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銀河帝国攻略戦㉒~ハートフル・マリス

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #ドクター・オロチ

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●悪辣なるもの
 『アマルテア情報艦隊』『オロチウイルス突撃艇群』は無力化され、解放軍はとうとう『実験戦艦ガルベリオン』を発見した。
 ドクター・オロチの乗艦であり研究施設であるこの戦艦を放置する理由もない。解放軍の戦艦から放たれた砲火がガルベリオンに命中、その航行は停止する。停止した艦を完膚なきまでに破壊する、その為に次の攻撃を仕掛けようとし。
「なんだあれは……」
「損傷が修復されていく?」
 解放軍達の目にしたものはガルベリオンがたちまち金属の艦体を修復し始める光景。
 それは猟兵達に『ドクター・オロチ』の生存を確信させるのに十分な光景であった。

「とりあえず解放軍は銀河皇帝直属の軍勢との決戦に集中して進軍するようにして貰っている。アレに一般人が近づくのは危険だろうからね」
 だから、猟兵が決着をつけなければならないだろう。そうヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は状況を説明する。
「アレ――ドクター・オロチはその手の水晶剣で自作と思われる奇妙な存在達を召喚する能力を持っている。一体であっても油断すれば猟兵の精鋭が敗北する可能性は高い。さらに悪い事に、常に一体ではあるんだけども力が尽きるまで、骸の海から蘇る力をもっているみたいなんだ。だから勝利して『骸の海』に放逐できても、すぐに蘇って別の場所から再出撃してくる。……負けた場合でも一旦撤退して回復してから再出撃してくるみたいだけれども」
 幸い、どこに出現するかは予知できているとシャチのキマイラは言う。
「出現するのは広大な実験戦艦ガルベリオン内の多数ある実験施設、その一つ。広い部屋に奇妙な試験管だとか瓶、巨大なカプセルが並んでいる部屋で――多分中身は見ない方がいい。そこにドクター・オロチが復活して再出撃してきた所を叩くのが今回の作戦となる。力ある限り何度も復活してくるなら、それが切れるまで叩き潰すってことだね」
 だけれど注意してほしい事がある、とヴィクトルは念を押す。
「ドクター・オロチについてだけれども、奴は此方より先に猟兵が使うユーベルコードと同じ能力のユーベルコードで攻撃してくる。だからそれをまず防ぎ、そして反撃へとつなげる事が重要となる。何も対策していなければ、何もできないうちにその一撃で撃破されてしまうだろう」
 そこまで説明したヴィクトルは一旦言葉を切り、少し思案して言葉を続ける。
「ドクター・オロチの生存は銀河帝国攻略戦の帰趨には全く影響を与えないだろう。けれど、その存在が将来の禍根となるのは間違いない。ここで撃破する事が出来れば『スペースシップワールドで再び蘇る事は無い』とも予知されている。だから何とかこの世界の平和の為、撃破してきてくれないか」
 ヴィクトルはそう締め括り、戦場へと転移させる準備を開始した。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 デジャビュな悪魔合体。

=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================

 このシナリオでは『ドクター・オロチ』と戦って頂きます。
 オープニングにもあります通り、相手は必ず先制攻撃を仕掛けてきます。
 それに上手く対抗し、反撃する方法の記載がなければ攻撃する間もなく倒されてしまうでしょう。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『ドクター・オロチ』

POW   :    ジャイアントカルシウム
自身の身長の2倍の【恨みの叫びをあげる骸骨巨人】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    カリスティックボディ
自身の肉体を【あらゆる生命体を溶解し取り込む緑の粘液】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ビャウォヴィエジャの森のフェンリル
【水晶剣が変形した門から『フェンリル』】の霊を召喚する。これは【炎の体を持つ巨大狼で、爆発を呼ぶ咆哮】や【瞳から放たれる魔炎光線】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィヴ・クロックロック
まず私のゾンビ(兄弟)たちを盾に使う、アレの粘液は生命体を犯し溶かす、しかし死者はその限りではないはずだ。しかし防御に使えるのは多くて3体、残りは奴の実験動物の標本に紛れさせて背後を狙う。生まれが生まれだ、いろいろ思うところもある。だがそれ故にあの科学者の狂気はここで断ち切る……!

