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銀河帝国攻略戦㉑~暗黒面の神髄を見せてやる

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #黒騎士アンヘル

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 猟兵たちの活躍により、銀河帝国と激戦を繰り広げる『解放軍』は着実に駒を進めていた。
 そんなある日のこと、グリモアベースはいつにも増して緊張感が漂っていた。
「招集に応じてくれてありがとう。今回の作戦を担当するグリモア猟兵、田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)よ」
 ユウナはお気に入りの伊達メガネを取り出すと、さっそく切り出す。
「聞いてるかもしれないけど、敵軍の大将格の所在地が予知されたの。みんなにはそのうち一体を討伐してもらうために集まってもらったわ」
 緊張からか硬い表情で、若きエルフの少女は説明を始める。
「オブリビオンは『過去』の産物。例え殺すことができても、別の『過去』を元にして復活することがあるのは周知のことだと思う。今回の敵将も、倒したところですぐ戦場に戻ってくるでしょう」
 能力値・技能・ユーベルコード、どれをとっても超一流なうえに、倒した端から甦ってくるというのだ。なかなかに絶望的だが、それでも攻める価値はあるとユウナは語る。
「いくら復活できるとはいえ、無限ではないわ。短期間で何度も倒せば、そのうち限界がくる。復活が追い付かない勢いで殺し続けてやればいいってわけ」
 ここ以外でも、討伐作戦は動き始めていることだろう。敵の命を削り尽くすための準備は整えられつつあった。
「世界屈指の戦闘力と邪悪な心を持つオブリビオン、生かしておいては後顧の憂いとなるわ。この場で逃がさず討ち取っておきたいの。どうか、力を貸してちょうだい」

   ***

 続けて、ユウナは自身が担当する作戦についての説明に移った。
「みんなに戦ってもらうのは、銀河帝国「二大巨頭」が片翼『黒騎士アンヘル』。暗黒面に堕ちたフォースナイトよ。『確定された過去を操る』能力を持つと言われているわ」
 敵の姿絵と、使用するユーベルコードをまとめた資料を配布し、ユウナは念を押すように警戒を呼び掛けた。
「『巨頭』の呼び名は伊達じゃない、圧倒的な格上よ。戦闘におけるイニシアチブは、常に相手が握ることになると思っておいてね。いかに敵のユーベルコードに対処し、こちらの攻撃を届かせるか。よくよく考えて臨んでちょうだい」
 そう言ってユウナは説明を締めくくると、グリモアの展開に取りかかった。
「正直って、今回ばかりは勝てるかどうかも怪しいわ。勝率はせいぜい五分ってところ。みんな、本当に気を付けてね」


黒姫小旅
 どうも、黒姫小旅でございます。
 此度は超強敵。失敗上等で容赦なくいきますので、ゆめゆめ油断なされるように。

====================
 黒騎士アンヘルは、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
====================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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62




第1章 ボス戦 『黒騎士アンヘル』

POW   :    消えざる過去の刃
【虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』】が命中した対象を切断する。
SPD   :    過去喰らいの三呪剣
【過去の鍛錬の経験を封じる白の呪剣】【過去の戦闘の経験を封じる黒の呪剣】【戦うに至った過去を封じる灰の呪剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    記憶されし傷痕
【対象の肉体】から【過去に刻まれた傷跡や病痕】を放ち、【一度に再現され肉体を蝕む出血や疾病】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 どことも知れぬ宇宙空間に浮かぶ、どれとも知れぬ宇宙船の残骸にて。
 その男は一人、座禅を組んでいた。
『――……来るか』
 ポツリと呟き、紅の瞳を開いた直後。
 どこかの虚空にグリモアが展開。転移の門をくぐり、猟兵が戦場へと降り立った。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

……チッ。まるで特攻隊になった気分だぜ。
威圧感が半端ねえってのによ。
やるしか、ねえだろうが!

相棒のカブと一緒に突っ込む……前に剣が飛んでくるだろうね。
咄嗟にコケながらカブを剣にぶつけてばらけさせる。
衝撃を殺してくれればそれで十分。
そのまま相棒にはアーマーに変形してもらい、
【人機一体】を発動させる!
うまくいったなら高速で周囲を駆け回り、
メーザーを交えた高機動戦闘を仕掛けるよ!
とどめだなんて大それたことは考えちゃいない。
後に続くみんな、頼んだぜ……!




