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アルカディア争奪戦⑱〜Soul as Sol

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #日蝕帝国 #『帝竜』太陽を喰らうもの

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 生命の気配無き、荒涼たる大地。
 その上空より、かの黒き竜はすべてを睥睨する。
 物理的にも、心理的にも。

「──やはり、浅ましき、醜きものだ。|太陽《いのち》というものは」

 開かれた顎門より漏れる声音は、嘲笑。生を為さんとする行い、その輝きを無価値と断ずるが故の嘲り。

「己が爪牙のみにて道を開く、其を為し得ぬ力無き者共の足掻く様。全く以て、見苦しい」

 黄昏の空へと咆哮を上げる。其は、世界の全てを永遠の闇に沈めんとする宣言にも似て。

「我らの爪牙を以て、醜き|太陽《いのち》の一切を喰らい尽くし、滅ぼしてくれよう! あの忌まわしき光の王国を手始めとして!」

 かつて己に屈辱を齎したかの王国を闇に堕とし、以て進撃の先鞭と成す。
 それこそが、かの竜──|日蝕帝国《エクリプス》の支配者たる『帝竜』太陽を喰らうもの、彼がアルカディアの玉座に託す願いであった。



「──人類の生き抜く為の努力を醜いと断ずるか。ふざけた事を言ってくれるものだ」
 予知を語り終えたグリモア猟兵、シュタルク・ゴットフリート(不滅なる鋼鉄の咆哮・f33990)の声音には怒りが滲む。生命の輝きの一切を否定せんとする、かの竜の在り方は、到底認められるものではない、と。
「ともあれ。皆の力で遂に六つの屍人帝国の一つ『|日蝕帝国《エクリプス》』への道が切り開かれた」
 かの屍人帝国の本土たる大陸へ、攻め込むことが可能になった。となれば、為すことは一つ。
「かの国の支配者たる黒き帝竜、『太陽を喰らうもの』の討伐。それが、此度依頼する任務の目的だ」
 だが、それは無論ながら容易いことではない。
「敵の力は強大。その身には骸の海を内包し、且つ『何か』と融合したことで『昏き闇夜の力』なる力を得ているのだ」
 それが何を意味する力であるかは分からぬ。だが、オブリビオンたる存在が扱う以上、今を生きる者達にとって禍としかなり得まい。
 ここまででも強大な敵と判ずるには十分であったが、更にかの敵を強大たらしめる要素があるという。
「奴の身からは、常に『悪意の瘴気』が溢れ出ている。命あるものが触れればその肉体と魂を侵し、闇に染めてゆく、厄介なことこの上なき代物だ」
 戦場たる荒野は、既にこの瘴気に覆われている。かの帝竜と対峙するに際して、瘴気に触れずして戦うことは避けられまい。
「この瘴気、生半な防御結界の類では防ぎ得ない。結界自体からも同様に作用し、肉体と魂を蝕むものらしい。これに対抗する手段は、ただ一つだ」
 果たしてそれは何か。シュタルクは首肯一つの後、答える。
「――|太陽《いのち》の輝き。遍く|太陽《いのち》を憎む奴の悪意を上回る程の、生命――魂の輝きを持つものならば、あの瘴気の働きを鈍らせることができる」
 希望、信念、或いは欲望。己の生きる理由、生きる意義。例え醜くとも、見苦しくとも、何としても生き抜くという魂の力。そうしたものが|太陽《いのち》の輝きとして現れ出る。シュタルクはそう考える。
「奴からは嘲笑を以て返されるだろうが、それこそが奴に対抗する鍵だ。恥じず、恐れず。己の生きる力を掲げて立ち向かって欲しい」
 それともう一点。シュタルクは続ける。
「此度の戦に先んじて、一部の猟兵がかの地へ潜入調査――|強襲作戦《ファーストアタック》を仕掛けた。その結果、どうやら奴の弱点を探り出すことに成功したらしい」
 その弱点を突くことも、恐らくは此度の戦いにて優位に作用するかもしれない、とのことだ。
「具体的にそれが何であるかは、件の|強襲作戦《ファーストアタック》の報告書に目を通すなどして調べて欲しい」
 ただし、と。続けてシュタルクが言うには。
「奴も、己の弱点についてはよく把握していることだろう。そこを突こうとする敵の動きには、相応の対処を取る可能性がある。その点を念頭に置いておいてほしい」
 あまりにあからさまな動きは対策され得る、ということか。確かに注意が必要ではありそうだ。

「世界を闇に閉ざさんとする|日蝕帝国《エクリプス》の所業、これ以上許すわけにはいかん。この場にて、完全な決着をつけるとしよう」
 猟兵達が頷くに対し自らも頷き、シュタルクはその手にグリモアを展開する。
「では、転送を始める。皆、頼んだぞ」
 グリモアの光が溢れ、猟兵達はかの屍人帝国の本土たる大陸へと転移を果たす。
 其処には、一切の光を拒まんばかりの瘴気が溢れかえっていた。


五条新一郎
 太陽は昇る。
 五条です。

 アルカディア争奪戦も一つの山場に差し掛かって参りました。
 六つの屍人帝国が一つ、|日蝕帝国《エクリプス》が王たる帝竜との決戦シナリオでございます。

●このシナリオについて
 このシナリオの難易度は「やや難」です。

●目的
『太陽を喰らうもの』の撃破。

●戦場
 ブルーアルカディア、|日蝕帝国《エクリプス》本土大陸。
 一面に荒野が広がっており、その全域を、太陽を喰らうものの身から生じた『悪意の瘴気』が覆っています。

●プレイングについて
 OP公開と同時にプレイングを受け付けます。募集状況はタグにて掲示予定。
「自身の『|太陽《いのち》の輝き』を証明する」「敵の『隠されていた弱点』を突いて戦う」ことでプレイングボーナスがつきます。
『|太陽《いのち》の輝き』を証明することで、敵の瘴気の作用を緩和できます。具体的な手段についてはOPをご参考に。
『隠されていた弱点』については、関連シナリオのリプレイに記述があるようです。

●リプレイについて
 随時返却の予定でおります。9/18(日)いっぱいでの完結を予定。

 それでは、皆様の眩きプレイングお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『帝竜』太陽を喰らうもの』

POW   :    暴虐の蹂躙
【『昏き闇夜』の放出】によりレベル×100km/hで飛翔し、【自身の負傷度(=傷を負うほど強化)】×【敵全員の生命力(=敵が強いと強化)】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    グラビティ・クラッシュ
速度マッハ5.0以上の【超重力を帯びた黒爪】で攻撃する。軌跡にはしばらく【露出した骸の海】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ   :    太陽を砕く一撃
【太陽(いのち)への憎しみ】を向けた対象に、【無限に伸びる漆黒超鋼の尾撃】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:ハギワラ キョウヘイ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
生命の醜さは否定しませんが、斯様な教義が有りまして。
『美しい物を美しく見せるのは容易。
 醜いと捉え得る物を美しく見せてこそ価値が有る』
生命を育む『豊饒』の使徒として『絶対の信仰』の下お相手致しますぅ。

『FAS』により飛行、『FES』で光結界を展開しますねぇ。
『蹂躙』は『FGS』の重力波で突撃方向を下にずらし『FIS』の転移で上方に退避、小回りが難しく重力の影響が強い巨体相手なら回避可能でしょう。
そして【処檻】を発動、超重力の檻で捕えますねぇ。
『帝』という地位故の会話量と帝竜の強さ、『棘』は相当な威力が得られるでしょう。
更に『F●S』各種を全展開、一気に[追撃]しますぅ。


久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎

愛する人が生きるこの世界を守ることが俺のいのち
だからこそ限界まで燃やし切って戦うぜ
だからって死ぬつもりはないけどな
お前が嗤ういのちの強かさを知りな!

