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アルカディア争奪戦⑲~決戦!|叶えよ願い《生命を砕け》

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #オーデュボン #『皇帝』パッセンジャー #プレ〆です

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●回想、あるいは記録
 異形の機械に座すオブリビオンは何もしない。
 風によって巻き起こる草花の花弁を見つめ続けている。かのオブリビオンの瞳にあるのはそれだけであった。
 ステラもルクスも、見ていない。
 ただ花弁が舞い散り、青空の下にあることを見ていた。

 二人は理解した。
 あのオブリビオンが皇帝であると。
 そして、その不可解な行動。自分たちを攻撃しない理由。それは自分たちが取るに足らぬ相手であるからではない。
 舞い散る花弁の美しさ故に、その光景を壊すことのないように攻撃しないだけなのだと。

 まるで、『草花、木に当たるような攻撃をしようとしない』。
 その理由ならぬ理由。
 相対する者に理不尽を突きつける『オーデュボン』の皇帝を尻目に二人は、一気に大空を駆け、『オーデュボン』より離れるのであった――。

●グリモア猟兵より
「これが私とルクス様がオーデュボンに侵入した際の記録、いえ記憶ですか。それになります」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)がグリモアベースに集まってくれた猟兵たちに回想を告げる。すなわち、『|強襲作戦《ファーストアタック》』を行い、得られた結果だ。
「それでは。改めて皆様ありがとうございます」
 ステラがカーテシーをしながら集まってくれた猟兵たちにお礼を告げる。そしてあげた顔に浮かべるのは微笑み。
「私が|予知《み》た以上、この作戦には私は関われません。ずっと戦い続けてきた『オーデュボン』との最終決戦。皆様どうかよろしくお願いします」
 そう言って。ステラは『オーデュボン』の皇帝『パッセンジャー』の攻略を猟兵たちに託す。

●情報共有
 再度、情報を整理しよう。
 ステラより共有されたパッセンジャーの隠されていた弱点。

『草花、木に当たるような攻撃をしようとしない』

 これは『|強襲作戦《ファーストアタック》』を行った他の猟兵の結果から見ても間違いのない情報と言える。
「かの皇帝は常軌を逸したレベルでこれを守ります。到底ルールや信念などでは説明できないほどでして」
 例え、自身の願いが永遠に叶わなくなるとしても。彼はこれを守るだろう。だからこそ、滅ぼし、滅ぼされる間柄『程度』の猟兵たちなら、確実に遵守してくる。
「この予測は外れません。ゆえに利用することも容易かと」
 パッセンジャーがどれほど強烈な攻撃を操るとしても当たらなければ、撃たせなければ、こちらに影響を与えることはない。相手の攻撃を封じれば後は攻撃を仕掛けるのみ……なのだが。
 それでも倒せるかどうかというところがかの皇帝の強大なところ。
「パッセンジャーは『無敵機械』と常に接続された状態にあります。これが何よりも厄介でして」
 ステラが言うには……無敵機械は『自動的に周囲のあらゆる生命やエネルギーを吸い上げる』という。これによりパッセンジャーは、ただそこに佇んでいるだけで無限に生命力を回復し続ける。本人がどれだけ『死にたい』と思っていても、機械が彼を生かし続けるのだ。
「さながら『牢獄』のようですね」
 パッセンジャーは無敵機械に繋がれている限り死なず、しかしそれゆえにオーデュボンの中心から離れることは出来ない。あらゆる意味でパッセンジャーは『繋がれている』のだ。
 それでもなお、パッセンジャーは『自身が死ぬ事』を願いとして、アルカディアの玉座を狙い続けている。
「まぁあそこまで切実に言っているのです。考え付くあらゆる自殺手段は試しているでしょう」
 それでも死ななかったからああなったのであり、盛大とも言える周りを巻き込んだ自殺劇を繰り広げようとしている。
 試せていない方法は……自分と同等かそれ以上の強敵と戦う、ことだろうか。
「ええ、だからこそ皆様の出番なのです。皆様こそがかの皇帝を倒せる可能性を持つ方々なのです」
 無敵機械の名前の通り、機械そのものを外側から破壊することは出来ない。
 ゆえに取るべき作戦はただひとつ。
「無限に回復し続ける生命力、とは言いましたがそれは時間を掛ければの話。つまり、スパンを区切れば上限があります」
 上限があるのならそれを上回れば、上回り続ければ回復が追い付かない。強力無比な攻撃を叩き込み続ければ……勝機はある。
「目安は1分。その間、皆様の攻撃を叩き込み続ければ回復量を上回ることが可能です」
 どんな攻撃であってもダメージを通すことが出来ればそこに意味がある。
 その場で攻撃を仕掛けるのがひとりでも、戦場にいるのは独りではない。最強の群体が猟兵の異名ならば。それにかなった攻撃こそが真骨頂。
「皆様なら大丈夫です。自信をもって、皆様の得意な攻撃を叩き込んでください」
 そうすれば、必ず活路が見える。

「戦い方は皆様にお任せします」
 そう言ってステラは猟兵の皆の顔を見つめる。
 戦い方は自由だ。パッセンジャーの弱点を利用してもいいし、弱点など気にせずに真っ向から勝負を仕掛けても良い。弱点を突けばもちろん有利になるし、逆に弱点を突かなかったとしても不利になることも無い。
 戦いに赴く者の気持ちが沈むような戦い方では、強大な敵を倒すことなどできようはずもない。
「ですから、皆様の、一番得意な戦い方を仕掛けてくださいませ」
 それがパッセンジャーにとって最も有効な攻撃となり得るだろう。

●戦場
 パッセンジャーはオーデュボンから動かない。なのでグリモアの転送もオーデュボンの中へ直接送り込むことになる。
「オーデュボンがある大陸の中心。そこに大きな、本当に大きな庭園があります」
 草花が咲き誇り、鮮やかさと自然の豊かさ、そしてその繁栄を目にした者に知らしめるその庭園の中に……異形の機械に包まれたパッセンジャーはいる。
「すぐに行動をすれば攻撃を受ける前に庭園の中に潜り込めるはずです」
 彼の弱点を利用するなら、覚えておいて欲しい。
「ああ、もうひとつだけ。覚えておいて欲しいことが」
 そう言ってステラが真剣な表情をする。
 パッセンジャーの弱点はそのまま他者への強制にもなる。
 すなわち……『草花や木を傷つけた者は容赦しない』。
「私が飛空艇形態で飛んだ際の風で花びらが舞いましたが……その程度なら大丈夫なようです」
 つまり、自然に起こる現象に巻き込まれる程度なら問題ないのだろう。ということは、花を踏むとか草を刈るとか枝を折るとか木を倒すとか。人や動物の手による行動で植物が傷つけられた場合。
「戦闘において、パッセンジャーがどういう行動を取るかわかりません」
 彼の弱点は逆鱗と紙一重。うまく利用してほしい。

「長くなりました。決戦の刻はすぐそこに。皆様、改めて……どうかよろしくお願いします」
 ステラが持つグリモアが光を放つ。
 送り出される先は『六大屍人帝国』のひとつ、オーデュボン。パッセンジャーとの決戦の地である。


るちる
 まいどです。いつもありがとうございます、るちるです。
 冒頭の引用は『https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=44135 (海鶴MS)』から。そしてルクスちゃんはすいMSのお子さんです。お二方ともいつもお世話になっています。

 ということで! ステラがずっと関わってきたオーデュボンとの決戦です。皆様お力貸してくださいませ!

