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アルカディア争奪戦③〜Glitter Fighter

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦

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「皆、参集に感謝する。既に皆も知っての通り、ブルーアルカディアにて大規模な雲海発生現象──『|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》の発生が確認された」
 グリモア猟兵、シュタルク・ゴットフリート(不滅なる鋼鉄の咆哮・f33990)が告げたのは、かの空の世界全てを飲み込まんばかりの大規模な雲海の発生。その原因は、雲海の中心に存在する『アルカディアの玉座』にあるという。
「この玉座はどうやら、到達した者のあらゆる願いを叶えるという力を持つらしい。其を手中に収めんとした6つの強大なる屍人帝国によって、かの玉座は呼び出され、そして膨大なる雲海を生み出し続けているのだ」
『オーデュポン』『コルディリネ』『|日蝕帝国《イクリプス》』『マグナ聖帝国』『天帝騎士団』『ジェード王国』。これら6つの屍人帝国のいずれが玉座を手中に収めるとて、膨張を続ける雲海は多くの大陸を飲み込み、そこに生きる人々を過去に沈めてゆくことだろう。
「無論、そのような行いを認める訳にはいかない。雲海の拡大を食い止める為、奴らに先んじて玉座へ到達し、これを確保する。どうか、皆にも協力を願いたい」
 頷く猟兵達。以て、ここに『アルカディア争奪戦』の幕が上がったのである。

「まず皆に向かって欲しいのは『明滅鉱脈ゼルフ』という大陸だ」
『ゼルフ』と称される輝く不思議な鉱脈が特徴のこの大陸は、他に比しても極めて大量の天使核が埋蔵されていることで知られる。だが、それ故に6つの屍人帝国の一つ『ジェード王国』に占領され、迫害と天使核の簒奪を受け続けている。
「ゼルフの鉱脈は天使核が奪われるごとに輝きを失ってゆく。このまま輝きが失われれば、辿る末路は一つしか無い」
 即ち、雲海に沈むのみ。其は何としても阻止せねばならない。
「かの大陸には『|燦然たる勇士《ゼルフォニアブレイブ》』という勇士達がおり、ジェード王国の迫害から人々を守るべく奮戦している。皆には、彼らへ加勢しジェード王国のオブリビオンを打倒して貰いたい」
 彼らは、ゼルフの輝きに応じて力を増すという特性を持っており、これを活かして住民達を守ってきたというが。それ故に、鉱脈の輝きの衰えに比例して彼らの力も衰えている。このまま放っておけば、いずれは敗れ斃れるのみだ。
「かの大陸を解放できれば、ジェード王国に対しても少なからぬ打撃を与えられる筈だ。かの大陸の人々の為にも、此度の戦に勝つ為にも。確実に、彼らの救援を果たして欲しい」
 猟兵達に願うと共に、シュタルクはグリモアを起動。
 猟兵達を、かの燦然たる輝きの大陸へと送り出してゆく。



 明滅鉱脈ゼルフ、その一角に在する集落にて。
「警告。この地は我らジェード王国の資源として接収することが決定しています」
 氷の翼を持つ天使の如き女達が、およそ感情の感じられぬ冷たい声音で警告を発する。
「抵抗するならば、生命の保証は致しかねます。即時の立ち退きを推奨します」
「そうはいくか……!」
 実力行使の構えを見せる氷天使達、彼らの前に立ちはだかるは数人の男女。携える武装は其々異なれど、その性質は同一。
 辺りに煌めくゼルフの鉱脈、その明滅に応じて淡い光がオーラの如く彼らの身から放たれる。
(……以前よりも力が弱い。やれるのか……?)
 だが、そこから生ずる力の程は、かつてよりも随分と心許なく。今の状態で、この屍人帝国の尖兵を打倒できるのだろうか──そんな不安が脳裏を過ぎる。
 だが。
(──いや、やるんだ。やれるのは、俺達だけだ)
 決意を以て不安を押し込める。この大陸を、此処に在る人々を守る力を持つ者は、ただ己らをおいて他に無いのだ。己らが退いてなんとする。
「抵抗の意志ありと判断。殲滅を開始します」
「やらせるものか……! ゼルフは、俺達が守る!」
 無機質なる天使の宣告、抗うように声を上げる勇士達。
 猟兵達が転移を果たしたのは、まさにその衝突の始まった、その直後であった。


五条新一郎
 その輝きは未だ革命に遠く。
 五条です。

 さて始まりましたアルカディア争奪戦。
 此度も勝利目指してシナリオ運営頑張って参ります。

 最初のシナリオは、神秘の鉱脈煌めく大陸にての戦い。
 煌めきを力と成す勇士を救援し、屍人帝国の尖兵を打倒しかの大陸を解放しましょう。

●目的
『クールエンジェル』の撃破。

●戦場
 ブルーアルカディア、明滅鉱脈ゼルフ。
 大陸の一角にある集落が戦場となります。
 鉱山都市を思わせる、谷あいに幾つもの建物が並ぶ集落です。所々に、露出したゼルフ鉱脈の輝きが見受けられます。
 住民は既に避難済み。

●味方戦力
『|燦然たる勇士《ゼルフォニアブレイブ》』
 ゼルフに住む勇士達です。年齢・性別・種族・ジョブ・武装は様々。

●プレイングについて
 OP公開と同時にプレイング受付を開始します。
「燦然たる勇士と共に戦う」ことでプレイングボーナスがつきます。
 プレイングで指定頂ければ、該当する性質の勇士と共闘できます。

●リプレイについて
 遅くとも9/4(日)いっぱいでの完結を予定しております。

 それでは、皆様の眩いプレイングお待ちしております。
199




第1章 集団戦 『クールエンジェル』

POW   :    サブゼロ・ジャッジメント
【頭上の『天使の輪』が光るの】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【詠唱中のクールエンジェル】で囲まれた内部に【絶対零度のダウンバースト】を落とし、極大ダメージを与える。
SPD   :    エンジェリック・アサルト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【氷杖】から【レベル×5本の氷魔法の矢】を放つ。
WIZ   :    クール・エンジェル
敵より【クールな】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:Makiya

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
開戦ですねぇ。
参りましょう。

『遠距離攻撃』に長けた勇士の方数名に協力要請、【炳輦】を発動して『防御結界』を形成し勇士さん達を運びますねぇ。
そして『FMS』のバリアと『FES』の結界、『FAS』の障壁を重ねて守りを固め、高速飛行と共に『時空切断の嵐』を放射しますぅ。
『サブゼロ~』は詠唱中の個体の優先排除と飛行速度で対処、それでも囲まれそうなら『結界』ごと範囲外に『瞬間移動』し躱しましょう。
勇士さん達には、詠唱中の個体を見定める『目』の役割と、重ねて行う『遠距離攻撃』への協力をお願いし、『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]も併せて着実に排除して参りますねぇ。



