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銀河帝国攻略戦㉑~過去の先を撃て!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #黒騎士アンヘル

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●囚われるな、撃て!
「ああ、ついに激戦が始まるんだね。皆。よく集まってくれたね。それじゃあこれから手短に説明する。概要はまとめておいたからまずこれを見てほしい」
 アニムス・ルードゥス(月飼い・f13301)は集めった猟兵たちに1枚のプリントを配る。内容はこうだ。

 クエスト:黒騎士アインヘリアルを撃て。
 難易度:危険。とにかく今までよりは大変なものになるよ!
 概要:アインヘリアルが出現した。こいつは撃退するたびに『骸の海』から出現する。場所は、破壊された黒騎士配下の艦艇のどれかとなるが、僕もその一つを予知した。そしてそこにはすでにアインヘリアルがいる。アレを倒してまた『骸の海』に放逐してほしい。

「そう、黒騎士アインヘリアルの討伐だ。でも黒騎士のいるところの予知は後手に回っていてね、君たちを転移すると、彼はもうすでに臨戦態勢で待ち構えているんだよ。流石、強者だよね……僕だってできれば君たちを先に送って待ち伏せしたかったんだけど、それは無理なんだ」
 アニムスが自分の無力にした唇をかむ。黒騎士は強力だ。骸の海から現れた黒騎士は転移された猟兵に必ず先制攻撃を仕掛けるだろう。
「彼の得意とするのは『確定された過去を操るユーベルコード』だ。予知すら過去にしてしまうんだ、だから君たちは彼の攻撃を受けて、耐えて、避けて、何らかの形で被害を最小限に抑えて必ず反撃の手を加えなければならない、守るだけでは勝てない、それどころか相手に回復する隙を与えるだけだ。
 君たちの過去を乗り越える思いの力、対処する方法、そして、強い意志をもって彼に攻撃、ダメージを与え続けることが勝利へのカギになる……できるかな?」
 アニムスは深呼吸をしてからそう問いかける。これは願いと信頼。いや、信頼というよりは懇願だ。願いの願い、願い続けるだけ、君たちならできると、してほしいと。
「強い意志を見せてほしいんだよ、そして、黒騎士にダメージを与えてきてほしいんだ。倒しきってほしいなんてそんな多くは望まないよ、けれど、お願いしたいな」
 アニムスは月と星の杖を掲げる、魔法陣が描かれる。自分が予知した、すでに黒騎士の待つ艦隊への転移の魔法陣をその杖先の星、彼のグリモアから展開する。
「皆、その強い意志と、力を見せてやろう! 黒騎士アインヘリアルに!」
 アニムスはそういいながら、発動する転移の先へ行く猟兵たちを見送るのであった。


ピンク☆フラッシュ
●戦争ですよ!
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●激戦だ!
 お願いします、もう一度皆さんの心と意思と力を見せてください。
 文字数足りませんよね! そうですよね! できる範囲で頑張ってください。皆さんならきっといいプレイングができます!
 さて、今回大事なのは「過去」を抉ったりいろいろしてくる黒騎士さんの攻撃を避けたりのりこえたり防ぎながら、その後自分の一撃を届けることです。攻撃される前に行動すること、例えば転移した瞬間攻撃を売ってそのまま逃げるみたいなのはできません。必ず先制攻撃されます。そんな転移した瞬間攻撃とかも過去にされちゃいます。そういう感じになるんで必ず受けたりよけようとしたり防ごうとしてください!
 文字数に余裕があればソウル、心情が欲しいです! 心こそパワーです!
 よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『黒騎士アンヘル』

POW   :    消えざる過去の刃
【虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』】が命中した対象を切断する。
SPD   :    過去喰らいの三呪剣
【過去の鍛錬の経験を封じる白の呪剣】【過去の戦闘の経験を封じる黒の呪剣】【戦うに至った過去を封じる灰の呪剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    記憶されし傷痕
【対象の肉体】から【過去に刻まれた傷跡や病痕】を放ち、【一度に再現され肉体を蝕む出血や疾病】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

星群・ヒカル
過去を変えたり記憶を消したり
銀河帝国の偉い奴ってのはどうしてこう正面から殴ろうとしないんだ?
趣味か?

銀翼号と共に転移
攻撃は第六感で感じ取り、逃げ足・騎乗で回避だ
視力で攻撃が叩き込める隙を探る

「星の目」との相性は最悪だな
観測した結果が片っ端から変えられていくのが『視える』
おれ自身すらも変えられてしまうのか?……また?

一度は全てを失い、自分自身も失ったままだ
だが歩みは止めない
「過去」が未来の光を閉ざすなら、「今」それを変えてみせる!

攻撃を受けたなら最大の相棒、銀翼号を踏み台に敵へ向かって跳び
空中戦で超宇宙・真眼光波動を使用
ロケットが使い切った燃料を切り離すように
いくらでも0からスタートしてやるよ!



