クラッシュアイスジュエリー
●夏の夢の国
ウサギ穴をくぐったそこは、夏の楽園。
誰かの描いた夢のような、でたらめに青い空と、それを映した眩い海が広がっている。青空の下には虹がかかり、かと思えば別の海辺は夕焼け色に染まっている。少し行けば、流れ星の綺麗な満点の星空だって見つけられるだろう。
色とりどりの花が咲き、噎せ返るような緑の中に果実が煌めき、蛍の舞う穏やかな川の畔に行き当たる――。様々な、そして幻想的な夏の光景がどこまでも続く、それがこの『夏の夢の国』だ。
そんな贅沢で、リゾートに使ってくださいと言わんばかりのこの国に、ほんの少しだけ冷たい風が吹く。別のウサギ穴から現れたのは、一台の屋台。
「美味しい氷、アリマスヨー」
「かき氷ー、クラッシュアイスー、いかがデスカー?」
雪だるまによく似た愉快な仲間達が、早速営業を始めたようだ。
●氷菓の国から
「正しく『夢のよう』、といったところか。素晴らしい場所だとは思わんかね」
夏の夢の国の一角にて、八津崎・くくり(虫食む心音・f13839)がそう問いかける。この辺りに広がっているのは、からっと晴れた真昼のビーチの光景だ。白く輝く砂に立って、青い海へと視線を遣る。
これほどの場所がオウガの侵略にも遭わず、手つかずのままで在ったのは僥倖と言って良いだろう。何しろこれならば、心置きなく骨休めに使わせてもらうこともできる。今後の予知を強化する「グリモアエフェクト」のことも考えれば、ありがたく使わせてもらうべきだろう。
「お待たせシマシター」
――などと真面目なことを言っている途中で、近くの屋台からやってきた愉快な仲間が、グラスを一つ手渡していった。
「ああ、ありがとう」
毎度ありー、と告げて去っていった彼等の後を、涼しい冷気が追っていく。雪だるまのような愉快な仲間を見送ってから、グリモア猟兵はそのグラスを軽く掲げて見せた。
「これかい? 持ってきたジュースを、彼等にちょちょいと凍らせてもらったんだ」
彼等はこういうのが得意らしいよ、と付け足して、くくりは注がれた飲み物と、たっぷりの氷――砕いた宝石のように煌めくそれを、一緒に口に運んだ。よく冷えた塊をがりがりと噛み砕く音が、しばしの間響く。
やがて満足げな息を吐いた彼女は、ようやく最後の一言、お誘いの文句を口にした。
「せっかく来たんだ、諸君等もこの子達と一緒に氷菓子を楽しんでいっては如何かな?」
つじ
夏といえば氷でしょう? ということで、アリスラビリンスの『夏の夢の国』にて、一緒に氷菓子をいただきましょう。
●オリジナルアイスデザート
愉快な仲間達が様々な氷やお菓子、シロップ――ついでにちょっとしたお酒などを用意してくれています。オリジナルのクラッシュアイスやかき氷を拵えられますので、ご自由にお楽しみください。
この不思議の国では様々なところに果物が生っているほか、海からはソーダ水が、泉からは清涼な天然水が採れます。それらや持参品を愉快な仲間に渡せば、速攻で凍らせてくれるサービスもありますので、よければご利用ください。
●夏の夢の国
満天の星空や虹のかかる青空、ソーダ水の海、光を放つ植物や蝶々……幻想的な「夏の光景」がどこまでも続く不思議の国です。区画によって昼だったり夜だったり夕暮れだったりしますので、良い感じの場所を探してお過ごしください。
●愉快な仲間達『ピーノ・オブコート』
簡単に言うと歩く雪だるまです。他の国の住人のようですが、今回は氷菓子の屋台を引いて夏の夢の国までバイトに来ています。彼等の国は何もかもがアイスで出来ているらしく、屋台には氷菓子に必要なものが大体あります。
あと、彼等の近くに立つと涼しい。
●プレイングボーナス
水着の着用。
イラストがなくても「着てます」とプレイングで言っていただければOKです。
第1章 日常
『夏の夢の国』
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POW : 湖や海に入り、水泳や水遊びを楽しむ。
SPD : 花や貝殻を集め、お土産にする。
WIZ : 美しい景色を絵や詩、日記に残す。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
雨野・雲珠
菱川さんと/f12195
去年の水着着用
この体なら潮風も平気と知れた一昨年、
肩までは浸かれた昨年。
今年こそは海を克服します!
水中眼鏡を手に入れた俺は無敵…
あっ待って待って無敵はうそです
いいよって言うまで離さないでください
海水を大量に飲みながらも
なんとかバタ足と素潜りを習得
海の生き物もたくさん見られて、
へとへとですが達成感もひとしお
はっ
この地、そしてピーノくんがいれば
あれが…しろくまが出来るのでは…?
やや、菱川さん。しろくまをご存じない
ピーノくんは…へへへ。ですよね!
ならば俺がとっておきを作ってさしあげなくては
練乳味のかき氷にスイカに桃、鳳梨に蜜柑
…できた!師匠、ご指導代です
わぁ…クリームソーダ!
菱川・彌三八
雲の字と/f22865
泳ぐ用意は万全
ようやっと見つけた普通の海で、素潜りの習い
泳ぐと迄行かずとも、潜るくれェはってぇ事らしい
…マ、目が開きゃあ随分と楽に…
ならねェか
先ずは息を止めて顔を浸け、次に手を引いて水に浮く
最後に足を動かす
云うは易いが、此れが中々
ようく頑張ったら、甘いのを貰おうゼ
しろくま
ってェ何だい?熊?
雲の字が何やらしている間に、俺は俺で用意しようかね
例の雪玉に一口大の水物を凍らせて貰い、筒へ
緑の蜜をひと匙入れたら、彼方で見た泡の水を注ぐ
後ァ前食ったあれ、お前ェの国の…そう、”あいす”
夫れを上に浮かべて、一丁上がり
何でェ、しろくまてなァ雪氷か
したがお前ェにゃ泳ぎの褒美をやるヨ
●夏空水練教室
陽射しに輝く白銀の砂浜、そして抜けるような青空を映す広い海。いかにも夏らしい光景の中で、雨野・雲珠(慚愧・f22865)は潮風に挑む。桜としてはあまり相性の良くないそれだけれど、この身体なら平気であると知れたのが一昨年のこと。そして昨年はついに、肩まで浸かることに成功した。となればその先の目標は決まったようなものである。
「今年こそは海を克服します!」
少なくとも意気込みは十分。気合の入った様子の彼に、菱川・彌三八(彌栄・f12195)も鷹揚に頷いて見せる。
「泳ぐと迄行かずとも、潜るくれェはいけるか」
「はい!」
任せてください、くらいの勢いで雲珠は言う。何しろ今回はそのための秘密兵器だってあるのだから。
「水中眼鏡を手に入れた俺は無敵……!」
「……マ、確かに。目が開きゃあ随分と楽に……」
「あっ待って待って無敵はうそです」
ならねェか。まァそうよな、と頷いて、基礎のところから水泳教室が始まった。
息を止めて顔を浸ける。まずここまでは良いだろう、一番の難点となる『目が開けられない問題』は、水中眼鏡が解決してくれる。そうすれば、次は体を伸ばして水に浮くことが目標になるが。
「いいよって言うまで離さないでください……!」
「良いけどよ、そんな力んでちゃ浮くモンも浮かねェぞ?」
とはいえある程度力を入れなければ水は蹴れない。その辺りのバランスはもう身体で覚えるしかないだろう。
慣れない水練に四苦八苦していた雲珠だったが、やがてバタ足を覚えて身体も前に進むようになってきた。
「覚えが早ェな雲の字」
「うえぇ……しょっぱい」
海水の味にも飽きてきたころだろうか、まだ泳ぎながらの息継ぎに課題は残るが、潜って上がるだけならばそれも問題にはならないだろう。素潜りらしきものも形になって、彼は念願の水中、海を彩る生き物達を近くで見ることができるようになった。
「やりましたよ師匠……!」
「おお、よく頑張ったなァ」
体力もそろそろ限界かという頃合いで、二人は休憩を入れることにする。幸い某雪だるまの屋台はこの近くに出ていた。氷と甘味には事欠かない様子であるし、近くには新鮮な夏の果実も生っている。何とはなしにそれらを目にした雲珠が、そこであることに気が付いた。
「はっ、もしや……ここでならしろくまが出来るのでは……?」
「しろくま」
突然出てきた意外な単語に、彌三八が思わず復唱する。
「ってェ何だい? 熊?」
「やや、菱川さん。しろくまをご存じない?」
傍らのピーノくんにも問うてみるが、「なんデスカそれ?」という顔をしている。この場所で、あのしろくまを知っているのは一人だけ――となれば、責任は重大だ。
「俺がとっておきを作ってさしあげなくては……!」
早速屋台のピーノくんに声を掛けて、雲珠は色々と材料の相談を始める。それならそれで、と彌三八の方も涼しげな彼等に注文をいくつか。
一口大に凍らせた水物をグラスに入れて、緑色に輝くシロップを一匙。その上に途中で見かけた『泡の水』を注いで。
「後ァ前食ったあれ、あるかい。ほら、お前ェの国の――」
「アイスのことデスカ?」
そうそれ。「取ってきマスネー」と駆けていく雪だるまの横で、雲珠の方はついに完成を見たようだ。練乳味のかき氷にスイカに桃、鳳梨に蜜柑、色とりどりの果実を盛り付ければ、出来上がり。
「……できた! 師匠、ご指導代です」
「何でェ、しろくまてなァ雪氷か」
かき氷とよく冷えた果実、見た目はもとより食感のコントラストも楽しめるあれだ。
「したがお前ェにゃ泳ぎの褒美をやるヨ」
「わぁ……クリームソーダ!」
出来上がったそれに、雲珠が目を輝かせる。
すこしばかり涼やかな木陰を陣取れば、そこは夕暮れ。疲れた体にしみる甘味を味わいながら、二人は不思議な夏の夢の国を堪能していった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ラフィ・シザー
アリア(f19358)と
ここが『夏の夢の国』…!すごく素敵な場所だな。
ふふ、夏休み。アリアとお出かけ出来て嬉しいぜ今年は俺も水着を新しくしたからな♪
アリアの水着とても似合ってる。帽子の耳は狐耳だろうけど耳があるとお揃いになった気分だな。
さて…クラッシュアイスにしてくれるなら。
俺のアイスティーをクラッシュアイスにしてもらおうか。
出来ればアリアにも食べてもらいたいな
ティーソムリエになった俺のアイスティー。アイスになってもきっと美味しいぜ♪
お、凍った桃かいいな俺も頼むぜ!