 明滅鉱脈ゼルフ、その集落の一つを見下ろす和装の少女。オーラの翼を以て空を飛ぶ夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)である。
「いよいよ開戦ですねぇ」
 眼下に広がる集落、その各所で、蒼白の天使達と様々な装いの戦士達とが交戦するのが見える。前者がオブリビオン――『クールエンジェル』、後者がこの地を守る勇士達『|燦然たる勇士《ゼルフォニアブレイブ》』だろう。
「――と、あちらはぁ」
 視線を巡らせていくうち、集落の一角に目が留まる。蒼白天使の一団が、戦士達を追い詰めつつある状況。明らかに勇士達が劣勢だ。
 急ぎ救援せねばなるまい。頷き、るこるはオーラの翼を羽ばたかせる。

「ぐぁっ!」
 勇士の青年が苦悶に呻きよろめく。その肩には真新しい傷。今しがた敵の放った氷の刃に裂かれたものだ。
「だ、大丈夫!?」
「ああ、まだ何とかな……だが、このままじゃ……」
 その身を案ずる少女勇士に応える青年だが、その表情は苦い。何故なら。
「追い詰めました。このまま一気に殲滅します」
 淡々と告げるクールエンジェル。周囲には何やら呪文を詠唱している同型の天使達。勇士達を集落の一角、坑道脇の岩壁へと追い詰め、此処に包囲を完成させたのだ。
「くそっ……やっぱり力が出ない……。こうも不利な戦いになるとは……」
 青年勇士は苦々しげに呟く。彼ら燦然たる勇士は鉱脈の輝きより力を得る者達。それ故に、ジェード王国に天使核を持ち去られ鉱脈が輝きを衰えさせている現状ではその力を十全に発揮することができない。
「我らジェード王国に楯突く者には、死あるのみ。――終わりです」
 宣告と同時、携えたる杖を突きつける蒼白天使。その頭上の天使の輪が、輝きを増して――

 その時であった。
 降り注いだ炎と爆風とが、吹き荒びかけた絶対零度の嵐と其を齎さんとした天使達を、寸前で吹き飛ばしたのは。
「――っ!?」
 爆風から顔を庇いつつも、勇士達は見た。己らに引導を渡さんとしていた天使達が熱線の雨に打たれ、直後に降り落ちた砲弾の爆風に吹き飛ばされてゆくのを。そして、砲撃の雨の止んだ後に、上空から一人の少女が降下してくるのを。
「危ないところでしたねぇ」
 その少女――るこるは、呆気に取られた様子の勇士達を見渡し微笑む。負傷している者も多いが、戦闘に支障を生ずる程の傷を負った者は居なさそうだ。
「た、助けてくれてありがと……あなたは……?」
 少女勇士が戸惑い気味に問えば、るこるは頷き。
「私は猟兵ですぅ。屍人帝国に抵抗している皆さんをお助けするべく参りましたぁ」
 己の身分と目的を告げれば、勇士達の間から歓声にも似たどよめきが上がる。この空の世界を股にかけて屍人帝国と戦う猟兵達の噂は、どうやらこの大陸まで届いていたようだ。
 そんな彼らの反応を確かめた後、るこるは言葉を続ける。
「他の勇士の皆さんもお助けする為に、皆さんのお力をお借りしたいのですが、よろしいでしょうかぁ」
 それは彼らへの協力要請。勇士達の中から、遠距離攻撃を得意とする者に力を借りたい、というものであった。
 応えて何人かの勇士達が名乗り出たところで、るこるはその手を合わせて祈り始める。己の奉ずる豊饒の女神へと。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう――」
 直後、るこると勇士達を載せるような形で全長18mにも及ぶ結界が展開される。防御は勿論、18名までの人間を載せて飛翔が可能な代物。その場に居た全員を搭載して余りある規模のものである。
 驚く勇士達に、結界を浮上させつつるこるは告げる。
「これで飛びながら、敵を排除して回りたいと思いますぅ。皆さんには、索敵と先制攻撃をお願いしますねぇ」

 そして彼らを乗せた結界は、集落上空を飛び回り、集結していたクールエンジェル達を次々と撃破してゆく。
 るこるが念ずると共に巻き起こる時空切断の嵐は天使達を斬り刻み、耐えきったとしても勇士達の銃撃に止めを刺される。
 彼女達を脅威と判じた天使達の反撃は、るこるの祭器が展開するバリアや障壁、結界そのものに阻まれ届かず、ユーベルコードを行使しようにも勇士達の攻撃が降り注ぐ故に詠唱も侭ならぬ。
「ここまでですよぉ」
 そしてるこるが存在を認識すれば、時空切断の嵐によって斬り刻まれ。天使達は為す術無く、全滅の憂き目を見るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天御鏡・百々
「勇士達よ! 我が助太刀しようぞ!」

力による接収など、単なる略奪に過ぎぬ
ここは燦然たる勇士と共に、屍人帝国の尖兵を打ち倒そうぞ

なかなか敵のユーベルコードは厄介だな
戦いに於いて、このオブリビオンよりも冷徹にと言うのは少々厳しい
なれば、そもそもユーベルコード自体を封じるとしようか

『至上の光』を発動し、敵のユーベルコードを封印するぞ
合わせてこの光が鉱脈に反射屈折し、輝きが増せば勇士に力も与えられるか?

今こそ好機だ! 一斉に攻め立てよ!
長くは持たぬぞ。一気に勝負を決めるのだ!

