星空駆けるウォータースライダー
●猟兵達の夏休み2022
「皆様! 今年の水着の準備はよろしくて?」
エリル・メアリアル(|孤城の女王《クイーン・オブ・ロストキャッスル》・f03064)が突如、猟兵達へと尋ねた。
今年も夏がやってきた。夏と言えば、水着。水着と言えば、水遊びである!
「そういうわけで、今年も皆様を素敵な場所に招待いたしますわ!」
エリルが楽しそうにグリモアを掲げてみせる。そう、猟兵達の夏休みが今年も始まったのだ!
●星空駆けるウォータースライダー!
スペースシップワールド。
エリルのグリモアが映し出したのは、プールであった。
そこはどうやらリゾート船になっていて、宇宙船全体が南国風にデザインされている。
ここでは普通のプールから波のプール、流れるプールなどバリエーション豊かなプールが揃っていて、夏のレジャーが楽しめるのだという。
その中でも目玉とされているのが……。
「ウォータースライダーですわ!」
エリルがびしっと指をさす。それとほぼ同時に『きゃあああ!!』という悲鳴が響き渡った。
ウォータースライダーとは、簡単に言えば水流で勢いを付けた滑り台である。
とはいえ、直線で一気に落ちるものや、曲がりくねったコースになっているもの、一人で滑るものや、大きな浮き具に乗って皆で滑るものなど多種多様、それぞれ違ったスリルを味わえる。
「ここのスライダーの特徴は二つ。まずは感じたいスリルに合わせた多種多様なコース、そしてもう一つは……」
ぱっとエリルが宇宙船の壁に目をやった。
なんと宇宙船の外壁にいくつものスライダーが設置されているではないか。
「そう、ここのスライダーはまるで宇宙空間を滑るかのような光景が楽しめますの!」
ほんの壁一枚隔てた先に広がる宇宙を眺めながら爽やかな水流に身を任せる……スペースシップワールドならではの体験となるだろう。
続けて、エリルはスライダーの種類について説明を始めた。
「このスライダーは大きく分けて3つのゾーンに分かれていますわ」
エリルが指を立てる。一つ一つ指を立てながら、エリルは詳細の説明を開始した。
「一つ目はエンジョイゾーン。ご家族連れやカップル等が程よく楽しめるものですわ」
このゾーンは、複数人乗りの大きな浮き具に乗って、わいわい楽しめるものが多い。勿論一人で楽しむコースもあり、冷たい水の流れとともに爽やかな風を感じながら滑り落ちる様子は、夏にぴったりだろう。
「二つ目はチャレンジゾーン。もう少しスリルを感じたい方向けのものですわ」
エンジョイゾーンよりもスリルを感じたい場合はこのタイプを選ぶと良いだろう。突如として出現する急滑降や、意外と出るスピード感が絶叫モノ好きにも丁度良い筈だ。
「そして三つめは……デンジャラスゾーン……!!」
エリルが冷や汗を垂らしながら、3本目の指を立てた。
それは読んで字の如し。命の危機すら感じてしまうようなスリル満点のコース設計をしているのが特徴だ。
「もはやほとんど垂直のようなもの、ちょっと吹き飛ばされるようなもの……あぁっ、考えただけでも恐ろしい!」
エリルが震えるように首を振る。どうやら、相当な絶叫好きかチャレンジャーでない限りは選ばれないゾーンなのだろうが、これが結構人気なのだとか。
「どのゾーンも複数人で遊ぶことのできるコースはあるようですわ。どなたかお誘いの上で一緒に滑るというのもいいんじゃないかしら!」
そう言ってから、エリルはちょっとそっぽを向きながら付け加える。
「……わ、わたくしだって誘われたんなら一緒に滑って差し上げてもよろしくてよ?」
全ての説明を終え、エリルがグリモアを輝かせる。
「プールは広いから、どれか一つのゾーンを中心に遊ぶといいと思いますわ」
そして、満面の笑顔を向けながら告げた。
「さぁ皆様、楽しい一日を過ごしましょ♪」
G.Y.
こんにちは、G.Y.です。
今回はスペースシップワールドで猟兵達の夏休みです!
