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アルカディア争奪戦③〜燦めく光、先へと繋げて

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●ゼルフの坑道

 地底の裡で、光が瞬いた。
 きらきらと輝きが舞っている。
 様々な色彩を伴い、揺れるは魔を帯びた水晶たち。
 重力の軛など知らぬと、女の周囲を舞いては飾る燦めきだ。
 まるで万華鏡のように色と形を変えながら、自在な姿を浮かべるはまさに幻想の風景。
 何を思い、何を映すのか。
 何へと成り、至ろうとするのか。
 美しい水晶が織り成すは、等しく輝く未来だろうというのに。
 夢が踊るようなその景色へと、女は冷たく嘆息を零した。
「ダメね、これじゃあ」
 コレでは足りない。届かない。
 夢にまだ見た魔術理論には到底辿り着けず、どれほど鮮やかに五元素を操れど、所詮は空想の範疇を超えられない。
 真っ当な手段では至れない。
 ただ普通に手を伸ばすだけでは、掴めない。
 ならばどうする。諦めるのか。
 いいや、否。知れたこと。
 正しき道で辿り着けぬのならば、外道として進むのみ。
 後悔はしない。許しも求めない。
 一度、届かずに散った命とチャンスを、もう一度と蘇って得たのだから。
「決して、立ち止まれないのよ」
 冷ややかな女の声が、決意をもって地下に響き渡る。
 だからさらに天使核を。
 命を奪ってでも、神秘を抱えるその裡を覗き込む為に。
 たとえ、振り変えれば自らの道程が血で赤く染まっていたとしても。


 別名、『幻獣殺し』のソレスティ。
 今や血の道をひとり歩む者。




●グリモアベース


 戦争の開幕。
 だからこそ、天使核の奪い合いは熾烈となる。
 全てにおいての動力であり、物資が豊かと云えない空の世界でも希に見る原動力を秘めたもの。
 ならばこそ、戦いにどれだけ投入できるかが勝負の優勢を定めるだろう。
「今回、みんなに赴いて貰うのはゼルフの鉱脈」
 そう静かな口調で言葉にしたのはリゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)。
 ジェード王国に占領された多数の天使核を擁する浮遊大陸の一箇所だ。
 天使核がもたらす影響か、ゼルフ坑道は輝きを放っているが、天使核を奪われれば奪われるほどその光は失われていくという。
 そして、相手は。
「その地下深くまで単身で乗り込むほどの猛者」
 部下などいらない。むしろ足手まといと斬り捨てるほどの術者。
 半端な相手ではなく、緒戦で挑む相手ではないかもしれない。
 が、反面で言えばそれほどの相手が孤立しているのだ。此処で討てれば、後の戦いが楽になるといえるだろう。
「更には大規模な魔術の行使が得意だけれど、坑道の中ではそうもいかないわ」
 坑道で強力な大規模魔術を放てば落盤の危機もある。
 繊細にとコントロールを要求されれば魔術の威力は落ちて、詠唱の時間は伸びるもの。
 そうではなくとも狭く、暗く、そして複雑に入り組んだ場所。
 騙し討ち、不意打ち、陽動に奇襲。
 逆に狭い一本道で一騎討ちや、一瞬の交差に懸けるというのもありだろう。
 上手く坑道の地形を利用して戦えれば、かなりの利がある筈。
「それではまずは緒戦。今後を占うという意味でも、まずは必勝を祈るわね」
 静かな声色でリゼは告げ、見送るように瞼を伏せた。
 これより戦の開幕。
 如何なる路を辿り、結末を見るかは皆次第。
 
 
 


遙月
何時もお世話となっております。
マスターの遙月です。宜しくお願い致しますね。

始まりましたね、ブルーアルカディアの戦争。
今回は出来るだけ参加したいと思いつつ、まずは1本目を出させて頂きます。

純戦での方向と予定しておりますが、出来ましたら宜しくお願い致しますね。

採用人数は無理なくかける程度、と。何時ものように八名程度となるでしょうか。
今回はさほど期日を決めず、書きやすい方、活躍させやすい方からと書かせて頂くつもりです。
まずは戦争の緒戦、序盤なのだと、勢い付くなどの為にもどうぞ。