「チッ。まるで特攻隊になった気分だぜ」
 数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)は舌打ちした。
 視線の先には、黒鎧をまとった男が地べたで胡坐をかいている。
 ……隙だらけ、と思うならとんだ大間抜けだ。
 ただいるだけで、『死』そのものとでもいうような、とんでもない威圧感を放っている。
「それでも、やるしかねえだろうが!」
 勇ましく吠え、多喜は相棒の<宇宙カブJD-1725>に乗り込むと、エンジン全開で突貫した。
 対する男は、ただの一言。
『ふむ』
 瞬間、三振りの剣が出現した。
 相対する者の過去を喰らうとされる呪いの刃。とっさに、多喜は相棒のカブを転倒させた。
 宇宙バイクは派手にスピンしながら呪剣と衝突、クラッシュする。
「いまだ相棒、【人機一体】!」
 ――――ィン!
 男の黒鎧が震え、軋みを上げた。
 三剣がばらけた隙を突き、多喜が愛機と高速合体するや、瞬く間に自身の間合いに踏み込んで座り込んだままの男へ高出力マイクロ波を放出したのだ。多喜はその勢いに乗って周囲を神速で飛び回り……――
「――……え?」
 ガクッ、多喜の体から力が抜けた。
 ふと見れば、肩のあたり。パワードアーマーに変形する前、カブが呪剣と衝突したあたりだ。真新しい斬傷にまとわりつく不気味なサイキックエナジーが、気付けば体全体にまで及んでいる。

 ――――あたしは猟兵として、これまでどんな鍛錬を積んできた? これまでどんな経験を積んできた? これまで戦ってきたのは……何のためだ?

「……もみ、じ」
 もはやこれまで。
 多喜は呆然と膝をつく。
『我が剣が斬るのは骨肉にあらず。わずかでも触れれば、過去を喰らいて無へと帰す呪詛である。……女よ。我に傷をつけしは見事だが、名乗るには値しない』
 それっきり、いまだ名を明かさぬ男は瞑目した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

須藤・莉亜
「お互い、特に話すこともないよね?」
さあ、楽しい殺し合いを始めようか。

相手の先制攻撃は、ギリギリまで引きつけてから【時喰らい】で時間を止めて回避を試みる。

初手を躱せたら、伝承顕現【首なし騎士】を使ってデュラハンに変身して、攻撃していく。

高速移動で常に動き続け、大鎌での衝撃波で敵さんの攻撃を弾いて行く。優先は灰>黒>白の順で。
戦いを楽しめなくなると動きが鈍っちゃうしねぇ。訓練は特にしたことないし、殺意さえあれば充分でしょ?

敵さんの近くまで行けたら、左手に持った自分の首で【吸血】と【生命力吸収】を狙う。

「流石に自分の首を武器にしてくるヤツは見たことないんじゃない?」




「ちょっとした悪戯ってとこかな」
 目先6センチそこらで停止した三振りの剣を見て、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)はぼんやりと笑った。
 時を喰らいて2.5秒、停止した時空間で行動できるという莉亜の力をもってしても、その斬撃をかわせたのは偶然でしかない。
 ひょいと剣の軌道から外れた直後、再び動き出した剣が宇宙船の残骸を屑鉄に変えた。
 ――好機!
 すかさず、莉亜は次の手を打つ。
 伝承顕現【首なし騎士】。デュラハンへ変身した莉亜は白き大鎌を振りかざし、
 ――好機を逃した。
「は?」
 目の前には、やり過ごしたはずの三剣がこちらへ切っ先を向けていた。
 首なし騎士への変身に要したわずかな時間。それだけで、三振りの呪剣の再召喚を終えたというのか!?
『打つ手は一つに絞るべきだ。心に刻むとよい。……この戦いを生き延びたなら、の話だが』
 静かな声とともに、呪剣が閃いた。
 莉亜は高速移動と衝撃波で応戦。三剣のうち白剣と黒剣がその身に打ち込まれるが、彼はまだ屈しない。
「訓練とか、経験とかはなくなっちゃってもさぁ。殺意さえあれば充分でしょ?」
 さあ、楽しい殺し合いを続けよう。
『……窮地において笑うか。その意義やよし。しかし、名乗るには値しない』
 男はいまだ、座禅を組んだまま微動だにしない。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ヴェロニカ・ウィンター
黒騎士…なんて恐ろしい存在なの…
これは、色々覚悟していかなきゃいけないわね…
【SPD】
確実に命中するであろう3つの剣が迫ってくるのを【見切り】で動きを読んで、少しでも避けられるよう【時間稼ぎ】をするわ
その間に【カウンター】でUCを使用
私の相棒「イーグレットガール」を召喚するわよ
もし私が…いや、確実に黒騎士の攻撃で私が過去を全て忘れてしまうでしょうね…
でも、その時は彼女がきっと私を呼び戻してくれるはずよ…
きっと、私と同じ朱いマスクの彼女を見れば私は私を思い出せるわ
だって私はヒーロー、あの子はサイドキックですもの…

復活出来ればせめて一太刀、黒騎士に食らわせてやるわ!

