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|奇襲《アンブッシュ》

#けものマキナ #マナキタ集落

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#けものマキナ
#マナキタ集落


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「ミッションの概要を説明する。今回もけものマキナだ」
 (自称)レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)がいつもの如くゆったりと椅子に座って手を組んでいる。
「前回は集落に接近する人間の斥候を排除して貰った訳だが、その際に御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)が集落の位置を偽装する事に成功している。まあ、前回に関する詳細はレポートを読んでくれ」
 マナキタの集落周辺の|上から見た俯瞰図《タクティカルマップ》を表示し本当の集落の位置と、偽装集落の位置を表示する。
「見ての通りだが、本当の集落の位置も全く別と言う訳でもない。相手もある程度あたりを付けて偵察に来ているから、全く違う所にしてしまうと偽装が通らなくなるだろうからな……が、今回は上手く行っているようだ。偽装集落に接近する人間の部隊を確認した」
 宇宙服めいたフルコートのスーツに身を包んだ人間部隊。
「前回は偵察部隊だったが、今回は戦闘部隊だ。そう簡単にはいかないだろう。確認出来たデモンズコードも四種もある」

●トルーパー・ウェポン
『【手にしたレーザーカービン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる』

●ロングレンジスナイプ
『【電子照準】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【狙撃レーザー】で攻撃する』

●パワーローダー
『【外付け式機械外骨格】を使用する事で、【弱点の排熱器機】を生やした、自身の身長の3倍の【蹂躙制圧機械歩兵】に変身する』

●スマートバレット
『レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル✕10本の【ホーミングレーザー】で包囲攻撃する』

「基本的に射撃戦に寄ってはいるが、パワーローダーの力押しもあるな。弱点が分かり易いのは何とも親切だが、その分パワーはあるんだろう。相手の正確な数は分からないが……オブリビオンの集団戦と大差はあるまい」
 前後左右に並ぶ四人一組の|十字陣形《クロスドッグ》で進行して来る様だ。
「人間に付いてはまだ分からない事は多いが……胞状分解と呼ばれる現象を見る限り、アレがまともな生命体と言う事はあるまい」
 胞状分解。戦闘力を失うと起きる、一種の自爆装置と考えられている。
「それと、今回は集落の住人との共同作戦になっている。集落側から本隊となる住人を含んだ混成部隊が出る。こっちに関しては別のグリモア猟兵がやってくれる事になった。我々はそちらが敵を引き付けている内に背後から奇襲する強襲部隊だ」
 敵の部隊に対して前後から挟み撃ちにする、シンプルながら有効な戦略だ。
「当然と言えば当然なんだが、本隊に参加する場合は奇襲部隊には参加できない……まあ、味方間を瞬間移動するユーベルコードとか、召喚系とか、遠距離狙撃系とかやってられない事は無いのではあるが、一応参加できないと言う事にしておけ」
 椅子に深く座って偉そうに手を組むレイリス。
「私は見えた事件を解説するだけ……とも言えんか今回は。まあ、いい。いつも通りだ」
 そして、けものマキナへと繋がる転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」


Chirs
 ドーモ、Chirs(クリス)です。お待たせしました。けもマキ3本目です。
 今回は基本的には純戦闘シナリオの予定です。椿油MSに協力頂けると言う事で、同時に進行するシナリオ二本立てとなります。理想としては相互のリプレイ結果を盛り込んだリプレイにしたいですね。そう上手く行くかどうかは、やってみないと分からん。
 基本的にはどっちか片方に参加すると言う事にしておいてください。重複チェックは出来ないのでしません。
 こちらは少数精鋭の奇襲部隊となっております。敵を倒す事より、攪乱させる方が主目的と言えます。まあ、全部倒しちゃってもいいんですけどね。敵は統制が取れているので存分に引っ掻き回しましょう。
 あまり凝った内容にせずさらっとヘルシー……と、言ってるんですが結局いつもと大差が無い感じになっている気はするので、どの道アドリブ連携は多用します。
 皆さんのやりたい奇襲攻撃作戦をお届けれ出来れば良いと思います。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリウス・ストランツィーニ
撃破ではなく撹乱が主目的か。了解した。
ならまずは前回鹵獲した敵のスーツを再び着て接近を試みる。

と言っても、すぐにバレるだろうから私の銃の射程内まで近付いたら遮蔽物に隠れつつ、「威嚇射撃」して敵を挑発する。

敵が周りに集まってきたらユーベルコードで敵の動きを止めるなどして別働隊の攻撃の支援になるよう立ち回ろう。

チャンスが有れば今回は外付け式機械外骨格とやらも鹵獲したい。操縦はできないかもしれないが、けものマキナの住人よりは私のような人間がやったほうが可能性はあるのでは。