(アドリブ歓迎)


リインルイン・ミュール
忘れたハズの記憶が囁くんですよ、ヒトをモノと扱う者ども許すまじと
例の生体兵器は貴方の発明だそうですネ。死んで下さい


対抗策は幾つか
事前に身体を非生命体、つまり服や金属で覆って行く事
裾はガントレットや靴に入れます

また、伸縮での奇襲を警戒し距離を置く
70mは確保、とはいえパチンコの如く何かを支点に飛んでくる事もあり得るので常に警戒
しかしその際は直線的に飛ぶでしょうから、横に避ける準備を
仮に当たりそうになれば腕甲と剣、念動力での押し返しでガード
一瞬でも稼げれば、その間に高速詠唱からユーベルコードで反撃
半ば喰われてでも、他猟兵の為にも全命中を狙いたい所
寧ろ逃げる素振りを見せるようなら抱え込み抑える心持ち




 オロチが再出現されると予知された研究室に、猟兵達は飛び込んだ。室内は実験器具やカプセル等でごちゃごちゃしているが広さは十分にあった。
 そしてその突入から殆ど間を置かず。
 水晶の剣を携え、脳みそを顔面のあるべき位置にむき出しにした邪悪な姿――ドクター・オロチが突如現れる。
『待ち伏せとは感心しないね~』
 邪悪な声が響き、オロチの肉体が緑の粘液へと変化、その右腕がヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)へと恐るべき勢いで伸ばされる。
 必ず先制される危険は説明されていた。それを兄弟たちで凌ぎ、反撃に移ろうと考えていたヴィヴだが、想定以上の速度に召喚が間に合わない。
 けれど直前、ヴィヴの体が真横に弾き飛ばされオロチの腕は空を切る。
『ムシュ!?』
 ヴィヴ本人にそのような動きの兆候はなかった。
 その後方にいたリインルイン・ミュール(紡黒のケモノ・f03536)が念動力で回避させたのだ。
「例の生体兵器は貴方の発明だそうですネ」
『ん~、どれのことかな? 沢山作ってるからね~』
 悪びれる事のない、無邪気さすら感じられる返答。それに二人は嫌悪感を抱く。
(「それ故にあの科学者の狂気はここで断ち切る……!」)
 ヴィヴは生まれが生まれだ。オロチに対し思うところもある。
 だけれど、だからこそ倒さねばならぬ。
 そして、リインルインも忘れたハズの記憶が囁くのだ。
 ――ヒトをモノと扱う者ども許すまじと。
 死んで下さい。それだけ告げたブラックタールがユーベルコードを発動せんとし、けれどその前にオロチが緑の左腕を伸ばす。
 距離をとるように心がけてはいるものの、それでもなお緑の粘液の速度は尋常ではない。リインルインがユーベルコードを発動する前にその身体に到達する。
 横に飛ぶが回避は間に合わない。黒一色の銀剣と大型のガントレット、そして念動力を重ねて防御するが、強烈な衝撃に酷く体が揺さぶられる。
 けれど意識はまだ繋がっていて、また同時に溶解されることもなかった。服や金属で直接触れる事のないように対策した結果だ。
『まだまだいっくよ~』
 さらに異形の緑の右腕がヴィヴに向けられ、彼女を取り込まんと伸ばされる。
「起きろ兄弟たち!」
 ヴィヴが叫んだ瞬間、四体の武装したゾンビが彼女の足元から出現、うち三体が盾となり粘液を阻む。
(「よし、止められた」)
 生命を侵し溶かす粘液。ならば死者なら、生命でないならその効果は弱まるとの読みは間違っていなかった。
『ん? じゃこういうのは?』
 右腕を伸ばしたまま踊るようにオロチがくるりと一回転、同時に左腕がフラスコやカプセルをなぎ倒しつつ伸長、ムチのように加速しながらヴィヴを打ち倒さんと襲いかかる。
 さらに、ゾンビ達が食い止めている隙間から緑色が徐々に染み出してくる。
 粘液は不定形、一時的に食い止めたとしても強く押し付けられ続ければ形は変わる。
「旧き星海より出で、地を這うもの。その身に抱く災禍の星、標に灼かれ、今こそ堕ちたり!」
 リインルインの動物を模った面から高速で詠唱が紡がれ、伸ばされたオロチの緑の腕が、凝縮されたサイキックエナジーによる強烈な重圧を受け地面に叩きつけられる。
 けれど加速した腕は止まらない。魔力を帯びた言葉で具現化した三つの印の一つこそ受けたが、残り二つは置き去りにしながら床を薙ぎ払い、二人を弾き飛ばし壁に叩きつけた。
『もうちょっと頑張ろうよ~』
 腕を戻し、手を握ったり開いたりしながらオロチが馬鹿にするような言葉を放つ。けれど、二人の猟兵とゾンビ達は動けない。それ程の威力だった。
 そして、倒れた二人に止めを刺そうと歩み寄ろうとし――
 倒れたゾンビの傍を通り過ぎた直後、倒れていたゾンビの一体が起き上がり、ドクター・オロチに武器で一撃を加える。
 ヴィヴが足止めの間に忍び寄らせ、背後からオロチを狙わせようとしていた一体。主達から離れていた為、ダメージが動ける程度には少なかったのだ。
「ちょっと~痛いよ?」
 けれどオロチはふざけた声でのたまい、緑の粘液と化した腕で背後を無慈悲に叩き潰す。
 しかしその間、ゾンビに気をとられたことにより隙が生じる。
 その間に猟兵二人は辛うじて立ち上がり、オロチから一気に距離をとった。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

百地・モユル
いろいろえげつない兵器を作ってきた奴か…
どれだけ罪のない人たちを犠牲にしてきたんだよ
ここにあるものの中身もきっと…
おまけに見かけまでこんなのなんてな

こいつには一撃でも食らわせてやんないと気がすまないよ!

