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飛空少女冒険譚~運命の刻・シャルディナ防衛戦

#ブルーアルカディア #飛空少女冒険譚 #マグナ聖帝国

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●騎士団長の記録
 我らがマグナ聖帝国は、代々の女皇を神の代行者とみなし崇める、宗教国家である。
 聡明にして慈悲深き女皇の元、広大な国土を誇り、長きに渡る繁栄を極めた帝国はだが現在、強大な竜の軍勢の襲撃を受け、滅亡の危機に瀕している。
 騎士団は極めて精強であり、私もまた、恐れ多くも『聖将』との呼び名を授かっているが、敵は強大で、そして何より、その数は無尽である。幾度の防衛戦を乗り切ってなお、その侵攻が止む事はない。
 先月発布された大規模な徴募令にも、多くの国民が名乗りを上げてくれた。だが、国民全てが防衛のための戦士となった所で、竜の軍勢の数には遠く及ぶまい。

 事ここに至り、ベアトリクス陛下は、国土の封印を決定された。
 聖女皇と名高き陛下のユーベルコードであれば、国土全てを封印する事も可能だろう。
 いつか竜の脅威が去った後に封印が解かれる仕掛けを施しておけば、帝国は蘇る。

 だが、懸念点はいくつもある。
 1つ目は、封印が解かれた後、まだ竜が外界を支配している可能性である。そうなれば、聖帝国は再び危険に晒される事になる。
 よって、しかるべき期間の過ぎた後、聖帝国全てを蘇らせるのではなく、まず斥候として一部の戦力のみを目覚めさせるような仕掛けを施して頂く事にする。
 もちろん、斥候の責任者は私が務める事になる。危険かつ重要な任務となるが、必ずやり遂げてみせよう。

 2つ目は、『鍵』についてである。これほどに広大な、かつ長期の封印を施す事は聖帝国の歴史においても初めての事であり、その封印を管理する『鍵』も、必然的に強大な物となる。
 聖帝国研究所ではこの『鍵』に、ガレオノイドを使用する事を決定した。飛空艇と言う大きな力の器と、人としての知性と意志を兼ね備え、自律する存在。『鍵』としてこれほど適した者は他にないそうだ。

 『鍵の船』には、研究が完成した人格転写技術を用い、恐れ多くも陛下の人格を植え付ける事とした。陛下の人格が『内』と『外』に存在する事で、鍵としての機能が高まるとの事である。
 また、これは有り得べからざる事であるが、万が一にも封印の解放に失敗した場合、この鍵の船を、陛下の影武者として立てる事になるだろう。

 3つ目に、雲海の拡大により、封印された国土が雲海に沈まぬかどうか、である。
 研究所によれば、このような事態が場合、封印内部に何らかの重大な影響が生じる可能性が高いと言う。
 だが、この危惧に関しては、対策の打ちようがない。雲海の拡大が最小限に抑えられる事を、ただ祈るばかりである――。

●アシェラリアの述懐
「……結果的に、杞憂で終わったのは1つ目だけでしたね」
 聖帝国近衛騎士団長、アシェラリア・リーズは、かつて自身が残したその記録を思い出し、そう深くため息を零した。
 偵察兵の報告によれば、鍵の船と猟兵達は雲海の中の廃都に向かったらしい。あそこに残っている記録から、この事実にたどり着いている頃だろうか。

「世界は竜に支配されていなかった。けれど、『鍵の船』クラーウィスは、封印離脱時のショックで天使核と陛下の人格の一部を喪失し、我らの管理下から逃げ出した」
 すぐに捕獲して修復すれば、問題はなかった。だがまさか、逃げた先で猟兵に出会ってしまうとは。
 猟兵達に守られている鍵の船を取り返すのは、極めて困難である。万が一鍵の船を破壊されでもしたら、聖帝国は永遠に復活出来ない。
「そこで我々は方針を転換した。猟兵達に、鍵の船の人格修復を手伝わせようと」
 鍵の船はすでに、多くの力と記憶を取り戻している。あとひと押しショックを与えるだけで、聖女皇の人格を完全に取り戻す事だろう。
 そのためには――。

「団長。シャルディナ領空域まであと30分です」
「分かりました。ではそろそろ準備をしましょう」
 部下の報告を聞いたアシェラリアは、剣を手に、飛空艇の甲板へと歩み出た。そこから見渡す周囲には、さらに多くの飛空艇。
 これが、封印から放たれた聖帝国軍尖兵の、全戦力である。
「かの島を制圧し、聖帝国の橋頭堡とします。そうすれば、鍵の船も現れるでしょう」
 アシェラリアの号令一下、戦闘準備を整える軍勢。彼らに、人間を殺戮し、島を滅ぼす事への躊躇はない。
「そう、我らは雲海に沈み、|世界の敵《オブリビオン》となったのですから」
 聖女皇の名の下に、世界を滅ぼす。それが、今のアシェラリアの願いである――。

●船上にて~決戦前
『感謝。来てくれてありがとう』
「皆さん。どうか力を貸してください」
 ブルーアルカディア世界、交易都市島シャルディナ近海に浮かぶ、飛空艇――クラウのガレオンチェンジ形態の、甲板の上。クラウの立体映像と、それを操縦するパメラは、そう言って猟兵達に頭を下げた。その表情には、強い焦りが滲んでいる。
『緊急事態。マグナ聖帝国が、シャルディナへの侵攻を企図しています』
「クラウを取り返しに来たんです、きっと……」
 単に敵戦力に襲われるだけなら、全速力で逃げれば良いだけだ。鍵の船であるクラウの性能は、聖帝国の飛空艇を遥かに上回る。
 だが、シャルディナに危機が迫っているとなれば、そうはいかない。自分達のせいで島が滅ぶと言う事態を、パメラもクラウも看過出来ない。

「私達はシャルディナ防衛戦に参加します。私達がいれば、少しでも聖帝国の狙いがシャルディナから逸れる筈ですから」
『危険。間違いなく、今までで一番……でも、それは覚悟の上』
 それに、クラウはともかくパメラは、ずっと空の上にいる訳にもいかない。食料補給などに立ち寄った地が尽く聖帝国に攻め滅ぼされれば、どのみち生きてはいけない。
 今日、この戦いで、聖帝国を打ち破り、封印を完成させる以外に術はないのだ。
「皆さんには、いつもお願いしてばかりで心苦しいですが……今回は、最上級の危険な戦いです。それでも……」
『私達だけでは、聖帝国には勝てません。どうか……皆さんの力を貸してください』
 そう言って、2人は猟兵達の目を見つめ、深く深く頭を下げた。

「シャルディナに攻め寄せている聖帝国の軍勢は極めて多い。キミ達とクラウだけじゃ、到底勝ち目はない」
 そんな2人の言葉を継いで、グリモア猟兵である鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は猟兵達に告げる。
「けど、当然シャルディナの防衛戦力も、迎撃に加わる。彼らと上手く協力すれば、聖帝国の侵攻を退ける事も出来るだろう」
 敵の先鋒は、修道騎士『エンパイア・ロケット・クルセイダー』。飛空艇を持つ勇士達と協力・連携しながら戦う事になる。
 続いてガレオノイド艦隊『ライン・テリブルズ』。おそらくは島の上空で、シャルディナの正規軍と共に戦う事になるだろう。
 これらの戦力を壊滅させ、敵の旗艦に突撃し、指揮官である『聖将』アシェラリア・リーズを討ち取る。これが今回の戦いの全容となる。
「それでも厳しく危険な戦いになる事は、間違いない。それでも、シャルディナを守るため、パメラとクラウを救うため。キミ達がこの依頼を受けてくれる事を望むよ」