それでは、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『五重奏の魔女』ソレスティ・マキア』

POW   :    サクリファイス・サモニング
自身の【所有する大量の召喚石と天使核】を代償に、1〜12体の【さらに強力な召喚獣】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD   :    D.D『クインテット・クリスタル』
自身が装備する【D.D『クインテット・クリスタル』】から【荘厳な賛美歌と魔法剣】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【強烈な超音波による目眩】の状態異常を与える。
WIZ   :    マジッククリスタル・オーバーロード
【戦場に散りばめた莫大な量の魔水晶】から、戦場全体に「敵味方を識別する【連鎖爆発】」を放ち、ダメージと【盲目】の状態異常を与える。

イラスト:浅野友哉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アイン・セラフィナイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

パティ・チャン
■WIZ
孤立している相手、そして坑道とあれば、元々の体躯が小さな私には有利にも
なり得ますね。

待って討つ格好にしますが、その前に見つかっては元も子もありません。
【UC】発動と同時に[迷彩]で姿をくらませ[オーラ防御]も怠りなく。

ソレスティを分身した妖精に追わせ[地形の利用、世界知識、情報収集]で待ち伏せ可能な坑道を割り出します。

基本は待って集団で討ちますが、もし鉢合わせとなった場合、奇襲を仕掛け交差時の一撃離脱、とします。
戦闘時には[2回攻撃、なぎ払い、カウンター、重量攻撃]を乗せます。

「ここまでです!我が名、パティ・チャンの名において倒します!」

※連携・アドリブ共歓迎



これは戦の常。
 敵を知り、己を知り、場を制すればこそ憂うものはない。
ならばこそ、勝利へと天秤は傾くだけ。
 ソレスティアは強力な魔術師であれ孤立している存在。
その魔術を駆使するには十分とは言えない狭い坑道。
 どちらもパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)へと利するもの。フェアリーという小柄な種族ということもまた、この場合はメリットとなっている。
 パティが狙うは奇襲。
 待ちて討つという形だが、ただそれだけでは終わらない。
 坑道の地形、暗がりにと迷彩の術で溶け込み、万が一の為にもオーラ防御による備えも。
 そうして発動させたユーベルコードは、ソレスティアを追い詰めるためのもの。
「よくも……っ」
 ソレスティアの周囲を飛び交うのは、炎の属性で武装した妖精たち。
 その一体、一体がパティの姿を模しており、襲われるソレスティアはまるで無数の分身に村がられるよう。
 軽い魔術の一撃で粉砕される分身だが、その数は優に百を超えている。
 全てを吹き飛ばす前にとソレスティアの肌を斬り裂き、炎で彩り、先へ先へと誘っていく。
 分身の妖精たちはあくまで陽動。
 伏して待つパティのいる場所へと誘い込むためのものであり、その狙いに気付かないソレスティアを坑道の奥底へと誘い込んでいく。
 機会を見計らい、今だとパティが抜き放つはフォースセイバー。
 鍔の先にと光が集まり、一振りの剣を形作っていく。
 それはさながら、パティが示す勝利への軌跡。
「ここまでです!」
 青い双眸に討つべき敵の隙を映し出したパティが、羽根をはためかせて飛び征く。
 一気呵成。一瞬で勝負を決めるのだと、研ぎ澄まされた戦意が光剣の切っ先に宿る。
「我が名、パティ・チャンの名において倒します!」
 反撃をさせる暇など与えないのだと、高速で擦れ違い様に走る剣閃。
 自らが飛翔する勢いを乗せた刃は鋭利そのもの。加え、自らの全体重を乗せている。
 小さなフェアリーの刃と侮ることなどできようものか。
 なぎ払われた刃はソレスティアの急所を捉えて鮮血を散らせど、それのみで終わらない。
 身ごと翻して更に重ねて放つパティの斬撃。
 召喚を紡ぐより早くソレスティアを捉え、その術式ごと斬り伏せてみせる。
 故に、残るは隙だらけの魔術師がひとり。
「もう貴女の物語は此処で終わりです」
 地の底で眠りなさい。
 返り血に濡れ、殺しを重ねて、罪をその手に重ねる前に。
 せめてもの情けと言い放ったパティに従い、残った分身たちも一気にソレスティアに殺到する。
ふわりと。
 風に靡いたのはパティの青い髪。
 群がる分身たちを押さえ込み、ソレスティアが何とか召喚獣を喚び出したが、もうそこにはパティの姿はない。
 速やかなる一撃離脱。
 かつ坑道の地形利用と、小さな体躯での奇襲。
 一度受ければもう無視できるものではない。常に何処からかまた来るのだと、ソレスティアは周囲へと警戒を巡らせる。
 それが徐々に疲労へと変わり、精神と魔術の鈍りへと変わるまでは時間はかからないのだろう。
 どれ程に強力な召喚獣を従えても、見つからない敵へは何もできない。
「…………」
 パティが真に斬り裂いたのは肉体ではなく、ソレスティアの精神。
 その傷は坑道の中で徐々に広がり、焦りと疲弊へとなっていくのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POWで挑む
アドリブや連携も大歓迎だ