ボクは正面から向かいたい
フェンリルは技能でおびき寄せて武器受けと火炎耐性で攻撃をしのぐぜ
こいつはボクに任せて!

くっ、負けるか!
苦戦していると見せかけてオロチが余裕を見せたら反撃だ

カウンターとなぎ払いで狙えればオロチごとフェンリルを攻撃
怪力、属性攻撃、グラップル、気絶攻撃、マヒ攻撃、鎧砕き、2回攻撃と
ありったけの技能をのせた灼熱の束縛をぶち当てて動きを封じてやりたい

これでちょっとでも隙を作れたら…


水蓮・レン
あのドクター・オロチと……喚び出されるフェンリルを見ると、頭の中がざわざわとするな……。
いや、こんなコトを言ってる場合でもないか……やるべき事をやらなくては。

<属性攻撃>で水の魔力を纏い、炎の攻撃を相殺してガードに専念しながら前進。
【影を縛る】を当てられる射程に届いたら、ユーベルコードを発動。
敵のユーベルコードを打ち消せば、召喚されるフェンリルも消えるはず。

後は<属性攻撃>の氷の魔力で攻撃する。
その粘体の身体、凍らせて封じてあげようじゃないか!

上手く【影を縛る】を当てられるように、他の猟兵と連携するのも検討するよ。
タイミングが合えば、ユーベルコードを封じたオロチに総攻撃もできるはず。


狼谷・賢太郎
ここはフリームファクシの出番だな!
【高速詠唱】で水の【全力魔法】を唱えて、オレ自身を守る障壁にするぜ
足りない魔力はグレイプニールからの供給で補う!
【火炎耐性】もあるから、後は気合で耐えきれ!

っていうか、今の狼か?
それに炎を纏ってって……すげー見覚えあるんだよなぁ

精霊の守り人で召喚した精霊達と反撃!
炎には炎で対抗だ! やっちまえ、ヴァナルガンド!
フレースヴェルグは追い風でこっちの炎の勢いを強めて、向かい風で相手の勢いを削いでくれ!
ヨルムンガンドはオロチの妨害を
フリームファクシは杖のまま、全力で放つ水の槍でオロチをぶっ飛ばす!

たとえ個々の力で負けてても、オレたちの力を合わせればきっと勝てるはずだ!