●全体
 1章構成の戦争シナリオです。
 パッセンジャーとのタイマンになります。とはいってもこちらは独りである必要は無いのですが。スーパーカオスドラゴンさんの言葉を借りるなら、無敵機械付き『パッセンジャー』vs最強の群体『猟兵』といった形でしょうか。
 戦場はOP内にある通り。
 草木や花を巻き込まないようにご注意ください。大地を破壊する攻撃や意図的に巻き込む攻撃をしない限り、通常は巻き込むことはありません。

 禁止事項:R18的な攻撃、オーデュボンの大地を巻き込む広域破壊攻撃、他の猟兵の邪魔をすること。

 指定されたプレイングボーナスがこちらになります。
(=============================)
 プレイングボーナス……無敵機械の無限吸収に対処する/敵の『隠されていた弱点』を突いて戦う。
(=============================)
 後者の隠されていた弱点についてもOP参照です。
 前者の無限吸収に関しては。
 『強力無比な攻撃を叩き込む』(単発可。出来れば継続的に)
 『1分間、連続攻撃を叩き込み続ける』(威力は加味しない)
 というOP内で示唆した方法で対応可能です。
 なお、その他でも思いついた方法があれば。

●1章
 ボス戦『『皇帝』パッセンジャー』との戦闘です。
 弱点は共有されていますが、利用するかどうかはお任せします。真正面からタイマン仕掛けてもオッケー。
 ちなみに草木を傷つけた場合はPOW/SPD/WIZのUC全てを使ってきます(通常はルール通り、対応するひとつ)。煽る場合は狙うのも有り?


 オープニング公開後、プレ受付開始。
 戦争シナリオのため、全採用というよりは程よくチョイスしていく感じになると思います。予定は最低人数+1~2人といったところ。
 タグでの案内はないかもですが、空いている間は受付中と思ってください(流れる可能性はあります)

 それでは皆さんの参加をお待ちしていまーす!
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第1章 ボス戦 『『皇帝』パッセンジャー』

POW   :    パッセンジャー・ケイジ
レベルm半径内を【急激に狭くなる光の檻】で覆い、[急激に狭くなる光の檻]に触れた敵から【檻を構成するエネルギー】を吸収する。
SPD   :    パッセンジャー・レイ
着弾点からレベルm半径内を爆破する【魔導砲撃】を放つ。着弾後、範囲内に【攻撃型魔導ドローン】が現れ継続ダメージを与える。
WIZ   :    インビンシブル・チェンジ
自身の【無敵機械】を【抹殺形態】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。

イラスト:ふじ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

穂村・桜火
外部からの破壊不可、でも機械ならメンテナンスは必要。壊れないと分解できないは違うよ。
ちまちまも、細々も、銀竜王なら出来る!
※他の猟兵が居ても邪魔しないようにやります。

ふわふわしながら銀竜王と、皇帝に取り付いて【解体】開始、機械の製造過程を巻き戻すように、小さな部品から素早く外すよ。
細かな塗装や溶接の粉がこぼれたら、ちり取りでキャッチ、袋に入れる。

繋ぎ目もUC打ち込んで、光の檻は【幸運】で、すり抜け。

大きめの部品は、草花を傷つけないように【空中浮遊】、岩場や建物の上に【運搬】するね。ふわふわ~

天使核が取り外せるようになれば、おっけ~?
何個か持っていきます。




 オーデュボンの中央、草木生い茂り、花咲き誇る庭園の中で。
 巨大な機械に座しながら、『『皇帝』パッセンジャー』は光の檻を放つ。檻は敵のみを捉える……今この瞬間において敵とは目の前の猟兵――穂村・桜火(ふわふわ天女桜餅(炎操る亡家の姫君)・f33481)に他ならない。
「そ~れ」
 ふわふわとしながらも桜火がドラゴンランスを投げつける。パッセンジャーは回避する動きすら見せない。槍が直撃した『地点』目掛けて、ドラゴンが召喚されて放たれる。
「銀龍王、行って!」
『応!』
 桜火の言葉に応えた『銀龍王』がパッセンジャーに突撃する。こちらも直撃。
 しかし、強烈ながらもその威力は無敵機械の回復量を上回るものではなかったようだ。
「終わりか?」
 パッセンジャーが拳を握る。それと同時に光の檻が急激に狭くなり、中にいる桜火と銀龍王を捉えんとするが、それは龍の豪運によってすり抜けることに成功する。
「……」
 その様子を見届けてパッセンジャーは再び光の檻を繰り出す。
「運だけで対応できるものならしてみるがいい」
 再び拳を握るとまたもや光の檻が収束していく。
「言われなくても」
 もう一度光の檻を回避しながら、ふわふわとしながら桜火と銀龍王がパッセンジャーに肉薄するのであった。

(外部からの破壊不可、でも機械ならメンテナンスは必要。壊れないと分解できないは違うよ)

 それが桜火の考えた攻略方法だった。
 確かに『壊れない』と『分解できない』は違う。まったく別の意味を持つ。だから『壊れなくても分解可能』は成り立つ。
 そして機械はメンテナンスが必要……というのも確かにその通りだ。メンテナンスしなければ機械は壊れてしまう。壊さずに長く長く使うには……メンテナンスも部品の交換も必要だ。

 銀竜王とパッセンジャーに取り付いた桜火が解体を開始。
(まずは小さな部品を素早く外す)
 そう考えて手探り、視線、銀龍王を使って確認するが……無い。繋ぎ目すら無い。
「なんで……?」

「何故と聞いたか? それは俺も知りたいくらいだ。是非教えてくれ、この機械から解放されれば死ねるというのに、死にたいと思っている俺がこの機械を直す理由を」

 声は上から降ってくる、もちろんパッセンジャーのものだ。
 グリモア猟兵は言っていたはずだ。

 『パッセンジャーは無敵機械に繋がれている限り死なず』『考え付くあらゆる自殺手段は試しているでしょう』と。
 無敵機械が壊れれば死ねるのだ。何故直す必要が、メンテナンスの必要がある?

