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マホマジ・イェーガー☆彡

#UDCアース #感染型UDC

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●プロローグ
「どうしよう、どうしよう! まさかの、本当!」
 呼吸が荒くなる。走る足がもつれそうになる。興奮が、止まらない。
 びっくりした! 何だアレヤバイ! 嘘でしょ!? マジで??
 色んな感情がどんどん湧き上がる。それにつられて体中にパワーが溢れていた。運動は得意じゃないのに、今なら自己ベストを出せそうな気さえする。
「“辿り着きさえすればっ、誰でもなれる”って! 扉に書いて、あったけど! だから、そうだあの人もそれでっ、きっと! でも、でも……! あーっ本当どうしよう!」
 喜びと困惑がみっちりたっぷりてんこもり。そんな大声を響かせダッシュで遠ざかっていく姿を 、洋館の屋根の上から見下ろす者達がいた。
『あの子だけでいいねこ? もっといっぱい必要なんじゃねこ?』
 尋ねる声に、金糸のツインテールが縦に揺れる。
「彼がこちら側へ来るには、まだ早いけれど……でも大丈夫。種はもう、蒔かれたわ」

●マホマジ・イェーガー☆彡
「感染型UDCが確認されたわ、全人類が魔法少女にされる前に対処しなきゃ! みんな、手を貸してちょうだい! ……いやこれジョークでもボケでもなくて、ガチよ、ガチ」
 そう告げた藤代・夏夜(Silver ray・f14088)は珍しく真顔だ。
 感染型UDCを見た。
 それを噂話やSNSで広めた。
 広まった噂を知った。
 そうして感染型UDCと接触した全員の精神エネルギーを餌に配下を多数生み出す感染型UDCは、インターネットが普及した現代社会との相性が凄まじくいい。
「今や誰もが監視カメラな時代ですもの。人の目も口も、そう簡単に塞げないわ」

 “辿り着きさえすれば、誰でもなれる”。
 ――魔法少女に。

 噂を知った人々の精神エネルギーが、感染型UDCの第一発見者とその周辺に大量生する。
 現場は広大な公園の一角、遊具がぽつぽつとある原っぱだが、幸いにも第一発見者以外誰もいない。
「まずは大量発生したUDCを撃破してちょうだい。無事に終われば、第一発見者から感染型UDCの情報が聞けると思うわ」
 ただ。
 ちょっとした懸念が、ある。
「相手は全人類を魔法少女にしようとするUDC。そこに国籍や性別への配慮ナシでしょうから……猟兵で魔法少女な姿にされる可能性もあるわ」
 心を強く持って対処しなければばらなくなる――そうなる可能性があると猟兵達を気遣う夏夜の傍、浮かぶハート形の宝石めいたグリモアが静かに輝いていた。


東間
 お前も|第六魔法猟兵《マホマジイェーガー》にならないか? |東間《あずま》です。

●受付期間
 タグ、個人ページトップ、ツイッター(https://twitter.com/azu_ma_tw)でお知らせ。オーバーロードは受付前送信OKです。

●一章
 魔法少女モノにはマスコットがつきもの。
 つちねこが皆さんを魔法少女側へ導こうとします。
 隙あらばマジカルアイテム的な物を押し付け変身バンクを展開させようとしたり、魔法少女の素質がある等と勧誘してきたりします。

 がんばってください。

 頑張り方は自由です。断ったり全力で抵抗したり、ノリノリで導かれつつちゃっかり倒したり。
 |第六魔法猟兵《マホマジイェーガー》と名乗ってもいいし、違う魔法少女名を名乗ってもいいのです。

 変身バンクが展開した場合は、魔法少女ちっく衣装になります。衣装詳細はご自由に!
 ※すけべ衣装にはなりません。
 ※今着ているものに衣装重ね着状態! もOK。

●二章
 不思議な空間で自分と向き合い、新たな強さを手に入れる。
 魔法少女だけでなく戦うヒーローあるあるな二章ですが、二章もトンチキなので「おや? 二章の様子が……?」です。

●三章
 最後の試練と書いてファイナルトンチキバトル。

●グループ参加:三人まで
 プレイング冒頭に【グループ名】、【送信日の統一】をお願いします。
 送信タイミングは別々で大丈夫です(【】は不要)
 日付を跨ぎそうな場合は翌8:31以降だと失効日が延びてお得。

 グループ内でオーバーロード使用が揃っていない場合、届いたプレイング数によっては採用が難しくなる可能性があります。ご注意下さい。

 以上です。ご参加、お待ちしております。
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第1章 集団戦 『つちねこ』

POW   :    ちょこまかちょこまか
【超スピードで走った際に出来たカマイタチ】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ささささーっ しゅばばーっ
【相手の脳波・筋肉運動・その他予備動作から】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ぬるりとだっしゅつ
【捕獲されない為に】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●第一話💫魔法少女の始め方
 僕の名前は吉村・信二。
 ただのオカルト好きでオタクの高校生。
 今日は前々から気になってた廃洋館へ調査しに行ったんだけど、そしたらそこで“辿り着きさえすれば、誰でも魔法少女になれる”って書かれた扉を見つけたんだ!
 そういえば道に迷ったし変なとこ歩いたな〜なんて思い出してたら、魔法少女っぽい凄い人が現れて!
 びっくりして逃げ出しちゃったけど……実は僕、魔法少女モノ、好きなんだよね。
 これってもしかしてチャンs――

『魔法少女になりたいねこ? じゃあこれを掴んで唱えるねこ!』
「えっ何うっっっわ可愛……い? いやうん何か合体してるけど可愛い!」
『嬉しいつち! じゃあ今からニャーが言う事を……』
『ずるいにゃーん! ぼくもその役やりたいにゃん!』
『ニャッシもしたいんだが?』
『待たれにゃ! にゃが輩も希望にゃ!』
「うっわ何かめちゃくちゃいる!?」
 ドキドキの予感に浸っていた間に、周囲はつちねこ軍団でみっちりむぎゅむぎゅ、ニャーニャーにゃん。どのつちねこが信二少年を魔法少女へと導くかで言い合っていた。
『まあまあまあ。他はほっといてニャーがキミを魔法少女に……』
『ずるーーーーい!!』
『押すにゃ押すにゃ! ここはジャンケンで……』
「ちょっ、みんな落ち着い……ああもう待ってよ! まだ魔法少女ネームやキメ台詞決まってないんだって!!」
 
💫 猟兵が現れると、つちねこ達は『こっちも魔法少女に相応しい!』となるぞ!
💫 信二少年はほっといても大丈夫だぞ!
 
フリル・インレアン
ふわぁ、かわいいつちねこさんです。
ふえ?ニャーと契約して魔法少女になってですか?
……えっと、それは……その、ごめんなさい先約がいるので失礼します。
……あの、アヒルさんさっきからじっと私の事を見てますけど、アヒルさんとも魔法少女の契約をした覚えはありませんよ。
って、勝手に変身させないでください!
これが契約の証拠って、こんな契約した覚えはないのに。
まずはあのつちねこさん達を倒すんですね。
ふえ?真の姿で強化されているから多少敵の攻撃を受けて苦戦してから勝利した方が盛り上がるって、絶対に嫌です!!
あれは当たったら痛いで済むものじゃありません!
視聴者サービスも不要です!
念動力で離れたところから攻撃です。



 手入れが行き届いた原っぱと、遊具と――大量のつちねこと。
 到着して早速自分を歓迎し集まるつちねこ達に、フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)の表情は珍しい事に明るく綻んだ。
「ふわぁ、かわいいつちねこさんです」
『そうそう、ニャー達はかわいいねこ系マスコットつち。という事で早速ニャーと契約して魔法少女になるつち、きみはきっと可愛くて応援したくなる魔法少女になるつち!』
「ふえ? ……えっと、それは……その、ごめんなさい先約がいるので失礼します」
 アイアム先約と言うようにアヒルさんが胸を張る――が、そこに待ったをかけたのはフリルだ。
「あの、アヒルさんさっきからじっと私の事を見てますけど、アヒルさんとも魔法少女の契約をした覚えはありませんよ」
『グワグワ、グワッ!』
「ふえっ?」
『つち?』
 それはあまりにも突然だった。突然過ぎた為、フリルだけでなくつちねこ達も目を点にした。ちなみにさっきのアヒルさんの声を訳すと『魔法少女フルフリフリルが世界の平和を守る』で、それはつまり――。
「勝手に変身させないでください~!」
『つちー!? 魔法少女つちー!!』
 どこからどう見ても魔法少女なフリル――いいや、魔法少女フルフリフリルの登場につちねこ達は大騒ぎ。興奮のまま走り回るスピードでかまいたちがあっちこっちで大発生。楽しい原っぱが数秒で危険地帯にデンジャーチェンジしていた。
 けれどアヒルさんは得意げに胸を張り、これが契約の証拠とグワグワワ。フリルにそんな覚えがなくてもアヒルさんには無問題。大はしゃぎつちねこ軍団を、さあ倒してきてと指すのである。更に。
『グワ、グワッグワ』
「ふえ? 真の姿で強化されているから、多少敵の攻撃を受けて苦戦してから勝利した方が盛り上がる……って、絶対に嫌です!! あのかまいたちは当たったら痛いで済むものじゃありません!」
『グワ? グワワ~?』
「視聴者サービスも不要です!」
 力いっぱいの否定と注意と一緒につちねこが次々吹っ飛んでは星になる。

 当たりたくない。痛い思いもしたくない。
 だから離れた所から、念動力で!

『遠距離攻撃、魔法少女っぽくてとってもいいつち~~~!』
「ふええ、ポジティブなやられ台詞です……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ザクロ・シャハブ
『まてーい。俺こそが魔法少女の素質があるぞ』
堂々とマスコットの群れへと突っ込んでいって少年の前に出る
『俺が変身してる間に少年は色々決めると良いと思う』
変身バンクを起動しながら少年に言って変身
『黒は染まらぬ心の証…魔法少女ザクロ、参上』
ゴシックドレスの衣装を身に纏ってる。似合うか?
コルにもリボンをつけよう
『それじゃ、魔法の試し斬りさせろ~』
マジカルステッキ(黒縁)を握ってUC発動。敵を斬る
『マジカル☆斬』
俺のマスコットキャラ枠にはコルがいるからな(肩に乗ったラビグリのコルウスを撫でる)
『…あ、こういうマスコットキャラは復活するお約束だから大丈夫だぞ少年。』

アレンジ歓迎



『キミは魔法少女の造詣も深いニャン。きっとすぐに色々飲み込んで立派な魔法少女になるに違いニャイと思うニャン』
「えっ、嬉しいなあ。でも魔法少女名と決め台詞がまだ……」
『そこは変身した後でもいいとにゃが輩は思うのにゃが、如何かにゃ?』
『そうそう。それで駄目ってことはないニャーン♪』
 さあ変身して。
 ほら変身して。
 つちねこ達が変身アイテムを差し出し、ずいずずいっ。
 鼻がすべり台になっているゾウさん遊具――ちなみにこの原っぱでは子供達の人気不動の一位を誇る遊具の手前にて、狭められていく信二少年包囲網。しかしそこに救いの声が届く。
「まてーい。俺こそが魔法少女の素質があるぞ」
『にゃにもにょ! うにゃにゃー!?』
 届いた声が少女と言うにはちょっぴり低いがつちねこ達は気にしない。勢いよく声の方を向き――もみくちゃに押し流された。もみくちゃ犯のザクロ・シャハブ(懐中兎計・f28253)は涼しい顔、堂々|つちねこ《マスコット》郡へと突っ込んでいったその精神は不動だ。
「少年。俺が変身してる間に色々決めると良いと思う」
「マジですかありがた……変身? まさか……あっ!」
 ザクロが片手で持った――盤面を見せつけるような持ち方をしていた懐中時計が、信二少年の熱い視線を浴びながら勝手に開いて時計の針がギュルンギュルン。星屑の煌めきを大盤振る舞いしながら、お次は黒いリボンを景気よく展開してザクロの全身を包み――シャララーンッ。ふわっ、ふわっ――黒い羽根が儚く舞うそこに、彼はいた。
「黒は染まらぬ心の証……魔法少女ザクロ、参上」
「うわーっ!? めちゃクールなゴシック系魔法少女さんだー!! マスコットちゃん?くん?も凄くいい~!!」
「だろう? それじゃつちねこども、魔法の試し斬りさせろ~」
『ニャッ!? そこからどうして“それじゃあ”になるニャン!?』
『それにそのどう見てもドスなそれは魔法少女としてはどうかと思うニャ!!』
「魔法少女がドスを持つわけないだろうこれはマジカルステッキだ。じゃあ行くぞ」
 隙の無い構え。
 超スピードを捉える瞳。
 そうして繰り出される技の名は――そう!
「マジカル☆斬」
『ピャッ』
 信二少年を囲っていたつちねこ達を斬って斬って斬りまくって――数分後。魔法少女ザクロは漆黒のマジカルステッキを収め、息をつく。
「マスコットキャラ枠は既に間に合っているからな」
 肩に乗ったコルウスを撫でれば、コルウスは後ろ脚立っちして胸を張る。その可愛さと素晴らしさに信二少年が贈った黄色い声援に、魔法少女ザクロは感謝を込めて軽く手を上げて。あ、と気付いた。
「こういうマスコットキャラは復活するお約束だから大丈夫だぞ少年」

 一般人のケアもしっかりと。悪いマスコットをおしおきするに留まらない魔法少女ザクロの在り方に、信二少年が抱く魔法少女像に新たな歴史がクッキリハッキリ刻まれたとかどうとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黄・焔誠
アドリブ歓迎

_

UDCにもなるとこんな姿の猫もいるのか
自身の虎の尾が地面につかないようにしつつしゃがみながら見下ろす
そも魔法少女をよく知らん上に、それ以上に
「"少女"と真逆の存在なんだが」
デカい、ゴツい、そして男。年齢だけ見たとしても少女とは呼べん
それでも良いと言うのなら、つちねことは随分と寛容な生き物だな
任務遂行上やらねばならぬのなら魔法少女をやったとて別に俺は構いやしないが、困るのは俺ではなく周囲だろう
こんな武骨な男の魔法少女とは、視界の暴力だろうが
「ということで諦めてくれ。魔法少女は人々と世界の平和を護るものなんだろう?」
浅学ゆえよくわからんが

信二が巻き込まれぬよう背で庇いながら討つ



 世界が変わればそこに生まれる命の名前や形も変わる。
 世界の過去たるオブリビオンも同じだ。
(「しかし、UDCアースにもなるとこんな姿の猫もいるのか」)
 虎の尾が緩やかに泳ぐように。そして、地面につかないようにと僅かに上を向く。
 淡々と見下ろす銀の眼差しを浴びるのは、黄・焔誠(フレイムブリンガー・f40079)を魔法少女へ導こうと鼻息を荒くするつちねこ達であった。
 顔と脚は猫のそれだが、胴体は妙にぽってりとして平たい。胸から腹にかけて見られるものも、猫らしい毛皮ではなく爬虫類のようなつるりとした皮膚で、珍妙だ。
「お前達は……」
『ニャン達はつちねこニャン』
「……“ねこ”」
『ニャン!』
 恐らく、今のは肯定の返事だろう。焔誠が黙ったままでいると、つちねこの目に宿るキラキラが量を増してきたように思える。よくわからないが言いたい事があるようだ。焔誠は取り敢えず口を閉じ、待つ事にした。
『ニャニャニャ……何度見ても、きみからは魔法少女の才能しか感じないネコ……!』
「才能」
『イエス! さあ、魔法少女になるネコ。ニャーは、初心者でも安心の完全親切ガイドもバッチリのつちねこネコ!』
「俺は"少女"と真逆の存在なんだが」
 デカい・ゴツい・男の三拍子は、19歳という魔法少女に適しているのだろう年齢をもってしても、どうにも出来ない。しかし。
『その冷静な眼差しとお見事な筋肉は戦う魔法少女にぴったりネコよ?』
(「……良いのか。つちねことは随分と寛容な生き物だな」)
 寛容過ぎる気がしなくもないが。
 ――と納得はしても首を縦に振りはしない。
 任務遂行の為ならば魔法少女とやらをやっても別に構いはしないのだ。のだが。
「……」
 無骨な男が、愛らしくも珍妙な生き物に導かれ魔法少女になる。それが目の前で起きたなら、自分達のやりとりを見つめているあの一般人少年など、特に困るだろう。
(「視界の暴力だろうが」)
 結果、焔誠の心は決まった。
「ということで諦めてくれ。魔法少女は人々と世界の平和を護るものなんだろう?」
『どうしてニャン!?』
 断ってもなお粘る方が“どうして”なのだが。焔誠は考えた。だがわからなかった。魔法少女というものと同じだ。浅学ゆえに、よくわからない。わかる事は、ただ一つ。
「年端もゆかぬ少年を戦場へと勧誘するのは、どうかと思うが」
 放った獄炎の嵐撃が勧誘に熱を上げていたつちねこを吹き飛ばす。一瞬で彼方の星としたその一撃の凄さは、背に庇われていた信二の目にどう映ったかというと――。
「すっごい! 無詠唱魔法だ! 魔法少女にならないっていう選択もカッコイイなあ……うーん、どうしよう!」
 いたく感動されていた。なぜなのかは――魔法少女というものと合わせて、やはり、わからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

サヨ!珍味な生き物の口車に乗せられてはいけない!

そんな…私が、魔法少女に?
嘘だろう?私が…ぷり(略)に…素質どころか厄災だろう!?
あってはならないこt……え、拒否権なし!
きみは似合うが私は…
こうなれば神斬とイザナも道連れに──逃げたか
私は禍津神だよサヨ

ホムラは可愛いマスコットなので問題ない
むしろ私の分まで頑張って欲しい

華ロリはパツパツであった
故に変じるならせめて布面積が多くゆったりとした和装!それは願った
温情をと
だがこんなに深いスリットは要らなかったと思う

サヨは実に美しいが!
私はこの厄災の猫を赦してはおけない
我が姿を見たものを逃がす訳にはいかないのだ

滅絶ノ厄華
神罰を降そう
厄災に散るといい


誘名・櫻宵
🌸神櫻

あら珍味な猫が
成程、ね

カムイ!いいえ、プリティ☆カムカム!
私達の出番よ
絶対かぁいい
変身は決定事項ね

ふふふ……師匠は言っていたわ…桜仙龍として咲初た私に期待してイザナと共に見守っていると
サヨならできる、頑張るんだよ……と!
師匠達の期待に応えるため!蔓延る悪から世を殲滅するわよ
禍津神みたいな顔してないでいくわよ!
ホムラはノリノリじゃないの

私は魔法少女ちぇりぃ❀ぶろっさりぃ!
華麗に可憐に参上よ!桜花弁を重ねたようなふんわりした和ロリ的な衣装はちょっぴり大人仕様!
カムイ…いけてるわ!美人お姉様よ!

ひいらりひらりと舞うように
桜花と駆けて屠桜ステッキで斬首よ!
絶華──かぁいく天誅しちゃうんだから!



 陽を遮るものが殆どない原っぱは、今の時期はなかなか厳しいものがある。しかし、誘名・櫻宵(咲樂咲麗・f02768)と朱赫七・カムイ(禍福ノ禍津・f30062)を迎えたつちねこ達は元気いっぱいだ。――そう。あの、つちねこだ。櫻宵の双眸が静かに細められる。
「あら珍味な猫が」
「え、そうなのかい? どんな味なのかな?」
 二人の会話につちねこ達が毛並みをびゃびゃっと逆立てた。
『食べるなんてとんでもないつち! ニャア達は世界の為に全人類を魔法少女へ導くマスコットつちよ~?』
『そうネコ、ニャン達は魔法少女スカウトつちねこ隊! 突然ニャけど、ビジュアルも存在感も抜群オブ抜群なキミ達こそ、ニャンが求める理想の魔法少女! さあ、このアイテムをぜひっ』
『世界中の子供達の憧れを独り占めですにゃん』
 変身アイテムを取り出したつちねこ達に囲まれて、二人の周りはつちねこの白と茶色一色――いや、二色。魔法少女へ導くと言いながら相手を逃さないつもりだ。
「成程、ね」
「サヨ! 珍味な生き物の口車に乗せられてはいけない!」
 櫻宵がこぼした呟きに、カムイはハッと肩を跳ねさせ手を伸ばす。と、その手をぱしりと受け止められ、包まれた。優しく花開くような微笑を注がれ、とくんと胸が高鳴る。
「カムイ! いいえ、プリティ☆カムカム!」
「――え。サ、サヨ?」
「プリティ☆カムカム。私達の出番よ」
 二度、重ねられた名に、カムイの双眸はみるみる丸くなっていく。まさか。
「嘘だろう?」
「本気よ。あなたには素質があるわ、間違いない」

 えっ? 私がぷり(略)に……!?

 ――と浮かんだ広告めいた絵をカムイは首を振ってかき消した。
「いや駄目だいけないよサヨ! 素質どころか厄災だろう!? 私がぷり(略)になるなど、あってはならないこt「変身は決定事項ね」――え、拒否権なし!」
 乗り気の櫻宵と謹んで辞退派のカムイ、二人の様子につちねこ達はどうしたものかニャと変身アイテムを手に忙しい。が、カムイはそれどころではなかった。
「きみは似合うが私は……こうなれば神斬とイザナも道連れに──」
 居ない。
 つちねこだらけの原っぱの、どこにも見当たらなかった。
(「逃げたか」)
 このままでは自分が厄災魔法少女になってしまう。真剣に悩むカムイをよそに、櫻宵は頬を桜色に染め、どのアイテムにしようかしらとつちねこ達の持ち物を吟味していた。
「ふふふ……師匠は言っていたわ……桜仙龍として咲初た私に期待してイザナと共に見守っていると。サヨならできる、頑張るんだよ……と!」
『素敵なお師匠さんがいるんニャね? 立派な魔法少女師匠ニャんだろうニャ~』
「師匠の魔法少女姿……? ……成程ね……」
 未来への夢を広げながら櫻宵は輝くような笑顔を浮かべ、あなたに決めたわ! と桜意匠の宝石細工が美しいコンパクトを受け取った。
「師匠達の期待に応えるため! 蔓延る悪から世を殲滅するわよ。カムイは……そうね、私のと色違いお揃がいいわ。ふふ、紅桜がぴったり!」
「そんな……私が、ぷり(略)に……」
「んもう。カムイ、禍津神みたいな顔してないでいくわよ!」
「私は禍津神だよサヨ」
「ホムラはノリノリじゃないの」
『ちゅんちゅぴ! ぴっぴ!』
 拾った小枝を掲げて跳ねるホムラに、つちねこ達からやんややんやと喝采が飛ぶ。それを受けてポーズもちゅぴっ☆と決めるホムラに、カムイは遠い目で微笑んだ。
「ホムラは可愛いマスコットなので問題ない。むしろ私の分まで頑張って欲しい。私がぷり(略)になっては厄災が……」
「大丈夫よ、カムイ」

 私を信じて!

 心を照らすような真っ直ぐな声と共に櫻宵のコンパクトに咲く桜が眩く煌めいた。そこから四方へ溢れた光の帯が櫻宵の全身を包み込み――弾けるようにして、咲く。そして。
「魔法少女ちぇりぃ❀ぶろっさりぃ! 華麗に可憐に参上よ!」
 ぴしっとポーズを決めれば、桜花弁をたっぷり重ねたようなスカートの裾がふんわり揺れる。そのデザインと色、何より魔法少女ちぇりぃ❀ぶろっさりぃの姿に、つちねこ達が歓声を上げ、跳ねた。
『春の始まりを思わす魔法少女の誕生ニャーーン!!』
『ちょっぴり大人な和ロリがとっても素敵ネコ!!』
「あらありがと、珍味な上にいいこ達ね。そしてカムイは……きゃーっ! いけてるわ! 美人お姉様よ!」
 ぱあっと笑顔を咲かせ頬を染める櫻宵――ちぇりぃ❀ぶろっさりぃの眩しさよ。カムイは目を細めた。が、くっ! と悲しげに顔を伏せる。
「サヨは実に美しいが! 私はこの厄災の猫を赦してはおけない。我が姿を見たものを逃がす訳にはいかないのだ」
 エッ?
 つちねこ達は後ずさった。プリティ☆カムカムに今から何をされるのかがよくわかる事を言われた気がする。とてもまずい気がする。
『エ、エト、華ロリお似合いですニャよ?』
「パツパツだが」
『ちぇりぃ❀ぶろっさりぃと並ぶとコンビ感が出て、とってもいいと思うつち!』
「変じるならせめて布面積が多くゆったりとした和装が良かった」
 紅桜のコンパクトが輝いた瞬間、カムイは“温情を”と願った。
 だが。
「こんなに深いスリットは要らなかったと思う」
 魔法の力でスリット範囲を狭められないだろうか。
 ――出来なかった。
「プリティ☆カムカムの美脚もかぁいさも完璧よ、私が保証するわ」
 ひいらり、ひらり。春彩の衣装が躍る。桜花と共に、ちぇりぃ❀ぶろっさりぃは駆け――ギラリ。屠桜ステッキが煌めき、プリティ☆カムカムの全身から溢れた神気が凄まじい圧を放った。
「さ、かぁいく天誅しちゃうんだから!」
「神罰を降そう。厄災に散るといい」
『き、決め台詞も完璧ニャーっ!!』

 ちぇりぃ❀ぶろっさりぃとプリティ☆カムカム。
 二人が舞ったそこに、悪が蔓延った試し無し――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルロッテ・ヴェイロン
いや、「全人類魔法少女化」って、また妙な噂を広めようとする連中もいたもんですねぇ…。

――で、変身アイテムですか?じゃあ、「変身ベルト」でお願いします(ぉぃ)。
当然、変身時の掛け声は「変身!」で、システムボイスは機械音声で、キーアイテムの差し替えでフォームチェンジができるようなのでお願いします(ぉぃ)。

…まあそんなこと言ってる間に「破壊」属性ので【蹂躙】しちゃいますけど(【先制攻撃・2回攻撃・一斉発射・乱れ撃ち・制圧射撃】)――やっぱ決め技は「ジャンプからのキック」にしますか(ぇ)。

※魔法少女姿(「|電脳魔法少女《サイバーマジシャンガール》」)は「真の姿」画像を参照な。
※アドリブ・連携歓迎


フロロン・ピューミリオ
「マァマァ!魔法少女!聞いた事あるわ!かわいくて、強くて、みんなの憧れなのよね!フフフ、わたくしも|変身して《なって》みたいわ。確かにオブリビオンを倒す事は大切ですけれど、ちょっとぐらい大丈夫よね。さぁ、つちねこさん、わたくしを魔法少女にして下さるかしら?」

UC【コールオブプリンセス】を使用
3つの目を輝かせながら召喚したクリーチャーたちでつちねこを捕まえようとします。
変身バンクはおまかせしたいです。
変身した後は……しょうがないけど猟兵なのでね、クリーチャーたちにそのまま攻撃に移って貰います。
アドリブ・連携歓迎です



 魔法少女になりたい。そう願い、夢見る子供は――場合によっては、大人も――いるだろう。しかし、今回は少しばかり違うようだ。
「いや、『全人類魔法少女化』って」
 はー、と息を吐いたシャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)の眼差しは、13歳という年齢以上に大人びて見えた。
「また妙な噂を広めようとする連中もいたもんですねぇ……」
「マァマァ! 魔法少女! 聞いた事あるわ! かわいくて、強くて、みんなの憧れなのよね!」
 ピューミリオテンタクルから伸びる触手が、弾む声と一緒にふわふわ、みょんみょん。今日の空とよく似た青い目をキラキラさせたフロロン・ピューミリオ(ピューミリオ星人の宇宙プリンセス・f38854)に、つちねこ達が『そうでーす!』と声を揃えニッコリ笑う。
 魔法少女の可愛らしさ、カッコ良さ、素晴らしさ、尊さ。つちねこ達はフロロンの気持ちが変わってしまわないようにと思ってか、ニャアニャアキャッキャと楽しげに語って聞かせている。何がつちねこ達をそうさせているのか――まさか魔法少女オタクUDCじゃないですよねとシャルロッテは目を半目にするも、すいっと戻して自分を囲むつちねこ達をじっくりと眺めていく。
 目の輝き。姿勢。やる気は十分のようだ。
「――で、変身アイテムですか?」
『ニャ! 魔法少女には欠かせないアイテムですからニャ!』
 成る程。
「じゃあ、『変身ベルト』でお願いします」
『フニャニャ。クールなアイテムをチョイスしますニャねえ? いいですニャよ』
「フフフ、わたくしも|変身して《なって》みたいわ」
 マスコットごころがくすぐられたのか、キラリと豆粒お目々を輝かせたつちねこにフロロンは笑顔を浮かべ、自分に期待の眼差しを注ぐつちねこ達の顔を、一匹ずつ見ていった。
 ――確かにオブリビオンを倒す事は大切ですけれど、ちょっとぐらい大丈夫よね。
 魔法少女になる。そんな機会はなかなか無い――はずだから。
「さぁ、つちねこさん、わたくしを魔法少女にして下さるかしら?」
『モチロン! うーん、きみの今の姿も生かしたアイテムにしたいねこ……そうねこ!』
「マァ、名案が?」
 言葉の先を気にして触手をふわふわさせるフロロンに、つちねこが提案したのはお星様形の大きなリング。ぽんっと現れたそれはタンバリンほどの大きさで、真ん中の穴に掌を添えてと言われたフロロンは、言われるままにやってみた。すると。
「! 何か見えない壁のようなパワーがあるわ。もしかして、ここを?」
『叩くねこ。そして変身の言葉を唱えれば……!』
「マァマァ、マァ! それじゃあ早速……マジカルスターライト・チェンジ♪」
 ぽんっ。唱えて叩いた瞬間、星のリングに灯った光がフロロンを優しく包み込む。無数の星々が集って出来たシャワーが元気に弾けたそこには、ピューミリオテンタクルはそのままに、フリルたっぷりの衣装に身を包んだフロロンがいた。
「これがわたくしの、魔法少女の姿……!」
「お、先を越されましたか。こっちも色々指定させてもらいますね」
『どうぞニャン。アイテムの次は変身の言葉ニャン!』
「当然、変身時の掛け声は『変身!』で」
『そこは外せニャいですニャンね!』
「で、システムボイスは機械音声で、キーアイテムの差し替えでフォームチェンジができるようなのでお願いします」
『ぐ、具体的ニャン……! こんなにも変身ビジョンを作り上げているなんて……こっ、これは将来有望な人材ゲットだニャン……!!』
 感動で全身をぷるぷるりと震わすつちねこに、シャルロッテが向ける視線は冷静そのもの。自分の注文通りのものをニャアニャアと作り上げたつちねこに、経営者目線で関心もしつつ――さり気なく周囲の状況を確認し、魔法変身ベルトを装着した。
『着け心地はどうですニャ?』
「キツさはちゃんと調整可能になってますし、バッチリだと思いますよ」
『それは良かったですニャあ!』
「じゃあ早速動作確認と行きましょうか。……変身!」
『Cyber! Magic! Fusion!』
 唱えた瞬間響いた機械の声。ベルトからぽんっと飛び出した光が目の前で、コンパクトな長方形に変化する。USBメモリだ。それをすかさず掴んだ時、シャルロッテの全身が真っ白な光に包まれ、鮮やかな緑が次々に駆けていく。そして――!
『わーい、|電脳魔法少女《サイバーマジシャンガール》のたんじょ――ギニャーーッ!?』
 白と銀、そして緑で彩られた、動きやすさも備えたタクティカルなファッションはとてもクールだ。しかしバイザーから放たれた光は破壊に満ち満ちていた。数匹のつちねこが容赦なく吹き飛び空の藻屑と化す。
『ニャ、ニャンで!? ニャンで!?』
「動作確認ですよ動作確認。じゃあ次は、魔法少女といったらの決め技――ジャンプからのキック、行きましょうか」
 空高く飛んだ姿が空中で分裂する。まさしく魔法のような光景にフロロンはにっこり。固まっていたつちねこ達に向け、三つの目を輝かせた。空中に現れた光る一本線がポワンと口を開ける。そこから現れたのは――。
『ピニャー!? 謎のクリーチャーねこー!!』
『いやニャーン! どうしてニャーン!』
「どうしてと言われましても……わたくし、猟兵ですから。しょうがありませんね」

 シャルロッテさん。魔法少女って、悪いものをやっつけるのでしょう?
 その通りです。中途半端な仕事はいけませんからね、きっちり片付けましょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

深山・鴇
【白蛇衆】

えっ?(寝耳に水)
一言も言ってないが?ちょっとトンチキな依頼があるって言っただけなんだがね
うん…そうだな、雲珠君
ここはひとつ魔法少女とやらになってみるとするか(諦めの境地――☆)

マスコット?この肩にいる素晴らしく可愛い黒猫(めっちゃ胴が伸びる)と白蛇(同じく目が死んでる)が見えないのかい?

逢真君似合うね…ちびの姿だからってノリノリだね
雲珠君も似合うね、今時さがある

女装趣味があるみたいに言わないでくれるか
俺は生憎そんな趣味も女装衣装もな…何であるんだ??
わーー(中華JCを魔法少女風にしたような衣装に変身させられた)
逢真君、魔法少女名って なるほど?
魔法少女アイビスがお相手しよう!


朱酉・逢真
【白蛇衆】声変わり前のちびの姿
心情)ヤア仕様が無ェなァ深山の旦那が俺と雲珠坊が魔法少女になった姿を見たいってンだから腐っても神としちゃあヒトの子の願いは叶えてやらンといかンよなァなあ坊?(呼吸を必要としない者故のワンブレス)
けどよォ、そンじゃアちィと不公平だよなァ? なァ坊。|旦那《おまえ》も魔法少女になるンだよ。
行動)退いてつちねこ! アタシたちにはもうマスコットはいるのよ!(目が死んでる白蛇を見せる) 変身バンクだって必要なくってよ!(《服》をそれっぽく編み直す) 魔法少女ラスティネイル、ここに見参よ!(つちねこを腐らせる) オラふたりもさっさと着替えな。女装衣装あるだろ。


雨野・雲珠
【白蛇衆】

そんな、深山さん…信じてましたのに…!
待ってくださいかみさま
自ずから大惨事を招く必要はな…い…
あ駄目だ 楽しくなっちゃってるお顔だ
ちびさま姿だと無敵だから…
深山さんももうちょっと抵抗してください!
わーわー変身バンクに巻き込まれます 弱いので

ちびさまほど似合うわけでなく、深山さんほど振り切ってもいない…
中庸がゆえに微妙。魔法少女シカノコンです!