 次に飛び出したのは少年達。
「どれだけ罪のない人たちを犠牲にしてきたんだよ!」
『そんなの覚えてるわけないじゃないか』
 多くのえげつない兵器を作り出してきたオロチへの、百地・モユル(ももも・f03218)の怒りの言葉はその相手には何も響かない。
(「ここにあるものの中身もきっと……」)
 周囲の瓶やカプセルに目をやるが、多分、詳しく見ない方がいいのだろう。
『ムシュシュ、そ~れフェンリル!』
 オロチが水晶剣を変形させ門とする。すると中から巨大な存在が姿を現す。
 炎を纏った、否、炎そのもので肉体が構成されている巨狼、フェンリルだ。
 その召喚をみた水蓮・レン(ダンピールのウィザード・f12940)の表情は渋い顔。
 ドクターオロチの姿、そして召喚されフェンリルの姿を見ると、妙に頭の中がざわざわする。失った記憶に関係があるのか、それとも。
(「いや、そんな場合でもないか……やるべき事をやらなくては」)
「っていうか、これ狼か? それに炎を纏ってって……」
 狼谷・賢太郎(イマチュアエレメントマスター・f09066)もフェンリルの姿にどこか既視感を抱くが、それを打ち消すようにフェンリルがその瞳で目の前の得物たちを睨みつける。
「来る!」
 レンの警告と同時、魔炎光線が猟兵達に放たれる。
「ここはフリームファクシの出番だな!」
 十字架のネックレスより出現した馬の精霊が杖へと変じ、それを構えた賢太郎高速で詠唱すると巨大な水の壁が生成され、光線と正面衝突。水を蒸発させながら、火炎の威力を弱める。
 全力の魔法、魔法の鎖を用いて吸い上げ供給される魔力を加えても長時間はもたないだろう。
 その拮抗の隙に、水の魔力を纏ったレンがフェンリルに接近しようと光線の横を通り前進する。だけれど、
(「……このままだと厳しいな」)
 十分近づいてユーベルコードを発動するつもりであるが、耐性を以てなお強烈な魔炎の余波に意識を飛ばされそうになる。
「こいつはボクに任せて!」
 けれど突然、レンを襲う熱が弱まる。見上げた彼の目に映るのはモユル。
 彼が魔術金属で補強した魔杖で受け止めていたのだ。
「くっ、負けるか!」
 重ねられた水属性の魔法で威力は弱まっているが、元が強烈な攻撃という事もあり苦痛が走る。
 けれど、フェンリルの光線に焼かれながらも、モユルの瞳から闘志の焔は消えない。オロチに一撃を喰らわせないと気が済まないから、反撃の為に只管に耐える。
 やがて、魔炎の光線が止まる。
『ムシュシュ、こんがり焼き……』
「捕まえたよ」
 オロチが言い終わらぬうちにレンの声。光線が途切れた瞬間飛び出した彼の足元から伸びる影はオロチの足元に。そして次の瞬間その肉体へと影が侵食するよう広がり、
『ムシュ!?』
 オロチの驚愕の声と共にフェンリルがその姿を消失させる。ユーベルコードの無効化によりその存在を維持できなくなったのだ。
 今がチャンス。賢太郎が精霊たちを一斉に召喚。
「やっちまえ、ヴァナルガンド! フレースヴェルグは追い風でヴァナルガンドの援護、ヨルムンガンドは捕縛してくれ!」
 大狼と鷲木菟、そして大蛇の精霊が主の言葉に頷くと、消失したフェンリルの代わりにドクター・オロチを抑え込もうとする。
『ムシュシュ。この程度で倒せると思わないでね~』
 ユーベルコードを封じられたオロチだが、素の力量自体が相当なもの。三体の精霊相手にも互角以上に立ち回っている。
 けれど、オロチを討とうとするものはまだいる。
「火傷どころじゃすまないぜ!」
 モユルもカウンターとして両掌から灼熱の焔を放つ。タイミングを測り、ありったけの技能を動員したその炎はオロチを薙ぎ払った。水晶剣で防ごうとするけれども、フレースヴェルグの追い風に煽られた灼熱の炎による高熱はオロチの動きを封じるのに十分。
 それを確認した賢太郎は高速で詠唱する。馬の姿から杖へと変じたフリームファクシ、水の精霊である彼の全力で水の槍を作り出し――
「今だ!」
 それを高熱で身動きの取れないオロチへと放つ。水槍の直撃を受けたオロチの胴体に風穴があき、さらにレンが氷の魔力をオロチに向け包み込み、氷漬けにする。
 けれど、それで終わるオロチではなかった。水晶剣を振るい氷を砕き、その身を未だ縛る異能の影を振り払うと跳躍、猟兵達から距離を取った。
『ムシュシュシュシュ、ちょっとだけ驚いたよ~』
 感心したような、けれど何でもないようなオロチの言葉。だがその身体に刻みこんだ傷は確実に体力を奪っているはずだ。
 個々の力で負けていても、力を束ねれば勝機は見える。決して勝てない敵ではないと、そう猟兵達は確信する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シェイド・レーム
クク…見つけたぜオロチさんよぉ。クソみてえな機械野郎どもを始末してきたのも、てめぇの魔力を頂くこの時のためよ!行くぜ…ダークセイヴァーの暗黒魔術、たっぷり思い知りなぁ!!

ヤツの『フェンリル』に対し【第六感】で【情報収集】を行い、【呪詛】をかけてやるぜ!完全にコントロールを奪う事は難しそうだが、霊体とあれば俺様の専門分野よ!淀んだ呪詛で霊体を犯し、制御不能にさせて反撃のチャンスを掴むぜ!『フェンリル』の攻撃には【オーラ防御】だ!

受けきったら俺様のお友達も紹介しねえとなぁ!【高速詠唱】からの【デスナイトの召喚】だ!いけぇ!死霊騎士どもよ!死霊を統べる王が誰なのかを思い知らせてやれ!!ヒャハハハ!!


ナミル・タグイール
頭脳マンは苦手にゃ!ややこしいことされる前に叩き潰すマスにゃー!!
グロい頭をどっかーんにゃー!
・行動
デッカイ骨の巨人がくるなら【グラウンドクラッシャー】でぶっ壊すにゃ!
本体の動きに注意して方向を見極めるにゃ。
カルシウムとってるなら硬そうだけど…ナミルだって破壊なら自信があるにゃ!
【呪詛】をまとった斧でドッカーンデスにゃー!

オロチを殴れる距離までこれたらそのまま勢いで【グラウンドクラッシャー】
その脳みそをぶっとばしてあげマスにゃー!
壊すまで行かなくても呪詛パワーでダメージ与えられないかにゃ。
オロチウイルスにだって負けないナミルのお宝パワーデスにゃ!



