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ファースト・コンタクト

#けものマキナ

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#けものマキナ


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「概要を説明する……と、言いたい所だが、説明する概要が無い」
 (自称)レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)はゆったりとした椅子に座っている。
「今回の現場はけものマキナと言う先日見付かった新しい世界だ。だが、どうにも今までの世界とは勝手が違うようで情報が少ない。なので、諸君に情報を集めてもらいたいと思う」
 けものマキナ。最後の人間が滅びてから凡そ1万年後。文明崩壊に伴う惑星環境の激変で人間は滅び、人間によって作られたロボット、バイオモンスター、ケモノ達等だけが生き残った世界。
「凡そどんな世界であるかはある程度分かってるんだが、具体的な情報はあまり無くてな。この世界では見た目が人間に近い種族は歓迎されないのだ」
 本来、猟兵は自らの種族が欠点になる事は殆どない。だが、この世界では違うのだ。
「その原因は滅びた筈の人間が現れて各地で騒動を起こしているせいらしくてな……なので、人間は敵だという認識になっているようだ。まあ、人間に見えなければ何でもいい。猫耳でも付けて行けば問題無い……らしい。これも調査対象だな」
 最低限の雑な偽装でもあっさり欺けるらしい。
「何をやっても情報にはなる。好きにしてくれていいぞ。送り出す地点は春の季節らしくてな。多くの旅人が行き交っている筈だ。多少いざこざが起きても問題にはならん。住民の戦闘力も調査対象と言う訳だ」
 事前調査でこの世界の住民は全員が猟兵並みの”デモンズコード”使いである事が分かっている。
「”デモンズコード”……性質的にはユーベルコードと違いは無いように思えるのだが……まあ、これを調べても今は真相までは辿り着くまい」
 椅子に深く座って偉そうに手を組むレイリス。
「私は見えた事件を解説するだけ……まあ、今回は事件ですらないが、未知の世界を楽しんできたらいいんじゃないかな」
 そして、けものマキナへと繋がる転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」


Chirs
 ドーモ、Chirs(クリス)です。けものマキナ、始まります。
 今回は調査シナリオで、この調査結果がワールドガイドに収録され世界の公式設定になります。なお、私以外のMSの書いたシナリオでもリプレイ結果が公式設定になります。
 なお、フレームの都合上1章しかありませんが、完結してもほぼ同じオープニングを何度か出す予定で、それが事実上の第2章や第3章となっていく予定です。
 今回はあまり凝った内容にせずさらっとヘルシーに書きたいと思います。まあ、乗っちゃったら結局いつも通りになるかもしれません。
 皆さんの気になる所、調査して公式化していきたいと思います。よろしくお願いします。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

イラスト:仁吉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


◆アナウンスン
 今回の予兆は猟兵向けとして書いています。けものマキナの住人として参加する場合は、現地住民として扱います。
暁光・陸号
立場:現地住民

行動方針:WIZ

心情:サア、今日モ元気ニ資材集メニ勤シミマショウ。
何ヤラキナ臭イ予感モシマスガ、過去ノ人類卜バッタリ出会ワナイ卜イイデスネ!

行動:基本はベースフローターに乗って上空からマキナの残骸探し。そこそこ大きな残骸を見つけたら着陸して残骸を調べ、解体して使えそうなパーツを入手する。限度や他の探索者のことも考え、欲張りはしない。