このシナリオは1章限定のイベントシナリオになっております。お気軽にご参加ください。
今回は宇宙空間を眺めながら楽しめるウォータースライダーへご案内です。
3種の中から一つを選んで楽しんで頂ければと思います。
●エンジョイゾーン
怖さよりも楽しさ。わいわい楽しく遊ぶことを前提としたゾーンです。
●チャレンジゾーン
エンジョイよりもう少しスリルが欲しいな……という方向け。楽しく、そしてドキドキしたい、そんな両方が欲しい方向けのゾーンです。
●デンジャラスゾーン
命の保証はありません(※あります)。
超ド級のスリルを味わいたい方向けのゾーンです。
ほぼ垂直、激しすぎる水流、身体が吹っ飛ばすほどの勢いなど、多種多様でデンジャラスなコースで皆さんを楽しませます。
どのゾーンにおいても、一人用、複数人用のコースが用意されていますので、お一人でも友達一同とでも、お好きなメンバーでお楽しみください。
なお、お呼び頂けた場合はエリルも同行いたします。
プレイングに記載いただければ喜んで参加いたしますのでよろしくお願いします。
プレイングボーナスは「水着の着用」となります。
それでは、皆さんの素敵な夏休みプレイング、お待ちしております!
第1章 日常
『行楽船を楽しもう!』
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POW : ノリと勢いで、とにかく楽しむ。
SPD : あちこち回って、たくさん楽しむ。
WIZ : 頭を使って、冷静に楽しむ。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「祭りとアトラクションか、人の楽しみを理解しよう」
●エンジョイゾーンでは子供たちが親と一緒に笑顔ではしゃいでいる姿を見て「幸福のパルスみ満たされている」と感じて過ごし
●デンジャラスゾーンでは普段に過ごしている宇宙空間と大差が無いので周りの人達が楽しく笑顔で過ごしているのを少し不思議そうに見ています
●チャレジゾーンでは武装を解除されてファンネルビットも戦闘形態使用の効果を封印されて『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』で適材適所への最適化はできて少し気持ち的に落ち着きます。
アトラクションによっては自然重力や力場の変化を体感しながら娯楽として楽しみます。
スペースシップワールド。宇宙空間を旅する数多くの宇宙船の中には、人々が息抜きをする為のリゾート船も存在する。
今回猟兵達が訪れたのはそんな船のうちの一つであった。
夏の暑さを感じさせるような気温調整はされつつも、不快ではない適度な暑さ。投影される空のスクリーンは抜けるような青空で、リゾートにはもってこいの空間だ。
「祭りとアトラクションか。人の楽しみを理解しよう」
そんなリゾート船を訪れたティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は、周囲を見渡しそう呟いた。
彼女は召喚獣、人の姿をしながらに人ならざる存在だ。だからこそ、人の営みには興味があった。現在リゾート船には一般人の行楽客も多く来場している。それらを観察すれば何か知ることが出来るかもしれないと考えたのだ。
最初に訪れたのは『エンジョイゾーン』だ。ここでは程良いスリルが味わえる、大人も子供も一緒に楽しめるエリア。そういう場所となれば当然、親子で楽しんでいる客も多い。
「わーっ!」
「きゃーっ、はははっ!!」
親と子がたのしそうにはしゃぐ声を聴き、ティティスは目を細める。
「これは……幸福のパルスが満たされている」
笑い合う親子の表情に心の奥が温まるものがあった。このゾーンはどこでも笑顔に溢れている。彼らのパルスをいっぱいに受け止め、ティティスは次のゾーンへと向かうのであった。
「これは……何故こんなことを?」
ティティスは首を傾げた。傾げた視界で、丁度スライダーが水平になっている。つまりそれは滑る客にとってはほぼ垂直を意味し。
「ぎゃぁああああっ!!」
滝つぼに落ちていくようにすら見える客の悲鳴が響き渡る。
「うひゃぁあああっ!!?」
「……?」
跳ね上がるスライダーに吹っ飛ばされ、宙を舞う客を見上げてまた首をかくり。
「これは普段の宇宙空間と大差ないではないか?」
不思議そうなティティス。しかし、あれだけ悲鳴を上げながらも、このゾーンも『楽しい』で溢れている。
まだまだ人のことを理解するには、時間がかかりそうであった。
「では、私はこれを試してみよう」
そんなこんなで施設を一通り歩き回ったティティスが選んだのは、チャレンジゾーンであった。
「武装はないが……」
ティティスは自身の身体を見渡す。
ここはリゾート船だ。武装はご法度ということで普段の装備は封印されてしまっている。
そんな状況に少々心細さを感じないわけではないティティスであったが、それならば、と全身を輝かせ、その身に『適材適所』の『最適化』を図る。
つまりそれは『水着』の着用だ。ティティスらしい金色の水着姿へと姿を変えた彼女は、ウォータースライダーの入口へと足を踏み入れた。
ざぁっと流れてゆく水流に身体を滑らせれば、その身体がチューブの滑り台に沿って一気に加速する!
