メガリス回収作戦〜モラ詰まりを添えて
●野良モーラットの波が来る
大学生のひまりの趣味は骨董品巡りである。まだ高いものは買えないが、見るだけも楽しいし、小物ならば手にすることもできるのだ。
つい最近もかわいい白い玉の形のねずみをもした白鞠守りなる根付を手に入れた。
「かわいい。本当にいるのかな、こんな丸いねずみ。いたら見てみたいな」
ひまりはキーホルダーとしてつけた根付を指で撫で、今日も骨董品巡り、と夏の道を歩いていた。
「モキュ」
「え、ねずみ? にしては丸いしふかふか……」
「モキュー」
すると、謎の丸いねずみ――モーラットがひまりの方へと跳ねてくる。ぽすんとぶつかって跳ねた体はふかふかで柔らかい。
「ふふ、かわいい。根付の子に似てるね」
「モキュキュ」
すりすりと伸ばされた手に懐く野良モーラット。それに微笑むひまり。
その背後には、大量のモーラットが迫っていた。
●シルバーレイン名物
「えー……シルバーレインにて、メガリスが流出し、一般人の手に渡る、という予知を見ました……」
寧宮・澪がふかふかの白いクッションを抱えながらグリモアベースにて声をかける。
流れたメガリスの名前は白鞠守り。小さな白いモーラットを模した飾りがある根付だ。
「効果は野良モーラットを呼び寄せる、効果範囲は自分を中心に半径1mくらい、代償はその日の夢に必ずモーラットが出てくる……まあそんなかわいい代物ですが」
それでもメガリスであり、モーラットが呼び寄せられてしまうのはまずかろう。と言うことで回収をお願いしたいというのが澪の依頼だった。
「このお守り……今持っているのはひまりさん、という女の子なんですが……彼女がちょうどお出かけしたときに、モーラットの大量発生と、彼らを狙うオブリビオンからの逃走が起きます……」
ひまりは歩く間に野良モーラット達を引き寄せてしまうのだ。まずは彼女とモーラット達を避難させたり、後ろから追いかけてくるオブリビオンを足止めしたりしてほしい。
「追いかけてくるのはモーラビット……モーラットを食べちゃうウサギさん、っぽいオブリビオンです……」
モーラット達を安全圏まで避難させられれば、戦う余裕もできる。この兎、滅多なことでは人は襲わないけれどモーラットには容赦がない。ふかふかの見た目で肉は美味しい兎である。
「で、モーラビットを倒せたら……モラ詰まりが発生するよいです……」
避難していた大量のモーラットが道に詰まっているのだ。多い場所では道の端から端までみっちり、少ない場所でも電柱と壁の隙間にみちっと詰まり、交通の邪魔になりそうだ。解消までお願いする。
「ひまりさんもその場でモラ詰まりなんとか解消しようとしてますので……お話して貰ったり、交換したり、すり替えたりして、白鞠守り、回収してください……」
一般人の彼女の手に持たせたままにしておくには、やっぱり難しいので。
「あ、回収した白鞠守り、希望があれば、皆さんの所属する旅団に持ち帰ってもいいですよ……」
必要かはわからないが。 なお誰も要らなければ澪が責任持って保管する。
「それではシルバーレイン名物、モラ詰まり…解消のために頑張りましょうね……」
澪はよろしくお願いします、と頭を下げて。銀の雨降る世界へと転移するのだった。
霧野
ふかふかみちみち。霧野です、よろしくお願いします。
●シナリオについて
シルバーレインにて、メガリスの回収をお願いします。
骨董品として一般人の女の子、ひまりの手に渡ったメガリス、白鞠守り。
それに呼ばれた避難中のモーラットの避難を行い、原因のモーラビットを倒し、モラ詰まりを解消してメガリスを回収する。
そんなシナリオです。
コミカルな感じになることが多いかと思います。
●複数人で参加される方へ
どなたかとご一緒に参加される場合や、グループ参加を希望の場合は【グループ名】もしくは【お相手の呼び方(ID)】を最初にご記入いただけると、助かります。
●アドリブ・絡みの有無について
以下の記号を文頭に入れていただければ、他の猟兵と絡んだり、アドリブ多めに入れたりさせていただきます。なければできるだけ忠実に作成します。
良ければ文字数節約に使ってください。
◎:アドリブ歓迎。
○:他のグループや猟兵とも絡み歓迎。
〆:負傷OK。 (血や傷の表現が出ます)
♪:これがあるとシリアスよりはギャグっぽかったりコミカルな感じになるかもしれません。
第1章 冒険
『逃げ惑うゴースト達』
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POW : オブリビオンの足止めを試みる。又は敵陣突破し風穴をあける等し、避難経路を確保する。
SPD : 素早く先回りして安全確保をし避難経路を確保する。又は負傷者等足の遅い者を引っ張る等し、避難させる。
WIZ : 情報から最適な避難経路を割り出し伝え、誘導する。又は負傷者を治癒する等し、避難速度低下を防ぐ。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●しろいもふもふのなみ
「うええっ!? なに、なんで!?」
モキューモキューと鳴きながら、たくさんの野良モーラットが押し寄せてくる。ひまりはその波に半ば埋もれるように押されていた。
彼らはどこか怯えているような、不安がって焦っているような。そんな雰囲気で跳ねて逃げようとしながらもひまりの周りを回っている。
なぜなら、向こうから新たなもっふもふがやってくるから。それに食べられたくなくて逃げてたけど、なんとなく惹かれちゃうから。
ソフィア・ガーランド
◎
傍から見ているとモフモフとモフモフの追いかけっこで可愛らしいですが……実情は見逃せませんね
まずはひまりさんに優しくお声を掛けましょう
可愛らしいモフモフに囲まれてお困りの様ですけど、そのモフモフさん達は無害ですから、焦らず落ち着いてモフモフさん達と一緒にお散歩してみてください
モフモフさん達の元々の進行方向の、この道を真っすぐ進んでいくと丁度いいかもしれません
さて、誘導を終えたら足止めですね
此方も見た目は可愛らしいですが……ここより先に進ませるわけにはまいりません
虧月を放ち、道を塞ぐように陣取りましょう
相手が回り道をしてくるにしても時間稼ぎくらいはできるでしょう
●月光の魔女の導き
もふもふとしたモーラット顔のうさぎが、もふもふころころとしたモーラットを追いかけている。
ソフィア・ガーランド(月光の魔女・f37563)はその様子を見ながら一つ呟いた。
「傍から見ているとモフモフとモフモフの追いかけっこで可愛らしいですが……実情は見逃せませんね」
愛らしい見た目同士のおいかけっこで戯れ合うだけならばまだ良かっただろう。その実態は弱肉強食、食うか食われるかの生存競争。モーラビットがモーラットを食べようと追いかけまわしているのだから。
この事態の収拾を図るべく、まずソフィアは戸惑うひまりに声をかけた。彼女はひしっとくっついてくるモーラットや、あたりをくるくる回るモーラットに戸惑っている。くるくるひまり自身の目も回っているようだ。
「どうしたの? なんでこんなに? どこからどうして?」
「落ち着いてくださいな」
涼やかな声にひまりは顔を上げる。月と笹の静かな夜を体現したような佇まいのソフィアは柔らかに、柔らかにと意識して語りかけた。
「可愛らしいモフモフに囲まれてお困りの様ですけど、そのモフモフさん達は無害ですから、焦らず落ち着いてモフモフさん達と一緒にお散歩してみてください」
「え、あ、はい」
年下のソフィアに諭されて、ひまりはこくこく頷きながらもなんとか落ち着きを取り戻したようだ。そばにくっつく野良モーラットもなんとなく大人しくなっている。
ソフィアはすっと指を上げ、モーラット達が向かっていた方向を指差した。日陰が幾つもあるその道は少しでも涼しいだろうから。
「モフモフさん達の元々の進行方向の、この道を真っすぐ進んでいくと丁度いいかもしれません。暑いですから気をつけて」
「はい。あの、ありがとうございます」
モキュモキュ鳴くモーラットを引き連れて、首を傾げながらもひまりは指示された方向へと進む。
モフモフの一団がだいぶ遠くになった頃、モーラビットがやってくるのがソフィアにも見えた。ふんすふんすと鼻を鳴らして、モーラットの行った方向へと飛び跳ねてきたのだ。
「さて、足止めですね」
しゃらりと葉擦れの音をさせながら、しなる月の竹杖を手にソフィアは満月を打ち出した。
モーラビットの進行上に着弾させ、爆発で怯んだモフモフうさぎに不可視の三日月が降り注ぐ。ぴょんぴょん飛び跳ねて避ける姿は愛らしいが、ソフィアはこの道を譲れない。
「此方も見た目は可愛らしいですが……ここより先に進ませるわけにはまいりません」
道を塞ぐようにソフィアは陣取り、背後の避難中の一団を守る気持ちで立っている。
ここを避けて迂回するならそれはそれ。モーラットとひまりを逃がすに十分な時間稼ぎはできるのだから。
成功
🔵🔵🔴
ダフネ・ヴエナ
◎
まあ……愛らしいですが、そうも言っていられませんね。
なんとか致しましょう。
まずは避難ですわ。
こんにちは、お嬢さん。はじめまして、猟兵ですわ。
ダフネ・ヴエナ。どうぞ、よしなに。
併走しながらのお話でごめんあそばせ
簡単に話しますと、いまあなたの周りにいるふかふかは
襲ってくるものから逃げているのです
危ないですから、どうぞこちらへ
ええ、ここをまっすぐですわ
ほかにも猟兵はいますから、その方の誘導に従ってくださいませ
わたくしはここで食い止めます
ドラゴニアン・チェインで、モーラビットをつなげて食い止めましょう
その間に避難してくださるはずですわ
●青薔薇の魔女の鎖
もふもふしたうさぎめいたものがもふもふころころとしたモーラットを追いかけている光景は何も知らなければ可愛らしい光景だろう。実態は食べたい食べられたくないの命をかけた追走劇だ。
「まあ……愛らしいですが、そうも言っていられませんね。なんとか致しましょう」
ダフネ・ヴエナ(青の魔法使い・f33558)は淑やかな笑みを浮かべ、戸惑いながらもモーラットが走るのにあわせて一緒に走りだしたひまりの速度に合わせて並走する。
「なにがどうなって……」
「こんにちは、お嬢さん。はじめまして、猟兵ですわ」
「はい!? あ、はじめまして、りょーへいさん?」
「はい。そういう職についております。ダフネ・ヴエナ。どうぞ、よしなに」
「はい、あ、よろしくお願いします……?」
走りながらダフネは優雅に頭を下げる。二つ名の通りの青薔薇の髪がサラリと揺れるのに合わせて、ひまりも走ったままで頭を下げていた。
「併走しながらのお話でごめんあそばせ。簡単に話しますと、いまあなたの周りにいるふかふかは、襲ってくるものから逃げているのです」
「なるほど道理で……? え、そんなに凶暴なんですか」
「ええ、ふかふかにとっては。危ないですから、どうぞこちらへ」
ダフネはそっと一つの道を指し示した。広くてモーラット達が集まりやすく、時々木陰もある道は走りやすいだろう。
「ええ、ここをまっすぐですわ。ほかにも猟兵はいますから、その方の誘導に従ってくださいませ」
「は、はい、わかりました。ダフネさんは?」
ここまで走りながらの会話である。息の上がったひまりはこのまま一緒に来るのかと思っていたら、ダフネが足を止めたのに速度を緩めて振り返った。
息を整えるひまりを見ながら、ダフネは柔らかな笑みを浮かべる。
「わたくしはここで食い止めます。さあ、行ってくださいな。休憩しながらでも大丈夫です」
「わかり、ました」
ひまりは大人しくダフネの言葉に従った。ダフネの落ち着いた佇まいや、ここまで話しながら走っていても乱れない呼吸に、焦ることのない言葉に指示に従うべきだ、と判断したのだ。
ゆっくりながらもモーラットと一緒に走るひまりを見送って、ダフネは笑う。確かにふかふかは愛らしい。そして向こうからやってきたうさぎの群れも愛らしい。
けれどダフネが好きなのは武器なのだ。愛らしさよりも鋼の硬さ輝きにこそ惹かれるのだ。
だから手心加えることもなく、冷静にオーラを打ち出した。炸裂したオーラから現れた鎖が飛んできたモーラットを絡めとって繋げていく。
ぷすーっ、ぷーっ、と足踏みて抗議する彼らを一網打尽にしながら、山ほど跳ねてくる後続のモーラビットも鎖で繋いでいく。
この間にひまりとモーラット達は十分に距離を稼げたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
木常野・都月
◎○〆(全てお任せです)
まあ…モーラットは、狐目線でもネズミに見えるからなぁ。
美味しそうだとは思うけど…今は仕事だし。それに俺は妖狐だったんだ。
いつまでも狐と同じじゃダメだ。
ネズミは、モーラットは、食べない。食べないぞ。ヨシ。
まずは逃げてるモーラットの場所を把握しよう。
風の精霊様、モーラットの匂いを探して欲しい。
俺も野生の勘、第六感、野生の中で培った嗅覚でモーラットを探して確保しよう。
チィ、お手伝いを頼む。
UC【精霊騎乗】で見つけたモーラットをチィに乗せよう。
足りないなら俺のフードに入って貰おうか。
俺の尻尾も齧らなければしっかり掴んでおくんだ。
あとは空中浮遊で空に逃げれば、問題ないはずだ。
馬県・義透
◎○♪
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
モラ詰まりとは、ここの名物だったのか…。いや、よく詰まってる依頼を見かけたが、名物…。
そして、よく集まるのだな…。
※以前、一度モラ詰まり解消(ふわもふと焔血の衝動)、一度野良モラ回収した(碧海の底へ)。計二回、モラに関わった。
しかし、まさかの事態であるか。わしは足止めの方に向かう。
これ(指定UC)、こういう使い方もあると気づいたでの。
UC使っての威嚇よな。狼であるし、炎であるし、オブリビオンしか焼かぬし。
たぶん、追いかけてくるやつには天敵のような気がするんじゃ…。
あと、わし自身も槍で牽制するようにな。隙間あるといかんし。
…なんかわし、モラ担当になっとらんか?過去の二回とも、わしだったが?
※今気づいた事実。『侵す者』の生前が狼獣人なためか、もふもふ依頼を任される。
遠野・路子
なるほど、まずは避難だね
……避難訓練?
