君の『彼女/彼』をバズらせろ! アイドルプロデュース!
●アイドルプロデュース!
アイドル。
|過酷な生存競争《バズらなかったら負け》を勝ち抜いて輝けるのはほんの一握りである。
アイドル、もはや可愛い・イケメンなだけじゃあ通用しない。
中身で勝負? いやいや魅力が見えなかったら推せないっしょ!
つまりだ。
歌、ダンス、ないしは愛嬌ファンサ、ガチ恋営業はちょい危険……あと『水着DE運動会!』の開催時期だし脚力も今ならアリ。その辺りを磨き上げて視聴者のハートを鷲づかみにせよ!
一芸に秀でるか、オールマイティにそつなくこなすか――そんな綺羅星アイドルをプロデュースする――それが今、猟兵には求められているのだ!
●グリモアベースにて
「うん、色々なアイドルの卵がいるから、相性が合いそうな子を選んで育ててあげて」
グリモアベースで皆を出迎えた九泉・伽(Pray to my God・f11786)の説明はちっともわからない。
いや、やることはなんとなくだがわかる。
――アイドル候補生のボイストレーニングしたり、ダンスの練習したり、メンタル支えるために心に寄り添って励ましたり(性格次第では叱咤もあり)
そういう感じで1人の子に向き合って、トップアイドルとして育て上げろってことだよね?
あってる。
伽はそこは理解された認識で説明を続ける。
「こーさ、最近キマイラフューチャーでは『アイドルを1:1でプロデュースして、それぞれ戦わせる(アイドル的に)』番組が流行ってるんだよね」
最近は『アイドルを育成する汗と涙と笑顔のドラマ』がキマイラフューチャー住民の心を捉えて放さないらしい。
育成の日々を撮影し日々動画にあげると、これがまぁバズることバズること。
アイドルになっていないからこそのレア感がたまらない。
人が努力し悩み足掻く姿は下手なドラマより胸を打つ。スポ根ものが心を捉える仕組みと一緒だ。
アイドル候補生とプロデューサー、そんなマンツーマンで育て上げられたアイドルは『水着DE運動会!』に挑み、競い合う。
歌、ダンス、美貌、スタイル、運動神経、その他様々な技を披露して勝利を勝ち取るのだ!
「いやさ、猟兵にプロデューサーやってって言われるように『水着DE運動会!』に怪人が絡んできたんだわ」
一般人のみで突き進むと物理的に返り討ちになり血を見る羽目になる。
「そんなわけで、まずは育てたいなぁってアイドル候補生を選んで、キミらのお好みのアイドルに育ててあげてよ」
育成の模様はキマイラフューチャーの一般人が張り付きで動画撮影してアップされるけど、まぁ気にすんな。
猟兵のみなさんは、まずは心征くまでアイドルを育て上げてくれたまえ!
一縷野望
運動会って言ってるのは「アスリートアース」で出そうとしたなごりです
オープニングをご覧頂きありがとうございます
はじめに【版権に似せたネタは禁止】です! オリジナルなアイドルで遊びましょう!
(フラグメントは「育てるアイドルの推しポイント」のイメージで選んでいただけるのがよろしいかと)
【募集期間と採用人数】
このオープニングがでた時点で受付開始
採用は先着6名様ぐらいまで+オーバーロードの方全員
※ただし『下記の必要項目が書かれていない方』『版権全般やリアルアイドルに似せたアイドル候補生の指定』『その他公序良俗に反する、または書きこなせないもの』は流します
=========
【1章目】
>どんなリプレイができるの?
プロデューサーのあなたが選んだアイドル候補生とのイベントシーンの1つを描きます
・候補生の悩み相談にのってはげます
・候補生のレッスン、弾けるような魅力に痺れるあなた
・候補生と内緒のデート
・他、アイドル候補生とやりたいこと
・育てる方向によってはスポ根もあり
>プレイングに書いていただきたいこと
1.育てるアイドルの性別・外見・性格・口調など
(一部だけの指定やマスター全部お任せもOK)
2.アイドル候補生との日々でどんなシーンを書いて欲しいか
3.あとはお好きにどうぞ
※アイドル候補生はこちらで動かしますが、言って欲しい台詞などは書いていただけると織り込みます
【2章目】
ドタバタな水着運動会の予定
運動必須ではないので、競い合う項目はお好きにどうぞ!
どのアイドルが勝つかはダイスで決定します、が
「俺の育てたアイドルはオンリーワンだから、順位は関係ない」って指定も可能です
(その場合は2章目の敵と『アイドル勝負をして勝つ』のみとなります)
以上です
ノリと勢いでどうぞ! ご参加お待ちしております
第1章 冒険
『対決★激突★コーデバトル!』
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POW : 服が何だ、肉体こそが最大のファッションだ! 美しい身体を最大限にアピール出来るファッション
SPD : クールでスタイリッシュなファッションで勝負! 貴方がスタイリッシュだと思ったものがスタイリッシュです
WIZ : 可愛らしさ・素朴さ・もしくは芸術性をアピール! 僕の私のオンリーワンスタイルを見せつけてやれ!
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
氷宮・咲夜
1.
性別:女
外見:綺麗系。ロングナチュラルの黒髪。均整の取れたプロポーション
性格:大人しい。けれど芯の強い努力家
口調:丁寧
2.
お悩み相談シーン
上を目指すなら全てに秀でなければならない。その意識が高すぎて
自信が持てない、突出した分野がないからアピール力がない
お悩みはその辺りかしら
今はレッスンに耐え抜いた事に自信を持ちなさい
未熟な自分を見てもらうのはもう終わりにして
成長した自分を見せてあげなさい
その高みを目指す突き抜けた意思をアピール力にするのよ
3.
私のプロデュースで一人の人生が変わり
その一人はいつか多くの人生を変えるかもしれない
面接と情報収集により慎重に選んだのが彼女
決め手は自己PR欄を埋め尽くす『上を目指す気持ちは誰にも負けません』の言葉
こればかりは私も育てられないから
その言葉通り、基礎体力向上、ボイトレ、ダンス、|炎上耐性向上《言葉責め》
等々、過酷なスケジュールによくついてきてくれたわ
レッスン動画視聴者からサディスト呼ばわりされたり変なファンレターを送り付けられた甲斐があるというものね
●
外見や技術なんぞは本人の努力次第で幾らでも磨き上げられるものだ。
氷宮・咲夜(精晶石の魔術師・f37939)は目を通した履歴書の束に失望のため息を浴びせる。
どの子も逸材だ。しかし『“私”があなたの人生に介在したい』という咲夜の夢を叶える子はいない。
最後の1枚を期待せずにつまみ上げ視線を落す、直後凍てついた咲夜の瞳に熱が灯った。
――ああ、見つけた。
その娘『鷹園・有羽(たかぞの・ゆう)』は、外見だけならばただの美しい娘に過ぎない。
磨き上げられた白磁の肌も、腰までの艶やかな黒髪も、均整のとれた体躯も、アイドルのスタートラインなら普通にあるべきレベルに過ぎない。
だがこの渇望はどうだ。
『上を目指す気持ちは誰にも負けません』を沢山の言い換えで文字数の限りに連ねる泥臭さ。
ああ、全力でこの子を“推したい”
全てから一定の距離をあけ睥睨するような女は、はじめて手をかけたい存在に巡りあった。
●
強めに閉まるドア。レッスンルームに有羽を残し咲夜はいつも通りの鉄面皮で廊下を過ぎる。
『……あの人でしょ、モラハラプロデューサーって有名なの。動画見たけど有羽ちゃんへの罵声がひっどいの!』
『聞いた聞いた。あげつらうような言い方でさぁ、ないわー』
『メンタル管理だってプロデューサーの仕事なのにってうちのPが……』
再び開いたドアに2人は慌てて口を閉ざした。現れたのは憔悴仕切った顔色の有羽だ。
「プロデューサーさんの悪口は止めてください」
『今はプロデューサーさんいないし嘘を言わなくていいよー……』
『てか、プロデューサー変更の申し出は候補生に認められた権利だよ、有羽ちゃん』
「……」
私達は味方だよって顔で滲むのはその実憐憫と同情だ。有羽は一瞬眉を寄せ泣きそうな顔になるもすぐに凜と前を向く。
「ごめんなさい。まだダンスレッスンが残っているのでこれで失礼します」
気遣いを無視された形になり悪口は有羽本人へのものになる。だが炎上耐性レッスンをクリアした有羽にとってはただのノイズでしかない。
ボイスレッスン場には既に準備を終えた咲夜が待ち構えていた。
有羽は礼をするとすぐにマイクに向かう。だが音楽を流さず咲夜は問いかけるのだ。
「悔しかったのかしら?」
「はい」
今時のアイドルは炎上への耐性も必要だ。なので咲夜はこの真っ直ぐな娘へ理不尽な罵声に耐えうる訓練も施している。
先程の訓練中は何も言わずに堪えていたが、今ここで悔しさを顔に出している時点で精神力の強靱さがまだ足りない。
(「有羽は、全体的な能力の高さは申し分ないわ。けれど足るを知らぬが故に自信が持てない」)
「……私は凡庸です。アイドルとしての魅力がまだまだ足りません」
「突出した分野がないからアピール力がない……それが引っかかるのね?」
だが「はい」に続く台詞は咲夜の予想を超えた高潔なものであった――。
「だからあんな風にライバルに同情されて、更にはプロデューサーさんのレッスンが間違っているとまで言わせてしまいました」
ぎゅうと下唇を噛みしめ拳を握り、有羽は長い睫の瞼を伏せて絞り出す。
「悔しい……ッ、です! 私がもっとアイドルとして完璧なら、あんなことは言わせませんでした……!」
ああ、やはり……と、咲夜は胸に疼く高揚に興奮する!