●返し繰り
 星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)は愛機、銀翼号に跨り転移の魔法陣へと飛び込んだ、その先にはすでに【過去喰らいの三呪剣】を放つ体制の、いや、もう放っている黒騎士あインヘルの姿があった。今この瞬間に飛び込むのを読んだのだ、スピードまで上げて飛び込んだのに、それに合わせてもう放っていた。迫りくる白を、その体にかすめる、かすめても当たったものは当たっただ。そう、第六感による回避はでたらめな勘に頼ってしまえば完全回避は無理でも予測された剣を避けることはできる。たとえ出来なくてもして見せた。そして迫りくる黒の剣。
「おれは……」
 ヒカルは愛機銀翼号を加速させてその下をくぐった、避けるのではない、立ち向かってその軌道の下を突き抜けたのだ、銀翼号には少ししんどい思いをさせるが、それでも予測を超える速さで走ればいい。そうすれば自分のユーベルコードを封じられない、そして、ヒカルは次に来る、黒剣の下を通るようにあらかじめ放たれていた灰色の剣目掛けて銀翼号ごと飛んだ。
「止まらねえぞ! 銀翼号とおれは!」
 灰色の剣の上に飛び乗り、銀翼号は走る。
 ああ、わかる、わかるよ、おれの中の何かが消えていく。俺はどうしてあいつと戦えると思ったんだろう、戦うためにもがいていたはずなのに、消えてしまった。俺は何の鍛錬もなくあんな強大な的に立ち向かっていこうと思ったのか、おれは。おれは何のためにそんなことをしようとしているんだ、誰かにやらされているのか……?
 自分の戦うために積み重ねてきた日々が塗り替えられていく事実だけが星の目から情報として与えられる、実感はない。これが白の剣がヒカルから奪ったもの。
 おれは何で戦っているんだ。おれはどうして、戦わされているんだ。おれは何のためにいま、この剣の上を走っているんだ。
 薄れ消えていく、五日目にした、そして乗り越えようと踏ん張った少女の影が消えていく。これが、走っている灰の剣がヒカルから徐々に奪っていっているもの。そして残されたのは、ただただ、戦ってきた記憶。確かに戦ってきた記憶。
「おれは宇宙を超える番長、即ち超宇宙番長だッ!」
 理由はないよりあったほうがいい。積み重ねた日々だって、無いよりあったほうがいいに違いない、だって次、どうやって攻撃を入れれば友好的かなんて、頭が真っ白で思いつかない、けど、灰色の剣も超えて、その剣を踏み台にして、止まることもできない、いまヒカルは、銀翼号と共に宙を走っている、アインヘリアルの元へ、今までそうやってがむしゃらに戦ってきたように。でも、理由を失っても、鍛錬の日々を失っても、経験を失っていればわかる。

 ―—おれは番長だから戦える!

 それだけが確か。

 「過去」が未来の光を閉ざすなら、「今」それを変えてみせる!

 それが今たしかに思えること。ヒカルは銀翼号の上に立ち、“それ”を踏み台にして飛んだ。更なる高みへと。今が過去になるなら、未来が過去になるなら、過去も今も未来もかなぐり捨てて一瞬に生きろ!
「その目に焼き付けろ。これが……超宇宙番長の輝きだッ!」
 宇宙番長だ。おれは宇宙番長だ、その宇宙番長が幾多の戦いで使ってきたおれの一撃だ! 星写す魔眼から放たれる一瞬にして強力な光の波動。【超宇宙・真眼光波動(チョウウチュウ・メンチバースト)】何度でも0から一瞬を紡ぎだしてやる。そう吠える様に、少年はアインヘリアルに最初の一撃を放った。
「……ッ!」
 その少年の魂の一撃に、一度骸の海に押され戻っていくアインヘリアル。

「はあ、はあ……ごめん、銀翼号。無理させたな。あとは任せるしかねえ。帰ろう」
 銀翼号を起こし、去っていくヒカル。一撃は投じた、あとは他の猟兵に任せよう。心と体の傷口を簡単に埋められない。ヒカルは銀翼号と共にグリモアベースへ撤退していくのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

御伽・柳
行動:【SPD】
使用UC:【窃盗癖】

俺の罪を忘れてはいけない、渇望も後悔も忘れてはならない
分かってる、分かっているんだ
だからこれは、俺がここに立つ理由は、お前が触れていいものなんかじゃない

【窃盗癖】を使用
転送の際に既に脱力はしておく
影の指定は黒騎士の死角になるであろう位置に
……怖くはない、だなんて嘘だ
怖いさ、傷付くことも過去を封じられるのも怖い
それでも、かつて俺がUDCをこの身に受け入れたように、お前のその一撃も1度受け入れてやる
受け入れて、有効に使わせてもらいますよ



●残照
 御伽・柳(灰色の渇望・f12986)は渇望した。渇望して、渇望して、渇望した。もはや望むことが目的に思えるほどに、ただ欲しがることが目的に見えるかの如く。渇望した。渇いて、望んだ。望んだ。臨んだ。

