞬間芸に反応できるオブリビオンが居るのなら、そいつは並大抵のオブリビオンではない。
 行われたのはうつろぎ式挨拶兼切宮殺戮術『一爆鏖殺』。
 鏖殺領域を速攻で作り上げる殺人鬼の速さは、有名な|泥棒《シーフ》だって目を見開く。
 爆破であえり、自爆。
 なんて清々しい即爆破!
 自他ともに災害級の自爆!
 ひらがなは満足げな空気で苦しい空気も破壊する。
 猛毒属性を持つ?識らないね。爆破してしまえば手が触れようもない!
 殺人芸術の鮮やかさは誰も超えることは出来ないだろう。
 死なば諸共とは言うが、たとえ敵が居なくても。
 自爆目的の無差別爆破現象を巻き起こすのは、猟兵の中でも多くない。
 それが――うつろぎという存在。
 最速の自爆は、悲観も羨望も言葉に出させない。
 響いた音は悲鳴でも嘆きでもなく、――爆破音だけだった。
『すごいのね、……わたしには、できそうにないけれど』
 半ば朽ちた人形のパーツ群で覆われたイーディスは、大爆発を受けて静かに視線を逸らす。からから、と情けない音が自分の身体から響いたけれど。
『自分の行いを"正しい"と思って出来ることは、――羨ましいことね』
 うつろぎの行動は自爆活動なので、誰でもが模倣することの叶わない現象を引き起こす。誰もが真似できない唯一無二の個性であり、鏖殺家業に身を吹き飛ばす――敵の心情や考えもろとも聞く気のない行動力。
 全てを可能とするからこその、超特化型の捨て身の存在――うつろぎなのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)


星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
 人間のスーパーヒーロー×剣豪、女の子です。
 普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
 人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。

基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。

武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。

クロムキャバリアでも生身で戦います。

不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。


明堂院・悠々子(サポート)
 妖狐の陰陽師×精霊術士の女です。
 普段の口調は「お狐モード(私、~くん、~ちゃん、ね、よ、なの、かしら?)」、敵には「守護者モード(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、かしら?)」です。
料理を作って他人にあげるのが好きなので、サポート寄りの動きをすることが多いかもです。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。アドリブ連携大歓迎です。
 よろしくおねがいします!


スフィア・レディアード(サポート)
『皆さん、頑張りましょう!』
 ミレナリィドールの妖剣士×鎧装騎兵、22歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は元気で、楽しい祭りとかが好きな少女。
武器は剣と銃をメインに使う。
霊感が強く、霊を操って戦う事も出来る(ユーベルコード)
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●未完でもそれは完成品であるということ

「外の激しさは、|大爆発《自爆》という不慮の事故も起こり得るよ」
 グレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)は"今のは例外かもしれないけどねぇ"目を細める。
 |婆《クソババア》からしても、大爆発は無慈悲に過ぎた。
「此処は年寄りに任せて貰おうかね?」