「ふむ……!」
滑り落ちながら感じる重力、力場の変化。なるほど、このような娯楽なのか、と納得をしながら、ティティスはスライダーを滑り落ちてゆく。
出口のプールへとばしゃっと放り出され、水面に顔を出したティティスは、濡れた髪をかき分け、いつものクールな表情でスライダーを見上げた。
その表情は、少し柔らかく、微笑んでいるようであった。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
※お色気&テロ?
ゴクリと唾を飲み込み
「…そ、其れでは、デンジャラスゾーンで」
「…垂直。此れ、垂直です!ロープレスバンジーは嫌ですぅ…あ゛?」
自分で選んだのに泣き喚きながら最前列からズリズリ戻ろうとして滑落
「ンギャアァア゛ヴァアァア~~」
長い雄叫びと共に滑落
5m程垂直に水飛沫をあげ水没
「ぶぇっほ、ゴホッ、ごほほっ、ズビッ」
顔面しわくちゃ鼻水垂らし
「………あ゛?」
プールから上がろうとして慌てて水没
周囲キョロキョロ
解説しよう!
夏季集中合宿でボートを選びTシャツ短パンの下に水着を着たら1日で水着が破けたと言うPL実話があっての。
つまり…分かるなw?
更衣室まで逃げ帰るのにUC使い感電者が出たとか何とか…
猟兵には、行かねばならぬ時がある。
猟兵には、逃げてはならぬ時がある。
それが今かと聞かれればきっとそうではないが、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)が覚悟を決めて足を踏み出したことに間違いはない。
「……」
ごくり。桜花が広がる光景を前にして唾を飲み込んだ。
「……そ、其れでは、デンジャラスゾーンで」
ひゅぅ、と透明なパレオをはためかせ、桜花は足を踏み出した。
階段を一段上がるごとに白いビキニに覆われた大きな胸がゆさりと揺れる。高度が上がるにつれて紫の髪が風に揺れ始める。
そしてスライダーの目前へと迫った時、桜花は小さく呟いた。
「……垂直」
サァっと血の気が引いてゆく。ここにきてようやく桜花は、自分が今どこに立っているかを自覚したのだ。
「此れ、垂直です!」
足元のスライダーは、数十メートル下までを見通せる。傾斜なんてほとんどない。なんならもはやこれは滝だ。
「ロープレスバンジーは嫌ですぅ……!!」
出発口脇の手すりにしがみつき、桜花が泣き喚く。最初の覚悟はどこへやら、腰はがくがくに引けて、足は生まれたての小鹿のように震えている。
「やっぱり私、帰り……あ゛?」
つるん。
足元の水に滑って、次の瞬間、桜花はスライダーの中へと飛び込んでいた。
「ンギャアァア゛ヴァアァア~~!!!」
おおよそ美女のものとは思えぬ雄叫びと共に、桜花の身体がまっすぐ落ちてゆく!
もはやこうなっては止めようがない。頭上から落ちる水流は、桜花の身体を押し流してさらに加速させる!!
――どぼぉぉん!!
盛大な水柱を上げてプールへと突っ込んだ桜花。数秒程ぶくぶくと沈んだ後、『ぶぁはっ!』という声とともに、桜花が水面に顔を出した。
「ぶぇっほ、ゴホッ」
顔がもう可哀想なくらいにしわくちゃだ。突然の入水で、変な所に水が入ったのだろう。
「ごほほっ、ズビッ……」
何度もむせて鼻水を垂らし、桜花は泣きべそでプールサイドへと泳ぐ。そして浅瀬に足をつけて立ち上がった瞬間。ひゅぅ、と風が吹いた。
「………あ゛?」
なんだかやけに身体がすーすーする。水に濡れた肌はやけにひんやりと、桜の花びらがふるりと揺れて。
「……!!!」
桜花が突如、身体をプールに沈め込んだ!
「!?……! ……!!!?」
首から上だけ出した桜花は、必死の形相で周囲を見渡す。
かぁぁあと顔が赤く茹ってゆく桜花。何とは言わないが、もはやトラブル的なことがあったのは、疑いようがなかった。
「~~~~!!」
この後、プールに桜花の姿を見かけたものはいない。
代わりにばちばちに感電した客と、ゆらりと白い布きれが浮かんでいるのが発見されたとか――。
大成功
🔵🔵🔵
クリム・フラム
アドリブ連携歓迎
「とりあえずアレですね、デンジャラスゾーンに直行します!」
パンフレットを素早く読んで記憶、派手そうなデンジャラスゾーンのスライダーを選択します。
一部が無重力になってるエリアを水流と慣性で飛びながら花火が飛んでいる中に突っ込んで行ったりします!
