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銀河帝国攻略戦㉒~悪辣なる才脳を討て

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #ドクター・オロチ

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「やあやあ猟兵諸君――」
 グリモアベースに集まった猟兵達を、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)はいつものように迎え入れる。
 だが、その顔に笑みは無い。その可愛らしい顔に浮かぶのは、大一番を前にした緊張だ。
「キミ達に今回挑んでもらう任務は……帝国の執政官、そして科学技術総監。ドクター・オロチの撃破、だよ」
 ドクター・オロチ。
 二大巨頭である黒白の騎士とは異なる、独自の権限と指揮系統を持ち、帝国の中でも極めて謎めいた存在だ。
 今回の戦争には積極的に参加しておらず、戦争の趨勢には影響を及ぼさない。
 だが、彼が――性別不詳なため、便宜上そう呼ぶが――帝国軍に兵器した兵器は、猟兵達にとって大きな脅威として立ちふさがって来た。
 取り逃がせば将来の禍根となる。決して取り逃がして良い存在ではない。
「強大なオブリビオンは、一度倒してもすぐに、別の場所で復活してしまうんだ。けど、その復活にも限度がある。短期間に、連続して……そうだね、二十度ほど倒せば、その過去は擦り切れ、復活できなくなる――筈、だよ」
 そう言ってくるるは、その眉を少し寄せる。
「不確定な予知でキミ達を戦場に向かわせるのは、申し訳ないと思う。ただ、オロチはあまりにも分からない事が多すぎる。果たして、本当にトドメを刺す事が出来るのか……ボク達グリモア猟兵にも、その確証を掴む事は出来なかった」
 申し訳ない、と頭を下げる。そしてくるるはしっかりと猟兵達を見回す。
「それでも、少なくとも彼が『スペースシップワールドで再び蘇る事は無い』。これだけは確実に、ボクの口から保証出来る。だから、キミ達には全力を尽くして、オロチの撃破に臨んで欲しい」

 この依頼においては、ドクター・オロチは、彼の乗艦である実験戦艦『ガルベリオン』内部の研究室の一つで戦う事になる。
 脳が浮かぶカプセルがいくつも置かれた、極めて悪趣味な部屋だ。なお、このカプセルに浮かぶ脳はすでに意識もなく、助ける事もできないので、破壊してしまっても構わない。むしろ破壊してやるのが、この脳の本来の持ち主のためだろう。
 障害物として利用するのは良いが、オロチの方も『壊さないように』などとは考えないので、盾として過信しすぎない方が良い。
 カプセルと言う障害物を除けば、比較的広い部屋であり、戦闘には支障はない。

「ドクター・オロチは間違いなく、これまでにキミ達が戦って来たどのようなオブリビオン達よりも強い。敗北を覚悟する事になると思う。それでも……」
 それでも、と。くるるは猟兵達を真っ直ぐに見つめ、万感の思いを込めて送り出す。
「だから、必ず勝って来てね。良い知らせを――待ってるよ!」


一二三四五六
 さあ、強大な敵との決戦の、幕開けです!

 ごきげんよう、まずはこいつとガチバトル。一二三四五六です。

 銀河帝国攻略戦も、開始より半月を過ぎ、いよいよ佳境が見えてまいりました。
 今回は謎多き帝国軍の頭脳、ドクター・オロチとの決戦となります。

 まず重要な特別ルールを。
 ドクター・オロチは、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 補足。
 オロチの先制攻撃は『ユーベルコード1回につき、1回』繰り出されます。よって、2つ以上のユーベルコード使用、あるいは1つのユーベルコードの複数回使用は推奨されません。

 例によりまして、返却は早めを予定しています。ですが、焦って提出した不完全なプレイングで倒せる相手ではありません。今回は普段と違って苦戦失敗も容赦なく出ますし、却下基準もキツ目になります。
 なお、おおよそ、日が変わるくらいまでのプレイングのうち、良いと思ったプレイングから優先的に採用します。
 それでも依頼失敗がありえます。ガチバトルです、がんばりましょう。

 オロチの正体に関しては皆さんも疑問に思っているでしょうが、質問しても答えは帰って来ないと思われます。
 メタな話をすると、第六猟兵のシステム(マスターもプレイヤーを兼ねられる)上、一二三も皆さんと同じ程度しかわかりませんです、はい。

 それでは、皆様の全力のプレイングを、楽しみにお待ちしています。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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●シナリオ補足
 このシナリオは、ドクター・オロチへのファーストアタックを決めるシナリオとなります。
 他のシナリオと違い『出現場所で待ち伏せる』のではなく、出現しているドクター・オロチに対して、突撃して戦闘する事になります。
 ドクター・オロチが待ち構えている状態である為、少し難易度が高くなりますが、勝利に向けて全力を尽くしましょう。
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第1章 ボス戦 『ドクター・オロチ』