スーツは機械外骨格の使用に必要ならそのまま着用し、戦う邪魔になりそうならタイミングを見計らってどこかの物陰で自分の服に着替える。



●|鎮圧《サプレッション》
「撃破ではなく撹乱が主目的か。了解した」
 マリウス・ストランツィーニ(没落華族・f26734)は前回鹵獲した敵のスーツを着込んだ。前回は急場と言う事もあり、このまま戦闘は出来そうになかったが、今回は習熟する時間もあった。幸い、遠隔でロックを掛けるような仕組みは無い様だ。少なくとも、ハッカーが二人がかりで調べる分には。
(とは言え、動きにくいのは確かだな)
 パワーアシスト機能を持つ|機械外骨格《パワードスーツ》なので、着用者の動きをトレースして動く機能がある。中身を無視して動くのはスーツではない。ただ、単純に。スーツの機動力が猟兵の動きに付いて来れないのだ。
(単純に動いたり走ったりなら問題はない。ただ、これで剣を振るとなると別だな)
 剣を振り回すだけなら出来る。ただ、剣術とはそんな単純な領域の話ではない。常に己の心技体の一致を以て一つの動きとなる。このスーツでは体だけが下手にブーストされてしまい、技に至っては細かい動きが再現できず未達。このスーツを着用して鍛錬すればできなくはないかもしれないが、そこまでする意味も理由も時間も無い。
(組手甲冑術とも別物だ。それこそ、一から型を構築しなければならないだろう)
 それでも、前回よりはマシである。何せ、単に走って剣を振り回すだけなら出来るようにはなったのだから。

 そのまま接近しても即バレるのは検証済みだ。バレる事も想定内ではあったが、今回は相手に狙撃手が居る……狙撃手を欺き、自分の銃の射程内まで接近する。至難、と言う程では無いが、容易でもない。
 マリウスは|十字陣形《クロスドック》を組んで進んだ。単独で近寄れば怪しまれる。だが、スーツの遠隔制御は出来ない。なら、残り三人はどうしているのか。集落の住人はスーツを起動できない。検証の結果、種族が”人間”であれば起動できると言う事がはっきりした。
 だから、人間に着せた。正確には、人間を模して作られたユーベルコード生成物に。
 【|憐れな生け贄人形《インスタントデコイ》】本来は偵察用だが、こういう使い方も出来る。
(ここまでしても不信感は持たれるか)
 恐らくはロックオン警報と思われる物が鳴っている。相変わらず何を言っているのかはよく分からないが、簡単な機能なら察する事は出来る。
 それでも撃たれてはいないのはギリギリで偽装が通じていると言えるのだろう。だが、ここで疑問が生じる。
(相手は、何で敵味方識別をしているんだ?)
 IFF、敵味方識別装置は搭載されてはいるのだろう。しかし、通信環境が無い上で、外見上は完璧な偽装をしている。疑われる理由が無い筈だ。それとも……
(相手は何らかの手段で通信を確保している?)
 何らかの手段が何なのかは分からないが、”人間”だけが使える通信手段があるのかもしれない。少なくとも、人工衛星を使ったネットワークではない。このスーツ自体にはその仕組みは無かった。と、すれば怪しいのは中身である。
(人間同士だけが使える通信手段か……|精神感応《テレパシー》の類、とか)
 可能性はあるが、立証は出来ない。ひょっとしたら言語音声それ自体が完全なブラフで実際は精神観応だけでやり取りをしている。あり得なくは無い話だ。
(精神観応も使えない下等な種族、とでも言いたいのか)
 それは、何とも。
(自分のやり方しか認めないとは、傲慢な連中だ)

