アルカディア争奪戦⑫〜 モフドラを堕落させるブラシ
「キュー」
何やら可愛らしい鳴き声が聞こえた此処は、無限に真水が湧き出すという不思議な浮遊大陸。
交易都市として名を馳せたこの大陸は、ジェード王国によって支配されています。
先程の鳴き声は、都市の防衛を担当するオブリビオン『ウールドラゴン』達の声ですが、街の一角に集まりこそこそ話す彼等は、何やら不満を抱いている様です。
彼等の声を、特別意訳で聞いてみましょう。
「キュー……(イェーガー、もうすぐくるー。たたかうぞー……おー……)」
「……ギュルル(……やる気でないー。毛並み汚れたー)」
「ギャウ(ずっとみはりのおしごとで、けづくろいもできない。やんなるね)」
「クルルルル(だれか、つごうよく毛並み、整えてくれないかなー)」
「クゥゥ(もう骸の海に還りたいー)」
何という事でしょう。地べたに足を付けて愚痴をこぼす彼等の毛並みは、土や汚れにまみれていて確かに清潔とは言えません。
これでは、いけませんね。
「……こんな感じにオブリビオンさん、結構不満が溜まってるから、商人さんから借りる『モフモフをダメにするブラッシングブラシ』を使えば、すんなりと骸の海に還ってくれる、みたい」
そう語り、手に持っていた『モフモフをダメにするブラッシングブラシ』を猟兵達へと見せる日ヶ丘・美奈(リトルマスター・f15758)。その効果はすさまじいらしく、凶暴な魔獣であろうとこれを使えば借りてきた猫の様に大人しくなるとの宣伝文句だ。
勿論、その効果を疑うのは当然だろう。それに対し多分大丈夫。と、指をもじもじさせて答える美奈。
「その……とても良かったから……オブリビオンさん相手でも問題ないの」
どうやら自分の尻尾で試したらしい。恥ずかしそうに目線を逸らした彼女の尾は確かに、いつもよりふさふさとしていて触り心地がよさそうだ。
「気を付けてほしいのは、ブラシを見せても他のオブリビオンから不自然に思われたくなくて、始めの方は攻撃はしてくるの。だから上手く避けつつ人目のない所まで誘導して、ブラッシングするといいんじゃないかなって……その、変なこと言ってるかもしれないけど、本当にこれで何とかなるみたいだから……気を付けて、ね?」
風狼フー太
福利厚生はとっても大事。それが戦場でも。風狼フー太です。
プレイングボーナス……商人達から借りた「謎の武装やアイテム」の活用法を編み出して戦う。
プレイングボーナスはこのようになっております。つまるところ、商人達から借りたブラッシングブラシを使い、時にはユーベルコードなども駆使して綺麗でふわふわな毛並みに仕立て上げ、ウールドラゴン達を満足させればさせる程骸の海に還ってゆく、そんな緩めでふわふわっとしたシナリオとなっております。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
第1章 集団戦
『ウールドラゴン』
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POW : 彼らは群れで協力し、外敵から身を守ります
【決死の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【ウールドラゴン】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : 一匹が囮となり、仲間が攻撃する隙を作ります
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【仲間との連携】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
WIZ : 群れの一員と認められれば、大きな恩恵を貰えます
【可愛らしい鳴き声の合唱】によって【士気を高める癒しの風】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
イラスト:もにゃ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携歓迎
んー、まあ戦わなくて済むならそれでいいか。
さて、まずは空を飛びながらいい感じの場所を探して、
ウールドラゴンに見つかったら突進を避けながら人気のない場所まで誘導しようか。
丁度いい場所に着いたら突進してきたドラゴンを怪力で受け止めて、
『モフモフをダメにするブラッシングブラシ』でブラッシングしよう。
大人しくなったらそのままブラッシングを続けようか。
汚れがひどかったら水が流れてる所でドラゴンの体を洗って、
【万喰熱線】で乾燥に使える程度まで弱くした熱線を当てて乾かしてから、
またブラッシングをするよ。
よし、いい感じにもふもふになったんじゃないかな。
神臣・薙人
オブリビオンにも、色々と事情があるのですね…
せめて骸の海に還る前に、ふわふわにしてあげましょう
ブラシをお借りして
取り分け毛並みが悪くなっている
ウールドラゴン達へ近付きます
その中の数体を標的にして
桜の癒やしを使用
うまく眠ってくれた個体を抱えて
人目に付かない物陰等へ移動します
誘拐ですよー
止めないと逃げちゃいますよー
わざとらしく声を上げて逃亡です
人目の無い所まで来たら
力を入れ過ぎないよう留意して
優しくブラッシングします
ふわふわになったら
また次の個体のブラッシングを
骸の海に還るのだとしても
ふわふわで綺麗な毛並みの方がいいですよね
痒いところや痛いところはありませんか?