……
…フリフリだ…!
あっパンツなのはありがたいです 流石多様性の時代

それにしてもつちねこ…なんと愛らしい…
その足、蛇足じゃないですか?って感じがたまりません
君がよければ俺の相棒に…あっ苦しい苦しい
ごめんなさい汐く ぐぇー
※白蛇に首をきゅっと



「ヤア仕様が無ェなァ深山の旦那が俺と雲珠坊が魔法少女になった姿を見たいってンだから腐っても神としちゃあヒトの子の願いは叶えてやらンといかンよなァなあ坊?」
「えっ?」

 💫|第六魔法猟兵《マホマジイェーガー》×白蛇衆💫
 第一話『寝耳に水』

「じゃなくて」
 深山・鴇(黒花鳥・f22925)は眉間を押さえた。
 何? 何て? 逢真君と雲珠君の魔法少女になった姿を、俺が見たいと言っただって?
「いやいや逢真君、俺はそんな事一言も言ってないが? ちょっとトンチキな依頼があるって言っただけなんだがね」
「えっ……」
 えって何。
 本日は子供なり。しかし子供の姿になっても朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は朱酉・逢真。そう痛感する笑みから「えっ」へと顔を向ければ、雨野・雲珠(慚愧・f22865)が春桜と冬空の二色を宿す目を震わせていた。
「そんな、深山さん……信じてましたのに……!」
 望まれていなかったなんて!
 悲しげに顔を伏せる雲珠に鴇がウーンと唸れば、逢真は愉快そうに肩を震わせる。
「けどよォ、そンじゃアちィと不公平だよなァ? なァ坊」


 |旦那《おまえ》も魔法少女になるンだよ


「えっ。待ってくださいかみさま、自ずから大惨事を招く必要はな……」

 ニヤア

(「あ駄目だ楽しくなっちゃってるお顔だ」)
 ちびさま姿の逢真は無敵。
 天地がひっくり返ろうと、太陽が西から昇って東に沈もうとも変わらない絶対に、雲珠は鴇の方へと視線をバッと向けた。こくり。返された頷きにホッとする。
「うん……そうだな、雲珠君。ここはひとつ魔法少女とやらになってみるとするか」
 全然ホッと一安心じゃなかった。
 嗚呼、これはまさしく、潔いほどの諦めの境地――☆
「深山さんももうちょっと抵抗してください!」
「いやだってああなった逢真君に抵抗とか無駄だろう」
「よぅく解ってンじゃねェか深山の旦那。それじゃあ……」

 という経緯の後に現場へ到着した逢真の行動は、それはもう子供らしいキュートさと魔法少女らしいマジカルさと神様らしい無慈悲さを黄金比で発揮する。到着してすぐにわらわらニャーニャーとスカウトに来たつちねこ軍団なぞ敵ではなかった。
「退いてつちねこ! アタシたちにはもうマスコットはいるのよ!」
 変声期もまだの声でびしっと宣言。ババンッとお披露目するは神秘的な白蛇! ただし目は死んでいる。きゃー蛇ッ、と悲鳴を上げたつちねこが思わず『えっどうしたニャ?』と心配するほどだ。
『……ハッ! 勢いに呑まれたニャ! マスコットの座はニャー達のものニャ、目が死んでる蛇に譲らニャイニャ!!』
「へえ? マスコット?」
 ぬう。
 鴇は逢真越しにつちねこ達を覗き込むようにしてから、じっくり、じーーーっくりとつちねこ達を眺める。うーん、違うね。緩やかに首を振れば、雲珠もこくこくこくっと何度も首肯した。
「この肩にいる素晴らしく可愛い黒猫と白蛇が見えないのかい?」
 ほらご覧。
 鴇の両手が黒猫の脇の下へ入る。そして。
『ニャ、ニャニャンと……!?』
『も、ものすごく胴が伸びて…………えっ、どこまで伸びるつち? ちょっと怖いつち。あの白蛇も目が死んでるし……』
「アタシたちのマスコットに畏れを抱いたわね? その時点でつちねこ! アンタたちの負けよ!」
『そ、そんニャ馬鹿ニャ!! でもでも、マスコットがいても変身バンクがなかったら……』
「変身バンクだって必要なくってよ!」
『ニャ、ニャンだってー!!?』
 シャランッ☆
 逢真少年がしなやかな指先で纏う服を撫でた瞬間、フリルが、リボンが、ふわふわぽぽんっ。花咲くように現れて――服をそれらしく編み直した逢真の、ちょっぴり小悪魔めいた笑みがつちねこ達を射抜く。
「魔法少女ラスティネイル、ここに見参よ!」
 ピシィッ!
 指先にまで意識が行き届いたポーズに、つちねこ達が完敗を認めるようにがくりと項垂れた。自分達に出来る事は何もない――あの少年は誰の手も借りずに魔法少女ラスティネイルへと開花するほどの才能に満ち溢れている、と。
 そんな隙だらけのつちねこ達は、魔法少女ラスティネイルのマジカルタッチであっという間に腐って溶けて消えた。儚い。だが、素早さと魔法少女スカウトの情熱だけでは神には勝てないのだ。仕方ない。
「逢真君似合うね……ちびの姿だからってノリノリだね」
「オラふたりもさっさと着替えな。女装衣装あるだろ」
「えっ?」
「女装趣味があるみたいに言わないでくれるか。俺は生憎そんな趣味も女装衣装もな……」
 ぽすっ。
 放り投げられた物を雲珠も鴇も素直にキャッチしてしまっていた。
 滑らかな手触り。可愛らしいデザイン。これは紛れもなく女装衣装だ。しかも魔法少女っぽさもバッチリある。――じゃなくて。
「何であるんだ??」
「待って下さいそんないきな――わーわー!?」
 逢真と共に来てから、こうなる事は運命づけられていたのだろう。ぴかっと衣装が輝いた瞬間、二人の視界はキラキラでマジカルなプリズムで満たされる。それは二人の全身をふんわりと覆い、腕を、胴を、足を、ぴたんっと包み込んでは逢真から賜った女装衣装姿へと鮮やかかつ強制チェンジ。結果。
「わーー……」
 鴇、諦めの境地その弐――☆
 黒をメインに朱色を使い、前面には七色に揺らぐ鱗や菊の花。どこかで見たと思ったがあの衣装に似てるななんて、鴇は現状を他人事のように捉えながら隣を見た。フリルが多め? ああうんそうだね。
「雲珠君も似合うね、今時さがある」
「……」
「雲珠君? おーい?」
「…………」
「起きてる?」
「ハッ!」
 一分ほど遅れて現実に追いついた雲珠は、自分の魔法少女姿に目を丸くした。フリフリだ! 普段着と全然違う!
「あっパンツなのはありがたいです。流石多様性の時代ですね」
「ちゃあンと似合うだろ」
『魔法少女ラスティネイル、おっかニャいけど衣装選びが最高ニャ……』
「あっ、つちねこ……」
『ニャっ』
 視線が合った目はゴマ粒のよう。猫っぽさがちゃんとある顔や脚は柔らかそうだ。爬虫類のような所はどんな触り心地だろう? 雲珠の瞳に小さな煌めきが踊り始める。
「……なんと愛らしい……その足、蛇足じゃないですか?って感じがたまりません」
『ニャっ? ニャフフ、そう言われると照れちゃうニャ……えーっと……』
「あ。中庸がゆえに微妙。魔法少女シカノコンです!」
 逢真ほど似合うわけではなく、鴇ほど振り切ってもいない。それ故の名乗りに、モジモジしていたつちねこがこてんと首を傾げた。
『そういう名乗りも“アリ”ニャけど……あっ、心が成長したら変化するタイプにゃ!? エモイニャン!!』
「エモ……? ところであの、君がよければ俺の相棒に……」
 きゅっ。
「ぐぇ」
 自分というものがありながら! 他に相棒を拵えるなど許さないと、白蛇・汐からのもちもちすべすべな首締めに、雲珠は真っ白な体を慌てて撫でた。
「あっ苦しい苦しい、ごめんなさい汐く、ぐぇー」
 また締められた。
 そんな雲珠の前でつちねこが走って――いたのだが。神鹿の見事な後ろ脚蹄蹴りでニャーニャー吹っ飛んでは星になっていく。見事な後ろ脚蹄蹴りを決めているのは、魔法少女シカノコンの問いかけより現れた神鹿だ。――今日の格好が気になるのか、時折雲珠の方をちらちらと見ているが。
「魔法少女シカノコン君の神鹿は容赦ないなー、ははは」
『あのー……』
 足元から声。見下ろせば一匹のつちねこが見上げていた。
『つかぬことを訪ねますニャ。魔法少女名は……』
 あ。忘れてた。
 逢真はラスティネイル、雲珠はシカノコンだったが。自分は?
「なあ逢真君、魔法少女名って……」
「魔法少女ラスティネイルが教えてあげるわ!」
 ひそひそひそ――ああ、なるほど?
 かみさまの導きは星のように鮮やかだ。鴇はにこやかにしゃがみ、目の前のつちねこ達を朗らかに見つめた。
「待たせたね、つちねこ諸君。魔法少女アイビスがお相手しよう!」
 親指に人差し指の先端を少し押し付けて――えいっ。つちねこの体は右と左の二つへスパッと綺麗に真っ二つ。あっこれはまずいニャンと、他のつちねこが走り出そうとするのだけれど。無駄無駄と、魔法少女ラスティネイルは無邪気に笑う。
「魔法少女アイビスの必殺デコピンからは、誰も逃れられないのよ!」


 なんせ、俺の加護が宿ってンだからなァ

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャト・フランチェスカ
縁(f33070)と

すごい説明口調ありがとう…
って、あろうことかつちねこを呼んでいる!
縁、きみ、そっち側か!?

しかし創作者の端くれとして
このジャンルも予習済みさ

ペンは剣より強し、|操觚猟兵《シュリフトシュテラー》
無茶な締切と、ついでに悪に天誅を下す!
🌟和風アレンジ衣装。何故か左目に眼帯を装着

撮ってる場合か!
交渉って何のだ!
調子狂うな
僕は別にツッコミ属性では…

諦めたように肩を竦め
たまにはいいか、こういうのも

で、つちねこ達?
こっちのお兄さんも素質があると思うけど
相棒が欲しいな
バディものって良いよなー(棒読み)

ふふ。そう来なくちゃ
猫には一家言あるつもりだが
つちねこは…違うかな
初陣の糧となって貰おう


結・縁貴
シャト小姐(f24181)と

わァこんなところに儚げな年齢不詳な美人が!
ねェ、つちねこ!
(つちねこを呼ぶように大声を出す)
まさに魔法少女になるべき人材だよね!?

とっても似合うよシャト小姐!
写真撮っていい?
大丈夫、シャト小姐と交渉する時にしか出さないから!
いやァその格好も大声出す様も新鮮だなァ
(悪びれずにけらけら笑う)

…俺?
魔法少女ってそういう裾丈短い女物でしょう?
俺の顔は愛らしいけど、骨格は男だから見苦しいよ
美意識的に一寸…
聞かないよなそういう敵だもんな~!!
はいはい、「言霊は時に剣より強し、操縁猟兵見参!楽しい御話、聞かせてくれる?」
※衣装お任せ

折角集まってるしね
甘美な毒でメロメロになぁれ☆彡



 全人類魔法少女化とかいう計画がある? ふーんそっかー。
 じゃあ教えてあげよう。

 ――という事で。

「わァこんなところに儚げな年齢不詳な美人が! ねェ、つちねこ!」
 明るく、楽しげで、軽快。結・縁貴(翠縁・f33070)の声に、まだ二人に気付いていなかったつちねこ達がぎゅるんっと振り向いた。
『儚げですと?』
『しかも年齢不詳ニャ?』
『美人とも言ってたつち!』
「そうだよ儚げな年齢不詳な美人がいるよ! まさに魔法少女になるべき人材だよね!?」
「すごい説明口調ありがとう……って、あろうことかつちねこを呼んでいる! 縁、きみ、そっち側か!?」
 儚げな年齢不詳な美人ことシャト・フランチェスカ(|桜初开《プレリュード》・f24181)の指摘と驚愕に、縁貴はニッコニコ。笑顔のあまり犬歯もちらりと覗いている。そんな二人の耳につちねこ軍団の足音と興奮の声がずどどどどと響いてきた。
『魔法少女になったら影のある魔法少女になるだろうしミステリアスさがたまらないって評判になるだろう儚げな年齢不詳な美人がいると聞いたニャーン!!』
「あはは、凄い食いつき!」
「……うわ、あちらもすごい説明口調である上に、余計なものまで……」
 楽しんでいる縁貴を横目で見、殺到するつちねこ軍団にはげんなりと。だが、シャトの表情はすぐに涼し気かつ堂々とした笑みに変わった。
「創作者の端くれとして、このジャンルも予習済みさ」
 魔法少女。愛らしいマスコット。出会いを切欠に変わる日常。動き出す運命やら何やら、心の成長やら。様々な物語が詰まったジャンルだ。――中にはとことんコメディに振った凄まじいものもあるようだが。
 という事でシャトはさっくりと魔法少女に変身する事にした。
 つちねこから貰った魔法の万年筆、その先端が宙をなぞる。桜花弁が綴られ、溢れていく。花弁の海がつちねこ達の視界からざあっと流れ去った後、そこにいた存在に、つちねこ達が興奮と感動で目を潤ませ、ぷるりっ。おやおや、随分可愛らしい反応だ。シャトは――否。魔法少女はうすら微笑み、彼らへと指先を向けた。
「ペンは剣より強し、|操觚猟兵《シュリフトシュテラー》。無茶な締切と、ついでに悪に天誅を下す!」
『ニャーッ! ミステリアスで儚げで、でも強さも感じる魔法少女ニャーン!』
『和風アレンジの衣装が文豪みたいで素敵つちっ。それに左目の眼帯! あの下にはきっと、魔法マークの浮かぶ瞳が……!』
「とっても似合うよシャト小姐! 写真撮っていい?」
 スタァ登場にはしゃぐ乙女が如く興奮するつちねこの中にちゃっかり混じっていたうえに、ちゃっかりカメラを構える縁貴にシャトの目が点になった。ついでに背景が宇宙になった。が、即、元の原っぱ広場に戻る。
「撮ってる場合か!」
「大丈夫、シャト小姐と交渉する時にしか出さないから!」
「交渉って何のだ!」
「いやァその格好も大声出す様も新鮮だなァ」
「調子狂うな。僕は別にツッコミ属性では……。……たまにはいいか、こういうのも」
 愉快に引っ掻き回して、悪びれずけらけら笑って。けれどシャトは諦めたように肩を竦め呟くと、自分達を取り囲むつちねこ達へ笑いかけた。
「で、つちねこ達? こっちのお兄さんも素質があると思うけど」
『確かにッ』
「だろう? でね。私は相棒が欲しいな」
『相!』
『棒!』
 キラーンッ。つちねこ達の目が輝く。
「……俺?」
「きみだ。バディものって良いよなー」
 シャトはニッコリ笑った。縁貴は目をぱちぱちさせる。あいぼうが、ほしい。確かにそう言っていた。――物凄い棒読みだったけれど。
「いやシャト小姐、魔法少女ってそういう裾丈短い女物でしょう? 俺の顔は愛らしいけど、骨格は男だから見苦しいよ。美意識的に一寸……」
『ここはチャイナ風で。ハイ他の意見どうぞつち』
『|操觚猟兵《シュリフトシュテラー》の相棒なら対になる衣装がいいつち!』
『じゃああのお兄さんも和風アレンジにするニャン? 裾丈はもうちょっと長めにして……』
『あの髪色が映えるカラーリングにしたいネコ~。黒をメインに……』
「聞かないよなそういう敵だもんな~!!」
「ふふ。そう来なくちゃ」
『ではでは、変身アイテムどうぞ!』
 緑貴は差し出された魔法アイテム――お、シャト小姐と色違いだ――でスラスラ~ッと宙をなぞった。わあ花弁も出てきた、どういう仕組み? 興味に目をぱちりとさせつつサクッと華麗にマジカルチェンジである。そして!
「言霊は時に剣より強し、操縁猟兵見参! 楽しい御話、聞かせてくれる?」
 パチンッ。ウインクもサービスすれば、つちねこ達からはちっちゃな前脚で拍手喝采が。シャトも満足げに頷き、操縁猟兵となった緑貴の頭の天辺からつま先までをじっくり眺め、楽しんだ。そんな様子に緑貴も軽やかに笑い、それでさ、とニャニャアキャッキャと楽しそうなつちねこ達を見る。
「シャト小姐。マスコットはどうする?」
「つちねこは……違うかな。初陣の糧となって貰おう」
「そうだね。折角集まってるしね」
 エッ。
 どう聞いても解雇――いや、雇用されてもいないのだけど――な会話に、つちねこ達は大慌て。二人に飛びつき縋ろうとするが、シャトは四方八方から飛びつきに来るつちねこ達をそれはもう綺麗に躱し続けた。
「言っただろう。違う、と。変身アイテムや衣装のセンスは悪くなかったけどね」
『嫌ニャーン! ぼくらはただ魔法少女の発掘に一生懸命なだけニャのに!!』
「そうだね偉いねー。じゃ、甘美な毒でメロメロになぁれ☆彡」
『ニャーッ!?』

 |操觚猟兵《シュリフトシュテラー》は語り、舞うように。
 操縁猟兵は笑み、影より招いた妖鳥の毒を振りまいて。
 そうして綴られた魔法少女の第一話は、無敵に華麗な勝利で終わったのでした☆彡

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

五ヶ谷・グレン
アドリブ絡み歓迎

◼️心情?
薬事辞典のじいさん、
たしか俺は魔女案件と聞いたと思うんだが?
魔法少女じゃねーか(思わず声を荒げる

◼️巨人、立つ
(流石に入れないので幸と不幸を織り混ぜる一匙で見切れるサイズに)

取り敢えず不思議生物が絡んでくると聞いたが、
不思、議?
あー、誘ってくれるのは良いが、
俺は既に魔女やってるからな、
更に魔法少女ってのはコンプライアンス的に不味いから丁重にお断りさせて貰いたい。

あ、こら、変身アイテムとか渡されても困るぞ。
これだって一張羅の魔女服なんだから衣装を寄越してくるんじゃない。
変身バンクって、既に変身してるようなものだろうに
(『変身バンク』等もUCでまとめてぽいぽいしつついなす


斉賀・悠
「僕は!魔法少女じゃ!!ない!!!」
半分くらい泣きそうになりながらでばいすを取り出して、バンクを展開するよ。(プレイングでは割愛)
「魔法少年 エクレール、推・参ッ!」

「僕の所に来た精霊?よりも質悪いよ、これ!」
とりあえず軽く●ジャンプして、●空中浮遊してからの、ろっどを構えて雷の●属性攻撃の●全力魔法だ!
「ちょこまか走るから当たんないー!」
かまいたちはなるべくサーベル形態の●衝撃波や●斬撃波で相殺を狙うけど…無理なら●オーラ防御しつつ回避ー!
「なんかもう…えーーーい!!!」
●高速詠唱●多重詠唱●武器に魔法を纏う●気合いを全部乗せての〇イダーキック的な●踏みつけ、つまりUC:帯電放出 だー!!!



 はて。どういう事か。五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)は首を傾げ、顎に手を添えた。指先が数度、髭を撫でる。確か、薬事辞典のじいさんからは魔女案件だと聞いた――と思うのだが。
『あっ、新たな未来の魔法少女見ーっけ!』
 とある魔法の匙で、ここへ来ても問題ないサイズになった自分の足元に到着したつちねこが、鼻息荒く後ろ脚で立ち上がったと思えば、前脚で足をぽむぽむ叩いてくるのだ。というか。
「魔法少女じゃねーか」
「僕は! 魔法少女じゃ!! ない!!!」
「ん?」
 思わず声を荒らげてしまったグレンだが、丁度そこに響いた叫び声がうまい事誤魔化してくれた。しかしあの叫び声は――もしや例の一般人か、とそちらを見たが、違うらしい。叫び声の主である少年が目を潤ませながら何かを取り出していた。
「何だ、あれは?」
『ニャニャアッ、あれはデバイスニャア!』

 斉賀・悠(魔法少年 エクレール・f17889)は怒っていた。感染型UDCの全人類魔法少女化を阻止する為に現場へ到着するやいなや、ゆるキャラめいた猫っぽい生き物に『魔法少女にニャろう!』と勧誘されたのだ。
 何でそうなる。どうして|そこ《・・》を、そのままにする。
「僕は! 魔法少女じゃ!! ない!!!」
 声量も気持ちも力いっぱい込めたから、つちねこ達に自分の“NO”は届いただろう。ただ、半分くらい泣きそうになっていたと思う。目が急にじわっと潤ったから、多分そうだ。
 それでも悠は迷わず使うべきものを取り出し、変身バンクを展開した。言うだけではなく、見せなくてはいけない。自分は魔法少女ではないという、確かなものを。そして自分が何者か、伝えなくては――!
 不思議と辛くない輝きが晴れた瞬間、悠は深く深く息を吸い込み、宣言した。
「魔法少年エクレール、推・参ッ!」

「ほほう、魔法『少年』か。ああいうものも有りなんだな」
 悠の変身を見たグレンの納得に、なぜか自分の傍から離れないつちねこがニャムニャム頷く。
『昨今は男が魔法少女になる事もありますからニャア。性別や衣装は少年向けだけど呼び名は魔法少女のまま、というのもありますニャア』
「解説に感謝しよう。……だが足を登ってくるのは無しだ」
 首根っこをむんずと掴めば、つちねこの足はじたばたダバダバと空気を掻くのみ。放っておいたならあっという間に肩まで登られて――何をされていたか。
(「取り敢えず不思議生物が絡んでくると聞いたんだがな……」)
 これは――不思、議? いや、うん、そういう事にしよう。見た目も含め、実に珍妙な生き物だから間違ってはいない。
「あー、誘ってくれるのは良いが、俺は既に魔女やってるからな」
『じゃあ魔法少女に』
「駄目だ。更に魔法少女ってのはコンプライアンス的に不味くてな」
 丁重にお断りさせて頂く流れに持っていこうとした時だ。もうすぐ夏本番という空の下、つちねこだらけの原っぱに光と音がセットで炸裂した。雷だ。
『ニャウーン!? 凄い雷魔法ニャ、やっぱり魔法少女に……』
「魔法|少年《・・》だって!!」
 目にしたのは、原っぱを蹴り、空へと軽やかに跳んだエクレールだ。少し涙目になりっているが、ハッキリ訂正した魔法少年は、空中で構えたロッドから凄まじい雷魔法を連発していく。
「魔法少年、大丈夫か?」
「う、うん……! でもこのつちねこ達、僕の所に来た精霊?よりも質悪いよ!」
 何度言っても魔法少女と返される。全人類魔法少女化も、当然見逃せない。超がつく速度で駆けるそのルートを先読みして――ピシャアンッ! 落とした雷の痕、黒焦げの傍をつちねこがシュバッと遠ざかるのは何度目だろう。
「ちょこまか走るから当たんないー!」
「緩い顔つきだが足の素早さは本物か……」
『それがニャア達つちねこ! にしても、魔法少年のピンチに目覚めたての新人魔法少女が加勢する……これもまた、魔法少年ジャンルと同じく魔法少女界のあるあるニャア』
「あ、こら、変身アイテムとか渡されても困るぞ」
『うう、ではではこの魔法衣装だけでも!』
「おいどこから出した? どう見ても毛皮に収まらないサイズだろう」
『企業秘密ですニャア』
「企業? とにかくな」
『ニャアーッ!?』
 グレンはアイテムと衣装を掴んではポイッ。ただし放り投げられた二つは凄まじい速度でぶっ飛んだ。落下先につちねこがいたなら過去へ還されたに違いない。そしてポイした当人はというと。
「俺のこれだって一張羅の魔女服なんだから、衣装を寄越してくるんじゃない」
『ニャアッ!?』
 ポイッ。
「変身バンクもだ」
『フニャッ!?』
 ポイッ。
「既に変身してるようなものだろうに」
 喋りながら、つちねこも寄越されるアイテムも纏めてポイ。近くにいるとやばい――つちねこ達は狼狽えた。だがそんな余裕はすぐになくなる。すぐそこに雷が落ちたのだ。
『ひっ! 嫌ニャーン! 他のひとをスカウトするニャーン!』
「また逃げられた! ああなんかもう……!」
 一つの呪文だけを幾つも重ね、魔力と共に注ぎ込む先は両足へ。そして一気に限界まで溜めたなら気合もたっぷりオマケして!
「えーーーい!!!」
 跳んで、蹴る。それだけだが、単純動作だからこそ重い魔法攻撃に出来る。
 盛大に吹っ飛んだつちねこ達は流星群の如く散り――とりあえずは一難去ったという事だろう。魔法少年と魔女の弟子は笑みを交わし、互いを労うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

巨海・蔵人
アドリブ絡み歓迎

◼️心情
感染型UDCはねー
配信者とかソーシャルディーバと相性わるいんだよねぇ
どんなに面白くても拡げると二次災害起こしちゃうからね。
後でフルCGで起こすしかないんだよね

◼️提案?(UCははじめから発動しています)

魔法少女、確かに息の長いコンテンツだし、
人気もあるけど、
流石にそれだけだとマンネリじゃないかな?
新しい視点、例えばマスコットに主眼を置いてみたり、
変身バンクだって、おもいっきりはじけて、
思いきって変身バンクなんてケチなこと言わないで変身ミュージカルとか?
千葉のに負けないくらい、
そう、主役は君だよ
(ツチネコの一人?を照らすスポットライトとツチネコ達も巻き込んで始まるナニか)



 あっちこっちで魔法少女が生まれてはつちねこがニャーニャー吹っ飛んだり星になったりしている中、そこだけは、他とは違い落ち着いた雰囲気が漂っていた。
「魔法少女、確かに息の長いコンテンツだし、人気もあるけど、流石にそれだけだとマンネリじゃないかな?」
『ニャムム……と、言いますと?』
 あぐらをかいて座る大きなシルエットは巨海・蔵人(おおきなおおきなうたうたい・f25425)。その周りをうろちょろしゅぱぱと動き回ったり、膝の上にお邪魔しているのは、珍味と噂されているが当人達は魔法少女のスカウト隊と胸を張るつちねこだ。
 雲ひとつない空の下。本来なら、カッと降り注ぐ陽射しと熱でフラフラになりそうなものだが、どうしてだか心身を涼しくさせる心地よい音楽が流れていた。
 ――いったいどこから?
 なんて、つちねこはこれっぽっちも考えない。ゼロだ。皆無だ。
(「そうじゃないと困るもんねー。しっかり効いているみたいで、よかった、よかった」)
 今はまだ始まりだが、その始まりが届いていないとこの後が盛り上がらない。
(「感染型UDCはねー、配信者とかソーシャルディーバと相性わるいんだよねぇ」)
 どれだけ面白くても、拡散してしまうと二次災害を引き起こしてしまう。そうなると後でフルCGで起こすしかないのだが――それがどれだけ大変なか! とは、口にしない。
「そうだなぁ……新しい視点、例えばマスコットに主眼を置いてみたり」
『ニャム? ニャンに?』
「そう。24話くらいある話の中で、マスコットの一日やオフにスポットを当てた話は、意外とあるんだよ?」
 普段サポート役であるマスコットをメインとした回は、その回でマスコットの魅力に気付いた、その回があったからこそ魔法少女との絆がより尊く見えた――といったファンの声が寄せられるものだ。
 蔵人はそっと立ち上がり、つちねこの右手と手を繋ぐ。そしてつちねこの左手はスペース張角が繋いだ。
 ――もう一度言う。
 スペース張角が。繋いだ。
 しかしつちねこはお目々をキラキラさせており、全く気にしていない。ゆ~ら、ゆ~ら。音楽に合わせ優しく揺らされ、ニャフフと嬉しそうに笑っていた。
『マスコットがメイン……ゆ、夢みたいですニャ……』
「変身バンクだって、おもいっきりはじけていいと思うねぇ。思いきって、変身バンクなんてケチなこと言わないで変身ミュージカルとか?」
『そういうのも有りですニャ?』
「有りだし、楽しいよ。千葉のに負けないくらい……」
 ズンチャッチャ。ブンチャッチャ。聞こえていた音楽が表情を変え、物語の高まりへと導いていく。つちねこのちっちゃなハートも高鳴って――。
「そう、主役は君だよ」
 カッ! つちねこだけを照らすスポットライト。ジャジャーンと明るく弾み出したメロディ。主役回という甘美な響きに、つちねこはニャンニャウフフと夢心地。そのまま蔵人達と楽しく歌って踊って――空の星になったとさ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
アンタが信二か
依頼だ、へんてこネコモドキはほっておいて帰りな

アガレスを呼び出して、信二を空間転移して離脱させようとする

代償は…

は?俺が魔法少女だぁ?

寝言は寝て…

アガレス…?何言ってるんだ?
魔法少女にならないと、信二を離脱させない?

そ、じゃーブラスターを…

?!…ブラスターがアガレスの手に

悪魔めっ…悪魔だな

わかったよ…なってやるよ!

…パンダと猫の装飾品がついたタンバリンだ

鳴らせと?

(変身後恐る恐る鏡を見ると小学生(過去のイラスト参照)まで若返って、白い翼を生やしたふりふりドレスの猫耳と猫しっぽの男の娘)

小学生まで若返ってる
しかも昔着せられた服だし

…兎も角

条件はクリアだ

アガレス!ブラスターを
討つぞ!



 信二少年は呑気にブランコを漕ぎながら考え事をしていた。視線を遊ばせながら考えるその周りには、猟兵達の隙を見て接近したつちねこ達が『ボクらは無害な魔法少女スカウトニャン☆』な顔をして集まっている。その中の一匹が、ひょいっ。首根っこを摘まれ持ち上げられ、脇にどかされた。
「楽しそうなとこ悪いな。アンタが信二か」
 依頼だ。そう告げた雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は、近寄ってきたつちねこを抱え上げると再びぽいっ。
「へんてこネコモドキはほっておいて帰りな。おいアガレス、とっとと信二を空間転移して離脱させろ」
 つちねこ達の数は減ってきているものの、その数は多いと形容して問題ないほどだ。すると現れた有翼の少女、天使のようでその実悪魔であるアガレスは兼光を見て、信二を見て、再び兼光を見て――。
『やだぁ。魔法少女になって』
「は? 俺が魔法少女だぁ? 寝言は寝て……」
『でないとぉ、離脱させてあげなぁ~い』
 頭が痛い。かといってアガレスの我儘を――それも、魔法少女になってという欲求をのむなどごめんだ。兼光はふいっと視線を外すとブラスターで包囲網突破だと手を伸ばし――スカッ。
「?! ……何してんだアガレス」
 ブラスターを取られた。何の為か? 嫌というほどわかる。
『怖い顔しないで早く魔法少女になってよぉ。シンジだっけ? 見たいよねぇ、魔法少女』
「ええっ!? い、いやあの僕はえーとうーんと……つ、つちねこ! 君達は!?」
『フニャッ!?』
「止めろギャラリーを増やしにかかるなこの悪魔めっ……って、悪魔だな。わかったよ……なってやるよ!」
「えっ、そんないいんですか!?」
「何で嬉しそうなんだよ!?」
 さっさと終わらせてやると乱暴に手を伸ばせば、すかさずつちねこが変身アイテムを押し付けてきた。アイテム全体の形は丸い。キュートなパンダと猫とも目が合った。これは。
「……このタンバリンを鳴らせと?」
『めいっぱい』
「――やってやるよ!」
 やけくそ気味に響かせたがそれでいいらしい。タンバリンの音色に光が集まり、なぜかラーラーラーとゴージャスな歌声BGMも入ってきたが兼光にはどうでも良かった。音楽と光に包まれ、それらが晴れてから恐る恐る鏡を見る。
 さらさらとした黒髪。つぶらな目。そこにいたのは小学生くらいの愛らしい子供だ。――ふりふりドレスを着て背中に白翼、猫耳猫尻尾も着けた男の娘だが。
「若返ってやがるし、昔着せられた服じゃねえか」
『あはは、声もか~わい~い』
『わぁーっ、男の娘魔法少女ニャン! とっても有りニャン!』
 有りなわけがあるか。つちねこを掴んでビターンとしたい衝動に駆られるが、手の内に瞬間転移したブラスターの感触が頭を冷やしてくれた。
「……兎も角、条件はクリアだ」
『あっ、嫌な予感』
『ニャンは急用を思い出したので』
『ニャーもです、ピアノのお稽古が』
「全部キャンセルだ。アガレス! ブラスターを撃つぞ!」
『はぁ~い』

 とっとと終わらせる。
 このニャンニャン男の娘魔法少女姿も、全人類魔法少女化計画も――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

百鬼・智夢
対の華

魔法少女、は…以前テレビで見たことはありますね
あ…そういえば、澪君も、でしたっけ…?
…な……なんか………ごめんなさい……?

えっ、わっ、私に魔法少女なんて可愛い役職、似合わないと…思います…
何より、はっ、はは、恥ずかしいですし…!

…でも、澪君の手前言いづらいですけど
正直少しだけ、興味があるような気はします…
※変身バンク展開有無、衣装含めお任せします

オカルト特化の魔法少女って、需要…あるんでしょうか…?

澪君が作った氷の地面を滑ったり、時には舞のように動き回りながら
破魔を乗せた薙刀のなぎ払いで攻撃させていただきますね
更に永遠の眠りを発動し、眠りにより足止めした後炎の浄化による範囲攻撃で倒します


栗花落・澪
対の華

僕は魔法少女じゃないしいて言うなら魔法少年であって少女ではない
女装だって姉さんの希望で僕の意思じゃないもん大丈夫であれ(ぶつぶつ

敵に魔法少女にされるのは癪だからいっそ自ら変身
指定UC発動
魔法”少年”です!
あ、勿論魔法少女になりたい男性は居ても良いと思うし信二さんはご自由にどうぞ、きっと可愛くて素敵だと思うよ

空中戦で飛び回りつつ、勧誘は意地でも拒否
高速詠唱で紡いだ氷魔法の属性攻撃、範囲攻撃で地面を凍らせ
滑って転ばせての足止めや氷塊の壁による動きの阻害狙い
底上げされた魔法の威力を駆使して今回は百鬼さんのサポート
摩擦抵抗減らしても余計に滑るようになるだけでしょ

あとは任せたよ、百鬼さん!