夏の夜の夢ってやつか?
そうだな冷たいスイーツでひんやりすればあっという間だ。
アリア・モーント
ラフィお兄様(f19461)と!
ふふ、お兄様と新しい水着でお出掛けなのよ?
お出掛けなのだわ!
お兄様の水着もとっても素敵ね?
ハットとタイを忘れないのは紳士的なのよ
ママのお耳を真似てみたのだけれど、次の水着はお兄様たちとお揃いのうさぎさんにしようかしら
ラフィお兄様の淹れてくださる紅茶はいつでも美味しいもの、きっとアイスでも美味しいのだわ
そのままでたっぷり楽しんでから、お兄様の紅茶のクラッシュアイスに海のソーダと凍らせてもらった桃を砕いて添えるのよ
夏、夜、夢
心焦がれる熱病は狂人も恋人も詩人も狂わせるそうなのだわ?
でもこんなに美味しい紅茶と冷たいスイーツがあれば、そんなもの冷えきってしまいそうね!
●紅い宝石
「ここが『夏の夢の国』……!」
ウサギ穴の向こうに広がるその光景に、ラフィ・シザー(【鋏ウサギ】・f19461)が感嘆の声を上げる。名に相応しい暑い空気は共通しているけれど、俯瞰してみれば、そこかしこに色とりどりの『夏の光景』が浮かぶ、華やかな世界であると知れるだろう。陽射しの眩しい昼間のビーチから、暮れなずむ夕焼けの飾る木陰へ、ゆっくりと歩みながら彼は微笑む。夏休みを過ごすには最適な世界であるここに、二人で来れているのだから、自然と表情も綻ぶというもの。
「アリアの水着、とても似合ってるぜ」
「お兄様の水着もとっても素敵ね?」
ラフィの賛辞に、傍らのアリア・モーント(四片の歌姫・f19358)がそう返す。彼女の歩みに合わせて、貝殻で飾られたパレオの裾が揺れる。今年新しく用意した水着は、どうやらお出かけに相応しい出来栄えのようで。
「ハットとタイを忘れないのは紳士的なのよ」
アリアの言葉に、白と水色、涼し気な色のタイを締めなおし、ラフィは冗談めかして一礼してみせる。ハットの下で揺れる黒い耳。それが今日に限っては、アリアの頭の上にもついていた。
「アリアの帽子のそれは狐耳だな?」
耳があるとお揃いになった気分だと笑うラフィに応じて、アリアはそれを指でなぞってみせた。
「ママのお耳を真似てみたのだけれど……次の水着はお兄様たちとお揃いのうさぎさんにしようかしら」
そうすれば本当にお揃いだ。きっとそれも似合うだろう、そんな風に笑い合いながら、夏の浜辺を行く。夕暮れの光景はやがて星空へと移る。時間の流れとは関係なく移り変わるこの景色も、『夏の夢』の特徴だろうか。少しだけ涼やかに感じられる風と共に、据えられた屋台からのんびりとした呼び込みの声が聞こえてきた。
「クラッシュアイスいかがデスカー?」
雪だるまによく似た愉快な仲間が二人を迎える。ただ飲み物や氷を出すだけではなく、彼等は特定のものを即座に凍らせることもできるようで。
「それなら、俺のアイスティーをクラッシュアイスにしてもらおうか」
ラフィの申し出通り、彼の注いだ紅茶は、夕焼け色の氷に代わる。それを細かく砕いてやれば、出来上がりだ。
「ティーソムリエになった俺のアイスティー。アイスになってもきっと美味しいぜ♪」
是非味わってみてほしい、と冷たいグラスを片方アリアに手渡す。
「ラフィお兄様の淹れてくださる紅茶はいつでも美味しいもの」
受け取ったそれをゆっくりと味わう。
「――やっぱり素敵な味わいなのだわ」
いつもより濃いめ淹れてあるのか、凍らせてもなお味と香りが際立つように感じる。しばしそれを楽しんだ彼女は、ふと思い付いたそれをラフィへ申し出た。
「お兄様、少し試してみたいことがあるのですけど」
半分ほどになったグラスに、海のソーダと凍らせた桃を砕いたものを注げば。
「お、凍った桃か。いいな、俺も頼むぜ!」
透き通った水の中で果実と紅茶の宝石が踊り、溶けあうように、その色を変えていく。
冷たいそれを口にして、溜息を一つ。夏、夜、夢。熱に浮かされたような景色へと、改めて視線を巡らせて。
「心焦がれる熱病は狂人も恋人も詩人も狂わせるそうなのだわ?」
「夏の夜の夢ってやつか?」
問い返すラフィの声に頷き、アリアはグラスを両のてのひらで包み込んだ。
「でもこんなに美味しい紅茶と冷たいスイーツがあれば、そんなもの冷えきってしまいそうね!」
「そうだな。冷たいスイーツでひんやりすればあっという間だ」
融け行く氷と、遠ざかる熱気を感じながら。
もう少しだけ、流れゆく夜の時間を共に。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エアン・エルフォード
【蜜檸檬】
呼称:もも
水着は赤のサーフパンツに白のパーカーを羽織って
サンセットビーチか…綺麗だな
夕暮れの時間は好きだしね
こうして、2人でのんびりできるのは嬉しいよ
隣の妻へ微笑み、茜に染まった髪へ手を伸ばして
ラムベースのフローズンカクテルを頼む
冷たくて美味いな、かき氷みたいだ
爽やかで夏に合う
もものは、何?
へえ、パイナップルか
甘そうだね
しかもフルーツが零れ落ちそうだが(笑いながら
ん、乾杯
気になるなら、こっちも一口飲んでみる?
甘くはないけど
あまり調子に乗っていると酔っぱらうぞ
揶揄うように言ってから
食べようとするイチゴを奪って、ぱくり
ごちそうさま
ほんのり彼女の頬が赤いのは、きっと夕陽のせいじゃなさそうだ
モモカ・エルフォード
【蜜檸檬】
呼称:えあんさん
水着は赤に白水玉のビキニ
沈みそうで沈まない真っ赤な夕陽が水面に反射して世界全部が茜色に染まる
遠くに白い鳥の群れ
「楽園ってきっとこんな感じね?」
並んだデッキチェアに寝そべる最愛の旦那さまを見遣る
大好きな金の髪も、南の海のようなブルーグリーンの瞳も今は茜色に染まってる
きっと自分の髪や瞳も同じ色に染まっているのだと思うと嬉しくてくすぐったい
フラッペグラスのかき氷はパイナップルベースの低アルコールカクテル
冷たくって、甘くて美味しい!