発動は100秒程度に抑え、その間にできる限りの敵を掃討しよう
我も『天之浄魔弓』で敵を狙撃する



「抵抗は無為です。我らジェード王国に従属するか、死か。あなた方に許された道は二つに一つ」
 携える杖を突きつけ宣告するクールエンジェル。いずれも御免蒙るとばかり身構える勇士達だが、その表情は苦い。此処までの交戦で、今の己らの力ではこの蒼白の天使達に勝つことはできぬと否応なく思い知らされたが故に。
 なれど、ここで退けば誰がこの地を守るというのか。悲壮な戦意を奮い起こす勇士達に対し、天使達は冷徹に攻勢をかけんと――
「そうはさせぬ!」
 凛とした声音と共に、飛来するは幾本もの光矢。反応の遅れた氷天使の胸へと矢が突き刺さり、生ずる浄化の魔力が過去たる身を骸の海へと還してゆく。
「新手ですか」
 倒れた仲間を意にも介さず、回避に成功した天使は矢の飛び来た方向を見遣る。突然の援護に驚いた様子の勇士達もまた。
 彼らの視線の先、家屋の屋根の上には、和弓を携えた幼い少女の姿。なれど両者を見下ろす表情が垣間見せる気迫の程は、見目の数倍にも及ぶ年輪を感じさせようか。
 そんな少女の背後には、神々しき輝きを放つ鏡が浮遊する。それこそが彼女――天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)の本体たる神鏡。長き時を経た神鏡より生まれたヤドリガミ、それが彼女であるのだ。
「力による接収など、単なる略奪に過ぎぬ!」
 百々の視線がクールエンジェルの一団へ向けられれば、発される声音は厳しく。彼女らの所業に対する義憤を示し。
「燦然たる勇士達よ! 我が助太刀しようぞ!」
 続いて視線を勇士達へと向けると共にかける言葉は激励、ないしは鼓舞。この危機を跳ね返す力たらんとする意志を示す。
「……有難い!」
 予想だにせぬ救援に心強さを感じたか、改めて身構える勇士達の表情に先程までの悲壮さは無く。そんな彼らの様子に頷くと共に百々は家屋の屋根から飛び降りる。
「一人増えたところで戦況は覆りません」
「その勇士達共々、葬り去ってくれましょう」
 勇士達の先頭に立つような位置へ降り立った百々に対し、クールエンジェル達は冷徹に言い放つ。百々の参戦も誤差の範囲と言わんばかり――なれど、其が大言と言い切れぬ事実を百々もまた認識する。
(敵より冷徹であれば強化されるユーベルコードか。厄介だな)
 グリモア猟兵からの情報にあった彼らのユーベルコード。民への迫害にも仲間の死にも心動かさぬこの敵に対し、冷徹さで上回れる自信など無い。守る為の戦いという状況ならば尚更だ。
 ならばどうするか。百々達が仕掛けて来ぬと見た氷天使達が動く。ユーベルコードによって強化されたその挙動は、先より尚速く――
「――なれば!」
 目を見開く百々。同時、頭上から放たれるは白き清浄なる光。彼女の本体たる神鏡から放たれし聖なる神光だ。
「この程度の光で――いえ、これは……」
 目眩ましのつもりか、と言いかけたクールエンジェルの表情が歪む。そうではない。奪われたのは視界ではなく――
「然様! 我が全霊を持って、お前達の力を封じさせてもらう!」
 決然と言い放つ百々。その光は悪しき力を――オブリビオンのユーベルコードを封じ込める力を持つ光。以て蒼白天使のユーベルコードと、其による身体強化を封じたのである。そして、それだけではない。
「――これは……!」
「力が、みなぎる……!?」
 勇士達からも戸惑い混じりの声が上がる。だがその声の意味はポジティブなものだ。鉱脈の輝きによって齎される力、ジェード王国の蹂躙によって衰えていた力が、戻ってきている、と。
 其は、神光が周囲の鉱脈をも照らし、その光を反射屈折せしめることで疑似的に輝きを増さしめたことによるもの。あくまでも疑似的故に完全とはいかぬが、それでも力が増したことには変わりない。
「勇士達よ、今こそ好機だ! 一斉に攻めたてよ! この光、長くは持たぬぞ!」
 前方から百々の声。氷天使達の力を削ぎ、勇士達に力を齎すこの光、劇的な効果ゆえに代償もまた絶大。時間にして113秒、其を超えて維持すれば百々の命を奪うという諸刃の剣。
「……応!」
「この力があれば……いける!」
 百々の呼びかけるに応え、勇士達が一斉に攻勢へ出る。剣を、槍を振るい、ユーベルコードを封じられ力削がれた氷天使達へと攻撃を仕掛けてゆく。
「状況は不利……一度退くべきか……」
 戦力比を覆され、一気に劣勢となったクールエンジェル達。一人、また一人と勇士達の刃に倒れる中、何とか攻めを凌ぐ者達は撤退せんとして飛翔を試みるが。
「そうはいかん、ここで勝負を決めさせて貰うぞ!」
 だが其は百々の予測のうち。狙い澄まして放たれた光の矢が、氷天使の胸を撃ち抜き。一矢で以て仕留めてみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
そこまでだ!!
しゃきーん!と覇王方天戟を【なぎ払って】魔法の矢を叩き落として(功夫)カッコよく助太刀するよ!

第三勢力の乱入にも「冷静」に対処しようとしてる、確かにそれも「クール」だ!
でも! 「クール」には別の意味もある!
窮地に駆けつける私は「カッコいい」! 【大人化】で変身した私はもっと「カッコいい」!!
そう、「カッコいい」という意味では私が上回る!!
根拠? 私 の 主 観 だ ! !

世界の危機に立ち向かうのは間違いなく「カッコいい」!
みんな!! 行くぞぉおおおお!!
勇士たちを【勝者のカリスマ】で鼓舞して一緒に突撃!!(集団戦術)



 集落の一角、家屋に囲まれた領域で繰り広げられていた戦闘においても、勇士達は劣勢を強いられていた。クールエンジェル達の攻勢に、互いの背が触れ合う程の距離へまで追い詰められる勇士達。
「殲滅を開始します」
 其処を好機と見て、蒼白の天使達は一斉に携えた杖を掲げる。頭上に形成された幾本もの氷の矢が、勇士達を射抜かんと一斉に射出され――

