アルカディア争奪戦③〜守護の光、戦はじまり
「ジェード王国、というところに占拠された浮遊大陸があります。明滅鉱脈ゼルフと呼ばれているらしくて……」
カノン・リュクレシオン(空を翔けるもの・f05321)は静かにそう言って、ほんの少し、眉を顰めた。
「私は……その。そういった行為は、あまり好きではありません。ですが、ジェード王国の人々は占領したその浮遊大陸の人々を迫害し、その鉱脈より発掘した天使核を自国に持ち帰るという略奪行為を行っていると聞きます」
静かに、淡々と言いながらも、ほんの少しその口調には感情が乗っている。許しがたいことだと、感情っをほんの少し表に出して彼女は話をつづけた。
「不思議なことに、そうして略奪されるたび、明滅するゼルフの鉱脈は輝きを失っているそうです。そして、この大陸には燦然たる勇士……ゼルフォニアブレイブと呼ばれる方々がいて、その方々の能力も、鉱脈の輝きに左右されるようなのです」
彼らは今、あまりよくない状態にいると想像できると、カノンはそう告げた。略奪が繰り返され、徐々に鉱脈の輝きが失われている今、勇士たちの力も当然ながら低下していっている。
「それでも、彼らはあきらめず、ジェード王国に対抗しようとしています。……劣勢を強いられていますが、皆さまがいれば、或いは、覆すことができるかもしれません」
そうして、彼女は胸に手を宛てて一礼した。それは淑女というよりも、騎士の礼のように厳しい表情をしたものであった。
「どうか、現地の彼らと協力し、悪しきものを退け、人々をお守りください。……苦しむ人々に、遍く救いが差し伸べられんことを……」
よろしくお願いいたします。と、カノンは重々しく言って。そうして具体的な戦場の説明に入るのであった……。
●
「坑道一番、敵の侵入を確認しました。ローザさんは右です。後ろから回り込んで攻撃してください。ディー君は正面から気を引いて」
「わかったわ!」「了解!」
眼鏡をかけた女性の言葉に、即座に剣を持った女性と大柄な少年が反応して駆けていった。
「二番はフレイ君。偵察に……」
「ミレイさん、二番からの敵確認しました」
「三番も! 侵入してきます!」
「……っ、落ち着いてください。数は多いですが坑道は狭いです。せいぜい二人並ぶのが限度。相手の図体は大きいですから、その機動力も削がれています。ならば落ち着いて対処すればどうとでもなります」
ミレイという女は平然とした声でそう周囲を励ます。当たり前のような顔をして、何事もないような顔をして、
「この区画への進入路は少ない。ならば地の利を生かして地道に撃退していくしかありません」
聞いている者たちの半分は、青い顔をしていた。もう半分は、おそらくは事情が分かっていない者たちだろう。
市民に向かって虐殺を行う者たちを連れ、取るものとりあえず坑道の中に逃げ込んだことも、今になっては良かったのか悪かったのかわからない。
少し広い場所に人々を隠し、出入りできる少ない道を塞いだ。
ここだとぎりぎり対処できるが……対処はできるが、対処ができるだけなのだ。
(坑道の中には水も、食料もない。対して敵がどこまで攻めてくるかはわからない。この中だと、ぎりぎり負けない戦いはできるが……)
負けない。けれども、倒しきれないのだ。そして、籠城できる時間は限られている……。
(いけない。知られればパニックになる。そうすればますます勝てない。……せめて)
援護があれば。あても何もないそれを彼らはただ、祈るしかなかった……。
ふじもりみきや
いつもお世話になり、ありがとうございます。
ふじもりみきやです。
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プレイングボーナス:「ゼルフォニアブレイブ」と共に戦う。
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PCさんたちは、鉱山の出入り口付近に転送されます。
立てこもる人々を追い立てる巨大な鳥型魔獣。その背後を突く形で到着できるでしょう。というわけで一手目は恐らく奇襲になります。
(あえて名乗りをあげたり、物音を立てて注意をひいたり、戦う人々に援軍の存在をアピールしたりすれば、また話は変わってきます(し、それが悪いというわけではありません))
場所は行動です。狭いですが、二人まで、戦う分には支障がありません。
坑道は入り組んでいますので分岐点を使用すれば、何なら挟み撃ちも可能、という感じです。
そんなに厳密に見なくゆるゆる行く感じなので、以上を踏まえてお好きにどうぞ。