 転移の先には黒騎士が待ち受けていた。なんということはない、底に何の驚きも持たない、何の反応も示さない。来た、だから向こうも来ていた。それだけだ。柳も今はアインヘリアルの過去であり、そして柳にとってはアインヘリアルが今なのだ。先の先。それが黒騎士の力。そうか、こういうものなのか。柳の体が理解する。わかる。今目の前で放たれようとしている3本の剣は、柳から、俺から、大事なものを奪おうとしているんだ。渇きを、奪おうとしているんだ。
「……そんなの、許せない」
 だから力を抜いた、だから脱力した。黒騎士の一撃、最初の一本が柳に深く突き刺さる、しかし、力を抜いた珠稀はそれが付き抜ける前に壁まで吹っ飛ばされる。ああ、傷んでもダメだ、今は受け入れるんだ。力を込めては意味がない。そう、鍛錬の経験だけは消されていく。許せない、許すわけにはいかない、それもまた渇きの根源、望みの糧。怒れども怒るほど力が抜けていく。矛盾した行動なのかもしれないが、それは必要条件でもあった。
「──覚えたか。なら、やれ」
 ぼそりと声になったのかなってないのかわからない吐き出す様な一言。それが柳の渇きにこたえる、彼のユーベルコードの発動の号令。
 【窃盗癖(ダッシュ)】が発動した。それは、受けたユーベルコードを無効にし、霧散した白の剣を黒騎士の影に重ねた自分の影、つまり黒騎士の直下から放出する。成功だ。失敗していたらすべて奪われていたかと思うとぞっとする。ぞっとするけど、安心した。痛い、痛みは消えない、一度は受けたから、でも一度だ、残りの二本は、黒と灰の剣は柳に当たると、それがダメージとして柳の脳に到達する前に、体に傷を生む前に霧散する。光になって柳の中に入っていく、そして、それがまたアインヘリアルを貫くのだ。
「!!?!!?」
 何が起こったのかわからないアインヘリアル。過去を過去としてゆがめるアインヘリアルに、それはあくまで剣を刺した以上のダメージは与えない。アインヘリアルの過去は消えない、抉れない、しかし、それはアインヘリアルをまた骸の海に押し込むのには十分な攻撃だったのだ、自らの3本の剣に串刺しにされるアインヘリアルが引いていく……。
「そうか、こんなのを皆もこれから体感するのか」
 一時的にとはいえ、黒騎士の才を覚え、返すことができた。しかし才のある者たちはもっとうまくやるのだろう。柳は確実にダメージを受けたのだ、もう少しで脱力してられないくらい柳の精神を揺るがすダメージを。帰ろう。あとはほかの猟兵に任せないと、次は恐怖に、勝てないかもしれない。たとえどんなに奪われたくない記憶でも。糧を一つ、一時的にとはいえ失ってしまっているから。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

シホ・イオア
【WIZ】
過去の痛みを再現する……
一番痛いのはシホの聖痕の痛みかな?
でもね、それは人々の祈りでもあるんだよ。
痛みは、シホの背中を押してくれるんだ!
破魔の力と聖痕に込められた祈りと勇気で攻撃に対抗!

物理的な攻撃には残像と見切り、第六感に頼ることになるね

輝石解放、ルビー!愛の炎よ、舞い踊れ!
味方との連携は重視したいところ
数発けん制に使って収束した本命をあてに行ったり
包囲して攻撃してみたい
属性攻撃や鎧無視攻撃でダメージアップも狙っていく



●希望と重なる傷痕
「あ、あああああああああっ!」
 シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)は叫び呻いた。転移した瞬間に肉体に走る痛み、傷痕、聖痕を燃やす、焼くような痛みと、それを広げる体の芯まで走る突き刺すもの、苦痛。
 恐い――。シホのもつ弱点感情を揺さぶる黒騎士の一撃。そう、ただ傷を抉るだけじゃなく、感情まで再現するのだ。転移早々、その場で体を縛られるシホ。足がすくむ、動けなくなる。そして、迫りくる黒騎士。
 ああ、だめ、このままじゃ何もできずに負けちゃう。動いて、思い出して。この傷は、怖いだけじゃない、痛いだけじゃない。この傷は何? 勇気をだして!
 頭の中に言い聞かせるシホ、そんなシホの前で剣を振り上げる黒騎士。しかし、その刃が一瞬のうちにシホに届くそれよりも先に、シホは動いた。
「……!」
 一瞬の動揺を見せるアインヘリアル、先ほどまでの自分が嘘のように天真爛漫な笑顔を見せるシホ。シホの勇気が恐怖に勝ったのだ、克服したとはいいがたい、私はまだまだ怖がりだけどさ!
「痛みがシホの、背中を押してくれたの!」
 そしてシホは、第六感と見切りを組み合わせて回避していた。黒騎士が斬ったのはシホの残像だった。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、優雅に舞い踊れ!」
 お返しとばかりに発動させる【ハート・ロンド(ハート・ロンド)】
 アイの一つの形、愛の炎。それが、黒騎士をシホから突き放すように襲い掛かる。22個のほとんどがアインヘリアルの体を焼き焦がす。
「それから……もっと押し戻っちゃえええええええ!」
 愛の炎のいくつかを纏った宝石剣エリクシアを構え、さらにそれを突き刺すように突撃するシホ、アインヘリアルはこの一撃は回避しながらも、そのまま後方、骸の海へと押し戻されるのだった。
「はあ、これ以上は、まっずいよなあ」
 そして、事前に言われた通りシホも離脱する。また誰かが過去といまの間で戦っていくんだ。シホの入れた一撃が、しっかりと後の人へのバトンになりますように。

成功 🔵​🔵​🔴​

佐久間・嶺滋
先制攻撃も虚空から現れるんじゃ視覚だけだとどうしようもないな。
【第六感】で反応して【残像】を狙わせるように回避していこう。
下手に場所を気取られても困るんで【忍び足】で音はなるべく消す。
回避を続けながらも隙が出来そうな瞬間を狙い【暗殺】の要領で
【マヒ攻撃】【呪詛】を乗せた一撃を。
遠距離ならば『影葬楔』、至近ならば『千変万化の葬影』で対応。
……当てられれば【冥婚の花嫁】まで繋げられる筈。