「あはは楽しいです!……あ、これやばい、ちょっと加速度ががが」
最初は素直に楽しんでるけど、カジュアルに重力加速度が人体の限界を超えてくるカーブに目を回してしまいます。
「ここは宇宙船の反対側ですか?上下も逆ですか、そうですか」
降りるころにはなんか人が変わった感じになっちゃってる雰囲気で。
エンジョイ、チャレンジ、デンジャラス。
ウォータースライダーが名物なリゾート船には、3つのゾーンが存在する。
「とりあえずアレですね」
クリム・フラム(図書室のパイロマニア・f36977)はホログラム状のパンフレットを畳んでうんと頷いた。
「デンジャラスゾーンに直行します!」
クリムの目的はずばり、一番派手そうなもの。それこそが一番楽しい物であろうと信じ、デンジャラスゾーンへと一直線に向かうのであった。
「うわぁ、すごい!」
デンジャラスゾーンへと到着したクリムは、その光景に目を輝かせた。
垂直落下、超加速、大回転。宇宙船の外壁に沿って作られたコースはその姿だけでもなかなかの威容だったのだ。
「よぉし、行きますよー!」
クリムはその中でも一際派手そうなコースを選ぶ。上下左右にぐねぐねうねりながら加速してゆく最凶コースの一つだが、クリムは臆することなくスライダーへと飛び込んだ!
「ひゃあぁぁあ~~~っ」
水流に乗って、クリムの身体がぎゅんと加速する。その勢いのままほとんど180度ターン。
遠心力が思いっきりかかって身体が外へと膨らむが、コースはちゃんと計算されて、そこにも強い水流を流すことでさらに速度を上げてゆく。だが、それでもクリムは笑っていた。
「あはははは!」
加速した先で、すぽんと身体が吸い込まれる。透明なチューブに覆われたエリアは無重力で、周囲は一面宇宙空間。クリムは浮遊感と共に身体を回転させながら、一面の星空を見上げ、見下ろす。
慣性のついた身体は速度を落とすことなくチューブの中を通り抜けてゆき、その先で出迎えた花火の中へと飛び込んだ。
「楽しいです!!」
デンジャラスだが、素敵な光景だった。だが、このコースはまだ終わらせてくれない。勢いをまだまだつけようというのだ。
コースはそのまま渦巻くエリアに流れ込み、クリムの身体をかき回す。そこでようやく、クリムの顔にも焦りが見え始めた。
「……あ、これやばい、ちょっと加速度ががが」
重力加速度が限界を超える! それでもまだ、このコースは容赦なくクリムに新たな地獄を味わわせてくる!!
「あわあわわあわぁぁあ~~~……」
目がぐるんぐるんと回り出す。もはや、楽しむどころではない。そんな中、クリムの身体がチューブから放り出されて、プールへぼしゃんと落とされた。とうとうゴールを迎えたのだ。
「ぷはっ」
プールから顔を出して息継ぎをするクリム。頭は左右にゆーらゆら揺れて、隣を向いて首を傾げる。
「ここは宇宙船の反対側ですか?」
その目線の先には誰もいない。
「上下も逆ですか、そうですか」
見えない誰かに話しかけ、力なく笑うクリム。
なんたることか、デンジャラスゾーン。その中でも最凶の名は、伊達では無かったようである。
なお、この後少しの休憩を挟み、クリムはしっかり復活いたしましたとさ。
大成功
🔵🔵🔵
ヘスティア・イクテュス
へぇ~外壁にもあるのね…、結構楽しそうなコンセプトじゃない?
と今年新調の天使モチーフの水着で
ラ…エリル!もしよかったら一緒にウォータースライダー行かない?
と見かけてお誘いを、えぇ、行くのは勿論エンジョイゾーンよ
と言いつつ行くのはデンジャラスゾーン
?ティターニアで超高速で飛んでるよりは緩そうだしあれがエンジョイじゃないの?
普通にきゃーきゃーとウォータスライダーを楽しみ
|のんびり《戦闘時より》と見える景色を楽しむ
水でこうのんびりと楽しむのも新鮮でいいわね~
あっエリルもう一回行く?