 魔法少女。それは百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)にとって身近ではないものの、知らないわけでもなかった。
「……以前テレビで見たことはありますね。あ……そういえば、澪君も、でしたっけ……?」
「僕は魔法少女じゃないしいて言うなら魔法少年であって少女ではない。女装だって姉さんの希望で僕の意思じゃないもん大丈夫あれは魔法少女じゃない」
 いつもの明るさはたった今欠席しました。
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)のノンストップ否定に智夢の目が泳ぐ。
「……な……なんか……ごめんなさい……?」
 ごめんね、そうですお姉ちゃんがプロデュースしました☆(テヘペロ)
 そんな幻影がふわ~と浮かぶ中、つちねこ達は愛らしい二人の登場に大はしゃぎ。ゆるカワマスコットに囲まれたらきっとこんな感じで――本当にUDCなんでしょうか、と智夢が思ってしまう緩い空気に満ち溢れていた。
『魔法少女に文句なしぴったんこパーフェクトなコンビさんニャア♪』
『どんな魔法少女になりたいねこ? 高火力型? サポート型? 回復特化もあるねこよ~』
『衣装も大事つち! ボリュームのあるスカートにフリルたっぷりの袖? クールに軍服タイプも人気つち。学校の制服風もオススメで、えっとね、えっとね……!』
「えっ、わっ、私に魔法少女なんて可愛い役職、似合わないと……思います……」
 慌てて辞退しようとする智夢に、しかしつちねこ達は揃って『え~~』と待ったをかけた。どうやらうっかり囲まれてしまったらしい信二も一緒だ。
『魔法少女が似合わないひとなんていないニャア!』
「そうだよ、人は誰しも魔法少女になれるし、なっていいんだよ!」
『それにきみも、きみも、とっても可愛いつちよ?』
「えっ、えっ……で、でも……! 何より、はっ、はは、恥ずかしいですし……!」
 こうして喋っているだけでも心臓はドキドキして、顔も熱くなっている。これじゃあ本当に魔法少女になったって――。
(「……でも、」)
 智夢は、表情をスンッとさせたままの澪をちらりと見た。
(「澪君の手前言いづらいですけど、正直少しだけ、興味があるような気はします……」)
 魔法のアイテム。変身の呪文。いつもの姿から魔法少女へ変わる時の感覚。衣装。どれもこれも、知らない、経験した事がない。全部テレビの中だけの、きらきら眩しい瞬間だ。
『じゃあまずは体験という事でこの変身アイテムをどうぞニャン』
「え?」
 はいどうぞと押し付けられたのはリボンブローチだった。中央に空色の、綺麗な石が嵌め込んである。それは今日の空のようで、そして。
『きみもどうぞねこ! あ、コンパクトミラータイプがいいねこ?』
 サッと取り出したそれを澪に押し付けようと後ろ足で立ち上がったつちねこが、うんしょとジャンプの姿勢を取った。だが澪は勢いよくそちらを見ると、智夢の手を引いて飛び退く。
「悪いけど……そして不本意だけど! 間に合ってます!!」
 リボンブローチから溢れた輝きが、澪に宿った光が、それぞれの姿をいっとき覆い隠す。原っぱ全体を照らす輝きはすぐに晴れ、ポンッと愛らしい音がしては二人の体に宿った煌めきが弾けて変わる。自分の姿に、智夢は目を丸くした。
「え、あ、わ」
「あ、百鬼さん似合う。メイドさん風? 凄く可愛い!」
 メインカラーはローズピンク。スカートの下はたっぷりのパニエが花を描きながら満たし、真っ白なフリルエプロンが可憐に揺れる。
 顔を赤くして口ごもる智夢に大丈夫だよと笑いかけた澪は、存在感と華やかさ溢れる豪華絢爛なドレス姿だ。オラトリオの証である花と翼も現している今、その姿はまさに。
『ニャニャーン! エンジェリック魔法少じ』
「魔法”少年”です!」
 ぴしゃりと被せた訂正に信二少年が成る程! と目を輝かせ拍手していた。そういえばあの人、魔法少女になりたいんだっけ。
「勿論魔法少女になりたい男性は居ても良いと思うし信二さんはご自由にどうぞ、きっと可愛くて素敵だと思うよ」
「わわ、ありがとう! 僕、君達みたいな素敵な魔法少女を目指すよ……!!」

 オカルト特化の魔法少女って、需要…あるんでしょうか……?
 あるんじゃないかな?

 二人はヒソヒソ交わし――地上でわちゃわちゃ動き回るつちねこ達を見る。
 緩い顔。可愛い声。魔法少女モノのマスコットと言われれば、まあ、ああいうタイプも有りだろう。しかしどれだけユルカワでもUDCはUDC。
『素晴らしい魔法少女と魔法少年ニャン、サポートさせてほしいニャン!』
『パワーアップイベントに興味ないネコ? 色々取り揃えてるネコ!』
 骸の海から滲み出て、今、この時代に悪さをするのなら。
 二人は顔を見合わせ、一気に動いた。
 澪は燕のような鮮やかさで飛び回りながら、つちねこ達の頭上に次々と凍てつく魔法を描いていく。それは青々とした葉が茂る原っぱにも届き、綺麗に凍りついたそこでは、ぬるりと脱出なんて夢のまた夢だ。
『ニャニャ、だったら凍ってない所へ……』
「行かせないよ」
『ふべちっ!』
 澪が片手を軽く振り上げれば、それに合わせて氷壁がそびえ立つ。透き通った氷と溢れる冷気は、凍った地面の上を上手く滑っていた信二がつい足を止めてしまうほどだ。ひんやり気持ちいいなあと和むその後ろでは、つちねこ達が大パニックを引き起こしているが。
『すすすすすすっごいすべギニャーー!?』
『ニャウーン! 脱出どころか大ハマリねこー!』
「我ながら凄いことに……でも! あとは任せたよ、百鬼さん!」
「はい……!」
 ぷるぷるガタガタ。緑のスケートリンクとなったそこを、どうにかして逃げようとするつちねこグループがいた。
『スケートの要領で逃げればいいつち……!』
『ハッ、おまえ頭いいにゃ!?』
「逃げるなんて、駄目ですよ」
『プニャッ?!』
 薙刀を構え、すれ違いざまにひと薙ぎ。
 青空につちねこを踊らせたら、もうひと仕事。
 呼び寄せた“彼ら”と一緒に深い眠りを届け、炎で優しく包み込めば――ほら、綺麗さっぱり。辺りのお掃除は、無事完了。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

琴平・琴子
市、それは食べられませんよ

魔法少女…別にそんなのに興味無いですけど
小さい子は必ずしも魔法がお好きというわけではないですよ
…まあ、なりたくない、訳ではないですけれども

駆け上がるサンドリヨンの足、紡錘さえを弾く指先
ドレスを身に纏い行く先は王子様の元
プリンセス・コトコ、レディ・スタート!
――って、何言わせるんですか
まあ、確かにお洋服は可愛いですし?それに罪はありませんし?
なかなか…というか結構良いとは思いますけれども?
でもそれとこれとは話が別…ま、まあ決して可愛いは罪ではありませんから良いと思います多分

ああ市、駄目ですよそんなものに爪立てて噛みついたりなんかして
絶対に美味しくないですからね



「市、それは食べられませんよ」
 前脚でつちねこの頭をしっかり抱えて、べろんべろん。|毛繕い《味見》していた市に、琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)からやんわりと注意が飛んだ。つちねこをホールドしていた白手袋な前脚がそっとほどかれる。
「なぁん」
「駄目ですよ」
 珍味だそうですけど。猫の味覚でも美味しく感じるかどうか。
 すると、自由になったつちねこが足元に駆け寄り、前脚をきゅっと重ねてうるうるキラキラ。喉からぐーぐー音も聞こえていた。
『きみは命の恩人ニャ! お礼に魔法少女変身アイテムをどぞ、衣装はこんな感じニャけど違う色がよかったらそっちにチェンジできるニャ!!』
「……別にそんなのに興味無いですけど。小さい子は必ずしも魔法がお好きというわけではないですよ」
『そ、そうニャの……!?』
 光の具合でほのかに虹色を帯びる、白薔薇の紋章が浮かぶ掌サイズの洋書。そんな変身アイテムと衣装カタログを抱え耳をぺっとり伏せるつちねこに、市が鼻を寄せフスフスと嗅ぐ。それを静かに見ていた琴子の目が、変身アイテムの方をチラチラ。行ったり来たりを、ニ回ほど。
「……まあ、なりたくない、訳ではないですけれども」
『ではどうぞ!』
 途端元気になったつちねこが押し付けてきた白薔薇の洋書が琴子の指に触れた瞬間、本が開き、頁から膨大な光と風が溢れた。光は無数の花弁へ。少女の体を包んだ花弁は風と共に鮮やかに去り――魔法少女が、誕生する。
「駆け上がるサンドリヨンの足、紡錘さえを弾く指先。ドレスを身に纏い行く先は王子様の元。プリンセス・コトコ、レディ・スタート!」
 シャランッ! とポーズもばっちり――って、
「何言わせるんですか」
『とってもよかったニャよ? 最高に完璧ニャン!』
 市を背後に、つちねこはプリンセス・コトコを見上げ大喜びだ。市に体重をかけられ『ぐぇっ』と呻く事になるけれど。
 透け感のある白い硝子の靴。パフスリーブの袖や花弁めいた裾が特徴のドレスは、瞳と似た緑色。アクセントに白薔薇の刺繍があしらわれている。うん、これは。
「まあ、確かにお洋服は可愛いですし? それに罪はありませんし? なかなか……というか。ええ」
『結構いいと思わニャい? ウニャ、これはどうも』
 市がまたつちねこをべろんべろんしていた。
「そう、ですね。でもそれとこれとは話が別……」
『ええ、別ニャの? うニャ、ちょっとキミ、今大事ニャ話を……』
 市の前脚が、つちねこの蛇っぽい所をぷにぷに押していた。
「ま、まあ決して可愛いは罪ではありませんから良いと思います多分」
『!』
 つちねこは嬉しそうに目を輝かせた。また市に頭をホールドされカプカプされ――、
『って、さっきから何ニャン!?』
「ああ市、駄目ですよそんなものに爪立てて噛みついたりなんかして。絶対に美味しくないですからね」
『エッ。これ、じゃれてるんじゃニャいの?』
「なぁん」
「危機管理能力って、大事ですよね」
『エッ!? 助けてプリンセス・コトコー!』
「いえ、それはちょっと。私、猟兵なので」
「なぁん」
『ニャーッ!!』

大成功 🔵​🔵​🔵​

オスカー・ローレスト
ぴえ……あ、あれって、ねこ……? いや、でも、ちょっと違うし、た、多分、大丈夫……(猫がチョトコワイ雀系男性

ま、魔法少女って言うのがなんなのかよく分からないけど……お、俺一応成人してるし……お、男だし……そ、そういうのはちょっ、えと、だから(必死にお断りしようとするがこの小雀、押しには弱いぞ! 数で押されるぞ!

ぴっ?! あれ、いつの間に服が……あ、パステルカラーだし羽とか小鳥のモチーフが入っててちょっと可愛……じゃ、なくて……っ! こ、こんなフリフリしててかわいい服、俺には似合わないって……!(涙目

こ、これ以上色々される前に【堕とす鳥】を発動してつちねこたちの動きを止める、よ……!



 時にちょこまか、時にささしゅばば、時にぬるりんぱと脱出。そんな生き物でいっぱいの原っぱ――の隅っこ。アスレチックな遊具の陰に、オスカー・ローレスト(小さくとも奮う者・f19434)はいた。
「ぴえ……あ、あれって、ねこ……? いや、でも、ちょっと違うし、た、多分、大丈夫……」
 UDCらしい。よく、ニャアニャア鳴いて――いや、言って?いるのが聞こえたし、三角耳と顔のフォルム、そして前脚後ろ脚は猫のように見える。だが胴体がどう見ても猫じゃない。ずんぐりむっくりを平べったく伸ばしたような、爬虫類っぽさが――。
『キミも魔法少女にぴったりねこ』
「ぴっ!!!!!」
 オスカーは跳び上がった。死にそうなほどびっくりした。しかし自分の翼ではそのまま飛んで距離を取る事も出来ず――恐る恐る声の方、足元を見て――つちねこと目が合い硬直した。い、今、ぴったりって言った?
「ま、魔法少女って言うのがなんなのかよく分からないけど……お、俺一応成人してるし……」
『魔法少女に年齢制限はないねこよ。ご年配の方が契約して魔法少女になる例も確認されてるねこ』
「えっ……で、でも、お、男だし……」
『坊やからおじさままで男も魔法少女になる時代ねこ』
「ぴえっ!? で、でも、俺、そういうのはちょっ、えと、だから」
『どしたつちー? あっ、新たな魔法少女見習いつち!』
「ぴっ!?」
『ずるいニャ! あのお兄さん我々のお話も是非、ニャフフフ』
『ニャッ、見つかったねこ! この人はニャーが予約済みねこ、しっしっ』
『手こずってるくせにー。ねえねえ、カタログ見ながらお話するつちよ』
「あ、あの、でも俺、」
『男の人なら、このパンツスタイルの魔法少女衣装もオススメニャ』
『ニャーはこっちのキュロットの足魅せスタイルを推すねこ』
「い、色々ある、んだね……でも、その」
『まあまあ、まずは試着してみるねこ』
 オスカー・ローレスト。24歳。必死に断ろうとするも押しに弱く、数で押されるお年頃。ゆえに小鳥型の立体コンパクトにお手をどうぞと無理矢理乗せられ、死ぬほど驚いている間にマジカルチェンジは終わっていた。
「ぴっ?! あれ、いつの間に服が……あ、パステルカラーだし羽とか小鳥のモチーフが入っててちょっと可愛……じゃ、なくて……っ! こ、こんなフリフリしててかわいい服、俺には似合わないって……!」
『そんなことないねこ』
「えっ」
『ニャーも同意見つち』
『同じく』
「ぴっ!?」
『大丈夫、大丈夫。着ているうちに慣れるねこよ』
『恥ずかしいのは最初だけつち』
「え、あ、」
『お肌の露出度変更にも柔軟に対応してるニャ』
「う、え……で、でも……でも、俺……やっぱり、俺っ……!!」
 このままじゃいけない。このままだと、これ以上色々されてしまう。
 オスカーは涙目になりながらも自分の意思を捨てなかった。それは魔法少女に大切なもの、勇気だ。オスカーの勇気が虚空より招いた小鳥が囀れば――ぬるりとだっしゅつする前に、ぺちゃんこである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

穂村・理恵
そこまでです!よくわからなかったり強引に勧誘してくる契約は危ないって授業で習いました!
ここは私が引き付けますから信二さんは避難を……って、え…?私ですか!?確かに魔法少女って呼ばれることは多いけれど、私はヒーローです!あ、あやしい契約に手を出したりはしません!

あの人を確実に逃がす為にも、手を貸してみんな!
UCで召喚した炎と人口精霊「フレイムにゃんこ」たちでつちねこをやっつけます!
一応信二さんの目は気にして、フレイムにゃんこや炎霊(動物型の炎)でつちねこを追い立てて、
見えないところで『炎霊の紅玉』の力で、その……なんだか妙な罪悪感があるけど、まとめて燃やします!

※アドリブ歓迎です



 陽射しも何のその。信二は日陰に、自分達は陽射しにちりちり温められながら、つちねこ達は未だ信二をあちら側へ勧誘しようと励んでいた。
『魔法少女お試しでやってみるのはどうニャ?』
『バイトの研修制度みたいなやつだニャ~』
「へー、最近はそういうのもあるんだなあ」
『合わなかったら違うのにするつち。そういうソフトさも最近の魔法少女つち』
「でも色んな魔法少女と出会ったら、さ。根っこの部分はこれだっていうものを見付けたんだけど、魔法少女名含めて、もっとじっくり考えたくなったんだ」
『ニャるほど~。じゃあ、お試しでやりながらじっくり考えるのはどうニャ?』
「じゃあと言いながらさっきと同じこと言ってるじゃないですか! そこまでです!」
『ニャに者!?』
「もしかして新たな魔法少女――じゃない、普通の子だ!」
(「魔法と変化能力でそう見えるんですよって言ったら、どんな反応するんでしょう……」)
 豊かな赤茶色の髪を風になびかせながら、穂村・理恵(普通の武装変身魔法少女・f26637)は“自分の姿”を脳裏に、信二を背に守るように割り込んだ。
「よくわからなかったり強引に勧誘してくる契約は危ないって授業で習いました! ここは私が引き付けますから信二さんは避難を……!」
「ありがとう見知らぬ人! 僕、もっと落ち着ける場所で魔法少女と向き合いたくって……!」
「ん? それって避難になります? でも落ち着ける場所ですから安全……?」
 理恵は真面目に考えながら、つちねこ達が信二を追えないよう自身を盾にし――首を傾げた。キラキラな視線を向けられている。
『ニャニャ……キミも素敵な魔法少女になれる予感がするニャ……!』
「え……? 私ですか!? 確かに魔法少女って呼ばれることは多いけれど、私はヒーローです! あ、あやしい契約に手を出したりはしません!」
『呼ばれてるニャ!? それはぜひとも魔法少女になって全人類魔法少女化に手を貸してほしいニャン! 世界の平和のために!!』
「しません!」
『ニャぜ!?』
「全人類魔法少女化がまずあやしすぎます!」
 勧誘対象をコロコロ変える所も怪しい。つちねこ達が信二を始まりにありとあらゆる人へその目を向けてしまったら――。理恵は信二の背中がすっかり遠くなった事を確認してから、掌に炎を現した。
「手を貸してみんな! フレイムにゃんこも!」
 信二が確実に逃げられるように。つちねこ達が信二を追えないように。理恵の想いに、106個の炎の兎とフレイムにゃんこが一斉に応えた。慌てて逃げ始めたつちねこを追い、行く手を塞ぎ、時にお尻をジュッと熱くしてびっくりさせて――。
『ニャ~ン! つちねこの炙り焼きになっちゃうニャ~!』
「うっ、なんだか妙な罪悪感が……でも! 強引な勧誘は、二度とさせません!」
 完全に囲まれて震えるつちねこを前に掲げた紅い結晶体が、内部に光を閃かせた。
 そしてつちねこ達が予感した通り。そこから放たれた炎が、みんな仲良く燃やし尽くして、過去へと還したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
ふふふ……はーはっはっは!
引くがよい!そこは我の出番である!つちねこ共を押しのけるぞ!

そこの小僧がどうしても叶えたい願いがあるというのなら【願いの代価】を使い、「願いを叶える為の魔法を使える魔法少女への変身アイテム」を与えてやろう!
願いが叶うかどうかは実際にこの魔法を使う者次第だし、変身した場合老若男女誰だろうと「魔法少女」になる事はちゃんと事前に説明し、同意は得るぞ!

ふぅ!(まんぞくげ)
何?我は魔法少女じゃなくて魔王で魔女だが?ええいまとわりつくな!
下半身の竜の首から一斉にブレスを吹いてつちねこ共を吹っ飛ばすぞ!

※アドリブ等歓迎です



「おかしいな、つちねこのいない方を目指した筈なのに……」
 また囲まれてる、どうしてだろう。体育座りで考える信二少年の周りで、つちねこ達は緩い顔立ちのまま目元に怪しい光をキラリとさせ――。
「ふふふ……はーはっはっは!」
『ニャんだ!?』
 突如響いた高笑い。ずしんずしんと届く振動。アワアワするつちねこ達だが、それでも“魔法少女になりたい”と願う現代日本人、信二という第一発見者を逃したくないらしい。だが。
「引くがよい、つちねこ共! そこは我の出番である!」
『うわ誰ウニャー!?』
『ちょっ、押さないでほしいねこ! あばばば』
 押されて驚いたつちねこも、押し返そうとしたつちねこも、愉快な勢いで押しのけられていく。それもその筈。相手の下半身は多頭多翼の竜で構成された、それはそれはビッグなものだからだ。
 アーレーウニャニャーと押しのけられていったつちねこ達には目もくれず、現れた者――ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は信二の前に立った。その目は信二よりもずっと高い位置にある。
「小僧。どうしても叶えたい願いがあるそうだな。言うてみよ」
「……ぼ、僕、自分がなりたいって思う魔法少女になりたいです! ……まだ、ハッキリ決まってはいないんですけど……」
 でも、叶えられるとわかったから。諦めずに、挑みたい。世の不思議に触れた少年の、熱を持った呟きにワルルーナはニヤリと笑んだ。会ったばかりの自分へ願いを素直に伝えた事。定まっていない部分があると、ちゃんとわかっている事。ならばとワルルーナは信二の顔を覗き込む。
「その願いを叶えるものを創ってやろう。魔法少女への変身アイテムだ」
「えっ!」
「だがな、叶うかどうかは実際にそれを使う者次第だ。変身した場合は老若男女誰だろうと『魔法少女』になる。……その意味がわかるか?」
「……わかります」
 視線を逸らさずの返事に、ワルルーナの目も口も弧を描いた。よし! 声を響かせると信二の手を掴み、そこにビー玉ほどの水晶を落とす。
「お前が思い描く魔法少女が定まればその水晶は最も相応しい形になり、お前を魔法少女に変身させるだろう。心して励むがいい、小僧!」
「ありがとうございます! つちねこ達もありがとう!」
『エッ、ニャッ』
「ふぅ!」
 待ってと言う間もなく信二は猛ダッシュで去り、つちねこ達はポカーンとし、ワルルーナは“ちゃんと説明した。同意も取った。ヨシ!”と、それはもう満足――だったのだが。
『思い切り邪魔されたけど、すっごいポテンシャルを感じるニャ』
『わかるつち。堂々として揺らがない感じが魔法少女先輩キャラにピッタリ!』
『わーかーるー!』
「何? 我は魔法少女じゃなくて魔王で魔女だが?」
『色々属性を持ってるってことネコ!? この才能、見逃せニャイ!』
『是非ニャーと契約を!』
「ええいまとわりつくな! 貴様らの願いを叶えなぞするかーッ!!」
 怒りの声と共に下半身の竜が一斉に火を吹いた。その勢いはつちねこ達を揃って宙に放り投げ、一瞬で消し炭にしたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杜崎・紅祢
……魔法、少女?
…少女ですか?俺が?
自分の顔指さして表情が固まる

まずですね君らそもそも猫ですかツチノコですか絶対怪しいじゃないですか近寄らないで下さい…いや一寸待って何考えてというか俺幾つだと思ってうわあっ!?

何かアイテム的なモノ押し付けられて強制変身で白と緑ベースの魔法使い的衣装(大きい帽子+ローブな感じ)へ
…思ったよりまし、と思ってしまったのが既に負けのような気がするんですが
とにかくこの猫?達をどうにかしないとですね

魔法のステッキ…じゃなくて手にした舞芙蓉を花弁へと変えて
花の海に沈めてしまいましょう

ぶわっとローブ舞い上がると中の衣装はミニスカートなのがバレる
…見ないで下さいね



 オカルト好きでオタクの少年がUDC『つちねこ』に囲まれている。そう聞いていたのになぜかつちねこ達の熱い視線が自分に注がれて――杜崎・紅祢(翠光纏いし癒し手・f36019)は、小首を傾げた。
「あの、何か……」
『……に、……て』
「え?」
『魔法少女になって欲しいつちー!!』
 いまなんて。
 紅祢はミントグリーンの目をぱちりとさせてから、言われた事を頭の中で再生した。
「……魔法、少女? ……少女ですか? 俺が?」
 自分の顔を指しながら口にして――その表情がぴしりと固まる。
 女性的な顔だという自覚はある。運命の糸症候群によって、ちょっとばかり背も縮んだ。だが、だが。だからと言ってこれは無い。認められない。
「まずですね君らそもそも猫ですかツチノコですか絶対怪しいじゃないですか近寄らないで下さい……いや一寸待って何考えてというか俺幾つだと思ってうわあっ!?」
 目をギラーンとさせたつちねこ達は全く話を聞いてくれなかった。
 猫が皆吸い寄せられる美味しいアイテムが如く、可愛らしいやら芸術的やら、目を惹くアイテムを手に紅祢にワーワーニャアニャア殺到して――ぽすっ。何かを掌に押し付けられたのを感じた瞬間、眼の前に光の帯がいくつも舞い上がった。
 なに、と驚いた自分の声が不思議と遠くなったのは、一瞬だったような。数分だったような。
 気付けば白と緑をベースにしたローブめいた、それでいてジェンダーレスなデザインの衣装を身に纏っていた。両手も手触りのいい白手袋をはめていて、ぺたぺたと服を触って色々確かめていると、頭には大きな三角帽子を被っていた。
(「……魔法使いみたいで、思ったよりまし――いやいやいや」)
 こう思ってしまった事が、既に負けのような気がする。
『わあああ……! 似合う、似合うニャー!』
『知的な魔法少女の誕生つち! ほんのり可愛さもあっていいつちねえ』
『やったー! やったにゃーん!!』
 後ろ脚で立ってぴょんこぴょんこはしゃぐ様は、ゆるキャラが戯れているような可愛らしさがあった。だが。
(「とにかくこの猫?達をどうにかしないとですね」)
 となれば素早さが求められる。
 紅祢は螺鈿の芙蓉咲く柄を握り、鞘に収めたままのそれをつちねこ達に向けた。これこそは魔法のステッキ――じゃない。違う。絶対に。ふるりと首を振りながら、手にした一振りをネモフィラの花弁に変えていく。
 その可憐さと青の美しさにつちねこ達は笑顔を浮かべた。だが舞う花弁の圧がどんどん増していく。ざあざあと音を立て、渦巻く壁となって自分達を閉じ込めている。
『えっ、どうしてつち!?』
「どうしてもこうしても……こんな真似する存在、放置するわけにいきません。花の海に沈めてあげましょう」
 そう告げた時だ。花弁の勢いに煽られてか、ローブの裾が大きく翻った。ローブの下がどうなっているかわかった瞬間である。そこには美脚があった。視線を上に進めれば詳細がわかっただろう。しかし。
「……見ないで下さいね」
『……』
「ちょっと」
『見てニャいです』
「ちゃんとこっちを見て言いなさい」

大成功 🔵​🔵​🔵​

クオ・メアン
【SPD】

(UDCの文化はまだよく分かんないけど、楽しそう♪)
ぼくもその魔法少女っていうのになってみてもいいかな?

◆魔法少女衣装詳細
元の服装に+α
ショートパンツがミニスカートに。
リボンとかへそ出しとか元の服の可愛い要素は残し、ミニスカートの中は、ショートドロワーズとそれを隠すピンクのフリルいっぱいのパニエで鉄壁ガード&魔法少女らしく可愛く。

◆変身バンク
たくさんの雪の結晶がきらきら輝いて周りを舞う。
クオのシルエットが、ふわりと波のように拡がるミニのフレアスカートに包まれて、腰や首元のストライプのリボンも普段より大きくなる。首のリボンには可愛いブローチも。
指先が爽やかなソーダカラーのマニキュアで彩られて、瞳が薄い青から赤、腰に生える小さな天使の羽が小さな悪魔の翼に。ウィンクでばっちり決めて変身バンク終了!

氷雪の魔法少女『アンタークティカ』、氷の魔力も全開だよ

気分がのり過ぎて、魔力をセーブ出来なかったみたい(【指定UC】)
ねこさん達みんな動けなくなっちゃった?ごめんね(いたずらっぽく笑う)



 魔法少女。
 それは不思議な力や愛や勇気や友情の力で悪いものと戦ったり、困っている人を助ける少女――最近は大人の女性や少年青年中年もいる――な、正義の味方。
 そういう存在が、創作ジャンルが、UDCアースにはあるらしい。グリードオーシャン出身のクオ・メアン(氷雪の精霊術士/天使で悪魔・f30569)には、UDCアースの文化はまだよく分からないけれど。
「うん、楽しそう♪」
 という事で、クオはアイスブルーの目を輝かせ、つちねこだらけの原っぱへとやって来た。
「ねえねえ。ぼくもその魔法少女っていうのになってみてもいいかな?」
『大歓迎ねこ! 魔法少女を知ってる人も知らない人も、素人質問で恐縮ですがって言っちゃうプロも、ニャー達つちねこはウェルカムねこ!』
『あーっズルイズルイ! ニャンも未来のプリティ魔法少女にご挨拶するー! はじめましてつちねこニャン、これお近づきの印に衣装カタログどうぞですニャン』
『こっちは変身アイテムカタログつちー!』
「わあ、ありがとう♪ 色々あるんだね。うーん、どれにしよう……?」
『どうぞごゆっくりお選び下さいニャン』
『キミのサポートをとことんさせて頂きニャすので……』
『ニャッフフフフ……』
 純真無垢が服を着て歩くかのようなクオの登場に、つちねこ達は笑顔の下でちょっぴり悪い顔。クオが逃げられないように周りをみっちり囲い、魔法少女になってもらうべく、一緒にカタログを覗いてニャーだこーだとアドバイスに勤しんだ。結果。
「これにしようかな? えへへ」
 クオの左手首には、雪のような白いベルトを淡いユメカワ色の珊瑚や貝殻で飾ったブレスレットがはめられていた。ベルト部分にほんのりと降る色が可愛らしい。
 変身アイテム決定につちねこ達も笑顔いっぱいで、クオの初変身をニャアニャア応援してくれる。下心たっぷりとは知らないクオは、両手をきゅっとグーにして頷いた。
「さっそく変身してみるね♪」
 ブレスレットを指先でひと撫ですれば、始まるものは雪結晶煌めく魔法のひととき。
 雪結晶がきらきら輝き、舞うその一瞬でショートパンツがぽぽんっとミニ丈のフレアスカートへ。そこからふわりと波のように広がったそれに包まれて、腰と首元のストライプリボンも、ぽんっ、ぽんっ! 元気に、咲くように大きくなったなら、首のリボンにしゅわわと泡が集まりキラキラぽんッ。可愛いブローチもできあがり。
 やわらかな指先は爽やかソーダ色に。腰から生えていた小さな天使羽は、サイズ感はそのままに悪魔の翼へ。薄青から赤に変わった瞳が、集まっていたつちねこ達を撫でるように見ていって――。
「氷雪の魔法少女『アンタークティカ』、氷の魔力も全開だよ」
 雪結晶が煌めいて舞う中、生まれたての魔法少女はぱちんとウインクしてご挨拶。ミニスカートもひらっとそよぎ、より愛らしく魅せた。
 ちなみにスカートの下はたっぷりフリルのピンク色パニエが彩っていて、ショートドロワーズもしっかりばっちりの鉄壁ガードなので安心だ。
 しかしつちねこ達はそこに気付かないほど見惚れていた。
『これは……良さしかないつち……』
 噛みしめるように一匹が呟けば、その後に他のつちねこ達がどんどん続いていく。
『しかもぼくっこ魔法少女ニャ』
『春と夏と秋の魔法少女も見つけてカルテットを作って世界平和に大貢献つち』
『それは名案、つち……へぷちっ』
『アンタークティカの魔法の雪と青空、絵になるねこ』
 つちねこ達は、目線を上にやってニコニコぽわぽわ。ニャワーきれえーと無邪気に喜び、のんびりと楽しんで――体の芯まで雪に包まれていた。ふわふわ雪の帽子を頭に乗せて笑顔のまま、カッチコチになった彼らにクオはあれれと目を丸くする。もしかして。
「ねこさん達みんな動けなくなっちゃった? ごめんね」

 気分がのり過ぎて、魔力をセーブ出来なかったみたい。

 舌をぺろっと出た悪戯っぽい笑顔。氷雪の魔法少女・アンタークティカの“ごめんね”はとにかくとことんキュートだったのだけれど――それを見られずに終わったつちねこ達はきっと、骸の海で『生で見たかったニャアン!!』と滝の涙を流しただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アスカ・ユークレース
アドリブ絡み歓迎

いっけなーい、遅刻遅刻!私はアスカ、どこにでもいるごく普通の猟兵!
だけど、ある日出会ったツチネコさんが言うには、私には魔法少女になる資格があるんだって。私に務まるか不安……

でも、選ばれたからにはやるしかない!