 こんな機械など壊れてしまえばいいのだからメンテナンスなど必要無い。だが目の前のパッセンジャーを見る限り、メンテナンスが必要無くともこの機械は稼働し続けていると考えるべきだろう。
 そして。あらゆる自殺手段を試したパッセンジャーがこの『無敵機械をどうにかする』ことを考えなかったか、といえば……その線は薄いだろう。分解、引きちぎる、動力源の停止……試せることは何でも試したはずだ。
 自分の死をアルカディアの玉座に願うほどの者が、ユーベルコードが無くとも実行できることを試していないなど、あり得るだろうか?

 つまり。桜火の作戦は『パッセンジャーが目の前で生きている』という事実で以て否定される。桜火の作戦が通るのならば、既にパッセンジャーは死んでいるはずなのだから。

「俺を殺せるかと期待したが……拍子抜けだな」
 そう言ってパッセンジャーが光の檻を作り出す。幾重にも多重結界のごとく作り出した光の檻を、一気に収束させる! 
「くっ……ああっ」
 タイミングをずらしながら角度を変えて次々と収束する光の檻を運だけで回避し続けるのは厳しい。光の檻に触れた桜火と銀龍王からエネルギーが吸収され、より強固となった光の檻が二人を包み込む。
「そのまま牢獄に閉じ込められているがいい」
 パッセンジャーの声が空から降る。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

菌・しいたけ

草花、木に当たるような攻撃をしようとしない。いい心がけだな。
そんな自然を愛する皇帝様なら、当然茸も攻撃しないよな?
しいたけを差別するような心の狭い皇帝様なんていねぇよなぁ!?
てなわけで【ゴッド・クリエイション】発動ー!
筋力重視の跳ね回るしいたけを創造だ!
とにかく増やすだけ増やして増やしに増やしまくって、
途切れることのない連続タコ殴り地獄にご招待してやるぜ!
ほんとは花とか創造してやれればよかったが、さすがに管轄外だ!

さて、そんな感じで調子に乗ってはみたものの…
創造物はともかく、俺自身は神の猟兵。
見た目しいたけでも、普通に殴られるかもしれんな。
…よし!その場合は茸らしく、木陰に隠れて身を守るか!




 六大屍人帝国がひとつ『オーデュボン』を有する浮遊大陸の中央で。
 そびえ立つ塔のごとき姿で『『皇帝』パッセンジャー』は眼下を見下ろしていた。
 直接手を下すまでもない……とかいう雰囲気に見えるが実はそうじゃない。
 なんていうか、その。
 パッセンジャーもちょっと困惑していた。何故かって言うと。

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 叫びながら菌・しいたけ(クサビラの末裔・f38244)がパッセンジャーの無敵機械からの攻撃を文字通り飛び回りながら回避していたからである。
 ちなみに攻撃回数↑&移動力↓な抹殺形態の無敵機械が相手だ! すっげぇ勢いでかつマトリックス的な動きでレーザービームが飛んできてるんだぜ!
 それをどうにか回避しながらしいたけは撤退模様。こんな攻撃を撃ち続けてこられたらいつか死んでしまう。神が死ぬのかはどうかはさておき。

「何故だぁぁぁぁ!!」

 叫びながらしいたけは思い返す。確かほんの少し前……。


「草花、木に当たるような攻撃をしようとしない。いい心がけだな」
 しいたけはパッセンジャーと相対していた。猟兵とオブリビオン、しいたけと火炎茸。
ともに天を戴く事はあらず、といった関係である両者であるが、別に言葉を交わせないわけでもない。
 だから告げたのだ。
「そんな自然を愛する皇帝様なら、当然茸も攻撃しないよな?」
 とか言いながら、ばっちり【ゴッド・クリエイション】である。クサビラ神を祖とする数多の茸神の中の一茸(って主張している)。しいたけにとって茸を作り出すことは容易い。
(筋力重視の跳ね回るしいたけを創造だ!)
 そんなわけで増えるわかめくらいの勢いで、しいたけ(本体)の周りにしいたけ(創造物)が出来上がっていく。とにかく増やすだけ増やして増やしに増やしまくった結果、しいたけ軍団が完成する。
「しいたけを差別するような心の狭い皇帝様なんていねぇよなぁ!?」
 最後の煽りをお届けしながら、しいたけ軍団による一斉攻撃開始!
(途切れることのない連続タコ殴り地獄にご招待してやるぜ!)
 てな感じで攻撃開始になったわけだが。

「ちっくしょぉぉぉぉぉ!?」

 なんか知らんが煽った分だけ全力で攻撃されているしいたけさんである。なお、しいたけさんだけが狙われている。
 何故だ、どうしてだ? ほわい?

(……えていますか? きこえていますか? 戦闘中なので心の中に直接話しかけています)
「誰だよ!!」
 本当に誰だよ。だがそこは横においておいて。
(茸は菌類であって、草花のような植物ではないと思います)
「なんだってーーー!?」
 謎の声に絶叫するしいたけさん。一応フォローしておくとハブりたいわけではなくて、一応学術的には植物界と菌界は別物だそうだ。なので、しいたけは植物ではない。草木や花=植物ではあるが、しいたけ≒植物なのだ。
 ここでワンアウト。
(そして、既に気付いていると思いますが、あなたはしいたけですが、自然ではありません)
「ですよねー」
 知ってた、知ってたよ。
(見た目しいたけでも、俺自身は神の猟兵だからな)
 それはもうどうしようもない事項なのだが、ここでツーアウトである。
(最後。動き回る2m近い茸がいたら、遠くから撃ってみたいって思いませんか?)
「射的?!」
 何とも理不尽な理由だが、これでスリーアウトである。

 というわけで、冒頭の状況に戻る。

「だがっ……!」
 傘と柄を真っ二つにしようと流れてきたレーザーをマトリックス風に回避(なお、傘の端っこはかすった)したしいたけは視線でしいたけ軍団を見遣る。
(作戦としちゃ完璧なんだよな!)
 無敵機械の抹殺形態には見向きもされない状態で、しいたけ軍団が絶え間なく頭突きをかまし続けている。シュールな光景だが着実にダメージを蓄積している光景だ。
(ほんとは花とか創造してやれればよかったが、さすがに管轄外だ!)
 ほら、やっぱり菌類は植物じゃないじゃん。
 だがしいたけ軍団は強い。人間以上の筋力を持ったしいたけ(複数。食べきれない数)が断続的に殴り続ければ、そのダメージはいかほどかという話さ。
 問題は……グリモア猟兵が指定した1分までまだ時間がかかること。
「……よし! 茸らしく、木陰に隠れて身を守るか!」
 攻撃を回避しつつ、庭園にある木の元へダッシュするしいたけ!
「よっしあるぇぇぇぇぇ!?」
 絶叫。木はある。だが……落ち着いてほしい。2m弱のしいたけが隠れられる木陰ってもはや林では? 庭園にある??
「うぉぉぉぉぉ!!!」
 追い込まれるしいたけ。迫る抹殺形態……! そこで約束(?)の1分だ!!