※アレンジ共闘大歓迎




 白の呪剣が、母より賜った武術を奪い去った。
 灰の呪剣が、父から学んだ正義をかき消した。
 黒の呪剣が、自らが培った経験を塗り潰した。
「――……あ、ああ」
 そこにはもはや、アイビスと呼ばれるヒーローは存在しなかった。
 ただの空っぽな少女は、一筋涙を流して立ち尽くし……。
『――何やってんのよ、アイビス!』
 叱咤の声が響いた。
 どこからともなく馳せ参じたのは、お揃いの朱マスク。アイビスの相棒、”イーグレットガール”だ。
 自身と似通ったコシュチュームを着たサイドキックの姿が、少女の虚ろな瞳に光を呼び起こす。
『アンタの正義は、そんなヤワなもんじゃなかったでしょ!』
「……ありがとう、"雛鳥"ちゃん」
 そこにいたのは、もはや空っぽな少女ではなかった。
 ヴェロニカ・ウィンター(アイビス・f12756)。夜の街で悪を狩る朱鷺、ヴィジランテの”アイビス”。
「せめて一太刀!」
『相棒が世話になったわね!』
 力を取り戻した彼女は、相棒のイーグレットガールとともに二羽の猛禽となりて飛翔。行く手にそびえ立つ巨悪に向かい、連携攻撃を見舞う。

『……ほほう』

「ぐっ!?」『きゃん!?』
 何が起こったのかさっぱり分からなかった。
 気付いた時には、二人のヴィジランテは吹っ飛ばされて地に伏している。
『我が呪詛を破るは見事。しかし足りぬ。受けるだけでは、我に刃は届かぬ。……だが、なるほど悪くない』
 痛みをこらえながら、必死で顔を上げたヴィジランテたちは、不覚にも恐怖した。
 戦いが始まってから、ずっと座り込んだままだった男が今、立ち上がっている。
『女よ、名乗るに値する敵だと認めよう。我が名はアンヘル。銀河帝国二大巨頭が片翼、黒騎士アンヘルなり』
 男――黒騎士アンヘルの痩躯から、大津波と錯覚するほどの膨大なサイキックエナジーがあふれ出た。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

白皇・尊
妻の鉋(f01859)と共闘

「鉋の事は僕が全力で守ります!」

☆共闘戦術
「練り上げた白狐一族の符術、最愛の人の為に!」
まずは即座に鉋と自分へ【物理、霊的問わず攻撃や呪いを防ぐ守護の結界】(オーラ防御)を張り強固な防御を固め、更に高速詠唱でUC【因果応報】を行使して黒騎士のUCを受けきり、それを返す事で鉋が攻撃する千載一遇のチャンスを生み出します。
「今です鉋!」
敵のUCは術に対しては僕の内部への攻撃、しかしオーラ防御ならそういった見えない攻撃さえ遮断出来るはず。
「僕の全て今こそ見せましょう!」
可能なら鉋への物理攻撃も因果応報で受け、重ねて反撃の機としたい。
「これが、僕と鉋の絆です!」

※アドリブ歓迎


喰龍・鉋
夫の尊(f12369)と共闘
「同じ黒騎士…でも道を違えたようだね、ボクはそれでも人を守る剣を選ぶよ」
尊がくれた【守護の結界】で一撃でも耐えることができれば、もし尊の戦術が失敗しても、
ボクの危機に反応する【指定UC】は発動できるはず、
決死の特攻を仕掛けるよ、尊がくれたチャンスだからね尊になにか危機が襲いかかるとしたらボクは更にその怒りを力に変えて
【怪力】【鎧砕き】【二回攻撃】全技能をぶつけて
必ず黒騎士に一矢報いるよ
「これがボクと尊で勝ち得た未来だアンヘル!!」