強敵なのは自覚しているし、恐らく通用しない可能性もある。
だが、過去が襲ってくるのが今更どうしたという話だ。
そんなのに一々臆している暇なんか無い。

「――過去を定めることでしか『戦えない』なら、それを捻じ曲げるまでだ」



●花嫁に宿る魂
 佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)は考えた。転移する前に考えた。先制攻撃も虚空から現れるんじゃ視覚だけだとどうしようもないな。と。
 彼は常に準備する。彼はいつも考えてしまう。考えなしではまた失ってしまうから、大事な人を――その変わらない、けれど決定的に何かが違ってしまったと感じてしまう姿を――失いたくないから。
 嶺滋は今を守るために決意する。
「――過去を定めることでしか『戦えない』なら、それを捻じ曲げるまでだ」
 そして、転移を終えた嶺滋を襲うすでに用意されていた過去からの斬撃。だが、過去を今にすることが嶺滋にはできなくても、過去を変えることが嶺滋にはできなくても。それでも帰ってきたもの。それでもまた拾い上げたものがある。
 だから、突き進む今を嶺滋は変えることができるのだ。

 変えたいから――その思いで。
 変えたくないから――その思いで。

「好きだ」
 呟いた。瞼の裏に移る。二つの、しかしすぐに一つに重なる影、影と面影。過去と今、それが嶺滋を加速させた。
 今この瞬間に進化する。今を超える今。だから大丈夫☆ ……そうだろ?
 それが嶺滋の愛する人の何より深く嶺滋に宿るもの、遺る言霊、積み重なる聲、そして――愛する証。
 消えざる過去の刃に対する第六感に頼った回避と残像による幻惑、さらには忍び足まで組み合わせ、前へ飛び走り進みながら『今ある過去』を歪める。完全な流れを作り出す。さらには回避をする間に反撃まで織り交ぜる。暗殺の要領で麻痺毒の呪詛をのせた【影葬楔】――苦無でアインヘリアルにじわじわとっ回避もされながらではあるがダメージを与えて詰め寄るのだ。
 そして、【千変万化の葬影】――影より取り出したる大鎌によってアインヘリアルを切り裂き追い詰めた。『予知』をもとに組み立てた『予測』で、その流れを遂行する。
「好きだ、愛してる。愛してる……!」
 頭に浮かべるのは彼女の、少女のことばかり、それは彼が黒騎士の歪めた過去に、自分の過去の遺産をもって相対する心算だからだ。
「ああ、……お前だって愛してくれるさ」
 そうだろう……? 10愛すれば5愛してくれる女だった。かわいくて、天真爛漫で、ちょっと、いや、そのかなり……情欲的ではあったが、気まぐれでもあったが、自分の前に現れたらもっともっと愛して。と素直にぶつけてくる女だった。たまに不満を漏らしてくるのは俺が自分に自信がなかったのもあるのかもしれない。うまく愛せていたかもわからない。だから一度失った。その名前を今こんな奴の前で呼ぶのははばかられる。でも、いいよな? 喚んでも、喚ぶだけならいいよな。共に戦ってほしいんだ。過去のお前に。お前は、こんな奴に歪められる様な奴ではなかった。それは、今のお前も教えてくれるほどにもつお前の変わらない、揺るがない魅力の一つだった。だから……。
 黒騎士アインヘリアルの目の前に現れる、愛した女の亡霊。愛している女の虚栄。虚像。ある種の自分が自分で歪めてしまった過去のカタチ。この色の服は、確かあまり積極的に選ぶ色ではなかった。着ないわけではないが、白のほうが好きで、白いほうを選ぶ女だった。でも、これは影だから、黒になった。
 【冥婚の花嫁(ラヴァーズ)】――召喚された黒の花嫁。その抱擁によって、歪んだまっすぐな愛によって、黒騎士アインヘリアルは激しくもがき、苦しみながら骸の海へと押しつぶされていくのであった。
 嶺滋は帰る。今に待つ花嫁の元へ。
「まあ、まだ何も言えてないんだけどな」
 今はただ、主の元へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桑崎・恭介
黒騎士アンヘルッ…強力な奴やな…
見とるだけで威圧感がビリッビリ伝わってくるわ
正直怖い…やけど…アンタを残しちゃこの世界に平和が来ーへんからなッ!

(片刃チェーンブレードを片手に、もう片手に銃を装備して突撃)
白の剣と黒の剣は最悪受けてもええ、灰の剣だけは絶対に避ける!
避けきれなさそうなら銃撃してでもその軌道を逸らすで!

戦うに至った俺の過去さえ消えんかったら俺は戦える!
例え俺が無力な一般人の状態に成り果てようとも、アンタに一矢報いたるッ!
痛みだって耐えたるわ!それが俺の覚悟や!

プログラムド・ジェノサイド!
鍛錬の結果も…戦闘の経験も…全部脳に刻んどる!
たった一撃でもええ…アンタに俺の剣を届かせたるわ!



