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銀河帝国攻略戦㉑~三世因果ラグランジュポイント

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #黒騎士アンヘル

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「皆さん、帝国軍の二大巨頭のひとり『黒騎士アンヘル』への道が拓けました」
 池葉・雉乃(音楽の裏方さん・f05834)が端末を操作すると、黒い鎧を纏うフォースナイトの画像が表示される。

「彼は、前線に送り出していた配下をほとんど失いたった一人であるにもかかわらず……いえ、一人だからでしょうか。何のしがらみもなく自由に動くアンヘルはまさに一騎当千の強さを誇り、『解放軍』の艦隊による攻撃を一切受け付けませんでした。そのため、黒騎士を攻撃してい『解放軍』は撃破を諦め、今は銀河皇帝の元へと進軍先を変えています」
 だが、猟兵達にとっては黒騎士アンヘルも滅ぼすべき強大なオブリビオンだ。放置すれば、銀河帝国の残党やスペースシップワールド内の不穏分子を率いて新たなる軍勢を率いる可能性が高いだろう。

「長い目で見れば、ここで『黒騎士アンヘル』も倒しておくべきです。そのため、非常に厳しい戦いとなりますが、お力を貸して頂ける方を募っています。どのぐらい強いというと――猟兵の先鋭であったとしても、五分五分、といったところなのです」
 そして黒騎士アンヘルは、先制攻撃を行う。
 猟兵が使うユーベルコードと同じ能力で対応し、その能力は猟兵の辿ってきた『確定した過去』を操り、その相性によっては猟兵に勝ち目はない。
 これに対して『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の行動が最も重要な起点となるだろう。ユーベルコードそのものの性能は二の次と言って良い。
 対抗策を用意せずに向かった場合や、用意していてもそれが不十分だった場合は先制攻撃で撃破されてしまう。その場合、アンヘルに一切のダメージを与えることはできない。

「黒騎士アンヘルという存在は常に一体しかいませんが、何度でも『骸の海』から蘇る性質を持っています。ダメージを少ししか与えられなかった場合でも、わざと骸の海へと戻り完全回復してから復帰するという『何度でもコンティニュー』みたいな戦い方をしてきます」
 黒騎士が『骸の海』から出現する場所は、破壊された黒騎士配下の艦艇のどれかとなる。
 何人ものグリモア猟兵による予知において、どの艦に出現するのかはある程度確率的に予測されている。そのため、様々な艦内に出現する黒騎士を待ち伏せし、何度でも撃破するのが今回の任務だ。

「強敵である上に、特殊な能力の持ち主。正直に言って今回の任務成功は難しいと思います。それだけ、厳しい戦いになります」
 けれど。
 雨垂れが石を穿つように、その小さな小さな一打がやがて大きな存在をも覆すのだ。


みづかぜ
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 みなさんこんにちは、みづかぜです。初めましての方は初めまして。オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。

 こちらは【㉑黒騎士アンヘル】該当シナリオでございます。

 普段スケジュール都合(3日以内に書けなかった)以外でのプレイング不採用は無いみづかぜですが、今回は場合によっては発生いたします(詳しくは雑記にて解説しておりますが、特にお読みいただく必要はありません)。
 という注意書きを今回の攻略戦では書かせて頂いているのですが、普通に失敗する可能性がマシマシなので、『苦戦描写ってやだな』という方はお控え頂いたほうが良いかもしれません。
 ご承知おきいただければ幸いです。
 微力ではありますが全力で猟兵の皆様の冒険をお手伝いする所存でございますので、宜しくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『黒騎士アンヘル』

POW   :    消えざる過去の刃
【虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』】が命中した対象を切断する。
SPD   :    過去喰らいの三呪剣
【過去の鍛錬の経験を封じる白の呪剣】【過去の戦闘の経験を封じる黒の呪剣】【戦うに至った過去を封じる灰の呪剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    記憶されし傷痕
【対象の肉体】から【過去に刻まれた傷跡や病痕】を放ち、【一度に再現され肉体を蝕む出血や疾病】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●特殊ルール(全㉑共通事項)

●先制攻撃のルール
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 黒騎士アンヘルは、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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亞東・霧亥
【ヤド箱】で参戦。

【POW】
オブリビオンを生かしておく理由等無い。
容赦無く貴様は殺す。

初手をカガリに任せ、機会が生まれたら、津雲のサポートを受けつつ、ステラと共に前へ出て挟撃。

黒騎士の予備動作から【虚空から現れる『斬撃』】の出現場所を予測。
『戦闘知識』『残像』『見切り』を駆使し、確実に回避する。

【WEF】
『目立たない』ための外套を纏い、死角から【蟀谷→頸→膝裏→顎先】の順に確実に当てる。
【殺意が漲る千の拳】は全方向から殺意を当てる渾身の『フェイント』で、背中から心臓へスティレットの刺突『鎧無視攻撃』が本命。