 戦場へと転移するや、白皇・尊(魔性の仙狐・f12369)は自身の周囲に呪符を展開。強固な守護結界を張った。
「練り上げた白狐一族の符術、目に見えない体内への攻撃であっても遮断してみせ――」
『違う』
 その口上を、黒騎士アンヘルは憮然と遮る。
『体内“から”だ』
 尊の全身から、血が噴き出した。
 不老たる妖狐族の彼は、あどけなさの残る顔立ちに反して八十才を超える。その長い人生において経験した怪我が、病が、一瞬のうちに凝縮して呼び起されたのだ。
『いかなる防壁とて、己の過去を切り離すことは叶わぬのが道理』
「が、はっ…………ははっ!」
 八十年分の苦痛を一気に受けて半ば意識を飛ばしながらも、尊はその口元に笑みを浮かべた。
「な、るほど……防ぎようがありませんね。…………その力、僕と鉋のために使わせてもらいます」
 尊の視線がアンヘルを射抜くや、邪悪な黒騎士の肉体が血を噴き出した。
『ぬっ。……我が力を真似るか』
「い、今です鉋」
「うん!」
 アンヘルの顔が自身の出血で隠れた瞬間だった。守護結界の中から、豊満な肉体を黒鉄の鎧で包み込んだ女騎士、喰龍・鉋(楽天家の呪われた黒騎士・f01859)が飛び出した。
 瀕死に追い込まれた夫を後ろに残し、それでも鉋はまっすぐ前方の敵だけを見据える。
「必ず、一矢報いるから」
 尊の負傷を無駄にしてはならないと、怒りを、焦燥を、自身の全てを剣に乗せて黒の巨頭に立ち向かう。
 そして――斬。
 黒鎧をまとう全身が斬り裂かれ……鉋は倒れ伏した。
 アンヘルが剣を振るったようには見えなかった。何の前触れもなく、突如として鉋の疾走軌道に『斬撃』だけが出現したのだ。
「か……かん、な……!?」
 尊は血反吐とともに悲痛な声を絞り出して、最愛の女性へと手を伸ばす。しかし、彼もまた満身創痍。ほんの十歩も離れていないはずの妻へ手は届かず、はるか彼方に感じられた。
『貴公らは夫婦か。良き連携である。並のオブリビオンであれば、為すすべなく斬り伏せられたことだろう。しかし、いかに隙が生じたところで無策の突貫を許すほど、このアンヘルは甘くない』
 アンヘルはただ静かに告げて、冷たい赤瞳を鉋へと移す。
『女よ。貴公もまた黒の騎士と見受けるが、道を誤ったな。暗黒面を受け入れていたならば、このような醜態を晒すこともなかったのだ』
「……ぐっ…………それ、でも。ボクは、人を守る剣を選ぶよ」
 声を発するのさえつらいはずなのに、鉋は血にまみれた顔を上げてアンヘルを睨み返した。
 目隠しをしているので鉋の瞳は見えなかったが、見えずとも強い意志をアンヘルは見抜き、うなずく。
『折れぬか。良き矜持である。その時が訪れたときは、夫君ともども敬意を込めて止めを刺すと約束しよう』
 そしてグルリと戦場を睥睨して、言った。
『次は誰だ?』

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

マユラ・エリアル
過去の傷か…正直一度に発動されると厳しいものがあるな…
だが…それでもやらねばならない
こいつはここでなんとかしてやる

●戦闘
敵のユーベルコードは『気合い』を入れて『激痛耐性』を用いてひたすら耐える
一度に再現するというのならその一瞬、意識を飛ばさず耐えればなんとか反撃の糸口は掴める筈だ
それに一瞬、ほんの一瞬だけあれば呪文を唱えるには十分だ
例え直ぐに意識を手放しても一撃喰らわせてやる
片道切符だが、やってみせるさ

『全力魔法』『属性攻撃』でユーベルコードをブースト
【氷刃展開】を使用する
『生命力吸収』も用いて受けたダメージを少しでも回復しよう
全ての氷刃を一気に展開し敵を包囲攻撃する

さあ、氷刃の嵐に飲まれろ


セルマ・エンフィールド
恐ろしいまでの技量ですね、ここまでとは……ですが、こちらも生きるため、退けません。

●対策
飛来する剣の色、軌道を見切り、黒、灰の剣は避け、撃ち落とせるものは懐のデリンジャー4丁で撃ち落とし、回避不能な状況に追い込まれないよう第六感を研ぎ澄ませて立ち回り、銃を撃つ一瞬の機会を狙います。
私の銃は戦いの中で磨いただけの代物、白であればそれほどの影響はありませんし……何より、狙撃の構えやコツなど、使うための時間はくれないでしょう。
銃を構え、撃つための左手さえ無事であればよし。私がこれ以上の戦闘が不可能になっても、傷さえ蓄積させれば、他の猟兵が倒してくれます。