POW   :    ジャイアントカルシウム
自身の身長の2倍の【恨みの叫びをあげる骸骨巨人】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    カリスティックボディ
自身の肉体を【あらゆる生命体を溶解し取り込む緑の粘液】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ビャウォヴィエジャの森のフェンリル
【水晶剣が変形した門から『フェンリル』】の霊を召喚する。これは【炎の体を持つ巨大狼で、爆発を呼ぶ咆哮】や【瞳から放たれる魔炎光線】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ムシュシュ。良く来たねぇ、猟兵くんたち……いや、あんまり来て欲しくなかったんだけどね?」
 ガルベリオンの研究施設の一室。水晶の剣を手にした悪辣なる科学者は、やれやれと首を振り、肩を竦める。
「いやぁ、参ったよ。侵攻は予想より遥かに早いし、ジャミング装置は破壊されるし、オロチウィルスも無力化されるし。挙げ句、なんかここまでやってくるし。全然聞いてないよ、こんなのさぁ」
 愚痴るように話す、その言葉には、嘘の気配は感じられない。おそらくは事実なのだろう。
 だが、そこには焦りと言うものが感じられない。それは、多少の死からならば蘇る事が出来ると言うオブリビオンの性質ゆえなのか、それとも――。
「ま、いいや、いつまでもこうして愚痴ってても仕方ない。やって来ちゃったからには容赦はしないよ」
 そうして水晶剣を一振りし、彼は猟兵達を――目が無いのでおそらくだが――見渡した。
「銀河帝国執政官兼科学技術総監、ドクター・オロチ。いざ、参る! ……なんてね、ムシュシュシュシュ……♪」
三千院・操
ドクター・オロチ。おまえが作ったオロチウィルス、中々興味深かったよ。
ぜひともおまえを死なせておれのものにしたいけど――そんなこと言ってる暇なさそう。
開け、ラジエルの書架。

ラジエルに交代して戦闘するよ。
戦闘前に自分自身に『おれたちはあいつの攻撃をみたことがある』って強く催眠術をかける。…効果があるといいけど。
先制攻撃は相手が攻撃を放つのを視認してから、高速詠唱で『速記偽証』を発動して召喚そのものを阻止したい。

その後は『The Healer』で周囲の脳みそたちの怨念を呪詛として幾重にも纏わせて攻撃するよ。攻撃するたびに呪詛を重ねて破壊力を増しながら戦おう。
UCが来たら再び『速記偽証』を行うね。


ナンシー・アラタメ
「一番乗りは叶わなかったが、俺自身が乗り込めば矛盾はない!

仲間の突撃に乗じてオロチに攻撃を開始。
パフォーマンスで存在感を発し時間稼ぎをする。

「ナンシー・アラタメ、参上! 愛してるぜドクター・オロチ!
ちっとばかし長い付き合いになるだろうが……俺らは死ぬほどしつこいぞ。覚悟しろ!」

ウザいくらいに目立ち自分を攻撃の対象にさせる。
過酷なほど覚悟は強く、覚悟が強くなるほど俺の拳は熱く燃える。
それこそが、愛。愛の炎だ。
愛の拳を叩き付け、動きを止める。フェンリルを止めるということは剣を止めるということ。次元を裂き召喚するという攻撃のキーを、連鎖的に奪う!