 マリウスは持っていただけの人間の銃を捨て、自身の金色に輝く回転式拳銃『リヴォルベル・ペル・ストランツィーニ』を抜き撃った。自分の意思で引き金を引けない銃など初めから使う気も無い。
「sigue siendo un enemigo」
「disparar a muerte!」
 放たれた銃弾はスーツに僅かな傷を付け弾かれる。問題無い。遠距離からユーベルコード抜きでスーツを貫通させる事が出来ないのは分かっていた事だ。
 マリウスは素早く遮蔽を取る。レーザーが幹を穿った。逆側から素早く撃ち返す。ファニングショットで素早く三発。
「Gwar!?」
 一発で貫通しないなら三発重ねれば良い。素早く正確に三発の銃弾を重ねればかすり傷とは行かない。四発分の銃弾を素早くリロード。脅威として認識されなければ威嚇にもならない。
「ponerse en el estado de ánimo」
 ちなみに、引き連れていたデコイは既に逃げ出している。元々戦闘向きではないし、この距離まで詰めると言う役割を果たしていれば十分。レーザーが幹を穿つ。マリウスは己の猟兵第六感を信じて|前転回避《ダイブロール》。直後、レーザーが幹を貫通した。
(アレが狙撃銃か。樹が遮蔽として使えないとなると丸裸だな)
 幸いにも連射は効かないようで、レーザーカービンの方は貫通力が足りない。一つの遮蔽に拘らなければ十分立ち回れる。
(そしてあっちが外付け式機械外骨格か)
 3倍の全長を持つ、機械歩兵。主に撃ち合いの壁役としての運用なのか下手に接近はしてこない。
(アレが突っ込んでくるなら話は簡単だったが、案外慎重じゃないか)
 見た目通りのパワーもあるのだろうが、今の所守りに徹している。この後の目的も考えると下手に露骨な弱点である排熱機関を破壊するのは避けたい。マリウスは幹を遮蔽にして撃ち返しつつ接近。
 やがて、右翼と左翼が包囲するように展開し始めた。十字砲火に持ち込むつもりだ。マリウスの狙い通りに。
「そうだ、それでいい」
 マリウスは、左手で『八重霞ノ太刀』を逆手に抜く。
「大地よ、力を貸せ!」
 地面に突き立てる、深々と。突き立てた地点を中心に、大地が割れた。
「Qué!?」
 大地が隆起し、局所的な地割れが生じる! 【|震駭地荒突《コルテラータ・ダ・テレモート》】だ!
「「「「Gwar!?」」」」
 いかに膂力のある機械外骨格と言えど。むしろ、その分自重が増してオートバランサーで補正をかけているので余計に地震と言う手は強く響いた。
 特に【パワーローダー】を着ている蹂躙制圧機械歩兵は大きくバランスを崩し転倒! 数手番は立て直せない。他の機械歩兵も転倒! だが、スーツの機動性は悪くはなく、一手番で体勢の立て直しは出来そうだ。
 マリウスにはその|一手番《ワンターン》あれば十分だった。順手に持ち替えた太刀で跳躍するように一気に距離を詰め、一人の首を刎ねる! 同時に拳銃をヘッドショット接射し、2キル。起ち上がろうとする一人に深々と太刀を埋めて3キル。後は、起ち上がろうと藻掻く蹂躙制圧機械歩兵の上に飛び乗りヘッドショット殺。鮮やかな|一手番殺《ワンターンキル》であった。
「さて、後はこれが奪えるかどうかだが……」
 外付け式機械外骨格の制御部だったスーツをスーツの力で剥がし取る。どうやら、中身は既に胞状分解済みのようでやや軽い。
「動くか?」
 剥がし取ったスーツと同じ位置に収まってみる。やがて、スーツの|UI《ユーザインターフェイス》が何らかの許可を要求して来たので許可。何か不具合が起きても、内側からスーツごと壊せばよい。
 しかし、幸いにもそうはならずにスーツ同様に外付け式機械外骨格を奪う事が出来た。
「おお、これは中々のパワーだな」
 スーツに輪をかけて鈍重ではある。だが、特殊な入力操作を必要とせず、肉体の延長線上として動かせるのは大きい。
 さて、これをどう使おうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御宮司・幸村
本隊の蔵人君と連携

●準備
蔵人君の要望に応じて電子空間の認知を歪めて偽装する
併せて通信塔の偽装も行う

この際、蔵人君から通信機も受け取っておくよー

●作戦
奇襲班とは別に単独行動
おじさんはUCの攻撃範囲内かつ敵から見つからず、蔵人君のバフの恩恵がある場所をポジショニング

敵への誘導は本隊に居る蔵人君が座標を指定してくれる手筈
蔵人君の通信機をHMDに接続して
蔵人君の情報と実際の地形データを重ねて、味方や集落には当たらないようにレーザーをコントロールしちゃうよー!

多数相手にしたいからレーザーはクリーンヒットさせずに掠める感じで撹乱を狙うねー

あわよくば、BSコントローラーで神殿衛星の情報も探れたら
やってみるー


アノマ・ロカリス
人類は不毛な争いを撒く、該当対象の殲滅を推奨。
今回は敵武装の文明レベルを解析。

本体戦車を通じて、舎利成炉に通達。『支援の要請が届いたら、良き判断を推奨』

『わたし』の存在を悟られぬよう、敵部隊の背後を取りデモンズコード:インテリジェントキャノンで撹乱。この時代の人類の優先パターンを解析。

【作戦】組織的な挙動は、通達手段を有するものと推察。どの程度のジャミングに耐えれるか、電波念波磁場等多種に渡る妨害を始動。敵部隊と砲弾を乱戦の成るように誘導、敵戦兵の間隔距離を散り散りに離していく。

敵の相互意思疎通不可に成るのを確認した後、各個撃破。



●|蹂躙《アナイアレイション》
「お、通信塔が上手く行ったみたいだねー」
 御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)は本隊側の作戦が予定通りに進行している事を確認した。森の中なので直接は流石に見えないが、接続可能なネットワークとして検知した。
「機械神殿との接続も問題無いね。んじゃ、この通信塔は隠しておこうか」
 ユーベルコードにより作られた通信塔はその周囲一帯をフラクタル構造が広がる電脳空間化する効果を持続させていた。故に、電子的な偽装で通信塔自体の位置偽装も可能だ。