●覚悟のXX
 黒騎士、強力で、恐ろしいやっちゃな……けど、アンタを残してもたらこの世界に平和が来ーへんからな。俺はやるんや!
 それは青年の覚悟だった。桑崎・恭介(浮草・f00793)は片刃のチェーンブレイドを右手に、そして左手には銃を握った。
 割と普通の人生やった。そこそこの面白みがあるだけの人生やった。適当にやって、適当に親のすねかじって生きてきた。せやから。俺には白と黒で失って戦えなくなるほどの大きい理由はない、けど……。

 転移した少年に襲い掛かる黒騎士の攻撃。白、黒、灰色の剣の猛攻。けれど、この時点ですでにもう、恭介は止まらず、止まれないのだ。【プログラムド・ジェノサイド】によって脳内に刻んだ、鍛錬の経験、戦闘の経験、その集大成プログラム。
 もう体が忘れても、ユーベルコードが動かしてくれる、だから、自分が絶対に失ったらいかんもんは……!
 決まった動き、確定した未来の過去。それは単純で、何より予測しやすく、だから、何より対策も立てやすい。そうするのは決まってる、でもそれに抗うのも決まってる、でも、抗う必要のない軌道なら抗わない。それが恭介の決めたプログラム。絞り出した動き、白の剣にわき腹を切り裂かれ、黒の剣に足を切り裂かれる、それでも血を流しながらも止まれない、最初から最後まで、回避できるってなるまで、灰色の剣に銃を撃ち込み、回避できる軌道を読みながら動いた。傷は受け、内面的には失った経験も、無理やりプログラミングされている。ハリボテが残ってる。だから恭介は走れる、だから恭介は回避できたのだ、その3本目の剣、灰色を。戦う目的を守った。
 それなら、その目的があれば――。俺のうっすいかもしれけん鍛錬も戦闘経験も“こんなもの”で代用できるんや。

 戦うに至った俺の過去さえ消えんかったら俺は戦える!
 
 例え俺が無力な一般人の状態に成り果てようとも、アンタに一矢報いたるッ!
 
 痛みだって耐えたるわ!それが俺の覚悟や!

 それがこのプログラムド・ジェノサイドに託した恭介の覚悟の家庭、覚悟のカタチ、そして、覚悟の――。
「うおりゃあああぶち飛びさらせえええええええ!」
 ―—勝利だ。黒騎士にチェーンソーの一撃が入る、そして続いては至近距離からの連続射撃、鉛球をぶちこんで、うめこんで、ぶち飛ばしたら、思いっきり切り払って骸の海に押し返す!
 もう少しなはずなんや。うまくいってるはずなんや。たった一撃でもええ…アンタに俺の剣を届かせたるわ!
 その願いが、届いたのだ。連携がうまくほとんど決まった。だから押し返せた。まだ完全ではない、だが確実に猟兵たちの手によって積み重なっている蓄積。プログラムの動きをすべて終え、目的を持つだけの一般人になってしまった恭介。彼は体に自由を取り戻すと恐怖によって震え思わず逃げ帰ってしまうのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マヤ・ウェストウッド
・マヤは帝国に滅ぼされた故郷コロニーK9を再興する為、解放軍に志願した「過去」をもつ。親の手に引かれながら見た、一晩にして黒煙と瓦礫と屍体で築かれた惨憺たる光景は今でも忘れない
・マヤのお節介焼きは生まれついての性質ながら、当時の彼女は幼く、誰も守る事も助ける事も出来なかった
・黒く焦げ付いた少女時代を超克するべく、解放軍時代に軍隊格闘術にキマイラの獣性を掛け合わせた超獣技法を体得した。生存への渇望を拳に載せた餓狼が如き一撃、それこそが飢餓咬
・恫喝で心を乱したところをダッシュによる肉薄からの先制攻撃、怪力を以って攻撃力を増強。ついでに何か盗んでおく
・相手の攻撃にはオーラ防御と激痛耐性で対抗



●過去の恨み。過去を恨み。
 ああ、今でも思い出すよ。そうさ。アタシは何もできなかったのさ。あの時には――。

 マヤ・ウェストウッド(宇宙一のお節介焼き・f03710)。隻眼の女戦士は思い出す。それは忘れえぬ記憶、過去の傷。
「ねえ、待って、待ってってば!」
「いいから早く来るんだ」
 親に手を引かれた思い出。それは、今でも蘇る幼き情景。消えていく、壊れていく。所属していた解放軍の拠点の一つが。一晩にして黒煙と瓦礫と屍体で築かれた惨憺たる光景は今でも忘れない。あの日のアタシは弱かった。甘っちょろかった。ただのお人よしだった、そうさね……。

「でも、どんなに過去にされたって、今は今さ! 今ですら過去にするっていうんなら、そしてアタシから奪うなら、教えてやるさね……奪うのは、アタシの十八番だよ!!!」
 誰も守れなかった。何も変えられなかったアタシ。それを失ってでも今のアタシは奪う。奪われたら奪い返してやるのさ!