住民と出会ったらパーツの取引をしたり、故障している機材の修理をしたりして友好関係を築いておく。
流れのスクラップ屋にとっては人脈こそ最高の報酬。

過去人類の活動痕跡を見つけたらとりあえずはマップに記録しておくのみにとどめておく。


アノマ・ロカリス
世界は、多岐にわたり、一つに収束する事などありえず。
人滅びて、使命はたされり。

されど人らしき者の存在が囁かれる昨今、再び本来の使命に舞い戻る事、やぶさかならず。

システムの再稼働を許可。
索敵を開始する。

端末頭脳戦車、『わたし』正常稼働確認。大気状態:活動に支障なし。

人類に未来など認めない。
最後の1個体まで消し去るのみ。

衛星周期から、現在の時刻を推定、直近の時刻合わせから1万年経過を確認。

人外の活動を確認。

人類らしき者の観測情報を求む。

原生集落及びネットワークの確認。

利用可能なら仮拠点とする。

集積データを整理後、『亜空間輸送艇:舎利成炉』内の本体戦車と同期。

人類に安らかな眠りあれ。



●衛星軌道上機械神殿
『世界は、多岐にわたり、一つに収束する事などありえず。人滅びて、使命はたされり』
 全ての人間が滅びた今、それは役目を終えて安寧の中に微睡んでいた。
 否、機械であるそれにそのような機能も感情も無い。客観的に見ればそう見える、それだけだ。
『されど人らしき者の存在が囁かれる昨今、再び本来の使命に舞い戻る事、やぶさかならず』
 作戦領域に再び接近しつつある今、滅びた筈の人類の活動が検知された。少なくとも、それはそう判断した。
『システムの再稼働を許可。索敵を開始する』

『システムブート……最終確認。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前。降下タイミングを譲渡』

『対人類殲滅用頭脳戦車 アノマ・ロカリス(超古代文明の殲滅兵器・f36576)作戦行動開始』

 剣は深々と地面に突き立てられた。大気を斬り裂き、天上の機械神殿より飛来するそれ自体が一種の兵器であり、実際大戦時にはこの剣型降下ポットを何本も敵拠点に突き立ててそのまま制圧を始めた物である。
「端末頭脳戦車、『わたし』正常稼働確認。大気状態:活動に支障なし」
 凡そ快適とは程遠い着地だが、これが降下ポットである以上中身に悪影響が出る設計にはなっていない。衛星軌道から減速無しに投下されたポットは伊達に剣の形状をしている訳では無く、降下地点を深く斬り裂く事で着地の衝撃を地面に逃がす。大戦時の技術だ。
「人類に未来など認めない。最後の1個体まで消し去るのみ」
 アノマは端末たる『わたし』の動作を一通り確認すると、現状を分析する。
「解析開始」
 目を広域に広げる。光学的捕捉範囲内に標的の反応無し。
「衛星周期から、現在の時刻を推定、直近の時刻合わせから1万年経過を確認」

 1万年と言う時間は長く短い。この世界の平均寿命が1000年である事を考慮すれば僅か10世代と言える。だが、時間の流れ方が違う訳では無く、そこに有る物ならば経年劣化は避けられない。
 酸素に触れた金属は酸化し、地中であっても微生物の侵食は避けられない。現状動いている”残滓”、かつての文明の遺物たる機械達も例外なく大戦当時の姿を保った者は居ない。
 だが、何にでも抜け道はある物である。
 例えば宇宙空間。触れる大気が存在せず、何の生命活動も行われない宇宙空間ならば現存は可能である。しかし、大戦の影響は当然宇宙空間にも及び、大量のスペースデブリが漂う衛星軌道はもはやどんな人工衛星も存在できない程の鏖殺領域と化していた。
 だからこそ、それよりも高い軌道に鎮座した衛星軌道上機械神殿は無傷であった。誰が、何の為に建造したのか。今となっては誰にも分からない。いつからそこに鎮座してたのかすら。その神殿は天上の高みからその興亡を視続けていたのである。
 何故それはこのタイミングで動いたのか。凡そ1年前に活動を開始した”人間”を見付けたからだろうか。