「悪いが此処は通行止めだ、『幻獣殺し』のソレスティ。
アンタの歩み、終わらせてもらう。」
彼女が歩んでいた坑道のど真ん中に陣取る

詠唱をはじめる前に接敵して拳を叩き込む
短い詠唱による魔法は[オーラで防御]して突っ込む
ガンガンせめて相手に魔法を使わせる隙を作らない
距離は常に自分の間合いにソレスティを入れておく

召喚獣が現れたら、アインを転送して切り捨てる
「こんなもんじゃ、オレは倒せないぞ!」
彼女がより強大な召喚獣を呼び出そうとした瞬間、
[ダッシュ]で接近してUCを発動
更にボルケーノ・クラッシャーを転送
「超必殺―クリムゾン・インパクト!!」
[力溜め]された炎杭を叩き込む



 暗く狭い坑道。
 不意討つならば幾らでも。
 戦い易いようにというのなら、何とでも出来る。
 されど、隠れることなど良しとせず、存在感を放つ深紅の姿があった。
 赤き鎧に包まれるは、熱き正義と矜持。
「悪いが此処は通行止めだ、『幻獣殺し』のソレスティ」
 ただ真っ向よりと立ち向かわんとするのは空桐・清導(ブレイザイン・f28542)。
 その黒い瞳は、死んでもなおオビリビオンとして今を彷徨うソレスティアの姿を見つめている。
 何が出来るというのか。
 何処に行けるというのか。
もはや何を語ろうとも、殺戮を繰り返す屍が如き身で。
 戦を引き起こし、浮遊大陸を沈めようとする罪深き姿で。
「アンタの歩み、終わらせてもらう」
 歩み続けようとするその道程、断たせて貰うと宣言する空桐。
 もはや引き返すことも、止まることも出来ないというのならばと。
「なら、私はあなたを排除するだけよ」
 冷たい声色で返したソレスティアが、五色の光彩を魔陣と描く。
 けれど、それが術式へと紡がれるより早く、紅の疾風が吹き抜ける。
 詠唱を始めるより早くと、懐へと踏み込む空桐。
 反射的に放たれた迎撃にと放たれた魔弾など軽いと、オーラ纏う赤き機械鎧の腕部装甲で打ち払って進む姿に迷いはない。
 迷わない。止まらない。怖れない。
 相手が何かをするより早く、芯にまで響く一撃をと空桐は握り締めた拳を叩き込む。
 辛うじて防御結界で受けたソレスティアだが、響き渡る衝撃にと身を揺らす。
「……っ」
「心の底から込めた正義の拳だ。お前を討つまで、止まるものか」
 至近距離で烈火の如き攻勢を見せるは空桐。
 拳打、肘撃、足刀。
 ひとつひとつに全力を込めて放つ技にソレスティアは防戦一方。何とか打撃の嵐から逃れようとするが、空桐は決して間合いの外へと魔術師を逃さない。
「それ、ならっ」
 ならばと数を呼ぶことを諦め、一体のみの召喚獣を招き寄せるソレスティア。
 大量の代償の上に呼ばれた魔獣。
 だが、空桐が怖れることなどありはしない。
 瞬時に転送したヴァイスリッター・アインを握り締め、渾身を込めた斬撃を放つ。
 その威は凄絶。太刀筋にて渦巻く風が坑道の中を揺らし、大量の鮮血を撒き散らす。
 握る者の想いによって増す剣。空桐が振るえば、ソレスティアの呼んだ召喚獣など一刀にて斬り伏せるのみ。
 だが、それのみにて終わらない。
 一瞬でも隙があればと、更なる召喚を重ねようとするソレスティアへと更に加速して駆ける空桐。
 同時に発動するのは重装甲モードへと変化するユーベルコード。移動速度を代償に、攻撃力と射程を強化する。
 もう逃さない。この一撃に必勝を懸けるのだと更に虚空へと転移させたボルケーノ・クラッシャーを掴む。
 更に力を溜め、超超熱の杭にと纏うは炎。
「超必殺――クリムゾン・インパクト!!」
 放たれるはまさに紅蓮たる一閃。
 紅焔を纏いて渦巻かせる超撃の杭が、ソレスティアの防御魔術を撃ち砕き、その身へと放たれる。
 炸裂する炎と衝撃。
 ソレスティアにそれを阻むことなどできず、身体へと深く赤き正義の一撃を穿ち刻まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・焔
アドリブ・連携歓迎