「そこまでだ!!」

 響き渡る勇ましき女性の声と共に、戦場へ奔るは一条の白光。其は飛来する氷矢の全てを薙ぎ払い砕き飛ばし、以て勇士達に迫る危機を退けてみせた。
 直後、勇士達の前へと着地したのは、真紅のチャイナドレスにその身を包んだ若き女性。振り抜きたる姿勢で構えられた方天戟が、先の白光の主であろう。
「劉家拳皆伝、劉・涼鈴! 義によって助太刀するよ!」
 方天戟を振り回し構え直しながら、その女性――劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)は堂々と名乗りを上げる。本来は未だ少女と言うべき年頃の彼女だが、今はユーベルコードを以て一時的に大人化した状態となっている。
「有難う、おかげで助かった……!」
「加勢、感謝する!」
 勇士達もまた、救援に礼を告げると共に態勢を立て直す。一方。
「此処で増援が来るとは予想外でした」
「然し所詮は一人。我らの優位は揺るぎません」
 クールエンジェル達は涼鈴の参戦に対してもあくまで冷静、且つ冷徹な態度を崩さず。その力の高まるのが、涼鈴からも見て取れる。
「成程、第三勢力の乱入にも『冷静』に対処しようとしてる――確かにそれも『クール』だ!」
 そんな彼らの挙動を、涼鈴はそう評する。敵より『クール』であれば能力を強化できるというユーベルコードの特性、其を活かせる在り方である、と。
「でも!」
 だが、その上で涼鈴は異を唱える。『クール』、とは『冷静』という意味に限った言葉ではないと。
「勇士達の窮地に駆けつける私は『カッコいい』! 大人の姿に変身してる私はもっと『カッコいい』!」
 豊かな双房具える胸を張り、涼鈴は得意げに言い放つ。そう、『クール』という言葉の別の意味とは、即ち。
「『カッコいい』という意味では、私の方が上回る!」
 びし、と方天戟を突きつけながら言い放つ涼鈴。尚、根拠は『彼女の主観』である。
「つまり――よりクールなのは、私の方だッ!!」
 自信に満ち満ちた宣言。其は、さしものクールエンジェル達をもたじろがせんばかりの気迫と勢いすら伴って。
「何を馬鹿な……こと、を……?」
 彼女の宣言を切って捨てようとした氷天使だが、直後に信じられぬ事態を悟って動きを止める。この感じは、まさか――
「よし、皆!」
 其処を好機と見たか、涼鈴は振り向いて勇士達に呼びかける。即ち。
「世界の危機に立ち向かうのは、間違いなく『カッコいい』!」
 彼らの在り方をそう評すると共に賞賛して見せる、まさにカッコいいと称する言動を見せた後。
「――みんな! 行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 雄叫びと共に敵へと突撃する、あまりにも勢いの良い彼女の姿。思わずついていきたくなってしまうようなカリスマ性を発揮するその動きに対し、勇士達は。
「「「お、おおぉぉぉぉーーーーーっ!!」」」
 戸惑いながらも彼女に続いて突撃を敢行。その勢いは、瞬く間にかの氷天使達を呑み込み、蹴散らしていったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォーゲル・ロボター
「任務了解!任務了解!敵データノ入力完了!」
「コレヨリ当機ハ援護態勢ニ入リマス。勇士ノ皆様、後ロハオ任セヲ!」

飛行してフォーゲルアイで戦場を俯瞰し、勇士たちの援護を行う。
詠唱中のクールエンジェルを狙い、脚に外付けしたフォーゲルガトリングを発射。牽制射撃を行い、詠唱を妨害して接近戦への移行を促す。

敵が接近戦に切り替え、勇士たちの周囲に敵が集まって来たら自身も全力で接近。『機鳥忍術・時雨』を発動。
フォーゲルアイで敵のみをロックし、ミサイルとガトリングの一斉発射で周囲を攻撃。敵のみを狙った【弾幕】を張って一気に撃破を狙う。

「目標補足!目標補足!勇士ノ皆様、待避ハ不要デス。敵対者ノミ撃チ抜キマス!」



 猟兵達の参戦により、その集落における|燦然たる勇士《ゼルフォニアブレイブ》達とオブリビオンとの戦闘は、徐々に勇士側優位に傾きつつあった。
「これ以上好き勝手させるものか……!」
 劣勢であった戦域でも、勇士達が奮起を見せて敵の攻勢を食い止め、均衡状態へまで巻き返すことに成功していた。巧みな連携と着実な攻勢が、彼我の戦力差を補っているのだ。
「無駄な抵抗です。これより殲滅を実行します」
 なれど、クールエンジェルの側にもその均衡を打開する切り札は存在する。即ちユーベルコード。詠唱を行う蒼白の天使達が、勇士達を包囲するかのような位置を取り、以て一網打尽にせんとして――
「目標捕捉! 目標捕捉! コレヨリ当機ハ敵性存在ヘノ攻撃ヲ開始シマス!」
 其処へ響く機械的な音声、同時に降り注ぐ銃弾の雨。不意を打たれた氷天使の一人がまともに撃ち抜かれて倒れ、残る天使達も掃射される弾雨を前に後退を余儀なくされる。殲滅の目論見は挫かれた。
「あれは――」
 勇士の一人が上空を見上げれば、舞い降りてくる黒き鳥の姿を視界に認める。だが、それが只の鳥でないことは直後に察せられた。身体の各部に備えられた銃火器の数々、何より身体を形作るは金属質のパーツ。その姿はさながら、機械仕掛けの鳥と言えた。
 そう、それこそはサイバーザナドゥのメガコーポの一社『フューチャー・ファー』社が開発せし鳥型の飛行型頭脳戦車。その名をフォーゲル・ロボター(忍者鳥型飛行頭脳戦車・f38431)と云う。
「救援対象確認! 救援対象確認! |燦然タル勇士《ゼルフォニアブレイブ》ノ皆様、コレヨリ当機ハ皆様ノ援護態勢ニ入リマス!」
 下降してきたフォーゲルから発されるは、まさしく機械と言うべき端的な己の行動方針を告げる音声。だが、それ故にこそ彼の目的は明確だ。
「援護、感謝する! よし、皆、やるぞ!」
 其を理解すれば勇士達の動きは迅速。各々の得物を振るい、クールエンジェル達へと攻撃を開始。少数の敵に対する集中攻撃を仕掛ければ、個の能力で上回る氷天使とて一堪りもない。
「それ以上はやらせま……くっ!」
 仲間へと一斉攻撃をかけにゆく勇士達に対し、横合いから射撃攻撃を敢行せんとする天使もいるが、そうした敵にはフォーゲルが脚部に装着したガトリングガンを掃射し牽制。以て連携を妨害する。
 フォーゲル自体へと攻撃を仕掛けても、上空を飛翔する鳥型頭脳戦車の機動を捉えるは困難。そればかりか、上空に気を取られれば、其処を勇士達に狙われ攻撃を受けてしまう。
「援護射撃は厄介です。ならば接近戦を仕掛けましょう」
「加勢します。かの人間達を包囲し、殲滅します」
 そうした状況を打開すべく、クールエンジェル達は動く。勇士達に接近すれば援護射撃はできない、と踏んでか、接近戦への移行を開始する。加勢に現れた者達も加わって、杖を振りかざし勇士達への直接攻撃を仕掛けんとする。
「目標捕捉! 目標捕捉! コレヨリ当機ハ全武装ノ一斉発射ヲ開始シマス!」
 だが、蒼白天使達のその動きはフォーゲルの狙い通りであった。生身の鳥と寸分違わぬ機構を有する翼を羽ばたかせ、速度を上げて敵群へと向かってゆく。狙うは、発された音声通りの全武装一斉発射。そう聞いた勇士達が、巻き込まれぬようにと敵から距離を取ろうとするが。
「勇士ノ皆様、待避ハ不要デス! 敵対者ノミ撃チ抜キマス!」
 味方を巻き込む愚は犯さぬと、フォーゲルの音声。その宣言通り、カメラアイを介して動作する火器管制機構は敵たる氷天使のみを確実にロックオン。弾道計算、機動予測も完璧だ。
 そして、一斉発射開始。ガトリングガンに加え、機体各部から射出されるは小型のミサイル。なれど着弾すればそれらは盛大な爆発と爆炎を撒き散らし、直撃を受けた天使達へ致命のダメージを与えて吹き飛ばす。其に耐えても、追撃として降り注ぐガトリングガンの弾雨が全身を撃ち抜き止めを刺される。
「目標撃破! 目標撃破! 敵部隊、被害甚大デス!」
 斉射が終われば、捕捉範囲内の氷天使達は最早一人とて残らず骸の海へと還されて。一方、勇士達への被害は宣言通りに皆無。そんなフォーゲルの高性能ぶりに、勇士達は思わず舌を巻いたとか何とか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜都守・寧闇
…ふ
天(神)は自ら助くる者を助く、なんてな
異郷の、それもそなたらが尊ぶ煌めきとは真逆の象を司る神ではあるが
少しばかり力添えしてやろう