ならホイッスルを銀誓館学園から借りてこよう
うん、買うのが面倒なだけ
(銀誓館学園の体操服姿)
モーラットたちの前に回り込んで駆け足の態勢
近づいたら
ピッ、ピッとリズムよく吹いて
モーラットたちを整列させつつ移動させる
ついでにあなた(ひまり)も
はい、ピッ、ピッ
ひまりとモーラットを後ろから追いかける位置で駆け足
追いかけてくるモーラビットには威嚇しておこう
【ゴーストイグニッション改】
後ろ目掛けて雑霊弾を雑に放って足止めしておく
倒せなくても進行速度が鈍れば問題なし
その間にひまりとモーラットたちを安全な場所まで移動させよう
お疲れ様
後は私たちに任せて
※アドリブ連携歓迎、♪
●役割分担
「なるほど、まずは避難だね。……避難訓練?」
依頼概要を聞いた遠野・路子(悪路王の娘・f37031)が最初に向かったのは銀誓館学園の職員室。買うのが面倒だったため、そこで体育用品のホイッスルを借りてきた。ついでに学園の体操服にも着替えて準備はバッチリだ。屈伸などの準備運動もして、軽くジャンプして体をほぐしている。
一方、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の中の一人、景雅はもふもふの波が来る、そして詰まると聞いて一つ得心したように頷いていた。
「モラ詰まりとは、ここの名物だったのか……。いや、よく詰まってる依頼を見かけたが、名物……」
そんな名物があってもいいのだろうか、シルバーレイン。しかしよくモラ詰まりがあるのもまた事実である。
モーラットは狭い場所にみっちりと、広い場所にももっふりと。何なら実体があるはずなのにサーバーや回線にすら詰まるという噂すらある。それくらいに詰まるゴーストであった。
「そして、よく集まるのだな……」
景雅は以前にもモラ詰まりの解消や、野良モーラットの保護を行っていた。他にも記録を探せばまだまだありそうなモラ事件。たくさん群れているから詰まってもしょうがないのかもしれない。
「しかし、まさかの人が巻き込まれる事態であるか」
そうしているうちに、他の猟兵に誘導されて走ってきたのか、遠くから集まってやってくるもふもふが見えた。白い波のように集まったモーラットはモキュモキュ鳴きながら逃げ惑っているようだ。その中に確かに一人、女性が混じっていた。
群れなすモーラットを見ながら木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は食欲を微妙に刺激されながら、若干野性味の強い感想を抱いていた。
「まあ……モーラットは、狐目線でもネズミに見えるからなぁ。美味しそうだとは思うけど……今は仕事だし」
仕事中に野生の本能に任せて行動してはいけない。それに都月はただの狐ではなく妖狐である。ならば理性ある振る舞いをしなくては。きゅっと気合を入れて拳を握る。
「うん。いつまでも狐と同じじゃダメだ。ネズミは、モーラットは、食べない。食べないぞ。ヨシ」
自分に言い聞かせながら、都月は狐の姿の月の精霊、チィを呼び出した。名前の通りのチィという鳴き声を一つ発したあと、大きな体を少し屈めて都月の撫でる手を受け入れ、目を細める。
「よろしくな、チィ。お手伝いを頼む」
「チィ」
その背中に騎乗して、都月は路子と景雅にも声を掛ける。
「俺はモーラットを回収して逃がすつもりだ。空から行こうと思う」
「私は誘導に行ってきます」
きりりと首から下げたホイッスルを構え、ピッと一吹きして音を確認した路子は、モーラットの群れの前へと目指して黒髪たなびかせ、足取り軽く駆け出して行く。
「わしは足止めの方に向かおう」
群れの後ろを目指して景雅も走り出した。重心を低くして体のぶれを少なくし、一直線に走っていく。
「なら俺達は、はぐれたやつを拾っていこう」
「チィ」
「風の聖霊様、モーラットの匂いを探して欲しい」
都月は周りを探すように動くことにした。ふわりと風に願って届いた匂いを頼りに、チィと一緒に走っていく。
●隊列くんで避難して、こぼれたモラは拾っていって
もふもふころころと転がるように逃げるモーラット、それに巻き込まれたひまり。出会った猟兵に言われたとおりの方向に向かい、休み休みながらもなんとなく走る彼女の目の前に、一人の少女が現れた。少女は長い黒髪をたなびかせ、モーラットの前に立った彼女はホイッスルを吹く。
「はい、整列。それから駆け足ー、進め」
路子が軽快にその場で駆け足しながらホイッスルを吹く。ピッ、ピッ、とリズムよく鳴らされた笛の音に不思議とモーラット達は整列し始める。
ピッ、ピッ、ピッ。もきゅもきゅもきゅ。
いつしか集団はきちんと並んでホイッスルのリズムに合わせて走っていた。
「え? 行進? なにこれ」
「ほら、あなたも」
「あ、はい」
ピッピッピッ、と聞こえるホイッスルにあわせてひまりもモーラットの行進に並んでいた。ピッッピッピッと鳴るホイッスルに合わせてモーラットとひまりは走っていく。その後をできるだけはぐれモーラットが出ないように気を配りながら路子が追いかける。
避難中にはぐれたモーラットはもきゅっと転がっていたが、それをすくい上げる手があった。野生の勘と風の運ぶ匂いで見つけたフカフカの毛並みを掴んだ手は、月色の大きな獣にモーラットを乗せていく。
「ほいっと。ころころだな……」
まるまるしていて美味しそうな気もするが、そこは我慢。都月はまた一匹、はぐれて転がっていたモーラットを回収し、チィの背中や自分の服のフードに入れていく。
「俺の尻尾も齧らなければしっかり掴んでおくんだ」
ふかっとした都月の尻尾にも捕まるモーラット。チィの足や尻尾にもモーラット。回収した彼らをしがみつかせて都月とチィはまた空に浮かぶ。
「あとは避難した群れに戻してやればいいな」
●焔狼と足止めしながら事実に気付き
ざて、追いかけるモーラビット達はもふもふと跳ねていた。
美味しい獲物がもうすぐそこだ、たくさん集まっているぞ。いけいけー。
食欲に忠実に跳ねる彼らのその前に、立ちふさがる影一つ。
「ここはこれ以上いかせんぞ」
ぶんっと振るうは黒燭炎、ゆらり揺れるは狼の炎。
「わしに流れていた力よ、形になれ」
百二十七の紅の紅輝の魔断狼が景雅の命に従いモーラビットへと押し寄せる。赤い炎の狼に、うさぎのオブリビオンはふすっと飛び跳ね避けていく。
「|これ《四天境地・火》、こういう使い方もあると気づいたでの。たぶん、追いいかけてくるやつには天敵のような気がするんじゃ……。狼であるし、炎であるし、オブリビオンしか焼かぬし」
狼で炎で、まさにと草食動物のうさぎには天敵の塊である。おまけにオブリビオンしか焼かないので環境にも優しい。うさぎの姿のもふもふモーラビットは追いかけてくる狼に慌てて逃げながら跳ね上がり、尻尾や首元を齧られてはふすーっと悲鳴めいた声を上げている。
ぴょんぴょん跳ねては転がってばらばらになったモーラビットは、群れを追いかけることも忘れて迫ってくる天敵から逃げ惑っていた。できるだけモーラビットが狼の狩り範囲内に収まるよう指揮しつつ、景雅は彼らの隙間を埋めるように黒燭炎で牽制する。
ふと、槍を振るい。モーラビットのもふっとした毛並みを見て。景雅はまさに今気づいた事実に思わずぽつりと呟いた。
「……なんかわし、モラ担当になっとらんか? 過去の二回とも、わしだったが?」
別に他の中の人が担当したっていいわけだが、何故か景雅が行くことになっているのだ。槍を振るいながら景雅は首を傾げてしまった。
種を明かせば、別にモーラット担当が景雅である、と言う訳ではない。というかモーラットだけが担当ではない。景雅がもふもふ担当だということなのだ。生前狼のキマイラであったが故に他の魂達から任されているだけであった。
いつの間にやら決まっていた担当に、景雅は首を傾げるばかりであった。他の三人がどう思っているかは別の場で語られるかもしれない。
●安全な場所までたどり着いたなら
モーラットの隊列とひまりは一生懸命走っていく。
時折景雅の指揮する狼の群れから転がり出たうさぎがモーラットの隊列に近づくが、それは最後尾を走る路子が対応する。
周囲の地縛霊に力を借りて、威力を増した雑霊弾を雑に放つ。見ないで放った弾が当たらなくたって構わない。余波にぶつかって転がったりするモーラビットがいたり、近くをかすめる弾を避けるために跳ねるモーラビットがいたりすればいい。こうして進行速度が遅くなれば、景雅の焔の狼が牽制に駆けつけ、隊列からこぼれたモーラットは都月が回収する余裕が生まれる。
その間に十分に距離を稼いだモラの群れとひまりを、路子はピーッと長くホイッスルを吹くことで止まらせる。
「はあ……」
息が完全に上がってモラの絨毯にダイブしたひまりに、路子はそっとスポーツドリンクを差し出した。
「お疲れ様。後は私たちに任せて」
ひまりがスポドリを受け取ったのを確認し、路子もまだ追いかけてくるモーラビットを止めるべく踵を返すのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
八坂・詩織
◎○♪
白夜さん(f37728)と。
関係性:学生時代の先輩。付き合いも長く気のおけない間柄
共食いって、あれはうさぎですよ。モーラットはどっちかといえばねずみ…じゃなくて、そもそもオブリビオンと保護すべきゴーストですから!
とにかく、今はひまりさんと野良モーラットの避難が最優先ですね。
それじゃ、久しぶりにアレしますか。
『イグニッション!』
瞳は青く変化し、白い着物姿に。
一緒に足止めを狙いましょうか、私は強制共生弾でオブリビオンを【麻痺】させつつお話してみます。
『すみませんがここから先は通行止めです。モーラット達はあなたの食用じゃありません』
説得できるとは思ってませんが、少しでも時間稼ぎになれば。
鳥羽・白夜
◎○♪
八坂(f37720)と。
学生時代からの付き合いで、お節介な後輩
アレがオブリビオンってやつか…何あいつ、モーラット食うの?…なんか絵面が共食いみてーでやだな…
何年ぶりだろうな…もう使うことはないと思ってたんだけどな…
『イグニッション!』
学生時代に使っていた大鎌ブラッディサイズを手に。
(まあ、昔と違ってイグニッションカード必須じゃないけど癖というか景気づけ?)
あいつら足止めすりゃいいんだな?
じゃ、こいつ使ってみるか。
ブロッケンの魔物をモーラットの群れか、オブリビオンの一体に纏わせる。恐怖で足止めできるといいけどな。
…うさぎが怖がるものって何だろうな?