プールサイドに颯爽と、緑の長い髪がなびく。
白い羽根で身体を包んだような水着を纏ったヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は、案内されたリゾート船を物珍し気に眺めていた。
「へぇ~、外壁にもあるのね……、結構楽しそうなコンセプトじゃない?」
この施設の目玉はウォータースライダー。それも宇宙船の外壁に沿って作られており、星の海も一緒に堪能できる優れものだ。コースを流れる水流に身を任せて思いっきり滑れば、きっと爽快で楽しいに違いない。
そんな時、ヘスティアはふと、ある少女へと目が留まる。
「ラ……エリル!」
呼び止められたエリルは『何か引っかかる』というような表情を浮かべながらも、ヘスティアへと顔を向ける。
「一緒にウォータースライダー行かない?」
そんなエリルに、ヘスティアはにこりと手を差し出した。
「どこへ行くかは決まってますの?」
「えぇ、行くのは勿論エンジョイゾーンよ」
エリルの問いに、ヘスティアは笑って返す。その返答にエリルは内心安堵していた。コースを見る限りチャレンジでも結構怖そうだったし、エンジョイならきっと気軽に楽しめる筈だと思っていたからだ。
――が。
「なんでここなんですの!!?」
エリルが愕然とした顔でヘスティアへと叫ぶ。エリルの指さす先にあったのは、絶叫渦巻く地獄の領域(※エリル談)、デンジャラスゾーンだったからである!
だが、ヘスティアはきょとんとした顔で首を傾げ、逆に聞き返す。
「あれがエンジョイじゃないの?」
そこでようやくエリルは理解した。ヘスティアは普段『ティターニア』で超高速戦闘を行っている。その感覚から考えれば、たとえデンジャラスなコースであろうと、彼女にとってはお散歩に等しい感覚なのだ。
「わ、わたくしは――」
「さー、いこー!」
有無を言わさず、ヘスティアがエリルの手を引いた。
浮き具に二人乗っかって滑り出せば、ごぅ、という轟音と共に二人はコースの先へと消えてゆくのであった。
「きゃぁあああああっ!!?」
「きゃー、あはははっ」
悲鳴と笑い声が響き渡る。身体が左右に振れて、上下反転する。
「わー、すごいエリル、星空が凄い綺麗っ」
「それどころじゃっ、やぁぁぁっ!?」
既に半べそのエリルに対して、ヘスティアは気楽なもの。大渦に飲まれるようにぐるぐる回るするエリアにさしかかっても、風やGを楽しみながらのんびり星空を眺めている。
「あっ、ほらアレ見て。彗星!」
「いやあぁあぁぁあ~~~~~!!」
エリルはそんなの見る余裕もなく、ただただ浮き具にしがみつくばかりであった。
「水でこうのんびりと楽しむのも、新鮮でいいわね~」
ゴール地点のプール。濡れた髪を拭きながら、ヘスティアは屈託なく笑っていた。
その後ろではぐったりよろよろと歩くエリルの姿。しかしヘスティアはまだ物足りないなぁとばかりに思案して、エリルへと向き直る。
「エリル、もう一回行く?」
「遠慮しますわっ!!!」
大成功
🔵🔵🔵
メゥ・ダイアー
ここは、どこなのかな?
びゃくりんちゅう(白燐蟲)を追いかけてたらまたすごくきれいな所に来れちゃった。
すぺーすしっぷわーるど……すごいね、きらきらしててメゥの体みたいだよ!
あれ、投票所で見たことあるおねえさん!
えーっと、エリルさんはどこがいいと思う?
メゥ楽しいことすき。あっちのいっぱい水がジャバジャバしてる方もみんなすごく楽しかった、って言ってたの。
メゥ、できれば一緒に下まで行きたいな?
メゥわかったの、楽しいことはみんなでしたらも―っと楽しいよって。
あ! あのみんなで乗れる浮き輪の大きいやつがいい!
【スターライト・エアリアル】でつくったクッションいる?
楽しいね、楽しいね! お星さまがいっぱい!
――ここは、どこなのかな?