●心情
天使核を敵に奪われる訳にはいかないよ。
それにしても、単身で挑んでくるとは相当な手練れな敵の様だね。

●行動
坑道の暗がりを利用して、【暗視】でこちらの視界は確保しつつ
【闇に紛れる】で身を隠しながら
【第六感】で相手の気配を察知したり【聞き耳】で相手の場所を特定。
「どうやら地の利は焔にあるみたいだね!」

焔は白狐召還符(UC)を使用して戦うね。
白狐様に騎乗して【属性攻撃】で強化した白狐様の狐火で攻撃したり
焔自身も白狐様を走らせ【フローレ】による【ランスチャージ】で攻撃。

敵のクインテット・クリスタルには
焔も【オーラ防御】を展開して、超音波を弾き返す様にするね。



 この戦争の勢いのみならない。
 ひとつとて天使核を奪われてはならないのだ。
 如何なる外法へと用いられるものか。
 今は知らぬからといってないと断じれず、犠牲となる者を出さない為にも絶対に譲れないこと。
 戦いを終えた、また無邪気に楽しく笑う為にもと。
 紫の眸に確かな決意を宿して、四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は坑道の先を見つめる。
「それにしても」
 単身で乗り込んでくるとは、相当な手練れ。
 対峙するまでもなく、それが暴挙ではなく己が自信によるものなのだろうと焔は警戒を濃くする。
 そんな相手に真っ向からはいかない。
 狙うは奇襲の一点のみ。
 坑道の暗がりを利用し、自らは暗視で視覚を確保しながら闇へと溶け込むように紛れる焔。
紫色の毛並みに包まれた狐耳をぴくりと立てて辺りを伺い、音だけではなく第六感をも用いて周囲の状況を拾っていく。
 聞こえるのは断続的な戦いの音。
 他の猟兵たちも既にソレスティアへの迎撃へと当たっているのだ。戦いながらでは十分な警戒も出来はしないだろう。
「どうやら地の利は焔にあるみたいだね!」
 そして、状況としていのアドバンテージも十分に焔の傍へと引き寄せられている。
 ならば後はそれを手繰り寄せて戦うだけだと、ソレスティアが近づく気配を感じた焔が紡ぐのは白狐の召喚。
『符よ妖の郷への扉を開け。おいでませ白の御狐様』
 呼ばれて顕れるのは巨大な白狐。
 生命を共有するからこそ、互いの戦闘力を高める白狐へと騎乗し、焔は一気にとソレスティアへと攻め掛かる。
 呼ばれた白狐から属性攻撃で強化された蒼い狐火が吹かれ、坑道を舐め回すように蹂躙していく。
 踊る炎は、まるで地下に咲いた蒼い花畑の如く。
 美しくも妖しく、触れる命を焼いていく火焔の花。
 のみならず、焔の手元でフローレと名付けられた小さな青色のドラゴンが槍へと変じ、突撃の勢いを乗せてソレスティアへと突き出される。
「何度も驚かせてくれるわね……っ」
 燃え広がる狐火と、迫る穂先。
 両方に身を深く捉えられらも前へと踏み出すソレスティア。
 自らが持つ『クインテット・クリスタル』から産み出されるのは荘厳なる賛美歌と、魔法剣による反撃。
 音と刃は周囲一帯を薙ぎ払い、焔と白狐を等しく切り刻む。
「……っ。やっぱり、強い、けど……!」
 焔とて無防備ではないのだ。
 魔術による音と刃。花柄の手袋から放出されるエネルギーの盾と、魔力に抗う羽織りが揺れて直撃を防ぐ。
 更には纏うように展開したオーラ防御で放たれた超音波を反響させて弾き返し、その強烈な衝撃と目眩をソレスティアへとそっくり返している。
 衝撃音で方向感覚を失い、揺れるソレスティアの身体。
 ならば更に畳み掛けるべく、薄青の竜槍に蒼き狐火を纏わせる焔。
 更なる強烈な一撃をと白狐を翔らせて放つは、烈火一閃たる刺突。
「悪いけれど、あなたは此処まで」
 地の底にて、焔の放つ槍が輝く。
 終わりへと導く、綺麗な流星のように。
 未練を焼き払い、次へと繋ぎ導く軌跡のように。
 優しくも灼熱を帯びた燦めきとなってソレスティアの胸を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…天空の世界に来たはずなのに、まさか日の光が射さない地下で闘う羽目になるなんて