●再びの戦いに、懐かしい言葉に
白いもふもふのあとを同じように白いもふもふが追いかけていく。鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)は追いかけるもこもこの方、モーラビットを見て呟いた。
「アレがオブリビオンってやつか……」
「はい。過去から蘇ってきた脅威ですね」
八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)も頷いてもこもこうさぎに見えるモーラビットを見た。なんとなく顔つきもモーラットに似ている気がする。丸まって並んでいたら見分けがつきにくいかもしれない。
白夜も同じように思ったのか、若干嫌そうな顔をしていた。
「何あいつ、あの見た目でモーラット食うの?……なんか絵面が共食いみてーでやだな……」
「共食いって、あれはうさぎですよ。モーラットはどっちかといえばねずみ……じゃなくて、そもそもオブリビオンと保護すべきゴーストですから!」
詩織はつい突っ込みを入れていた。そもそも普通のうさぎはねずみを食べたりしない、というのは置いておいて。
「とにかく、今はひまりさんと野良モーラットの避難が最優先ですね」
コホン、と一つ咳払いして仕切り直した詩織の言うとおり、猟兵に目覚めた二人が倒すべきは後ろのうさぎなオブリビオンであり、モーラットは保護対象である。彼らと一緒に逃げているひまりもだ。
「それじゃ、久しぶりにアレしますか」
「ああ、アレな。……必須じゃないんだったな」
「ええ」
けれどずっとこうやって戦っていたのだから、と白夜と詩織は高らかに叫んだ。
『|起動《イグニッション》!』
詩織の見た目が一瞬で変わる。茶の瞳は氷の青に、衣類は白い着物姿に、結んだ髪ははらりと解ける。伝え聞く昔話の雪女へと姿を変えていた。
白夜の手元には二つ名の由来通りの赤く染まった三日月の大鎌が現れた。握れば驚く程に手に馴染む。
「何年ぶりだろうな……もう使うことはないと思ってたんだけどな……」
かつて後輩に力を譲って一線から退き、さらに世界結界修復の影響で記憶も失っていた白夜。猟兵に覚醒したことで、戦いの技術も知識も身に戻っているとはいえ、なんとも言えないものがある。正直戦いなんて知らん顔して普通に暮らしていたい。けれども、まあ、後輩を放って一人やらないわけにもいかないから。
「あいつら足止めすりゃいいんだな?」
「はい。モーラット達を追いかけられないよう、一緒に足止めを狙いましょう」
若干気だるげな白夜とは打って変わって、卒業後には銀誓館の教員として働くことを志し、それを叶えた詩織はやる気満々だ。新たに目覚めた力にも慣れてきて、今も猟兵に目覚めてから呼び戻したファンガスを呼び起こして、ふわりと胞子をモーラビットへと飛ばしている。
「了解。じゃ、こいつ使ってみるか」
白夜も新たに目覚めた力を使うことにした。恐るべき原初の霧の向こうに見える影、恐怖をもたらす幻影を呼び起こす魔物。
「恐怖で足止めできるといいけどな。……うさぎが怖がるものって何だろうな?」
肉食動物炎だろうか。もしかしたら人間も怖いかもしれない。そんなことを思いながら、白夜はころころもふもふもきゅーっと逃げ惑うモーラットの群れにそれをまとわせた。
モーラビットの動きが止まる。彼らにはモーラットの群れが恐ろしい肉食動物に見えたのだ。美味な体を狙うように舌なめずりをして、ぐるぐるお腹空いたと言うように唸っているように見えたのだ。
『こわーい! 何で! おいしそうなご飯どこ!?』
ちょうど胞子も根付いてキノコも生えた。すっかり麻痺して動けなくなったモーラビットの意思を詩織は感じることができる。そして自分の意思を伝えることも。
おそらく説得は無理だろうが、それでも、と詩織は対話を試みる。
『すみませんがここから先は通行止めです。モーラット達はあなたの食用じゃありません』
『もーらっと? ご飯のこと?』
『はい、あなた達が追いかけているゴーストです。ご飯じゃないんですよ』
『違う。あれ、僕らのご飯。僕らあれを食べて生きてるの』
骸の海から蘇った過去の存在は、そんな意思を伝えてきた。本能に忠実な彼らはお年頃の中学生よりも貸す耳を持っていない。詩織の言葉にも首を傾げるような意思を示すばかりだ。
「で、説得できそうか」
「やっぱり駄目みたいです」
白夜の声がけに詩織は首を振った。
「まあ足止めはできているし、大丈夫だろ」
「そうですね」
長い耳をぴくぴく震わせて、ご飯を追いかけようと動けない体でじたばたするもの、肉食動物の幻に怯えてすっかり丸くなり、モーラットのようになっているもの。ここにいるモーラビット達は二人の狙い通りしっかり足止めされている。
「あとはこの間に避難してくれればいいわけだ」
「はい。そうしたらこの子達も倒さないといけません」
ぐっと拳を握った詩織の言葉に、白夜は少々嫌そうな顔になるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
桂・卯月
◎○
基本無表情・動じない。『!』はほとんど使わない。
UCであらかじめ避難経路やモーラビットの注意点を調べてから、手近なモーラットの頭をもふもふ
お前たち。今は逃げることを優先しろ
助け合うのは、得意だろう
モーラットをなだめつつ、ひまりにも声をかける
突然驚かせてすまない。一応、専門家の端くれだ
以前の似たような事例と、今回の状況に適した対処法を今から伝える
こいつらはこの通り人懐こくてな
お前が一緒なら、恐らく素直に逃げてくれる
お前自身の身の安全が、こいつらを守ることにも繋がる
今から伝える所にまで、避難していて欲しい
もう会ったかもしれんが、俺以外にも、専門家が来ている
皆、信じれば応えてくれる
頼ってくれ
フォルク・リア
◎○〆♪
「見ただけだとあまり緊張感は感じられないけど。
メガリスやオブリビオンが関わっているなら
見ている訳にもいかないか。」
モーラットをかき分けながらひまりに近づき
「何だか大変なところ失礼するよ。
彼(?モーラットの事)らは君に危害を加える事はないだろう。
それに集まってくるのは其れ(白鞠守りを指さし)の効果
ってところだ。」
と説明してから
「逃げ様としてるのは彼らにとっての敵が来てるから。
俺は一緒に逃げる手伝いをしに来たのさ。」
と真羅天掌を発動。
吹き飛ばし属性の旋風を発生させ
モーラットごと優しく押し流して避難させる。
「さて、暫しの間の空の旅だ。
ゆっくり行こうか。」
ひまりと共にモーラットにのまれながら。
●誠実な対応と、モーラットとゆく空の旅
フォルク・リア(黄泉への導・f05375)はふかふか同士の戦いに、フードから覗く唇をゆるく解いた。
「見ただけだとあまり緊張感は感じられないけど。メガリスやオブリビオンが関わっているなら見ている訳にもいかないか」
もふもふともふもふが追いかけっこしているような光景ではあるけれど、危険は実際に迫ってきている。オブリビオンを放置すればそこから世界は崩壊するし、人の手に余るメガリスを放置もできない。
わらわら集まるモーラットをかき分けて、フォルクは一緒に走って疲れてしまい、しゃがんだひまりに語りかける。
「何だか大変なところ失礼するよ。|彼ら《モーラット達》は君に危害を加える事はないだろう」
「はひ、はい……? この子、たち、ですか……なんで集まってくるのか……」
「集まってくるのは其れの効果ってところだ」
それ、と言いながら白鞠守りをフォルク指差した。手に握る根付を見つめ、ぜえはあと息を整えるひまりの横で、そっと桂・卯月(ルナエンプレスのブロッケン・f37506)もしゃがんであたりをうろつくモーラットの頭をもふっと撫でた。もきゅっと鳴いたその個体をもふもふ撫でながら、落ち着いた声で卯月はゆっくり語りかける。
「お前たち。今は惑わずに逃げることを優先しろ」
今は追い立てられて混乱していたようだが、彼らは集団で行動できるのだ。柔らかな毛を撫でられてもきゅっとしているモーラットを柔らかな手つきで触れていく。動揺して跳ねていた体が落ち着いていった。
「助け合うのは、得意だろう」
真摯に語る卯月の声に浮ついていたモーラットも落ち着きを取り戻す。お互いにもふっと寄り添いなだめあったり、息を整えるひまりに柔らかな体をくっつけたり。なんとなく宥め合い、協力していく雰囲気になっていった。
卯月は柔らかに赤茶の瞳を細め、若干びっくりしたひまりにも語りかけた。
「突然驚かせてすまない。一応、専門家の端くれだ」
「は、はい、えっと、あなたもあの方もりょーへいさん、という方でしょうか?」
「ああ。その猟兵だ」
この謎の状況を詳しく知っているようなフォルクの佇まいに、ゆっくりと落ち着いた卯月の動作や語り口に、ひまりの心も落ち着いていく。
「以前の似たような事例と、今回の状況に適した対処法を今から伝える」
もふっと卯月やひまりにくっついてくるモーラット。彼らを示し、手に触れた個体の頭を撫でながら卯月は淡々と語る。
「やたら集まるのは根付の効果だが、それがなくてもこいつらはこの通り人懐こくてな」
今もフォルクのローブの裾に隠れてみたり、卯月の膝に乗ってみたり、ひまりの手に抱きついてみたり、とふかふかに動き回るモーラット達。
「お前にも懐いているようだ。だからお前が一緒なら、恐らく素直に逃げてくれる」
「逃げる……」
「逃げ様としてるのは彼らにとっての敵が来てるから。俺達は君と彼らが一緒に逃げる手伝いをしに来たのさ」
「お前自身の身の安全が、こいつらを守ることにも繋がる。今から送る所にまで、避難していて欲しい」
卯月は事前に聞いていた場所まで送るとひまりに告げてフォルクへと頷いた。フォルクは頷き返してその場に風を起こした。
「モーラビットは案外高く飛び上がる。それなりに上を飛んだほうがいい。予知にあった場所は案外広いから、着陸にも苦労しないだろう」
「了解。ではモーラットを抱えていてくれ」
「はい?」
卯月が過去に触れた文献から読み取った情報をフォルクに告げ、フォルクはそれに頷いて風を制御下においた。戸惑うひまりに卯月はすっと一匹モーラットを差し出す。
ひまりが受け取って抱きしめた途端、体が風で吹き飛ばされた。そのまま空中へとモーラットの波ごと浮かび上がっていく。
「ひえ」
小さくひまりの口から声が漏れた。だって飛んでいるのだ。人は簡単に風では飛ばないはずなのに。
静かに慌てているひまりを見ながらフォルクはモーラットの波に埋もれつつ、ゆったり告げる。
「落としたりしないから大丈夫。さて、暫しの間の空の旅だ。ゆっくり行こうか」
「ひえ」
ふわふわのモラ絨毯に乗りながらフォルクは優しくモーラットとひまり、卯月を連れて空を行く。かちんこちんに固まったひまりに、卯月は|落ち着いた表情《無表情のまま》で語りかけた。
「もうお前が出会ったように、彼や俺以外にも、専門家が来ている」
不安げな彼女の憂いを払うように。
「皆、信じれば応えてくれる。頼ってくれ」
「……はい。いきなりですけど、その。助けてくれてるので。信じます」
卯月に渡されたモーラットをぎゅっと抱きしめながら、ひまりは卯月とフォルクにこくり、と頷いてみせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
吉備・狐珀
【狐扇】
ふわぁぁ…。あ、あの白いもふもふがモーラットですか?!
ふわふわしてます!もふもふです!
キューって鳴いていらっしゃいます!なんて愛らしいのでしょう!(大興奮)
…あ、えっと。わかっています、わかっていますよ?
えー、まずはひまり殿とモーラットを安全な場所へ避難誘導、もしくはモーラットを狙うオブリビオンの足止めですよね?
わかっていますとも。
とはいえ安全な場所…。
うーん…。初めてのシルバーレイン故に土地勘のない私がむやみに誘導するのはかえって危険のような気がします…。
なので、UC【青蓮蛍雪】で道を塞ぎオブリビオンの足止めを行うとしましょうか。
月代とウカは衝撃波で私達の援護をお願いしますね。
落浜・語
【狐扇】
モフモフがいっぱい。モーラット、話には聞いてたけど可愛いな……。
見慣れた生き物とはまた違った感じで、マルッとして可愛い。
でも、これだけいっぱいいると……(狐珀の方をチラ見)(暴走してるのも可愛い)
うん、確かにかわいいけれど、とりあえずやる事やっちゃおう。
少なくともこのもふもふたちは消えないから。あとでもいっぱいもふれるから。
誘導は他の人に任せておいて、安全確保に回ろうか。
UC「紫紺の防禦」を使って、オブリビオンとモーラットやひまりさんの間に壁を作る。
安全確保の時間稼ぎをメインに動く。
まぁ、確かにこれだけの数が居たら、モラ詰まりができるのもわかる気がする……。
●
逃げ惑い、白鞠守りに引き寄せられていつの間にか集まったモーラットの群れはまさに押し寄せる波のようになっていた。ふかふかもふもふの固まりの波である。
「モフモフがいっぱい。モーラット、話には聞いてたけど可愛いな……」
見た目には大変ほのぼのした光景に落浜・語(ヤドリガミの天狗連・f03558)もほのぼの呟いた。追いかけられて食べられそうだ、というのに見た目にはあまり悲壮感を感じないのがその姿のせいかもしれない。
「見慣れた生き物とはまた違った感じで、マルッとして可愛い」
まんまるの鞠のような体躯で手足も短め、毛もふかふか。円な瞳も可愛らしい。普段目にする動物とは違う一頭身に近いフォルムは愛嬌もあって愛でたくなる。
「でも、これだけいっぱいいると……」
ちらりと語は隣にいる吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)を横目で見た。
もふもふかふか、ふわふわで可愛いらしい一団を見て狐珀の目は輝いていた。きらっきらに夏の太陽よりも輝いていた。
「ふわぁぁ……。あ、あの白いもふもふがモーラットですか?!」
シルバーレイン特有の種族、モーラット。その姿はもふもふふかふかで可愛らしい。モキュ、キューっという鳴き声も可愛く聞こえるのだ。狐珀の可愛いものを愛する心にクリーンヒットしていっている。
「ふわふわしてます! もふもふです! キューって鳴いていらっしゃいます!なんて愛らしいのでしょう!」
ふかふか大好きな狐珀のテンションはうなぎのぼりである。可愛い可愛いと大はしゃぎに暴走している彼女を見ながら、語はそんな彼女も可愛いなぁなと思っていた。
だがしかし、このままでは|もふもふ《モーラット》が|もふもふ《モーラビット》に食べられてしまうのだ。ひとまず落ち着いて貰わなくてはいけないだろう。それを見た狐珀の状態もちょっと心配になる。
「うん、確かにかわいいけれど、とりあえずやる事やっちゃおう。少なくともこのもふもふたちは消えないから。あとでもいっぱいもふれるから」
語は少し落ち着くように、と狐珀へと言い聞かせた。野良モーラット達は消えてしまう現象ではない。何せ避難した先で詰まるらしいし、その解消も依頼にはあった。そのときにゆっくりともふることも可能だろう。
彼の言葉に狐珀の理性も戻ってくる。藍の瞳を瞬かせ、ちょっとだけ恥ずかしそうにしながら頷いた。可愛いに押されていた依頼の内容もきちんと戻ってきた。
「……あ、えっと。わかっています、わかっていますよ? えー、まずはひまり殿とモーラットを安全な場所へ避難誘導、もしくはモーラットを狙うオブリビオンの足止めですよね? わかっていますとも」
「うん、そうだな」
依頼内容を思い出して顔を見合わせた狐珀と語は少し考える。初めての世界で、この周辺の土地勘のない二人だ。
「とはいえ安全な場所……。一応、予知の場所は聞いていますが。うーん……。初めてのシルバーレイン故に土地勘のない私がむやみに誘導するのはかえって危険のような気がします……」
なので狐珀の取る選択肢は足止めの方だ。語もそれに同意する。
「ああ。誘導は他の人に任せておいて、安全確保に回ろうか」
「はい」
もふもふとした集団とひまりが通り過ぎたあと、二人はモーラビットの進路上に立ちふさがる。ひとは獲物ではないモーラビット達はぴょこんと跳ねて距離を取りながら、ふすふす鼻を鳴らしていた。
狐珀の周囲には冷気を帯びた狐火が、語の周囲には花びらが浮かび上がる。ふわりと集まった狐火は集まって大きな氷の炎に変わり、花びらをちょんとつついたモーラビット燃え上がるそれに跳ね飛んだ。おまけに狐珀のそばに従う月代とウカが放つ衝撃波もやってきて跳ね飛ばされていく。モーラビット達の進行速度は一気に落ちていった。
語はそんな彼らの合間を縫って、近づいてくるモーラビットに花びらをふわりと向かわせた。モーラビットは燃えたくない、と花びらからも逃げ惑う。
完全にこの辺一帯に集まったモーラビットを操る氷の炎で足止めしながら狐珀は思わず呟いていた。
「こちらももふもふですね……撫でれないでしょうか……」
「オブリビオンだからなぁ」
一応世界の敵であり、倒すべき存在である。人には脅威にならないらしいが、どうだろうか。震えて丸まりよりもっふり見えるモーラビットを見る狐珀の悩みはまだ続きそうでもあった。
一方語は足止めをしている間に遠ざかっていくモーラットの一団を確認し、最初に見たときから感じていたことをぽつりと零していた。
「まぁ、確かにこれだけの数が居たら、モラ詰まりができるのもわかる気がする……」
逃げて集まって、先程よりも数を増やし、道いっぱいに溢れるモーラットの姿が彼の目には写っていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『モーラビット』
|
POW : 兎の牙がモーラットを喰らう
戦闘中に食べた【捕縛したモーラットの肉】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 兎の耳は剃刀よりも鋭い
【モーラットの毛を一瞬で刈り取る鋭さ】を籠めた【兎の耳】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【毛髪】のみを攻撃する。
WIZ : モーラットとなって誘き寄せる
全身を【丸めモーラットそっくりの姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
イラスト:イツクシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●|モーラット《もふもふ》の脅威、|モーラビット《もふもふ》
猟兵によって足止めされたモーラビット達は、獲物が遠くなったことにふんすふすと鼻を鳴らしたり、足踏みして怒りを顕にしている。
人間を食べたりしないが、これでもちゃんとしたオブリビオン。鋭い耳や牙は武器になる。
ぷすー、ぷすっと怒った声を出しながら、モーラビットは邪魔をする猟兵達へと跳ねていく。
木常野・都月
◎○〆
獲物を取られて奪われたら、まあ怒って当然だよな。
でも、野良なら分かるだろう?
世界はそういう物だろう?
確か人の言葉で弱肉強食っていうんだ。
それにお前達はオブリビオンだ。
今生きてる訳じゃない。
モーラットを食うなんて…
食う…なんて…。
あれ?俺、モーラビット食っても…いいんじゃ?