随分と速く飛ぶようだが、"この戦場内"にいるのであれば我が手の内だ
飛び回って疲れただろう?暫しの眠りをくれてやる
【眠りへ誘う常闇の剣】。闇で戦場全体を覆い、天使たちを眠りへ堕とす
眠った天使たちの処理は燦然たる勇士たちに任せよう
処理に時間がかかると天使たちが起きだすかもしれんからな、我はいつでも二撃目、三撃目を撃てるよう見守りながら準備していよう



 徐々に好転を始める、ゼルフの集落における戦い。此方で奮戦を続けていた勇士達の前にも、猟兵の援軍は訪れていた。
「……ふ」
 上空から己を見下ろすクールエンジェル達に視線を向ける夜都守・寧闇(闇の神・f31410)もまた、その一人。暫し上空の蒼白天使らと睨み合った後、視線を背後で身構えていた勇士達へ。
「|天《神》は自ら助くる者を助く――なんてな」
 などと嘯き、その口元へ笑みを浮かべてみせる。尤も、彼女が事実として神であることを鑑みれば、その言葉にも真実味はあると言えるだろう。超然たるその佇まいに怪訝げな様子を見せていた勇士達も、彼女への警戒を緩めつつある。
「我は異郷の――それも、そなたらが尊ぶ煌めきとは真逆の象を司る神ではあるが」
 光――鉱脈の煌めきを尊ぶかの勇士達と、夜と其に付随する概念を司る神たる寧闇。凡そ正反対の存在と言えぬこともないが、それでも。
「其を厭わぬならば。少しばかり、力添えをしてやろう」
 なれど、寧闇を疎むような様子は勇士達には無い。尊大なる言動なれど、敵する者ではないと判じたが故であろう。
「神と言えど我らを阻むならば敵」
「ジェード王国に楯突く者には死を」
 一方のクールエンジェル達は寧闇の神たるを知れども然程の反応を見せず。只、己の属するジェード王国の敵、とだけ認識した様子。
 上空を複雑な飛翔軌道を描いて飛び回り始める天使達。その速度は音速を軽く超える凄まじいもの。杖を掲げれば、上空一帯を埋め尽くさんばかり大量の氷の矢が形作られ、寧闇と勇士達を目掛け降り注いでくる。
「随分とまあ、速く飛び回ることだが――」
 なれど、飛来する氷矢の雨を前としても寧闇は平然と。如何に速くとも、多くとも。『この戦場内』に在るならば、己の権能の届く範囲なるが故に。
「そう速く飛び回っては疲れるであろう?」
 慈悲めいて嘯きながら、掲げるは漆黒の神剣。夜と眠り、寧闇の司る概念の力を宿す剣。飛び回る氷天使らと、迫る氷矢を見据えて。
「我が闇を以て、お主らに暫しの眠りをくれてやる」
 告げると同時、剣の纏う漆黒が膨れ上がる。否、それは闇。魔力帯びたる闇が神剣より溢れ出し、奔流となって戦域へ広がってゆく。其は迫り来ていた氷矢を粉々に砕き、その先の蒼白天使らをも、回避行動を意に介さず飲み込んで。
 やがて闇の流れ去ると共に、幾つもの地へ何かが倒れ落ちる音が響く。其処に残るのは、地へ倒れ伏した何人もの天使達の姿。深い眠りに堕とされ、完全に意識を失った状態。
「さあ勇士達よ、今のうちに止めを刺してしまうが良い」
 一連の流れを唖然と見ていた勇士達だが、寧闇の促しを受ければ一斉に動きだす。眠ったままの氷天使達に向けて得物を振るい、一体一体着実に仕留めてゆく。
 彼らの働きぶりを見守る寧闇は、同時に未だ残る天使達へも注意を向ける。己の権能には自信のある彼女だが、此処は己の元在った世界ではなく敵はオブリビオン。力の通りの悪い可能性は充分に考えられた。
「ぅ……ん……っ」
 そして懸念した通り。一人、二人と天使達が意識を取り戻し始める。だが、備えていれば対応は容易い。
「もう暫し眠っておるが良い。順番までは然程待たずとも良いだろうよ」
 意識が明瞭となる前に、今一度の眠りを。掲げた剣から溢れる闇が、天使達へと再度の眠りを齎した。そのまま、骸の海へと還ることとなるだろう眠りを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オメガ・カストゥール
ほぉ、溶けそうな連中だ、
我、竜王。オメガが貴様らを滅ぼしにやって来た。
なれば、我、火の精霊の力を開放するのみ。(UC使用)
氷の天使とやら、我は容赦しない。

「燦然たる勇士」には共闘を持ちかける。
「奴らを射撃攻撃で対処してもらいたい」

天使に対しては【ブレス攻撃】火の【属性攻撃】で燃やしながら自らを燃やす【範囲攻撃】も追加で相手を逃さない。
「蒸発するがいい!」



 明滅鉱脈ゼルフの外縁部に存在する集落、その外縁部においても、|燦然たる勇士《ゼルフォニアブレイブ》達とオブリビオンたる氷天使の衝突は続いていた。
「ぐっ、流石に数が多い……!」
 吹きつける冷気の刃を瓦礫で凌ぎながら、勇士の一人が唸る。この領域での戦闘を選んだ勇士達も多いが、対する天使もまたその数多く。苦戦を余儀なくされている様子である。
 と、その時。頭上にかかる大きな影を、勇士達も天使達も感じ取る。何事かと空を見上げれば――