あれば出来る限り対処してあげたいです
「あー、あそこならいいかもねぇ」
背中の翼で空を飛び戦場を見渡していたペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)が見つけたのは、街中に構えた木造建ての船着き場だ。
都市のあちらこちらに水路が伸びている事を見ると、船で人や物を動かしていたのだろう。
それなりの大きさがあり、良く開けた水路側からも死角になる場所もある。此処ならばちょうど良い、と目星をつけたペトニアロトゥシカは、ウールドラゴン達がたむろしている所へ高度を下げて通り過ぎる。
「ギャウー」
倒すべき猟兵の姿が見え、警戒を促す鳴き声と共に数匹のウールドラゴンがペトニアロトゥシカの後を追うが、その姿は薄汚れており目に闘志はなく、あるのはオブリビオンが猟兵に抱く敵対心が宿るのみ。
勿論それですら今では僅かばかりの物だが、猟兵達を攻撃する理由としては十分だ。妙に遅く飛ぶペトニアロトゥシカを捉えたウールドラゴン達は一斉に彼女に向かって決死の突進を敢行する。
「やーらーれーたー」
妙だと思ったのは攻撃した側のウールドラゴンだ。自分達の攻撃は目の前の猟兵に完全に受け止められてダメージはない。今でも自分達を掴んでいる腕に力を入れればそれでいい筈なのに、やられた振りをして徐々に高度を落としている。
やがてウールドラゴンを抱えたペトニアロトゥシカが地面に降りると、途端にウールドラゴン達の瞼が徐々に重くなり始める。猛烈な睡魔に襲われ、一匹、また一匹と瞼を閉じるウールドラゴン達の周りに舞うのは桜の花びら、神臣・薙人(落花幻夢・f35429)のユーベルコード『桜の癒やし』だ。
「よーし。誘拐ですよー、止めないと逃げちゃいますよー」
「んー、誰も来ないねー。それじゃあ、行っちゃうよー」
全てのウールドラゴン達が眠ったのを見届け、あたかも誰かに聞いてほしいかの様に声を上げる二人は辺りをキョロキョロと見渡し、誰も来ない事を確認するとウールドラゴン達を抱え、ペトニアロトゥシカが見つけた船着き場へと移動するのであった。
暫く後。
「キュイー♪」
そこには完全に猟兵達にされるがままになっているウールドラゴン達の姿がありました。しかも眠らせて連れてきた時よりも数が増えているのです。
どういった情報網が彼等の中にあったのかはともかくとして。大人しく骸の海に還るのならブラッシングをするという交換条件は瞬く間にウールドラゴン達の間に広まった様で。
やれ、仲間のピンチだから助けに行く。だとか、そんな情報に騙されない!猟兵達はひれつなやつなんだぁー。だとかの理由をあれこれつけて、船着き場までやって来たみたいでした。
「んー、大分汚れが酷いねー」
「洗うしかありませんね。痒いところや痛いところはありませんか?」
幸いにもこの都市に水は幾らでもある。船着き場の桟橋から汲んできた水をたっぷりと掛けて汚れを洗い流す二人に、水に濡れた毛皮を乾かそうとウールドラゴンは全身を震わせ辺りに水しぶきを散らかせる。
「やったなー。全部まとめてお返しだよー」
突然の事ではあったがペトニアロトゥシカは笑って、出力を弱くしたユーベルコード『万喰熱線』をドライヤー代わりにウールドラゴンの毛皮を乾かしてゆくと、ぼわぼわの毛を纏うウールドラゴンの姿。
その毛並みに、遂に『モフモフをダメにするブラッシングブラシ』が入る。
「キュルルア!?」
始めは驚きの声を上げ目を見開いたも、やがて恍惚とした表情でブラッシングに身を任せるウールドラゴンの毛並み。その姿は周りで見ていたウールドラゴン達にも伝わる様で事の成り行きを固唾を呑んで見守っている。
「よし、いい感じにもふもふになったんじゃないかな」
「それじゃあ、最後の仕上げです。動かないでくださいね?」
ブラシを床において、水で洗う際に外しておいた青いリボンを薙人がキュっと尻尾に結び治すと、そこに居たのは最初の頃とは比べ物にならない姿。
みすぼらしい毛並みは二人の猟兵の手に掛かり、ふわふわとしてもふっとした何処に出しても恥ずかしくないウールドラゴンの姿がそこにはあった。
「ふわふわになりましたね。痒いところや痛いところはありませんか?」
「キュイ!キュイ!」
薙人の問いかけに、大満足と行った様子でリボンを巻いた尻尾を横に振って答えたウールドラゴンの体が透けて消え、骸の海へと還ってゆく。
どうやら本当に満足すると骸の海に還る事は間違いない。ならば、と。二人は周りに集まったウールドラゴン達を自分の元へと手招いて行く。
「おいでー。モフモフにするよー。この数と戦うのは骨が折れるしー」
「戦うだけの私達ではありません。どうぞ此方へ」
二人の言葉は喜びの鳴き声を以て迎え入れられた。我先に、と猟兵達のブラッシングを受ける為、暫くの間船着き場は無数のウールドラゴンで満たされていた。
大成功
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栗花落・澪
存分にもふもふ出来ると聞いて
確かに、迂闊に近づいて来て裏切り者って思われたらまずいもんね
じゃあ…かかって来てくれる?