●プレイング募集期間
OP公開時から募集します。
断章の追加はありません。
書けそうなプレイングから書いていって、書き上げ次第投稿していきます。
物理的に閉まれば終了です。もしくは、タグで終了記載をするかもしれません。
早めに閉める可能性があり、プレイングの失効に合いそうになければお返しする方向で行こうと思います。
以上になります。
それでは、良い一日を。
第1章 集団戦
『ブレイドホーク』
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POW : テイルブレイド
【尾の先端の刃】が命中した対象を切断する。
SPD : ホークフェザー
【羽ばたきと共に、刃の如く鋭い羽】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ホークウインド
【力強い羽ばたき】によって【強風】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
イラスト:青空皐月
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジュジュ・ブランロジエ
アドリブ歓迎
『』はメボンゴ
UCで攻撃力重視の強化を自身に
初手はこっそり背後から矢を射ち
気付かれたら氷属性衝撃波(メボンゴの手から出る)
方向を絞って敵だけに当たるよう調整
『本当は焼き鳥にしたい』
でもここ狭いから一応やめておこうね
助けにきたよ!
UCの強化を味方(ゼルフォニアブレイブ)にも
どんどん倒しちゃお!
『ゴーゴー!』
敵の攻撃はオーラ防御を自身と味方に展開
尻尾の刃を見切り壁を利用し跳躍する等、早業軽業で避けつつ近づきナイフ投擲でカウンター狙う
狭い所も得意だよ!
私がヘイト稼いで注意を引き味方に攻撃チャンスを作る
味方の攻撃で私から注意が逸れたらナイフに炎属性付与して深く穿つ
これで内部から焼けるかな?
ジュジュ・ブランロジエ(白薔薇の人形遣い・f01079)はそっと足を忍ばせて前に進んだ。
人形のメボンゴはジュジュの肩に。おしゃべりな相棒も、さすがに今は静かに息をひそめている。
坑道の中はさほど明るくはないが、戦闘に支障はない。
ひっそりと進むジュジュたちはしかし、目的の影を見つけてさっと分かれ道まで後退した。少し距離を追って様子を窺っている。
『……ぷは』
視線の先に巨大な鳥のような姿を認め、緊張の糸が切れたようにメボンゴが耳を震わせながら天を仰いだ。そうすると、なんだか本当に詰めていた息を吐いたかのように思える。
「うーん。こういう静かにしてるのは苦手だけど……もうちょっと、頑張ろうね」
『お車で、ぶーんって撥ね飛ばせたらいいのに~』
「エスポワルンルンを使うには、ちょーっと、幅が足りないかなあ」
あれであれな運転しかしないミニバンだが、進んで傷だらけにするのはちょっと気が引ける。肩を竦めたジュジュに対して、メボンゴはしょうがないな~。と、ジュジュの肩から手を伸ばした。ジュジュも隠れていた角から身を乗り出して敵を視認する。
『みょんみょんみょんみょん……』
謎の合言葉とともに狙いを定めている。そのうち『はぁっ!!』という掛け声とともにメボンゴは衝撃波を放った。目には見えない、しかしながら確実に当たったものを凍らせるそれは敵の背後に確実にぶち当たり、
「!?」
『本当は焼き鳥にしたい』
「でもここ狭いから一応やめておこうね」
慌てて振り返る鳥の姿に、すかさずジュジュはその角から飛び出すのであった。
「今だね!」
まずは声高に、ジュジュはそう告げる。巨大な鳥の向こう側から、ざわめきのような声が広がった。今回の救出対象……ゼルフォニアブレイブさんたちだ。
「星の魔法をここに。此度の演目を彩るは星の輝き!」
ぺかー!! 今回はわかりやすさ重視だ。ジュジュの体から星のような輝きが放たれる。
「助けにきたよ!!」
そうして、敵を挟んだ向こう側から、戦う人々に向かって声を駆けた。
「え!?」
「光?? 前の方から!」
「そう! この辺にいる邪魔なの、どんどん倒しちゃうから。みんな頑張って!」
『ゴーゴー!』
大声を張り上げる。戦う彼らに声が聞こえるように。
そしてそれはもちろん、敵にも届いていた。鳥がばさりと振り返る。振り返りながら奇声を発する。
「遅いよ!」
けれども。その巨体が攻撃動作に移る前に、すかさずジュジュは敵の正面へと突進していた敵は道が狭くて思うように相手は動けていない……!