●スクラッパー
「サア、今日モ元気ニ資材集メニ勤シミマショウ。何ヤラキナ臭イ予感モシマスガ、過去ノ人類卜バッタリ出会ワナイ卜イイデスネ!」
 暁光・陸号(スクラッパー・f37958)はいつものように円盤形の飛行ユニット『ベースフローター』で低高度を飛びながら”残滓”漁りをしていた。ほぼ無音で上空を滑るように飛行するそれは本人のスカラベのような昆虫型ボディと相まってUDCアースならばUFO扱いされそうだ。
 だが、この世界空を飛ぶのは機械だけではない。鳥、ドラゴン、ハーピー、グリフォン。挙げればきりがない程に当たり前に飛行する者達が居る。
 当然、同業者もだ。鳥は光り物を本能的に集める物だし、それが高く売れるなら尚更である。ドラゴンは財宝集めをする物であり、ダンジョンを構える者も居れば自ら出向いて財宝を集める者だっているだろう。
 今、この季節は春であった。出会いと別れ、旅立ちと開墾の季節。新生活に便利な”残滓”はいつだって大歓迎される。

 陸号は上空からスクラップを探す。墜落した空中戦艦……駄目だ、既に掘り尽くされた後だろう。戦車、戦闘機の残骸はたまに状態のいいお宝が見付かる事もあるが……
「コレハ、外レデスネ」
 見付けたのは爆撃機の残骸。既に片側のエンジンが取り外された形跡がある。先客にやられたのだ。もう片方は当然使えない状態なのだろう。
 次に見付けたのは自動車。今でも現存する物は住人の足として親しまれている。見た所、漁られた痕跡はない。
「少シ、調ベテミマショウカ」
 陸号は滑るように着陸した。

「コレハ、中々ノアタリデスネ!」
 車体その物は劣化が酷く役に立たなかったが、幾つか使えそうな部品は見付けた。エンジンやナビゲーションシステム周りはやはり先客が居たようだが、それ以外の部品は中々の収穫だ。
 特にラジエーター周りがほぼ手付かずの状態だったのがいい。間抜けな先客も居た物である。ありがたく丸ごと頂き、それ以外の部品はあえて放置した……間抜けではなく、同じ心境だったのだろうか。確かめる術はない。
「デハ次ニ」
 その時である。少し離れた地点から大きな衝撃音が響き、大量の土砂が舞い上がった。
「ハテ?」
 今は春。戦の季節ではない。だとしても、集落が無いこの地点に攻撃する理由もない。
「噂ヲスレバ影デショウか」
 過去ノ人類、即ち最近巷を騒がせている”人間”の起こした事である可能性は高いと陸号は判断した。だが、今一つ行動原理の分からない人間でも何もない場所に攻撃はしないでのはないだろうか。
「少シ、様子ヲ見ニ行ッテミマショウ」
 危険が怖くてスクラッパーが出来る物か。何より、お宝の気配がする……陸号はそう考えた。

●頭脳戦車
「人外の活動を確認」
 果たしてそれは、お宝ではあった。
「コンニチハ!」
 だが、生きている。生きているなら奪うべきではない。

(推測、『わたし』に対する挨拶。対応パターン該当一件、実行)
「こんにちは」
 アノマは未知の頭脳戦車に挨拶を返した。
「情報共有を求める。要求、無線通信規格の開示」
「無線通信規格? ソンナ高級品アリマセンヨ!」
 事実である。大戦時に吹き荒れた磁気嵐は大半の無線通信機器を単なる飾りに貶めた。今は稼働する物もあるが、一方的な送信か受信が精々だ。インターネットも過去の”残滓”である。
「現状における技術力評価を下方修正。情報提供に感謝する」
「イエイエ、大シタ事デハ。ア、コチラも少々オ聞キシタイノデスガ」
 状況からの推測。
「コレヲ頂イテモ宜シイデショウカ?」
 コレ、即ち剣型降下ポットである。
「検証……許可。『わたし』には既に不用品」
「アリガトウゴザイマス!」
 やはり、お宝はお宝だったようだ。こんな技術は見た事が無い、果たして、どこからどうバラした物か……そもそも、持ち帰れるのだろうか。