 そうして、鍵の船クラウは、戦場であるシャルディナ空域に向けて出発する。
 シャルディナの、一番長い日が始まろうとしていた。


一二三四五六
 割とクライマックス。

 ごきげんよう。でもまだ最終話ではないらしい。一二三四五六です。

 本シナリオは『飛空少女冒険譚』と銘打たれた連作シナリオの第7回となります。
 連作ではありますが、継続参加の義務はありませんし、途中参加や1回だけの参加も大歓迎です。どうぞお気軽にご参加ください。
 次回は……ブルーアルカディアで9月戦争が発生するなら、戦争中に。クロムキャバリア戦争だったら、11月辺りに。そんな感じで。
 なお、本シナリオは8月中に必ず完結させますので、プレイングの送り遅れがないようにお気をつけください。

 これまでのシナリオはタグからどうぞ。
『田舎の島に住んでいた少女パメラと、その元に現れたガレオノイドの少女、クラウ。猟兵達との数々の冒険により、クラウは自分が、屍人帝国『マグナ聖帝国』の封印を解く事も、解けかけた封印を施し直す事もできる、『鍵の船』である事を思い出す。2人の少女は、クラウの失われた力を完全に取り戻し、聖帝国を完全封印する事を決意するのだった』
 と言う感じです。これだけ知っておけばとりあえず問題ないです。

 パメラは人間の飛空艇パイロット。飛空艇パイロットとしての腕は結構習熟して来ました。エンジェルレイピアを用いた自衛の護身術も使用します。
 クラウはガレオノイドのウィザード。今回は通しで飛空艇形態として、移動手段兼砲撃役を果たします。飛空艇としては結構頑丈で高性能。船体側面の魔導砲を自分の意思で撃ち、火力支援を行います。
 船状態でも自力で動けますが、パメラが動かす事でより機敏に動けるようです。備え付けの対空機銃も同様に、自動で撃てますが、猟兵が使った方が照準は正確になります。
 2人の容姿は、『https://tw6.jp/gallery/?id=150531』を参照して下さい。その他イラスト。

 オープニング『●騎士団長の記録』および『●アシェラリアの述懐』の情報は、前回の『廃都潜入』の結果によって判明した情報でもあります。
 そのため、PCが知っていても大丈夫です。

 戦場の舞台となる交易都市島シャルディナは、パメラ達が拠点にしている島です。『天使核を求めて』か『ハロウィンにはエビが飛ぶ』のOPを参照してください。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
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第1章 集団戦 『エンパイア・ロケット・クルセイダー』

POW   :    我ら聖なる槍を振りかざし
【ロケット噴射】によりレベル×100km/hで飛翔し、【狂える信仰心】×【狂える正義】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    神は己のものを知り給う
自身が戦闘不能となる事で、【攻撃中の】敵1体に大ダメージを与える。【己が信仰する神への祈りと願い】を語ると更にダメージ増。
WIZ   :    神の御業は偉大なり
【不屈の覚悟と不屈の信仰を込めた言葉】によって【天から射す聖なる光】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
乗り掛かった舟、お手伝いしますぅ。

『FAS』を使用し飛行し『FMS』のバリアを展開、【乳霹宙】を発動し『周囲Lv×50m』の広域へ『乳白色の雷』を放射、[範囲攻撃]を行いましょう。
この『雷』は命中した対象を『雷球』で拘束し継続ダメージを与えると共に攻撃無効化が可能ですから、彼らの『突進』も防げますぅ。
慣性等で激突しそうな個体は『FGS』の重力波で角度をずらすか、『FIS』で転移し対処しますねぇ。
後は、拘束中の相手を仕留めるよう勇士さん達に呼び掛け、自身も『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]で[追撃]しますぅ。
以降討伐完了まで繰返し、着実に仕留めましょう。


ノエル・カンナビス
クラウさんにコンバットキャリアは……積めませんね(
ハニービーのコンテナ一つだけ積んでください。
使ったら投棄しちゃって構いませんから。

大変勿体ないですが、本来は半端なインゴットを消費するための
増槽タンクにも新品の高品質エネルギーインゴットを入れて、
長期戦に備えましょう。経費が凄いですね今回。

接敵したら索敵/先制攻撃/指定UCで集団突撃の鼻面を叩き、
隊列を崩してバラけさせましょう。編隊空戦はさせません。
クラウさん、コンテナ捨てちゃっていいですよ。

あとは操縦/推力移動/空中機動/見切り/軽業で突撃し、
スナイパー/貫通攻撃/ライフルの2回攻撃で各個撃破、
集団がいれば鎧無視攻撃/範囲攻撃/キャノンです。



 シャルディナ周辺宙域。クラウが突入した時、すでに勇士達の激突は始まっていた。
 それをクラウの甲板から見ながら、祭器を展開する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
「乗り掛かった舟、お手伝いしますぅ」
 慣用句であると同時に、まさに文字通りの状況。クラウと言う飛空艇に乗って、ついにこれほどの戦いにまで辿り着いた。
 それを感慨深く感じながら、オーラの翼を広げて飛び立つと共に、女神に祈りを乞い、乳白色の雷を広範囲に広げていく。
「……うぉっ、なんだ!?」
「その雷球に包まれた方は動けませんので、どうかトドメをお願いしますぅ」
 さらにるこるは、翼で飛び回りながら、勇士達の飛空艇を乗り継いで伝えていく。
 一応自身も砲撃はしていくが、全てを打ち砕くには、手数が足りない。それよりも拘束に力を入れて、勇士達と協力した方が効果的だ。
「おう、分かった! 助かるぜ!」
「よろしくお願いしますねぇ」
 さらに重力場も操作し、相手の突撃を抑制していくるこる。だが、相手も決死の勢いで突撃を図って来る。
「聖帝国のために! 我らが命を捧げよ!」
「なるほど、これは厄介ですねぇ……」 
 命すら捨てて突っ込んでくる相手を、全力で拘束にかかるるこる。だが、雷を避ける者や、己の傷を顧みず、雷球を強引に振り払う者。そういった者達も少なくない。
 その狙いはシャルディナと、そしてもちろんクラウだ。猟兵が戦場に乱入した時点で、すでにこちらには気づかれている。
 そんな状況を、クロムキャバリア・エイストラのモニター越しに見つめるのはノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)。スピーカーから、クラウへ呼びかける。
『……すみませんね、重くて。使ったら投棄しちゃって構いませんから』
『重量制限……なんとか、大丈夫です。頑張ります』
 彼女がそう言ったのは、クラウの甲板に積まれている巨大なコンテナ。そこから出撃するのは、無数のマイクロミサイル……いや、それに展張翼を付けた無人機だ。
 それを、突撃してくる敵陣の鼻っ面に、真っ向から叩きつけていく。
「うぉぉぉっ……!?」
『編隊飛行はさせませんよ』
 敵の数を減らす事も重要だが、何よりの目的は、敵の隊列を崩す事。理路整然と突っ込んでくる決死の突撃兵など、到底まともに相手はしていられない。
 その突撃の勢いを挫いた所に、エイストラが突入する。機敏な動きで、陣形を斬り裂くように中に入り込むと、肩部の粒子ビーム砲を相手に叩き込んだ。
「がは……っ!?」
『出し惜しみはなしです。……経費が凄いですね、今回』
 崩れた陣形にビームライフルを叩き込みながら、ふと呟きを零すノエル。本来は半端なインゴットを消費するための増槽タンクにも、新品の高品質エネルギーインゴットが投入されている。エネルギー切れの心配はないが、なるほど、費用は天井知らずだ。
 ……だが今日は、出し惜しみをする気はない。経費をケチって全てを失う事がどれほど愚かであるか、傭兵であるノエルはよく知っている。
「今日は決戦ですからねぇ。全部出し尽くすつもりでいきましょう」
『採算が取れるかどうかは、後で考える事ですね……!』
 勇士達と連携しながら、クルセイダーの突撃の頭を押さえつけていく2人。相手の陣形が崩れるのに反比例し、突撃の勢いに押されていた義勇兵達が、陣形を立て直していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
聖帝国本体がどうなっているかは後で考えよう
今は帝国を世界の敵に貶めない為にもアシェラリアを止めぜ