「そこだ……!」
振り返った敵が翼をはばたかせる。その瞬間、一瞬早くジュジュは柄に薔薇咲く銀のナイフをひらめかせた。
「狭い所も得意だよ! さあ……まとめて美味しい食材にしてあげるから、こっちにおいで!」
『鶏肉鶏肉♪ あとで上手にお料理するの!』
一閃。素早く突き刺して、引く。それで敵の方は、こちらの方が危険で、倒すべきものだと認識したようだ。一斉に殺気がジュジュに向く。
ちなみにお料理してくれるのは料理上手な友人であってジュジュじゃない。言うなり、メボンゴがぼっ。と口から火を吹く。吹かれた炎はジュジュの薔薇のナイフに宿った。
「……私がヘイト稼いで注意を引くから、そっちはお願いね!」
了解の返事を聞くより早く、ジュジュは再びナイフを突き刺した。……今度は注意を引く気なんかない。綺麗に解体していくつもりだった。
「これで内部から焼けるかな?」
『暑いから、よーく火を通しておいた方がいいよね!』
さて、本気で食べるつもりかどうかはともかく。
ジュジュの一撃で、目の前の鳥が一羽落ちる。それに勇気づけられたように、歓声が響いた。
大成功
🔵🔵🔵
ヴェルンド・ラスリス
助ける命があると言うのならおれが手を貸そう。悪いが戦える力のあるやつは手を貸してくれ。…なに、少しばかり足留めをしてくれれば充分だ。俺がトドメを刺そう。
流石に坑道で大剣は振り回すには大きすぎるな…
なら黒咎の出番だな 。
UC『変幻自在の憎悪』で十字架を槍へと変形させ、突き主体の戦闘法で、確実に仕留めていこう。
ヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)は、暗い坑道を駆けていた。
暗い、と言っても視界に不便があるわけではない。
けれども普通の人間であるならば、それだけで滅入ってしまうことだろう……。ヴェルンドはそんなことを考える。勿論、彼にとってはそんな些細な闇など気にするべくもなかったが……。
「……」
そこまで思い、彼は囚われた人に思いを寄せた。この先で、先のない戦いに身をとおじている……。そこまで考えたところで、物音がする。
剣戟の音。翼の音。爪のような何かの音。それだけ聞いても、人間の方が劣勢であるというのが分かった。狭い通路の先、誰かが複数の何かと戦っている……、
「助ける命があると言うのなら……」
そこまで気づけば充分であった。ヴェルンドは駆ける。
(流石に坑道で大剣は振り回すには大きすぎるな……)
大剣に手をかけそうになり、やめた。この行動で、即座にヴェルンドは判断する。物音に敵が振り返る。巨大な鳥が彼に向かって翼を広げた、その瞬間、
「なら……黒咎の出番だな」
巨大な黒い十字架が爆ぜた。一瞬で憎悪の炎を纏い、そして槍となり、目の前に迫った巨大な鳥の顎をためらうことなく貫く。
「変われ!目の前の怨敵を薙ぎ払う形へ!」
その声とともに変化した槍は、瞬く間もなく鳥を屠った。
「!」
ぎょっとして、奇声を発して残った鳥たち鳥は振り返る。複数いる。だが、
「おれが手を貸そう。悪いが戦える力のあるやつは手を貸してくれ」