…別に観光気分で参戦した訳じゃないけど、少しだけ残念ね

「精霊石の耳飾り」に大地の精霊を降霊して彼らの視界を借り受け、
地面に伝わる振動から敵味方の索敵や坑道の地形把握を行い戦闘知識に加えUCを発動

…術者が独りで彷徨っている時点で、暗殺してくださいと言っているようなもの

…その身で味わうがいい。吸血鬼狩りの業の冴えを…。

光学●迷彩術式により周囲の風景を映す●残像を自身に被せて不可視化を行い、
坑道の●足場に習熟した●忍び足により体勢を崩す事無く無音で駆け、
超絶技法の●軽業で死角から敵を大鎌でなぎ払い●暗殺を試みつつ離脱する



 ここは蒼穹たる空の世界。
 暗鬱にして凄惨なる常夜の世界ではないのだ。
 空を仰げみれば自由なる青空が広がるというのに、今は戦乱が真っ只中。
 ましてや此処は坑道という地の底、暗闇の場だ。
 これでは輝く光も、空も見られないのだと、溜息が零れる。
「……天空の世界に来たはずなのに、まさか日の光が射さない地下で闘う羽目になるなんて」
 柔らかな銀糸のような髪を揺らして。
 微かに悲しそうに、顔を傾けるのはリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)。
 その耳に飾られる『精霊石の耳飾り』にそっと指先を伸ばしながら、誰に告げるまでもなく囁いた。
「……別に観光気分で参戦した訳じゃないけど、少しだけ残念ね」
ならば戦いが終わった後には、輝く空を眺めることができるのだろうか。
 それを暖かな幸いと感じているのかどうか。
 知っているのはリーヴァルディのみ。
 物静かな美貌からは、何も伺い知れない。
 けれど、指先の触れた耳飾りに降りた大地の精霊は、粛々とその力をリーヴァルディに差し出す。
 あくまで借り受けるというのならば喜んで。
 この世界を、この地を助けるというのに、なお礼節を忘れぬ魂にこそ、精霊はその力を渡すのだから。
 故に、地面に伝わる振動か敵味方の索敵、交戦の状況、坑道全体の地形把握とリーヴァルディに伝えていく。
 加えるのはリーヴァルディが培ってきた戦闘知識とユーベルコード。
「……術者が独りで彷徨っている時点で、暗殺してくださいと言っているようなもの」
 或いは、従える召喚獣にそれだけの信頼をしているのか。
 どちらにせよ傲慢に尽きるならば、その対価は命にて支払って貰うのみ。
「……その身で味わうがいい。吸血鬼狩りの業の冴えを……」
 闇夜の貴族たちを屠る、リーヴァルディのその刃を。
発動されるは吸血鬼狩りの業たる刃心影の型。