いつの間にかインストールされていた魔法少女変身アプリを起動、スマホを天にかざして青が基調のテックウェア風魔法少女に変身

魔砲少女・ラディカルアスカちゃん
爆誕☆(バチコーン☆と決めポーズ)
……字が違う?良いんですよこれで だって私の魔法は……(パラドクス発動、照準を合わせるHawkeye)
これですから♥️(レーザー射撃の一斉発射、展開される弾幕、火花を吹く銃口、次々と起こる爆撃)

一つ良いことを教えてあげましょう……

「魔砲は、火力です」



 いっけなーい、遅刻遅刻!(食パンをくわえて走る21歳美女)
 私はアスカ、どこにでもいるごく普通の猟兵!(Lv139、スナイパー105、視力75、援護射撃75...)
 だけど、ある日出会ったツチネコさんが言うには――……

「ええっ、私には魔法少女になる資格があるの!?」
 食パンをしっかり噛んで食べ終えてからパーにした手を口に被せるようにして驚いたアスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)に、「いっけなーい、遅刻遅刻!」でドッシーン☆とぶつかられてスッテンコロコロした後に魔法少女の卵の気配ッ! と超スピードちょこまかで戻ってきたつちねこ達は力いっぱい頷いた。
『キミからは正義の心を感じるニャ、是非とも魔法少女になって戦ってほしいニャ!』
『それにあの登場シーンは魔法少女にピッタリつち!』
『うんうん、超大型新人の巻頭カラーで月刊誌連載スタート間違いなしニャン』
『表紙も飾っちゃうねこね!』
『あとナイスダッシュだったのでニャフフ』
「私が、魔法少女に……。……私に務まるかな……」
 パーにしていた手をグーにして胸元へ。ふいっと視線を逸らし不安げに顔を伏せる。つちねこ達がアスカちゃん、と心配そうに呟いた時、アスカがグーにしていた手をギュッ! と握りしめた。
『決意みなぎる眼差し! これは魔法少女で主人公つち!』
 アスカの決意。魔法少女誕生の気配。ゆるカワボディに抱えきれない期待と高揚感に、つちねこ達はぷるりと震えるも、目を輝かせた。
 自分を見つめるいくつもの豆粒お目々に、アスカはこっくりと頷いた。肩から提げていたショルダーバッグのサイドポケットからスマートフォンを取り出して――運命的なアレがソレで既にロック画面を通過していたホーム画面にあった見知らぬアイコン。ゆらゆらと光が明滅する『魔』を迷わずタップする。
「でも、選ばれたからにはやるしかない!」
 スマートフォンを天へと翳した瞬間、画面全体が光に包まれた。その眩しさはスマートフォンから天へ、天からアスカへと、翔けるような鮮やかさで巡りアスカの体を包み込んだ。
 すらりとした両足、伸びやかな両腕、健康的な胴――カメラワークに合わせてボディの各所にぴったりフィットした光の帯が弾けるように解ければ、新たな装いが光の欠片を散らしながら鮮烈に現れる。
 動きやすさ丈夫さを備えたスニーカー。白いラインが走り、金具が鈍く煌めくシュノーケルコート。風に遊ぶベルトと一緒に翻るプリーツスカートは、膝がちらりと覗く長さ。
 今日の空にも負けない美しい青を貴重とした衣装は、ただいま流行りのテックウェア風。
「魔砲少女・ラディカルアスカちゃん、爆誕☆」
 バチコーン☆
 片手を銃に見立てての決めポーズもバッチリパーフェクト。
 つちねこ達はニャンニャニャンニャと大喝采。飛び跳ねたり、拍手をしたり、胸を押さえて撃たれたフリをしたり。けれど一匹が、あれ? と首を傾げた。
『ニャんだか字が違ってない? 魔法のホウが穏やかじゃニャかったような……』
『何言ってるつち、魔|法《・》少女って言ってたつちよ』
『さてはオメー、ラディカルアスカちゃんディスってんニャ?』
『ニャんだとー!?』
「え、字が違う、ですか? 良いんですよ」
『???』
 ぱちくり。つちねこ達は豆粒お目々をアスカに向けた。何がいいのかわからないし、何より、ニッコリ笑顔のアスカの傍らで、Hawkeyeの照準が自分達に向いている。
「だって私の魔法は……これですから♥️」
 それはレーザーの一斉発射だった。弾幕が展開され、銃口が火花を吹き、次々起こる爆撃がつちねこを天高くふっ飛ばし、まっ黒焦げにし、ニャアニャアと阿鼻叫喚の渦に叩き込む。その光景にアスカはウフフと笑って――すっと目を細めた。
「一つ良いことを教えてあげましょう……|魔砲は、火力です《・・・ ・・・・》」


 これ覚えて還って下さいね♥️彡

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『真夜中の冒険』

POW   :    直感で進んでみる

SPD   :    身軽さや器用さで効率良く進める

WIZ   :    周囲の様子を注意して観察してみる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●第ニ話💫神秘との出逢い! 新しい自分!
 ニャーは『魔法少女スカウト隊』のつちねこA。
 世界を愛と平和と勇気と希望とかでいっぱいにするにはたっくさんの魔法少女が必要ニャ。
 だから魔法少女の卵を魔法少女へ導くニャーってカタログ抱えてとある公園でニャゴニャゴ頑張ったら……その魔法少女に骸の海へ還されちゃったニャ!
 だけど、ニャー達が星になったぶんだけ魔法少女がいっぱい誕生したからヨシ!ってやつニャ。
 魔法少女のみんニャの『試練』を見られニャいのは残念だけど……ニャー達を華麗にボコボコにしたみんニャならダイジョブダイジョブ、絶対にシャットアウトできニャい謎の声が頭の中に直接語りかけてくるけど、自分を見つめ直してヨユーのよしこニャ。
 ニャーは、骸の海からみんニャの活躍、見守ってるニャ(ウインクぱちこん)


💫 気付いたら神秘的で美しい場所に迷い込んでるぞ! ウユニ塩湖っぽいぞ!
💫 謎の声(神秘的)が、戦う理由や守りたいものや夢のコトや魔法少女になりたい理由すんごいきいてくるぞ!
💫 そういうものがなかった場合は、存在しない記憶頭の中にクリエイトしてきてそういうのあったわーって気にさせてくるぞ!
💫 漂うシャボン玉っぽい何かや足元の水面に、そういうのが映ったりするぞ!

💫 その『試練』を乗り越えたらどうなる?
💫 知らんのか。――変身アイテムが進化して魔法少女レベルが上がる。衣装もパワーアップだ(キャンセル可能)

💫 何かここにいました=2章から参加の場合、試練を乗り越える事で変身アイテムが手に入るから、君も第六魔法少女とかになれるぞ!
 
ザクロ・シャハブ
(ここは……どこだ?ウッ、脳に直接…。
そして骸の海産のマスコットは信用出来ないぞ。)

『これはラップバトル…違う?戦う理由?そんなの決まっている』
シャボン玉ぽいやつが浮かび、そこには人参に埋もれて幸せそう(無表情)にしてる姿とか、友達の妖精と一緒に謎の部族と踊ってたり(友達は動揺&困惑してる)とか、コルウスを頭に乗せてセグウェイを走らせてる姿が映し出される
(尚全て存在しない記憶)
『大切と思うもの全部守るため。その為なら俺はなんだってやる。』
映像と合ってるような合ってないような言葉を真面目に言いきる

衣装パワーアップ、アドリブ歓迎



 ちりちりとした陽射しと日本特有の暑さはどこへやら。ザクロの周りに広がるものは、大きな満月と星々が輝き、水鏡広がる神秘的かつ過ごしやすい空間だった。
「ここは……どこだ?」

 ――教えて、あなたが戦う理由を――

「ウッ」
 ふいに届いた声は思いもよらぬ近さ。脳に直接語りかけられたと瞬時に理解したザクロの手が、つちねこ達にドス扱いされまくったマジカルステッキに伸びる。
(「そういえばあのマスコットが試練がどうとか……ん? そんなやり取りはしていないぞ。そして骸の海産マスコットは信用出来ない。よし、忘れよう」)
 ザクロは即座にマジカル☆斬を放てるよう、魔法少女らしからぬ構えを取った。油断も隙もない、その筋の者が見たなら只者ではないと解る構え。だが、謎の声は再びザクロの脳に直接語りかけてきた。
「これはラップバトル……」

 ――違います――

「違う? そうか。……戦う理由、だったな? そんなの決まっている」
 ザクロの声に応えるように地面を浸す水の一部が浮き上がり、目の前で止まる。硝子のように周囲の風景を透かしていたが、シャボン玉のように丸くなったその水面に鮮やかなオレンジ色が現れた。そこにぴょこんと覗く黒は、大量の人参に埋もれて幸せそうな自分で――無表情? どこをどう見ても幸せそうだろう。
 人参に埋もれていたザクロの姿は流れるように消え、友人の妖精と共に名前も知らない部族と踊るザクロに変わった。友人が動揺し困惑している? エビデンスを出せ、話はそれからだ。
 宴らしき様子は、コルウスを頭に乗せ華麗に電動一輪車を走らせるザクロに変わった。風に兎耳をぴろぴろ靡かせ、軽やかにどこまでも疾走し――目にしたビジョンに、ザクロの兎耳がひょこりと揺れた。
 これだ。これが、自分の戦う理由だ。
「大切と思うもの全部守るため。その為なら俺はなんだってやろう」

 ――わかりました、では、あなたに力を――

 その瞬間、纏うゴスロリが光を放った。視界を真っ白に染める光はすぐに和らぎ、腰からは蝶のような大きなリボン飾りが、胸元には攻撃的デザインのネックレスが――メリケンサック? リングにもなるネックレスだろう。
 ザクロは起きた変化に、ふむ、とこぼす。
「今ならマジカル☆斬で空間も斬れそうだ」
 パワーアップの実感を胸にザクロは歩き出した。大切なもの全てを守る為に――!


 ちなみに先程見たビジョンは全て存在しない記憶である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、ここはどこですか?
それにこの声は誰ですか!?
アヒルさんの声じゃないですし、
まさか……お化け?
ふえ?私が戦う理由って、私は別に魔法少女になりたい訳じゃ……。
ふええ、なんでアヒルさんが勝手に答えるんですか!
それになんで、それで認められるんですか!
ふええ、私は魔法少女になんてなりたくないのに……。
ふえ?衣装が変わってパワーアップって、なんで布地が減っているんですか?
これじゃあ、水着じゃないですか!
ここはフリルやリボンが増えて豪華になってパワーアップじゃないんですか?
ふえ、これから夏場で暑いだろうからサービスって……。
この謎の声の人もなんだかアヒルさんに見えてくるのは気のせいでしょうか?



 空が青い。ただし太陽浮かぶ青さではなく、大きな満月と星々煌めく青さだ。暑さもいつの間にか消えていると気付いた瞬間、フリルは大きな目をぱちっと瞬かせた。
「ふええ、ここはどこですか?」

 ――新たな魔法少女よ――

「ふえっ、誰ですか!? アヒルさんの声じゃないですし」
 そうそう、自分じゃない、まだ何も言ってないとアヒルさんがグワグワ頷くのを見て、フリルはさぁーっと顔を青くした。場所の変化、頭の中に直接届いた謎の声、そしてUDCアースの日本の夏――という事は。
「まさか……お化け?」

 ――魔法少女フルフリフリルよ――

 フリルは目をまん丸にして固まった。
 どうしてその名前を、と思った所で、アヒルさんに勝手に変身させられたままだった事を思い出す。ぐっと唇を結んで抗議の視線を送るも、アヒルさんは声の主はどこだろうかと楽しげにキョロキョロしていた。

 ――あなたは、なぜ戦うのですか?――

「ふえ? 私が戦う理由って、私は別に魔法少女になりたい訳じゃ……」
『グワ~ア、グワグワ、グワッ』
「ふええ、なんでアヒルさんが勝手に答えるんですか!」

 ――ああ、なんと立派な――
 ――フルフリフリル、あなたは次の段階へ進むべき魔法少女です――

「なんで、それで認められるんですか! ふええ、私は魔法少女になんてなりたくないのに……」
 勝手に変身させられて、勝手に答えられて、勝手に話が進んでいる。『次の段階』なんて嫌な予感しかしない。
 ふと夜空にある星の一つが強い光を放ち始めた。明るい点だった星はひゅーんと尾を引いて空を翔け、フリルの元へ。ふえ、と声を上げる暇もない。フリルは思わず手を伸ばし――ぴかっ!
「ふえ?」
 光が溢れた直後、衣装が変わっていた。パワーアップだとアヒルさんが喜んでいるのだがちょっと待ってほしい。これはどういう事だろう。
「なんで布地が減っているんですか? これじゃあ、水着じゃないですか! ここはフリルやリボンが増えて豪華になってパワーアップじゃないんですか?」

 ――これから夏場で暑いでしょうから、それは私からのサービスです――

「……ふえ」
 まさかの気遣い。
 しかしこちらの話の聞いてくれなさといい、結果引き起こされるものといい――。
(「この謎の声の人もなんだかアヒルさんに思えてくるのは気のせいでしょうか?」)

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【対の華】

魔法少女になりたい理由なんか無いよ姉の趣味だし僕は少年です

まぁでも、少女要素を除けば…僕にあるのは魔力だけだから
せめて出来る事で誰かの役に立ちたいな、とか

戦う理由や守りたいものは沢山あるよ
大切な人達、大切な景色、大切な世界…

それと…少しだけ、罪滅ぼし

奴隷時代の話
僕を救おうとした人は見せしめに殺された
主は滅ぼすと決めた村に僕を送り込んで
僕を村人達に尽くさせることで細やかな希望を、癒しを与えた
その後の絶望をより大きなものにするために
優しい人達を騙すのは心が痛むのに、逃げての一言すら言えなかった
だからこそ、今度は守る側になりたい

あ、自前衣装もレベルアップ出来るならせめてズボンにしてください


百鬼・智夢
【対の華】

えっと、ごめんなさい…私もなりたい理由は、特に…
可愛いなぁとは、思ってましたけど…私にはその…勿体なくないかな、って…
大丈夫でしょうか…?

戦う理由、守りたい理由…
大切な方達を守りたいから…?

それと、もう一つ…理由というか、目標ですけれど…
恨みの連鎖を断ち切るお手伝いを…出来たらな、と

私達が相手をすべき方々の中には
誰かへの憎しみを抱く者も多くいます
それは…どこかで誰かが断ち切らなければ
新たな悲劇に繋がる可能性がある
殺された方の遺族が復讐を果たし、相手にも家庭があれば
新たな遺族を生み出してしまうのと同じ
だから…せめて気持ちを整理するお手伝いが出来たらと、思います
そのために、頑張りたいです



 月と星が輝き、静寂が満ちる空間。その美しさに見惚れていられたのは、かすかに響く声が頭の中へと直接届くまで。なぜ魔法少女になりたいのですか。そう尋ねてきた声は男のようであり、女のようでもあった。しかし澪にとって問題はそこではなかった。
「魔法少女になりたい理由なんか無いよ姉の趣味だし僕は少年です」
 エンジェリック魔法少年の目が死んだ。
 スンッと目から光を失くした澪の手がドレスの裾をきゅうっと掴んだ事に気付き、智夢は何と声をかければいいのか狼狽えて、自分も質問されていたのだとハッとする。
「えっと、ごめんなさい……私もなりたい理由は、特に……。可愛いなぁとは、思ってましたけど……私にはその……勿体なくないかな、って……」
 遠慮がちにローズピンクのスカート裾をつまめば、その下をたっぷり満たす花のパニエがちらりと覗く。改めて見るとやっぱり自分には勿体ない気がしてきた。このまま着ていて大丈夫か心配で――しゅんとしたその様子に澪が気付く。
「まぁでも、少女要素を除けば……僕にあるのは魔力だけだから」
「澪君……」
「せめて出来る事で誰かの役に立ちたいな、とか。思うんだよね」

 ――魔法少、年――

「少女って言いかけなかった?」
 ぴくり。ジト目で反応した澪の頭に、謎の声が続きの言葉を響かせる。

 ――なぜ、そう思うのですか――

「……まぁいっか。えっとね、僕の戦う理由や守りたいものは沢山あるよ。大切な人達、大切な景色、大切な世界……。それと……少しだけ、罪滅ぼし」
「罪滅ぼし……ですか……?」
「うん。僕、ね。奴隷だったんだ」
 当時、澪を救おうとした者は見せしめに殺された。
 自分の主だった者は、滅ぼすと決めた村に自分を送り込んだ。
 それは滅ぼす前の、いっときの安らぎを与える為ではない。澪を村人達に尽くさせ、ささやかな希望を、癒やしを与える事で、彼らが後に味わう絶望をより大きくする為だ。
「優しい人達を騙すのは心が痛むのに、僕は、『逃げて』の一言すら言えなかった。……だからこそ、今度は守る側になりたいんだ」
 それで、罪滅ぼし。
 澪が浮かべた小さな笑顔に、智夢は自分の裡を探る。
 自分が戦う理由は、守りたい理由は――。

 ――あなたが逃げない理由は、何ですか――

「……私は……大切な方達を守りたいから……?」
 言葉にしたからだろうか。ふわふわとして掴めなかった何かの輪郭が、わかった気がした。それと。
「もう一つ……理由というか、目標ですけれど……」
 躊躇うような声に、澪が優しく「うん」と笑って続きを待ってくれる。智夢はゆっくり静かに深呼吸をしてから、口を開いた。
「恨みの連鎖を断ち切るお手伝いを……出来たらな、と」
 自分達が相手をすべき存在はオブリビオンに限らない。ある時は動物を、ある時は今を生きる|人《誰か》と――そしてその中には、誰かへの憎しみを抱く者も多く存在している。
 傷つけられたから。
 奪われたから。
 恥をかかされたから。
 従順でなかったから。
 憎しみが生まれる理由は様々で――そういうものが大きく膨らんで弾けてしまった時に何が起きるかを、智夢は知っていた。
「それは……どこかで誰かが断ち切らなきゃ、って思うんです」
 そうでなければ、新たな悲劇に繋がる可能性がある。
 愛する家族を殺されたから復讐を果たした人がいて、けれど復讐された相手にも家庭が――家族があれば、新たな遺族を生み出してしまう。それと同じだ。
「だから私……せめて気持ちを整理するお手伝いが出来たらと、思います」
 辛くても。怖くても。過去の出来事に、心が震えても。
 それでも、小さくとも、前へと進む理由。
「私……そのために、頑張りたいです」
 テディベアのリアムを抱きしめる腕に自然と力がこもる。
 優しく、守るように。ぎゅうっと抱きしめられたリアムと、智夢の表情。決意。
 澪が「うん」と笑って頷けば、智夢も「はい」と、照れくさそうにはにかみながら頷いた。

 簡単に全てが叶わなくても。
 今すぐ叶えられなくても。
 いつか、言葉にしたものを現実に出来るように。

 笑顔を交わし合う二人の頭に、わかりました、と声が響いた。何か変化が起きるかもしれない。青く輝く夜を見渡した二人の頭に、再び声が響く。

 ――魔法少年と魔法少女に、新たな導きを――

「導き、ですか? 何でしょう……?」
「うーん? ……あ」
 導きの二文字から漂った嫌な予感。澪は素早く挙手をした。
「自前衣装もレベルアップ出来るならせめてズボンにしてください」
「え、い、衣装?」

 ――あなたがそれを望むのなら――

「やったあ!」
「良かったですね、澪君」

 ――必要に応じてスカートに戻せるように――

「えっ? 戻……?」
「いいですズボンだけで大丈夫なので僕は魔法少女なくて少年なので」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

杜崎・紅祢
…ここは?
綺麗な場所、ですがあまり良い感じを受けないのはどうしてでしょうか
格好も戻っていない、と
ぐるっと周囲を見回してみても、動く者の気配は無さそう
戸惑いながら踏み出そうとした時に頭の中に謎の声が

戦う、理由……?

……そんなもの決まっているでしょう
こんなふざけた格好をさせられているから一刻も早く終わらせたいだけです
それ以外に理由が要りますか
水面に映った自分の姿にため息を零しつつ
僅かな頭痛にこめかみ押さえながら一気に言い切ると何かパワーアップ
※衣装お任せ

――そんなので良いのかこれ
あのつちねことか謎の声とかの思惑にまんまと乗ってしまった気がして更にため息一つ零し、早足で出口を探して進んで行く



「……ここは?」
 つちねこ達は還された。
 夏の暑さと緑の香りが感覚をくすぐる公園原っぱが、戻ってきた。
 そう思ったのだが、陽射しが消えて暗くなり、広がるものは大きな満月と星が照らす夜の水鏡に変わっている。心地よい静けさと涼しさも加わっており、紅祢がまず“綺麗な場だ”と思った――のだが。
(「……あまり良い感じを受けないのはどうしてでしょうか」)
 考えながら視線を下へ移せば、目に入る色は白と緑。
 ひらひらとした一見露出の少ないこの格好は、大量のお星様となったつちねこ達のセールスによる結果だ。頭に手をやれば、そこには三角帽子がある。
「格好も戻っていない、と」
 眼の前だけでなく周囲にもぐるっと目を向けてみるが、見えるのは輝く夜空とそれを映す水鏡だけ。遠くに樹々や山らしきシルエットも見えているが――あれが本物かどうか。
(「動く者の気配は……無さそうですね。現場には他にも猟兵がいた筈ですが」)
 ここがあまりにも広大なのか、同じ場所にいる事が知覚出来ないようにされているのか、全員バラバラの空間に飛んでしまったのか。様々な可能性が浮かぶ間も、周囲は驚くほどに静かで美しいまま。
 取り敢えず進んでみよう。紅祢は戸惑いながら一歩踏み出そうとして、

 ――あなたが戦う理由は、何ですか――

 今の声は。耳ではなく頭の中に届いた声に思わず動きを止め、問われたばかりの言葉を繰り返した。
「戦う、理由……?」
 行動の源となるもの。
 それはすぐに見付かった。そりゃあもう爆速だった。
 美しい水面に映る、白と緑の魔法少女衣装を纏った自分の姿に溜息がこぼれた。何だか頭痛もしてきた気がする。
「……そんなもの決まっているでしょう。こんなふざけた格好をさせられているから一刻も早く終わらせたいだけです。それ以外に理由が要りますか」
 こめかみを押さえ現状への不満たっぷりな戦う理由を一気に言いきれば、少しだけスッキリ出来た気がして――なぜか衣装がペカーーッと輝いた。
「これは……!」
 ローブ風だった裾には光沢ある糸で花の刺繍が。袖口からも、刺繍が見事なレースがたっぷり顔を覗かせている。生地全体もシルクのような輝きを帯びて――ちょっぴり豪奢な変化に紅祢は再びこめかみを押さえた。
「――そんなのでパワーアップして良いのかこれ」
 どう聞いても現状への不満だったのに、つちねこや謎の声の思惑にまんまと乗ってしまったような。だが紅祢は溜息を重ねながらも、歩き出した。

 行かなければならない。
 出口を見つけなければならない。

 全ては、このふざけた格好をさっさと終わらせる為――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロッテ・ヴェイロン
いや、何なんですかね、この唐突に放り込まれた異空間は。
つか、ここを突破すれば「最強フォームに変身するためのキーアイテム」がもらえるとでも?(ぇ)

――で、「戦う理由」ですか?そりゃもちろん「オブリビオンを殺すため」ですよ…まあ最近は、オブリビオン以外の敵も増えてますけど。ともかく、私らはそのために【覚悟】持って戦ってきたわけですから。

――つかいちいちうるさいですよ黙ってなさいあなた。でないとそのニューロンを【ハッキング】して焼き切っちゃいますよ?(ぇ)

※アドリブ・連携歓迎



 ――あなたは、なぜ、戦いますか――

「いや、何なんですかね、この唐突に放り込まれた異空間は」
 事前説明無しはどうかと思いますよ。
 そう呟いて、シャルロッテは落ち着いた様子で周りを確認する。
 輝く月と星。つい先程まで真っ昼間だった筈だがどう見ても夜空だ。
 足元。葉に覆われた原っぱだった筈なのに、うっすらと水が張った大地になっている。
「こういう所で意味ありげに佇む登場人物映像とか、オープニングで見ることもありますけど、あれはイメージ映像ですしね」
 試しに手を伸ばしてみれば、指先をひんやりとした液体が濡らした。色はなく、臭いもない。水のようだ。幻ではないらしい――が、真っ昼間がいきなり夜に変わるわけも、場所そのものが劇的に変化するわけもない。
「つか、ここを突破すれば『最強フォームに変身するためのキーアイテム』がもらえるとでも?」
 そういう場面には、それなりの科学者や超常の存在が必要なんですが。
 ジト目で昨今の変身ベルト系で戦う人気者のお約束を言ってから、静寂が続く世界に、ああそういえばと投げかける。
「――で、『戦う理由』ですか?」

 ――あなたが戦う理由を、覚えていますか――

 なぜわざわざ質問してきたのだろう。わかりきった事なのに。
 シャルロッテは呆れも隠さずに溜息をついた。
「そりゃもちろん『オブリビオンを殺すため』ですよ」
 骸の海より滲み出たもの。実態を持った、過去の残滓。
 姿形種族も様々な者達が今を破壊し尽くさないように、シャルロッテは何度も世界を超え、世界の命運がかかった戦争にも飛び込んできた。
「……まあ最近は、オブリビオン以外の敵も増えてますけど」

 ――それでも、あなたは、戦いますか――

 幾つか浮かんだ姿、オブリビオン以外の敵に再び溜息をついたシャルロッテだが、頭に直接響く声に「当たり前でしょう」と迷わず返す。
「ともかく、私らはそのために覚悟を持って戦ってきたわけですから」

 ――では、魔ほ――

「――つかいちいちうるさいですよ黙ってなさいあなた。でないとそのニューロンをハッキングして焼き切っちゃいますよ?」
 この空間を構成するものを全て暴いたら何が出るか。
 『AliceCV』の顔を覗かせたシャルロッテだが、空から落ちてきた輝く雫に目を考えを中断した。掌で受け止めた雫は虹色の光沢を帯びた純白のUSBメモリに変化し、キラキラと光りを反射する。――それから漂うものは、つちねこ達が創ったものよりも遥かに上の力だ。つまり。
「これ、使わせてもらいますよ」
 シャルロッテはニヤリと笑い、歩き出す。この空間の範囲は不明だが構わない。出口が見つからない時は、入手したばかりのコレを試すいい機会になるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

斉賀・悠
(前章に引き続き変身続行中)

戦う理由、そして僕の守りたいもの… それは勿論、
「僕の家族(主に弟)を魔法少女化等の惨劇や悲劇とかから守る為に決まってる…!」
え?心の声漏れてる?
「その為なら、僕は闇落ちとかしないで戦っていられるんだっ!」
(●気合い●環境耐性

変身アイテムのパワーアップとかいらないからね!!!
一応、 UC使えば僕自身でパワーアップ出来るし…
「え?僕も?」
仕方なくUC:再覚醒・雷の子 を使ってパワーアップするけど…相手なんて居ないよね…?
居たら、即座にましんがんで殲滅します。
(●制圧射撃●誘導弾●呪殺弾●エネルギー弾●一斉発射
「思ってたよりフリルマシマシで恥ずかしいかも…」



 変化の訪れは、ふいに、と呼べるものだった。しかもその内容は劇的だ。
 周りの風景――環境そのものが変わった事に驚いた悠は、変身を解かないまま周囲を見渡した。月と星々で明るい夜の中に自分しかいない。他の猟兵はどこなのだろう。
 いつでも雷撃で対応出来るように警戒していた悠は、今度は脳内に直接響いた声で更に目を丸くした。男なのか女なのかわからない声は問う。なぜ、戦うのかと。

 ――あなたの戦う理由は、何ですか――

「僕が、戦う理由……?」

 ――あなたの守りたいものは、何ですか――

「僕の、守りたいもの……」
 悠は14歳だ。幼児ではないが、当然、大人でもない。
 守るのではなく、守られる立場。それが一般的な、当たり前とされる年齢だ。
 それでも自分が戦う理由は何なのか。そして、自分の守りたいものは何か。謎の声からの問いかけを言葉でなぞった悠の眼差しが、凛々しいものに変わり始めた。
「僕が戦う理由、そして僕の守りたいもの……それは勿論、僕の家族(主に弟)を魔法少女化等の惨劇や悲劇とかから守る為に決まってる……!」

 ――感じます、心の声が漏れるほどの想いを――

「え? 心の声? 漏れてる?」

 ――あなたの家族、主に弟を守りたいと願うその心――

「わあっ、本当に漏れてた!?」
 口にしてなかったと思うのに!
 慌てて周りを見る。誰もいない事が、今はちょっぴり有り難かった。
 一般人から魔法少年へ。自分に起きたその変化は、悠にとっていいものではなかった。やむを得ず魔法少年になっただけで、元々そういうものになりたかったわけではない。しかも精霊のような何かは今も行方不明で、魔法少年を辞めるに辞められないのだ。
 そんな自分の状況に家族を――特に、双子の兄弟である信を巻き込みたくない。
「……そうだよ、その為なら、僕は闇落ちとかしないで戦っていられるんだっ!」
 どんな場所にも、状況にも、強い想いで立ち向かえる。耐えられる。
 だからこそ、変身アイテムのパワーアップもいらないと断言出来た。
(「それに一応、持ってるユーベルコードでセルフパワーアップ出来るし……」)

 ――では、あなたにも新たな導きを――

「え?」
 話聞いてた? っていうか待って。
「僕も?」

 ――これはささやかな贈り物です、魔法少年エクレールよ――

 キャンセルを言う暇もなかった。
 悠は仕方なくユーベルコードを使い、周囲をより一層警戒する。
 敵は。居ない。きっと。大丈夫。うん。
 何度も何度も念入りに確認するわけは、ただ一つ。
「うう、思ってたよりフリルマシマシで恥ずかしいかも……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アスカ・ユークレース
魔砲少女になる理由……?そりゃ、私が可愛くてあざとくて|最高《サイコ》にイカれた美少女だからでは??そこ、そろそろ少女名乗るにはキツい年齢とか言わないように、灰にされたくないのならね

真面目にやれ?これでも真面目なんですけどねぇ……
では戦う理由を。そうですね、一言で言うなら、愛、でしょうか?
過去から甦りし哀れな残滓を討ち眠らせるのも、愛するものとのかけがえのない日常を守るのも、全て愛故の行動だと言えませんか?形は違えどそれは全て、愛だと思うのです


強化内容お任せ

アドリブ絡み歓迎



 魔砲少女として一仕事終えた後は気分がいいですね――なんて汗をキラリとさせていたアスカは、突然の変化に目をパチパチ。周囲が昼間の公園原っぱから夜の水鏡に変わっている。
「……涼しくなったのはありがたいですけど……何ですか、ここ?」
 大きな満月と数えきれないほどの星。夜に対して“眩しい”という感想が素直に出てくるような、そんな場所だ。周りには――誰もいない。
「うーん、どうしましょうか。あ、そうだ。試しに魔砲を一発……」

 ――あなたは、なぜ魔砲少女になるのですか――

「えっ?」
 アスカは動きを止めた。間違いない、今のは脳内に直接語りかけてきた。チキンをオススメされたらどうしようと気にしながら、アスカは謎の声による問いかけを頭の中で再生する。
 なぜ? 声はそう尋ねていた。
 なぜ? アスカは自分の胸に問う――以前に、その理由をこれ以上ないほどに理解していた。からりとした笑顔を浮かべ眩しい夜空を見上げる。うーん、絶景絶景。
「そりゃ、私が可愛くてあざとくて|最高《サイコ》にイカれた美少女だからでは??」

 ――なんと迷いのない言葉――
 ――あなたは、自分を|最高《サイコ》にイカれた美少女だと――

 ――……――

「何?」

 ――少女?――

「そこ、そろそろ少女名乗るにはキツい年齢とか言わないように、灰にされたくないのならね」

 ――魔砲少女・ラディカルアスカ、真面目にお願いします――

「これでも真面目なんですけどねぇ……」
 21歳。子供ではなく、法的には成人で、けれど女と形容するにはまだまだ若いお年頃。この難しさわかります? アスカは謎の声へ溜息をつき、では、と背筋を伸ばした。
「私が戦う理由……そうですね、一言で言うなら、愛、でしょうか?」

 ――愛、ですか――

「そうです。過去から甦りし哀れな残滓を討ち眠らせるのも、愛するものとのかけがえのない日常を守るのも、全て愛故の行動だと言えませんか?」
 どうぞ安らかにと魔砲を一発。
 日常を守る為に魔砲を一発。
「形は違えどそれは全て、愛だと思うのです。どうです? 満足してもらえました?」

 ――ええ、わかりました――

 きらりんっ。
 意味ありげに光った星が滑り落ちるようにやって来る。アスカは星を難なく右手で受け止めたのだが、その瞬間、星がぬるんっと勢いよくとろけた。
「えっ、何!?」

 ――それはあなたの火力を上げるもの――
 ――魔砲少女・ラディカルアスカ、あなたの愛が実を結びますように――

 とろけた星は、一瞬の間に、稲妻のような金色の輝きを浮かべた透明なバングルに変わっていた。貰えるなら貰っておきましょうかとアスカは眺めるが、ふと気付く。
「これどうやって使うんです?」

 ――あなたの心に従って言の葉を――

「ああ、いい感じの台詞ってやつですね。はいはい、よくあるやつ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

フロロン・ピューミリオ
時はxxxx年、ピューミリオ星はワルイー星人達に侵略されようとしていた!城は粉々に破壊され、花畑には炎が燃え盛る。ピューミリオ星の住人たちが絶望に暮れる中、立ち上がるのは1人のお姫様……
「あら?こんなことあったかしら?ピューミリオ星は平和そのものの筈だけど……」

有ったような、無かったような、|故郷《我が星》の記憶を思い出します。

「でも……そうですわね。お姫様だもの。民の人達を守りたいっていう気持ちは少なからずわたくしも持っていますわ!」

(決意を固めると同時に触手が光り輝き出す……)

パワーアップバンク等お任せします。

アドリブ・連携歓迎です。



『時はxxxx年、ピューミリオ星はワルイー星人達に侵略されようとしていた!』

 ――全て破壊しろ! この星の全てを我々ワルイー星人のものへ創り変えるのだ!

 ザッ! 寸分の狂いなく敬礼したワルイー星の軍隊が、宇宙銃を構えてきびきびと走り出す。その頭上を、宇宙バイクを駆るワルイー星バイク部隊がびゅんびゅんと過ぎていった。
 穏やかな空に、ひとつ、ふたつ。ゆらゆらと登り始めた灰色は数を増やし、優美に聳え立つ城の映像に変わる。そこにピュウウと空気を裂く音が重なって――ドゴオン!