イグニシオンに[騎乗]し[空中戦]だ
過去の[戦闘知識]から予備動作を[見切り]
複雑な飛翔軌道も[第六感]で察知して[残像]で躱しながら
太刀と焔による[2回攻撃]で責め立て、全力で[焼却]にかかる

それでも危機に陥った時にはUCを起動
全ての損傷を回復しデミオブリビオン形態へと移行する
もとより短期決戦など考えていない
お前が自滅する最後まで付き合ってもらうぜ!


稷沈・リプス
普段は自称:人間な男だが、日蝕帝国関連ならば関係ない『蝕神』

本当に嫌いなんすよ、お前さん。太陽(いのち)へのスタンス違いすぎて。同一視されたくねぇっす!
というわけで、亡き友の太陽神から借りた権能の一つ、【ライオンライド】っす!

ああ、お前さんは憎いっすよね。
でも、太陽はいつだって輝くんすよ!
攻撃は行き先フェイント交えて避けるっす!

あ、言っとくっすけど。俺、お前さんの言ってた『羽虫』の一人なんすよ。
お前さんは、その力を振るった長期戦には向いてないっすね。自壊するっすから。
…さて。猟兵っていうのはたくさんいて、少なからず長期戦になるんすけど。
お前さん、耐えられるんすかね?

ライオン、突撃っす!



 紫闇の瘴気満ちる|日蝕帝国《エクリプス》本土大陸。その只中へと転移を果たした猟兵達の目に映る風景は、未だ真昼の時刻でありながら黄昏じみて薄暗い。
「……まさに|日蝕《エクリプス》でも言うつもりっすかね」
 見回せば視界は意外と効くが、見上げれば太陽も碌に見えぬ暗さ。稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は忌々しげに呟く。『蝕』司る神たるが故に|日蝕帝国《エクリプス》を強く敵視する彼、その本土たる此の地の有様にも嫌悪が募る。
「光を許さない、という意志を強く感じますねぇ……」
 仄淡い光を放つ結界の内にて夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が応える。祭器たる飾り布を介して展開した光の結界だが、その光の照らす範囲はるこるの見立て以上に狭い。その割に視界そのものが妨げられないのは、やはりそういうことなのだろう。
『――二人とも、来たぜ』
 二人の背後に聳え立つキャバリア『イグニシオン』から、搭乗者たる久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)が警告を発した、その直後。瘴気が渦を巻き、荒野の大気が激しく掻き乱される。
 見上げた其処には、四枚の翼を羽ばたかせ降下してくる、長大なる漆黒の体躯持つ竜の姿。間違いない、あれこそが『太陽を喰らうもの』。|日蝕帝国《エクリプス》を統べし帝竜。
『来たか。汚らわしき|太陽《いのち》に縋る脆弱なる者共』
 重々しく響く声は、猟兵達に対する嫌悪と侮蔑を隠しもせぬ。圧力さえ伴う敵意と悪意が向けられるのを、猟兵達はその身で以て実感していようか。
「――やっぱ嫌いっすよ、俺。お前さんのこと」
 故にこそ。リプスは頭上の黒き竜を睨み上げる。同じ『蝕』を司るものでありながら、かの竜とこの神の|太陽《いのち》へのスタンスは正反対。即ち。
「今を生きる人達の|太陽《いのち》は愛でるべきものっすから。お前さんなんかと同一視されたくねぇっす!」
 その意志を言葉として、リプスは叫ぶ。それはシンプルにして明確な彼の行動指針。今を生きる者達の為に、過去を討つ。
『奇遇だな。我も貴様如き紛い物の同類と見られる等、到底堪えられるものではない』
 其に帝竜は嘲笑と軽蔑を以て返す。かの竜もまた、この神の在り方にこの上なき嫌悪を示していると見えた。
「生命が時に醜く汚いものであることは、否定致しませんが……」
 続いて口を開くのはるこるだ。彼女が語るは、己の奉ずる豊饒の女神の教えの一つ。
「『美しい物を美しく見せるのは容易。醜いと捉え得る物を美しく見せてこそ価値が有る』。それが如何に醜いものであろうと、醜いままか美しくなりえるかは、当人の在り方次第かとぉ」
『ふん、本質として醜いものを美しく見せかけることに何の意味がある。紛い物をこそ有難がるは正しく|太陽《いのち》の悍ましさよ』
 なれど帝竜にとっては詭弁としか認め得なかったらしい。嫌悪も露に吐き捨てる。と、そこで。
『――こういうのはな、理屈じゃないんだよ』
 遙翔の声と共に、イグニシオンが身構える。その機体の随所から、闘気じみて紅蓮の焔が溢れ出す。
『愛する人が生きるこの世界を守ること、それこそが俺の|太陽《いのち》だ!』
 そして吼える。その為にこそ、限界まで己を燃やしきって戦う意志を。その上にて生還を果たすという覚悟を。
『愚劣! 己の存在を他に依存して恥じぬその浅ましさこそ|太陽《いのち》の醜さよ!』
 今にも大笑せんばかりの声で帝竜もまた吼える。真の強者に絆など不要、と言わんばかりに。なれど、その応えも遙翔を揺さぶることは無く。そして。
「ならば見せてやるっすよ、絆の力ってやつを!」
 リプスもまた声を上げると共に、その傍らへと黄金のライオンが駆けてくる。今は亡き友の忘れ形見とも言うべき、かの太陽神より借り受けた権能の一端。
「ええ、私もこの『絶対の信仰』のもと、お相手致しますぅ」
 るこるも、その背にオーラの翼を広げ宙へと浮き上がりながら宣言する。生命を育む『豊饒』の使徒、神と人とを繋ぐ者として。
『お前が嗤う|太陽《いのち》の強かさを知りな! 行くぜ!』
 そして遙翔の吼えるに続いて、イグニシオンがその背より噴き溢れたる焔を翼と成して飛翔し――以て、戦いの幕が上げられた。