「えあんさん、乾杯しましょ?」
えあんさんのもいい香り…ももには強い?
だ…だいじょぶよ?フルーツ食べるもん
揶揄う声が楽しげで
染まった頬の原因はきっと
●茜色の世界
夏の夢の国の一角、ビーチを望むデッキチェア。不思議の国のこの場所はいつだって夕暮れで、沈みそうで沈まない真っ赤な夕陽が水面に反射し、見渡す限りの全てを茜色に染めていた。同じ色の光の中、それでも色鮮やかなコントラストを描く世界を見渡せば、遠くに飛び立つ白鳥の群れが見える。
「楽園ってきっとこんな感じね?」
隣に寝そべるエアン・エルフォード(Windermere・f34543)へ、モモカ・エルフォード(お昼ね羽根まくら・f34544)が視線を遣る。今日は赤のサーフパンツに白のパーカー姿。夏らしい装いの上にある蜂蜜みたいな金色の髪と、南の海のようなブルーグリーンの瞳、茜色に染まるそれらに見惚れるように目を細めた彼女の方を、エアンも微笑んで見返した。
「そうかもしれないね」
夕暮れの時間は彼にとっても好ましいもののようで、「綺麗だな」という囁きが零れる。愛しの妻へと手が伸ばされ、その指先が髪に触れる。
「こうして、2人でのんびりできるのは嬉しいよ」
優しく梳る感触に身を任せるようにして、彼女はそっと目を閉じた。きっと今、彼の目に映る自分の髪も、同じ茜色に染まっているのだろう。
言葉少なに、二人の時間をしばし過ごす。ふっとどちらからともなく笑って、二人はそれぞれ頼んでいたグラスを手に取った。
エアンの手にしたのはラムベースのフローズンカクテル。氷のようによく冷えたそれは、爽やかで夏らしい味わいに感じられた。満足げに息を吐いた彼は、妻の方へと視線を送る。
「もものは、何?」
彼女の手元、フラッペグラスのかき氷は、パイナップルベースの低アルコールカクテルだ。使われた果実の甘い香りを察して、エアンは得心がいったように頷いた。
「へえ、パイナップルか。甘そうだね」
「冷たくって、甘くて美味しいですよ」
「フルーツが零れ落ちそうだが」
「あげませんよ?」
笑みを含んだ言葉に、冗談めかして返したモモカは、ふと思いついたそれを口にする。
「えあんさん、乾杯しましょ?」
「ん、乾杯」
グラスが軽やかな音色を奏で、揺れるカクテルの芳香が微かに広がって。
「えあんさんのもいい香り……ももには強い?」
「気になるなら、こっちも一口飲んでみる?」
エアンがそう言ってグラスを差し出す。おずおずと受け取った彼女の方へ、楽し気な、揶揄うような声が続いた。
「でも、甘くはないよ?」
別に甘くはなくたって。強がるように、できるだけ平然と、モモカはそれを口にする。
「あまり調子に乗っていると酔っぱらうぞ」
「だ……だいじょぶよ? フルーツ食べるもん」
そうして伸ばされた彼女の手に先回りして、エアンの指先がイチゴを一つ攫っていく。ぱくりと口に運ばれるそれを目で追ってしまった彼女は、、「ごちそうさま」と笑うエアンから、誤魔化すように視線を逸らした。
差す夕日の彩る茜色。その中で、彼女の頬がほんのりと染まって見えたのは、きっと気のせいではないだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
結城・有栖
夏の夢の国ですか…幻想的な光景ですね。
アリスラビリンスは結構旅して回りましたが、こういう国もあるんですね。
「バカンスにはもってこいの場所ダヨネ。アイスデザートも楽しみダネ♪」
そうですね。
では、材料を集めましょうか、オオカミさん。
天然水を入手して、果物も集めてきましょう。
材料を集めたら天然水を愉快な仲間の方に凍らせてもらい、氷を削ってふわふわのかき氷にします。
かき氷の側に集めて切り分けたマスカットを飾り、最後にマンゴーのシロップを掛けて、特製のかき氷の完成です。
「美味しそうダネー。早速食べようヨ♪」
ええ、オオカミさんもUC呼んであげますね。
ビーチチェアに座って海を眺めながらかき氷を頂きます。
●海辺の時間
「夏の夢の国ですか……幻想的な光景ですね」
眩い陽光に対して手で庇を作りながら、結城・有栖(狼の旅人・f34711)は感嘆の息を吐く。少し歩いてみただけでも、真夏のビーチは真昼から夕暮れへと色合いを変え、陸を見れば鮮やかな緑の中で輝く蝶が待っている。アリスラビリンスでも多くの国を見てきたつもりでいたが、まだまだこの世界は広いらしい。彼女の内に宿るオウガ、『オオカミさん』にとってもそれは同様なのだろうか、いまいちその辺りは窺い知れないが、この世界を気に入ってはくれたようだ。
「バカンスにはもってこいの場所ダヨネ。アイスデザートも楽しみダネ♪」
そうですね、と頷いて、有栖は砂浜から生い茂る緑の園へと足を向けた。
「では、材料を集めましょうか、オオカミさん」
海から少し離れれば、蝉の声の響く林へと踏み込むことになる。木陰を歩く内に小川のせせらぎを見つけ、それを辿っていった彼女は、ほどなく湧き出でる源泉に行き着いた。
「この辺りのが良いですかね……」
清らかな天然水を採取したら、道中見かけていた果樹園へと引き換えし、食べ頃に実った果実を摘んでいく。十分な量が集まったら、近くに屋台を構えていた愉快な仲間の出番である。
「こちらを凍らせてもらえますか?」
「ハーイ、お任せあれデスヨー」
雪だるまのような彼等の傍で冷たい風が吹いて、天然水があっという間に凍り付く。透明なそれを削っていけば、きめ細やかでふわふわの、かき氷の出来上がりである。
「さっき採ったマスカットが使えるカナ?」
「そうですね、一緒に添えていきましょう」
エメラルドのように煌めく果実をかき氷の器に盛って、最後にマンゴーのシロップを垂らす。完成したそれに、オオカミさんの声が弾んで聴こえる。
「美味しそうダネー。早速食べようヨ♪」
「ええ、オオカミさんもどうぞ」
その名を呼んで、オウガを顕現。自らと同じ姿をしたオオカミさんと並んでビーチチェアに腰掛け、有栖は特製のかき氷へとスプーンを刺し入れた。
夏の日差しの下で輝くそれは、口に運べばふわりと溶けて、爽やかな甘みと共に火照った体を冷ましていく。
「冷たくて美味しいネ♪」
寄せては返す波の音を背景に、二人の夏の日は、こうして穏やかに過ぎていった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
※今年の水着着用
綺麗な場所だねー
僕に絵の才能があれば思い出に一枚残したいところなんだけど
…写真だけでも撮って良いかな(携帯でパシャ―)
普通のかき氷も美味しいけど
凍らせた果物を削って作るやつもいいよね
例えば、そうだな…やっぱり定番は苺かな?
綺麗な景色も堪能したいし
散歩ついでに苺探しに行こうかな
完全に同じじゃなくても近い風味のものがあれば
手作業で果実を摘んでみるのも楽しいし
歩きながら空の移り変わりを見るのもいいし
自然、大好きだから
光る植物や蝶には特に興味を示して
指先や掌で触れ合いを試みたり
そうして集めた果物で作ってもらったアイスを
散歩中に見つけた星空を眺めながら食べたいな
んー、甘くて美味しい~♪
●自分だけの
白砂のビーチに足跡を刻んで、波の寄せる海岸の彼方を見遣る。時間の経過ではなく、歩む距離に応じて日が沈む不可思議な感覚。これが『夏の夢』ということだろうか。潮風が水着のレースの裾を揺らすのと同時に、少しばかり暑気が収まったのを感じて、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はその場で一旦足を止めた。ぐるりと見渡せば、夕焼けの場所に立った澪からは、全てが朱に染まってみえることだろう。
「綺麗な場所だね」
絵描きの才能でもあれば、思い出に一枚残したいところだが、ままならぬもので。代わりとばかりに携帯を取り出した澪は、その光景を写真に残すことにした。
ひとしきりカメラに収めたところで、次の目的地――愉快な仲間が構えているという屋台へと足を向ける。いや、しかし材料を探すのが先だろうか?