「アタシがお前を奪ってやる!!!!!」
 転移の魔法陣に乗るマヤ。転移早々、黒騎士に対して恫喝する。しかし、それは先制攻撃へのきっかけにはならなかった。なりえなかった。だってそれは過去なのだ。黒騎士アンヘルにとってはその行動はアンヘルが攻撃した後の過去なのだ。お前は過去だ。だから、黒騎士の攻撃はもう止まらない。黒騎士は3本の剣を放っていた、そしてそれはマヤに迫っていた。
「……ックソ!」
 野生の感がマヤの体を動かした、先制攻撃のために行うつもりだったダッシュで前進する。しかし、遅かった。恫喝を挟んでしまったからなのか。
 それでも攻撃が来ることだけは予知を聞いてわかっていた。オーラ防御と激痛耐性による耐久の選択肢。

「ねえ、アタシが強くなったらもっといろんなものを守れるのかい?」

 ――消えていく。

「アタシはこの超獣技法を習得したんだ! もうやられっぱなしじゃないさね!」

 ――きえていく。

「アタシは戦うんだ。奪うんだ。銀河帝国なんかに負けっぱなしじゃいられないんだよ!」

 ――キエテイク。

 修行を積んだ日々が、生存への渇望を拳に乗せた日々が、そして、何のために戦って生きてきたのかが。白と黒と灰に飲まれる。
「ガ……ハッ、ぁ」
 飛び散り、垂れ落ち、奪われる血液。それでも体は耐えた。でも心は耐えられなかった。大切な記憶が一時的に消されていく感覚。それは消されているとも築けずに、ただ痛みに耐えようと握りしめた拳からこぼれていくように、気が付いたら最初からなかった。転移してきたところまで吹っ飛ばされて、還される。痛みだけが残っている。黒騎士はただゴミをゴミ箱に送り返した。とでも示すように、次に現れるものもねじ伏せんとするのだ。

失敗 🔴​🔴​🔴​

嶋野・輝彦
●対策
消えざる過去の刃は第六感で避ける

SPD、過去の鍛錬の経験を封じると過去の戦闘の経験を封じるは
すまねぇなぁ、こちとらド素人、いつでもどこでも自爆特攻するだけだからあっても無くても関係ねぇんだわ
戦うに至った過去を封じるは、俺は悪党なんだよ、戦うとかどうとかじゃねぇんだよ、ここに居る経緯は俺の人生の結果なんだよ、すべて忘れさせるってか?無理に決まってんだろが舐めてんのかクソが!!

記憶されし傷痕は覚悟と激痛耐性で耐える

●戦闘
だまし討ち、捨て身の一撃、怪力、鎧砕きでウィーハンマーで攻撃

恫喝、存在感、殺気
素人舐めんなよぶち殺すぞ

第六感で避ける
ダメージは覚悟、激痛耐性で耐える
死にかけたら戦場の亡霊発動



●新米、前線に行くってよ
 嶋野・輝彦(人間の戦場傭兵・f04223)は突入する。何故だ。
「はあ、誰かに養われたい」
 そう呟いているような男であった。屑で外道で人でなしの42歳という本当にそのまんま一般人だったらかなり救いようのない男であった。そう、そもそも約40年間は普通の一般人として何も知らずに生きてきていたような男である。そんな彼が選んだのだ。黒騎士アンヘル。おぞましく、えげつないオブリビオンとの戦いを。
 何が彼をそうさせるのか、そもそもただの気まぐれか……。しかしとにかく、輝彦は転移の陣に欠伸をしながら乗り込んだ。

 黒騎士アンヘルと対峙する。アンヘルは知っていた、この男がどのように来て立ち向かってくるのかを。輝彦は既に発動していたのだ。ユーベルコード【戦場の亡霊】を。それは彼が瀕死になることをトリガーに戦場の亡霊を呼び出す保険。だから、アンヘルは選んだ。瀕死になるまでもなく殺してしまえばいいと。消えざる過去の刃。
 すでにその部屋に残っていた剣閃の痕が実体となって輝彦に襲い掛かる。
「チッ!」
 輝彦は舌打ちしながらそれを第六感に任せて回避する。ひょいひょいと、まるで赤外線センサーの間をくぐるように。初撃の対処は成功、重畳である。
「素人だからってなめてんのかよ。ぶち殺すぞ」
 余裕の回避からの殺気を放った恫喝。それは黒騎士に少しは響いたようだ。武器を構え、調子に乗るなよと示すように威圧で返してくる。
「てめぇ……上等じゃねえか、やってやらあ!!!」
 更に殺気を放ち突撃する輝彦。待ち構える黒騎士。
 やっぱり余裕ってか? むかつくんだよ!
 輝彦が残った斬撃の痕も回避しながら捨て身の突進をかます、その到達地点に黒騎士は剣を振り下ろすが……かかった。輝彦はその一歩、立った一歩右に立っていた。そしてそのまま全力の騙し討ちを撃ち込む、突っ込みながら抜いていたウォーハンマーで思いっきりアンヘルの頭をかち割る!
「……ッ……!!!!!」
 アンヘルは痛みに耐えた。確かに聞いたが、まだ下がるほどではない、すぐさまもう一度、剣で輝彦を切り裂いた。一撃で真っ二つにする勢いで……。
「ぐぉ、ぁ……ぁあああああああああっ! クソガッ!!!」
 痛みは響いた。確かに輝彦の体は深く急所すれすれを切り裂いていた。だが、無事だった。第六感でなんとか飛び退くことができたから。そして叫びは決して、痛みによる悶絶だけのものではない。怒りだ。条件反射的にもう一撃ウォーハンマーをアンヘルの先ほどとは逆、左のこめかみあたりの位置にぶち入れる。そして……。その力を絞り込んだ一撃と共に、出血がひどくなる輝彦は、瀕死と呼ぶにふさわしい状態だった。
 戦場の亡霊が現れ、すぐさまアンヘルに突撃する。大ダメージを受けるあんへる。アンヘルはこうして再び骸の海へと押し戻されていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