 瘴気を斬り裂き飛翔するイグニシオンとるこる。ライオンに跨り地を駆けるリプス。其々が真っ直ぐに、太陽を喰らうものを目掛けて征く。
『愚かしいわ!』
 侮蔑を以ての黒竜の咆哮。なれど其は大気を激しく震わせ、空中に無数の紫雷を迸らせる。其は唸り轟きながら空を駆け、三人を目掛けて襲い掛かる。
「この程度でしたらぁ……っ!」
 るこるは光の結界を以て其を食い止める。流石に帝竜たる身の繰り出す其は容易に食い止めること叶わず、幾筋かが結界を貫きるこるの身を灼くが、この程度ならば戦闘続行は可能だ。
『当たるかよっ!』
 遙翔は蓄積してきた戦闘経験で以て巧みにイグニシオンを操縦、紫雷を躱す。雷電を操るオブリビオンとは過去に幾度も戦った、躱せぬ道理は無い。
 黒竜へと肉薄しつつ、イグニシオンが抜き放つは漆黒の刀身持つ太刀『|迦具土《カグツチ》』。抜き打ちの斬撃を黒竜目掛け迸らせる。
『遅いわ!』
 帝竜はその手に備わる爪を振るい、迫る黒刃を弾きにかかる。なれど刃と爪とが触れた、その瞬間。
『ぬぅっ!』
 迦具土の刃が弾かれる直前、夥しき焔が刀身より噴出する。焔は絡みつき、腕部を覆う鱗を焼き焦がす。予想外の攻撃に唸る帝竜。
『驚いたか! これが俺の、イグニシオンの力だ!』
『我が鱗を炙る程度しか叶わぬ力を誇るか』
 弾かれた刃を構え直しながら言い放つ遙翔。対する黒竜は侮蔑を込めた挑発を以て応え。刃を弾いた爪に、紫電と共に膨大なる力が籠る。
『刃とは! このように振るうものだ!』
 そして振るわれる爪、その速度は音速をも超えて空間を裂きながらイグニシオンへと迫る。その予備動作から爪による攻撃を予想していた遙翔、機体を急上昇させることにて回避を試みるが。
『くっ、脚が……!』
 その速度、彼をもってしても躱しきるには至らず。機体の脛辺りに爪が掠めたかと思えば、金属の装甲がまるで丸められる厚紙の如く傷口へと引き込まれ、圧搾、粉砕されてゆく。直撃していたらどうなっていたか、想像したいものではない。遙翔の頬を冷たいものが滑り落ちる。
「って、こっちも狙ってきたっすか……!」
 振り抜かれた爪はそのまま、地上のリプスをも狙って振り下ろされる。その速度、破壊力。目に見える範囲だけでも相当な脅威と認められよう。
 直撃を貰うわけにはいかない。自らを背に乗せ駆けるライオンへと、回避機動を指示。向かって右方へと跳躍を試みるライオン。
 なれど、振り下ろされる爪は回避機動を読んでいたかのようにリプスへと迫り。そのまま、彼の身を乗騎ごと引き裂かんとして――空を切った。
「危ない処だったっす……!」
 強張った表情で、振るわれた爪に引き裂かれた空間――露出した骸の海を見遣るリプス。先の回避機動の際、最初に見せた動きをフェイントとして逆に避ける動きが少しでも遅れていたら、自分もこの一撃に巻き込まれていた――そう考えると、ぞっとしないものがある。
『おのれ、カサカサと煩わしい……!』
 そこへ聞こえる苛立たしげな唸り。今の一撃を躱されたことに対する、太陽を喰らうものの憎々しげな声だ。
「どうっすか、羽虫一匹叩き潰すのに手こずらされる気分は!」
 ここぞとばかりに煽ってみせるリプス。予兆において猟兵達を羽虫と嘲っていたことを踏まえて言い放つ。
『貴様……! 調子に乗るな……! 貴様ら如き、我の力を以てすれば……』
 怒りと憎悪に満ち満ちた唸りと共に、帝竜は再度その爪を振るわんとするが――その時。
「大いなる豊饒の女神の名に於いて、仇なす者達に厳格なる裁きを――」
 戦場に響く、るこるの声。奉ずる女神へと捧ぐ祈りの詠唱が結ばれた、その直後。
『――ぐおおおおおぉぉぉぉ!!?』
 凄まじいまでの苦悶の絶叫が、黒き竜の口蓋より溢れ出す。その肉体が空中にて堅く縛められると共に、全身へ漆黒の棘が突き刺さり流血を強いる。
 それは、敵を超重力の檻に捕えると共に、敵が言葉交わしたオブリビオンの数と敵自身の力量に比例したダメージを与えるユーベルコード。|日蝕帝国《エクリプス》の王として数多のオブリビオンを従えし強大なる帝竜に対しては、抜群の威力を発揮する代物だ。
『グ……ガ、お、おのれ……!』
 超重力空間に囚われ、只々もがくしかできぬ黒き帝竜。其に追撃を為すべく、イグニシオンが飛翔する。
『こいつで、決めさせて貰うぜ……!』
 遙翔の叫ぶと共に、大上段に振りかぶった太刀を、焔が包む。必殺の一撃を為すべく、背より噴き出す炎が更なる加速を齎す。重力をも味方につけた刃を唐竹に振り下ろし、帝竜の頭を捉えんとする――が。
『……この程度で、我を仕留めたつもりか……!』
 帝竜は唸る。怒りと、憎悪と、確かな闘志を以て。その背より、焔が如く漆黒の闇が噴出する。『昏き闇夜』と称される、謎めいた力。なれど、確かな脅威たり得る力。
『……オオオオオオオオオオ!!!』
 そして帝竜は飛翔する。全身を苛む棘を、超重力を振り切って――その巨体で以て、イグニシオンへと突撃する!
『ぐあぁぁぁぁぁっ!?』
 予想外の反撃。装甲の拉げる音と、ダメージを告げるアラート音とがコクピットへ響き渡り、遙翔の身へも五体の千切れ飛ばんばかりの衝撃が走る。
『忌まわしき|太陽《いのち》、このまま、纏めて潰してくれるわ……!』
 己が身へイグニシオンを磔としたまま、太陽を喰らうものは飛翔する。音速を遥かに超える速度で、るこるを目掛けて突撃する。遙翔諸共、その|太陽《いのち》を蹂躙し圧潰する為に……!
「そうはいきませんよぉ……!」
 なれど、るこるもその攻撃には備えていた。その身が瞬時に太陽を喰らうものの突撃軌道より消失、その頭上へと再出現。瞬間移動を可能とする祭器の力だ。
「お返しですぅ!」
 そして周囲に展開されるは、るこるの主武装たる浮遊兵器群。熱線、炸裂弾、爆撃、斬撃、重力弾、光線。多種多様なる攻撃が、黒竜の背へと立て続けに着弾する。
『ぐぁっ! き、貴様、味な真似を……!』
 背に浴びせられる攻撃が、確かなダメージを齎しているのだろう。憎々しげな呻きを漏らす帝竜。それ故か、前方――重篤なダメージを与えた、そう確信していたイグニシオンへの意識が、一時逸れる。
『――CODE-REVELATION、起動……!』
 遙翔の静かな、しかし力強い声と共に。大破していたイグニシオンの機体が激しい炎に包まれる。
『何……!? 貴様、何を……!?』
『元より短期決戦など考えていないんでな……!』
 驚愕を漏らす帝竜の身より離れたイグニシオン、その身を覆う炎は益々燃え盛ると共に、徐々に肥大化してゆく。否、その内の機体そのものが、巨大化していっているのだ。
 その背に広がる焔の翼が四対に増え、砕けた脚も、拉げた胴も、元通りに戻ってゆく。コクピット内の遙翔も、その傷を癒されて。
 そして炎の退いた時、其処に在ったのは、本来の二倍にまで巨大化したイグニシオン。其はかの機体の覚醒形態。デミオブリビオン形態とも称される姿。
『まだまだ、付き合ってもらうぜ……!』
『ぐぅぅぅぅ……っ!?』
 振るう大太刀もまた、二倍の長さへと巨大化している。それまで以上の力で振るわれたその刃を、帝竜は先程のように弾くこと叶わず。爪を掲げて食い止めるより他に無く。背より降り注ぐるこるの砲撃を、甘んじて受けざるを得ない。
「如何したんすか? お前さんの言う羽虫如きに随分と苦戦してるじゃないっすか」
 そんな帝竜のもとへ、地上から声が届く。リプスだ。
「そもそも不思議じゃないっすか? 俺達が『こうも長く』お前さんと戦えていることが」
『……ッ!?』
 漏れる愕然たる声。リプスの言を受け、太陽を喰らうものが気付いた事実。己の身より溢れる悪意の瘴気。|太陽《いのち》を呑み込み侵蝕する闇――その影響が、この羽虫共には見えてこない……!
「お前さんが憎んでやまないでしょうけど。|太陽《いのち》はいつだって輝くんすよ! 俺達が今、こうしているように!」
 其は先に示された、猟兵達の|太陽《いのち》の輝き。闇を退ける光。其を掲げているからこそ、未だ、己らは此処にあると。
『ば、馬鹿な……!? 脆弱なる|太陽《いのち》如きを、我が闇が喰らえぬなど……!?』
「そうやって侮った報いを、お前さんはこれから受けることになるんすよ!」
 喝破するリプス、その身を預ける獅子が駆け出す。勇ましき黄金の鬣の風に靡く様は|太陽《いのち》の輝きの如く。
『俺の|太陽《いのち》の炎、この程度の闇で吹き消せはしない!』
 遙翔の吼えると共に、イグニシオンの背の焔翼が激しく燃えてその身を加速させる。その勢いを乗せて太刀を振るえば、かの竜の爪が弾かれて。
「その身体で……長く力振るえば砕けてゆく身体で、俺達の|太陽《いのち》の輝きに耐えられるんすかね!」
 リプスの指摘するは、かの帝竜の隠されていた弱点。宿した力を長く振るえば、いずれ肉体の崩壊を招くという事実。例え己らが退けられようとも、後続の猟兵がいるという示唆。
 そして獅子が跳躍する。その身に具えし爪を振り上げ。