パメラとの同棲で醸成されたのがクラウという人格だ
転写とか気にすることでもねーさと鼓舞してクラウに乗せてもらうよ
墜とされてクラウのオブリビオン化なんて手を使われても堪らんし守らなきゃね

甲板で機銃をバリバリ撃つぜ
パメラがこれほどの装備を買い揃える程に成長していて感動だよ
接敵されりゃあ神鳴を抜いて真威解放してアタシも飛ぶ

鉄仮面の下は女性かもしれんが相手も覚悟の騎士と見受けた
聖句を吐かせないため、再行動させねえため部位破壊・喉で突きや断頭の一撃を見舞うよ
痛苦を感じることなく躯の海に還れますように、南無三


試作機・庚
ふたりともよっすよーっす!防衛戦デスか
それなら得意デスよ!
まぁディフェンダーらしく庇っていくデスかね!
(それにしてもクラウは聖女皇のメンタルモデルをコピーした存在デスか…ってことは聖皇女も元は【良い皇女】だったんデスかね…今じゃ知る方法もなさそうデスけどね…)

二人の未来に幸多からんことを…
私はあくまで通りすがりデスしね

使うUCは【一軌刀閃】で斬撃を放ちつつ近づいてくる敵を突撃からの蹴りで吹き飛ばしていくデスよ
二機のキャバリアは自由行動で防衛命令
メイン対象の二人は特に優先して防衛・庇うを行っていくデスよ



「防衛戦デスか。それなら得意デスよ!」
 クラウの船首の上に立ち、クラウ達へ自信満々に呼びかける試作機・庚(過去を裏切った者・f30104)。
 迫り来るクルセイダー達を見据えながら、接敵までの僅かな猶予で思考を巡らせる。
(「それにしても、クラウは聖女皇のメンタルモデルをコピーした存在デスか……」)
 前回の廃都探索で、明らかになった事実。人格の一部を喪失したらしいので、全く同じ性格と言う訳ではないだろうが、それでもクラウの善性と全く関連が無いとは言えないだろう。
(「聖女皇も、元は良い皇帝だったんデスかね……」)
 もっとも、今となってはそれを知る術は思いつかない。あるいは、この先にいるであろうアシェラリアに尋ねれば、何か答えも帰って来るだろうか。
「まあパメラとの同棲で醸成されたのがクラウという人格だ。気にすることでもねーさ」
「同棲。……間違ってはいませんが」
 四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)も、明かされた情報を元にクラウにそう呼びかけ、常日頃の言動のせいか突っ込みを受ける。
 まあ、クラウがそこまで思い詰めていないようで、何よりだと肩を竦めて笑い。
「さて……聖帝国本体がどうなっているかは後で考えるとするか」
 燦は元々、オブリビオンと言う存在に対してやや同情的だ。女性を救う事こそ宿業と自認する彼女にとって、聖帝国が世界の敵となる事は、出来るならば避けたい。
「それに、クラウのオブリビオン化なんて手を使われても堪らんしね……!」
 銃座につくと機銃の弾丸で、接近するクルセイダーを遠ざける。相手は死を恐れず突撃してくるが、もちろん無駄死する気はないようで、避けるように散開して。
「それにしても、パメラがこれほどの装備を買い揃える程に成長していて、感動だよ」
「……その、すみません。クラウの初期武装で……」
 などと言う微妙に気まずい場面もあったりしたが、それはさておき。散開したクルセイダー達はすぐに陣形を立て直すが、その前に立ちはだかるのは庚が自律機動させた二機のオブリビオンマシン。
「メイン二人をきちんと守るデスよ! 絶対に攻撃させちゃダメデス!」
 そう叫びつつ庚自身も、重力の斬撃でクルセイダーを攻撃する。避けられても余波で相手の動きを止め、それを追っての飛翔。
「くっ、動かん……!」
「そこデスよっ!!」
 渾身の蹴りが鎧を蹴り砕き、そのまま雲海へと叩き落とす。庚自身も一緒に落下していくが、そこは新たな重力波を放ち、敵を足場にして再度の突撃。
「二人の未来に幸多からんことを……私はあくまで通りすがりデスしね」
 その未来を勝ち取る為にも、ここを抜かせる訳にはいかない。まるで重力を支配するが如く、縦横無尽に戦場を飛び回り、次々とクルセイダーを蹴り落としていく。
「まだだ! 聖帝国のため、『鍵の船』を我らの手に!」
 だが、味方が倒れても、クルセイダーの突撃は一向に止まらない。それを見て取れば燦も銃座を放棄し、甲板から飛翔する。
「覚悟の騎士と見受けた……けど、やらせる訳にはいかねえ」
「がっ!?」
 手にした刀で首を狙い、聖句を吐かせぬように深く斬り裂く。断末魔の悲鳴も上げられずに落ちていくクルセイダー達。
 ……さっき庚が鎧を砕いた時に見えた顔は、女性の物だった。彼女達の覚悟を思い、僅かに目を伏せる。
 だが、彼女達の使命を、果たさせる訳にはいかない。
「せめて痛苦を感じることなく骸の海に還れますように。南無三」
 それだけが、燦が相手に出来る事だ。ただ真っ直ぐに刃を振るい、相手を断ち切っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
防衛戦ねー
僕は守るより攻めるほうが好きなんだけどね
まぁ、やれないことはないので
ふむ…シャルディナの勇士の犠牲は少ない方がいい
とゆーことで失われても困らない戦力を、ね
空穂舟、しゅっこーう!
キャバリア部隊は散っても幽霊戦から再出撃するだけだからね
積極的に攻撃を仕掛け、勇士の盾となるのがいいだろうね
これで犠牲者は少なくなるはず
僕もアポイタカラで出るですよ
押されている勇士のカバーに入るですよ
まぁ、流石に盾になるわけにはいかないけどね
射撃で敵を引き付けてキャバリア部隊に始末させる
そんな感じでイケルっぽーい!



「……うぉ、なんだありゃあ、新手の敵か!?」
 戦場に突然乱入する、巨大な幽霊空母。驚く勇士達の前で、そこから出撃する幽霊キャバリアがクルセイダーを攻撃し始める。
「……いや、味方なのか?」
「ええい、まあなんでも良い! 幽霊の手だって借りてぇんだ!」
 困惑しつつも、今はどんな戦力でも欲しい。そう開き直った勇士達は、幽霊キャバリアと連携して敵を押し返し始める。
『防衛戦ねー。僕は守るより攻めるほうが好きなんだけどね。やれないことはないので』
 そんな幽霊空母の主は、露木・鬼燈(竜喰・f01316)だ。ユーベルコードで呼び出した空穂舟の上、サイキックキャバリア・アポイタカラに搭乗し、戦況を見下ろす。
 クルセイダー達は幽霊だろうと怯む事なく、真っ直ぐに突撃してくる。幽霊キャバリア達は勇士の盾になる事で、その突撃を阻み、相打ちとなって落ちていく。
「うーん、これはヤバい勢いなのです。シャルディナの勇士の犠牲は減らさないと」
 幽霊キャバリアがいなければ勇士達があれに晒されていたと思えば、なんともゾッとしない話だ。
 これ以上、敵の軍勢を自由にさせる訳にはいかないと、アポイタカラも出撃……勇士達が押されている場所に急接近していく。
「聖帝国のために! 我が生命に変えても!」
『そうはいかないっぽい!』
 死をも恐れず突撃を敢行するクルセイダー。それにキャバリアのマシンガンを撃ち込んで、足止めを図る鬼燈。
 相手は怯む事はないが、それでも、その威力と質量を前には後退せざるを得ない。そこを、幽霊キャバリアと共に取り囲み、集中砲火で撃墜する。
『ヤバい所をどんどん助けていくですよ! これでイケルっぽーい!』
「援軍か、助かる! 野郎ども、敵を押し返すぞ!」
 そんな鬼燈に勇士達も感謝を述べ、こちらとの連携を積極的に図ってくれる。飛空艇の艦砲も利用し、次々とクルセイダーを落としていく