『城は粉々に破壊され、花畑には炎が燃え盛る』

 人々と作物で賑やかな市場も。
 整備された大通りも。
 人々の家が並ぶ住宅街も。
 ワルイー星人は、ピューミリオ星のもの全てを暴力と破壊で蹂躙していった。
 空と街並みは炎と煙の赤と黒に染まり、戦う力のない人々は身を寄せ合うしかない。

『ピューミリオ星の住人たちが絶望に暮れる中、立ち上がるのは一人のお姫様……』

 名前は、フロロン・ピューミリオ。愛する星と国民達が傷つけられる姿にフロロン姫は胸を痛め、力を求めた。その純粋な想いに、宇宙の波動が――


「あら? こんなことあったかしら? ピューミリオ星は平和そのものの筈だけど……」
 首を傾げたフロロンは目の前に浮かぶスイカ大の水球――有ったような、無かったような|故郷《我が星》の記憶を映すそれを、目を丸くして見つめた。
 あれやそれやと思い出してみると、やっぱりそんなこと無かったような?
 ううん、もしかしたら有った、のかも?
 フロロンのハテナに合わせて触手がゆらゆら、ぴょこり。
「でも……そうですわね。お姫様だもの。民の人達を守りたいっていう気持ちは少なからずわたくしも持っていますわ!」
 朗らかな笑顔で胸いっぱいに決意を固めた時だ。
 フロロンの頭に不思議な声が響いた。

 ――宇宙のプリンセス、その優しさに新たな力を――

「マァ、何でしょう?」
 首を傾げた時、触手が光り輝き――ぱしゅんっ! 炭酸が弾けるような軽やかな音と一緒に光は散り、海底を漂うクラゲのように、触手がその中にぴこぴこと明滅する光を宿していた。更に、触手の一本一本が、先端に光り輝く星形のリングを通している。
「どなたか存じませんが、ありがとうございます? うーん、新たな力とはどのようなものかしら? 試しに力を込めてみましょう。……あら? あら?」
 ブゥン、ブゥン。何かをチャージするような低い音と共に触手内の光の明滅速度が上がっていく。もしやと空に向ければ――バシュウッ!! 虹色のビーム光線が眩しい夜空へ一直線。しかも。
「マァ、綺麗。お星様のエフェクト付きですのね」

 綺麗で、可愛らしくて。
 そしてフロロンはピンと来ていなかったが、なかなかの高火力であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
【白蛇衆】 あいも変わらずちびの姿/アドリブ大歓迎
心情)何ンで呼び替えた? マそうだな、ルールは大事だからな。正気を取り戻したらいけないぜ。おお、これは…湖だな。(*"いのち"以外に美醜を感じない性質) 何ンか聞こえる? …こいつ、直接脳内に…!(お約束) 魔法少女になった理由? そりゃア|ヒトの願い《このトンチキ依頼》を|守る《解決する》ためサ。魔法少女らしいだろ?
行動)|変身アイテム《白蛇》が進化して双頭になる。目は死ンでるが、レベルアップはレベルアップさ。魔法少女衣装もチト豪華になってるだろ。(身体能力雑魚なので、基本は眷属《獣》の一体に乗って動きます。落ちません)


深山・鴇
【白蛇衆】
これあれだね、正気に返った奴の負けだね?
何か聞こえてくるんだが逢真君と雲珠君…ラスティネイルとシカノコンにも聞こえるかい?
何で言い直したかって、そういうものなんじゃ?
っと、そうじゃなくて何か声が…
いや、特にそんな崇高な何かがあって魔法少女になったわけでは
とんちきに釣られた此方のかみさまがだね
え?それじゃ話が進まない?
そう言われても…うっ、頭の中に勝手に記憶が!
こ、これは生き別れになった双子の姉さん(いません)
俺を守るために悪に身を捧げて?倒さないと前へ進めない?
って尺の都合上さくっと倒したね??
そして手に入れたパワーアップアイテム
リップを模した夢可愛いこいつで何もかも一刀両断だよ


雨野・雲珠
【白蛇衆】
つちねこ、かわいかったですねえ…
汐くんに怒られつつも後ろ髪をひかれる思いでいたら
いつの間にかふしぎな場所に

戦う理由…守りたいものは、今も昔も同じ
ぬしさまに償うため、ご厚情に報いるため、
あの日救い上げて頂いた命の正しい使い時が来るその時まで。
ひとを癒し、影朧をお慰めし、
みなさまのお役に立つのが俺のつとめです!
…それに。最近俺は、欲張りで…
いたずらに命を散らすつもりもありません
約束したんです、自分を疎かにしないと

…いえあの、魔法少女になりたい理由ではなく。
あくまで桜として…聞いておられます!?
「知らんがな」みたいな感じで【花鳴り】がちょっと豪華に!

……つ……
強くなった!(テーレッテレー)



 数と圧で攻めてきたのはちょっとだけ厄介だったものの、あの顔、あのボディ――。
 雲珠はお星様になった存在を思い出し、双眸をふにゃりと緩めた。
「つちねこ、かわいかったですねえ……」
 きらきらと眩しい夜空と水鏡、目の前に広がるこの光景に彼らがいたなら、きっと無邪気に飛び跳ねて駆けっこして、ここでもそのユルカワイさを発揮し――ぐぇっ。
「ごめんなさい汐く……あれ? ここは……」
「感じるわ、何者かの気配を……!」
「えっ、かみさま、どういう事ですか……!?」
 自分を乗せた眷属の上、舞台映えしそうな動きをした魔法少女ラスティネイル(第一話に続きちび姿の逢真)に、雲珠は目を丸くして周囲を警戒する。そんな二人の後ろで、鴇は遠い目をしていた。
「これあれだね、正気に返った奴の負けだね?」

 ――よくぞ辿り着きました、魔法少女達よ――

 うん? 鴇は片眉をぴくりと上げ、周りを見る。
 自分達以外は誰もいない。というよりも、今の声は随分と近かった。
「何か聞こえてくるんだが逢真君と雲珠君……ラスティネイルとシカノコンにも聞こえるかい?」
「何ンで呼び替えた?」
「何でって、そういうものなんじゃ?」
「マそうだな、ルールは大事だからな」
「ルール、ですか?」
「空気とも言うわなァ。それに、正気を取り戻したらいけないぜ」
 という事で逢真は今の状況を改めて確認する。
 満月。星。どう見ても夜空だ。そして足元は――。
「綺麗ですねえ」
「おお、これは……湖だな」
 ほう、と見惚れた雲珠と、“いのち”以外に美醜を感じない逢真。二人それぞれの感想に鴇はそうだねと頷き――かけて首を振る。違う違う。
「そうじゃなくて何か声が……男だか女だかわからない感じの……」
「……こいつ、直接脳内に……!」
「チキンが頂けそうですね……?」

 ――三人の魔法少女よ、あなた達に問います――

 チキンは貰えなさそうだよ、残念ですね、いやまだわからねェぞ。ひそひそと言葉を交わす三人の頭の中に、性別年齢不詳の声がまたも直接届けられた。声、曰く。
「魔法少女になった理由?」
 ぱちりと紅眼を瞬かせた逢真の眼と口が、にやあと弧を描いた。
「そりゃア|ヒトの願い《このトンチキ依頼》を|守る《解決する》ためサ。魔法少女らしいだろ?」

 ――誰かの為に、それがラスティネイルの理由なのですね――
 ――魔法少女アイビス、魔法少女シカノコン、あなた達の理由は何ですか――

「いや、特にそんな崇高な何かがあって魔法少女になったわけでは……」
 さっきの|ルビ《本音》絶対解ってないな。そう思うもそこに触れない魔法少女アイビスの優しさにも、謎の声は気付かないだろう。隣でニヤニヤしているラスティネイルはお見通しのようだが。
 というかそうだ。ラスティネイルこと、彼が理由だ。
「とんちきに釣られた此方のかみさまがだね……え? それじゃ話が進まない? そう言われても……うっ、これは!」
 ピキィーン!
 黒背景に白のベタフラが走るようなアレで、鴇の頭の中に突如記憶が溢れ出した。
 こちらを見る女性の髪、目の色。見知らぬ女性の筈なのに、どこか親近感を覚える色彩を持つその姿。戸惑う鴇に、女性は『ごめんね』と言って、力を開放した。
 どうして、彼女は申し訳無さそうに笑ったのだろう。
 どうして、彼女を見ているとこんなにも辛くなるのだろう。
 その、理由は――。
「こ、これは生き別れになった双子の姉さん……! そうだ、俺を守るために悪に身を捧げて……姉さんを倒さないと前へ進めな――って尺の都合上さくっと倒したね記憶の中の俺??」
 姉さん! と泣いているが永遠の別離があまりにもさくっとしている。感動は死んだ。
「ほー、生き別れになった上に守る為に悪堕ちした双子の姉がお前さんに居たとはなァ」
「鴇さん……知りませんでした、そんな悲しい過去が……!」
 ちなみに生き別れになった上に自分を守る為に悪堕ちした双子の姉は、溢れ出た記憶と同様、存在しないものである。しかしそれを言ってくれる逢真ではないし、雲珠は本気で瞳を潤ませていた。雲珠は溢れそうになった涙を拭い、そっと語りだす。
「俺の戦う理由……守りたいものは、今も昔も同じです」
 顔を上げ、背筋を伸ばす。
 今から伝える事は、そういう風にして届けなければと思うから。
「ぬしさまに償うため、ご厚情に報いるため、あの日救い上げて頂いた命の正しい使い時が来るその時まで。ひとを癒し、影朧をお慰めし、みなさまのお役に立つのが俺のつとめです!」
 はっきりと声を響かせて、けれど雲珠は、少しだけ視線を彷徨わせた。
「……それに。最近俺は、欲張りで……。いたずらに命を散らすつもりもありません。約束したんです、自分を疎かにしないと」
 謎の声の問いかけに言葉を返し終えた姿に、逢真は無言で目を細めた。
 鴇も、「シカノコンは偉いね、魔法少女の自覚がしっかりある」と微笑んでいる。
 そして。

 ――シカノコン、あなたは優しい魔法少女ですね――

 あれ?
 雲珠は目をぱちくりさせた。問われたので思わず答えてしまったけれど。
「……いえあの、魔法少女になりたい理由ではなく。あくまで桜として……」

 ――あなた達に力を――

「聞いておられます!?」
「いや~、これは聞いてるけど聞いてないってやつだね」
「贈り物をくれるとサ。さァて、何が出るやら」
「お二人ともどうしてそんなに落ち着――うわーっ!? 花鳴りが急に光を!?」
 なぜだろう。物凄く『知らんがな』な、光り始めだったような。
 明るくて、ほんのり七色で。そんな、ぴかぴかきゅぴりりーんっ☆ な光は数秒で収まった。すると花鳴りがちょっと豪華になっており、手にしていると、それ以外の事も起きたと雲珠は理解する。
「……つ……強くなった!」
「今、『テーレッテレー』って音しなかった?」
「したなァ。見てみろ、白蛇が進化して双頭になってらァ」
 目は相変わらず死んでいるが、レベルアップはレベルアップ。
 逢真は満足げに頷き、視線を自身の纏う衣装へと移して、また笑う。
「魔法少女衣装もチト豪華になってるだろ。フリルと生地のグレード……それに首元の宝石飾り。ご丁寧に三人それぞれ、色違いだ」
「あ、俺達の目の色になってますね」
「うわ本当だ。そして俺にはこれか……」
 いつの間にか手の中にあったリップ――と思いきや、それは唇を彩るだけに留まらない武器である。どう使えばいいかは自然と理解出来た。説明不要、ご都合ナントカってやつだなあなんて鴇は納得する。
「じゃァ行くか。世界平和の為に」
「そうですね。つちねこみたいな可愛い生き物だといいなぁ……」
「まあ、相手が何であれだ。夢可愛いこいつで何もかも一刀両断だよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

結・縁貴
◆綴縁
何だ此れは…!?
聞こえてるけど「いい展開じゃないか」みたいな顔しないで欲しい
精神攻撃かなって疑ってたのに
ねェこの回想、悪い意味で締切倒してない?開幕闇堕ちでは?

うっ、俺の声で謎の予告が聞こえる…!

「俺は|縁《ユァン》!見た目は18歳の青少年!
ある日、シャト小姐の所へ行くと
煌びやかな格好なのに暗い目で『締切消滅しろ』って呟いていたんだ…
魔法少女☆操觚猟兵!
次回、『闇に飲まれた操觚猟兵を救うのは!?操縁猟兵誕生!』
来週もこの時間にね☆彡」

何此れ知らん…怖…
小姐が真剣な姿なのが尚更怖いんだけど!
はいはい、一緒には闘うよ
いつもと雰囲気違う小姐面白いし
此れは…強化装束…!?
つちねこの執念かな??


シャト・フランチェスカ
◆綴縁

なんだ?
心に直接語りかけてくる
縁、いや相棒こと操縁猟兵、きみも同じ声が聞こえるのかい
まさかこれは…起承転結の承!?
ここで回想とは中々わかってるじゃないか、天の声
攻撃?なんのこと?

あれは忘れもしない
なんだっけ、そう、流星の夜
行き詰まった原稿に嫌気が差した僕は言う
あ〜あ
何らかの不思議な力で現実逃避したいな〜
そのとき星が流れ願いは叶えられた

全ての締切を
生まれる前に斃す魔法少女の誕生である

全て思い出した
次回の内容をタイトルでネタバレしてくるお約束も…
最早独りで闘う必要もない
背中は任せたよ、縁

この衣装のプロデュースは誰だろう?
つちねこは星になったはずだが

そしてお約束はこうだ
次回も絶対見てくれよな!



 ――ようこそ、二人の魔法少女よ――
 ――あなた達は十三番目と十四番目の魔法少女です――

(「なんだ?」)
 周囲の風景が一変した瞬間届いた、いにしえの何かじみた言葉。それが鼓膜ではなく心に直接響いた事に気付き、シャトの眉間にかすかな皺が寄る。縁貴もまた、虎尾の毛をぶわっと逆立てながら周囲を見回していた。
「何だ此れは……!?」
「縁、いや相棒こと操縁猟兵、きみも同じ声が聞こえるのかい」

 ――あなた達はなぜ、魔法少女の道を選んだのですか?――

 ああ、まただ。|相棒《縁貴》が無言で頷いたのを見て、シャトは思案する。
 事の始まりは、全人類魔法少女化計画を企む感染型UDCの出現。計画の為に人々を魔法少女へ導こうとするつちねこの大量発生が起き、それを片付けたと思えばこの状況。
 まさか、これは――。
(「起承転結の承!? ここで回想とは中々わかってるじゃないか、天の声」)
 話作りの基本と面白さのツボを押さえている天の声に後方腕組関係者顔で笑むシャトへ、もう一人の魔法少女である緑貴は溜息混じえたジト目を注いでいた。
「『いい展開じゃないか』みたいな顔しないで欲しい。精神攻撃かなって疑ってたのに」
「攻撃? なんのこと?」
 あの声は精神攻撃の類ではなく、物語をより彩る起承転結の“承”だ。シャトは浮かべていた笑みを静かに消し、満月と星々煌めく夜空を見つめた。今度は何の顔、という声は右から左へ。鮮やかな花色の双眸はここではない時間へ、記憶の頁を捲っていく。
「あれは忘れもしない。なんだっけ」
「なんだっけって」
「そう、あれは流星の夜の事だった」


 紙の束。白いまま、埋まらぬそこ。
 原稿用紙というそれは行き詰まった証、憎たらしい現実として、書き上げるまでいつまでもシャトの前に在る。それでもシャトはインクを含んだペン先をそこへやろうとして――けれど、その手を止めると重たい溜息を吐いた。
『あ~あ。何らかの不思議な力で現実逃避したいな~』
 その時、窓の外を流れ星が翔けた。
 翔けた時間はほんの一瞬。しかしその一瞬が確かな煌めきとなってシャトの瞳に映った時、シャトの願いは叶えられたのである。
 秘められし力が殻を破って溢れ、巻き起こった風が原稿用紙を舞い上げる。力の奔流が収まった時、そこには、全ての締切を生まれる前に斃す魔法少女・|操觚猟兵《シュリフトシュテラー》が誕生していた。


 ――思い出したのですね――

「……ああ……思い、出した……」
「俺にも変な声聞こえてたけど一応訊くよシャト小姐。何思い出したの?」
 眼帯で覆われた左目を押さえながらの呟きに、緑貴はニッコリ笑顔で問いかけた。もうどうにでもなーれ。数秒の間の後、シャトの視線がこちらを向く。
「全てさ。次回の内容をタイトルでネタバレしてくるお約束も……」
 死なないでと言いながら死ぬやつとか。
「ねェこの回想、悪い意味で締切倒してない? 開幕闇堕ちでは?」
「何を言ってるんだ。どう見ても光の覚醒めだろう」
「いやでも――うっ」
「どうした相棒」
「お、俺の声で謎の予告が聞こえる……! 音楽まで流れてきた!」


♪~~(主題歌をポップにアレンジした次回予告曲)

俺は|縁《ユァン》! 見た目は18歳の青少年!
ある日、シャト小姐の所へ行くと
煌びやかな格好なのに暗い目で『締切消滅しろ』って呟いていたんだ……

魔法少女☆操觚猟兵!
次回、『闇に飲まれた操觚猟兵を救うのは!? 操縁猟兵誕生!』
来週もこの時間にね☆彡

♪~~(主題歌をポップにアレンジした次回予告曲、おしまい)


 音楽の終わりと共に謎の予告も終わったようだ。しかし緑貴はそれどころではなかった。
「何此れ知らん……怖……」
 主題歌をポップにアレンジした次回予告曲って何。そもそも『魔法少女☆操觚猟兵!』の主題歌知らないんだけど。
 全く知らない、存在しない筈の|物語《始まり》に、緑貴の虎耳がぺたりと倒れる。しかしその肩へ軽やかに触れる手があった。ハッとそちらを見れば、またも『いい展開じゃないか』な顔をしたシャトがいる。今度はシリアスだった。
「小姐が真剣な姿なのが尚更怖いんだけど!」
「最早独りで闘う必要もない。背中は任せたよ、縁」
 ここまでの流れに最適の最高な台詞、違和感のいの字もない言葉がつらつらと出てきてる所は流石の二文字だ。――流れの始まりがそもそも可笑しいのだけれど。緑貴は尾を大きく緩やかに揺らすと、いつもの軽快な笑みを取り戻した。
「はいはい、一緒には闘うよ。いつもと雰囲気違う小姐面白いし」
 スマホを取り出せば交渉の件を思い出したか、シャトの表情が一瞬だけ固まった。
 ふいに二人の頬を風が撫でて――魔法少女衣装が柔らかな光を宿し始める。
「おっと?」
「此れは……」

 ――“始まり”を取り戻したあなた達に相応しいものを――

 強くなった光が形を成しながら集まって、ぽんっ! 宝石花煌めくリボンの髪飾り、袖口からはたっぷりのレースが覗き、それぞれの瞳と同じ糸で刺繍を施した外套が華麗に翻る。
「強化装束……!? つちねこの執念かな??」
「この衣装のプロデュースは誰だろう? つちねこは星になったはずだが」
 まさか骸の海からわざわざ?
 ――ちょっと有り得る。
「そしてお約束はこうだ」
「お約束って?」

 次回も絶対見てくれよな!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
……むむ?ここは……なんだか神秘的だな、我が領地にもこういう場所造ってみるか……
って違う、早くこの場から抜け出さんとならぬ…よし、こういう時は人海戦術!UC【無尽の堕天竜魔王・改】!この身を裂き128体のちびワルルーナへと変えるぞ!
(以下知能指数が大幅に下がりわいわいと減ったり増えたりしながら勘で進みます。おつむも1/128なので存在しない記憶もコロッと忘れます。)

「たぶんあっち!」「いやこっち!」「なんかゆめがどうとかきこえる!」「ねぼけているばあいかー!」「たたきおこせー!」「なんでおきないー?……し、しんでる」「じぶんごろしー!」「またふえるからもんだいなし!」「それもそっか!」



「……むむ? ここは……」
 一変した状況にワルルーナが目を瞬かせれば、下半身の竜達もあちこちに首を向けてその目を瞬かせる。
 広がるのは、静かで涼しくて、それでいて眩いばかりの夜。浮かぶ月は綺麗な満月をしており、その真っ白な輝きが夜空に明るい青を生み出している。慎重に歩いてみれば、薄く張った水がぽちゃりと音を立てた。
「なんだか神秘的だな、我が領地にもこういう場所造ってみるか」
 遠くで黒く浮かび上がるものは樹々と――山々か。さっきまでいたのは公園の原っぱなんだがなとワルルーナは首を傾げながら、イメージを膨らませていく。自然豊かな場所なのだからキャンプ地に――いや避暑地も良いな? それぞれのエリアを分け両方というのも――。
「って違う、早くこの場から抜け出さんとならぬ……果てがあるかどうかも怪しいが。……よし、こういう時は人海戦術よ!」
 からからと笑い声を響かせたワルルーナは自分の体に両手を添え――景気よく裂いた。その途端、ひとつの体は128体ものちいさなワルルーナへ大変身。静寂と美しさに包まれていたそこは、一瞬でわあわあキャアキャアと祭りのような賑やかさに包まれる。

 ――何かを待つのではなく、自らの選択で切り開く――
 ――魔王であり魔女でもある魔法少女よ、あなたの選択を尊重します――

 謎の声はそれを良しとした。が、ちびワルルーナ達は全く聞いちゃいなかった。
「どっちいこっかなー……うーん、たぶんあっち!」
「いやこっち!」
「なんだとー!」
 競争だと火花をバチバチ散らしたちびワルルーナ達が、水面をぱっしゃんぱっしゃん鳴らして駆けてゆく。その一方で。
「なんかゆめがどうとかきこえる!」
「そうであった、われがまおうをこころざしたのは……うーんと、うーん、と……ぐう」
「ねぼけているばあいかー!」
「たたきおこせー!」
 船を漕ぎだした頭をペシーン! 更にポカポカドカドカ! 周りのちびワルルーナ達はようしゃなく起こしにかかり――全く成果が現れない事にあれれと首を傾げた。
「なんでおきないー? ……し、しんでる」
「じぶんごろしー!」
「おおわれよ、しんでしまうとはなさけない!」
「またふえるからもんだいなし!」
「それもそっか!」
 わーっはっはっは!
 128体が127体になっても何のその。知能指数が大幅に下がった事がかなり影響しているが、ちびになっても魔王で魔女で、猟兵だ。ちびワルルーナ達は底抜けに明るい笑い声を響かせて、眩しい夜をずんずんとゆく。その道中で127が125にと、また数が減ったとしても――。
「よいしょー! あらたなわれ、たんじょうッ!」
「われがきたからには、あんしんするがよい!」
「わーっはっはっは!」
「よーし、ゆくぞー!」
「おーっ!」
 この通り。
 問題なんてものは、これっぽっちも無いのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クオ・メアン
【WIZ】

「ウパシ、ルプ、見て見て!可愛いでしょ~♪魔法少女のお洋服だよ」
クリオネの姿の、雪と氷の精霊達の前で楽しげにくるりと回って。

気が付くと、変わった場所に立ってたけど⋯すごく神秘的だねっ。

戦う理由?
ぼくは色んな世界を旅して冒険するのが好きだから、みんなを困らせちゃう悪いヒト達はやっつけちゃうよ。

ウパシとルプが精霊杖に変化して(元々魔法少女のステッキ的な長さ)、変身アイテムのブレスレットが精霊杖と合体してより可愛らしく。
衣装はデザイン自体は変化しないけど、光が当たるとキラキラ輝いて。

小さな天使の羽と悪魔の翼が1対ずつ。2対4枚に。

「きらめくマリンスノウ『アンタークティカ・ピュア』だよ」



 氷雪の魔法少女『アンタークティカ』となったクオは、カチンコチンに凍りついたつちねこ達がふわふわ~っと消えたそこへ「バイバイ」と手を振り別れを告げると、無垢な笑顔はそのまま、自分の傍に浮かぶ雪と氷の精霊へと向いた。
「ウパシ、ルプ、見て見て! 可愛いでしょ~♪ 魔法少女のお洋服だよ」
 楽しそうにくるりと回れば、ミニスカートとピンク色のふわふわフリルが柔らかに揺れ、首元を飾るリボンのブローチが陽光を弾いて美しく輝いた。
 クリオネの姿をした精霊達は、ひゅんひゅん、くるりん。縦に円を描くように飛び、ヒレめいたそこをぱたぱた元気に動かしている。
 彼らの反応にクオは満面の笑みでお礼を言い、ここはこうなっててね、こっちはこうでと解説していくのだけれども、ふいに暑さが消え失せて心地よい空気に包まれたものだから、つぶらな目をぱちっと瞬かせた。
 雲ひとつなかった明るい青空は、深く澄んだ青い夜空へ。空には真っ白に燃える太陽ではなく、大きな大きな白い満月が。その周りには沢山の星が煌めいていて、暗い所を探す方が大変なほどだ。
「わあぁ……! すごく神秘的だねっ」
 真昼から真夜中へ。気付けば場所も時間も劇的に変わっていたのだけれど、クオは目の前の絶景を無邪気に喜び――。

 ――氷雪の魔法少女『アンタークティカ』――
 ――あなたの戦う理由は何ですか――

「えっ!?」
 ふいにかけられた声、その近さもセットで驚いたクオンは慌てて周りを見るのだが、自分達以外は誰もいない。その不思議さに首を傾げるも、クオンの興味はすぐに謎の声から向けられた質問へと移った。
(「ぼくが戦う理由……?」)
 そんなの、簡単だ。
「ぼくは色んな世界を旅して冒険するのが好きだから、みんなを困らせちゃう悪いヒト達はやっつけちゃうよ」
 クオンが冒険に訪れた先で出逢う存在は、いつだって好きな『冒険』をきらきらと輝かせてくれる。それは世界が在ってこそ。その世界に、みんながいてこそのものだ。
「だから、ぼくは戦うんだよ♪」

 ――ああ、アンタークティカ。あなたの純粋さは素晴らしいものです――

 次の瞬間、ウパシのルプの体から輝きが溢れ、その姿はたちまち精霊杖へと変わった。バトンほどの長さとなった杖はクオンのブレスレットと一つになり、纏う衣装は月の光を受け、星屑のような煌めきを浮かべている。そしてクオンの背には、小さな天使羽と悪魔翼が一対ずつ。それは――。
「きらめくマリンスノウ『アンタークティカ・ピュア』だよ」
 よりマジカルに。
 よりキュートに。
 ちょっぴり、ミステリアスに。
 新たな装いとなった魔法少女は、満月夜空映した水鏡を泳ぐように翔けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

穂村・理恵
ここは……?まさか、敵の精神攻撃ですか!?(ちょっと警戒する)
……え?戦う理由、ですか……?えーと、私は望んでこの体になったわけじゃなくて…
(大まかにいうと悪の科学者の元を逃げ出した怪物に襲われ同化される→捕獲回収され悪のアジトに捕まる→逃げ出そうと暴れてたところをやってきたヒーローに助けられる→ヒーローの監督の下、ヒーロー見習いとなって日常に復帰)

だから私は、あのヒーローさんみたいになりたいって、同じように誰かの助けになりたいって、そう、思ったんです……!
(決意を新たに新たなるUC【クロス・ヒーローズ】に目覚めました!
なお現れたのは「機械鎧をまとった装着変身メタルヒーローな自分」だった模様)



 大きな満月、沢山の星、水鏡となった大地。どこからどう見てもこれは夜だし、どこからどう見ても先程までいた原っぱとは別の場所。場面転換したかのように一変した状況に、理恵は全方位に意識を向け警戒する。
「ここは……? まさか、敵の精神攻撃ですか!?」

 ――あなたはなぜ戦いますか?――

 自分のすぐ近く――いや、それ以上の近さで届いた声に心臓を跳ねさせた。
 耳元で、なんて距離ではない。今のは。そう、頭の中に直接届いていた。『今の声は一体』という混乱と警戒が生まれると同時に、届いた声の純粋さが心に染みていく。今の声に悪意の類が感じられなかったからだ。
「……え? 戦う理由、ですか……?」
 16歳。女子学生であり、猟兵であり――そして。
「えーと、私は望んでこの体になったわけじゃなくて……その、色々とあってですね」
 やっぱりここは始まりから説明した方が?
 理恵は暫し「うーん」と悩んだ後、大まかにではあるが自身の――自分が今の自分となった経緯を語り出す。

 今よりも前の事。悪の科学者の元からとある怪物が逃げ出し、理恵は自由を得た怪物に襲われ、同化されてしまった。
 ごくごく普通の少女だった理恵は、その瞬間に“普通”を奪われてしまっただけでなく、捕獲及び回収され、悪の秘密基地へと連れて行かれてしまう。
 しかし、理恵は抗った。
 平たくいうと、逃げ出そうと暴れたのである。

「そこにやって来たヒーローに助けられて……そして私は、そのヒーローの監視下でヒーロー見習いとなることで、日常に復帰できたんです」
 そういえば、暴れていた時に悪の博士から機械鎧を奪ってそれを使っているけれど――ううん、そこはカットしておきましょう。理恵は、耳があるのかどうか不明だが、じっと耳を傾けてくれているだろう声へと語り続けた。
「だから私は、あのヒーローさんみたいになりたいって、同じように誰かの助けになりたいって、そう、思ったんです……!」
 あの時までの、今までの自分は奪われたままだ。けれど、あの時に来てくれたヒーローのおかげで、こうして帰ってくる事が出来た。過ぎた時間は取り戻せなくとも、新しい時間へと繋ぐ手助けは出来る。
 真っ直ぐな眼差しで言い切った時、再び頭の中に声が響いた。

 ――諦めないあなたの、その決意に祝福を――

「祝福? わっ、何!? 光が……!」
 ふいに自身から溢れ始めた光の眩しさに理恵は思わず目を瞑り――恐る恐る開けた瞬間、驚きのあまり言葉を失った。
 身長、体格は同じ。纏うものはメタリックな機械鎧。浮かべる表情は、明るくて親しみを持てる笑顔。それは――もう一人の理恵だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
●色々とおまかせ
※引き続き若返って男の娘状態

おかしい、俺はネコモドキを退治していたはずだがいつの間にかこんな所に来てしまった。

戦う理由、今回は依頼だからだけど

え?魔法少女になった理由?
そこにいる悪魔の気まぐれだけど

むしろ元の姿に戻りたいのだけど

なんで昔この服を着たことあるのか?
面倒事に昔オブリビオンになる前の猫の知り合いに着せられたからだけど…

謎の声諦めてなくね?

えー…謎の声とアガレスが、仲良くカバーストーリー作りはじてる

おいまて、色々と盛るな俺の知らない情報を入れるな

え、あーうん。いいんじゃないかな?

おいまて、なんだ、このフリフリとか、ゴージャスになったドレスに近い魔法少女の服は



 眩い夜空に、目を、奪われた。
 宇宙をすぐそこに感じる空を見ながら歩くと、足元からぱしゃりと水の音。目をやれば、夜空を映した水面に映る小学生男児――可愛らしいふりふりドレスを着た、猫耳・猫尻尾の自分の姿に、兼光は「げっ」という顔をした。
「おかしい、俺はネコモドキを退治していたはずだがいつの間にかこんな所に来てしまった」
 またアガレスが何かやったのかと視線を向けるが、アガレスは興味津々の様子で周りを見ている。違うらしい。
(「じゃあ、何が……」)

 ――ようこそ、十八番目の魔法少女――

「少女じゃねえって。それより何なんだここは」

 ――ここは魔法少女の為の世界――
 ――自分自身と向き合い、次へと羽ばたく為の場所――
 ――教えて下さい、あなたはなぜ戦うのですか?――

「戦う理由か? 今回は依頼だからだけど」

 ――なぜ魔法少女になる事を選んだのですか?――

「え? そこにいる悪魔の気まぐれだけど」
『私で~す』
「むしろ俺は元の姿に戻りたいのだけど」
『却下ぁ』

 兼光の主張にアガレスはそっぽを向く。その様子に兼光はぐぬぬと拳を握るも、次の質問が飛んできた。――ていうかこの声直接頭に響いてないか?