 振り下ろされた、炎纏う大太刀の刃と、振り抜かれた、獅子の鋭爪が。
 光喰らう黒竜の身を、激しく斬り裂いてみせたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
機神搭乗
…やれやれ…ここまで気合入れる事になるとはな?
「帝竜が相手だからかな?」
そうだろうな?だが…やるからには食らい尽くすぞ

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の尾撃の癖
周辺の状況
そして…どれくらいの消耗で弱体化するかも過去の戦闘記録も踏まえ冷徹に把握

やれやれ…何度目かわからねーが初めまして
おめーは帝竜だな?
帝竜眼がお前を見ていますよ
太陽の輝き
んなもん決まってる
綺麗なおねーさんとエロい事をする事だ!
子作りは太陽の輝きその物だろうがっ!おめーをさくっと倒してルナと遊ぶとするぜ!
「メルシーもご主人サマと遊びたいぞ☆」
純然たる欲望の叫びが此処に在った

弱体&対wiz
【念動力・空中戦・武器受け・弾幕・属性攻撃】
太陽属性の弾幕を展開し尾撃を迎撃や威力弱体
飛び回り避けきれないのは鎌剣で受け止め威力を弱めるよう吹き飛びながら長期戦へ持ち込む
苦手だがやれねーわけじゃねー!

時間経過で弱体化した瞬間

UC発動
対峙する帝竜と帝竜
【二回攻撃・切断・捕食】
八首から属性ブレスによる蹂躙
牙で食らいついて血肉を食らい尽くす!!



 瘴気を斬り裂くように飛翔するは白銀の機神。その名を『メルクリウス』。
「やれやれ……ここまで気合い入れることになるとはな」
 そのコクピットにて、操縦者たるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は呟く。必要以上に力を入れぬ、それが普段の彼の流儀ではあったが。
『帝竜が相手だからかな?』
 コンソールの上に浮かび上がる鶏の立体映像が、その心境に見当をつける。メルクリウスに宿る意思の具現、通称『メルシー』だ。
 成程、此度敵する相手は帝竜と称されし存在。これまで多くの竜――かつてのアックス&ウィザーズの帝竜達含む――と交戦してきた彼である。その見解には納得のいくところもあるようで。「そうだろうな?」と返しつつ。
「……だが。やるからには喰らい尽くすぞ」
 |太陽《いのち》を喰らい尽くさんとするかの竜を、逆に喰らってみせる。傲岸とも思えるその意思を確かめた直後。
『次は貴様か。全く、脆弱なる分際で次から次へと湧いて出る』
 憎悪に溢れたる唸りを伴い、瘴気の向こうへ姿を現せし黒き竜。『太陽を喰らうもの』。メルクリウスの外部カメラ越しに、その姿を確と見据え。
『やれやれ……何度目かわからねーが初めまして』
 最初に告げるは挨拶。その間にも、視線はかの帝竜の姿を隈なく観察する。先に別の猟兵と交戦していたらしくその身の随所に負傷が見えるが、感じる力に傷の影響は全く見えぬ。
『おめーは、帝竜だな? 帝竜眼がお前を見ていますよ』
 そして言い放つ。機体に据えられた帝竜ワームの瞳、数多の竜達の魔力を集積した竜神兵器が光を放つ。かの帝竜を『見る』かのように。
『如何にも、我は帝竜『太陽を喰らうもの』。貴様の些末なる|太陽《いのち》も、此処で喰らってくれようぞ』
 カシムの言を認めると共に、その身に力が昂り滾る。既に戦闘態勢に入っている。同時、彼の身から溢れ出る瘴気も濃度を増し、メルクリウスへと纏わりついてくる。
『食えるものなら食ってみろ! 僕は生きて帰って綺麗なおねーさんとエロい事をするんだからな!』
『メルシーもご主人サマと遊びたいぞ☆』
 だがカシムは堂々と叫ぶ。己の胸に滾る欲望を。その脳裏には、スペースシップワールドで参加した任務を予知した紫の髪のグリモア猟兵の姿が思い浮かんでいるだろうか。
 応えて叫んだメルシー共々、その叫びは純然たる欲望の叫び。なれどその行為は綿々と血脈を繋ぐ生命の営み。故にこそ、その欲望もまた|太陽《いのち》の輝きと言えるのかもしれない。少なくとも、メルクリウス周囲の瘴気を退け得る程には。
『下劣! それこそが|太陽《いのち》の醜さだというのだ!』
 なれどカシムのその在り方、かの竜にとっては尚の事認められぬもののようで。その身を大きく振るえば、長大なる尾が唸りを上げてカシムへと迫る。
『だから何だってんだ!』
 カシムが吼え、メルクリウスの左腕を掲げると共に、眩く輝く弾丸が無数に撃ち出される。迫る漆黒の尾へと撃ち込まれる其が、繰り出された尾撃の勢いを僅かながらに緩め、その隙に機体を上昇させ躱す。
『醜く汚らわしき|太陽《いのり》に滅びを! 世界は静寂の闇に呑まれるべし!』
 吼える帝竜、迸る紫雷が唸りを上げてメルクリウスへと迫る。右へ左へと躱してゆくが、そこへ再度繰り出された尾が迫る。先程までより間合いが遠いにも関わらず届くその尾撃。尾自体が延伸されているのだ。
『ちっ……!』
 弾幕を展開しての減速は間に合わない。得物たる鎌剣を掲げ、打ち据える尾を受け止める。
 巨大質量の衝突じみた衝撃で吹き飛ぶメルクリウス。だがそれは敢えての判断。下手に踏ん張るよりも、衝撃を逃がす形で吹き飛ばされた方がダメージが少ないという判断だ。
『時間を稼げばチャンスが巡ってくるとはいえ……!』
 空中で機体の態勢を立て直すカシム、なれど帝竜は即座に追撃せんと空を翔び迫る。再度メルクリウスの腕より弾幕を放ち牽制する。
 本来ならば持ち前の速度と技術で速攻を期するのがカシムの戦い方だ。持久戦は正直なところ苦手と言っても良い。だが、其処にこそかの帝竜に対する勝機があるならば。
『やってやれねーわけじゃねー……!』
 唸るように吼える。それは或いは、意地とも言えるものだったかもしれない。