 上半身を一切動かさずに歩むは、縮地や忍びを想わせる影たる歩法。
 更には光学迷彩術式を展開して周囲の風景を映しながら、リーヴァルディ自身には残像をかぶせて不可視化を施していく。
 全てが成された後は、此処にいて、決して見えない幻めいた存在がひとつ。
 殺しの刃として、透き通るほどに研ぎ澄まされたリーヴァルディがひとりいるだけ。
 この姿を、この技をどうして見切ることなど出来ようか。
 坑道の足場に適した忍び足にて進みて駆けるは、無音にして立体的な挙動。
 リーヴァルディが魅せたのはまさしく夜に潜む狩人の超絶技巧。
 ひたりと近寄られたソレスティが気付く事もないまま、死角より強襲するは大鎌たるグリムリーパー。
 過去を刻みて未来を閉ざす黒き鎌刃は静寂の儘に振るわれ、ソレスティの急所を斬り裂いていく。
「っ!?」
 気付かぬ儘に受けた急所への深手。
 ソレスティは咄嗟に魔術の音と刃を周囲に放つが手応えはなく、変わりにと魔術で傷口を塞ぐ。
 あくまで応急処置。治癒でもなく、血を止めただけのもの。
 追撃はなく、ただしんっとした闇と静寂が広がる。
 ソレスティに滲む恐怖。追撃があるならば戦えても、これでは狩りを待つただの標的でしかなく。
「……あなたが死ぬまで、この見えない刃は続くわ」
 そっと響いたリーヴァルディの声へと振り向けど何も見えず、逆に脇腹を斬り裂かれるだけ。
 この暗殺が成るまで。
 命を狩り取り、鼓動をとめるまで。
 リーヴァルディの刃心影はソレスティに付きまとうのだ。
今は静寂と闇ばかりが広がり、その裡に潜むリーヴァルディの紫の眸が、獲物を見つめる。
 常夜の世界にて戦う少女の刃は、決してソレスティを逃しはしない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
残滓共で勝手に潰し合って滅ぶだけなら兎も角
其の望みが叶う事になれば碌な事にならぬだろう事は明白
確実に防いで行かねば

可能な限り狭く、爆破を起こせば簡単に塞がるだろう道を選ぶ
術師は力の行使に高い集中を必要とするもの
視線や僅かな気配の揺らぎに注視して動きを読む事に集中しながら
此の広さでは術でのダメージは受けずとも
崩落や破片で魔女自身も無事では済まぬと怯みを誘うとしよう
刹那の隙でも十分――征射転遍、其の身で味わえ
此方への攻撃は、集中した第六感を以て戦闘知識で計り
致命へと至るものは見切り躱し、些細なものは激痛耐性で捻じ伏せ
斬撃の方向は全て前方へ、魔女へと全力で叩き込む
――爆破は連鎖せず、盲るのはお前だ