 ――“元の姿に戻りたい”――
 ――ですがあなたは、その衣装を受け入れているように見えます――
 ――以前にも着た事があるのでは?――

「いや、面倒な事に、昔オブリビオンになる前の猫の知り合いに着せられたからだけど……」

 ――そう、あなたの運命はその時から始まっていた――
 ――あなたは、なるべくして魔法少女となったのです――

(「何だこれ。何答えても魔法少女の方に持って行ってないか? 謎の声諦めてなくね?」)
 この声は一体何なんだ。疑問が膨らむ中、謎の声に耳を傾けていたアガレスがなぜか謎の声とお喋りを始めていた。

『変身後が小さくて可愛い頃なのはぁ、あの子の中に、今もピュアな気持ちがあるからなの』
 ――天使のようにピュアな気持ちだからこその変身後ですね、わかります――
『そうそう~。猫ちゃん要素はねぇ、あの子が昔こっそりお世話してた捨て猫の……』

「おいまて、色々と盛るな俺の知らない情報を入れるな。捨て猫って何だよ」
『ねぇねぇ、パワーアップってさ、“いい”よねぇ~?』
 ニッコリ。急に向けられた話題に兼光は目をぱちぱちさせた。
「え、あーうん。いいんじゃないかな?」
 いや待て。

『じゃあ、決まりねぇ?』
 ――ピュアな心に相応しい進化を――

 凄まじく嫌な予感。
 兼光はキャンセルと叫ぼうとしたが時既に遅し。衣装が全体がピカピカリーンッ☆ 虹色の光になりキュルリルリーン☆と変わっていく。結果。
「おいまて、なんだ、このフリフリとか、ゴージャスになったドレスに近い魔法少女の服は」

『パワーアップ♪』
 ――です――

「ふざけるな!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

琴平・琴子
市、あれは美味しかったですか?
そう…

守りたい、理由
幼い私に力を乞う程足りない訳でも無い筈

だけどこの手は憧れという星々に伸ばさずにはいられなかった
なってごらんと言われて手渡されたものを受け取らずにはいられなかった
体の震えを、それを握って誤魔化さずにはいられなかった
刀身は削れ、短くなってしまったけれども何時だって花々と一緒にいる
――橄欖石の剣はいつだってそこに

私がどの道を歩むのか、行くのか
貴方がたはただ見て微笑むだけ
私はそれでいいと思った
貴方がたがこの景色を美しいと言いながら微笑んでくれるのなら
それが幼い私の夢だったから

ねえそうでしょう
王子様
お姫様

いつか貴方がたに届くまで
いつだってこの輝きは掌の中



「市、あれは美味しかったですか?」
「なぁんぬ」
 大きな満月と溢れるほどの星が映る水鏡、そこにどしりと四つ足でいた市が満足げに鳴いた。ぺるりと口周りを舐める様は、余韻を楽しんでいるようにも見える。
「そう……」
 市の後ろに『血となり栄養となりますニャン』とちょこまかしゅぱぱするつちねこの幻が見えるような、見えないような。琴子はぱちぱちと瞬きを繰り返すと、どうしましょうか、と呟いた。
「建物らしいものは見えないですし……」
 取り敢えず歩くべきか。暫く様子を見るべきか。
 迷うその心に、ふいに届いた音があった。

 ――プリンセス・コトコ、魔法少女となって守りたいものは何ですか――

 いきなりその名を呼ばれるとは思わず、ぎょっと目を丸くして周りを見る。が、そういえば服装は未だ魔法少女モードのまま。念じれば解けるんでしょうか。疑問の後、問いかけに対するものがふんわりと浮かび上がる。
(「幼い私に力を乞う程足りない訳でも無い筈」)
 今年の5月で12歳になったばかりの子供だ。けれど年齢と同じく未だ若い手は、憧れという星々に伸ばさずにはいられなかった。“なってごらん”と言われ、手渡されたものを受け取らずにはいられなかったのだ。
(「体だって、震えていたのに」)
 それを握って誤魔化さずには、いられなかった。
 今では刀身は削れて、短くなってしまった。けれどそれでも輝きを失わぬ一振りは、いつだって花々と一緒にいる。
(「――橄欖石の剣はいつだってそこに」)
 理由を探るうちに、ゆらりと彷徨って下っていた視線を上げる。水鏡より上、見つめる先にあるのは、夜空と、夜空を映した水鏡と、樹々と山々の黒い影だけだ。そこに道らしい道はない。だが、琴子は前を見つめ続ける。
「私がどの道を歩むのか、行くのか。貴方がたはただ見て微笑むだけ。私はそれでいいと思った」
 幼い自分の選択を見て微笑む彼らの姿。
 そこに在ったものは、今も琴子の中で柔い光を灯している。
 前へ踏み出す。ぱちゃり、とまろやかな水の音がして、夜空映す水鏡に波紋が広がっていく。
「貴方がたがこの景色を美しいと言いながら微笑んでくれるのなら。それが幼い私の夢だったから」
 ひとつ。ふたつ。
 水の輪が広がって重なって――少女の通った後を、浮かび上がらせる。
 それが、ふいに止まった。
 足を止めた琴子の見上げる先には、夜を照らして青く現す、真白に輝く光達。
「ねえそうでしょう。王子様。お姫様」
 ふわり。現れた白い光は王子と、顔を隠した姫君へ。無言で微笑む二人に、琴子もそっと笑いかけた。

 いつか貴方がたに届くまで。
 いつだってこの輝きは掌の中。

 再び前に進み始めた琴子の眼前に、夜空から光る雫がひとつ落ちてきた。掌で受け止めたそれはたちまち透き通った小鳥、硝子のブローチへと変身する。
「これは……」

 ――ささやかな贈り物です、プリンセス・コトコ――

「……あの」

 ――はい――

「その名前で呼ばなくても、大丈夫なので」

 ――それは失礼を――

「いえ。そんな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

黄・焔誠
アドリブ歓迎

_

…俺が戦うのは、「弔い」の為だ

俺は剣を握って生きてきた
戦を終わらせたかった筈なのに
平和と安寧を得る為に
ずっと、剣を振るっている
兵として、王として

だが
この身と心を捧げるべき国も民らも既に亡く
国は蹂躙され、民らはオブリビオンとして彷徨っている
だから俺は
国と民の──そして散っていった友らを弔う為に戦うのだ
彼らを護る平和をもう与えてやれずとも
その魂に安らぎを与えてやる為に
それが俺の、"王"としての使命だ

その為に力が欲しいとは確かに思うが
「……郷に入っては、というやつか?」
変身アイテムを手の中に収めつつ

魔法少女のこと
かつての友らに言ったらどんな反応をしただろうな
…なんて



 珍妙な生き物達を退け、少年の安全が確保されたかと思えば、空には白く輝く満月と星。珍妙な事が続くものだなと冷静に周囲を確かめた焔誠は、夜空を映す水面を静かに歩き始めた。長い黒虎の尾が水鏡に触れないよう、ほんの少しだけ、尾の先を上げてゆく。
 じっとしていても何も変わるまい。歩き続けて陸に着くかどうかもわからないが――突然の転移によって来る事となったこの場について、何か一つでも判ったのなら。それは間違いなく前進といえる。
 しかし、男かも女かもわからない正体不明の声が直接脳に語りかけてくる事までは、流石に想像していなかった。

 ――魔法少女の道を選ばなかったあなた――
 ――それでも戦う理由は、何ですか?――

(「つちねことのやり取りを知っている? 見ていたのか?」)
 あの時、そんな気配は感じなかったが。
 焔誠は声の主の気配を探りながら、問われた言葉を胸の中でなぞった。
「……俺が戦うのは、『弔い』の為だ」

 焔誠の生には、剣が共に在った。
 戦を終わらせる。終わらせたい。
 その為に剣を握り、生きてきた。

「全ては平和を、安寧を得る為に」

 故に、ずっと、剣を揮っている。
 戦いに身を置く兵として。そして、王として。

「だが、この身と心を捧げるべき国も民らも既に亡く。国は蹂躙され、民らはオブリビオンとして彷徨っている」
 戦を終わらせたかった筈なのに。その為にと想うものは皆、この手からこぼれ落ちてしまった。現在という時に滲み出て、染み込んで、全てを呑み尽くそうとする。まるで、叶わなかったものを突きつけるかのように。
 けれど、焔誠の尾から力が抜け、水に触れる事はない。
 戦を終わらせられなかった。皆を、守れなかった。
 望んだ平和と安寧には、未だ、届いていない。
 わかっている。わかっているからこそ。
「だから俺は、国と民の──そして散っていった友らを弔う為に戦うのだ。彼らを護る平和をもう与えてやれずとも、その魂に安らぎを与えてやる為に。それが俺の、"王"としての使命だ」
 王である事を投げ出しはしない。
 理由を示した焔誠の頭に、再び声が響いた。

 ――誇り高く、優しいあなたに、これを差し上げましょう――

 夜空できらりと踊った光がひとつ、するりと流れるように落ちてくる。焔誠が差しのべた掌に触れる寸前、光はとけるようにして形を変えた。
「……郷に入っては、というやつか?」
 それは掌大の、石のメダルだった。燃え盛る炎を背に、猛々しく吼える虎が掘られている。恐らくこれは――つちねこ達が盛んに勧めていた、変身アイテムというやつだ。
「……魔法少女、か。彼らは、どんな反応をしただろうな」
 かつての友らを思い浮かべこぼした声に、焔誠は小さく笑う。
 彼らに伝える機会が訪れるとしたら――それこそ、魔法という奇跡のなせる技だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

もはや現実逃避するしかない

天と地が交わるような美しい地であるね…
だが何より美しいのは我が巫女たるきみに他ならない……
ほら、ホムラ!見よ……我が花嫁たる巫女を!
湖面に佇む美しさを!!
桜仙となり更に美しさに磨きがかかった姿を!

私は生まれたのはサヨと出会うためだったんだよ、ホムラ
桜の木の下で舞うサヨに出会い一目で戀に落ちたのだ
転生して二年と少し…愛するサヨと共に生きる世界を守る
私の愛する桜を咲かせ続ける
共に生き、共に旅をするのだ

うわー!!?
い、衣装がさらに悲惨に!
サヨは美しいが私は駄目だ!厄災だ!!禍津ッ…え?禍法少女力が上がって?
確かに、厄とは試練だ…其れを…私は超えたというのか?
此処で?!


誘名・櫻宵
🌸神櫻

カムイがいい感じに話し出したわ…いいわよ……この調子よ!
ホムラ、盛り上げて!
湖面に映る憂いをたたえた表情もかぁいらしいこと
出逢の日は今も思い出せるわ
私が散らせた黒桜が赫桜と転じてうまれてきてくれて
真っ先に私を見つけてくれた
其の倖い
私を呪いから解放してくれて、呪は祝へ
愛を、戀する仕合わせを教えてくれて
戦う理由、なんて簡単で複雑よ

愛する人達を守りたい
これが私なりの償いなの

私たちの目で世界をみて、旅しましょう
私達の路を!

きゃー!カムカムが更にビューティーカムカムになったわ!
禍法少女力が激上がりね!
美しい世界に楊貴妃も真っ青なレジェンドな禍法少女カムカム……最高だわ!!
私も負けてられないわね!



 華ロリ(セクシースリット仕様)の魔法少女プリティ☆カムカムになってしまったと思ったら、今度は月と星が煌く夜の下。続く奇々怪々に、カムイはもはやこれしかと現実逃避をしていた。
「ご覧、サヨ。天と地が交わるような美しい地であるね……だが何より美しいのは我が巫女たるきみに他ならない……」
「ま。カムイったら」
 ぽっ。白い頬を桜色に染めながらも、和ロリの魔法少女ちぇりぃ❀ぶろっさりぃとなった櫻宵は、心の中でぐっと拳を握っていた。

 ――カムイがいい感じに話し出したわ……いいわよ……この調子よ!
 ――ホムラ、盛り上げて!
 ――ちゅんっ!

 素早く視線と心の声を交わせば、きりりと敬礼をしたホムラが櫻宵の手からカムイの傍へと羽ばたいた。
(「それにしても……湖面に映る憂いをたたえた表情もかぁいらしいこと」)
 美人お姉様な魔法少女はとにかく絵になっていた。ビッグポスターを始めとするグッズ展開をしたなら、それはもう飛ぶように売れただろう。
 そんな未来が約される前に、カムイの眼差しと意識は櫻宵という愛しい存在に注がれていた。華ロリ(セクシースリット仕様)の魔法少女プリティ☆カムカムの事は、ぐいぐいと外に押し出されている。
「ほら、ホムラ! 見よ……我が花嫁たる巫女を! 湖面に佇む美しさを!! 桜仙となり更に美しさに磨きがかかった姿を!」
『ちゅん、ちゅんぴぴぃ!』
 ぽふぽふと翼を叩いて拍手して、それから翼でほっぺを押さえて左右に揺れてと、自分の言葉に身振り羽振りで同意するホムラに、カムイは優しく微笑みながら頷いた。わかるんだね、ホムラ。いいこだ、ホムラ。

 ――魔法少女ちぇりぃ❀ぶろっさりぃ、魔法少女プリティ☆カムカム――

 ぴたっ。
 忘れかけていた単語にカムイが固まり、櫻宵は「まぁ誰かしら」と頬を膨らませた。かぁいい神様の語りを邪魔しないでほしい。

 ――なぜ魔法少女となったのか、なぜ戦うのか――
 ――あなた達は、それを覚えていますか?――

 なぜ。
 カムイは櫻宵を見つめ――幸福の彩に染まった微笑を浮かべ、ホムラを撫でた。
「私は生まれたのはサヨと出会うためだったんだよ、ホムラ。桜の木の下で舞うサヨに出会い一目で戀に落ちたのだ」
 戀に落ち、抱く想いが愛だと知った。
 その言葉に、櫻宵にも同じ彩に染まった微笑が浮かぶ。
「出逢の日は今も思い出せるわ。私が散らせた黒桜が赫桜と転じてうまれてきてくれて、真っ先に私を見つけてくれた」
 そしてカムイという倖いが、自分を呪いから解放してくれた。
 呪が、祝となって咲いた。
「愛を、戀する仕合わせを教えてくれて……戦う理由、なんて簡単で複雑よ」
 くすりと咲って手を伸ばす。カムイの頬に指先で触れ、掌で包み込む。広がる温かさに、櫻宵は満開の笑みを浮かべた。
「愛する人達を守りたい。これが私なりの償いなの」
 償いに至るまで、沢山のものを傷つけて、自身も傷ついた。それでも膝をつかず、立ち上がり、こうして倖いに心が浸るのは――愛しい人魚と神と、家族と、友と。沢山の愛が、居てくれたから。
 櫻宵の手に、カムイの手がそっと重ねられる。ホムラが嬉しそうに鳴いて飛び跳ねる、つんつんとしたその心地にもカムイは笑い、頷いた。
「転生して二年と少し……愛するサヨと共に生きる世界を守る。私の愛する桜を咲かせ続ける。共に生き、共に旅をするのだ」
「ええ、そうね、カムイ。私たちの目で世界をみて、旅しましょう。私達の路を!」
「ちゅんちゅんっ! ぴぴぃっ♪」
 ホムラが嬉しさいっぱいで跳ねた時だ。二人の魔法少女衣装全体が、ぱああっと淡い虹色の輝きに包まれたのである。そして。
「うわー!!?」
 絹を裂くような神の悲鳴! 突然の出来事――衣装のグレードアップにより、逞しい両腕で自身を隠そうとする神がいた。
「い、衣装がさらに悲惨に! み、見ないでくれ、サヨ!!」
「きゃー! カムカムが更にビューティーカムカムになったわ! 国宝よぉ!!」
 目を輝かせ拍手をし、スマホを取り出し、撮らせてとおねだりする櫻宵にカムイは頷きかけるも、寸前で首をぶんぶん振った。
「サヨは美しいが私は駄目だ! 厄災だ!! 禍津ッ「禍法少女力が激上がりね!」え?」
 禍法少女力が? 上がって?
 目を点にしたカムイに、櫻宵は春爛漫の笑顔で頷いている。
「確かに、厄とは試練だ……其れを……私は超えたというのか? 此処で?!」
「美しい世界に楊貴妃も真っ青なレジェンドな禍法少女カムカム……最高だわ!! 私も負けてられないわね!」

 ――魔法少女ちぇりぃ❀ぶろっさりぃ、魔法少女プリティ☆カムカム――
 ――あなた達の愛と絆は、きっと世界を救うでしょう――

「カムイ、夜空から星が落ちてきてるわ! 二つだからきっと私達への贈り物ね」
「いけないサヨ、厄災かもしれぬ!」
「大丈夫よ。櫻仙龍と魔法少女、ふたつの力がいい感じに合わさっているみたいなの」
 ほらこの通り。すっと伸ばした手で落ちてきた何かを受け止めれば、星はぱしゃんと清らかな水の音を立てて弾け――ぽすん。
「あら、禍法少女カムカムにぴったりのティアラ」
「きみにも繊細で美しいティアラが……うわーっ!? サヨ、布が生えた!」
「ヴェールよカムイ! どうしましょう、ビューティーカムカムの美しさが留まるところを知らないわ……!」

 月光を受け煌めく二人のティアラ。そよぐヴェールは星屑を織り交ぜたように美しい。二人とも似合うとホムラが嬉しそうに飛び回り――眩い夜空で出来た世界が、とろりとほどけていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『大変態魔法少女騎士』ダンディーニ』

POW   :    可愛らしい呪文(野太い声で)
単純で重い【魔法】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ライドオンステッキ
【ステッキに跨り絶叫しながらの突撃】による素早い一撃を放つ。また、【服をパージして褌一丁になる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    レッツ!メイクアアァァァァップ!!
いま戦っている対象に有効な【魔法少女化洗脳光を放ち、新しい衣服と武器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ごきげんよう、私はダンディーニ。
 魔法少女に憧れ続け、魔法少女になれないまま騎士として死んだ男。
 でも気が付いたら……私、魔法少女になってる!?
 何が何だかよくわからないけれどこれも運命の廻り合わせ、人々に夢と希望を与える為にもまずは全人類魔法少女化を……と思っていたら、突然現れた謎の魔法少女達がつちねこを全て倒してしまったわ!
 私が設定した、素質ある子の為の異空間『試練の星月夜』も乗り越えて、パワーアップまで!
 あの少年を全人類魔法少女化の始まりにというプランは駄目になってしまったけど、愛と勇気と夢と希望が溢れるあの人達と一緒に戦えば、世界中の人々にも同じものを与えられるんじゃあ?
 そうとなれば早速世界規模のお願いを……緊張するけど大丈夫よ私、勇気を出して!

 次回、『魔法少女騎士・ダンディーニ』、第二話。
 『ここから始まる全人類魔法少女化計画』。
 運命の始まる音がする――……

●第三話💫さようなら!|第六魔法猟兵《マホマジ・イェーガー》!
「という事で皆さん、私と一緒に全人類を魔法少女にしましょう。まずは親交を兼ねた舞|闘《・》会から。大丈夫、皆さんの実力は、この『マジカルピンキーハート』を通して見させてもらったわ。さあ、今こそ互いの魔法少女|力《ぢから》を高めていく時!」
 構えられるマジカルステッキ。屈強な肉体から溢れ出す魔力と闘気。
 こうして、金髪ツインテールでカイゼル髭でバリトンボイスでムキムキゴリマッチョな大変態魔法少女騎士と、第六魔法猟兵の戦いは始まった――建設時は、遠い未来でこんな事起きるなんて思ってなかっただろう廃洋館の真ん前で!!


💫二章で入手したパワーアップ内容は好きにして大丈夫だぞ、追加もOKだぞ!
 (エフェクト増えただけじゃん系も大いにアリ)
💫ダンディーニの放つWIZのUC=新しい衣服と武器も好きにしていいんだぞ!
シャルロッテ・ヴェイロン
イェーガー・キーック!(【先制攻撃】の飛び蹴りを顔面に食らわせてる(ぇ))
――え、顔面への攻撃はNG?関係ないですよ変な噂広めるなってんですよ!

(ここで前章で手に入れたメモリをベルトにセット!直後、白を基調とした強化フォームに変身!「|超絶電脳魔法少女《エクストリームサイバーマジシャンガール》」!)

で、敵の攻撃を【野生の勘・第六感】で【見切り】つつ【連続コンボ】で攻め立てる!そしてとどめは【全力魔法】込めた必殺キック!当然敵の最期は爆発四散!――え、どう見てもジャンルが違うって?細かいことはいいんですよ事件解決できれば!(ぇ)

※アドリブ・連携歓迎


五ヶ谷・グレン
アドリブ絡み歓迎

姿は桐生絵師の全身図に毒八つ橋を武器変形でフリルとかリボン風にして追加

毒八つ橋の正体は魔女術で具現化した愛の概念。
使用感は多節棍や布槍

◼️疑問
素朴な疑問なんだか、
そちらの主張を要約するとだな。
年端もいかない幼子もだ、
つまり、戦場に立たせると言うことを言ってるように聞こえるんだが、相違無いか?

◼️ほぼステゴロ
どうも話は平行線のようだし、
お互いの主張を正面からぶつけ合い、最期に立っていた方が正しい、シンプルで由緒正しいこちらの作法だな。

UCで相手の魔法?の概念の側面を掴み逸らす、
正面からいなすとか器用なことは無理だからな、
力ずくで隙を作り愛(毒八つ橋)を正面から思い切り叩きつける!



 ダンディーニの全身から、魔力の可視化らしきオーラが唸るような低音を響かせ立ち上っていく。あれは魔法少女として音含めてありなのか? そう思いつつ、グレンは軽く手を上げてから口を開いた。
「素朴な疑問なんだが……」
「アラ。素敵な魔法少女衣装」
 着慣れた服装――に愛を体現するものがフリルやリボンといった装飾の形となり、武器として寄り添うもの――ダンディーニの言葉にグレンは取り敢えず礼を言い、言葉を続けた。
「そちらの主張を要約するとだな。年端もいかない幼子もだ、つまり、戦場に立たせると言うことを言ってるように聞こえるんだが、相違無いか?」
「その心配はないわ。全人類が魔法少女になれば、前に立つのは私達大人の役目。経験も年齢もまだまだの子は後ろで愛と勇気と希望を胸に――」
「あー、うん。わかった。どうも話は平行線のようだ」
 全人類が魔法少女になった場合、魔法少女経験値は年令問わず全員ゼロだ。ダンディーにはそこに気付いていない。
「だからこうしよう。お互いの主張を正面からぶつけ合う。最期に立っていた方が正しい、シンプルで由緒正しいこちらの作法だな」
「わかりやすくて嫌いじゃないわ」
 グレンの構えを見たダンディーニが唇に笑みを浮かべ、マジカルピンキーハートと呼んでいたピンク色のステッキを構え直した。そして戦いの火蓋が切って落と

「イェーガー・キーック!」

 ――されそうだったそこをカットしたシャルロッテの飛び蹴りは、そりゃあもう鋭かった。どれくらい鋭かったかというと、心を抉り傷跡を残すような何気ない一言レベルの鋭さだった。木に突き刺さるキツツキくらいの速さもあった。
 それを顔面で受けたダンディーニは当然吹っ飛んでいた。グワオウと魔法少女らしからぬ悲鳴と共に、廃洋館の正面ドアへ頭から突っ込んで消えた直後。シュタッ! ダンディーニに一撃見舞うと同時に跳躍し、空中でくるりと見事な一回転を決めていたシャルロッテがグレンの隣に着地する。
「どうも」
「どうもどうも」
 それじゃあ。
 ラフに挨拶を交わした二人はそれ以上の言葉を特に交える事もなく、もうもうと上がる土煙――その向こうを見つめ続ける。二人の視線と予感に応えたのは、ゆらりと現れた大柄なシルエット。
「今のキック、お見事と言う他ない技だったわ。……でも、魔法少女らしさには少々欠けているように思えるわね。挨拶もなしにキックというのも良くないわ」
 当然だがそのシルエットはダンディーニだった。ノンノンと立てた人差し指を左右に振るそこからシャルロッテに視線を移したグレンは、緩やかに数秒前を振り返る。
(「キックって言ってたな」)
 しかし魔法少女が飛び蹴りをしていけない理由があるだろうか?
 否!
 そして大事なことがもう一つ!
「関係ないですよ変な噂広めるなってんですよ!」
 シャルロッテはダンディーニの主張を両断すると得たばかりの力――あのメモリをベルトにセットした。メモリが強く光り輝き、溢れた力がシャルロッテの姿を変えていく。現れた色は白。より眩いその姿、シャルロッテの強化フォームの名をベルトが告げる。
『|超絶電脳魔法少女《エクストリームサイバーマジシャンガール》!』
「ということで、ちょっくら倒させてもらいますよ!」
「来なさい! 貴方の魔法少女力、楽しませてもらうわ!」

 クルクルクル――パシッ!
 ぴかぴかきゅぴぴーんっ☆

 新体操のバトン競技のように華麗に操られたマジカルピンキーハートのハート部分から、四方八方へ光が放たれた。その光は明るく、綺麗なピンク色をしていたのだが。
「ト! キ! メ! キ! エターナル☆バーストオオオォォォォッ!!!」
 大地を震わす野太い声。たった一蹴りでミサイルの如く飛び出したダンディーニ。その手が握り、振りかぶったマジカルピンキーハート。そこに宿るのは、過去から這い出てくるほどの魔法少女に対する情熱と執念、そして得た魔力と培ってきた筋力だ。
 それらをこれでもかと込めた一撃が、凄まじい圧を放ちながら猛スピードで迫ってくる。体感にして一瞬。――それを、ぱしりと掴んだ手があった。
「なっ……!?」
「せっかく魔法?を使ってくれた所を悪いが……力ずくで、やらせてもらう!」
 祈りも願いも、形の有無までもを掴むグレンの手がマジカルピンキーハートを押しのけ、驚愕に目を瞠るダンディーニの顔面目掛け、『愛』を叩きつけた。
 べしいっ! 肌を叩く音は飛び蹴りとはまた違った鋭さで、しかもピリピリする。訝しむ相手の表情にグレンはけろりと言った。
「毒だからな」
「え、嫌ッ!」
「何言ってんですかこの世はキレーなもんばっかじゃないんですよ! ほらほらほら!」
 反撃の気配が覗いたそこにシャルロッテが次々に叩き込む拳、蹴り。相手に自由を与えないまま腹部にずどんと拳を叩き込み――バッ! 高く高く跳躍してからの構えは、顔面に挨拶を決めたアレとほぼ同じ。
「はあああーーッ!」
「ぬぐおおおぉぉっ!?」
 必殺キックといえばこう。気合の声と共に今度は胸部に叩き込んだシャルロッテは、ドカバキと樹々を倒しながら吹っ飛んでいく大変態魔法少女騎士を笑顔で見送り――。
「ところで思ったんだが……魔法少女ってジャンルと、どう見ても違ってきていないか?」
「え? 細かいことはいいんですよ事件解決できれば!」

 ほらよく言うでしょう。
 次回へ続く――って!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

杜崎・紅祢
ひらひらと、若葉を振りまきながら登場
――見つけた
見つけました、間違いなく貴方が全ての元凶!
何が魔法少女ですか少女の意味わかってますか!
俺三十路ですよふざけるな!

怒り+ダンディーニのパワーで更に衣装と武器が進化
鎧っぽいパーツが増えたり、剣がステッキになったり
発動体には変わりないと思われるので、そのまま風の属性攻撃を
スカートが捲れようが気にせずに風の刃を飛ばしつつ
周囲に散った若葉をダンディーニの周りへとこっそり運んでおく

よし、終わりにしましょうそれが良いですもういい加減着替えたいんです
怒りを込めて投げつけたペリドットをきっかけにして光刃結界発動
そこまで言うなら特大の必殺技、くらわせてあげます!



「ふうむ……まさか、トキメキ☆エターナル☆バーストを直接掴まれるなんて……それにあの必殺キック……彼らは素晴らしい魔法使」
「――見つけた」
 ダンディーニの視界にひらひら振ってきた明るく柔い緑色。耳に届いた、冷えた声。
 試練の星月夜にてパワーアップした衣装を翻し降り立った紅祢は、凄まじい攻撃を食らった後らしきダンディーニが、いわゆる女の子座りをしていた事には一切触れなかった。
 重要なのはそこではない。正すべき点は他にある。
 ぐっと結んだ唇を開き、普段柔らかに笑む目は――猛烈に怒っていた。
「見つけました、間違いなく貴方が全ての元凶!」
「?」
「何キョロキョロしてるんですか貴方ですよ貴方!」
「この私、魔法少女騎士・ダンディーニが何の元凶だと?」
「何が魔法少女ですか少女の意味わかってますか! 俺三十路ですよふざけるな!」
「ンまっ! 大丈夫年齢なんて志の前では些事だわ! 私が死んだ時の年齢は――」
「そこは! どうでも! いいです!」
 現状と元凶への怒り、魔法少女化への拒絶を腹の底から響かせた紅祢の勢いに、ダンディーニがちょっと呑まれていた。しかし相手は全人類を魔法少女にすべく骸の海から這い上がってきた男、いらんやる気というものに満ち溢れていたのである。
「その怒り、晴らしましょう。レッツ! メイクアアァァァァップ!!」
「は?」
 晴れるとしたら貴方を倒した時ですがという顔をした紅祢が見たのは、マジカルピンキーハートをぎゅっ☆ と抱いてウインクしたダンディーニと、ステッキからどばばと溢れた輝くお星様。海が過ぎれば――肩をファンタジックな鎧らしきパーツが覆い、剣はステッキへ。
 予想も回避も不可能なニ回目の強制パワーアップに、紅祢の目は見開かれ――据わる。
 他の衣装はそのままだ。思い切り走り、跳躍すれば、裾が翻ってスカートが捲れるが、どうでも良かった。気にせず動き回る紅祢が次々放つ風がダンディーニの肌を裂き、枝葉を巻き上げ、視界を塞いでいく。
「ウッ見事な撹乱……ぺぺッ、草が口に入ったわ! 貴方はそう、補助系も行ける魔ほ――ウェッペペッ!」
「そうですねじゃあよし、終わりにしましょうそれが良いですもういい加減着替えたいんです」
「大丈夫よ! さ、貴方の魔法少女ぢからをもっと見せ……ハッ!?」
 目元や口に張り付いた草をせっせと取っていたダンディーニは、ふいに飛び込んできた煌めく緑に目を見開いた。これは――宝石だ。明るく鮮やかな美しいペリドットが――額ど真ん中に投げつけられた。
「ヴッ!!」
「そこまで言うなら特大の必殺技、くらわせてあげます!」
 瞬き数秒の間に翔けた光の軌跡が檻の完成を告げる。そこに閉じ込められたダンディーニが「ぬうん!」と顔の前で両腕を交差させるが――強化と怒りを得た紅祢が降らせた光刃の雨は、マッスル防御を易々貫くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
【白蛇衆】
心情)(人間の美醜感覚を持っておらず、愛らしい女子魔法少女だろうがむくつけき男性魔法少女だろうが等しく"ヒト"としか感じないので、召喚したライオンに乗って廃洋館探索などしていたが呼ばれたので戻ってきて) はいはい何ンだい魔法少女フレンズ。うんうん、それもまたヒトの選択だね。いいンでねと言いたいトコだが、ダンディーニの坊やよ。お前さんは《過去》、死者だ。つまり…魔女に成ったことに気づいていない魔法少女なのさ。(強弁)倒すしかねェな。
行動)召喚したライオンを全員の肉盾に使いつつ、咆哮でアイビスとシカノコンの魔法を強化するよ。正義の魔法少女が勝つモンさ。たぶんな。


深山・鴇
【白蛇衆】

多様性の時代って奴だね(雲珠君の賛美を聞きつつ)
奇遇だね、俺も彼…彼女?の言っている事は全くわからないよ
っていうか変態って言ってないか?
あれ多様性がどうこうじゃなくって変態だね??夏だなぁ

落ち着くんだシカノコン
全人類だろう?老若男女問わずだろう?大惨事だぞ??
それにね、魔法少女になりたくないって人もいるはずだ
全人類魔法少女になりたがってると思ったら大間違いだ、ダンディーニ!
ほら、ラスティネイルも何か言ってやってくれないか
なるほど魔女、それなら遠慮もいらないな
さっさと倒してうちに帰ろう、それでかき氷でも食べよう
夢かわリップ風の刀で斬って終いだよ!
(夢かわエフェクトモリモリの斬撃)


雨野・雲珠
【白蛇衆】

お手入れされてつやつやの長い髪…
きちんとした仕立てのお衣装…
なにより、あの鍛え上げられた鋼の肉体!
俺にはわかります、あれはたゆまぬ努力の結果だと。

まあ仰ってることは全然わかりませんが…

そもそも全人類が魔法少女になったら
魔法少女の概念そのものがなくなっちゃうのでは…?
うっ…魔法少女がげしゅたると崩壊してきました

役割を務める一方でなりたいものになれなかった切なさ
それを経て今がある…お察し致します
けれどあなたの企みはここで終わりです!
必殺!シカノコンアロー!
(光がぶわーっと集束して放たれるかんじで)

ふぅ…やりましたね!アイビス、ラスティネイ…
(そっと目を逸らす)
…これ、元に戻るでしょうか…



 他の魔法少――猟兵による容赦ない攻撃から少しして。光の雨発生地点からやって来たのだろう。屈強な肉体をピンクと白のマジカルガーリィな衣装に包んだ、金髪ツインテールでカイゼル髭の男が現れる。
 一般人ならば思考回路がショートするか悲鳴を上げてしまうその姿、鋭い眼光。しかしここにいるのはそんなか弱き人々を守る存在、|第六魔法猟兵《マホマジ・イェーガー》のみ!
 最初に口を開いたのは、震える瞳にダンディーニを映していた雲珠だった。「次の舞闘会のお相手は、貴方達ね」とマジカル(略)(以後ステッキ)が構えられた瞬間、震えていた瞳にキララッとお星様が散る。ほっぺも薄桃色だ。
「お手入れされてつやつやの長い髪……」
 ふぁさりーんッ☆
「きちんとした仕立てのお衣装……」
 ぴかぴかふわり☆
「なにより、あの鍛え上げられた鋼の肉体!」
 ムキムチゴリッ☆
 1カメ2カメ3カメと変わりながらアップで映った各所、最後は誇らしげに胸を張るダンディーニで終わったそこは、ピュアな眼差しで拍手する雲珠で締められた。
「俺にはわかります、あれはたゆまぬ努力の結果だと」
「多様性の時代って奴だね」
 令和だなーと遠いような近いような眼差しでいる鴇の言葉に、雲珠はそうですねと笑み――すんっ。キラキラお星様が引っ込んだ。
「まあ仰っていたことは全然わかりませんが……」
「奇遇だね、俺も彼……彼女?の言っていた事は全くわからないよ。っていうか変態って言ってないか? あれ多様性がどうこうじゃなくって変態だね??」
 元々抱えていた憧れが死んだ事で解き放たれてしまったのだろうか。別に詳細は知りたくないのだが。するとダンディーニが、こくん、と静かに頷いた。
「そう、魔法少女に憧れたまま騎士として殉じた私は大きく変わったわ……」
 あ、|そっち《変体》で使ってるのか。
 鴇は空を見上げた。燃えるように鮮やかな青色だった。
「夏だなぁ」
「もうすっかり夏ですねぇ。……あれ? 待って下さい。そもそも全人類が魔法少女になったら、魔法少女の概念そのものがなくなっちゃうのでは……?」
 全人類が魔法少女になる事で一般人という概念がなくなり、魔法少女イコール一般人になるのだから、一般人と魔法少女の境目がなくなるつまり魔法少女という存在が当たり前になった場合は魔法少女という文字と言葉と意味と――。
「うっ……魔法少女がげしゅたると崩壊してきました」
「そんなに魔法少女の事を考えてくれるなんて……嬉しいわッ!」
 ダンディーニはステッキのハートからズボッとレースのハンカチを取り出し、目元の涙をそっと拭う。収納スペースにもなっているらしい。便利だ。
「落ち着くんだシカノコン。全人類だろう? 老若男女問わずだろう? 大惨事だぞ?? それにね、魔法少女になりたくないって人もいるはずだ」
「そう? 格闘系なら肉体で直接魔法を叩き込めて、騎士系なら剣に魔法を乗せて斬る事が出来る。銃を使う魔法少女だっているわ。その魅力に抗える男の子はいるかしらね?」
 違うそうじゃない。鴇は笑って溜息をついた。
 ダンディーニが語ったそれは、最近の一部インターネットでバズっている『男の子ってこういうの好きでしょ?』というアレだが、全人類が揃って『こうなりたい』ものなどそもそも存在しない。
 寿司が嫌いな日本人は最低でも一人はいるし、ギラギラチョコレート色の炭酸飲料やピザが嫌いなアメリカ人だって最低一人はいる。そういう事だ。という事で。
「全人類魔法少女になりたがってると思ったら大間違いだ、ダンディーニ! ほら、ラスティネイルも何か言ってやってくれないか」
 シーン。
「……おーい、ラスティネイル」
「はいはい何ンだい魔法少女フレンズ」
 のしのし。最初の舞闘会でダンディーニが破壊したそこから現れたのは、ライオンに乗った幼い逢真だった。
 ムキムキゴリマッチョで魔法少女騎士だという成人男性も、逢真にとっては他の人類種と同様に“ヒト”である為、そうかそうか、それじゃァ中を覗かせてもらうかねと、因みに正面扉が破壊されてからずっと探索していたのだ。そして呼ばれて戻って――かくかくしかじか。成る程なァ。逢真は緩やかに笑みを浮かべ、数回頷いた。
「うんうん、それもまたヒトの選択だね。いいンでねと言いたいトコだが、ダンディーニの坊やよ」
「何かしら。魔法少女ラスティネイル」
「お前さんは《過去》、死者だ。つまり……魔女に成ったことに気づいていない魔法少女なのさ」
「なっ!? この私が、ま、魔女!?」
 魔法少女とは別の存在。逢真の強弁オブ強弁にダンディーニがわなわなと震え、その額に、逞しい腕に、びきびきと血管が浮き出た。魔法少女がそんな顔しちゃダメよ? 愛らしい魔法少女の笑顔は一瞬。すぐに堂々不敵な神兼魔法少女の笑みになる。
「倒すしかねェな」
「なるほど魔女、それなら遠慮もいらないな。さっさと倒してうちに帰ろう、それでかき氷でも食べよう」
「舞闘会後にスイーツ親睦会なんて素敵ね。でも、私を魔女と言った事は……許せないわ!」
 ビシイッ!
 三人を指したマジカルピンキーハートに、ゆらゆらズゴゴとオーラが纏わりついていく。
「魔法少女がどういうものか。私がどんな魔法少女騎士か。貴方達に、たっぷりと伝えてみせる!! 行くわよッ!!」

 レッツ! メイクアアァァァァップ!!