「クク……見つけたぜオロチさんよぉ。クソみてえな機械野郎どもを始末してきたのも、てめぇの魔力を頂くこの時のためよ!」
『ムシュシュシュシュ、熱烈なラブコールありがとう』
「ちげぇよ!」
 シェイド・レーム(ナイトハンター・f13612)の悪役染みた言葉にオロチがとぼけて返す。
「頭脳マンは苦手にゃ! ややこしいことされる前に叩き潰すマスにゃー!!」
『ムシュシュ、清々しい程の脳筋思考だね~』
 一方で本能に忠実なのはナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)。黒い猫科のキマイラの彼女は難しい事は力で解決したいのだ。
「その脳みそをぶっとばしてあげマスにゃー!」
『そんなキミにはカルシウム!』
 黄金の斧を構えたナミルに対し、水晶剣をオロチが振ると、足元に開いた門から骸骨巨人が召喚される。恨みの叫びをあげる骸骨はオロチの二倍の大きさ、そして手には透き通った水晶剣を携えている。
 骸骨の巨人が動く。オロチの動作をトレースする動きはリーチも倍、速度もほぼ倍で、ナミルがユーベルコードを発動する前に届いてしまうだろう。
「ぶっ壊すにゃ!」
 だけれど、それはナミルを止める動機にはならない。ユーベルコードが間に合わないなら斧で迎撃するだけだ。
 黄金の斧が水晶の剣と接触、派手な音を鳴らし、体格差もあってナミルが派手に弾き飛ばされ近くの机に衝突。
『おっと、そっちで準備しているキミにはこっちをあげよう』
 再び炎の巨狼が召喚される。荒っぽい言葉遣いとは逆に、フェンリルを観るシェイドの赤瞳は冷静。その存在の要となる核を見極めんとする。
 フェンリルの魔炎光線、シェイドを狙ったそれは少しだけ彼から逸れる。ただの生物であるなら不可能だろう。
 けれど、ここにいるのはフェンリルの霊。霊体であるなら死霊術師であるシェイドの専門分野だ。
 闇の短剣を構え呪詛に意識を集中、逸れた光線をオーラで防ぎつつ、フェンリル自身の制御を狂わせようとする。
『ムシュムシュ、そう上手くいくかな?』
 呪詛に意識を集中するシェイドに対し、オロチの方は愉快そう。出来るはずないと高をくくっているのかもしれない。
「まだまだデスにゃ!」
 そんな二人の空気をぶち壊すように、ナミルが起き上がった。机の残骸を踏み潰しながら、でか猫キマイラの女は再び骸骨の巨人を砕かんとする。
『何度来ても……ムシュ?』
 言いかけ迎撃しようとした訝しげな様子でオロチが骨の巨人を見やる。思うように動かない骨の巨人を覆うは呪詛。ナミルが黒い毛並に纏う黄金の装飾品、入れ墨、爪、斧。彼女の言うお宝らから発せられる呪詛を先の交錯で受けたのだ。
 呪詛により動きを鈍らせた骨の巨人、本体より遅れるその動きを見極めるのは可能。振り下ろされる水晶剣をギリギリで躱し、重量ある黄金の斧を叩きつけた。
 巨人を構成する堅そうな骨にぴしり、と罅が入り、徐々に広がり巨人が砕け散る。
 ちっ、と舌打ちのような音をオロチが漏らす。しかも一瞬気を取られていた隙にフェンリルが完全に停止していた。
 オロチがシェイドを振り向けば、悪役のような笑みを浮かべ高速で何事かを詠唱した彼の横に、死霊騎士が二騎召喚されている。
「行くぜ……ダークセイヴァーの暗黒魔術、たっぷり思い知りなぁ!!」
 死霊を統べる王が誰なのかを思い知らせてやれ! と死霊騎士ノーランドとウィルソンにシェイドが号令をかけると騎士達は速やかにオロチへと駆け出す。シェイド自身が攻撃を受ければ解除されてしまうけれども、制御を狂わされた状態でフェンリルに再び大技を仕掛けさせるには時間がかかるだろう。
 やむを得ず水晶剣を振るい迎撃するオロチだが、死霊騎士達は次の大技を使わせる隙を与えぬよう、息の取れた連携でオロチの行動を制限する。
 そしてさらに、
「グロい頭をどっかーんにゃー!」
 死霊騎士と逆側から飛び込んできたナミルが、単純に重い斧を上段から叩きつける。
 水晶剣で防ごうとするけれどそのガードごと叩き潰される。
 その一瞬を死霊騎士達は見逃さない。
「ぶった斬れ!」
 シェイドの号令と同時に騎士達がオロチに強烈な斬撃を加えた。
『ムシュシュ……まだまだ』
 手ごたえはあった、けれどまだオロチは立ち上がる。
 見かけの傷はかなりの物になっているが、その動きに淀みはなく、眼前の猟兵達に剣を向けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

犬憑・転助
なかなかやるようだな……楽しいじゃねーか!