「な……あ、あれ……は……!?」

 彼らが見たもの。天を覆わんばかりの広大なる翼、大木じみて太い脚と尾、そしてそれらを従えし、真紅の鱗に覆われた巨体。
 その姿は、間違いなくドラゴン。それも、途方もなく巨大な。
 なれど、彼もまた猟兵。かつてこの世界に召喚された古き竜王。その名をオメガ・カストゥール(火焔竜にして、竜神王・f34605)と云う。
「――ほぉ。溶けそうな連中だ」
 眼下に展開する人とオブリビオン、其々の集団。そのうちのオブリビオンの側――クールエンジェルの群れを見遣り、オメガは嗤う。炎熱統べる赤き竜たる彼にとり、氷の天使などという存在は至極儚く映るやも知れぬ。
「氷天使共よ。我、竜王――オメガが、貴様らを滅ぼしにやって来た」
 そして名乗りと共に己の意志を告げる。彼らを殲滅することこそ、此度の己の目的である、と。
「炎の竜ですか。私達を簡単に焼き滅ぼせるなどとは思わないことです」
「その炎を吹き消される心配をするが良いでしょう」
 然し当の氷天使達――クールエンジェル達も黙ってはいない。オメガを包囲するかのように陣を展開、詠唱を開始する。ユーベルコードを発動せんとしているようだ。
「ふん。――時に、燦然たる勇士とやら」
 なれどオメガはそんな動きを些末とばかり鼻を鳴らすと、今度は勇士達の方へと意識を向ける。突然に呼ばわれ、驚いた様子の勇士達だが。
「我が力を貸してやろう。汝らには、我が炎を逃れる敵あらば、其への対処を願いたい」
 物言いは尊大なれど過信は無く。己の援護を願う言には、勇士達への敬意も垣間見える。何より、これ程の竜との共闘とあらば、と。勇士達から返る答えは一様に是であった。
「良かろう。なれば――」
 満足げに頷き、オメガは改めて敵する氷天使達へと意識を向ける。時同じくして、彼女らの詠唱は結ばれた。
「凍てつき滅びるが良いでしょう、古き竜よ」
 天使達の光輪が輝くと共に、上空より極低温の風が吹き下ろされてくる。ダウンバースト。猛烈なる下降気流が絶対零度の凍気を纏い、オメガの肉体を凍り付かせんとばかりに怒涛と浴びせられてくる――!
「グルォルルルルルル……」
 其を前にオメガは唸る。否、其は詠唱。古の竜言語を以て唱えられる竜語魔法。己の身に宿る火の精霊力、其を励起させんとする詠唱。
「ギャオォォオオオオオム!!」
 唸りから咆哮へ。詠唱は結ばれた。オメガの内包する炎の精霊力、其が解放されると共に、全身を炎の如きオーラが包む。その身に蓄えたる膨大な魔力の発露。赤き火竜、その長としての本領を発揮する姿だ。
 纏うオーラは瞬く間に灼熱と化し、吹き下ろす絶対零度の嵐と激突する。燃え上がる肉体、其を吹き飛ばさんとする凍気。せめぎ合う灼熱と冷気――
「この程度、微風に過ぎぬ!」
 決着は、オメガの咆哮を以て決した。纏うオーラがその熱を更に増して凍気を呑み込み、吹き下ろす風をも相殺する。炎熱統べる火竜の前には、絶対零度の嵐さえも無力であった。
「………!」
 己らの大魔術を真向より打ち破られ、さしものクールエンジェル達も動揺を見せる。なれど、次はオメガが攻勢をかける番だ。
「氷の天使とやら、我は容赦しない」
 眼下の彼らを睥睨すると共に、顎を広げれば。その喉の奥に燃えるは灼熱の炎。そのまま息を吐けば、炎は猛然たる渦を為して天使達へと襲い掛かる。即ち、火竜のブレスだ。
 業火の渦は怒涛と天使達へ迫り、低温の膜による防御も、飛翔による回避も意に介することなく諸共に飲み込み。瞬く間にその全身を炎に包み込む。
「逃がしはせぬ。そのまま蒸発するがいい!」
 オメガは尚もブレスを吐き続け、火勢を強める。逃がすことなく確実に。戦域を一時炎獄と化さしめんばかりの炎の奔流が、氷天使達を文字通り跡形もなく焼き尽くしてゆく。
 辛うじて炎から逃げ延びた天使も、全身焼け爛れた無惨な有様を晒した状態で。勇士達の追撃を、逃れることはできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…願いが叶う玉座、ね。世界の救済なんて事も不可能では無いのかもしれないけど…。

…オブリビオンが叶える願いなんてろくな物では無いもの

…下手な欲を持たず破壊を第一に考えた方が良いでしょうね

自身の全魔力を溜めた|魔法系能力《WIZ》を代償にUCを発動し、
|戦士系能力《POW》特化の勇士を限界突破して強化する黒騎士鎧を形成して装備させる

…助太刀するわ、ゼルフの勇士。この鎧は足りない輝きに不足かしら?

周囲の敵群を「炎の精霊結晶」を装填した銃で乱れ撃ちする火属性攻撃を行い、
敵の詠唱を中断させてUCの妨害を試みて勇士の支援を行う

…先ほどから遠巻きに此方を包囲してブツブツと、気付いていないとでも思った?



 集落の路地を駆け抜けるその合間、あちらこちらから響き渡る何人もの男女の喊声。恐らくはこの地の勇士達のものだ。猟兵達の加勢により、戦況が徐々に好転しつつあるのだろう。
 ならば、己の向かうべきは更にその先。リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は路地を抜け、更に先の戦闘音が聞こえる区域を目指してゆく。
(……願いが叶う玉座、ね)
 その最中にふと考える。此度の戦の起こり。『アルカディアの玉座』。手にした者の願いを叶えるという代物。
(……世界の救済、なんてことも不可能ではないのかもしれないけど……)
 数瞬、瞳を閉じる。その脳裏に過ぎったのは、絶望の闇に閉ざされた彼女の故郷たる世界であったろうか。
(……いいえ)
 だが頭を振る。発生の経緯からすれば、かの玉座もまたオブリビオン。其が叶える願いなど、ろくなものではないだろう。
(……下手な欲を持たず、破壊を第一に考えた方が良いでしょうね)
 そう結論づけると同時、戦闘音がすぐ近くに聞こえてくる領域へ至った。他の猟兵の気配は無い。ならば己の為すべきはそこに。
 意識を集中し、己が身に宿る魔力を高めてゆく。最大まで高まるのと、視界に数名の男女の背中が映ったのは、同時であった。