チャンスは一瞬、撃てる一発に全てを込めます。


櫟・陽里
速く走りたい
バイクに全てを捧げてきた
それが俺の強み俺の全て
そうか…過去って大事だな

悪ぃな相棒、どれかひとつでいいんだ
回避か相棒に剣を受けさせ過去を1つ以上残す

前方以外から来る剣は全速走行で狙いをブレさせ
ハンドル捌きで人車共操縦できない様な致命傷を避ける
搭載シールドは前方へ
ガス欠覚悟の最大出力で展開し剣の衝撃を少しでも緩和
勝負は一瞬、痛みは集中力で凌駕
ナノマシン起動してくれよっ

重ねた特訓
戦場でしか得られない知恵
最速を目指し猟兵になった…走りへの執念
そのどれか1つと身体能力さえあれば走れる
ユーベルコードを纏うただ真っ直ぐの体当たり
途中クラッシュした場合も上手く重心を操作し事故巻き添え体当たりで奇襲




『……次は貴公か』
 アンヘルの瞳がセルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)の姿を捉えると同時、白黒灰色と三振りの剣が出現、閃光となって宙を翔けた。
 そのスピードたるや、セルマの類まれなる視力や第六感、見切りの技能をもってしても追い切れるかどうか。
「ここまでとは……ですが、こちらも生きるため、退けません」
 震えそうになる足を叱りつけ、懐に忍ばせたデリンジャーを取り出して、セルマは舞い飛ぶ三剣の渦中へと飛び込んだ。冷たく静かな心で剣の色と軌道を見極め、時に回避し、時に手中の短銃による射撃で弾き返していく。
 と、その時。
『……む、新手か』
 アンヘルが気付いた。
 新たに間合いの内へ踏み込んだ猟兵、マユラ・エリアル(氷刃の行方・f01439)だ。
 セルマと同じように表情の読みづらい、妙齢の女性の存在に気付いて目を向けて……それでアンヘルの行動は終わっていた。
「――――ァッ!!?」
 マユラの喉奥から、悲鳴にもならない音があふれ出た。
 皮肉が裂け、骨が軋み、内臓がねじれ、神経が燃え上がる。
 気合でどうにかなるものではなかった。耐性など意味をなさなかった。彼女が生を受けてから二十年弱。経験してきた苦痛が一つになって彼女を襲ったのだ。
 一瞬にして、マユラの意識は暗転。フサと軽い音を立てて倒れ伏した。
「しまっ――ぐっ!?」
 瀕死となった仲間に気を取られた刹那、隙を見せたセルマを三剣が襲い、避けきれなかった一太刀が腹部に突き刺さった。
 無表情の面が剥がれて苦悶に変わり、手からデリンジャーが落ちる。
 しかし、それを見たアンヘルの口から出たのは……
『ほう、良く決断した』
 称賛の言葉だった。
 セルマを斬った剣の色は白。常に実戦で腕を磨いていた彼女にとって、鍛錬の経験を封じる白剣は脅威度が低い。別の剣を避けるために、あえて白の刺撃を受けたのだ。
 失ったものは最低限。それでも、腹から剣を生やした状態ではこれまでのような回避行動など不可能である。
 ……これ以上待っても、チャンスは来ない。
 セルマは懐から二つ目のデリンジャーを取り出し、銃口を黒騎士へと向けた。
 破れかぶれになった、わけではない。
 最後の機会は、最高の好機でもあったのだ。
『なるほど……』
 続けて、アンヘルは感心したようにうなずく。
 いつの間にか、彼の周囲には無数の刃が浮かんでいた。それは数にして、110。
 氷の魔力を具現化した刃を召喚したのは、マユラだ。
 確かに、マユラは一瞬にして気絶した。しかし、一瞬だけは耐えた。その一瞬を、彼女は防御ではなく攻撃魔術に費やした。ありったけの魔力を込めて、自身の二つ名を冠するユーベルコード【氷刃展開】を発動したのである。
 術士が倒れても、氷刃たちは与えられた術式を忠実に執行する。
『……退路を断たれた。見事である。』
 直後、氷刃が殺到した。
 全身全霊のこもった魔法の刃が黒鎧の隙間に突き刺さり、血を流す間もなく氷結していく。
 マスクの内から呻き声が漏れる。無敵にも思えた黒騎士が、ついに揺らいだ。
 その隙を、スナイパーたるセルマが見逃すはずがなかった。
 体躯に次々と呪剣が突き刺さるが、もはや構いもしない。この一瞬だけ、銃を握る左手が動けばそれでいい。
 BLAM!
 速く鋭い極寒の魔弾が風を切り、黒騎士の眉間を射抜いた。
『ぬ……オオォォォォ』
 二人がそれぞれ全力で放った凍てつく魔力を受け、アンヘルは地が震えるように唸る。
『まだだ。まだ我が命には届かぬ。……次はないのか!』
「俺がいるぜ!」
 動くことも叶わぬ乙女らにかわって、櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)がエンジン音を轟かせて駆けこんできた。
「ヒーローは遅れてやってくるってな!」
『よかろう、来るがよい』
 陽里が人生の全てを注ぎ込んだスーパーマシンを迎え撃つは、過去を喰らう三剣。
 高速で飛来する呪いの刃を前に、陽里はむしろ加速した。
 展開したビームシールドは、板ガラスのようにあっけなく砕け散る。
 なけなしの守りは失った。ハンドル捌きで致命傷だけは避けるが、完全に回避できなかった斬撃が陽里の体や宇宙バイクに傷を刻む。
 たちどころに、陽里の過去が喰い荒らされた。
「……バイクで受けようが、命中した時点でダメってか。そりゃ、俺たちは一心同体だけどよ」
 肉体的なそれとは決定的に異なる苦痛を必死で耐え忍び、陽里は必死でハンドルを握り続ける。
 もはや陽里には、幾多の戦場で培った知識はなかった。最速を目指して世界の理さえ飛び越えた執念も失われた。
 それでも、特訓を重ね肉体に刻み込んだ技術の数々が、彼を走らせ続ける。
「――ッ!?」
 その眼前に、白の呪剣が出現した。
 回避不能。残っていた最後の力すら、封じられる。
「さっせるかァ!!」
 とっさに、陽里は車体を倒した。
 火花を散らしてド派手にクラッシュしながら、しかし最高速度にあった陽里は慣性力でもって、そのまま黒騎士へと突っ込んだ。
 ゴッドスピードの速度域で引き起こした衝突事故だ。相手もただでは済まない。
「痛てて……さ、さすがに効いただろう」
 煙を上げて沈黙する愛車の傍らで、陽里は激痛に震えながら身を起こす。
 果たして、その視線の先には……――
『――今のは、良かったぞ』
 そこには、毅然と立つ黒騎士アンヘルの姿があった。
「うそだろ。……なんでピンピンしてんだよ」
『そのようなことはない。致命傷である』
 愕然とする陽里に、アンヘルはまるで他人事のように答えた。
 ピシリと、首を横に振った拍子に、黒のマスクにヒビが入る。
『重ねて言うが、貴公らの攻撃は良かった。誇るがいい。貴公ら三人のうち一人でも欠けていたなら、このアンヘルを討つまでに至らなかったであろう』
 冷酷な紅の瞳が、笑うように細められた。
『しかし、所詮は偶然居合わせただけの者たち。致し方ないとはいえ、連携が足りぬ。あと幾度か剣を振るう余力が残っているぞ』
 自身の敗北を宣言しながら、しかしアンヘルから発せられる威圧感は増しているようにさえ感じられた。
 まだ終わりでない、ということか。
『来るがよい。帝国巨頭の散り様を見せてやる』