「って訳で~」
 オロチが手にした水晶剣が形を変える。収束する禍々しい気配が、空間を歪めていく。
「ドクター・オロチ。おまえが作ったオロチウィルス、中々興味深かったよ」
「あ、そう? ボクもあれは結構自信作だったんだよ?」
 歩み出たのは、銀の鍵を手にした操。その言葉にオロチはため息……らしきものを漏らす。
「だから、『作品』の仇は取らせてもらうよ。はい、フェンリル~!」
 水晶の剣が、門となり、異界へと繋げられる。溢れ出るは、禍々しき魔炎。
「おれのものにしたいけど――そんなこと言ってる暇なさそう」
 対し、操もまた鍵を捻り、空間を広げる。繋げる先は書架、彼の力と人格が眠る場所。
「開け、ラジエルの書架」
 顕現する、相異なる人格。それ……ラジエルは、今まさに狼の形を取ろうとした炎めがけ、即座にその口から言葉を紡ぐ。
「歪曲しろ……!」
「おおっ!?」
 召喚に干渉する魔術言語。相手の術を既知と自分に暗示をかけた甲斐もあってか、魔炎の変化が止まり、狼になる寸前で固定される。
「ナンシー・アラタメ、参上!」
 そしてその隙を逃さず飛びかかる、白い影。赤い炎を纏い、ナンシーは愚直なほど真っ直ぐに突進する。
「ちっとばかし長い付き合いになるだろうが……俺らは死ぬほどしつこいぞ。覚悟しろ!」
「うっわぁ、うっざい!」
 思わず本音を漏らすオロチ……が、その声に、僅かに笑みが含まれているのに気づいたか。
「……から、燃やそっか」
「っ……!」
 直後、停止していた炎が、再び動き出す。ついに形を為したフェンリルに凝視され、そこから迸る魔炎を受けたナンシーの身体が、一気に炎上した。
「ま、多少はびっくりしたけどね~。ずっと止められてられると思った?」
 楽しげに言い放ち……だが直後。
 その魔炎の中から、ナンシーが飛び出して来る。
「止まらないのは、俺も同じだぜっ!」
「っ、とぉっ!?」
 その身体も、スーツも、ボロボロ。だが、元より瀕死など覚悟している。焼かれたからと止まる理由などない。
「俺の炎は愛の炎、過激なほどに燃え上がる……」
 だからお前すら愛してやると、傷だらけの女は構えた拳を振りかぶる。
「愛してるぜ、ドクター・オロチィッ!」
「うざっ!?」
 振り下ろされる拳は、水晶剣を強く打ち据えた。今度は笑みすら含まぬ本音を漏らすオロチ、その動揺が僅かに動きを、フェンリルの制御を縛り……。
「ほら、そこです」
 その隙を逃さず、近づいていたラジエルが、呪詛の籠もった鎌を振り下ろした。
「んっ!」
 何しろ、脳の浮かぶこの場には、呪詛など事欠きはしない、これほどこの場に適した攻撃など有ろうものか。重い一撃を受け、跳び下がるオロチ。
「どうだ、一番乗り……か、二番乗りかは微妙なトコだが、一撃、しっかり入れてやったぜ」
「ムシュッ、やってくれるねぇ。さすがさすが」
 ナンシーの言葉に返しながら傷を抑え、オロチは2人を見やる。苛立ちか、それとも楽しさか。表情なき顔は読みにくい。
「けどまだまだ。ボクを倒すには足りないねぇ、ムシュシュシュ……!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

逢坂・宵
これは……なかなかに厄介な敵ですね
名のある将というだけではない、強大な何かを感じます
心して取り掛からねばなりません
けれど、逆にいうとここをしのげばさらなる次の道が開かれるということ
さあ―――まいりましょう。生き延びる覚悟を、胸に

以上のことを仲間に『鼓舞』し士気を高める
『視力』でフェンリルの位置を把握し
『第六感』『おびき寄せ』で、戦闘に最適な方向へと誘い込む

『属性攻撃』『2回攻撃』『高速詠唱』『全力魔法』を用いて
『天航アストロゲーション』でフェンリルを見据えて攻撃します
猟兵の仲間とも連携や協力を
必ず、積極的におこなっていきます
僕は、僕にできることを、全力で
この戦いに―――勝つのみです!


ルクレイフェ・アニェージ
なるほど、これがドクターオロチ。
何か嫌な雰囲気、生理的に駄目だわ。

サモンオルファを使用。
私の運動性能では、敵の攻撃を回避しきれないでしょうね。
だから間に合わせる。
五指に魔力を宿し、リヨンラッゼを起動させる。
技能の高速詠唱を使用し【サモンオルファ】を使用。
敵の攻撃が到達するまでにオルファに乗って上空へと回避するわ。
もし間に合わないのであれば
特性のオーラ防御、激痛耐性をもって耐える。

オルファにのり、敵の攻撃をかいくぐって上空から突撃するわ。
敵の粘液で解かされない様、当然魔力で強化、さらにオーラ防御を施すわ。


ラスベルト・ロスローリエン
いずこの過去より来訪したとも知れぬ冒涜の異形……
この世界より速やかにご退場願おうか。

◇WIZ 自由描写歓迎◇
無数の脳の間を駆けながら魔狼の熱線を【見切り】避け【破魔】の光で逸らす。
咆哮の爆発も紙一重を【見切り】飛び退き【念動力】で爆風を減衰。
致命傷さえ受けなければ手傷も好機を掴む対価だ……爆風を隠れ蓑に【高速詠唱】開始。
【全力魔法】と【属性攻撃】による《蒼の再雷》起動―イグニッション―
『銀の雨烟りし三千世界の彼方より大いなる怒りと共に招来せよ』
“瞑捜の御手”が焼き切れようと魔と理の織り成す蒼雷で外道を縫い付ける。