小さな淡い光を追ってきたメゥ・ダイアー(|記憶喪失《わすれんぼ》・f37609)は、ふと呟いた。
今にも消えてしまいそうな白い身体をゆらりと揺らして見上げれば、板張りの青々とした空が広がって、メゥの瞼を細めさせた。
ここはスペースシップワールド、リゾート船。この世界に住む人々が楽しむために作られた、人口の楽園であった。
「すぺーすしっぷわーるど……すごいね、きらきらしててメゥの体みたいだよ!」
窓の外に広がる宇宙空間にメゥは瞳を輝かせ、透けた脚をぱたぱたさせる。
『白燐蟲の漂う先に楽しいことが待っている』
傷付いたまっさらな心に残った|感情《きもち》に従ったメゥは、そうして出会った見たことのない光景に胸を躍らせていた。
「きゃぁぁっ、あはははっ」
楽し気な声がしてメゥは振り向いた。すると、この施設名物のウォータースライダーを楽しむ人々の姿が目に飛び込んできた。
「ふわぁ~……」
キラキラ輝く水しぶきは宝石のようで、名も知らぬ人達の笑顔をより美しく飾り立てた。互いに見つめ合い、笑い合う。メゥもあの中にいられたら――そんな憧れが胸によぎったその時。
「あら、あなたは遊びに行きませんの?」
メゥへと掛けられた言葉に顔を向けた先にいたのはエリルであった。
「あれ、投票所でみたことあるおねえさん!」
メゥは顔をぱっと咲かせて、エリルの元へと向かってゆく。
「えーっと、エリルさんはどこがいいと思う?」
メゥが唐突に聞く。エリルは少し首を傾げると、メゥはスライダーを指さした。
「メゥ楽しいことすき。あっちのいっぱい水がジャバジャバしてる方もみんなすごく楽しかった、って言ってたの」
目に浮かぶ先程までの光景。それを想い、すっと息を吸って言葉を紡ぐ。
「メゥ、できれば一緒に下まで行きたいな?」
上目遣いで、エリルを見つめるメゥ。
「メゥわかったの、楽しいことはみんなでしたらもーっと楽しいよって」
そんな言葉に、エリルは優しく微笑み返してから、ふふんと鼻を鳴らして胸を張る。
「うふふ、わたくしを誘うなんて目が高いですわね!」
そうしてエリルが差し出した手を取って、二人は歩き出した。
「あ! あのみんなで乗れる浮き輪の大きいやつがいい!」
「まぁ、楽しそう!」
二人が選んだのはエンジョイゾーン。小さな子供から大きな大人まで、誰もが楽しめるゾーンである。ゆるやかな傾斜に、程よいスピードは、外壁から覗く星空を眺めるのにも最適だ。
階段を上がり、入口で浮き具を受け取って、ふとメゥは思いつく。
「あ、ねぇねぇ、スターライト・エアリアルで作ったクッションいる?」
「あら、素敵!」
メゥの提案にエリルが嬉しそうに手を叩く。その反応にメゥは得意げに『ティンクルスター』を呼び出すと、そのうち一つをぎゅっと抱きしめて、浮き具へと乗り込んだ。
「行きますわよ!」
エリルの声に従うように、二人を乗せた浮き具がスライダーを滑り始めた。
冷たい水流の上で風が髪をなびかせ、二人を下流へと運んでゆく。
空には満天の星空。先ほど窓からみた光景とはまた違う壮大な世界に、メゥは目を見開いた。
「ぴかぴか、きらきら!」
それと同時に、ティンクルスター達が二人を追うように弾み、ぽんぽんとスライダーを流れて始めた。
「まぁ、上も下も!」
「楽しいね、楽しいね!」
満面の笑みを浮かべるメゥ。一緒に流れるティンクルスター達は流れ星のようで、二人を追い越しエスコートを始める。
「お星さまがいっぱい!」
きょろきょろと見渡すメゥ。エリルはそのメゥの瞳の中にも、星がきらきら輝いているように見えていた。
楽しいことはみんなでしたら、もっと楽しい。メゥの言葉にエリルは頷き、二人は星の海を流れゆく。
失ったのなら、新たに刻めばいい。感情の赴くままに往くわすれんぼの少女は、また一つ、楽しいことを見つけたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
冠月・拓真
水着着用。矢車・菊花(f33169)さんと二人で参加。
菊花さんと一緒にエンジョイゾーンのスライダーへ。
二人で乗れる大きな浮き輪で、指を絡め合うように手を繋ぐ。
少し硬くなっている彼女へと微笑みかけて、
「緊張しなくて大丈夫。俺が一緒にいますから」
「宇宙空間を眺めながら滑るってのはすごい発想だなぁ」
スペースシップ特有の光景を眺めながら、時折菊花さんと目を合わせて微笑み合い、幸せな時間を共有する。
終わるとすぐにデンジャラスゾーンへの挑戦を望む菊花さんの姿。
すっかり緊張も解けて楽しんでいる様子に、来てよかったと自分も嬉しくなる。
スリルも嫌いじゃない。それもいいですねと、握った手が離れないよう後を追った。
矢車・菊花
冠月・拓真(f00368)さんと一緒に参加。
水着を着て、拓真さんと一緒にエンジョイゾーンのスライダーに。
大きな浮き輪ですぐ隣に並んで座って。
ふふ、こういうのに乗るのは初めてなので凄く緊張します。
手を繋ぎ指を絡めて恋人繋ぎしながら、
滑りだすまでは緊張で強く握りしめて。
本当に……これを考えた方は凄いですよね……
流れていく宇宙空間を眺めながら、ふと拓真さんの方を見れば何度も視線が合って
その度に二人で笑いあっていれば、すぐに楽しい時間も終わって。
拓真さん、次はデンジャラスゾーンに行ってみませんか?