ブラシを見せつつ【指定UC】
念のため自分に【オーラ防御】を纏いつつ
最初は翼の【空中戦】も駆使しながら回避に徹し
人気のない方に誘導(順番待ちしてくれるなら何匹でもOK)
結構汚れちゃってるねぇ
君達、水は平気?
どうせならちゃんと洗っちゃおうよ
まずは【多重詠唱】で水と炎の魔法を組み合わせ
手のひらから静かに放出されるぬるま湯で汚れを洗い流し
綺麗になった所で一旦魔法解除
属性を切り替え風魔法で乾かしながらブラッシング
ふふ、とってもふわふわになったよ
微笑しながら優しく撫で
じゃあ次の子、おいで
「存分にもふもふ出来ると聞いてやって来ました」
誰に言う訳でもなく自身の欲望を口ずさむ栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の手には『モフモフをダメにするブラッシングブラシ』、そして目の前にはウールドラゴンが群れを成している。
やはり此処に居るウールドラゴンも、砂や泥に塗れて元の姿に見る影もない。既にブラッシングをしてくれる猟兵の噂は聞いているようだが、他のオブリビオンに見られるのは思う所がある様で、ウールドラゴン達は遠巻きに澪の事を観察していた。
「確かに、迂闊に近づいて来て裏切り者って思われたらまずいもんね……じゃあ、かかって来てくれる?」
澪のおねだりで無意識に発動したユーベルコードがウールドラゴン達を誘惑するが、それを渡りに船とばかりに碌な抵抗もせず受け入れるウールドラゴン達。
そんな彼等の雰囲気の変化を感じた澪は背中の翼をはためかせて空を飛び、ウールドラゴン達も澪のお願いを果たす為に空を飛び追いかける。
付かず離れずの距離を保って人気のない所を探していた澪が見つけたのは、ジェード王国に支配され来る者がいなくなって、がらんどうになった大浴場。
此処ならば人目に付かないだろうと入口の前に降りた澪は、念の為オーラを全身に纏い両手を広げて待ち構え、そこを目掛けて体当たりを行ったウールドラゴン達は澪の体を浮かせて押し出し、そのまま大浴場の中へと移動する。
「うわっと」
少し問題があったとすれば、ウールドラゴン達が自分の体の事を忘れていた事だろうか。体当たりの際に砂や埃が舞い上がり、それに当てられた澪が軽くむせこんでしまう。
しまった。と言う様な、しょぼんとした顔をするウールドラゴン。そんな彼等に澪は優しく微笑んで彼等の背中を手で撫でる。
「キュー……」
「大丈夫。僕は気にしてないよ?結構汚れちゃってるねぇ……此処まで来ておいてなんだけど君達、水は平気?」
キュイ!と一鳴きして首を縦に振るウールドラゴンに、そっか。と胸を撫でおろし浴場の中へ。今は湯を張っていないが、白を基調とした美麗な内装はきっとお湯でほぐれた心を癒していたに違いない。
その一角で澪は水と炎の多重詠唱で掌からぬるま湯を沸かし、ウールドラゴンの全身を洗い流してゆく。
「どう?かゆい所とか、ないかな?」
「キュアー♪」
澪の問いに心地よさそうな鳴き声で応えるウールドラゴン。すっかり汚れが落ちた所で風と炎の多重詠唱を用いた熱風を吹きかけて全身を乾かし、ごわごわとした毛並みへ丁寧にブラッシングを施してゆく。
全てが終わった後、そこに居たのは| 羊の毛《ウール》の名にふさわしい、もこもことしたドラゴン達だ。
「ふふ、とってもふわふわになったよ」
彼等を抱き上げると、澪の腕の中ですっかり甘えて全身を擦りつけて来る。優しく背中を一撫ですると毛並みが掌を滑らかに滑ってゆくが、それと同じくしてオブリビオンの身体が透けてゆく。
「うん、ばいばい」
笑顔で別れを告げる澪に、言葉が分からなくてもわかる可愛らしい感謝の鳴き声のと共に消えてゆくウールドラゴン。
「……じゃあ次の子、おいで」
ほんの少しの寂寞の思いが胸を刺すが、まだ順番を待つウールドラゴンがいる。自分を信じてくれる彼等の信頼に答える為、澪は次のドラゴンを手招くのであった。
大成功
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アポリト・アペルピシア
フハハハハハ!!