癪だが僕の魔法のみで君の滅びに届くとは思わない。
されど……猟兵の牙は一本に非ずさ。


黒玻璃・ミコ
※フリー参加の猟兵の方々とチームを組みますよ

◆心情
見つけましたよ、ドクターオロチ?
うふふふ、異形ではありますが
貴方も竜種に認定し、私の糧になって頂きますよ

◆行動
ドクターオロチの先制攻撃は【拠点防御】と【戦闘知識】で考察した
ガルベリオンの【地形を利用】し防ぎますよ

そして【第六感】を研ぎ澄まし【カウンター】を叩き込みます
何しろ骸骨巨人の動きは本体をトレースしたもの
つまる私を攻撃してる最中は【気合い】を入れ
【生命力吸収】する【黒竜の遊戯】を回避する術はありませんからね
ミディアさん、若しくは皇帝のUCを仲間の元に持ち逃げするつもりだったのでしょうが……させません
『異形』は滅びなさい!

◆補足
アドリブ歓迎



「なかなかに厄介な敵ですね。名のある将というだけではない、強大な何かを感じます」
「お、わかっちゃう~?」
 宵の言葉に、軽口で返すオロチ。だがそれを無視し、彼は仲間を鼓舞するように叫ぶ。
「けれどそれは、ここを凌げばさらなる次の道が開かれるということ。参りましょう。生き延びる覚悟を、胸に!」
「ムシュシュ、生き延びられるならねぇ!」
 そんな宵に対し、オロチはフェンリルを差し向けた。巨大な狼が、その咆哮を迸らせる。
『オォォォォォンッ!』
「くっ!?」
 爆炎が、一気に迫る。最適な場所に誘い込む、などと言う目論見は一瞬で消え去った。
 周囲の地形ごと容赦なく爆炎に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「が、はっ!」
「ほぉら、そっちもだ!」
 次いで、カプセルの間を駆けるラスベルトへ、魔炎の光線が放たれる。盾として頼りきれぬとは事前の情報の通り、カプセルごと薙ぎ払う一撃。
「くっ……これほどかっ!」
 とっさに破魔の光で弾こうとするが、魔炎の火力は圧倒的だ。致命傷を避けるのが精一杯、全身を焼かれる苦痛に顔を歪める。
「ぐっ、だが……これも好機を掴む対価だ……!」
 それでも、まだなんとか身体を動かせる。であれば、戦いを止める訳にはいかない。己の理力を精一杯練り上げ、蒼雷へと変えていく。
「僕は、僕にできることを、全力で!」
 それは宵も同じだ。壁に叩きつけられ、軋む身体を動かして、星の意匠の魔杖を持ち上げる。
「三千世界の彼方より、大いなる怒りと共に招来せよ――!」
「この戦いに―――勝つのみですっ!」
 ラスベルトの蒼雷が、オロチの身体を牢に捕らえる。
「お、おおお~? 動けない?」
 そして、痺れ動けぬオロチめがけて、天航に導かれた隕石が降り注ぐ。
「……はい、ど~んっ!」
 だが。それは、門から剣に戻した水晶の、ユーベルコードですらない斬撃で、牢獄ごと無造作に斬り裂かれた。
「ムシュシュ、残念。その傷じゃあ、集中もしにくいでしょ~?」
 ふふん、と鼻(?)を鳴らしたオロチ。流石に無傷ではないようだが、その声には余裕が満ちている。
 そしてそんな彼の目の前に骨が現れ、巨人へと組み上げられた。
「はい、次はこれ。ジャイアントカルシウム~!」
 その巨人に狙われたのはミコだ。その巨体が振るう巨大な水晶剣が、広い範囲を薙ぎ払う。
「ぐっ!」
 カプセルの裏側に隠れようとするが、それごと無造作に斬り捨てられる。
 その場所が悪かった訳ではない。ただ、どこにいようと、隠れるだけでは、その強大な攻撃を防げぬと言うだけの事。
「屠竜の魔女が、オロチどころかその骨に噛まれるとは……」
 忸怩たる思いを感じるものの、それを悔いている余裕はない。流れ出すタールと共に、その身から竜を呼ぶ。
「ですが、オロチと言えば竜の名。ならば私の糧になって頂きますよ……!」
 水晶の剣を振り切った、今は隙だ。巨人がオロチの動きをトレースする、それは即ちオロチは巨人を動かすために剣を振らねばならぬと言う事。
「貴重なユーベルコードを仲間の元へ持ち逃げするつもりなのでしょうが……させません!」
「なんのことかな~……っと!」
 空惚けているのか、それとも本当に心当たりがないのか。読みにくい声と共に、黒竜の魔力を食らいつかせるも、力任せで振り払われる。
「うん、今のは攻撃としてはまあまあ。でも防御が疎か過ぎたねぇ」
 採点する余裕すら見せて、傷つき倒れた猟兵達を見下ろすオロチ。
「ムシュシュ、キミ達ねぇ。ボクをちょ~っと舐め過ぎなんじゃないか、って思うんだよね~」
 スキルに頼った行動。それは確かに、並のオブリビオンを相手には通用するかもしれない。
「確かに理系だけどさぁ、これで結構、強いんだよ~」
 だが、己を遥かに上回る強敵に、ただ漫然と技を積み重ねた所で、それが届く道理はない。
 それ以上が。自分だけの、あるいはその敵を相手にした時だけの、そんな戦い方がなければ、決して届きはしない。容易には届かぬがゆえの、強敵なのだから。
『そ~いう訳で~……ほらそこぉっ!』
「っ!?」
 と、オロチの身体が突然、ドロリと溶けた。一気にその身体が伸び上がり、上空へと跳ね上がる。
「しまったっ……!」
 狙われたのは、ルクレイフェ。大鷲に跨がり、上空に退避していた彼女の身体が、緑の粘液と化したオロチに巻き付かれる。
「く、ぅっ……離れ、てっ」
 その身体に巻き付かれると、ジュッ、と音を立てて肉が溶けた。激痛に声を上げながら、魔力を通した五指に力をこめる。
『おおっと……なかなか我慢強いねぇ』
 痛みに耐えて時間を稼ぐと、その間に練った魔力を全て、オロチに叩きつける。指に嵌めた五杖が生み出す十の魔力がオロチを引き剥がし、地に落とした。
『いたた……そんなにボクに溶かされるのが嫌だったのかなぁ、ムシュシュ』
「生理的にダメね……粘液以前に、そのあなたの、嫌な雰囲気がっ」
 だが、その対価として、自身と共有している大鷲の生命力を大きく消費した。着陸を余儀なくされる。
 彼女の場合は、単純に失策だ。伸縮性を増すユーベルコードは、猟兵ですら20m以上に身体を伸ばす者もいる。ドクター・オロチほどの強敵がそれを用いた場合、いかに広い部屋だろうと、ただ空に逃げるだけでは意味が薄い。
「ムシュシュ、酷い物言いだなぁ」
 さして傷ついた様子もなく、粘液から戻ったオロチは楽しげに猟兵達を見渡す。
「随分早く来たものだから驚いたけど、過大評価だったかなぁ」
「いや……」
 そんな言葉に、ラスベルトは、地に倒れ苦しげに、しかしなんとか笑みを浮かべる。
「確かに、癪だが僕の攻撃は届かなかった。されど……猟兵の牙は一本に非ずさ」
「へぇ……じゃあその牙には楽しませて貰えると良いものだねぇ!」
 表情がなくてもわかる、明らかな嘲笑と共に、オロチは次の相手へと標的を移す。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