手を取って早足で引っ張るように、少しでも貴方と一緒に楽しみたいから。
スペースシップワールドのリゾート船。プールとスライダーが楽しめるこの船は、多くの行楽客を呼び寄せ、彼らに笑顔を与えていた。
そんな風に行き交う人々をぼうっと眺めていた冠月・拓真(月下のストーリーテラー・f00368)は、視界の端にチラリと映った青色に目を向けた。
「お待たせしました」
そこにいたのは、矢車・菊花(徒花の如く・f33169)であった。南国の花を描いた鮮やかな青の水着を纏い、少し駆け足で拓真の元へと向かってくる。
ふわりとパレオが舞う姿に拓真は微笑み返し、小さく首を横に振った。
「大丈夫ですよ。さぁ、行きましょう」
拓真が手を差し出し、菊花が手を重ねる。自然と指が絡み合って、互いの掌の体温を感じ合う。こうして、二人の特別な時間が始まった。
「ふふ、こういうのに乗るのは初めてなので凄く緊張します」
スライダーを前にして菊花が苦笑する。二人は今エンジョイゾーン。二人掛けの大きな浮き輪で流れる、景色を楽しむことを第一としたコースを選んでいた。
「緊張しなくて大丈夫。俺が一緒にいますから」
菊花に微笑みかけた拓真はまず先に浮き輪へと乗って、菊花の手を引いた。それに従って菊花も浮き輪へと飛び乗ると、二人はゆっくりバランスを取りながら、浮き輪の縁を背もたれにして腰を掛ける。
浮き輪は人が二人丁度隣り合って座れるくらい。狭くはないが、広くもない。けれど、そのサイズが丁度、互いの肌を触れ合わせててくれた。
重ねた手は離さず、絡めた指はぎゅっと強く。そんな二人の準備が整うと、スライダーはゆっくりと滑り始めた。
少しずつ加速してゆく二人の頭上には、満天の星空が広がっていた。
「宇宙空間を眺めながら滑るってのは凄い発想だなぁ」
拓真が呟いた。それに菊花も溜息をつく。
「本当に……これを考えた方は凄いですよね……」
その時、コースがぐぅっと大きなカーブに差し掛かる。それにあわせて二人の身体も傾いて、拓真の身体に菊花が身を預けた。
「……ふふ」
菊花が思わずくすりと笑う。度々、拓真と目が合ってしまったからだ。
「ははっ」
拓真もつられて笑いだす。大切な人と隣合う幸せを、星空の下、流れる水の上で二人は実感し合う。
二人ならばどれだけ長いスライダーだってあっという間だったろう。楽しいひと時も束の間、コースは間もなくゴールへと到達しようとしていた。
「うわっ」
「きゃっ」
二人が同時に小さな悲鳴を上げた。出口に到達した途端、コースから浮き輪ごと二人が放り出されたのだ。
浮き輪から滑り落ち、二人重なりプールに沈む。上がった大きな一つの水柱の根本から二人が顔を出すと、互いにきょとんと見つめ合い、ほんの僅かな沈黙が生まれた。
「ぷっ……」
「ふふふふっ」
二人が同時に笑いだす。二人のウォータースライダーは最後まで笑顔で詰まっているようであった。
「拓真さん、次はデンジャラスゾーンに行ってみませんか?」
プールから上がった菊花は、拓真へとそう尋ねた。そんな菊花の姿に拓真は少しホッとする。
最初の緊張はどこかに消えて、すっかり心から楽しんでいる。そう思えば拓真も自然と嬉しくなるものだ。拓真はそんなことを考えながら、笑って答える。
「スリルも嫌いじゃない。それもいいですね」
「じゃあ、決まりです!」
繋いだ手を引っ張って、菊花が早足で歩きだす。
苦笑しながらついてゆく拓真。その手が離れないようにきゅっと力が籠められたのを感じ、菊花はこの時間さえも愛おしく思った。
それでも、折角のこの場所を少しでも長く、貴方と一緒に楽しみたいから。
「ほら、拓真さん、早くっ」
菊花はそうして、拓真を急かすのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
※今年の水着着用
ウォータースライダー!楽しそう!
エリルさん、よかったらご一緒にいかが?
あ…水着のデザインは、気にしなくて大丈夫なので…はい…(照れ
正直デンジャラスもちょっと気になるけどー…
無難にチャレンジゾーンでどう?
誘っといてなんだけど、エリルさんって、絶叫自体は平気?
僕は急降下とかくらいなら飛ぶ時によくやるし
早いと風も感じられるから気持ちよくて好きかな
それも宇宙空間を飛べる機会なんて早々無いからね!