◆続きます

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

銭国野・大地
外部の猟兵として参加。
●心境
新世界?とくりゃあ、需要と供給に何があるのかぐらいは調べておかねぇとな。行商人の抑えるツボだぜ。
●行動
お、あれがケモノって奴か?明らかに毛が生えてるな。
おーいそこのお前は現地民?今何が入り用か分かるか?あ、俺?俺は外部から来たぜ。だから聞いているってワケだ。
キャバリアの部品とかは生憎扱ってねえが……機械のジャンク品でも要るなら売るぜ?
(大したものは無いが役には立つだろ、主に機械の奴らには)
……そういやここ、通貨は?まさかあるよな?ほら、Gとか円とかDとか。
無いなら物々交換で頼むぜ。流石に商売しに来てる側だからな。
今度来た時の為に、欲しい物は今聞いておくが……何要る?



●とある集落と行商人
(新世界? とくりゃあ、需要と供給に何があるのかぐらいは調べておかねぇとな。行商人の抑えるツボだぜ)
 銭国野・大地(ハードボイルドな物資の運び屋・f37331)は見た目的にけものマキナ現地住民と間違える程の竜派ドラゴニアンだが歴とした猟兵だ。この世界にはアポカリプスヘルの様な持ち込み制限はないので資材は好きに持ち込めるのだが、まずは需要を調査する為に嵩張らない小物だけを積んで集落を訪れた。
「お、あれがケモノって奴か? 明らかに毛が生えてるな」
 ケモノ全員が獣毛で覆われている訳では無いが、割合としては大きい。
 最も多いのはキマイラの獣人種で、二足歩行する何らかの動物の獣人だ。セントール、ハーピー、アラクネ、ラミア、マーメイド等上半身は人間なのは半獣種。ドラゴン、グリフォン、クラーケン、スライム、オーク、ジャイアント等、自然界から産まれない姿の者は幻獣種と呼ばれている。賢い動物は賢獣種と呼ばれる。
 この辺のカテゴリ分けは地域によって違ったり、時と場合によって使い分けたりもされる。
「おーい、そこのお前は現地民?」
「ア? ここの集落の住人だけど何か用か?」
 大地は適当に、商人の勘である程度動かせる資産を持ってそうな畑仕事中の虎獣人に声をかけた。
「今何が入り用か分かるか?」
「んー、今は春だからなぁ。足りなくなるのは建築資材と保存食かな。特に保存食は越冬で結構使っちまうからなぁ」
「建築資材と保存食な。と、なると精の付く食べ物なんかも売れそうだな」
「あー、いいねそれ。こう、パーっとがっつり喰いたいな」
「後はどこに行ってもハズレ無しの酒だ」
 大地は油断なくいくつかの種類の酒を持ち込んでいた。地域によって好みの味の違いや、何らかの制約で売れない所か、禁制品扱いされる事もある食品と比較すると酒はハズレが少ない。変わった味でもそれはそれとして需要が出るし、医療品代わりにもなる。仮に禁制品を原料に使っているとしてもバレ難い。
「お近づきの印に一本どうだい?」
 バックパックから酒瓶を一本取りだして渡す。こういう時にケチってはならない。
「お、良さそうな酒だなぁ。ありがたく頂くよ」
 ビンテージ物のワイン等の高級品を出す必要は無いが、安酒よりちょっと値が張るちょっとした贅沢感が出せる物を選ぶのがポイントだ。
「んで、何が望みだ?」
 上手く運べば口の滑りが滑らかになる。情報は金、信用も金だ。
「村長に紹介してくれねぇかな?」
「ああ、お安い御用だ」
 仕事の手を止めてでも村長に合わせるべきと判断した人物。ただの売り込みとでは信用度が段違いだ。