リコリス・シュピーゲル
ずいぶんめんどくさい方ですこと
これまで苦労しましたのよ?

【ミレナリオン・リフレクション】で意図返しと参りますわ
先手を取られるのなら、「学習力」で細部まで再現できるよう回避しつつ「時間稼ぎ」できますわね
光線や突進等危険な領域がはっきりしているものは「見切り」でそこから離脱、咆哮は「オーラ防御」で耐えましょう

最低限学んだらもう受ける道理はないわね
さぁ、「カウンター」でお宅のワンちゃんをお返ししますわ!
ついでに「属性攻撃」というささやかなおまけもお付けしましょう
「スナイパー」の正確さで「傷口をえぐる」わ
もちろん「2回攻撃」「武器落とし」「鎧砕き」で積極的に弱らせていきましょう

絡みアドリブ等大歓迎


須藤・莉亜
「やっほー、脳みそくん。じゃあ、死んで?」
おっと、戦いが楽しみすぎてちっと端折り過ぎちゃった。

武器の大鎌を25本に複製、それらで【2回攻撃】【なぎ払い】【範囲攻撃】を使いつつ、なんかネバネバしてそうな敵さんの攻撃を迎撃してみよう。
「大鎌は溶かされないでしょ?…タブン。」

初撃を防げたら、20本を攻撃用にし、残りを防御用に自身の周囲に展開。
狙いは手足、出来れば首。

攻撃用の大鎌で他の人の攻撃に合わせて追撃したり、ヤバそうな攻撃が当たりそうな人を【武器受け】でフォロー出来たら良いかも。

「ゾクゾクするね。どんどん殺しあってこう。」
ところで、脳みそのどっから声出してるの?