あ、飛ぶというより滑るだけど
もし怖い時は掴まってくれてもいいからね
さ、行こ!
滑る時は両手を上げて満面笑顔で終始楽しみます
わーいはやーい!景色綺麗ー!
あ、あそこの星おっきいよエリルさん!!
猟兵達の訪れたリゾート船。そのウォータースライダーは、目玉というだけあって多くの客でにぎわっていた。
時折響く悲鳴は楽しさの証。外壁に設置された数々のスライダーと、それを滑っていく人の姿に栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は目を輝かせた。
「ウォータースライダー! 楽しそう!」
そんな風にはしゃぐ澪は、ここまで転送をしたエリルに向き直る。
「エリルさん、よかったらご一緒にいかが?」
「えぇ、よろしくてよ!」
エリルも微笑み返して一緒に歩き出そうとした時、ふと、澪の水着に目が留まる。
純白で、レースをふんだんに使ったまるでドレスのような出で立ちだ。パレオはヴェールのようで、それに左指に光るもの……。
「その水着ってウェ……」
「あ……水着のデザインは、気にしなくて大丈夫なので……はい……」
顔を赤く染めて俯く澪に、エリルは『はは~ん』と訳知り顔で笑うのであった。
閑話休題。二人は3つのゾーンへと続く三叉路へと差し掛かっていた。
「正直デンジャラスもちょっと気になるけどー……」
澪はうーんと悩んでから、エリルに聞く。
「無難にチャレンジゾーンでどう?」
そんな問いに、エリルは内心ホッとする。デンジャラスは身体も心も持たなさそうだったからである。
とはいえチャレンジもそこそこ怖そうで、少し不安も残る。そんなエリルの内心に気付いたのか、澪が首を傾げて尋ねた。
「誘っといてなんだけど、エリルさんって絶叫自体は平気?」
「えっ」
どきり。エリルの表情が固まった。だが、胸を張って答えてみせる。
「も、勿論平気ですわっ!!」
大見得を切るエリル。そしてふと、澪はどうなのだろうと尋ねてみれば。
「僕は急降下とかくらいなら飛ぶ時よくやるし……」
ぱたぱた、と羽根を羽ばたかせてみせて、澪は続ける。
「早いと風も感じられるから、気持ち良くて好きかな」
澪がにこっと楽し気に笑う。なるほど、有翼の者にとってはこれくらいのスリルは当たり前なのかもしれない。エリルが納得しようとしたところで、澪は付け加える。
「それも宇宙空間を跳べる機会なんてそうそう無いからね! ……あ、飛ぶというより滑るだけど」
スライダーは外壁に這うように作られている。水に流されながら空を見上げれば、宇宙を飛ぶような感覚が感じられるだろう。そんな情景を思い描けば、澪の期待はどんどん膨らんでゆく。
「もし怖いときは掴まってくれてもいいからね。さ、行こ!」
そんな澪に促され、二人はチャレンジゾーンへと向かうのであった。
二人並んで座れる浮き具に腰掛けて、二人はスタートの時を待つ。
前を向けば、これから進むコースの傾斜が、切り立った崖のようにも見えてきて、覗き込めば今いる位置がそれなりに高い場所にいることを実感させる。
緊張と不安と期待がない交ぜになった感情に心臓が自然と高鳴って、エリルはごくりと息をのむ。隣を見れば、玲は瞳を輝かせ、出発を今か今かと待ち侘びているようであった。
そして合図とともに浮き具が押され、二人はコースを勢いよく滑走し始めた!
「きゃぁああっ!」
「わーいはやーい!」
上がる悲鳴の中、澪は両手を上げて楽しそうに笑う。空を見上げれば満天の星空が出迎えてくれ、二人を乗せた水流に合わせて星も流れてゆく。
「景色綺麗~!」
そんな様子に、澪のテンションもどんどん上がる。翼を広げれば心地よい風も感じられて、ますます気に入った様子である。
「あ、あそこの星おっきいよエリルさん!!」
星空の中で一際輝く星を見つけて指さす澪。
「えぇ、とっても綺麗!」
エリルも首を上げて目を輝かせる。しかしその手は終始澪の身体に掴まって、僅かに震えていた。
そんな中で見上げた澪は、水しぶきと笑顔できらきら光って、美しい水着を飾り立てていた。
それは神秘的な光景で、エリルは確かに、澪が宇宙を飛ぶ姿を見たのであった。
猟兵達の夏休みも、こうして一区切り。
ひと夏の思い出を胸に刻んで、これからの戦いの為の英気を養ったのであった。
大成功
🔵🔵🔵