まあ深く考えるのはやめよう。
食えそうなら食う、そういうものだ。
モーラットにオーラ防御をかけよう。
モーラビットに食わせる訳にはいかない。
風の精霊様、モーラビットの、オブリビオンの匂いを捉えて欲しい。
野生の勘、第六感を使って、逃さないように。
UC黒の狐火を範囲攻撃で、精気は半分くらい。
風の精霊様の誘導に沿って撃っていこう。
馬県・義透
◎○〆♪
引き続き『侵す者』にて
…いやまて、もう一つの可能性が。わしが担当しておるの…まさか…敵が『うさぎ』であるからか…?
たしかに、よく狩っておったが。
(戦国時代出身なので、うさぎ=食糧認識。そうでなくても、『侵す者』は生前狼なキマイラ)
うむ、しかし。今はやつらを退治せねばな。
この黒燭炎の炎は強くなっとるし。一度目に薙ぎ、二度目にUC付きの突きを食らわせよう。
はは、さっき、皆で存分にモーラットを逃がし、お前たちを足止めしたからの。ここにモーラットの肉はない。
そして、攻撃に当たってやるほど、甘くはないのよ。戦闘知識からの見切りにて避けよう。
ああ、通してやるほどに大きくは避けぬからな?
●食物連鎖の上と、美味しいお肉と
ふかふかの毛並みを震わせて、ぷすぷすぷこぷこ怒っているモーラビットを見て、都月は一つ頷いた。
「獲物を取られて奪われたら、まあ怒って当然だよな」
都月だって狐の生活をしていた頃、狩りの最中に目の前で獲物を奪われたなら怒り狂うだろう。安定した食料供給などないのだから。
「でも、野良なら分かるだろう? 世界はそういう物だろう? 確か人の言葉で弱肉強食っていうんだ。それにお前達はオブリビオンだ。今生きてる訳じゃない。モーラットを食うなんて……食う……なんて……」
過去から生まれた彼らが生存のためにモーラビットを襲うのかはわからない。もしかしたらそういう|性《さが》として生み出されたのかもしれない。それでも、食べる必要はないと言おうとした都月の言葉がふと途切れた。
都月は猟兵であり、妖狐である。モーラビットはオブリビオンであり、うさぎである。弱肉強食的に肉はモーラビットて食するのは都月である。
「あれ? 俺、モーラビット食っても……いいんじゃ?」
確か肉は美味しいとも、依頼のときに言っていた。都月の目に狐の野生が浮かぶ。おいしそうな食料だと認識したのだ。
そしてもう一人、獲物を狙う目で見ている猟兵がいた。景雅である。とんと槍の石突で地面を軽く叩いてから、ふと気づいたように呟いた。
「……いやまて、もう一つの可能性が。わしが担当しておるの……まさか……敵が『うさぎ』であるからか……?」
先程槍を揮っていたときにたどり着いた真実の他に、もう一つ可能性があったのだ。彼の生きた時分にはうさぎ肉は狩猟の獲物としてメジャーだった。それに生前の彼は狼のキマイラでもある。うさぎはおいしい獲物であった。
「たしかに、よく狩っておったが」
こちらも弱肉強食的に肉はモーラビットて食するのは景雅である。やっぱり目の前のうさぎはおいしい獲物なのではないか。狼の本能が景雅の目に宿る。
今やモーラビットは狐と狼に狙われた状態であった。
ぷすぷす鳴きながら踏んでいた|足踏み《スタンピング》が止み、何故かじりりとモーラビット達が後ずさる。何か本能で感じたのかもしれない。モーラット似の顔には若干恐怖が浮かんでいた。
そんな中、互いに一つ目を合わせそっとそらした都月と景雅は彼らの任務に戻ることにした。今は、モーラビットを食べるか否かは考えないことにする。考えるのは落ち着いてからでもいいのだ。
「うむ、しかし。今はやつらを退治せねばな」
「そうだな。まあ深く考えるのはやめよう。食えそうなら食う、そういうものだ」
都月が後ろにかばったもふもふ集まって詰まりだしているモーラットの群れにオーラをまとわせ、防御を高めている間に景雅がとん、と踏み出した。身軽な体を活かして素早く距離を詰め、怖がりながらも牙をむき出してふすーっと威嚇するモーラビットににやりと笑う。
「はは、さっき、皆で存分にモーラットを逃がし、お前たちを足止めしたからの。ここにモーラットの肉はない」
「ああ。モーラビットに食わせる訳にはいかない」
今も食べれぬように守りが敷かれた状態では、モーラビットはモーラットを食べることなどできるはずもなく。ちまっと見える牙は鋭いがそれだけだ。猟兵には痛手にもならないだろう。
ごうと音を立てて力強く景雅の黒燭炎がモーラビットを薙ぐ。巻き上がる炎と共に近くのモーラビットが槍に吹き飛ばされ、追いついた炎に焼かれていく。
もちろんモーラビットもおとなしくはしていない。槍の軌道から逃れたモーラビットが素早く駆け出し、モーラットの群れへと突っ込んできた。せめてちょっとでもかじれれば、と口を開けて飛び込もうとする。
「風の精霊様、モーラビットの、オブリビオンの匂いを捉えて欲しい」
都月の願いに応え、風が匂いを運んでくる。モーラビットに近い順に狙って都月の黒の狐火が迎え撃っていくのだ。空いた口にモーラットはもちろん入らない。跳ねて迫ったモーラビットは焼かれてちょっといい匂いがその場に漂っている。
更に景雅が引き戻した黒燭炎でモーラビットの一匹の腹を穿てば、炎がその身を焼いていく。やっぱり肉の焼ける匂いが美味しそうである。血や毛の焼ける不快な匂いがしないのは、モーラビットがオブリビオンだからかもしれない。
「何だか腹が減るのう……」
飛びかかってくるモーラビットを最低限の動きで避けながら、黒燭炎を揮っては突いて排除を進める景雅がぼそりと呟けば。
「……少し持って帰ろうか。味付けは後からでも遅くないだろうから」
黒い狐火を操って、近くのモーラビットを焼き尽くして更に遠くへと攻撃箇所を広げた都月も頷いていた。
なお、持ち帰った肉は程よい焼き加減になっており、調味して食べると野生の赤みたっぷりの肉だった。案外柔らかく、ここから煮込んでも美味しいだろう。モーラットの数も多いため、数人で食べても満足する量も確保できたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
桂・卯月
◎○
※引き続きずっと無表情
見れば見るほど似ているが、食事という前提に疑問を覚えないんだな
業、か……
まずは結界を張る
多重詠唱で枚数を重ねて強度を増しておこう
カウンターも仕込んでおくか、念の為
次にブロッケンの魔物を用い、モーラビットに無作為に幻影を纏わせる
……見た目格上で食欲旺盛そうな妖獣辺りがいいか
膠着するなり同士討ちなり
注意を逸らし、一度に相手取る数が減れば良い
そして結界の規模を一気に広げ、まとめて跳ね飛ばす
我に返る前、出来れば空中にいる間に、ガラスの剣を振るって斬撃波ですぱっと斬る
相容れぬ存在とはいえ、苦しまず一撃で仕留められるなら、その方が良い
数が多いからな。抜かれればカウンター結界で轢く
三上・くぬぎ
◎○♪
(避難中の野良モーラットに混ざって、スーパーかグレートっぽいモーラットが一匹)
……こんにちはです
なんかきづいたらこの集団に加わってたですよ
くぬぎ、野良モーラットじゃないですよ
でもなんか引きよせられたです。きっとモーラットの本能ですよ
モラ詰まりは本能、だいはっけんです。のーべるしょうです
え、あぶないのがこっちにきてるですか?
あのうさぎさんです?
……ちょっと! なんでくぬぎを見てよだれだしてるですか!
くぬぎはごはんでもおやつでもないですよ! もきゅー!!(ぷんすこ)
しつれいなうさぎさんには、むしさんこうげきしちゃうですよ!
必殺・スズメバチさんいっぱいアタックですー!
●現れた新たなモーラットと、モーラビットとの戦いと
飛んで運ばれて、ゆっくりと着地した|ふかふかもふもふころころ《モーラットの集団》の中に、気がつけばスーパーかグレートっぽいモーラットが一匹混じっていた。周囲の個体とは違って耳がちょっぴり尖っていたり、額にお花のマークがあったり、帽子をかぶって虫かごを持っていたりする。
それに気づいたひまりと護衛についていた卯月がその個体を見ていれば、周囲のモーラットともふもふもきゅもきゅしあっていた三上・くぬぎ(アウトドア派・f35607)も顔を上げて二人を見つめる。
「……こんにちはです」
「こんにちは」
「あ、はい。こんにちは。喋れるんだ……」
「はい。なんかきづいたらこの集団に加わってたですよ」
ぺこりと頭を下げるくぬぎに、猟兵だと感じて無表情に挨拶を返す卯月と新たなモーラットの姿にびっくりするひまり。何となくゆるい雰囲気が漂った。
ぴこんと短い手を上げて、くぬぎはきりっと宣言する。彼女は元使役ゴーストではあるが、猟兵として目覚めた個体である。
「くぬぎ、野良モーラットじゃないですよ。でもなんか引きよせられたです。きっとモーラットの本能ですよ」
「本能」
「モーラットは集合する性質があるようだ」
思わず繰り返すひまりに、表情の変わらない卯月は淡々と知識を述べる。そういえば先程よりももふもふの密度が増しているようだった。そろそろ道に詰まってくるかもしれない。
もふもふが集まってくる中、くぬぎははっと気づいたように重々しく言った。背景に稲妻が走っていたかもしれない。
「モラ詰まりは本能、だいはっけんです。のーべるしょうです」
「そうだな。大発見だ」
「平和なノーベル賞だね……」
真面目に頷く卯月とどこか呆然としたひまり。胸を張るくぬぎ。むふんとした彼女は、何故ここにモラが詰まってきたのかを問いかけた。
「そういえば、どうしてこんなにモーラットがあつまってるですか?」
「危ないのが追いかけて来ているからだな」
「え、あぶないのがこっちにきてるですか?」
卯月が示した先に姿を表したのは、足止めされながらも追いかけてきたモーラビット。見た目はふかふかもふもふモーラット顔のうさぎである。
「見れば見るほど似ているが、食事という前提に疑問を覚えないんだな。業、か……」
その性質を持って過去から蘇ってきたオブリビオンである。似た姿もモーラットを捕食するための擬態に過ぎないのかもしれない。表情を変えずに考えている卯月の横で、くぬぎはやってくるモーラビットに注目した。
「あのうさぎさんです?」
こてんと首を傾げたくぬぎとモーラットの一匹の目があった。途端モーラビットはじゅるりとよだれを垂らして「あ、おいしそう」という雰囲気を醸し出す。
「……ちょっと! なんでくぬぎを見てよだれだしてるですか!」
「あいつらにはモーラットは食料だからだろう」
「きゅ! くぬぎはごはんでもおやつでもないですよ! もきゅー!!」
「あ、鳴き声一緒なんだ。かわいい」
多重に結界を張る卯月の言葉にふかふか毛並みを震わせて、ぷんすこ怒るくぬぎ。たしたし足踏みしながらもきゅーと鳴く姿は周りのモーラットによく似ていて、ひまりはほっこりした。野良モーラット達も仲間の怒りにあわせてもきゅもきゅ鳴いている。
「しつれいなうさぎさんには、むしさんこうげきしちゃうですよ!」
ぱっとくぬぎが掲げたのは彼女の大切な虫かごだ。そこから現れたのは、大きなスズメバチの大群。ぶんぶん羽を震わせてやる気満々の姿にひまりの口から声が漏れた。
「ひえ。はち」
「だいじょうぶです、このスズメバチさんはあたまのいいこです。ちゃんとうさぎさんだけさすですよ!」
きりりとくぬぎが腕を振り下ろせば、スズメバチの大群はモーラビット目掛けて飛んでいく。
「必殺・スズメバチさんいっぱいアタックですー!」
ぶんぶんと羽を鳴らして噛み付いたりちくっと刺したりすれば、モーラビットは毒できゅうっとなったり、怖い幻覚を見て震えたりパニックになって卯月の結界につっこみ、仕込まれたカウンターで弾かれたりしている。
そんなパニック状態のところに卯月のブロッケンの魔物が被された。霧の向こうの恐怖を纏うものが大きな肉食の、それもお腹を空かせた幼獣の姿を取って無作為にモーラビットの数体にまとわりつく。
ぷすー、ぷきゅっ、と鼻や喉を鳴らすような悲鳴を上げてモーラビットは丸まったり逃げたりしだした。
「結界で弾く。集めてくれるか」
「はいです! スズメバチさん、かこんでごーです!」
卯月の声にくぬぎが動く。彼女の意思を汲み取ったスズメバチの群れが一方向にモーラビットを追い立てて、そこを卯月が広げた結界で弾き飛ばした。丸まった個体も跳ね飛ばされて、丸まりを解除している。
(相容れぬ存在とはいえ、苦しまず一撃で仕留められるなら、その方が良い)
ぽかんと飛んでいく彼らをガラスの剣から生まれた衝撃波が切り裂いていく。線上にいない個体も、くぬぎの指示でスズメバチが更に一撃加えて倒していったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ダフネ・ヴエナ
もふもふでふわふわ。愛らしいこと。
でも、研がれた鋼の美しさには届きませんわね。
参ります。
あら、毛刈りばさみのような耳ですこと
ですが、竜の毛を刈るには力不足ですわ
その耳ごと切り落として差し上げます
蒼穹の美しさ、目に刻んで眠りなさいな
ウサギだけに足が速くていらっしゃるのね
ですが、わたくしも疾くてよ
風を踏めば世界に征けぬ場所なし
真上でしてよ
月のように砕いて差し上げますわ
●様々な武器と舞い踊り
「もふもふでふわふわ。愛らしいこと」
真白でもふふわっとした毛並みにつぶらな瞳。愛らしいうさぎのような、丸まればモーラットのようなフォルム。
「でも、研がれた鋼の美しさには届きませんわね。参ります」
けれどその愛らしさはダフネの手を緩める理由にはならなくて。可愛らしさより心をときめかし、より好ましく美しいと彼女の感じる鋼を手にダフネは地を蹴った。
モーラビットはその薄い耳をピンと立て、邪魔をしてきたダフネの青薔薇の髪を切り落とすべく跳ね上がる。人の肉には興味がないが、その毛並みを怒りのあまりに狙うのだ。ぴょんぴょんと助走をつけて跳ねればたちまちダフネの頭の高さまで飛んで見せる。
「あら、毛刈りばさみのような耳ですこと」
根本から先まで、どこに触れるだけでも切れそうな程に鋭く薄いうさぎの耳がダフネに迫る。けれどそれは空を切った。
「ですが、竜の毛を刈るには力不足ですわ」
キン、と鞘鳴りの音がする。一歩踏み出したダフネの長い髪は一筋も損なわれることなく、音がしたときにはダフネはすでに手の中の蒼穹を振り終えていた。
「その耳ごと切り落として差し上げます。蒼穹の美しさ、目に刻んで眠りなさいな」
切られたモーラビットの赤い目には、清浄な刀が夏の陽光を反射した、一閃の光だけが見えたかもしれない。それほどまでに素早く、そして一振りでモーラビットは切られていた。
残心を解かぬダフネの後ろからまたモーラビットが迫る。耳を振りかぶり、高く跳ねて髪を狙う。
「ウサギだけに足が速くていらっしゃるのね。ですが、わたくしも疾くてよ」
脚力を活かして素早く近づいたモーラビットだが、その視界からダフネの姿は消えていた。
ダフネの脚は風より疾く風を蹴る。風花のヒールが風を捕らえればダフネに征けぬ場所などない。見る間に高く空へと舞い上がり、手袋より手にした戦鎚を振り上げる。
「真上でしてよ」
見上げたモーラビットに迫る月砕。ひどく重たいそれを軽々とダフネは振り回し、遠心力をつけて振り下ろす。
「月のように砕いて差し上げますわ」
ふわりとした毛並みへまるで吸い込まれるように、戦鎚はモーラビットを砕く。
ダフネは地に足つかぬままにまたふわりと風を蹴り、白薔薇のドレスを翻して手袋から新たな武器を取り出して、戦場を舞うのだった。
成功
🔵🔵🔴
八坂・詩織
◎○♪
白夜さん(f37728)と。
たぶん、モーラットの毛をきれいに刈り取ってお肉を美味しく頂くための技かと…想像したくないですけど。
雪だるまアーマーで守ってあげますから、髪の毛を刈られないように頑張ってくださいね。
まあ、丸刈りしたら涼しいかもしれませんけど。なんて、冗談です。
とはいえ、丸まって完全防御態勢になられるのは困りますね…
白夜さん、大鎌で【なぎ払い】してもらってもいいですか?