アドリブ&他の人との連携歓迎


弥久・銀花
【WIZ】


きゃああっ!? 脳味噌人間?!

ああ、ビックリしました、ただのオブリビオンでしたか。


この部屋の悪趣味なお友達は貴方の仕業で入浴中ですか?
そうだとしたら許しません、同じ人として、研究で後回しにされる付けているケジメを着けさせてあげます!



と啖呵を切るものの相手は今までで最強に近いオブリビオン、初手の攻撃をユーベルコードの人狼咆哮で迎え撃ちます。
本当は攻撃に使用したかったのですが、出し惜しみできる相手じゃないですからね。

フェンリルの撃破に至らなかったしても怯ませる事くらいは出来ると信じます、【破魔】のスキルはまだそこまで習熟できては居ませんがそのくらいなら!

怯ませた隙に接近して刀で攻撃です!


月宮・ユイ
SPD判定

その立ち位置やまるで実験をするかのような行動、不気味で嫌な予感がする
この手の輩をきっと後々災厄を呼ぶ。早々に倒してしまいたいのだけど…

[星剣]の核と両手を合わせ”力溜め、全力魔法”にて【捕喰形態】、剣を牙に両腕を纏めて巨大な狼風の頭部に変え”範囲攻撃”するよう受け止め喰らい対抗
”戦闘経験、視力、暗視、聞き耳、情報収集、第六感”
感覚と知識、今持てる全てを使い粘液の動きを”見切り、カウンター”として迎え撃つ
”耐性、オーラ防御”で耐久力をあげ、
UCの効果に加え、”生命力吸収、マヒ・気絶攻撃の呪詛”も乗せ、
少しでも良い、喰らい摂り込み削ってみせる
廻れ[ウロボロス]、過去を、死を喰らいなさい



