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銀河帝国攻略戦㉕~ダンシング・ザ・ミラー

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●インペリウム強襲作戦
 アゴニーフェイス艦隊を突破したことで、帝国旗艦『インペリウム』と、『解放軍』のスペースシップ艦隊による本格的な戦闘が始まった。
「右舷被弾! 隔壁を閉鎖しろ!」
「こちらSSー1! 15時の方向に、敵艦載機を多数確認! 迎撃せよ!」
 スペースシップの中、警報に混ざってオペレーター達の緊迫した声が響く。さすがに、旗艦というだけあり、『インペリウム』の強さは他の帝国戦艦と比べても桁違いだ。
 いかに解放軍の戦力が多いとはいえ、このまま戦い続ければ、犠牲が増えるのは必至だった。それを防ぐべく、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)より告げられたのは、秘密裏に『インペリウム』へと転移して、内部から破壊工作を行うという作戦だった。
「……まあ、そういうわけで、あなた達には『インペリウム』に転移して、艦の中で可能な限り暴れまくって欲しいってわけ。ここで敵の戦力を削いでおけば、それだけ解放軍の戦いが有利になるしね」
 もっとも、『インペリウム』は銀河帝国の旗艦。その中に控える戦力もまた、精鋭揃いと思って間違いない。
 中でも厄介なのは、『皇帝親衛隊』と呼ばれる者達だ。その名の通り、銀河皇帝直属の親衛隊であり、戦闘力も極めて高い。雑多な宇宙人や人造生物などによって構成される部隊だが、個体としては最高クラスの戦闘力を持った者ばかりが所属している。
「今までに戦ったことのある種族でも、同じ相手と思わない方がいいかもね。できれば、親衛隊とは戦わないで、中から『インペリウム』を壊せればいいんだけど……」
 危険な任務であるが、それでもこちらは敵艦の中に直接転移できる。先に安全な場所を確保して、危険を感じたら早々に撤退すれば良いと……この時までは、誰もが、そう信じて疑わなかった。

●跳躍の先に待つ者
 帝国旗艦『インペリウム』。その内部に転移した猟兵達は、思わず自身の目を疑った。
「……敵、転移ヲ確認。迎撃ヲ、開始シマス……」
 抑揚のない声で告げるのは、金属生命体アナリシス。ユーベルコードを研究するために作られ、対象のユーベルコードを複製して使用することのできる、厄介な相手だ。
 まさか、誤って敵の目の前に転移してしまったのだろうか。疑問は尽きなかったが、その間にもアナリシスは、残された猟兵達へと迫って来る。しかも、この状況で最も聞きたくないであろう、最悪の名乗りを上げながら。
「我、帝国親衛隊所属、識別ナンバー7018。目的……猟兵ノ、殲滅……」
 よりにもよって、転移して早々に帝国の親衛隊と鉢合わせとは。しかし、この状況では逃げるにも逃げられない。敵に背を向けたが最後、待っているのは敗北のみ。
 こちらの転移先が読まれた理由は不明だが、まずは目の前の敵を倒さねば、帰還することも叶わない。猟兵達は覚悟を決め、親衛隊所属のアナリシスと対峙した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 帝国旗艦『インペリウム』への強襲作戦を仕掛けるはずでしたが、なぜか猟兵の十八番である転移の先が読まれていました。
 敵は強力な親衛隊直属のアナリシス。
 死力を尽くして撃破した上で、帝国旗艦から脱出してください。

 なお、アナリシスを撃破すれば、その後は安全な場所に避難した上で、グリモア猟兵の力で撤退することが可能です(撤退方法をプレイングに記載する必要はありません)。
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第1章 ボス戦 『アナリシス』

POW   :    アナライズ&コードテイカー
【ダメージのない解析ビーム 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象のユーベルコードを借用した攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    カウンターコード
【近くで使われたユーベルコードを解析する事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【そのユーベルコードのコピーを使用する事】で攻撃する。
WIZ   :    ミラーフォーム
対象の攻撃を軽減する【対象と鏡映しの姿(ミラーフォーム) 】に変身しつつ、【対象が所持するユーベルコードを借用する事】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

藤堂・遼子
これは、待ち伏せされたかしら?
疑問は尽きないけど、まずは目の前のこいつをどうにかしないといけないわね。
で、こいつは確かコピー忍j……ではなく、ユーベルコードをコピーしてくる奴だったわね。
……コピー、コピーねぇ。
……いいわ、覚悟を決めてやるわ。初手から【落とし子誕生】(出産演出お任せ)を使用よ。
さぁ、これをコピー出来るもんならしてみなさいよ!この邪法を、人工生命がコピー出来るもんならね!
で、産まれたのは、触手スライム……かしらね、これは。
ふむ、こっちのユーベルコードをコピーして攻撃してくるなら触手で縛ってスライム体内に呑み込んで封じてしまえということかしらね?
ともあれ、産まれた落とし子を嗾けるわ