「いえ、此処は」
 私が――と言う前に、最速で飛び出したのは星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)。
 協力者は一人だけではない。
 猛毒を身に纏うオブリビオンを迷宮から出してはいけないと。
 普段から訓練を欠かさない杏梨が誰よりも早く駆けて、剣――ではなく、手袋を叩きつける。
 それは決闘とも、宣告とも取れる行為である。
『……なんのつもりかしら』
「私は此処に宣言するのよ。"貴方は私達全員を倒すまで此処から出てはいけない"と」
 デュエリスト・ロウ。それは手袋が命中した対象にルールを宣告する戦術。
『全員?』
「はは、考えたねぇ」
 齢三桁を超えるグレナディンはニィと笑った。
 短期決戦を経るべきなのに、あえて杏梨は不利と戒めを敷いた。
 ルールを破れば、オブリビオンは外の世界に夢を見ながら徐々に自壊していくことになる。
「毒なんて、酒と一緒に飲み干せば酔ってそれでおしまいさ」
 あたしは別に恐れるモノじゃないね。
「さああたしの視界から急いで下がりな!|イーディス《あんた》の取るべき行動は、あたしらの排除だけだ!」
 存在感を大きく、炸裂する攻撃的オーラの塊をフォースセイバーに乗せて勇む婆は恐れを識らず。
 理力榴弾(フォース・グレネーダー)と呼ぶユーベルコードで強化したからには、狙った獲物は逃がすことはない。
「(この方は、見かけによらず血気盛んな方なのね……歴戦の猛者、なのかしら)」
 凛とした雰囲気を身に纏いながら、改めて剣を携えて杏梨は|誓い《正義》を胸に"未完のミレナリィドール"へ挑んでいく。
 やや人見知りを発揮していた為、グレナディンとは目で合図に応えたのみだが――戦場ではそれで、十分だ。
 ――完成する事のなかった子。
 ――それだけでも、物悲しいのに。
 どうして、鮮やかな薔薇の飾りが余計に色濃い赫に見えるのか。
 まるで血に濡れた、人形にも映る。
「スリルあるよね、だって強力な脱出手段を持って私達を倒さなきゃなんだもんね!」
 アルダワ魔法学園の食堂で、色々もぐもぐ食べていた猟兵が居たというのは迷宮に入る前に噂されていた。
 誰かが腹ペコだったのだろう。
「もぐもぐ」
 お持ち帰り用の外はカリッと中はふっくら焼かれたパンを食べながら、戦線に加わる緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)。
 モットーは"色々食べよう!"。
 今日のメニューはなんと食堂で秋シーズン限定一〇食とされていたランチであった。
 サンドイッチと諸々合わせた大盛りのランチなのだが、"一人で食べる"事が前提とあって、大食いの学生した頼まない一品。
 魔法学園での研究成果のひとつであると、学生は噂していたそうだ。
 "それは一粒で満腹間違いなしの細工が施されている"のだと。
 一日以上の活力を一色に凝縮しているので、普通の学生なら"胃もたれ"する一品であるという。
 しかし、透乃はお構いなしだ。
 美味しく元気にもぐもぐ食べて、元気いっぱい!
 身に降りかかる状態異常を粉砕することくらい余裕でできそうなくらい、彼女は元気いっぱいであった。
「じゃあ、どんな手段を使っても戦って勝ってもらわないといけないね!」
 透乃は相手に突きつけられた|制約《宣言》を、右から左へ聞き流し、戦闘斧"緋月"によって力任せに横殴りに奇襲する。
 他の猟兵たちの攻撃も、自身の|楽しみ《スリル》の材料にして笑う。
『そんなに、大勢で阻むほど魅力的な世界なの?……いいなあ』
 イーディスに逃げるという言葉はない。
 三者三様の逃げ場の塞ぎ方で、イーディスに触れないままにその小さな人形は吹き飛ばされる。錆びついた憧憬が、攻撃した対象目掛けて人形の腕となって雪崩れ込むが、小さな事だ。
 未練の強さは負けてなど居ない。
『わたしは阻まれても行くと決めたから、邪魔をしないで欲しいのよ』
 数多の人形の腕にも等しく備わる猛毒の素養は猟兵たちを蝕むが――。

「まあ!たいへん!」
 陰陽師の一族がひとり明堂院・悠々子(人恋しお狐様・f38576)は平和が失われつつ在るフロアに現れて、あわわと慌てた様子を見せる。
 人好きで世話焼きな彼女は、当然仲間を助ける方に力を貸すことにした。
「いってらっしゃい、可愛い狐たち!」
 軍符『魍魎跋扈』――強い呪力や真言の籠められた御札には、描かれた巫女装束を着た狐の絵。
 御狐霊符よりさっそうと来たれ。
 百鬼とはいかずとも、戦闘用の管狐達の数を呼び立てたなら喚び出した数に紛れて治療も出来るだろう。
「さあさ、はいどうぞ!」
 破魔の力をぐぐっと籠めたお弁当!
 いいや、それは美味しいいなり寿司!
 いろんな世界の人との交流用に持っていたものだが、狐といえば油揚げ。
 美味しい油揚げにたくさんの具とご飯を詰め込んだ一品だ!
 これが、料理の腕を知らしめるモノ!
「美味しいね!お料理上手!」
 透乃からお墨付きを貰って、にっこりする悠々子の可愛らしさは、妖狐の尻尾をゆるりと揺らしたくなるほどだ。
 ――褒め上手な方ね。
 お手性料理に猛毒遅延の効果を期待した破魔を付与する一方で、こーんこーんと管狐たちが掛けていく。
 悠々子の喚び出した大量の管狐は一撃一撃の体当たりや狐火をぶつけて即座に消えていく。
『そんな、そんな。拒まないで。わたしの完成を祝って』
 未完の人形は夢を見る。わたしは此処で完成したのだと。
 失われし夢想(ロスト・レヴェリー)が広がっていく、視界を覆うのは真っ赤な薔薇。
 彼女の装飾品である毒の薔薇が視界を埋めるように茨を生やす。
 空間に生み出した亀裂から、どろ、ど粘っこい闇が滴り落ちる。
『あなたは此処で、わたしのかわりに終わってみたらどうかしら』
 触れたら最後、何かをする気力さえ失われるかもしれない毒の沼。
 イーディスはこれを最後の攻撃として見ていた。
 ぎしぎしと軋む身体が、剣戟の乱舞や怪力任せのぶん殴り。
 管狐たちの猛襲に耐えられるほどの強度がないのを、知っているから。
『……どう?わたし、完成していたかしら』