私は氷雪地獄の吹雪で【吹き飛ばし】と【体勢を崩す】を狙ってみます。
丸まれなければ隙もできるかもしれません。
あなたたちも可愛いんですけどね…モーラットは大切な仲間ですから。ここは心を鬼にして倒させていただきます。
鳥羽・白夜
◎○♪〆
八坂(f37720)と。
あんまり戦いたくねぇんだけどな、とぼやきつつ、ヴァンパイアストーム発動。そして…
「うわぁぁぁ!なんでこいつら髪の毛狙ってくるんだよ!?毛ならなんでもいいのか!」
あぁ、そういうこと…いや俺モーラットじゃねぇし!いくら暑いっつっても丸刈りはちょっと…!
お前なぁ!とツッコミつつ、髪を守るべく【敵を盾にする】
盾にしたモーラビットにはごめん!と一応謝っとく。
分かった、じゃあこいつの出番か。
ブラッディサイズを振るい、モーラビットを【なぎ払い】。
なんか一見モーラットっぽいやつだし若干気が引けるけどオブリビオンだしな、次蘇ってきた時は無害な草食動物あたりに生まれ変わってこいよ!
●真夏の吹雪と、真昼の赤き月と
ふかふかもふもふのモーラビットを前に、白夜はブラッディサイズを、詩織は風花を構える。|彼ら《モーラビット》も二人に対してやる気でぷすぷす鼻を鳴らして威嚇の構えだ。
「あんまり戦いたくねぇんだけどな」
戦っても微妙な気分になり、戦わなくても後ろめたい気分になる。そんなジレンマを抱えながらも白夜は吸血コウモリの群れを放った。呼び出された彼らは素早くモーラビットへと噛みつきに行き、かぷかぷそのエネルギーを血と一緒に吸収していく。
そんなコウモリから逃れた数匹が白夜目掛けて地を蹴った。ぴょんぴょんと跳ね上がった彼らは一点を狙って鋭く薄い耳を振るう。――そう、白夜の頭部、その毛髪を。
あわやスキンヘッドにされそうな勢いで跳ねられた白夜はブラッディサイズを振るいながら叫んでいた。
「うわぁぁぁ! なんでこいつら髪の毛狙ってくるんだよ!? 毛ならなんでもいいのか!」
「たぶん、モーラットの毛をきれいに刈り取ってお肉を美味しく頂くための技かと……想像したくないですけど」
「あぁ、そういうこと……いや俺モーラットじゃねぇし!」
つるんと根本まできれいに刈られて丸裸になったモーラットの姿が一瞬過ぎって、ふるふる振り払うように首を振る詩織に、頭部を狙われて慌てる白夜。モーラビットは諦めずにぴょんぴょん跳ねては白夜の髪を刈ろうと耳を振るってくるからたまったものではない。
このままでは本当に先白夜丸刈りになるかも、と思った詩織は戦場を吹雪で覆うことにする。夏の日差しの中に溶けぬ雪がきらめいて、見る間に激しく吹き付けた。白夜には雪が守りとなって力を貸し、一部のモーラビットは寒さに耐えるように丸く丸まってふかふかし始めた。
ちょっとだけ愛らしさに微笑んだ詩織は白夜を応援する。
「白夜さん、雪だるまアーマーで守ってあげますから髪の毛を刈られないように頑張ってくださいね。まあ、丸刈りにしたら涼しいかもしれませんけど」
今は吹雪の向こう側の太陽は、今日も元気にさんさんと輝いて熱気をあちらこちらにばらまいていた。しばらくはこんな暑さが続くだろう。髪の毛がなくなると涼しいかもしれないが、日差しは辛くなるかもしれない。
白夜としても髪の毛を全て刈られるのは遠慮したい。
「いくら暑いっつっても丸刈りはちょっと……!」
「なんて、冗談です。頑張ってください」
「お前なぁ!」
白夜は気安い後輩に全力で突っ込んだ。そうしながらぴょんと頭の高さまで飛び上がってきたモーラビットに向け、手近なモーラビットを掴んで盾にする。
薄い耳の刃がすぱっと盾になったモーラビットの毛をきれいに刈り取った。夏カットになったモーラビットの丸い目が点になっている。更に毛がほぼ無くなったことで吹雪に直接晒されて、寒さにぷるぷる震えていた。
「ごめん!」
固まったモーラビットには謝りつつも放り投げ、新たに飛んできたモーラビットを避ける。避けたモーラビットには吸血コウモリが飛びかかり、その血を吸った。くたんと地上に落ちるその個体を隠すように丸まったモーラビットが自身の影にかばう。
そうしてだんだんと丸まる個体が増えていき、吹雪の中には耳の長いモーラットのような姿をしたモーラビットが増えていた。その体勢だとモーラビットは動けなくなるが、どうやら大抵の攻撃は効かなくなるようだ。寒さに震えていた個体も今は平気そうに丸まっている。
「動かないから髪はもう大丈夫ですし、追いかけらません。とはいえ、丸まって完全防御態勢になられるのは困りますね……」
ずっとここに吹雪を起こしておくわけにもいかず、丸まったからと言って放っておくわけにもいかず。詩織は息を整える白夜に声をかけた。
「白夜さん、大鎌でなぎ払いしてもらってもいいですか? 私はこの吹雪で吹き飛ばして体勢を崩せないか狙ってみます。丸まれなければ隙もできるかもしれません。」
詩織は吹雪へと意識を集中させる。丸まったモーラビットを吹き飛ばすように、風を雪を強めて吹付けさせようと。戦場を覆う吹雪全てが彼女の意志のままに操れるのだから。
「分かった、じゃあこいつの出番か」
白夜はブラッディサイズを改めて握りしめる。ころころ丸まったモーラビットに向かって赤を振り上げた。遠心力を万全に乗せた大鎌は赤い軌跡を描いて白の風を切り裂いた。吹きすさぶ吹雪すら切り裂くなぎ払いが丸まったモーラビットを吹き飛ばす。
詩織が一つ、瞬きをする。氷の青が消えて現れたその時、強い雪嵐が浮き上がったモーラビットに吹き付けた。支えのない空中で丸まりを維持することもできず、モーラビットはもとのうさぎらしい形へと戻っていく。
「あなたたちも可愛いんですけどね…モーラットは大切な仲間ですから。ここは心を鬼にして倒させていただきます」
無防備に落ちていくモーラビットを桃色の風花が切り裂いて。
「なんか一見モーラットっぽいやつだし若干気が引けるけどオブリビオンだしな、次蘇ってきた時は無害な草食動物あたりに生まれ変わってこいよ!」
同じく赤の月がモーラビットを刈り取っていく。
吹雪が止んだそのときには、モーラビットは全て倒されていたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ソフィア・ガーランド
◎
それにしても生態も不思議ですね
モーラットさんが主食といっても、もふもふで可食部など殆ど無いと思うのですが……
ただのゴーストであるならば、視肉による共生もありえたのかもしれませんが……相手はオブリビオンですからね
|可愛らしい《もふもふ》なだけに残念です
|世界《もふもふ》の敵として排除させていただきます
向かってくるのなら対処もしやすいですね
もっとも逃げようとした所で、逃げ場などありませんが
十分に惹き付けた所で弄月を発動させましょう
その後は相手の攻撃をいなしつつ、常に攻撃範囲内に収める様に位置取りに注意しながら戦いますね
わたしくしの刃は毛を狩るだけでは済みませんよ?
●月光の輪の舞踏
ふすふす鼻を鳴らし、怒りのままにたしたしと|足踏み《スタンピング》するモーラビット。彼らを見ながらソフィアはわずかに首を傾げた。
「それにしても生態も不思議ですね。モーラットさんが主食といっても、もふもふで可食部など殆ど無いと思うのですが……」
モーラビットうさぎっぽい見た目にそぐわぬ口元の牙が肉食であることを示している。けれどその体の大半は毛であるモーラットを食べても、栄養となる部分は少ないだろう。毛刈りもするようだし、モーラットのもふもふからエネルギーを得るわけででもないようで。
どうやってそれで生きていくのだろうか、モーラットは大量に出現するから、群れを大量に食べて補うのだろうか。モーラビットは|オブリビオン《世界の敵》なのだ。埒外の存在として考えるべきだろうか。ソフィアの疑問は尽きることはない。
しかしそのふかもこした毛並みは魅力的で、つぶらな目も愛らしい。ソフィアは残念そうにため息をついた。
「ただのゴーストであるならば、視肉による共生もありえたのかもしれませんが……相手はオブリビオンですからね。
|可愛らしい《もふもふ》なだけに残念です」
彼女の手に携えられた月の竹杖の葉がさらさらと鳴る。杖を構えたソフィアは哀惜を滲ませた声で宣言した。
「あなた方を|世界《もふもふ》の敵として排除させていただきます」
杖が揺れてさらさらさらり、竹の葉が流れるのに合わせてモーラビットも跳びかかってきた。自分達の狩りを邪魔したものとしてソフィアへと向かっていく。かぷりと噛み付こうというのか口を大きく開けていた。
「向かってくるのなら対処もしやすいですね。もっとも逃げようとした所で、逃げ場などありませんが」
ひらり、さらりとソフィアは避ける。くるりと回って位置を入れ替えて、またひらり。モーラビットが焦れて、一度に跳びかかってきたところで、ソフィアはその杖を振り上げた。
「わたしくしの刃は毛を狩るだけでは済みませんよ?」
一団になったモーラビットの周囲を月光の魔力で形をなした円月輪が飛び回る。モーラビットの耳より鋭い刃を持つそれは、彼らもふっと丸まる前にすっと幾何学模様を描いて飛んできて、切り裂いていく。
百m余りの半径の中を自由自在に飛び回る月の輪はモーラビットが転がって丸まる前にその身を切り裂く。ソフィアはその範囲にモーラビットを納めるべく、またひらりと跳びかかってきたモーラビットを躱し、位置を調整する。
数度繰り返せば、モーラビットは全て月光の円月輪によって消え果てるのだった。
成功
🔵🔵🔴
遠野・路子
もふもふvsもふもふ
この勝負がどちらがよりもふもふかで決まれば平和だった……
自然界の弱肉強食を否定するつもりは無いけど
オブリビオンは混じっちゃダメ
つまりウサギさんはお帰りください、だね
1対多数とて引き下がる理由も無し
元よりこの手合いには慣れている
そしてモーラットを食べる隙も与えない
「天より至れ」
父譲りの【|天《そら》より至る白き幾千の星】
光の矢で天から撃ち抜き
『蒼弓』を使って真正面から射る
死角から飛んでくるモーラビットには
『蒼銀の光芒』を使って反撃
逃がさない
ちなみに私が食べる展開も考えた
でもその代償が髪の毛を切られる展開になりかねない
お手入れ大変なのに簡単に切るとか許すまじ
なので近寄らせない
●光の矢と蒼の弓
ふんすふんすと鼻を鳴らし、たしたしと怒りのままに|足踏み《スタンピング》するモーラビットを見つめ、路子は少し悲しげに呟いた。
「もふもふvsもふもふ。この勝負がどちらがよりもふもふかで決まれば平和だった……」
モーラットもモーラビットも互いに優劣つけ難いもふもふだ。もしもふもふ勝負で決めるであれば、路子は審査員を買って出たかもしれない。ゴーストでもオブリビオンでも公平にジャッジしただろう。
けれど現実は、そううまくはいかないもので。
「自然界の弱肉強食を否定するつもりは無いけど、オブリビオンは混じっちゃダメ」
世界の摂理にオブリビオンは含まれない。むしろ破壊していく方とも言えるから。
「つまりウサギさんはお帰りください、だね」
数の多いモーラビットを前にして路子は下がる素振りも見せない。1対多数でも引き下がる理由はなく、元からこういった集団の敵には慣れている。そして何より、|モーラット《ゴースト仲間》を食べる隙も与えはしない。
そう決めた路子は手にした『蒼弓』を天に向け、びょうと弦を鳴らせて光の矢を放つ。
「天より至れ」
明るく晴れた真夏の空から星が降ってきた。そう錯覚するほどに、数多くの光の矢が分裂と加速を繰り返してモーラビットに降り注ぐ。彼女の父譲りの技は、オリジナルに劣らない程の威力を発揮して、たやすくモーラビットを貫き彼らを骸の海へと返していく。
「逃がさない」
光降り注ぐ範囲から逃れたモーラビットが路子の正面に飛んでくれば『蒼弓』に矢をつがえて撃ち抜いて。死角から飛んでくるモーラビットには『蒼銀の光芒』を向けて刺し穿つ。
長い黒髪を翻し、路子はモーラビットを光で刺し貫いていく。あくまで髪に届かぬよう、一定の距離を保ってだ。
一応、路子も他の手段を考えたのだ。オロチ変化で体の一部を変えてモーラビットを逆に食べるというものを。
けれどその代償に髪の毛を切られでもしてしまったらそれは想像でも許せるものではなかった。
むん、と気合を入れて路子は弓から矢を放ち、飛んでくるモーラビットを撃ち落として呟いた。
「お手入れ大変なのに簡単に切るとか許すまじ」
乙女の命とも言われる艷やかな黒髪をさくりと切り落すのは、不倶戴天の敵である。なので近寄らせないように路子は天からの矢と手にした弓、念動力で動かす矢でもって距離を取り。
薄い耳にその髪を一筋たりとも損わせることもなく、モーラビットを倒し尽くすのだった。
成功
🔵🔵🔴
吉備・狐珀
【狐扇
…。
…。
…?!?!