 それやったらステッキ折れない? という迫力で抱きしめられたステッキから、ぴかぴか眩しいお星様の海が溢れ出す。全体攻撃かと雲珠と鴇は身構え、逢真は愉快げに目を細め――。
「……ほーォ?」
「香水瓶? 回復アイテムかエンチャント付与アイテムかな?」
「見事な意匠ですねぇ」
 逢真を乗せたライオンには、赤い宝石が嵌められた大きな漆黒ティアラがキラリッ。
 鴇と雲珠の手には、輝石の花咲く香水瓶がころり。
 取り敢えず使ってみようと一吹きすれば、爽やかな香りと一緒に身が軽くなってきた。回復の必要はない。ならば、と思案する鴇と雲珠の耳に再び野太い声が響く。
「魔法少女は奪うのではなく守り、与えるもの! さあ行くわよッ!!」

 ハートフル☆ドリーミン☆ストーム!!

 呪文は可愛いが、響いた声の野太さとステッキが纏う魔力の濃さ(周囲の空気をぐんにゃり歪めている)は全くもって可愛くない。
 当たればつちねこ達の後を追う事になりかねない一撃が繰り出された直後。ダンディーニが地面を蹴ったその僅かな瞬間に、容易く割り込んだのは――。
「そ、そんな! ハートフル☆ドリーミン☆ストームに耐えた……!?」
「やる気があるのは悪かないがな」
 そぅら。お前さんの出番だ。
 飛び出し他ライオンが雷のような咆哮を轟かせる。それは協働者の為の音色、己の思惑で世界を塗り替えようとする魔女の前に立ちはだかった、魔法少女達への餞別だ。
「正義の魔法少女が勝つモンさ。たぶんな」
 大きさを増したライオンの背の上で逢真は笑い、その背後から二つの気配が鮮やかに飛び出した。夢カワリップソードに撫でられた空気に虹色の帯が浮かび、ひらひらはらりと白桜の花弁が輝き舞う。
「行って、魔法少女アイビス! 魔法少女シカノコン! 二人なら出来るわ!」
 パワーアップと、とっても可愛らしい笑顔。ふたつに背中を押された二人の魔法少女は空中で笑みを交わし、討つべき魔女へと力を解き放つ――!
「言ってわからないなら、こうしてわからせるしかないな」
「役割を務める一方でなりたいものになれなかった切なさ。それを経て今がある……お察し致します。けれどあなたの企みはここで終わりです!」

「必殺! シカノコンアロー!」
「夢は夢のまま、終いにしてあげよう!」
「ぬゥわああああああああああああッ!!?」

 滑空するように迫った二人の一撃は一瞬。
 射った力へと収束して迸った白桜の大波がダンディーニを呑み、その白い輝きごと、ユメカワレインボーな刀が盛大にキラキラハートを溢れさせながら両断する。そうして花びらもハートも、ぽんっ♪ と弾けて舞い散ったそこには――。
「おゥおゥ、白目向いて鼾かいてンな」
「魔法少女と名乗るにはなかなか豪快……」
「ふぅ……やりましたね! アイビス、ラスティネイ……」
 きらっ。清々しい笑顔で雲珠は締め括――ろうとして、そっと目を逸らした。 
「……これ、元に戻るでしょうか……」

 ちょっぴりの不安を抱えたその頭上に広がる空は、どこまでも青かった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザクロ・シャハブ
『…味方にはなれない。』
頭を横に振り
『お前は諸悪の根元に憧れを利用され、悪用されてるんだ。目を覚ませ』
ニチアサみたいな説得をしてみるが無駄かもな

『…戦うしかないな』
特に未練無くメリケンサックを嵌めて殴りかかるぞ
その間にUCの数字のチャームを辺りに落とす。気づかれないように大振りにして俺を【悪目立ち】させる

敵の攻撃内容に(魔法少女とは?)と首をかしげつつもチャームを落としきった瞬間後ろへジャンプしてから起爆
当たらなくてもキャロリング・ポッカンで【制圧射撃】だ
『マジカル☆弾』

…魔法少女って大変なんだな(しみじみ)



「魔法少女の証明も出来ずに夢の世界へ|誘《いざな》われてしまうなんて……生前の鍛錬と、死した後に覚醒めてからの鍛錬だけでは、魔法少女としてまだまだ未熟という事……!?」
 大の字スリーピングゴリマッチョからウェイクアップ。目を覚まし早速悔しがり、己を見つめ恥じていたダンディーニの目が、微動だにしない赤色の視線――試練の星月夜を超え、装いも力もパワーアップした魔法少女・ザクロに気付きハッとした。
 すっくと立ち上がると魔法少女衣装に付いていた葉っぱや土を払って落とし始める。後ろも頑張ってチェックした後、金髪ツインテールを華麗にファサッとして微笑んだ。ダンディだった。
「ごきげんよう、魔法少女・ザクロ。貴方は私のライバルかしら? それともお友達?」
「……悪いが、俺は味方にはなれない」
「……そう」
 サアァ――……。切なくも生暖かい夏の風が吹き、金髪ツインテールとザクロのゴスロリ魔法少女衣装をなびかせる。ザクロの目がほんの一瞬ぴくりとして、けれどそれは元々無かったかのように消え、無表情になった。
「お前は諸悪の根元に憧れを利用され、悪用されてるんだ。目を覚ませ」
「いいえ。私の想いは、他の誰かに弄られてなどいないわ」
 自分を見る瞳、そこに宿る炎にザクロは短く息を吐いた。出来る事はやり尽くした。
「……戦うしかないな」
「そうね。私と貴方の想いも、やる事も、変わらないのだから」
 構えられるステッキ。ザクロも攻撃的デザインのネックレスを外し、いい具合に開いていた穴へと迷わず指を通した。
 二人は黙したまま見つめ合う。生暖かい風と静寂だけが場を満たし――蝉の声がンミンミンミンとじんわり加わった瞬間、二人はほぼ同時に地を蹴った。
「レッツ! メイクアアァァァァップ!!」
 ステッキ抱きしめウインク一発、きゅるりんと現れたお星様がズッシンと地面にめり込むまでの僅かな間。どぱんと溢れたお星様の海をザクロは大きくジャンプして躱し、自らの拳で決着をつけようと派手に飛びかかった。
「そうはいかないわ!」
「む、なかなかいいステップだ」
「ありがとう! レッツ! メイクアアァァァァップ!!」
「何の」
「貴方のステップもなかなかね、情熱的なフラメンコのよう」
「だろう。さあゆくぞ覚悟しろ」
「それは私の台詞! レッツ! メエェェイク、アアァァァァーップ!!」
 三回目の星の大波を見てザクロは思った。魔法少女の勘だが、あれはどうもこちらを魔法少女脳にし素敵な衣装と武器もくれるようだ。
(「魔法少女とは?」)
 奥が深いな。首を傾げ、ぽとり――最後の仕込みを済ませれば舞台は整った。華麗に後ろへ跳び、仕込んだ数字達が一斉に起爆して巨躯の魔法少女を呑む。
「むうぅっ!? いつの間に!」
「お前と踊っていた間に少々。では――マジカル☆弾」
 肩に担いだ人参形回転銃から雨霰と降り注ぐは殺傷力の高いポン菓子弾。野太い悲鳴と爆発にザクロは背を向けた。この戦いで得たものが、一つある。
「……魔法少女って大変なんだな」

 しみじみとした声は青空に消え――次の舞闘会が、始まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、謎の声さんが言っていたように|アツイ《熱い》展開になってしまいました。
それにいろいろと|アツソウナ《熱そうな》人が現れました。
ですけど、謎の声さんが言ってたのってこっちの|暑い《アツイ》じゃないんですか?
えっと、あの人と戦って勝てばいいんですよね。
えっと、サイコキネシスで……。
ふええ、魔法以外禁止って、アヒルさんそれは……。
じゃあ、お人形の魔法です。
ふええ、私の運動センスがゼロって、仕方ないじゃないんですか。
魔法少女は運動も出来なきゃダメって、それにこの構図は私の方が敵役って、完全に私のピンチじゃないんですか。
ふえ?ここはアヒル勇者の出番って、武器のアヒルさんも2倍の大きさなんですね。



「駄目ね、やっぱり私は全人類魔法少女化計画を諦められない。私は、世界を愛や勇気や希望とかで満たしたい!!」
 爆撃でも受けたのかというレベルの攻撃後、もくもく上がる煙の中から現れたダンディーニの言葉は何というか――。
「ふええ、謎の声さんが言っていたように|アツイ《熱い》展開になってしまいました」
 物陰から窺っていたフリルは肩を震わせた。いろいろと|アツソウナ《熱そうな》人が現れ、様々な猟兵もとい魔法少女と技や拳を交わしてと、とにかくアツイ。でも。
(「謎の声さんが言ってたのって、『|暑い《アツイ》』じゃないんですか?」)
 フリルは困りながらも、現状をしっかり捉えていた。
 とにかく、あの筋肉が凄い髭の人と戦って勝てばいい。
「えっと、サイコキネシスで……」
『クワグワ!』
「ふえっ」
 アヒルさんにぺちっと叩かれた。見ると、アヒルさんが両翼でバツを作っている。
「ふええ、魔法以外禁止って、アヒルさんそれは……。じゃあ、お人形の魔法です」
「あら。魔法少女フルフリフリルはお人形の魔法を使うの? 素敵ね」
「ふええ!?」
 驚いて飛び跳ね、慌てて飛び出して。振り返れば、ステッキを手にしたダンディーニが立っていた。次は貴方ねと向けられたステッキのハートの部分が、ぴこんぴこんと明滅している。
「ふふふ、貴方達仲がいいのね。それじゃあ早速、力を高め合いましょう」
「……ふえ?」
 何が“それじゃあ”なんですか?
 嫌な予感がしたフリルに対し、ダンディーニがゆらりとステッキを構えていく。ピンク色の可愛らしいステッキの周りが歪む。それは視認出来るほどに練り上げられた凄まじい魔力圧だった。
「行くわよっ、魔法少女フルフリフリル! 貴方の力、見せてちょうだい!」
「ふ、ふええっ、早くお人形の魔法を……!」
 慌てて逃げ出せば運良く一撃目を躱せたものの、ズゴオンと轟いた音が怖くて振り返れない。それでも頑張って逃げるフリルに、ダンディーニがドリームやらメルヘンやら付いた呪文を野太い声で響かせて――。
『グワ! グワッワッ!』
「私の運動センスがゼロって、仕方ないじゃないんですか。今すぐ何とかできるものでもないんですよ」
 するとアヒルさんがグワグワ反論する。曰く、魔法少女は運動も出来なきゃダメだし、この構図はフリルの方が敵役みたいだし――って、完全にピンチでは?
『グワ!』
「ふえ? ここはアヒル勇者の出番って……」
 ぴょーんとダンディーニ目掛けジャンプしたアヒルさんに、フリルは慌てて力を放った。そうだ。これなら武器のアヒルさんも――!
「んまーっ! 巨大化魔法ね、素晴らしッ!」
「ふええ、何か喜ばれてます~!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャト・フランチェスカ
◆綴縁

ごきげんよう! ダンディーニ卿
挨拶は大事だと古文書にも書いてあるからね

やけに属性が渋滞していて困るけど
創作者として、そして魔法少女として問いたい
きみが魔法少女に拘る理由は何?
少女じゃないとダメだった…?
本当に…?
なんで…?
とても興味深い気がしないでもない(険しい顔)

生きていれば誰しも既に戦いの渦中に在るものだ
しかし希望は押し付けるものではないよ
救いたいばかりでは、それはきみのエゴだ

起承転結の“結”を見届けよう

部分的には彼に感謝もしている
あまりにもトリッキーではあったけど
縁とこうして共闘できたのは得難い機会だったし
とはいえ“帰ってきた第六魔法猟兵!”のお約束は遠慮しておきたいね


結・縁貴
◆綴縁

你好、|帅哥《お兄さん》!
いや、魔法少女だから小姐かな?
俺は人の信念の御話が好きだけれど
その御話は聞かなくてもいいんじゃ?

そうして魔法少女に憧れたんだね(棒読み)
まァ俺もこうして魔法少女化した訳だけど、共感は出来ないかな
俺の理想は此れでは無いからね
さて、理想、憧れ、魔法少女を信じる信念…
俺が斬れない程、強い?(バチン、と異能の刃で断ち斬る)

改めて尋ねよう、
「お前は何に憧れていたんだ?」
はは、覚えられない理想も空虚だよねェ!
俺の異能は永続しない
しばし迷子になっておいで、倒してくれる相手に巡り合うまでさ

はは、背中合わせも悪くないね!
また違う機会に是非
やだなァ小姐、それ、フラグって言うんだよ?



 自分達の前に踊った相手と楽しい時間を過ごしたらしい。ふうっ、と清々しい一息を吐いたダンディーニの横顔は、キラキラとしたスポーティな笑顔だった。
「ごきげんよう! ダンディーニ卿」
「你好、|帅哥《お兄さん》! いや、魔法少女だから小姐かな?」
「あら、ご丁寧にありがとう。ごきげんよう。操觚猟兵、操縁猟兵」
「挨拶は大事だと古文書にも書いてあるからね、当然さ」
 悠然と微笑んだシャトにダンディーニがこくりと頷く。
 ――どんな古文書だ?
 騎士として死んだという事は相当大昔だろう。そこも含めて、頭に『大変態』が付く魔法少女騎士は、見た目も中身も属性デパート新規開店大渋滞。シャトの正直な気持ちは“そんなに渋滞していては困る”のだけれど――触れずにはいられなかった。
「創作者として、そして魔法少女として問いたい。きみという存在について」
 Oh。ダンディーニが申し訳無さそうにこぼし、サイドヘアを指先でつまむ。
「戸惑わせてしまったのね、申し訳ないわ。でも気付いたらこの姿で覚醒めていて……きっとこれが私の|運命《さだめ》、魔法少女としての――」
「ああうんそうだね。だからこそ問いたい。きみが魔法少女に拘る理由は何?」
 物凄く自然に長くなりそうな話を上手いこと止めたシャトの眼差しが、真剣さを増す。
(「少女じゃないとダメだった……? 本当に……? なんで……?」)

 ――それは。
 ――とても興味深い気がしないでもない。

「シャト小姐、険しい顔してるとこ悪いんだけどさ。俺は人の信念の御話が好きだけれど、その御話は聞かなくてもいいんじゃ?」
「そう。あれは私が討伐任務の帰りに訪れた町での事だったわ……」
 始まってしまった。
 長くなるのではと耳をぺたりとさせた緑貴だが、以外にもダンディーには短く纏めてくれた。
 町にいた子供達のごっこ遊びで魔法少女というものを知り、その時の子供達がとても楽しそうで幸せそうだった事。それが――ダンディーニに眩しきものとして永遠に刻まれたのだと。
「そうして魔法少女に憧れたんだね」
 緑貴は棒読みで頷いた。
 それがどうしてこうなったわけ? いや、そこも語ってもらう必要はないのだが。
 尻尾の先で地面をぺそぺそさせる隣で、シャトは納得したように頷いた。
 遠い日に抱いた憧れを今も抱き続け、手放さない理由。成る程、成る程。
「生きていれば誰しも既に戦いの渦中に在るものだ」
 戦いの形は様々で、そこにかかる真剣さの度合いも違う。だからこそ、日々の中で見つけた希望という光は眩しくて――。
「しかし」
 シャトは薄く微笑み、きょとりとするダンディーニを見る。
「希望は押し付けるものではないよ」
 その言葉に、だよねと緑貴がけらりと笑った。
「まァ俺もこうして魔法少女化した訳だけど、共感は出来ないかな」
「……何をどう感じるかは人それぞれね、わかってるわ。でも、教えてもらってもいいかしら?」
「いいとも」
 緑貴は、軽やかで親しみの持てる笑みを浮かべ、続ける。
「俺の理想は此れでは無いからね」
 シャトの魔法少女姿といった、色々と貴重であったり、愉快な出来事は起きたけど。
 何もなかった手に冷たく硬質な物が収まる。ぱちん。軽く鳴らせば、合わせた刃が綺麗な音を立てた。
「操縁猟兵、それが貴方のマジカルウェポンね。興味深いわ!」
「あはは。興味持っちゃう? どうなっても知らないよ」
 異能で呼び出した此れは只の鋏ではないのだもの。
「さて、理想、憧れ、魔法少女を信じる信念……俺が斬れない程、強い?」
 笑って駆け出した緑貴にダンディーニが嬉しそうに笑う。カイゼル髭を指先で撫で、ピンクハートが可愛らしいステッキを逞しい両腕でぎゅむっと抱きしめた。
「行くわよ! レッツ! メイクアアァァァァップ!!」
 パッチィーンッ!
 力強いウインクも付いた呪文詠唱の直後、ステッキから大量の星が煌めきながら溢れ出た。メルヘンでマジカルなそれは、呑まれれば心がより魔法少女に染まり、同時に衣装や武器を贈ってくれるだろう。
 けれどその波の音に、バチンと容赦ない音が割り込んだ。
 断ち切られた布のように、星の大波が割れて、たわんで、萎れながら消えていく。
「ンまぁ……!」
 素直な驚愕に緑貴は目を細め、改めて尋ねた。
「お前は何に憧れていたんだ?」
 魔法少女に。
 ――ほんとうに?
「はは、覚えられない理想も空虚だよねェ!」
「失礼ねっ、私の理想は……空っぽではないわ!」
 今の間は何だい。シャトは短く息を吐き、懐から魔法少女への覚醒め、その切欠となった万年筆を取り出した。ペン先をぴたりと空中で止めれば、そこに、世界に干渉するインクが滲み出す。
「救いたいばかりでは、それはきみのエゴだ」
 つう――。
 文字を書く時よりも大きく、勢いは滑らかに。“書いた”そこから世界が桜の花びらへと解けて崩れ、その向こうに違う景色が覗きだす。
「さあ――起承転結の“結”を見届けよう」
「これは……? ハッ、いけない! 私を驚異的な魔法少女と見て封印しようと!?」
 慌てて飛び退こうとしたダンディーニに、緑貴は前向き思考だねと呆れたように笑った。だからこそ、死後こうして現れてしまったのかもしれない。
 金髪ツインテールにカイゼル髭。特徴的過ぎる姿が迷宮の中へ完全に閉じ込められる直前。緑貴はひらりと手を振って別れを告げた。
「しばし迷子になっておいで、倒してくれる相手に巡り合うまでさ」

 ――こうして、『大変態魔法少女騎士』ダンディーニは封印されたのでした。
 ――めでたし、めでたし。

「なんてね」
 シャトは迷宮が閉じた後、元々の景色だけが広がるそこを見て微笑む。
「部分的には彼に感謝もしているのだよ。あまりにもトリッキーではあったけど。縁とこうして共闘できたのは得難い機会だったし」
「はは、背中合わせも悪くないね! また違う機会に是非」
「検討しておこう。とはいえ“帰ってきた第六魔法猟兵!”のお約束は遠慮しておきたいね」
「やだなァ小姐、それ、フラグって言うんだよ?」

 タイトルの後に『リターン』や『ウルトラマジック』が付いて帰ってくるのか否か。
 全ては、運命だけが知っている――☆彡

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

百鬼・智夢
【対の華】
※パワーアップ衣装お任せ

私も、魔法少女は…あの……反対は、しません…
でも…希望者だけに、しておいては……
す、すす素敵な衣装を頂いてしまった手前、言いづらいのですけど…!

戦うしか、ないんですね
リアム、お願い

テディベアを媒介に呼び出した善霊達に霊的防護をお願いし
破魔を乗せた薙刀のなぎ払いで戦います

私も今は魔法少女なら…飛べたり…するんでしょうか…(お任せ

気配感知と聞き耳で動きを探り
情報収集で隙を見つけUC発動
魔法少女(?)さんの五感を奪い動きを封じます

幼児化の反動で落ちてきた澪君を慌てて受け止め
可愛い…なんて言ったら怒らせちゃうでしょうか…

大丈夫ですよ
今のうちに、逃げちゃいましょうか


栗花落・澪
【対の華】
※ズボン衣装でお任せ

魔法少女が悪いとは言わない
正義のために戦う姿は素敵だと思うし、可愛らしくて良いと思う
でも押し付けは良くないです
なにその全世界魔法少女化計画って老若男女全部入りですかこちらの意思は無視ですかなりたくないって言われたらどうするんですか(一息

というわけで
折角憧れを叶えたところ悪いけど
ちょっと方向修正させていただきますね

翼の空中戦とダンスの要領での素早い回避
オーラ防御でなるべく囮になりつつ高速詠唱で氷魔法の属性攻撃
凍結で動きを鈍らせる狙い

僕は魔法少年!です!

百鬼さんがUCで作ってくれた隙を狙い彩流星で攻撃

うぅ…ごめんなきりしゃん…
おしぇわ、なりましゅ(落ち込む幼児



 同じ魔法少女もとい猟兵が作り出した迷宮。その中に果敢に飛び込んだ猟兵は二人。
 天使のような魔法少女と、メイドのような魔法少女。それが、ダンディーニの出会った第六魔法猟兵だった――。

「場所が変わっても私の目的は変わらないわ。さあっ、舞闘会を続けましょっ」
 目を輝かせ、やる気を漲らせ、ピンク色のステッキをぶんっ。
 軽く振っただけだろうそこに低く唸るような音がして、あの筋肉は飾りではないのだと澪は感じていた。同時に、ダンディーニという魔法少女――ううん、少女? ――そこには疑問符が添うものの。彼の、在り方も。
「魔法少女が悪いとは言わない。正義のために戦う姿は素敵だと思うし、可愛らしくて良いと思う」
「まあ嬉しい、ありが――」
「でも押し付けは良くないです。なにその全世界魔法少女化計画って老若男女全部入りですかこちらの意思は無視ですかなりたくないって言われたらどうするんですか」
 これまでの色々なものが積み重なった一息。智夢は心配そうに澪を見た後、おずおずとダンディーニの方を見た。
「私も、魔法少女は…あの……反対は、しません……。でも……希望者だけに、しておいては……」
「希望者だけ?」
 ダンディーニの視線が澪に向く。それはきっと、ただ見ただけだ。けれどダンディーニの眼光は鋭く、鍛え抜かれた体は大きくて圧迫感があり、何より視線を向けられたのは智夢だ。結果、智夢の肩が小さく跳ねる。
「す、すす素敵な衣装を頂いてしまった手前、言いづらいのですけど……!」
「大丈夫だよ百鬼さん。僕も一緒だから」
「……はい。ありがとうございます、澪君」
「どういたしまして。……というわけで。折角憧れを叶えたところ悪いけど、ちょっと方向修正させていただきますね……!」
「そうね、私と貴方達との舞闘会をしなくっちゃいけないわね!」
「もー! そうじゃなくって……!」
「キエエエエェェェーーーーーーイッ!!」
「わーっ!?」
 どぅんッ!
 ステッキに跨ったダンディーニのスピードと響く絶叫。まず智夢ではなく自分を狙って来た事に澪は安堵しつつも、その迫力――というか絵面につい驚き、声を上げていた。
 しかし咄嗟に翼を広げ躱し、そのまま上へと鮮やかに舞う。その後をダンディーニが絶叫を響かせて、更にステッキ全体に濃密な魔力を纏わせ追いかけて来るが、澪は空中で何度も機動を鋭く変えダンディーニを翻弄し続けた。
「むゥッ、素晴らしいスピードとそれをキープしたままの鮮やかな舞! この私がラブリー☆ティンクル☆ボンバーを使えないなんて、才能しか感じないわ! 一緒に全人類を魔法少女に、」
「しないってば!」
 決まりきった返事と一緒に編み上げた氷魔法を叩き込む。びゅんびゅん翻っていた金髪ツインテールの左側が、顔の左側上半分とセットで凍りつき、たまらずといった様子でダンディーニのスピードが落ちた。
「んもうっ、この魔法もコントロール威力共に申し分なしだけど、飛んでる時にこれは困るわね。でも、私にはまだ右目がある!! キエエエェェイッ!!」
(「百鬼さん!」)
 澪は慌てて智夢の方を見て――しっかりと返された視線と頷きに、は、と一瞬目を瞠り、そして同じように頷き返した。
 “大丈夫”。
 澪と同じ言葉を胸に、智夢は薙刀の柄を握りしめる。戦うしかない。そう、解ったから。
「……リアム、お願い」
 円な瞳のパーツにぽわりと光が宿る。智夢の周りにいくつもの清らかな気配が現れる。願えば“彼ら”は迷わず智夢の体に防護を張り巡らせた。全ては、この少女が戦いに集中出来るよう。
 心の中で礼を言えば、返事のように、纏った防護が淡く輝いて――。
(「私も今は魔法少女なら……飛べたり……するんでしょうか……」)
「行くわよ!!」
 ダンディーニの勢いは突風が塊になったよう。智夢はぐっと踏ん張――ろうとして、ふわり浮き上がった。自然と地面から離れていく自分に目を丸くしたが、すぐさま現状に向き直る。
 勇気を出して空を翔け、繰り出すは破魔も込めた薙ぎ。刃の切っ先、その一点にまでしっかりと行き渡らせたその力は、UDCとなったダンディーニの魔力をするりと滑らかに断っていた。
「なっ……!? 何てピュアなひと薙ぎ……素敵、素敵よ、貴方も!」
 澪に。智夢に。ダンディーニの熱い視線が向き、凄まじい絶叫とステッキ突撃が何度も何度も繰り出される。うるさいを通り越したその音と存在感は、場所を感知するのに全く困らないのだけれど――ずっと続くのは、やっぱり困る。
 困らなかった点は、ただ一つ。
 智夢が、ライドオンステッキの癖を探る時間が取れた事。
 響いていた絶叫が唐突に途切れ、苦しげな呻き声に変わった。コントロールを乱したダンディーニの体が地面に叩きつけられ、ボガンドゴンと周りを壊しながらバウンドする。
「ううっ、体がおかしいわ……! こ、これはッ……」
 どっちが。脂汗を垂らすダンディーニに注がれる視線は――同じだ。終わらせるという想いを宿し、星のように輝く瞳だ。その輝きに、ダンディーニがぱああっと表情を明るくする。
「流石試練の星月夜を超えた魔法少女――うぐおォウ! い、痛いッ! 血管がつねられてるみたいよ!」
「だから! 僕は魔法少年! です!」
 悶絶するそこへ澪は勢いよく杖を向けた。びゅん、と風を切った勢いも乗せ、七色に輝く流星そのものめいた魔力砲が放たれる。峻烈な光と威力はダンディーニを呑み、吹き飛ばし、迷宮の壁に叩きつけ――見えなくなった。恐らく迷宮を破壊し、外に放り出されたのだろう。
 そして。
「わ、わぁっ……!」
「お疲れ様です、澪君」
 技の反動で5歳ほどになり落下した澪は、智夢の優しい腕の中。
「うぅ……ごめんなきりしゃん……おしぇわ、なりましゅ」
「大丈夫ですよ。今のうちに、逃げちゃいましょうか」
 普段以上に大きく円な目に見上げられ、可愛い、が出かかった事は――内緒のまま。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

穂村・理恵
……それを望まない人もいる以上は、それを押し付けるような真似は見過ごせません……!
此処で、貴女を止めます!

『飛翔小炎翼』で空中に飛翔し距離を取っ……速い!?怪力でなら拮抗できるかもしれない、でも体さばきが全然違う……!このままじゃ……ううん、そうだ、私は、一人で戦っているんじゃない……!!
UC【クロス・ヒーローズ】(呼ぶのは一人)を使い、武装少女の私と連携します!
武装少女側は『アイアンリッパー』で撹乱しつつダッシュから『フォトンセイバー』での一撃離脱を、魔法少女側が飛翔して『炎霊の紅玉』で炎を生み出し離脱に合わせて放ち、最後は『CDBキャノン』と魔法の炎を叩き込みます!

※アドリブ歓迎です!



 最初に舞闘会へ誘ってきた時と比べ、他の猟兵が創り出した迷宮内部からドンガラゴッシャンと出てきた今のダンディーニは、何人もの|魔法少女《猟兵》と戦っては負け、戦っては負けを繰り返してきたとハッキリわかる。しかし理恵が対峙するダンディーニは、どこからどう見ても夢と希望に目を輝かせていた。
「全人類魔法少女化計画、諦めてないんですね」
「ええ。今日出逢った子は全員素晴らしい力と心の持ち主だし、死んで魔法少女に覚醒めなかったら出会えなかった存在ばかり! 世界と魔法少女の未来は明るいわ!」
「魔法少女化を望まない人もいる以上は、それを押し付けるような真似は見過ごせません……!」
 他人の都合だけで“自分”を変えられてしまったら、どれだけ辛いか。悲しいか。
 それを、自分は嫌というほど知っている。
「ナイスな心意気ね! でもその熱さで私を倒せるかしら?」
「勿論です!」
 決意と共に愛らしい色合いの靴から炎の翼が芽生え、羽ばたいた。流麗な羽ばたきひとつで理恵の体は風のように鮮やかに飛翔し――見上げる形となったダンディーニが不敵に笑う。
「鬼ごっこ? いいわ、私が鬼よ! とーうッ!!」
「速い!?」
 今のは魔法? それとも脚力だけ? 距離を取るつもりが一瞬で詰められ鼓動が跳ねる。
 けれど接近されたならそれに合わせればいい。
 ぐんと伸ばされた手を掴み、引き寄せながらもう一方の拳を躊躇なく繰り出して――パシンッ! 軽やかに払われ、迫る拳が理恵の丸くなった目に映る。理恵はすぐさま思い切り体を捻って躱し、着地した。間をおかずダンディーニもズシンと着地する。
 理恵の額を、嫌な汗が垂れ落ちた。
(「怪力でならと思ったけど、体さばきが全然違う……!」)
「反射神経もいいのね。それじゃあ今度は魔法と一緒に踊りましょ」
(「空中戦であのレベル……地上だとどうなるの?」)
 ステッキに集まる暴力的な圧の魔法、それを繰り出すダンディーニの身体能力。魔法少女騎士という称号は伊達ではないと痛感させられる。
 このままじゃと藻掻く心に、ふいに“光”が射した。
「そうだ、私は、一人で戦っているんじゃない……!!」
「くうっ!? こ、この光は一体……!?」
 ダンディーニの視界を染める純白の光。白く灼けた視界の中、ふいに増えた存在感。誰かいる。それも恐ろしく近い。
「ファンタジック☆フラワー☆エモーションッ!!」
 咄嗟に気配目掛け叩きつけた魔法は地面のみを砕く。外した。理解したダンディーニは気配を探ろうとして、
「ぐゥッ!?」
 何かに頭を強打され蹌踉めく。更に肉を焼くような斬撃まで。無理矢理開いた目は飛び退く誰かをぼんやり捉え――飛翔した誰かが放った紅蓮に呑み込まれた。
「こ、これは炎の魔法!! ふ、二人ッ、二人いるわね!?」

 その通りです!

 ぴたり重なった少女の声。一人は軽やかな愛らしく軽やかな衣装に身を包み、もう一人は機械鎧纏う少女だった。同じ色の髪、目、顔。二人の理恵は同時に構え、宣言する。
「私達が、今日! 此処で!」
「貴女を止めます! 必ず!」

 決意を現実へ、未来へ繋ぐ為。
 科学技術の炎と魔法の炎。ふたつの炎が迸った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

巨海・蔵人
アドリブ絡み歓迎

◼️心情
うーん、正直配信しないと出来ること殆ど無いんだけど、どうしようか?