「新しい行商人か。どこから来なすった?」
「ちと説明が難しいが……外部からだぜ。だから聞いているってワケだ」
「そのようだ。このラベルはまるで見た事が無い」
 村長の象獣人にも既に一本渡している。ゆったりした物腰の眼鏡をかけた老人に見えるが、その眼光は油断ならない物を感じる。
「お茶をお持ちしました」
「おー、これはご丁寧に」
 頭脳戦車が茶碗にお茶を淹れてくれた。マニピュレーターで器用に雑用をこなしている辺り汎用家事ロボットと言う感じだろうか。
「キャバリアの部品とかは生憎扱ってねえが……機械のジャンク品でも要るなら売るぜ?」
「ふーむ、機械のジャンク……一口に言ってくれますな」
「ああ。動力、冷却、回路、導線、調律等々一通りは用意できる」
「それはありがたい。最近、この子のアイセンサーが片方調子が悪いようなのでのう」
「現状、業務に支障はありませんが、5%の認識力低下は否めません」
「ああ、ちょっと見せてもらえるか?」
「どうぞ」
 頭脳戦車のアイセンサーをまじまじと観察する大地。
(こりゃ、思った以上の高級品使ってらっしゃるぜ……コレがちょっと調子が悪いだけだぁ?)
 そう、牧歌的な雰囲気に騙されがちだがこの世界に残った機械の技術レベルは総じて高い。下手なジャンク品では文字通りのゴミにしかならないだろう。
「ありがとう。次に来た時にでも用立てさせてもらうぜ」
 サイバーサナドゥか、スペースシップワールドか、はたまたキマイラフューチャーか。幸いにも仕入れ先はいくつかある。
「良かったら酒を何本か買ってもらえねぇかな。今は手持ちが少なくてな」
 商人が貨幣単位を知らないというのはあまりに怪しい。だが、世界によっては貨幣が無く物々交換のみと言う事もあり得るのだ。或いは何か妙な物……たとえば清涼飲料水のキャップとか……なんかが貨幣の代わりになってる事すらある。
「値段にもよりますかな」
「この辺の相場が分からなくてな。アンタの目を信じさせてもらうぜ」
 言い値で売る。場合によっては安く買い叩かれる危険性はあるが、ここまで信用を取っていれば。
「10万Catと、言った所ですかな」
(単位はCat(キャット)か。相場は早めに調べねーとな)
「ああ、それでいいぜ」
「では、お代を出して差し上げなさい」
「どうぞ」
 頭脳戦車がマニピュレーターで硬貨を十枚出した。
「まいどあり」

「これが1万Cat硬貨か」
 集落を出てから硬貨をよく観察してみる。推測だが、この世界に紙幣は無いようだ。そこそこの重さがあり、金の含有率は高いと大地は判断した。流石に純金の金貨ではないようだが、殆ど金貨と言っていいだろう。
(作り自体は割と雑だな)
 その反面、加工精度は高く無い様だ。これなら贋作作りも難しくは無いだろう。ここまで考えて気付く。
(あれ、もしかして買い叩かれたかな)
 通貨その物の価値があまり無いのかもしれない。物々交換がメインで、通貨は精々そのお釣り位の扱いではないだろうか。この十万Catで一体何が買えるのか……
(と、そうでもないようだな)
 集落内に小さな店を発見。そこの値札を見てみると、UDCアースの円と大差がない様に思える。
(むしろ結構高く買ってくれたかもな)
 ここまで来れば、通貨という商人にとって最大の武器の確認は十分だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロストピオニエ・カルニバニア
『ここにはどんな食材との出会いがあるのかしら!』

新たな食材を探しに来たわ
変装は羽があれば事足りるでしょうけど、、あえて適当なマントで隠して接近してみようかしら?どんな反応になるのか調査ね!

それはそれとしてここの食文化について調べたいわね!反応を確認したらマントを脱いでこの世界の食について聞きたいわね!

ケモノって美味しいのかしら?
ケモノって共食いするのかしら?ここでも共食いは禁忌なのかしら?普通の動物はいるのかしら?食文化レベルはどれくらいかしら?機械はなにかエネルギー補給をするのかしら?
気になることはいっぱいね!