 そうして、迫る黒竜の猛攻を凌ぎ、弾幕と鎌剣での牽制を積み重ね、どれ程の時間を経ただろうか。
『貴様……! ちょこまかと逃げ回りおって……!』
 幾度目かの尾撃をも凌がれ、忌々しげに唸る太陽を喰らうもの。その身体は随所の鱗が剥がれ落ち、肉も腐りかけているように見える。
『そうですね……そろそろ決着をつけるべき頃合いでしょう』
 その様相を、話に聞いた弱体化――力を使い続けることで肉体が崩壊してゆく、その影響と判じ。カシムは勝負に出る決意を固める。
 メルクリウスのコクピットを開放、其処から空中に飛び出した直後。メルクリウスの身に据えられた帝竜眼飛び出しながら光を放つ。其はカシムの元へと至ると共に、その身を光で以て包み込む。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……! 今こそ……帝竜の王の力を我が身に宿せ……!」
 詠唱と共に、カシムの肉体は帝竜眼と結合しつつ見る見るうちに肥大化してゆく。四肢は強靭なる四つ脚へ、首は長く伸びると共に増えていき、背には何対もの翼が生え。
『我が身、今こそ帝竜へと至らん……!!』
 光が退くと共に、露となったその姿は、八首を具えた巨大なる竜――帝竜ヴァルギリオス、かつての帝竜の王そのものと化していた。
『竜の似姿とは……羽虫の分際で舐めた真似を……!』
 対峙する帝竜と帝竜。カシムのその姿を、竜たる己への侮辱と見なしたか、怒りに震えつつ吼える黒竜。紫雷と共に尾を繰り出し打ち据えんとするが。
『オオオオオオオ!!』
 カシムは咆哮と共に八の首から一斉にブレスを吐き出す。炎水土氷雷毒光闇、八属性のブレスが、太陽を喰らうものへと浴びせかけられ。
 弱体した身ゆえにブレスを耐えきれず、怯む黒竜。その隙を逃さず迫る八首の帝竜。
『その身、喰らい尽くさせてもらう……!!』 
 肉薄する二体の竜。カシムは八の首其々で顎を開き迫れば――
『ガアアアアア!!?』
 太陽を喰らうものの崩壊を始めた肉体の各所へと齧りつき。その身を食らわんとばかりに、猛然と血肉を食いちぎりにかかっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイシャン・ラディスティ
悪意の瘴気ですかー、なんだかとっても気持ち悪いですねー
こんなものは無くした方がいいですよねー

わたしはのんびりするのが好きです、痛いのは好きじゃないです
できればほかの人にもそういうことをしたくはないですし…
脅かされるなら、断固抗いますー
どんな手をを使ってでも、ですねー

常時サーちゃんに騎乗
空中機動で敵尻尾を回避、防性ブリザードで威力軽減
しながら【凍てついて流るる】を詠唱
逃げて避けて防いで…これだって生きる為の方法
そして十分威力を上げたら水流放出

爪と牙だけを頼りにすべき、って言ったのに尻尾とか闇の力とか使うんですねー?
光の王国に対して足掻くのも浅ましいですねー?
最後に…随分疲れてるようですねー?


シーザー・ゴールドマン
|太陽《いのち》の輝き、ね。
そうだね、私からは逸楽を以て太陽の輝きとさせて貰おうか。
ただ生きるだけでは生命は輝かないよ。楽しまなければね。
そして、それを邪魔する君は明確な敵という訳だ。

『アイオーンの隔絶』を発動。あらゆる攻撃、帝竜の放つ悪意の瘴気すら吸収して戦闘能力へと変換。
圧倒的な暴力と精緻な技巧の融合した戦闘スタイル(暴力×功夫)で戦います。(生命力吸収付き)
時間経過と共に戦闘能力は上がりますので敵の行動をじっくりと見極めて追い込んでいくスタイル。その内、もう一つの弱点が露呈するでしょう。

おやおや、時間切れかな?