黒岩・りんご
遼子さん(f09822)を目撃します

まさか予知が読まれるなんて…どういう事かしら?
グリモア猟兵としても疑問は尽きないのですが、ともあれ今は眼前の敵です

敵はこちらのユーベルコードをコピーする力を持つ…なら
こちらが受けならどうかしら?
と、オペラツィオン・マカブルの為に傀儡の喜久子さんを無防備に待機させます

ふと傍らの遼子さんの様子が目に入り
遼子さん何を…もしかして出産してます?
なんて不思議な技…本当の出産もこれくらい簡単ならいいんですけどねぇ
※本職は産婦人科医のりんごです

っと、自分が取り上げるでもない人の出産をまじまじと見ているのもなんですね

敵の攻撃をマカブルでいなしつつ、喜久子さん操って攻撃です


夜神・静流
相手もこちらの動きへの対策はしているでしょうし、安全確実な任務など、そうある物でもありません。
常在戦場、覚悟は出来ています。出てくるならば結構。阻む者を斬り、本来の目的を遂げるとしましょう。

早業・先制攻撃・衝撃波・2回攻撃を使用し、一ノ太刀・隼で攻撃。十六夜と白夜の二刀流で連続使用します。
カウンターコードで自分の技を使われた場合は、見切り・早業・衝撃波・カウンター技能を使って相殺。
後は解析する間を与えないように、ダッシュ・残像技能を使って肉薄し、連続攻撃を仕掛けます。
目の前で攻撃され続けては観察や解析もし辛いでしょうし、速さと手数を重視して戦いましょう。


時雨・零士
一応、姿的には女性なのかね…?女性相手ってのは戦い辛いんだが…泣き言言っても仕方ねぇか…。

他の猟兵と連携。
即座にポーズ取って「変身」。
敵の攻撃は基本【見切り、第六感】で避けるかアクセラレイターを盾にして回避。
カウンター対策にユーベルはギリギリまで使用しない。
攻撃はバーストのブラスター連射【2回攻撃】で牽制し、
【ダッシュ】で接近。ブラスター・マグナの【零距離射撃】や【グラップル、2回攻撃】での拳や蹴りの連撃で攻撃していく。
敵に視認されていない状況、もしくはコピーされて使用された場合、トドメの一撃か敵の攻撃の更に相殺・カウンターとして【カオス・ストライク】使用し仕留める

「さぁ、フィナーレだ!」


雛菊・璃奈
敵の攻撃は【見切り】で回避しつつ、【呪詛】で強化し【unlimited】を常に展開…。
連続掃射、一斉掃射で敵を追い込んだり、敵の攻撃の迎撃等、多用途で使用。
使用しなくてもミラーフォームやアナライズでコピーされるのなら、敵が一体なのを利用して、一気に数で攻めた方が良い…わたしは一人じゃない、みんながいる…!
幾らコピーできたって同時に全員の技をコピーはできないでしょ…?

回避しきれない攻撃は魔剣アンサラーで【オーラ防御、武器受け、カウンター、呪詛】により更に攻撃を反射して反撃…。
近接戦は【鎧無視、2回攻撃】の凶太刀で斬り捨てるよ…。

「更に返されるとは思わなかった…?油断大敵だよ…」

※アドリブ歓迎


赤月・句穏
九条・文織(f05180)と同伴
・心情 此処を突破すれば、銀河皇帝に手が届きますね
文、この世界を救ったら星空デートしたいです。
・戦闘(防御→相棒の防御補佐、UCにて瞬時に回復させ続けて戦う)
【第六感】で以て攻撃を回避しつつ、文織を援護致します
【高速詠唱】で【全力魔法】UCにて文織と自分のダメージを回復
文織のダメージが大きい場合【激痛耐性】、【カウンター】で回復使用。自らは耐え文織の回復を最優先
敵にUCを盗まれた場合は、【時間稼ぎ】で寿命を縮めて頂く
必要あれば【二回攻撃】【衝撃波】で【吹き飛ばし】敵を【薙ぎ払い】ます