「普通のかき氷も美味しいけど、凍らせた果物を削って作るやつもいいよね……」
折角来たのだから、そちらの方に挑戦してみたいというのは自然な流れだ。
「やっぱり定番は苺かな?」
きっと凍らせたら美味しいであろうそれを想像しながら、澪は日向の果樹園を目指して歩き始めた。
移り行く日の光と輝く緑、色鮮やかな花の間を舞う光の蝶――幻想的なそれらを眺め、時に指を伸ばしながら、不思議の国の短い旅を行く。途中で見つけた果実をいくらか手で摘み取って、自然の大好きな澪としては楽しい道中ではあったけれど。
「なかなか見つからないなぁ……」
目的のイチゴには、未だ出会えないでいた。どこもかしこも夏の国だからか、と首を傾げるが、この不思議の国の季節を他の世界の常識で語るのもおかしな気がする。とはいえそろそろくたびれてきたか、という頃合いに、澪はついにそれを見つけた。
「苺……だよね?」
赤い宝石のように煌めく果実、低木に生ったそれはキイチゴの類だろうか。それでも見覚えのない品種のそれを摘んで、澪はアイスにしてもらうことにした。
「イチゴだったら、僕達が持ってマスヨー」
「そうなんだ……」
屋台の店員から衝撃の事実が飛び出したが、まあそれはともかく。
「その果物と交換しまショウカ?」
「じゃあ、半分だけ」
凍らせた苺と、夏の夢の国の果実と、半分ずつを使ったアイスを作ってもらい、澪は途中で見つけた星空のビーチにチェアを置いた。
くたびれた足を休めて、暑気を払うように、アイスを一口。
「んー、甘くて美味しい~♪」
苺単品よりも甘味が強いか、独特の風味に舌鼓打つ。この味も、きっと自分だけのもの。満点の星空を独り占めして、澪はそれをもう一口味わった。
大成功
🔵🔵🔵
九之矢・透
着てるよ!
はーやぁっと着いた……って、アレ?
ピーノ君じゃん!
何々?出稼ぎ?
夏ってバイトのかき入れ時だもんなァ
アタシもついこの前、アイス売りのバイトやってたんだよ
よっしゃ、知り合いがお店やってるとなりゃ
お客で売上(?)貢献しなきゃな!
先ずは食材調達
真っ白な入道雲が育つ青空をゆく
あーーッつい……青空は好きだけど、これはヤバイ
おッ、良い所に泉があるじゃん!
水をすくって凍らせてもらお
どうした?
リスや小鳥達がソワソワしてる
水浴びしたいって?
じゃ、この桶に水掬うから入ってな
泉自体はこの後も誰か使うだろうしね
道すがら青りんごの実を摘んで
ピーノ君、この水と青りんごの果汁でかき氷作れる?
へへ、出来上がり楽しみだ
●小さな水浴び
ウサギ穴を抜ければ、空気は一気に夏色に染まる。ビーチに降り立った彼女は、潮風をうんと吸い込んで伸びを打った。太陽に白く照らされた、ソフトクリームみたいな入道雲が眩しい。
「はーやぁっと着いた……って、アレ?」
馴染みのある声が聞こえて、九之矢・透(赤鼠・f02203)は首を傾げた。
「ピーノくんじゃん!」
「ドーモー、ご無沙汰してマース」
「どうしたのこんなところで。出稼ぎ?」
手を振る彼等に近づいて、準備されていた屋台を見上げる。透の問いに、ピーノくんたちは「そうデスヨー」と緩い声音で答えた。
「ココならアイスの需要でウハウハだと思いマシテー」
どうやら商魂逞しいタイプのやつらしい。
「夏ってバイトのかき入れ時だもんなァ。アタシもついこの前、アイス売りのバイトやってたんだよ」
「ほんとデスカー」
「透サンもウチで働いてきマス?」
「いや、それはちょっと……」
観光気分で来たのにいきなり働かされるのはさすがに。
「その代わりお客として売り上げに貢献するからさ!」
「マイドー」
「注文お待ちしてオリマース」
どうせやるならオリジナルを準備したいところ――というわけで、呑気な店員達の声に見送られ、透は早速食材調達にとりかかった。
狙うなら清涼な飲み物と、瑞々しい果実だろう。そういったものを目指した彼女が歩む道は、当然よく晴れた日中の空の下となる。
「あーーッつい……」
帽子の下に垂れてきた汗をぬぐって、思わずそう呟いてしまう。灰色とは違う色鮮やかな青空は気持ちよくて良いけれど、この陽射しと気温はいただけない。若干頭がくらくらしてきたところで、透はそれを発見した。
「おッ、良い所に泉があるじゃん!」
狙ったかのような場所にあったそれへと駆け寄り、透き通った水面を見下ろす。夏の太陽が生み出す熱気の中でも、その周辺は涼やかな風が流れていた。
これは、凍らせてもらうのに丁度良いのでは? 早速その水を汲んでいると、帽子の中で陽射しを避けていたリスや小鳥がモゾモゾと動き始める。
「なんだよ、水浴びしたいって?」
しょうがないなあ。桶で水を掬った彼女は、彼等を底に着水させた。
「ああこら、あんまりはしゃぐなって」
桶の外まで跳ねてくる水飛沫に苦笑を浮かべる。まあ、彼等が元気そうならば、悪い気はしないのだけど。ゆっくり休んでから辺りを見回し、道すがら生っていた青りんごの実を摘んで、透は元の場所まで戻ってきた。
「ピーノ君、この水と青りんごの果汁でかき氷作れる?」
「もちろんデスヨー」
「そっちの桶も凍らせマス?」
そちらは丁重にお断りして、彼女は出来上がったかき氷だけを受け取る。
これもまた一つの『夏の夢』。爽やかな香りと味、夏の風と冷たい食感のコントラストを楽しんで、感嘆の息を吐いた。
大成功
🔵🔵🔵
烏護・ハル
……キンキンに冷えたのを。
フルーツでも何でも、その場で、すぐに……。
(ごくり)
……食べるしかないじゃない。
何食べよう……。
……カキ氷。
夏といえば、アレよね。
食べなきゃ始まらないわ。
あっ、いたいた。ピーノくん。
ぜひ、作ってもらいたいモノがあるんだけどー。
……わぁ〜、涼しい。ずっとこうしてたい。
……いけない。目的を見失うトコだったわ。
えーっとね。
パイナップルとマンゴーのミックスジュースに、カットした桃。
ジュースをシャリシャリのカキ氷にしてもらって、ですね……。
その上から、カットした桃を凍らせて乗っけてください。
真昼のビーチ。
照りつけるお日様の下で、いざ実食。
フフ。今しかできない贅沢……頂きまーす。
●ラグジュアリー
夏の夢の国にて営業中!