露呈したらその隙をついて渾身の一撃を叩き込みましょう。



「悪意の瘴気ですかー」
 荒野を満たす紫闇の瘴気。其の纏わりつく感覚に、レイシャン・ラディスティ(揺蕩う氷海・f27574)は嫌悪感も露に眉を顰める。なんだかとっても気持ち悪い、と。
「こんなものは無くした方がいいですよねー」
「そうだね、このようなものは美しくも面白くもない」
 そんなレイシャンに、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)もまた同意を示す。表情こそ微笑を保つも、細められた目には険が滲む。
「元凶たるかの竜には、早々にご退場願わなくてはね――」
 その眼の向いた先、瘴気の流れの源。かの黒き帝竜が、二人を睥睨するように聳えていた。
『消え去るべきは貴様らの方だ。醜く下劣なる|太陽《いのち》に縋る者共』
 向けられる言葉は嫌悪と憎悪に満ち満ちて。其に対する敵意の程がありありと感じられる。
『疾く滅びよ。弱く、浅ましき者共』
 そして宣告する。なれど、其に黙して従う猟兵達ではない。
「お断りですー」
「お断りだね」
 レイシャンは緩やかな声音ながらに決然と。シーザーは落ち着きながらも確かな意志を込めて。其々の言葉で消え去るべきとの帝竜の言を拒む。
「わたしはのんびりするのが好きです、痛いのは好きじゃないです」
 乗騎たる|氷海竜《アイスサーペント》の頭を撫でつつ、レイシャンは語る。互いに争うことなく、痛みを強いるようなこともなく。只々緩やかに穏やかに過ごしたい。そう願ってこそいるが。
「ですが、脅かされるなら、断固抗いますー。どんな手を使ってでも、ですねー」
 己と周囲の平和と平穏を護る為。その為にこそ、己は今此処にあるのだと。敵たる帝竜を見据えるレイシャンの視線は、普段よりも幾分か鋭く。
「生命は生きる為だけに生きるものではない。逸楽にこそ|太陽《いのち》の輝きは宿る」
 続いて語るシーザーは、楽しんでこその生であると語る。生きることだけに最適化された生になど、輝きは宿らぬ、と。
「そして、それを邪魔する君は明確な敵、という訳だ」
 見上げた先の黒竜を見据え、宣言する。口元には笑みを浮かべたまま、なれど視線には敵意と闘志を宿して。
『其が浅ましいというのだ、力なき分際で生き足掻く羽虫共め』
 なれど二人の信念も、太陽を喰らうものにとっては侮蔑の情しか浮かび得ず。その身より迸る紫雷が、力の高まる様を如実に示す。
『疾く灰燼と化せ、醜き者共!』
 そして迸る紫雷は荒れ狂って二人を襲う。回避行動を取らんとするレイシャンであるが。
「此処は私に任せたまえ」
 その前を守るかのように、シーザーが前に出る。荒れ狂い、降り注ぐ雷を前に、シーザーの肉体が真紅のオーラめいた力を纏う。其は『オド』と呼ばれる彼の魔力。戦を前に活性化した、シーザーの力のカタチ。
 紫雷が次々とシーザーの身へと降り注ぎ、その身を幾度となく貫く。なれど彼は呻き声一つ上げることなく平然とその場へ立ち続け。
「――この程度かな?」
 雷が止めば、平然と笑いかけさえしてみせる。身に纏う魔力は、彼に絶対的とさえ言える程の防御能力を齎しているのだ。
『貴様……! ならば、これはどうだ……!』
 己の雷撃を完全に無力化された事実に呻きながらも、太陽を喰らうものはその長大なる尾を繰り出す。巨大なる鉄鎚めいて叩きつけられる尾撃に対しても、シーザーは軽く腕を掲げたのみでその場に留まり続け――そして、衝突。
「――ふむ、流石に無傷とはいかないが……この程度ならば、想定内だ」
 その質量と衝撃に、シーザーの身が軋み、露な素肌に幾筋かの傷をつけるが。攻撃の規模に比すれば信じられぬ程の軽傷だ。更に、その傷さえも瞬く間に塞がってゆく。魔力に触れた部分から、かの竜の生命力を吸収しているのである。
「おおー、凄いですー」
 シーザーの凄まじいまでの耐久能力に、感嘆の声を上げるレイシャン。ならば、と一つ何らかの考えが思い浮かんだようで。
「ではー、暫く敵を引き受けて頂いて良いでしょうかー。でっかい一撃、用意しますのでー」
「構わないとも。私も、じっくり戦うつもりではいるからね」
 レイシャンの願うにシーザーも応え。ユーベルコードたる尾撃を受けて尚も負傷の見えぬシーザーを前に呻く帝竜に対し、一歩を踏み出す。
「さあ、次は私の番だ。耐えてみたまえ」
 跳躍し、太陽を喰らうものの懐へと飛び込んでゆくシーザー。振るわれる拳が、脚が、かの竜の身へと次々に撃ち込まれてゆく。
『ふん、その程度些かの痛痒も感じぬわ! |太陽《いのち》に縋る者など所詮はその程度!』
 嘲笑と共に返ってくる帝竜の言は事実。堅固な鱗に覆われた肉体に、打撃は大したダメージとなっていないように見えた。
「そうか。では、もう少々頑張ってみるとしよう」
 無論、シーザーにとってはそんな反応は想定内だ。焦ることなく、次々と打撃を繰り出しては巨躯を打ち据える。
(シーザーさんが敵を引き付けて下さってる間にー……)
 一方のレイシャンは、シーザーの背後つかず離れずの位置を保ち|氷海竜《アイスサーペント》で飛翔する。
 そして両手を合わせて紡ぎだすは詠唱。かの帝竜へと全力の一撃を撃ち込む為に。己のとっておきを準備し始める。

 その後も、シーザーは繰り出される攻撃を己の肉体と纏う魔力で以て凌ぎ。拳と脚を振るい、暴力的ながらも確かな技巧を伴う攻撃を繰り出してゆく。
 レイシャンの方へ行けぬよう、拳や立ち位置の調整による牽制を重ね。その挙動をつぶさに観察しては、機先を制するかの如く位置を取り、攻撃を重ねる。
『ぬ……ぐ、煩わしい羽虫め……!』
 己の攻め手を悉く潰され、苛立たしげに呻く黒竜。その声音に滲む疲労を、そして肉体の崩れつつある様を、シーザーは見逃さない。
「おやおや、時間切れかな?」
 見透かしたように言ってみせながら、拳をその身へ打ち込めば。走る衝撃に、黒き竜体が揺れる。シーザーの繰り出す拳の重さは、戦闘開始のその直後に比べて格段に増していた。
 彼の纏う魔力は、敵の攻撃を吸収するだけではない。受けた攻撃を、シーザーの力へと変換し、その戦闘力を底上げする効果も有しているのだ。かの帝竜を揺るがす程の拳は、ここまで長く繰り返してきた攻防の成果である。
 そして、シーザーが長期戦を挑んだ理由はもう一つ。
「あらあらー、爪と牙だけを頼りにすべき、とか言ったのに、尻尾とか闇の力とか使うんですねー?」
 煽るようなレイシャンの声。爪と牙だけ、というのは単純な言葉の綾ではあるが、そんな反論も今のかの竜にはできない。
「光の王国に対して足掻くのも、浅ましいことですねー?」
 続いて煽るは、かの竜の玉座を求める理由。かつての光の王国を蘇生し隷属させるというその願い。既に滅びたものを態々蘇らせてまで隷従せしめんとする行い、浅ましい執着とも言えよう。
『貴様……! 言わせておけば……!』
 激したように唸りを上げて、太陽を喰らうものはレイシャン目掛けて飛び掛からんとする。だが、その動きは。
「――私のことを忘れる程の怒りのようだね?」
 シーザーの存在を、完全に見落としたかのような反応。その声が黒竜の耳へ届いた時、シーザーは既にかの竜の傍らへと跳躍していた。そして。
『ぐふぁぁぁぁぁ!?』
 振るわれた全力の拳が、黒竜の頭部を強かに蹴り抜き。長大なる身を盛大に吹き飛ばしたのだ。
「あらあらー……随分疲れてるようですねー?」
 態勢を立て直さんともがく身の上から声。見上げれば、レイシャンの頭上に渦巻くは氷塊混じりの水の奔流。シーザーが時間を稼いでいる間に延々と詠唱を続けた結果、その水流の勢いは大渦じみた激しいものと化しており。
「でしたらそのまま、丸ごと流してしまいましょうねー」
 レイシャンが掲げた腕を振り下ろすと共に、生じた奔流は怒涛となって黒竜へと降り注ぎ。猛烈な流れと冷気が、かの帝竜の生命力を盛大に削っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
大層な名乗りだが
喰らえていないのだな。太陽を