一郷・亞衿
先制取られるのは確定、技を受ければ内外がずたずたにされる……でも、呪いの類なら<呪詛耐性>で軽減出来るし、負傷してでも相手を倒す<覚悟>があたしにはある。
道具の数々を使って何とか耐えて『未詳生物:スカイフィッシュ』を使いたいな。

ロッズ達は攻撃を受けたら“一撃で消滅する”程貧弱ではあるけど、逆に言えば“これまで一度も攻撃を喰らったことはない”。なら、過去の傷病を再現する類の技はロッズ達に効かないはず。

ロッズ達を召喚出来たら、超速度による体当たりや真空刃で攻撃させる……まあ勝手に自律行動するんだけどさ、あれ。
攻撃としては地味だし、止めは誰かに任せる。あたし自身は<医術>知識で負傷を治すのに専念で。



●回収と追撃
 一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は飛び込んだ。自分より先に飛び込んだ青年がなかなか戻らないからである。大勢で行くと複数の攻撃を一気に回避しないといけないという懸念からこれまで1人ずつ飛び込んでいたのだが、亜衿はたまらず飛び込んだのだ。
 そこには先程押し戻されたはずのアンヘルがいる。時間系列をごちゃごちゃにする、強大な騎士だ。亜衿の目の端に映る、瀕死でのたうち回る男。期限も悪そうだ。とにかくなんとか押し返して、隙を作って、彼を回収しなければと亜衿が一歩踏み出す。走り出そうとする亜衿を、黒騎士が見過ごすはずもないが……。
 まあ、わかってた、そうよね、こっちが行動をとるよりは先に来るんだよね。
 黒騎士から放たれた記憶されし傷痕。亜衿の些細な傷や、精神的黒歴史が亜衿に傷を与える。そしてその一歩目の足をくじかれ、硬直する。
「痛ッ!?」
 わかってたけどいったいなあ……。何今の。傷痕って一つだけとは限らないわけ?
 なにか、見たくないものまで見せられてしまったような気分に、自分でも覚えてない些細なケガの積み重ね。それが亜衿の足を止めたのだ。
「そっちがそう来るならこっちだって! っていうか、わかってたからそう来たんだろうけど……行けっ!ロッズ!!」
 すぐに足を上げれない亜衿であったが、体自体が硬直したのはわずかな間で、上半身は痛くてもすぐ動かせた。【未詳生物:スカイフィッシュ(オカルト・スカイフィッシュ)】を呼び出し、アンヘルに突撃させる、時間稼ぎと、あとダメージも入れないことには無事帰る隙も無いであろうことは亜衿にもわかっていた。
 オカルト・スカイフィッシュ。ロッズ。それは棒状の体を持つ高速飛翔するふしぎせいぶつである。110のロッズがミサイルのようにアンヘルに向かって飛んでいく。アンヘルはそれらにすら記憶されし傷痕で対処しようとするが、無駄だ。ロッズは一撃で消える。つまり、ロッズに蓄積されたり過去に受けたダメージの記憶などない。屁理屈のような考えであったがばっちりなようだ。アンヘルは突撃してくるロッズを剣で振り払うが大群によるダメージを防ぎきれず、一歩引く。
「今だ!」
 急に動かすのははばかられるが、先ほどまで呻いていたがもう意識もなさそうな猟兵の男を何とか回収すると、引きずりながらグリモアベースに逃げ帰り、手当てを始めるのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

月鴉・湊
過去を操る能力か。じゃあ俺の過去、全て消すこと出来るか?

過去喰らいの三呪剣の対策としてUCを使用し咎人達を召還し、盾として俺を守らせる。
お前らの咎が食らわなくなれるんだ。感謝しろよ。

黒騎士さんよ、俺が殺してきた咎人の数はどれだけだと思っているんだ?
そんなもので俺の過去を消しきることが出来ると思うのか?

俺はこの咎人の数だけ、人の恨みを背負ってきたんだ。
それを消しきるなんて出来る筈がないだろう。

味わうがいい。俺が恨みを背負ってこなしてきた仕事の技を。この血の糸で数々の咎人を殺めてきたこの俺の暗殺技を受けてみろ。


アマータ・プリムス
転移すると同時にネロをトランクから取り出しておく
先制攻撃のUCは【フェイント】を織り交ぜつつ回避を試みます
ですが全ては避けきれぬはずUCを使うためにも灰色1本だけを全力で回避
白と黒の剣に身体は貫かれるでしょうがそれは些事
この胸に秘めた想いだけあれば戦えます

ネロに当機を操らせるUCを発動
当機自身の鍛錬と戦闘の経験が消えてもネロがいます
これまで共に歩んできたネロに当機を操らせることで
身体機能を上昇させスコパェ片手に突貫、仕込み刀を引き抜き【属性攻撃:斬】と【範囲攻撃】で周囲もろとも斬りつけます

「貴方がどんなに強くとも当機が折れる理由にはなりません。さぁ、ご一緒に踊りましょう?」

アドリブ連携歓迎



●終局、骸の海は彼方
 瀕死になった猟兵を担ぎこんだ猟兵が言った。
「もうあっちもかなり弱ってる、お願い、決めてきて!」
 と。そして少女は必死に男の治療を始めるのだ。