「うぅ、脳みそ人間かと思ってビックリしました……ただのオブリビオンでしたか」
「オブリビオンならビックリしないんだ、へ~」
 知的好奇心旺盛に、銀花の反応を楽しむオロチ。そんな視線、らしくものに気づくと、銀花はじっと睨み返す。
「この部屋の悪趣味なお友達は、貴方の仕業で入浴中ですか?」
「ん、そうだよ~。大分壊しちゃって悪いと思うけどさ。まあもうここでの研究は大体終わった後だし」
 脳の浮かぶカプセルを見やって問う銀花に対し、オロチは一切悪びれない。その姿が彼女の、そして猟兵達の嫌悪を煽る。
「そうだとしたら許しません。ケジメをつけさせてあげます!」
「へぇ、やってみなよ!」
 再び水晶剣を門に変え、フェンリルを呼び出すオロチ。その生み出す咆哮が、爆炎を生み出し銀花を襲う。
『『オ……ォォォォォォンッ!!』』
 奇しくも、2つの咆哮が重なった。フェンリルの咆哮が生み出す爆炎に、真っ向から立ち向かう銀花。
(くっ……!)
 だが、フェンリルの力は強大だ。銀花一人が喉も裂けよと叫んだ所で、防ぐにはあまりに心許なく……。
「お返しして差し上げますわ?」
「内蔵因子励起……いくよ」
 だが、そこに、リコリスが、ユイが、並び立つ。
「意趣返しと参りましょう!」
「少しでも良い、削ってみせる……!」
 リコリスが、ミレナリィドールの力でフェンリルの炎を模し、真っ向から叩きつける。
 ユイが両腕と星剣を捕喰者に変え、フェンリルの力を喰らう。
 3人がかりの防御が、フェンリルの力を阻んでいく。
「ムシュッ、小癪だねぇっ!」
 その様に、舌打ち、らしき音を立てるオロチ。水晶門を握り、さらにフェンリルに力を注ぐ。
 はっきり言ってしまえば、彼女達一人ひとりの力は、正直を言えば力不足だ。もし、一人ずつでフェンリルに挑んでいれば、その力を防ぎきれず、膝を屈していただろう。
 だが、敵のユーベルコードを正面から『防ぐ』と言う行為は、即席でも仲間と力を合わせやすく、猟兵の数の利を活かしやすい。無論、合わせた分だけフェンリルも攻撃してくるが、1対1の3回と、3対1の3回と。どちらが有利かなど、考えるまでもない。
「その立ち位置やまるで実験をするかのような行動。不気味で嫌な予感がする……」
「え~、そんな事ないよ~」
 ユイの懸念を軽口で笑い飛ばすオロチだが、そんな言葉が信じられる訳もない。
「あなたはきっと後々災厄を呼ぶ。早々に……倒す!」
 ついに、フェンリルの喉元に、牙が喰らいついた。
「廻れ、ウロボロス。過去を、死を喰らいなさい……!」
 死を制し、死を以て死を喰らう。変化の際に内部取り込ませた連環の宝珠が力を放ち、フェンリルの力を奪う。
「さあ、お宅のワンちゃんをお返ししますわ!」
 そうして生まれた隙に、リコリスがフェンリルを模した力を反射する。本来のフェンリルには及ばないが、今の弱ったフェンリルなら、逆に喰らい尽くすほどの力。
「本当にめんどうくさくて……これまで苦労しましたのよ!」
 ここまでの道のり、オロチの策の数々……特にオロチウィルスの脅威。グリモア猟兵として関わったそれを思えば、ここまでの怒りを叩きつけるリコリス。模倣のフェンリルが、本物のフェンリルを組み伏せ、炎の裂け目に牙を突き立てる。
「さあ、ここですっ……!」
 咆哮を止め、一気に駆ける銀花。三人がかりで掴んだ好機、逃す訳にはいかない。守り刀に手をかけ、それを一気に引き抜いた。
「おぉぉぉぉぉっっ……!」
 ユーベルコードを再び放つ隙は当然ない。だが代わりに、気合の咆哮を迸らせ、刀を振り下ろし、オロチを真っ向から断ち切らんとする。
「いったぁ……!」
 その刀が脳に食い込み、痛みに悶絶するオロチ。倒れてのたうち……その身体が粘液に溶ける。
「あ、逃しませんよっ!」
『ムシュシュ、逃げるんじゃないよ!』
 一気に身体を伸縮させ、オロチが向かった先にいるのは莉亜。言葉通り、逃げる訳ではない。攻めに転じるべく、一気に飛びかかる。
「やっほー、脳みそくん」
 迫る粘液に、しかし莉亜は動じない。手にした白い大鎌を前に掲げる。
「じゃあ、死んで?」
『っ!?』
 そしてオロチの前に、25本の大鎌の壁が立ちはだかる。莉亜が分裂させたそれに迎撃され、身を裂かれるオロチ。
「うん、やっぱり。大鎌は溶かされないでしょ?」
 カリスティックボディは、あらゆる『生命体』を溶解する粘液だ。つまりそれは、命以外には及ばない。巨人の剛力やフェンリルの魔炎の大火力に比べれば、対策を立てやすい。
「ただ、美味しくないのが難だけど」
 その分、粘液に対して、斬撃はいまいち手応えが浅い。味覚を共有する大鎌が感じる『味』も血の味ではなく、不満を抱く莉亜。
「まあでも、流石に細切れにすれば、粘液だって死ぬよね?」
『されたくないねぇっ!』
 五本のみを守りにまわし、残りを20本を攻撃に回せば、その浅さは十分補える。ザクザクと裂き続ければ、オロチの粘液が地面に散らばり始める。
「ゾクゾクするね……ところでどっから声出してるの?」
『さあ、どうだろうね……もうっ』
 流石にこれ以上はと、今度こそ本当に跳んで逃げるオロチ。
「もう……逃げないで。どんどん殺しあってこう」
「ムシュッ、実験で刻むのは好きでも、殺し合いはそんなに好きじゃないねぇ」
 粘液から身体を元に戻せば、あちこちが裂けており、オロチに不満げに己の傷を撫でる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

日和見・カナタ
ドクター・オロチ…ウィルスを開発して解放軍の皆さんを殺そうとした人、でしたよね。
技術も凄まじいですけど、人の命を何とも思わないその精神性こそが恐ろしいです。
何とかここで倒して、憂いを断たなければなりません!

戦闘開始前に2機の【ガジェットドローン】を随伴・展開させておきます!
ドローンには「相手の攻撃を観測すること」を命令して、その達成を最優先に行動させますね!
ドローンの情報は【サイバーアイ】で同期して、自分とドローンの多角的な視覚で以て【カリスティックボディ】の初動を読んで回避を試みますよ!

回避後はすぐに反撃に移って【属性攻撃】を付与した【ヒートインパクト】で粘液の体を吹き飛ばしてみせます!


フランチェスカ・ヴァレンタイン
UCを発動待機してオロチへ向けて噴射加速を
到達直前に召喚された骸骨巨人に発動をキャンセルし、中空でロールして巨人の振るう水晶剣に加速の勢いを載せた斧槍の一合を叩き込みます
鍔迫り合いに全力噴射で押し込み、勝って剣を弾ければ良し
こちらが弾かれたとしても推力偏向で旋回して高機動戦に移行、交差機動で戦槌をどんどんお見舞い致しましょう
スケルトンには鈍器。――常識ですわよね?