俺のユーベルコードは超嗅覚、キナ臭さだって嗅ぎ分ける
敵の攻撃の着弾点を超嗅覚で嗅ぎわけ仲間に回避位置を指示
敵の先制攻撃で死ぬんじゃねーぞ!

敵の狙いを超嗅覚でかぎ分け回避、または仲間が狙われてたらかばう。
さらに敵の弱点を超嗅覚で嗅ぎ分け、そこを狙うよう皆に指示。自分がやられても弱点だけは仲間に知らせてから落ちる 。

自身が攻撃する際は、お互い超嗅覚持ちになんのか?
なら、侍としての経験値で上回る!
侍としての経験値は技術的なもんだけじゃねーんだぜ?死んでも倒す、その信念も、だ!

サムライに斬れないものは、ないんだぜ?

苦労人ポジOK、アドリブ歓迎、他PCと絡み希望


郁芽・瑞莉
ドクター・オロチ…。
彼の悪劣なる所業によってこの世界の人々は大いに苦しめられました。
因果応報をお返ししますよ!

瞳や口に注視して、
光線や咆哮のタイミングを見切って、
ダッシュして残像で惑わしながら回避行動を直撃を避ける様に。
避けきれない部分は薙刀を回転させてたり、刃の部分で受けて、
巫覡載霊の舞で神霊体を降ろして各種耐性やオーラ防御で凌ぎつつ。
召喚媒体たる水晶剣が変化した門に向けてクナイを投擲して、
フェンリルの召喚そのものを妨害しますよ!
妨害に成功したり、攻撃の合間を見逃さずにダッシュしてカウンターです!
破魔の力を乗せた薙刀でフェンリルごとなぎ払いますよ!
そして返す薙刀でもう一撃ですよ!


忠海・雷火
言葉は要らない
悪辣な魂を、その身体ごと喰い破るのみ

:対策
骸骨巨人の召喚位置にもよるが、極力敵(オロチ)を盾にするよう動きつつ、敵の懐へ飛び込み組み付く
接近するまでの攻撃は、召喚者の動きを写す性質から、敵の動きを見て見切る
縦振りなら横にステップ、突きや横薙ぎなら飛ぶor屈む、袈裟斬りなら身を捩り躱しつつ刀で受け流し
余裕があればネクロオーブで雑霊を召喚、最も脆いと思われる巨人の関節部を狙わせ行動鈍化を狙う
回避すると接近が遅れジリ貧になる、あと一歩という所まで来れたら捨て身の覚悟で突っ込む事も考慮