 がくんっ、と無敵機械が力を失う。
「やったか!?」
 やってないよ。まだ生きてるけど……しいたけの作戦は完全に成功だ。殴りしいたけの攻撃のダメージ蓄積が無敵機械の回復力を上回り、一時的な機能不全を起こしたのだ。
「ばかな……」
 愕然とした声を紡ぐのはパッセンジャーだ。回復量を上回ったダメージがパッセンジャーの体に流れ込み、その部位を破壊する。具体的には左腕。本来はすぐにでも無敵機械がその部分を再生するのだが、しいたけの攻撃によって無敵機械が一時的にダウン。回復できない箇所はそのまま壊死してしまう。
 その様子に驚愕するパッセンジャー、だがその顔にわずかに笑みが浮かんでいるのは……何故か。

 ともあれまずはひとつ。パッセンジャーの体を破壊することに成功したしいたけさんである。
 なお、大きな茂みがあったのでその中に逃げ込みました。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リアラ・アリルアンナ
何を幸福とするかは個人の自由
しかし他者の幸福を踏みにじり実現する事は許されない!
馬鹿げた自殺ショーはここで終わりです!

無限吸収は恐るべき機能ですが、それがプログラムされた機械の動作である以上、対抗手段はあります
まずリアラからおおよそ半径5m以内に草花が存在するようにして、
あちらが迂闊に手を出せない状況を維持
時間を稼いでいる間にハッキングによるパラメータ改竄や処理能力を超えるデータ攻撃で装置を機能不全に陥らせ、無限吸収の能力を低下させます
そして機能を回復される前に『断罪の雷霆』を放ち、落雷と感電のダメージをもって物理的に破壊します



●『幸福』の定義
 大きくはない、だが確実に。屍人帝国『オーデュボン』の『『皇帝』パッセンジャー』の体に傷が刻み込まれた。いかに『無敵機械』が膨大な生命力を尋常ならざる回復として送り込んだとしても『死んだ』部位は『回復』しない。至極、当然のこと。

(無限吸収は恐るべき機能ですが……)

 その挙動を庭園に入ったところでつぶさに観測していたリアラ・アリルアンナ(リアライズユアハピネス・f36743)は確信する。外側からでは何をどうやっても対処のしようが無い無敵機械とて、『その機能を上回り、攻略することは可能』なのだ、と。
「かの機能がプログラムされた機械の動作である以上、対抗手段はあります」
 素早く。庭園の中の道を進む。通り過ぎる風に花びらが舞うがその程度ならリアラの登場を演出するサービスに過ぎない。
 立ち止まる。花壇の間の細い道。そこに立ってリアラは大声を張り上げる。

「何を幸福とするかは個人の自由……しかし他者の幸福を踏みにじり実現する事は許されない! 馬鹿げた自殺ショーはここで終わりです!」

 それは『市民の親愛なる友人』としてのリアラの宣言であり、宣戦布告。
「……」
 ゆるり、とパッセンジャーの頭が動く。そこにリアラがいることを初めて気づいた、というように。実際、気にしていなかったのだろう。だから初めてリアラの存在を気に留めたし、リアラが周囲の草花をいたずらに傷つけていないことを知る。
 ゆっくりとした、その確認作業。
 その間に、リアラは既に動いている。

(|コネクトし《つながり》ました!)

 微細な電流を1本の糸のようにして。パッセンジャーの無敵機械へと繋いで|侵入経路《パス》とする。仕掛けるのは……ハッキング!
「……!」
 ようやくパッセンジャーがリアラの行動を察知する。しかし、パッセンジャーが次の行動に移る前にリアラは既に侵入を果たしている。
 彼女はバーチャルキャラクターであるし、そもそも『その手のセキュリティ』を守る側でもあったのだ。『|階級をわきまえない反逆者《ハッキング》』には、『|監視《ハッキング》』を。単にそれを逆転させただけの、簡単なお仕事。
 そしてハッキングとは侵入だけではない。データの強奪、書き換え、そしてクラッシュ。
(パラメータ改竄……そして)
 瞬く間に膨大なコマンドを送り込んで無敵機械の支配をリアラへと切り替えていく。処理能力を低下させてさらに侵入と書き換えを進めて……。
「どうやら随分と小癪らしい。だが……時間がそちらだけの味方だと思うな」
 上から降ってくる声はパッセンジャーのもの。そして無敵機械から放たれるのはパッセンジャー・レイ。
「なっ……!」
 リアラが目を見開く。パッセンジャーは『草木を巻き込むような攻撃をしない』はず。だから今のリアラの位置へ攻撃は来ないはずなのだ。
「攻撃の有効範囲さえ測ることができれば、ひっかけることくらいはできるさ」
 リアラの遥か頭上で炸裂する魔導砲撃。それは、その着弾点を『起点』にリアラの2~3m真上までが爆破範囲になるよう、『調整された一撃』。ダメージが直接リアラを襲うことはないが。
「くぅぅっ……!!」
 激しい爆風にリアラが土の道の上に倒れ込む。だがハッキングを放棄するようなことはしない。あと少し、あと少し……!
 そこへ頭上に現れた攻撃型魔導ドローンの銃口がリアラに向く。ひっかける……つまり、攻撃の有効範囲に入っていなくても攻撃を届ける方法はあるということだ。
「……!」
 リアラが立っている……ということはその場にはピンポイントで植物が無い。その点に銃撃を撃ち込むことにパッセンジャーの躊躇いは無い。
 だがリアラもただでやられるようなことはない!