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レイ・アイオライト
過去はもう過ぎたのよ、ジャミングで頭揺らされたときにそれはもう克服してる、今を生きてるのは今の自分、今のあたしなんだから!
三呪剣は『見切り』『第六感』『残像』、影のオーラで『オーラ防御』、鋼糸に影のオーラを張り巡らせて何重に束ねてその剣を受け切るわ。
受けきったら【選択したUC】で闇に潜んで影の刃を放つ、避けられたら鋼糸の『範囲攻撃』、電撃の『マヒ攻撃』で擬似的な牢獄を作って逃げ場を無くして、闇の中から『だまし討ち』、相手の間合いに潜り込んで刀の『クイックドロウ』『鎧無視攻撃』よ。
アンタが見てる過去はもう全て過ぎ去ったことに他ならないわ。あたしは前を見る、ここで立ち止まる訳にはいかないのよ!


アイ・エイド
先制攻撃か…なら!
ゼロシールド展開して盾受け!
ゼロシールドは攻撃時の狂気に反応して
展開されるぜ!

もし、すぐにシールドが壊れても
一瞬でも時間を稼げればいい…
盾受けした時からユーベルコードは発動してんだよ!オレの攻撃を全て避けきれっか!!

【プログラムド・ジェノサイド】
脳に予めプログラムしていた内容は
ゼロシールドでの【盾受け】!
次からは特殊加工して錆び毒を塗ったダガーで超高速連続攻撃!
締めは
【メンタリティ・ギャンビット】!
【捨て身の一撃】で更に加速!
その剣、全部折ってみせる!

まあ、折れなくともオレの担当は囮だ!
ただ目の前を【ダッシュ】で【早業】に繰り出される攻撃と【挑発】で敵の注意を引きつけるぜ!




 レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)は豪語する。
「過去ならもう克服してる!」
『それもまた過去の事象である』
 相対するアンヘルは、大上段に両手を振り上げた。手中にあるのは黒き呪いの剣だ。
 真っ向唐竹割り。
 縦一文字の斬り下ろしに、レイは果敢にも正面から挑んだ。
 影のオーラを張り巡らせた鋼糸を何重にも束ねて、呪いの黒刃を柔らかに受け止めて衝撃をころして……
 ――喰われた。
『傷を与えずとも、命中さえすれば呪詛は成る』
「ぅ……ぁア!?」
 腕から力が抜けた。
 ドクター・オロチが仕掛けたジャミング装置に打ち勝ちトラウマを乗り越えた、という過去の経験が消えていく。
 心の成長をリセットされた衝撃がレイを打ちのめし、ひざまずかせた。
『驕るな、女よ。いかに目を背け、逃げようとも過去は去らぬ。足元につきまとう影法師のごとく追い続ける。もしも真の意味で解放されんと望むなら、取るべき道は一つである』
 と、差し出されたのは灰の刃。
 自ら触れろ、と言っているのだ。
 お前を苦しめる過去を消してやろう、と。悪魔のささやきが、少女の弱った心を揺らす。
 そして――
「ふざけんな腐れ外道が!!」
 アイ・エイド(腐れ人狼・f10621)がシールドを展開しながら、横から割り込んだ。
 盾が砕け呪いが全身に広がるが、アイは構うことなく黒騎士へ飛びかかった。
『……ほう、考えたな』
 超高速の連続攻撃を捌きながら、アンヘルは目を細めた。
 アイが意図したのかどうかは分からない。しかし、結果としてそれは妙手だった。
 脳内にあらかじめプログラムしていた攻撃パターンは、自身が望もうが呪詛を受けようが一連の動作を終了するまで決して止まることはない。
 武具を腐食させる錆び毒を塗布したダガーを手に、アイは怒涛の勢いでアンヘルを攻め立てる。
『悪くない。悪くないが……それゆえに、惜しいな』
 アンヘルは呟き、最後の一突きを左の手甲で受け流すと、不意に背後を振り返った。
 虚空の闇へと掲げた右腕が、無数の影刃を薙ぎ払う。
「くそっ!」
『女よ、我が手を拒むか』
 黒影の刃を放った主は、レイであった。
 闇との同化を解いて現れたレイは、額に脂汗を浮かべながらもまっすぐアンヘルを睨み返す。
「あたしは前を見て、進み続ける! 一つ防いでも、まだ手は用意してるわよ!」「こっちも、締めの一発が残ってるぜ」
 レイが鋼糸を展開し、アイはダガーを構え精神を統一。
 ともに決定打を叩きこまんと――
『帝国巨頭を舐めるな!』
 握り固めた鉄拳が、打ち返された。
 物理的に鼻っ柱を殴り折られた二人は、数メートルも吹っ飛んで地に横たわる。
『「避けられたらこうしよう」、「最後に追加でもう一撃」。そんなものは雑念である、蛇足である。後のことに気を取られるから、今の一手がおろそかになるのだ。理解せよ、貴公らが戦っているのは世界の頂点である。生半可な策を二つ三つ並べたところで何の意味があろうか』

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

テラ・ウィンディア
対先制
おれは常に自分自身を超えていかねばならない
でなければシルを…姉を超えられないからな!

空中戦で浮遊し地面破壊対策
戦闘知識
見切り
第六感
動きを神速で分析してその後は見切りその上で六感も駆使して回避に努める!

貴様のもっとも恐ろしいアドバンテージはそこ、だろう?
おれは過去のおれを超え続ける!
その程度でやられるわけにはいかないんだよ!

そして属性攻撃で剣と槍と脚に炎付与

串刺しを交えた猛攻

お前は凄い奴だな!
だけどおれもまた竜騎士だ!負けるものかよ!