 完成していたかどうか。
 返答に困ったのは猟兵だろう。

「個としてなら、完成しているだろう?喋る話す、夢を見る――人形ならできやしないよ」
 グレナディンは猛毒の薔薇を切り裂いて、囁くように呟く。
「そうね、――願う少女のような心を持っているなら、完成している作品なんじゃないかな」
 杏梨は常に冷静さを忘れず、返答した。
 "願い続ける少女人形"としてなら、貴方は完成しているように思うのだ、と。
「あんたが完成してると思うなら、完成してるってことでいいと思うんだよね!」
 あんたが考えることなんて、私わかんないけど!
 透乃は自分の考えが最優先。
 故に、感じたことをそのまま口に出して、未完の人形への攻撃を辞めることはない。
「そうねえ、作品として完成することはなくても"貴方が貴方らしくある"事自体の完成は、ありえるんじゃないかな」
 ある人形師が作り上げた作品達のその末妹――あなたは朽ちた後に、収まったのではないか、と。
 終わったあとでも目覚めたならば、あなたはあなた。
 悠々子は優しく諭した。姉妹人形を探しに行く事を阻むことを、許して欲しいの――と言葉を付け加えて。

『そう……わたし。終わった後に完成した、のね?』
 お外に出る必要は、ないのかしら。
 ミレナリィドールとして、胸を張ってもいいのかしら。
 でも姉妹人形に、あえたら――。

「さあ、私の声に応えて――霊達よ、私に力を与えてね!」
 ミレナリィドールの一人として、スフィア・レディアード(魔封騎士・f15947)は目を伏せる。
 決して、彼女と連なるドールではないけれど。
 透乃とは異なる元気さで、剣――ではなく銃を携えて、イーディスの退路を完全に絶った。
 ――貴方は引いてはいけないよ。
 ――願うなら、進み続ける道のほうがいいと思う!
 迷宮に迷い込んだ霊もいる。スフィアは願い、操るように誘い込む。
「集まってくれて、ありがと!」
 力の高まりを感じながら、ライフル型の武器で放つそれはファントム・スナイパー。
 使用するのは霊魔葬送弾。
 彼女は実体がある未完の人形だが、それでも魂は一度終りを迎えた存在だ。
 高度な科学技術で作られた、プラズマ発生装置型の銃が与える効果は計り知れない。
「あなたはあなた。だから、胸を張って眠ってもいいと思うの。私」
 誰もが厭うだろう猛毒から返り咲いた薔薇を抱いたままでは、此処に遺ってはいけないけれど。
「でもあなたというミレナリィドールが居ることは、たしかに私達の記憶に残りましたから」
 未完である事をだれも否定しなかった。
 あなたは終焉を迎えた事で完成した未完の少女。
「だから、どうか。次はもっと"きれいなあなた"で姉妹にあいに向かうべきよ」
 打ち込まれた弾丸は、少女の胸の核を射抜いていた。
 攻撃力に特化した攻撃は、彼女の行動を停止させる。
『……そう、ね。もし会えるなら、可愛くして、いかないと、ね』
 猛毒の液体に飲まれるように崩れ落ちて倒れた少女人形は、力尽きたように再びの命をちらしていく。
 共に外を目指そうとした騎士たちも引き連れて、今度こそは迷宮より外で――"|姉妹《さがしもの》"を探すことだろう。

 彼女たちが機能を停止して消えて行くと同時に、フロアの空気が正常値にどんどん近づいていく。
 猛毒の有害物質は、この場所から徐々に消えていく。
『こういう方法があるなら、研究しなくとも!』
 学生の暴言らしき言葉を聞いた猟兵もいたかもしれない。
 暴言を吐いた学生は、暫く休みを言い渡されたらしい――研究とは後に出る災害まで含めてが、研究なのだ。
 それを理解しない限りは、まだまだ研究員にはなれやしない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年10月02日


挿絵イラスト