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ライン・テリブルズ』

POW   :    単縦陣戦列砲撃
自身の【120門カノン砲】から、戦場の仲間が受けた【損傷】に比例した威力と攻撃範囲の【反撃の一斉砲撃】を放つ。
SPD   :    一斉砲蹂躙戦術
【両弦から砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    接舷切込突撃戦
戦闘力が増加する【戦列艦形態】、飛翔力が増加する【高速艦形態】、驚かせ力が増加する【ガレオノイド】のいずれかに変身する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍により、クルセイダーを退ける事に成功した勇士達。だが、勇士達の損耗も小さくはない。死者が少ないのは幸いだが、航行不能となり漂流する船や、弾切れなどで戦闘不能となった船も出てくる。
 一方で、聖帝国の主力は今だ健在。無数の戦列艦が、シャルディナ付近へと接近する。
「あれは……!」
『戦列艦ガレオノイド、ライン・テリブルズ。聖帝国軍の現在の主戦力です』
 それらを見上げ、クラウが自身のデータと照合する。テリブルズの船体は、どことなくクラウの飛空艇形態と似ている。
 オンリーワンの『鍵の船』であるクラウに比べれば性能的には劣る量産型だが、おそらく同じ技術をもって作られた艦なのだろう。
『第一目標、鍵の船。第二目標、交易都市島シャルディナ。全ては聖帝国のために』
 無機質な女性の声を響かせながら、砲撃を開始するテリブルズ。一方、そんなテリブルズの軍勢に対し、シャルディナからは正規軍の艦隊が出撃する。
「シャルディナの地に足を踏み入れさせるな!」
「我らの島を守るのだ!」
 彼らは士気も高く、勇士達よりも高性能な飛空艇を駆っている。とはいえ、都市でしかないシャルディナの軍事力は、国家レベルには及ばない。絶対的な数において、テリブルズの方が圧倒的に上だ。
 猟兵達の力で、この戦力差を覆し、シャルディナを守るしかない。
 そうすれば、この先に待つアシェラリアの元に、辿り着く事ができるだろう。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
難局が続きますが、やってみましょう。

『FAS』を使用し飛行、『FMS』のバリアと『FES』の結界を展開しますぅ。そして【酷郭】を発動、戦場全体に『裁域』を形成しますねぇ。

『裁域』による操作が有れば『FRS』『FSS』の[砲撃]や『FDS』の[爆撃]の軌道を変えることで致命的な箇所も狙い易く、味方に向かう相手の攻撃は『大気の流れ』に干渉、『FGS』の重力波と併せて逸らせますぅ。
『一斉砲撃』は『砲門内の空気』を『爆破』し[カウンター]で『砲台』を破壊し対処、味方に向かう『爆風』はそれ自体を操作し他の敵に向けましょう。

緊急時は『FIS』の転移も使用、着実に叩いて参りますねぇ。


ノエル・カンナビス
ライン? 戦列? 120門艦?
三層甲板の一等戦列艦じゃないですか。もうガレオンとは言いません。

しかも120門全部がカノン砲って、ホールカノンなんでしょうか。
半カノンであったとしても、鈍足の浮き砲台が確定しちゃいますが。
それとも、単に砲身長めってだけです?

なんにしろ、こちらの武装も対人兵装じゃありません。
高い火力を生かして、数を減らしに行きましょう。
的が大きいなら、さらに戦術プログラムを対艦用に――指定UC。

小火器やブドウ弾ならば、ガーディアン装甲の衝撃波で弾けます。
大砲は見切り/操縦/軽業でスルー。
距離があればライフルで、マスト等構造物を破壊して足を止め。
距離が詰まれば艦尾に回り込んでキャノンです。

戦列艦を粉砕する必殺射撃は、艦尾から艦首への貫通縦射。
有効射程は先込め式ピストルの半分とも言いますが、
それはカロネード砲の片舷斉射の話です。
プラズマキャノンならば射距離を問わず一発でご臨終ですよ。

それはそれとして。

あー、貴女たち。全長からして五十歳超えていますよね。
若作りにも程がありますよ?


露木・鬼燈
こちら側の戦力が厳しいっぽい?
首狩り戦法で対象首を獲るだけなら質なんだけどね
防衛戦となると頭数がほしいので空穂舟は外せないね
幽霊キャバリア部隊と協力してアポイタカラでがんばるっぽい
基本戦術は補充の効く幽霊部隊が突っ込んでかき回す
で、その対処に手を取られているところを僕が強襲
艦橋や動力部を狙って徹甲榴弾をぶち込むって感じで
あと余っている幽霊部隊はてきとーに戦っててね
艦の上部は焼夷弾で焼き払う
両舷と船底は徹甲弾でぶち抜くといいと思うですよ
まぁ、無理に沈めることはないのです
航行能力や戦闘力を奪えれば十分なのです
きっと他の猟兵さんが止めを刺してくれるんじゃないかな?
まぁ、たぶんこれでイケルイケル!


試作機・庚
さて、第二ステージってところデスかね…
この数を防衛するには…人数足りるデスかね?
(それにしても人望有りすぎじゃないデスかね皇女様…)
まぁ足りなくてもチャージした波動砲で薙ぎ払うデス!
その代わり少しだけ時間もらうデスよ
チャージ速度速めるために今回は回避にエネルギー回さずに固定砲台になるデスから

ってことで使うUCは【再帰波動砲】
キャバリア2機と自分を直結させてかつ普段使う回避のエネルギーも回して可能な限り急速チャージ
チャンスを狙いつつ有効打になるタイミングで発射していくデスよ
一応何度も打てるデスから狙うチャンスは複数あるデスけど…警戒されると思うデスから有効打になりそうなのは一発目だけデスかね…?


四王天・燦
これだけのガレオノイドが再興を願って眠りについたのに、起きたら雲海の虜とはやるせねえな

聖帝国相手に使いたくないが…万一の際は使うようにとクラウにエパミオンの天使核を預けておくぜ
絶対に墜とされるな
屍人帝国として封を解いてはマグナの名誉が死んでしまう
それにまだクラ×パメを見たいからねー

夢匣からフォックステイル号、出る!
オーラ防御を張り、砲撃で切り込むぜ
シャルナディア艦隊に結界術用の符を預けて配置についてもらうよ
結界陣形が構築できりゃメガリス『電光の羽衣』を用いた天候操作で内部に嵐を起こして難破させる