近付く迄の間に傷は負う筈
流れる血でユーベルコード発動、無数の刃を持つ異形の武器へ変じた刀に敵を喰らわせる



 負傷が重なったオロチだがまだ諦めるつもりはないようで、水晶剣で門を作成。
 その門に向かい、クナイが投擲される。召喚阻止の為、破魔の力を宿したクナイだけれども、門より現れたフェンリルに弾かれてしまう。
『ムシュシュシュ、こういう時は待つものなんじゃないかな』
 オロチが巫女服の郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)をからかうが、瑞莉はその軽口に付き合うつもりもない。
 目の前の邪悪な存在の悪劣なる所業に苦しめられたこの世界の人々、彼らの受けた苦しみを叩き返すために。
 忠海・雷火(襲の氷炎・f03441)もオロチの戯言に付き合うつもりはない。その悪辣な魂を身体ごと食い破る、それだけに意識を集中させている。
「なかなかやるようだな……楽しいじゃねーか!」
 強敵に対し、犬憑・転助(孤狼の侍・f06830)は高揚を隠そうともせず、オロチへと飛び込む。
 飛び込もうとする転助に緑の粘液と化した腕が恐ろしい速度で伸ばされる。まだ此れほど余力があったのか、と思考するより先に軌道を見切った転助は横に跳躍。
『まだまだ!』
 それに対しオロチは即座に腕を横薙ぎにし、人狼の青年を追撃。
 けれど、転助の超嗅覚はオロチの攻撃の着弾点を正確に嗅ぎ分けている。それにすら転助は対応、地を滑る蛇のように姿勢を低くしそのままオロチへと向かい一閃。
 対するオロチは水晶剣で防ぎ、硬質の音が響く。剣と刀がせめぎあう中、さらに雷火がオロチに飛びかかろうとする。
『キミにはこれだね!』
 転助を弾き飛ばし、水晶剣により骨の巨人がオロチの正面に召喚され、召喚主である異形と同じ構えをとる。
 同じ動きをとるのであればと雷火はオロチの背後に回り込もうとするが、
『ムシュシュシュシュ! 思い通りにはやらせないよ!』
 水晶剣を突き出し足先を軸に回転、体格の大きな骨の剣が主の背後の敵を切り裂かんとする。
 飛んでも屈んでも回避困難、耐えるにも厳しい。そう判断し、即座にバックステップでオロチから距離をとる。
 けれど巨人とオロチは即座に前に踏み出し追撃を狙う。
「こっちに来い!」
 転助の声に雷火が咄嗟に反応、彼の後方に飛び込む。それにも構わず巨人の刃は二人を捕らえようと伸ばされる。
 が、転助が踏み込みその腕に向かって刀を振るうと、巨人の腕は綺麗に斬り飛ばされ水晶剣が宙を舞う。
「サムライに斬れないものは、ないんだぜ?」
 人狼の侍が獰猛な笑みを向ける。
 超嗅覚で骨巨人の弱い部分を見極め、さらに侍としての経験と技術を合わせた刃の成せる業だ。
 ――仮にオロチが超嗅覚を持っていたとして、それでも転助は負けないだろう。ユーベルコードのみに頼らず経験を積み重ね、そして何があっても敵を倒す信念。
 経験はともかくその信念はオロチにはない。
 骨巨人は即座に逆の手で水晶剣を掴もうとするが、その動きが突然鈍る。雑霊がその関節に纏わりつき、動きを阻害しているのだ。
 召喚した雷火はそれと同時にオロチの背後から組み付かんと飛び込む。慌てたように骨巨人の剣で雷火を叩き潰すように動かそうとするが、骨巨人の動作はワンテンポ遅れている。
 その剣筋を見切った雷火は上段から振り下ろされる巨大な水晶剣の勢いを刀で受け流し、そしてもう一歩。
 ――捕まえた。
 言葉はない、けれど脳髄を間近に捉えた深紅の瞳はそう雄弁に語っていた。
 雷火の傷から血液の色が薄れる。代償にしたそれにより刀は無数の刃を持つ異形の武器へと変じ、眼前の異形を飲み込み喰らうかのように深々と切り裂いた。
『ムシュシュ……ここら辺で巻き返すよ』
 後方に控えていた巨大な炎狼、その瞳により強い炎が宿った瞬間、瑞莉は駆け出す。そしてその直後、彼女がいた位置を魔炎の光線が灼いた。
 さらに追撃の咆哮により生じた爆発がフェンリルの周囲を薙ぎ払うが、瑞莉は禍ノ生七祇と全身に纏うオーラでで直撃を防ぎつつフェンリルの足元へと飛び込む。攻撃を軽減する神霊体に変身した彼女なら、その耐性も相まってそれができる。
「因果応報をお返ししますよ!」
 炎を突っ切り破魔の力を乗せた薙刀を瑞莉が振るう。同時に生じた衝撃波がフェンリルの炎の肉体を大きく弾き飛ばした。
 フェンリルを挟んでいた為かオロチへのダメージは浅い。けれど瑞莉の返す薙刀が即座に追撃。魔を祓い清める追撃の衝撃波に、オロチは飲み込まれた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

大神・零児
遮蔽物などを利用し身を隠しながら「ダッシュ」で動き回り、「残像」を作りミスリードを誘いながら、敵の死角に入り込むよう意識して動く

フェンリルとオロチの動きにも注意しながら「第六感」「野生の感」も併用して攻撃の予兆を「見切り」、「武器受け」と「オーラ防御」で防ぎながら、魔炎熱線を防ぐ動作と同時に「カウンター」で狼型の炎(ゴーストウルフ)を放ち、それを全て「ダッシュ」させて立体的に動かし「残像」を発生させ撹乱、死角から回り込ませた炎で「2回攻撃」

攻撃後の硬直を狙う作戦だ

(悪夢でみた奴は、異界の奴のようだった。「脳みそ」「水晶剣」「緑粘液」、奴のUCのような存在も…)

(アドリブ&共闘歓迎)


クリスティアーネ・アステローペ
はぁい、ずいぶんと不思議な形ね
可愛らしいフードが良く目立っているわ?