(「既にこの子はアイドルとして素晴らしい、だから私を魅了して止まない」)
「有羽」
そっと下唇に指を掠め、噛み破らぬようにと緩めてやった。震える肩に掌をおいて、咲夜は鉄面皮に微笑みを描く。
「今はあの厳しいレッスンに耐え抜いた事に自信を持ちなさい。今あなたが口にした悔しさはアイドルとして完成に近づいているからこそ溢れたものよ」
「アイドルとして、完成……?」
「……プロデューサーの私が悪く言われることへの不甲斐なさは、まさにファンの想いを背負って立つ覚悟ができているから。ふふ……」
咲夜は動画カメラに向けて片目を閉じて皮肉に笑ってみせる。
「レッスン動画視聴者からサディスト呼ばわりされたり変なファンレターは一杯送り付けられてるもの、今更よ」
「! そんな酷いファンレターが届いてるんですか?」
「ええ。だけど私は間違っていないわ。それを証明してくれるのは、有羽、あなただけよ」
慢心を恐れ控えていた賞賛。
だが彼女は既に受け取る権利を有している。
「その高みを目指す突き抜けた意思をアピール力にするのよ。あなたなら、できるわ」
瞠目する有羽の肩を叩く。魔法をかけるように――。
「未熟な自分を見てもらうのはもう終わりにして、成長した自分を見せてあげなさい!」
「……ッ、はい!」
――私のプロデュースで一人の人生が変わり、その一人はいつか多くの人生を変える。いや、いつかは、今だ。
「じゃあ、もう歌えるわね」
これはまだレッスンだ。
しかし――画面の外の視聴者よ打ち震えるが良い。既に凡百のアイドルなぞとっくに凌駕した鷹園・有羽という娘の歌声に!
大成功
🔵🔵🔵
笹乃葉・きなこ
1.女 ガチケモ系キマイラ
後はお任せ
2.
アイドルは芸能人
つまり芸が出来ねーと駄目だべ
お前さんを輝き続けさせるためにこれから血反吐を吐かせるかもしれないけど、頑張ろうな
3.
文字通り、休日以外は地獄のトレーニングだべ
口だけのプロデュースに誰もついてこないと思うから、可能な限り一緒に同じトレーニングをするべ
わからないステップとか有るなら実物見せて教えたり
発声とか踊りとか筋肉使うよね
無駄な筋肉がつかない効果的な筋トレメニュー組んだり
誘惑とダンスでどう他人を魅せるとか教えたりとか(ノットエロい意味)
さぁ、たっぷり地獄を味わって成長しようなぁ
そして、芸術品になってくれよなぁ
●
「ふぅむ、身体は牛で頭は素早い猫ちゃんだべか」
緊張でカチコチな草場うい(18)の尻尾が揺れた。むっちりボディは鈍重めでニッチ需要には向くだろうがバズりは数が物を言う。一般ウケが大切だ。
「ウチなんて……て、なにさわっとるんですか?」
たが、がっしり太もも他脂肪の下には筋肉が眠ると笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)はお見通しだ。
腰が隠れる程の巨乳はきなことお揃い、鍛え方はよーくわかる。
「お前さんもおらとお揃いで心臓強いべ? そーれで充分だべ!」
(「このプロデューさん、ウチに期待してくれとる?」)
「お前さんを輝き続けさせるためにこれから血反吐を吐かせるかもしれないけど、頑張ろうな」
「はいー!! はぇ、血反吐?!」
確かに言った『血反吐』って。
●
――草場ういの1日は、砂浜100本ダッシュから始まる!
「は、はひゅる~ひ~きゅ~」
べしゃっと砂浜に汗と涙とキラキラ処理された何かを垂れ流し、ういはびくんびくんっと全身痙攣中★
『ういたん、今日も朝から死んでるw』
『・・・くるぞ。きなPのアレが』
『アレか』×8ぐらい
『膝』×10(数えました)
がーーーっと流れる字幕弾幕がモザイクの役目を果たすが、ごぎょりという打撃音までは消せない。肩をつかんで膝蹴りを背中に入れて、はい再起動完了。
でもって首根っこをつかんで海へぼしゃーん! だがコメントは冷静に『いつものこといつものこと』と流れてく。
隣ではきなこが素潜りで……あれ、何分もぐってんすかね、この人。
「ほいほい次いくべ! 足を、あげて! 肘と、つけて!」
「あし、あげ、ふにゃ……肘、つけぇ」
しゃきしゃきとしたきなこの動きを精一杯に真似る牛猫少女うい。
この動画、筋肉ダイエットに最適と別のバズり方を見せている。つまりアイドルとしてはイロモノ扱い、しかしきなこの瞳は揺るぎない。
「ふっふっふー、今日は芸術品『うい』をお目にかけるべ!」
『え、なに、今日は室内?』
『マイクあるぞ』
『そんなまるでアイドルみたいじゃな(ry』
ずんずん、どんどん、ずずんずん♪
「にゃもーーーん!!! にゃにゃにゃんにゃっも!」
低音が効いたメロディが流れ出し、汗と涙と血だらけのういがいきなりのシャウトから高速ラップを弾き出す。
『息継ぎしてる?!』
『歌い出して3分経ってるぞ』
『キレッキレダンスや』
『すげえ』×13
まさに|芸術品《イリュージョン!》
背景にはドヤ顔のきなこが映りこんでいる。
素潜りで鍛えた無限の肺活量と鍛え抜かれた筋肉が魅せる荒ぶるダンス――ここに大型無呼吸ラップアイドルが誕生した!
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
1.
性別:女
外見:十代半ばキマイラ(爬虫類系)、そこそこ可愛らしい
性格:大雑把、自己顕示欲は強い
口調:不慣れな丁寧口調
2.
はっはっは、この妾が、逸材を更に伸ばしてもそう面白味があるまい?
このままでは光らぬ原石を輝かせよう!
お主のレッスンサボり癖は、好きでもないことをやっているからか
ならば己の得意を極めるのが良かろう、総合点より最高得点よ
つまり「魅せ方」!
観客を、カメラの前の視聴者を、一目惚れさせる
「この子は今、私のためだけに笑ってくれている」
…そう思わせる表情や決めポーズを、どんな状況下でも作るのだ
歌やダンス中、カメラがフォーカスされたと思ったらすぐにキメる、お主の努力はその練度に一点集中だ!
●
右頬と太ももに翡翠の鱗。有鱗目の縦型アーモンドの瞳孔は細く薄い唇も切れ上がるような造作。肌は飴がけしたように艶やかなスレンダー体型。
そんな|朱理・美羅《じゅり・みら》はサボりが理由で3人のプロデューサーに見限られた問題児だ。
一方、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)からすれば、真面目な逸材を更に伸ばすなどという既定路線は退屈すぎて欠伸が出る!
さて、レッスン開始初日。
動画撮影者からも見限られた美羅は早速レッスンをサボる。砂浜でぼんやりしている所へ菘は自らまわすカメラを見せつけ現れた。
「ッ! プロデューサー」
美羅の視線がカメラへと吸い込まれる。
「……やはりな、お主は承認欲求の塊。いいやむしろ承認欲求が本体、他への関心は一切ない」
ぴぽん! と録画停止の動作音が響いた。すると美羅は露骨にふて腐れ唇を歪める。
「ハイハイお説教ね? 人気になるには基礎的なレッスンが大切だーとか……」
カメラが止ったならもはや取り繕う必要もない。
「皆同じことしかいわねーし」
どうせこいつもあたしを見限る。
「実に、良い」
だが、菘の反応は美羅の予想をあっさりと裏切った。なんと、清々しいまでの言い切りか!
「承認欲求に特化したその欲望、実に実にアイドルとして好ましい!」
くいっと顎をつかみ持ち上げられた容は、困惑と喫驚に染まる。
「くくく……素の困り顔を喜ぶ視聴者もいるであろう! 会員限定動画も一興よ」
停止音はフェイクだ。ずっと録画していたカメラを掲げ、先割れ舌で耳朶を掠める。
「お主はどんな朱理・美羅を魅せ虜にしたいのだ? 画面の向こう側にはお主が籠絡できる“獲物”が沢山いるぞ」
うっそりとした声音で囁いてから真正面に回り込み、ひたりと冷たい指で頬を包み菘は美羅の揺らめく双眸を逃すまいと捉える。
「妾がお主だけを見てやっているように、お主は画面の向こう側の人間に夢を魅せよ」
「――!」
自分の根底欲望の全面肯定をされてほだされぬ知的生物なんぞ、そうそういない。
「あたし、どうすれば? 今この気持ちをくれてる菘プロデューサーのようになりたいっです」
熱く脈打つ胸を押さ肩を震わす健気さは、即座に菘の心を鷲づかみにする。
(「やはりか。“相手に好かれたい”という衝動が、美羅の能力を爆発的に上昇させる」)
「ははは! まさに今のお主であるぞ、美羅」
「え?」
「『この子は今、私のためだけに笑ってくれている』と、視線、表情、息づかいすらも表現しカメラに映し出すがよい」
カメラがフォーカスされた時には『最高にキマった美羅』だけを切り取らせる――。
「お主の努力はその練度に一点集中だ!」
「! はい!」
見せ掛け? 上等だ! コンマ0.1秒に魅力を集約しハートを奪い続ける、美羅はそれが出来る唯一無二のアイドルなのだ!
大成功
🔵🔵🔵
クーナ・セラフィン
うーん無茶ぶり。
でも微妙に違うけど聖女の祭り上げ方ならよく知ってるし頑張るかにゃー。
候補生は獅子キマイラ十代少女。
大柄でワイルドな外見に反して内気で…あれすごい既視感。
警戒心解くよう紳士的にこれから、よろしくね?と挨拶。
特訓の合間に彼女の趣味とか通して本心聞ける位に親しくなりたいな。
ダンスなら全身の毛並みの綺麗さも大事…あ、この石鹸結構いいみたいとかそんな話も。
…体が大きいからアイドルできるか心配?
大丈夫、他人と同じ|偶像《アイドル》になる必要もないんだから。
魅せる要素は幾らでもあり、キミにはキミの良さがある…私が保証するよ。
だから、一緒に頑張ろう?と口説くように説得したり。
※アドリブ等お任せ
●
さすがキマイラフューチャー無茶ぶりがぱない。
それでも聖女の祭り上げはよく知ってるしと、クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)が相まみえたのは、でっかーーい女の子だ。ざっとクーナ5人分の身長の獅子キマイラっ子。
「……日生・ほづみ(ひお・ほづみ)です」
ひらりと台に飛び乗って、クーナは大きな手で顔を覆う少女へ微笑みかける。
「これから、よろしくね?」
蚊の泣くような声の「お願いします」が初日の精一杯。
●
ボイトレとダンス中心のレッスンを真面目にこなすも顔色は冴えない。
「ダンスは嫌い?」
「あ……いえ、大好きです。でも、私大きくて可愛くないですから……お姉ちゃんが勝手に応募しちゃうし……」
落ちる肩を励ますようにちょん。
「お姉さんの審美眼は素晴らしいわね! 大丈夫、他人と同じ偶像アイドルになる必要もないんだから」
クーナは思い切って肩へ飛び乗った。
「わわ、あ、プロデューサーさん、いい香り……」
肩のりクーナに驚くものの、ほづみは拒否しなかった。
「ふふふ、間近でみればわかるわ。オレンジの毛並みがとっても鮮やかだし、一房のシルバーもお洒落よ」
小さな手で鬣を掬いそっと撫でた。少し硬くてゴワッとした手触りには、ふむり。
「ねぇ、ほづみさんは私の香り好きって言ってくれたわよね、これね、金木犀なのよ」
あっちに行ってーと両手をちたぱた。クーナの3歩を1歩で歩き、ほづみは鞄の傍にちっちゃなプロデューサーをおろす。
「あったあった」
クーナが両手で抱えあげた石鹸はほづみにとっては掌サイズ。
「私も使ってるけど毛並みに艶が出てとってもいいの。レッスンの経費で落ちるから、思いっきり好きなだけ使ってみて」
「いいんですか? わあ、嬉しいなぁ」
照れたような微笑みににぱぁっとクーナはにゃんこの笑み。
「キミにはキミの良さがある……私が保証するよ。だから、一緒に頑張ろう?」
「……! は、はい。あの、本当は私がアイドルに憧れてて動画を一杯見てたから、お姉ちゃんが応募してくれたんです!」
「そっか。じゃあ、アイドルになっちゃおう!」
『師弟愛エモエモ』
『猫科師弟尊い』
『ほづみちゃんおっきいのにちっちゃいハートギャップ萌え』
「あ、ほら、ほづみちゃん、見て見て、コメントついたわよ」
またちょこんっと飛び乗って、クーナは画面に向かって手を振った。
「ほづみちゃんを応援してくれてありがとう!」
「私、これから頑張りますっ!」
画面に映りこむちっちゃなハートの獅子乙女。彼女のアイドルストーリーは始まったばかりだ!
大成功
🔵🔵🔵
尖晶・十紀
アドリブ絡み歓迎
やりたいこと
悩み相談にのってあげる
心情
アイドル育成……たまにはこういうのも良いかもね。パンクアイドルユニット|IAA《アイシーアッシュアーティフィシャル》での活動経験がきっと活きてくれる…
候補生は14歳の女の子だね。練習熱心で歌や踊りも上手いけど、舞台に上がると緊張して笑えなくなってしまう悩みを抱えている…とか。上手く力になってあげられたらいいね
候補生と会ったらまずは一通り演技を見てから、軽くステージに立って貰う…なるほどこれは重傷。どうアドバイスを…そうだ、好きなものを思い浮かべたら、どう?好きなものを考えたら、自然と笑顔も出るはず
もしくはいっそのこと、笑わないアイドルを目指すとか。十紀の所属しているユニットのコンセプトが、そうなんだけど…IAA知ってるの?嬉しいね、ありがとう。で、だ。氷みたいにクールでカッコ良く、他者を圧倒する…そんなアイドルも良いんじゃないかな?
●
パンクアイドルユニット|IAA《アイシーアッシュアーティフィシャル》のメンバーである尖晶・十紀(クリムゾン・ファイアリービート・f24470)は、育成される側の視点も持つのが武器だ。
さて。
彼女が担当するのは大江・千暁(おおえ・ちあき)
パッションブルーのツインテールが目を惹く、くりっとした猫っぽいツリ目もキュートな14歳の女の子。
跳んだり跳ねたりのダンスもとにかく映えるし、歌もどの方向性に進んでもこなせるぐらいに地力がある。
アイドルとして順風満帆に思える千暁だが、時に容に曇りを灯すのが気にかかる。
(「疲れかと思ったけど、特定のタイミング……のよう」)
「お疲れ様。いま大丈夫かな?」
「はい! プロデューサーさん、もう次のボイトレいけますよ!」
元気はつらつ輝く笑顔。さぞかしファンを魅了することだろう。
「そろそろデビューライブの日取りも決めたいし、今日は本番さながらの舞台練習をしようか」
一瞬で表情が曇った。
……やはり、舞台に立つことにトラウマがありそうだ。
「あ、はい……えっと~……はい」
口を何度もあいたり閉じたりしてから作られたのはひきつり笑い。悩みを切り出す流れにはならなそうだ。であれば荒療治だが舞台にたってもらうとしようか。
●
笑うのは、好き。表情は豊かな方だとも、思う。
舞台に立って、観客や画面の向こうで見てくれているファンに目一杯の夢や希望を与えたい。
キラキラの星に、なりたい。
なりたいのに――……。
「♪ゆめ・ゆめ、あ・な・た~」
愛らしい歌声と振り付けの度にスパンコールが煌めく。若々しく可憐な|アイドル《千暁》だが、能面の如く全く表情が動かない。
練習の時は曲にあわせてくるくる変る、笑顔一杯で爽やかだったのにも関わらず、だ。
「……なるほどこれは重傷」
十紀は全てを理解し紅を瞬かせた。
音程とダンスは完璧、だが顔だけがガチガチに強ばっていて全て台無し。
歌声が止んだ。舞台の上から「黙っていてごめんなさい」と泣き出しそうな謝罪がハウリングを連れて響く。
「……そうだ、好きなものを思い浮かべたら、どう?」
再び伴奏を流してみる。だが千暁が辛うじてみせたのは自分への諦めを滲ませた苦笑のみ。
「ごめんなさい……ちっちゃな頃からこうだったんです。歌は大好きなのに……お祭りのど自慢動画でも声が出てこなくて……ッ、うぅぅ~」
「千暁」
十紀は舞台へふわりと飛び乗ると、顔を覆って泣き出した千暁の背を撫でる。
「でも、今は歌えてた。ダンスだって、練習よりずっとずっと格好良かった」
「だけど! わらえないんッ……です……歌を聞いてもらえて楽しい、はずっ……うぅぅ~」
「……そっか、舞台に立つと緊張してしまって笑えないんだね」
本番さながらのパッションピンクのメイクも剥がれボロボロ、それが千暁の絶望にピッタリのようで、十紀はなんだか凄く悔しい。
「よし、メイクをなおそう、思いついたことがあるんだ」
相変わらずも一本調子の十紀だが、知る人が聞けば千暁を励ましたい一心だとわかる。
沢山の鏡が壁にある控え室の椅子に座らせると、クレンジングシートで一旦メイクをオフする。
「……提案なんだけど、いっそのこと、笑わないアイドルを目指すのはどうかな?」
そうして今度はモノトーン寄りの色を選び取り、手際良くシャープなメイクを施していく。
「やっぱり自分にするメイクとはまた違うね……あ、笑わないアイドルって、十紀の所属しているユニットのコンセプトが、そうなんだけど……」
「え、プロデューサーってユニット……え、わ、十紀ってもしかしてIAAの……わぁあぁ! 」
赤のメッシュに赤の瞳、冷貌から繰り出される衝動のドラムスは烈火の如し。圧倒的なビートは|昂ぶる宴《ライブ》に捉えて放さない。
「IAA知ってるの? 嬉しいね、ありがとう」
すっと頬に手を宛がわれたら興奮で火照ったままで千暁は口を閉じる。鏡に映る少女から消沈は消え失せて、今はIAAの十紀の魔法に瞳を輝かせる。
「その嬉しそうなファンの顔が十紀達のパワーの源。そして今度は千暁が受け取る番」
メイクを済ませてツインテールを解く。艶やかに梳かした髪へシルバーをインスタントにカラーリング。
「うん、やっぱりだ。スタイリッシュもすごく似合う。良かったらこれも着て立ってみて」
十紀は着ていたジャンパーを肩にかけた。
ワイルドブラックを身につけたとたん、鏡の向こうの千暁は完全に変貌する――庇護欲そそる可憐な娘から、熱狂の旗手たり得るカリスマへ。
「……わ。は、はい!」
きりりと口元を引き締めて、瞳を僅かに閉じ気味にしてみせる。
「うん、衣装とメイクに喰われてない。良いね」
「! 本当ですか?! あ、笑っちゃダメですよね……でも、嬉しくって……胸がいっぱいです……!」
つられて十紀も僅かに頬を緩めた。
良かった! 弱点を武器にと提案したけれど、この路線が千暁の負担にならないか心配していたのだ。
「はしゃぐとチャーミング、そんな舞台裏を見せるかはこれから決めよう。舞台ではクールでカッコ良く、他者を圧倒する……そんなアイドルも良いんじゃないかな?」
「はい! あのっ、もし良かったらですけど、IAAのカバー曲でデビューライブいきたいです!」
「……うん、考えておく。無理でもピッタリな曲を用意するから、楽しみにしてて」
「はい!」
そうだ、感情を見せぬ氷でありながら熱烈なるビートを繰り出して、観客の視線と心を釘付けにしてしまえ!
大成功
🔵🔵🔵
涼風・穹
1.女性
僕っ娘
あまり素直ではなくつい逆のことを言ったりして後で落ち込むタイプ
後はお任せ
2.まるっきり無自覚なプロデューサー役
事務所のアルバイトで普段は会場設営やらをしていて、今回は事務所の都合で候補生の手伝い役を押し付けられた(と本人は思っている)
当然育成についてはド素人
事務所から候補生にやらせるように指示されているトレーニングメニューの意味や効果なんて分かりません
……いや、そんなに嫌なら止めても良いんじゃないか?
別にアイドルになれなければ死ぬ訳でもないし、後々迄考えれば勉強して公務員を目指すとか色々あるだろう
そりゃまあ努力すれば報われるとは限らないだろう
才能や運もあるし金の問題も大きい
もしかすると、他の方はもっと努力をしているのかもしれないけどな
……みたいなどう考えてもプロデューサーとは思えない台詞を平気で吐きます
候補生の愚痴を聞かされたり時には喧嘩をしたり、トレーニングメニューについて素人なりに調べて頑張ってみたら候補生から間違いを指摘されたりと、日常系(?)な育成物語をお願いします
●
「設営スタッフも必要だろ? ちゃんとオブリビオンは倒すから」
……なぁんてノリでキマイラフューチャーに飛んできた涼風・穹(人間の探索者・f02404)だが、流れってもんがあるのか事務所から候補生のプロデュースを押しつけられる。
『辞めたがってる子だけど、ほったらかしも酷だからさぁ、頼んだよ!』
その辞めたがってるアイドル候補生がこちらです!
|水寄《ミズキ》あおい、13歳。茶髪のおだんごヘアで顔立ちは親しみの持てるお転婆妹系。
「もー! やだやだやだぁ! 地味なレッスンあーきーたー」
レッスン場で投げ出した素足をじたばた。お腹に力を入れてじたばたじたばた。
「体力有り余ってるなぁ」
隣にしゃがむ穹は、手元で壊れた踏み台を釘打ちして直す。
「前のPの言う通りにレッスンしたのにぃー、結局デビューできないじゃん! もうやーだーーー!」
更にはごろんごろん転がるのを眺めてぽつり。
「お団子潰れるぞ」
「どうせヘアスタイルいじったって僕は可愛くないし! いいよもう!」
あおいは頭のおだんごを掴んで投げ捨てた。|髪の毛《中身》は入ってなかったらしい。
「着脱可能なんだ、それ」
片側だけのお団子でふくれっ面のあおいに対し、ふぅんと穹は鼻を鳴らす。
「“僕って可愛くないし”」
|声が大きくなった。《否定待ち》
「そうでもないぞ。」
「♪」
あ、にやけてる。
でもすぐにぷいっとそっぽを向いて、影でダンベル体操してるぞ、なんてやる気があるんだ! だが穹は気づかずに続ける。
「……いや、そんなに嫌なら止めても良いんじゃないか?」
「!!!」
ギギギギギギギ。
皿のような瞳で「信じらんない」って顔をしているが、ダンベルは反対の手に持ち替えて筋トレ続行。
「後々迄考えれば勉強して地道で安定した仕事を目指すとか色々あるだろう」
キマイラフューチャーにそんな職種があるのかはさておき、あおいは提灯ふぐのようにパンパンに頬をふくらませる。
「そんなのワクワクしないー!」
「別にアイドルになれなければ死ぬ訳でもないし」
「僕は死んじゃうよ!」
かたん。
修理が終わった踏み台を穹がおくと、あおいは足をのせた。
昇って、おりる。
昇って、おりる。
……ああ、踏み台昇降って地味に体力つくもんな。
「努力は裏切らないよ!」
いつもはついつい反対のことばっかり言ってしまうが、芸能関係者とは思えぬ穹のやる気のなさには本音で声を尖らせる。
「そりゃまあ努力すれば報われる……とは限らないだろう、才能や運もあるし金の問題も大きい」
「ああもううぅ! そういう時は『キミの努力に応えて必ずやスーパーアイドルにしてやるぞ!』でしょ!?」
「社長の声真似上手いな」
「てへ★」
がっがっがっがっが!
▼踏み台昇降 の 速度 が あがった!
▼褒められて やる気 2段階アップ!
「……つってもなぁ、もしかすると、他の方はもっと努力をしているのかもしれないけどな」
▼こけた
赤くなった鼻をこしこししながら、もうっと眉を吊り上げて振り返る。
「なんでなんでー?! そんなやる気ないことばっか言うわけーー!??」
ぽこぽこっと胸を叩かれてもときめきかない、せいぜいが反抗期の子供だなぁぐらい。
「キミ、プロデューサーでしょおお!」
肩を掴んでゆさゆさされて赤いバンダナの先っぽを靡く。目は(==)のもはや虚無顔だ。
「でもさ、嫌なんだろ?」
「う……」
「散々に『レッスンが嫌だ』って言うから無理強いさせるわけにいかないって聞いてるぞ」
「ううー、そうは言ったけどさーあ。でも、なんか……| 《必死に努力してがんばります! って見せるの恥ずかしいし」》
ぴこり、穹の耳が揺れた!
▼聞き耳 クリティカル成功!
▼あおい の 本音をゲットした!
「なんだ、実はがんばりたいのか?」
「!!! そ、そんなこと言ってないし……」
「なんだ言ってないのか。じゃあ今日はこれで終……」
「あああ、もう、バカバカバカバカ! プロデューサーさんのバカっ! いいもんいいもん! そんなに言うなら、僕にピッタリのレッスンプログラム持ってきてよ!」
「え、今の流れからなんでそうなるんだ?」
と、穹が首を傾げたら、微細に渡りメモが書き込まれたボイストレーニング教本を顔面に投げつけられた!
●
翌日――。
「ぜんっぜんダメだね! こんなにボイトレを続けたら喉が潰れちゃうよー」
穹が徹夜で考えたレッスン計画は見事にぶった切られる。
「しょうがないだろ。素人なんだから、もう知るか」
眠気と疲労の極みで不機嫌を隠さぬ穹。
「これをーこうしてー……よし! できた!」
添削の赤入りプログラムをつきつけられた。
「ふふーん! 見て見て、休憩を入れてー、ここのボイトレをランニングにチェンジしたらー、カンペキ!」
下の方には『考えてくれてありがとう!💮💯』とある。
「花丸と100点……」
ぴらっとシートを回収した顔はちょっと照れて赤い、かも?
「最初はランニングで5分後に砂浜集合だよぉ! 遅れちゃダメだからね!」
飛び跳ねるように賭けだしていくあおいの背に、穹は肩を竦める。
「……ったく、どっちがプロデューサーなんだかな」
その後も穹とあおいはぶつかり合いながらもキマイラアイドル界を引っ張る一角へと名乗りをあげる。
合い言葉は『カワイイはゲンキ★』だ!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『自称・水着コンテスト優勝候補』パスト』
|
POW : こーゆーのもアピールになるから撮っとけよな!
戦闘中に食べた【お祭りグルメ】の量と質に応じて【グラビア撮影していたモブ敵達が興奮し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 誰がNo1か、お前ならキチンと言えるよなぁ?
対象への質問と共に、【指差した空】から【ぬいぐるみ龍『だいうるごす』】を召喚する。満足な答えを得るまで、ぬいぐるみ龍『だいうるごす』は対象を【炎ブレスと噛みつき】で攻撃する。
WIZ : 今から此処が会場だ!そして俺様こそがNo1だ!!
【猟兵のLv×10の数、水着姿オブリビオン】を降らせる事で、戦場全体が【水着コンテスト会場】と同じ環境に変化する。[水着コンテスト会場]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:ち4
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「百目鬼・明日多」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「「さて、やって参りました! 『アイドル★水着DE運動会! 決勝戦!』」」
キマイラフューチャーで今をときめくインフルエンサーカップルと言えばこの2人。
ロップイヤー男子『†るしへる†』
蝶女子『†ちかえる†』
――2人が背にするのは、上へ下へのお祭り騒ぎのナンタラドーム。
プールあり、舞台あり、周囲はお祭り屋台あり! 観客もアイドルも関係者ももみくちゃな所は「楽しきゃいいんだよ」なキマイラフューチャーのカヲスならではであろう。
「ふーっはっはっはっあ! 見事にここまで勝ち進んだのはすげえぜ!」
おおっと! 舞台中央に茶髪の海パン編み上げちょいエロ少年がが現れた!
そう、彼こそが此度のオブリビオン……で、いいんだよな、うん。まぁそう、猟兵が送り込まれた理由であるパストその人であーる!
「ちげーよ! 俺様こそがNo1だ!! この『アイドル★水着DE運動会! 決勝戦!』俺様がのっとった!」
会場の熱気がぶちあがる中、ロップイヤーのおみみを押さえてわざとらしく震える†るしへる†
「ど、どどどど、どーしましょー、|これは大変なことになってしまいましたー《めっちゃアゲアゲ! 面白くなってきたぁ!》」
きらりーんと蝶の羽根をひらめかせ、†ちかえる†がウインクし、拡声器で叫ぶ。
「さてさて★突然のナンバーワン宣言! そんなの強豪をぶち抜いてきたキャワキャワアイドルちゃんもぉ、ファンもぉ、赦すわけないよね?」
当然、煽る。
さて猟兵諸君――キミの隣にいるのは、今日という日に賭けてきた艱難辛苦を共に乗り越えてきたアイドルだ。
彼女ないしは彼の晴れ舞台を守り、アイドルパワーでパトスの心をべっきべきにしてついでに倒してしまうがよい!
*******
【マスターより】
この断章が投稿された時点より受け付け開始
プレイングの受付締め切りは13日(火)朝8時30分までです
>内容
1章目で育てたアイドルが、勝手に優勝候補を名乗っているパストとアイドル力で勝負します!
(2章からの飛び入りの方は、アイドルの設定があればその子と参加できますよ!)
パストはアイドルに負けそうになったらUCを使うので猟兵はそれを阻止してアイドルを守り抜いてください
>リプレイについて
基本はパストとあなたのアイドル(そして猟兵)との勝負です
戦える演目は以下から2つまで
・ライブ/水着アピール/ビニール筏にのって水鉄砲大会/他、水着運動会っぽい種目
(「ライブ」の一本勝負もOKです!)
※パトスの歌はカラオケでちょっとうまいなぁって程度なので、アイドルが勝ちます
猟兵はアイドルのサポートしたり、パトスをどついて邪魔したり好きなようにやっちゃってください
【バトルロイヤル希望他の猟兵が育てたアイドルと戦いたい】
プレイング冒頭に『B』と1文字記載してください
2人以上の希望者がいれば『バトルロイヤル形式の複数人リプレイ』になります
勝敗は判定とは別にこちらでダイスを振って決めます。恨みっこなしで!
>オーバーロード特典
上にプラスしてアイドルとの交流シーンがつきます
戦いの前・後、どちらでもOK
事前なら励ましてあげたり、事後ならこれからのことや今までの思い出話などできると思います
屋台ですきな物を買い食いしたり、プールサイドでお話したり、お好きにどうぞ
それではプレイングをお待ちしております!
【追記】
アイドルに着せたい水着やライブ衣装があれば、いただければ描写します!
ファッションのテイストのみなら、それを生かした感じのシーン描写ができれば、ぐらいになります(余り細かなファッションの知識がないので、すみません)
アイドルの持つアイドルのスキル(歌、ダンスなど)は、1章目から変ってもOKです
その辺りは更に新たな魅力を身につけたでいけるので、お好きなようにしてください!
尖晶・十紀
飛び入りか……こういうのもコンテストの醍醐味だね……それはそれとして、負ける気はないけど
水着とライブで勝負だ
ヘビメタに合わせて黒を貴重にした水着。シルバーアクセとメッシュ、フェイスペイントでクールにカッコ良く決めてみよう
がなりやシャウトも効果的に入れて
難しいけど千暁の実力なら歌いきれるはず
……本性、表したね……
UC発動、全力で楽器演奏のパフォーマンス
演目はIAAのカバー曲
大丈夫、君には十紀がついてる……必死に練習に励んだ日々の積み重ねがある……彼奴を思い切り圧倒して、完膚なきに叩きのめせ……!と鼓舞
アドリブ連携歓迎
●
「飛び入りか……こういうのもコンテストの醍醐味だね……それはそれとして、負ける気はないけど」
尖晶・十紀(クリムゾン・ファイアリービート・f24470)傍らに立つ千暁へ紅を向ける。
黒のタンキニをシルバーアクセで敢えて右側に寄せて盛り付けね。そんなアシメトリーは、メッシュを入れた髪とフェイスペイントにも徹底されている。
「……」
千暁は無言で立てた親指を下に向けた。
『おぉっと! ブリザード・レディ千暁からの宣戦布告です!』
「へぇ、俺様に歌で喧嘩を売ろうってのかよ」
直後の荒々しいドラムにて、パスト用の伴奏もパスト自身の存在感も消去される!
オーディエンスは舞台で俯き髪を垂らす千暁へ目を凝らす。
ふわり。
浮遊感伴い持ち上がった青髪が異貌の花と咲き、
「ウゥオォオオオオォ!」
たったひとつのシャウトで万人の視線をかっさらった! 皆の興奮を千暁は裏切らない。十紀の叩くドラムに馬乗りし荒いがなりをぶちかます!
「幸せかぁ? って てめぇら誰様! WO! あたしがあたしダッ!」
観客席にアイスブルーのライトが溢れてだした。
『『『いぇい! いぇい! いぇいいぇい!』』』
アジタートに叩かれる十紀のドラムに合わせオーディエンスは拳を振り上げ大興奮。
「ぐぬぬ……っざけんなぁ! 愚民ども、俺様を見ろォ!」
怒り狂ったパストの叫びで水着オブリビオンが降ってくる。観客席からは「千暁が見えない」と大ブーイングだぁ!
「さて……本性、表したね……」
十紀は落ち着いてメロを切り替えた。
「……ッ」
アクシデントに気圧された千暁はメロディが変化したのに気づく――これは、IAAのカバー曲。
「千暁、最高にマーベラスだったよ。大丈夫、君には十紀がついてる……」
「IAAの一番好きな曲……です」
シンバル連打。十紀は「歌って」と叫び、アレンジで歌い始めを引き延ばす。
「必死に練習に励んだ日々の積み重ねがある……彼奴を思い切り圧倒して、完膚なきに叩きのめせ……!」
「……はい、いきます――オォオゥいぇッ!!」
歌い始めにあわせて十紀の全身全霊のドラムスが会場を揺さぶる。そうしてヘタレパストが呼び出したオブリビオンの群れを一掃した!
『これIAAの曲じゃん。解釈最高!』
『ドラム叩いてるの、もしかして本物の……』
観客をちらり睥睨、それはまさに無笑のクールユニットIAIの十紀の所作。
「てめ……まさか猟へ……」
「雑音不要、無粋な邪魔は更に無用!」
仕上げはオルタネイトスティッキング、目まぐるしいドラムの叫びと歌姫の声だけを聞け!
大成功
🔵🔵🔵
笹乃葉・きなこ
うい…うぃうぃうぃ!うい!
何、ダメとかウチには無理とか言ってるんだべぇ
自身だへぇ、お前さんはおらが芸を仕込んだ芸術品なんだべぇ
自信だべぇ、自信を持つんだべぇ
自信がなければどんな芸を持っていても気持ちで駄目になっちまうべぇ
栄光がつかめねぇべ
さぁ、自信をつけて栄光を勝ち取るために先ずはパストという山を切り開いてやるべ
おらが教えたりダンスと歌でアイツをぶったおすんだべぇ!!
パストが何か食べ始めてるんだべぇ
邪魔しちゃおう
そうだ、オラも食べてパストの分なくしちゃお
もしくは配給元から断つか(ニコォ)
…ああ、おらの育てたアイドルがまぶしいべぇ
……食べ頃(倒す相手)になってくれたなぁ。うい♥
……ふふふ
まってたべぇ
さぁ、サドンデスだべ
和装アイドルのちょっとえちちな服装で登壇して
ういにアイドル勝負
どう戦うかはパストと同じ勝負でいいべ
おらが育てたアイドルがおらを超えるそれこそ本当にういが独り立ちができるんだべぇ
お前はオラのロボットかぁ?
何時までもおんぶに抱っこかぁ?
ちがうよなぁ?
さぁ、うい♥潰し合おう♥
●
『ウィナー! 千暁ィーー!』
熱狂アイスブルー、草場ういはライバルカラーのライト海でおぼれかけている。
「……うぅ、ぅぅ。ウチにあんなん相手は無理ぃ。ウチ、だめぇ……」
「うい……うぃうぃうぃ! うい! 何、ダメとかウチには無理とか言ってるんだべぇ」
漸く見つけ出したと、笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)はういの肩を抱き控え室へと引きずり出す。
「自身だへぇ、お前さんはおらが芸を仕込んだ芸術品なんだべぇ」
お揃いシャツに包まれた豊満な胸を押しつけて、三角耳に巫山戯てかぷり。
「うぅひゃあぁ! プ、プロデューサーさぁん……でもウチ、力は強くなったし肺活量はすんごくなったけど……あんなにキラキラしとらんです」
大人しそうな瞳を潤ませしゃくり上げる所作は少女のよう、だが身体は圧倒的な色香を持つダイナマイト!
この奇跡的なギャップを併せ持てる強さを本人だけが気づいていない。
「自信だべぇ、自信を持つんだべぇ」
暗示のように唱え連れ込んだ控え室でういの服をヒッペ剥がす。
代わり紫の華ロリチャイナを着せ、猫耳にあわせたツインテールをコテでくるんくるん。
「……自信がなければ、どんな芸を持っていても気持ちで駄目になっちまうべぇ。栄光がつかめねぇべ」
ほんのりチークは桜色、ぷるんっぷるんのグロスで武装完了! 鏡には、豊満にして清純な1人の美少女キマイラが現れる。
「これ、ウチ?」
「……勝ちたいべか?」
「勝ちたいよぅ……」
にんまりと口元を持ち上げて、きなこは舞台へ強く背中を押した。
「ほったら、おらが教えたりダンスと歌でアイツをぶったおすんだべぇ!!」
●
「あっづ、このたこ焼きうっめぇ! てめぇら、ソースで飾られた俺様も撮っとけよな!」
舞台にはずらりと屋台が立ち並んでいる。大興奮の|撮影者《モブ》はみなオブリビオンだ。
「みんな! ウチのこと見てぇーーー!」
ずんずん、どんどん、ずずんずん♪
「にゃもーーーん!!! にゃにゃにゃんにゃっも!」
ういの大音量ボイスに、オブリビオンを越えた先のオーディエンスが反応した。
『あれ、筋トレアイドルの子じゃね?』
『ノンブレスラップのういたんか』
とたんにペンライトが砂浜の黄色に変り方々からういたんコールがあがり出した。
「なんだよ、あのやたらと発育いい奴」
ドンタクドンタク! リズムにのると胸の双丘が大きく弾む。
「お前さんの貧相な身体とは大違いだべ? あれこそ、おらの育てたアイドルだべ」
甘ロリと侮るなかれの大胆なスリットからは、鍛え抜かれた美しき脚がすらり。激しい振り付けでも歌声は一切ブレない。
「……ああ、まぶしいべぇ」
「け! あんなのもっと屋台で喰らいまくって俺様が……あぁああ!」
屋台SOLD OUT。
牛柄Tシャツをソースとタレだらけにしたきなこが、発泡スチロールのお皿(大量)をゴミ箱にぶん投げる。
フードファイターここに極まれり。全てお腹にお片付け完了である。
『食いっぷり映え』
『BAE』
『ばえ』
|モブ撮影者《オブリビオン》は、大食いきなこという映える被写体に満足し骸の海へと還る。
「待てよー、俺様を撮っていいんですよ?」
『映えない、いらん』
――パスト敗北、出番終了。
「♪今日は楽しみぱーりぃない! にゃっもぅ、もももぅ!」
マイクを掲げてきらりん★ くるりと広がる裾が花開き、オーディエンスは完全にういの虜だ。だが、唯一冷静に口元を歪める奴がいる。
「……|食べ頃《倒す相手》になってくれたなぁ。うい♥」
口元を拭うきなこは自分の胸ぐらを掴むとTシャツを取り去った。
「ふぇ? ……プロデューサーさん?」
「……ふふふ、まってたべぇ」
脇は素肌、胸元は指三本分の幅の布で隠すのみ、着物は膝上20センチ! 早着替えで現れたのは、ちょいえち★アイドルきなこである!
「さぁ、サドンデスだべ! うい、おらと歌で勝負だべぇ!」
『――あぁっと! ここでまさかの師弟対決ぅ! 飛び入りアイドルのきなこちゃんです!』
すかさず†ちかえる†が煽る。会場は『うい』と『きなこ』コールが拮抗だ!
後ずさりいやいやと首をゆらすういに対して、きなこはやる気満々の舌なめずり。
「おらが育てたアイドルがおらを超える……それこそ本当にういが独り立ちができるんだべぇ」
「しょんにゃ……プロデューサーさんと戦うなんて、ウチ、ウチ……」
「――お前はオラのロボットかぁ?」
キィン! としたハウリングボイス。きなこが早速ラップバトルの先制を仕掛けた。
「何時までもおんぶに抱っこかぁ? ヘイ! ちがうよなぁ? さぁ、さぁ、さぁさぁさぁSA! うい♥潰し合おう♥ZE!」
音楽が切り替わりういのターン。
「!!! ふにぁぅぁ~もぅ! もうもう! 信じらんない突如の|裏切り《treason》コンコン、コココ|混乱《confusion》!」
目一杯のがなり立てで応酬だ! さぁラップバトルの勝敗は――?
「ふぇぇえん……そのリリック、越えられにゃい」
目の部分を手の甲で押さえ泣きじゃくるのは……ういだ。
「気を抜いたら危なかったべ」
辛うじて喰らいきった。
ういは先ほどのまやかし屋台より、余程美味しいメインディッシュ。
「今のでもーっと強くなったういの応援、ガチで頼むべ!」
育てて味わいつくし、なおその背中を押しアイドルの高見へと昇らせる――二人のアイドルはいつまでもオーディエンスへ手を振り続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
氷宮・咲夜
有羽。いいえ、有羽さん
今日からはプロデューサー改め、一番のファンとして
見守らせてもらうわね
彼女の歌声とダンスに魅せられ
その一挙一投足が、完成に至るまでの日々を彷彿とさせて
気づけばライブも最高潮。となれば、水を差してくるわよね
パスト、邪魔はさせない
召喚術とUCを使用
枕の魔導書からだきぐるみの魔法を選んで、ぬいぐるみサキュバス『もらはらP』を召喚
だいうるごすから来場客を守らせる
モデルは私。育成動画をみたファンなら余興と思うはず
『誰が一番か。あなた、見る目を何処に落としてきたの?』
『パスト、誰かしら。バストをガン見していた、ちょいエロ少年なら知っているけれど』
もらはらP、その調子でパストの炎上耐性を鍛えてあげなさい
あとは有羽さん、やれるわね
その夜は、悩み相談のはずがパジャマパーティのサプライズ
アイドルとファンの垣根を超えてしまった私は早くもファン失格。謀ったわね
まあいいわ。ファンはもう大勢いるものね
それより、道は違えど孤独な高みを目指すもの同士、よき|理解者《友達》であり続ける約束をかわす事に
●
度重なる猟兵のクリーンヒットに窮してパストは一旦舞台から撤退する。
(「どうせまたくるでしょうけど……今がはじめ時ね」)
氷宮・咲夜(精晶石の魔術師・f37939)は、鷹園有羽をドタバタとしたコミカルな場所に“飛び入り”させたくない。
全てにおいてハイレベルに磨き上げた奇蹟のアイドルだ。安易な消費は許されない。
「プロデューサーさん……」
レースをふんだんに使ったパレオにベビーピンクをベースにした水着はリュクスさを第一にデザインしたもの。
「有羽。いいえ、有羽さん」
咲夜は、肘までの白いレースの手袋越しに震える指を包み、今まで見せたことのない優しい微笑みを浮かべた。
「今日からはプロデューサー改め、一番のファンとして見守らせてもらうわね」
「プロデュ……咲夜さん……」
感極まって声が震えるがすぐに白磁の頬を引き締めて、有羽は凜とした面差しで頷いた。
「ライブを見てくれる全ての人へ、もちろん咲夜さんにも――夢のような時間を届けます」
ふわり。
新人とは思えぬエレガントな足取りで、有羽は舞台中央に立つ。それだけでパストに荒されお喋りだらけの観客が鎮まった。
「♪あぁ だれかが咲かせた運命~」
始まりのサビは敢えて伴奏を控えアカペラめいた演出。まずは初手で有羽の歌唱力で一気に場を支配する。
ビジュアルより歌唱力と支持されるアーティストに比類する実力は基礎鍛錬の賜。
素晴らしいものへの緊張が息苦しさに変るギリギリで曲が終わった。続けてパッション弾ける賑やかなメロディが始まる。
「♪イェイ! LOVEする季節だよ~★」
ジャンプからマイクスタンドをくるり振り回してのターンは、見目よりずっと筋力と瞬発力が求められる。
これをマスターするまで、どれほどに走り込み筋トレで鍛えたことか!
(「有羽さん、本当に本当に瑞々しくって完璧なアイドルね、素晴らしいわ」)
一挙一投足が、完成に至るまでの日々を彷彿とさせる。
『めっちゃ歌ウマ』
『ダンスもキレッキレ、ありえなくない?』
『デビューでこれって完璧なアイドルじゃん』
満足げに頷く咲夜は、ハッと瞳を尖らせた。
「パスト様、だいふっかーつ! みんな、拍手で出迎やがれ!」
ベビーピンクのペンライトが揺れる最高潮の所になんて無粋な乱入か! だが有羽は表情を変えずパフォーマンスを続ける。
「無視かよ! ヘイ!『だいうるごす』カモン!“誰がNo1か、お前ならキチンと言えるよなぁ?”」
「パスト、邪魔はさせない」
素早く咲夜が紐解いた『枕の魔導書』より現われたるは、綿詰めタイトスカートのクールビューティー『もらはらP』の巨大ぬいぐるみだ!
それを見て、観客席の一部から腑に落ちたようなため息が漏れる。
『もらはらPかぁ、アレ、公式も認知してんだね』
『ずっと割り込んでは自滅してたパストって大会の仕込みか』
『もう飽きたー、でてけー!』
『有羽ちゃん見せろー』
パストへのブーイングが巻き起こる中、もらはらPは観客席画よで腕を広げて『だいうるごす』を堰き止める。
「もらはらP、その調子でパストの炎上耐性を鍛えてあげなさい」
「あぁん?! ならてめえでイイぜ、俺様の質問に答えろよー!」
『誰が一番か。あなた、見る目を何処に落としてきたの?』
もらはらPの回し蹴りと毒舌煽りが炸裂した!
ぬいぐるみだから擬音がもふっとかふかっだけど『だいうるごす』はとっても痛そうだ!
『パスト、誰かしら。バストをガン見していた、ちょいエロ少年なら知っているけれど』
「べ、べべべべべつに、見てねぇし!」
みたな、みてたな、挙動不審。
よそ見した所に『だいうるごす』への蹴りがパストにも突き刺さり、そのまま舞台袖へとぶっ飛ばされた。ハイ! 退場!
「あとは有羽さん、やれるわね」
「はい! ラストナンバーです。作詞にも挑戦しました、聞いて下さい――“Strict”」
二人三脚で乗り越えた厳しい日々を散りばめた信頼の愛、それはまさにプロデューサー咲夜へと捧げる歌だ。
●
大運動会が終わった夜――。
「ふふ、お疲れ様でした。咲夜さん」
「……謀ったわね。悩みがあるからなんて言うから……」
お疲れ会と称した場所は、ホテルのスイートルーム。
有羽はふかもこにゃんこパジャマに身を包み、広々としたベッドの上で手招き。サイドテーブルにはお菓子と飲み物がてんこ盛り。
「もう、アイドルとファンの垣根を超えてしまった私は早くもファン失格ね」
「だって、一区切りついたからお礼とお喋りしたくって……友達として!」
女の子ならパジャマパーティでしょって笑うのは、血の滲む努力をこなす高潔さも、アイドルとしてのパーフェクトさも隠した、年相応の女の子。
「咲夜さんは、私の一番最初のファンで大切な友達です。あと、やっぱり大好きなプロデューサーさん」
咲夜もベッドにあがると、ふよんと弾んで三角座り。目が合ったらくすぐったくてどちらから共なく笑う。
「ふふふ、ありがとう、光栄だわ。そうね、ファンはもう大勢いるものね」
――きっと彼女は、これからも沢山の人々を魅了し続けるのだろう。ああそれは、なんて険しい茨の道か。
咲夜は猟兵だ。
オブリビオンに対処する依頼として、有羽のプロデュースを引き受けた。
けれど……。
「道は違えど孤独な高みを目指すもの同士、よき理解者友達であり続けるわ」
これっきりになんてしたくない。
こんなにも信頼して、こんなにも率直な笑顔を見せてくれる“戦友”を。
「ふふ! はい、約束です」
「ええ、指切りって知ってる?」
「はい……ゆーびーきーりげんまん……」
夢のようなスイートルームで、あどけない声で歌われる指切りは絆の証だ。
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
はーっはっはっは! なんだまたお主かパスト・フォーサイス!(通算戦績5戦以上)
お主程度が、妾の育成したアイドルに勝てるはずなかろう
精々、イケてる負け台詞を吟味しておくがよい!
…とか宣言しつつ、実際の戦略は全然違うがな
・演目:ライブ
相対する奴のことは無視して構わん、お主は観客を、カメラの前の視聴者を魅せるのだ!
歌もダンスも、一曲丸ごと完璧に|演《や》りきる必要などないとも
瞬間最高火力を叩き出す一瞬をキメてやれ! それがお主の最高の持ち味だ!
具体的には、例えば30秒の番組切り抜き動画が作られた時、お主が最高に煌めいた瞬間はちゃんと出てくるか? そんな風に考えるのだ!
さあ、胸を張って行ってこい!
そして、正々堂々のバトルを汚す者に妾は寛容ではないぞ?
右手を上げ、指を鳴らし、さあ鳴り響けファンファーレ!
あくまでもパストを撮影していた者を、ほんのちょっと炙る程度だがな
そして妾の撮影など後回しだ、今は美羅を存分に撮ってやるがよい
はっはっは、お主らの腕前は、果たして美羅が最高に輝いた瞬間を撮れるかのう?
●
「みーらー、屋台巡りとは随分余裕だなぁ? ん?」
双眸を弓にして長い舌で美羅の頬を掠めるのは御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)である。
「……菘さん」
ちらと美羅が流し見る舞台では、数々のライバルが圧倒的な歌唱力でパストを打ち倒していた。
「みんなすっごく真面目で、あーしなんかとは違いますし……」
「ははぁ、アリとキリギリスの童話の如く『やはり真面目が正解だった』とでも?」
「……」
「それで敵の屋台でフランクフルトを食べて腐るのか、実にくだらん」
「うっさい!」
だがカメラを見せたら、とたんに目を伏せ髪を耳にかけ熱々はふはふとかじりつく。
シャッター音が切り取ったのは、さめきった屋台のジャンクフードとは思えぬ購買意欲をそそる画だ。
落ち込んでいようが美羅の魅力は何一つ翳りがない、最高の仕上がりだ。
「美羅よ、相対する奴のことは無視して構わん、お主は観客を、カメラの前の視聴者を魅せるのだ!」
「でも、あんなカンペキなパフォーマンスのあとで、あーしが出たって……」
伝説のバンドの再臨、感動的な師弟対決……そしてたった今幕を閉じたのは正統派アイドル有羽のパーフェクトなライブだ。
「あぁ確かに確かに。3つのライブで観客の審美眼は一気に肥えた。だからこそ……」
と、先ほどのフランクフルトを頬張る画像を見せ菘は勝利確信の哄笑を響かせる。
「瞬間で心を捉え、刹那の情動のみに特化したお主だけが、あの場をフラットに戻せる」
人は瞬間に心を奪われる。だが刹那故にふわりと泡のように忘れられてしまうが|運命《さだめ》。
「忘却を憂うなかれ、美羅の輝きは無数の人々が構える“ここ”に収められ、拡散されていくのだからなぁ」
カメラの画面をこつりとつま弾いて、
「具体的には、例えば30秒の番組切り抜き動画が作られた時、お主が最高に煌めいた瞬間はちゃんと出てくるか? そんな風に考えるのだ!」
「……なるほど」
朱理美羅という娘はこう見えて非常に頭が良い。今までも菘の指示はすぐに通った。
「みんなに“特別なあーし”をプレゼントできる大舞台、見逃す手はないですね」
瞳にハッキリと光を取り戻し、美羅は舞台へ賭けだしていく。
「ああ、胸を張って行ってこい!」
●
「はーっはっはっは! なんだまたお主かパスト・フォーサイス! お主程度が、妾の育成したアイドルに勝てるはずなかろう」
舞台中央にて|モブ撮影者《オブリビオン》のフラッシュを浴びてイイ気になっていたパストは眉間に皺で振り向いた。
「あ、てめぇなんか嫌な奴ー」
5回ぶっ倒されたのが別の俺様でも嫌なものは嫌だ。
「精々、イケてる負け台詞を吟味しておくがよい!」
散々に煽り倒しパチンと指を弾いたならば、神たる菘の奏でる天楽が舞台を包む。
ドン、ドドン! ドン、ドドン!
すぅっと幽霊のように現れたのは地味パーカーのままの美羅だ。
『あ、次の曲始まった?』
『さっきの有羽ちゃんで満足したし、ご飯食べにいこーよ』
故に観客のムードはだらけ気味。
「♪la」
それが、どうだ。
フードを払い憂いの伏し目で一音零した刹那“たまたま”舞台を見ていた観客は息を飲み目を見張る。
――なんて寂しげで危なっかしい美少女なんだ。俺/私が見ていてあげないと……。
『ねぇ、ご飯行かないのー?』
『ちょっと……すっご、ほら、あの子』
と、指さした舞台は一転し、投げ捨てられたパーカーが照明に赤々と照らされ翻っている。
「♪YO! 風 見逃すな!」
音楽はアッパーなナンバーになり、いきなりサビをぶちかます。パンクスデザインのビキニで肢体を惜しみなくさらし、美羅は舞台を駆け巡る。
『わ、カッコイイ。さっきの地味パーカー? やるじゃん』
『全然違う、もっと儚くてキュンッてなんの……! ああもう!』
次々に切り替わる“美羅”に翻弄されてオーディエンスは一時も舞台から目を離せなくなった。
――歌もダンスも、一曲丸ごと完璧に演やりきる必要などないとも。
――瞬間最高火力を叩き出す一瞬をキメてやれ! それがお主の最高の持ち味だ!
(「さっすがプロデューサー、あーしにあわせて自在にメロ変えてくれる」)
既に変化は6つ目、横顔で洋楽ナンバーをしっとり魅せ、会場のオーディエンスだけでなくオブリビオン撮影隊のカメラもかっさらう。
「こーらー! てめえら俺様の配下じゃねーか!」
「パストよ」
菘は毒の籠もった眼差しで狼藉者を射貫く。
「正々堂々のバトルを汚す者に妾は寛容ではないぞ?」
メロディにあわせて天に掲げた右手から鳴り響くは軽快なるファンファーレ!
バチン! とまずはパストを焔で弾き一撃ノックダウン! 続けて未だパストをとり続けるオブリビオンを軽く炙ってやった。
『映え』
『神様、映え』
カメラを向けてくる|モブ撮影者《オブリビオン》へ、菘は聖歌隊めいた高音を奏でる美羅を指さした。
「嗚呼厳かなれ! 妾の撮影など後回しだ。あの美羅は2度とは見られぬぞ?」
ピアノ主体のメロディに敬虔に祈りを捧げる美羅へ、オーディエンスは息を殺し釘付けになっている。
バックモニターでは、リアルタイムで作られた切り抜き動画が様々な美羅を映しては消える。
『待って、今、美羅ちゃん私に手を振ってくれた』
『はぁ? こんな静かな曲でチャラついたファンサなんてするわきゃねえだろ?』
『見逃したあんたがカワイソー』
『なんだと?!』
再び曲はテンポアップ、打ち込みチャカポコに美羅の甘えたボイスがのっかる。
「♪やだやめて あたし以外を考えないでー」
――あーしを、見ろ!
会場と画面の向こうを美羅の承認欲求が圧倒する。そんな心昂ぶる奇蹟を菘は燦然と笑い飛ばすのだ。
「――はっはっは、お主らの腕前は、果たして美羅が最高に輝いた瞬間を撮れるかのう?」
嗚呼、|神《美羅》は此処に、|神《菘と美羅》は此処にだけ、いる!!
大成功
🔵🔵🔵
涼風・穹
B
ライブとビニール筏にのっての水鉄砲大会に参戦
会場へは宇宙バイクの『スカーレット・タイフーン・エクセレントガンマ』にあおいと二人乗りで彼女の出場時間ギリギリに上空から突入して派手に登場します
いかにも演出ですというような感じで堂々としていますが、実はあおいにスクール水着を渡してしばかれたりとまたグダグダがあって遅刻しかけただけです
そして何故かイベント中にプロデューサーが会場設営に駆り出されたりと相変わらずのグダグダっぷりを発揮します
本人は知りませんが実はその状況まで配信されているのはお約束ですな
そしてライブではキャバリアの『ズィルバーンヤークトフント』を使用してあおいを手に乗せて観客席の上を飛んでみたり歌に合わせてポーズを取ったりと派手な演出をします
やっぱりただの事務所の予算不足の産物ですな
水鉄砲大会の準備では真面目な顔をして「……ポロリはあるのか…?」と戯言を吐いてあおいにしばかれるのもお約束ですが、それも密かに配信されていてあおいの恥ずかしがったり怒った表情が可愛いと知らない間に高評価
クーナ・セラフィン
B
うん、すっごく無粋。
ああいうのにはきっちりお仕置きしてあげないとね?
水着アピールとライブで挑む。
水着はライブでも使えるひらひらとした…ダンスの時に派手に舞ってくれそうな感じのがいいね。
と、その前に励まさないと。こんな時こそきっと緊張してるだろうし。
緊張してたらいつもの力も出せないからね。こんな時は…ちょっと手を出して。
で、手の甲に軽く鼻先当てるようにキスを。
何か大変な事があっても大丈夫。私が絶対に守るから…誓うよ
だから、頑張ろう!
そしてライブは派手な…というよりダイナミックなダンスメインに盛り上げる。
たっぷりトレーニングしたんだ。
この激しいダンスでも最後まで通せるのは当然。
可愛らしいアイドルもいいけれど、こういう力強いアイドルもいいものだよね。
それをさらに盛り上げるためにUC発動、パストと水着オブリビオンのみを眠らせるようにしつつ白薔薇の花弁を舞わせるよ。
舞台で寝ちゃうなんてアイドル失格だよねー。
演技終えたらお疲れさま、と飛び切りの笑顔でほづみちゃん迎えようか!