沈没前に封印儀式で天使核収納用の匣を召喚してテリブルズを収めるぜ
核だけでも回収してあげたいんだわ



「さて、第二ステージってところデスかね……」
 テリブルズの戦列と威容を前にして、やや緊張感のある声を零す試作機・庚(過去を裏切った者・f30104)。
「この数を防衛するには……人数足りるデスかね?」
『こちら側の戦力が厳しいっぽい?』
 アポイタカラのコクピットから、露木・鬼燈(竜喰・f01316)も懸念の声を零す。過酷な戦いとなるのは間違いないだろう。パメラと、立体映像のクラウも、強張った表情を浮かべている。
「聖帝国相手に使いたくないが……万一の際は、躊躇うな」
 そんなパメラに、天使核――かつて、マグナ聖帝国の拠点でエパミオンから奪ったそれを手渡しながら、四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)も深刻な表情でそう告げる。
 マグナの名を、世界の敵としない事が彼女の願い。そのためにも、クラウを墜とさせる訳には、聖帝国を復活させる訳には、いかない。
「それにまだ、クラ×パメを見たいからねー」
「……はい、クラウを墜とさせたりなんかしません」
 その天使核を大事に受け取ると、舵を握る手に力を込めるパメラ。クラウも、いつものやりとりに少しだけ緊張がほぐれた様子で……それを見ると少し微笑んで、小箱を取り出す燦。
「フォックステイル号、出る!」
 小箱の中は異空間。そこにしまわれていたのは、稲荷神の紋章が描かれた中型飛空艇。そうして、クラウとフォックステイル号が向かう先では、テリブルズとシャルディナ防衛軍の間で戦端が開かれつつある。
「難局が続きますが、やってみましょう」
 オーラの翼で飛行し、祭器で防御を固めた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、そんな激突箇所に乱入し、女神の裁域を生成した。
 領域内の存在を操作する事で、祭器の砲撃による曲射――文字通り自在に曲がる砲撃をテリブルズに叩き込んでいく。
『弾道予測――不能。損傷レベル中。敵脅威度を上昇、各艦に共有』
「む、これは……なかなか骨が折れますねぇ」
 逆に、そんなテリブルズから放たれる砲撃の嵐。それらを、大気を操る事で、軌道を変化させて逸らしにかかるるこる。
 だが、砲撃の数が多く、全てを逸らし切るには結界の力も処理能力も間に合わない。ならば根を断とうと敵砲台の直接爆破を図っていくが、それとてどれほどの数がこちらを、シャルディナ軍を狙っているか。
 とかく、敵の数が多い。その全てに対応しきるのは到底不可能で――。
「まあだからと言って、諦める訳にもいきませんねぇ」
 そんな戦況でも、可能な限りの操作を続け、少しでも味方の被害を減らす事を、敵の被害を増やす事に尽力するるこる。
 当然、彼女自身も幾度と狙われ、結界を揺らがす威力に汗が滲む。それでも、女神の加護を信じて対応を続けて。
『……もうガレオンとは言いませんね、あれは』
 そんな敵戦力に対し、エイストラのコクピットでぼやくのはノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)。クロムキャバリアの傭兵である彼女からしてみれば、テリブルズのスペックは何かと納得がいかないようだ。
『……ですがなんにしろ、こちらの武装も対人兵装じゃありません』
 だが、ぼやいていても始まらないのも傭兵稼業、それもまた良く理解している。目の前の敵に与えられた戦力で挑むしかない、それが戦場と言う物だ。
『戦術プログラムを対艦用に変更。――FCS/MCS、AGモード起動』
『っ……!』
 それに大型敵に対する対応など慣れている。敵艦の合間を駆け抜けるように、エイストラがその機体速度を上昇させた。
 当然、敵艦からは砲撃が繰り出されるが、それらを余裕をもって回避。ユーベルコードの、オーバーロードの力が、限界まで機体性能を引き出していく。そうそう、捉えられるものではない。
『ひとまず、そこで止まっていてください』
『っ、損傷レベル中……いや、大。敵脅威度を最優先に設定』
 すれ違いざまにライフルで敵マストを射撃し、その航行を阻害する。もちろん、動きを止めた所で火力は十分に健在、放置はできない。
 だが、動きが止まっているなら、狙いを定めるのは容易な事。エイストラはテリブルズの艦尾側に回ると、肩部キャノンの砲身を突きつける。
『戦列艦を粉砕する必殺射撃は、艦尾から艦首への貫通縦射です』
『ッ……!!』
 そうして放たれたプラズマの砲撃は、テリブルズの船体を貫通。完全に航行不能となったテリブルズは、煙を上げて雲海へと落ちていく。
『カロネード砲の片舷斉射は先込め式ピストルの半分とも言いますが、それはカロネード砲の片舷斉射の話です。プラズマ砲なら一発でご臨終ですよ――おっと』
 講義するようにそう告げる――よっぽど、テリブルズのスペックが気に入らなかったのかもしれない――ノエルに対し、敵艦から帰ってくるのは機銃の掃射。
 だが、それらをナノクラスタ装甲で弾けば、エイストラに損傷はなし。大砲だけは警戒の必要があるが、それは当然、巧みな機体機動で回避する。
『それはそれとして。あー、貴女たち。全長からして五十歳超えていますよね』
『回答不要。火線を集中』
 敵の数は多い。その砲撃全てを回避するのは難しい。
 だが、それをノエルとエイストラは、軽口を叩きながらやってのける。流石に回避に大きく手を取られはするが、そうしてノエルが狙われれば狙われるほど、シャルディナ軍の負担は軽減される。
『若作りにも程があると思うんですが……』
 それはそれとして、軽口の内容は割と真剣らしい。まあ実際の所、変形の際に『ガレオンチェンジ』を使っているとは限らない――が、詳しい所は不明である。そもそも、彼女達が人間と同じように加齢するのかも分からないし。
『相手の数が多いなら、こちらも頭数を少しでも埋めるっぽい!』
 ともあれ性能で押すエイストラに対し、鬼燈とアポイタカラは数で仕掛ける。上空の空母幽霊・空穂舟はなおも幽霊キャバリア部隊を吐き出し続けており……幽霊であるがゆえに補充の効くそれが、敵陣に突っ込んで大いにかき回す。
『そしてその隙に僕が……どーん!』
『っ……損傷レベル大……』
 そうして幽霊キャバリアの対処を強いた所に、間合いを詰めて砲弾を叩き込むアポイタカラ。焼夷弾で上部を焼き払い、あるいは両舷や船底を徹甲弾でぶち抜いていって。
『戦闘可能――継続』
『しかしこれが結構、厄介っぽい!』
 だが、動けずとも武器が残っていれば砲撃を続け、戦闘能力を失っても動けるなら特攻する。そんな執念深いテリブルズに少々手を焼き、眉を寄せる鬼燈。
 厄介なのは戦力もそうだが、信仰心からくる士気の高さもある。徹甲榴弾を動力部にぶちこみ、完全に破壊しながら、どうしたものかと首を捻り。
「だったらこいつでどうだっ!」
 そこで戦場に割り込んで来るのは、フォックステイル号、その甲板に立つのはもちろん燦だ。
 オーラを纏って船体を守り、砲撃しながら敵陣へと切り込む。当然、敵艦の反撃は激しく、激しい砲撃の雨に晒されるが――。
「ここは無理のさせどころ……頼むぜ、シャルディナの女軍人さんっ!」
『……!?』
 そんなフォックステイル号を中心に、多くの敵艦が結界に覆われる。予め、シャルディナの戦艦に渡していた結界術用の符が、燦の願った通りに結界を発生させる。
『警戒レベル大。敵行動を迅速に阻止――』
「もう遅いっ!」
 そうして結界内部に発生するのは、荒れ狂う雷。|欲望の海《グリードオーシャン》のメガリス、電光の羽衣が、その力によって嵐を起こす。
 雲海の上の突如の雷嵐によって、大きな被害を受けるテリブルズ。特に、エイストラやアポイタカラの攻撃で損傷を受けている者は、航行不能に陥っていく。