そんなことの書かれたビラを手に、烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)がごくりと喉を鳴らす。
「……キンキンに冷えたのを。フルーツでも何でも、その場で、すぐに……」
描かれたイラストと、宣伝文句が彼女の精神を揺るがす。常でさえ魅力的に感じられたであろうそれは、昨今の暑さとハルが今立っている場所――『夏の夢の国』という立地の助けもあり、かなりの衝撃を残していった。真夏のビーチに漂う暑気、照り付ける太陽によって流れる汗。こうなってはもはや結論は一つしかないだろう。
「……食べるしかないじゃない」
甘味の誘惑に全力で応じたハルが呟く。となれば、何を食べるべきか。次なる選択はそれになるが、彼女は衝動のままに一つのメニューを選び取った。
「……カキ氷」
夏といえばアレであり、食べなきゃ夏は始まらない。水鉄砲はひとまず置いて、そちらへ駆け出す。波打ち際から砂浜を超えて、南国風の木々が立ち並ぶ区画に、目的の屋台が建っていた。店員として雪だるまによく似た愉快な仲間が集まるそこは、少しだけ気温も低くなっているような気がする。
「いたいた。ピーノくん。ぜひ、作ってもらいたいモノがあるんだけどー」
「はいはい、イラッシャイマセー」
間延びした声で注文を取っていた一人がハルに気付いて近づいてくると、彼等の纏う冷気が涼やかなそよ風となって、火照った肌を擽る。
「わぁ~……」
「どうしマシター?」
涼しいという単語に思考が上書きされて、ハルの口から言葉にならない声が漏れる。フリーズした彼女の様子にピーノくんの一人が首を傾げていると、他の接客担当も「なになに?」などと言いながら集まってくる。さらに快適になっていく周囲の気温に、ハルは思わず目を閉じそうになっていた。
「ずっとこうしていたい……」
「じゃあ、猟兵サンもここで働いていかれマス?」
「するっと勧誘してくるのね……人手足りてないの?」
とにかく、見失いかけていた目的を引っ張り戻し、彼女は注文することに成功した。
ベースはパイナップルとマンゴーのミックスジュース。それをシャリシャリのカキ氷にして、カットした桃を凍らせて上から乗っける。凍てつく風が屋台の中で渦を巻いて、フラッペグラスに乗った注文の品があっという間に届けられた。
「召し上ガレー」
お礼を言って受け取ったハルは、しかしその場ですぐ口に運ぶことはしない。周囲の環境も良いスパイスになるのだと、彼女はしっかり知っているのだ。
選んだのは先程訪れた真昼のビーチ。涼しい風とは無縁で、眩い太陽が肌を炙る、そんな場所。
「フフ。今しかできない贅沢……頂きまーす」
一番暑くて開放的な所で、最高に冷たく甘いものを。夏のフルーツをふんだんに使ったカキ氷を口に運んで、食感を、香りを、とけゆく甘さを、彼女はじっくりと味わっていった。
大成功
🔵🔵🔵
ジェイ・バグショット
澪(f04690)
いつ来てもヘンテコな国だ
あの雪だるま…近くにいるだけで涼しいんだ
UDCアースに連れて帰りたいわ。結構本気
この林檎をクラッシュアイスにしてくれよ
不思議の国の林檎と持参したシールドを雪だるまへ
見ろよこの冷え具合。しばらくは暑さを凌げそうだ。
シャクっと口に含めば林檎の甘さとアルコールを含んだ香りが広がる
……すげー美味い。夏には最高
アリラビの林檎やるなァ
澪は何にしたんだ?
メロンにブランデー?
良い組み合わせ…そっちも美味そうだ
じゃあ遠慮なく。俺のもどーぞ
器を差し出し互いに味見しつつ
夏の夢の国をのんびり散策
目まぐるしく移り変わる景色は確かに夢のよう
あぁ、全部が不思議でヘンテコだが悪くねェ
寧宮・澪
ジェイさん(f01070)
うん、不思議の国ですね…愉快な雪だるまさん
わあひんやり…うん、一緒なら涼しい…夏、連れてきたい…(同じく結構本気)
私もこの国のメロンに、持参したブランデーを
うん、冷え冷えですね…しっかり凍って冷たい…
メロンとブランデーの豊かな香りが混じって、しゃくり囓ると甘みとお酒の風味が広がる…ふふ、おいしい
りんごとシードルも美味しそうですね…私はメロンにブランデー。ひんやり食べやすいですよ…味見します?(器差し出し)
ブランデー舐めつつ、時々果物アイスをお願いしては齧って、ジェイさんと歩いて観光しつつ
くるくる変わる夏の世界に、ほろ酔い気分で笑っちゃう
楽しいですね、夢の世界
●夢の中の歩み
降り立ったそこは、夏の浜辺。青い海に白く輝く砂浜、立ち並ぶ熱帯風の木々がその光景に緑を添え、そのうち一本の根元には簡易的な屋台が建っていた。世界によってはリゾート地を探せばありがちな風景。しかし彼方に見える陸地には光を放つ蝶が舞い、屋台では雪だるまが働いている。
「いつ来てもヘンテコな国だ」
「うん、不思議の国ですね」
ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)の第一声に、寧宮・澪(澪標みをつくし・f04690)が同意する。見慣れぬそれらを眺めていると、愉快な仲間の内一人がこちらを見つけたのか、のたのたとゆっくり歩いてきた。
「イラッシャイマセ猟兵サーン。かき氷いかがデスカー?」
どうやら接客担当らしき雪だるまが問いかけてくるが、二人はちょっとそれどころではない。
「わあひんやり……」
「なるほど……近くにいるだけ涼しいのか」
彼等の纏う冷気によるものか、雪だるまが歩いてくるにつれて、涼やかな微風が頬を撫でる。湿気の乗った潮風とはまた違った感触を覚え、ジェイと澪は思わず考え込んでいた。
「UDCアースに連れて帰りたいわ」
「うん、一緒なら涼しい……夏、連れてきたい……」
「エー?」
冗談にしては切実、というか真剣味の混じった言葉に、愉快な仲間が首を傾げる。気が付けば彼の後ろにも何体か仲間が付いてきていて、その度に気温が快適になっていくのだが、それはともかく。
「やっちゃいマス? 夏季限定人材派遣サービス」
「でも猟兵サンの職場って絶対ブラックデスヨ?」
集まった彼等が思ったより逞しいことを言い出したので、「とりあえず一旦忘れて注文を取れ」とジェイが制止をかけた。
注文を受けた後の彼等は意外と素早く、二人のもとにはすぐにグラスが届けられる。雪だるまのような見た目は伊達ではないのか、グラスに触れただけでもその実力の一端が垣間見えた。
「見ろよこの冷え具合。しばらくは暑さを凌げそうだ」
「うん、冷え冷えですね……しっかり凍って冷たい……」
指先のみならず、日に炙られて火照った部分を冷やすようにしながら、二人はそれぞれに口に運ぶ。
「……りんごとシードルでしたっけ。美味しそうですね」
「すげー美味い。夏には最高」
砕いた氷をシャクっと口に含めば、林檎の甘さとアルコールを含んだ香りが広がる。凍らせてもなお強く感じられる風味に、「アリラビの林檎やるなァ」などと妙な感慨に浸りながら。
「澪は何にしたんだ?」
「私はメロンにブランデーです」
こちらもしゃくしゃくとクラッシュアイスの欠片を齧りつつ応える。メロンの強い甘味の中でも確かに感じられるアルコールの風味。満足げに頷く澪の様子に、ジェイが続けて口を開いた。
「良い組み合わせ……そっちも美味そうだ」
「ひんやり食べやすいですよ……味見します?」
「じゃあ遠慮なく。俺のもどーぞ」
互いに器を交換して一口。舌の上に融けて広がるそれをじっくり味わい、二人は揃って「なるほど」みたいな感想を述べる。
「やっぱり連れて帰りませんか、あの雪だるまさん」
「まあ、居たら便利そうではあるけどな……」
半ば真剣に検討しながら、二人は折角来たこの国の様子を楽しむべく歩み出す。暑いのは相変わらずだが美味い飲み物は手元にある。それらをちびちびとやりつつ歩を進めると、夏の夢はすぐに移り変わっていくのがわかる。
セミの鳴く小道を過ぎて、夕暮れのせせらぎに沿って歩めば、満天の星を望む丘の上へと至る。かと思えばすぐに眩い日を浴びる果樹園に辿り着いて、くるくる変わる光景はほろ酔いの頭を飽きさせてくれない。
「楽しいですね、夢の世界」
「あぁ、全部が不思議でヘンテコだが悪くねェ」
これもアイスにしてもらいましょう、と輝く果実を摘みながら、二人は醒めない夢を行く。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クーナ・セラフィン
他所の国に出張してきたんだピーノくん…溶けたりはしないよね?
いつもの服装は暑そうだけど大丈夫なら問題なし、というより周囲涼しくしてるなら余裕だよね。
さーゆっくりしようじゃないかにゃー。
水着は今年のを。
夕暮れの海辺の区域で果汁入りソーダ水頂きつつのんびり。
泳いだ火照りを冷ます、今にも氷点ギリギリに冷えてるこれはピーノくん印。
…夏の定番にもいけそうじゃないかにゃー。あっちの国のコンビニに新製品増えてたりして。
いや、果汁の方はそれっぽい果物採って適当にやっただけなんけど案外これはこれで。
あとは…クラッシュアイスにオススメのシロップとか頂けないかな。
どんな味になるのかわくわく…!