「人類は不毛な争いを撒く、該当対象の殲滅を推奨。今回は敵武装の文明レベルを解析」
 アノマ・ロカリス(超古代文明の殲滅兵器・f36576)は敵本隊の後方に陣取り、狙撃体制。遮蔽物が多過ぎる森の中でも狙撃を成立させられるのは単にデモンズコードの恩恵か。
 アノマは本体戦車をバイパスし、舎利成炉に通達する。
『支援の要請が届いたら、良き判断を推奨』
 返答はすぐに来た。
『既に手配済み。良き戦果を』
 その時、巨大な降下物が遥か遠方に落下した。アノマも使った剣型降下ポット『不動明王の剣』だ。それ自体に加速器の類は一切付いておらず、ただ単に地上に落とすだけの物だ。その質量で降下地点にある物を粉砕する事は出来るが、そっちはあくまでおまけに過ぎない。
 降下ポットである以上、中身があるのだ。
「ほう、これは。ならば、有線接続の方が効果的と判断。目標ポイントへ移動開始」

「相手の位置座標も来たねー。んじゃ、いっちょやっちゃいますか!」
 |上空からの俯瞰図《タクティカルマップ》に表示された標的の座標位置をポイントしていく。
「大型通信塔から軌道衛星上機械神殿への座標指定の入力確認」
『対象のポイントを受理。光学殲滅兵器”雷刀”照射準備完了。発射タイミングを譲渡、ユーハブ』
「アイハブ、発射!」
 【|長々高々度衛星レーザーによる精密射撃《インドラノヤ》】が、蹂躙制圧機械歩兵に向けて放たれた。

 天空から滅びの光が堕ちる。それは、熱量としては膨大でありながらも規模に対して極めて狭い範囲をピンポイントで狙い撃つ一撃。
『Cos'è quella luce?』
『È ora del carro armato, mettiti al riparo』
 だが、それに晒された人間側の反応は迅速かつ効果的だった。

 光が弾ける。雷光の如く瞬時に、雷光とは違い真っ直ぐに照射された光は傘に当たった雨粒の如く弾かれた。蹂躙制圧機械歩兵によって。
「んなぁッ!?」
 幸村はそれを俯瞰図で確認した。|損傷無し《NO COUNT》。
「純粋な耐久力じゃないね。対レーザー用のバリアかな」
『小賢しい。当機の攻撃を想定した装置と推測。第二射に向けエネルギー再充填を実行中』
「威力は凄かったけど、一基しかない分連射は出来ないかー」
『問題無い。必要な時間は稼げた』
 そこに割り込むアノマの通信。
『これより暫く通信不能になる。回線の遮断を推奨』
「あー、コレが通らなかったらそうなる手筈だったもんねー。いいよ、やっちゃってー」

「言われるまでも無く『わたし』の最優先目標は人類の速やかな殲滅」
 降下ポットで降りた物と合流したアノマはそれと有線接続した。それは、360度対応の球状レドームと長距離砲を備えた遠距離支援用多脚戦車だ。熱光学迷彩も備えたそれは、人間側に一切探知される事無くアノマとの合流を果たした。
「ECMバースト実行」
 アノマは人間達に何らかの通信手段がある事を理解していた。だが、それがどんな手段を用いた物かまでは分からなかった。
 だから、単純に。あり得るありとあらゆる物を全部まとめて遮断する事を選択した。
 電波、念波、磁場、超音波、光、量子、亜空間等々。ありとあらゆる情報を一気に洗い流すECMバーストを実行した。

「うわぁぁあ!?」
「なんだ、何が起きた!」
「頭キーンってするぅー!」
 まあ、それは生身のケモノ達や味方マキナにとっても迷惑な行為なので短時間ではあったが、人間同士の連携を確実に断ち切れる……筈だった。

「……効果無し?」
 吹き荒れたECMバーストから復帰して再び|上空からの俯瞰図《タクティカルマップ》を開いた幸村はそう結論した。
『あり得ない。何らかのデモンズコードを用いた通信であっても効果はあった筈。再確認を要求』
「蔵人君の方にも確認してるけど、特に敵の連携が崩れた様子はないって」

「――あり得ない」
 アノマは数秒沈黙思考した。まだ、封鎖すべき帯域がどこかに残っていた? その可能性は否定できない。だが、少なくとも今自分が封鎖できる領域は軒並み封鎖し尽くした筈である。
「あり得ない。そう結論する」
 そう、あり得ない。通信と言う物は必ず双方向に共通する何かが無ければ成り立たない。それが既存の規格では無かったとしても、少なくとも先のEMPバーストに全く影響されないという事はあり得ないのだ。
『あり得ないんならさ』
 幸村が言った。
『発想を逆転するんだ。どうすればあり得るのか』
「どうすれば、あり得るか――?」
 アノマは数秒沈黙思考し、その答えに辿り着いた。
「自立制御」
 もし、そうだとすれば。初めから通信など不要だ。
「完全自立制御。相手は、初めからプログラム通りに動くAIだとすれば」