「さあ、共に手を取り合いましょう! それはとても幸福なことなのですから!」

 叫ぶのは【『|汝の隣人を愛せよ《ラブ・ユア・ネイバー》』】。放たれた渦巻状の波動がドローンたちを飲み込み、その行動を友好的なものへ強制的に切り替えさせる。
 危機を脱したリアラが立ち上がる。
「やるな、猟兵。だがまだまだ……」
「いえ。そこまでです、反逆者パッセンジャー!!」
「なっ……?!」
 リアラの言葉を切欠として。
 パッセンジャーの動きが数瞬完全に止まる。何故か? 無敵機械が動きを止めたからだ。パッセンジャーは無敵機械に繋がれているがゆえに、そちらが止まればパッセンジャーも止まらざるを得ない。リアラの改竄処理が完了した瞬間であった。
「反逆者に容赦はしません!」
 動きが鈍ったその瞬間へ、リアラがDos――処理能力を超えるデータ攻撃で畳みかける。

 外側からが無理なら、内側から。戦術の基本で、機械に対するとても有効な手段だ。

 ほんの数秒、無敵機械がシャットダウンする。本来であればこの機械が止まることなど無い。それでも止まったのは異世界の、ブルーアルカディアの世界に無い技術が叩き込まれたから。
 イレギュラー。リアラとしては不本意かもしれないが、リアラの行動そのものがパッセンジャーに対するイレギュラーとして作用したのだ。
 パッセンジャーが経験したことのない現象が今、発現している。
「こんな、ことが……」
 呆然とするパッセンジャー。冷静であれば自死に至れるほどの時間がありながらパッセンジャーは動かない。動けない。
 ゆえに……リアラが攻撃するに十分な時間が目の前にある。それも無限吸収が無い状態で。
「市民の幸福をおびやかす反逆者に裁きを!」
 リアラが掲げた手のひらから迸る強烈な雷光。【断罪の雷霆】――それは戦場全体に振りながら、しかし草木や花を攻撃の対象とせず、ただただパッセンジャーのみにダメージを与えていく。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」
 幾度も叩きつけられる雷がパッセンジャーと無敵機械にダメージを与えていく。それは自然の怒りのごとく。空から断続的に振り続けていく。

 事前に言われていた1分間。

「これでも……壊れないのですか?!」
 雷光が去った後、今度はリアラが驚愕の声をあげる番であった。無敵機械、その名前は伊達ではないらしい。あれほど強烈な雷を断続的に叩きつけたにもかかわらず、無敵機械は再起動して、パッセンジャーに生命力を送り始めていた。
「人の理解を超える機械なんだよ、コイツは……」
 荒い吐息とともにゆっくりとパッセンジャーが顔をあげる。
「物理的には壊れん。壊れるのは……俺の体だ」
「……!!」
 そういうパッセンジャーの左上半身。この部分が完全に炭化してぼろぼろと崩れていく。死んだ細胞は回復しない。それはリアラが最初に確認した通りだ。
「見事だ。……それでも。ここまでされて……まだ死ねないのか俺は……」
 感嘆と絶望の言葉をこぼして、パッセンジャーは空に慟哭する。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ連携負傷歓迎

「望まぬ生に縛り付けられて、自ら死を望むか」

――不意に『仙女』の顔が頭を過る

「ああ、ただの自己満足だな」

調息、脱力、己が砕くべきモノを観据える。
――為すべきを定め、心を水鏡に

先ず生命吸収に対しては自身の氣をコントロール(龍脈使い+オーラ防御+集中力)し流出に拮抗。
長くはもたないが、ただ一撃叩き込めればそれでいい。

防御も回避も捨て、自己の最速を以て間合いを断つ。
心身から余分なモノを排し、己をただそれだけの機構と化す。

渾身の捨て身にて放つはただ一撃。
是にて砕くは生命に非ず。生命を捕らえて汚す悪しき軛を砕く。

――どうか、彼の皇帝に安らぎがあらんことを

この一時の因果を絶つ。




 『死』とはそれ自身にとっては絶望的までに遠い存在であったはずだ。しかし、今、確実に。屍人帝国『オーデュボン』『『皇帝』パッセンジャー』の体に、その先触れが刻まれている。左腕から左上半身。その部分は確実に『死んだ』。
 だがそれでもなお。常人であればそれだけであっても死ぬかもしれない損傷で。
「まだ……死ねないか……」
 パッセンジャーは呟く。それは絶望と同時に、単なる事実の確認。接続されている『無敵機械』は彼をいまだ縛り付けている。

「望まぬ生に縛り付けられて、自ら死を望むか」

 その様子を足元の庭園から見上げて。
 上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)もまた呟く。そして自身の呟きを自分で聞いて。

 ――不意に過るは『仙女』の顔

「…………ああ、ただの自己満足だな」
 拳を握る。だが力を篭めているわけではない。ただ握り、ただ構える。自然体に直立して……調えるは呼吸。吸って、吐いて。平時から無意識下で行っている『基礎』を意識的に繰り返し、自身の身体を把握する。いつでも動けるように力を篭め、あるいは入り過ぎた力を抜き。そして『己が砕くべきモノ』を観据える……!

 ――為すべきを定め、心を水鏡に

「シッ……!」
 短い吐息とともに地を蹴って、修介の体が弾丸のように駆け抜ける。
「……」
 修介の接近に気付いたパッセンジャーが無造作に光の檻を放つ。庭園一帯を包み込むように広がった光の檻が急速に狭くなり、修介の体を捉える。
「……っ!」
 だがそれは予想の範囲。修介もまた対抗策を仕込んである。
 パッセンジャー・ケイジは触れた者からエネルギーを吸収し、それによって光の檻をさらに強固に展開する。ならば『吸わせなければいい』
 触れた大地の龍脈から氣を得ながら、自身の体からは流出しないように集中。オーラの守りのように体の表面に留めることで自身の氣をコントロールする修介。完全に防げなくても良い、急速に吸われなければ、光の檻に拮抗できればいい。
 光の檻に『その場に留める』効果はない。生命力を吸い、力を奪う効果しかないのだ。拮抗できれば、『光の檻ごと』突き進めばいいのだ。
 長くもたなくていい。

 ――自己の最速を以て間合いを断つ。

「……!!」
  防御も回避も捨てて、ただ弾丸のように、そして光の檻すらもその身に抱えたまま、突き進んでくる修介の姿にパッセンジャーが息を飲む。それは生命のなせる業。生きて、想いを貫く者にしかできない姿。
(心身から余分なモノを排し、己をただそれだけの機構と化す)
 ただそれだけ――『ただ一撃叩き込めればそれでいい』のだ。