あ、あの…
あああ、あの
あの白いお兎さまなのですか?!
あの白いもふもふが、先ほどのもふもふを?!(足止めに集中していたせいで今オブリビオンの正体に気が付いた様子)
あんなに愛らしいですのに…
もふもふしてますのに…
もふも…(ちょっと、いやかなり触りたい的な視線)
あ、いえ。
触りたいとか抱きしめたいとか考えておりませんよ!
お還り頂くのですよね!わかってます!(ちら)
ぶんぶんと首を振り、心を鬼にしてUC「破邪顕正」使用
御神矢に驚いて逃げて頂ければ良いのですが、そうでなければ致し方ありません
もちろんモーラットを食べさせたりしませんよ
月代、ウカ、衝撃波でモーラットに向かってくる子達を吹き飛ばすのです。
みけさんは砲撃で援護を、ウケはモーラット達を結界で守るのです。
…こんなに可愛いのに。
懐っこそうにしてますのに…。
現実って非常です…。(くすん)
落浜・語
【狐扇】
落ち着こう。まずは落ち着こう??テンション上がるのはわかるからね??
めっちゃもふもふだし、触ったら気持ち良さそうなのわかるけど、あれは倒さないとだからね?後でモーラットを触らせてもらって、あっちのうさぎは倒そうね??
いや、気持ちはわかるけどね。フワモコしてるし。でもほらおかえり願わないとね?
引き続き『紫紺の防禦』でもって、花弁を広げつつ触れたうさぎから燃やしていく。兎の肉って美味しいらしいし?焼いていこうか。(冗談)
懐っこそうにしててもオブリビオンだからなぁ……。触らせてくれるうさぎももしかしたらいるかもしれないからな。今回は我慢しよう?
●ふかもこうさぎと、戦いと
ぷすぷす鼻を鳴らし、怒りに|足踏み《スタンピング》をする|モーラビット《もふもふ》は可愛かった。けれどそれを見た狐珀の目は丸く見開かれ、驚きに溢れていく。
「……」
ふかふかの毛並みはなんとも気持ちよさそうで、触りたいと思う。
「……」
モーラットに似た顔も可愛くて、ちらりと覗く牙も魅力がある。
「……?!?!」
けれど狐珀が彼らを倒さねばならない、と理解が進むにつれて愕然としたのだ。今まで足止めに集中していた狐珀はよくわかっていなかった。このモーラットを追いかけるもふもふこそが、今回倒すべきオブリビオンなのだと。
「あ、あの……。あああ、あの。あの白いお兎さまなのですか?! あの白い|もふもふ《モーラビット》が、先ほどの|もふもふ《モーラット》を?!」
食べてしまおうと追いかけまわしていたのか。もふもふがもふもふを、食べてしまおうと。狐珀のテンションは変な方向に上がっていた。先程のもふもふ愛でたいという楽しい方向ではなく、一種のパニックの方向に。
語は苦笑しながら、口元に手を添えて驚いている狐珀の肩に手を添えて柔らかに話しかける。予想通りとはいえ少し落ち着いてもらったほうがいいだろう。このあとは戦いになるのだから。
「落ち着こう。まずは落ち着こう?? テンション上がるのはわかるからね??」
「あんなに愛らしいですのに……もふもふしてますのに……もふも……」
少しだけ驚きが落ち着いた狐珀の視線が改めてモーラビットに注がれる。モーラットに似た、白いもふもふふかふかの毛並みはきっと触れば極上も手触りだろう。ちょっと、いやかなり触りたい。少しくらい頬ずりしたっていいんじゃないだろうか。人間には害がないとも言っていたし。
狐珀の熱の篭った視線を注がれる|モーラビット《もふもふ》はちょっとだけびくっとしたあと、首を傾げて狐珀をうかがう素振りを見せた。まるで触らないかと誘っているようだ。
思わず手が伸びそうな狐珀の肩をぽんと叩いて、語は制止する。あまり情を傾けてもいけないのだ。
「めっちゃもふもふだし、触ったら気持ち良さそうなのわかるけど、あれは倒さないとだからね? 後でモーラットを触らせてもらって、あっちのうさぎは倒そうね??」
「え。あ、いえ。触りたいとか抱きしめたいとか考えておりませんよ! お還り頂くのですよね! わかってます!」
それでもちらちらと視線をやる狐珀に語は苦笑する。確かにもこもこふわふわで可愛らしい顔もしている。ふわもこを愛する狐珀でなくとも触ってみたいとも思うのだから。
「いや、気持ちはわかるけどね。フワモコしてるし。でもほらおかえり願わないとね?」
「はい! 頑張りましょう!」
狐珀は伸びそうな手を握りしめ首を振る。可愛いもふもふを愛でたいがここは我慢、もふもふはモーラットを食べようとするオブリビオン。狐珀は心を鬼にして破浄の明弓を構えた。霊力で弦が張られ、御神矢がつがえられる。
「一二三四五六七八九十 布留部 由良由良止 布留部 霊の祓」
びょうと弓が鳴る。祝詞がこの場を清め、放たれた矢が幾重にも別れてモーラビットへと降り注いだ破邪の矢はモーラビットを過たず穿ち、その身を骸の海へと返していく。モーラビット達は降り注ぐ矢に驚きながらも牙をむき出してふわもこの体を跳ねさせて襲い掛かってきた。
「……逃げて頂ければ良いのですが、そうでなければ致し方ありません」
「そうだね。――何人も呪いも超えられぬ壁となりて、我を護り理に背く骸を還す力となれ」
ふわりと戦場に紫の花びらが舞う。語のBrodiaeaから放たれた持主を護る花びらがモーラビットに触れた途端に燃え上がった。ふかふかも肉も焼いていく炎を操りながら、語は冗談めかして言う。
「兎の肉って美味しいらしいし?焼いていこうか」
実際に不思議なほど不快な匂いをさせず、肉の焼ける香ばしい香りを残してモーラビットは焼かれていく。
矢も炎も掻い潜ったモーラビットももちろんいる。それらがモーラットへ近づくことを狐珀が許すはずがない。|モーラット《もふもふ》を守るためにきたのだから。
「モーラットを食べさせたりしませんよ」
あーんと口を開けたモーラビットは月代とウカの衝撃波で吹き飛ばされる。更にはみけさんの砲撃もそれに拍車を掛け、ウケの結界で防御も完璧だ。
時折懐っこそうな顔で狐珀や語を見て、「食べちゃだめ? なんで?」と見てくるモーラビットに狐珀はそっと涙を拭った。
更には一匹、偶然か幸運が重なって、上手く衝撃波の勢いに乗って狐珀の腕に飛び込んできた。ぱちくり何があったのかわからず赤いつぶらな目を瞬かせる顔は可愛らしく、狐珀の腕の中でもおとなしくしている。ふかふかの白い毛並みはやはりふかふかで、触っても撫でても心地よい。思わずぎゅっと抱きしめてもモーラビットは大人しくしている。
ますます狐珀の嘆きは深くなった。
「……こんなに可愛いのに。懐っこそうにしてますのに……。現実って非情です……」
「懐っこそうにしててもオブリビオンだからなぁ……。こいつみたいに触らせてくれるうさぎももしかしたらいるかもしれないけど。今回は我慢しよう?」
くすんと涙ぐむ狐珀を慰める語。そのまま抱きしめた腕からモーラビットをそっと回収して、申し訳ないながらも焼いていく。
嘆く狐珀の心報いるように、追いかけて増えたモーラビットも全て倒して、無事にモーラットを守り通したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『モラ詰まり・夏』
|
POW : アイスクリームでおびき寄せて詰まりを解消
SPD : 冷たいジュースでおびき寄せて詰まりを解消
WIZ : 涼しい場所に誘って詰まりを解消
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●夏の日差しの下にモラ詰まり
危機は去った。しかしモーラットは解散しない。
なぜなら、道や隙間にみっちりと詰まっているからだ。道路いっぱいに広がっていたり、電信柱と塀の間にはさまっていたり。もきゅもきゅ鳴いてもふもふしている。
「どうしよう……りょうへいさん、助けてもらえますか?」
ひまりも放ってはおけないとせっせと詰まったモーラットを回収している。すぐそこには木陰のたっぷりある公園もあるのでとりあえずそこに運んでいたようだ。
澪も近くの商店からアイスやジュースを買ってきてモラツマリ解消の手伝いをしていた。何も言わずとも持っていっていい、皆も食べて飲んでいい、と多くの品をクーラーボックスに詰めて氷と一緒に用意してある。
さて、もう一仕事、いや二仕事。
モラ詰まり解消とメガリスの回収のために、猟兵達は頑張るのだった。
====
・メガリス回収希望が複数グループの場合、抽選で持ち帰れたか決定します。
ダフネ・ヴエナ
あらあら……
ずいぶんとふかふかした道路になってしまいましたわね
よろしくてよ
無事に帰るまでが遠足と申します
後片付けまで含めて事件の解決ですわ
片端から両手でがっしりとつかみ
すぽっと抜いていきますわ
大きなかぶを思い出しますわね
負けないくらい、ファンシーな光景ですけれど
アイスを食べたら、もう一仕事しなくてはね
なめらかなアイスも美味しいですけれど
シャーベットの歯ごたえも、また良いものですわ
夏ですわね
●モラ抜きと氷菓
「あらあら……」
見渡せばモーラットに埋もれた道路が見えて、ダフネは上品に微笑んだ。
「ずいぶんとふかふかした道路になってしまいましたわね」
集まったモーラットが互いにみっちり詰まり合い、もきゅもきゅふかふかと道路を塞いでしまっている。暑い日差しの下ではモーラットも暑くて大変そうだ。
「よろしくてよ。無事に帰るまでが遠足と申します。後片付けまで含めて事件の解決ですわ」
このまま放っておくのも忍びない、とダフネはモラ詰まり解消を手伝うことにした。
手近な端のモーラットを両手でがっしり掴んでそのまま引き上げる。すぽっと小気味良い感触と共に一匹モーラット抜けた。ころりとモーラット少ない方向、公園への方へと頃がしてやれば、そちらに向かってもきゅもきゅ跳ねていく。また別のモーラットを掴んで引っ張ると、すぽん、すぽっと連なって二匹が引っ張り出てきた。
複数連なるモーラットを引き抜きながら、ダフネは昔読んだ絵本を思い出す。
「大きなかぶを思い出しますわね。負けないくらい、ファンシーな光景ですけれど」
人より大きなかぶを、動物とも力を合わせて抜いていく話だ。かぶを引っ張る列と同じ感じに連なるモーラットが引き抜けてしまう。この場合、かぶの位置にはダフネがいるわけだが。
すぽっ、すぽっと抜いていけば流石に暑くなってくる。まだまだお日様は高い位置にあり、暑さも維持されていた。ダフネは手にしたモーラットの列を転がしたあと、少し休憩する。
公園の日陰の下、用意されたアイスを貰って口に入れると、心地いい冷たさと甘さが滑らかに広がっていく。熱を持った体に染み入るようだ。のんびり優雅にアイスを食べてダフネはしみじみする。
「アイスを食べたら、もう一仕事しなくてはね」
木々の間から垣間見える青い空が眩しいくらいに輝いているが、まだまだモーラットは詰まっている。このあとの作業に向けて英気を養うためにもう一つ、今度はシャーベットをかじる。しゃりっとした氷の粒の食感が楽しい。
「なめらかなアイスも美味しいですけれど、シャーベットの歯ごたえも、また良いものですわ」
セミの鳴く声、青い空、眩しい日差し。アイスやシャーベットに釣られて出てくるモーラット。
「夏ですわね」
シャーベットの最後の一口をたおやかに口に運び、溶けていく感覚を楽しみながらダフネは楽しげに呟くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
三上・くぬぎ
◎○♪
くぬぎ in モラ詰まり(みっちり)
……えっとですね、さっきからみなさんでモラ詰まりをなんとかしてくれてるですよね
他のモーラットがぬけたところが、なんかいいかんじのスペースになってたですよ
見たしゅんかんとびこんでたですよね
やっぱり、モラ詰まりは本能だったです
本能には勝てなかったです……
うごけないです
ぜんぜんうごけないです
しかも、ちょっと暑くなってきたです
……たいへんです、一回気になったら、どんどん暑くなってきたですよ
アイスたべたいです
アイスたべたいですー! もきゅー!