そしてこれが今のおれの全霊だっ!
我が流星の一撃!
とくと味わえ!
上空から地面に叩き付ける勢いでメテオブラスト
更に踏み付けを添えて更なる破壊力の増強に努める




 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は跳躍した。『ヘロドトスの戦い』で猟兵たちが手にした特殊宇宙服の効果で、彼女は宇宙空間でも空を蹴り自在に機動することができる。
「空中戦なら、地面破壊は関係ない。貴様のもっとも恐ろしいアドバンテージはそこ、だろう?」
『……アドバンテージ、だと?』
 アンヘルは表情も変えず、宙を跳ぶテラに冷たい視線を向ける。
 斬!
 前触れもなく、虚空から斬撃が出現。それをテラは、豊富な知識と直感でもって見切り、回避した。
 横一線の斬撃を急降下でかいくぐり、下方で刃が待ち受けているので即座に急上昇。右に左に斜めにと三次元の不規則軌道で跳び回り、黒騎士へと迫らんと――……
 ――斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬!!!
 テラの周囲に、無限と錯覚するほどの斬撃が現れた。
 なぜ無傷で回避を続けられたのか。この即死圏内へ誘導するためだったのだと気付いたときにはもう遅い。籠の中の鳥である。
『誤解させてしまったなら陳謝しよう。戦場にて我が圧倒的優位に立ち続けている理由は、小手先の宴会芸などではないぞ』
 逃げ場もなく全身斬り刻まれて、ボロ雑巾のようになって落下するテラへ、アンヘルはもはや目もくれない。
『猛省せよ。明確なビジョンもなく技能頼りで乗りきろうなど、地力で敵わぬ格上に対しては無策と同義である』

失敗 🔴​🔴​🔴​

神原・響
周囲の地形を利用し黒騎士の真上から二丁拳銃で襲撃します。
【消えざる過去の刃】に対しては、【防具改造】【武器受け】【激痛耐性】で耐えます、【見切り】で可能な限り避けます。
確実に深手となるでしょう。しかし、これこそが狙いです。傷を負うと同時に【戦場の亡霊】を自身の後ろ、黒騎士の死角に発動します。

戦場の亡霊が派手に戦う中、私は今までの【戦闘知識】で得られた経験から戦力外のフリをしつつUDCアスクレピオスの杖により最低限動けるようになるまで治します、タイミングを【暗殺】で培った相手の隙を見出す技術で見計らい、【だまし討ち】からの【零距離射撃】【鎧無視攻撃】【2回攻撃】を黒騎士の背後から撃ち込みます。




 黒騎士は再び頭上を見上げていた。
 そこには、二丁拳銃を手に降ってくる神原・響(黒の女王の契約者・f06317)の姿がある。
「――ぐぁ!?」
 自慢の改造二丁拳銃を撃つヒマもなく、響は虚空から出現する斬撃の餌食となった。
 大量の出血ともに落下した少年を、アンヘルは静かに見下ろす。
『……なるほど』
 呟きと同時、血煙の向こうから現れた戦場の亡霊が二丁拳銃を構えた。
『瀕死と引き換えに英霊を召喚するユーベルコードか。面白い』
 響と同じスタイルで、なおかつ遥か上を行く戦闘力を持つ亡霊の猛攻を、アンヘルは巧みに捌いていく。
 一進一退……いや、アンヘルの方が上手だ。
 傷を受けながらも亡霊を押し返していき、強引に圧殺。驚嘆すべき速さで消滅させてしまう――と同時に、後方へ掌を突き出した。
 手甲の鋭い五指が、黒髪を鷲掴みにして眼鏡を砕く。
『傷はもう癒えたか?』
「…………ま、さか……気付いて」
『このアンヘルに、猿芝居など通用しない』
 鉄爪で頭蓋を掴まれながら、響は愕然とした。
 瀕死の重傷を受けて戦力外になったフリをして密かに回復を行っていたのが、バレるとは思いもしなかった。
『貴公の戦略は悪くなかった。ゆえに惜しい。我の虚を突けるなどと慢心したのが、唯一の失態である』
 アンヘルは冷たく言い放ち、響の頭を掴む手に力を込めようとして――

 ――ピシッ! ピシピシピシ!

 黒の手甲に蜘蛛の巣状のヒビが入った。
「……ッ!」
 力が緩んだ瞬間、響が動いた。双銃を照準、速射。
 ピキピキピキ!
 新たに開いた二つの銃穴から、全身にヒビが広がっていく。
『……時間切れだったか。せめて一人くらいは、旅の道連れにできるかと思ったのだがな』
 掌握から逃れて尻餅をついた響を静かに見下ろして、アンヘルはため息をついた。
 ピシピシピシ!
 ひび割れた体が、ボロボロと崩れ落ちていく。
『猟兵たちよ。この勝利に驕ることなく、心して往くがよい。銀河皇帝陛下の御力は、我のそれを大きく上回る。……この戦争の行く末がどうなるか、骸の海から見届けさせてもらおう』
 ピシャーンッ!
 その言葉を最期に、黒騎士アンヘルは粉々に砕け散った。
 後には、黒鎧や具現化したサイキックエナジーの破片が散らばっているだけで、ひたすらに静かな宇宙空間が広がっている。

【END】

苦戦 🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月20日


挿絵イラスト