「おいおいおい、ますます人間から遠ざかる一方だなー……」
 と、言いつつ幸村もその答えが一番腑に落ちる。
「初めから完全に行動をプログラミングされたボットなら、互いに通信しなくても完璧な連携が取れるって事だねー」
『肯定』
「ホント、なんなんだろうね。この世界の人間」
 あまりに人間と言う概念から遠ざかっているのではないだろうか。とは言え、クローンならば思考を完全にプログラミングして送り込まれていても不思議ではない。
「でも、そうだと分かれば」
『行動パターンを割り出し、裏をかく事が出来る』
「それに、使える手もあるしねぇ」

「つまりは私の出番と言う訳だ」
 蹂躙制圧機械歩兵を奪ったマリウスは連絡を受けて直ちに行動を開始した。折角奪った物だ、使い潰す位で丁度いい。マリウスは蹂躙制圧機械歩兵をずかずかと前進させる。
『Hai rubato il serbatoio questa volta?』
『dalla bestia』
 当然、プログラム外の行動は敵と認識される。IFFなど初めから必要無い。同調していない物はすべて敵なのだから。
 蹂躙制圧機械歩兵同士が激しく格闘戦になる。そのパワーは当然互角。で、あれば随伴歩兵の勝負となる。
 マリウスは蹂躙制圧機械歩兵に気を取られているスーツ人間を一足一刀で片付けた。何も、マリウス自身がアレに乗る必要は無いのだ。スーツの重りが無ければ容易な事だ。

 だが、この結果も既に織り込み済みなのだろう。一隊が交戦中に三方向から三部隊に包囲されていた。
「コレにはそれほどの未練は無いが」
 あっさりと手放すには少々惜しい。集落の住人も欲しがるだろうし。

「想定済みである事を想定していれば、次の手は容易と言える」
 アノマは有線接続した多脚戦車に指示を送った。実弾砲撃。少なくとも、対レーザー装備はあっても実弾の砲撃を無力化する装備は確認していない。
 【インテリジェントキャノン】は速度を落とさず砲弾の軌道を曲げるデモンズコードだ。あくまでも落とさないだけなので、再加速は出来ない。移動ベクトルを変えるだけであるが故に、初速は十分に欲しい。
 そこでこの多脚戦車だ。質量的には相手の機械歩兵と大差が無い程度の大型兵器であり、有線接続する事でアノマ自身の本体と同じ様に扱う事が出来る。ついでを言えば、この戦闘の痕跡からアノマ自身の存在を秘匿する役にも立つだろう。正に、最適な支援である。

 マリウスを包囲した三部隊の機械歩兵が、対戦車砲の直撃を受けて崩れた。敵の座標はとっくにアノマとも共有済みだ。対戦車砲で次々と機械歩兵を沈めて行く。だが、こうすれば残った歩兵が迅速にアノマの射点を割り出し強襲制圧する。
 それが分かっていてもアノマは撃った。既に、積んでいるからだ。
「大型通信塔から軌道衛星上機械神殿への座標指定の入力確認」
『対象のポイントを受理。光学殲滅兵器”雷刀”照射準備完了。発射タイミングを譲渡、ユーハブ』
「アイハブ、発射!」
 【|長々高々度衛星レーザーによる精密射撃《インドラノヤ》】か? 否である。
「以降のコントロールはおじさんの制御下とする。逃げられると思うなよ!」
 【|長々高々度衛星レーザーによる精密射撃UG《インドラノヤ・アップグレード》】だ! 放たれた光線は一つの小隊を蹂躙するとその軌道を曲げ、別の小隊へと襲い掛かった!
「対レーザーバリアは小型化できなかったみたいだねー?」
 幸村は見ていた。相手の機械歩兵に他の小隊員が隠れる所を。これだけの熱量を持つ光線を無力化する装置だ。易々と小型化は出来ない。
 だからアノマは機械歩兵だけを狙い撃った。的が大きい、外し様も無い。

 二つの砲撃が戦場を蹂躙した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

漆谷・悠希
人間の姿だと警戒されると聞いたので猫耳を付けてきたけど、やってることは僕たちの世界みたいな戦争だよね。
妖精共和国の人間としてはちょっと複雑な気分だけどあの人間とは話が通じない。
オブリビオンとかはピンと来てないけど敵はあっちだってことだよね。
(魔法戦記マギアロアにオブリビオンは居ないので敵の判断はこちらへの敵対心を基準にしてます)
ここは魔法戦記マギアロアじゃないから魔法少女に変身する力を魔導石は発揮しないけど……
魔法少女の姿じゃないとしっくり来ないから早着替えを生かして魔法少女の衣装に早着替えするよ。
D.D(ディバインデバイス)に詠唱を肩代わりして貰って、
『ディバイン・バーニング』をぶち込むよ。