※アドリブ絡み等お任せ
●優雅な時間
アリスラビリンスの一角、夏の夢の国に降り立ったクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は、サングラス越しに真昼のビーチの光景を見回す。季節を象徴するような強い日差しは海原を、波の飛沫を、白い砂浜を眩く輝かせている。そうして目の痛くなりそうな光景をしばし眺めて、その向こうに例の屋台を発見した彼女は、早速そちらに足を向けた。
店員として動き回っているのは、何度か見かけた雪だるま型の愉快な仲間達。涼しげな彼等はこの光景にそぐわないようにも思えるけれど。
「他所の国に出張してきたんだピーノくん……」
この暑い中に居たら溶けてしまうのでは? 素朴な疑問が頭を過ぎるが、さすがにそんな命の危機ならさっさと帰っているだろう。気を取り直して、この場を楽しむことにした。
「さーゆっくりしようじゃないかにゃー」
砂浜に足跡を刻みながら横切って、区画ごとに移り変わる光景を楽しむ。その中で陽が沈みかけた夕暮れの場所を選び、クーナは腰を下ろした。
ビーチチェアに寝そべって、寄せては返す波の向こうの海原を眺める。夕日を映し、朱色に染まった世界の中で、屋台でもらった果汁入りのソーダ水を一口。海で泳いで火照った身体に、良く冷えたソーダ水が染み渡る。アイスの国から来た彼等の手で冷やされたそれは、氷点ギリギリにあるのか、グラスから伝わる冷気も一味違う。
「……夏の定番にもいけそうじゃないかにゃー」
これは良い、と満足げに溜息を吐く。彼等の国のコンビニにも、新製品として置いてしまって良いのではないか。あの国で飲むにはちょっと冷たすぎる気もするが、お土産にするには丁度良いだろう。
意外と商魂逞しい彼等ならもう検討しているかも知れないが、提案してみるのもいいか。そんなことを考えながら、もう一口。
特に指定や狙いもなく、それっぽい果物を採ってやってみただけなのだが、これはこれで案外いける。こうなると、お店を開いているピーノくん達のオススメの味というのも試してみたくなるもの。
「クラッシュアイスにオススメのシロップとか頂けないかな……!」
茜色の世界を望む優雅なひと時も惜しいけれど。
好奇心に耐えられなくなって屋台に戻れば、きっと彼等はとっておきの、この国特有の果物を使った逸品を出してくれることだろう。
大成功
🔵🔵🔵
シウム・ジョイグルミット
夏の国だー、やったー!
美味しそうな所がいっぱいで、どこ行こうか迷っちゃうなー
水着も付けて、準備万端!(今年のイラストの水着)
まずは、愉快な仲間の雪だるまくんに会いに行こうかな
挨拶のハグをして、どんな食べ物が売ってるか見せてもらおー
まあ、全種類1個ずつ買っちゃうつもりだけどね
それにしても、暑い夏の国に来ても溶けちゃったりしないんだねー、不思議!
食べ終わったら、次は海かな!
行く途中で見つけた果物は出来るだけ集めていくつもりだよ
着いたら早速、銀食器を出して果物を可愛く切っていくね
それを器に入れて、海からソーダ水を貰って流し込めば、フルーツポンチ完成だー!
んふー、たくさん美味しいもの食べれて大満足っ♪
●この国の味わいを
「夏の国だー、やったー!」
真夏の風に誘われて、訪れたのは光り輝く白の浜辺。しゅわしゅわしたソーダの海水が波に揺れ、陸地の方には宝石みたいな実の生った果樹がいくつも並んでいる。麦わら帽子のひさしの下から、それらをぐるりと眺めて、シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)は「美味しそうな所がいっぱいだねー」と相好を崩した。
それではどこから回ろうか、と考えて、最初に足が向いたのはいかにも食べ物を扱っていそうな海辺の屋台だった。
「イラッシャイマセ猟兵サーン」
「やあ雪だるまくん、キミ達がここの店員さんかー」
迎えに出た愉快な仲間に挨拶のハグ。わーすごいねーひんやりするねー、と一通りそれを堪能してから、シウムは早速メニューを見せてもらう事にした。扱っている商品はやはり冷たいものが中心で、クラッシュアイスやかき氷、アイスクリームなどの甘いものが、様々なフレーバーを取り揃えて並んでいる。
「ドレになさいマスカー?」
「それじゃーココからココまで一個ずつでー」
はい? と雪だるまの動きが固まった。
「全種類ってコトデス?」
「全種類ってことです」
平然と答えたシウムは、予想外の大量注文に忙しなく動き始めた雪だるまを、微笑まし気に眺める。しかし何というか、店員としての動きが板についていると言うか、妙に馴染んでいるように見えるが。
「キミ達、暑い夏の国に来ても溶けちゃったりしないんだねー」
「アー、その辺はアレですヨー」
「気合でナントカなるって言うかー」
そっか気合かー、精神論って案外いけるんだねー。などと喋っている内に、シウムのテーブルにはクラッシュアイスやかき氷、凍った果実などがズラリと並べられた。
真夏の晴れの日、夢のように描き出されたその環境も相まって、冷たいスイーツの味は格別なもの。大量のそれをぺろりと平らげたシウムは、「ごちそうさまー」と手を振って、雪だるま達の屋台から去っていった。
「アッチにあるのって……」
「果樹園デスヨネ……?」
まだ食べるの? 愉快な仲間達は思わず顔を見合わせた。
そう、彼女にとっての本番はここから。屋台で分けてもらった凍った果実と、途中で見つけた果物を一通り摘んで、太陽の光が眩しいビーチの真ん中に至る。
「それじゃ、早速――」
シウムの操る銀食器が空中で踊る。次々と投げ上げられた果物をナイフが一口大に可愛く切り分け、お皿がそれらを受け止めて、一つの大きな器に盛り付けていく。夏の果実を片っ端から揃えたそこに、海から採れる清涼なソーダ水を流し込めば――。
「フルーツポンチ完成だー!」
彼女のスプーンか掬ったそれは、きっとこの『夏の夢の国』の全てを詰め込んだような、贅沢な味がするのだろう。
「んふー、たくさん美味しいもの食べれて大満足っ♪」
大成功
🔵🔵🔵
リダン・ムグルエギ
ヒャッハーーッ!
というわけで、今年は水中スクーターっぽいガジェットを手に
水中・空中を飛び回るスタイルよ
人多いと速度出せなかったからこの国はありがたいわ
青い空!眩しい海!
映える絵が撮れそう
久しぶりねピーノくん
今年はぞーんぶんに堪能していくわ
今からトビウオみたいに海をギューンってしてくるから、撮ってくれない?
あ、前に噴火した時に潜水服着てもらったじゃん
アレ着たら溶けずに一緒に泳げるんじゃない?
順番にいきましょ
あ、待って。首掴むのはやめーぐえっ
一頻り泳ぎ終わったら
久しぶりに『マッサージチェア』をお願いしてもいい?
はしゃぎすぎたわ。明日は筋肉痛ね…
スクーター貸したげるから、クラッシュアイスもちょーだい
●スプラシュガジェット
「青い空! 眩しい海! 映える絵が撮れそうね!」
真夏のビーチに降り立ったリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)の手には、この夏特製の逸品、水中スクーター風のガジェットがあった。せっかく水着とセットで用意したものの、人の多い海では気を遣って速度が出せなかったけれど、この不思議の国の広さなら問題ないだろう。特にこの辺り――よく晴れた真昼の浜辺は気温が上がりやすいためか、貸し切りに近い。
「ということで、今からトビウオみたいに海をギューンってしてくるから、撮ってくれない?」
「エッ、コレどうやって使うンデス?」
写真はこうで、動画はこうよ。屋台の店員をしていたピーノくんに声をかけ、カメラの操作を教え込む。やけに適応力の高い彼等はすぐに自撮りの仕方まで覚えた。
「ソレじゃ撮影はじめマース」
「ヒャッハーーッ!」
ざばーん、と海を割って飛び出したリダンが輝く飛沫を跳ね上げ、虹を描いて飛び跳ねる動画は、そういった経緯で撮影されたという。一頻りはしゃいで、後日配信するための素材まで撮り終えたところで、海から上がったリダンはカメラを受け取った。
「オツカレサマデース」
「ええ、ありがとう」
一息ついたところで、リダンは思いついたそれを口にする。せっかく撮影を手伝ってもらったことだし。
「前に噴火した時に潜水服着てもらったじゃん。アレ着たら溶けずに一緒に泳げるんじゃない?」
「ナルホド?」
「今なら一周連れてってあげるわよ? 一人ずつ順番になるけど」
ワーイ、と歓声を上げたピーノくんを連れて海に入る。さすがに泳ぎ慣れていない彼等にガジェットの操作を任せるわけにもいかないので、リダンがハンドルを握ることになるが。
「それじゃあしっかり捕まってるのよー」
「ハーイ」
では出発、というタイミングで、不安を感じたピーノくんが捕まる場所を少し変える。
「あっ首に捕まるのはさすがにやめ――」
ぐぇー。くぐもった悲鳴が、ソーダ水の海の中ではじけて消えた。
「楽しかったデスネー」
「そう……喜んでもらえてよかったわ……」
アタシは酷い目に遭ったけど、と屋台に戻ったところでリダンが呻く。ガジェットがあるとはいえ、水中を何周もするのは中々にタフなアクティビティである。サービスですよと手渡されたクラッシュアイスを齧りながら、リダンは少しはしゃぎすぎたかと身体をイスにもたせかけた。
「そうだ、久しぶりに『マッサージチェア』をお願いしてもいい?」
「イイデスヨー」
今となっては懐かしい開拓初期に見た、何人か集まった愉快な仲間にもたれかかって、マッサージしてもらうアレである。
「でもアレは別料金となってマース」
「何か……だんだんスレてきたわよねあなた達……?」
誰の影響かしらね、と苦笑しながら、甘い氷をもう一口。
大成功
🔵🔵🔵
荻原・志桜
🎲🌸
新しい水着をきて
頭上は満天の星空
隣には大切な彼
ふわふわ幸せな気持ちで笑顔咲く
わたしはね…じゃーんっ
イチゴとラズベリーです。あとヨーグルト!