そんな敵の様子を意に介さず、ヴェルンドは鳥の向こう側で戦う人々に声をかける。 「あ、あなたは……」
誰。と。驚いたように鳥の向こう側から声が上がる。彼らが救出対象だろう。ヴェルンドは軽く肩を竦める。
「……なに、ただの通りすがりだ。……少しばかり足留めをしてくれれば充分だ。俺がトドメを刺そう」
頼んだ、と言って。ヴェルンドはためらうことなく槍を操り目の前の敵へと突き刺していく。
掃討には、そう時間はかからないであろう……。
大成功
🔵🔵🔵
オメガ・カストゥール
まだ出入り口での戦いか。
では、普段どおりに。
畜生ごときがいい気になるな。
ならば、我々が屠るのみ。
空飛べる火竜12体呼んで対処。あとはギャラガーとワイバーンも連れて攻撃。
【空中戦】【空中機動】で仕掛けて更には【ブレス攻撃】火の【属性攻撃】で鳥をファイアーブレスで焼く。
「貴様ら、鳥を攻撃してくれ、竜王である我と我々も奴らを落とそう」
ふむ。とオメガ・カストゥール(火焔竜にして、竜神王・f34605)は腕を組んだ。
坑道の奥の方が騒がしい。
何やら鳥がけたたましく囀っているようだと、オメガは不快げに眉を寄せる。
「まだ出入り口での戦いか」
が、ひとまずその不機嫌さは置いておき。オメガはすかさず空飛べる火竜を召喚する。この様子であれば、いつも通りの戦い方でいいだろう。……まあつまり、
「畜生ごときがいい気になるな」
目に入る、こちらに歯向かってくるものを片っ端からしばき倒せばいい、それだけの話だ。人間はこちらに敵対してこないだろうから、そうすれば自動的に勝手に人間は救われているという算段である。
「ならば、我々はすべて屠るのみ」
己の生命力から作り出した火竜と、知性のない竜。そして唯一意思疎通のできる竜、ギャラガーを連れてオメガは行動の中に突入する。
「!」
果たして敵の姿はさほど苦労せずに見つかった。隠れる気も全くないオメガの突入に、鳥が振り返る。振り返った瞬間、
「貴様ら、鳥を攻撃してくれ、竜王である我と我々も奴らを落とそう」
咆哮とともにオメガは火を吐いた。炎の火は振り返った鳥たちを瞬く間に炎に包み、そして追撃するように火竜たちもまた火を吐き、同じように攻撃を加えていく。
奇声。鳥が奇声を上げて警戒を発し、同時にオメガが咆哮をあげる。言葉なき戦いは一切の情も慈悲もなく。ただただ容赦ない暴力となり敵を包み込み、そして、粉砕していった……。
大成功
🔵🔵🔵
クーナ・セラフィン
…天使核が全部奪われたら島が沈んだりするのかな。
案外ヤバい何かが出て来たりして?
そうさせない為に邪悪なジェード王国をボコボコにしてやらないと。
坑道をダッシュで移動、こういう時に小さいと便利だにゃー。
耳を澄ませ戦闘音や気配を感じる方角に向かう。
敵の背後からか、勇士達の脇をすり抜けて仕掛けるか…状況に合わせ、UCで奇襲。
向こうの動きを読んで放つ羽を躱しつつ銀槍で滅多刺しにしようか。
悪いけど止まってる暇はないんだ。鳥は猫に狩られるのも世の習い…かもしれないよね!