オロチと巨人が近距離で一直線に重なりましたら好機です
改めて諸共にUCを叩き込んで爆砕してしまいたいところです、が

「こちら、とうに割り切ったモノを穿り返して戴いたお礼でしてよ? どうぞご遠慮なく――!」

※台詞アレンジ・アドリブ・絡み歓迎



「さあ、そろそろ決めましょう!」
 スラスターを噴射、加速。フランチェスカが宙を舞い、オロチに急速接近。その斧槍を掲げ、振り下ろそうとする。
「おおっと、それは困るねぇっ!」
「っ、来ましたわね……!」
 それを遮るべく、再び骨の巨人を呼び出すオロチ。とは言え無論、それは予測の通り。すぐさま、ユーベルコードの発動を取りやめ、代わりに加速の勢いを乗せて斧槍を叩きつける。
「ふんっ……!」
 斧槍の一撃が、骨巨人の巨大な水晶剣とぶつかり合う。その怪力に、スラスターの加速で真っ向から張り合うフランチェスカ。
「こいつに力で勝てるかな~」
「ぐっ、流石に……」
 アーマーの力を全開にし……だが、巨人の怪力には届かない。競り負け、弾き飛ばされる。
「ですけれどっ!」
 そしてそれも計算のうち。すぐさま旋回して立て直し、高機動戦に移行する。
「スケルトンには鈍器。――常識ですわよね?」
「むっ、この……!」
 巨人ゆえの動きの粗雑さを高速機動で突き、機殻の戦槌で骨を爆ぜ砕く。そうしてついに、巨人が膝を屈したその瞬間……フランチェスカは、全力で、ハルバートを振りかぶる。
「こちら、とうに割り切ったモノを穿り返して戴いたお礼でしてよ?」
「要らないよ、キミのお礼なんかっ!」
 そんな言葉を無視し、巨人に戦槌を叩きつける。そして、術式炸薬を着火……。
「いえいえ、どうぞご遠慮なく――!」
 渾身の爆裂が、巨人を粉微塵に吹き飛ばし、その奥のオロチすらも吹っ飛ばす。
「ムシュッ……もうっ、やってくれたねぇ!」
 流石に苛立ちを露わに、地面を転がるオロチ。だが、途中で粘液に変わり、伸縮する。
『でもまだまだだっ……!』
 飛びかかる相手はカナタ。圧倒的スピードでの突進は、回避が難しい。
「当たりませんっ!」
『ムシュッ!?』
 ……だがそれを、彼女は見事かわしてみせた。
『今のを躱すの? ……いや、あれは』
「はい、4つの目で、動きを読ませて貰いました」
 2機のドローンにオロチの動きを観測させ、それをサイバーアイに同期。オロチの動きの初動を見切っての回避。
 ガジェッティアとしての優れた技量を最大限に活かした行動が、彼女に今の動きを可能にさせた。
「そしてこれでっ!」
 無論、避けただけでは終わらない。着地し、縮んだばかりですぐには飛び出せない緑の粘液へ、拳を真っ直ぐに突き出していく。
「超熱(ヒート)――」
 通常の拳打では、粘液に衝撃が通じにくい。いや、そもそも拳が溶かされるのがオチだ。
 だが、蒸気機関である彼女の腕に生命を溶かす粘液は通じない。
 そして、その拳が、熱く、赤く、燃え上がる。
「――発勁(インパクト)!」
『っ~~~!!?』
 これまでのダメージ、特に先程フランチェスカに受けた一撃がまだ残るオロチに、それをかわすのは不可能だ。
 繰り出された熱拳は、粘液を焼き、燃え上がるそれを衝撃で吹き飛ばした。

「ムシュシュシュ……いやぁ、参ったね。これが猟兵の力って訳か」
 粘液から元の姿に戻ったオロチ。だが、その身体はすでにボロボロで、生命活動を維持する事は出来ない。その身体が消えていく中、オロチは猟兵達を見回した。
「まあ、うん。今回はボクの負けって事にしといてあげよう。まあオブリビオンである以上、こんなもの、ただの一敗目に過ぎない訳だけど」
 本音と負け惜しみと。その割合は読みにくいが……おそらく、どちらも混じっているのだろう。
「さあ、ボクを殺し切る事が出来るかな……ムシュシュシュ!」
 そしてオロチは、『一回目』の死を迎え、消滅した。
 程なくして、彼は、このガルベリオンのどこかに、再び姿を現すはずだ。そちらでオロチと戦う猟兵達に思いを馳せ――あるいは人によってはすぐにでもそちらに向かうべく――猟兵達は、その場を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月17日


挿絵イラスト