 過去の残滓たる骸が為せる事などありはしない。
 自らが変らぬのだから、変えることなど出来る筈があろうか。
 周囲を自らに等しくと壊し、穢し、過去の残滓へと堕とす事はあろうともだ。
 蒼穹の世界を蝕む屍人帝国などまさにそう。
 全てを雲海の下に沈ませようと足引く輩たち。
 そうやって残滓たちで争い合い、潰し合って滅ぶならばまだよい。
 だが、それだけとはならないだろう。
 残滓が懐く夢と望みは、ひとにとっての害であることは明白。
 ならば防ごう。我が身と刃を以て。
 此れからを伴に生きて、進むが為に。
「故に、語らう事はない。私はただお前を斬る。それのみを弁えろ」
 石榴のような隻眼で鋭く睨むは鷲生・嵯泉(烈志・f05845)。
 語らう意味もない。
 死人の未練、迷い事など聞く耳持たん。
 そう姿勢で告げながら紫煙昇らせる煙草を捨て、そっと腰の刀へと手を添える鷲生。
「先手はくれてやる。最後の足掻きをもって、何も為せぬ己を想い、骸の海へと還れ」
 それがせめてもの慈悲だと告げる鷲生に、魔術士たるソレスティは目を細めた。
 可能な限りと狭い一本道の坑道。
 爆破や威力の高い術を行使すれば、容易く落盤で埋まるだろう路。
 ソレスティの技を持てばお互いにタダで住む筈はない。
 だというのに。
「…………」
「どうした、魔女。恐れて引くには早かろう」
 居合の如き構えを見せる鷲生に怯えや怯みは微塵もない。
 が、ソレスティが引けば他の猟兵たちが待ち構えているのだ。無理にでも鷲生を突破し、逃げるしか路はない。
 ならば。
「貴方も、勇猛ね」
 まさしく烈士。
 半端な攻撃では斃れる筈がないと、ソレスティも魔水晶を周囲へとちりばめる。
 燦めく色彩。虹の如き光が坑道の暗闇に溢れる。
 刹那、引き起こされるは連鎖する爆発。轟音と烈風を伴って炸裂する魔水晶。
 範囲を極小に縮め、狭い坑道の一本道を貫くように放ったのだ。
 さながら閃光たる槍の一閃。
 粉塵が撒き散らされ、がらがらと岩盤が崩れ落ちる。
 まさしく崩落で自滅する寸前の見切り。魔女として行使する術を極めたからこその、ぎりぎりを見切ったというべきだろう。
 だが、鷲生はそれを越えていく。
 砂塵を斬り裂くように踏み込み、鋭利な視線を投げかけるは剣豪たる漢なのだから。
「笑止」
 鷲生とて無傷ではない。
 だが、自らを巻きこまずに放つ魔術など範囲も威力も、その向きも知れるといもの。
 詠唱に伴う視線の動き、気配の揺れ。
 僅かでも滲む攻撃の意思と意図を読めば、鷲生にとって避けられないもののではない。
 それを成すのは極限まで高められた集中力と精神力。
 戦いの中でこそ研ぎ澄まされた、鋭利なる知識と第六感。
「自らの可愛さに、怯みながら放った一撃で私を斃せるものか」
 故に致命と至るものは見切りて躱し、岩の破片が脇腹に突き刺さった激痛は無視して突き進む。
 二度目など行わせない。
 速やかなる決着こそ、残滓へのせめてもの手向け。
「――征射転遍、其の身で味わえ」
 驚愕に目を見開いた魔女へと、鞘走る刃を繰り出すのみ。
 鷲生の手繰る刀より放たれるは、触れた物を侵食する獄炎を宿した赫灼たる無数の刃。
 烈火怒濤の如き斬撃の群れなれど、その精密たるや否や。
 全てが狭き坑道の岩壁を避け、ただ前方にて瞠目するばかりの魔女へと殺到する。
 鋼をも易々と断つ渾身の剣威。
 精緻とさえ云える技の冴え。
 刃へと重ねる術式の恐ろしさ。
 その悉くを重ねるからこその鷲生の刀が此処に在り。
 魔女を捉えた斬閃と焔が、その肉体を塵へと化していく。
「――爆破は連鎖せず、盲るのはお前だ」
 何も続くことはなき残滓。
 ならば骸の海の底で静かに眠れ。
 盲いた心で映し見る未来など、ありはしないのだから。
 そうして引き寄せた望みなど。
「悲劇、或いは惨劇。絶望。燦めきに見えれど、残滓が連鎖されるのはそれのみ」
 刀身が鞘へと収まる涼やかな音を響かせ、鷲生は戦の終わりを告げた。
 まだ緒戦も緒戦。
 終わりも、誠に斬るべき敵の姿どころか名も響かず。
 されど、相見えれば着るのだと深紅の眸が暗き坑道の底で瞬いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月03日


挿絵イラスト