◼️思い付き
あ、そうだ。
なんとか出来るかも?
純粋な願いは、あるからね
(バイオモンスターの変形でテレビウム姿になり)

◼️マスコット元締
大変だよ、ダンディーニちゃん!(身振り手振りも交えて話しつつどたばた回避)
あ、振り向き様のビームはあぶないよダンディーニちゃん!
そんなことより大変なんだ、
地球のピンチだよ!
UDクリーチャーって言う悪者が魔法少女が集まってるここを狙っているんだ。
君の祈りの力が必要なんだ、ダンディーニちゃん!
このコンパクト(この場をこの場に限定配信している端末)に願って欲しいんだUDC
の浄化を!



 |魔法少女《猟兵》とダンディーニの戦いが繰り広げられる中、悩める者が一人。それはあの信二少年――ではなく、蔵人だった。
(「うーん、正直配信しないと出来ること殆ど無いんだけど、どうしようか?」)
 ソーシャルディーヴァでフードファイターの蔵人は、歌って配信し、食べて配信し、料理を作って配信してと、ソーシャルディーヴァでフードファイターならではのやり方で戦ってきた。だからこそ、あっちやこっちで繰り広げられる魔法と魔法の(だったりそうでなかったりする)激突を見て、「どうしようか?」と悩まずには――。
(「あ、そうだ。なんとか出来るかも?」)
 思いついたそれを実行する前に軽く脳内で展開し――うん、出来そう。数回頷き、歩き出した蔵人の姿がテレビウムに変わっていく。
(「なんせ、純粋な願いは、あるからね」)
 巨海・蔵人。ソーシャルディーヴァでフードファイターで――バイオモンスターの戦い方が、スタートする。


「大変だよ、ダンディーニちゃん!」
「むむゥ!? レッツ! メイクアアァァァァップ!!」
「あ、振り向き様のビームはあぶないよダンディーニちゃん!」
 ステッキを抱きしめての一撃、きらきらお星様の大波をアワワッとドタバタ躱したテレビウムこと蔵人に、ダンディーニがどちら様? と目をぱちぱちさせながら謝ろ――うとするのを蔵人は止めた。
「そんなことより大変なんだ、地球のピンチだよ!」
「地球の!?」
「UDクリーチャーって言う悪者が魔法少女が集まってるここを狙っているんだ」
「そんな悪者がこの世界に存在しているの!?」
 実は君もその一つなんだよダンディーニちゃんとは言わないでおく。蔵人の優しさが垣間見える言葉選びは、騎士であり魔法少女であるダンディーニの心をギュインギュイン引っ張っていた。
 ステッキを握りしめる両手に力が入っている。息がちょっと荒い。目は――ルンルンだ。
 うんうん、これはいい感じ。
 蔵人は内心ニッコリして、心を更にギュインギュインさせる事を言う。
「君の祈りの力が必要なんだ、ダンディーニちゃん!」
 他の誰かではない。自分の力が必要だというそれは特別感――いや、主人公感に溢れていた。
 ハゥアッと息を呑んだダンディーニの手を、テレビウムなお手々がきゅっと取る。
「だから、君にはこのコンパクトに願って欲しいんだ、この世界の浄化を!」
「でもこのコンパクト、初めて見る形をしているわ!」
「大丈夫だよ、始まりの|操作《サイン》は僕がやるから。君はこの部分と見つめ合うだけでいいんだ。そうすれば君の祈りは世界に広がるんだ!」
「世界に……ッ!!」
 ダンディーニの心は決まった。

 ちなみにコンパクトと書いて端末と読む。結果。

『なんぞこれ』
『情報多すぎて内容が入ってこない』
『ダンディーニ?』
『へぇ、かわいいね』

 限定配信を見る事になった運がいいのか悪いのかわからない視聴者を大いに賑わせて、ダンディーニの弱体化に大成功するのであった!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
UCを使用し、天空の魔王城塞を召喚するぞ。

くく、我が魔王軍の精鋭、堕天使隊長率いる屍人の兵団、そして堕天使看護兵からなる軍勢を前にどこまで抗えるか、魔法少女よ!

って感じに悪役っぽく振舞ってやろう。……奴はオブリビオン、その願望は惜しいが、もう我が応えるわけにいかぬからな、せめて「魔法少女」として終わらせてやろう。しかし…やはり動きが良い、さすがは騎士か
まったく、「向いている自分」と「なりたい自分」が異なるのは不幸な話だな!

我もちょっと宙に浮いて、竜の口から「理想の自分になった」幻覚と「なんだかやる気が損なわれる」催眠効果付きブレスを吹き付け、なんか闇な感じのオーラで防御するぞ!



「くくく……何やら愉快な事をしておるのう」
「誰ッ!?」
 廃洋館の屋根の上。堂々不敵に立つ謎のシルエット。
 ギュンッと振り向いたダンディーニに、そのシルエットがちょっとだけびくっとした。
(「あの顔であの感じで見られるとちょっとだけ驚いてしまうな」)
 という秘密を抱えた謎のシルエット。その正体はワルルーナであった。
 折角良い登場をしたのだから、より素晴らしい事にしてやろう。ニヤリと笑ったワルルーナの頭上、青空に突如として暗雲が立ち込めていく。どう見ても天候急変ではないそれに、ダンディーニがシュババと走って色々な物を足場にジャンプしてと、あっという間に屋根の上までやって来た。
「貴方は一体何者なの。名乗りなさい」
「……良かろう。くく、我は『百胎堕天竜魔王』ワルルーナ・ティアーメル!」
「百胎堕天竜魔王……!?」
「我が魔王軍の精鋭、堕天使隊長率いる屍人の兵団、そして堕天使看護兵からなる軍勢を前にどこまで抗えるかな、魔法少女よ!」
「魔王、堕天使……そう、貴方がこの世界を狙う存在ね!」
 『百胎堕天竜魔王』は自称だが、ダンディーニが一切疑問を持たなかったのも無理はない。
 この世界を狙う存在がいるから君の力が必要だ的な事があった直後のワルルーナの登場、悪役らしさ溢れる振る舞いは、100%を超えて1000%ピッタリ過ぎた。
 すっかり暗雲に覆われた空から輝かしい甲冑に身を包んだ堕天使が、その背後から暗雲に乗せられた屍人兵団が現れる。舞台は整った。
「ゆくが良い、我が軍勢よ!」
「この世界は渡さないわ! キエエエェェェーーーイッ!」
 ワルルーナの命に応え空を滑空する堕天使と、その後を追い大粒の雨が如く落ちていく屍人兵団。対するダンディーニは、響かせる絶叫も手伝い、ステッキに跨り空を翔けながら突撃する様は稲妻のようだ。
 ワルルーナは自らの軍団と魔法少女の激突を眺めながら、では我も、とちょっとばかり宙に浮いた。くっくっく、と笑ってみせれば、気付いたダンディーニと目が合う。
「魔王様も私の相手をしてくれるのかしら? いいわ、纏めてかかって来なさい!」
「あっさり死ぬでないぞ? 興が冷めるからな」
 全身を黒色のオーラで包み、下半身の竜達の口が一斉に煌々とした熱を溢す。即座に放たれたブレスは魔法少女を囚えようと幾重にも交差し、それを躱そうと猛スピードで翔けるダンディーニの絶叫が絶えず響く。行動の原動力となっているのは、全人類を魔法少女にという願望だろう。
(「その願望は惜しいが、もう我が応えるわけにいかぬからな。せめて『魔法少女』として終わらせてやろう。しかし……やはり動きが良い、さすがは騎士か」)
 何発かブレスが命中し、堕天使らの攻撃も当たっているが、全てではない。速さ力強さに溢れた動きにワルルーナは口の端を吊り上げ――ダンディーニが動きを鈍らせたのを見て、理想の自分という幻と対面した事を把握する。
(「まったく、『向いている自分』と『なりたい自分』が異なるのは不幸な話だな!」)

 なぜわかるかだと?
 我がラスボスで魔王だからに決まっておる!

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
●WIZ(引き続き第一章からの影響下)

…どんな相手が黒幕かと思えば。
うわぁ…う、うわぁ…
人の趣味はあーだこーだ言いたくねぇが言葉にもならねぇな

ちぃ!なんだあのヘンテコ光線は?!
狂気耐性と浄化でなんとかならねぇか?!

その気になれっていうなら、こっちもそれで行ってやる!

あんたにもらった武器(本編に出ないやつ的なモノ)と服(劇場限定ドレス的な奴)でな!
あーちゃん!合わせて!

しれっと昔の呼び方するなって?
こういうのはノリで押し切った方が倒しやすいんだよ!

行くよ!浄化と乱れ打ちもらった武器とアガレスの力で…

『ディメンションシュート!光にって消え失せろぉっ!』



 わけのわからない展開で魔法少女にさせられて、わけのわからない空間でわけのわからない声を聞いて。その先で出遭ったものは――やっぱりを通り越したわけのわからない存在過ぎて、今だ幼いニャンコ系男の娘状態の兼光はゲンナリしていた。
「うわぁ……う、うわぁ……」
「あら。……ふふ、私のような魔法少女と会うのは初めて?」
(「そりゃそうだろ……」)
 戦いの連続で疲弊しているが、名誉の勲章よとばかりに得意げなダンディーニに、更にゲンナリする。人の趣味にあーだこーだ言いたくないが――湧き上がる色々が言葉にもならない。これも大変態魔法少女騎士の力か。
(「――ってんな力あってたまるかよ…………こいつに限って言えばありそうだけど……」)
 アガレスが楽しそうな所がまたゲンナリするというか、腹立たしいというか。
 むすーっとした兼光だが、ダンディーニの「それじゃあ始めましょ」で全身を嫌な予感が駆け抜け、思わず飛び退いた。
「ちぃ!」
「レッツ! メイクアアァァァァッ――……って、残念。もっと素敵にマジカルチェンジさせてあげようと思ったのだけど」
 ステッキを抱きしめてパチパチばちこんとウインクするダンディーニに、兼光は心の籠もった首振りでめいっぱいの辞退を示す。
「なんだあのヘンテコ光線は?! 絶対当たりたくねえ!!」
『当たっとけばぁ? 絶対面白いってぇ』
「アガレスがだろ!?」
「まあ仲良しね♪ それじゃあもっと仲良くなれるように☆ レッツ! メイクアアァァァァップ!!」
「うおーっ!?」
 備えている耐性と浄化で、当たっても何とか出来ないだろうか。兼光は必死に考えながら避けて、躱して、走って、跳んで――唐突にその足を止め、勢いよく振り返った。
「その気になれっていうなら、こっちもそれで行ってやる!」
「まあああぁっ! 嬉しい!!」
 ダンディーニの頬がピンクに染まり、パアァァッとお星様の煌めきが大量に溢れた。即座に放たれた光は輝くお星様達の海と化して兼光を呑み込んで――シャ~ンッ! 鈴のような音が響き、兼光が纏う魔法少女衣装にしゅわわんと光が集う。
 ぽんっ! 頭の上に集った光は銀細工のティアラへ。
 ぽんっ! 衣装全体に集った光は、淡い若葉色に白レース刺繍を施したドレスへ。
 ぽぽんっ! 空いていた手に集った光は、虹色に輝く液体が詰まった付属パーツへ。
「まあまあまあ! とぉってもキュートよ!」
「これ武器に付けるやつか? 本編に出ないで映画館行くと貰える特典感あるな。で、服は……うわぁ、こっちも劇場限定ドレスっぽさ全開じゃねぇか」
『でも使ってあげるんでしょぉ?』
「ああそうだよ! あーちゃん! 合わせて!」
『あっ、しれっと昔の呼び方しないでよぉ』
「こういうのはノリで押し切った方が倒しやすいんだよ! 行くよ、あーちゃん!!」
『……あーもー、しょうがないなぁ~』
 パーツをブラスターに付け、銃口をダンディーニに向ける。照準がぶれないよう、ちゃんと片手を添えて――。
「ディメンションシュート! 光の中に消え失せろぉっ!」

 早速使ってくれる嬉しさと性能への興味が勝ったか。目を輝かせ両手でカモンカモンしていたダンディーニの姿は、迸った光に全身すっぽり呑み込まれていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

琴平・琴子
準備はよろしくて?
硝子のブローチを天に輝かせれば光り輝いてパワーアップ、というのは魔法少女にはよくある事でしょう?

あら?
市、お前もドレスアップされたようですね?
可愛いですねえ、フリルにレース
どこぞのご令嬢かと思いましたよ、なんて
まあお前の性別なんてよくわかりませんけど

花束の中に隠されたペリドットの短剣を花束ごとぶつけて攻撃
魔法少女らしくない?
いいえこれも魔法少女ですよ?
だって私、これでも魔法で変身した少女ですもの
それも魔法少女でしょう?

最後は必殺技
市、協力してくださる?
一人じゃ寂しくても二人なら楽しい道のり
花舞う道を往きましょう

手向けの花を、どうかあなたに!

なんてね
少々格好良すぎたでしょうか



「ハァッ、ハァッ……素晴らしい、素晴らしいわ……現代には、魔法少女とその才能が溢れているッ!!」
 うおー!
 両手を天に突き上げ喜びの雄叫び。魔法少女騎士の騎士部分が思い切り出ているリアクションに、琴子は数回瞬きをして――にっこり。
「準備はよろしくて?」
「あらっごめんなさいねプリンセス・コトコ! ええ勿論、いつでも大丈夫よ」
「では」
 羽ばたかせるように、硝子のブローチを天へ。硝子小鳥の表面で陽光が踊った瞬間、その輝きが全体に広がった。光はそのまま琴子を温かく包み込み――。
「あら? 市、お前もドレスアップされたようですね?」
 純白にグリーンの刺繍が縁取るサッシュ。そこに止まる硝子小鳥のブローチは勲章のよう。そんな琴子に言われて自分の変化に気付いた市の目が、白いマントを不思議そうに見ている。首からは縁にレースをあしらったフリルの付け襟も。
「可愛いですねえ、フリルにレース。どこぞのご令嬢かと思いましたよ」
 なんて。まあお前の性別なんてよくわかりませんけど。
 添えられた呟きに市はただ「なぁん」と鳴いて、尻尾を揺らした。
 きゃっきゃと喜んでいるのはただ一人。魔法少女あるあるなパワーアップ場面を特等席で見ていたダンディーニだ。
「んん~、ドレス風の衣装にサッシュがとってもマッチしてるわ! 凛として、それでいてカッコ良さもある……素敵な魔法少女姿に乾杯したいけれど、生憎とお酒は用意していなくって」
「構いませんよ」
「ほぐワァ!?」
 礼儀正しいまま思い切りぶつけた花束――の中に隠されていたペリドットの短剣が見事にヒットした。当たった瞬間の角度からして、グリップが眉の下、彫りの深いそこにゴキャッとめり込んだように思える。
「ま、魔法少女らしからぬ挨拶ね……!」
「いいえこれも魔法少女ですよ? だって私、これでも魔法で変身した少女ですもの。それも魔法少女でしょう?」
「だったら、もっともっと魔法少女になれるように……!」
 ダンディーニの鋭い眼光が琴子を射抜き、
「レッツ!」
 ステッキをぎゅむっと抱きしめて、
「メイクアアァァァァップ!!」
 低音から喉がちぎれそうな高音へ変わる絶叫と共に、ぴかりんきらりんと光るお星様の海が迸った。大地でバウンドした星の大波がどおんと轟音を響かせて――折角綺麗な海なのにと琴子はぽつりこぼし、共に飛び退いた市を見やる。
「市、協力してくださる?」
「なぁん」
「ありがとうございます」
 一人であの星の海を行くのは寂しくても、二人ならきらぴかと楽しい道のりになりそうで。歩く心地はどんなものでしょうね。琴子はふんわり笑い、たん、と地面を蹴った。
「さ。花舞う道を往きましょう」
 ぽすんっ。
 大波で空に放られた花束を受け止めて、足取りは星の上でステップを刻むように軽やかに。
 そして。
「レッツ! メイクアアァァァァップ!!」
「手向けの花を、どうかあなたに!」
 その夢を叶えさせる事は出来ないけれど。
 ひととき、プリンセスのように過ごすくらいなら――。

 あの瞬間に瞠られた目に自分がどう映っていたかは、わからない。
 ただ、ちょっとだけ。
「少々格好良すぎたでしょうか。どう思いますか、市?」
「なぁ~ん」
「つちねこ? もういませんよ。……多分」

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

──私と彼は大差ないのでは?

あまりの事に意識が遠のいてしまうのも致し方ない

……サヨが麗しく勇ましく斬り込んでくれた
何と美しく可憐
私はこのまま平になってやりすごそ……ホムラ?
何をするつもりだ!?
やめるんだホムラ!き、禁呪など

ホムラの禁呪と共鳴した布付きティアラが輝いて、
あるてめっと、と例えるに相応しい……華ロリに進化しっ…まて、スリットだけでいいというに何故胸元を開けた?!
無理だろうそこは隠せというに!

私は彼のように堂々とすることは出来ない……何故なら厄災であるから
もういい!
厄災なら厄災らしく

禍神ノ鉄槌

やたらメルヘンで可憐な光を纏いつつ
サヨと力を合わせて禍津を放つ
噫、さっさと終わらせよう!


誘名・櫻宵
🌸神櫻

くっ!なんて圧なのっ
気をつけて、カムイ──なんてこと?!
何もされてない感じなのにカムイが

倒れたわ!!

私でも見逃しちゃうくらい恐ろしく速い魔法が放たれたとでもいうの!?
ホムラ!覚えたての禁呪魔法でカムイをアルティメットに復活させるのよ!

その間に私が斬り込むわ
揺れるヴェールに煌めくティアラ
生命喰らう花嵐は桜吹雪!
マジカル屠桜を振りかざし、真のマジカルステッキはこちらだと示すが如くに衝撃波と共に薙ぐ

絶華

美しさでも強さでも私達は負けてない
ねぇ、カムイ!
私のかぁいい神様、輝いてるわ!
アルティメットカムカムも気合入ってて勝てる気しかしないわ

じゃあ早速
二人合わせて、特大の魔法をぶち込んであげましょ!



 金髪のツインテールは生地のほつれのようにぼろぼろで、真っ白なバケットグローブは片方無くなっている。胸元のリボンブローチも、キラキラとしていた青い宝石に大きなヒビが入っていた。それから――という状態であるにも関わらず、ダンディーニが立ち上がる。
「素晴らしい……素晴らしいわ……やはり貴方達を私の仲間にスカウトして、全人類を魔法少女に……。魔法少女ちぇりぃ❀ぶろっさりぃ、禍法少女カムカム。勿論、貴方達もよ……!」
 向けられた眼に怪しい光が宿っているかのようだ。目が合った櫻宵は表情を厳しくさせた。
「くっ! なんて圧なのっ……」
 気をつけて、カムイ。
 禍法少女カムカムとなった愛しい神にそう声をかけようとして、愕然とした。
「なんてこと?!」
「サ、サヨ……」
 何もされてない感じなのにカムイが――倒れた!!
 ダンディーニが自分達にした事は、ただ名前を呼び、見ただけ。それだけの筈だ。なのに美人お姉様で楊貴妃が負けを認めるくらいビューティで禍法少女カムカムなカムイがふらりと倒れてしまって――いけない、スリットで必要以上にカムイの美脚が露わにっ。
 櫻宵は優雅にさり気なくカムイの衣装を直して見える範囲を減らしてから、ダンディーニを凝視する。まさか、カムイがこんな事になってしまうなんて。
(「私でも見逃しちゃうくらい恐ろしく速い魔法が放たれたとでもいうの!?」)

 ――ホムラ! 覚えたての禁呪魔法でカムイをアルティメットに復活させるのよ!
 ――その間に私が斬り込むわ
 ――ちゅん!

「揺れるヴェールに煌めくティアラ。生命喰らう花嵐は桜吹雪! 魔法少女ちぇりぃ❀ぶろっさりぃ、華麗に可憐に、そして愛のもとに参上よ!」
 しゃらーんっ! 清らかな鈴の音と桜吹雪の演出があったような瞬間の直後、ダンディーニのステッキに膨大な魔力がこびりつく。
「シャイニー☆メモリアル☆ファンタジー!」
 非常に野太い声での詠唱で、魔力が燃え盛る業火のような勢いへ。
 対する櫻宵は綻ぶように微笑み、マジカル屠桜を振りかざした。動きは舞うように、しかし薙いで放った衝撃波は龍の怒りの如く凄まじい。
「真のマジカルステッキがどういうものか、教えてあげるわ」
「マジカルステッキ対決ね。望むところよ、魔法少女ちぇりぃ❀ぶろっさりぃ!」
 二人の魔法少女の激突。
 その光景を、カムイは何とか顔を上げ、見守っていた。
「噫、サヨ……」
 体に力が入らない。
 ――が、櫻宵でも見逃してしまくらい恐ろしく速い魔法が放たれたワケではなかった。
 初めてダンディーニを見た時。
 改めて見た時。
 カムイは、思ってしまったのだ。

 ――私と彼は大差ないのでは?

 程度は違えど肉体は逞しく、そんな体をプリティな衣装で包んでいる。
 それはカムイにとってあまりにもあまりだった為、意識が遠のいてしまったのだ。
(「だが、それも致し方ない……だが、サヨが麗しく勇ましく斬り込んでくれた」)
 和ロリの魔法少女衣装。繊細なティアラとヴェール。
 何と美しく可憐なのだろう。
 大ダメージを負った精神に癒やしが染み込むようだった。
「私はこのまま平になってやりすごそ……」
『ぴ!』
「ホムラ?」
 枕の代わりにとついた手の甲にちょんっと止まったホムラが翼を広げる。まさか。
「何をするつもりだ!? やめるんだホムラ! き、禁呪など――はっ!? 布付きティアラから光が……!?」
 キラキラキラ――☆ 柔らかに芽吹いた光が全体に広がり、カムイが纏う衣装を包み込む。輝きはやがて月光の粒めいてこぼれ落ち、カムイは目を瞠った。
「こ、これは……」
「今の光は……きゃー! カムイ!?」
「んまぁー!!」
 櫻宵が悲鳴を上げた。ダンディーニもだった。
 しかしその表情はどちらも喜びと感動に満ちていた。
 というのも、ホムラの禁呪と共鳴した結果、カムイの魔法少女衣装が素晴らしくアルティメットな華ロリに進化したのである。
 銀朱の髪は美しく結い上げられ、鳳凰を思わす金細工の豪奢な簪がしゃらりと揺れる。深いスリットはそのままに、けれど胸元には大胆な変化が訪れていた。
「まて、スリットだけでいいというに何故胸元を開けた?! 無理だろうそこは隠せというに!」
「この局面でまた新たな力を開花させるとは……禍法少女カムカム、貴方の才能に敬意を示すわ……!」
 違う。そうではない。
 カムイは首を振りたくなったが、振る元気もなかった。
 そしてまた、気付いてしまう。自分とダンディーニは大差ないのではと思っていたが、大きな違いがあった。
(「私は彼のように堂々とすることは出来ない……何故なら厄災であるから……」)
「憂い顔のカムイ、胸が締め付けられる美しさだわ……!」
「ううむ、苦悩を抱えながらも戦う姿、魔法少女として文句なしッ! それじゃあ早速、レ」
 ッツ! メイクアアァァァァップ!! ――とは、続かなかった。
「もういい!」
 カムイの叫びがダンディーニの魔法を中断させ、何かを決めたその表情がやり直しという考えを頭の中からいっとき消し去ったのだ。

 ――厄災なら厄災らしく

 今の姿を隠すように縮こまっていた姿勢はぴんと伸び、眼差しは――微笑む櫻宵と同じ、ダンディーニへ。
(「流石ね、カムイ」)
 美しさでも強さでも自分達は負けてない。一緒にいるからこそ、より、輝ける。
 というかカムイは本当に輝いていた。やたらメルヘンで可憐な光を纏ったカムイから、桜やその花びらめいた光が幾度もふわふわぽわんと舞っている。その姿が眩しくて――愛おしい。
「ねぇ、カムイ! 私のかぁいい神様、輝いてるわ! アルティメットカムカムも気合入ってて勝てる気しかしないわ」
「あるて、めっと……それはもしや、私の新しい禍法少女名かい?」
 首を傾げたカムイに櫻宵はふふっと咲い、マジカル屠桜を構える。
 カムイもマジカル喰桜を構え――この世界に厄災を齎そうとする者を見た。
「じゃあ早速、二人合わせて、特大の魔法をぶち込んであげましょ!」
「噫、さっさと終わらせよう!」
「ふ、二人の合体技!? そんな技……全身全霊で受け止めるしかないわッ!!」

 ならば、お望み通り。

 鈴の音が鳴り響く。桜が夢幻の如く舞い、周りをくるりと囲って閉じる。
 二人のマジカルウェポンもとい屠桜と喰桜の切っ先がダンディーニに向き――桜色の舞台がふたつに分かたれ、魔法少女騎士の体に大きな紅色が刻まれる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黄・焔誠
アドリブ歓迎
衣装等お任せ

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夢を見るのも憧れを抱くのも、個人の自由だ
嬉々として語られるそれを聴くのも好きだ
応援したいし、俺で力になれることがあるなら助力したいとも思う……が
その夢や憧れが、本人の意図関係なく無辜の民らを害するものであるなら話は違ってくる
「如何してお前は魔法少女とやらに憧れたんだ?」
魔法少女でなくとも、きっとお前さんはその手で、背で、人々に夢と希望を与え続けていただろうよ

「お前の望みを全ては叶えてやれないが」
せめてもの礼儀だ
俺が魔法少女にくらいはなってやろうか
授けられたメダルに口付ければ光り輝く炎が猛り
衣装も変わる…が幸いにも俺が着ても違和感はあまりない、ように思える。誰だか知らんがありがとう

廃館とは言え、かつての誰かの思い出が詰まった大切な場所だろうから
被害は最小限に、放たれる魔法は全て受け止め
心なしか常より華美になった愛剣に焔を滾らせる
「参る」
かつて国と民の為に戦ったのであろう、憧れを抱きながらも騎士として死した彼へ敬意を込めて
正々堂々真っ向勝負を
──いざ、尋常に。



 夢を見る。憧れを抱く。それはどちらも個人の自由で、誰かに制限されるものではない。そう思っている焔誠は、思い描いた夢や憧れを嬉々として語られる事が――それを聴く事も、好きだった。
 “いつか”と願うものを語り、そこへ向かおうとする彼らを応援したい。
 力になれる事があるのなら助力したい。
 そして彼らが夢や憧れに至れたなら――それは王としてだけでなく、黄・焔誠という一個人としても、喜びを覚えただろう。
(「……だが、全人類を魔法少女に、か」)
 あの男も、夢を見、憧れた者の一人に違いはない。しかしその夢や憧れが無辜の民を害するものであるならば、話は違ってくる。
「如何してお前は魔法少女とやらに憧れたんだ?」
 騎士として在り続けた実力ならばきっと、ステッキを握っているその手で、逞しい背で、人々に夢と希望を与え続けていただろう。焔誠の問いにダンディーニが短く笑い、ステッキをバトンのようにくるくるさせた。
「騎士だった頃の話よ。討伐任務を終えて訪れた町で、ごっこ遊びをしている子供達がいたわ」
 手にした小枝を剣とは違う振り方をしては、魔法の呪文めいたものを大きな声で言い、ポーズを取る。はてあれは何の遊びかと暫し眺めていると、子供のうちの誰かが言ったのだ。


“魔法少女   、ここにさんじょう~!”


「あの子供達の眩しさは私の中で永遠の星となって刻まれて、そうして私は魔法少女に憧れるようになったのよ。ウフフ」
 ダンディーニの“始まり”は、偶然見た子供達のごっこ遊び。
 焔誠は数回目を瞬かせた後、そうか、と穏やかにこぼした。
「お前の望みを全ては叶えてやれないが」
「そっ、そのメダルは……!」
「ああ。試練の星月夜とやらで授かったメダルだ」
 せめてもの礼儀だ。魔法少女くらいはなってやろうか。
 焔誠のそんな想いは、魔法少女に憧れ続け、死後に叶えた男の心を震わすには十分過ぎたらしい。きゃーっと野太い悲鳴を上げ、両手をバタバタし始めた。
「最終回にて最初で最後の変身ねッ!? 嬉しいッ!!」
 最終回とは何の話だろう。よくわからないが、あまり待たせるのも悪い。
 不思議と在った“こうすればいい”という感覚と共に焔誠はメダルに口付けた。途端、息を吹き返した火種のように光り輝く炎が猛る。ごうごうと溢れた炎は一瞬で焔誠の全身を包んだ後、翼広げる鳳凰が如く炎を開き、新たな魔法少女の姿を現した。
「……ふむ。不思議と馴染む仕立てだ」
 懐かしさも覚える衣装は中華服に似たデザインで、体格の良い成人男性――つまり己が纏っても違和感があまりないように思えた。これは試練の星月夜で会った声か、あの珍妙なつちねこ達か、はたまた新たな何かか。
(「誰だか知らんがありがとう」)
 ここに来て視界の暴力とならずに済んだ上に、拳を握っては何やら感情を昂らせているダンディーニには好評の様子。あまりにも早口で言っている為、全く聞き取れないが。
「ハッ! いけない、舞闘会に誘っておきながら! ごめんなさいね」
「なに、構わない。では」
 焔誠の頷きに笑みを湛えたダンディーニが、両手でステッキをぎゅっと握り、両足で地面を踏みしめる。その瞬間、ステッキ全体に濃密な魔力が宿った。

「ミラクル☆ロワイヤル☆サンダー!」

 轟いた野太い声。大地を蹴るダンディーニの逞しい足。一気に迫る姿は大岩の如く、感じる魔力の圧は瀑布の如く。しかし瞬時に防御の構えを取った焔誠は、敢えてその一撃を受け止めた。凄まじい衝撃と共に体が沈み、己を中心にクレーターが出来上がる。起きた陥没と走った亀裂に静かだった目が一瞬憂いを帯びた。
 被害を最小限に抑えたとはいえ、ここは、かつての誰かの思い出が詰まった大切な場所だろう。今は過ぎた日々の中、夢や憧れが育まれていた可能性もある。
 謝罪は全てが終わったのちに。美しい輝きは常の通りだが心なしか華美になった愛剣に焔を滾らせ、焔の色に染まるダンディーニの笑みを静かな眼差しで射抜いた。
「参る」
 声と放つ一撃に宿るは、かつて国と民の為に戦ったのだろう、魔法少女に憧れを抱きながらも騎士として死した男への敬意。故に。

「――いざ、尋常に」
「勝負よ!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

フロロン・ピューミリオ
「ダンディで可愛らしい魔法少女さん……あなたの計画は心動かないと言うと嘘になりますわ……でも、わたくし、知っていますの。魔法少女に憧れている子がいるように、仮面を被ったヒーローやスーパーロボットのパイロット、巨大な宇宙人、それに誰かを守る騎士。様々なヒーロー・ヒロインがいて、それに憧れる子も居るんだって……

みんなの夢を守るのが魔法少女ですもの。猟兵として、魔法少女として、あなたを止めさせて頂きます!魔法少女だけの世界にはさせませんわ!」

UC【ハイパーピューミリオ星人・魔】を使用

触手の先端で光り輝いている星形のリングをコズミックロッドに通して、魔法の力を高めます。
UC【スタープリズム・ハートショット】を使用
もちろん手加減はせずに全力で行かせて頂きます。

アドリブ・連携は歓迎です。



 『試練の星月夜』という空間から廃洋館へ転移してすぐに会った時はぴかぴかで可愛らしかったダンディーニの装いは、今やすっかり名誉の勲章だらけだ。
「魔法少女さん、あなた……」
「想像を遥かに超える舞闘会の盛り上がりに、つい。でも大丈夫。貴方との舞闘会するわよ♪」
「マァ……」
 フロロンは頬に手を添え少し考えると、触手の一つをひょいと動かして見つめた。
 普段と違う服装。触手の中でぴこぴこ明滅する光や星形リングの光。全て、今日体験した全てが夢でも幻でもないという証だけれど。
「ダンディで可愛らしい魔法少女さん……あなたの計画は心動かないと言うと嘘になりますわ……。でもわたくし、知っていますの」
「あらっ、何かしら」
「魔法少女に憧れている子がいるように、仮面を被ったヒーローやスーパーロボットのパイロット、巨大な宇宙人、それに誰かを守る騎士。様々なヒーロー・ヒロインがいて、それに憧れる子も居るんだって……」
 悪役のような、ちょっぴりダークなヒーロー・ヒロインに憧れる子も。ヒーローと最終回まで激突する悪役が大好きな子だって。そしてそれは、|子供《・・》だけに留まらない。
「ですからわたくし、決めました」
 にゅっ。星のリングを通した触手を持ち上げ、視線は真っ直ぐ。
 普段のほんわかとした笑顔に凛々しさもひとつまみプラスし、フロロンは宣言した。
「|みんな《・・・》の夢を守るのが魔法少女ですもの。猟兵として、魔法少女として、あなたを止めさせて頂きます! 魔法少女だけの世界にはさせませんわ!」
 その瞬間、全ての触手が眩い輝きを放つ。溢れた輝きは星形リングに流れ込み、リングをほのかに虹色浮かぶ眩い白星へと変えながら、ぽんっと軽やかな音を響かせ光の粒を弾けさせた。
「感じるわ、貴方の魔法少女ぢからの高まりを……! でもごめんなさいねプリンセス! 私も、譲れないものがあるわ!」
 ダンディーニがステッキを力強く構え、ブーツで地面をざりっと削るようにして踏みしめる。全身に力を込めたのか、鍛えられた筋肉が一回り大きくなったような――。
(「これは、気のせいではありませんわね」)
 向こうは、筋力と魔力の両方を惜しみなく使った魔法を放ってくる。それを裏付けるように、急速に注がれる魔力により、ステッキの周囲が大きく揺らぎ始めていた。
 フロロンも両足でしっかりと地面を踏みしめる。ダンディーニを見つめる眼差しと呼応するように、全ての触手が、星形のリングが、ダンディーニに向いた。互いの魔力が高まり、揺らぎが、輝きが増していく――!
「さあ、始めましょう。貴方と私の、舞闘会を! とーうっ!」
 ダンディーニの一蹴り、跳躍の為のそれが地面を派手に砕いた。しかし魔法少女らしさを意識した指先の角度や、ぴんと伸ばしたつま先の影響で妙に軽やかな跳躍は、何秒もあるようでいて一瞬だった。
 空中で巨体がぎゅうんッと華麗にターンし、勢いよく振り上げたステッキを頭上で両手持ちに変える。鬼気迫る表情。そして野太い声が響き渡った。
「プリティ☆ダンディ☆アターーック!」
 まだ直撃していなくとも感じる魔力の圧にフロロンは目を瞠った。
 けれど恐れはない。
 自らが発した言葉と抱いた想いは、宇宙の一番星めいてこの胸に宿っている。
「魔法少女さん! これがわたくしの思いを込めた魔法ですわ、受け取ってくださいませ!」
 勿論手加減はしない。全力には全力でお返しを。
「スタープリズム・ハートショット!!」
 星とハートのキラメキがぴかぴかきゅるりんと流星群の如く一気に翔ける。それはダンディーニの巨体だけでなく、衰え知らずの眩さと威力でもって、大変態魔法少女騎士の残り僅かだった全てを呑み込んだ。そして。
「ああっ、伝わってくる……! 私、私、貴方達のような魔法少女と会えて、良かっ」
 とてもとても嬉しそうな声と共に、何かがパリンと砕ける音がした。
 ダンディーニの姿は完全に光線の眩さに覆われ見えなくなり、やがて、星とハートのキラメキがしゅわりとほどけて消えた後。鮮やかな夏の空と、大変態魔法少女騎士と第六魔法猟兵の戦いを見守っていた廃洋館だけが在った――。


💫 おしまい 💫

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月05日


挿絵イラスト