「く……っ!」
「大丈夫か!」
 その戦域でオブリビオンと交戦していた勇士の一団、その一人である少女が膝をつく。仲間の青年がその身を案ずる声をかけながらカバーに入る。
「大丈夫、まだいける……けど」
 再び立ち上がり前を向く少女だが、応える声音は何処か苦しく。前方より迫るオブリビオン――クールエンジェルの集団と相対し、ここまで交戦を重ねてきたが。
「我らに手向かうなど無為の極み」
「ジェード王国に従わぬ者には死を」
 口々に、淡々と言い放つ蒼白の天使達。少女のみならず、その場の勇士達は皆、彼らが杖を掲げるを前として唇を噛む。此処まで抗戦を重ね、一人とて欠けることなく戦ってきたが。今の己らの力では――力の源たるゼルフの輝きの衰えた現状では、この天使達を打倒することは不可能であると悟ってしまったが故に。
 戦域に寒風が吹き荒ぶ。今を生きる者達の身を、比喩でなく斬り刻む寒風の刃。其が渦を巻いて、勇士達へと迫る。最早回避も防御も叶わぬ、此処で己らの抵抗は潰えるのかと、諦観すら過ぎり――

 ――なれど、覚悟した終焉は訪れず。寒風の渦に呑まれて尚、その身は健在であった。
「……え? これは……?」
 勇士達は気付く。己の身に、いつの間にか漆黒の鎧が纏われていたことに。寒風の刃にも傷つかぬ堅固さでありながら、意識しなければ着用に気付かぬ程に軽いその鎧。一体何が――
「……助太刀するわ、ゼルフの勇士」
 そこへ背後から響く、静かながら決然とした声音。振り向いた勇士達の視線の先に、二連装式のマスケット銃を携えたる銀の髪の娘――リーヴァルディの姿があった。
「……その鎧は、私の魔の理を捧げ編んだもの。失われた輝きを、少しでも補えているかしら?」
 彼女の告げた通り、勇士達に纏われた黒き鎧はリーヴァルディのユーベルコードの産物。彼女の魔術的な能力を代償として生み出された代物。それだけに、その耐久力は高く。かの天使の魔術程度ならば軽く凌ぐ堅固さを誇る。そして、それだけではない。
「いえ、この力……ゼルフの輝きのあった頃みたい……」
「ああ、あの頃みたいに力が湧いてくる!」
 勇士達は、己の身に力が漲ってくるのを感じる。それもまた、鎧の齎したる恩恵。戦士としての能力を高める力。どうやら其は、かつてゼルフの輝きによって齎されていた力を充分に補える程のものであったようで。
「……私が援護するわ。皆、存分に戦って」
 その様子に頷いたリーヴァルディ、携えたマスケットを前方の氷天使の一団へと向け――そして発砲。放たれたるは、銃に装填された精霊結晶にて炎の属性を宿した弾頭。
 放たれる銃弾をその身に受け、呻く天使達。怯んだ隙を好機と見て、勇士達が突撃する。それまでよりも数段力強い攻勢は、オブリビオンを圧倒し、瞬く間に戦域の趨勢をひっくり返してみせた。
 そんな勇士達の攻勢を、リーヴァルディは炎弾の射撃を以て援護し――徐に、勇士達の戦列の横合いへと銃口を向ける。そして、そのまま発砲すれば。
「……先程から遠巻きにブツブツと。気付いていないとでも思った?」
 放たれた弾丸は、何やら詠唱を行っていた天使達の胸元を穿つ。愕然とした表情が、瞬く間に炎に包まれ消えてゆく。ユーベルコードによる形成逆転を試みていたらしいが、リーヴァルディの知覚を誤魔化すことは不可能だった。
 そのまま、リーヴァルディの援護を受けた勇士達はオブリビオンの一団を殲滅。この戦域からも、オブリビオンを排除することに成功した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
何回かジェード王国案件に関わったしね
オキニの島を護る為に首を突っ込むよ

◆救援
女騎士ちゃん(名前等一任)を庇う様に愛機で降下
ん?コレはRナイトの鎧じゃない、キャバリアさ♪

【M・メモリ】から『輝きの発生源』を抽出して
【アダマンタイト】の天使核にブチ込み鉱脈と共鳴させ
●●ちゃん底上げ…キラキラしてる方が素敵だよ?

◆戦闘
【カイルス】と《瞬間思考力》で氷天使と矢を捕捉
【G・アウェス】を射出滞空させ【リゲル・T】も抜剣したら
オペ136番【LI・クロスセイヴァー】開始

総計七振りの刃から三重複合魔刃が舞えば
『幻想の術』を使う『邪悪』な『御遣い』は
高Lvの存在でも細切れさ

じゃ進撃しようか、●●ちゃん♪



「くっ……! まだ、まだいける……!」
 |燦然たる勇士《ゼルフォニアブレイブ》の一員たる少女騎士、セレスタは、迫り来る氷天使の集団を前に追い詰められていた。
 仲間とはぐれ、合流を果たさんとしていた処に受けた襲撃。如何にか地の利も駆使して抗戦していたものの、鉱脈の輝き衰えたる状況もあって戦況は不利。あっという間に、鉱脈脇の一角へと追い詰められるに至ったのである。
 気勢を上げるも、それが虚勢に過ぎないことはセレスタ自身理解していた。なれど、この地を守る勇士として。命ある限り、抗うことを諦めることはできぬと。只々、その意地だけで以て立っているようなものであった。
「力の差は歴然。無駄な抵抗です」
 冷徹に告げるクールエンジェル。淡々とした物言いは、セレスタのそんな意地を嘲笑うかのようで。
「ジェード王国に逆らう者には、死あるのみ」
 掲げた杖の周囲、幾つもの氷の矢が生み出される。セレスタへと確実な死を齎す、致命の矢が。
 最早逃れることは叶わぬ。理解しつつも、最期の最後まで抗ってみせると。悲壮な覚悟を以て、剣を構える少女騎士――