アルトリウネ・ペンドラゴン
この世界でも魔族と人間が戦争をしているようだ。
ただこの世界だと人間が魔族と同じ立場のようだが……
「たおろだみぬぼ!むきとのほ!(PL訳:けものがいるぞ!うちころせ!)」
という意味は分からんがこちらへの敵意満載の叫び声を聞く限り、
どのみち敵だということに変わりはしないから問題ない。
(PL:魔法戦記マギアロアの世界にオブリビオンは居ないため、オブリビオンが世界の脅威というのがピンと来ておらずこちらへの敵意で敵味方を識別しています)
地底帝国の魔王にして地底帝国随一の騎士の力を以て、敵であるなら打ち砕くまでだ。
妖精共和国の魔法少女も居るようだし、我が必殺の一撃をここで見せてやろう。



●|魔法《ドミネイション》
「sparsi!」
「Non congelare!」
「はははっ、気付いた時にはもう遅いんだよー!」
「人類に安らかな眠りあれ」
 二人による砲撃は戦場を蹂躙し続けているが、それだけで勝てるなら歩兵は要らない。最も、機械歩兵は完全に無力化。下手に動くと高熱源レーザーに焼かれると言う分隊支援が手厚い状況。出来る事と言えば各自散開してかくれんぼでもする位か。
 そう、ここまで来たら後は隠れた撃ち洩らしを駆除するだけなのである。それが一番難しいのではあるが。
「この世界でも魔族と人間が戦争をしているようだ。ただこの世界だと人間が魔族と同じ立場のようだが……」
 アルトリウネ・ペンドラゴン(騎士王・f37914)は魔族のドラゴニアンらしい。
「人間の姿だと警戒されると聞いたので猫耳を付けてきたけど、やってることは僕たちの世界みたいな戦争だよね」
 漆谷・悠希(妖精共和国の魔法少女・f37916)は魔法少女だ。実は完全に少女と言う訳ではないがシステム上女性扱いされているので少女だ。
 この二人は魔法戦記マギアロアから来ているようなのだが、私はその辺把握してないので詳しくは公式サイトをチェックだ。
 まあ、ここに来た経緯はともかく、猟兵として参加している以上やる事は同じである。

「C'è una bestia, sparagli!」
「意味は分からんが、敵意は感じる。地底帝国の魔王にして地底帝国随一の騎士の力を以て、敵であるなら打ち砕くまでだ」
 どこで何をしていようと、相手に銃を向けられた時に取れる行動は二つしかない。戦うか、降伏するか。後者を選ぶ理由が無ければ戦うわざるを得ないだろう。
 スーツの人間が光線銃を撃つ。光線銃と言う事は文字通りに光の速度で飛ぶ訳で、弾速は実弾のそれよりも遥かに早い……のではあるが。
「それが、お前達の魔法か。手緩いな」
 アルトリウネが剣を振りかざす、そこに吸い込まれるように光線が飛び、弾かれる。実際には、光線の軌道に剣を置いている訳だが、発砲するより先にその位置に居るのでまるで剣に向けて撃っているかのようにしか見えない。
 光線銃は明らかに魔法ではないが、優れた科学と魔法は見分けが付かないとは古来から言われて来た。ならば、優れた魔法使いならば科学に魔法で対抗できるのは当然と言えよう。過程はともかく、結果としてそうなっているのだ。
「では、こちらの手番だな」
 アルトリウネは大きく踏み込んだ。剣が輝きを増す。
「迸る光は魔族に栄光を齎す魔王の力にして、騎士たる英雄の剣。受けるが良い」
 ここまで来て、ようやく人間達は勘違いに気付いたのだ。目の前に居るのは獣でも剣士でもない。魔族という全く異種の存在なのだ。
「エクス!」
 踏み込んだ足を、踏み出す。その一歩は一歩にあらず。
「カリバァァァーッ!!」
 【|約束された栄光の剣《エクスカリバー》】何故か数多の世界から聖剣として散見される名を冠した剣は、その名の通りの効力を発揮した。一足一刀の間合いと呼ぶにはあまりに広く、鎧袖一触の様相を呈した。
「さて、妖精共和国の魔法少女はどうしたか」