連携アドリブ可能、口調は常にハイテンションな感じでお願いします。


静音・涼香
けものマキナ世界出身の猟兵として参加
ようやく戻ってこれましたね……半年振りくらいでしょうか?
半年でどのくらい変わってるかは分かりませんが、
ある程度なら案内できますよ。
え。人間が怖くないのか、ですか?
私は見た目が『人間』に近いので気にしたことはないですね……
それよりここの名物料理でも食べて行きませんか?



●ヲカエリ ケダモノ
「ようやく戻ってこれましたね……半年振りくらいでしょうか?」
 静音・涼香(異次元の逃亡者・f38022)はけものマキナ出身の猟兵だ。所謂神隠しと呼ばれる現象で世界間を移動する事は稀に起きる現象ではある。けものマキナ出身でありながら猟兵でもある。
 涼香は最後に居た集落の所に転送して貰った。
「あれ、涼香じゃん」
「やあ、久しぶり」
 知っている集落なら顔見知りが居る。
「久しぶりって程でも無いか。半年ぶり位? まあ、幼齢だと長いよね」
「そうねぇ、半年は結構長いわよ」
 けものマキナの住人は20歳までは人間と同程度の速度で成長する。正確には、産まれた時点で6歳相当なので涼香の正確な年齢は9歳になる。しかし、肉体的にも精神的にも人間の15歳程度と同様の成長をしている。
「変わった事と言ったらフラットスキンかしら」
「フラット……ああ、人間の事ね」
 涼香はアスリートアースで猟兵として目覚めた。アスリートアースには人間しか居ないので涼香は人間に対する偏見は薄かった。
 けものマキナの住人の人間に対する偏見はここ1年程で産まれた物だ。最初の内は相互に脅威としての認識が薄かった。人間側の事情は住人には分からないが……自分達に従って当然の物が、従わない所か反撃までしてくるのは全くの想定外と言う感じだった様だ。
 一方の住人側もとっくの昔に滅んだはずの人間が生きていたからと言って別に敵対する意思はなかったが、全く意味の分からない言語で高圧的に命令してくるだけの存在をどう扱っていいか分からず困り果てていた。明らかな敵意を見せられれば反撃するしかない。幸いにも夏の戦で住民たちは例外なく戦える。
 人間側は住民の言葉を理解しているのかは分からないが、少なくとも聞く気は無いらしく。千年生きる住民にとってはたったの一年で相容れない関係になってしまった。
「とにかく、夏でもないのに襲ってくるの本当迷惑よね」
「そうねぇ」
 涼香は半年を猟兵として過ごしているので本来の人間がそういう存在ではない事を知っている。だから、尚更に疑問だった。
 この世界の人間とは一体、何なのか……