ドラゴンとは思えぬ汚れてみすぼらしい姿に、士気も最悪…
こんなものが防衛戦力とは、ジェード王国とやらの底も知れるというもの!
笑わずにいられようか!
この体たらくなら奴らを屠る事など造作もないだろうが、
折角ゆえ先程商人より献上された(※借り物です)品で遊んでやるとしよう
どうやら互いの目が気になるようだが、わざわざ人目につかぬ場所を探すまでも無い…
ブラシをちらつかせ誘い出された哀れなドラゴンを|魔王千手《ヘカトンケイレス》が壁のごとく包囲して他の個体から遮断すれば、他の目につかぬ状況の完成よ!
ククク……こうなればもはや抵抗は無意味。
大人しく我がブラシに梳かれて往くがいい!!
「フハハハハハ!!」
巨大なガントレット『アポリトアーム』をドーム状に組み上げ、自分と共にウールドラゴン達を閉じ込めた空間の中でアポリト・アペルピシア(魔王アポリト・f31726)の高笑いが響き渡る。
「ドラゴンとは思えぬ汚れてみすぼらしい姿に、士気も最悪……こんなものが防衛戦力とは、ジェード王国とやらの底も知れるというもの!笑わずにいられようか!」
等と言ってはいるが、アポリトの横には商人より献上されたという建前の借り物である『モフモフをダメにするブラッシングブラシ』が浮かんでおり、ガントレットのドームの中には大量の水も用意してある。
つまる所、口では物騒な事を言っているが彼女はウールドラゴン達をブラッシングする気マンマンである。この尊大な物言いは、諸事情の誤解により巨悪のごとく振る舞う為の物なのだ。
「この体たらくなら奴らを屠る事など造作もないだろうが……うん?」
何時までも邪悪な前口上を続けていても仕方がない。と、早速ブラッシングを行うとしたアポリトが怪訝な声が上げる。彼女の周りをウールドラゴン達が輪を作って囲み、じぃーっと見上げて居るのである。
既に猟兵達の事を知ってる様で、無言で催促を促すウールドラゴン達にそれなら話が早いと、アポリトは念動力でウールドラゴンの体を浮かせると、同じ様にして浮かせた水をウールドラゴンへ纏わせる。
「キュイキュイー♪」
「フッ。自らを差し出すとは良い覚悟だ。折角ゆえ先程商人より献上された(※借り物です)品で遊んでやるとしよう!」
空中で水と楽し気が鳴き声を放つウールドラゴンをお互い逆に回転させてゆくと、あっという間に汚れが落ちて水が濁ってゆく。汚れた水を棄てもう一度同じ要領で体を濯ぎ、大きめのバスタオルで包んでしっかり水気をふき取ればいよいよお待ちかねの時間だ。
「ククク……こうなればもはや抵抗は無意味。大人しく我がブラシに梳かれて往くがいい!!」
ふわふわと浮かぶブラシが遂にウールドラゴンの毛並みを整えてゆく。背中から尻尾の先へ、手と足の毛を先へ先へ。ふわふわと浮いた体は余分な力を受ける事無く、完全にその身を任せたウールドラゴンは心地よさに抱かれてうっとりとしている。
暫く後、心地よさから穏やかな寝息を立てて眠ってしまったウールドラゴンを、優しくブラシが最後の一掻きを終え完全なるふわふわを取り戻す。それと同じくして、ウールドラゴンの体がゆっくりと光の粒となって骸の海へと還ってゆく。
「終わりだ。だが、これは始まりにすぎん。次は貴様等で存分に遊んでやろう!」
フハハハハハ!!と再び響き渡るアポリト高笑いの足元で、我先にとねだる声色を奏でるウールドラゴン達。
こうして猟兵達のふわふわな一時は、最後の一匹が終えるまで長く続いた。何とも不思議なやり方ではあったが、兎も角として結果的にオブリビオンの勢力を大きく削ぐ事と成り、水の都がジェード王国の支配から逃れる大きな一歩を踏み出したのであった。
大成功
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