※アドリブ絡み等お任せ
●
次の出し物の設営中。間を持たすべくMCの二人が壇上にあがる。
『会場はオールタイム|最高潮《クライマックス》! 実力も個性もバッチリなアイドルが、ホットに盛り上げてくれちゃいましたぁ!』
†ちかえる†の背後を、赤いバンダナのスタッフが荷物を担ぎ通り過ぎる。
「涼風さーん、次の子ビックタイプなんでお立ち台の強度チェックおなしゃす」
「ほいよー」
踏み台に飛び乗ってゲシゲシやってるスタッフは涼風・穹(人間の探索者・f02404)その人である。まぁ元々設営スタッフで来てるしな。
一方、控え室では――。
「もう! スタッフの声が流れてきてるじゃないの! パストも無粋だけど、こっちまで一緒のレベルになってどうするのよ」
ぷっと頬を膨らますクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)に“ビックタイプ”と聞こえきゅうと身を縮めていた獅子キマイラのほづみが顔を曇らせる。
「こんなにキラキラヒラヒラで、私、変じゃないですか?」
金木犀の小花のようにレースを重ねカッティングしたパレオ、そして長手袋にヒラヒラの飾り。
「すっごく似合うわ! ほづみちゃんの毛色のオレンジにピッタリ、ほらほら鏡見て」
映るのは緊張でかたまり自信をなくしたほづみの姿。
ガチガチに硬い腕をとり、クーナはちょんっと手の甲に鼻先で触れてみせる。
「何か大変な事があっても大丈夫。私が絶対に守るから……誓うよ」
誓いの口づけに、ほづみの瞳がまぁるくなった。
くすんと鼻を鳴らせば金木犀の甘い香りが胸一杯になる。これはクーナが最初にかけてくれた魔法。
「だから、頑張ろう!」
そうだ、ちっちゃなプロデューサーさんは、おっきなハートでいつも私を支えてくれた。
「はい! わ、私っ、精一杯頑張ってきます!」
応えたい、その気持ちに。
●
『会場の皆様! お聞きになりましたかぁーー! パストくんはぁ、珠玉のアイドル二人を纏めて討ち取ってくれるそうですよぉ?!』
「ははははー! 俺様のこのスタイリッシュな水着姿に叶うものなぁし!」
†るしへる†の煽りにいい気になってるパストをもっふりふかふか尻尾が覆い隠す。
「もう勝ったつもりみたいだけど、うちのほづみちゃんを見てから言ってちょうだい」
ぽふんっと肉球おててを叩くと、ドラムの盛り上げメロディが鳴り響き、煌びやかな獣が連続側転からの宙返り。ひらり天空で靡く飾りは麗しくも愛らしい。
すたんっ! と着地して、ほづみはえへっと照れたように笑って手を振った。
『えええ! すっごい……みたみた?!』
『ふっふっふー、やっと出て来たあたしの推し。ほづみちゃーん!!』
地道な動画活動で得たファンが各所から「ほづみ」コールをくれる。
「わ、わ、わぁあああ! ありがとうございます!」
嬉しくって両手一杯でぶんぶんと振り返す。もう誰もパストの事を憶えちゃいない。
収まらぬ会場の声援に被せ†ちかえる†がわざとらしく首を傾げた。
『えーっと、もう1名エントリーあるんだけどー、でてこないなぁ……』
(「誰だよ、すっぽかすなんて……」)
次の『筏DE水鉄砲』の用意をしながらぼやく穹のポケットが呼び出し音で派手に震えた。
『プロデューサーくんの、ばかぁあああああああああ!』
「! おいばかやめろ、鼓膜が破れるだろうがっ」
スマホからはあおいのわめき声が爆発する。ちなみに絆が深まって呼び方が『さん→くん』になりました。
『もうもうっ! 信じらんなーい! スク水しか用意してないなんて! なんで僕が水着買いに行かなきゃいけないわけー?!』
「いや、健康的な水着っつったらスク水1択だろう…………お前、まさか会場の外にいるのか?!」
『お店だよっ! 晴れ舞台にあんなのででらんないもんっ!』
穹は広い場所に飛び出すと宇宙バイクを展開し飛び乗った。
「1分で迎えに行く、今どこだ?」
――そんな舞台裏はさて置き。
『モチーフ金木犀カナ? すっごいカワイイね』
「はい! プロデューサーさんと選んだんです」
『選んでるところ動画でみたよーー!』
ファンの声にぽっと頬を赤くして、
「わわ///ありがとうございまぁす!!」
ほづみは舞台ぎりぎりに立って会場のお客さんと握手したり、|†ちかえる†の質問《あおいが来るまでの時間稼ぎ》にも一所懸命答えたりで、加速度的にファンを増やしている。
「くっそ、狡いぞお前! ふるもっふで体操選手ばりにやれるとかっ。しかもファンを仕込んでやがるし!」
「言いがかりは見苦しいわよ、パスト」
舞台なので|武器《ヴァン・フルール》は出さず、しかし侮辱への怒りを示す爪はにょきっと見せつける。
「ほづみちゃんが真面目に誠実に頑張ってきたからファンが晴れ舞台を見に来てくれたの。あんたみたいにインチキで応援を呼ぶのと一緒にしないで」
一触即発だが†るしへる†がサクッと流した。
『あ『筏DE水鉄砲』の準備が出来たようですね。それでは、水着コンテスト、水寄あおいちゃんは不参加ということで……』
「待って待って待ってー! 主役の僕がいないとはじまらないでしょー!」
スカーレット・タイフーン・エクセレントガンマの赤い車体にも、薔薇のように煌びやかなパレオを靡かせ跨がるのは、遅れてきた大物・水寄あおいだ。
「バイクおろすから無茶な高さから飛び降りるなよ。怪我をしたら元も子もないからな」
「わかってるって!」
車体からするりと飛び降りたコンパクトボディ、大柄で肉感的なほづみとは好対照だ。
「お待たせしちゃってゴメンネ! キミもライバルが居なくて物足りなかったでしょ?」
『早速のライバル宣言です! だがちょーっと遅かった! 水着コンテストは日生ほづみちゃんの優勝です!』
『こちらが現時点のポイントです、スクリーンどん!』
†ちかえる†が注目と示したバックスクリーンには『ほづみ100点/パスト10点/あおい10点』とある。
「おいっ待てよ! なんでコンテストにいない奴と俺様が同じ10点なんだよ」
『だってパストさん、アピールなにもしてなかったじゃないですかぁ』
会場からはそうだそうだーの大コール。
『あおいちゃん、金魚みたいね』
「ホントです。すっごくひらひらが可愛いです」
ほづみも黒目がちな瞳をくるりとさせて率直に褒めた。
「えへへ……僕の選びたてホヤホヤなんだよ。ほづみちゃんも可愛いね!」
微笑ましい友情が構築される中でも|プロデューサー達《猟兵》は、パストの動きを抜け目なく見張っている。
『……あ、今アピールしくれたあおいちゃんと並ぶのは不公平ですよね。ほいほいっと!」
――パスト、0点。
「のおおおおおおお!」
あ、心が折れた。
なんか戦うまでもないかもしれないぞ。
●
さて、水鉄砲大会の直前の控え室。
穹はあおいの目を真っ直ぐに見据え神妙な顔つきをしてみた。
ここでグッとくる激励がくるのだろうなとあおいも口元を引き締める。
「……ポロリはあるのか……?」
「ちょっちょっちょ?! なに言ってんのさ! 変態!!!」
がっしゃんと、大道具の下敷きにして頬を膨らませたあおいはステージへて出て行った。
あ、穹さんがダメージを喰らったのはこの依頼を通してここだけです。
――ちなみに、このシーンが密かに実況されていて、怒った顔がメチャ可愛いと今までのあおいタン動画で一番バズッてしまうのは別のお話。
「ほづみちゃん、そこだね!」
「?! きゃん!」
ぴしゃっとあおいからの水鉄砲を浴びて、ほづみはべしょべしょの顔を覆ってプールにどぼーん!
『おーっと!『筏DE水鉄砲』の勝者が、今、決定しましたぁ!!!!』
「みんな、見てくれてたぁ? 僕のミラクルショット」
流れるミニプール、ぐらつく筏の上であおいは堂々ガッツポーズ。
――スクリーンの点数は『ほづみ150点/あおい110点/パ』とある。パストが打ち損じされていてももはや誰も気にしていない。
『それでは最後はライブ勝負です! トップは大量点で大逆転チャンスでっす!』
†るしへる†は、ロップイヤーを揺らして舞台中央で項垂れるパストを踏んづけた(が、気づいてすらいない)
「あーお約束のアレな」
そう呟く穹は舞台の奈落で待ち構える。こんな広々とした場所をどうして確保しただって? そこは設営係ですから。
『それでは対バンバトルロイヤル! スタートでっす!』
プールの水は抜かれ、全ては広大なるステージに仕立てられている。
その中央でバチバチと火花を散らしあった後、まずは先攻はあおいだ。
「♪キミキテキライ~?」
真っ赤な裾を翻しジャンプ! 弾むように階段を昇り――。
「♪つかまえたい? ならキテよ、ね?」
ウインクと共にダイブ! ふっと消えた赤い金魚が再び顕現するは、なんと純白の|キャバリア《ロボ》のズィルバーンヤークトフントの掌の上だ。
「♪キミキテスキ、だよ」
『ちょ、ちょちょちょ? すごいよーーー』
『あおいたん、マジで救世主っぽい歌姫みたいな?!』
ぐいんっとギリギリの上空を旋回するロボに、オーディエンス達は度肝を抜かれて目を奪われる。穹に言わせると全ては事務所の予算不足で、設営スタッフの持ち出しなのだが。
「あっそう。猟兵の力使いまくりならいいよな?!」
身も心も死に体なパストはヤケクソ気味に両腕を広げて|モブ撮影者《オブリビオン》を大量に召喚した! 奴らは楽しんで撮影するだけで害はなさそうだが、舞台に立つほづみからすると得体がしれずに恐いだけ。
しかもMCの†コンビすらあおいのパフォーマンスに釘付け、ああ、なんてアウェイ。
「ううん、プロデューサーさんがついてる。私はいつものように歌って踊るだけ。もう、逃げない」
この日の為に、たっぷりトレーニングをしたんだ。両手で頬をぺちんっと叩くと、ほづみは体操選手さながらのひねり回転のままで、伸びやかな声を響かせる。
「♪ああ だれにもつかまらぬ 蝶」
両腕を広げ金木犀飾りのを揺らし、透明の台を見極めつま先立ちで着地。そうしてあおいとキャバリアに夢中だった観客の視線を喚び戻す。
『え、仕掛けなに? あの子も浮いてるよ?』
『うそ……あんな高い所で激しく踊ってたら落ち……ッ』
『ああ、落ちた!』
観客の不安的中か。虚空に投げ出されるほづみの肢体。だがそこは獣、しなやかに身を屈め、鋭い動体視力に物を言わせて透明台を踏んで、飛んで、踏んで、更に飛ぶ!
空中雑伎団めいた素晴らしいダンスに、オーディエンス達はもう夢中だ!
「そうよ、ほづみちゃん! すごいわ! 最高よ!」
舞台ではクーナがくるりと弧を描き、ほづみが降りてくる足取りにあわせて白薔薇の道を作る。別れ放つ薔薇は確りとパストとオブリビオンを捉えて眠らせ、消滅させた。猟兵としてのお仕事もこれで完遂である。
●
――結果発表です! 栄えある優勝は……!
『日生ほづみさん! 水着コンテストとライブでの1位で、トップを勝ち取りましたぁああ!』
わぁあっという歓声の中で、ほづみはしゃがんでちっちゃなクーナに抱きついた。
「お疲れさ……きゃ、ほづみちゃん」
「ぷろでゅーざーー……わたっ、わたし、3対1に勝ちまじだぁああ!」
「うん、うん……っ、本当にがんばったわ、ほづみちゃん。格好良くて可愛かった! 最高のケモアイドルよ」
ほおずり号泣に『猫科師弟愛エモエモ』の字幕があがる。
会場はほづみコールでめいっぱい、ペンライトも獣毛カラーのオレンジがゆれる。
『……そして、惜しくも優勝を逃したあおいちゃんですが、オーディエンスの声援投票でかなりの追い上げを見せてたんですよ』
「ふふーんだ! 次は負けないよー! 僕のコンサート、明日なんだ! 絶対にー見のがしちゃダメだよ!」
動画にむかってウインク! で、会場を目一杯に沸かせる候補生を穹はスカーレットに腰掛け見守る。
「転んでもタダでは起きない所はさっすがだねえ、これで弱小事務所も繁盛するでしょ」
夢を食べてふわふわ、愛らしくてキラキラ。
辛い事なんてひとつもないようなアイドル達は、それぞれ血の滲むような努力を重ねこの晴れ舞台に立つ。
その影には、常に二人三脚で寄り添い支える|プロデューサー《猟兵》の姿がある。プロデューサーはアイドル候補生達の一番はじめのファンなのだ。
【おまけのダイス結果】
ほづみ:97
あおい:37
-終-
大成功
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