 踏み込む。間合いは捉えた。パッセンジャーは動かない。
 踏み込んだ大地を起点に氣を練り上げる。螺旋を描くように駆け上がってくる氣が握りしめた拳に集中する。渾身の捨て身にて放つはただ一撃。

「是にて砕くは生命に非ず。生命を捕らえて汚す悪しき軛を砕く」

 わずかに。刻が止まったかのような瞬間。後に衝撃が駆け抜ける!
「ぐあぁっっ!!」
 パッセンジャーが絶叫する。
 修介の【――祈りを拳にて】――『――ただ一撃、仕る』と放った、慈愛と祈りを籠めた明鏡止水の拳がパッセンジャーの体を突き抜ける。
 この一撃は『肉体を傷つけずに、心身に巣くう悪しきモノのみを攻撃する』……すなわち、無敵機械を。
 本来であれば外側からの衝撃など何の効果もなさない。修介の一撃はパッセンジャーを駆け抜けて、彼自身も無敵機械も傷つけることなく、皇帝に絶望を与えるだけの攻撃。
 だが彼はひとりではない。猟兵なのだ。
 無敵機械は既に、中から破壊されて十全の機能を保っていない。それをパッセンジャーの体側から攻撃してやれば。
「ばか、な……!!」
 止まる、無敵機械の機能が。そして修介の一撃は無敵機械の回復量を上回るダメージを誇っている。無敵機械の回復量を上回った分のダメージがパッセンジャーにフィードバックされて。パッセンジャーの右足を破壊する。
「こんな、こんなことが起こり得るのか……!」
 パッセンジャーの絶叫。それは驚愕とともに、微かな希望を漂わせて。

 ――どうか、彼の皇帝に安らぎがあらんことを

 パッセンジャーの希望を叶える一撃。修介の拳は確かに、この一時の因果を絶ったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
草花を巻き込まないというポリシーは嫌いじゃないです。
でも、巻き込んだらコロス!は困ってしまいますね。

変に刺激はしたくないけど、周りは庭園とはなかなか難しい地形ですね……
ただ、そこは相手も同じ。
庭園を味方につけて、一方的に叩けるようにしましょう。

魔法剣『緋月絢爛』で戦います。
UC【波紋共鳴】を発動。
【重量攻撃】と【電撃】を込めて、無敵機械を殴ります。

相手からの攻撃は【受け流し】と【第六感】で対応します。

皇帝はおいといて、無敵機械をボコボコに殴ります。
もっともこれで皇帝も大喜びというのが癪ではありますね。




 壊れる。壊されていく。
 これまで『無敵機械』の機能によって壊れるどころか、傷つくことすらできなかったオーデュボン 『『皇帝』パッセンジャー』の体が壊れていく。だが無敵機械も完全に無力化したわけではない。パッセンジャーの体が『一部分でも』生きている限り、無敵機械がパッセンジャーに死をもたらすことはない。
 だから、猟兵たちの攻撃は止まらない。

「草花を巻き込まないというポリシーは嫌いじゃないです」

 仲間たちが戦っているその隙に庭園へ入り込んだ黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は周辺の草花や花を傷つけないようにしながら立ち止まる。
「でも、『巻き込んだらコロス!』は困ってしまいますね」
 何と言っていいのやら。微妙な表情をしながら摩那がパッセンジャーを見上げる。強烈なまでに植物に執着を見せるパッセンジャー。もしかしたら……パッセンジャーにとって植物とは自身が信じる神のような存在なのかもしれない。
 人に踏みにじられて死んでしまうような弱い存在だけれども。無敵機械の影響下にあって咲き誇るのだから。
「……」
 変によぎりかけた思考を首を振って振り払い。摩那は改めて周辺に視線を落とす。
(変に刺激はしたくないけど、周りは庭園とはなかなか難しい地形ですね……)
 だが、そこは相手も同じだ。体格差もある。摩那が庭園の中にいる限り、パッセンジャーも容易には攻撃できないだろう。ならば。
(庭園を味方につけて、一方的に叩けるようにしましょう)
 作戦は決まった。摩那がパッセンジャーを見据える。

 抜き放つは魔法剣『緋月絢爛』。摩那の指先が刀身を撫でれば、その軌跡のままにルーン文字が光り輝く。
「まだ、まだだ。猟兵……俺を殺してみろ!!」
 摩那に気付いたパッセンジャーが振り返り、叫ぶ。猟兵の攻撃に抗うような表現に聞こえるが、その言葉に込められている想いは希望――『|死《未来》』が見えたことによる希望だ。
 だが無敵機械は敵の排除に動く。パッセンジャー・ケイジがパッセンジャーの意志を無視して放たれる。摩那目掛けて急速に収束していく光の檻。
「……! 目に見えて触れることができるなら!」
 いかに収束が速くとも捉えることができるなら。
 摩那の第六感が光の檻を捉えて、突き出すように繰り出されれた緋月絢爛の刀身が摩那の体よりも早く光の檻に触れる。そのまま横になぎ払い。光の檻を切り裂いて受け流す摩那。
「……!」
 パッセンジャーが目を見開いて動きを止めたその瞬間に、摩那が一足飛びに間合いを詰める。パッセンジャーの足元、無敵機械の先端。
 こつん、と緋月絢爛の刀身で無敵機械を叩いた後、引き戻した刀身に摩那は再び指を這わせる。
「材料探査。解析を開始……周波数同調完了。発振」
 ユーベルコード【波紋共鳴】発動……!
 破壊振動を籠めた衝撃波が突きの一撃と同時に繰り出される。ついでに指先から電撃を迸らせて刀身に纏わせてある。後は刺突の勢いと緋月絢爛の重さで……勝負!!
「かった……!?」
 だが一撃で壊れるような無敵機械ではないらしい。
「ですがっ」
 そんなに簡単にいくとも思っていなかった摩那さんである。【波紋共鳴】と緋月絢爛の状態をキープしつつ。その場でボコボコに殴り始める摩那。『とりあえず皇帝はおいといて』というのが今回のコンセプトらしい。
(もっともこれで皇帝も大喜びというのが癪ではありますね)
 とは思いながら、それでも摩那は手を止めない。
 だが、無敵機械が物理的に壊れる気配はない。表面はへこんでいくが、機能が止まる気配がないのだ。
「本当、厄介な機械ですね!」
 全力で刀身を叩き付ける摩那。それでも壊れない……が、この無敵機械はパラメータが下がっている。具体的に言えば電流抵抗と万が一止まった後の復旧速度が落ちているのだ。
 そこへ摩那の電流が追い打ちをかけていく。
「猟兵。その攻撃では俺は死ぬことはない。……だが」
 パッセンジャーの声が上から降ってくる。摩那が見上げた先のパッセンジャーの表情。
 それは直接ではなくても、無敵機械の性能が下がっていくことで『|死《未来》』への希望を見出した皇帝の声であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫・藍
庭園に潜り込む藍ちゃんくんでっす!
空中浮遊で草花は踏まないようにするのです!
ではでは藍ちゃんくんの歌をお聞きくださいなのでっす!