「Sarò qui anche io」
「venire faccia a faccia」
「妖精共和国の人間としてはちょっと複雑な気分だけどあの人間とは話が通じない」
 それはそうだろう。相手は同じ人間と呼ぶにはあまりに異質だ。
「オブリビオンとかはピンと来てないけど敵はあっちだってことだよね」
 どうも、他の猟兵の話ではオブリビオンでも無いらしいが、倒すべき敵ではあるのだろう。
 ちなみに、魔法少女に変身するにはマギアロアの中で魔導石と言う物が必要らしい。なので、これは単なる魔法少女の衣装を着ているだけの状態のようだ。知らんけど。
 『|D.D《ディバインデバイス》』が代行高速詠唱を行い、高度な術式が圧縮され魔力の渦を作る。
「Che cosa?」
「Le reazioni scientifiche stanno aumentando!」
 が、それでも古来より|魔法使い《スペルキャスター》の大敵とは自分より射程の長い|狙撃手《スナイパー》である。どれだけ高速化しようと、魔法を唱えるより引き金を引く方が早い。
 だが、|魔法使い《スペルキャスター》たるもの飛んでくる攻撃が分かっているなら事前に対処しておくのが常識だ。主に風の領域とされる|矢避けの魔法《ミサイルプロテクション》で。光線銃だろうと銃は銃、遠距離武器は遠距離武器だ。とは言え、相手の光線銃にはデモンズコードが乗っているので単なる魔法ではあまり長くは持たないが、一度詠唱を終えるには充分だった。
「ディバイン・バーニング!」
 |真に力ある言葉《パワーワード》で数多の圧縮詠唱を紡いで発動するのは広域破壊魔法。天より降り注ぐ裁きの炎が目標地点を一掃する。
 分隊支援火器が届かないなら、火炎放射器を使えばいい。古来より閉じこもる相手には火炎が有効なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

空野・プゥピィ
前後から挟み撃ちプゥ?
いな!あたいには空があるプゥ!というわけで上から撃つ為に、偽装集落より遠くから残滓ヒコーキ発進プゥー!
(ドルドルドルドル……ブオォン!)
【こぶたの属性機銃術】のチャージをしながら直進プゥ、敵が見えてきたら発射プゥ!【属性攻撃・先制攻撃】決めてやるプゥ!

敵の|レンジ《射程》に入る前に【空中機動】込みで離脱して、大きく旋回中に弾を再装填プゥ!
再装填中にはコレを飛ばして様子を伺っておくプゥ(「こぶたのビックリポッキリ偵察機」を飛ばす。今回の姿は豚鼻偵察機)
偵察機は撃墜されない高度で【情報収集】して、敵の隊列を確認して再突撃プゥ!銃弾の雨を降らせてやるプゥー!おかくごプゥ!!



●|空戦《スクランブル》
 そもそも何故これほど正確に敵の位置を把握しているのかと言うと、少し時は遡る。
「前後から挟み撃ちプゥ?」
 空野・プゥピィ(飛ばない仔豚はただの仔豚・f38289)はタラップを軽快に歩き、愛機に乗り込む。
「いな! あたいには空があるプゥ!」
「いや、ここ森なんだけど」
 そう、今回の現場は森である。そこを歩いて進軍しているのだから飛行機で、と言うのは厳しい。
「それがどうしたプゥ?」
 が、プゥピィに取っては大した問題でも無かった様子。
「というわけで上から撃つ為に、偽装集落より遠くから残滓ヒコーキ発進プゥー!」
 どるぅん! と威勢良くエンジン音を響かせる。古めかしいレシプロ機に熱が灯る。
「もぉー、どうなっても知らねーぞ!」

 確かに、ただのレシプロ機であれば森の中を歩く歩兵を迎え撃つなどまるっきり不可能だ。だが、コレはただのレシプロ機ではない。レシプロ機と言う物はUDCであれば第二次大戦中に活躍し、ジェット戦闘機の実用化に伴い実戦からは遠ざかって行った骨董品だ。だが、この機体は現役で動作する残滓なのである。それがただのレシプロ機である筈がない。
 果たしていかなる者がこれを設計したかは定かではないが、賢い仔豚の体型にジャストフィットするサイズで設計している辺り賢い動物を生物兵器として実戦投入できる文明レベルの時代に作られた物だ。当然、プゥピィの天才的操縦センスもあるが、それだけでは飛行機を飛ばすには至らない。

 どるどるどるどる。エンジンが唸りながらタキシングし、滑走路に付く。
「空野・プゥピィ、出撃プゥ!」
 ブオォォーンッ! 一気にプロペラの回転数が上がる。プゥピィは体感でV1を越えた事を理解。
「ローテート!」
 操縦桿を引き、機首を上げる。翼が風に乗り、機体が飛び立つ。

「確かに、歩兵を狙い撃つのは難しいプゥ」
 森の上空、高い木々の僅かに上を飛ぶ。
「でも、デカブツは別だプゥ」
 そう、残滓ヒコーキよりも大きい相手が居る。機械歩兵が。
「Che cos'è?」
「È un aeroplano?」
 自分から見えるという事は大抵の場合相手からも見えるという事である。機械歩兵の視界は残滓ヒコーキを捕えている。
「Puoi abbatterlo?」
「fuori dal campo visivo」
 狙撃手が撃ち落とすには射線が通らない。残滓ヒコーキが歩兵を撃つのは難しいが、歩兵からも手が出せない。
「È scomparso?」
 すると、いきなり視界から残滓ヒコーキが消えた。見た目レトロな残滓ヒコーキにもかかわらず、光学迷彩でも搭載しているのか?
 もちろん違う。ただ、単純に高度を落しただけ。単純に機体を森の中に突っ込ませたのだ。正気じゃねぇ。

「こっちを見失ったプゥ?」
 プゥピィとしてはただ単に高度を落しただけである。自然のランダムに生える樹木の間に機体を滑り込ませ続けている|だけ《・・》。忙しく操縦桿を動かしているがさも当然のように離れ業をやっている。
 機械歩兵のミスは三つあった。まず、森の中では航空戦力を使えないと思った事。機体の大きさで距離を誤認した事。それが低空から突撃して来る事を想定していなかった事。
 なので当然、容易く先制攻撃を許す結果になった。
「che cosa!?」
 目の前に突然現れた残滓ヒコーキ。
「頂きプゥ!」
 プゥピィは【|こぶたの属性機銃術《ジ・エレメントバレット》】を籠めたトリガーを引いた。デモンズコードにより連鎖電撃属性を帯びた機銃弾がプロペラ同調機銃掃射される。
 銃弾が機械歩兵に突き刺さる。そこから爆ぜた電撃が周囲の歩兵に連鎖通電!
「「「「Guwaaaa!!!」」」」
 掃射を終えた瞬間に機首を上げ、上空に抜ける。まだ戦闘不能には至らないようで、今度はプゥピィを警戒して警戒態勢を取っている。
 プゥピィはデモンズコード機銃弾を再装填しながら「こぶたのビックリポッキリ偵察機」を飛ばした。それは、【ガジェットショータイム】で創り出したより小さな豚鼻偵察機。おもちゃのような見た目だが、小ささ故に森の中でも平気で飛び回りプゥピィに位置情報をリアルタイム送信している。
 相手は森の合間を縫って現れた。ならば次もそうして来るに違いない。そう考えたのは致命的な判断ミス。相手が航空機なら最も警戒すべき方向への警戒が疎かになっていた。
「銃弾の雨を降らせてやるプゥー!」
 プゥピィは上空でインメルマンターンを決めつつ、そのまま垂直に落ちる。トリガーを引きながら。
「おかくごプゥ!!」
 即ち、急降下突撃!
「「「「Aberrrrrrr!!!」」」」
 電撃を纏った銃弾は天より堕ちる裁きの雷めいて小隊を蹂躙した。

●|決着《K.O》
 そもそも挟み撃ちと言う形で始まった今回の戦闘。気が付けば攪乱が主目的だった筈の奇襲側ももう普通に暴れていた。
 何せ正面側からも猟兵のキャバリア二機、住人十名、猟兵一人が戦線を維持。デカい通信塔が屹立すれば、天から剣が振って来るわ、光が落ちてくるわの|やりたい放題《オーバーキル》。森の中をすり抜けて飛んでくる多脚戦車砲弾。籠れば魔法で薙ぎ払われ、逃げようにも残滓ヒコーキが追撃。
 終わってみれば住人と猟兵の連合軍は圧倒的な勝利を収めていた。
「所で、今回普通に殺してたけどいいのかな?」
「ああ、別に住人も絶対に殺さないって訳じゃねーよ。明らかに戦えない相手に止めを刺さないってだけだ」
「つまり、戦えなくなったら胞状分解する人間に加減は無用って事かな?」
「結果的にはそういう事だな」
「なるほどー」
 人間相手なら加減をする必要が無い。人間は敵と言う偏見だけではなく、何の遠慮もせずに攻撃をしても大丈夫な相手と言う意味も込められていた訳だ。

●後日談
 その後、マナキタの里は大規模な引越しが行われた。
 人間の襲撃で受けた被害が大きかったという訳ではなく――むしろ、集落には何の被害もなかったが――突如として現れた巨大な通信塔を利用する為である。
「いやぁ、無線技術って便利だなぁ」
 便利な物は何でも使う。それがけものマキナの住人。蔵人の建てた通信塔は残滓と呼ぶべき物ではないが、結果的には残滓として扱われマナキタの新たな名所になっている。

 機械技術による文明の復興。それは、けものマキナの住人が無意識的に避けていた選択。だが、現実として残滓と言う機械文明の遺物を使う以上は機械文明として発展するしかないのだろうか。

 一万年前の過ちは、再び繰り返されるのだろうか。
 欲望の果てに、蠢くは狂気。狂気の果てには、終焉が横たわるか。
 ”人類は何も学ばない”
 けものマキナの住人誰もが知る諺の通りに、世界は進むのだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年08月21日


挿絵イラスト