「一瞬閃撃!その命、貰った!」


出水宮・カガリ
【ヤド箱】ステラと、懐中時計の(霧亥)と、かでのの鏡(津雲)と

確定した過去を操るものか…ならば、示すがいい
カガリは『こういうもの』だ(おびき寄せ・挑発・勇気・覚悟)

【不落の傷跡】がわかりやすいよう顔を上げ、【鉄門扉の盾】を正面へ構える
この扉は一度は破られた
傷跡はこの盾にも、カガリの顔以外にもある
…覚悟の上だ

先制攻撃が来れば、痛みは激痛耐性で耐え肉体を再生させる
『されど…亡都の扉は此処に在り――追想城壁!』
少なくとも鏡の準備が終わるまでは持ちこたえる
かでのの鏡が狙われれば、オーラ防御・盾受けを駆使してかばう

攻め手二人が窮地なら、【鉄血の明星】で反撃を(怪力・鎧砕き・挑発)
これも城門の意地、だ


ステラ・アルゲン
【ヤド箱】で参戦
黒騎士アンヘルか。黒騎士という存在には個人的に嫌な思い出しかない
貴様が関係なくとも、オブリビオンである以上は倒さねばならない相手。全力をもって倒すまでだ

初手の攻撃をカガリ殿に任せ、攻撃の機会が見えたら津雲殿のサポートを受けつつ、霧亥殿と共に前へ
霧亥殿が動きやすいよう私は目立つように真正面から攻撃を仕掛ける!

虚空から現れる過去の刃は【戦闘知識】と【情報収集】から戦場の状態を把握し、位置取りから攻撃の現れる場所を予測し【見切り】回避する
まずは剣による【2回攻撃】。だがこれは【フェイント】だ。次の本命の一撃である【流星一閃】にて首を狙って【なぎ払い】――貴様という過去を斬る!


勘解由小路・津雲
【ヤド箱】四人で参戦。

 初撃をカガリに任せてやりすごし、その間に準備。空気中の水分を凍らせ、霧を発生、同時に氷の「鏡」を作る。相手の攻撃が終ったら、霧に紛れてアタッカー二人に飛び出してもらう。

 おれは仲間の防御に専念、黒騎士アンヘルがアタッカーを先制攻撃したら……「おっとそれは鏡像だぜ!」【鏡術・反射鏡】発動! っといけばかっこいいだろうが、相手はあの黒騎士アンヘル、霧程度の目くらまし、どこまで通じるか。

 自分の守りは最初から捨てているが、二人とも守れるか、どうか? ただカガリのおかげで攻撃は一度見ている。絶対に一撃は、届けてみせる! 例え全員分の過去の傷を、この身に受けることになろうとも。



 すでに破壊された艦艇の内部は空調も失い、残っている空気は僅かな重力の方向へと集う水気が凍り付き、靄がかかる程に冷えていた。
 白き静寂を破るように現れたのは、帝国の黒騎士である。
「未だ陛下への抵抗を続ける愚か者共か。ならばこの黒騎士アンヘル、誅罰をもって応えよう」
「黒騎士……確定した過去を操るものか……ならば、示すがいい。カガリは『こういうもの』だ」
 出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)が堂々たる様で盾と顔に刻まれた傷跡を隠すこともなく鉄門扉の盾を構える。
 此度の戦争に於いて幾度も猟兵との交戦を経たアンヘルにとって、古傷だらけの者が叡智や魔法の力での抵抗を試みようなどとは笑止千万とでもいうべき行動であった。
「解放軍を名乗ろうと所詮は急造の軍隊、烏合の衆か」
 アンヘルの先制によって身体と鉄門扉に記憶された傷痕が一度に熾り、カガリの身を激痛が蝕む。
 都が滅びたあの日のように、折られ、斬られ、焼かれた傷が開く。
「されど……亡都の扉は此処に在り――追想城壁!」
 アンヘルは確かな手ごたえを感じていたが、そこには、大破し壊れゆく身体を気力で支え、万全な形をした城壁の幻影を創り、大きく広く押し出すカガリの姿があった。
 過去に追った傷は只の痛みではなく、彼の城門の内に居る者を護るための理由でもあるからだ。