まずは待ち伏せる間に【血統覚醒】でブースト
更に《見切り》《残像》で可能な限り回避を狙うわ
避けきれない分は武器や身体に《オーラ防御》や《破魔》を重ねて防御しましょう
攻撃を凌いだら【咎力封じ】をお返しね
なるべく粘液化していない本体部分を狙っていきましょう
少しでも威を削げれば十分
距離を詰めて同じように防御しながら
《先制攻撃》《高速詠唱》からの【咎を穿て、赫き杭】で骸骨ごと縫い止めてあげましょう

攻撃は基本《破魔》の《祈り》を込めた《傷口を抉る》《鎧無視攻撃》よ

「その永劫を断ち切らん。汝が魂に、永き救いと安寧を」
「ああ、血が欲しいわ?」



 けれど、オロチはまだ消滅していなかった。
『ムシュシュシュシュ……中々やるじゃないか』
 パーカーは破れ、全身に傷を負っている。けれどオロチの言葉は相変わらずの調子で。
 オロチがその脳髄の顔面を横へと向ける。
 破壊された巨大カプセルや机を隠れ蓑にするように、狼が走っていた。
『そこだね!』
 ちょろちょろ動き回る影、大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)を狙い、オロチは水晶剣を門へと変えてフェンリルを召喚すると魔炎の光線で影を撃つ。
 けれどそれは残像。気付けば影は複数に増え、遮蔽物の間を渡るように駆けていた。
 攪乱しながら零児はかつて悪夢で見た存在に思いを巡らせる。それがこの目の前の存在と関係があるのかは分からないが、邪悪なものであることは間違いない。
『うっとおしいなあ……おっと、そこで何かしているキミ!』
 瞬間、フェンリルと交代で骨の巨人をオロチが召喚、振り向いた方向に駆け出して二つの水晶剣を横薙ぎに振るう。
 その剣撃が届く直前、クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)は跳躍しかろうじて回避する。
 着地した彼女の瞳は普段の琥珀色と異なり真紅、ヴァンパイアへと変身している。
「はぁい、ずいぶんと不思議な形ね。可愛らしいフードが良く目立っているわ?」
『ムシュシュシュ、キミ達の方こそもうちょっと可愛げのある姿にした方がいいんじゃないかな。今ならコーディネイトしてあげるよ』
 気安げに話しかけるクリスティアーネにオロチも軽く返す。その言葉には実験材料として、と続くのだろうけれど、その前にオロチは再びヴァンパイアの女へと斬りかかる。
(「読まれた?」)
 地面から無数の杭を放ち骨の巨人ごとその動きを縫い止めようとしていた彼女の思考を読んだかのようなオロチの動きに咄嗟に処刑人の剣にオーラを纏わせ骸骨の巨人の一撃を防ぐ。けれどオロチ本人がその間に飛び込み一閃。鮮血が散る。
「……まだまだ!」
 体に纏っていたオーラや破魔の力で辛うじて意識は繋げている。地面から杭を放ち骸骨の動きを縫い止めるがオロチにはやや浅い。続けて拘束用の道具を放とうとするが、
『甘いよ』
 その一言と共にオロチの肉体が緑色に変じ、強力な伸縮性をもった粘液となる。縫い止めた杭をずるりと抜け、生命を溶かし取り込む強烈な粘液がクリスティアーネを飲み込んだ。
 見切りや防御、それはある程度の効果を発揮していたのだろう。
 けれど、複数種類の攻撃を凌ぎきるには足りない。
 オーラで直接触れる事を防いでいるがそれも時間の問題。このままでは――
「させるか!」
 その言葉と共に狼の形をした炎がオロチに飛び掛かる。零児が召喚したゴーストウルフだ。
『おっと、キミもいたね』
 再び炎の巨狼を召喚し、その炎を防ぐ。
 零児が横合いから仕掛けてきた事で生まれた一瞬の隙を突き、クリスティアーネは全力で緑から脱出する。けれど消耗は激しく、これ以上の継戦は困難。
 一方、オロチはフェンリルを操り、零児の声がした方向に向け魔炎の光線を放つ。
 それを勘で察知していた零児は寸での所で回避、さらにゴーストウルフの群を一斉に散開させる。解き放たれた赤と青のゴーストウルフの群は其々バラバラに駆け、飛び跳ね標的を定めさせない。
『面倒だな~……吼えろ!』
 オロチの号令にフェンリルが吼え、爆発を引き起こす。バラバラに動くなら纏めて吹き飛ばせばいいと判断したのだ。
 けれどその行動により大きな隙が生じる。一体、死角で机の影に隠れ機会を窺っていた一体のゴーストウルフがオロチへと喰らいつく。
 攻撃直後の硬直、そこを狙われたオロチは防ぐ事も出来なかった。けれどまだ、倒れない。
 しかし、刀がオロチの背中から飛び出す。爆発を刀とオーラで防ぎきり、ゴーストウルフと逆側から同時に飛び込んだ零児の刃だ。
『ムシュシュ……ちょっと油断し過ぎちゃったかな』
 オロチが呟き、その姿を薄れさせる。

 数秒の静寂。
 それでも何も起こらず、この場から完全に悪意の存在が消え去ったことを猟兵達は実感する。
 そして同時に、勝利の歓声が施設内に響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト