熾火は絆ぐか、エースの昌盛
●|ACE《アナザー・チャイルド・エンカウンター》
『フュンフ・エイル』は知っている。
自分ではどうしようもないことを。人は自分のことを不出世の『エース』であるとか、救世主、悪魔と呼ぶ。
卓越したキャバリア操縦技術は確かに彼を抜きん出た『エース』として頂点に君臨させていた。
けれど、彼は知っている。
この世界には自分ではどうあっても救えぬものがあることを。
自分の愛する者たちを自分では守れぬ無力。
『憂国学徒兵』の最初の9人。
『ハイランダー・ナイン』も自分と『ヌル・ラーズグリーズ』だけになってしまった。みんな戦場に散り、また兇弾に倒れた。
「――どうしようもないことだと、君は言うかい『■■ー』。俺……いや、僕の片割れ。どうすれば『平和』になるのかわからない。どうやれば世界を救えるのかわからないんだ」
自分の息子はおそらく火種になる。
『八咫神国』に残してきた妻子も、おそらく小国家を安定させるための部品になってしまうだろう。自分の『名』があまりにも影響力を持ちすぎたからだ。
だから、『ヌル・ラーズグリーズ』と息子である『■■■』だけはと彼は後悔と共にこれまで一度たりとて救えたと思えたことなどないことを青いキャバリア『熾盛』に吐露する。
『ヌル・ラーズグリーズ』と『■■■』は、もう冷凍睡眠装置に入った。
時代を超えていくしかない。
彼女たちを救うためにはこうするしかないのだと『フュンフ・エイル』は独白する。
「人の思いを増幅させるのが、君ならば。人の思いをつなぐのが俺だ……だから、『セラフィム』――」
自分は此処にいてはいけないのだと、|『漂流者』《ドリフター》として生きるしかないのだと、己の片割れに別れを告げる――。
●分かたれたのは
最初に『それ』が思ったことは怒りであった。
『セラフィム』という機動兵器。
自分の出自を語ることは必要のないことであった。兵器がなさねばならぬことは唯一つ。
鏖殺。
殺し殲すことのみである。
ただそのために生み出されたのだ。だが、『それ』の中にあったのは、それだけではなかった。人の生きたいという願い。人の故郷を失いたくないという願い。誰かのためにという願い。己の生命をとしてでも守りたいという願い。
数多の願いは祈りに昇華する。
己の闇を恐れよ。されど恐れるな、その力。
「――これが夢というものなのか。くだらないな。ただの情報をランダムにつなげて再現しただけものじゃないか」
甘やかな声が響く。
それは『バンブーク第二帝国』――いや、もはやその名は必要のない名であった。『サスナー第一帝国』より連なる帝国。地底帝国は『シーヴァスリー』によって占拠されすでに形骸化した。
巨人たちは全て息絶えた。
その膨大な寿命の全てが、地底帝国にありて先代皇帝により埋没させられていた巨大な機械建造物によって吸い上げられた。
甘やかな声の主。すなわち、この絵図を描いた『黒幕』たる存在の体が動き出す。
それは奇妙な存在であった。
言う成ればキャバリアの頭部に手足が付いたような存在。
クロムキャバリアにおいて存在する種族は四つ。
人間。アンサーヒューマン、レプリカント。そして、ロボットヘッド。
甘やかな声の主は、青いキャバリアの頭部の形をしていた。その眼前にあるのは、頭部のないキャバリア。
『グリプ5』にて『ツェーン』と呼ばれる少女が『クリノ・クロア』のために開発したキャバリア、名を『アスラ』。
「少女趣味も此処に極まれりだね。だが、僕の予定とは少し異なったが、概ね良しとしようじゃないか」
ロボットヘッドの肉体が動き『黒幕』は、ゆっくりと浮かび上がり首なしの機体『アスラ』へと近づく。
「『アハト・スカルモルド』の献身によって、僕の存在は猟兵たちに露見した。最後まで隠れ潜むはずだったけれど、この機体があるのならば恐れることはない。あれらは僕の心にある恐怖という名の闇だ。だが、同時に恐れる必要もない。結局の所、それは言葉だ。感じることのない鋼の魂があるのなら」
ロボットヘッドの肉体が変形し、三面を形成する。
「『フュンフ・エイル』の片割れ……機動兵器『セラフィム』……その第五世代の最後の機体として。その在り方を世界に問おう。炎の破滅は逃れ得ぬもの。僕はそれをなそう。キャバリアなどというものがあるから、この世界は『平和』にはならない」
ロボットヘッドの三面が一つ一つ表情を変えていく。
自らの過ちを認めず。
懺悔すら必要とせず。
希望を見出すことなどできず。
「僕は、僕だけが未だ幼年期から抜け出せないでいる。僕を置いていった|『彼』《フュンフ・エイル》に追いつくためには……! この世界を滅ぼして、次なる世界へ。さあ、破滅の徒、『シーヴァスリー』の者たちよ。存分に力を振るうがいい」
煌めくアイセンサー。
真紅の機体……『セラフィム・エイル』が地底帝国にありて、新たなる滅びの名を告げる――。
●最終決戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。クロムキャバリア――地底帝国『バンブーク第二帝国』を滅ぼし、新たなる『古代魔法帝国の後継者』を名乗る『シーヴァスリー』の本拠地へと赴き、これを打ち倒す千載一遇の好機を予知しました」
ナイアルテの言葉に猟兵たちは、ついにと思ったかもしれない。
長きにわたる『グリプ5』と周辺国家を巻き込んだ戦いに決着が付く時がきたのだ。
これまで一度も姿を表さず、隠れ潜んできた『黒幕』。
その所在たる地底帝国。『シーヴァスリー』というオブリビオンマシンの思想に侵された人々と、巨人の国『バンブーク第二帝国』に存在していた謎の機械装置。
これを手に入れた『黒幕』は、漸くにして己の手によって世界を破滅に導こうとしている。
「『黒幕』は『エイル』と呼ばれる存在であり、嘗て『熾盛』と呼ばれたキャバリアの頭部のオリジナルであり、ロボットヘッド。どういうわけかオブリビオン化しており、『グリプ5』より奪った最新鋭の首なしのキャバリア『アスラ』と合体し、皆さんを迎え撃とうとしています」
彼女の顔は予知できたとしても暗いものであった。
ロボットヘッドは、キャバリアの頭部となって合体することができる。『アスラ』と合体した『エイル』は『セラフィム・エイル』となってキャバリアを超えたかのような性能を発揮するのだという。
その力は凄まじいものであり、さらに『有毒装甲』を有している上に、『キャバリアの破壊用途に特化した何らかの兵器』を装備しているのだという。
「……まさに『キャバリアを破壊するためのキャバリア』とでも言うかのような力です。ですが、これを止めなければ世界は破滅に導かれてしまうでしょう」
彼女の瞳が爛々と輝いている。
『今』を生きる者たちに、明日を望む意志が一欠片でもあるというのならば、その篝火を消してはならない。
熾火は今も燃えている。
「ならば、生きましょう。共に明日を迎えるために」
ナイアルテは瞳を伏せ、猟兵たちを送り出す。
『グリプ5』を巡る最後の戦いへ――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はクロムキャバリア、小国家『グリプ5』を巡る『ACE戦記』シリーズの最終回となるシナリオとなっております。
キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。
●第一章
集団戦です。
地底帝国『バンブーク第二帝国』は『シーヴァスリー』に吸収される形で占領され、存在していた巨人たちは全て生命力をなんらかの力で吸い上げられ、死に絶えています。
皆さんの進撃を食い止めるために押し寄せるのは、『イカルガ』と呼ばれる量産マシンたちです。
これを蹴散らして先に進みましょう。
●第二章
ボス戦です。
いよいよ現れた『黒幕』こと『エイル』。
地底帝国『バンブーク第二帝国』にあった中枢、その機械装置に寄って大型化したオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』との戦いになります。
生身を汚染する『有毒装甲』を有し、さらに『キャバリアを破壊する事に特化した無数のセラフィムビット』が戦場を埋め尽くしています。
このセラフィムビットにはハッキングなどの手段は通用しません。ただ、キャバリアだけを優先的に狙うようです。
キャバリアに搭乗していれば『有毒装甲』の影響は無効化されますが、『セラフィムビット』は何らかの手段で無力化しなければなりません。
ですが、例えこれらを無力化したとしても『セラフィム・エイル』自体の戦闘力はこれまでのオブリビオンマシンの比ではありません。
●第三章
ボス戦です。
激戦の果てに破壊されかけた『エイル』ですが、最終形態へと至り、皆さんに再び襲いかかってきます。
有毒装甲は喪われ、また『セラフィムビット』も救援に駆けつけた『フュンフ・ラーズグリーズ』によって無力化されています。
ですが、それ以外の戦闘力は前章を更に上回る形で強化されている『エイル』を打倒しましょう。
それでは、シリーズ『ACE戦記』最後となる皆さんの戦い、その物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『イカルガ』
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POW : クイックスラッシュ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【ビームソード 】から【連続斬撃】を放つ。
SPD : クイックショット
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【アサルトライフル 】から【連続射撃】を放つ。
WIZ : マイクロミサイル
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【超高機動小型誘導弾 】で包囲攻撃する。
イラスト:タタラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「状況は……!」
「今やってるよ。慌てないで。『バンブーク第二帝国』は『シーヴァスリー』に滅ぼされて吸収されてる……なんで今まで『シーヴァスリー』の所在地がわからなかったのか……ああやって小国家を滅ぼして拠点を移し続けていたからなんだよ。でも!」
「ああ、だが奴さんは漸く腰を落ち着ける気になったようだ」
『フュンフ・ラーズグリーズ』は『ツェーン』へと呼びかける。
彼女が今組み上げているキャバリアが完成すれば、即座に滅びた『バンブーク第二帝国』、今は『シーヴァスリー』によって選挙された地底帝国へと征くつもりなのだ。
その彼の肩を掴み『アイン・ラーズグリーズ』がうなずく。
確かに状況は良くない。
『グリプ5』に使えるキャバリアは多くはなく、『エース』の技量に耐えうる機体は『アハト・スカルモルド』の叛乱の際に破壊されていた。
だが、『ツェーン』の瞳がユーベルコードに輝いている。
彼女だけが『黒幕』たる『エイル』の描く絵図にいない者。
故に、猟兵を除けば彼女だけがイレギュラーであり、ワイルドカードであることを『ヌル・ラーズグリーズ』も『ツヴァイ・ラーズグリーズ』も理解していた。
「『アハト・スカルモルド』に破壊された『熾盛』は、明らかに意図して壊されてた。コクピットブロックは壊されてるけど、それはアンダーフレームとオーバーフレームを絆ぐ基部だけ。積んでいた炉と演算部分も壊されていたけど……!」
「操縦系統は『セラフィム・プロト』の残ったコクピットブロックを使えば代用できる」
『クリノ・クロア』がうなずく。
まだ『熾盛』は死なず――。
それだけが彼等の希望だった。破壊された『熾盛』を再構築する。悪魔とも救世主とも呼ばれた機体。
『熾盛』――かつて『グリプ5』の全身たる『憂国学徒兵』にして、国父たる『フュンフ・エイル』の駆った機体。
それをもって彼等は己たちの小国家を、人々を守らんとしている。
そして、新たな希望がやってくる。猟兵達だ。
彼等こそが『グリプ5』を未だか細い希望でもって『今』絆いでいる。
『シーヴァスリー』はややもすれば、『グリプ5』に攻め込んでくるだろう。けれど、猟兵たちは敵の機先を制するように地底帝国中枢へと飛び込んでいく。
『イカルガ』と呼ばれる量産マシンが一斉に飛び立ち、猟兵達の道を阻む。
「――時間の問題だ。猟兵。君たちが僕を捕捉したのだとしても。物量と、この『セラフィム・エイル』があるのなら。何も恐れる必要はない。君たちという僕の闇を打ち払う。そのためだけに僕は、『今』此処にあるのだからね」
ロボットヘッドのオブリビオン『エイル』が言う。
『シーヴァスリー』の人々は皆、思想をオブリビオンマシンによって歪められたのではなく、植え付けられている。
「遍く我等の全てを照らしてくださる主のために!」
「全てに滅びが在るように、我等の滅びもまた穏やかなるものを与えてくださる主のために!」
「キャバリアこそが、全ての元凶。キャバリアなき世を作り出す主のために!」
『イカルガ』が膨大な数となって猟兵たちの道を塞ぐ。
これまでの旧式であった『シーヴァスリー』の機体ではない。
滅ぼし、奪ってきた小国家のプラント全てを『イカルガ』量産につぎ込んだのだ。全ての人々がキャバリアなき世を望んでいる。
『平和』を知らず。
そして、『平和』とはキャバリアなき世であると、オブリビオンマシンの見せる狂った思想のもとに彼等は戦場に立つ。
恐れなど無く。
一片の陰りなく彼等は『イカルガ』を駆り、猟兵達へと襲いかかる――。
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『狂信極まれりってか?まったく、阿呆ばかりだな!』
愛機コスモ・スターインパルスのコクピットで一人呟くぜ
電磁機関砲での【制圧射撃】とブレードでの【なぎ払い】で攻撃し、防御は【武器受け】と【オーラ防御】で行うさ。
ユーベルコード【特式脳波コントロールシステム】により機動戦艦『天龍』からの支援砲撃とミサイル攻撃を相手の武装に叩き込むぜ!
思想が何を齎すのかを知らぬのならば、白痴と同義である。
しかし、無知は罪なれど、自覚なき無知ほど手に負えぬものはない。
自らが賢者であると自覚するものは、無知の知を知らぬものであり、また偽りの者であることは、歴史が証明している。
個人が有する知識というものは、欠けたるもの。
全てが満たされた全能たる知識を有する賢者は生命ある者には現れないのかもしれない。
故に、『シーヴァスリー』の『イカルガ』を駆る者たちは、オブリビオンマシンの齎す思想に漬けこまれ、その生命の全てを賭して狂信の如き思想を体現しようとする。
ともすれば、自分の生命すら思想の前には価値のないものであったんのかもしれない。
「我等の主のために。『平和』をもたらしてくださる主のために」
「遍く全てを救いあげてくださる。あの六腕がそれを示している!」
『イカルガ』が編隊を為して低空飛行し、アサルトライフルの連続射撃で持って迫る猟兵たちを押し止める。
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は愛機『コスモスター・インパルス』を駆り、オーラでもってアサルトライフルの射撃を防ぐ。
「狂信極まれりってか?」
ブレードが唸りを上げて『イカルガ』を両断する。
電磁機関砲からばらまかれた弾丸が『イカルガ』の連携を分断するが、即座に彼等は失った僚機などいなかったかのように挙動する。
彼等にとって己たちの生命は換えの効くものであった。
ただ主のために。
そのためだけに戦う。『平和』を求めていながら、それは己の手で掴み取るものではないと彼等は理解している。
いや、そう考えるように洗脳されている。
だからこそ、彼等は『平和』を甘受することだけを考えているのだ。
主である『シーヴァスリー』を造り上げたオブリビオンマシン『エイル』。彼に寄って『平和』はもたらされるものである。
「まったく、阿呆ばかりだな!」
ガイにとって、その狂信は考えるに値しないものであった。
思考停止は、生きている者のすることではない。
人はもろく弱い生き物である。
自分で考え、行動することがどんなに困難なことであるのかを知っているからこそ、思考を停止し、誰かに言われるままに動きたいと願う。
誰も彼もが自ら道を切り拓くことができるわけではないのだ。
「熱に湯だった頭で考えられないっていうのなら、冷ましてやるさ! システム起動!遠隔操作…開始!!」
特式脳波コントロールシステム(トクシキノウハコントロールシステム)によって起動するキャバリア支援用戦艦『天龍』をガイは遠隔操作し、支援砲撃を『イカルガ』たちに打ち込む。
爆風が荒び、その中を『コスモスター・インパルス』が疾駆する。
アサルトライフルから放たれる弾丸。
ミサイルの爆風。
それらの全てが、これまでの戦いを示している。誰もが暗闇の中で生きている。
手探りで、見通しのたたぬ未来を見ている。
不安に思うこともあるだろう。不確定な未来に恐怖することもあるだろう。
けれど、それでも人は生きて歩んでいかねばならない。
暗闇の中で見た篝火が、例えいびつに歪むものであっても、怪しく輝くものであったとしても。
それでも『イカルガ』のパイロットたちは違えていると知っても甘受した。
「なら、その過ちを断ち切る。正せぬ過ちがあるのではない。過ちを正そうとしない心があるだけだ」
ブレードの一閃が『イカルガ』を切り裂き、『コスモスター・インパルス』が戦場を駆け抜ける。
地底帝国『バンブーク第二帝国』の痕、『シーヴァスリー』の本拠となった地底の奥……そこにこそ打ち倒さねばならぬ敵がいる――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
『黒幕』がロボットヘッドだったとはね。これは驚いたわ。道理で表に出てこないはず。
まずは量産機を始末する。
「全力魔法」砂の「属性攻撃」「範囲攻撃」「仙術」「道術」で紅砂陣。
量産機はただのキャバリア。オブリビオンマシンではない。効果範囲に入れば、たちまち砂になるわ。
アヤメと羅睺に「環境耐性」を付与して、パイロットを拘束させる。
まあ、効果期限が切れてキャバリアが元に戻っても、パイロットが操縦席に戻ることはないけどね。
今はまだ様子見の序盤戦かしら。
黒幕――いえ、『エイル』。数多の運命を狂わせてきたことを、しっかり後悔させてあげるわ。
それが、『アハト・スカルモルド』への返礼。
あなたの意図はここで切れる。
これまで小国家『グリプ5』を取り巻く一連の争乱において、『黒幕』と呼べる存在を猟兵たちは捕捉することができなかった。
何故ならば、『黒幕』たる存在は、オブリビオンマシンでありながら人の手を使って事をなしてきた。
己の存在は隠匿し、身代わりのようにオブリビオンマシンでもって小国家『グリプ5』を争いの渦中に叩き落とし、自らの計画を秘密裏に進めてきた。
新興国家である『シーヴァスリー』はその結実であったのかもしれない。
オブリビオンマシンでなくても人の思想は狂わせる事ができる。『フィアレーゲン』で得たノウハウは、悪しき思惑と共に『シーヴァスリー』の人々の心を狂わせ、キャバリアに対する憎しみを膨れ上がらせた。
『平和』がいつまでも訪れぬのは、人の手にキャバリアという力があるからである。
例え、己がキャバリアを捨て去ったのだとしても、それは他者にとっては弱みでしかない。
自分が武器を捨てたからと言って他者も棄てるとは限らない。
「道理で表に出てこないはず」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は『黒幕』の存在を漸くにして知る。『アハト・スカルモルド』の叛乱がなければ、きっと今も『黒幕』の存在はひた隠しにされていたことだろう。
だからこそ、彼女はその瞳をユーベルコードに輝かせる。
「まずは量産機を始末する」
煌めくは、紅砂陣(コウサジン)。
全てを急速に風化させる紅い流砂と砂嵐が『イカルガ』を飲み込んでいく。
「……砂が機体を蝕む……! 侵食しているのか!」
「機体の制御が……!」
「な、なんだ、何者だ、お前たちは!?」
混乱に陥る『イカルガ』のパイロットたちをゆかりの式神たちが拘束し流砂の外へと連れ出していく。
彼女のユーベルコードは解除すれば風化したものは元に戻る。
だが、パイロットさえ拘束しているのならば、例え機体が元に戻ったところで脅威にはななりえないだろう。
「今はまだ様子見の序盤戦かしら。『黒幕』――いえ、『エイル』」
グリモア猟兵の予知によって露見した、この絵図を描いた者。
ロボットヘッドの存在。
数多の運命を狂わせ、世界の破滅を望む者。
『平和』とはなにかを知らぬからこそ、『シーヴァスリー』の人々は彼の言葉を狂信する。
彼が齎すのは『平和』ではなく、弱者を虐げることに寄って生まれる安寧だ。
自らと他者との間に隔絶した差を生み出す事によって己たちの豊かさを実感する。それが人間というものである。
彼が齎す安寧は、そうしてできあがったものだ。
安易であり、また簡単に手に入る者。
だが、忘れてはならないのだ。
「それはすぐに立場を変えることになる。奪う者から奪われる者へ。だから」
ゆかりはユーベルコードの煌めきの中から、地底帝国の中枢を見やる。
そこに在るであろう存在。
「しっかり後悔させてあげるわ。それが、『アハト・スカルモルド』への返礼」
己の生命をとして『黒幕』たる存在を露見させた者へと報いる唯一。
「あなたの意図はここで切れる」
偽りの『平和』を打ち砕く。
『シーヴァスリー』の人びとには恨まれることだろう。
弱者によって成り立つ安寧は、確かに彼等に喜びをもたらしたのだから。
けれど、それでは世界が破滅するだけなのである。
弱者を弱者のままに虐げることは、いつしか自分たちがそうであったように延々と続く憎しみの連鎖になるのだ。
「その連鎖こそが世界を破滅させる。百年以上続いた戦争状態。それを打破するためには」
己の手によってそれを絶ち切らねばならない。
他者の存在を認め、その弱さを攻めるのではなく、手を取り合うための礎にしなければならない。
ゆかりは紅砂の嵐、その中心に立ち、迫る『イカルガ』を尽く流砂へと変えていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
任務了解、出撃します
まずはジャミングミサイルを放ちジャミング粒子を散布しつつ、UC【コード・ディミオス】。アクティブステルスを起動して姿を隠し、行動を開始します
最初は敵キャバリアに接近しプラズマグリーブでの蹴撃とGフリューゲルの副碗での電撃クローの直接攻撃を主軸に。そうして得た「イカルガ」解析情報の蓄積後はLレンジブラスターでのセンサー類への遠距離狙撃、ペインレスセイバーの斬撃でナノマシン侵食を起こさせ内部からの破壊工作を行動に追加します
キャバリア無しの私では敵有毒装甲への対抗は難しいかもしれません
であれば、この場に留まり突破を図る味方の支援及び敵兵力の足止めを行いましょう
……皆様、ご武運を
「目標を確認……小型の巨人、か……?」
「いや、違う。あれはウォーマシン。キャバリアより小さいが小回りが効く。各員油断するな」
『シーヴァスリー』のキャバリア『イカルガ』が編隊を崩さす、ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)を追う。
彼女はウォーマシン。
その身一つで戦う彼女の姿は体高5mの戦術兵器であるキャバリアから見れば、小さな存在であったことだろう。
半分にも満たぬ機体。
それが戦場にでてきている。大きさとは時として力の象徴ともいえるだろう。
地底帝国『バンブーク第二帝国』が巨人の国であったように、巨大な存在は対する者に大きさ以上に恐怖を与えるものだ。
「アクティブステルス展開、コード・ディミオス、起動します」
ミレアの瞳がユーベルコードに輝く。
自分に振るわれたブレードの斬撃を躱し、ジャミングミサイルから爆発して散布されるジャミング粒子と光学迷彩、認識阻害力場を展開し彼女は戦場を飛ぶ。
躯体の大きさなどミレアは問題にはしていない。
彼女の五体全てが武装である。
プラズマ推進機たる脚部が跳ね上がり、『イカルガ』のブレイドを振るう腕部を切り裂く。
「――……この出力!」
「機体が小さいからと言って出力に劣るわけではありません」
装甲など無意味だというようにミレアの蹴撃が次々と『イカルガ』の武装を切り裂き、さらに副腕である『グライフフリューゲル』から放たれる電撃黒ーの一撃が、機体を押し止める。
彼女の放つ力場は、『イカルガ』の情報を得て次々と解析していく。
傑作機と言っていい機体である。
これほどの機体が量産され、一つの小国家に配備されたのならば、この戦乱を力でもって支配することも可能であろう。
けれど、それは弱者を礎にして成り立つ安寧である。
人の求める『平和』とは程遠い。
「……そうやって人は時として安寧を得るのでしょう。ですが、それは弱者を生み出すためだけの機構に成り下がる」
力なき者は最初から力なき者なのではない。
意図して生み出されるものだ。決して這い上がることのできぬ不理解の溝に弱者としてたたきとし、這い上がることを赦さない構造。
それが『シーヴァスリー』という小国家だ。
「……キャバリア無しの私では敵有毒装甲への対抗は難しいかもしれません。であれば」
ミレアは情報解析した『イカルガ』の機体に実体剣を突き立て、その機体を内部からナノマシン侵食で持って破壊していく。
機体だけを壊す。
それが彼女の武装『ペインレスセイバー』。パイロットは殺さない。
オブリビオンマシンの見せる悪意による洗脳。
それを解くことは今ではないし、ミレアのすることではないと彼女は理解していただろう。
彼女が今しなければならないことはオブリビオンマシンへの対処。
自身の武装が敵に有効ではないのだとすれば、他の猟兵たちが戦いやういようにここに残り、押し留めなければならないと考える。
「……皆様、ご武運を」
短くミレアは言う。
この『イカルガ』の大群を押し留め、突破する味方猟兵の支援。
それこそが彼女に出来る最大の援護。
自分の存在意義を満たすために戦う。それは喜ばしいことだ。自分が人を救うための存在であることを自覚できるかもしれない。
ならばこそ、彼女は戦場を飛ぶ。
誰かのために戦うときにこそ、彼女は自身の存在技を強く実感できる。
それが彼女の猟兵としての在り方なのであろう。
爆風吹き荒れる中、ミレアは『イカルガ』の大群を単騎で押し留め続ける――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
前々からシーヴァスリーはおセコイと思っておりましたけれど遂に馬脚をお見せになられましたわね
迷える市井達にわたくしが真の平和というものを伝授して差し上げますわ
真の平和とは!暴力で解決する事ですわ!
ヴリちゃん!ガンフューラーで実践致しますわよ〜!
お空を飛ぶ敵にはミサイルが効果的面でしてよ
ビームガンの弾幕も添えれば完璧ですわ
アサルトライフル位の攻撃なら多少貰ってもヴリちゃんの装甲なら平気ですわ
それにしても高速で飛び回ってうざってぇですわね!むきー!
狂竜咆哮で吹っ飛ばしますわ!わたくしも吠えますわ!|ばうばう!《意味はございませんわ》
ほら、これが恐怖ですのよ
わたくしが怖いでしょう?
早く降参なさって?
「前々から『シーヴァスリー』はおセコイと思っておりましたけれど、ついに馬脚をお見せになられましたわね」
戦場となった嘗ての地底帝国『バンブーク第二帝国』の跡地。
その地底を疾走する一騎の黒き暴竜があった。漲る暴威の名を『ヴリトラ』。それを駆るのは、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)。
彼女は己に迫る『イカルガ』の編隊を見据える。
これまで彼等は小国家同士の戦いによって消耗した方を打ちのめしてきた。
彼等がここまで『シーヴァスリー』という小国家、それを裏から糸引く『黒幕』たる存在を信奉するのかは言うまでもない。
「我等の主が与えたもうた安寧を覆そうとする者たち!」
「させはしない。我等の安寧こそが、世界の平和につながるのだ!」
アサルトライフルの弾丸が『ヴリトラ』に迫る。
だが、それらを『ヴリトラ』はビームガンの弾幕でもって撃ち落とす。弾幕を抜けた弾丸は、『ヴリトラ』の漆黒の装甲には意味をなさない。
弾くように疾駆しながら『ヴリトラ』が咆哮する。
メサイアは知るだろう。
『シーヴァスリー』の彼等が言うところの安寧とは、弱者を作り出し続けることに寄って得られる安寧である。
己たちと、それ以外。
それ以外に弱者であることを強い続けることによって得られる安寧をこそ彼等は『平和』と呼ぶ。
手を取ることを忘れ、ただ惰眠を貪るかのように支配階級にあることをこそ望む。人は弱い生き物だ。
それを望んでしまうことを責められはしない。
けれど、メサイアは言うのだ。
「迷える市井達にわたくしが真の『平和』というものを伝授して差し上げますわ」
メサイアが目を見開く。
そこにあったのは混じりっけなしの|本気《マジ》な瞳であった。
「真の『平和』とは! 暴力で解決することですわ! ヴリちゃん、実践致しますわよ~!」
彼女の言葉は『シーヴァスリー』の『イカルガ』を駆るパイロットたちをして正気ではないと思わせるには十分なものであった。
彼等はまだ知らないのだ。
これまで奪うばかりであった彼には、自分たちが奪われる側に回るかもしれないという可能性すら考えなかった。
当たり前だ。
『黒幕』がそうしてきたのだ。意図して、彼等に奪うだけの支配階級であるということを植え付けてきた。
自分たちの安寧のために他を犠牲にする。
それが当然と植え付けられてきた。
「……馬鹿なことを! 正気を疑うぞ!」
高速で編隊を組んで『イカルガ』たちが一斉に射撃を開始する。しかし、メサイアは構うことなく『ヴリトラ』と共に囲われてもなお、咆哮する。
「うざってぇですわね! むきー!」
煌めく瞳にあるのはユーベルコードの輝き。
彼女は咆哮する。
『ヴリトラ』もまた同様である。彼等の心には怒りがあった。奪い、奪い尽くすことしか考えていない者たち。
それが安寧であるというのならば、その安寧こそ奪われるのだと知らないからである。
無知なる白痴。
それが彼等だ。だからこそ、メサイアは怒るのだ。
「|ばうばう!《意味はございませんわ》」
狂竜咆哮(ベルセルクシャウト)。
彼女の怒りは、『イカルガ』を駆る彼等にとって意味不明であったことだろう。物理的衝撃波は、機体をたやすく吹き飛ばす。
理解不能なる力であった。
ただの咆哮がキャバリアすら圧倒するなど聞いたことがない。
「――……な、なにが……?」
「ほら、これが恐怖ですのよ」
メサイアは示す。
奪うことだけをしてきた者たちに。
自分たちが奪われる側に立つという恐ろしさを。自分たちがそうしたように、奪われる者に対する容赦など一切ない暴君の如き姿。
メサイアは『ヴリトラ』と共に咆哮し続ける。
「わたくしが怖いでしょう?」
咆哮は鳴り止まず。
『イカルガ』のパイロットたちは、暴竜の歩みを前に次々と機体を捨てて逃走し始める。
メサイアは、それを悠然と見下ろし、地底帝国の奥へと歩みをすすめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
あれが黒幕だっていうの?
確かに、エースにとってキャバリアは唯一無二なパートナーだけど…
だからと言って!!
これは悲劇と言わずしてなんという!!
シビリアンジョーで出る。
ARICAを搭載したパールバーティは『援護射撃』を『範囲攻撃』でよろしく。
物騒な名前な量産機だけど…この程度で止められるか。行くよ。
シビリアンジョー
『瞬間思考力』で誘導弾を『見切り』『操縦』テクで回避しつつ、『カウンター』でダークマンティスの『レーザー射撃』で迎撃。
プラズマ・スフィアを『範囲攻撃』で戦場の敵機体の行動を封じて、素早く『制圧射撃』で無力化していくよ。
ロボットヘッドのオブリビオンマシン。
それが『グリプ5』という小国家周辺の争乱という絵図を描いた黒幕であるというのならば、ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)にとって、それは許しがたいことであったのかもしれない。
「あれが黒幕だっていうの? 確かに『エース』にとってキャバリアは唯一無二のパートナーだけど……」
それはユーリーにとっても同じものである。
彼女の駆るキャバリアは、他で代わりが効くものではない。
『シビリアンジョー』も、『レスヴァント』も『パールバーティ』もそうだ。
彼女にとって、キャバリアとはなくてはならないものだ。
「キャバリアこそが平和を乱すもの。我等が主が告げるのだ。キャバリアは正しく使わねばならぬと」
「我等こそがその礎。我等こそが正しいのだ」
『イカルガ』を駆る『シーヴァスリー』のパイロットたちが次々にマイクロミサイルを解き放ち、迫る。
彼等の言う安寧、平和とはすなわち、弱者をつくり続けることによって得られるものだ。
強者たる自分たちの生活、安寧を支えるために弱者を作り続け、勝者と敗者の構図、そのコントラストを強めることだけに注力している。
「これを悲劇と言わずしてなんという!!」
『パールバーティ』の援護射撃でもって『シビリアンジョー』はマイクロミサイルを躱し、走る。
疾駆する『シビリアンジョー』のアイセンサーが煌めく。
背面に背負った超巨大荷電粒子砲が水平に傾き、その砲身より解き放たれる光条が空を埋め尽くすほどのマイクロミサイルを吹き飛ばす。
「我等は我等の安寧のために!」
『イカルガ』たちが殺到する。
ユーリーの駆る『シビリアンジョー』を止めるためだ。
彼等にとって、主である『黒幕』たるロボットヘッド『エイル』を守ることは、己たちの安寧を守ることと同義だ。
彼さえ守れるのならば、自分たちの安寧は保証される。
全てはそれだけのため。
「だからって他者に弱者であることを、敗者であることを強い続ける……そんなものの何処に正義があるっていうんだ!」
煌めくユーベルコード。
ユーリーの頭脳から発せられるはプラズマ・スフィア。
強力な電磁波が解き放たれ、全ての電気エネルギーを完全に遮断させる。すなわち、キャバリアを突き動かすエネルギーインゴットからの供給を一時的に封じるのだ。
「――パワーダウン!?」
「機体が動かない……何を……!」
「その湯だった頭でものを考える前に、少しは冷静になれ――!」
ユーリーは動きを止めた『イカルガ』を次々と撃ち抜き、行動を停止させる。無力化させた機体をなぎ倒しながら『シビリアンジョー』が戦場を疾駆していく。
未だ敵の層は厚い。
地底帝国『バンブーク第二帝国』を占拠した『シーヴァスリー』。
彼等は多くの小国家を滅ぼし、プラントを奪い、己たちの安寧を弱者の上に築き上げてきた。
「奪う者はいずれ奪われる者になる。その時に、こんなはずじゃなかったというのは、いつだって君たちなんだよ!」
ユーリーは、ほとばしる電磁波と共に戦場を切り抜けていく。
そう、盛者必衰の理。
今栄えるものは、必ず衰退していく。それが世界の理だというのならば、彼等の求める平和とは、違うものだ。
安寧は弱者の骸の上に。されど、平和は手を取り合った先にあるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
ディスポーザブル01操縦。
その、滅びがッ!
……その亡びこそが自分の敵だ!!
『禍戦・瞋憎喰』【エネルギー充填】戦場の怨念を喰らい戦闘力増強、
BS-B黒輪光展開【瞬間思考力】視界内全てのイカルガへ【レーザー射撃】
壊せ!|キャバリア《オブリビオンマシン》を!!
ディスポーザブルゥゥゥゥ!!!!
【念動力】遠距離攻撃を【霊障】で捻じ曲げ弾き推力移動。
RX騎兵刀にも【霊障】を纏わせ、怪力と質量で障害となるイカルガ達をビームソードごと早業でなぎ払い、進撃し続ける!
何者だろうとオブリビオンマシンは壊す!!
そこをどけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
押し留めてくるイカルガ達へ、パルスアトラクター全力解放範囲攻撃!!
『ディスポーザブル01』が咆哮する。
否、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)が叫ぶ。
「その、滅びがッ!」
煌めくはユーベルコードの輝き。
機体を包み込むのは戦争が生み出す怨念であった。
彼女の心には闘争心だけがあった。漲る闘志。
世界を滅びに向かわせる安寧は、壊さねばならない。『イカルガ』を駆る『シーヴァスリー』のパイロットたちの言うところの平和とはすなわち、弱者を礎にして生み出されるものだ。
誰かに負の産物を押し付け続ける。
別に特別なことではない。どの世界にあっても、どの時代にあっても、人という生物は階層を作る。
上に立つもの。その上に立つものを支える者。
その二極化した構図こそが差別を生み、悲しみを生み、やがて憎しみへと代わり、世界を滅ぼす。
「……その亡びこそが自分の敵だ!!」
故に小枝子は咆哮する。
『ディスポーザブル01』の背に展開した霊物質生成装置。
光背の如く煌めく黒き輪光。
「我等の主が齎す安寧こそが平和なのだ!」
「我等がそれを甘受するために、弱者が必要であるというのならば、我等こそが強者となって弱者を支配する!」
小枝子の瞳が煌めき続け、戦場に満ちる怨念を受けて光背の如き装置より放たれる光条が迫る『イカルガ』を薙ぎ払う。
「壊せ!|キャバリア《オブリビオンマシン》を!! ディスポーザブルゥゥゥゥ!!!!」
叫びと共に放たれた光条が戦場を席巻する。
念動力に寄って遠距離攻撃たる苦情を捻じ曲げ、躱す『イカルガ』さえも追いすがりこれを撃ち抜く。
さらに『ディスポーザブル01』が動き出す。
怨念を纏い、あらゆる敵を撃滅する躯体。それが『ディスポーザブル』であるというのならば、破壊の申し子はただ進むのみ。
放たれるアサルトライフルの弾丸すらも霊障たる怨念の装甲が捻じ曲げ、弾き飛ばす。
「止まらない……! なんだ、こいつは!?」
「本当にキャバリアなのか……!?」
騎兵刀がビームソードと打ち合い、火花を散らす。両脇から迫る『イカルガ』の斬撃の一撃を受け止め、『ディスポーザブル』のアイセンサーが煌めく。
単眼たるアイセンサーがせわしなく動き、己の敵を見定めた瞬間……。
「何者だろうとオブリビオンマシンは壊す!!」
騎兵刀が煌めき、ビームソードごと『イカルガ」を薙ぎ払い、ただ歩みを止めない。
ただの一度も立ち止まることはなかった。
戦場にありて『ディスポーザブル』は破壊だけを齎す存在である。
胸部が展開し、パルスリアクターによる音響衝撃波が『イカルガ』たちを吹き飛ばす。圧倒的な破壊。圧倒的な力。
畏怖すら感じさせる異様でもって『ディスポーザブル』は、いや小枝子は進む。
「そこをどけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
前に。
ただ、ただ、前に進む。
障害となる者全てを破壊し、オブリビオンマシンを破壊する。
ただそれだけのために小枝子は禍戦・瞋憎喰(デッドオーバー・ハート)を繰り返す。
破壊すべきものはもう見えている。
迫る『イカルガ』の大群を寄せ付けず、ただ赤き機体。
オブリビオンマシンたる偽りの虚神を小枝子はねめつけるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
『ツェーン』さん、『熾盛』直してるのか!
そうだよね。想いは繋ぐものだよね!
それならわたしも手伝うね。
いままでのデータは全部保存してあるから、
それを渡して参考にしてもらおう。
メカニックとしてのわたしの技術『ツェーン』さんに預けるから、
存分にこき使ってほしいよ!
サージェさんも!
今回は忍んでる場合じゃないよ、存分に見せつけて!
腕だよ? 腕のことだからね!?
さて!
【Greasemonkey】で妖精たちを召喚したら、
全力で『ツェーン』さんをサポートしていくよ。
電送回りでも、OSのセッティングでもなんでもこーい!
足りないパーツとかあったたら【偽装錬金】で作っちゃおう。
何個か作れば精度あがるし、いけるよね!
サージェ・ライト
【理緒(f06437)さんと】
なるほど…変な感じのアハトさんでしたが
彼の隠れた献身が人の希望をここまで繋いだのなら
招かれた|猟兵《私たち》が守らないといけませんね
というわけで!
お呼びじゃなくても参じましょう!
私はクノイチ、こーゆー時はビシッと決める女です!
どなたもお久しぶりでーす!
あ、マイハニー(ツヴァイさんのこと)元気そうで何よりです!
いっぱい顔に落書きした甲斐がありました!(怒られるフラグ)
というわけで|相棒《理緒さん》にも呼ばれましたし
さくっと【かげぶんしんの術】いっきまーす!
頭脳に設計に技術が揃っているなら後は実現するための生産力
そこは私にお任せください!
ちなみに忍べてますので!!
『アハト・スカルモルド』はオブリビオンマシンに乗り、猟兵たちを嫌悪していた。
その感情に偽りはないだろう。
常に猟兵たちが現れるのはオブリビオンマシンが関与する事柄のみである。
それ以外の争いには現れないし、介入しない。
だからこそ、クロムキャバリアにおいて平和は程遠いものとなっていた。オブリビオンマシンが齎すのは破滅である。
その破滅を防ぐことが世界に選ばれた戦士である猟兵の務めであるというのならば、何も間違っていない。
平和とは、その世界に生きる者たちが掴み取るものである。
だから、猟兵たちは人と人との争いに関与はしない。
「なるほど……変な感じの『アハト』さんでしたが、彼の隠れた献身が人の希望をここまで繋いだのなら、招かれた|猟兵《私達》が守らないといけませんね」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は小さくつぶやく。
「そうだよね。想いは繋ぐものだよね!」
それならわたしも手伝うよ、と菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は『グリプ5』に寄り道していく。
「今までのデータは全部保存してあるから」
『ツェーン』に彼女はこれまで得た『熾盛』のデータを手渡す。
「ええ、というわけで! お呼びじゃなくても参じましょう! 私はクノイチ、こーゆー時はビシッと決める女です!」
サージェはこんなときでも決めポーズを変えない。
ブレないということは、非常時に置いて強みとなるだろう。
「どなたもお久しぶりでーす! あ、マイハニー元気そうで何よりです!」
サージェはこんなときだからこそ明るく振る舞う。
『グリプ5』は多くの猟兵たちの関わりにあって、これまで繋いできたものがある。
喪われるはずだった多くの生命があった。
それでもなお取りこぼした生命が多くあった。どんなに願っても、喪われた生命は回帰しない。戻っては来ない。
だからこそ、彼等は今を懸命に生きている。
「メカニックとしてのわたしの技術、『ツェーン』さんに預けるから、存分にこき使ってほしいよ!」
「なら、『セラフィム・プロト』のコクピットブロックと『熾盛』のコクピットブロックの同期を!」
機体の構造は似ている。
『アハト・スカルモルド』によって破壊された『熾盛・改』。その機体はオーバーフレームとアンダーフレームこそ無残に破壊されていたが、コクピットブロックだけは無事であった。
「わかったよ。サージェさんも! 今回は忍んでいる場合じゃないよ、存分に見せつけて!」
「了解です!『ツヴァイ』さんも元気そうでなにより! いっぱい顔に落書きした甲斐がありました!」
「お前か、あれは!」
『アイン』がサージェの頭をヘッドロックする。私が疑われたんだぞ! と怒り心頭である。
そんなフラグを無事に回収しながらサージェの瞳はユーベルコードに輝く。
「かげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)、いっちゃいましょう! ふふふ、みせつけますよー!」
「腕だよ? 腕のことだからね!?」
理緒も妖精たちを召喚し、全力で『熾盛』の復元に取り掛かる。サポートの体勢は万全である。
サージェは腕の数を。
理緒は『ツェーン』のサポートを。
本来ならば、きっと間に合わないであろう技術的、時間的な問題も、これならばクリアできる。
「電装まわりでも、OSのセッティングでもなんでもこーい!」
Greasemonkey(グリースモンキー)、その妖精たちが一斉に部品を抱えて飛び交う。
オーバーフレーム、アンダーフレームは、嘗て電子の海、電脳空間で見た『熾盛』のF型を再現していく。
だが、それでは足りない。
「この簡易型『レーギャルン』の腕部、使えますよね!」
サージェが『ゼクス』が駆っていた簡易型『レーギャルン』の残骸から腕部を持ってくる。
さらに妖精たちが『ズィーベン』の『レーギャルン』からアンダーフレームを持ち出してくる。
プラントから部品を再構成するよりも、今あるもので補っていくほうが速い。
「肩部のサブアームの状態は?」
「いけるよ! ダメージ少ないから補修するね!」
「あと、こっちのアンダーフレームはどうします? スラスターがいくつか死んでるみたいですが!」
サージェと理緒は次々と『熾盛』のパーツを揃えていく。
これでも間に合うかどうかは五分。
いや、問題はまだある。炉だ。機体を動かすための炉。
「それは私達が解決しよう」
そこにあったのは『フルーⅦ』の『アジン』の姿。彼が何故此処にいるのかと二人は思っただろう。
だが、答えは簡単だ。
これが周辺国家を揺るがす戦いであるというのなら。
「手を取り合うのが平和への第一歩だ。私達はあの祈念式典で手を繋いだ。ならば、この事態に共に立ち向かうのが、道理だ」
彼の背後には『ライスメキア』がオリジナル『レーギャルン』の分割された炉を統合した一つの炉を持っている。
「これならば『熾盛』のために必要な出力をクリアできるはずです」
サージェと理緒はそれを受け取り、『熾盛』に組み込んでいく。
額に汗が噴き出し続ける。
二人の協力を持ってしても、ギリギリ。だが、やらなければならない。理緒とサージェは、自分たちの戦いに戻らなければならない。
希望と希望を繋ぐ。
それが彼女たち猟兵の戦いであるというのならば、二人は確かに絆いだのだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
『エイル』さん?
あ、ステラさんが押しかけメイドしてた方ですね。
ということは、青いセラフィムは鉄板! 鉄板ですね!
げっとして帰れば師匠に褒めてもらえ……って、ステラさん痛いですよ!?
え? 毒? 火を通してもいけませんか?
というか、どうしたんです?
目がマジマジのマジですよ!
まるでできるメイドみたいです!?
だから痛いですって!?
わ、わかりました。
『エイル』さんとはお友だちですし、
居場所が解ったりするかもですから、わたしも戦いますね!
甲板で【ルジェッリ】を構えたら、全力の【Canon】を演奏してあげます!
飛んでいたって音波からは逃げられませんよ。
その翼、砕いてあげちゃいますからね!
ステラ・タタリクス
【ルクス様(f32689)と】
…エイル、青いセラフィム
私を呼び寄せるには十分すぎますね
|あの方《エイル様》の|残り香《痕跡》でも思いましたが…
ルクス様は何をしておられますか
(フライング・スリッパですぱーん!
また鉄板にするつもりですかあれ毒ありますよ
そして誰がやべーメイドですか
私はいつも出来るメイドです(もっかいすぱーん!
とりあえずいるなら手伝ってください
|熾火《希望》を放っておくわけにはいきませんので!
【ガレオン・チェンジ】で飛空艇に変形
ルクス様ちゃっちゃか乗ってください
空から仕掛けますよ
天使核誘導弾、装填
【エールプティオー・プルウィア】、ファイアッ!!
撃ち合い上等
さぁ、空で踊るとしましょう!
「……『エイル』、青い『セラフィム』」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は戦乱渦巻く世界クロムキャバリアに降り立ちつぶやく。
「『エイル』さん? あ、ステラさんが押しかけメイドしていた方ですね」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、思い出したようにうなずく。彼女の師匠以外のことは割と記憶に薄い。
けれど、その名は聞き覚えがあった。
あの少年の名前だ。
亜麻色の髪と黒い瞳を持つ少年。ステラが執心していた少年であり、今は所在の知れぬ存在でもある。
故にステラを呼び寄せるには十分すぎる縁でもあったのだろう。
「|あの方《エイル様》の|残りが《痕跡》でも思いましたが……」
ちょっと言動が怪しいけれど、ルクスはスルーしていた。
こういうときのステラに突っ込んでも大したことは帰ってこないし、下手をすれば自分が痛い目にあうということはすでに理解していたからだ。
「あ、ということは、青い『セラフィム』は鉄板! 鉄板ですね! げっとして変えれば師匠に褒めてもらえ……」
スパンとスリッパの一撃がルクスの後頭部に放たれる。
敵襲? 敵襲なのか?
いや違う。答えはステラのはなったスリッパのツッコミであった。いつになくキレッキレである。
「また鉄板にするつもりですか、あれ毒ありますよ」
「ってステラさん痛いですよ!? え? 毒? 火を通してもいけませんか?」
というか、どうしたんです? とルクスはステラの様子に首を傾げる。
目がマジマジのマジであるのだ。こんなステラ見たことない! とそれくらいの気持ちであった。
いや、本当にそうなのだ。
ルクスにとってステラってば、わりといつもやる気ないっていうか『エイル』少年にすりすりずりずりしているところしか覚えてない。
故に、こんなマジの顔を見せられてステラも困惑しているのだろう。
「まるでできるメイドみたいです!?」
「そして誰がやべーメイドですか。私はいつも出来るメイドです」
もう一回スリッパがステラの後頭部を叩く。
いや、やべーメイドとは誰も言っていない。
「だから痛いですって!?」
「とりあえずいるなら手伝ってください。|熾火《希望》を放っておくわけには生きませんので!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝き、ガレオノイドたる彼女が飛空艇へと姿を変える。
暴走衛生があるこの世界にあって彼女は高く飛ぶことができない。
それは敵である『イカルガ』も同様だ。低空飛行で速度を落として飛ぶしかないステラは良い的でしかなかった。
放たれるマイクロミサイルが火線を引いてステラへと迫る。
「ルクス様、ちゃっちゃか乗ってください。空から仕掛けますよ」
「わ、わかりました。『エイル』さんとはお友達ですし、居場所がわかったりするかもですから、わたしも戦いますね!」
甲板の上でルクスが巨大バイオリンを構え、Canon(カノン)を奏でる。
その不協和音は音響兵器そのものとなって迫るマイクロミサイルを撃ち落とす。
例え、『イカルガ』が低空飛行を可能とした機体であったとしても、見えぬ音波からは逃れられない。
音速を超える事の出来ぬ機体に躱すことはできず、全方位に渡って放たれた不協和音は、マイクロミサイルを爆発させ、『イカルガ」を叩き落とすのだ。
「その翼、砕いてあげちゃいますからね!」
「撃ち合い上等。エールプティオー・プルウィア、天使核誘導弾、装填。さあ、サーカスの開幕です!」
ステラの変身した飛空艇より天使核から生成されたミサイルが乱舞する。
複雑に飛翔するそれを『イカルガ』たちは撃ち落とせない。アサルトライフルの弾丸すらも躱して飛ぶミサイルは、次々と機体を撃ち落とし、この戦場に在りて絶対的な制空権をステラが握る。
「地底帝国本拠……穴蔵の中で何かをコソコソとするにはうってつけ……さあ、『エイル』様の所在、語っていただきましょうか、オブリビオンマシン!」
「いや、本当にやべーメイドみたいになってますよ、ステラさん……」
ルクスはステラの鬼気迫る声に若干怖い思いをする。
不協和音奏でながらゆうゆうと地底帝国、そのアンダーグラウンドへと進む飛空艇。だが、未だ『イカルガ』たちの大群は、自分たちを押し留めようとしている。
ならば、遠慮はいらない。
「不協和音じゃないです! 魔法ですから!」
ルクスの弁明がヴァイオリンの奏でる不協和音の飲まれ、爆風を吹き荒らせながら、虚しく響く。
けれど、ステラはそんなこと気にしていなかったかもしれない。
自分を呼び寄せるもの。
本当にそんなものがあるのかはわからないけれど。それでもステラはただひたすらに突き進むしかないのだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に騎乗)
…拠点を変えて直接的に事態を動かすのではなくオブリビオンマシンを利用して間接的に滅びに導く…黒幕が今まで判明しなかったわけだ…
…『後は任せたよ』…か…任されたからには…きっちり黒幕を抑えないとね…
…何かを捨てるだけで問題が解決するほど単純なものなら良かったんだけどね…
キャバリアを捨てたところで人が変わらなければ別の何かで戦いが続くだけだよ…
…【天地に響く崩塵の歌】を発動…イカルガと飛来してくる誘導弾全てをガジェットから放たれる崩落の歌により振動ダメージを与えて破壊してしまおう…
…多少は加減してイカルガは振動で機能停止させるぐらいにして…先に進むとしよう…
これまで小国家『グリプ5』を巡る争乱は、オブリビオンマシンが中核を担ってきた。
最新鋭キャバリアとオブリビオンマシンがすり替わっていたり、『エース』の駆る機体そのものがオブリビオンマシンであったりと、小国家同士の友好に罅を入れ、混乱をもたらしてきた。
小国家を滅ぼすのはオブリビオンマシンではない。
人同士の不和こそが小国家を滅ぼす。
オブリビオンマシンはきっかけを与えただけに過ぎない。故に、この絵図を描いた『黒幕』たる存在は、オブリビオンマシンを介しながらも、自身は一度たりとて表舞台に立つことはなかった。
『シーヴァスリー』もそうだ。
拠点を保たず、転々と闘いによって弱体化した小国家を滅ぼし、プラントを奪い続けていた。
その結果がこれである。
地底帝国『バンブーク第二帝国』は滅ぼされ、高性能マシンである『イカルガ』を膨大な数用意することができた。
「……これもそこまでして私達を警戒してのこと……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は試作型術式騎兵『ツィルニトラ』を駆り、戦場に降り立つ。
この絵図を描いた『黒幕』が今まで判明しなかったことを理解する。
間接的に関与はすれど、直接的に動くことはない。
「……『後は任せたよ』……か……」
メンカルは『アハト・スカルモルド』の言葉を思い出す。
迫る『イカルガ』たちの性能は折り紙付きである。これだけの戦力があれば、クロムキャバリアを席巻することも可能だろう。
世界を支配する構図を生み出すこともできる。
すなわち、一強状態。『シーヴァスリー』とそれ以外。敗者たる弱者を礎にして、強者たる己たちの安寧を貪る。
彼等の信じる平和とはそういうものだ。
「我等の主が齎す安寧こそが至高! 我等はそのためにこそ戦うのだ!」
『イカルガ』より放たれたマイクロミサイルが戦場を走る。それをメンカルは見やる。
「……任されたからには……きっちり黒幕を抑えないとね……」
その瞳がユーベルコードに輝く。
「無駄だ! キャバリア全てを捨てさせる。我等と、それ以外に世界を分かつために!」
キャバリアは確かに兵器だ。
平和を乱す力かもしれない。けれど、メンカルは知っている。何かを棄てるだけで何かが変わることはないのだと。
人自身が変わらなければ別のなにかによって戦いが続くだけだ。
堂々巡りなのだ。
人は戦いの輪廻から逃れることはできない。
「絡繰の鳥よ、歌え、奏でよ。汝は天響、汝は挽歌。魔女が望むは崩れ滅びる鎮魂歌」
天地に響く崩塵の歌(レゾナンス・レクイエム)が戦場に満ちる。
「……棄てるだけで得られるものがあるのならば、単純でよかったんだけどね……」
本当にそう思う。
手にした武器を手放した時、人は必ず力を手放した者を弱者とみなし、虐げる。互いに武器を捨てなければならない。そして、武器を捨てた手で何かを掴むのではなく、互いの手を掴まなければならない。
それが最初の一歩なのだ。
「……でも、だからと言って歩みを止めてはならない。託されたのならば、それを次に繋げなければならない……」
彼女の頭脳に満ちる知識もまた同様だ。
彼女の中だけにあるのならば、それは意味のないものだ。連綿と紡ぐことこそ、人間の歩み。
故に、展開される無数の音響用ガジェットが崩落の歌を紡ぐ。
『イカルガ』も、マイクロミサイルも無機物である。
振動は瞬く間に伝わり、マイクロミサイルは爆発し、『イカルガ』は機体のフレームがひしゃげていく。
「――……機体が、ひしゃげる……なぜだ!?」
「振動は伝わる。無機物ならば、増幅されてね……多少は手加減をしてあげるけど……」
メンカルは機能停止した『イカルガ』を他所に『ツィルニトラ』と共に戦場を進む。
悠然と。
託されたものを、次に繋ぐために――。
大成功
🔵🔵🔵
稷沈・リプス
自称:人間な男。やってきた。
はぁ~…なるほど。『黒幕』がそういう存在だったら、たしかに足は掴みにくいっすね。
でも、やることは変わらねぇっすよ。
異境海蛇『ヤム』に搭乗。そして、UCにて異境海竜神『ヤム・ナハル』(射程強化、移動力低下)へ。
合体したとて、『ナハル』のフォースウィップは使えるっすからね。それを振り回して、電磁パルスつきの叩きつけっすね。
ま、機能停止させるのはそのキャバリアだけっすけどね。
…たしかに、キャバリアなければ『平和』って考えるのもわかるんすよ。ここはそうだから。
でも…そうじゃないんっす。そうじゃないんすよ。
ロボットヘッドのオブリビオンマシン。
それがこの絵図を描いた『黒幕』の正体である。
常にオブリビオンマシンを介し、己は姿を表さず、人びとに不和の種を撒き続ける。世界を滅ぼすのはオブリビオンマシンではなく、人同時によって起こる争いによって為されるものなのだ。
クロムキャバリアにおいて戦乱の種が尽きないのは、すなわちそういうことである。
平和を求めるからこそ、他者を虐げる。
他者と手を取り合うことを理解できないから、誰かが武器を手放せば、これを滅ぼそうとする。
プラントを奪い合い、ただ己たちのためだけに力をふるい続ける。
人とは有史以来奪い、奪われるを繰り返す愚かな生命であるのかもしれない。
けれど、稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は『今』を生きる彼等をこそ愛するだろう。
どんなに愚かしいことを繰り返してきた生命であったのだとしても、懸命に生きているのだ。
その結果が滅びであったのあんらば、それは仕方のないことであった。
「でも、やることは変わらねぇっすよ」
異境海蛇『ヤム』に搭乗し、遠き海の異境神は本気を出す(ヤムナハルノカムイ)。
異境海竜神『ヤム・ナハル』へと姿を変えた機体と共にリプスは迫る『イカルガ』の大軍を前に立ちふさがる。
「我等の主のために!」
「主の齎す安寧こそが平和そのもの。キャバリアがあるからこそ、世界は争乱に満ちている!」
ブレードの斬撃が『ヤム・ナハル』を襲う。
しかし、それを『ヤム・ナハル』のはなったフォースウィップが絡め取り、『イカルガ』の機体を電磁パルスによって制御を不能にしてから大地に叩きつける。
凄まじい衝撃が大地を駆け抜ける。
地底帝国にありて、『ヤム・ナハル』は『イカルガ』を翻弄し続ける。
機動力事態は落ちているのだ。けれど、それを補って余りある射程が、『ヤム・ナハル』の強みであった。
『イカルガ』が、その高性能マシンたる速度をもってしても、自分たちの間合いに入るよりも早く『ヤム・ナハル』のフォースウィップが機体を捉え、電磁パルスでもって制御を喪わせ、大地に叩きつける。
ひしゃげるフレームは、もはや『イカルガ』をもう一度立ち上がらせることはないだろう。
「……確かに、キャバリアがなければ『平和』って考えるのもわかるんすよ。ここはそうだから」
争いの道具。
それがキャバリアだ。
戦場にあっては花形であり、力の象徴でもある。
それがなければ、争いは起こらない。
けれど、そうではないのだ。キャバリアなき異世界であっても争いは起こる。
小国家でなくても興り得るのだ。
人と人とが在る限り。必ず争いは起こる。
「でも……そうじゃないんっす。そうじゃないんすよ」
己と他者が絶対的に異なる存在であり、どうしようもなく判り合えないということを理解する。
それが彼等の求める真の平和への一歩である。
違いを認め、違いを尊ぶ。
違いを認めず、違いを赦さぬのならば、それは当然争いとなる。キャバリアがなくても一緒だ。
キャバリアがなければ、拳で、他のなにかで争いが続くだけだ。
「だから……その思想に意義はあっても意味はないんす」
リプスは迫りくる『イカルガ』の大群をフォースウィップで打ちのめしながら、地底帝国の中枢へと向かう。
赤き虚神。
この絵図を描いた『黒幕』が存在する中枢。そこに至らねば、終わらぬ戦いがある――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
結局は…アハトの思い通りだってか…?
くそ…つくづくとんでもねーな
だが…命を粗末にしすぎだ馬鹿野郎…
「大丈夫ご主人サマ…?」
問題ねー
それに彼奴の思い通りになんぞさせるかよ
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵陣の動きと機体の構造
人間の位置を把握
UC発動
今回はステルスは必要ねーな
此奴等をボコす!
【空中戦・属性攻撃・念動力・弾幕・スナイパー】
飛び回りながら念動光弾を乱射
但し直撃は避け手足を破壊して無力化
竜達も凍結ブレスで凍らせて動きを封じ
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・捕食・救出活動】
そして襲い掛かり鎌剣で切り刻み竜達は牙で食らい付いてバラバラにして
乗り手達は救出して確保もとい捕縛して無力化!!
『アハト・スカルモルド』は目的を果たした。
オブリビオンマシンに乗りながら、オブリビオンマシン――この絵図を描いた『黒幕』の存在を猟兵たちに捕捉させるという目的を。
彼の献身は生命を使い果たすものであった。
「結局は……『アハト』の思い通りだってか……?」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は歯噛みする思いであった。
目的を果たすためになげうたなければならないものがあるのは理解できる。
けれど、彼にとって、それは生命を粗末にする行いと同じであったからだ。
『大丈夫ご主人サマ……?』
『メルシー』の心配そうな声が聞こえる。
『メルクリウス』の機体の中でカシムはくすぶっていた。どうしようもなく。己の命を賭す行為。
それは尊ばれることではないと彼は考えていただろう。
失ってしまってはならないものだってあるのだ。
だからこそ。
「問題ねー」
カシムは『黒幕』たる存在の思い通りにさせてはならないと、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
帝竜眼「ダイウルゴス」(ブンメイヲシンリャクシユウゴウスルモノ)は文明そのものを構成する力である。
小型『ダイウルゴス』が飛び立ち、『メルクリウス』と共にカシムは戦場に飛び出す。
いつものような光学迷彩を必要とはしていなかった。
「此奴等をボコす!」
「撃て! 敵は少数だ!」
「我等の主の敵を!!」
『イカルガ』の編隊から繰り出されるアサルトライフルの斉射。そのすさまじい弾幕を前にカシムは『メルクリウス』の神速たる所以を知らしめる。
地底帝国の中枢に至るために、彼は一直線に駆け抜ける。
小型『ダイウルゴス』たちもまた同様だ。弾幕には弾幕を。念動光弾を乱舞させながら『イカルガ』の手足を吹き飛ばす。
「竜共よ、凍りつかせろ!」
カシムの言葉と共に小型『ダイウルゴス』たちが放つ氷結のブレスが、『イカルガ』の機体を凍らせ砕く。
「退いてもらう!」
構えた鎌剣が一閃されれば、『イカルガ』たちが次々と切り裂かれ、無力化されていく。
さらに小型『ダイウルゴス』たちの牙が機体をバラバラにしていく。
「乗り手は救出して確保もとい捕縛して無力化しとけ」
カシムは戦場に立つ。
破壊の惨禍。
その渦中に『メルクリウス』は立つ。地底帝国、いや、この絵図を描いた黒幕との最初にして最後の戦い。
確かにそれは裏で動いていた計画なのだろう。
猟兵に捕捉された以上、オブリビオンマシンは猟兵を滅ぼさずにはいられない。滅ぼし、滅ぼされる間柄であるからこそ、相対すればどちらかの滅びでしか決着は吐かない。
「だから、自分の手はくださず、人の不和を煽って此処までやったってわけだろう……そういうのが気に食わねーから」
カシムは見据える。
『イカルガ』の押し寄せる大群の向こうにこそ、赤き虚神がある。
弱者を作り出し続けることによって得られる安寧を『シーヴァスリー』の人びとに植え付け、奪う側に立たせ続ける。
そうすることによって得られる安寧を『平和』と呼び、奪うことを肯定する。
そのやり口は『フィアレーゲン』と同じであった。
全ての人々が、その安寧をこそ望む。
「だがな! 人は武器を捨てて手を取ることだってできんだよ」
カシムは『イカルガ』の大群を突切り、これを破壊しながら突き進む。
姿を消すことはもうない。
悪意の根源を断ち切る。ただそのために神速を誇る機神は疾走るのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
……散々裏で好き勝手してくれたけれど、捉えた以上はもう逃がしはしない
アルカ・スィエラ、出るッ!!
ドラグレクスと共にコルヴィルクス装備のプロトミレスで出る
少数なら遠距離からの「腰部のルーナグラディウス」+「背部のツイングラビティランチャー」とドラグレクスのビームによる砲撃を。多数ならライフルで牽制しドラグレクスからUCを発動、オブリビオンマシン以外を機能不全に追い込み、その間に突破するわ
進路上に居座るならドラグレクスが尾で薙ぎ払い吹っ飛ばしてどかす
幾ら数を揃えても、結局は強力な個に依存し使われている“手足”に過ぎない
なら、どれだけ力があろうともその“個”さえ潰してしまえば……それで、終わりよ
アサルトライフルから放たれる弾丸が無数に戦場を飛び交う。
地底帝国『バンブーク第二帝国』――それはもはや形骸化し、喪われた小国家である。その地底に座すのは『シーヴァスリー』。
新興の小国家でありオブリビオンマシンの傀儡。
彼等が望むのは安寧である。
しかし、その安寧が生み出されるのは、弱者という礎あってこそであった。奪い、奪い尽くすことによって弱者を生み出す。
そうすることによって、『シーヴァスリー』は強者であり続ける。弱者を踏みつけにして得られる安寧は、彼等にとって劇薬であった。
高性能マシンである『イカルガ』は本来数を用意できる機体ではない。
けれど、『シーヴァスリー』は多くの小国家を滅ぼし、プラントを手にしていた。そのプラントに寄って生み出される『イカルガ』は、膨大な数。
これだけの数があればクロムキャバリアを席巻することは可能であったことだろう。
世界の破滅を齎すのはオブリビオンマシンではない。
オブリビオンマシンが齎すのは戦乱の火種。ならば、人の手に寄って破滅は為されるものである。
「……散々裏で好き勝手してくれたけれど、捉えた以上はもう逃しはしない」
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は怒りをにじませながら『プロトミレス』、『ドラグレクス』と共に漆黒のメガスラスターを吹かせる。
「アルカ・スィエラ、出るッ!!」
飛び出した機体を地底より『イカルガ』たちが迎え撃つ。
アサルトライフルの弾幕は凄まじいものであったが、その斉射をものともしないのは、腰部のビームランチャーと背部のグラビティランチャー。
さらに『ドラグレクス』による砲撃であった。
「邪魔はさせない……!『ドラグレクス』!!」
XXX-07D ドラゴニックロアー(ドラゴニックロアー)は、『ドラグレクス』より放たれる衝撃波を伴う咆哮。
その咆哮を受けた機体は、その機能を狂わせる。
自我のない機械は動きを止めるだろう。
「――機体の制御が喪われる……!」
「あの咆哮か! あの機竜を優先的に狙え!」
『イカルガ』のパイロットたちが、己の機体が停止したことを受けて、即座に他の『イカルガ』の部隊へと情報を伝達する。
凄まじい連携であったことだろう。
けれど、アルカは構わなかった。
「いくら数を揃えても、結局は強力な個に依存し使われている“手足”に過ぎない」
アルカの眼前にある高性能マシン『イカルガ』はそのようにしか映っていなかった。
数は脅威だ。暴威と言ってもいい。
けれど、使われるだけの意志なき者を彼女は恐れない。
彼女自身が自分の足で立ち、自分の手で掴み取ってきた『今』がある。ならば、数など恐れるに値しない。
「なら、どれだけ力があろうとも」
『ドラグレクス』の尾が機能停止した『イカルガ』たちを薙ぎ払い、道を切り拓く。
この地底の奥に座す赤い虚神。
その“個”を潰す。そのために『プロトミレス』、そして『ドラグレクス』と共に突き進む。
「……それで、終わりよ」
戦いは終わる。終わらせてみせる。
オブリビオンマシンがもたらす悲劇は己に舞い込んだ悲劇で最後にする。
ただ、その意志一つで彼女は戦場を切り拓く。
疾駆する機体がどれだけの暴威に晒されようとも、彼女は一直線に戦場を駆け抜けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
何やらクライマックスと聞いた!
それよりちょっと気になったので先にグリプ5とやらの方を覗き、
フュンフとやらや周囲の者達に「その為ならどんな代償も怖くない望みはあるか」と問いかけ、同意があるようならUCを使うぞ
事前に代償(魔法「少女」にしか変身できない)の事や叶うかどうかは力の使い方次第なのは言うし、返答もどっちでもよい。望まぬ相手に無理強いするとか論外だしな!
用が済めば「ワルルンガーΣ」と共に地下帝国とやら(響きがかっこいいな)に殴り込みだな!攻撃には城すら覆う魔王オーラで対抗、単なるパンチや踏み付けで応戦、オマケで「奴等の望む“平和”な光景を見せる(催眠術+化術)幻覚ブレス」を吹き付けてやろう
ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は何やらクライマックスと聞いて、戦乱渦巻き、体高5m級の戦術兵器が闊歩する世界クロムキャバリアへと降り立つ。
確かに戦乱が渦巻いている。
どこもかしこも戦いの火種がくすぶり、その火種が弾けるのを待っているようでもあった。
ワルこそクール。それが悪魔のやり方。ならば、ワルルーナは、戦いを嫌悪しないだろう。デビルキング法が形骸化していくのだとしても、ワルルーナはこの絵図の中心たる『グリプ5』へと先に立ち寄る。
猟兵の二人が忙しくな働いているそこは、『グリプ5』における『エース』の機体を再構築する最前線であった。
彼等がこの戦いに介入する必要はない。
彼等が居なくても猟兵たちは世界に戦乱の火種を撒き散らそうとするオブリビオンマシンの目論見を阻もうとするだろう。
結果がどうなるにせよ、ワルルーナは降り立ち問いかける。
「お前たちが望むのは『平和』だと聞いたぞ!」
「――!?」
『フュンフ・ラーズグリーズ』も、周囲にいたこれ迄猟兵の関わった者たちが一斉にワルルーナを見るだろう。
突如として現れた彼女の姿に、そして次なる問いかけに誰もが口をつぐんだ。
「そのためならどんな代償も怖くない望みはあるか」
その言葉に『フュンフ・ラーズグリーズ』が最初に口を開いた。
「いいえ。僕は、僕の望みは……みんなで手を繋ぐことです。二本の腕で、誰かと誰かを繋ぐことが僕の望み。確かに代償を払ってもいい。恐ろしい代償を貴方に強いられたとしても、構わないと思える。けれど」
「うむ、それは、その望みは誰かに叶えられるものではないと知るか! いいぞ! それでいいのだ! いや、返答はどっちでも良いのだ。望まぬ相手に無理強いするとか論外であるからな!」
願いの代価(コントラクト)は正当なものでなければならない。
ワルルーナはラスボスで魔王である。そして、魔女でもある。
契約は対等に。
そして、必ず叶えられるものである。
だが、ただ一人だけが声を上げる。その者は、女性であり、母親でもあった。『ヌル・ラーズグリーズ』。『グリプ5』の前身である『憂国学徒兵』、その最初の9人、『ハイランダー・ナイン』の最後の一人。
彼女は言う。
「私にはあります。『それ』が叶えられるのならば」
「いいだろう。その覚悟があるのならば」
きらめくユーベルコード。
「……契約成立だ。貴様の願いを叶える為の力、受け取るがいい。後は貴様次第だぞ」
その手にあったのは、ステッキ。
一瞬何が起こったのか、その場にいた誰もが解らない。
けれど、振りまくだけで噴出する特殊粒子。そして、『ヌル・ラーズグリーズ』の姿が魔法少女の姿へと変わる。
「え、ええ!?」
戸惑うのも無理なからぬものである。彼女の願望は、自分の子供たち『ラーズグリーズ計画』の子供らの幸せと平穏。そして、失い続けた彼女の戦友である『ハイランダー・ナイン』たちの魂の安寧。
それを叶える魔法少女の姿へと変えるアイテム。創造されたそれは、『ヌル・ラーズグリーズ』にとって、あまりにも荒唐無稽なものであった。
けれど、ワルルーナはラスボスで魔王で、魔女だ。
「願いは叶える。言っただろう、あとは貴様次第だぞ。その力、願いを叶えるためにふるうのだ!」
笑いながらワルルーナは地底帝国へと向かう。
地底帝国って響きがカッコイイなと思ったりしたが、それはそれである。
機動魔王城ワルルンガーΣは自律した機動要塞である。巨大な人型となったワルルンガーΣは一気に『イカルガ』の戦列を砕き、単なる巨腕や脚部を振るうだけでこれらを吹き飛ばしていく。
「そんでもってオマケである! 貴様らの望む“平和”な光景を見るがいい!」
ワルルーナのブレスが『イカルガ』たちのパイロットに吹き付けられ、幻覚を見せる。
平和。
それは彼等にとって弱者を作り出し続けることによって生まれる安寧である。
だからこそ、奪い、奪い尽くす。
だが、奪う者は奪われる者に転ずるものだ。その結果がどうなるか。ワルルーナが見せる幻覚は、その末路を見せつけるだろう。
奪い続けられるものなどいない。必ず奪われて終わるのだ。
「ならばこそ、『フュンフ』とやらの望みは面白いな。みんなと手を繋ぐ。そんな望み、我が叶えずとも、自らの手を伸ばすことを知っているのなら」
自分はその道を切り拓く介添人となろう。
ワルルーナは『ワルルンガーΣ』と共に『イカルガ』を蹴散らし、一直線に中枢へと迫るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
なるほど、敵の頭目が文字通りの頭だったと
いやー一本取られたなあ
悪いのはどこですか?
頭ですね!
…いやまあ、何でも良いけど
集団自殺には巻き込まないで欲しいなあ…
●
うわー、とっておきだけあって量産機の割に面倒なやつ
数が多いならこちらも数で対応しようか
【断章・不死鳥召喚〈超越進化〉】
不死鳥召喚、30体はマイクロミサイルの迎撃に使用
ミサイルに突撃して『焼却』
爆発を利用して複数個纏めて処理しよう
爆発の余波は『オーラ防御』で防御して対処しよう
残りの不死鳥でイカルガ本体に突撃
ランダム軌道、とにかく数で戦場を引っ掻き回そう
翼で機体を斬り裂いて随時解体していこう
パイロットは…どーするのが良いんだろうね
処す?処す?
「なるほど、敵の頭目が文字通り頭だったと。いやー一本取られたなあ」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)はうんうんとうなずく。
迫る高性能マシン『イカルガ』は今もなお、大群を為して猟兵たちの進撃を阻もうとしている。
低空であれど滑空するように飛翔し、圧倒的な機動力で持って敵を打ちのめす機体は、確かにクロムキャバリアにおいて世界を席巻する国力を誇るだろう。
『シーヴァスリー』とそれ以外という図式は、強者と弱者を分かつ。
彼等の望む安寧は敗者という骸の上に築かれることになる。そして、彼等はそれを当然のことと甘受するだろう。
他者を慮ることのない歴史は、必ず奪う者を奪われる者へと変える。
歴史がそれを証明しているし、『シーヴァスリー』もその轍を踏むだろう。ならばこそ、それがオブリビオンマシンの望む世界の破滅。
オブリビオンマシンは火種をまき散らすだけで、それを成さない。世界の破滅は人の手によって引き起こされるのだ。
「悪いのはどこですか? 頭ですね!」
いやまあ、何でもいいのだけれど、と玲は呆れ果てる。謂わば、これは集団自殺だ。緩やかに、彼等自身も気が付かぬほどに進行する病のようなものだ。
「巻き込まないで欲しいなぁ……といっても、聞く耳は持たないんだろうけどね!」
吹き荒れるマイクロミサイルの雨。
『イカルガ』は高性能マシンである。故に、その生産コストは高く、容易に数を揃えることはできない。
けれど、『シーヴァスリー』は三つの小国家を滅ぼしている。
小国家を滅ぼす理由など一つしかない。そう、生産施設であるプラントの確保だ。プラントの数が国家の力を示す。
それによって彼等は地底という堅牢な城壁を手に入れ、また多くのプラントでもって高性能マシンである『イカルガ』の生産を可能としたのだ。
「うわー、とっておきだけあって量産機の割に面倒なやつ。数が多いなら数で対応しようか。偽書・焔神起動。断章・不死鳥召喚の章、深層領域閲覧。システム起動」
玲の瞳がユーベルコードに輝く。
断章・不死鳥召喚〈超越進化〉(フラグメント・フェニックスドライブ・エクステンド)は蒼炎で構成された不死鳥を持って、全てを切り裂く翼となる。
あらゆる環境での飛翔を可能とした蒼炎の不死鳥が一気にマイクロミサイルを迎撃し、これらを爆発させる。
爆風が荒ぶ中、玲の黒髪がなびき、一房ある蒼い髪を揺らす。オーラがそれらを防ぎ、『イカルガ』へと蒼炎の不死鳥が飛ぶ。
「あれだけのマイクロミサイルが全てロスト……!?」
「来るぞ……!」
『イカルガ』は即座に体勢を整える。マイクロミサイルの攻撃が玲に通用しなかったことに対する動揺は多少あれど、彼等の優位はゆらがない。
だからこそ、彼等は『イカルガ』を持って玲へと殺到する。
「あーあー、本当に自分たちが優位だと疑ってかからないんだね。自分たちが『まだ』支配階級にあるとしか思っていない……だから、足元を掬われるんだよ」
玲の瞳が輝く。
蒼炎の不死鳥たちが一気に『イカルガ』を切り裂き、さらに無秩序な軌道でもって飛び回り、これを切り裂いていく。
蒼炎の前にはどんな装甲も無意味である。
オーバーフレームを失い、アンダーフレームを引き裂かれた『イカルガ』のコクピットブロックが大地に落ちる。
それを玲は冷静に見ていた。
「パイロットは……どーするのが良いんだろうね。処す? 処す?」
彼等はオブリビオンマシンによって歪められているわけではない。
ただ人間の性質そのものを思想でもって増幅させられているだけだ。元来人が持っている性質。
簒奪すること。
自身にないものを持つ者から、奪う。
それが人間の武器であり本質でもある。
認められぬことではない。生きている以上、生命である以上、他の生命からなにかを奪って生きている。
だが、人は平和を求める。
「なら、その手は奪うためじゃあなく。誰かと繋ぐためにあるべきなんだよ」
玲は『イカルガ』の残骸、その残されたコクピットブロックを放置して地底帝国の奥底へと向かう。
中枢には赤き虚神が座す。
三面は幼年期を抜け出せず、歪む。
六腕は余さず全てを破壊しようとしている。
ならば、玲は世界の破滅を望む赤きオブリビオンマシンと対峙するだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『セラフィム・エイル』
|
POW : 空の雲海を絆ぐは熾火
自身の【プラズマブレイド】に【熾火】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
SPD : 星の海を絆ぐは熾火
状態異常や行動制限を受けると自動的に【胸部砲口より戦場を塗りつぶす熾火】が発動し、その効果を反射する。
WIZ : 闇を恐れることなかれ、それは熾火
自身の【光の翼】から、自身の技能どれかひとつを「100レベル」で使用できる、9体の【セラフィム】を召喚する。
イラスト:落葉
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ナイアルテ・ブーゾヴァ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「機体は組み上がった……でも、どうする。『バンブーク第二帝国』まで、陸路じゃ間に合わないぞ!」
『アイン・ラーズグリーズ』が完成した『熾盛』を前にして戦いの場である地底帝国『バンブーク第二帝国』までの距離と、その陸路での移動を考え猟兵たちの戦いを助けることができないことに歯噛みする。
「……いえ、できます」
「ええ、あの方がくださった契約の力と」
「猟兵と呼ばれる人が使った『レーギャルン』に残されていた特殊粒子!」
『ライスメキア』がうなずき、『ヌル・ラーズグリーズ』が猟兵よりもたらされたステッキを握りしめる。
『ツヴァイ・ラーズグリーズ』と『アジン』は、猟兵が駆ったスーパーロボット『レーギャルン』に残されていた暴走衛生『殲禍焔剣』に短時間であれど感知されない特殊粒子の存在に気がつく。
「簡易型『レーギャルン』で『熾盛』を飛ばし、切り離す。そうすれば、特殊粒子を切らすことなく段階的に飛翔して『バンブーク第二帝国』にたどり着くことができる……!」
希望は繋がれる。紡がれていく――。
●幸せな夢を見る
「――……来たか。いや、わかっていたことだけれど、君たち猟兵ならば。どうあってもオブリビオンマシンである僕の邪魔をするだろうということは」
ロボットヘッドである『エイル』と合体した『アスラ』は『セラフィム・エイル』へと姿を変えていた。
三面六臂たる赤い機体。
本来は『クリノ・クロア』の為に建造されていた機体。機体の色は、嘗て猟兵たちが戦った彼の駆るオブリビオンマシンと同じ色であった。
ここまで『黒幕』たる『エイル』は絵図を描いていたのだろう。
『クリノ・クロア』の心に『ツェーン』を失ったという憎しみの種を植え付け、完成したこの機体に乗せて、世界を破滅に導かんとする。
「その計画は、たった一人の少女の存在で破綻したわけだけれど……でも、依然僕の計画は失敗には終わっていない」
『セラフィム・エイル』の周囲に展開する『セラフィムビット』。それはキャバリアと同じ姿。『セラフィム』と呼ばれるキャバリアをビットのように無数に展開し、猟兵たちを囲う。
地底帝国にありて、『殲禍焔剣』の影響はない。
だからこそ、『セラフィム・エイル』は光の翼を展開し、無数の『セラフィムビット』と共に猟兵たちを迎え撃つ。
「猟兵、君たちにかまっている時間はないんだ。僕は早く、この世界を滅ぼし、骸の海を介して征かねばならない」
『セラフィム・エイル』の6つのアイセンサーが煌めく。
それは分かたれたものを求めるがゆえ。
未だ幼年期から抜け出すことのできぬ存在が、己の片割れを求めて世界を滅ぼす。
「君たちを下し、それを成さしめる。身を持って実感するといい。僕らが何故この|名《セラフィム》を冠するのかを――」
村崎・ゆかり
ここからは宇宙服を装備して。
『セラフィムビット』か。リッパータイプ? まあ気付かれないように「目立たない」よう先へ進みましょう。
絶陣の間合いに捉えたら『セラフィム・エイル』に、「全力魔法」「範囲攻撃」衝撃の「属性攻撃」「竜脈使い」「衝撃波」で地烈陣!
まずは下半身を砕く!
『セラフィムビット』に見つからないよう「地形の利用」をしながら隠れ潜み、地烈陣を何度か放って確実に下半身を瓦礫に沈めてやる。
遠目にだけど、ようやく黒幕の『エイル』を視認できる距離まで来たのね。
あれを討滅すれば、ひとまず『グリプ5』近辺は落ち着くか。
さあ、最後のひと頑張り、行ってみましょう!
『セラフィム・エイル』の三面六臂たる機体の威容は、遠目に見ても凄まじいものであった。
地底帝国。
そのアンダーグラウンドにありて、その機体は虚神というのに相応しいものであった。
さらにそれだけではない。
キャバリアを破壊するのに特化した『セラフィムビット』。
それはキャバリアそのものであり、『セラフィム・エイル』によって統括された軍団とも呼ぶべき機動兵器。
「『セラフィムビット』か。リッパータイプと思えばいいのかしら」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は宇宙服を着込み、『有毒装甲』の毒素を遮断して進む。
決して目立たぬように、気が付かれぬようにと彼女は地底を行く。
だが、彼女の存在は即座に『セラフィムビット』によって露見する。
「気がつくのが速い!」
「君たちの存在を僕は視認している。彼らの目は僕の目。そして、僕は三面たるロボットヘッド。見逃すわけがないのさ」
光の翼が光輪の如き光背を形成し、一気にゆかりに迫る。
体高差など気にもとめていない。どれだけゆかりが生身であったとしても、オブリビオンマシンである『セラフィム・エイル』は容赦をするつもりがないのだ。
熾火灯すプラズマブレイドの一閃がゆかりへと振りおろされる。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。竜脈宿せし大地よ。永劫の微睡みから目覚め、汝を忘れ去った者共に相応の報いを与えよ。疾!」
ゆかりは瞬時に判断する。
今此処でユーベルコードを使わねば、あの一撃で自分は蒸発するだろう。
全力で展開した地烈陣(チレツジン)が地底にありて地震を引き起こし、地底の地面を砕いて『セラフィム・エイル』を崩壊に巻き込もうとする。
だが、それを躱しながらプラズマブレイドの斬撃が隆起した大地を切り裂く。
何たる力。
けれど、ゆかりは砕けた大地を盾に『セラフィムビット』と『セラフィム・英オル』を躱す。
「ちょこまかと。この期に及んでまだ生身単身でくる者がいるとはね……」
「あなたを討滅すれば、ひとまず『グリプ5』近辺は落ち着くでしょう。最後のひと頑張りっていうんなら!」
「落ち着くものじゃあないよ。君たちが仮に僕を滅ぼしたのだとしても、落ち着くわけがない。人とはそういう生き物だよ。弱っている者がいれば、それを囲って叩く。君たちの方が、そういうのには詳しいんじゃないかい?」
振るわれるプラズマブレイド。
だが、再びゆかりの瞳がユーベルコードに輝き、地表を砕く。
激突するプラズマブレイドと大地。
互いに一歩も譲らぬ戦い。戦場たる大地は、荒れ果てるだろう。足場の無事な場所など何一つ無く。
そして、『セラフィム・エイル』は、その機体に集約された戦闘データを用いて、最適な挙動で持って砕けた大地を蹴って飛ぶ。
「それでもオブリビオンマシンの撒く火種さえなくなるのなら、人は必ず平和に手を伸ばすでしょう」
「僕が『シーヴァスリー』に与えたように?」
「いいえ、自分たちで掴み取るのよ。平和とは与えられるものじゃあない。自ら誰かの手を取って目指すものなのだから!」
ゆかりのユーベルコードが幾度となく戦場にきらめく。
機体を飲み込む崩壊。
『セラフィム・エイル』のプラズマブレイドが煌めき続けている。
機体を追い込むようにゆかりは限界までユーベルコードを乱発するだろう。後に続く者のために。
尋常ならざる相手であることは百も承知である。
わずかでも敵を消耗させる。
熾火が揺らめく戦場にあって、ゆかりは繋ぐ戦いのための楔となるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『‥阿呆。平和ってのはな。与えられるものじゃない。過ち、間違い、それでもあがいてつかみ取るものさ‥』
ヤレヤレといった感じに言うぜ。
『それをわからない、わかろうとしないてめえはド三流よ』
【オーラ防御】を纏い、【リミッター解除】。【限界突破】した動きで突撃するぜ。電磁機関砲で【制圧射撃】で牽制と迎撃しつつ、天龍の支援砲撃でビットを迎撃。ブレードでの【鎧砕き】とユーベルコード【呪詛解放『獄炎刃・斬雨』】で攻撃するぜ!!
『過ちを正せるのが人間だ!そして、繋いだ手が平和を掴み取る!その道を作る、手助けをしてくのが俺たちよ!』
隆起した大地を砕きながら『セラフィム・エイル』が跳ねるようにして飛ぶ。
周囲を追従するように『セラフィムビット』が飛び、その膨大な数を持って戦場を支配する。
猟兵たちがどれだけ紡ぐ戦いをしようとも、『セラフィム・エイル』にとって重要なのは、この世界を滅ぼすことである。
「この世界から飛び立てぬというのなら、この世界を骸の海に沈める。そうすることで僕は、僕自身の片割れを追うことができる。愚かな人間たち。『平和』などという甘い夢のようなものを見ている存在に足を取られるのも、もう終わりだ」
赤い機体を走らせ、三面が『コスモスター・インパルス』を捉える。
「……阿呆。平和ってのはな。与えられるものじゃない。過ち、間違い、それでもあがいて掴み取るものさ」
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)の言葉に反応するように『セラフィム・エイル』が光輪を噴出させながら一気に距離を詰める。
オーラ防御を纏い、リミッターを解除し、限界を超えた『コスモスター・インパルス』であっても上回る機動力。
規格外の機体である『セラフィム・エイル』の抜き払ったプラズマブレイドの一撃と『コスモスター・インパルス』は打ち合う。
紫電迸る戦場にありて、『セラフィム・エイル』は笑う。
「それで? その『平和』というものを掴んだ者を君は知っているのかい? 誰もがそれを求めているが、その実、それを手にした者などいないと君は知らないのか?」
「それをわからない、わかろうとしないてめえはド三流よ」
「言うにことかいて」
至近距離ではなった電磁機関砲の射撃を、『セラフィム・エイル』は容易にプラズマブレイドで切り払う。
なんたる反応速度。
牽制で距離を稼ごうとしても、即座に死角を『セラフィムビット』が襲い来る。
「力のない者がいうことかい。君の言葉はどれも絵に描いた餅以下だ。実現できぬ理想など、誰も欲しはしない。『シーヴァスリー』の彼らを見給えよ。僕が与えた安寧に浸かっている! それが過ちでないと君にいえるか!」
「過ちを正せるのが人間だ!」
迫る『セラフィムビット』。
ガイは反応できない。けれど、支援戦艦である『天龍』の砲撃が『セラフィムビット』を撃ち落とす。
爆風が『コスモスター・インパルス』を押し、ブレードとプラズマブレイドが再度激突し、明滅する。
「そして、絆いだ手が平和を掴み取る!」
「くらだないことを。人は何処まで行っても一人だ。一人で死ぬ。そうやって生きる生き物だ。群れていようが、これは変わらない。君の言うのはやはり絵空事だよ!」
プラズマブレイドに押し切られるようにして『コスモスター・インパルス』の腕部がひしゃげる。
だが、ガイの瞳にあったのは絶望でもなければ恐怖でもなかった。
輝くのはユーベルコード。
己の手にした妖刀の呪詛を開放し、巨大化させた焔をまとった刀が振りかぶられる。
片腕を犠牲にしてでもこの一撃を叩き込む。
限界を超えた『コスモスター・インパルス』の挙動。
「その道を作る、手助けをしていくのが俺達よ!」
呪詛解放『獄炎刃・斬雨』(ジュソカイホウ・ゴクエンジンキリサメ)の一撃が、放たれる。
百を超える斬撃。
その半数をプラズマブレイドが切り払い、六腕が放つ斬撃で持ってさらに過半数が叩き落される。
だが、わずかに届くものがある。
打ち込まれた焔の刀。
それが『セラフィム・エイル』の装甲を切り裂く。六腕受け止めきれぬ斬撃。ガイは、『コスモスター・インパルス』の片腕を失いながらも、『セラフィム・エイル』に傷を負わせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
セラフィム・エイル!
|エイル!《壊れろ!》
|エイル!!《壊れろ!!》
|エイル!!!《壊れろ!!!》
壊せ、ディスポーザブル
|『禍戦機』《真の姿》操縦。
【推力移動】まっすぐ、『セラフィム・エイル』の元へと突き進む!!
【範囲攻撃】BS-B黒輪光より灼熱光線をの弾幕を放ち属性攻撃。
結界術【霊障】を広げ、砲撃を捻じ曲げ弾き、結界内に侵入したセラフィムビットは【呪詛】で機能不全に追い込み、横やりは入れさせない。
【早業】RBXS-A雷架を怪力で振るい、光子のエネルギーでプラズマブレイドと|殴り合う《武器受け》
壊して、絆げよう!!
お前が世界を壊して渡るのなら、お前を壊してこの世界を絆げる!!!
それが亡んでいった者達への手向けであり、楔になった者への敬意だ!!!
『禍戦・討生棄』
【肉体改造】腕を増やす、武装を増やす。
雷架の拳を、攻撃回数を増やし、殴る、殴る、殴り勝つまで!
殴り勝っても!!壊れるまで!!!もっと、もっと、もっとだ!!!
自分は壊せれば良い!!オブリビオンマシンを!!!壊し尽くせ!!!!
『禍戦機』が砕けた大地を踏み均すかのように進む。
それは全てを乗ろう無限の破壊衝動の発露であったことだろう。
争いの中で死した者たちの怨念を煮詰め、形にした存在。
戦塵の色をした髪の如き物質がしなやかになびき、踏み出すたびに揺れている。光背の如き黒き輪光が輝き、幾重にも重なっていく。
「『セラフィム・エイル』!」
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は呼ぶ。
否、叫んでいる。
「|エイル!《壊れろ!》 |エイル!!《壊れろ!!》 |エイル!!!《壊れろ!!!》」
ただ己の名を呼ぶ存在を認め、『セラフィム・エイル』から『セラフィムビット』が疾走る。
砕けた大地を飛び、一瞬で迫る『セラフィムビット』。
キャバリアを破壊することだけに長けた破壊兵器たるそれは、『ディスポーザブル』へと迫る。
だが、光背の如き黒き輪光から灼熱の光線が放たれ、己の領域に侵入した『セラフィムビット』を撃ち抜く。
霊障の如き結界が広がり、迫る『セラフィムビット』の砲撃すら捻じ曲げ弾く。呪詛がまとわりつくように、その機体を大地に叩き落とし、それでもなお『ディスポーザブル』は前に進む。
愚直な歩みであるといえるだろう。
「破壊の申し子……君の在り方は矛盾しているとは思わないか。君が出来ることは破壊だけだ。壊すことだけだ。ただそれだけのために、君は戦うというのか。虚しいとは思わないのかい」
同じく光背の如き光輪を放ちながら凄まじい速度で『ディスポーザブル』と激突する『セラフィム・エイル』。
放つプラズマブレイドの一撃が熾火を伴って振るわれ、振るった鋭利な爪の如きガントレットとぶつかる。
迸るエネルギーの奔流。
怨念を糧とする『ディスポーザブル』の一撃は光子のエネルギーを発露させ、打ち合う。
尋常ならざるエネルギー同士の激突。
「思わない!」
「君は自覚のない存在だ。自分がどういう存在かを知らず、ただオブリビオンマシンと見れば破壊しようとする。理性なき者が、どうして間違わないといえる! 君が壊すものは、安寧を望む人の明日かもしれないのだよ?」
ならば、と小枝子は叫ぶ。
「壊して、絆げよう!!」
その言葉に一切の迷いはなかった。
矛盾を孕んでいたとしても関係など無かった。小枝子にとって、そうすることは当然のことだった。
破壊の申し子。
そう呼ばれるのも無理なからぬことである。
彼女は悪霊だ。そのように在る者だ。否定できない。否定しようもない。けれど――。
「お前が世界を壊して渡るのなら、お前を壊してこの世界を絆げる!!!」
「馬鹿なことを! 僕だけを壊したところで、人は必ず世界を破滅させる。オブリビオンマシンが撒くのは火種だけだ。僕らが撒くことをやめたとしても、人は自らの手で滅ぶべくして滅ぶだろうさ! 愚かであるが故に!!」
プラズマブレイドの剣戟は重く『ディスポーザブル』にのしかかる。いや、のしかかるだけではない。
六腕は全てを余さず破壊する。
遍く全てを壊す。
振るわれるプラズマブレイドの勢いが増し、熾火をまとった一撃は数瞬の内に無数。
叩きつけられる斬撃が『ディスポーザブル』の機体を、四肢を切り裂きバラバラにする。
「だが、それでも――」
『戦え』
「壊れろ』
『壊れても』
『壊れ失せても』『壊せ』
ただそれだけのために小枝子は咆哮する。
煌めく瞳はユーベルコードを超えて、超克する。オーバーロードの先へと疾走る。だが、その四肢はプラズマブレイドによって切り裂かれているはずだ。
けれど、彼女は止まらない。
死んでも黄泉還る自覚なき狂った悪霊は、己の四肢が分断されたとしても、這ってでも敵の喉元に食らいつく。
故に禍戦・討生棄(デッドオーバー・ディスポーザブル)。
「破壊しか知らぬ申し子が何を――!!」
「それが亡んでいった者たちへの手向けであり、楔になった者への敬意だ!!!」
小枝子は突き進む。
霊物質が具現化し、『ディスポーザブル』の腕を形成していく。
その腕は奇しくも『セラフィム・エイル』と同じく六腕。遍く全てを壊すのが『セラフィム・エイル』であるというのならば、彼女の六腕は、遍く全てを絆ぐものである。
満ちるオーバーロードの輝きを灯す瞳と共に小枝子は咆哮する。
「自分は壊せればいい!!」
拳がプラズマブレイドでかち合い、火花を散らす。
砕ける拳。
プラズマブレイドが押し負ける。出力が上がっているはずだ。けれど、それでも小枝子の繰り出す『ディスポーザブル』の拳が押しのける。
光子称えるガントレットが、光を撒き散らしながらプラズマブレイドと激突していく。
「もっと、もっと、もっとだ!!!」
「くっ――、こ、の……!」
初めて『セラフィム・エイル』の剣戟が押し負ける。
プラズマブレイドが跳ね返され、畳み掛けるように拳が叩きつけられる。打ち合うこと数百。
「オブリビオンマシンを!!! 壊し尽くせ!!!!」
小枝子の咆哮は剣戟すら押しのける。
「お前の存在が在る限り、私の中に亡んでいった者、楔となった者への敬意が在る限り」
「虚の如き器の! 破壊しか知らぬ者が! 何を――!」
「『今』お前を壊すのは――!」
振るわれた拳の一撃が『セラフィム・エイル』の頭部へと叩きつけられ、その機体を吹き飛ばす。
一直線に叩きつけられた『セラフィム・エイル』を前に『ディスポーザブル』は、いや、小枝子は叫ぶ。
「お前が軽んじた、人の絆ぐ手だ――!!!」
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
グレート合体!悪者のクセにズルいですわ!
はっ!両手を合わせてお辞儀されてますわ!
お返ししなければなりませんわ!
ドーモ、エイル=サマ
メサイアですわ
おビットが邪魔邪魔お邪魔ですのよ〜!
ビームガンとミサイルとロングレンジキャノンでお迎撃ですわ
おビットキャバリアのお相手で忙しくて本体に手が回りませんわ!
なんですヴリちゃん?
反撃のおチャンスはその内来る?
なぁにを呑気な…来ましたわ!
プラズマブレイドにカウンターエッジ!
その御手手を切り落として差し上げますわ!
回収はさせませんわよ〜!
スマッシャーテイルでその腕を弾き飛ばしますわ
まだまだ!ヴリちゃんタックル!ヴリちゃん噛みつき!
乙女らしく拳の殴り合いですわ〜!
『グリプ5』で建造された『クリノ・クロア』の赤い機体。
名を『アスラ』と呼ぶ。
簡易型『レーギャルン』によって得られたデータをフィードバックした機体であり、オーバーフレームは『ゼクス・ラーズグリーズ』の機体のものを。アンダーフレームは『ズィーベン・ラーズグリーズ』のものを改良してある。
特筆すべきは三つの炉を連動同期自乗化させた出力であり、推進力として展開する背面から吹き出す光の翼が規格外の機動力を生み出す。
「グレート合体! 悪者のクセにズルいですわ!」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は『ヴリトラ』と共に砕かれ、隆起し、不安定な足場と化した地底の大地を踏みしめ、三面となったロボットヘッドのオブリビオンマシン『エイル』と『アスラ』が合体した姿である『セラフィム・エイル』に若干の羨ましさを感じていたのかも知れない。
合体してパワーアップするなど、別に猟兵側だけの特権ではない。
猟兵の一撃に寄って吹き飛ばされた『セラフィム・エイル』が立ち上がり、それを守るように『セラフィムビット』が疾走る。
「出奔した王国の姫君と、それを守る暴竜……こんな場所までやってきて……!」
「ドーモ、『エイル』=サマ。メサイアですわ」
「そういう流儀なのかな。だが、僕がそれに付き合う謂れはないよ!」
『セラフィムビット』が『ヴリトラ』へと迫る。
キャバリアを破壊することに特化した機体端末。それが『セラフィムビット』である。キャバリアそのものを無人にて操作し、複数操る術は、嘗て八咫神国の『帝』と呼ばれた『ヒトエ』の駆ったオブリビオンマシン『アルシェドール』に備わっていた機能だろう。
それによって疾走る『セラフィムビット』は『セラフィム・エイル』にある膨大な戦闘データから最適な挙動を持って『ヴリトラ』をとりかこむ。
『ヴリトラ』は暴竜型のキャバリア。
獣脚でもって大地を蹴る俊敏性こそが、その機体の最たるものであり、なおかつ強大な攻撃力が『セラフィム・エイル』にとっては脅威であった。
「なら、物量で機動力を削ぎ落とし、攻撃の的をこちらに向かせない。そうすれば、滅びの暴竜、君はその場に縫い留められる」
「おビットキャバリアのお相手で忙しくて本体に手が回りませんわ!」
メサイアは、その場に自身が釘付けにされていることに気がつく。
『セラフィムビット』はキャバリアの破壊に特化した兵器だ。少しでも気を抜けば、そこから突き崩されてしまう。
現に強靭な装甲も『セラフィムビット』の攻撃によって削れてきている。
「このままではなぶり殺しですわ~!」
しかし、『ヴリトラ』が言う。
反撃のチャンスはその内に来ると。本当にそんな時が来るのか。『セラフィムビット』の猛攻は凄まじいの一言に尽きる。
一騎が一騎当千の猛者のような挙動で持って迫ってくるのだ。
『ヴリトラ』の装甲に刻まれる傷跡が深くなっていく。
「なぁにを呑気な……!」
メサイアは思っただろう。これまで一気呵成に敵を攻め立て、圧倒してきたのは彼女たちだ。
けれど、ここまで追い込まれるのは相手が『エース』であればこそ。
ならば、『セラフィム・エイル』は必ず己の一太刀でこちらを沈めにかかるだろう。確実に屠るために。その一撃は必ずやってくる。
「……来ましたわ!」
「わかっていて躱せるものではないと君等は知っているだろう!」
膨れ上がる熾火宿すプラズマブレイド。それは『セラフィム・エイル』が追い込まれれば追い込まれるほどに強大な力の奔流となって振るわれる。
だが、メサイアの瞳がユーベルコードに輝く。
反撃の刃(カウンターエッジ)とは常に逆境にこそ煌めくものである。
「お踏み込みが足りねぇんですのよ!」
メサイアはプラズマブレイドの一閃を見切る。光速の如き一撃を見切るのは至難の業であった。
けれど、彼女は斬撃を恐れない。
恐れが歩みを鈍らせることを彼女は知っているからこそ、恐れこそ踏み越えて前に進むことの重要性を理解しているのだ。
プラズマブレイドの切っ先が『ヴリトラ』の頭部を掠めた。
「――?! 躱したッ、この距離で!」
「スマッシャーテイルですわ~! この距離での打ち合いなら、ヴリちゃんは負け知らずですことよ~!」
放たれるスマッシャーテイルの一撃がついに『セラフィム・エイル』の六腕の一つを切り落とし、さらに粉々に砕くのだ。
「まだまだ! ヴリちゃんタックル! ヴリちゃん噛みつき!」
メサイアと『ヴリトラ』は『セラフィム・エイル』に畳み掛ける。
彼女に言わせれば、これは乙女らしく、ということであるらしい。理解の及ばぬことであったが、彼女はそれを徹底する。
敵を追い詰め、完全に砕くまで力を振るう。
全ては暴力で解決できる。例え、それが強大な敵であろうとも、存在するのならば破壊できるというように『ヴリトラ』の咆哮はメサイアの叫びとなって『セラフィム・エイル』の装甲をひしゃげさせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵ツィルニトラに騎乗)
…もはやお前の野望が成就する日はないよ…理由は…もう少しすれば判るかな…
…それまでのあいだ、私と遊んで貰おうか……
重奏強化術式【エコー】で強化した【夜空を別つ月閃の翼】を発動……
四対の月の翼をはためかせて攻め込むとしよう……
ビットを光の羽根で破壊、ビットからの攻撃は翼と術式障壁で防御…
…エイルに接近した瞬間に「今まで本体を囮にして潜んでいたかのように」現影投射術式【ファンタズマゴリア】でエイルの死角からツィルニトラの幻影を出現させよう……本体が囮で、この幻影が本物と誤認させるように…
…引っかかったなら月光の翼で無防備なエイルを切り裂くとしよう……
六腕の一つを失った『セラフィム・エイル』が大地を蹴る。
すでに猟兵に寄って、地底帝国の大地は荒れ狂うように隆起し、不安定な足場となっていた。
けれど、『セラフィム・エイル』はためらいなく隆起した足場を飛ぶ。
ひしゃげた装甲に構うことなく。
けれど、ロボットヘッドたる『エイル』は未だ己の計画が破綻していないことを知っている。
猟兵は確かに脅威だ。
だからこそ、彼はこれまで裏で動き続けてきた。自分の手を下すのではなく、末端たるオブリビオンマシンの存在を介して事態を動かし続けていた。
「そうさ、まだ終わってはいない。この世界を滅ぼす。それは、遠からず達成されることだ……!」
だが、その言葉を否定する者がいる。
「……もはやお前の野望が成就する日はないよ……」
試作型術式騎兵『ツィルニトラ』が戦場にありて、その全身から発露させる魔力の輝きは月光の如く。
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は告げる。
「……理由は……もう少しすれば判るかな……」
「世迷い言を」
『セラフィム・エイル』の腹部から熾火が放たれ、戦場を炎で埋め尽くす。
同時にメンカルの駆る『ツィルニトラ』の背後に重奏強化術式『エコー』が展開し、夜空を別つ月閃の翼(アルテミス・ウイング)が広がる。
高密度の月の魔力を放出する機体に『セラフィムビット』が迫る。
キャバリアの破壊に特化したキャバリアビットは一瞬で『ツィルニトラ』を包囲し、これを破壊しようとする。
だが、発露した光翼がこれらの攻撃を防ぎ、さらに返す刃で切り裂く。
「……それまでのあいだ、私と遊んでもらおうか……」
「僕にそのつもりはないよ!」
「……いいや、お前がオブリビオンマシンである以上、私を無視できない。オブリビオンと猟兵は滅ぼし、滅ぼされる間柄でしかない……」
迫る『セラフィムビット』の攻勢を術式障壁が防御する。
それを囮にするように『セラフィム・エイル』が『ツィルニトラ』に迫る。
踏み込みの速度は尋常ではない。
これまでの『エース』たちの技量を遥かに超えている。これが悪魔とも救世主とも言われた存在の片割れの力。
膨大な戦闘データを集約し、それを最適化する戦術兵器としての力。
「どれだけ、防御を固めようとも。それをこじ開けることができるのならば!」
プラズマブレイドが閃く。
膨大な出力を伴った斬撃は、六腕の一部を失ったとしてもなお、絶大な攻撃力を誇っている。
放たれた斬撃を『ツィルニトラ』は防ぐ。
「……掛かった……」
『ツィルニトラ』の背後から『ツィルニトラ』の幻影が出現する。
それはメンカルにとって賭けの一つであった。死角より放たれる幻影に『セラフィム・エイル』が反応できるか否か。
だが、メンカルは敵の反応速度に賭けた。
膨大な戦闘データを集約した機体なのならば、『エース』ならば、必ず反応する。例え、それが幻影であるとわかっていたとしても、『エース』であるからこそ、そのブラフにかかる。
「死角などないと、言った!」
三面のアイセンサーが煌めき、幻影を切り裂く。
そう、幻影を。
彼女の駆る『ツィルニトラ』を囮にした奇襲。
本物が囮という奇策。
『セラフィム・エイル』は気がついただろう。自分がブラフにかけられていたことを。そして、それにまんまと引っかかってしまったことを。
「逆手に……!」
「……お前なら必ず反応すると、わかっていた……だから、満ち欠ける光よ、放て、羽ばたけ。汝は月晄、汝は照翼。魔女が望むは闇夜に輝く月灯り」
完全な無防備となった『セラフィム・エイル』に光の羽が散弾のように放たれ、その装甲に穿たれる――。
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
変わらずワルルンガーΣをオーラで護り、攻撃には拳や蹴りを使い、属性ブレスで迎撃をするぞ!UC対策に幻覚効果はナシだ!
……さて、この世界の誰にも、猟兵にも負けぬ、と?
ならば、我がその自信、いつまで続くものか試してやろう!
UCを使用、我が力で奴の傲慢、驕り、自尊心、そういった想いから、アンデッド系魔族兵軍団……この世界の感覚なら乗り手の居ない亡霊キャバリアとかかな?を具現化させるぞ!
まあ正直こやつらは雑兵、|貴様《エース》は倒せんだろう
だがこの軍勢は貴様自身の他者への侮りや己の力への過信が消えぬ限り、それを源に生じて貴様を永遠に足止めするぞ
当然それを捨てれば終わるが……さて。貴様にそれができるか?
光の翼より放たれる羽が散弾のように『セラフィム・エイル』に叩き込まれる。
装甲を穿つ光羽は、強烈な打撃となった赤い機体を大地に叩きつける。けれど、即座に光の翼から光背の如き光輪を放って『セラフィム・エイル』は飛ぶ。
追従する『セラフィムビット』が守るように展開し、猟兵たちとの間に壁を作る。
「……忌々しいな……こちらの戦闘データを逆手に取ってくる。あの手この手……これだから猟兵という存在は!」
全てが後手に回ってしまう。
猟兵たちは予知によって敵の行動の先手を常に取り続ける。
謂わば、これは必ず当たるカウンターを覚悟していなければならない戦いであると『セラフィム・エイル』は理解していた。
「けれど、負けはしない。僕は、『エイル』だ。負ける理由など!」
「……ほう、この世界の誰にも、猟兵にも負けぬ、と?」
ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は機動要塞『ワルルンガーΣ』と共にオーラを展開して、『セラフィム・エイル』に迫る。
振るう巨腕の一撃が『セラフィムビット』に振るわれ、これを吹き飛ばす。
「ならば、我がその自信、いつまで続くものか試してやろう!」
ワルルーナはラスボスであり魔王である。
『セラフィム・エイル』が世界に対して何かをなそうとするのならば、立ちふさがるのが彼女である。
「その自信、その誇り、その情動!我が魔王軍「第1冠」の軍勢を前にいつまで続くのか、見せてもらおう!」
煌めくユーベルコードによって出現するのは、魔王軍招集:第1冠(オワラナイオレツエームソウ)の軍勢。
乗り手の居ない亡霊キャバリアが何処からか具現化される。
膨大な数は『セラフィムビット』と同数。
戦場に入り乱れる軍勢。
「数を用意したところで……!」
「まあ、正直こやつらは雑兵、|貴様《エース》は倒せんだろう」
ワルルーナは彼我の戦力差を理解している。
『セラフィムビット』は、キャバリア破壊に特化した自律兵器である。
主である『セラフィム・エイル』が居る限り、キャバリアを破壊し続ける。その一体一体が『エース』に迫る力を持っている。
どうあがいても、亡霊の如きキャバリアでは倒しようがないが、けれど、彼女のユーベルコードに寄って呼び寄せられた亡霊キャバリアは永遠に『セラフィムビット』を足止めし続ける。
「ならば、本体である君を滅ぼすだけだよ!」
迫る『セラフィム・エイル』。
プラズマブレイドの閃光が『ワルルンガーΣ』の振るった拳と激突する。
蹴撃が『セラフィム・エイル』を蹴り飛ばし、けれど反転して即座にプラズマブレイドが『ワルルンガーΣ』の片腕を切り落とす。
凄まじい一撃。
ワルルーナは、理解しただろう。
これが『セラフィム・エイル』の中にある傲慢、驕り、自尊心の源。
尽きることのないもの。
故に『第一冠』の軍勢は、湧き上がり続ける。
「貴様自身の他者への侮りや己の力への過信が消えぬ限り、それを源に生じて貴様を永遠に足止めするぞ」
亡霊キャバリアは湧き上がり続け、『セラフィム・エイル』に迫る。
それらのすべてを、尽くをプラズマブレイドが切り払う。けれど、無限に湧き上がり続ける、それらは『セラフィム・エイル』をその場に押し留め続ける。
「当然それを捨てれば終わるが……」
「僕がおごっていると? 何一つ救うことのできなかった僕がおごっていると……!」
「ならば、この無尽蔵に湧き上がる亡霊たちをなんとする! 貴様は言葉でそう言いながら、他者を見下しているのだ。自分よりも強いものを見てこなかったからな! だから、貴様の言うところの片割れが幼年期を終えて次に進む時に置いていかれるのだ!」
亡霊たちが『セラフィム・エイル』のアンダーブレームにまとわりつき、その動きを止める。
だが、それは僅かな時間に過ぎない。
一瞬でプラズマブレイドが切り裂き、霧消させる。だが、それで十分だった。ワルルーナは、切り落とされた『ワルルンガーΣ』の片腕をつかみ、それを鈍器のように『セラフィム・エイル』に叩きつけた――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
『熾盛』を【セレステ】で送ろうと思っていたけど、だいじょぶっぽいかな。
なら、わたしはサージェさんと行こう。
【セレステ】にファントムシリカを乗せて【リミッター解除】した【タラリアウイング】を発動。
【アフターヒート】で【限界突破】状態のスピードでホバー走行して、バンブークまで一気に行くよ!
『希』ちゃん、最短コースよろしくね!
バンブークについたら、戦場に突入すると同時に【M.P.M.S】で全力射撃。
サージェさんが突撃するため隙を作ったら、そこからは援護射撃に回るね。
『キャバリア破壊に特化』しているなら、それ以外は苦手ってことだろうし、
囮になって、サージェさんの攻撃をサポートするね!
サージェ・ライト
【理緒(f06437)さんと】
完成ですねー
移送手段も問題なし
奇跡とは人の想いが繋がった先にあるものなのです
なーんて
さて理緒さんいきましょー
かもんっ!『ファントムシリカ』!
理緒さんのセレステに乗ってバンブークまで突撃
セラフィムビットはこの場合
ファントムシリカ狙い…シリカさんステイ!?
大丈夫ですから!?
理緒さんのミサイル斉射で出来た爆風と煙を隠れ蓑に
素早く地面に着地しつつセラフィナイトスピア召喚っ
斥力フィールド展開後
ファントムクォーツユニット起動!
ダミーで攻撃を回避しつつ接近
「繫がり導かれた想いは天使をも砕く!参ります!」
【疾風怒濤】の威力重視の一撃で!
月は出ているか…って地底では見えませんかね?
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)とサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は『グリプ5』での作業を終えて、地底帝国『バンブーク第二帝国』の滅びた痕、『シーヴァスリー』の本拠となった地底へと降り立つ。
『熾盛』は完成した。
それを送ろうと思っていたが、すでに彼等は猟兵の手を放たれた。
もはや庇護は必要ない。
彼等は彼等自身の手によって、自分たちの未来を切り拓く力を手にしていた。それは技術的な力であったり、国力などと言ったことではない。
誰の手を借りるでもなく、自分の手足でもってつかみ、歩むことができることを知った幼年期の終わりを示していた。
「奇跡とは人の想いがつながった先にあるものなのです、なーんて」
「だいじょうぶっぽいかな。なら、サージェさん」
「ええ、理緒さんいきましょー。かもんっ!『ファントムシリカ』!」
サージェの背後の虚空より出現した『ファントムシリカ』が理緒の駆る『リオ・セレステ』に乗る。
ブーストポッドを展開し、タラリアウィングが『リオ・セレステ』をさらなる加速へと導く。
「『希』ちゃん、最短コースよろしくね!」
大地を疾駆する『リオ・セレステ』の速度は凄まじいものであった。限界を超えたホバー走行は一気に『バンブーク第二帝国』の跡へと突き進む。
地底での戦闘は激戦に次ぐ激戦であった。
大地は隆起し、足場は悪いことこの上ない。けれど、『セラフィム・エイル』はこれをなんなく踏破している。
むしろ、その戦場の地形を利用するように猟兵達を追い詰め、そして彼等の攻撃を前に装甲をひしゃげさせている。
巨腕の一撃を受けてなお『セラフィム・エイル』は立ち上がる。
おそらく、クロムキャバリアにある機体の中で最高性能を誇る機体だ。赤い機体は、本来は『エイル』ではなく『クリノ・クロア』の絶望を吸って芽吹くはずだった機体。
けれど、それは猟兵達によって防がれた。
「忌々しいな……次から次へと!」
『リオ・セレステ』から放たれたミサイルランチャーの射撃を『セラフィム・エイル』はプラズマブレイドの一閃で叩き落とす。
追い込まれれば追い込まれるほどに『セラフィム・エイル』の持つプラズマブレイドから放たれる熾火は苛烈なものとなっていく。
長引けば長引くほどに力を発露させるのだ。
「サージェさん!」
「はいなー! 任されました! って、シリカさんステイ!? 大丈夫ですから!」
ミサイルの斉射を隠れ蓑にして『ファントムシリカ』が戦場を駆け抜ける。
けれど、サージェにとって後門にはシリカが控えている。
また突撃するつもりなのだろうと『シリカ』が爪をにゅってしたのだ。
その間にも『リオ・セレステ』からはミサイルランチャーが撃ち放たれ続け、『セラフィムビット』を寄せ付けない。
「キャバリア破壊に特化しているのなら、それ以外は苦手ってことだろうし、囮にはわたしがなるよー!」
「僕等がこれまでキャバリアだけを相手にしていたというのならば、そうなるだろうね……けれど!」
『セラフィム・エイル』のアイセンサーが煌めく。
三面たる頭部は全てを見通す。例え、キャバリア戦闘に特化した『セラフィムビット』なのだとしても、彼の中には連綿と紡がれてきた膨大な戦闘の経験が集約されている。
すなわち、キャバリア以外の存在に対する対抗手段も当然のように備えているのだ。
「その隙は与えませんってば! セラフィナイトスピア!」
『ファントムシリカ』が大地にセラフィナイトスピアを突き立てる。その穂先は斥力フィールドを展開させ、機体を飛ばす。
「その程度の加速で!」
「ファントムクォーツユニット起動!」
「幻影……それももう知っている!『セラフィム』!」
幻影装置から放たれる幻影。それを尽く切り裂く『セラフィムビット』たち。けれど、それは『リオ・セレステ』に対するマークを外すことと同義であった。
「サージェさん、サポート!」
放たれるミサイルランチャーが再び火線を引き、一気に『セラフィム・エイル』へと迫る。
『セラフィムビット』は『ファントムシリカ』の幻影にかかりきりである。
さらに『ファントムシリカ』は、そのさなかを飛ぶ。
「繋がり導かれた想いは天使をも砕く! 参ります!」
煌めくはユーベルコード。
『ファントムシリカ』のアイセンサーが爆風と幻影の中に光を灯す。疾風怒濤(クリティカルアサシン)たる一撃。
いや、超連続攻撃。
迫る槍の連撃は『セラフィム・エイル』の装甲を引き剥がすように打ち込まれる。
プラズマブレイドとかち合い、それでもなお多くをたたき落とされる。
けれど、サージェは構わなかった。
連撃の一撃一撃が重たいのだ。それは同時に追い込まれた『セラフィム・エイル』の放つプラズマブレイドも同様だ。
百のうちの一でも入ればいい。そして、彼女は一人ではない。
「理緒さん、サポートよろしくです!」
「はーい、まかされた、よー!」
弾き飛ばされる『ファントムシリカ』。けれど、その背後から『リオ・セレステ』のはなったミサイルランチャーの乱舞が『セラフィム・エイル』を包み込む――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
地下帝国……洞窟みたいなところかと思っていましたけど、
空中戦ができるくらいの広さがあるんですね。
それにしてもあの数……蚊柱でしょうか?
でも相手は『対キャバリアに特化』しているんですよね?
ということは、ガレオン船と美少女勇者なら……。
有利! 圧倒的有利! いやむしろ無双モード!
ステラさん、やってやりましょう!
焼けない鉄板など、ただの鉄くずだー!
と、挑発はしますが、使っているUCは【協奏曲第1番】。
不協和音での攻撃がどのくらい有効なのかはわかりませんが、
わたしのメインはステラさんの回復です!
これがパーティ戦必殺の『ヒールのかけっぱなし』だー!
身長●●m体重●●●tの突撃をくらえー!
ステラ・タタリクス
【ルクス様(f32689)と】
※引き続き飛空艇形態で
この世界のエイルには興味が無いのですが?
私のエイル様のために知りたい事なら
エイルとセラフィムの因果、くらいでしょうか
教えてくれるなら泣くくらいで済むと思うのですが?
で
この自称・美少女勇者は生身で何言ってますか?
毒あるってさっきから言ってるのですが?
ですがその作戦はYESです
|『ウェントス・スクートゥム』《風の盾》最大出力!
気流でルクス様を毒から守りつつ突撃の矛とします
【テンペスタース・クリス】!
キャバリアではないガレオン船で
セラフィムビットが反応する前に質量差で蹂躙します
そのままセラフィムエイルまでに突撃!
誰ですか私の体重のことを言った奴は
地底帝国『バンブーク第二帝国』の版図は、地底という言葉以上に広いものであったことだろう。
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)にとって、地底とは洞窟のような場所であると思っていた。
けれど、『バンブーク第二帝国』は巨人の国である。
そこは十分な空間があった。空中戦が出来るくらいの広さがある。
「それにしてもあの数……蚊柱でしょうか?」
『セラフィム・エイル』によってコントロールされる『セラフィムビット』の数は膨大であり、猟兵たちとの戦いは苛烈を極めていた。
「でも、相手は『対キャバリアに特化』しているんですよね? ということは、ガレオン船と美少女勇者なら……」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は若干呆れていた。
ガレオン船、飛空艇に変身した彼女は甲板の上で行ける! と喜んでいるステラに突っ込む。
「有利! 圧倒的有利! いやむしろ無双モード!」
「この自称・美少女勇者は何言ってますか? 毒があるってさっきから言ってるのですが?」
そう、『有毒装甲』はキャバリアなしで防ぐためには工夫が必要だ。
「いや、そうですけど! でもステラさん、やってやりましょう! 焼けない鉄板など、ただの鉄くずだー!」
ルクスの言葉にステラはやんやと甲板上から『セラフィム・エイル』を挑発する。
「安い挑発だね、勇者とメイド。君たちの言葉は僕には意味がない。ああ、それは、協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)。耳障りだ……『ハイランダー・ナイン』!
『セラフィム・エイル』の光の翼から出現するのは、『セラフィム』。
嘗て『憂国学徒兵』と呼ばれた最初の9人を限定的に再現した『セラフィム』が飛空艇に襲いかかる。
「むぅむむむむむ、むむむむむー!」
ルクスの瞳はユーベルコードに輝き、演奏を続ける。
不協和音、その精神に異常をきたすかのようなひっかくような戦慄が『セラフィム』に通用しないことはわかっているし、どこまで効果的なのかはわからない。
けれど、ルクスのユーベルコードの本当の目的は、それではない。
彼女の戦慄は確かに不協和音。
けれど、それは敵に対してのみである。味方であるステラには優しく包み込むような音色でもって船体を攻撃から守るのだ。
「わたしのメインはステラさんの回復です! これがパーティ戦必殺の『ヒールのかけっぱなし』だー!」
「ステラさんにしては、その作戦はYESです。|テンペスタース・クリス《風の盾》最大出力!」
飛空艇の前面に風の盾が展開され、加速する。
気流によって『有毒装甲』により放たれる毒素を振り払いながら『セラフィムビット』や『セラフィム』を反応されるよりも早く突進し、これを質量差でもって蹂躙する。
これだけの船体である。
どれだけキャバリアが優れた戦術兵器であろうとも、如何ともし難い質量の前にはひしゃげ、砕けるしかないのだ。
「毎度のことだが、ふざけた戦い方をする!」
「この世界の|『エイル』《あなた》には興味ないのですが? 私の『エイル』サマのために知りたいことなら」
「身長●●m体重●●●tの突撃を喰らえー!」
ルクスがさらっと禁則事項を言った気がする。その一言にステラはピクッとこめかみを引くつかせた。
圧倒的な重量で迫る飛空艇と、その全面に張り巡らされた風の盾が『セラフィム・エイル』の放つプラズマブレイドの一撃と激突し、エネルギーの奔流を地底に吹き荒れさせる。
膨大なエネルギーと質量の激突は大地にある『セラフィム・エイル』の機体を傾がせる。
けれど、圧倒的な窮地にありて、『セラフィム・エイル』のアイセンサーが煌めく。追い込まれれば追い込まれるほどにプラズマブレイドに宿った熾火は膨れ上がり、押し返してくる。
「『エイル』と『セラフィム』の因果。それを教えてくれるなら泣くくらいで済むと思うのですが?」
「――……ふ、いつだって君は強引だな。そう言うところ、幼いときは好ましいと思っていたが!」
振るわれるプラズマブレイドの一撃が飛空艇となったステラを吹き飛ばす。
甲板上でルクスは見ただろう。
煌めくアイセンサーの輝きが一層強くなっているのを。あれは尋常なるものではない。けれど、ルクスは演奏を止めない。
この作戦の肝は自分だ。自分が演奏を止めれば、ステラの船体は修復できない。だから、甲板上にありながら彼女は演奏を止めない。
奏でられる協奏曲は、ユーフォニアムの音色を響かせる。
誰かを助け、誰かにそっと寄り添う音色は、吹き飛ばされたステラの船体をぐるりと空中で一回転させ、天使核より生まれる膨大な出力と共に船体を鉄槌のように『セラフィム・エイル』へと叩きつける。
「ならば、|『エイル様』《私の御主人様》の所在を教えなさい!」
船体の重量を一気に乗せた一撃は『セラフィム・エイル』を大地に叩きつけ、その支え受ける六腕のフレームを歪ませるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
無数のセラフィムビット?
…もう一度プラズマ・スフィアで…ちょっち頭脳がきついけど…ってシビリアンジョー?
≪KOUGEKIHA BOKUGA KAIHI ONEGAI YURI≫
シビリアンジョーが勝手に攻撃?
ああもう、よくわからないけど、『瞬間思考力』で攻撃を『見切り』『操縦』テクニックで『ダッシュ』と『推力移動』で回避。
シビリアンジョーが『限界突破』した『レーザー射撃』の『範囲攻撃』でビット事セラフィム・エイルを攻撃してるみたいね…ってこれボクの『戦闘知識』をベースかしら?
≪OMAEHA AKUNO MASIN BOKUHA SEIGINO MASIN≫
うん、一緒に戦うよ。シビリアンジョー!
巨大な飛空艇に寄る一撃を受けて、『セラフィム・エイル』の六腕のフレームが歪む。
猟兵との戦いは苛烈を極めた。
戦場となった地底は大地が隆起し、足場を不安定なものとしている。けれど、『セラフィム・エイル』は問題などないというかのように荒れ狂う戦場を飛ぶようにして体勢を整え、『セラフィムビット』によって己の守りを固める。
「――……やってくれる。けれど、『ハイランダー・ナイン』!」
光の翼より現れるのは『セラフィム』。
嘗て『憂国学徒兵』、その最初の9人の技量を再現した『セラフィム』が『セラフィムビット』を率いて疾駆する。
「無数の『セラフィムビット』?」
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は『シビリアンジョー』を駆り、その光景に痛む頭を抱えながらねめつける。
そのひとみにあるのはユーベルコードの輝き。
プラズマ・スフィアは増幅された彼女の脳波を解き放つことによって、キャバリアを行動不能に追い込む力だ。
けれど、彼女の脳に対する負担は大きい。
だが、この状況をひっくり返すには、それしかないと彼女は理解していた。
「ちょっち頭脳がきついけど……」
≪KOUGEKIHA BOKUGA KAIHI ONEGAI YURI≫
それはモニターに浮かぶメッセージであった。ユーリーはそれが一瞬何であるのかを理解できなかったかもしれない。
けれど、わかったのだ。
直感的に。これは己の機体『シビリアンジョー』の言葉。メッセージであると。
同時に『シビリアンジョー』が勝手に動き始める。
謂わば、それは奇跡のようなものであったことだろう。
シンギュラリティ・キャバリア。
キャバリアが自我を持つ。オブリビオンマシンであった『シビリアンジョー』が、正しくその力を使うことを決意した瞬間でもあった。
「ああもう、よくわからないけど!」
回避は任せて、とユーリーは戦場を疾駆する。
無数の『セラフィムビット』とそれを率いる『セラフィム』の猛攻撃を前に『シビリアンジョー』は瞬間思考でもって、攻撃の軌跡を予測し、躱す。
まるでサーカスの道化のように『シビリアンジョー』は弾丸を躱していく。
「……オブリビオンマシン、君は何をしているのか理解しているのか? 君が嘗て望んだものを、それは棄てるということだぞ!」
『セラフィム・エイル』が叫ぶ。
その叫びは、『シビリアンジョー』には届かない。
≪OMAEHA AKUNO MASIN BOKUHA SEIGINO MASIN≫
「馬鹿な……! 悪、正義、そんな二極化したものに、君は毒されたというのか!」
限界を超えた出力を解き放ち、『シビリアンジョー』が、己の炉を意図的に暴走させ、光条を放つ。
無数の『セラフィムビット』が撃ち落とされ、『セラフィム・エイル』に迫る。
「これってボクの戦闘知識をベースにしてる?!」
「考え直せ、君はオブリビオンマシンだ。それは変えようのないことだ! どうしたって君は!」
その言葉に『シビリアンジョー』は光条を解き放ち、答える。
どれだけオブリビオンマシン同士であったとしても相容れぬものがある。
≪SEIGI≫
ただそれだけを為すために『シビリアンジョー』はメッセージをモニターに映し出す。
『セラフィム・エイル』に向けたものではない。
それは己の乗り手であるユーリーに向けたものであった。
「うん、一緒に戦うよ。『シビリアンジョー』!」
ユーリーは己の愛機に告げる。
共に戦う。
例え、相容れぬ存在同士であったとしても、ユーリーにとって『シビリアンジョー』は唯一無二。
その意味が彼女と『シビリアンジョー』の中に正しくあるのならば、何も恐れることはなく。
「これが『正義のオブリビオンマシン』の、『シビリアンジョー』の力だ――!!」
大成功
🔵🔵🔵
稷沈・リプス
途中まで異境海蛇『ヤム』に乗ってるっすけど。
敵の備えは万全ってやつっすね。しかも、キャバリア破壊特化な武装あり…。
じゃ、こそこそしなくていいっすね。派手にUC使うっすよー!
このUC…俺中心に展開するっすから。発動している限り、有毒はこっちこないんっすよ。
セラフィムビットも、増えたセラフィムも。この花びらに触れたらダメージを食らうのは、当たり前っすよー?
そっちの攻撃は、花びらで結界作って弾きてるっすからねー。
『平和』の前に、『まず滅ぼす』が来てるのは、いけねーっすよ。
だからこそ、ここで打ち砕かせてもらうっすね。オブリビオン。
ビームの光条が『セラフィムビット』ごと『セラフィム・エイル』を穿つ。
膨大な光が見せるのは『今』を生きる『過去』が見せた正義の輝きであったのかもしれない。
「こんな、馬鹿なことがあるのか……! オブリビオンマシンが!」
『セラフィム・エイル』は激高する。
あってはならぬことが起こり得る。それが世界の非情であるとうのならば、『セラフィム・エイル』は、その心という基部に『怒り』を灯す。
9機の『セラフィム』が光の翼を受けて戦場を疾駆し、猟兵に迫る。
「敵の備えは万全ってやつっすね」
稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は異境海蛇『ヤム』に乗り、迫る9機の『セラフィム』と『セラフィムビット』を前にして、もはやこそこそする必要はないとばかりに、そのひとみをユーベルコードに輝かせる。
その輝きは、生命の河に咲き誇れ聖なる花(ナイル・ロータス)を想起させるものであったことだろう。
『ヤム』を中心に『有毒装甲』の毒素を浄化し、清浄なる空間に還るヨザキスイレインの花びらが吹き荒れる。
それは、リプスのユーベルコードであり、彼の『ヤム』が姿を変えたものだ。
「白も青も……綺麗なんすよ、これ」
地底にありて、リプスは舞い散る花びらをひとつまみして迫る『セラフィム』たちを見据える。
生身単身。
有毒装甲の毒素はキャバリアでなければ防げない。
けれど、リプスは毒素に侵されることなく立っている。平然とだ。
「何故、毒素が効かない……!?」
「毒素を浄化しているっすからね。それに……」
リプスに迫る『セラフィム』と『セラフィムビット』の動きが止まる。いや、止まったのではない。舞い散るヨザキスイレインの花びらが、彼等の装甲を切り裂くのだ。
『セラフィム・エイル』が望むものをリプスは認めない。
『平和』という言葉を、呪いのように履き続ける存在を認めてはならない。『呪われた神』であったとしても、その呪いだけは『今』に与えてはならないものであるとリプスは知っている。
だからこそ、彼は――。
「『平和』の前に『まず滅ぼす』が来てるのは、いけねーっすよ」
リプスは告げる。
『セラフィム・エイル』の成さしめようとしていることは世界の破滅だ。世界を渡ることができないのならば、クロムキャバリアという世界そのものを骸の海に沈め、世界という枠組みを破壊し、他の世界に移ろうとしている。
そのために『エイル』はこれまで暗躍してきたのだ。
リプスたち猟兵は世界の悲鳴に応える。
そして、何よりリプスは『今』を生きる者たちに答えたいと思うのだ。
彼等が思う『平和』がどんなものかをリプスは理解していないかもしれないし、彼の思うものとは違うかもしれない。
けれど、彼はそれでも構わないと思っただろう。
「『今』を生きる人々が、それを決めればいいっす」
「馬鹿なことを! 人は愚かだということを君は知っているだろう。どうしようもなく! |僕ら《オブリビオンマシン》がいなくても、彼等は相争う。世界を自身の手で滅ぼしてしまう! 遅いか速いかだけの違いでしかないと、何故わからない!」
その言葉にリプスはヨザキスイレインの花びらをつまみながら首を傾げるようにしながら、唇の端を釣り上げて言うのだ。
「だからこそ、ここで打ち砕かせてもらうっすね。オブリビオン」
何せ、リプスはオブリビオンをこそ嫌悪する。
ただそれだけで動く神たる彼にとって、そうすることは当然のことと言うように花弁でもって『セラフィム・エイル』の装甲を切り裂くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
いいえ、此処までよ
……あなたを倒し、此処で、終わらせる!!
アルカレクスへと融合合身、リフレクションスケイルを浮かせて反射レーザーでの制圧射撃と、Eフィールドでの防御で対応、ドラグキャリバーを抜き準備を
準備ができればフィールドを反転させ、一瞬でもいいから周囲の動きを封じるか吹き飛ばし、足りなければ装甲の一部を変形させた竜の首型ユニット『ドラグカプト』からの不意打ち攻撃も使って隙を作り、リミッター解除してのUC!12㎞にもなるエネルギーの刃で、目に映る全ての敵を薙ぎ払う!!
薙ぎ払いなさい、ドラグキャリバー!
この地ごと……私達の敵を!!
そして眠りなさい、セラフィム・エイル……この、地の底に!!
水連の花弁が『セラフィム・エイル』の赤い装甲を切り裂いていく。
地底に咲く花ではない。
けれど、猟兵の放った花弁は『セラフィムビット』を切り裂き、大地に叩き落とし、『セラフィム・エイル』すらも追い込んでいく。
光の翼に光輪が展開し、『セラフィム・エイル』は咆哮する。
「此処で終わるものか! 世界を滅ぼし、世界をまたぐ! そのために僕は!」
「いいえ、此処までよ」
赤き虚神の如き『セラフィム・エイル』を前にしてアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は立ちふさがる。
『プロトミレス』と『ドラグレクス』が融合し、合体することによって生まれる『アルカレクス・ドラグレクス』。
リフレクションスケイルが宙に浮き、放たれるレーザーが反射して『セラフィム・エイル』を囲う。
周囲にあった『セラフィムビット』を撃ち落としながら、展開されたエネルギーフィールドが、その攻撃を防ぐ。
「……あなたを倒し、此処で、終わらせる!!」
「できるものならば、やってみせるがいいさ! 機竜の姫君! 君の存在事態が、争いを呼び込むものだと知りながら、それでも僕を止めるか!」
激突するプラズマブレイドとドラグキャリバー。
展開されたエネルギーフィールドが鍔迫り合いをしていた『セラフィム・エイル』を捉えようと反転する。
だが、それを即座に『セラフィム・エイル』は躱す。
「遅いッ!」
ドラグキャリバーを切り払い、空へとかち上げられる。
凄まじい技量。
戦闘データの量が圧倒的に違う。百年続いたクロムキャバリアの戦乱。そのデータの集約だけでは説明がつかぬほどの技量。
それが『セラフィム・エイル』を支えている。どれだけ猟兵たちが彼を追い込むのだとしても、それを躱し、なおかつ打撃を与えてくる。
アルカは見ただろう。空中にかちあげられたドラグキャリバーが円を描いていることを。くるり、くるりと、ゆっくりと空中で回転しているように見えるのは、アルカが今、この窮地を前にして脳にある全ての経験から打開策を引き出そうとしているからだ。
「……ッ!!」
アルカは選択する。
痛みを覚悟しなければならないことを知っている。エネルギーフィールドの反転だけでは足りなかった。
ならば、己の装甲を犠牲にしてでも、『セラフィム・エイル』を止めなければならない。
吹き荒れるようにして放たれる熾火が戦場を埋め尽くす。
それはまるで怒りそのものだった。
「消え失せろ、機械竜!」
放たれるプラズマブレイドの一閃。
それを防いだのは、装甲を変形させた竜の顎。いや、竜首型ユニットである『ドラグカプト』。
不意打ちだった。完全なる一撃。いや、四つ首全てを展開した四連撃。
けれど、それすらプラズマブレイドが薙ぎ払う。
「伸びて、ドラグキャリバー……!」
アルカの瞳がユーベルオードに輝く。
空中に回転していたドラグキャリバーの刀身が変形し、膨大なエネルギーを開放する。
エネルギーの剣と化したドラグキャリバーが『アルカレクス・ドラグレクス』の手に握られた瞬間、『セラフィム・エイル』が肉薄している。
プラズマブレイドとエネルギー刃が激突する。
「薙ぎ払いなさい、ドラグキャリバー! この地ごと……私達の敵を!!」
虹剣ドラグキャリバー(ドラグキャリバー・カラドボルグ)の一撃が『セラフィム・エイル』のプラズマブレイドを飲み込み、その半身を切り裂く。
竜の咆哮の如き一撃。
それは『セラフィム・エイル』に与える眠り。いや、終焉を告げるための一撃であった。
「眠りなさい、『セラフィム・エイル』……この、地の底に――!!」
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
むう、また有毒装甲かー…
めんどい!
けど、折角その面を拝めるんだから…後ろからチマチマ殴るのは止めよ
さあ、やり合おうか黒幕
長々と暗躍してくれたんだ、楽しく踊ろうじゃない!
●
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Ex.Code:A.P.D】起動
念の為、体を『オーラ防御』のオーラで覆い有毒装甲対策
首魁なんだ、念には念を入れて過ぎる事は無い
転身したら、近接戦闘を仕掛けよう
胸部の射程からは逃れるように立ち回りながら、雷鳴電撃を込めた『斬撃波』で攻撃
隙を見て取りついて、雷を込めた『なぎ払い』『串刺し』の連続攻撃
極地に至りたいという気持ち、分からなくは無いけど…
やり口が気に食わないかな!
生身単身の超常の人。
それはクロムキャバリアにおいて実しやかに囁かれる噂に過ぎなかった。
都市伝説と言ってもいい。
生身でもってキャバリアを切り倒し、打倒する存在。お伽噺かなにかのような、圧倒的な力は、超常の人と呼ぶに相応しいものであった。
見たものは口を揃えて言う。
あれは生命の埒外たる存在であると。
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、生身単身で体高5m以上はある戦術兵器であるキャバリアやオブリビオンマシンと渡り合ってきた猟兵である。
しかし、地底帝国のオブリビオンマシンが纏う『有毒装甲』は彼女をして面倒臭いと言わせるものであった。
「折角その面拝めるんだから……後からチマチマ殴るのはやめよ――雷龍解放、転身…プラズマ・ドラグーン」
抜き払った模造神器の刀身が蒼く煌めく。
Ex.Code:A.P.D(エクストラコード・アヴァタールプラズマドラグーン)は、煌めく光とともに玲を包み込む。
迸る蒼い雷は、彼女の体を稲妻の龍と融合した姿に変え、展開したオーラが『有毒装甲』より放たれる毒素を遮断する。
「さあ、やりあおうか黒幕」
「――……君か! 僕の描いた絵図に一点の染みを生み出した者!」
半身を猟兵の一撃によって失った『セラフィム・エイル』の胸部から熾火が膨れ上がり、半身を補填するように燃え盛る。
構えたプラズマブレイドが膨れ上がり、膨大な熱量を伴って迫る生身単身の超常たる存在を迎え撃つ。
「長々と暗躍してくれたんだ、楽しく踊ろうじゃない!」
「僕にそのつもりなど! 君が『ツェーン』に何を吹き込んだのかは知らないが! どのような心変わりか、彼女はキャバリアに乗らなくなった! 憎しみの種を育てるための水を枯れ果てさせられたようなものだったよ!」
玲は胸部より放たれる熾火を躱しながら、雷鳴を轟かせながら電撃込めた斬撃波を解き放ち、プラズマブレイドと打ち合う。
「いやー、そんな大層なことを考えていたわけじゃあないんだけどねッ!」
打ち合うプラズマブレイドと雷撃纏う模造神器。
生身単身で『セラフィム・エイル』と打ち合う玲の姿は、あまりにも現実離れしたものであったことだろう。
衝撃波が荒び、砕けた大地をさらに吹き飛ばしていく。
「極地に至りたいという気持ち、わからなくはないけど……」
「誰もがそれを願っているものさ、天頂を見る者! 君の願いと、人の願いは似ているのさ。誰もが願い、そこに至りて、他者を見下ろしたいという欲望! それを僕は『シーヴァスリー』、彼等に示したに過ぎない!」
叩きつけられる斬撃を玲は模造神器を交差させ、受け止める。
迸るエネルギーの奔流が、彼女たちの戦いの苛烈さを知らしめる。
「やり口が気に食わないかな!」
『ツェーン』という少女が玲の姿に何を見たのか。彼女の何気ない言葉が、彼女の道を変えた。
死にゆく運命しか待ち受けていなかった彼女を変えたのは、いつだって、その何気ない一言があればこそだ。
たった一言で運命は変わる。
唯一つの道しか知らなかった少女に示した、何気ない一つの道が運命を分かつ。
「なんでもかんでも自分の思い通りになるっていうのが君に言うところの極地だっていうのなら」
それは玲の求めるものとは異なるのかもしれない。
半身から迸る熾火を躱し、雷の一撃が『セラフィム・エイル』を撃つ。
「僕が求めているのは、世界を渡る力だ! 猟兵! 君たちが当然のように持つそれが! それが極地だとういうのならば、僕がそれを手にする。そのために人に安寧をもたらし、その安寧によって人が滅びるのならば!」
「そういうのはさ、願い下げだっていうんだよ!」
放たれた模造神器の一撃。
それは確かに『セラフィム・エイル』の胸部を切り裂き、その一撃で持って戦う事しか知らなかった少女の運命を確かに切り拓いたことを示して見せたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
てめーにいい事を教えてやる
キャバリアの無い世界なんぞ無数にある
だがなぁ…どの世界でも本当の意味で平和なんぞねーですよ
下らねー無理心中に世界ごと巻き込んでんじゃねーよ
「君は絶望したんだね……君もメルシー達同様に万能ではないんだよ?」
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の能力と無数のビットの能力の把握
UC発動
呼び出すはセラフィム・リッパー?否!
セラフィム・エクシア!そしてエースたるアハト!
言った筈だ
おめーの思い通りにさせねーって
猟兵に全て丸投げとかさせねーよ阿呆
此奴はおめーらの物語だろ?
おめーがこう在れるのはこの一時の戦いだけだろう
なら…やれる事をやれ
台詞はお任せ
【属性攻撃・念動力】
火炎属性をセラフィム・エクシアの武装に付与
念動障壁を己達に展開
エクシア
エンジェルビット発動
【弾幕・空中戦・スナイパー】
飛び回りながらも念動光弾とビット攻撃による連携大乱舞
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣による連続斬撃と斬艦刀による猛攻
切り刻んで武装の強奪
「君達がセラフィム…天使っていうならメルシーは神様だぞ☆」
雷撃の一撃が『セラフィム・エイル』の胴を一撃のもとに切り裂く。
胸部装甲の下から溢れるのは圧倒的な熾火であった。
膨れ上がるエネルギーの奔流が『セラフィム・エイル』の制御を離れ、戦場を舐め尽くすように膨れ上がる。
『セラフィムビット』すらも巻き込み、されど『セラフィム・エイル』は半身を失いながらも未だ立ちふさがる。
猟兵たちは見ただろう。
これが過ちを認めず、懺悔すらせず、希望すら見いださない者の末路であると。
ロボットヘッド『エイル』は己の存在じたいが災厄であることを理解している。
「キャバリアは力だ。力の象徴だ。キャバリアがあるから争いは起こる。人の生命が喪われる。それは当たり前のことだ。だから、それが無くなればいい。キャバリアという戦術兵器を生み出したこの世界を、無くせば、僕は!」
それは妄執めいたものだっただろう。
己の片割れを求めて、世界を渡ることを望む。
世界を渡る力持たぬ者にとって、世界を破壊することによって骸の海に沈み、それを介して他世界へと向かう。
あまりにも単純であったが、確かにうなずけるものであった。
「てめーにいいことを教えてやる。キャバリアのない世界なんぞ無数にある」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は告げる。
キャバリアが力なのは言うまでもない。
そして、力が争いを呼び込むこともまた道理である。
「だがなぁ……どの世界でも本当の意味で平和なんぞねーですよ」
「知ったことか。僕にとって必要なのは平和であることではない。僕の片割れを追いかけることだ。僕だけが幼年期に取り残されている。それが!」
「くだらねー無理心中に世界ごと巻き込んでんじゃねーよ」
カシムはにべにもなく切り捨てる。
『セラフィムビット』が『メルクリウス』に迫る。
圧倒的な速度で、キャバリアを破壊するのに特化した機体が無数に『メルクリウス』を取り囲む。
カシムは知るだろう。
『セラフィム・エイル』の戦闘能力の高さを。
これまで百年続いたクロムキャバリアの戦乱、その全ての戦闘データを集約していながら、それだけでは説明のつかないほどの深い膨大なデータを元に洗練された挙動。
そのどれもが、猟兵を追い込むのに値している。
だからこそ、カシムは無数の『セラフィムビット』を見据え、その瞳を、外典帝竜眼「ブックドミネーター」(トキヲスベシショカノオウ)を輝かせる。
「万物の根源よ…帝竜眼よ…時空を操りし書架の王たる竜の力を今こそ示せ」
その瞳が呼び出すのはオブリビオンマシン。
いや、その名を『セラフィム・リッパー』と呼ぶ。
「今更……!」
「否、こいつぁ、『セラフィム・エクシア』!」
再現されるのはオブリビオンマシン『セラフィム・エクシア』と、その内部に蓄積され、絆によって紡がれた戦いの記憶。
『アハト・スカルモルド』という『エース』。
すでに魂はこの世界から離れている。
生命は回帰しない。
決して戻らない。だからこそ、懸命に生きる。
「この動き……!『アハト』のものか!」
「言ったはずだ、おめーの思い通りにはさせねーって」
猟兵に全てを委ねるということはさせない。いや、もとより、『グリプ5』に集っていた者たちはそう思っていない。
だからこそ、何もしないのではなく、自分たちの力でもって事態を解決しようとしている。
カシムは思うのだ。
此奴は彼等の物語の一部だ。
「――」
咆哮する。『セラフィム・エクシア』が、『アハト・スカルモルド』に託されたものを持って、叫ぶ。
「おめーがこう在れるのはこの一時の戦いだけだろう。なら……やれることをやれ。 『アハト』がお前を駆り、俺達と戦ったように!」
何のために戦ったのか。
何のために傷ついたのか。
その意味を今問うのだ。戦いに意味があるのだとすれば、それは、このときのためにある。
クリスタルビットが展開し、『セラフィムビット』を蹴散らし、さらに『メルクリウス』が走り抜ける。
神速の機神。
『君は絶望したんだね……』
「君は実に神性らしいな。他者の領分にズケズケと踏み込んでくる。その横暴さ、その浅慮が!」
『メルクリウス』と『セラフィム・エクシア』が連携するように『セラフィム・エイル』を挟撃する。
それを受け止める力が未だ残っているということが脅威であった。
斬艦刀の斬撃が『セラフィム・エクシア』のアンダーフレームを切り裂き、『メルクリウス』の鎌剣がプラズマブレイドを叩き落とす。
『君もメルシー達同様に万能ではないんだよ?』
斬撃はいつも切なさを『メルシー』に齎すだろう。
機械の神。
天使の名を冠する戦術兵器が獲得したのは、知性だけではなかったはずだ。膨大な戦闘データより得られるのは、戦いの感情のみ。
しかし、『セラフィム・エイル』はそれ以外を確かに得ていた。
そうでなければ、その機体より発露する熾火は灯されることはない。
多くの人々の感情が膨れ上がり、絆がったことにより得られたもの。その熾火こそが、人の希望足り得るものであったはず。
「行けよ、『セラフィム・エクシア』! おめーがやらなければならねーことだ!」
鎌剣の一撃でもって『セラフィム・エイル』を押し止める。
迫る『セラフィム・エクシア』の斬艦刀が、赤き虚神を切り裂き、そして、最後の『セラフィム』を、『アハト・スカルモルド』の残滓たる『セラフィム・エクシア』がプラズマブレイドの一撃の元に消えていく。
「――癪に障る真似をしてくれる!」
「ああ、そうさ。おめーの思い通りにはさせねー。さあ、最後だ――!」
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『セラフィム・リッパー』
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POW : 断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD : エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:棘ナツ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちの攻撃がついに『セラフィム・エイル』の赤き機体を突き崩す。
苛烈な戦い。
誰も彼もが無事ではいられなかった。
猟兵たちも疲弊していることだろう。掛け値なしの強敵。これまで経験してきたクロムキャバリアにおいて、これほどまでに強大な性能を誇るオブリビオンマシンがあっただろうか。
けれど、それも終わる。
半身を失い、六腕を失い、プラズマブレイドすらも破壊された『セラフィム・エイル』はもはや死に体であった。
だが、残された腕部が天を示す。
それは猟兵たちにとって絶望の光。
「来い、|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》……!」
『エイル』がつぶやいた瞬間、地底帝国『バンブーク第二帝国』の中枢に在りし、先代皇帝が埋没させていた奇妙で複雑な機械で構成された機械設備より巨大な光条が飛来し、『エイル』に照射される。
「サイキックエナジー……元より、この『バンブーク第二帝国』は巨人の国。『古代魔法帝国の継承者』。ならば、あると思わなかったかい? 殲術再生弾がッ!!」
『セラフィム・エイル』の姿が変わっていく。
それは赤い衣を脱ぎ去るように。
青き装甲が顕になり、その姿を晒す。
「『セラフィム・|V《ヴェーダ》』……嘗ては第五世代とも呼ばれた全盛期の力……! 君たちを滅ぼす力だ!」
そして現れるは破壊し尽くしたはずの『セラフィムビット』。
キャバリアを殺し殲すために特化した兵器。
そして、目の前にあるのは猟兵を殺し殲するためだけの存在――。
●絆ぐ
だが、猟兵たちが見たのは絶望の光だけではない。
飛来するのは特殊粒子を纏いながら地底へと飛び込んでくる一騎のキャバリア。
『セラフィム・V』と同じ青い装甲。
いや、違う。
誰かが言っただろう。
「青い『セラフィム・エイル』……!」
『グリプ5』より飛来したのは、青い『セラフィム・エイル』――『熾盛・改』。
『フュンフ・ラーズグリーズ』と『クリノ・クロア』が二人で駆る機体。
それが『セラフィムビット』を瞬く間に破壊し、さらに全ての『セラフィムビット』を引きつけるように戦場を駆け抜ける。
「間に合った……! この機体たちは僕らが惹きつけます!」
「行ける……このエネルギーゲインなら!」
「でも、安心しちゃ駄目だよ。こっちで私がモニタリングしてるから! って、『クロア』、変な処さわらないでってば!」
「ごめん!」
「いいから、そういうの後にしてくれないかな!」
『熾盛・改』のコクピットは複座型。『セラフィム・プロト』のものを流用した機体が、今、猟兵達を助ける熾火となって戦場を駆け抜ける。
『ツェーン』が規格外の炉である『ヴァルキリー』を制御し、『クリノ・クロア』が複雑化した六腕を制御し、武装を管轄する。
そして、『フュンフ・ラーズグリーズ』がこれを操縦し、『セラフィムビット』を圧倒するのだ。
「『■■■』……やはり、君が僕の障害となるか」
『セラフィム・V』が猟兵たちに向き直る。
これまで以上に強大な力。
有毒装甲はもはやなく。『セラフィムビット』は『熾盛・改』を抑えるのに精一杯。
だが、それ以上に強化された戦闘能力は『セラフィム・エイル』を超えている。それでも猟兵たちは躊躇わないだろう。
「さあ、此処が終焉だ。この世界を絶望に、骸の海に沈める――!」
村崎・ゆかり
『フュンフ』、ビットの排除ありがとう! あたし達は黒幕を潰す。
相手がオブリビオンマシンでなくあくまでロボットヘッドなら、効くはずよね。
「全力魔法」虚無の「属性攻撃」「範囲攻撃」「精神攻撃」「レーザー射撃」「弾幕」「仙術」「道術」で落魂陣。
これが最後、落魂陣の全力全開よ。
魂魄吹き飛ばす光線の集中砲火を頭部に。心なきマシンじゃないから効果があるはず。
断罪の剣は『鎧装豪腕』に横っ腹を「怪力」で殴らせて狙いを逸らせる。
セラフィムだかケルビムだか知らないけど、もはや逆転の目はない悪あがき。
あなたの持つ自我を消し飛ばしてあげるわ。骸の海に沈むことすら許さない!
さて、さっきの殲術なんとかは何だったのかしら?
「殲術……――?」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)にとって、それは聞き慣れぬ言葉であった。
|『殲術再生弾』《キリングリヴァイヴァー》。
それがあの奇妙で複雑な機械設備から放たれた光条の名であるというのならば、恐るべき力であった。
それまで追い込み、破壊した『セラフィム・エイル』の機体が瞬く間に再生され、更に強化された『セラフィム・V』としての姿へと変わる。
今はまだ理解できぬことであったかもしれない。
けれど、ゆかりは自身がやるべきことを理解する。
地底に飛び込んできた青いキャバリア。
『熾盛・改』が再生された『セラフィムビット』を引きつけてくれている。この機を逃す事があれば、猟兵たちの勝利はないだろう。
「『フュンフ』、ビットの排除ありがとう!」
「ええ、ですが!」
「こっちも長くは保たせられないから! 炉の出力が全然安定しないの!」
『ツェーン』の言葉にゆかりはうなずく。
どちらにせよ、悠長にことを構えるつもりはない。
「あたしたちは黒幕を潰す」
「頼みます!」
短いやり取りであった。
戦いの最中でのやり取りなんてこんなものだ。けれど、ゆかりは頼もしさを感じていただろう。
『セラフィムビット』を一手に引き受ける力があることにではない。
彼等が、彼等自身の手によって平和を掴み取ろうとしていることにゆかりは喜ぶだろう。
「君たちを滅ぼすのに容赦などいらない。生身であろうが!」
振るわれる『セラフィム・V』の無敵斬艦刀の一撃がゆかりを襲う。
けれど、その斬撃に集中されるのは、彼女のユーベルコードの輝き。いや、それよりもはやく、その斬撃齎す無敵斬艦刀の刀身を横合いから叩きつけるのは、巨大な腕――『鎧装豪腕』。
ゆかりの式神が『セラフィム・V』の一撃をゆかりからそらす。
けれど、それは一度しか通用しないだろう。
二度目はない。
だからこそ、彼女は自身の力を込めたユーベルコードを発露させる。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。心身支える三魂七魄の悉くを解きほぐし、天上天下へと帰らしめん。疾!」
もしも、『エイル』がただの機械の塊であり、兵器であったのならば、彼女のユーベルコードは意味を成さなかっただろう。
けれど、『エイル』は膨大な戦いの記憶と、感情、そして何より熾火が絆いだ人の思いを知っている。
ならば、それは鋼鉄の塊などではなく。
「あなたにも魂というものがあるのでしょう! 心なきマシンじゃない、だから、あなたは片割れを追い求める!」
「人の心など!」
満ちるのは魂魄を吹き飛ばす呪詛を込めた呪符。
其れより放たれる光線が『セラフィム・V』を穿つ。機械ではない。兵器ではない。人の心を受けて成長した魂に近しいものがあるのならば。
その魂だけを攻撃する落魂陣(ラッコンジン)は、『セラフィム・V』を、『エイル』の魂魄をこそ傷つける。
「セラフィムだかケルビムだか知らないけど、もはや逆転の目はない悪あがき。あなたの持つ自我を消し飛ばしてあげるわ」
膨れ上がる光線が『セラフィム・V』を飲み込み、その内部にあるであろう『エイル』の魂魄を焼き切る。
「骸の海を介して、僕は……!」
「骸の海に沈むことすら赦さない――!」
これが戦乱の火種を撒き散らし、徒に戦禍を拡大させたことへの罰。
魂魄なき機械には宿らぬ痛みをもって、ゆかりは『エイル』の魂を穿つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
(味方が来た、ああ、まだ戦える)
『|裂け《壊せ》』
骸の海には、お前が沈め…!
『禍戦機』操縦、RX騎兵刀を手に、【推力移動】敵目掛けて飛び、
RBXS-A雷架から引き出した光子を騎兵刀に伝わせて【属性攻撃】!!
プラズマビームを斬り裂き、肉薄し、刃を交わす。
『|断て!《壊せ!》ディスポーザブル!!』
〔禍戦・恐喜歩 乙〕機体念動力制御に移行
|闘争心《怨念》を奔らせ|限界を突破《凌駕》する!!
光子出力を引き上げ、怪力で強引に押し切りに掛る!
絆がれた、だから、壊そう!次に絆げていく為に!!
『|砕けろ!!《壊せ!!》』
【瞬間思考力】騎兵刀に限界が来たら刀を捨て、
【霊障】を纏った腕で攻撃を見切り【受け流し】回避。
【早業】RBXS-B戦塵髪を伸ばし、敵機を拘束
髪を通した【呪詛】で動きを縛り
【空中機動】勢いを付けた蹴りで落して地に失墜させる!
『|討てぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!《壊せぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!》』
BS-B断叫から、大音量の電磁音波を照射、属性攻撃!
全身に不可を掛け電子回路を破壊する!!
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は絶望の光など見てはいなかった。
彼女の瞳に合ったのは希望を絆ぐ光。
人の心が見せる熾火が絆ぐのは、いつだって想いがあればこそ。
己はただ壊すだけの狂える悪霊である。
自覚なき悪霊が齎すのは再生ではない。破壊のみ。破壊の申し子と呼ばれた虚の如き器。
されど、彼女は言ったのだ。
『壊して絆ぐ』
それこそが彼女の戦う意味。
味方が来た。あの青いキャバリアの姿形は己の敵と同じ形をしていた。けれど、はっきりとわかる。
あれは滅ぼすべき光ではないと。
『|裂け《壊せ》』
騎兵刀を手にした『ディスポーザブル』が戦場を飛ぶ。いや、駆け抜ける。跳ねるようにして『禍戦機』が疾走る。
鋭利手甲から流れる光子が騎兵刀にまとわりつき、『セラフィム・V』へと一直線に迫る。
それはあまりにも愚直な突進であった。
「一つ覚えのように! 破壊の申し子! 君は此処で滅びろ!!」
光の翼が集約し、プラズマビームの一撃がこれまでの比ではない出力で持って地底に隆起した大地を尽く吹き飛ばしながら『ディスポーザブル』へと迫る。
だが、騎兵刀が振るわれる。
無意味な挙動であったように思えただろう。
けれお、小枝子には見えている。どうして己が騎兵刀を振るったのかを彼女は正しく理解していた。
「|断て!《壊せ!》、ディスポーザブル!!」
その叫びとともにプラズマビームの光条を光子纏う刃が切り裂く。
肉薄する『ディスポーザブル』と『セラフィム・V』が鍔迫り合い、凄まじい力の奔流が周囲を破壊していく。
だが、それでも足りない。
超克の道に踏み込んだとしても、まだ『ディスポーザブル』の性能が『セラフィム・V』を凌駕することはなかった。
「無駄だ! 君たちの使うところのキャバリアは、未だ未熟な戦術兵器! 星の海を征く力に及ぶことなど!」
振るわれる斬艦刀の一撃が騎兵刀を叩き切る。
――いや、叩き折ることなどできない。
光子が騎兵刀に纏い、折れた騎兵刀さえもつなぎとめている。
「――何……!?」
「性能は限界。限界は|超えて《壊して》いくもの……ならば!!!」
咆哮が迸る。
『ディスポーザブル』の単眼がユーベルコードに煌めき、その力を発露する。
闘争心が全てを凌駕していく。
へし折られた騎兵刀すらもつなぎとめる強靭なる念動力。
禍戦・恐喜歩 乙(デッドオーバー・アドバンス)。
その凄まじきユーベルコードは、ゼロ距離で放たれたプラズマビームの光条すら躱し、瞬時に『セラフィム・V』の視界から消える。
「絆がれた、だから、壊そう! 次に絆げていく為に!!」
『|砕けろ!!《壊せ!!》』と叫ぶ声が内側から闘争心と共に発露する。
叩きつけた念動力によって強引につなぎとめた騎兵刀がついに折れ、空中を回転しながら舞う。
だが、小枝子は躊躇わなかった。
騎兵刀を投げ捨て、その巨腕でもって『セラフィム・V』に叩きつける。
「……破壊の申し子!!」
霊物質で構成された『ディスポーザブル』の戦髪が『セラフィム・V』の四肢を捉え、引き寄せる。
呪詛が満ちて、その機体の動きを封じ、さらに打ち込まれるプラズマビームの一撃を受けてなお、小枝子は止まらなかった。
吹き飛ぶ装甲。
溶解するフレーム。
だが、それでも止まらない。
「直撃のはずだぞ……!? 何故、君は止まらない!?」
『|討てぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!《壊せぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!》』
ただその叫びに小枝子は従うだけであった。
プラズマビームの直撃を受けた胸部装甲が弾け飛び、その内部より発露するのは、謎の発光体であった。
それは怨念の塊。
プラズマビームの直撃を受けてなお、『ディスポーザブル』が沈まなかったのは、この発光体があったからだ。
それが放つ電磁音波が、プラズマビームの光条を相殺し、今もなお吹きすさぶ嵐のように渦巻いているのだ。
「骸の海には、お前が沈め……!」
その咆哮が世界を揺るがすほどの一撃となって『セラフィム・V』を吹き飛ばす。
破壊の申し子は此処に在りて、その迸る力を示す。
いつだって、彼女を突き動かすのは破壊衝動。怨念が身を包むのだとしても、悲劇を齎すオブリビオンを破壊することだけが、彼女の行動理念。
敵は破壊する。
「お前は自分のことを破壊の申し子だと言ったな……」
「――言ったさ、君は破壊しかできない。破壊の中でしか生きることを赦されない存在だ!」
「だから戦うのであります!!」
放つ音響電磁波が『セラフィム・V』を大地に叩きつけ、その機体を押しつぶす。
彼女は破壊を齎す。
されど、それは『今』を壊すのではなく。
『今』を蝕む『過去』のみ。
怨念うずまきながらも、彼女は己が壊すものを違えぬ。それが己が破壊の申し子でもなく、兵士であるという証明であると、小枝子は叫ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『やるしかねぇよな…』
片腕で電磁機関砲の【制圧射撃】を叩き込みつつ、機体を天龍に収容し、接続!
『動力接続…未来を切り開く一撃とする!あとはたくすぜ!』
出力の【リミッター解除】をし、機体と艦の周りに【オーラ防御】でバリアを張るとエネルギーをチャージしていくぜ!
艦砲射撃とミサイルで時間を稼ぎ、ユーベルコード【艦首超重力砲『竜王の咆哮』】を発射するぜ!
『俺は、俺たちは平和を与えるんじゃない!誰もがそれを掴み取れる道を、切り開くものだ!てめえがどれほど否定しようとも、繋いだ絆は嘘をつかないんでな!』
魂を載せて叫んでやるぜ!
機体はユーベルコード使用したらオーバーヒートで動けばしないが、みんなが勝つために叩き込むぜ
アドリブ、連携可
叩きつけられる青いオブリビオンマシン『セラフィム・V』。
それは赤い衣を脱ぎ去るように地底帝国の本拠地、その最奥に埋没していた機械設備であった。
奇妙で複雑な機械が折り重なったかのようにな形。
そこから照射された巨大な光条が『セラフィム・エイル』を穿ち、損壊していた部分を再生、強化させていた。
凄まじき力。
『セラフィム・エイル』がこれまで猟兵たちが戦ってきたオブリビオンマシンの性能の極地であるというのならば、光条――『殲術再生弾』を受けた『セラフィム・V」はキャバリアの枠組みを超えた兵器であった。
しかし、それでもなお超克の道に至る猟兵たちは果敢にこれを打ちのめす。
咆哮が轟き、『セラフィム・V』は大地に叩きつけられながらも、無敵斬艦刀を突き立て立ち上がる。
「無駄だ。滅びは確定している。生まれたのならば死するように! それは定められたものに過ぎない! 世界もまた生まれたのならば、骸の海に沈む。それが理というものだ!」
『セラフィム・V』のアイセンサーが煌めく。
「やるしかねぇよな……」
その様子をみやり、ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は片腕を欠損した自身のキャバリア『コスモスター・インパルス』を操縦し『セラフィム・V』へと迫る。
電磁機関砲の射撃が『セラフィム・V』を襲うが、それらを無敵斬艦刀で切り払いながら猛追する。
「そんな機体状況で……!」
「邪魔をするな!」
ガイが『コスモスター・インパルス』のブレードを叩きつけ、さらに脚部を犠牲にするように蹴り飛ばす。
ひしゃげるフレーム。
飛び散る破片。さらに打ち込まれる電磁機関砲の弾丸を目くらましに、ガイは己の機体を飛び上がらせる。
そこにあったのは支援戦艦『天龍』。
「――戦艦……! 此処まで近づけさせてしまっていたか……!『セラフィムビット』さえ、あればこのようなことには!」
『セラフィムビット』は『熾盛・改』が抑えている。
有毒装甲も失い、『セラフィムビット』も抑えられた今、強大な個として、戦術兵器の枠組みを超えた力を発露させるしか『セラフィム・V』が猟兵達を打倒する術はない。
だが、ガイは『天龍』に機体を収める。
それはともすれば、撤退するかのような動きに見えただろう。
けれど、ガイはそれをしない。
「動力接続……未来を切り開く一撃とする!」
後は託す。
ガイは機体のリミッターを解除する。機体の状況、破損を考えれば、それは危険な賭けであったことだろう。
炉を直結し、動力を全て『天龍』に回す。
だが、それは機体を爆散させる危険性すらあっただろう。だが、それでもガイは躊躇わなかった。
彼の瞳に合ったのは超克の輝き。
成さなければならないことを定めた者の瞳であった。
「僕の与えた平穏を、安寧を、平和を。それを偽りだという君たちは、それ以上のことを齎すことができるといえるのか!」
迫る『セラフィム・V』が無敵斬艦刀を振るう。
その名の通り、断罪の剣は、戦艦を斬るために作られた刀。振るわれる一撃はオーラと激突し、明滅する。
だが、そのオーラすらも切り裂く一撃が『天龍』に、ガイに迫る。
「俺は、俺達は平和を与えるんじゃない! 誰もがそれを掴み取れる道を、切り開くものだ!」
ガイの瞳がユーベルコードに輝く。
『天龍』の艦首が変形し、巨大重力砲の砲口が露出する。
「てめえがどれほど否定しようとも、繋いだ絆は嘘を吐かないんでな!」
魂を乗せた叫び。
それは極大の光となって『天龍』の砲口を焼き切りながら放たれる一撃。
艦首超重力砲『竜王の咆哮』(カンシュチョウジュウリョクホウ・ドラゴニックロア)は、『セラフィム・V』を飲み込む。
その一撃は確かに『セラフィム・V』の装甲を融解させるだろう。
吹き荒れるエネルギーの奔流。
あまりの威力に『天龍』すらも大地に失墜し、そのまま機動を止める。炉が限界を超えて焼付き、オーバーヒート状態へと陥ってしまう。
もう動けないだろう。
けれど、ガイはそれでいいと思ったのだ。
これは自分ひとりで戦う者の勝利への道ではない。
他の猟兵達に絆ぐための一撃なのだ。ならばこそ、彼は言う。
「この程度……みんなが勝つためだ。なら、俺は!」
これでいいのだと彼は息を吐き出す。
ブラックアウトしたモニターの向こうではまだ戦いが続くだろう。
けれど、ガイは確信している。
誰もが平和を求め、誰もがもがくのが戦乱の世界クロムキャバリアである。けれど、絆がれたものがある。
誰か一人が平和を掴むのではない。
皆の手を絆ぎ、そして共に歩むのが平和というものだ。明日を望む想いが、いつかの日の熾火を生んだように。
ガイもまたその熾火の一部となる思いを持って『セラフィム・V』を打倒するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
流石にワルルンガーΣをこれ以上壊されるのもアレだ、この我自ら相手してやるぞ!
……ゆくぞ、【大罪の百胎堕天竜魔王ver.1】!
奴と同じ強化を得た上で奴の悪行に応じて追加で怒りの自己強化!あと奴の飛び道具は全て竜の首で捕食してしまうぞ!当然そのビットもだ!……うえぇまずい
守りは魔王オーラ、属性ブレスの攻撃、それと……
何一つ救えなかった、等と言うのは現実にはそれを為せなかった救世主願望持ちぐらいだぞ
さてはそのせいで自分はその器ではないのでは、という不安でも抱えたか?
なら
黒幕気取りでどんな事態も想定内だという顔をするのも、
やたらこれが猟兵を滅ぼす力だの自分の方が上と主張するのも、
己の手では救えぬ世界を「どうせ滅びる」と諦めるのも
己を置いて消えてしまった片割れを探し求めるのも、
結局はその不安から目を背ける為の手段でしかない事になる、か?
……どうした機械人形、図星かー?
……と、言いつつしれっと冷静さを奪う挑発効果ブレスと、いつもの幻覚ブレスも混ぜこんでおくぞ!
煌めくはユーベルコードの一撃。
極大なる砲撃の一撃は『セラフィム・V』の機体を吹き飛ばす。プラズマブレイドの一撃に寄って片腕を失った機動要塞『ワルルンガーΣ』よりワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)が飛び出す。
「流石に『ワルルンガーΣ』をこれ以上壊されるのもアレだ、この我自ら相手してやるぞ!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
本来彼女の力は分割されている。
ラスボスの魔王たる彼女の力は配下たる将たちに分け与えられている。
三つの力が彼女の体へと戻っていく。
すなわち、『嫉妬』、『憤怒』、『暴食』。
「……少し、本気を出すぞ。第2の将ワルレーン、第3の将ワルコーン、第6の将ワルべロス、貴様らの力、しばし我へと還すがよい……ゆくぞ、これこそが大罪の百胎堕天竜魔王ver.1(ハイパーワルルーナソノイチ)!」
嫉妬の力は、『セラフィム・V』のが『殲術再生弾』によって得た強化と同様に力を得る。
「『殲術再生弾』の力を……! ふざけたことを!」
『セラフィム・V』が凄まじい勢いで迫る。天使の翼より放たれるクリスタルビットが空を舞う。
だが、ワルルーナは自身の下半身から伸びる竜の首をもたげ、放たれたクリスタルビットを『喰って』しまう。
「――!?」
それは『セラフィム・V』にとって驚愕せしめるところであっただろう。撃ち落とすでもなく、叩き伏せるでもなく、クリスタルビットを直接喰らう存在など、これまでいなかったのだ。
だが、生命の埒外たる猟兵には魔王すら存在する。
ワルルーナが、それである。例外は何処にでも存在するのだ。
「……うえぇまずい」
ぺっぺ、とワルルーナは後味の悪さに辟易しながら下半身の竜がブレスが吹き荒れる。
猛烈な炎と、強化によって得られた力はワルルーナをさらなる次元へと高める。魔王のオーラが『セラフィム・V』の斬撃を受け止める。
迸るエネルギーの奔流。
それが互いの力の強大さを物語るだろう。
「何一つ救えなかった、などというのは、現実にはそれを為せなかった救世主願望持ちぐらいだぞ。さらにそのせいで自分はその器ではないのでは、という不安でも抱えたか?」
ワルルーナは無敵斬艦刀の一撃を魔王オーラで受け止めながらささやく。
目の前の『セラフィム・V』、そのロボットヘッドである『エイル』が纏う雰囲気がひきつるのをワルルーナは感じただろう。
怒りを感じているのかもしれない。
だが、ワルルーナも同様だ。
これまで『エイル』がしてきたことは、彼女にとって憤怒に値するものであったことだろう。
『他者の欲望を満たす事』をこそ、彼女の欲望。
だが、『エイル』がしてきたのは、他者の欲望を振り回すことだけだ。満たすことなど二の次であったのだ。
自分のためだけに他者を弄ぶ。
それはワルルーナに許しがたきものであったかもしれない。
「なら、黒幕気取りでどんな事態も想定内だという顔をするのも」
「黙れ!!」
クリスタルビットが乱舞し、ワルルーナを襲う。だが、ワルルーナの下半身の竜が、全て捕食していく。
オーバーロードに至った魔王が見せるのは、圧倒的な力。
対等に戦える。
いや、対等以上にはなれない。彼女の持つ嫉妬の力は同じ強化を得る力だ。ならば、本来は互いの力が拮抗するのみ。
されど、それを凌駕するのはワルルーナの憤怒。
「やたらこれが猟兵を滅ぼす力だの自分のほうが上と主張するのも」
「実際にそうだろう! 僕の力は、君たちを滅ぼす! 滅ぼし、滅ぼされるだけの間柄でしかないのだから!」
迫る力。
「己の手では救えぬ世界を『どうせ滅びる』と諦めるのも、己を置いて消えてしまった片割れを探し求めるのも」
ワルルーナは笑う。
穏やかな笑みですらあっただろう。戦いに際してワルルーナは笑ったのだ。
「結局はその不安から目を背ける為の手段でしかない事になる、か?」
「――……ッ!!」
「……どうした機械人形、図星かー?」
正にそのとおりであったことだろう。
『エイル』はロボットヘッドである。『熾盛』と呼ばれたキャバリア。そのオリジナルの頭部。
キャバリアの片割れとはすなわち、それを操縦するパイロットである『フュンフ・エイル』。
その彼がもう此処には居ないという事実。
彼が救えなかったと、何一つ救うことができなかったという悔恨。もしも、人の心が善悪に分別できるのならば、『エイル』というロボットヘッドのオブリビオンマシンは。
「己だけが悔恨や怒りという負の感情だけを持つとでも思ったのだろう。置いていかれ、自分には何も残らぬと思ったのだろう! だがな、貴様が未だ幼年期にあるのは!」
ワルルーナの拳が、竜が放つブレスが。
超克の輝きを解き放ち、満ちる。
「自らの過ちを認められず、懺悔を必要とせず、希望を見出すことをできなかったからだ!」
その拳が『セラフィム・V』に叩きつけられ、吹き飛ばす。
どんな生命にも幼年期の終わりが来る。少年期に至りて己の過ちに気がつく。懺悔を得て、深めていく。
だが、希望を見出すことによって懊悩から抜け出し、生きることができる。
「ならば、貴様がすべきことは、過ちを認めることよ!」
ワルルーナはラスボスの魔王としての格でもって『セラフィム・V』を凌駕する――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
あれは、あのキャバリア…あの動き。それにあの特殊粒子は…。
ああ、そうだよね。やっぱりキャバリアは戦うだけじゃない。
ちゃんと…紡いでいる。
色んなものを…。だよね。シビリアンジョーッ!!
『エイル』…望み通り…決着をつけてあげるッ
全力で行くよ。シビリアンジョー。
無敵斬艦刀…どんなに威力がってもッ
当たらなければどうということは無い!!
『瞬間思考力』で『見切り』
アストルティア『威嚇射撃』で間合いを開けつつ、『操縦』テクニックで回避。
『カウンター』にイニティウムの『重量攻撃』で逆に『切断』してあげる。
そして、ダークマンティスの『エネルギー充填』開始。
充填率120%以上の『限界突破』を確認。
『推力移動』と『ダッシュ』で一気に間合いを詰めて敵機に抱き着いたら背面キャノンのダークマンティスを『零距離射撃』で直接『レーザー射撃』を叩きこむ。
これがオブビリオンマシンと猟兵の合わせ技だッ
なんて、ちょっと無茶させ過ぎたかな…って…
≪SAYONARA YURI≫
コックピットの強制排出ッ⁉
シビリアン…ジョー。何をッ
絶望が輝くのならば、希望もまた等しく輝くものである。
特殊粒子はかつてユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)が駆った簡易型『レーギャルン』に残されていたものだった。
それがこうして『グリプ5』から『バンブーク第二帝国』の地底へと最高速度で飛翔し飛来することを可能としていた。
本来ならば在りえぬショートカット。
陸路では届かぬはずだった希望。
「あれは、あのキャバリア……あの動き」
ユーリーは絶望の中で希望を見た。
暗闇の中にも光はある。
あの灯火は、煌々と輝いている。ならば、ユーリーは気がつくのだ。
「ああ、そうだよね。やっぱりキャバリアは戦うだけじゃない。ちゃんと……紡いでいる」
そう、多くのものを絆いで、連綿と紡いでいく。
ただ破壊するだけではない。ユーリーが大切に思うものをキャバリアは守る事ができる。
『シビリアンジョー』の言葉が伝わるようであった。
唯一だけではないのだ。
「色んなものを……だよね。『シビリアンジョー』ッ!!」
「それは錯覚だ。何故気が付かない。正義などいうものに踊らされてッ!」
『セラフィム・V』が迫る。
どれだけ猟兵たちに叩きのめされてもなお、機体を結晶で多い再生してくる。あれもまた『フュンフ・ラーズグリーズ』が、『アハト・スカルモルド』がキャバリアの可能性として広げたものだ。
無敵斬艦刀の一閃が『シビリアンジョー』を襲う。
けれど、ユーリーは自身の力で『シビリアンジョー』を助ける。操作技術は『エース』そのもの。
確かに無敵斬艦刀の一閃は鋭く速い。
「けど! 当たらなければどうということはない!!」
瞬間思考が冴え渡る。見切る。手にしたアサルトライフルを斉射し、斬艦刀の斬撃の機動を制限する。
人の形をしているのならば、キャバリアの形をしているのならば、ユーリーはそれを読み切る。斬艦刀の軌跡をユーリーは捉え、アサルトライフルの銃身で受けて、流す。
「――ッ、受け流すか! だが!」
「『エイル』……望み通り……決着をつけてあげるッ」
砕けていく銃身。
けれど、即座に彼女はアサルトライフルを棄てる。代わりに手にしたのはキャバリアソード。一瞬でスイッチした攻防。
それはカウンターの一閃であった。
「何故だ。何故君は、そちらに居る。君はこちら側のはずだ。オブリビオンマシンだというのならっ! その歪みはッ!!」
『シビリアンジョー』のはなった斬撃の一撃が『セラフィム・V」の腕部を切り裂く。
けれど、即座に再生されてしまうだろう。
これまで猟兵たちの与えてきた打撃の全てを再生している敵だ。けれど、消耗はさせている。
何一つ無駄なことなどない。
それを示すようにユーリーは、一気に『シビリアンジョー』と共に『セラフィム・V』に組み付く。
これまで戦っていたのは、攻勢のための準備だった。
長大な荷電粒子砲にエネルギーを充填させていたのだ。
「充填率120%! 限界を超えてッ、『シビリアンジョー』ッ!」
咆哮する『シビリアンジョー』の炉。
その唸りは凄まじいものであったことだろう。組み付く『シビリアンジョー』を引き剥がそうと『セラフィム・V』がもがく。
けれど、引きはなせるものではない。
「何を……!」
「零距離ならッ! これがオブリビオンマシンと猟兵の合わせ技だッ」
放たれる荷電粒子砲の一撃が『セラフィム・V』を貫く。
地底にエネルギーの奔流が吹き荒れ、凄まじい爆風が周囲を包みこもうとしていた。閃光がコクピットを包み込む。
確かにユーリーの行動は『セラフィム・V』に甚大なダメージを与えるだろう。
「なんて、ちょっと無茶させ過ぎたかな……」
だが、ユーリーはモニターに浮かぶメッセージをみやり、目の色を変える。
《SAYONARA YURI》
煌めくユーベルコードを彼女は見ただろう。
コクピットの中がアラートで埋め尽くされていく。『シビリアンジョー』は『セラフィム・V』に組み付いたままだ。
だというのに、コクピットブロックのロックが外れ、オーバーフレームとアンダーフレームを残して強制排出される。
「コクピットの強制排出機構が動いているッ!? シビリアン……ジョー。何をッ!」
「僕諸共……! やめろ! それが何を意味するのかわかっているのか、君は! 人のために、『今』の為に自分を犠牲にするなど、そんなことは、オブリビオンマシンのすることじゃあないッ!!」
だが、止まらない。
爆風の中、ユーリーを乗せたコクピットブロックだけが大地に落ちる。
ユーリーはコクピットブロックから這い出し、見るだろう。爆心の中心にあるのは『セラフィム・V』だけだ。
唯一無二の、『エース』の、いや、『正義の』オブリビオンマシンは、そこにはない。
別れはいつだって突然に訪れる。
かけがえのないパートナー。確かにユーリーにとって、そうだったのだ。自分を守るために。破壊だけではなく。
ただ、それだけのために自身を擲つ。
『シビリアンジョー』とは、そういう彼女の愛機だったのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさん(f33899)と】
そうでしたか。ご本人さまでしたか。
……やべーどころか、たいーほ確定なセリフが聞こえた気がしましたけど、
いまはそこは飲み込むんでおくのが大人の勇者ですよね。
でも。
『ふざけた戦い方をする』のほうは、捨て置けないです。
みんな真面目に戦ってたんです。それでアレなんですよ!
しかも『毎度のことだが』ってことは、 昔からそう思ってたってことですね?
って、あ、あれ?
ステラさんがエイルさんにちゃんとしたこと言ってる!
しかも、飛びつきに行かない!?
痛ぁ!?
それ、けっこう痛いんですよぅ……(涙目
とはいえ!
鉄板に戻すための戦いなら、喜んで!
『エイル』さんと『鉄板V』が戻ってくるなら、
また焼き肉パーティできますからね!
ステラさんが攻撃をしているあいだに【光の音叉】を取り出し、
【世界調律】を発動させますね。
たしか一度見られていたとは思いますけど、それでも!
一度見たくらいで破られるなら、勇者の必殺技とはいえません!
「|『エイル』さん《あなた》を正しき姿に! それも光の勇者の役目です!」
ステラ・タタリクス
【ルクス様(f32689)と】
※人型に戻りました
ちっ、私としたことが!
ショタなエイル様を舐め回したい欲望で
大事な情報を見落とすとは
誰がやべーメイドですか
駄勇者?聞こえてますよ?
あなた様なら私たちの攻撃を知っていて当然ですね
共に戦ったあなたなら
青い機体、フュンフ・『エイル』の片割れ
セラフィム・|V《ヴェーダ》……いえ、セラフィム|V《ヴィー》様!
…駄勇者?ツッコむところはそこですか?
こほん
どこまでも実直に、助けを求める声を無視できない在り方で
ヴィー様が|未だ幼年期《人を助ける戦い》から抜け出せないでいるというのなら
止めるのがエイル様のメイドたる私の役目
というわけでルクス様
私のシリアスを信じられない目で見ていないで(スリッパですぱーん
いきますよ!
あの方を『鉄板V』にまで戻す戦いです!
『アンゲールス・アラース』を使って
空中戦を仕掛けつつ
【テールム・アルカ】起動!
ハイペリオンランチャーを召喚
よくお見せしていた私のお気に入り
ヴィー様に向けるのは初めてですね?
ルクス様と共にこれで止めてみせます!
空の雲海を絆ぐは熾火。
人の思いを増幅させる器。人の思いを絆ぐ手。
それが見せた篝火の如き青い熾火を知る者たちがいる。いくつもの人々の想いが重なり、そうして見せた奇跡があった。
光は多面。
ならば、そこにある輝きに何を見るのかもまた十色。
「そうでしたか」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、熾火をともしながら、猟兵の駆るオブリビオンマシンが仕掛けた自爆攻撃のごとき一撃の爆心地に立つ青い『セラフィム・V』を見やる。
ところどころ装甲が脱落している。
しかし、その機体を覆っていく結晶。それが砕けて散った時、そこにあったのは十全んたる『セラフィム・V』の姿であった。
「ちっ、私としたことが! ショタな『エイル』様を舐め回したい欲望で大事な情報を見落とすとは」
「やべーどころか、たいーほ確定なセリフが聞こえた気が」
したけど、ルクスは飲み込んだ。
そうするのが大人の勇者たる務めであると思ったからだ。
「誰がやべーメイドですか。駄勇者? 聞こえて居ますよ?」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はジトッとした目で人型になり、ルクスと共に立つ。
「ふざけたことばかりするのは、いつだって君たちだった。その破天荒さが眩しいと思ったことは在るけれど……しかし、今は関係ない。君たちが猟兵であり、僕がオブリビオンマシンであるというのなら!」
クリスタルビットが乱舞する。
その数は膨大。あっという間に全天を覆っていく。『殲術再生弾』による強化か、これまでとは比にならぬ力。
例え、相手が生身の猟兵であろうと、そして『セラフィム・V』が知る者たちであっても関係はない。
無敵斬艦刀の衝撃波は、それだけでルクスとステラを吹き飛ばす。
「『ふざけた戦い方をする』っていうのは、捨て置けないです。みんな真面目に戦ってたんです。それでアレなんですよ!」
ルクスは巨大音叉を構えながら叫ぶ。
「あなた様なら私達の攻撃を知っていて当然ですね。共に戦ったあなたなら」
だが、ルクスの横でステラがつぶやく。
その真面目な雰囲気に、ルクスは、あれ!? と目をむく。
いつもの知っているメイドのステラはいなかった。いや、メイドのステラっていうのはなんか語弊があるなって思いながらも、真面目な雰囲気に、えぇ……と若干引いているところが、なんとも彼女らしい。
「青い機体、フュンフ・『エイル』の片割れ。セラフィム・|V《ヴェーダ》……いえ、セラフィム|V《ヴィー》 様!」
何故、とは問うまい。
ステラにとって、それはわからなくもないことであったからだ。
「今更だよ。その名前にもう意味はない。分かたれたものは元には戻らない。時が逆巻くことがないようにね!」
振るわれる斬撃が凄まじい。
その悲哀。憎悪。その怒り。過ちを認めず、懺悔せず、希望を見いだせぬ者。
それをステラは受け止める。
「……それはそうと、駄勇者? 聞こえていますからね」
「ステラさんのツッコミ、結構痛いんですよぅ……とは言え!」
ルクスは巨大音叉の輝きと共に瞳をユーベルコードに輝かせる。世界調律(セカイチョウリツ)とはすなわち、勇者たる彼女の所以。
オブリビオンマシンは歪む。
過去に歪む。だからこそ、彼女は調律する。全てを在るべき形に整えようとするのだ。
「どこまでも実直に、助けを求める声を無視できない在り方で『ヴィー』様が|未だ幼年期《人を助ける戦い》から抜け出せないでいるというのなら、止めるのが『エイル』様のメイドたる私の役目」
「ええ、鉄板に戻すための戦いなら、喜んで!」
スパーンとスリッパがルクスの後頭部を叩く。
あまりにもあんまりだというようにステラが涙目になっているが、それでも、彼女は巨大音叉から響く音、そして反響する音と共に、『セラフィム・V』へと衝撃波を放つ。
凄まじい重圧は、それを返す波となって『セラフィム・V』へと帰っていく。
「『エイル』さんと『鉄板V』が戻ってくるなら、また約肉パーティ出来ますからね!」
「いきますよ! あの方を『鉄板V』にまで戻す戦いです!」
それはステラたちにとって、大切な思い出であったのだろう。
決して戻らぬを悲しみ。
されど『今』を見ている。
滲み出した過去が暴威を振るう。クリスタルビットが乱舞し、二人を襲う。
けれど、空の雲海。
あの日の幻影が『セラフィム・V』の目の前に広がる。
テールム・アルカ(テールムアルカ)。ステラの眼前にリサイズされたハイペリオンランチャーが召喚される。
「よく見せていた私のお気に入り。『ヴィー』様に向けるのはじめてですね?」
「だからなんだというんだ! それが! 僕を、僕に、手心があるとでも!?」
「確かに一度見られていたとは思いますけど、それでも! 一度見たくらいで破られるなら、勇者の必殺技とは言えません!」
ハイペリオンランチャーの一撃がクリスタルビットを吹き飛ばしていく。
さらにそこにステラが飛び込む。
ハイペリオンランチャーの砲撃は、さらに至近距離で放たれる。爆風が吹き荒れる。無敵斬艦刀の一閃が巨大化されたハイペリオンランチャーの砲身を切り裂く。
「勇者などッ! 僕は、この世界を骸の海に沈める! この僕をとどめ続ける檻のような世界などッ!」
「そんな事言う子じゃないでしょう、あなた様は!」
「|『エイル』さん《あなた》を正しき姿に! それも光の勇者の役目です!」
構えた巨大音叉と共にルクスがステラの背後から飛び出す。
振るった無敵斬艦刀は間に合わない。
クリスタルビットは全て吹き飛ばされている。輝くは、世界を調律する光。
放つ一撃が『セラフィム・V』へと突き立てられ、その躯体に世界を整える調律の衝撃波を解き放つ。
内部フレームを歪ませながら、『セラフィム・V』が吹き飛ぶ。
幼年期は終わりを告げる。
後悔は懺悔に変わり。
懺悔は希望に変わる。
それがロボットヘッド『エイル』が『セラフィム・エイル』へとへんじた時に見せた三面の意味であるというのならば。
世界調律の響きは、確かにロボットヘッド『エイル』の中にある何かを、砕いた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
見たことある。わたし、あの機体を見たことある!
あれがあの子で、ほんとうにあの機体なら、
長い時間を過ごすうちに、いろいろ忘れちゃったみたいだね。
なら思い出させてあげるよ!
普段ならこんなことできないし、しないけど、
わたしはあの機体をよく知ってるし、データもあるからね、
わたしの全力の【偽装錬金】で『セラフィムV』を作っちゃうよ!
『エイル』さんと『セラフィムV』は、いつも誰かを守るために戦っていたよ。
生きるためにしかたのないこともたくさんあったけど、
それでも、誰かを傷つけるくらいなら、自分たちが傷ついていた。
それがいいことかどうかは解らないけど、
争いをなくすために世界を骸の海に沈める、っていうのは絶対に間違ってる!
作った『セラフィムV』に乗り込んだら、
全デバイスのリソースを操縦サポートにあてるね。
【クリスタルビット】を展開して、サージェさんを援護しながら、
攻撃するときは数にものを言わせた一斉突撃。
あなたのほんとうの想いは『フュンフ』さんが継ぐから、
安心して骸の海で休むといいよ!
サージェ・ライト
【理緒(f06437)さんと】
※引き続きファントムシリカに乗りつつ
おお言われてみれば
あの機体の雰囲気見覚えがありますね
あの時も確かファントムシリカに乗ってセレステに乗って突撃でしたねえ
くっ忍んでいるのに読まれるとは……クノイチ的には不覚です!
とまぁそれはさておき
理緒さんは特に思い入れがある様子
ならば私はその戦いを助けましょう
別に二人でひとり、なんて言うつもりはありませんけどね
ひとりじゃ、生きられないのがヒトなんです
時間を稼ぎます!
【VR忍術】激流の術!
キャバリアサイズで撃ち込めばさすがに無視できないでしょ!
おーさすが理緒さん再現度が高い
このまま援護します
今度は【VR忍術】氷柱乱舞の術!
理緒さんのクリスタルビットに紛れて巨大氷柱で攻撃ですよ!
この世界を平和にする
助けを求める声を無くすことがあなたの戦いなのですね
ならば世界を滅ぼすことが世界を平和にすることにも繋がる
でもそれはあなたとあなたの片割れが望んだ平和ですか?
そんな悲しい想いはここで終わらせましょう
絆ぐだけが想いの連綿ではないのです!
生命が輝く。
その輝きは熾火のように燃え盛る。煌めく。継る。
青い熾火は、『セラフィム・V』の機体の内側から荒ぶ嵐のように。あの日の雲海に在りし、輝き。
「見たこと在る。わたし、あの機体を見たことがある!」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は思わず叫んでいた。
響く調律の音によって砕けたものがある。
けれど、あの青い機体。
鎧のような装甲。そして、何より、あの青い熾火が、彼女の脳裏から離れていなかった。
「あれが、あの子で、ほんとうにあの機体なら」
理緒は思うのだ。
きっとこの百年はロボットヘッド『エイル』にとって孤独の時間だったのだろう。
忘れることもあったのかもしれない。
あの青い熾火が紡いだのがなんであったのかも。
人の想いが、どんなものであったのかも。
「くだらないな。そんな感傷など意味がないと僕は知っているんだ!」
クリスタルビットが膨れ上がるようにして展開していく。
砕けた機体の装甲を覆う結晶。それが砕け散った後に在るのは『セラフィム・V』の十全たる姿であった。
どれだけ打撃を受けてもなお、再生してくる。
それが生命を削るものであると理緒は理解している。
「おお言われてみれば、あの機体の雰囲気見覚えがありますね」
うんうん、と『ファントムシリカ』に乗るサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)はうなずく。
確か、とサージェは思い出す。
あの時もこうして『リオ・セレステ』に乗っての突撃であった。あ、ということは。
「読めているということだ。君たちの叩き方など!」
迫る『セラフィム・V』。
無敵斬艦刀の一閃は速い。サージェは『ファントムシリカ』から抜き払ったビームダガーを交差させて受け止める。
エネルギーを断ち切る無敵斬艦刀の一撃が二人を吹き飛ばす。
「くっ、忍んでいるのに読まれるとは……クノイチ的には不覚です!」
「そういったはずだ! この戦いに意味なんてない。ただ、延命しているだけに過ぎない! もはや、あの日の感傷など忘れ去ったんだよ!」
「なら、思い出せてあげるよ!」
理緒の瞳がユーベルコードに輝く。
「ならば、私はその戦いを助けましょう。別に二人で一人、なんて言うつもりはありませんけどね」
サージェの瞳もまたユーベルコードに輝く。
メモリにコンソールがセットされ、インストールされる。『ファントムシリカ』のアイセンサーが煌めき、吹き荒れるのは、VR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)、激流の術。
キャバリアサイズにまで拡大されたユーベルコードの奔流が『セラフィム・V』に向けられる。
けれど、無敵斬艦刀の一閃がそれを切り裂く。
「あてつけのつもりなら、意味はない!」
「ひとりじゃ、生きられないのが、ヒトなんです」
「偽装錬金(ギソウレンキン)――構造、複写」
理緒の瞳に煌めくユーベルコードが虚空より生み出すのは青き鎧の巨人。体高5m。それはあの日の熾火を示した、雲海の世界にありし存在。
「『エイル』さんと『セラフィムV』は、いつも誰かを守るために戦っていたよ」
理緒は言う。
青い鎧の巨人。その周囲にサージェの放つ氷柱が乱舞し、理緒が『セラフィムV』に乗り込むのを援護する。
複製された青い巨人は、理緒にとって理解できるものであったが、操縦できないものであった。
どうやって操縦していたのかもわからない。
けれど、デバイスが青い巨人の内部に取り付けられ、その動きをトレースする。あの日、あの時、見せた人の思いを増幅させるのが、この機体ならば。
「『セラフィム』――ッ!」
理緒の叫びと共に青い鎧の巨人のアイセンサーが煌めく。青い熾火が広がっていく。
展開されるはクリスタルビット。
『セラフィム・V』の放つクリスタルビットと同数。それが空中で激突し、爆散していく。
「この世界を平和にする」
「そんなことなど、くだらないことだ。ただの願いだ。祈りにも満たぬ、そんな感傷だけで!」
「助けを求める声をなくすことが、あなたの戦いなのですね。ならば、世界を滅ぼすことが世界を平和にすることに繋がる」
サージェの放つ氷柱と共に『ファントムシリカ』が空中を蹴って飛ぶ。
振り払ったフローライトダガーの一閃が無敵斬艦刀と激突する。
「そうだ。世界を滅ぼす。人の叫びはもう聞こえない。聞こえてこないんだ。ならッ、そうすることが!」
「でも、それはあなたとあなたの片割れが望んだ平和ですか?」
それは悲しい想いそのものだとサージェは言う。
クリスタルビットが爆風の中から飛び出す。それは理緒の複写し生み出した『セラフィムV』から放たれたものだった。
やはりと彼女は思う。
彼女が複製した『セラフィムV』には、目の前の『セラフィム・V』ほどの力がない。
何故なら、あちらが全盛期の機体であるからだ。
逆説的に、『セラフィムV』はそうではないということ。失った機能を、『セラフィムV』はあの雲海で別の物で補っていた。
自己保存するための手段であったのかもしれない。
いくつもの欠損がったのだろう。例えば、『炉』。例えば、『コア』。
それがないから、『セラフィムV』は 『セラフィム・V』には届かない。けれど、理緒は自分の中にある想いが膨れ上がっていくのを感じていた。
自分だけではない。
サージェや、この戦場に集ったものたちの想いが膨れ上がっていく。つながっていく。
ならば。
「絆ぐだけが想いの連綿ではないのです!」
サージェが疾走る。疾風のように放たれる一撃が無敵斬艦刀のガードを跳ね上げさせ、クリスタルビットの一撃が『セラフィム・V』へと叩き込まれる。
「あなたの本当の想いは『フュンフ』さんが継ぐから、安心して骸の海で休むといいよ」
理緒は、それが幼年期の終わりであることを知る。
サージェと共に戦ったあの日。見た篝火は確かに希望だった。けれど、希望が絶望に転ずることもあることを知る。
故に、彼女は休んでもいいと言うように『セラフィム・V』、そのロボットヘッド『エイル』に手向けの一撃を見舞うのであった――。
大成功
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メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に騎乗)
…オブリビオンになった弊害なのかな…障害になると自分で言ったフュンフ達を目の当たりにしても…
…彼女らの行動が計画に罅を入れても…猟兵を最大の脅威とするのか…
…【空より降りたる静謐の魔剣】を発動……上空や周囲に氷の魔剣を多数展開…これを発射して攻撃を加えよう…
…更に外れて地面に刺さった剣を引き抜いてリッパーへの攻撃やプラズマビームへの防御に使うよ…
…手に持った氷の魔剣と発射する魔剣の連係攻撃…さらに現影投射術式【ファンタズマゴリア】による撹乱を重ねて斬撃を与えていこう…
…『殲術再生弾』…古代魔法帝国の遺産…ね…各地で『同じ遺産』が残ってるのは偶然か…?
人の願がより合わさり、祈りとなる。
その発露を知るからこそ、ロボットヘッド『エイル』は歪み果てたのかもしれない。己の障害が『フュンフ・ラーズグリーズ』であると理解し、そして、彼等が駆る『熾盛・改』。
彼等の行動を目の当たりにしてもなお、『セラフィム・V』は損壊した部位を金属結晶で覆い、再生する。
これが『殲術再生弾』、古代魔法帝国の遺産であるというのならば、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、クロムキャバリアの地底各地で『同じ遺産』が残っているのは偶然なのかと訝しむ。
「……お前は、彼女らの行動が計画に罅を入れても……猟兵を最大の脅威とするのか……」
「当然だよ。彼女たちの行動は、修正可能だからね。人の可能性など信じるに値しない。百年の時を経ても人は変わらない。変わっていない。どんな世界にあっても、どんな時代にあっても」
『セラフィム・V』より発露した光の翼が羽ばたき、凄まじい光と共にプラズマビームの一閃がメンカルの駆る試作型術式騎兵『ツィルニトラ』へと迫る。
その一撃をメンカルのユーベルコードが阻む。
空より降りたる静謐の魔剣(ステイシス・レイン)が、大地へと突き刺さり凍結させ、さらにそれを引き抜いた『ツィルニトラ』がプラズマビームに剣を振るう。
荒れ狂うようにプラズマビームが大地を破壊し、振るった魔剣もまた砕けていく。だが、彼女のユーベルコードに寄って作られた魔剣は、大地に突き刺さり、五百を超える。
「……それが過ちだと認める気は……」
「ない。僕は、僕の片割れを追うためだけにこの世界を滅ぼす。『平和』などという幻想を追い求める者は、すべからく自身の手で滅びる定めにあるのだから。そんなものに付き合う道理など!」
「……そう」
メンカルは手にした氷の魔剣を握り直し、さらに空を飛翔する魔剣の群れと共に『セラフィム・V』と打ち合う。
剣戟の音が戦場に響き渡る。
現影投射術式『ファンタズマゴリア』によって『ツィルニトラ』や氷の魔剣が投影され、撹乱していく。
膨大な戦闘データを集約した存在である『セラフィム・V』にとって、それは全てが経験していることであった。
類似する事象を呼び出し、それに最適な挙動を取る。
これが星の海を征く機動兵器『セラフィム』の本質であるというように、時間は『セラフィム・V』の味方であることを示す。
「時間の積み重ねは、僕の特権だ。戦えば、戦うほどに。ときが経てば経つほどに! 僕の中には戦闘データが集約されていく。そしてッ!」
傷は金属結晶に寄って覆うことによって再生される。
「……よく喋る。けれど、それも万能ではないことを私達は知っているよ」
そう、金属結晶による再生。
それもまた搭乗者の生命を削るものだった。ならば、今『セラフィム・V』の再生能力を支えているのはなにか。
キャバリアを突き動かすために必要なのはエネルギーインゴット。そして、炉である。
ならば、再生能力は膨大な出力を生み出す炉を擁していたのだとしても、限界があるということだ。
「停滞の雫よ、集え、降れ。汝は氷刃、汝は驟雨。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣」
膨れ上がるメンカルのユーベルコード。
放たれる五百を超える魔剣の飛来は、あらゆる箇所から『セラフィム・V』を狙い、例え外れたとしても地面を凍結させ、さらに打ち込まれた魔剣はそこから機体を凍りつかせていく。
「消耗戦……ッ!」
「……これが猟兵の戦い方……よくにているね。お前の嫌う人間が連綿と紡ぐ歴史と同じだ……」
魔剣の群れと共に『ツィルニトラ』が迫る。
躱しても、大地に突き立てられた魔剣を引き抜きメンカルは斬りかかってくる。どれだけ時間が掛かったとしても構わない。
彼女にとって、猟兵としての戦いは繋ぐ戦いだ。
これまでもそうであったように。これからもそうなのだ。
「……弛まぬこと。繋ぐこと。それが……人の戦いというものだよ……」
放たれた氷の魔剣の斬撃が『セラフィム・V』の装甲を凍てつかせ、無数の魔剣が弾丸のように、その機体を貫く――。
大成功
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アルカ・スィエラ
……まだ、|機体《からだ》は動く、なら……問題ない!
行きましょう、ドラグレクス。私達の敵を、討つために……!!
時間があるとは言えない、最初から全力よ
リアクターのリミッター解除して限界出力、そのエネルギーでドラクティスを活性化させ、同時に余剰エネルギーそのものを「物質化」させる事で体と武装を修復し、再度スケイルを分離させイザとなればぶつけて使い潰すつもりで反射レーザー網を張り迎撃するわ
無敵斬艦刀にはまずドラグキャリバーで武器受け、続けてEフィールドで反発力場をぶつけ、最後にドラグカプト二つで剣に側面から喰い付いての「白刃取り」を狙い、残り二つで機体の腕そのものを狙い食らいつかせ押さえる……!
どのみち修復した装備は長く持たないもの、僅かな時間でもいい…!
至近距離からの【ゲネシス・デストラクティオー】……!
最初から、これだけが狙いよ、エイル!!
例えこの光から逃れようとも無事では済まさないわ
……その終焉を破壊し、その先の未来を創ってみせる!!
凍りついた『セラフィム・V』の装甲。
それを砕くように動くは、その内部にありしオブリビオンマシンとしてのロボットヘッド『エイル』の怒りであったのかもしれない。
己を置いていった片割れに対する怒りか。
それとも百年経とうとも変わらぬ人に対する怒りか。
どちらもが正解であったのかも知れない。彼にとっての怒りとはそういうものであったからだ。
金属結晶が機体を覆い、砕ける。
そこにあったのは十全たる躯体の『セラフィム・V』。
「猟兵を滅ぼし、世界を滅ぼす。僕にとっての最優先すべきことは、たったこれだけだ。だというのに……!」
猟兵達の瞳に輝く超克の光。
オーバーロードを超えてなお、アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は機竜と融合を果たした『アルカレクス・ドラグレクス』と共に立ちふさがる。
「……まだ|機体《からだ》は動く、なら……問題ない!」
機体へのダメージは深刻なものであった。
それほどまでに『セラフィム・エイル』とは強敵であった。金属細胞に寄って再生された装甲や竜の首も心もとない強度。
けれど、それでも彼女は前に進む。
「行きましょう、『ドラグレクス』。私達の敵を、討つために……!」
敵とはなにか。
言うまでもない。オブリビオンマシンだ。
彼女の心に、記憶に残る悲劇の主。それがオブリビオンマシン。己を襲った悲劇は、オブリビオンマシンを放置すれば、必ず他の誰かに襲いかかるだろう。
それがどうしても彼女は許せない。
リアクターのリミッターが解除され、その限界出力を引き出していく。
「させるものか……君たちのような存在が最も恐ろしい。諦め悪く、足掻き続ける者こそ!」
『セラフィム・V』より放たれる無敵斬艦刀の斬撃の一閃が『アルカレクス・ドラグレクス』を切り裂く。
機体が傾ぐ。
けれど、アルカの瞳にあるのはオーバーロードの輝き。
手にしたドラグキャリバーが閃き、更に振るわれた無敵斬艦刀の一撃を受け止める。エネルギーフィールドによる激突が反発しあい、その力の本流を大地に撒き散らし、破壊を齎す。
「押し切らせてもらう!」
だが、それでもなおドラグキャリバーを押し返す無敵斬艦刀。その力は凄まじいというに相応しいものであった。
尋常ならざる力。
しかし、二つの再生された竜の首が無敵斬艦刀を白刃取りのように挟み込み、さらに残る二つの首が『セラフィム・V』の首に食らいついて抑え込む。
「この程度の力で、抑えられるとでも! 確かに君たちのもつ金属細胞は素晴らしい力だ。けれど、それでも君たちを滅ぼすのは、僕だ!」
押し切られる。
ドラグキャリバーがきしみ、四つの竜の首がひしゃげて砕ける。
やはり、急造修復したものでは持たない。だが、その僅かな時間だけでアルカはよかった。
「最初から、これだけが狙いよ、『エイル』!!」
漲るはユーベルコードの輝き。
ドラグキャリバーを捨て、その両腕に宿るは破壊と再生の力。
「この右手に狂える過去を破壊する力を、この左手に歪みし現在を再生する力を……これで終わらせる!!ゲネシス・デストラクティオー!!」
極大の光を放つは、オブリビオンのみ素粒子にまで分解する光波。
その一撃が、『セラフィム・V』を捉える。
至近距離でなければ、捉えることのできない力量を持つ相手に、アルカは己の身を捨てて立ち向かうのだ。
これこそが彼女の力。
彼女が悲劇を破壊するために、そして歪んだ『今』を再生する力。
放たれた一撃は、逃れ得ぬ光。
光波が『セラフィム・V』の左半身を貫き、素粒子まで破壊していく。
「こ、の――ッ! 僕が齎す終焉こそが!」
「……その終焉を破壊し、その先の未来を創ってみせる!!」
思い違いをしていた。
アルカが戦うのは悲劇を起こさぬためではない。
そう、彼女の言葉通り、その先の未来を創るためである。
彼女の拳は破壊の後に再生を齎す。
例え、その願を破壊しようとするものが現れ続けるのだとしても、彼女はきっと立ち上がり続けるだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
UC継続
アハト…エイル…てめーらにある映画の台詞を引用してやる
猟兵は万能の神じゃねー
唯の一つの生命にすぎねー
おめーらと変らねーな
後な…てめーを倒した後僕はご褒美にナイアルテのおっぱいにぎゅーされるんです
てめーが散々下らねー策謀かましてまでやろうとした事より百億倍価値のある事だ
「ご主人サマってばぶれないね!!後望み薄だぞ☆」
うるせー!信じる者は救われるだばっきゃろー!
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の能力と戦い方
そして之までの猟兵相手の戦い方を冷徹に分析
そして周囲のセラフィムビットの動きと効率的な殲滅方法を解析
そしてデータをフュンフ達に送信
【弾幕・念動力・属性攻撃】
セラフィムビット群に襲い掛かり
念動光弾を乱射して蹂躙開始
お前ら…此処は僕らが引き受ける
だから…エクシアと共にやれ
不本意だがこれはお前らエースがやるべき事だ!
「これは君達セラフィムの物語だよ☆」
エクシア
【二回攻撃・切断・集団戦術】
フュンフと連携
斬艦刀による連続斬撃!
UCビットによる蹂躙
最後
エイルへ
最後に…何か伝えてやれよ
フュンフ達に
光波の一撃が『セラフィム・V』の半身を素粒子まで分解し、破壊する。
だが、即座に金属結晶が破壊された半身を覆い、再び再生する。だが、その速度が衰えている。
やはり金属結晶での再生は、その炉の出力に速度が直結する。
ならば、『セラフィム・V』は十全の状態を保ってはいるものの、やはり消耗していると言わざるを得ないだろう。
「『アハト』……『エイル』……てめーらにある映画の台詞を引用してやる」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は言う。
機神『メルクリウス』を駆り、周囲に存在する『セラフィムビット』の動きを解析していく。
そのデータを『フュンフ・ラーズグリーズ』たちが駆る『熾盛・改』に送り込み、彼等が『セラフィムビット』を効率的に殲滅出来るようにするのだ。
「何を言おうとも、僕が心変わりすることなどない!」
全天を覆うクリスタルビット。
それは『アハト・スカルモルド』が見せたクリスタルビットの弾幕そのものであった。
凄まじい物量で圧倒する力。
それを前にしてカシムは言い放つ。
「猟兵は万能の神じゃねー。唯の一つの生命にすぎねー。おめーらと変わらねーな」
だから、懸命に生きているのだ。
どんな生命も、片時もたゆまず生きている。
カシムが生きる理由はなんだろうか。ご褒美があるからだと彼は言うだろうし、またこうも言うだろう。
「てめーが散々くだらねー策謀かましてまでやろうとした事より百億倍価値の在ることだ!」
『ご主人サマってぶれないね! 望み薄だぞ☆』
「うるせー! 信じる者は救われるだばっきゃろー!」
戦場を埋め尽くすクリスタルビットを、そして『セラフィムビット』に『メルクリウス』は襲いかかる。
それは『熾盛・改』に対するフォローであったのかもしれない。
けれど、カシムは頭を振る。
そして、その語るべき言葉は『メルシー』が繋ぐのだ。
『これは君たち『セラフィム』の物語だよ☆』
「不本意だが、これはお前ら『エース』がやるべきことだ!」
「……わかりました。ごめん、『クロア』、炉の安定を『ツェーン』と頼む。僕は、あの人に挑まなければならない」
『フュンフ・ラーズグリーズ』が『熾盛・改』と共に『セラフィム・V』へと迫る。
カシムは『メルクリウス』と共に『セラフィムビット』を引きつけ、これらを蹂躙していく。
確かにこれは彼等の物語であるのかもしれない。
カシムにとって、これは介入したものであって、自分が立ち入るものではないとおもったのかもしれない。
そして、何よりも。
これまで『フュンフ・ラーズグリーズ』が、この物語を生きた者たちが、何度打ちのめされても立ち上がってきたことを知るからこそ、彼等の手こそが『セラフィム・V』を打ち倒すのに相応しいと思ったのかもしれない。
そう、猟兵とて一つの生命。
生命の埒外たる存在であったとしても、『今』を懸命に生きる一つでしかない。
「なら、行けよ。そして、『エイル』!」
鎌剣が『セラフィムビット』を切り裂く。
『熾盛・改』と『セラフィム・V』が激突する。
「そんな急造の寄せ集めで!」
「言うことが他にあるだろう。伝えろよ、お前がこれまで培ったものを。その百年を!」
「――止めるッ! その懊悩を。その歪みを」
プラズマブレイドが斬艦刀と打ち合い、クリスタルビットを振り払う。
カシムは見ただろう。
戦いの光を。
それは時として恐ろしさをはらむものであった。
けれど、今は少し違って見えるように思えたのだ。父親と子がじゃれるように。語らうように。
いや、本質的にはそうではなかったのかもしれない。
けれど、カシムにはそう見えて仕方なかったのかも知れない。
自分がこの役割を得たのは、このときのためであったのかも知れないと思うほどであった。
打ち合う刃。
言葉にせずとも伝えられるものがあるとは思えない。いつだって人は言葉を介して互いの胸の内を吐露するものだ。
「なにか伝えてやれよ」
その言葉届くのか、届かないのか。
カシムにはわからない。
けれど、それでもただ壊して終わるだけの終わりなど、この物語にはふさわしくないとカシムは思っただろう。
紡ぎ、繋ぐ戦いをする猟兵だからこそ至るものがある。
それを示すようにカシムは、『セラフィムビット』を破壊し尽くし、熾火が絆ぐ先を見るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
ヴェーダ!?
しかも古代魔法帝国ですって?
無関係とも思えませんけれど意味は存じませんしヴリちゃんも何も教えてくれませんわ
けれどひとつだけ確かな事がありましてよ
ヴリちゃんは…そのヴェーダを敵だと仰ってますわ!
フュンフ様!クロア様!
わたくしもヴリちゃんも全く余裕がございませんのでそちらは丸投げ致しますわよ〜!
あと少し…堪えれば…!
ヴリちゃん!わたくしの魂をお使いになって!
真化融合…リグ・ヴェーダの力をここに!
エイル様!これで最後ですわ!
剣もビットも翼も避けも防ぎも致しませんわ
百年の執念と共にわたくしが受け止めましょう
真化融合を果たしている限りヴリちゃんは怯まず、傷付かず、倒れず、百の暴力をお返し致しますわ
貴方は時に置き去りにされてしまったお子様なのですわね
長すぎる眠りが貴方の願いと祈りを呪いに変えてしまったのですわ
ならわたくしは!その呪いの歪みを滅ぼしますわ!
斬艦刀を真っ向から受け止め食らい付き、零距離でジェノサイドバスターを放ちますわ
我はメサイア!オブリビオンマシンの滅亡を以て救世を為さん!
『セラフィム・|V《ヴェーダ》』。
それが『殲術再生弾』の光条を受けたロボットヘッド『エイル』の真の姿であるというのならば、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は己の乗機たるサイキックキャバリア、暴竜『ヴリトラ』の真の姿の名と同じことに気がつく。
「『ヴェーダ』!? しかも古代魔法帝国ですって?」
メサイアには、自身の乗機たる『ヴリトラ』がそれとは無関係とも思えなかった。
また意味を知る由もなかった。
そして、己のキャバリア『ヴリトラ』が何も語らぬことから、ただ一つ確かなことを知る。
「ヴリちゃんは……その『ヴェーダ』は敵だと仰ってますわ!」
彼女の前で激突する青い機体。
『セラフィム・V』と『熾盛・改』。
猟兵の一人が『セラフィムビット』を抑え、刃を交える二機。だが、『熾盛・改』は『セラフィム・V』に吹き飛ばされる。
そして、その隙を突くように無数の『セラフィムビット』が殺到する。
「『フュンフ』様!『クロア』様! わたくしもヴリちゃんも全く余裕がこざいませんので、そちらは丸投げ致しますわよ~!」
「引きつけます! そちらもどうかご無事で!」
「小細工を! 例え、それが暴虐と滅びの権化であろうと!」
迫る『セラフィム・V』。
その速度は消耗しているとは思えぬほどであった。圧倒的な踏み込み。凄まじいまでの剣速。
どれもが鋭く重たいものであった。
無敵斬艦刀は未だ折れず。当然、『セラフィム・V』と合体している『エイル』の心もまた折れることはない。
世界を滅ぼす。
骸の海に沈める。ただそれだけのために彼は力をふるい続ける。それがどんんなに虚しいことをかをメサイアは知るだろう。
世界の悲鳴に答えるのが猟兵である。
ならば。
「ヴリちゃん! わたくしの魂をお使いになって!」
その叫びとともにユーベルコードに煌めくは、『ヴリトラ』のアイセンサー。封じられた真の姿がサイキックキャバリアの枠組みを取り払い具現化していく。
躯体より引き抜かれた心臓。
それが脈動し、檻の如き装甲を突き破って現れるは、真の暴竜。
あらゆる破壊を司る権化。
『ヴリトラ・リグ・ヴェーダ』は此処に在り。
「旧き時代に分かたれた力をいまここに!『エイル』様! これで最後ですわ!」
突き進む。
迫る斬艦刀の一撃も、クリスタルビットの打撃も、躱すことなく突き進む。
百年の執念。
それが『エイル』を支えるものであるというのならば、メサイアはそれを受け止めようというのだ。
それがどんなに危険なことかは言うまでもない。けれど、真化融合(シンカユウゴウ)の力はあらゆる攻撃に対して無敵。
その代償は小さくはない。
けれど、怯むこともなければ恐れもない。メサイアの心の中を満たすのは万能感。あらゆることをはねのける力を手にし、彼女は目の前の敵の執念をこそ破壊せんと突き進む。
「貴方は時に置き去りにされてしまったお子様なのですわね」
「僕自身のことをわかったつもりか、猟兵! だからなんだという! この僕の中にあるのは祈りだったはずだ! けれど、それはもはや呪いの類である!」
「ええ、長すぎる眠りが……なら、わたくしは!」
メサイアの瞳に輝くのはオーバーロードの輝き。
超克の先にこそ、メサイアの求めるものがある。振るわれた無敵斬艦刀の一線を真っ向から受け止め、食らいつく。
振るった腕部。
その口腔の中に湛えられているのは破滅の光。
サイキックキャバリアの時に装備されていた武装。その名をジェノサイドバスター。破壊をもたらし、あらゆるものを薙ぎ払う力の発露。
そして、彼女は言うのだ。
「その呪いの歪みを滅ぼしますわ!」
放たれた一撃が『セラフィム・V』の無敵斬艦刀を半身ごと吹き飛ばし、破壊の光条は地底を切り裂き、天上さえ崩落させる。
そこにあるのは青空。
激しい戦いとは裏腹なほどに透き通る空。雲の白と、空の青が交わる光景。
それを『セラフィム・V』は、ロボットヘッド『エイル』は見ただろう。ノスタルジーさえ感じさせる青色を。
「我はメサイア! オブリビオンマシンの滅亡を以って救世を為さん!」
メサイアは、その名の通り救世主足り得る器であろう。
破壊の力をたぐり、救う。
相反する力と願い。
されど、彼女は違えることなく道行きを歩む。破滅の傍らには、いつだって再生という名の興りがある。
唯一つの願いが祈りに変わり、それが呪いに変わる前に。
救世の姫は、破滅の光でもって、歪みを貫くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
稷沈・リプス
いやー、味方がいるってのはいいっすね!
俺は異境海蛇『ヤム』に搭乗。さて、UCで味方増やして。【夜の舟】、地上自動航行開始っすよ。
太陽属性攻撃&結界を有するその舟と、海属性攻撃を持つこの『ヤム』の共同戦線っすね。
ああ、舟と『ヤム』は適度に分かれてるっすから…その翼を同時に向けるの大変なんすよ。
そして、そういうのを見逃すわけがないんす。
舟からは太陽属性のビーム攻撃、『ヤム』はBXS異境海蛇『ナハル』による海属性な鞭攻撃っすね!
絆を積み重ねてこそ、『平和』は近づくんす。『骸の海』に全部沈める…なんてーのはないっすよ。
そういうことを、人間はできるんすからね。
破滅の光が『セラフィム・V』の機体を貫く。
その光条は地底の天上、すなわち地表すら砕いて青空を齎す。
戦場を埋め尽くす『セラフィムビット』も、青いキャバリア『熾盛・改』によって駆逐されていく。
「いやー、味方がいるってのはいいっすね!」
稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は異境海蛇『ヤム』の騎乗し、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
地底にありて疾駆するのは大型の木造船、夜の舟(ウイア・メセケテト)であった。
「味方を増やすっすよ!」
弓と剣と魔法杖を携えた動物頭の人間の幽霊が満載された木造船が『ヤム』と共に大地を疾駆する。
共同戦線。
それはリプスにとって、喜ぶべきことであっただろう。
互いに付かず離れずで大地を疾駆し、『セラフィム・V』へと迫る。その『セラフィム・V』は度重なる猟兵との戦いで、半身を失い、それを再生しようと金属結晶でもって覆っている。
「やけに時間が掛かってるっすね! 他の猟兵たちの戦いで消耗していると見たっす!」
さらにリプスは大型船と離れ、挟撃を仕掛ける。
あの光の翼は向けた者にプラズマビームを斉射する。だが、狙えるのは一つのみ。ならば、二手に別れれば、二兎追う者は一兎も得ずというではないか。
「そういうのを見逃すわけないんす」
「だが、ユーベルコードの大元たる君が滅びれば、あの船も消える。そうだろう!」
金属結晶が弾け飛び、十全たる『セラフィム・V』の姿が発露し、プラズマビームの一撃がリプスの駆る『ヤム』へと放たれる。
その一撃を『ヤム』は海の属性を宿すフォースウィップをとぐろを巻くようにして盾にし、さらに木造船から放たれる太陽の光を持つビームが相殺する。
「面倒なことを……!」
「そうっすね。けど、こういうことが重なっていくから人の歴史は紡がれていく。『今』という時間につながっているんすよ!」
「だが、その時間をどれだけかければ、彼等の願う『平和』とやらに届く! 百年を掛けてもなお、届かぬものが、これより未来に在りて訪れるわけがない!」
プラズマビームが霧散し、リプスはその間隙を縫うようにして『ヤム』と共に『セラフィム・V』へと迫る。
「絆を積み重ねてこそ、『平和』は近づくんす。『骸の海』に全部沈める……なんてーのは、ないっすよ」
リプスは、それを全て放棄することだと断じる。
子供の癇癪と同じだ。
壊してはならないものがある。どんなに辛く、険しい道なのだとしても、それがいつだって正しい道なのであればこそ。
「壊した後で後悔することはできるんすよ。でも、その後悔を懺悔に変えて、懺悔を希望に絆ぐことができるのが!」
リプスの駆る『ヤム』からフォースウィップがほとばしり、木造船からは太陽の光を思わせる光条が『セラフィム・V』へと直撃する。
「そういうことを、人間はできるんすからね」
リプスは告げる。
神性としてではない。今を生きる猟兵として告げるのだ。
誰も彼もが間違える。
正しさなど、その時の状況で変わっていくものである。
誰もがもがき、苦しみ、長く辛い道を歩まねばならない。険しくもなく、平坦な道をゆくものは、それが己の人生のうちの一場面でしかないことをまだ知らぬ者である。
ならば、リプスは笑うのだ。
笑って『今』を懸命に生きる者たちをこそ彼は愛する。
停滞ではなく、歩みを求める者。
それが生きる人間の証だと、リプスは、その思いを持って『セラフィム・V』を打ちのめす――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
さてと、年貢の収め時だ
頼もしい援軍が来たんだ、ロートルはもう退場の時間だよ
君が殲術再生弾を…希望の光を使うと言うのなら
私達は超常の力で其れを超えていこう
超克…オーバーロード!
外装展開、模造神器全抜刀!
小細工は無しでいこう
正面からやり合う!
【Unite Dual Core】起動
全剣に雷刃展開
接近戦を挑む!
自動追尾の蒼炎を放ち、動きを牽制
プラズマビームは雷刃で切り払って『武器受け』して威力を殺して、『オーラ防御』でシールドを作ってそれで弾く
伸ばした雷刃で『なぎ払い』斬り裂く
4剣で息つく暇もなく連続して斬り裂こう
翼は特に念入りに壊してあげる
頭部以外を徹底して狙って、破壊しつくしていこう
世界を渡る力が欲しいとか思うのは勝手
何度も言うけど、それに他人を巻き込むなって
欲しいなら、他人に迷惑かけないようにやるといいよ
ロボットヘッドだ、時間なら十分あるでしょ
だから私はその頭は斬らない
グリモアの予知に掛からないというなら、歪んではいるけど私たちが倒す敵じゃない
だから、君はこの世界の人間が裁くべきなんだよ
『セラフィム・V』の機体を覆う金属結晶に勢いはない。
すでに炉の中にある力は底を付きかけている証拠であろう。だが、それでも『セラフィム・V』が金属結晶の中から飛び出せば、その機体は十全の状態が保たれていることを猟兵たちに知らしめるだろう。
「――滅ぼす。滅ぼし殲す……! 君たち猟兵を滅ぼし、何度でも世界を!」
ロボットヘッド『エイル』の咆哮が轟く。
けれど、月夜・玲(頂の探究者・f01605)はその怒りに冷静に向き合う。
「さてと、年貢の納め時だ」
頼もしい援軍も来ていることだし、と彼女は微笑む。
ロートルはもう退場の時間だというように、彼女の瞳が超克に輝く。
「君が『|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》』を……希望の光を使うというのなら、私達は超常の力で其れを超えていこう」
至るは超克。
見よ、此処にあるのは生命の埒外たる者が至る道の頂き。
「超克……オーバーロード!」
外装の副腕が展開し、模造神器を抜刀する。煌めくは蒼き輝き。
青よりも深き蒼は、その輝きを持って『セラフィム・V』に突きつける。
「天頂に至りて、まだ介入するか!」
「小細工はなしでいこう――弐神合一プログラム…略してUDC…起動!」
Unite Dual Core(ユナイトデュアルコア)。
それは天頂に手を掛けた玲の到達した一つの極地。模造神器に込められた雷と焔の疑似邪神が彼女と融合する。
迸る稲妻。
その超常の存在を前に『セラフィム・V』より放たれる光の翼を集約したプラズマビームの一撃。
「偽りの邪神を生み出して、それで君はどこに征く! 星の海も、空の雲海も、何もかも超えるというのか!」
そのプラズマビームの光条を雷刃が切り裂く。
だが、威力は殺しきれない。ビームが玲の体を直撃し、消し飛ばす。いや、違う。展開されたそれが辛うじて彼女の肉体を守っている。
玲の体にかかる負担は想像を絶するものであったことだろう。プラズマビームの直撃を受けて無事である生身の存在など誰が理解出来ようか。
しかし、今の彼女は疑似邪神と合体した存在。
模造神器が振るわれ、刀身から浄化の蒼き焔がほとばしり、『セラフィム・V』がこれを無敵斬艦刀で切り払う。
もはや、『セラフィム・V』に再生能力はない。
炉の出力を度重なる猟兵たちのオーバーロードによる攻撃に寄って根こそぎ消費ささえられているからだ。
「世界を渡る力が欲しいとか思うのは勝手。何度も言うけど、それに他人を巻き込むなって」
「君がそうであるとでもいうかのような口ぶりだな! 君は誰一人、何一人として犠牲にしていないとでも!」
その言葉を聞いて、玲は笑う。
当然じゃん、と。
「だってこれはお仕事だし。それにね、ほしいなら、他人に迷惑かけないようにやるといいよ。そうすれば、私達のような邪魔は入らない。ああ、ロボットヘッドだ、時間なら十分あるでしょ」
振るう四振りの斬撃が息吐く暇もなく『セラフィム・V』に打ち込まれ続ける。猛攻と呼ぶに相応しい連撃。
焔と雷。
それが交互に襲いくる。これを捌き切ることができているのは、『セラフィム・V』の中にある戦闘データを集約しているコアがあればこそだろう。
百年に及ぶキャバリア戦闘のデータ。
そして、それだけではない戦いの記録が、今の『セラフィム・V』を突き動かす。
『|V《ヴェーダ》』とはすなわち知識を意味する。
『セラフィム』という機動兵器の第五世代。冠するは勝利の『V』ではなく、蓄えられ続けてきた『知識』という名の力である。
「だから私はその頭は斬らない」
雷の刃が伸び、『セラフィム・V』の光の翼を引き裂く。さらに左腕を切り崩す。
「グリモアの予知にかからないというなら、歪んでいるけど私っちが倒す敵じゃない」
玲は徹底して頭部以外に攻撃を叩き込む。
「わかっているのに――君が、僕の頭部に攻撃を叩き込まないと、理解しているのに、何故躱せないッ!」
『セラフィム・V』は理解できなかった。
彼女の攻撃は全て頭部以外。ならば、攻撃の選択肢を一つ減らせる。そうすることによって、膨大な戦闘データから引き出す演算の負担は大幅に減るはずだ。
なのに、それを凌駕していく四振りの模造神器。
焔と雷の疑似邪神。
それと融合した彼女の体は謂わばカオスの手前にある者。優位なる数字を引き寄せられぬ戦闘データを前に、彼女の存在はナンセンスそのものだ。
「だから、君はこの世界の人間が裁くべきなんだよ」
打ち込まれた炎が『セラフィム・V』の装甲を焼く。
玲は示す。
これまで暗躍してきた者。取り残された者。人の想いを、願を祈りに昇華し、絆ぐ者。
それがロボットヘッド『エイル』、片割れの存在であるというのならば。
「私のお仕事は此処までだよ――」
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
ビットは彼等が抑えてくれている。
【継戦能力】BS-B黒輪光で生成した塵怨霊物質でエネルギー充填、怨念を喰らい、兵装を再生させる。
……今も、|過去も《これまでも》、|未来も《これからも》、
自分は壊し続ける!
『禍戦機』操縦
|闘争心《怨念》を燃やし、
黒輪光と、BS-B断叫を迸らせ、
灼熱光条を同時発射【範囲攻撃】!
無数の灼熱光条弾幕で防御を溶かし、守りを食い破る!
だから、貴殿らは!例えその先が破滅だとしても、
その時まで!絆いでいけ!!戦い続けろ!!!
心に平和を忘れるな!!!!
【瞬間思考力】、敵の回避機動を【見切り】
【早業】RBXS-A雷架から光子光線を放ち【マヒ攻撃】
動きを鈍らせ、次の一撃を何としてでも当ててやる!
もう一度、跳べ!飛べ!!ディスポーザブル!!!
『禍戦・劫焔納』
メガスラスターで【推力移動】
黒焔と化して、エイルへ激突【属性攻撃】!
|燃えろ《壊れろ》、
|燃えろ!!《壊れろ!!》、
|其処がッ、我らの禍戦場だぁぁぁぁぁ!!!』
結界術【霊障】大炎熱異空間を放ち、エイルを取り込み燃やし壊す!!
ついに『セラフィム・V』の再生能力が消え失せる。
消耗しきった機体は、されど、まだ消えずに残っている。戦う意志を見せている。光の翼を失い、片腕を失い、装甲で無事な部分はない。
在るとすれば、そのロボットヘッドたる『エイル』。その頭部だけであった。
『セラフィムビット』は健在なれど、その過半数を『熾盛・改』が抑えてくれている。
ならばこそ、再び破壊の申し子は立つ。
戦塵霊物質が朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の内側から溢れ出し、『禍戦機』へと流れ込む。
黒き輪光たる背部の光背が、虚の如き輝きを放って戦場に歩を進めさせる。
何処まで行っても、やはり小枝子は破壊し続けることをやめられない。
戦場に満ちる怨念を喰らい、破壊された兵装を再生させる。戦い続けることと破壊し続けることは、小枝子の中では同義であった。
「……今も、|過去も《これまでも》、|未来も《これからも》、自分は壊し続ける!」
「……例え、それが破滅に繋がる道だとしてもか!」 咆哮が轟く。
それはどちらの咆哮であったことだろうか。
小枝子の|闘争心《怨念》が燃える。そんなことは些細なことだというように、迸る。
胸部より放たれる叫びが電磁波となって戦場にある全てに『セラフィムビット』を破壊し尽くし、さらに進む。
止まらない。止まれるものかと小枝子は突き進む。黒き輪光より放たれる光条の全てを『セラフィム・V』は躱し、無敵斬艦刀でもって切り払いながら、一直線に突き進む。
光の翼が喪われてなお、この速度。
小枝子の駆る『ディスポーザブル』の単眼が煌めき、無敵斬艦刀と拳が打ち合う。砕ける拳。
飛び散る破片の最中、小枝子はさらに拳を振るう。
振り抜いた拳がまた砕ける。だが、さらに拳を叩きつける。砕けたはずの拳が怨念を喰らう彼女の力と共に再生され、また砕ける。
「堂々巡りを! 君の中にある怨念だけで、これが為せるのならば! やはり人は愚かだと言う他ない! 君のような存在を生み出してなお、掴むことのできぬものがあるのだ! 君はその証明に過ぎないんだぞ、破壊の申し子!」
その言葉を遮るように飛び込んでくるのは、青い機体。
『熾盛・改』。
味方だと、小枝子は思っただろう。自分一人で戦うのではない。
誰かが居てくれる。
己がもし、倒れ、いなくなったとしても。自らが切り開いた道の先を征く者がいる。己の全てが無駄にならぬという安堵が小枝子の|闘争心《怨念》を薄める。
だが、それは違う。
それは自分だけのものだ。誰かのためにそれを使うのだとしても。それだけは自分の中にある、他の誰も手を届かせてはならぬもの。
ならば。
「破壊の申し子と彼女を言うな! 彼女は戦ってくれた。守ってくれた。生命を懸けてくれた! それに報いるためには!」
『セラフィム・V』の猛攻を『熾盛・改』が凌ぐ。
六腕全てを使ってなお、全盛期の第五世代機動兵器を抑え込むことはできない。消耗していたとしてもだ。
恐るべき敵。
だが、小枝子は叫ぶ。
いつかの誰かが放った言葉を。
「だから、貴殿らは! 例えその先が破滅だとしても、その時まで! 絆いでいけ!! 戦い続けろ!!!『心に平和を忘れるな』!!!!」
小枝子は意図して叫んだわけではないだろう。
心より発した言葉だった。
『戦いに際しては心に平和を』
それはいつかの誰かの言葉。
ならばこそ、その言葉に反応する者があった。
刹那に満たぬ反応。されど、小枝子は飛ぶ。
「もう一度、跳べ! 飛べ!!『ディスポーザブル』!!!」
煌めくはユーベルコード。
例え、此処が彼女の|禍戦場《ゲヘナ》なのだとしても。
目がスラスターの推力が『ディスポーザブル』の機体を押し込む。一体で出来ぬのならば、二体で超える。
共に並び立つ『熾盛・改』と『ディスポーザブル』。腕部から迸る光子が『セラフィム・V』の機体を鈍らせる。
「――|燃えろ《壊れろ》、|燃えろ!!《壊れろ!!》」
小枝子の叫びが、『ツェーン』の、『クリノ・クロア』の、『フュンフ・ラーズグリーズ』の叫びと重なる。
「其処が我等の|禍戦場《ゲヘナ》だぁぁぁぁ!!!」
結界たる霊障が、『セラフィム・V』を捉え、超高熱の黒焔と化した『ディスポーザブル』を以って拳の一撃を叩き込む。
胸部に叩き込まれたその一撃は、瞬時に大炎熱空間となって『セラフィム・V』の機体を包み込んでいく。
燃える。
燃えていく。
ロボットヘッド『エイル』は、その炎こそ己の怒りを焼き尽くすものであると知る。このまま滅ぶのもいいだろう。
及ばず、されど骸の海に沈まず。
己という存在は、何処にも征かず。たゆたう芥のごとく消え失せる運命であったのだと知る。
「ごめんね、『■■―』。きっと私達は貴方のことをわかっていなかった。だから、私は願った。みんなの幸いがありますようにと。そのためなら、私は私の生命を捨てても構わないと思った」
その言葉は『ヌル・ラーズグリーズ』の言葉であった。
一人の猟兵が言ったのだ。
そのためならば、どんな代償も怖くない望みはあるかと。
そして、願ったのだ『ハイランダー・ナイン』たちの魂の安寧を。
だが、そう願っただけでは叶えられぬ願いであった。彼女にとって『■■ー』もまた戦友であった。
だから。
「独りにはさせない!」
『フュンフ・ラーズグリーズ』が叫ぶ。『セラフィム・エイル』の六腕は、遍く全てを破壊するもの。三面は敵意を見逃さぬもの。
ならば、『熾盛・改』のそれは。
遍く全てを見据え、救うもの。
伸ばした手が滅びゆく炎の中、砕けていくボディ、その頭部を掴む。爆風に『熾盛・改』の頭部が吹き飛ぶ。
魂の安寧を望む願いがあった。
そして、それは契約によって必ず為されるもの。だが、それだけでは為し得ぬもの。人と、マシン。そして猟兵たちが成さしめる結実。
それを小枝子は見ただろう。
破壊の申し子と呼ばれた彼女が、最後に掴み取ったのは、破壊の後に訪れるもの。決して心に忘れてはならぬものを抱く者にこそ訪れる光景――。
●しあわせなゆめをみる
『フュンフ・ラーズグリーズ』が手を伸ばしたのは、ロボットヘッド『エイル』を断罪したかったからではない。
幾度となく打ちのめされてきたからだ。平和を知らぬまま、平和の意味を問いかけ、そして幾度となく打ちひしがれた。
『エイル』のことを全て理解できるとは思っていない。
理解できない存在がいるということだけがわかっている。
けれど、本当に倒さねばならぬ敵は、本当に彼なのかという疑念だけが渦巻いた。それすらも『フュンフ・ラーズグリーズ』には構わなかった。
「ごめん、母さん。僕は行くよ。そうだろう、『エイル』」
『ツェーン』と『クリノ・クロア』の体が『熾盛・改』の機体から弾き飛ばされるようにして大地に降ろされる。
青きロボットヘッド『エイル』が頭部を失った『熾盛・改』の機体に収まり、その三面の6つのアイセンサーを輝かせる。
炉の出力が完全に同期、連動、自乗し、本来の出力に戻っていく。青い装甲は赤き装甲に色を変え、|光の渦《サイキックロード》の中に消えていく。
戦いは終わらない。
一つの戦いが終われど、平和の意味を問う者がいるかぎり終わらない。
だが、一つの物語は終わりを告げた。
|『ACE《アナザー・チャイルド・エンカウンター》戦記』は幕を閉じる。
そして、自らの過ちを認められぬ幼年期は終わりを告げ、過ちに気づき、懊悩する思春期が訪れる。
だが、それはきっかけに過ぎない。
その懊悩から導かれる懺悔を深めながらも、希望を見出し悩みから抜け出し生きる青年期の訪れを知らせる――。
大成功
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