勇士達には礼儀正しく簡潔に挨拶、説明。救援が特に必要そうな仲間の居場所知ってたら教えて貰いたいな。
急ぎで行きたいし。
※アドリブ絡み等お任せ
クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)はひたひたと坑道の中を歩いていた。
暗いが、戦えないほどではないほど良い空間である。足の裏の感触は固く、ひんやりと冷たい。
こういう暗くて、静かな場所はクーナ的には嫌いではない。なんてことを考えていたら、ふと。
「……天使核が全部奪われたら島が沈んだりするのかな」
ちょっと怖い想像をしてしまった。
「案外ヤバい何かが出て来たりして……?」
もう一つ想像をしてしまった。
「……」
まあ、どちらかというと、やばいものなら囲んで殴ればいいので行ける気がするが、島が沈んじゃうとちょっと困る、かもしれない。ここには猟兵以外の市民もいるのだから。
どっちにせよ不吉な想像であった。ふるふるとクーナは首を横に振って、
「……そうさせない為に邪悪なジェード王国をボコボコにしてやらないと」
むぎゅ、と肉球に力を込めて歩を進めるのであった。
「!」
「!!」
鳥たちが奇声を発して何やら言いあっている。言語は全く不明だが、情報交換をしているのであろうか。
何を言っているのか、ちょっとわからない鳥たちの間を、暗闇に紛れるようにクーナはすり抜けていく。
(こういう時に小さいと便利だにゃー)
彼らももちろん最後には倒すが、クーナが急いでいるのは救出対象の勇士たちのもとに行きたいからだ。まず、救助対象を見つけたい。
(音……)
だからクーナは耳を澄ます。微かな戦闘音も聞き逃しはしないと慎重に進む、
「もうちょっと。頑張って……!」
「はい……!」
そうすると、耳に届く音がある。鳥の発する規制ではない。人語だ。そう思ったとき、クーナは駆けだしていた。
「さあ――クーナの槍さばき、とくと味わうといい!!」
誰かが戦っている。そう認識して、角をいくつも曲がり、書け。そうして人の姿が目に入った瞬間、クーナの銀の槍が傾いていた。
「!?」
「大丈夫、味方だにゃー!」
びっくりした人間たちが、思わず武器を向けようとするのを即座に声をかけて制する。そのまま敵側も、クーナの斬撃に対して反射的に放った羽を即座にクーナは避けて槍の連撃を叩きつけた。
「!」
奇声を発して。鳥の一体が倒れる。残った鳥がクーナに向かって爪を伸ばす。けれどもクーナはそれを目の前でひらりとかわした。
「悪いけど止まってる暇はないんだ。鳥は猫に狩られるのも世の習い……かもしれないよね!」
素早く本物の猫と同等、もしくはそれ以上で、クーナは槍を振るう。はっ、と勇士たちも我に返り、クーナの動きに合わせて追撃を行った。劣勢だった勇士たちだが、それで何とか態勢を立て直し、敵の数を徐々に減らしていく。
「救援が特に必要そうな仲間の居場所知ってたら教えて貰いたいな。急ぎで行きたいし」
一通り片が付くと、 礼儀正しく、しかし簡潔に挨拶し、クーナは状況を説明し、向こう側の状況の説明を求める。
「それなら……」
そして聞いた先、瞬きする間も惜しいというようにクーナは走り出した。
まだまだ戦いは始まったばかり。この身が必要とされているならば、クーナはどこにだって、駆けていくのだ……。
大成功
🔵🔵🔵
西条・霧華
「絶対に助けます。」
守護者の【覚悟】を以て…
【斬撃波】で奇襲
坑道内では援軍に来た旨を知らせる事で敵に後方を警戒させます
地の利はゼルフォニアブレイブの皆さんに在りますから、援軍の存在を知れば上手く合わせてくれる筈です