(ちょっとずつ動いてなんとか脱出しようともがく)
●くぬぎ in モラ詰まり
くぬぎは詰まっていた。みっちりと詰まっていた。周りのモーラットと一緒に無心になって詰まっていた。
ちょっとずつ引き抜いていたひまりが、見て手を止めるほどに綺麗に詰まっていたのだ。
ぱちりと瞬きしたくぬぎとひまりの目があった。くぬぎは静かに話し出す。
「……えっとですね、さっきからみなさんでモラ詰まりをなんとかしてくれてるですよね」
「うん。解消しようと引き抜いたり、呼び寄せたりしてるね……」
手で抜いたり運んだり、アイスや氷やジュース、木陰で呼び寄せたり。少しずつこの場のモラ詰まりを解消しようと、各々動いていた。くぬぎだってそれを手伝っていたのだ。
「それで他のモーラットがぬけたところが、なんかいいかんじのスペースになってたですよ」
そこはまるでくぬぎのためにあるような場所だった。深さも幅もちょうど良い。周りのモーラットもくぬぎを呼んでいるかのよう。それを見た瞬間、くぬぎの体は勝手に動いていた。
「見たしゅんかんとびこんでたですよね」
「飛び込んじゃったのか……」
入ってみればやっぱりくぬぎにぴったりで、みっちりと詰まれるジャストなスペースだった。リラックスして詰まりを堪能するほどにぴったりみっちりだった。
「やっぱり、モラ詰まりは本能だったです。本能には勝てなかったです……」
「負けちゃったんだね……」
ひまりと何となくしめやかな空気を醸し出すくぬぎ。少し休憩することにしたひまりは、アイスを持ってきて食べながらくぬぎに話しかける。
「抜け出せそう?」
「うごけないです。ぜんぜんうごけないです。しかも、ちょっと暑くなってきたです」
からりと晴れた空の下、もっふもふのモーラット。いかに詰まることが本能とはいえ、暑いものは暑い。
「……たいへんです、一回気になったら、どんどん暑くなってきたですよ」
忘我の境地から戻ってきたくぬぎを襲うのは暑さだった。太陽の位置は高く日差しも厳しい。みっしりしていれば尚暑い。
さらにくぬぎの目にはひまりの持つカップのアイスが見えた。周りの水分を水滴にするほどの冷気を漂わせ、ひんやり甘いアイスである。暑い今食べたら、ものすごくおいしいやつである。
「アイスたべたいです。アイスたべたいですー! もきゅー!」
「わ、わ。待って待って!」
じたばたじたばた。くぬぎはちょっとずつでも抜け出そうともがいてもがいて、周りのモーラットももきゅもきゅ鳴きながら、お互いにもがき合い。
互いにモラ詰まりが干渉し合った結果、ひまりの目の前でくぬぎは空を飛んだ。うまい具合にすぽんとくぬぎが押し出されたのだ。
「もきゅー!」
一つ叫んだくぬぎは無事着地し、アイスをもらうことができた。
「熱中症にならなくて良かったね」
「かんいっぱつだったのです」
これを食べたらまたモラ詰まりを解消せねば、ときりっとしながらも、くぬぎが口に運ぶアイスはとても冷たくて美味しかった。
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・ガーランド
随分沢山詰まっていますね
モーラットは詰まるものと聞いた事はありますが、それを生で見るのは初めてです
事実は小説より奇なりとは言いますが……興味深いですね
放っておくと事故の元ですし、モーラットさん達が暑さで参ってしまっても困りますし、わたくしもお手伝いしましょう
窮屈そうなところから丁寧に取り除いて、公園の木陰に運んでいきます
回収の際に抜けたモーラットさんの毛で白鞠守りを模して作ってみましょうか
上手くできたらひまりさんに可愛らしいキーホルダーですねと声を掛けて見せてもらいすり替える形になるかもしれません
私が持ち帰る場合は銀誓館学園に寄贈します
あそこであれば沢山集まってきても保護してもらえますし
●ミニモーラット作成と思いやり
「随分沢山詰まっていますね」
ソフィアは目を少し丸くしてモラ詰まりを見やる。モーラットは詰まるもの、とは聞いていたが生で見るのは初めてだった。
「事実は小説より奇なりとは言いますが……興味深いですね」
道いっぱいに三十㎝のモーラットがみっちりと詰まっているのだ。よくまあこれほどまでに集まって詰まったものだと半ば感心してしまう程に。
しかしこれを放っておくわけにもいかないだろう。
「放っておくと事故の元ですし、モーラットさん達が暑さで参ってしまっても困りますし、わたくしもお手伝いしましょう」
ソフィアは特にみっちり詰まった場所に手を差し込んで、毛が周りのモーラットと絡まないように気をつけながら引っ張る。すぽんと気持ちいいくらいの勢いでモーラットが一匹抜けた。そのまま風の吹き抜ける公園へと運んでいく。
涼しい木陰にそっと降ろせば、モーラットも安心したようにもきゅっと鳴いた。
「もう詰まってはいけませんよ」
「もきゅー」
そう言ってもまた詰まるだろう、と思いながらもソフィアはそっとモーラットの毛を撫でてからモラ詰まりへと戻っていく。窮屈そうな場所を狙って手を差し込み、一匹一匹丁寧に引き抜いていき、公園の木陰に運んでいく。木陰で涼んだり、アイスやジュース狙って跳ねるモーラットがいたりと随分公園内も賑やかだ。涼しい場所に行けたからか、天敵が追い払われたからか、モーラット達もより元気に跳ねているようだ。
何度も繰り返し運べばソフィアも少し疲れてくる。ちょうどいいのでモーラットの抜け毛でも特に綺麗なものを集め、休憩がてらミニモーラットを作ってみる。
グリモア猟兵の保管場所から取り出された手芸用品。その中にあった固めた丸い羊毛フェルトにモーラットの抜け毛を刺し、白や肌色のフェルトで耳や手足を、刺繍糸で口や目を縫えば完成だ。白鞠守りによく似た丸っこいミニモーラットがそこにはあった。
これと本物をすり替えようかとも考えていたが、他の猟兵に渡すひまりの姿が見えたから、これはソフィアの土産になる。
「私が持ち帰る場合は銀誓館学園に寄贈しようと思っていましたが、大丈夫そうですね」
学園であればうっかり発動して沢山集まってきても保護できるから、とモーラット達のことも考えていた。
ソフィアは上手にできたミニモーラットを見てくすりと笑い、まだまだ詰まっている本物を回収すべく立ち上がるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
八坂・詩織
◎○♪
白夜さん(f37728)と。
イグニッションは解く。
トマトジュースで釣れるのは白夜さんくらいだと思いますけど、とツッコミつつひまりの元へ。
よろしければそのもふもふのねずみさんをこちらに、と小さな天球儀を差し出す。
これは天球儀ですよ。球面に星座や天体の位置を記したものですね。
なんとこの中はプラネタリウムになってるんです!
…と言われてもにわかに信じられないと思いますから、白夜さん試しに入ってみてください。
中は涼しいですし、トマトジュース飲んでもらってもかまいませんよ?
白夜が出入りする様子を見せたらモーラットにも「星空はいかがですか?」と勧めおびき寄せる。
これなら銀誓館に連れていくのも楽ですね。
鳥羽・白夜
◎○♪
八坂(f37720)と。
イグニッションを解き武器を仕舞う。
あー疲れた…トマトジュースねぇかな?
…いやモーラットをおびき寄せるためだよ。
何だそれ?地球儀?
なんで俺が、といっても涼しいところでトマトジュース飲みたい欲求には逆らえず。
仕方ねーな、と天球儀に触れ中へ。
そして…
「中涼しい!マジでプラネタリウムになってる!寝れる!」
満足げに出てくる。
メガリスをまだ誰も預かってない場合に限り実はそれ俺のじいさんが持ってたやつで…と適当にごまかして譲ってもらい再び天球儀へ。
(その場合も最終的には欲しい人に譲る)
それ以外の場合はアイスやジュースを手にこの中涼しいぞ、とモーラットを天球儀の中におびき寄せる。
●トマトジュースとプラネタリウム
イグニッションを解いて雪女の姿から元の姿に戻った詩織と、武器をしまった白夜はモラ詰まりへと歩いていく。メガリスは他の猟兵が回収したから、あとはモーラットを引き抜いて保護していけばいい。
詩織と並んで歩きつつ、肩をもんで白夜はぼやく。
「あー疲れた……トマトジュースねぇかな?」
「どうするんですか?」
モーラットがトマトジュースを好んだという話はあっただろうか。むしろ好きなのは白夜である。必要な理由が思い浮かばないが、予想するなら白夜が飲みたいのだろう。それでも詩織は首を傾げて一応聞いてみた。
「もちろん飲……いやモーラットをおびき寄せるためだよ。うん」
「トマトジュースで釣れるのは白夜さんくらいだと思いますけど」
予想通りであった。無類のトマトジュース好きな白夜に突っ込みながら、詩織はみっちり詰まったモーラットを引き抜くひまりへと近づいた。ちょうどすぽんと抜けたモーラットを抱えたひまりに、詩織はすっと小さな天球儀を一つ差し出す。
「よろしければそのもふもふのねずみさんをこちらに」
「へ? これって……」
「何だそれ? 地球儀?」
差し出された品にはてなマークを浮かべるひまりと白夜に向かって、詩織は軽く首を振る。その顔は先生の顔になっていた。
「これは天球儀ですよ。球面に星座や天体の位置を記したものですね」
大陸や海ではなく、星の位置や天の赤道や黄道、星座などを記しているのだ。日周運動や季節、時刻による星の配置や移動を知るのに使われる実用品である。天文部にはあるととても便利な品と言ってもいいだろう。もちろん、詩織の持つ天球儀はそれだけのものではない。
「なんとこの中はプラネタリウムになってるんです!」
「え? この中が?」
手で持てるサイズの天球儀がプラネタリウムになっていると主張されてもひまりはきょとんとするばかり。詩織のむふんと自信満々な顔を見て、天球儀を見て、これに入れるのか、と手にしたモーラットを見て、と忙しい。ひまりの抱えるモーラットももきゅーと不思議そうな雰囲気だ。
「……と言われてもにわかに信じられないと思いますから、白夜さん試しに入ってみてください」
「なんで俺が」
「中は涼しいですし、置いてあるトマトジュース飲んでもらってもかまいませんよ?」
「……仕方ねーな。じゃあ行ってくる」
詩織の実験の提案に面倒くさそうに反発した白夜だったが、後輩のお願いには勝てなかった。涼しい場所でトマトジュースを飲むという誘惑に屈したわけではない。多分。
白夜が天球儀に触れた途端、姿が消えてひまりの目はますます丸くなった。
「ひえ。消えました」
「もきゅっ」
「中に入ったんです。危険はないですよ」
詩織の言葉通り、すぐに無事な姿の白夜が現れる。
「ひえ」
「もきゅー」
「中涼しい! マジでプラネタリウムになってる! 寝れる!」
冷えたトマトジュースを片手に白夜はテンション高く出てきた。中には薄暗く涼しいプラネタリウムが広がっていた。横になれるシートもあって、転がって寝るにも良さそうだったのだ。さらにおいしいトマトジュースも飲めて元気が補充できた感じである。
「さあ、回収していきましょう」
無事確認も済んだところで、早速モラ詰まり解消に詩織と白夜は動き出す。
「星空はいかがですか? 涼しいですよ」
詩織がしゃがんでモーラットに問いかけて、頷いたなら天球儀をちょんと触れさせる。抵抗しないモーラットはすっと天球儀の中に入っていって、そこにスペースが生まれた。詩織はそのまま周囲のモーラットに問いかけては回収していく。
「ほら、こっち来い。この中涼しいぞ」
白夜はアイスやジュースを手に持って、詩織の方へとモーラットを呼び寄せる。ちょこちょこ近場のモーラットから連れ始め、アイスやジュースを持たせれば進んで天球儀へと入っていくようになった。
クーラーボックスを一つ借りてきて、アイスやジュースに惹かれてもきゅもきゅやってくるモーラットへと渡しながら白夜はのんびりトマトジュースを飲む。
「楽だなぁ……」
「はい。これなら銀誓館に連れていくのも楽ですね」
ちょんちょん、と触れては吸い込まれるモーラットを見ながら詩織も一つジュースを受け取って微笑んでいた。
「白夜さんも中で休憩してきますか? この様子ならモーラットの回収は難しくないですし」
「いや、いいわ。多分今頃中はモーラットがはしゃいでるだろうし。詩織に任せきりっていうのも、まあ」
ごにょごにょと口の中で呟く白夜に詩織は笑う。何だかんだ口では言いながらも、後輩を思いやる先輩だったのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『侵す者』にて
助手:陰海月
なるほど、名物。見事に詰まっとる。
では…UC(内部:部屋が広い)使って結晶呼び出して、それにクーラーボックス持った陰海月が入ったら準備完了。
詰まったモーラットに結晶を触れさせていく。
抵抗は出来ぬと思うし、こう夏の日差しが強く湿度が高いとな…蒸れてな…へばるのよ
(経験者は語る。今の姿になってよかったことが、その危険性が低いこと)
そうして回収していくが…ひまり殿、適度に休むようにな。こう日差しが強く、気温が高いのなら…熱中症の危険性が高い。
まー、わしも適度に休憩し、飲み物をとるがな。その方がひまり殿も休憩しやすかろうて。
※
中に入った陰海月、クーラーつけて待っている。来たら、クーラーボックスの中のアイスや飲み物を渡していく。もふもふ大好き、ぷっきゅ!
埋もれても『天国!』な陰海月である。
●名物モラ詰まり
「なるほど、名物。見事に詰まっとる」
景雅が見渡す限りモーラットみっちりと詰まっていた。真夏の明るい太陽の下、黒いアスファルトは見えず白い|もふもふ《モーラット》だらけ。ちょっと熱く感じるかもしれない。名物の名にふさわしい、みっちりとした詰まりっぷりだった。
これを回収していくというならば、多少は工夫が必要だろう。
「では……」
一言と同時に、ねじれ双四角錐の透明結晶が景雅の手の中に召喚された。影から現れた助手の陰海月がクーラーボックスの一つを持って、それに触れると姿が消える。結晶の内部は広く、夕焼けの続く日本式家屋になっているのだ。
景雅はその結晶を、ちょっとぐったりし始めたモーラットに話しかけながら当てていく。
「この中は涼しいぞ。ほら、入ってくるがいい」
「もきゅー……」
「中には氷菓や冷たい飲み物もあるぞ」
「もきゅ」
ぽんぽん、と結晶を当てていけばモーラットは抵抗せず、むしろ嬉々として触れていく。まあそんな声かけがなくてもモーラットは抵抗せずに吸い込まれそうだった。
そう。この気候の中ではふかっとした毛並みは結構辛い。みっちりと詰まっていれ尚更に。景雅もそれはよくわかる。
「こう夏の日差しが強く湿度が高いとな……蒸れてな……へばるのよ」
かつて狼の獣人だった|景雅《経験者》は語る。冬や寒い場所ならば自前の防寒着になっていいが、夏はひたすらに暑かった。毛のない今の顔の顎をや頬を撫でながら、しみじみと景雅は、毛並みがあったとき程にへばったり熱中症になる危険性が低い僥倖に喜んだ。
景雅がそんな暑い思い出を思い返しながらも少しずつ回収していくと、向こうに一匹ずつすぽんと抜いているひまりが見えた。結構汗をかいて暑そうだ。
景雅はクーラーボックスから冷たい麦茶を取り出し、ひまりへと近づいていく。
「ひまり殿、適度に休むようにな。こう日差しが強く、気温が高いのなら……熱中症の危険性が高い。さあ、向こうの木陰に」
ここは年長者らしく、景雅が率先して休憩に促す。ひまりも差し出された麦茶を受け取って、素直に頷いた。
「あ、ありがとうございます」
「なんの。まだまだモーラットは詰まっておるが、人手もある。無理せず頑張らんでも大丈夫じゃよ」
なんて少しおどけて景雅が言えば、木陰に入ったひまりも麦茶を飲みながらそうですね、と頷くのだった。
一方、結晶の中の日本家屋に入った陰海月は、家のクーラーをつけて待っていた。ひんやりと部屋が冷えた頃、もきゅもきゅ、もきゅ、っとモーラット達が送られてくる。陰海月はクーラーボックスからアイスやジュースを取り出して、ぷきゅ、と現れたモーラットへと渡していく。
危険もなくおやつもあり、すっかりくつろいだモーラットはアイスやジュースを楽しみ、涼しい部屋でもきゅっとリラックスしたり、陰海月に懐いてもきゅもきゅくっついたり乗ってみたりしてくる。
『ぷっきゅ!』
もふもふ大好きな陰海月にはむしろご褒美だ。涼しい部屋の中でもふもふと戯れるなんて、『天国』みたいに幸せである。大変いい思いができて、陰海月も満足だった。
大成功
🔵🔵🔵
桂・卯月
◎○
まあ、平和の証拠だな
モラ詰まりのすぐ近くで、冷たい炭酸にかちわり氷アイスを音を立てて入れる
からから音を響かせ、涼しい場所まで誘導
飲むか?