状況は『天光』で逐一把握
先制含め守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

原理を廻し高速詠唱を無限に加速、循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、斉射
更に射出の瞬間を無限循環。戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

創生し最古の理に例外はない
凌げるなど夢にも思わぬことだ

眩い生命の輝きなど貴様には勿体ない
同じ残骸が阻んでやろう
まずは俺から超えてみせるが良い

※アドリブ歓迎


夜刀神・鏡介
なんとも傲慢というか、いっそ清々しい程分かりやすいというか
何故そう考えたかは……別にいいか

確かに俺1人ではお前に敵わないだろう。だが、俺は1人じゃない
人が代々受け継いできた、そしてこの先も受け継いでいく命の輝き
多くの人達の生命、その積み重ねがお前を討つだろう

神刀の封印を解除。神気を纏いながら創の型【幻煌】を発動
UC効果も含めて自身の身体能力を大きく強化すると共に、破魔の輝きによって瘴気を浄化

動きを先読みして爪を受け流して跳躍。敵が残した骸の海だが、神気に守られた今なら、一瞬触れる程度は大丈夫な筈。そいつも足場にして更に跳躍
斬撃波で一瞬動きを牽制しながら神脚による空中機動で、頭部を叩き切りにいく


リーヴァルディ・カーライル
…っ、これが、昏き闇夜の力ッ。なるほど…云うだけの事はある…ッ

…だけど、この程度の悪意に今さら呑まれるほど…私の誓いは易く無い…ッ

…見せてあげるわ、太陽を喰らうもの。お前が脆弱と嘲笑する、魂の輝きを…ッ!

敵の瘴気を心の中で救世の誓いを唱える事で気合いで耐えUCを発動
全身を圧縮魔力のオーラで防御して130秒間の限界突破した強化を施し、
第六感が捉えた殺気を暗視して敵UCの空中機動の突撃を暗視して攻撃を見切り、
魔力を溜めた大鎌を怪力任せになぎ払う早業のカウンターで迎撃する闇属性攻撃を行う

"…人類に今一度の繁栄を。そして、この世界に救済を…"

…この誓いがある限り、私が屈する事は決して無いわ


オリヴィア・ローゼンタール
白き翼の姿で帝竜と対峙

昏く澱んだ眼で仰ぎ見るがいい
太陽は、命は、決して滅びない
夜に覆われた世界にあってなお、人々は光を求める!
――【闇の世界に青空を】

人々の祈りを束ね、悪意の瘴気に対抗
見えるか、この光が!
死の闇に呑まれることを拒み、光の中で生きたいと願う命の輝きが!

青空を、即ち太陽を創り出す力
帝竜の怒りを買うという意味ではあまりに特効
憎しみのまま繰り出される尾撃を【見切り】、天翔ける翼で躱す(空中戦・空中機動)

ところで、貴様が宿したという「昏き闇夜の力」……持て余しているのではないか?
無為に乱発した尾撃で相当消耗している筈
全霊で吶喊し、聖槍で穿ち抜く!(限界突破・ランスチャージ)



『ぬ……ぐ、おの、れ……! 浅ましき羽虫共が、寄って集って……!』
 全身に幾つもの傷を負い、生命力も激しく奪われて。衰弱した様子を見せる『太陽を喰らうもの』。
『やはり|太陽《いのち》は下劣にして醜悪……! 全てを喰らい、全てを滅ぼさねばならぬ……!』
 なれど呻くは変わらぬ|太陽《いのち》に対する憎悪。其を以てかの竜はその身へ力を漲らせる。醜き悪の一切を根絶やしにせんとする、邪悪なる意思。
「――大層な名乗りだが。喰らえていないのだな。太陽を」
 そんなかの竜の在り方に対し、淡々と。アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)はその事実を宣告する。
『今はまだ、だ。我が力を以てすれば、脆弱にして愚昧なる|太陽《いのち》など容易く喰らい尽くせようとも……』
 それが己の当然の権利、と。言ってのけるその姿に、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は呆れたように肩を竦める。
(なんとも傲慢というか、いっそ清々しい程分かり易いというか……)
 これ程までに分かり易く生命の、人類の敵と言えるオブリビオンもまた珍しい。如何なる経緯があってそのような考えを持つに至ったのか。興味はあるが、深く探ることでもない。考え直す。
 と、そこに。
『このように! 全ての|太陽《いのち》を喰らい尽くしてくれようぞ!!』
 喚くような叫びと共に、太陽を喰らうものの総身から夥しい瘴気の奔流が溢れ出す。あらゆる生命、あらゆる|太陽《いのち》を憎むその悪意が可視化された、紫闇の瘴気。其が激流の如くに吐き出され、数秒とかからずして戦場はそれまで以上に濃い瘴気に包まれる。
「……っ、これが、昏き闇夜の力……ッ」
 心身に染み入る瘴気。苦悶するはリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)。一呼吸ごとに闇が肉体を、精神を侵蝕してゆくのが感じられる。成程、言うだけの事はある。
『これこそが全ての|太陽《いのち》を呑み込み喰らう闇! 貴様ら如きに我は倒せぬ! 受け入れ、心身の全てを我に捧ぐが良い!』
 尚も瘴気を放出し続けながら、勝ち誇るかの如く嗤う帝竜。此処に来て、いよいよ勝利を確信したかの如き様相。
 だが。
「――侮るべきではない。|太陽《いのち》の眩き輝きを」
 廻る原理の力を以て瘴気の影響を断っていたアルトリウスは宣告する。原理の端末と成り果てた残骸たる己と異なり、共に在る者達は皆、そうした輝きを宿す者達である、と。
「――そうだな。確かに、俺一人ではお前に敵わないだろう」
 鏡介が応えて語る。個としては確実に、己はかの敵に劣ると。だが。
「だが、俺は一人じゃない。人が代々受け継いできた、そしてこの先も受け継いでいく命の輝き」
 そうして積み重ねてきた数多の|太陽《いのち》こそが人の力、そしてかの敵を討つ力であると。そう信じる想いを胸に、鏡介はかの邪竜へと言い放つ。
「……そう。その魂の輝きのある限り……私は……人類は、お前達になど敗れはしない……ッ」
 リーヴァルディもまた、瘴気の侵食で屈しかけた膝を支えて立ち上がる。その胸にあるは、吸血鬼狩りとして活動を始めた頃から変わらぬ、ひとつの誓い。
(……『人類に今一度の繁栄を。そして、この世界に救済を』……そう、この誓いのある限り、私が屈することなど有り得ない)
 心中で唱えたその祈り。それこそが彼女の|太陽《いのち》の輝き。終わらぬ絶望の夜に沈んだ世界へ黎明を齎すべく駆ける己の、未知を示す輝き。
「昏く澱んだ瞳で仰ぎ見るがいい。太陽は、命は、決して滅びない」
 決然と宣言するは、その背に白き翼を広げたオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。例え世界の全てが夜と闇に沈もうとも、人々は光を求める。其をオリヴィアもまた知るが故に。
「――見よ、世界に在りて光を求める人々の心の結実を!」
 そして両手を掲げると共に集束してゆく光。其はやがて天へと長く、長く伸びあがる。そして空の彼方へと光が届いた、その直後。
 戦域に充満していた瘴気が、伸びあがった光を中心に払われてゆく、そしてその後に広がるは、晴れ渡る果てしなき蒼穹――そして、天頂より降り注ぐ太陽の光。
 其は、青空を求める人々の想い、祈りを束ねて放つユーベルコード。死の闇に呑まれることを拒み、光の中で生きたいと願う、数多の命の輝きによって齎す奇蹟。そして、それ故に。
『――貴様らァァァァァ!! 我に、よくも斯様な汚らわしき光をッ!!』
 怒り狂うは太陽を喰らうもの。闇を払い、陽光齎せし彼女の行いは、かの竜の憎悪を、憤怒を煽るに対してあまりにも強烈な効果を齎した。
「貴様には勿体無い光だ。此処で、阻んでやろう」
 アルトリウスは淡々と、変わらぬ調子で其処に在る。
「今こそ、積み重ねられた輝きを結実させる時――だな」
 鏡介は神刀を抜き、構える。溢れる力がその身へ纏わり、悪しき影響を祓ってゆく。
「……見せてあげるわ。お前が脆弱と嘲笑する、魂の輝きを……ッ!」
 得物たる大鎌を突きつけ、リーヴァルディが宣言する。
「貴様の望む世界は、永遠に訪れぬ! 覚悟!」
 聖槍を構えたオリヴィアの吼えた、その直後に。四人は一斉に、黒き邪竜を目掛けて駆け出してゆく。