纏う【残像】と【フェイント】で眩惑し、【破魔】と【鎧砕き】の力を籠めた[籠釣瓶妙法村正]にて『幻想華』
瞬間的に壁や天井を走って意表を突くのもありかもしれませんね
敵の攻撃は高めた【集中力】と【視力】を以て【見切り】、【残像】と【フェイント】を交えた【ダッシュ】で回避
避け切れない分は【武器受け】しつつ【オーラ防御】と【覚悟】を以て受け止めます
何れの場合も返す刀での【カウンター】を狙います
西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)は地を蹴った。
……暗い。でも視界が効かないほどでもない。
灯りを持たなくて済物はありがたい。霧華はそう、思った。
「……絶対に助けます」
胸の内の守護者の覚悟を口に出し、その思いを強めたところで霧華は角を曲がる。
複雑に入り組んだ地形を覚えながら進めば、しばらくして霧華の耳は何か音を拾ったようであった。
(……これ、は)
口には出さない。言うまでもない。霧華は愛刀の籠釣瓶妙法村正を傾ける。刀身に草体と略体、二種の倶利伽羅の彫刻が施された刀を手に、霧華はその姿を視認すると同時に、刃を振るった。
「!」
音にしきれないけたたましい奇声がする。その音と、そして翼が目に入ればそれだけで充分であった。離れた場所から振られた刀。その斬撃が衝撃波となり、奇襲となって鳥の体に炸裂する。
「助けに来ました! 皆さん、ご無事ですか!」
それと同時に声を張り上げた、。鳥ではない。その向こう側にいる者たちに、霧華の存在を知らせるためである。
「誰だ……!?」
「助け? どうして……?」
「詳しい説明は後です。地の利はゼルフォニアブレイブの皆さんに在りますから、細かい指示をお願いします」
霧華の的確な指示に、「そういうことなら……」と、顔の見えない、けれども確かにこの敵の向こう側にいる人々は、納得したようであった。その声に、ほんの少しの安堵が乗っている気がして、霧華は内心でほっと息をつく。
(よかった……)
間に合った。と。しかしそうして息をつくのは一瞬である。彼らが喜ぶと同時に、敵もまた、霧華の存在に気付いたからだ。斬撃波を飛ばされ体に傷を受けた巨大な鳥が、けたたましい声をあげる。威嚇しているのであろうか。
「その程度の声……怯むわけがありません」
けれどもそれは霧華にとって生涯に等成羽しない。敵の奇声と同時に、霧華は走っていた。迎え撃つような鳥のしぐさ。だが、
「……遅い」
霧華に比べて、なんと遅いことか。短、と霧華は地を蹴る。そうして壁を蹴る。鋭い爪の一撃を、彼女は壁を駆けあがることで避けた。
「!」
「鬻ぐは不肖の殺人剣…。それでも、私は………」
抜刀術。一瞬で刀を抜き放ち、すれ違いざまに脇腹へと一撃入れる。即座に背後を取り、返すようにもう一撃。体や筋肉の動きを見て、もろそうなところに容赦なく叩き込む。
「!」
「おお、倒れた……!」
「まだです。油断してはいけません……!」
どうと倒れた鳥の姿に、思わず歓声が上がる。それを、次の鳥の爪をオーラを乗せた刀で受けながら霧華は声を張り上げて打ち消した。そのまま爪を叩き折り、そうして懐に刃を沈める。
守ると決めた。ならば徹底的に守る。霧華はそう心の中。小さくつぶやいて。次の敵へと刃を向けた……。
大成功
🔵🔵🔵
篝・倫太郎
食料はともかく、水がねぇのはマズいよな……
さっさと片しますか
っと、その前に……烈に手紙を託しとく
『後方の敵は排除する、増援は往かせない』
拘束術使用
射程範囲内の全ての敵を鎖での先制攻撃と同時に拘束
視認出来る敵は翼も拘束して地に落とす
飛べない鳥はなんとやらだ
烈、往け!
おっと、狙わせる訳ないデショ!