「オブリビオンである以上は倒さねばならない相手。全力をもって倒すまでだ」
「容赦無く貴様は殺す!」
 次いで物陰に隠れていたステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)と亞東・霧亥(冒険野郎若作りなおっさん・f05789)が飛び出した。
 白い騎士服と黒装束が対をなし、アンヘルの視界に銀河皇帝の御前と同じいろを作る。
 ただ、自らの赤い剣と違って青く映える外套が小癪だ。
「血に染まるがいい」
 戦艦内であるその場の壊れた照明のスイッチを入れるように、空間に刻まれた斬撃が形を成す。
 予備動作などなかった。
 コンピュータ・ゲームの理不尽な罠のように、それは突然現れた。
 ステラと霧亥の見切りは戦場の状況や剣を振る動作に対しての有効性は非常に高かったと言えるが、この戦艦内部における全ての過去に振るわれたあらゆる斬撃を知るまでには至らなかった。
 しかし、斬撃のうち幾つかは不可思議な氷の刃によってその鋭さを失っている。
「それは鏡像だぜ!」
 勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)が密かに作り出した鏡術・反射鏡であった。
 霧程度の目くらまし、どこまで通じるか。
 そういった懸念はあったが、待ち伏せという地の利と、相手の慢心を突く形になったことが功を奏した。
 ユーベルコードを使用するということは、アンヘルの先制がすでに津雲へと刺さっているということでもあるが――
 津雲はどういう形であれ初手でカガリを襲った『記憶されし傷痕』を見ていた為、カガリ程の重傷を負う事なく相殺でき、ただ表面を削られたような擦過傷と幾ばくかの古傷の痛みに耐えるのだった。
「届け……っ」
 身を切り裂く刃の痛みを堪え、正面からアンヘルへと至ったステラが流星の剣と太陽の剣を振るう。
「他愛ない」
 呪剣ではない赤い念動剣がその二つを払った。
 そして守りの薄くなったマスクに覆われぬ蟀谷を狙った霧亥の連打が、畳みかけるようにアンヘルを襲う。
 氷によって幾分かは緩和されているものの、霧亥も傷を負い、流れる血ごと拳を叩きつける。
「遅い」
 死角となる位置から真っ先に頭部側面を狙うのは少々難しかったか。
 霧亥の拳はアンヘルの肩鎧を軋ませた。
 ステラの連続斬りはフェイントで、次が本命――流星一閃により天駆ける一筋の流星の如き斬撃がアンヘルの首を薙がんとする。
「――貴様という過去を斬る!」
「効かんな」
 アンヘルは篭手に覆われた手で直接流星を掴み、受け流す様に払いのける。
 だが、ステラは見逃さなかった。
 前髪の間から覗くアンヘルの赤い瞳が、驚きの色を見せていたのだ。
「まだ諦めちゃいねえぜ」
 防がれても順番に当てさえすれば、可能性はある。
 霧亥が鎧の上から連撃を続け、千の殺意でアンヘルを全方位から制圧しにかかる。
「一瞬閃撃!その命、貰った!」
 殺意すらも囮に使い背面を取る霧亥ではあったが――暗殺の刃による刺突は、剣に阻まれ心臓を外していた。
「甘く見られたものだ」
 念動力を籠めた赤い剣が霧亥の腕を貫く。
(「『鉄血の明星』で反撃を……いや、今この手を盾から離しては……」)
 追想城壁と鏡術・反射鏡によって、この場の斬撃は相殺されいる。
 今のカガリの一撃で戦況がひっくり返せるとも思えない。
 ゆえに霧亥の無事を祈り、盾に強く願いをこめた。
 攻撃手までも深手を負ったことで、防衛に特化した二人がこれ以上戦線を維持するのも厳しい。
「自分の守りは最初から捨てているつもりだったが、分からないものだ。――そろそろ潮時かね」
 津雲もそう判断し、強制的な転移による撤退を促す。
「後に続くものを信じよう」
 ステラも同意し、猟兵達はグリモアベースへと戻るのだった。

「不愉快だ」
 その言葉は猟兵達に向けたものでもあり、自己に向けたものでもある。
 後に残された黒騎士は、油断によって傷を負った自らを戒めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

クロウ・タツガミ
シン(f05130)と連携、アドリブ歓迎だ

【POW】

詰まるところ、どこから現れようと斬撃には違いあるまい

【三位龍装】で防御力を強化し【気合い】を込め先制攻撃の刃をガンドレッドによる【盾受け】で防ぐつもりだ。多少の怪我なら【激痛耐性】で動けぬほどではあるまい

(気付として残った霊酒を傷にかけ)次はこちらの番だな、

まずは【力を溜め】てレプリカを【投擲】し、シンの援護射撃を背に黒騎士との距離を詰める。近接後は【戦闘知識】を用いサカホコ(ハルバート)による【怪力】を用いた【2回攻撃】で【串刺し・傷口をえぐる】事を狙おう。猟兵が近くにいれば【かばう】つもりだ