「そちらは大丈夫ですか~?」
「こっちは大丈夫なのデスー! ええ、なんとか、上手い具合に戦えてるようデスね」
 一方、こちらはクラウの甲板上。上空から声をかけるるこるが重点的に処理能力を回しているので、ここは今の所安全だ。
 そんな中、問いかけに答えた庚は、前線には向かわず、甲板の上にいる。ならば何をしているかと言えば――。
「おかげでチャージ時間も稼げたデスよ……!」
 2機のオブリビオンマシンを自身に接続し、莫大なエネルギーを自身に収束させる。砲塔を敵陣に向ければ、全身が火花を散らし、輝きを放つかのよう。
「何度も打てるデスけど……一番効果が有るのは最初の一発デスからね……!」
 慎重に狙いを定め、なるべく多くの敵艦を照準に収める。シャルディナの味方艦は巻き込まないような位置取り。連絡は、仲間がやってくれるだろう。
 考える事はただ、最大の戦果を得る事だけ――。
「エネルギー充填完了……|再帰波動砲《リカーシブウェーブカノン》、発射デスッ!!」
『ッ……!!』
 そうして放たれる光の柱が、何隻もの敵艦をまとめて呑み込んだ。チャージの甲斐あってその破壊力は耐える事を許さず、テリブルズを灰燼へと変えていく。
「すごい威力……!」
「ふぃぃ……なんとか上手く行った……とか休んでる場合ではないデスね!」
 思わずパメラが目を丸くし、庚も満足げに戦果を確かめる……のは程々に。一息つく暇もなく次弾をチャージし始める。
 もちろん、これほどの火力を放てば、敵は大いに警戒を強めるが。
『ここが節目ですね。一気に畳み掛けましょう』
『たぶんこれでイケルイケル! どんどんいくのですよ!』
 敵の損傷と陣形の崩壊を、機を見るに敏の傭兵と武芸者が逃す筈がない。エイストラとアポイタカラが一気に加速し、敵陣の傷をさらに広げていく。
「守りは任せて頂きますぅ」
「できれば、テリブルズの核も回収してやりたいね……!」
 激化するクラウへの攻撃はるこるが全力で阻み、燦もメガリスを維持しながら、少しでも天使核を回収して。そんな猟兵の奮戦に、シャルディナ防衛軍も大いに士気を上げる。
「あの勇士達に続け!! 我らのシャルディナを守るのだ!!」
「おおおぉぉぉぉ!」
 戦況は徐々に、こちら優勢へと傾いていく。このまま戦いを進めれば、シャルディナ軍の勝利は間違いないだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『聖将』アシェラリア・リーズ』

POW   :    断罪の聖剣
自身が装備する【聖剣サンクティタース】から【神威の斬撃】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【恐怖】の状態異常を与える。
SPD   :    マグナの聖域
戦場全体に【聖なる光の輝き】を発生させる。レベル分後まで、敵は【不可視の神威】の攻撃を、味方は【聖女皇の加護】の回復を受け続ける。
WIZ   :    無垢の首飾り
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【首飾り】から【防御力と状態異常耐性を上げる結界】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――もちろん、このまま戦いが終わる、などと言う事はないのだが。
「……流石ですね、猟兵」
 そんな声が響き渡ると共に、何かが凄まじい速度で戦場に突入してくる。挨拶代わりとばかりに振るわれた聖剣の一閃が、シャルディナの軍艦をただの一振りで真っ二つに断ち切っていく。
「失礼。進路上にいて邪魔でしたので」
 そんな破壊を為したのは、一人の女性。かつて『影』として猟兵の前に現れた女は、鈍く輝く剣を手にする華美な姿で、上空からクラウを見下ろし、そう言った。
「鍵の船クラーウィス。為すべき事を為す時が来ました」
『……否定。私の為すべき事は、聖帝国を蘇らせる事ではありません』
 女は、クラウの立体映像と真っ直ぐに睨み合う。毅然とした表情で、女を睨みつけるクラウと、それに寄り添うパメラ。
 そんな姿を見た女は、緊張を解き、僅かに笑みを浮かべた。
「そうして凛々しい顔をしていると、かつての陛下を思い出しますね」
『っ……!』
 その言葉に、僅かに表情を強張らせるクラウ。それに剣の切っ先を突きつけて、静かに宣言する女。
「あなたの力をもって、封印を解いてもらいます。あなたの意志は関係ありません……いえ。あなたの『意志』を正しく、有るべき姿に戻します」
 そしてその切っ先を、今度は猟兵へと向ける。静かに、溢れていく殺気。
「私はアシェラリア・リーズ。聖帝国女皇、ベアトリクス・デア・マグナ陛下より授かりし近衛騎士団長の地位に従い、主命を果たしましょう――!」
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
それをさせないのが、猟兵の役割ですので。

艦の甲板に配置、『FMS』のバリアと『FES』『FXS』の結界で『艦』全体を覆いますぅ。
更に『祭礼の女神紋』により『祭器』を肉体相当とし【仰域】を発動、『艦』自体を『波動』で包みますねぇ。
これで『艦』を狙った攻撃も『攻撃手段』である以上『吸収』可能ですし、それが【UC】で有れば更に吸収し易い条件を満たしますぅ。
内部への『恐怖』は、嘗て妲己さんの魅了さえ防いだ『FXS』の『精神干渉遮断&除去』で対処可能、後は『波動』で吸収したエネルギーで強化した『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]、『FGS』の重力弾で叩きますねぇ。


露木・鬼燈
なるほどなー
敵さんにも事情があるよね
それとクラウさんとの因縁とかもね
まぁ、僕には関係ないことだけどね
オブリビオンは殺す、それだけっぽい
とゆーことで<布都御魂剣>をぽいっとね
敵の攻撃に合わせて剣閃を放っていくですよ
収束されて剣閃とゆー形で放たれるこの技
タイミングと攻撃をの弱い部分を見極められる目
それがあれば攻撃を斬り裂いてのカウンター
そーゆーこともできるっぽい!
単純な威力不足です?
これは無手でも放てるからね
手も足もあるんだからその分を重ねていけばいいのです
イケルイケル!


試作機・庚
久しぶり…デスね…
あれから結構時間経ったデスけど…変わりないようデスね
まぁオブリビオンデスから当然デスけど
(キャバリアは二機ともオーバーヒートしてるデスね…身一つデスか…重いなぁ…)
まぁごちゃごちゃ話すのもアレデスし…こっちで話すべきデスね(ビットを二振りの刀に換えて構える)

使うUCは【一軌刀閃】【脅威排除】【我が先を阻む者無し】
初撃を当てないといけないが…当たらなくても何度でも始動になる第三速度の一軌刀閃を狙っていく
段々と拘束が強くなっていくデスから他の人の攻撃も当たりやすくなるといいなぁ…
相手の攻撃が被弾するのはまぁ織り込み済みで自分の耐久度でゴリ推していきますよ
けどちょっと余裕ないかも…


四王天・燦
匣の中が滅茶苦茶になるが斬られた船を夢匣に回収しましょ
急いで消火してくれよ

クラウの前にフォックステイル号を割り込ませ、決闘の場として甲板にアシェラリアを呼ぶぜ
揺さ振りになりかねん説教は後回し
剣士として戦いたいんだ
四王天・燦、推して参る!

手持ちの剣技の限りをぶつけるよ
不可視の神威は聞き耳と第六感で空気の震えを察し切り払う

覚悟を決めて殺戮剣舞の|四《死》段階目を打ち込むぜ
反動で腕が千切れるリスクはあるがこれしかマグナの加護を越える攻撃力ある剣が思いつかん
痛みは|激痛耐性《戦闘昂揚》でどうにでもなる
腕の肉が弾けたら真の姿で持ち直す
慈悲ゆえにアシェラリアを止めねばならん!