 だが、その死は訪れることは無かった。
 爆音を轟かせながら降下してきた闇蒼の巨鎧が、彼女の盾となるかの如くその目前へと着地した為だ。
「……え!? これは……?」
 突如現れて氷矢から己を護ったその鎧。ロケットナイトの纏う動力装甲としても随分と巨大なそれは、セレスタにとって全くの未知。これは一体――
『コイツはキャバリア、アタシの意志で動かせる鎧で武器さ♪』
 その疑問に応えるように、鎧――魔改造量産キャバリア『ナインス・ライン』の中から声が響く。その搭乗者たるリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)のものだ。
『アタシは『Dr.リリー』。ジェード王国とはアタシもちょっと縁があってね。オキニの島を護る為にも、首を突っ込ませて貰ったよ』
 名乗りに続けて告げるは、己の参戦の意図。彼女はこれまで幾度か、この世界においてジェード王国の企みを打ち砕く戦いに参戦していた。かの屍人帝国と事を構える理由は充分だ。
『でもってコイツを――っと♪』
 そして機内で何やら操作を行えば。周辺に生ずるは劇的なる変化。それまで力なく光を明滅させるのみであったゼルフの鉱脈が、一気に輝きを増したではないか。
「え……!? こ、これは……!?」
 セレスタは驚愕する。見目のみならず、己に身にも力が漲るのを感じる。まるで、ゼルフの鉱脈が力を取り戻したかのような変化に、只々驚くばかり。
『ふふっ、効果は抜群みたいだね……キラキラしてる方が素敵だよ?』
 何処か甘く囁くようにリーゼロッテが笑う。己の乗機のサブジェネレータとしている天使核に『輝きの発生源』を投入し、鉱脈と共鳴させ、以て一時的に鉱脈の活性を取り戻した、というのがその真相だ。
「敵の増援、なれど単騎ならば対処は可能」
「我らジェード王国に抗うものには死を」
 一方の天使達は、氷矢を正面から食い止める巨鎧を前としても怯まず。次々に上空へと舞い上がり、高速での飛翔を開始。今度は対装甲目標用に形成したと思しき氷矢を以て、ナインス・ラインを貫かんとする。
『なかなか素早いね。でも、丸見えだよ』
 なれどリーゼロッテにはその挙動も全て把握できている。持ち前の瞬間思考力と、未来予測すら可能とする高機能レーダーの賜物である。そして、把握できれば行動は迅速。
 背より射出されるは複合刃をローターとして飛翔する二基のビット、構えるは大剣。そして操縦席のリーゼロッテは、取り出したるメモリを機内のスロットへ挿入する。
『時代遅れの神話はとっくに絶版、陳腐な王国も店仕舞いさね』
 地上と空中、三つの刃が炎を纏い、光を放ち、気流を放つ。それは神秘を、幻想を、そして邪悪を屠る複合魔刃――
『――マトリクス! ロゴスイグニッション!!』
 そしてナインス・ラインが大剣を振るうと同時、そこと空中のビットと、計七枚の刃からそれら複合魔刃が放たれる。三方から包囲するかの如き刃は、上空の天使達を過たず捉えて。
 幻想の術を用いる、邪悪なる屍人帝国の尖兵たる、天の御使い。魔刃の持つ特性に完全に合致してしまう彼らに、それらを耐えきれる道理などは無く。そのまま斬り刻まれ、骸の海へと還ってゆくのみだった。
『よし、片付いたね。それじゃ、進撃しようか♪』
 氷天使の殲滅を確かめれば、リーゼロッテはセレスタへと声をかける。あまりにも鮮やかな攻勢に見入っていたらしいセレスタ、思わず裏声で返事をしてしまったとか何とか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
盗人猛々しいというやつだな

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

原理を廻し高速詠唱を無限に加速、循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、周囲全方向へ射出
更に射出の瞬間を無限循環。戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

勇士が劣勢な局面から順次狙い支援
特になければ斉射し纏めて始末

創生し最古の理に例外はない
早々に退場しろ

※アドリブ歓迎



 それは集落の最奥、天使核の埋蔵された坑道の入口。
「此処は我らジェード王国の版図。全ては我らが王の所有物」
「接収を拒む反逆者には死あるのみ」
 最重要拠点たる其処を制圧するべく、容赦のない攻勢をかけるクールエンジェルの集団。降り注ぐ氷の矢と刃とが、抗う勇士達を貫き斬り裂き、追い詰めてゆく。
「くそ……っ! 何としても、ここを渡すわけには……!」
 唸る勇士の青年、なれど戦力差は如何ともしがたく。このままでは遠からず全滅する。何とか、逆転の手立ては無いものかと思考を巡らすが。
「勝敗は最早決しました。これ以上の抵抗は無意味」
「この地の天使核も、あなた方の命も、我らジェード王国に捧げるが良いでしょう」
 其を無為と切って捨てるが如き天使達の宣告。その手の杖が掲げられると共に、止めを刺さんとする氷矢が降り注ぎだし――

 直後、跡形もなく消滅。代わってその場に顕れるのは、淡く輝く蒼き燐光――
「な……!? い、いつの間に……!?」
 勇士達は驚愕する。己らの前に、いつの間にか蒼を纏い黒と銀を装う青年の背があったが為だ。
「――大丈夫か」
 その青年、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は首を振り向け、勇士達の様子を確かめる。皆一様に傷ついてはいるが、重篤な負傷を負っている者は居なさそうだ。
「此処が最後だ。あれを始末すれば、この地はジェード王国とやらから解放される」
 天光――万象見通す全知の原理は、アルトリウスに集落全域の戦況を余すことなく伝達する。既にこの一帯以外の戦域において、オブリビオンの勢力は完全に駆逐されていた。猟兵と、彼らの援護を受けた勇士達によって。
「そのようなことは、あってはならない」
「この地は我らジェード王国の版図、この地の全ては我らが王の所有物」
 淡々と反論する氷天使達。彼らを一瞥し、アルトリウスは肩を竦める。
「盗人猛々しい、というやつだな」
 所詮は侵略者でありながら、正当な所有者を気取る行い。そう称するが適切というものだろう。
「最早大勢は決した。早々に退場しろ」
 宣告と共に、行動は完了する。廻す原理は詠唱を瞬刻にて無限に加速、循環せしめる。瞬きの間も無く、空は蒼き星々――創世の権能が顕す魔弾によって覆われて。
「――行き止まりだ」
 そして射出。無限に繰り返されるその瞬間。戦域は魔弾の織り成す蒼の軌跡に埋め尽くされ、天使達を呑み込んでゆく。
 万象を根源から消去する魔弾を凌ぐ術など、彼らは持ち合わせておらず。そのまま為す術なく消し飛ばされるより、他には無かった。

「――片付いた」
 全滅を確認すると共に、魔弾の嵐は過ぎ去り。アルトリウスは勇士達へ向き直る。
「これで、この大陸は解放された。俺達は、奴らの大本を滅ぼしに行く」
 そして向けたる視線の先は、雲海蟠る空域の中心。其処に、ジェード王国の本土と、そして彼らが狙う『アルカディアの玉座』がある――



 以て、猟兵達と彼らの救援を受けた|燦然たる勇士《ゼルフォニアブレイブ》によって、明滅鉱脈ゼルフを占拠していたジェード王国の勢力は駆逐された。
 この大陸が解放された事実は間違いなく、かの屍人帝国に対する打撃となったことだろう。
 なれど、戦いはまだ始まったばかり。この空の世界の滅びを阻止するべく、猟兵達は空を翔けてゆく――

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月06日


挿絵イラスト