「ふう、それじゃあ、決めてくるよ」
 月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)はそういった。
 そうだ。決まりそうなら決めてしまえばいい。黒騎士だか何だか知らないが、俺の過去に傷などつけさせやしない。
「待ってください!」
 アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)が操り人形のネロを抱えていった。湊だけで行かせられない。ほっておけないのだ。
「私も行きます。湊様の足手まといにはならないようにするので! それなりには!」
 アマータがハキハキと使えてくる。
「……やれやれ、それは俺が使いがちな台詞なんだけどね」
 湊は頭を掻く。
「それに、それぞれで行ったほうがよくないかい? 攻撃は2倍来ると思うんだけど」
「当機の存在意義は『誰か』のためですから! それに、湊さんは自分を守れる。当機も自分を守れます。誰かと行かせていただくほうが、当機は全力を尽くせるのです!」
 クールっぽく、しかし譲らないといった様子で湊を見上げるアマータ。
「……やれやれ、まあ、俺も行く気満々だし、君だけ先に行かせたら出番がなくなりそうだからね、わかったよ」
 押し負ける湊。もともと面倒見がいいのだ。
「けど、戦闘中の俺はいつもみたいにゆるくはないからね?」
 とだけ付け足して。

 ようやく来たか。猟兵。と言わんばかりの黒騎士。転移の先でずっとスタンバっていたのだ。押し返すほどでもないなめた攻撃で先ほど目の前を素通りされた黒騎士は威厳も何もあったものではない、追い込まれているというのは本当のようで、そういうもの独特の殺気を感じる。
 生存本能というものだろうか。オブリビオンが生存本能など、くだらない。まあ、自分たちの概念でそういうものに当てはめているだけかもしれないがな。
 と、思いながら湊は迫りくる6本。白、黒、灰2セットの剣を見据えた。そしてさっとアマータの前に立つ。
「動くなよ、アマータ」
「?」
「さて、ここで罪を償うチャンスを与えよう。誰が来てもいい。役に立てばね」
 自分とアマータの盾になるように、次々と咎人の肉壁を召喚する。【咎人達の贖罪(トガビトタチノショクザイ)】が発動する。故に咎人たちは贖罪を強要される。
「アアアアアアアアア!」
 悲鳴を上げながら全ての剣をその身に受けて消滅していく。
 ここで消えれば、お前らの咎は食われなくて済むんだ。感謝しろよ?
 冷たい目でアンヘルとその間に立つ肉壁を冷たく見据えて内心吐き捨てる。俺が一体どれだけの咎人を殺してきたと思ってるんだ? そんなもので俺の過去を消しきることが出来ると思うのか?
 俺はこの咎人の数だけ人の恨みを背負ってきたんだ。それを消しきるなんて出来る筈がないだろう。
 冷たい、冷たい目。これが戦うときの、湊の目。
「わ、わたしが守られるのは、少し不本意ですが……ありがとうございます。おかげで当機も無傷です」
「……ああ」
 冷たい目が一瞬だけ和らぐ、しかし、それはすぐに温度を下げる、アンヘルと決着をつけなければならない。
「当機は、この胸に秘めた想いだけあれば戦えます。そして今の当機は、今まで投棄の積み重ねたすべてを残して戦えます。だから、最高のパフォーマンスであなたを葬ります」
 それが完全じゃなくても、また別の艦隊で蘇り猟兵たちと戦うのだとしても、この、今、目の前の骸の海は深く沈めてしまうんだ。
「当機も人形、故にこういったこともできるのです。これにて舞台の幕を下ろします。加減はできませんのでお覚悟を」
 手に抱えていたネロと、アマータの主導権が入れ替わる。ネロがアマータをを操る人形となる。アマータがネロの操り人形となる。
「貴方がどんなに強くとも当機が折れる理由にはなりません。さぁ、ご一緒に踊りましょう?」
 心のない声で、生気のない面持ちで、その美しい眼にアンヘルを捉え、動き出す、踊りだす、暴れだす。身体機能を上昇させアウラ・スコパェ――箒を片手に突貫する、そしてその放棄に仕込まれた刀を抜く。
「……なるほど、ならば俺も行く……味わうがいい。俺が恨みを背負ってこなしてきた仕事の技を。この血の糸で数々の咎人を殺めてきたこの俺の暗殺技を受けてみろ」
 妖刀――影楔を手に、そして目立つ暴れ方をするアマータを蓑に、闇へ忍ぶようにアンヘルの視界から薄れていく湊。
 アマータが反撃しようと構えるアンヘルのすべての行動ごと切り裂く勢いで広範囲に刀を振り回し切り刻む、その間を縫うように湊の血の糸がアンヘルの体を絡めとる。糸と斬撃でがんじがらめになる黒騎士アンヘル。

 ――そして、湊とアマータの二人は、確実にその体を、前方と後方から交差するように切り裂いた。壊れていく。壊されていく、骸の海に還る。骸の海に溺れる……。
 人形の目と、冷たい目が、それを見送る。終わったのだ、ここでの黒騎士との戦いが。

「……帰るか」
「はい!」
 完全に骸の海と共にどこかへ消えていくアンヘルが視界から完全に消えたのを確認した後、港とアマータはグリモアベースに帰還した。


 周囲には静かな宇宙が拾っていた。しかしまだ戦いは完全に終わったわけではない。全てが安寧に戻るまで、猟兵たちの戦いは続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月18日


挿絵イラスト