私の文を傷つけたら生命なき機械だとしても相応の【恐怖を与え】てやりましょう。


九条・文織
赤月・句穏(f05226)と同行する

【POW】で判定する

「出会ってしまったものは仕方ない。くおん、バックアップは頼むよ」
刀を抜いて、一緒に居る句穏に向かってそういうと息の合ったフォーメーションを組んで

「臨む兵、闘う者、皆陣列べて前を行く。全てを絶ち斬れ、『句切』」
【気合】をいれて『句切』の刃に言霊を乗せ【先制攻撃】【二回攻撃】の【剣刃一閃】を放つ

敵が【アナライズ&コードテイカー】を使ってきたら
「これを躱せば、有利になるかな?汝の害意は刃を鈍らせる」
回避に言霊を乗せると【残像】で相手の目測を見誤らせ【見切り】で回避しようと

「さあ、もう少し頑張って心置きなく星空デートしようね」
句穏にそう言って



●待ち受ける者
 総力戦を仕掛ける『解放軍』を援護すべく、帝国旗艦を内部から撹乱する作戦に出た猟兵達。だが、そんな彼らを待っていたのは、およそ信じられない光景だった。
「我、帝国親衛隊所属、識別ナンバー7018。目的……猟兵ノ、殲滅……」
 転移先で待ち受けていたのは、金属生命体アナリシス。それも、量産品の有象無象などではなく、親衛隊直属の精鋭だ。
 考え得る中でも、最悪の状況だった。しかし、それ以上に疑問なのは、敵がこちらの転移先にいたのが、偶然にしては出来過ぎているということだった。
「これは、待ち伏せされたかしら?」
「まさか予知が読まれるなんて……どういう事かしら?」
 訝しげな表情を浮かべる藤堂・遼子(サイボーグの探索者・f09822)と黒岩・りんご(禁断の果実・f00537)の二人だったが、考えていても仕方がない。目の前にいるのは、皇帝直属の親衛隊。余計なことを考えながら、撃破できるような相手ではないのだ。
「相手もこちらの動きへの対策はしているでしょうし、安全確実な任務など、そうある物でもありません。常在戦場、覚悟は出来ています」
 そちらから出てくるというのであれば、こちらも容赦する必要は無い。夜神・静流(退魔剣士の末裔・f05903)が刃を抜けば、九条・文織(界渡りの旅行者・f05180)も赤月・句穏(界渡りの旅行者・f05226)へと目配せし。
「出会ってしまったものは仕方ない。くおん、バックアップは頼むよ」
「ええ、後ろは任せて。この世界を救ったら、星空デートもいいかしら?」
 互いに、一瞬だけ顔を見合わせると、改めてアナリシスへと向き直る。なにやら、不穏な未来が予測されそうな台詞だったが……この二人に限っては、不吉なフラグを笑顔で圧し折る様の方が似合っていた。
「一応、姿的には女性なのかね……? 女性相手ってのは戦い辛いんだが……泣き言を言っても仕方ねぇか……」
 戦うための姿へと変身し、時雨・零士(仮面ライダーデオルム・f04112)もまたアナリシス相手に身構えた。ここを突破できなければ、どの道、逃げることも叶わないのだから。

●写し身の法
 金属生命体アナリシス。その能力は、敵の姿と技を模倣し、己のものとして使用すること。
 正に、自分の写し身と戦っているのと同様だ。百戦錬磨の猟兵達とて、このような相手を前にしては、攻撃も慎重にならざるを得ない。
「参ります。一ノ太刀・隼!」
 敵がこちらを解析して来るのであれば、解析する間もなく攻撃すればいい。まずは神速の抜刀による衝撃波を放って静流が仕掛けるが、しかしアナリシスは、敢えてそれを避けようとはしなかった。
「……コード解析……ミラーフォーム、発動シマス……」
 挙動の詳細を見切れぬのであれば、その姿を借りることで、技も模倣しようと判断したのだろう。
 静流の似姿になったアナリシスは、そのままお返しとばかりに、彼女の抜刀術を模倣して放って来た。相殺すべく迎え撃つ静流だったが、敵の方が少しばかり早い。
「……っ! どうやら、姿だけでなく、能力や特製まで複写できるようですね」
 衝撃波に肩口をやられ、静流は痛みに顔を顰めながらも後退する。スピードで撹乱すれば良いと思っていたが、この敵の厄介さは、予想以上だ。おまけに、同じ技を使っているにも関わらず、向こうの方が狙いも正確無比である。
「一気に……数で攻めた方が良い。長引くと……それだけ、色々とコピーされるかも……」
 魔剣を展開しつつ、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)が言った。確かに、彼女の言う通り、1対1ではどう考えても勝ち目のない相手だ。こちらのアドバンテージになるものは、手数の多さと技の豊富さ以外にないのだから。
「そうは言っても、下手に必殺技使ったら、それもコピーされちまうんだろ? 厄介なやつだぜ、まったく……」
 璃奈の言葉に頷きつつも、零士は悪態を吐きながらブラスターで敵を狙い撃った。敵を倒す方法は、なにもユーベルコードだけに限らない。こうして、通常の武器による攻撃で相手を弱らせ、最後の最後で一気呵成に仕掛けるのもありだろうと。
 もっとも、そんな彼の行動を見越してか、それとも圧倒的な身体能力の差か。静流の似姿となったアナリシスは、猟兵達が次々に繰り出す攻撃を、軽やかな足捌きで避けて行く。このまま単調な攻撃を続けたところで、それでは決定打に成り得ない。
(「……コピー、コピーねぇ。確かに、これは面倒な相手だけど……」)
 そんな中、どこか思いつめた表情になりつつも、遼子は敵の特性と自分の持つ技の性質を重ねて考える。正直、敵の複写能力がどこまでの精度を持っているか不明な以上、迂闊に技を繰り出すことは憚られるが。
(「……いいわ、覚悟を決めてやるわ!」)
 中途半端な行動で敵に利を与えるくらいなら、禁断の邪法で迎え撃ってやる。自らの身体に眠る禁忌の法を繰り出さんと、遼子は心に決めて顔を上げた。