勝っても負けても感想は『楽しかった』と笑うぜ
マグナの剣術は四王活殺剣に取り入れて伝えていくと約束する
聖剣・首飾り・天使核はクラウとパメラに託して良いか確認するぜ

聖帝国が屍人帝国として顕現してないのはまだ生きているからじゃねーかな
封印解除は聖帝国を雲海にどっぷり沈める凶行だから止めたのさ
ねえクラウ、封印前に中を探索できないかな…


ノエル・カンナビス
前線から離脱し、お二人の直掩にまわります。
お二人が生きていれば後の事はどうにでもなりますので。

ま、索敵/スナイパー/ライフルだけでも敵は減ります。
親玉が遠ざかるなら、指定UCで艦隊ごと吹っ飛ばしますよ。

近付けばライフルを腰のラッチに固定し、
キャノンとミサイルをパージして投棄。
ビームブレイド二本で白兵戦を挑みます。

誰もがエイストラは射撃機だと言うんですけれども。
実際には超高出力の高機動・高運動機であって、
使い切れない出力を火器に回しているだけなんです。

さて。

「意思」に正しいも誤りもありません、死者の幻影。

他人の記憶を転写したところで、それは教育の一種に過ぎません。
覚えた情報をどう利用するかは本人の勝手です。
ましてクラウさんは、それが自身の記憶でないと知っている。
影武者になるには理由が薄いですね。

第六感/操縦/推力移動/見切り/軽業、武器受け/オーラ防御
(と称するガーディアン装甲での衝撃波/吹き飛ばし)、
鎧無視攻撃/2回攻撃/切断/串刺し/継戦能力で真っ向勝負。
隙を見せたら蹴りますよ?



「さあ、屈しなさい、鍵の船よ」
『っ……!』
 戦場全体に広がる、眩きマグナの聖域。見えざる神威がクラウの船体を抑えつけ、その動きを縫い留めんとする。
「それをさせないのが、猟兵の役割ですので」
「……む」
 だがそれを防ぐように、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の祭器が展開される。クラウの船体を包み込むように、バリアが広げられて。
「ここを通す訳にはいきません」
「……ふむ」
 さらに乳白色の波動でクラウの船体を覆い、徹底的な防備を固めるるこる。それに対してアシェラリアは、無造作にその聖剣を振り上げる。
「サンクティタース。斬り裂きなさい」
「っ……!!」
 そうして振り下ろされた神威の斬撃は、波動に呑み込まれ、消滅した。その結果を観察し、小さく首を傾げるアシェラリア。
「なるほど。厄介ですね、それは」
「ユーベルコードの、非実体による、攻撃手段。それを防ぐのがこの仰域ですのでぇ」
 そうして鉄壁の守りを固めつつ……だが、るこるの背には僅かに冷や汗が滲む。なるほど、それは、仰域で防ぐための三要素を揃えていたが……それでも、断ち切られかけるほどのデタラメな威力だ。
 圧倒的な力は、効果に優越する。それがユーベルコードの大原則だ。例えば『薔薇の剣戟』が、全てを殺す絶対の殺害方法足り得ぬように。
「まあ、斬り続ければいずれ壊れるでしょう」
「そういう訳にはいきませんのでぇ」
 それでも、素直に破壊されるつもりはない。吸収した力を砲撃で撃ち出し、全力で反撃を仕掛けるるこる。
 斬撃がもたらす恐怖も、祭器で遮断して精神を守る。防ぎ続けるのが不可能でも、時間を稼げるだけ稼いでいく。
「長くは防げませんねぇ……その前になんとかしませんとぉ」
「だったら、その前に仕掛けるだけデスよ!」
 ともあれ、短時間でもクラウを守る目処が立てば、その隙に試作機・庚(過去を裏切った者・f30104)が甲板から飛び立つ。
 一瞬の閃きと共にその姿は掻き消え――近くにいた軍艦の船体に、張り付くように着地する。
「うぉ、なんだ!?」
「すみません、お借りしてるデスよ!」
 驚く勇士達に一言告げると、再びそれを蹴って、クラウの甲板へと戻る。……もちろんそれは、ただの往復移動ではない。
「速い、ですね」
「それを避けられる人に言われても説得力ないデスよ!」
 目にも留まらぬ、光の速度の斬撃。庚の移動はただ、その過程にすぎない。そのスピードを回避するアシェラリアと、何度となく斬りかかる庚。
 そうして張り巡らされる重力の鎖を、首飾りの結界が消滅させていく。
「さて、そろそろ本体を斬り捨てましょうか」
「っ……!!」
 向けられる殺気。被弾の覚悟はあるが、自身のレプリカントとしてのボディだけで、どこまでそれを防ぎきれるか。
 そんな一瞬の逡巡を振り切り、再び甲板を蹴りつけ――。
「僕もぽいっといくですよっ!」
「……む」
 それを迎え撃とうとしていたアシェラリアが、反対方向から繰り出される刃を聖剣で弾き返す。
 放ったのは露木・鬼燈(竜喰・f01316)。魔剣を振るって飛ばすのは、神を殺し得る格上斬りの剣閃だ。
「流石に防がれるかー。でも、手も足もあるんだからイケルイケル!」
「この調子で、どんどん畳み掛けるデスよ!」
 矢継ぎ早に飛ばされる、鋭い剣閃の嵐。いや、剣だけではない、手刀を、蹴撃を、次々とアシェラリアへと降り注がせる。
 当然、それを聖剣で防がれるが、手数と、技量で押し込みにかかる。もちろん庚の斬撃も続いており、対応に手を取られたアシェラリアは眉を寄せる。
「どんどん畳み掛けるっぽい!」
「無駄な事を……」
 とはいえ、こちらもそこまで攻め手がある訳ではない。多少の傷は与えても聖域の加護が塞いでしまい、さりとて搦め手は首飾りに弾かれる。
『ならば、大火力を叩き込むまでですね』
「っ、むぅっ!!」
 そこへ振り下ろされるは、キャバリア用のビームブレイド。二刀流でそれを繰り出すのは、クロムキャバリア・エイストラ。
 そしてもちろんそれを駆るのは、ノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)だ。
「巨大な割に速い……ですね、厄介な」
『エイストラは射撃機ではなく、高機動・高運動機。有り余る出力を、火器に回しているだけですから』
 当然アシェラリアはそれを回避し、こちらに反撃として神威の斬撃を繰り出して来た。だがエイストラは高速機動でその斬撃を回避し、さらに連続で斬りかかる。
 ライフルは腰部のラッチに収め、キャノンとミサイルをパージして投棄。可能な限り軽量化しての近接戦モードで、さらにオーバーロードによって出力を最大限まで引き出していく。
『そちらも間合いを取りませんね。直感ですか?』
「さあ、どうでしょうね……!」
 離れれば即座に、唯一の火器となったライフルから粒子ビームを放つ用意がある。それゆえに間合いを取る事も許さず、斬撃を繰り出し続けるエイストラ。
 相手もその手の聖剣で、サイズの違うキャバリア用のブレイドと斬り結んでくる。だが流石に3人、いや、2人と1機がかりの攻撃には対応しきれず、徐々に聖域が癒やしきれない傷が増えて来た。
「ならば……これでどうですっ!」
『むっ……!』
 それを嫌ったアシェラリアは、自分の傷を顧みない強引な反撃を繰り出して来る。聖剣の斬撃が猟兵達を同時に斬り裂かんとし……各々の手段で、それを防御し、回避する猟兵達。
 だが、その対応の間に、アシェラリアは一気にクラウへと飛翔する。るこるの張り巡らせるバリアを斬り裂かんと、大きく聖剣を振り上げて。
「悪い、遅れた……!」
「ちっ……!」
 その軌道上に割り込んでくるのは、四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)のフォックステイル号。
 斬られた船が沈没する前に、異空間の匣の中に回収していた彼女は、その作業を終えてクラウを守るように立ちはだかる。
「剣士として戦いたいんだ。決闘を受けて貰えるか?」
「断ります。私の目的は主命を果たす事のみ、あなた方はその敵に過ぎない……!」
 紅の電撃を迸らせる刀を、鞘から引き抜く燦。だが、そうして突きつけられた刃に対してアシェラリアはにべもなく、神威の斬撃で応じてくる。
「邪魔です。退きなさいっ!」
「そうはいくかよっ……なら、無理にでも受けてもらうぜ!」
 それをなんとか受け止めた燦だが、フォックステイル号の甲板が大きく裂ける。人体に喰らえば、両断されかねない威力。
 これ以上は放たせまいと一気に間合いを詰め、斬りかかる。
「さぁて、もってくれよ、アタシの体っ!!」
「っ……!」
 ただの斬撃ではない。自身の肉体にかかる負荷を完全に無視した、殺戮の剣舞。彼女の修める四王活殺剣において最も『殺』に近いその剣を、アシェラリアの防御めがけて叩きつけていく燦。
 振るう度に、自らの身体が傷つき、鮮血が溢れ出る。筋繊維が断裂し、骨が軋む。身を守るアシェラリア以上に、燦の身体が壊れていく。
「無謀な……!」
「これしか、加護を超えられる剣が思いつかなくてな……!」
 そうして壊れていく身体を、|真の姿《オーバーロード》によって書き換えていく。妖狐の六尾を顕現させ、さらに斬りかかる燦。
 真の姿は、反動に耐える為の物ではない。反動で壊れても良い身体を、もう1つ用意するため。
「そうまでして、鍵の船を守りますか……!」
「それも有る。けどそれ以上に、慈悲ゆえに止めねばならん!」
 彼女の想いは、アシェラリアのため、マグナ聖帝国のため。その名を貶めぬ為にこそ、命を顧みず刀を振るう。
 その想いは正しく、アシェラリアに伝わり――。
「ああ……それはそれは、無意味な事ですねっ!」
「っ……!?」
 そして正しく、否定された。聖剣と神刀が互いの威力で弾かれ、間合いが離れる。
「どういう……」
「そう。かつての私であれば、その意気に打たれる事も有ったでしょうね」
 これまで調べて来た情報の限り、マグナ聖帝国は、決して悪しき帝国ではなかった。竜という侵略者に対し、民と共に抗い歩む、正しき帝国であった。
 けれど。
「ですが私はすでに、|世界の敵《オブリビオン》。陛下の為に世界を滅ぼす事だけが我が望み!」
「っ……!」
 オブリビオンとは本来、そういう物だ。過去より来たり、世界を|滅び《かこ》で塗り潰す者達。
 ユーベルコード等によってそれらを従える者――それこそ庚が従えるオブリビオンマシンもその一つ――も多く、それゆえに忘れがちだが。
 世界とオブリビオンとは本来、不倶戴天の敵同士である。
「そのために、鍵の船を我が手に戻します。それこそが有るべき姿……!」
「くっ……だったら、そうさせないためにも、お前を止める……!」
 その言葉に、唇を噛む燦。アシェラリアの凶行を止めるべく、再び限界を越えて斬りかかる。
 それに対応しようと、アシェラリアは身構えて……そして咄嗟に、頭上へ神威の斬撃を振るう。
「ちっ……!」
『さて。『意思』に正しいも誤りもありません、死者の幻影』
 それを回避しつつ斬りかかるのは、追ってきたエイストラ。そのコクピットからノエルは、アシェラリアに冷たく呼びかける。
 燦と違って彼女に、オブリビオンに対する同情など欠片もない。ただ、一つ言う事があるとすれば。
『他人の記憶を転写したところで、それは教育の一種に過ぎません。覚えた情報をどう利用するかは、本人の勝手です』
 それは、クラウを思いのままにしようとする事だ。そもそも彼女自身が|造られた存在《レプリカント》だ。けれど、この場でこうして猟兵として、傭兵として戦うのは、そう造られたからではなく、彼女自身の意志である。
 それを否定する者を、彼女は認めない。
『ましてクラウさんは、それが自身の記憶でないと知っている。影武者になるには理由が薄いですね』
「正しさも理由もあります。それは、陛下のご意思こそが全てであると言う事!」
 もちろん、認められなかろうと、アシェラリアが止まる事はないが。キャバリアの刃を聖剣で受け止めつつ、受け流し、反撃を繰り出してくる。
「なるほどなー。敵さんにも事情があるよね。クラウさんとの因縁とかもね」
 そしてそんな会話の内容に、心底興味もなさそうに相槌を打つ鬼燈。彼には、燦のような慈悲もない。ノエルのような拒絶もない。そんな物は、どうでもいい。
「オブリビオンは殺す、それだけっぽい!」
「……ええ、分かりやすくて良いですね!」
 ただ、純粋な殺意をもってひたすらに降り注ぐ斬撃が、アシェラリアをフォックステイル号の甲板に釘付けにする。そこへ間合いを詰めるエイストラの、燦の斬撃が、アシェラリアを斬り裂き、追い詰める。猟兵達の苛烈な、そして休む間すら与えない攻撃が、マグナの加護を完全に上回っていく。
「くっ、猟兵とは、ここまでの力を……ぐがっ!」
『隙ありですよ』
 そうして、相手の対応能力が限界に達したその瞬間、エイストラの脚部がアシェラリアを蹴り飛ばす。キャバリアの重い蹴りを受けたアシェラリアは、たまらず空中へと身体を投げ出された。
 それを追いかける燦。対応すべく、体勢を立て直すアシェラリア。そして――。
「取ったデスよっ!」
「っ……このような……!」
 その機を逃さず、庚の斬撃がアシェラリアをついに捕らえた。瞬きの間の三閃と共に、重力の鎖が纏わりつく。
 アシェラリアの首飾りが輝き、その鎖を打ち砕かんとする。だが、その時にはすでに、燦が目前へと迫り。
「これで……止めるっ!」
「っ……!」
 腕が折れるのも顧みないその突きが、アシェラリアの身体を深々と貫いた。