拘束されてる敵は鎖を引き絞って行動を阻害
拘束しきれてないのは斬撃波を乗せた華焔刀でなぎ払い
刃先返して2回攻撃
部位破壊で翼を狙ってく
はん!尾の刃も近付き過ぎなきゃ脅威でもねぇのさ
敵の攻撃は見切りとフェイントを混ぜた残像で回避
回避不能時や回避する事で勇士が危ない場合は
その場でオーラ防御を展開してジャストガード
篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)がその話を聞いた時、おーう、と頭を抱えたものであった。
「食料はともかく、水がねぇのはマズいよな……」
食料も援軍の見込みもないのに籠城とはまず過ぎる。いや、追い立てられた結果そうなったであろうことは想像に難くないのだが。子供やお年寄りも非難した市民の中にいると聞いては放ってはおけない。勿論、子供とお年寄りがいなくとも放ってはおけない。
「……うし、さっさと片しますか」
ぱん、と軽く両手で己の両頬を叩いて、倫太郎は気合を入れる。そうと決まれば戦うだけだ。なんて、倫太郎は立ち上がり……かけて、
「っと、その前に……」
そうだった。と倫太郎は思いなおした。その場で簡単な手紙を書く。何してるの? と覗き込みに来た狼の烈に、うん、と倫太郎は頷いて、
「悪ぃんだけど、これちょっと届けてくれない?」
はい、と首元に赤いスカーフを撒いて、その中に手紙を入れる。そうして倫太郎は物陰を窺い見た。
(……いるいる)
物音がする。奇声をあげながら何やら前進している鳥の姿が見えて、倫太郎は内心で小さく頷いた。
(んじゃ……)
そうしてそのまま、一呼吸。
「烈、往け!」
鋭い声と同時に、倫太郎は物陰から飛び出した。
勿論、烈も一緒に飛び出す。烈がとりへと向かって走りこむのを、その声に反応して振り返った鳥たちもまた、目で追った。……が、
「おっと、狙わせる訳ないデショ! そっちじゃねえ……こっちだ!」
倫太郎の目に見えない鎖が、鳥たちの翼を縛り上げるようにして牽制する。
「飛べない鳥はなんとやらだ」
そのまま鎖を強く引いて、鳥を地面に引きずりおろした。勿論、相手だって負けてはいない。
鎖を破ろうともがく鳥たちに、すかさず倫太郎は駆け寄って斬撃波を乗せた華焔刀を突き刺してその命を刈り取っていく。
「おっと……!」
拘束から逃れた鳥も華焔刀で薙ぎ払う。
「はん! 尾の刃も近付き過ぎなきゃ脅威でもねぇのさ」
そして機動力がそがれていれば、もう何も怖くはない。倫太郎は返す刃で敵にとどめを刺しながらも、烈が消えた方角をほんの少し、心配そうに見やるのであった。
「……犬?」
「待ってください。何か持っています」
そうして烈は敵の攻撃をかいくぐり、手紙を戦うゼルフォニアブレイブ達の元へと届ける。
そこには、こう書かれていた。
『後方の敵は排除する、増援は往かせない』
「これは……」
「わんちゃん。わんちゃんのご主人様が、一緒に戦ってくれるの?」
ふむ、と大人たちが考え込む中、子供が烈に近寄ってそっと尋ねる。勿論だよ。犬じゃないけど。そんな風に言いたげに、どこか誇らしげに、烈は胸を張るのであった。
「助けてくれるのであれば、とても有り難いです。これを機に、協力して鳥たちをせん滅しましょう」
任せろ、とばかりに烈は遠吠えをあげるのであった……。
「あ、なんか聞こえた」
たぶん、烈の声。華焔刀を振るいながら倫太郎はそんなことを思う。
「あの声が聞こえたなら……大丈夫だな!」
安心できる。敵の爪をよく見てかわしながら、倫太郎はそう思う。返すように華焔刀を叩き込めば、
「っし、あとはじゃあ、頑張りますか……!」
そう、高らかに。遠くて近くにいる烈たちにも聞こえるように、声をあげたのであった……。
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
良い位置に出たのだから利用させてもらう
転送後、こちらに注意を向けていない敵へ奇襲を仕掛ける
ある程度崩したら突破して坑道を進み、ゼルフォニアブレイブとの合流をはかる
五感に優れる狼の姿に変身
匂い、音、足跡等を頼りにエルフォニアブレイブの位置を探り追跡を行う