ところで。
自動的に周囲のあらゆる生命やエネルギーを吸い上げるということは。
当然、草花の生命も吸い上げちゃいますよね?
藍ちゃんくんの歌で無敵機械が衝撃を受け続けてるのなら尚更!
でしたら歌で草花を癒しちゃうのでっす!
皇帝さんも草花は巻き込みたくないでしょうし変形は装甲重視でしょうかー?
自分がダメージを受けても尚草花が枯れぬというのなら、きっとそれは衝撃的なことかと。
自分が草花を枯らすことなく終われるのなら。
きっと皇帝さんにとって。
悪くない終わりなのではないでっしょかー。




 仲間たちの攻撃が『『皇帝』パッセンジャー』に叩き込まれ、彼の『死』が実現可能な現実として見え隠れしている。
 そんなタイミングで転送されてきた紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は。
「庭園に潜り込む藍ちゃんくんでっす!」
 庭園の中を疾走していた。空中浮遊で草花は踏まないように、少々の風が花びらを巻き上げることは全然問題ないのだから。
 そしてパッセンジャーを見上げる位置まで来た藍はマイクを握って高らかに宣言する。
「ではでは藍ちゃんくんの歌をお聞きくださいなのでっす!」
 【藍テール】――藍ちゃんくんの青空ステージである!
 天を覆う闇も障害も吹き飛ばして、青空に藍の歌声が響く。
「まだ……いたか」
 パッセンジャーが藍を視認して。しかしパッセンジャーの意志を無視して無敵機械が自衛機能で抹殺形態に変化する。遠距離からの攻撃力重視のレーザービーム。見え透いたその一撃をひらりとステージの上でかわしながら藍は歌い続ける。

 1分間のステージなど楽勝楽勝♪

 油断することなくパッセンジャーを見つめながら、藍の心無きものにすら感情を呼び起こす魂の歌が響き、パッセンジャーにダメージを与えていく。
 と、歌いながら。
 藍は自身の中に浮かび上がってきた疑問に内心首を傾げていた。『ところで』って感じである。
(自動的に周囲のあらゆる生命やエネルギーを吸い上げるということは。当然、草花の生命も吸い上げちゃいますよね?)
 だが見ている限り、庭園の植物たちは無敵機械の影響を受けているようには見えない。影響を受けているのならば、この庭園が成り立たないはずだ。
(藍ちゃんくんの歌で草花を癒しちゃうのでっす! とか考えていたのでっすが)
 変形も装甲重視かなーとか思ってたけど、ピンポイント狙撃による土だけを抉る攻撃というめちゃくちゃ器用なことをしてくる。その分回避は簡単なのだが。

 でも。自身の行為で草花を枯らすことなく終われるのなら。

(きっと皇帝さんにとって。悪くない終わりなのではないでっしょかー)
 歌声に想いを込めながら。
 藍はまだまだと歌い続ける。その歌声は無敵機械の回復量を上回り、確実にパッセンジャーの体にダメージを刻んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加

その願いは、確かに気の毒だと思う
だからといって許すわけにはいかない
「あぁ、此処で俺達が解放してやろう」
戦い方としても、俺一人では不可能だから
相棒が全力を出す為の道を切り開く

戦闘開始と同時に【神速「空閃」】で行動開始
草花や木に当てないよう軌跡を放ち
空中の軌跡を足場にして接近しながら更に攻撃
「道案内は任せとけ、でかいの頼むぞ」

息もつかせず攻撃は放ち続けるが
回復量を上回る一助にしかならない事も
ましてや弱点を突けるような攻撃でない自覚もある
俺はただ、背中の相棒の全力を信じて繋ぐ為
軌跡を繋げ、前へ進み、相棒の詠唱の邪魔はさせない
「頼んだ…ぶちかませ、相棒」


葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

痛ましいとは思うがお前の死と世界全ては
余りにも釣り合わない

「望み通りにする為に…往こう陸井!」
その為に頼もしい相棒と此処へ来た
花園を持つ身であればこそ
『花を手折らない』も勿論叶える
そこだけは気が合いそうだし、ね

相棒の攻撃開始と同時に
UC天より来る百億の光使詠唱
右手を伸ばし二本の指でパッセンジャーを敵として指す

相棒の空閃と空中機動で至近へ食い込む
少しでも受傷させる事を狙い
蟲笛のククルカンと長剣でも攻撃

時間は掛かるけどカウントが済めば
1秒に2体の攻撃で連続で命を削る
愛花には傷一つ付けず攻撃は全て皇帝へ

可能であれば更に直接攻撃で畳みかけ
「その惨い生が終る事を…ただ祈る!」




 屍人帝国『オーデュボン』の『『皇帝』パッセンジャー』。
 その身に繋がれた『無敵機械』はいまだ健在で、パッセンジャーの『自身の死』という願いはいまだ叶えられていない。
 だが、それは結果を点でみたら、の話である。

 見よ、パッセンジャーの体を。

 無敵機械から望まずとも自動的に送り込まれる生命力。その超回復によって死すら超越していたパッセンジャーの体は今や、半身すら残っていない。いや、形は残っている。だが『死んで』いるのだ、左半身と右足が。
 それでもなお|生命を残して《生きて》いることが信じられない事態であるが、だがそれこそがパッセンジャーの『|死《願い》』を乞う理由なのだろう。
 だがそれは徐々に見え隠れしている。無敵機械は形や機能こそ失われていないが、その性能は格段に落ちている。生命力を回復させる『その量』が減っているのだ。
 ゆえに死んでおらずともパッセンジャーの体には回復しきれない傷が残り始めている。

 あと少し。

 誰もがそう思い始めたその時にパッセンジャーの前に立ったのは二人の猟兵。

「その願いは、確かに気の毒だと思う」
 短刀銃『護身』を手に凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)が言葉を紡ぐ。それでも。『許すわけにはいかない』という意思をその短刀銃に込める。
「痛ましいとは思うがお前の死と世界全ては余りにも釣り合わない」
 相棒の葛城・時人(光望護花・f35294)もまた陸井の隣に立つ。その手には風に通せば蟲を呼び寄せる『白羽蟲笛』がある。
「望み通りにする為に……往こう陸井!」
「あぁ、此処で俺達が解放してやろう」
 その為に頼もしい相棒と此処へ来たのだから。