赤い果実を見せればちょっと味見!なんて自分と彼の口にひとつずつ
ディイくんのそれなぁに?
金平糖だっこれで冷たいもの?
なんだろう、と首傾げ屋台を目指し
ピーノくん!また会えて嬉しいよ
にひひ、こっちもお願いしていい?
材料を混ぜて少し凍らせたらシェイクの出来上がり!
にひひ、ほんのりピンクでかわいいなぁ
凍らせた果実も一緒に飾りつけて
わぁ、瓶の中が輝いてる
すごくきれい。星屑を集めた魔法みたい
指を絡めれば口許に浮かぶ笑み
夢のような楽園で
確かにある温もりを離さぬように
ディイ・ディー
🎲🌸
志桜の手を引いて、満天の星空の下へ
夏と氷が織り成す世界を楽しむ準備は万端
志桜は何が食べたい?
へぇ、それは贅沢で……ん、ありがと
既に美味いじゃん
ふふん、俺はこれをちょっとな
ソーダ水と金平糖の入った小瓶を持って氷菓子の屋台へ
久し振りだな、ピーノ君
みんな元気そうで何よりだ
早速なんだが瓶の中を軽く凍らせてくれないか
上出来だ
これをこうして夜空に翳したら――
ほら、金平糖の星のアイスソーダだ
光るミントの葉も入れておいたから輝いていて綺麗だろ
凍ったことで半透明になった星入り小瓶を
ランプ代わりにして夏の夢の国を歩こう
この氷が融けるまで一緒に
いいや、融けてしまった後もずっと
志桜の隣を歩くのは、俺だけがいい
●手の中の星
『夏の夢の国』、アリスラビリンスの一角にあるこの国は、いつからかそう呼ばれている。朝霧の森に、真昼の草原、夕暮れの川原など、様々な夏の光景が広がるこの世界で、彼女は夜の浜辺を歩いていた。
潮風がゆるく編んだ髪を揺らし、波の音が足元を洗う。夜闇に沈んだ海は暗く、しかし空に輝く星の光を映し出し、ほのかに光を湛えて見えた。空と水面と、その両方に広がる星の海の間で、つないだ手の向こうには大切な彼が居る。この光景も、誰かの『夢』であるのなら、その誰かに感謝するべきなのかもしれないが。
「志桜」
そう名前を呼ばれて、荻原・志桜(春燈の魔女・f01141)は隣を歩くディイ・ディー(Six Sides・f21861)へと視線を戻す。自然と口元が綻ぶのを感じながら、彼の声に応えた。
「なあに、ディイくん」
「この後、何が食べたい?」
えーと、と考える仕草をしながら、それを取り出して見せる。掌に乗せたのは、小さな赤い果実。
「イチゴとラズベリーです。あとヨーグルト!」
「へぇ、それは贅沢で……なんで今出した?」
「ちょっと味見しておこうかと思って」
はい、と彼の分も一つ摘まんで、果実を口に運ぶ。爽やかな酸味と確かな甘味、舌の上で広がるそれらを味わっていると、彼の手にしていた小瓶に気付く。
「ディイくんのそれなぁに?」
「ふふん、俺はこれをちょっとな」
軽く掲げてはくれたものの、灯の乏しいここではよくわからない。透明な液体の中に沈んだそれに、目を細める。
「……金平糖?」
これで冷たいものを? そう首を傾げて見せるが、ディイは含みのある笑みを浮かべるばかりで答える気はないらしい。そうこうしている内に、二人は海辺に据えられた屋台の傍まで歩いてきていた。店先には夜にだけ咲く花が飾られ、そこに集まる『昼』の蝶が、光放つ翅で即席の照明を成している。
「イラッシャイマセ、猟兵サーン」
すると、店構えに反したのんびりとした声がして、接客係のピーノくんが二人を出迎えた。
「久し振りだな、ピーノ君」
「ピーノくん! また会えて嬉しいよ」
「ハーイ、ご無沙汰してマース」
一礼する彼等に手を振り返してやりつつ、ディイは注文を取りに来た一人へと材料を手渡す。
「早速なんだが、この瓶の中を軽く凍らせてくれないか」
「お安い御用デスヨー」
「にひひ、こっちもお願いしていい?」
ディイに続いて、志桜も材料を混ぜたものを取り出す。
赤い果実とヨーグルト、それらを混ぜて、空気を含ませながらゆっくり凍らせてやれば、フローズンシェイクの出来上がり。冷たい風を器用に操るピーノ君たちは、それをグラスに移してから、一息で凍らせた果実を上に飾り付ける。
「にひひ、ほんのりピンクでかわいいなぁ」
志桜に手渡されたそれに続いて、ディイの小瓶の方はと言えば。
「――上出来だ」
良く冷えて、半透明になったそれを、ディイは夜空に翳して見せる。星灯の下、金平糖の星を固めた小瓶は、柔らかな光を放っていた。
「わぁ、瓶の中が輝いてる……」
「金平糖の星のアイスソーダだ。光るミントの葉も入れておいたから、輝いていて綺麗だろ」
「すごくきれい。星屑を集めた魔法みたい……」
狙い通りにいったそれを手に、満足気なディイの言葉に対し、志桜が頷く。そしてそこから一拍遅れて。
「――エッ、オシャンなやつデスカ!?」
「ウチの店で!? オシャンなコトを!!?」
そういうのに慣れていないピーノくん達が後ろの方であわあわしはじめたが、まあ放っておいていいだろう。
星入り小瓶をランプ代わりに、空いた手を差し出してディイが誘う。夏の夢、楽園の景色はこの先にもずっと続いている。だから一緒に、この星屑が融けるまで。いや、融けてしまった後もずっと――。
「志桜の隣を歩くのは、俺だけがいい」
夜闇の中でもはっきりと見える青い瞳を見返して、志桜はその手を握り返した。
薄いピンクに染まったグラスを一口、緩む口元を隠して。キザだなあ、なんて笑いながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
歌獣・苺
【苺夜】今年の水着を着てます!
わぁ…!
ルーシーみてみて!
雪だるまさんが動いてる…!
ふふ、可愛いね!
ん?なになに?へぇ~!
オリジナルのクラッシュアイスが
作れるんだって!やってみようよ♪
~ソーダ水の海~
…ルーシー。この海からソーダ水を
水筒で掬い上げるから
それまで手、離さないでね…?
絶対だよ!?掴んでてね!?
(お水こわい)(浅瀬)
んぎぎ…!やったあ!取れたよ!
嬉しくってルーシーと一緒にぴょんぴょん!
…わぁ、ここ、綺麗な貝殻や
お花も流れてきてる…!
拾ってクラッシュアイスに飾ると
可愛いかも!
どれにしようかな♪
…わ。ルーシーの貝殻ぜんぶ綺麗…!
ねね、そのピンクの貝殻と
私の水色の貝殻、交換しよ~!?
ん?このお花気に入った?
これ、ぷるめりあ?っていうんだ!
うん!いいよ!
じゃあ、そのハイビスカスと交換はどう?