●模倣の綻び
 アナリシスとの激戦が続く中、りんごはふと、隣にいる遼子へと目をやった。
(「遼子さん何を……もしかして出産してます?」)
 苦しみ悶えながらも何かを生み出そうとしている遼子の姿に、思わず自分の職を思い出す。しかし、今はそんなことを言っている場合ではない。それに、ユーベルコードの類である以上、そこに生まれるのが人の姿をした者であるとも限らない。
「はぁ……はぁ……触手スライム……かしらね、これは?」
 不気味に蠢く不定形生物を前に、遼子は肩で息をしながらも、それをアナリシスへと嗾けた。
「さぁ、これをコピー出来るもんならしてみなさいよ! この邪法を、人工生命がコピー出来るもんならね!」
 幾重にも練られた、邪悪なる名伏し難き魔術の生成物。心も魔力も持たない存在が、それを複写できるはずもないだろうと。
「……解析、完了。カウンターコード、発動シマス」
 だが、下半身をスライムに封じられてもなお、アナリシスは何ら慌てる素振りを見せなかった。そのまま指先を遼子へと向ければ、先端から滴り落ちた液体金属の塊が、瞬く間に触手スライムの似姿へと変わって行く。
「なっ……じょ、冗談じゃないわよ! そんな場所から生み落とすとか、なんてインチキ……!?」
 驚愕する遼子だったが、そもそも敵は人間に近い姿をしているとはいえ、その肉体構造の根本からして異なる存在だ。魔術であろうと、邪法であろうと、およそ模倣できそうなものは、可能な範囲で何でも模倣してしまうのだろう。
「あれは……任せて……」
「動きが止まっただけでも感謝ですよ。さあ、仕掛けましょう!」
 触手スライムの模倣体を、遼子に代わって璃奈と静流が斬り捨てる。邪法まで複写するとは驚きだが、それでも遼子の仕掛けた技によって、少しばかり攻略の糸口は見えた。
「文字通り、あらゆることを複写する相手、か……。でも、それだけ勝てると思ったら、大間違いだ」
「無敵の技なんて、この世に存在しないもの。つまり……私達の弱点が、そのまま相手の弱点にもなる。そうよね?」
 文織の言葉に、念を押すようにして尋ねる句穏。そう、彼女の言う通り、無敵のユーベルコードなど存在しない。現に、相手は遼子の技を模倣することに集中するあまり、それが有効か否かまでは判断できていなかった。
 ユーベルコードは、敵を攻撃するだけが全てではない。ならば、今からそれを教えてやろうと、りんごが傀儡の喜久子さんと共に前へ出た。