『退けッ! 汚らわしき光をこれ以上我に見せるな!』
 唸りを上げて振るわれる、長大にして強靭なる太陽を喰らうものの尾による連撃。一撃にても生半な猟兵を打ち据え行動不能に追い込む、破壊的な一撃は、しかし。
「無限に伸びるというなら、無限に加速して躱すだけの事だ」
 十と一の原理に護られしアルトリウスには一切の尾撃が届くことなく。
「憎しみに囚われた打撃など!」
 オリヴィアはその攻撃を完全に読みきり、振るう尾の合間を的確に飛翔し潜り抜けてゆく。その挙動は、まさに巨悪へ立ち向かう正義の天使が如く。
「貴様は最早、行き止まりだ」
 アルトリウスの宣告と同時。蒼き空から輝く星が無数に降り注ぐ。其は創世の権能にて顕されし蒼光の魔弾。驟雨が如く降り落ちる魔弾が、帝竜の黒き巨体を瞬く間に削り取り、弱らしめてゆく。
『ぐぬぅ……っ! おのれ、近寄るな……!』
 立て続けの被弾に呻く太陽を喰らうもの。尾を掻い潜り迫った猟兵達を、重力纏う爪で以て斬り裂かんとする。斬られた空間に骸の海を残すという厄介極まりなき性質を有する代物。
「神器解放。無明を祓う光明を――」
 爪を前とし、鏡介もまたユーベルコードを発動する。溢れる神気の量が増え、伴ってはその身に滾る力も更に増す。神刀を掲げ、音速を遥か超える速度で振るわれる爪の己の刃を当て――受け流す。
「その骸の海、使わせてもらうぞ!」
 軌跡に残った骸の海を踏みつけ、更に跳躍。本来ならば不可能なその挙動、なれど神気に護られた状態の今の足ならば此を蹴るも叶う。そして踏み切り――その身は大きく空中へと飛び上がる!
『我が業を逆に使うとは不遜の輩め……! だが、その状態では我が突撃、躱せまい!』
 空中に飛び上がった鏡介を目掛け、渾身の突撃を敢行せんとする帝竜。だが、その真正面に飛び出す影あり。
「……見せてあげる。吸血鬼狩りの覚悟を」
 リーヴァルディである。その身を包むは高密度の圧縮魔力オーラ。ユーベルコードを以て限界を超えた力をその身に宿した彼女は、そのまま真正面から邪竜の突撃へと飛び込んで。
 瞬く間に詰まってゆく彼我の距離。残り10m、5m、2m――
「……そこね」
 そして振るわれたるは黎明の大鎌。頭からの突進を試みんとしていた太陽を喰らうもの、その顔へと見事に刃が突き刺さる。
『グアアアアァァァァ!!?』
 その目が潰れんばかりに深く斬り裂かれ、苦悶の叫びを上げる黒竜。そこへ更に迫る二つの影。鏡介と、オリヴィアだ。
「消耗は相当のようだな……ならば!」
 オリヴィアは敵の様相を見通す。ユーベルコードの多用と、此処まで積み重ねられた戦闘と負傷。併せれば、最早かの邪竜の肉体は崩壊寸前とさえ見える。
 槍を構え、翼を力強く羽ばたかせ。狙うは、邪竜の胸部。
「このまま、一気に決着をつけるとするか……!」
 鏡介は空を蹴り駆け、太陽を喰らうものへと迫る。脚部に纏われた神気が、宙空に刹那の足場を形成し、彼に空を駆けることを可能たらしめる。
 神刀を振るい、斬撃波を放つ。空を裂く斬撃は敵の頭上や側面を掠め、回避行動への咎めと成す。その間にも詰まる距離。狙うは頭部。
 刀を大上段に構え、更に加速。オリヴィアもまた、飛翔突撃を敢行せんとして――
「――斬る!」
「撃ち貫くッ!!」
 太陽を喰らうものを目掛けて繰り出された、最大にして最後の一撃。
 鏡介の振り下ろした刃が、邪竜の脳天より斬り込まれ。頭蓋を半ば両断せしめ。
 オリヴィアの全身を以て繰り出すランスチャージが、邪竜の胸を撃ち抜き貫いて――以て、かの帝竜へと致命傷を与えたのである。

『ガ……ァ……ッ。ば、馬鹿な……この我が……羽虫の群れ如きに……』
 信じられぬ、と言わんばかりの形相で呻く帝竜。その肉体は既に、半ばまで崩壊しつつあった。
『だが……忘れるな……! 世界に|太陽《いのち》ある限り我は不滅……! いつの日か二人蘇り、世界の……全て、を……!』
 最期まで、|太陽《いのち》への敵意を損ねることの無いまま。『帝竜』太陽を喰らうものの肉体は完全に崩壊し。そのまま、跡形もなく流れ去っていった。



 以て、六の屍人帝国が一『|日蝕帝国《エクリプス》』を統べし『太陽を喰らうもの』は打倒された。
 猟兵達の|太陽《いのち》の輝きが、かの邪竜の憎悪を克服したのである。

 なれど、未だ屍人帝国との決戦は続く。アルカディアの玉座、その争奪戦の行方は如何に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月19日


挿絵イラスト