うんうん!楽しみだね!
世界で一つだけのアイス
せっかくだから完成したら
はんぶんこ、してたべよっか♪
材料を片手に
お互いの手をもう片手に握って
雪だるまの元へ駆ければせーので
──クラッシュアイスお願いします!
ルーシー・ブルーベル
【苺夜】今年の水着で!
本当、雪だるまさん!
とってもかわいいわ
しかもひんやりすずしい……!
オリジナルのクラッシュ、アイス?
ええ、やってみたい!
わあ、本当に海がソーダなのね
うん?苺、どうしたの?
あ、そうか、お水…
分かった
ゼッタイ離さないから安心して
ぎゅっと柔い手をつないで
がんばって、苺!あともう少しよ
…わああ!取れちゃった、すごい!
ぴょんぴょん飛び跳ねてお祝いしちゃう!
ルーシーもソーダ水をすくって
…でも、これだけじゃ寂しいね?
貝やお花を?良い考えだわ!
早速拾ってみましょうか
真っ白や桜色、うずまき貝がら
浅瀬でみつけた真赤なハイビスカス
ねえ見て、こんなの見つけた!
まあ、苺もたくさん探したのね
ふふー、いいよ
こうかんこしましょう
あれ、その苺のお花は…プルメリア?
とてもきれい
えっいいの?じゃあ、お願いします!
ふふー、これで世界でひとつのアイスが出来るわね
もちろん良いわ
はんぶんこ、は
おいしくなる魔法だもの!
あなたとまた手をつないで
ピーノ君の元へと
ーーせーの!
クラッシュアイス、お願いします!
●どんな味?
「わぁ…!」
様々な夏の光景が広がる『夏の夢の国』、その中でも最も眩しい真昼のビーチに立った歌獣・苺(苺一会・f16654)とルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)が、一望できるその光景に歓声を上げる。降り注ぐ陽射しに輝く海、砂浜を超えた向こうでは色鮮やかな果樹園に、光放つ蝶が舞う。そして南国風の木々の根元では、簡易な屋台を据えた愉快な仲間達がいそいそと動き回っていた。
「ルーシーみてみて! 雪だるまさんが動いてる……!」
「本当、雪だるまさん!」
可愛いね、と笑う苺に応えてルーシーが頷く。
「とってもかわいいわ。しかもひんやりすずしい……!」
確かに、彼等の集まるあの屋台からは、周囲の熱気に反して涼し気な空気が漂ってきていた。
「イラッシャイマセー」
「美味しい氷ありマスヨー」
やけに間延びした声の客引きと、心地良い冷風に引かれていった二人は、彼等の営む屋台について説明を受ける。かき氷やクラッシュアイスをメインに扱っているようだが、それ以外にも持参品を凍らせてくれるサービスもあるのだとか。
「オリジナルのクラッシュ、アイス?」
「お好みの素材がゴザイマシタラ是非どうぞー」
「へぇ~面白そう、やってみようよ♪」
「ええ、やってみたい!」
意見の合致した二人は、早速材料を求めて真夏のビーチへと繰り出していった。
空を映し、青く輝くこの国の海は、打ち寄せる波の中にもしゅわしゅわと弾ける泡が見える。
「わあ、本当に海がソーダで出来てるのね……」
波打ち際にしゃがんだルーシーが、海水に付けた掌をくすぐるその感触を楽しんでいると。
「……ルーシー」
「うん?苺、どうしたの?」
おずおずと、後ろから声がかかった。見れば、苺が水筒を手に神妙な顔つきをしている。
「この海からソーダ水を水筒で掬い上げるから、それまで手、離さないでね……?」
首を傾げかけたルーシーだったが、そこで彼女の水嫌いを思い出した。少なくとも苺にとっては一大決心であろうそれに頷いて、彼女は苺の柔らかな手を取った。
「分かった。ゼッタイ離さないから安心して」
「絶対だよ!? 掴んでてね!?」
恐る恐る、目を瞑りそうになりながらじわじわと進む。そこは傍から見れば浅瀬にすぎないのかも知れないが。
「がんばって、苺! あともう少しよ」
「んぎぎ……!」
ルーシーの声援に背を押され、ぎゅっと彼女の手を握りながら、水筒を持ったもう片方の手を伸ばす。この暑いさなかでも冷たさを失わない海水へと水筒を付ければ。
「やったあ! 取れたよ!」
「……わああ! 取れちゃった、すごい!」
急いで水の傍から逃れた苺は、水筒に感じる重みに笑顔を浮かべてルーシーに飛びつく。手を取り合い、喜び余った二人はぴょんぴょんと飛び跳ね、その成果をお祝いする。掬い取ったそれを日に透かせば、海と同じ青い色に染まって見えて、ぷかりと浮かぶ泡からは、どこか甘い匂いがした。
「不思議……どんな味がするのかしら」
こちらも問題なく『海水』をすくって、ルーシーが青い瞳でそれを覗き込む。味も香りもついているなら、そのまま味わってみたい気持ちもあるけれど。
「……でも、これだけじゃ寂しいね?」
同意を求めるように苺を見ると、彼女は波打ち際の岩場の方へと歩いていた。白く輝く砂浜から少し外れたそこには、ごつごつした岩の合間に色鮮やかな輝きが覗いている。
「……わぁ、ここ、綺麗な貝殻やお花も流れてきてる……!」
早速ルーシーを手招きして呼び寄せ、彼女は色とりどりのそれらを指さした
「拾ってクラッシュアイスに飾ると可愛いかも!」
「良い考えだわ! 早速拾ってみましょうか」
貝殻はともかく、花はこの『夏の夢の国』の陸地から流れてきたものだろうか。
「どれにしようかな♪」
イチゴが目移りしている間に、ルーシーも岩の間を歩いて、波に洗われるそれらを摘まむ。真っ白や桜色、うずまき貝がら、浅瀬で揺れていたのは真っ赤なハイビスカスによく似た花だった。
「ねえ見て、こんなの見つけた!」
思わず夢中になって拾い集めてしまったそれを、苺の前で広げて見せる。
「……わ。ルーシーの貝殻ぜんぶ綺麗……!」
「まあ、苺もたくさん探したのね」
こちらも中々良い成果が得られたようだ。お互いの収穫を見せ合って、二人は「あれが綺麗」、「これも良い」と飾りに使えそうなものを吟味していく。
「ねね、そのピンクの貝殻と私の水色の貝殻、交換しよ~!?」
「ふふー、いいよ。こうかんこしましょう」
きっと彼女にはそっちの色が似合うから。二人してそんなことを考えながら貝殻を分け合っていると、ルーシーが苺の手元の花に気付いた。
「あれ、その苺のお花は……プルメリア?」
アリスラビリンスに咲いたものではあるが、その白い花は彼女の知るものと同じように、とても綺麗に見えた。
「ん? このお花気に入った?」
これ、ぷるめりあっていうんだ? 柔らかな指で器用にそれを摘まんだ苺は、それをルーシーの方へ差し出した。
「じゃあ、そのハイビスカスと交換はどう?」
「えっいいの? じゃあ、お願いします!」
これで材料は一通り揃っただろうか、手元の貝殻と、見初めた花を眺めて、二人は明るく笑い合う。
「ふふー、これで世界でひとつのアイスが出来るわね」
「うんうん! 楽しみだね!」
きっと出来上がるのはこの国で、この時にしか作れないオリジナル。誰にも真似できないそれを、独り占めするのも贅沢だけれど。
「せっかくだから完成したらはんぶんこ、してたべよっか♪」
同じ事を考えていた彼女に、ルーシーは「もちろん良いわ」と快諾する。
「はんぶんこ、は、おいしくなる魔法だもの!」
集めた材料を手に、もう片方の手をお互いに握って、二人は愉快な仲間の待つ屋台へと駆けて行った。
「材料集まりマシター?」
気の抜けた声でしゃべる彼等に頷いて返し、二人は「せーの」で合わせて声を上げた。
「クラッシュアイス、お願いします!」
ひゅるりと冷気が渦を巻いて、水筒からグラスに注いだ海水が、みるみる内に凍り付く。空と海の色を映した不思議の国の海水は、凍ってもなお透明な泡を湧き立たせているようで、蒼の合間に白が踊る。色とりどりの貝殻を配して、白と赤の花をそれぞれ咲かせたら、君だけの味の出来上がり。
召し上がれー、とゆるい調子の声と共に、涼やかな風が『夏の夢』を彩った。
大成功
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