「か……はっ……!」
「……マグナの剣術は、四王活殺剣に取り入れて伝えていくよ」
 すでに、加護でも癒やしきれない傷。助かる見込みも、継戦能力もすでにない。指揮官の敗北を悟った聖帝国の軍勢は、シャルディナ空域からの撤退を開始する。
 そんな中燦は、消えゆくアシェラリアに問いかけた。
「なぁ、聖帝国が屍人帝国として顕現してないのはまだ生きているからじゃねーかな?」
「……有り得ませんね、それは」
 だが、アシェラリアは確信をもって、それを否定する。すでに戦う力など残っていないにも関わらず、聖剣を構え、猟兵へと向けて。
『なぜそう、言い切れるのですか?』
「それは――」
 そして、ノエルに問いかける素振りを見せた……次の、瞬間。彼女は突然、クラウへと飛翔する。
「行かせませんよぉ」
 当然、クラウはるこるの結界が守っている。いかなる攻撃手段も、通す事はない。今のアシェラリアに、クラウに干渉する手段はなく――。
「っ!? おい、何をっ!?」
「ベアトリクス……陛下――」
 だがアシェラリアは何の躊躇いもなく、聖剣で自らの心臓を抉り出した。止める暇あらばこそ。彼女は最期の力で、その天使核を握り潰す。
『っ……!?』
 当然、天使核を失ったアシェラリアは、己の存在を維持出来ない。肉体も、身につけた装備も、共に骸の海へと還っていく。
 だが、その瞬間、僅かにだけ、クラウの船体がぼんやりと輝いた。
 ……そして、それだけで終わり。後はいくら待っても、何の変化も訪れはしなかった。

 マグナ聖帝国軍は、シャルディナから撤退した。アシェラリアも倒れ、これでクラウを狙う者はいなくなった。
 いなくなった、はずだ。だが。
「……本当に、これで終わったんでしょうか?」
 パメラのそんな呟きが、クラウの甲板に、静かに響き渡る。
 それに答えられる者は、この場には存在しない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年08月31日


挿絵イラスト