氷の方もたくさんある。順番に並べ
おかわりもあるが、まだ食べてない奴から先に譲ってやるようにな
ひまりにも声をかけ、根付をどうするか訊く
銀誓館でモーラットの飾りを探しておいて、まだ決めてないなら交換して貰う
もう決めているなら、巻き込んだ詫びと、モラ詰まり解消の手伝いの礼に渡す
世界結界の効果で忘れてしまうだろうし、その方が望ましい
ひととき、こいつらと楽しく戯れて、『悪くない日だった』という気持ちで家路につけるといい
そしてどうか、明日からも、平穏な日々であるように
●涼しげ氷と記念の品と
真夏の青空の下、みっちりとモーラットが詰まっている光景。それは彼らが何者にも脅かされず、ただみっちりとふかふかもきゅもきゅしていられると言うわけでもあって。
「まあ、平和の証拠だな」
無表情ながらも声は穏やかに。暑い日差しに照らされて、若干もきゅっとした声が暑そうだ、なんて感じながらも卯月は呟いていた。
用意されたクーラーボックスから取り出したのは、冷たい炭酸とかち割り氷のアイス。それらをコップに入れてからりと回せば、かちかち、しゅわり、氷がぶつかり泡が弾ける音のハーモニー。ひんやりと気持ちのいい響きにモーラットがもきゅっと卯月を、その手にあるコップやアイスをじっと見る。
視線を集めた卯月はそのままモーラットを誘うようにコップを見せつけながら、公園の木陰の下まで移動した。振り返ると、モーラット達はきらきらつぶらな目を輝かせて待っていた。
「飲むか?」
「もきゅっ」
卯月がしゃがんで一番最初にいたモーラットにコップを示せば、いいお返事。ちょんと伸ばされた手にコップを渡してやれば、嬉しげに飲み始める。後ろのモーラットもそわそわしていた。
「ジュースのおかわりも、氷の方もたくさんある。順番に並べ。まだ食べてない奴から先に譲ってやるようにな」
「もきゅー」
程よく飲んだら次のモーラットへ。少なくなったらおかわりを。待っているモーラットは卯月に撫でられて。平和にゆっくり、モーラット達は美味しい時間を過ごすのだ。
一通りモーラットがひんやり炭酸とアイスを楽しんで、公園で涼やかな木陰の中を跳ねだした。卯月はまたモラ詰まりを解消しようと立ち上がる。ちょうどひまりが一匹モーラットを引き抜いたところを目にした。
新しく冷えた炭酸とアイスを手に、卯月はひまりへと歩み寄る。
「頑張っているな」
「あ、えっとりょうへいさん」
「ああ。少し休憩しないか」
暑い中で頑張ると、汗をかく。水分や塩分の補給は大事だろう、と卯月は手にしたかち割り氷 in 炭酸を差し出した。喉が渇いていたひまりは受け取って、少しずつ飲み干していく。
「一つ聞きたいんだが、根付はどうする。持っているといつかまた、|こんな事態《野良モーラットを呼び寄せモラ詰まり》を起こすかもしれないが」
「えっと、他のりょうへいさんが持っていきたいからと。引取ってくれました」
「そうか」
回収はすでに済んでいたらしい。卯月はそれならば、と先じて銀誓館で探しておいたモーラットの飾りを差し出した。
「こんな事態に巻き込んですまない。これは詫びと、この詰まっているのを解消してくれている礼だ」
「いいんですか?」
「ああ。これは何の力もない、ただの飾りだから安心して受け取って欲しい」
「……はい。ありがとうございます」
ひまりは卯月の優しさに礼を言ってモーラットの飾りを受け取った。
(世界結界の効果で忘れてしまうだろうし、その方が望ましい)
名前を名乗らず「りょうへいさんの一人」として接しながら、忘れられることを受け入れた卯月は側のモーラットを撫でる。
(ひととき、こいつらと楽しく戯れて、『悪くない日だった』という気持ちで家路につけるといい)
モーラットの飾りを嬉しげに眺めるひまりを見つめて、慈しみの思いを視線に乗せながら。
(そしてどうか、明日からも、平穏な日々であるように)
少し愉快な「ひえ」という悲鳴を、驚きの感情の発露だけに使えるように。
ほんの少しだけ口元と目元を緩めて、卯月は柔らかな気持ちでひまりを見守っていた。
大成功
🔵🔵🔵
吉備・狐珀
【狐扇】
うぅ…悲しみに暮れる暇さえ与えてくれないのとは…
とはいえ、このままでは通行の妨げになりますし、何より詰まったままではこの子達がかわいそうです
日差しも強いですし、早く涼しい所へ移動させてあげましょう
まずは一匹、と抱きかかえると手から伝わるふわもこの感触
……
はっ、いけません!
公園へと移動させたら、元の場所へと戻ってもう一匹抱きかかえる
………(ぎゅっ)
はっ、つ、つい(首をぶんぶん)
同じように公園へ移動させ、元の場所へ
抱きしめては首を振り、頬ずりしては首を振り、の繰り返し
…語さん
このメガリス、回収した方がいいですよ、ね?
(お母さん、この子連れて帰ってもいい?と子猫や子犬を抱っこした子供の目)
落浜・語
【狐扇】
いやまぁ……ほら、もふもふはまだいっぱいいるからね?こっちのもふもふで今は我慢しよ?
名残惜しそうなのに少し苦笑いしながら、モーラットを運ぶ。
……これはいい具合のもふもふ……。もふもふしながら、公園へ。
なんなら狐珀、公園でモーラットモフってる?運ぶの俺やっとくし。一匹ごとに堪能しているの見たら、そのほうがいいかなぁって。
そうだね。このままじゃ、また詰まるようなことになるだろうし、オブリビオン出てくるかもしれないし。
(その目をされると、ダメとは言えない。言うつもりもない。)
●ふかふかもふもふ、柔らかな感触
狐珀はさめざめと悲しんでいた。|もふもふ《モーラビット》を己の手で骸の海へと還す所業に嘆いていた。それなのにモラ詰まりを解消しなくてはならないのだ。
「うぅ……悲しみに暮れる暇さえ与えてくれないとは……」
世界は無情であった。猟兵ゆえの悲しみと言えるかもしれない。
「いやまぁ……ほら、もふもふはまだいっぱいいるからね?こっちのもふもふで今は我慢しよ?」
|先程のふかもふ《モーラビット》のことが名残惜しそうなのに少し苦笑いし、語は狐珀を慰めていた。悲しんでいるところ申し訳ないが、まだ解決すべき事態は残っている。帰って嘆いていてもいいが、|別のもふもふ《モーラット》もいるのだ。愛でたほうがいいんじゃないか、とそっと言葉を添えている。
このように穏やかに諭され、慰められれば、狐珀も顔を上げてもふもふの詰まった道を見る。
「はい……悲しいとはとはいえ、このままでは通行の妨げになりますし、何より詰まったままではこの子達がかわいそうです」
「うん、そうだね」
「日差しも強いですし、早く涼しい所へ移動させてあげましょう」
きりりと顔を引き締めて、まずは一匹、と狐珀は手近なモーラットを抱きかかえた。途端、手から伝わるふわもこの感触。先程の悲しみを吹き飛ばすかのよう。
「…………」
狐珀は無心でもふもふと手にしたモーラットをもふもふする。日差しなんて何のその、酷暑を忘れさせる魅惑ももっふりが今狐珀の手の中にあった。もふもふ。もふもふ。
「はっ、いけません!」
こうしている場合ではないのだ。車が通る前にモラ詰まりを解消しなくてはならないのだから。狐珀は手にした一匹を公園へと運び、ゆっくりと手を離す。
語も手近から引き抜いた一匹の感触をもっふり味わっていた。想像以上にたっぷりと毛並みがあり、柔らかくふかっとした感触が手に伝わる。確かに無心になって揉んでいたくなるほどのふかもふ触感だ。狐珀の動きを止めるには十分だろうと語にもわかる。
「……これはいい具合のもふもふ……」
もふもふふかふか、時折もきゅっと鳴くモーラットのもふもふを撫でたりもふもふしながら、語は引き抜いては公園へと運んで、また戻ってきてはモーラットを回収し、公園へと運んでいく。
狐珀は先程と同じ場所に戻って、また一匹抱きかかえ上げた。
「………………」
狐珀はもきゅっと可愛い声を上げるモーラットを無意識にぎゅっと抱きしめる。しばらくふかふかもふもふもきゅもきゅとしたあと、正気に戻って首を振った。
「はっ、つ、つい」
同じように公園へと移動させ、懸命に手を離し。またモラ詰まりへと戻っていき。抱えては首を振り、もふっと頬ずりしては首を振って公園へと連れて行き、と繰り返していた。
そんな狐珀の姿を見ていた語は苦笑しながらモーラットを引き抜いては大きくなったカラスの背に乗せている。いっぱいになったら公園へと運ぶつもりだ。
「なんなら狐珀、公園でモーラットモフってる?運ぶの俺やっとくし。一匹ごとに堪能しているの見たら、そのほうがいいかなぁって」
いっそ満足するまでもふもふした方がいいのではないだろうか。何度も手を止めているよりは長く堪能できるのでは、と提案した語に狐珀はなんとか首を振る。
「いえ、大丈夫です……語さん」
「うん?」
狐珀はもきゅもきゅ鳴いている|ふかふかもふもふ《モーラット》を一匹抱えたまま、うるうる目を潤ませていた。
「このメガリス、回収した方がいいですよ、ね?」
まさにその目は「お母さん、この子連れて帰ってもいい?」と子猫や子犬を抱っこした子供の目。そんな目をされた語はダメと言えるはずもなく、言うつもりもなく。恋人のもふ欲に若干甘い語だった。
「そうだね。このままじゃ、また詰まるようなことになるだろうし、オブリビオン出てくるかもしれないし」
持ち帰ってきちんと管理したほうがいいだろう、と二人で意見を合わせたなら、あとは回収するだけだ。シルバーレイン世界でなければ発動しても野良モーラットは集められないし、逆にそういった事件の際には役に立つかもしれない。
早速二人はひまりに声をかける。急に声かけられて怪訝な顔をするひまりだが、猟兵であること、|このような事態を引き起こす《野良モーラットを集めてしまう》メガリスである白鞠守りを回収したいことを伝えれば、ひまりは若干切なそうにしたあと、気分を切り替え快く渡してくれたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木常野・都月
◎○〆(全てお任せです)
これがモラ詰まり…
みっちり詰まるんだな…
子狐も安心感求めて仲間と寄り集まって寝たりするけど…
もしかしたら似たような所があるのかも知れないな。
とはいえ、この詰まりを解消しないと。
まずはシュワシュワジュースを…
俺用だけどな?
飲みたい素直なモーラットが居るなら分けてもいいかなぁ(棒読み)?
よしよし、素直なモフモフは良いモフモフだ。
シュワシュワジュースを分けて飲もう。
さり気なく触れたら嬉しいな。
あとは、詰まってると暑いからな。
気持ち良いそよ風を用意しようか。
風の精霊様、氷の精霊様、涼しいそよ風をモーラット達にお願いします。
寒すぎず、暑すぎず、程よいそよ風は、気持ちいいだろう?
●シュワシュワジュースとそよ風
「これがモラ詰まり……みっちり詰まるんだな……」
シルバーレイン名物モラ詰まり。手近な詰まったモーラットを撫でながら都月はほんわかとした笑みを浮かべた。見ている分にはちょっと暑そうだけどほんわかしてくる。
「子狐も安心感求めて仲間と寄り集まって寝たりするけど……もしかしたら似たような所があるのかも知れないな」
もきゅもきゅと鳴きながら寄り集まり詰まっているモーラット。どこかほんわかとした空気があって、まったり詰まって幸せそうでもある。
しかし彼らを放置することはできない。
「とはいえ、この詰まりを解消しないと」
色々迷惑になるし、またオブリビオンが出てきても問題だ。
都月は手近なクーラーボックスから炭酸のジュースを取り出した。蓋を開ければしゅぽっといい音がなる。しゅわしゅわと中で炭酸が弾ける涼し気な音に、モーラットがぴくりと都月に耳を向けた。
「俺用だけどな?」
なんて言いながら都月は炭酸ジュースを飲む。暑い日差しの下で乾いた喉にしゅわっと甘みと炭酸が広がって、涼しい気持ちに変えていった。
「うまいな。あー、飲みたい素直なモーラットが居るなら分けてもいいかなぁ?」
などと棒読みで誘ってみれば、モラ詰まりからもふもふとした毛並みのモーラットが近寄ってくる。素直な彼らに都月は手を伸ばし、もふっとした頭を撫でてやった。
「よしよし、素直なモフモフは良いモフモフだ。シュワシュワジュース、皆で分けて飲もう」
寄ってくるモーラットを撫でつつ、都月はシュワシュワ泡を弾かせているジュースを分けてやる。モーラットは嬉しげにもきゅっと鳴いて、ちびちび飲んで炭酸にもきゅーっと嬉しい悲鳴を上げてから、また別のモーラットへと渡していた。
「あとは、詰まってると暑いからな」
少しずつやってくるモーラット以外にもまだまだ詰まってみっちりしているから、と都月は精霊に語りかけた。
「風の精霊様、氷の精霊様、涼しいそよ風をモーラット達にお願いします」
ふわりふわり、モーラットのふかふかな毛をそよ風が撫でていく。小さな小さな氷の粒で冷やされたやさしい風がモラ詰まりへと吹いていた。気持ちの良い風にモーラットの詰まり具合が少しずつ緩んでいく。
「寒すぎず、暑すぎず、程よいそよ風は、気持ちいいだろう?」
ほぐれて転がって、シュワシュワした音に惹かれてやってくるモーラットにまたジュースを分けてやって、と都月は少しお兄さんな気持ちになりながら、モラ詰まりを解消したのだった。
大成功
🔵🔵🔵