●ガラスの写し身
 激しい攻防が続く中、微かに見えたアナリシス撃破の糸口。それを確かめるべく、まずはりんごが、敢えて無防備な姿を敵前に晒す。
「さあ、次はわたくしがお相手いたしますわ。存分に、模倣なされてはいかがです?」
 さすがにこれは、一瞬だがアナリシスも面喰らった。が、直ぐにりんごの解析を終えると、彼女の発動していたユーベルコードを複写して発動させるが。
「もらった!」
「……覚悟!!」
 脱力状態に陥っていたアナリシスへ、零士と静流が矢継ぎ早に仕掛けた。しかし、ブラスターや二振りの刃による攻撃へ、アナリシスは対応することができなかった。
 ユーベルコード、オペラツィオン・マカブル。完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化した上で、からくり人形から排出するという技だ。
 もっとも、無効化できるのは、あくまでユーベルコードのみ。通常の銃撃や斬撃には効果がなく、迂闊に虚脱状態を晒したアナリシスは、思わぬ直撃を受けてしまい。
「臨む兵、闘う者、皆陣列べて前を行く。全てを絶ち斬れ、『句切』」
 同じく、文織もまた愛刀による斬撃で、アナリシスを斬り捨てる。
「さあ、もう少し頑張って、心置きなく星空デートしようね」
「ええ、ここが正念場ね」
 句穏にかける文織の言葉も、それを受けて微笑む句穏の表情にも、どこか余裕が見られるようになって来た。今までの戦いを通して、それだけアナリシスもまた消耗しているのは明白だった。
 複写能力を持った、金属生命体のもうひとつの弱点。それは、複写こそ正確にできるものの、『攻撃を無効化』できるわけではないということだ。模倣と防御は似て異なるもの。技を借用できるとはいえ、それが即ち無敵になるかといえば、答えは否だ。
「呪われし剣達……わたしに、力を……『unlimited curse blades』……!!」
 好機とばかりに、璃奈が魔剣の群れを仕掛け、アナリシスの身体を串刺しにする。対するアナリシスも、自らの肉体から魔剣を模した液体金属性の剣を繰り出して来るが、それでも璃奈は慌てない。
「甘い……。こっちには……まだ、これだけ残ってる……」
 突撃させなかった残りの剣を空中で格子状に組ませることで、璃奈は敵の繰り出した剣の群れを絡め取り、そのまま無効化して見せたのだ。その上で、改めて残った剣を向かわせて、追い討ちとばかりにアナリシスの身体を刺し貫く。
「更に返されるとは思わなかった……? 油断大敵だよ……」
 アナリシスの持つ、複写能力の第三の弱点。それは、いかに技や姿形を真似たところで、その使い方には猟兵達の方に一日の長があるということ。いかに優れた技とて、アナリシスにとって猟兵達の用いる個性溢れたユーベルコードは、その大半が初めて使用するものに他ならないのだから。
「……ッ!?」
「さあ、捕まえたわよ! 今度こそ逃がさないわ!」
 串刺し状態になっているアナリシスを、遼子が背後から触手スライムで襲わせた。これでもう、アナリシスは逃げられない。コードを解析しようにも、身体が動かせなければ意味は無く。
「さぁ、フィナーレだ!」
 空中で蹴りの体勢を取り、零士がついに切り札を発動させた。その脚から放たれた混沌の魔力は、まるで魔封じの紋様か、あるいはポイントマーカーの如く、動けないアナリシスを補足して。
「コイツでトドメだ……!」
 全身に混沌の魔力を纏った必殺の蹴りが、金属生命体を打ち砕く。
 模倣に模倣を重ね、それでも勝てなかったアナリシス。彼女の敗因は、一重に己だけの技を持たず、人真似しかできなかったことなのかもしれない。

●苦渋の決断
 待ち伏せをしていた親衛隊を、辛くも撃破した猟兵達。だが、彼らには安堵の溜息を吐いている暇はなく、予定通りに作戦を行うだけの余裕もなかった。
「どうやら、新しく別の敵が近づいているみたいね」
「これ以上は、限界だな。次に親衛隊と遭遇したら、勝てる保証はどこにもないぜ」
 遼子の言葉に、零士が言った。他の者達も、言葉には出さなかったが、それでもこの場に留まることが難しいことだけは理解していた。
「撤退……だね。それをさせてくれるかどうか……正直、怪しいけど……」
「とりあえず、安全な場所を探して移動しましょう。戻るにしても、この場に留まるのは危険過ぎます」
 未だ緊張した面持ちの璃奈に、静流が告げた。彼女の言う通り、ここは安全な場所を確保して、それから転移による撤退をした方がよさそうだ。
「やれやれ……これじゃ、星空デートは、まだしばらくお預けになりそうかな?」
「残念ね。でも、敵の親衛隊を倒せたのだから、目的は十分に果たせたはずよ」
 溜息交じりに呟く文織に、苦笑しつつも句穏が答えた。
 圧倒的な戦力を誇る銀河帝国。ここまで順調に勝ち進んで来た猟兵達ではあったが、その強大さを、改めて認識させられる結果となった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月18日


挿絵イラスト