 時人と陸井が庭園の中を駆け抜ける。庭園はそもそも人を招く形で作られている。ゆえに草木や花を傷つけずに、本来の人の領分を疾走する二人。
「懲りずによく来るものだ」
 ようやく気付いたと言わんばかりに、頭上より時人たちを見下ろすパッセンジャー。だがその瞳は期待をわずかに浮かべて。
 ――時人と陸井の接近を待っている。
 それでも。無敵機械は接近を許さない。もうこれ以上壊れるわけにはいかない、とパッセンジャーの意志を無視して光の檻を放つ。急激に収束していく光の檻。
「くっ……」
 この檻はかわせない。何故なら一度庭園を丸ごと包み込んだ後に収束して敵のみを捉えるからだ。ゆえに檻は陸井と時人のみを収容する。
 幸いなのは敵と接触した段階で一度檻が止まることか。陸井が時人の前に立ち、先に檻に触れ。時人はその後ろで膝をついて相棒を見る。
「陸井……!」
「大丈夫だ。相棒が全力を出す為の道を切り開く……!」
 光の檻に高速能力は無い。エネルギーを吸い上げるだけだ。ならばこのまま仕掛ける!
(元々、戦い方としても、俺一人では不可能だから)
 だからこそ、相棒と来た。陸井が足に力を篭めて地を蹴る。
「……っ!!」
 一瞬、光の檻が時人の体に触れるが、大きさが止まっている今は疾走する陸井に引きずられるように移動していき、時人をすり抜けていく。
「道案内は任せとけ、でかいの頼むぞ」
 そう言って陸井がパッセンジャーに肉薄する。

 ここまで来てなお、パッセンジャーは庭園の花を巻き込まない。
 相棒の言葉に態勢を立て直しながら、時人は思う。
(花園を持つ身であればこそ、『花を手折らない』も勿論叶える)
 そこだけは気が合いそうだ。
 そう考えながら時人は右手を伸ばし二本の指でパッセンジャーを指し示す。
「光使となりて来い! ククルカン!」
 ユーベルコード【天より来る百億の光使】発動。|天《そら》がゆっくりと歪み始めた。

「……ハッ!」
 溜め込んだ吐息を一気に吐き出す。同時に繰り出すのは短刀銃の刃による斬撃。だがその速度はマッハ5.0。音だけを残して【神速「空閃」】が幾度も放たれる。もちろん、陸井も草花や木に当てないように。放たれた軌跡がその場に残り、ダメージを与えた後も陸井の力となる。空へ駆けあがりながら、陸井は【神速「空閃」】を繰り出し続ける。
「なるほど。悪くない。だが……俺を殺すには遠い」
「そんなことはわかっている」
 パッセンジャーの言葉に陸井は間髪を入れずに言葉を叩き返す。息もつかせないほどの連続攻撃。それが回復量を上回る一助にしかならない事もましてや弱点を突けるような攻撃でない事も、陸井自身が一番わかっている。
「俺はただ、背中の相棒の全力を信じて繋ぐ為」
「……!」
 陸井の言葉にパッセンジャーが目を見開く。空が歪み始めている。
 パッセンジャーが認識したことが切欠なのだろう。パッセンジャー・レイが空に向けて放たれる。だが歪みに攻撃は当たらない。そのままゆっくりと歪みが広がっていく。
 ならば、と考えたのは無敵機械だろう。パッセンジャー・レイの爆破範囲に出現した攻撃型魔導ドローンが時人目掛けて殺到する……いや、しようとした。
 そこを駆け抜けたのは陸井。軌跡を繋げ、空を駆け。
「相棒の詠唱の邪魔はさせない」
 必殺の一手が決まるまであと少し。

 上空の爆発。そしてドローンの出現。それを見て時人はその場を素早く移動する。【天より来る百億の光使】は動き始めている。ならば後は成就まで『自身が健在であること』、これが重要だ。
 時人もまた相手の懐へ飛び込みながら、相棒が残した足場を元に空を駆けあがり、至近へと食い込む。その空中機動の最中、体の横に突き出したのは白羽蟲笛。風を受けて音が響けばそれに釣られるように|純白の羽毛と翼持つ蛇《ククルカン》が現れる。
「頼む……!」
 ひと言だけ告げて。時人はククルカンとともに至近戦――長剣による斬撃を叩き込む。

 ――時間は掛かるけどカウントが済めば。

 大量のククルカンがこの場に駆けつける。それによって『1秒に2体の攻撃を断続的に叩き込む』ことが可能になる。そうなればパッセンジャーの命を削る事も可能だ。
「その惨い生が終る事を……ただ祈る!」
「祈れば叶う……そんなことばかり起こるはずもない」
 パッセンジャーの声にドローンたちが時人を向く。さすがの陸井も処理しきれないのだろう。銃撃が体をかすめていくが、時人は諦めない。
 その刻が来たからだ。

 ユーベルコード【天より来る百億の光使】――疑似的に翼人化した白燐蟲が空に出現する。その手に光剣と光魔法を携えて。
「愛花には傷一つ付けず攻撃は全て皇帝へ!」
 時人の声を受けて、|白燐蟲《ククルカン》はゆっくりと、しかし何もものとはせず、パッセンジャーに肉薄する。
「頼んだ……ぶちかませ、相棒」
 さすがに限界だったのだろう。時人に向かおうとしていた攻撃型魔導ドローンを全て叩き落して、陸井が地面に着地する。見上げる光景は、空より至る白き蟲が黒き機械を覆い尽くす構図。
 蟲が全てを喰らい尽くした。

 ――その惨い生が終る事を……ただ祈る

 その祈りは天より現れた天使の如き存在によって。


「ああ……俺は……ようやく死ねるのだな」
 融合しているかのような無敵機械が完全に停止する音がする。オーバーヒート、あるいはハッキングによるクラッシュ。もしくは電流によるハングアップ。
 そして絶え間なく叩き込まれ続けた猟兵たちの攻撃。
 機能の低下と回復量を上回るダメージという二段構え。それを意図して行ったわけではないだろうが。猟兵たちの攻撃は重なり合って、結果としてひとつの戦果をもたらした。

 屍人帝国『オーデュボン』の『『皇帝』パッセンジャー』はようやく……その鼓動を止めて瞳を閉じることが出来たのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月26日


挿絵イラスト