これは戦争だ、卑怯とは言わぬし、言わせはしない


シン・ドレッドノート
クロウ(f06194)さんと連携します。アドリブOK!
【SPD】で勝負します。

「敵の動きを観測…過去からの刺突、全て見極める!」
敵が放った攻撃が届くまでの時間を少しでも稼ぐため、銃の射程ギリギリで盾を構え、怪盗の単眼鏡で敵の動きをしっかり観察。

敵が攻撃を放った後、飛んでくる3本の呪剣のタイミング、位置を【紅影の予告状】で『見切り』、避けきれないものは閃光の魔盾で『盾受け』。

3本目の呪剣を阻止したところで『カウンター』の【雷光閃く刹那の弾丸】を『早業』で発動、真紅銃と精霊石の銃を複製して『一斉発射』、瞬時に『援護射撃』の弾幕をはりクロウさんの突撃をフォローします。

「援護します。いってください!」



「詰まるところ、どこから現れようと斬撃には違いあるまい」
 鏑矢を放った猟兵達が負わせた傷を黒騎士が癒す前に、立て続けに現れたのはクロウ・タツガミ(昼行灯・f06194)とシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)だ。
「よくも蠅の様に湧いて出るものだ」
 苛立ちを露わにしたアンヘルは、念動剣の切っ先を新たなる猟兵達へと向ける。
「サカホコ、マガホコ、力を寄越せ」
「敵の動きを観測……過去からの刺突、全て見極める!」
 空間に刻まれた斬撃と三本の呪剣は――それぞれクロウとシンを切り裂きにかかる。
 霊酒の加護を得る直前に断裂した空間であったが、元よりクロウは盾による受け流しが本命。激痛にふらつく体に活を入れ、三位龍装による強固な護りを完成させた。
 シンを狙う呪剣は二本が虚空を斬り瓦礫を刺し、三本目は閃光の魔盾から溢れる光の護りを削り、相殺されるように砕け散った。
「援護します。いってください!」
 シンの、雷光閃く刹那の弾丸による弾丸の嵐が全ての銃から一斉に放たれる。
 鮮やかな早業は精霊の加護持つ弾丸と粒子状の熱線で、黒騎士の視界を鮮やかな色で染め上げた。
「次はこちらの番だな」
 残った霊酒を傷口へ注ぎ、クロウはナイフ状の暗器を投げて嵐のような援護射撃を背に斬撃の残る空間を駆ける。痺れるような痛みが沁みるが、意識はより明確に冴えわたる。
「させぬ」
 アンヘルは念動力で弾幕に穴をあける。
 だが、弾幕の穴を拡げきる前に、レプリカの投擲と一斉発射を囮に距離を詰めたクロウが槍斧の姿のサカホコを振りかぶり、注意の逸れた黒騎士へと重い一撃を叩き付けた。
「そのまま、喰われろ」
 サカホコがクロウの怪力に支えられ、ゆっくりとアンヘルへ食い込む。
「……ぐっ」
 そのまま鋭い穂先で貫かんとするクロウを押し止め、アンヘルも念動剣を飛ばし距離を取った。
「これは戦争だ、卑怯とは言わぬし、言わせはしない」
 クロウとシンの二人だけでアンヘルをここまで追い詰めたのではない。
 サカホコの穂先は、さきの猟兵達が負わせた傷を広げていた。
「そうだ。戦争とは、そういうものだ」
 アンヘルは淡々と答えるが、ただ、傷を負っても戦闘に支障なく動けるだけだ。
 有り体に言ってしまえば『瘦せ我慢』で先鋒の猛攻をいなした今では、これ以上戦い続けるためには回復の必要がある。
「我が直属の艦隊を見てきただろう?」
 クライングシェル艦隊、アゴニーフェイス艦隊。いずれも、唾棄すべき所業であった。
 嫌悪の視線を向ける猟兵達に対し、アンヘルは再び剣を構える。
「気を付けて下さい、私も、それほどは撃てません!」
 シンは制圧射撃を行った際、四、五、六本目の呪剣に襲われていた。
 盾で受けて事なきを得たものの、その加護をもたらす光は目に見えて衰えている。
「次で――決める!」
「ええ!」
 クロウはシンに向けられる呪剣をサカホコで弾く。一本がやっとだったが、振り返る余裕はない。
 シンは持てるすべての銃で援護する。呪剣を避けられなかったとしても、続く猟兵に後を託せると信じていた。

「見所のある突撃、と評してやろう」
 最期まで黒騎士は眉一つ動かさない。
 ハルバードに貫かれ、それでもなお剣を掴み、振ろうとして――
 そのまま、色を喪い消滅していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月19日


挿絵イラスト