位置が分かり次第坑道の奥へ
彼等に合流し、援護を行う
合流後、狼の姿のまま参戦
狭い場所だ、狼の姿の方が邪魔にはならないと判断
無事だな?…説明は後だ、援護する
ユーベルコードで敵に攻撃を仕掛ける
敵の翼に組み付いて羽ばたきを妨害しつつ、行動パターンを把握して確実に攻撃を叩き込みたい
エルフォニアブレイブとの共闘が可能なら、彼等が攻撃する隙を作るのも良さそうだ
シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は深呼吸を、ひとつ。いつもより確かな五感はそれだけで、周囲の物事を隅から隅まで。そして遠く先のありようまで、仔細に伝えてくる。
ひとの気配。……これは遠い。それよりもっと近くに、人ではない匂いがする。
鳥だ。翼の音から言っても間違いない。これが今回のせん滅対象であろう。
鳥たちはしきりに奇声をあげながら何かを追い立てている。人間を倒そうとしているのであろう。対応する人間の戦う音はあまりに微弱で、それを聞いた瞬間、シキは全力で走り出していた。
「折角良い位置に出たのだから……利用させてもらう」
急げ。あの音の感じだと、戦っている人間はそう長くはもたない。
けれどもその感覚と感情を冷静さが制御する。急げ。しかし、音を立ててはいけない。
「……使える物はなんでも使う。この姿も例外ではない」
自然と、押し殺したような声が漏れた。
この姿には、本当はなりたくなかった。
けれども、それでも使えるものは何でも使う。そう、し気が思った瞬間、シキの体が銀の毛並みに覆われていく。
人の姿から、四つ足の。美しい毛並みの狼は、シキにとって好ましくないものであった。けれどもその姿のおかげで、シキは足音を殺して、一気に物音をする方へと接近する。
「!」
鳥が気づいた。けたたましい声で振り返る……が、もう遅い。その前にシキが跳躍する。喉笛に噛みつき、振り回して隣の鳥の体勢を崩す。そのまま鳥の体を足場に隣の鳥へ。態勢を崩した鳥の体に爪を突き立てた。
「……どこだ」
思わず出る、唸るような声。倒した鳥には目もくれなかった。すぐさま鼻を引くつかせて、シキは次の敵の姿を明確にしようと探る。……この先だ。
「もうだめだよ、撤退して!」
「嫌よ! ……あんたを置いて、行けない!」
狼の耳が披露、悲鳴のような声。その声を手掛かりに、シキは再び行動の中へと突進した。
「!」
「!!」
血を流している少女と、それを庇うように立ちはだかる女性。それに相対する巨大な鳥はけたたましい声をあげている。ためらうことなく、シキは狼の姿のまま、鳥へと突進した。
「え……っ。え!?」
驚いたような声は血を流している方の少女から。一瞬、新手が来た、というような顔をしていて、ほんの少しだけシキの胸が痛んだ……かも、しれない。
「無事だな? ……説明は後だ、援護する」
だが、それを確かとする前にシキは言い切る。わざわざ狼の姿で敵の前に姿を現したのは、この狭い場所で地の利を生かすためだ。このままゆっくりしている必要なんてない。
一呼吸遅れて、納得したように女性たちがうなずいたのを横目で見やってシキは爪を振るった。
「!」
仲間を倒されて、鳥が奇声を発しながら翼をはばたかせる。荒々しいその一撃も、
「それは、既に見ている」
その行動パターンは、既に見たもの。翼をはばたかせる、その動作に入る直前、銀の狼は巨大な鳥に立ち向かった。
翼を付け根から引き裂き、折る。今だ、という声。シキの動きに合わせて攻撃しようとする意志を感じる。
(……助けてみせる。彼女たちも、ほかの者も)
その声を聞きながら、そっと式はそんな思いを胸に。次いで目に映る鳥へと牙をむくのであった……。
そうして、坑道での戦いは猟兵たちの勝利に終わった。
ゼルフォニアブレイブも、ほかの人々も、疲労や怪我はしているが、命に別状はないという。
喜ぶ人々を前に、誰にともなく思う。これはまだ、始まりなのだと。
そしてだからこそ……誰もが無事でよかったと。そう、思うのであった……。
大成功
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