●ヨウコソ ケダモノ
「ここにはどんな食材との出会いがあるのかしら!」
 ロストピオニエ・カルニバニア(血染めの翼・f37607)は食人趣向者のオラトリオだ。彼女にとっては生きとし生けるありとあらゆる物が食材であり素材である。食べられる部分は勿論、食べられない部分まできっちりと使い倒す徹底ぶり……場合によっては今後隔離措置が必要かもしれない。
 そういう訳なので、下手な住人と第一接触させると色々と不味いので涼香にいる所にピンポイントで転送した。
「あなたは……?」
 なお、その辺の事情は涼香には伝えていない。現地民に違いは無し。
「ロストピオニエ・カルニバニアよ! ロストでいいわ」
 当然、ロストも知らない。だが、猟兵とオブリビオンは互いに一目でそうだと分かるので、猟兵同士も猟兵だと分かるのだろうか。少なくとも、この世界ではそうはならない。住民全員がデモンズコード使いだからだろう。
 ロストはオラトリオなので背中に翼がある。それだけで人間ではないという認識になるのだが、あえて適当なマントで身を隠していた。
「人間じゃ無さそうね。私は涼香、静音涼香よ」
(まさかのノーリアクション……?)
 まあ、生粋の現地民でも同じ反応ではあっただろうが。人間はハイテクスーツに全身を包んでいるので明らかに見た目が違う。マキナかと思って剥いだら中から人間が出て来たので、住民は人間の素の姿を知っているだけだ。
「なるほど、こういう格好でも警戒はされないのね」
 それを確認したロストはマントを脱ぎ捨て真っ白なコックコート姿を晒した。所々に赤いシミがある。
「……?」
 なにか、得体の知れない本能的な嫌悪感を感じたが、涼香はそれを押し止めた。
「私は旅の料理人よ! ここの食文化に付いて聞きたいわ」
「ええ、まあ私が答えられる範囲なら」
「じゃあ、ケモノって美味しいのかしら?」
「……はい?」
「ケモノって共食いするのかしら? ここでも共食いは禁忌なのかしら? 普通の動物はいるのかしら? 食文化レベルはどれくらいかしら? 機械はなにかエネルギー補給をするのかしら?」
「待って、ちょっと待って」
 ここに来て涼香は相手が猟兵である事を確信した。そして、ここで自分が答えるべきであるという事も……同じ質問を住民にされたら猟兵の印象が最悪になる。
「一つずつにして」
「あら、ごめんなさい。じゃあ、一つずつ。ケモノって美味しいのかしら?」
「まず、ケモノはケモノを食べないわ」
「じゃあ、ここでも共食いは禁忌なの?」
「共食いは、と言うより殺す事自体が禁忌……と言うよりなるべく避けようとしてはいるわね」
「激しい戦闘が日常的に行われてるのに?」
「ええ、だからこそ加減を知っている。殺そうとしなければ殺さなくて済むわ」
「それって犯罪者とかはどうなるの?」
「……命を奪う事はしないわ」
 ロスト、ここで要らん事に気付く。
「命を奪わなければオッケー……てコト!?」
「まあ……そうね」
「あらあらあらあら!」
 命さえ奪わなければセーフ。これは大きい情報だろう……ロストにとっては。
「じゃあ、賢い動物はどうなるの? 食べないの?」
「食べないわよ。普通の動物と賢い動物は見た目が似てるだけで根本的に別種族なの。だから、畜産も行われてるし、普通の動物は食べるわね」
「なるほどなるほど! じゃあ、機械はなにかエネルギー補給をするのかしら?」
「基本的には電力だけど、何から電力を得ているかは色々ね。小型のマキナは大体バッテリー稼働で、集落の電力センターから電力を得ているわ。大型のマキナになると内部動力、何らかのエンジンを積んでいる事が多いけど」

●集う
「ココガ最寄リノ集落ニナリマス」
「情報提供に感謝」
 アノマと陸号はそんな場面にばったり遭遇した。そして、ロストと涼香を視認したアノマは対象を無許可にスキャンした。
(確認、人間ではない。人外の活動を確認)
「あら、スクラッパーの人かしら」
「マキナの人ね? ねえねえ動力は何で動いてるの?」
「私ハ色々ナ物ヲ嗜ンデオリマス」
「疑問、動力源を知ってどうする?」
 敵意なく答える陸号と若干の警戒を見せるアノマ。
「お、なんか珍しそうなのが集まってるな」
 そこに通りすがりの大地も加わる。
「わあ、ドラゴンの人! あなた美味しい人?」
「……意味が分からんのだが。なんだ、今は食い物は手持ちが無くてな。酒も卸しちまったしな」

 原生集落及びネットワークの確認。検証、利用可能と判断。仮拠点確保。
 集積データの整理76%、進行中。人類の存在、現時点では確認できず。
 『亜空間輸送艇:舎利成炉』内の本体戦車と同期完了。戦闘準備、86%完了。


 人類に安らかな眠りあれ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年07月18日


挿絵イラスト